Contract
釜石市再生可能エネルギーゾーニング事業
令和5年10月
釜石市 産業振興部 国際港湾産業課
第1章 総則
第1条(適用範囲)
本仕様書は、釜石市(以下「発注者」という。)が受注者に委託する釜石市再生可能エネルギーゾーニング事業(以下「本業務」という。)について適用する。受注者は、本業務の履行に当たっては、この仕様書のほか、関連法令等を遵守し、本特記仕様書に定めのない事項については、岩手県県土整備部「委託業務共通仕様書」によるものとする。
第2条(用語の定義)
本特記仕様書に使用する用語の定義は、次の各号に定めるところによる。
(1)「管理技術者」とは、契約の履行に関し、主として指揮・監督を行う者として、受注者が定めた者をいう。
(2)「照査技術者」とは、成果物の内容について技術上の照査を行う者として、受注者が定めた者をいう。
第3条(準拠法令等)
本業務の受注者は本特記仕様書によるほか、次の各号に定める規定・上位計画等に準拠し実施するものとする。
(1)地球温暖化対策計画 環境省令和3年
(2)地方公共団体実行計画(区域施策編)策定・実施マニュアル 環境省令和4年
(3)風力発電に係る地方公共団体によるゾーニングマニュアル 環境省令和2年
(4)長期低炭素ビジョン 環境省平成29年3月
(5)第6次エネルギー基本計画 経済産業省令和3年7月
(6)岩手県環境基本計画 令和3年
(7)第六次釜石市総合計画 令和3年3月
(8)釜石市環境基本条例 令和2年4月
(9)釜石市地域再エネ導入戦略 令和4年1月
(10)釜石市地球温暖化対策実行計画実行計画(事務事業編)平成30年3月
(11)その他関係法令及び諸規則並びに通達等
第4条(背景)
釜石市では近年高まる気候変動リスクへの対策と脱炭素社会への移行に向けて、市内に豊富に存在するエネルギー資源を有効活用し、耐災害性や持続可能性の向上、地域内経済循環の実現を目標とし、地域のエネルギーを活力とした「豊か・便利・安心なまち かまいし」を市の将来像として定め、様々な施策を講じている。
目標達成に向けて、今後は地域資源を最大限に活用するための具体的な事業化方策の検討や、市民がより主体的に再生可能エネルギー導入を行うための意識啓発や仕組みづくりを行い、これまで市外に流出していたエネルギー代金を市内の経済循環に転換する方策が必要である。
第5条(本業務の目的)
本業務は、釜石市の豊かな自然環境の保全を図るとともに、地域と共生した再生可能エネルギーの導入、及び地域内経済循環を一層促進するための、エリア設定を行うゾーニングを行うことを目的とする。
なお、ゾーニングマップ作成に当たっては、導入促進区域と導入抑制(規制)区域を区分することにより、地域特性に応じて選定した情報に係るレイヤーを重ね合わせ、各レイヤーにおけるエリア設定の情報を整理することで、当該マップに基づいて再生可能エネルギー導入等の事業計画の検討等に資する基礎資料を整備するとともに、地域のステークホルダーの意見を反映することにより、再生可能エネルギー導入に向けた合意形成を図るものとする。
第6条(対象地域)
本業務の対象地域は、釜石市全域とする。
第7条(業務期間)
本業務の期間のうち、令和5年度事業は契約締結日の翌日から令和6年2月9日までとする。ただし、他計画との調整など、業務実施にあたり不測の事態等が発生した場合は発注者、受注者の協議により、変更する場合がある。なお、令和6年度事業の業務期間については、環境省補助金の公募の詳細が示された段階で決定するものとする。
第8条(調査員(監督員))
発注者は、本業務における調査員(監督員)を定め、受注者へ通知するものとする。
2 調査職員は、契約書、特記仕様書、設計書等(以下「契約図書」という。)に定められた事項の範囲内において、指示、承諾、協議等の職務を行うものとする。
第9条(管理技術者)
受注者は、本業務における管理技術者を定め、発注者に通知するものとし、管理技術者は、次に掲げる事項を行うものとする。
(1)設計図書等に基づく業務の技術上の管理
(2)照査結果の確認
2 管理技術者は、平成30年度以降に、東北管内の自治体の再生可能エネルギーに関するゾーニングマップの作成業務を元請けとして受託した実績を有する者であり、かつ、技術士(環境部門(自然環境保全))又は技術士(環境部門(環境影響評価))の有資格者であるものとする。なお、業務実績については、テクリスの業務実績データ又は契約書の写し等をもって確認を行う。
第10条(照査技術者)
受注者は、当業務における照査技術者を定め、発注者へ通知するものとし、照査技
術者は、次に掲げる事項を行うものとする。
(1)照査計画を作成し業務計画書に記載し、照査に関する事項を定めること。
(2)照査技術者は、業務の節目ごとにその結果の確認を行うとともに、成果の内容について受注者の責において照査を行うものとする。
2 照査技術者は、平成30年度以降に、東北管内の自治体の再生可能エネルギーに関するゾーニングマップの作成業務を元請けとして受託した実績を有する者であり、かつ、技術士(環境部門(自然環境保全))又は技術士(環境部門(環境影響評価))の有資格者であるものとする。なお、業務実績については、テクリスの業務実績データ又は契約書の写し等をもって確認を行う。
第11条(主担当技術者)
受注者は、当業務における主担当技術者を定め、発注者へ通知するものとし、主担
当技術者は、次に掲げる事項を行うものとする。
(1)発注者との連絡窓口となり本業務の主たる作業を実施すること。
(2)管理技術者の補佐
第12条(提出書類)
受注者は、本業務の実施にあたり、次の各号に掲げる書類を提出し、発注者の承認を得るものとする。また、その内容を変更しようとするときも同様とする。
(1)業務着手時
ア 業務着手届
イ 業務計画書
ウ 業務工程表
エ 管理技術者選任通知書
オ その他発注者の指示により提出を求められた書類
(2)業務完了時
ア 業務完了届
イ 成果品
ウ 請求書
エ その他発注者の指示により提出を求められた書類
2 指示、承諾及び協議は、原則として書面によりこれを行うものとする。
第13条(打合せ等)
本業務を適正かつ円滑に実施するため、管理技術者と調査員は常に密接な連絡をとり、業務の方針及び設計条件等の疑義を正すものとする。
2 連絡は、積極的に電子メール等を活用し、電子メールで確認した内容については、必要に応じて打合せ記録簿を作成するものとする。
3 業務打合せは、毎月1回程度開催するものとし、業務着手時及び完了時、業務の区切りの打合せには管理技術者が立ち会うものとする。
第14条(資料等の貸与及び照査、返却)
発注者は、受注者に対し、本業務の実施にあたり必要な関連図書及び関係資料等で提供可能なものについて無償で貸与するものとする。
2 受注者は、責任を持って貸与された資料を管理し、本業務完了後は速やかに返却するものとする。
第15条(守秘義務)
受注者は、本業務において知り得た内容を発注者の許可なしに第三者へ公表、譲渡、貸与等してはならない。また、個人情報保護法を遵守し、本業務で使用する各種貸与資料やデータ等に含まれる個人情報の取扱いについて十分留意すること。
第16条(完了及び検査)
業務完了時には、成果品とともに業務完了報告書を提出して完了検査を受けるものとし、完了検査の合格をもって業務を完了するものとする。
2 受注者は、完了検査に際しては、成果品及びその他関係資料等をそろえるものとし、原則として管理技術者を立会いさせなければならない。
第17条(契約不適合責任)
受注者は、本業務完了後に受注者の責に帰すべき理由による成果品の過失及び不良箇所が発見された場合には、速やかに修正、補足等の必要な措置を講ずるものとする。その際の費用は受注者の負担とする。
第18条(成果品の帰属)
本業務における成果品は発注者に帰属するものとし、発注者の許可なく外部に貸与又は公開してはならない。
第19条(疑義)
受注者は、本特記仕様書及び契約約款等に記載のない事項や疑義が生じた場合には、発注者と協議して定めるものとする。
第20条(委託代金の支払い)
本業務においては、委託代金(前払い金等の部分払いを含む)の中間払いや出来高に応じた精算は行わず、業務完了後に一括して行うものとする。
第2章 業務内容
第21条(計画準備)
受注者は業務実施に必要な人員体制、作業工程及び全体計画の立案を行い、業務計画書を作成し、発注者の承認を得るものとする。なお、計画準備に当たっては、環境省補助金の公募の詳細等を確認のうえ業務内容を作成するものとする。
第22条(資料収集整理)
受注者は発注者から貸与を受ける資料及び関係法令より、本業務実施に当たり留意すべき点や釜石市の環境特性、再生可能エネルギーのゾーニングに当たっての課題等を整理するものとする。
第23条(ゾーニング範囲の検討)【令和5年度実施】
受注者は発注者のこれまでの再生可能エネルギー推進に係る取組状況や、貸与を受けるゾーニング基礎調査による住民・事業者への意向調査結果及び先進事例等の情報を基に、本業務で実施するゾーニング範囲(再生可能エネルギー種別)の検討を行うものとする。なお、最低限以下のものを網羅することとし、協議により追加提案も認める場合がある。
(1)xxx発電(地上設置型)
(2)陸上風力発電(大型・中型・小型)
(3)洋上風力発電(浮体式)
(4)中小水力発電(流れ込み式・水路式)
(5)バイオマス発電・熱電供給(蒸気タービン・CHP)
第24条(ゾーニング条件設定と作業手順立案)【令和5年度実施】
前条の情報収集結果を踏まえ、ゾーニングの基本的な方針と本業務の目的に沿った最適な手順を立案するものとする。ゾーニングはGIS(地理情報システム)を用いたスクリーニング作業を想定し、各再生可能エネルギーの種別ごとに事業性や留意事項を可視化し、最終的な「調整・促進エリア(促進区域候補)」を選定可能なものとする。
第25条(地域固有情報の調査)
既存のデータベースからは把握できない地域固有の情報について(地域において大切にされている場所や景観、現況土地利用、栽培作物、地域課題、建物情報、原典資料が確認できない場合等)について、必要に応じてヒアリングや現地踏査等により調査する。
【令和5年度の実施内容】
・促進エリアとなる可能性が高い地域の現況土地利用、景観への影響等の現地踏査
【令和6年度の実施内容】
・ゾーニングマップ素案の精度や課題確認等のための現地踏査
・希少動植物の生息環境保全等に関する有識者、地域の関係者へのヒアリング結果を踏まえて、必要に応じて現地踏査調査
第26条(有識者・関係部局へのヒアリング調査)
鳥類の渡りルートや貴重な植生、保全すべき施設等の分布、地すべりや砂防指定地等の防災上配慮が必要な区域、主要眺望点からの景観、主要な船舶航路、漁業利用状況などゾーニングに係わる重点事項について、現地踏査や専門家等への聞き取り調査を行いゾーニングに反映させるとともに、後述する保全エリア・促進エリア等のエリア区分に基づき、特に事業実現性の高いエリアを対象に、より詳細な環境情報等を整備したエリア個票を作成するものとする。
【令和5年度の実施内容】
・鳥類の渡りルート、希少動植物の生息状況に関する有識者、自然環境保護団体等へのヒアリング
・ゾーニング条件に関する関係部局や先行利用者への個別ヒアリング、意見照会
【令和6年度の実施内容】
・ゾーニングマップ素案の自然環境保護(鳥類の渡りのルート、希少動植物の生息状況等)の観点からの有識者、自然環境保護団体等へのヒアリング
・ゾーニングマップ素案に対する関係部局、先行利用者への個別ヒアリング、意見照会
第27条(隣接自治体との協議)
受注者は釜石市の再生可能エネルギー導入ポテンシャルの分布状況や既設発電設備の立地状況を考慮し、隣接自治体への影響を検討するとともに隣接自治体と協議を行い、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを最大限活用できるように調整を図るものとする。
【令和5年度の実施内容】
・ゾーニング条件に関するヒアリング、意見照会
【令和6年度の実施内容】
・ゾーニングマップ素案に対するヒアリング、意見照会
第28条(保全エリア・促進エリア(案)の検討)
受注者は釜石市の再生可能エネルギー導入目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの導入に必要な面積を踏まえて保全エリア・促進エリア等のエリア区分を検討するものとする。
【令和5年度の実施内容】
・再生可能エネルギー種別ごとに導入可能性や留意事項を考慮した上で保全エリア・促進エリア案の設定を行う。
【令和6年度の実施内容】
・エリア設定案を基に導入・立地可能性のある場所等について、これまでの調査結果や合意形成の過程を踏まえ、ゾーニングマップを作成する。
第29条(ゾーニングマップ作成に係る意見調査)
受注者は本業務で整備したゾーニングマップや各種調査結果について意見聴取や助言を受けることを目的として外部組織や住民、有識者との連携を行うものとする。対象は以下を想定するものとし、そのメンバーやスケジュール調整等については受注者の提案に基づき協議のうえ決定するものとする。
(1)岩手県
(2)隣接自治体
(3)地域のステークホルダー・専門部会
(4)地域住民(パブリックコメントの聴取も含む)
【令和5年度の実施内容】
・地域固有情報やゾーニングに対する自治会長等の地域代表者からのヒアリング
・必要に応じて、ゾーニングに対する住民意見の聴取
・地域のステークホルダー・専門部会ヒアリング
【令和6年度の実施内容】
・ゾーニングマップ素案の住民意見聴取会
・パブリックコメントの実施
・上位機関への意見聴取
第30条(ゾーニングマップ作成)
受注者は前条までの結果を踏まえ、本市全域を対象として、再生可能エネルギーの種別ごとに改正温対法に基づく「促進区域」の設定を見据えたゾーニングマップを作成するものとする。
【令和5年度の実施内容】
・ゾーニングマップの素案の作成
【令和6年度実施内容】
・再生可能エネルギーの種別ごとに改正温対法に基づく「促進区域」の設定を見据えたゾーニングマップの作成
第31条(会議支援)
受注者はゾーニングマップの作成に当たり、素案の検討段階から庁内会議及び発注者が組織する協議会における協議支援を行い、その意向を反映することにより円滑な再生可能エネルギー導入に向けた合意形成を推進するものとする。なお、受注者は開催準備、当日の資料説明、議事録作成等の支援を行うものする。
【令和5年度の実施内容】
・庁内会議支援1回
・協議会3回
【令和6年度の実施内容】
・庁内会議支援2回
・協議会3回
第32条(成果品の納品)
本業務の成果品の納品場所は、釜石市産業振興部国際港湾産業課ゼロカーボンシティ推進室とし、次に定める成果品を納品する。なお、成果品は年度ごとに作成するものとする。
(1)業務報告書(A4版ファイル綴じ) 正副各1部
(2)業務資料(収集・作成した資料) 1式
(3)報告書、業務資料、電子データ(DVD-R) 1式