Q.弊社は食品製造業を営んでおりますが、自社ブランドの製品の他に、取引先より製造委託を受けてその相手先ブランドの製品も製造しています(いわゆる「OEM」)。製 造委託により製造した製品に課される消費税の税率について教えて下さい。
令和3年11月1日発行 ま つ も と ほ う じ ん 第 562 号
契約①は原料は A・B 共に有償で支給され、包装資材b も有償で支給されます。②は副次的な原料 Bと汎用品 a は自社のものを使用しますが、他は全て有償で支給されます。①②共、対価を払って委託先
〔会社の税務 よ⭯ず相談室164 〕消費税その25食品の製造委託契約における
消費税の適用税率
Q.弊社は食品製造業を営んでおりますが、自社ブランドの製品の他に、取引先より製造委託を受けてその相手先ブランドの製品も製造しています(いわゆる「OEM」)。製造委託により製造した製品に課される消費税の税率について教えて下さい。
A.製造委託契約により食品を製造する場合、それが
「製造販売」か「賃加工」かにより適用税率が異なります。「製造販売」であれば、飲食料品の譲渡として軽減税率8%が適用され、「賃加工」であれば、役務の提供として標準税率10%が適用されます。
「製造販売」か「賃加工」かは、製造委託契約について、完成品の所有権の帰属や、使用する原材料や包装資材を委託者が無償提供するのか、受託者が自社調達するのかといった点を総合的に勘案して判断されます。
以下、使用する原材料を A( 主原料) とB( 副原料)、包装資材を a( 汎用品の容器等)と b( 特注品の商品ラベル等)として説明します。契約内容は別表の 5タイプとし、汎用的な包装資材 a は契約⑤を除き自社調達です。
〔別表〕
や自社の仕入先から購入した原料と包装資材を用いて製造しており、それらの所有権は仕掛品や製品共に自社に帰属しています。販売の際はそれらの費用に加工に要した水道光熱費や人件費を付加して価格を設定します。こうした状況から、この契約による取引は製造販売に該当し、「飲食料品の譲渡」ですので軽減税率8%が適用されます。
一方、③は汎用的な包装資材 a 以外は全て委託先より無償で支給されます。④は原材料 A 包装資材 b が委託先より無償で支給される一方、原材料 B と包装資材a は自社調達です。⑤は全ての原料と包装資材が委託先より無償で提供されます。無償で支給された原材料・包装資材は自社資産には計上しておらず、それらが製品の主要な構成要素であることから完成品の所有権も委託先にあるとしています。また販売の際は自社で購入したものの費用に水道光熱費や人件費を加算した額を加工賃料として委託先に請求しています。こうした状況を踏まえれば、この契約は製品の製造行為という「役務の提供」を行い、その対価として加工賃料を受領する「賃加工」と見なされますので、製品の販売に当たっては標準税率 10%が適用されます。
尚、軽減税率8%が適用される飲食料品に使用される包装資材は、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものに限られます。
原料A (主原料) | 原料B (副原料) | 包装資材a (汎用品の容器等) | 包装資材b (特注品のラベル等) | 消費税の適用税率 | |
契約① | 有償支給 | 自社調達 | 有償支給 | 8% | |
契約② | 有償支給 | 自社調達 | 自社調達 | 有償支給 | 8% |
契約③ | 無償支給 | 自社調達 | 無償支給 | 10% | |
契約④ | 無償支給 | 自社調達 | 自社調達 | 無償支給 | 10% |
契約⑤ | 無償支給 | 10% |
(税制委員会:xxxxx、xxxx、xxxxx グループ稿)(監修:関東信越税理士会 xx支部)
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