『発注関係事務の運用に関する指針』P4抜粋
工事請負契約におけるガイドライン
設計変更手続きの明確化
平成30年4月
和歌山県 県土整備部
工事請負契約におけるガイドラインの構成
Ⅰ 設計変更ガイドライン
[Ⅰ-1~Ⅰ-28 ]
Ⅱ 工事一時中止に係るガイドライン
[ Ⅱ-1~Ⅱ-30 ]
Ⅲ 設計変更事例集(主な事例)
[ Ⅲ-1~Ⅲ18 ]
Ⅳ 受発注者間のコミュニケーション
[ Ⅳ-1 ]
Ⅰ
設計変更ガイドライン
1.設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特性
(2)発注者・受注者の留意事項
(3)設計変更の現状
2.設計変更が不可能なケース
基本事項
3.設計変更が可能なケース
基本事項及び留意事項
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合
(契約書第18条第1項(2))
(2)設計図書の表示が明確でない場合
(契約書第18条第1項(3))
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な
施工条件と実際の工事現場が一致しない場合
(契約書第18条第1項(4))
(4)工事中止の場合の手続き
(契約書第20条)<設計変更可能なケース>
(5)「設計図書の照査」の範囲を超えるもの
(6)受注者からの請求による工期の延長
(契約書第21条)<設計変更可能なケース>
(7)発注者の請求による工期の短縮
(契約書第22条)<設計変更可能なケース>
4.設計変更手続きフロー
5.設計変更に関わる資料の作成
6.条件明示について
7. 指定・任意の使い分け
8.入札・契約時における
設計図書等の 疑義の解決
9.工事打合せ簿
1.設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特性
○土木工事では、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。
○当初積算時に予見できない事態、例えば土質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示し て設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
(2)発注者・受注者の留意事項
発注者は
設計積算にあたって、特記仕
受注者は
工事の着手にあたって設計図書
様書において、「6.条件明 示」を参考に条件明示するよう努めること。
書面により!
を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、発注者と「協議」し進めることが重要である。
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るよう努める。
『発注関係事務の運用に関する指針』P4抜粋
(平成27年1月30日 公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議)
(3)設計変更の現状
~次のような業界からの意見がみられる~
<設計成果>
○設計と現場があっていない。現場に即した設計としてほしい。
<発注時の条件整備>
○関係機関との協議が整ってから発注してほしい。
<条件明示>
○施工上影響がある条件については条件明示をしてほしい。
○施工条件を明示し、施工条件に変更が生じたら適切な設計変更をしてほしい。
<照査の範囲外>
○照査の範囲を超える設計変更の業務に対して対価を支払ってほしい。
<設計変更>
○設計変更に伴う増加費用として、一体性のある工事であれば、30%を超える増加費用の変更を認めてほしい。
<一時中止>
○工事中止時の増加費用を適切に見込んでほしい。
○設計変更:契約変更の手続きの前に当該変更の内容をあらかじめ受注者に指示すること
○契約変更:契約内容に変更の必要が生じた場合、当該受注者との間において、既に締結されている契約内容を変更すること
(4)適切な設計変更の必要性
改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
また、変更見込金額が請負代金額の30%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金または工期の変更を行うこととする。この場合において、特に、指示等で実施が決定し、施工が進められているにも関わらず、変更見込金額が請負代金額の30%を超えたことのみをもって設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負代金の額や工期の変更を行わないことはあってはならない。
(5)ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
2.設計変更が不可能なケース
【基本事項】
下記のような場合においては、原則として設計変更できない。
1.設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
2.発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
3.「承諾」で施工した場合
4.工事請負契約書・土木工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経て いない場合(契約書第18条~24条、共通仕様書1-1-1-14~1-1-1-16)
5.書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
※契約書第26条(臨機の措置)については別途考慮する。
承諾 : 受注者自らの都合により施工方法等について監督員に同意を得るもの
設計変更不可
協議 : 発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの
設計変更可能
3.設計変更が可能なケース
【基本事項】
下記のような場合においては設計変更が可能である。
1.仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合。
(ただし、所定の手続きが必要。)
2.当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場合。
3.所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの。
4.受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
5.受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
設計変更にあたっては下記の事項に留意し受注者へ指示する。
1.当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更「協議」にあたる。
2.当該工事での変更の必要性を明確にし、設計変更は契約書第19条にもとづき書面で行う。
(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注ではないか)を明確にする。)
3.設計変更に伴う手続き「協議等」は、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
4.指示書へ概算金額の記載を行う。ただし、以下の事項を条件とする。
①受注者からの協議における変更の場合は、受注者が見積書を提出した場合に、その見積書を参考にして指示書に記載する。
②受注者からの協議によらず発注者の指示による場合は、概算金額を指示書に記載することとし、記載できない場合にはその理由を記載することとする。
③記載する概算金額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。
※具体的な記載の運用については次頁に記載する。
指示書等への概算額の記載方法
設計変更を行う為、契約変更に先だって指示を行う場合は、指示書にその内容に伴う増減額の概算額を記載する。
ここで記載する概算額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。また、緊急的に行う場合または何らかの理由により概算額の算定に時間を要する場合
は、「後日通知する」ことを添えて指示を行うものとする。
1.契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(指示書等)にて指示を行う。
2.指示書には、変更内容による変更見込み概算額を記載することとし、記載できない場合にはその理由を記載する。
3.概算額については、類似する他工事の事例や設計業務等の成果、協会資料などを参考に記載することも可とする。
4.概算額は、50万円単位を基本(50万円以下の場合は10万円単位)とする。
※指示書等による先行指示ではなく、契約変更すべきもの
・主たる工種の大幅な工法変更や追加、道路線形の見直しなど、当初設計から大幅に内容 が変更となるようなものは、すみやかに契約変更すべきである。
(1)設計図書に誤謬または脱漏がある場合の手続き
(契約書第18条第1項(2)) <設計変更可能なケース>
○受注者は、xxx上、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者としては、自分で勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
受注者および発注者は契約書第24条に基づき、「協議」により請負代金額を定める受注者 発注者
「契約書第18条(条件変更等)第1項(2)」に基づき、その旨を直ちに監督員に通知
書面により通 知
協 議
第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更( 当初積算の考え方に基づく条件明示)
ex. ア.条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
イ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合 ウ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導警備員についての条件明示がない場合
(2)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
(契約書第18条第1項(3)) <設計変更可能なケース>
○設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
受注者および発注者は契約書第24条に基づき、「協議」により請負代金額を定める
受注者 発注者
「契約書第18条(条件変更 等)第1項(3)」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに監督員に通知
第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更( 当初積算の考え方に基づく条件明示)
書面により
通 知
協 議
ex. ア.土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
イ.水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
(3)設計図書に示された自然的または人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
(契約書第18条第1項(4)) <設計変更可能なケース>
○自然的条件とは、例えば、掘削する地山の形状、地質、湧水の有無または量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。
また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
受注者および発注者は契約書第24条に基づき、「協議」により請負代金額を定める
受注者 発注者
「契約書第18条(条件変更 等)第1項(4)」に基づき、設
計図書の条件明示(当初積算の考え)と現地条件とが一致しないことを直ちに監督員に通知
書面により通 知
協 議
調査の結果、その事実が確認された場合、第4項・第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
ex. ア.設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ.設計図書に明示された交通誘導警備員の人数等が規制図と一致しない場合
エ.前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場 合オ.その他、新たな制約等が発生した場合
(4)工事中止の場合の手続き
(契約書第20条) <設計変更可能なケース>
○受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じもしくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き
(工事一時中止に係るガイドライン(案)参照)
受注者および発注者は契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期および 請負代金額を定める
受注者 発注者
「契約書第20条(工事の中止)第3項」に基づき、工事中止に伴う増加費用、必要工期を監督員に提出
書面により通 知
第3項に基づき、必要があると認められるときは、工期を変更しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う。
提 出
「契約書第20条(工事の中止)第
1項」により、工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない。
協 議
ex.
ア.設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
イ.警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合ウ.管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
エ.受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
オ.設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合カ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
キ.工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合
ク.設計図書と実際の施工条件の相違または設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
ケ.埋蔵文化財の発掘または調査、その他の事由により工事を施工できない場合
(5)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
<設計変更可能なケース>
・構造計算の再計算が必要となるもの
・横断図の再作成が必要となるもの
・構造物の応力計算書のチェック
・目的物に変更が生じる図面作成
は「設計図書の照査」の範囲をこえるもの!
1.現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。または縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
2.施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
3.現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。または、土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
4.構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
5.構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
6.現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるが標準設計で修正可能なもの。
7.構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算および図面作成が必要となるもの。
8.基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算および図面作成。
9.土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算および図面作成。
10.「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
11.構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
12.設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
13.舗装維持・修繕工事の縦横断設計。(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書「10-16-5-3路面切削工」「10-16-5-5切削オーバーレイ工」「10-16-5- 6オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる) 。
14.新たな工種追加や設計変更による構造計算および図面作成。
15.「設計便覧」「各種示方書」等の変更に伴う構造計算および図面作成。
16.照査の結果、必要となった追加調査の実施。
〈例〉・ボーリング調査
・杭打・大型重機による施工を行う際の近隣の家屋調査
・トンネル漏水補修工(裏込め注入工)の施工に際し、周辺地域への影響調査
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとする。
(6)受注者からの請求による工期の延長
(契約書第21条) <設計変更可能なケース>
○受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
受注者および発注者は契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期および 請負代金額を定める
受注者 発注者
「契約書第21条(受注者の
請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示し監督員に提出
書面により提 出
協 議
第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う
ex. ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
イ.設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合ウ.その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
(7)発注者の請求による工期の短縮
(契約書第22条) <設計変更可能なケース>
○発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受注者および発注者は契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期および 請負代金額を定める
受注者 発注者
受注者は発注者からの請求に 基づき、工期短縮を図るため の施工計画を監督員に提出し、承諾を得る
書面により通 知
協 議
「契約書第22条(発注者の請求による工期の短縮等)第1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に請求
ex. ア.工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合イ.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
ウ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
4.設計変更手続きフロー
受注者 発注者
契約書第18条 第1項(1)~(5)に該当する事実を発見 受注者:立会い
発注者:直ちに調査の実施 【第18条第2項】
通知し確認を請求【第18条 第1項】
※受注者からの確認請求を受領後概ね7日以内を目処に調査終了予定日を受注者へ通知
意 見
受 理
【第18条第3項】
【第18条第4項】
調査結果のとりまとめ
先行承認決裁:重要な事項については所属長まで
(原則14日以内)
調査終了後14日以内にその結果を通知(とるべき措置がある場合、当該指示を含む)
必要があると認められるときは設計図書の訂正または変更<発注者が行う>
・設計図書の訂正
・工事目的物の変更を伴う設計図書の変更
必要があると認められるときは設計図書の訂正または変更 <発注者と受注者とが協議して発注者が行う>
・工事目的物の変更を伴わない設計図書の変更
必要があると認められるときは工期または請負代金額を変更【第18条第5項】
協議 ①工期の変更【第23条】 ②請負代金額の変更【第24条】
5.設計変更に関わる資料の作成
設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
1)設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して「工事請負契約書」第18条第1項に該当する事実が発見された場合、監督員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
<契約書第18条第1項>
受注者 発注者
現地と設計内容の違いについて、
確認できる資料を書面で提出します。
資料を確認しました。
この資料の作成費用は設計変更の対象 としません。
2)設計変更に必要な資料作成
「工事請負契約書」第18条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、
「工事請負契約書」第18条第4項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
① 設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
② 設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③ 発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④ 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤ 増加費用の算定は、設計業務等標準積算基準書を基本とする。
<契約書第18条第4項>
設計変更するために必要な資料の作成を依頼するときは
・設計変更が必要な内容について、受発注者間で確認
・必要な資料の作成について協議し、発注者が受注者に具体的な作業を指示
受注者 発注者
設計変更に関わる資料を作成したので提出します。
資料を確認しました。 この資料の作成費用は、
設計変更の対象とします。
設計図書の訂正または変更は発注者が行います。
6.条件明示について
施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
明示項目 | 明示事項 |
工程関係 | 1.他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所および他の工事の内容、開始または完了の時期。 2.施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間および施工方法。 3.当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容およびその協議内容、成立見込み時期。 4.関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目および影響範囲。 5.工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目および調査期間。また、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間。 |
用地関係 | 1.工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲および処理の見込み時期。 2.工事用地等の使用終了後における復旧内容。 3.工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、 復旧方法等。 4.施工者に、消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用させる場合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 |
明示項目 | 明示事項 |
公害関係 | 1.工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容。 2.水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容、期間。 3.濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容(処理施設、処理条件等)。 4.工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、 範囲等。 |
安全対策関係 | 1.交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間。 2.鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は 、その内容。 3.落石、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容。 4.交通誘導警備員、警戒船および発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合または発破作業等に制限がある場合は、その内容。 5.有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合は、その内容。 |
工事用道路関係 | 1.一般道路を搬入路として使用する場合 (1)工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合はその経路、期間、時間帯等。 (2)搬入路の使用中および使用後の処置が必要である場合は、その処置内容。 2.仮道路を設置する場合 (1)仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間。 (2)仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)。 (3)仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容。 |
仮設備関係 | 1.仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合および引き継いで使用する場合は、その内容、期間、条件等。 2.仮設備の構造およびその施工方法を指定する場合は、その構造およびその施工方法。 3.仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容。 |
建設副産物関係 | 1.建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所および仮置き場所までの距離。 2.建設副産物および建設廃棄物が発生する場合は、再資源化処理施設又は最終処分場までの距離。 3.建設副産物の現場内での再利用および減量化が必要な場合は、その内容。 |
明示項目 | 明示事項 |
工事支障物件等 | 1.地上、地下等の占用物件の有無および占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等。 2.地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工事内容および期間等。 |
薬液注入関係 | 1.薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、削孔数量、削孔延長および注入量、注入圧等。 2.周辺環境への調査が必要な場合は、その内容。 |
その他 | 1.工事用資機材の保管および仮置きが必要である場合は、その保管および仮置き場所、期間、保管方法等。 2.工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等。 3.支給材料および貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格、引渡場所、引渡期間等。 4.関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容。 5.架設工法を指定する場合は、その施工方法および施工条件。 6.工事用電力等を指定する場合は、その内容。 7.新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容。 8.部分使用を行う必要がある場合は、その箇所および使用時期。 9.給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等。 |
7.指定・任意の使い分け
【基本事項】
指定・任意については、工事請負契約約款第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要 がある。
1.任意については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
2.任意については、その仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
3.指定・任意ともに当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
【留意事項】
指定・任意の使い分けにおいては下記の事項に留意する。
1.仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある。
2.発注者(監督員)は、任意の趣旨を踏まえ、適切な対応をするように注意が必要。
※任意における下記のような対応は不適切
・○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・標準歩掛かりではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応。
発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲
自主施工の原則
契約書第1条第3項により、設計図書に指定されていなければ、工事実施の手段、仮設物等は受注者の裁量の範囲
契約書第1条第3項
仮設および施工の方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段について、この約款および設計図書に特別の定めがない場合には、受注者は、その責任において工事を施工するものとする。
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する | 施工方法等について具体的には指定しない |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意(施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更がある場合の設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない。 |
条件明示の変更に対 応した設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする。 |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・仮設構造物を一般交通に供する場合 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合 ・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設 |
8.入札・契約時における設計図書等の疑義の解決
【基本事項】
設計図書に関する疑義については、入札前の段階、設計照査の段階で解決しておくことが、円滑な施工や設計変更に繋がることになる。
入札前 <条件付き一般競争入札の公告(抜粋)>
設計図書等による質問
実施要領に定める質問書により直接持参又はファクシミリ若しくは電子メールのいずれかの方法で提出。
契約後 <和歌山県土木工事共通仕様書(抜粋)>
1-1-1-3 設計図書の照査等 2.設計図書の照査
受注者は、施工前及び施工途中において、契約書第18条第1項第1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
9.工事打合せ簿
【基本事項】
発注者(監督員)と受注者(現場代理人)との間で行われる、指示・承諾・協議・提出・通知等は、必ず「書面」で行う。(緊急を要し口頭で指示等を行った場合は、後日書面で両者が内容等を確認する)「書面」とは「工事打合せ簿」等をいう。「工事打合せ簿」は、発行年月日を記載し、署名または押印したものが有効となる。
なお、「情報共有システム」で処理した工事帳票も「書面」とみなすものとする。
和歌山県工事請負契約書 第9条(監督員)
2 監督員は、この契約書の他の条項に定めるものおよびこの約款に基づく発注者の権限とされる事項のうち発注者が必要と認めて監督員に委任したもののほか、設計図書に定めるところにより、次に掲げる権限を有する。
4 第2項の規定による監督員の指示または承諾は、原則として、書面により行わなければならない。
和歌山県土木工事共通仕様書 1-1-1-6 監督員 2.監督員の権限の行使
監督員がその権限を行使する時は、書面により行うものとする。ただし、緊急を要する場合は監督員が、受注者に対し口頭による指示等を行えるものとする。口頭による指示等が行われた場合には、後日書面により監督員と受注者の両者が指示内容等を確認するものとする。
和歌山県土木工事共通仕様書
第1編 第1章 第1節 総則 1-1-1-2 用語の定義
10.指示 指示とは、契約図書の定めに基づき、監督員が受注者に対し、工事の施工上必要な事項について書面により示し、実施させることをいう。
11.承諾 承諾とは、契約図書で明示した事項について、発注者若しくは監督員または受注者が書面により同意することをいう。
12.協議 協議とは、書面により契約図書の協議事項について、発注者または監督員と受注者が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう。
13.提出 提出とは、監督員が受注者に対し、または受注者が監督員に対し工事に係わる書面またはその他の資料を説明し、差し出すことをいう。
16.通知 通知とは、発注者または監督員と受注者または現場代理人の間で、監督員が受注者に対し、または受注者が監督員に対し、工事の施工に関する事項について、書面により互いに知らせることをいう。
21.書面 書面とは、手書き、印刷物等による工事打合せ簿等の工事帳票をいい、発行年月日を記載し、署名または押印したものを有効とする。
Ⅱ
工事一時中止に係るガイドライン
Ⅱ-1 工事一時中止に係るガイドライン
Ⅱ-2 工事一時中止に伴う増加費用の取扱いについて
Ⅱ-1
工事一時中止に係るガイドライン
1.ガイドライン策定の背景
2.工事の一時中止に係わる基本フロー
3.発注者の中止指示義務
4.工事を中止すべき場合
5.中止の指示・通知
6.工期短縮計画書の作成
7.請負代金額又は工期の変更
・請負代金額の変更
・工期の変更
8.増加費用の考え方
(1)本工事施工中に中止した場合
(2)工期短縮を行った場合
(3)契約後準備工着手前に中止した場合
(4)準備工期間に中止した場合
9.増加費用の設計書及び事務処理上の扱い
・設計書における扱い
・事務処理上の扱い
1.ガイドライン策定の背景
工事発注の基本的考え方
・工事の発注に際しては、地元設計協議、工事用地の確保、占用事業者等協議、関係機 関協議を整え、適正な工期を確保し、発注を行うことが基本となる。
工事発注の現状
・円滑かつ効率的な事業執行を図るため、工事の発注時期の平準化に努めているところ であるが、一部の工事で各種協議や工事用地の確保が未完了な場合においてもやむを得ず条件明示を行い、発注を行っている。
現状における課題
・各種協議や工事用地の確保が未完了な状態で発注を行った工事や工事の施工途中で受 注者の責に帰することができない事由により施工ができなくなった工事については、工事の一時中止の指示を行わなければならない。
・しかし、一部の工事において一時中止の指示を行っていない工事も見受けられ、受注 者の現場管理費等の増加や配置技術者の専任への支障が生じているといった指摘があるところである。
ガイドラインの策定
・これらの課題を踏まえ、受発注者が工事一時中止について、適正な対応を行うため にガイドラインを策定するものである。
2.工事の一時中止に係る基本フロー
受注者
発注者
工事発注
工事施工不可要因の発見
※必要に応じて工事一時中止「協議」
工事施工不可要因の発生
工事の一時中止を検討
【発注者の中止指示義務】
中止の対象となる工事内容、工事区域、中止期間の見通しおよび工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本的事項を指示する
中止の必要有り
【工事を中止すべき場合】
中止の指示・通知
・工事中止に伴う増加費用※
・必要工期
「協議」
工期短縮必要
【工事中止の通知】
工期短縮が可能
・工期短縮に伴う増減費用※
工期短縮の要請「協議」
・工期短縮が可能であるか
工期短縮不可の場合、その旨を「回答」
「協議」
【増加費用の考え方】
変更が
請負代金・工期の変更 必要
工事再開通知
・工期短縮の必要性判断
工期短縮不要
工事請負代金・工期変更の検討
【請負代金額又は工期の変更】
中止期間
3ヶ月以内
中止期間が3ヶ月を超えるなど、標準積算によりがたい
変更は不要
標準積算によりがたい場合は、別途、見積による積上げ積算とする。
標準積算 見積積算
増加費用は、一時中止にかかる費用計上の他、工期短縮を行った場合は、それに必要な費用を適切に計上する。
受 発 注 者 x x 議
x 約 変 更
※概算費用は、参考値であり契約時点の費用を拘束するものではない。
工事完成 33
3.発注者の中止指示義務
•受注者の責に帰することができない事由により工事を施工できないと認められる場合には、発注者が工事の全部または一部の中止を速やかに書面にて命じなければならない。
•受注者は、工事施工不可要因を発見した場合、速やかに発注者と協議を行う。発注者は、必要があれば速やかに工事中止を指示する。
【関係法令:契約書第20条】
※以降の一時中止に係る事項については、全部または一部中止とも同様の考えとする。
受注者の帰責事由によらずに工事の施工がで
きないと認められる場合
受注者は、工事を施工する意志があっても施
工することができず、工事が中止状態となる
このような場合に発注者が工事を中止させな
ければ、中止に伴い必要とされる工期または請負代金額の変更は行われず、負担を受注者が負うこととなる
発注者は、工事の中止を受注者に命じ、工
期または請負代金額等を適正に確保する必要がある
•工事請負契約書第16条に規定する発注
者の工事用地等確保の義務、第18条に規定する施工条件の変化等における手続と関連する
•このことから、発注者および受注者の十分な理解のもとに適切に運営されることが望まれる
4.工事を中止すべき場合
受注者の責に帰すことができない事由により工事を施工できないと認められる場合は、
「①工事用地等の確保ができない等のため受注者が工事を施工できないと認められるとき」と「②暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象であって受注者の責に帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じもしくは工事現場の状態が変動したため受注者が工事を施工できないと認められるとき」の2つが規定されている。 【関係法令:契約書第20条】
上記の2つの規定以外にも、発注者が必要があると認めるときは、工事の全部または一部の施工を一時中止することができる。
※一時中止を指示する場合は、「施工できないと認められる状態」にまで達していること が必要であり、「施工できないと認められる状態」は客観的に認められる場合を意味する。
①工事用地等の確保ができない等のため
工事を施工できない場合
•発注者の義務である工事用地等の確保が
行われないため(工事請負契約書第16条)施工できない場合
•設計図書と実際の施工条件の相違または
設計図書の不備が発見されたため(工事請負契約書第18条)施工を続けることが不可能な場合•••等
②自然的または人為的な事象のため工事を
施工できない場合
•「自然的または人為的事象」は、埋蔵文
化財の発掘又は調査、反対運動等の妨害活動も含まれる
•「工事現場の状態の変動」は、地形等の
物理的な変動だけでなく、妨害活動を行う者による工事現場の占拠や著しい威嚇行為も含まれる
5.中止の指示•通知
発注者は、工事を中止するにあたっては、中止対象となる工事の内容、工事区域、中止期間の見通し等の中止内容を受注者に通知しなければならない。
【関係法令:契約書第20条】
また、工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本事項を指示することとする。
発注者の中止権
•発注者は、「必要があると認められる」と きは、任意に工事を中止することができる。
※「必要があると認められる」か否か、中止すべき工事の範囲、中止期間については発注者の判断
•発注者が工事を中止させることができるの
は工事の完成前に限られる。
受注者による中止事案の確認請求
•受注者は、受注者の責に帰すことができない工事施工不可要因を発見した場合は、工事の中止について発注者と協議することが
できる。
工事の中止期間
•受注者は、中止期間が満了したときは、工事 を再開することとなるが、通常、中止の通知 時点では中止期間が確定的でないことが多い。
•このような場合、工事中止の原因となっている事案の解決にどのくらい時間を要するか実現可能な計画を立て、工事を再開できる時期を通知する必要がある。
•そして発注者は、施工一時中止している工事について施工可能と認めたときに工事の再開を指示しなければならない。
•このことから、中止期間は、一時中止を指示したときから一時中止の事象が終了し、受注者が工事現場に入り作業を開始できると認められる状態になったときまでとなる。
6.工期短縮計画書の作成
•発注者は一時中止期間の解除にあたり工期短縮を行う必要があると判断した場合は、受注者と工期短縮について協議し合意を図る。
•受注者は、発注者からの協議に基づき、工期短縮を行う場合はその方策に関する工期短縮計画書を作成し、発注者と協議を行う。
•協議にあたっては、工期短縮に伴う増加費用等について、受発注者間で確認し、双方の認識の相違が生じないようにする。
記載内容
•工期短縮に必要となる施工計画、安全衛生計画等に関すること
•短縮に伴う施工体制と短縮期間に関すること
•工期短縮に伴い、新たに発生する費用につい
て、必要性や数量等の根拠を明確にした増加費用を記載
工期の変更
•受注者は、発注者からの承諾を受けた工期短
縮計画にのっとり施工を実施し、受発注者間で協議した工程の遵守に努める
•工期短縮に伴う増加費用については、工期短
縮計画書に基づき設計変更を行う
7.請負代金額又は工期の変更
•工事を中止した場合において、「必要があると認められる」ときは、請負代金額または工期が変更されなければならない。
※「必要があると認められる」ときとは、客観的に認める場合を意味する。
中止がごく短期間である場合、中止が部分的で全体工事の施工に影響がない等例外的な場合を除き、請負代金額および工期の変更を行う。
請負代金額の変更
発注者は、工事の施工を中止させた場合に請負
代金額の変更では補填し得ない受注者の増加費用、損害を負担しなければならない。
増加費用
•工事用地等を確保しなかった場合
•暴風雨の場合など契約の基礎条件の事情変更により生じたもの
損害の負担
•発注者に過失がある場合に生じたもの
•事情変更により生じたもの
※増加費用と損害は区別しないものとする
工期の変更
•工期の変更期間は、原則、工事を中止した期
間が妥当である。
•地震、災害等の場合は、取片付け期間や復興
期間に長期を要す場合もある。
•このことから、取片付け期間や復興に要した
期間を含めて工期延期することも可能である。
8.増加費用の考え方
(1)本工事施工中に中止した場合 ※本工事とは、工事目的物又は仮設に係る工事
増加費用の範囲
•増加費用等の適用は、発注者が工事の一時中止(部分中止により工期延期となった場合を含む)を指示し、それに伴う増加費用等について受注者から請求があった場合に適用する。
•増加費用として積算する範囲は、工事現場の維持に要する費用、工事体制の縮小に要する費用、工事の再開準備に要する費用とする。
工事現場の維持に要する費用
•中止期間中において工事現場を維持しまたは工事の続行に備えて機械器具、労務者または技術職員を保持するために必要とされる費用等
•中止に係る工事現場の維持等のために必要な受注者の本支店における費用
工事の再開準備に要する費用
•工事の再開予告後、工事を再開できる体制にするため、工事現場に再投入される機械機器具、労務者、技術職員の転入に要する費用等
工事体制の縮小に要する費用
•中止時点における工事体制から中止した工事現場の維持体制にまで体制を縮小するため、不要となった機械機器具、労務者、技術職員の配置転換に要する費用等
(2)工期短縮を行った場合(当初設計から施工条件の変更がない場合)
増加費用の考え方
①工期短縮の要因が発注者に起因するもの ••••••••••【増加費用を見込む】
ex. •工種を追加したが工期延期せず当初工期のままとした場合
②工期短縮の要因が受注者に起因するもの ••••••••••【増加費用は見込まない】
ex. •工程の段取りにミスがあり、当初工程を短縮せざるを得ない場合
③工期短縮の要因が自然条件(災害等含む)に起因するもの•••【増加費用を見込む】
ex. •想定以上の悪天候により、当初予定の作業日数の確保が見込めず工期延期が必要であるが、何らかの事情により、工期延期ができない場合
•自然災害で被災※を受け、一時作業ができなくなったが、工期延期をせず、当初工期のまま施工する場合
※災害による損害については、工事請負契約書第29条(不可抗力による損害)に基づき対応
増加費用を見込む場合の主な項目の事例
•当初昼間施工であったが、工種追加により夜間施工を追加した場合は、夜間施工の手間に要する費用。
•パーティー数を増加せざるを得ず、建設機械等の台数を増加させた場合に要する費用。
•その他、必要と思われる費用。
※増加費用の内訳については、発注者と受注者で協議を行うものとする。
中止に伴う増加費用の算定
•増加費用の算定は、受注者が必要とされた工事現場の維持等の費用の明細書に基づき、費用の必要性•数量など受発注者間で協議して行う。
•増加費用の各構成費目は、原則として、中止期間中に要した費目の内容について積算する。再開以降の工事にかかる増加費用は、従来どおり設計変更で処理する。
直接工事費
純工事費
工事原価
共通仮設費
工事価格
間接工事費
現場管理費
※
請負工事費 一般管理費等
消費税相当額
中止期間中の現場維持
等の費用
+
工期短縮により増加する費用
•一時中止に伴い発注者が新たに受け取り対象とした材料、直接労務費及び直接経費に係る費用は、該当する工種に追加計上し、設計変更により処理する。
増加費用等の構成
中止期間中の現場維持等に要する費用は、工事原価内の間接工事費の中で計上し、一般管理費等の対象とする。
※一時中止に伴う本支店における増加費用を含む
標準積算により算定する場合、中止期間中の現場維持等に関する費用として積算する内容は、積上げ項目及び率項目とする。
積上げ項目
直接工事費、仮設費及び事業損失防止施設
費における材料費、労務費、水道光熱電力 等料金、機械経費で現場維持等に要する費用
•直接工事費に計上された材料(期間要素を考慮した材料)および仮設費に計上された仮設材等の中止期間中に係る損料額および補修費用
•直接工事費(仮設費を含む)および事業
損失防止費における項目で現場維持等に要する費用
率で計上する項目
運搬費の増加費用
•現場搬入済みの建設機械の現場外への搬出または再搬入に要する費用
•大型機械類等の現場xx運搬安全費の増加費用
•工事現場の維持に関する費用
※保安施設、保安要員の費用及び火薬庫、火工品庫の保安管理に要する費用
役務費の増加費用
•仮設費に係る土地の借り上げ等に要する費用、電力および用水等の基本料金
営繕費の増加費用
•現場事務所、労務者宿舎、監督員詰所および火薬庫等の営繕損料に要する費用
現場管理費の増加費用
•現場維持のために現場へ常駐する社員等従業員給料手当および労務管理費等に要する費用
注)•標準積算は工事全体の一時中止(主たる工種の部分中止により工期が延期となった場合を含む) に適用し、道路維持工事または河川維持工事のうち経常的な工事である場合、および一時中止期間が
3ヶ月を超える場合は適用不可
•標準積算によりがたい場合は、別途、見積による積上積算とする。
増加費用の積算
•増加費用は、原則、工事目的物又は仮設に係る工事の施工着手後を対象注)に算定することとし、算定方法は下記のとおりとする。
ただし、中止期間3ヶ月※以内は標準積算により算定し、中止期間が3ヶ月を超える場合、道路維持工事または河川維持工事のうち経常的な工事である場合など、標準積算によりがたい場合は、受注者から増加費用に係る見積を求め、受発注者間で協議を行い増加費用を算定する。
※標準積算の適用範囲は、積算基準策定時に検証したケースが3ヶ月程度までであることから、「中止期間3ヶ月以内」としている。
※見積を求める場合、中止期間全体にかかる見積(例えば中止期間4ヶ月の場合、4ヶ月分の見積)を徴収する。
注)増加費用の算定(請負代金額の変更)は、施工着手後を原則とし、施工着手前の増加費用に関する受発注者間のトラブルを回 避するため、契約図書に適切な条件明示(用地確保の状況、関係機関との協議状況など、工事着手に関する条件)を行うとともに、施工計画打合せ時に、現場事務所の設置時期などを確認し、十分な調整を行うこと。
工事一時中止に伴う積算方法(標準積算による場合)
•中止期間中の現場維持等の費用(単位円 1,000円未満切り捨て) G = dg × J + α
dg:一時中止に係る現場経費率(単位 % 少数第4位四捨五入3位止め)
J :対象額(一時中止時点の契約上の純工事費)(単位 円 1,000円未満切り捨て) α :積上げ費用(単位 円 1,000円未満切り捨て)
一時中止に係る現場経費率(dg)
dg=A{(J/(a×Jb+N))Bー(J/(a×Jb))B}+(N×R×100)/J N:一時中止日数(日)ただし、部分中止の場合は、部分中止に伴う工期延期日数
R:公共工事設計労務単価(xxxx世話役)、A•B•a•b:各工種毎に決まる係数(別表ー1)
•土木工事標準積算基準書における入力項目
○J:一時中止時点の契約上の純工事費 ○N:一時中止日数 ○α:積上げ費用
別表-1
※地域補正: 地方部(一般交通等の影響なし)
地方部(一般交通等の影響有)、山間僻地離島
市街地(DID地区・準ずる地区) 44
(3)契約後準備工着手前に中止した場合
•契約後準備工着手前とは、契約締結後で、現場事務所•工事看板が未設置、材料等が未搬入の状態で測量等の準備工に着手するまでの期間をいう。
•発注者は、上記の期間中に、準備工又は本工事の施工に着手することが不可能と判断した場合は、工事の一時中止を受注者に通知する。
施工計画作成期間
準備工期間
本工事施工期間
後片付け期間
契約締結
当初契約工期
契約締結
変更契約工期
施工計画作成期間
中止期間
準備工期間
本工事施工期間
後片付け期間
計画書の作成
•工事請負契約書の工事用地の確保等第16条2項に「受注者は、確保された工事用地等を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない」とある。
•このことから、受注者は必要に応じて、「工事現場の維持•管理に関する基本的事項」を記載した計画書を発注者に提出し、承諾を得る。
増加費用
•一時中止に伴う増加費用は計上しない。
(4)準備工期間に中止した場合
•準備工期間とは、契約締結後で、現場事務所•工事看板を設置し、測量等の本工事施工前の準備期間をいう。
•発注者は、上記の期間中に、本体工事に着手することが不可能と判断した場合は、工事の一時中止を受注者に通知する。
当初契約工期
契約締結
施工計画作成期間
準備工期間
本工事施工期間
後片付け期間
契約締結
変更契約工期
施工計画作成期間 準備工期間
中止期間
準備工期間
本工事施工期間
後片付け期間
増加費用
•増加費用の適用は、受注者から請求があった場合に適用する。
•増加費用は、安全費(工事看板の損料)、営繕費(現場事務所の維持費、土地の借地料)および現場管理費(監理技術者もしくはxx技術者、現場代理人等の現場従業員手当) 等が想定される。
•増加費用の算定は、受注者が必要とされた工事現場の維持等の費用の「明細書」に基づき、費用の必要性•数量など受発注者が協議して決定する。(積算は受注者から見積を求め行う。)
9.増加費用の設計書及び事務処理上の扱い
増加費用の設計書における取扱い
•増加費用については、中止した工事の設計書の中に「中止期間中の現場維持等の費用」として原契約の請負工事費とは別に計上する。
増加費用の事務処理上の取扱い
•増加費用は、原契約と同一の予算費目をもって、設計変更の例にならい、契約変更するものとする。
•増加費用は、受注者の請求があった場合に負担する
•増加費用の積算は、工事再開後速やかに受発注者が協議して行う。
Ⅱ-2
工事一時中止に伴う増加費用の取扱いについて
1.増加費用に関する基本事項
2.工事一時中止の区分
3.全体中止と部分中止の積算内容の違い
4.請求の流れ及び適用範囲
5.工事一時中止に伴う積算方法(標準積算による場合)
6.工事一時中止に伴う増加費用等の積み上げ例(3ヶ月超える場合)
7.工事請負代金変更請求の作成例(1)
8.工事請負代金変更請求の作成例(2)
9.工事請負代金変更請求の作成例(3)
10.工事請負代金変更請求の作成例(4)
11.工事請負代金の構成(1)
12.工事請負代金の構成(2)
1.増加費用に関する基本事項
増加費用に関する基本事項
対象工事 | 発注者が、契約約款20条の3項の負担額を負担する工事は下記条件を満たす工事とする。 ○予測し難い理由により中止した工事 ○施工途中にある工事の主要部分を長期にわたって(指示した期間)中止した工事 ○著しい増し分費用が生じた工事 |
増加費用として積算する範囲 | ○工事現場の維持に要する費用 ○工事体制の縮小に要する費用 ○工事の再開準備に要する費用 |
増加費用の算定 | ○増加費用の算定は、受注者が必要とされた工事現場の維持等の費用の明細書に基づき、費用の必要性•数量など発注者と受注者が協議して行う。 ○各構成費目は、原則として中止期間中に要した費用の内容について積算する。 ※再開以降の工事にかかる増加費用は従来どおり設計変更で処理する。 |
2.工事一時中止の区分
全部中止と一部一時中止の違い
「一時中止」と「一部一時中止」
工事請負契約書(第20条)では、工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨等、自然的又は人為的な事象であって、乙の責に帰すことができないものにより、乙が工事を施工できないと認められるときは、甲は、工事の中止内容を直ちに乙に通知することとされている。
工事の一時中止には、①工事の全部を中止する場合(一時中止)、②工事の一部を中止する場合(一部一時中止)があり、契約上の取扱いや、増し分費用の計上方法が異なる。
工事一時中止 ①工事全体の一時中止 標準積算
(契約書
②一部一時中止(主たる工種の一時中止)
・維持工事のうち経常的な工事である場合
・中止期間が3箇月を超える場合
標準積算外(見積りによる積上げ積算)
一部一時中止の場合の増し分費用について
中止がごく短期間である場合、中止が部分的で全体工事の施工に影響がない等例外的な場合を除き、
請負金額及び工期の変更を行う。(主たる工種は工事費構成比率が最大の工種のみを指すものではない)
一時中止 (工事全体の中止) | 一部一時中止 (主たる工種の中止) | |
中止の範囲 | 工事範囲全体 | 工事範囲において工事が施工できない部分 (中止の通知の際に図面に中止箇所を図示) |
技術者の専任 | 工事を全面的に一時中止している期間は専任を要しない。 | 工事施工期間は専任が必要。 |
契約解除できる時期 (契約約款第48条) | 中止期間が工期の10分の5を超えるとき。 (工期の10分の5が6ヶ月を超えるときは6ヶ月) | 中止部分を除いた他の部分の工事が完了した後 3月を経過しても、なおその中止が解除されないとき。 |
工期変更 | 原則として、中止期間分を 工期延期することが考えられる | 一部一時中止に伴う影響期間について工期延期する |
増し分費用の算定方法 | 中止期間が3ヶ月以内の場合は標準積算(率式)による G = dg × J + α dg:一時中止に係る現場経費率(単位:% 少数第4位四捨五入3位止め) J :対象額(一時中止時点の契約上の純工事費)(単位:円 1,000円未満切り捨て) α :積上げ費用(単位:円 1,000円未満切り捨て) 一時中止に係る現場経費率(dg) dg=A{(J/(a×J^b+N ))^B-(J/(a×J^b))^B}+{(N×R×100)/J} N :一時中止日数 R:公共工事設計労務単価(土木一般世話役) A・B・a・b:各工種毎に決まる係数 | |
Nは一時中止日数 | Nは一部一時中止に伴う工期延期日数 |
3.全体中止と部分中止の積算内容の違い
算定方法の違い
中止期間が3ヶ月以内の場合 →標準積算 中止期間が3ヶ月を超える場合 →全て積上げ積算
○率計上項目は、標準積算(率計上)とする。(社員等給与、現場事務所費用等)
※標準積算の率計上項目の対象日数は「中止期間のN」を用いる。
○率計上項目以外は積上げ積算する。(材料の保管費用、仮設諸機材の損料等)
(
※積上げ積算の対象期間は「中止期間」とする。
工一事
一時中止 | 変更 | |||
一時中止 | 変更 | |||
中止期間における現場維持のための社員等 |
xx
中体 工種A(主たる工種)
が
止中 工種B(その他工種)
止
○全ての増加費用を積上げ積算する。
(社員等給与、現場事務所費用等 + 材料の保管費用、仮設諸機材の損料等)
※積上げ積算の対象期間は「中止期間」とする。
)
中止期間:N(日)
①率計上項目は、標準積算(率計上)する。(社員等給与、現場事務所費用等)
※標準積算の率計上項目の対象日数は「工事延期期間N’」を用いる。
②率計上項目以外は積上げ積算する。(材料の保管費用、仮設諸機材の損料等)
(
※積上げ積算の対象期間は「中止期間」とする。
一時中止 | 変更 | |||
現場代理人・管理技術者 (中止期間における現場維持のための社員等) |
主一た部る
一工 工種A(主たる工種)
時種
中が 工種B(その他工種)
止中
)
止
中止期間
標準積算:② 標準積算以外:③
③全ての増加費用を積上げ積算する。
(社員等給与、現場事務所費用等 + 材料の保管費用、仮設諸機材の損料等)
※積上げ積算の対象期間は「中止期間」とする。
N’(日):一部中止に伴う工期延期期間
※数量増による工期延期日数は除く
標準積算①の率計算に用いる日数
※工期延期により工期がxx期にかかってしまった場合:xx期間における現場維持
等に必要な費用(仮設費用、運搬費用、現場巡視等)は設計変更により計上する。 51
4.請求の流れ及び適用範囲
発注者は、中止の対象となる工事内容、工事区域、中止期間の見通し等の中止内容を通知する。また、工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本的事項を指示する。
★「中止の時期」の確認
★中止期間の見通しの確認 →特に常駐させる技術者等の取扱いに留意
工事中止の通知・指示(発注者→受注者)
工事一時中止の増し分費用について
工事再開の通知(発注者→受注者)
工事現場の維持・管理(受注者が実施)
★中止期間の確定(部分中止の場合は、部分中止に伴う工期延期日数)
★増し分費用の協議
工事請負代金・工期変更の請求(受注者→発注者)
★増加費用の適用は受注者からの請求があった場合に適用
★は留意事項
増加費用の範囲
(1)現場維持に要する費用
イ.工事現場の維持に要する費用ロ.工事体制の縮小に要する費用ハ.工事の再開・準備に要する費用
(2)本支店における増し分費用・・・・・・・・一般管理費として率計上される
中止期間中の現場維持等に要する費用
は、本工事施工中において3ヶ月以内の一時中止の場合の率計上項目
※H4.3.19 「工事の一時中止に伴う増加費用等の積算上の取扱いについて」より抜粋
中止の時期 | |||||
契約後準備工着手前契約締結後で、現場事務所・工事看板が未設置、材料等が未手配の状態で測量等の準備工に 着手するまでの期間 | 準備工期間 現場事務所・工事看板を設置し、測量等の本工事前の準備期間 | 本工事施工中 | |||
中止期間 | 積上げ積算 ※右表項目について費用の 明細書に基づき受発注者協議 【積算例】 ○安全費 ・工事看板損料 ○営繕費 ・現場事務所の維持費 ・土地の借地料 ○現場管理費 ・現場従業員手当等が想定される | 標準積算(増加費用G=dg×J +α)または積上げ積算 | |||
~3ヶ月以内 | 増加費用は計上しない。 ※全部中止の場合は技術者の専任の解除 | 率(dg)×対象額(J)で計上 dg:一時中止に係る現場経費率 J:中止時点の純工事費 注1)全部中止の場合に適用(主たる工種の部分中止により工期延期になった場合を含む) 注2)経常的な維持工事等は全て積上げ | |||
※中止期間が工期の 1/2(6ヶ月)を超えた場合等は契約の解除権が発生 | |||||
α:積上げ積算 ※右表項目(率分除く)について 費用の明細書に基づき受発注者協議 | |||||
積上げ積算 ※右表項目について費用の明細書に基づき受発注者協議 | |||||
3ヶ月を超える |
イ 材料費 | ① 材料の保管費用 |
② 他の工事現場へ転用する材料の運搬費 | |
③ 直接工事費に計上された材料の損料等 | |
ロ 労務費 | ① 工事現場の維持等に必要な労務費 中止後の労務費は、トンネル、潜函等を除き、原則として計上しない。 |
② 他職種に転用した場合の労務費差額 | |
ハ 水道光熱 電力等料金 | 現場に設置済の施設を維持等のために指示あるいは協議により中止期間中稼働させるために要する水道光熱電力等費用 |
ニ 機械経費 | ① 工事現場に存置する機械の存置費用、運転費用 |
ホ 運搬費 | ① 工事現場外への搬出又は工事現場への再搬入に要する費用 |
② 大型機械類等の現場内運搬 | |
ヘ 準備費 | 通常の準備作業を超える跡かたづけ、再開準備に要する費用で指示あるいは協議により必要と認めたものは、別途積上げにより計上する |
ト 仮設費 | ① 仮設諸機材の損料 |
② 新たに必要となった工事現場の維持等に要する費用 | |
チ 事業損失防止施設費 | |
仮設費に準じて積算した費用 | |
リ 安全費 | ① 既存の安全設備に係る費用 |
② 新たな工事現場の維持等に要する安全費 | |
ヌ 役務費 | ① プラント敷地、材料置場等の敷地の借上げ料 |
② 電力・水道等の基本料 | |
ル 技術管理費 原則として増し分費用は計上しない。 | |
ヲ 営繕費 | 現場に設置済の営繕施設のうち元設計に計上されたものと同等と認められる営繕施設の中止期間に係る維持費、補修費及び損料額 等 |
ワ 労務者輸送費 | 元設計が、営繕費、労務者輸送費を区分して積算している場合において、受発注者協議により認められた労務者を一括通勤させる場合の通勤費用 |
カ 社員等従業員給料手当 | |
中止期間中の工事現場の維持等のために、受発注者協議により定めた費用 | |
ヨ 労務管理費 | ① 他の工事現場へ転出入する労務者の転出入に要する費用 |
② 解雇・休業手当を払う場合の費用 | |
タ 地代 | 現場管理費の内、営繕費に係る敷地の借上げに要する費用等として現場管理費率の中に計上されている地代の中止期間中の費用 |
レ 福利厚生費等 | 現場管理費の内、現場従業員に係る退職金、法定福利費、福利厚生費、通信交通費として現場管理費率の中に計上されている費用の中止期間中の費用 |
※増加費用の算定は、受注者が実際に要した工事現場の維持費用の「明細書」に基づき、官積算をするものとする。
なお、費用の必要性•数量などは発注者•受注者が協議して決定するものとする。
5.工事一時中止に伴う積算方法(標準積算による場合)
◆中止期間中の現場維持等の費用(単位 円 1000円未満切り捨て) G=dg×J+α
dg:一時中止に係る現場経費率(単位 % 少数第4位四捨五入3位止め)
J:対象額(一時中止時点の契約上の純工事費)(単位 円 1000円未満切り捨て) α:積み上げ費用(単位 円 1000円未満切り捨て)
dg=A{(J/(a×J^b+N))^B-(J/(a×J^b))^B}+{(N×R×100)/J} N:一時中止日数(日)ただし、部分中止の場合は、部分中止に伴う工期延期日数 R:公共工事設計労務単価(土木一般世話役)
A・B・a・b:各工種毎に決まる係数(別表ー1)
A= | 河川・道路構造物 180.4 | (地方部(一般交通等の影響なし)) |
B= | -0.1562 | |
a= | 0.8251 | |
b= | 0.3075 | |
J= | 1,000,000,000 | 一時中止時点の契約上の純工事費 |
N= | 90 | 一時中止日数 |
R= | 23,000 | 公共工事設計労務単価(xxxx世話役)(例:東京) |
α= | 0 | 積み上げ費用 |
純工事費 | dg | G |
100,000,000 | 3.297 | 3,297,000 |
300,000,000 | 1.496 | 4,488,000 |
500,000,000 | 1.075 | 5,375,000 |
1,000,000,000 | 0.710 | 7,100,000 |
dg=A{(J/(a×J^b+N))^B-(J/(a×J^b))^B}+{(N×R×100)/J}
dg= 0.710240909
0.710 %
G=dg×J+α
G=
7,100,000
少数第4位四捨五入
3位止め
1000円未満切り捨て
中止90日、積み上げ分0円の場合の “G(中止期間中の現場維持等の費用)”
7,100,000
6.工事一時中止に伴う増加費用等の積み上げ例(3ヶ月超える場合)
工 事 名:○○○電線共同溝工事
当 初 工 期:平成○○年○○月○○日~平成○○年○○月○○日(○○○日間)当初契約金額:¥○○○,○○○,○○○-
一時中止内容:現地調査の結果、特殊部•xxの施工不能箇所の調整及び支障物件移設等に占用企業との調整に時間を要するため工事を一時中止する
一時中止期間:平成○○年○○月○○日~平成○○年○○月○○日(○○○日間)
受注者 発注者
中止の対象となる工事内容、工事区域、中止期間の見通しおよび工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本的事項を指示する
中止の必要有り
【発注者の中止指示義務】
【工事を中止すべき場合】
中止の指示•通知
工事請負代金•工期変更の請求
【工事中止の通知】
協議
工事再開協議
【増加費用の考え方】
請負代金•工期の変更
変更が必要
工事請負代金•工期変更の検討
【請負代金額または工期の変更】
中止期間
3ヶ月以内
中止期間が3ヶ月を超える場合
変更は不要
標準積算 実費精算
7.工事請負代金変更請求の作成例(1)
平成○○年○○月○○日
和歌山県知事 様
○○ ○○
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○ 印
(○○○日間)
平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日まで
平成○○年○○月○○日付けで契約を締結しました標記工事について、平成○○年○月○日から工事の一時中止を受け、平成○○年○○月○○日に工事の一時中止の解除通知を受けましたので、一時中止に伴い現場維持等に要した費用を請求します。
平成○○年○○月○○日
和歌山県知事 様
○○ ○○
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○ 印
別紙資料①~②
増加費用の請求書例
資料1 資料2 | |||
(平成○○年○○月~平成○○年○○月) | |||
(平成○○年○○月~平成○○年○○月) | |||
8.工事請負代金変更請求の作成例(2)
工事一時中止に伴う増加費用等の見積もり
当初契約金額 ¥○○○,○○○,○○○
税抜契約金額 ¥○○○,○○○,○○○
増加金額 ¥ 3,629,624
税抜増加金額 ¥ 3,456,785
○○○○株式会社
工 事 名 | ○○○○○電線共同溝工事 | ||
工事場所 | 自)○○県○○市○○ | ||
至)○○県○○市○○ | |||
当初工期 | 自)平成○○年○○月○○日 | 一時中止期間 | 自)平成○○年○○月○○日 |
至)平成○○年○○月○○日 | 至)平成○○年○○月○○日 | ||
(750日間) | (129日間) |
増加費用の見積もり書例
○○支店
例えば)
(1)現場代理人等の給料について
①当該現場での作業内容
②給与等の内訳書
③給与明細等の資料
(2)福利厚生費、通信交通費、営繕費について
①経費別支払調書
②事務用品の証明書類の提出
③経費支払い集計調書
妥当性の確認ができた項目を積み上げる
(例では、全て確認出来た場合、1,000円未満を切り捨てた3,456,000円を増加費用として計上)
工事一時中止に伴う増加費用等の見積もり
※見積もりに対する妥当性の確認が出来る証明書類の提出が必要
工事名 | ○○○○○電線共同溝工事 | |||||
規格 | 単位 | 数量 | 単価 | 金額 | 摘要 | |
一時中止に伴う増し分費用 | 式 | 1 | 3,456,785 | |||
(1)現場管理費 | 式 | 1 | 3,456,785 | |||
・従業員給料手当 | 式 | 1 | 3,094,485 | |||
現場代理人 | 月 | 4.3 | 506,809 | 2,179,279 | ||
監理技術者 | 月 | 1.3 | 704,005 | 915,207 | ||
・福利厚生費 | 式 | 1 | 35,498 | |||
・事務用品費 | 式 | 1 | 50,935 | |||
・通信交通費 | 式 | 1 | 112,835 | |||
・現場事務所費 | 式 | 1 | 163,032 | |||
合計 | 3,456,785 | |||||
9.工事請負代金変更請求の作成例(3)
増加費用の見積もり根拠資料例
(1)現場代理人等給料について【資料1】
現場代理人 | 監理技術者 |
①当該現場での作業内容
現場着手の目処が立ったことから、
○月に変更基本計画書を提出し、監理技術者を専任に変更した
中止期間中報告書 ○月 総括x
x | 日 | 曜日 | 作業の内容 |
○年 ○月 | 1 | 金 | 工事の一次中止指示 |
2 | 土 | ||
3 | 日 | ||
4 | 月 | 現地調査(現地測量) | |
5 | 火 | 現地調査(現地測量) | |
6 | 水 | 現地調査(現地測量) | |
7 | 木 | 現地調査(現地測量) | |
8 | 金 | 現地調査(現地測量) | |
9 | 土 | ||
10 | 日 | ||
11 | 月 | 現地調査(現地測量) | |
12 | 火 | 現地調査(現地測量) | |
13 | 水 | 現地調査(支障物等の確認) | |
14 | 木 | 現地調査(支障物等の確認) | |
15 | 金 | 現地調査(支障物等の確認) | |
16 | 土 | ||
17 | 日 | ||
18 | 月 | 現地調査(支障物等の確認) | |
19 | 火 | 現地調査(支障物等の確認) | |
20 | 水 | 現地調査(支障物等の確認) | |
21 | 木 | 現地調査(試掘の立会) | |
22 | 金 | 現地調査(試掘の立会) | |
23 | 土 | ||
24 | 日 | ||
25 | 月 | 特殊部位置の確認(現地照査) | |
26 | 火 | 特殊部位置の確認(現地照査) | |
27 | 水 | 道路調整会議(占用企業者) | |
28 | 木 | 現地調査(試掘の立会) | |
29 | 金 | 特殊部位置の確認(現地照査) | |
30 | 土 | ||
31 | 日 |
○○支店
○○○㈱
②給与等の内訳書
※工事中止に伴い、監理技術者の専任を解除。工事再開の約1ヶ月前から専任を再開。
(別途変更基本計画書を提出 )
月別給与支給明細書
【現場代理人 ○○ ○○】
給与 | 超勤手当 | 賞与配賦金 | 給与手当小計 | |
○月 | 369,900 | 110,147 | 102,825 | 582,872 |
○月 | 369,900 | 0 | 102,825 | 472,725 |
○月 | 369,900 | 23,725 | 102,825 | 496,450 |
○月 | 369,900 | 5,932 | 102,825 | 478,657 |
○月(9日分) | 109,103 | 753 | 38,717 | 148,573 |
合 計 | 1,588,703 | 140,557 | 450,017 | 2,179,277 |
対象期間平均 | 369,466 | 32,688 | 104,655 | 506,809 |
【監理技術者 ○○ ○○】
給与 | 超勤手当 | 賞与配賦金 | 給与手当 小計 | |
○月 | ||||
○月 | ||||
○月 | ||||
○月 | 523,600 | 0 | 180,937 | 704,537 |
○月(9日分) | 158,139 | 0 | 52,530 | 210,669 |
合 計 | 681,739 | 0 | 233,467 | 915,206 |
対象期間平均 | 524,415 | 0 | 179,590 | 704,005 |
③給与明細等の資料(各月の給与明細書、前年の源泉徴収票等)
10.工事請負代金変更請求の作成例(4)
増加費用の見積もり根拠資料例
(2)福利厚生費、通信交通費、営繕費について【資料2】
②事務用品費の証明書類の提出(請求書の例)
○○○株式会社
平成○○年○月○日
○○県○○市○○
○○○電線共同溝工事
○○○株式会社 印
012-345-6789
※○○株式会社使用欄
※○○株式会社使用欄(記入しないでください)
① 経費別支払調書(平成○○年 ○月分)
税抜き金額
項目 | 細別 | 支払先 | 金額 | 備考 | |
事務用品費 | |||||
コピー代 | ○○○○㈱ | 37,000 | |||
通信交通費 | |||||
連絡車 | ㈱○○○○ | 26,300 | |||
現場事務所 | |||||
レンタルハウス | ○○○○㈱ | 38,000 | |||
合 計 | 101,300 |
③ 経費支払い 集計調書
福利厚生費 | 事務用品費 | 通信交信費 | 現場事務所 | |
○月 | 7,850 | 26,300 | 38,000 | |
○月 | 26,300 | 38,000 | ||
○月 | 27,648 | 26,300 | 38,000 | |
○月 | 37,000 | 26,300 | 38,000 | |
○月(9日分) | 13,935 | 7,635 | 11,032 | |
合計 | 35,498 | 50,935 | 112,835 | 163,032 |
11.工事請負代金の構成(1)
増加費用等の構成
•中止期間中の現場維持等に要する費用は工事原価に含めて計上し、一般管理費等の対象とする。
19,590,000
+3,456,000
29,398,802
22,054,125
直接工事費
2,464,125
純工事費
+3,840,000
33,020,000
工事原価
+3,456,000
9,808,802
共通仮設費
+4,147,200
35,661,600
工事価格
+384,000
3,621,198
間接工事費
7,344,677
現場管理費
請負工事費
+307,200
2,641,600
一般管理費等
+3,456,000
消費税相当額
中止期間中の現場維持等の費用
•増加費用等についての変更契約は、工事再開後に行う。
【増額費用の計算例】
中止期間が3ヶ月を超える場合 赤字は増額金額
12.工事請負代金の構成(2)
( 1 回変更) (包括合意)
※1
※1.『中止期間中の現場維持費』には、請負比率及び合意比率を考慮しない。
設 計 内 訳 書
工事名 | ○○○○○電線共同溝工事 | 事業区分 | 共同溝・電線共同溝 | |||||
工事区分 | 共同溝 | |||||||
工事区分・工種・種別・細別 | 規格 | 単位 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量増減 | 金額増減 | 摘要 |
共同溝 | 式 | 1 1 | 19,590,000 19,590,000 | 0 | 0 | |||
開削土工 | 式 | 1 1 | 19,590,000 19,590,000 | 0 | 0 | |||
掘削工 | 式 | 1 1 | 19,590,000 19,590,000 | 0 | 0 | |||
開削掘削 | m3 | 10,000 10,000 | 1,959 1,959 | 19,590,000 19,590,000 | 0 | 0 | ||
直接工事費 | 式 | 1 1 | 19,590,000 19,590,000 | 0 | 0 | |||
共通仮設費 | 式 | 1 1 | 2,464,125 2,464,125 | 0 | 0 | |||
共通仮設費(率計上) | 式 | 1 1 | 2,464,125 2,464,125 | 0 | 0 | |||
純工事費 | 式 | 1 1 | 22,054,125 22,054,125 | 0 | 0 | |||
現場管理費 | 式 | 1 1 | 7,344,677 7,344,677 | 0 | 0 | |||
中止期間中の現場維持費 | 式 | 0 1 | 0 3,456,000 | 1 | 3,456,000 | |||
工事原価 | 式 | 1 1 | 29,398,802 32,854,802 | 1 | 3,456,000 | |||
一般管理費等 | 式 | 1 1 | 3,621,198 4,005,198 | 1 | 384,000 | |||
工事価格 | 式 | 1 1 | 33,020,000 36,860,000 | 1 | 3,840,000 | |||
消費税相当額 | 式 | 1 1 | 2,641,600 2,948,800 | 1 | 307,200 | |||
工事費計 | 式 | 1 1 | 35,661,600 39,808,800 | 1 | 4,147,200 |
Ⅲ
設計変更事例集(主な事例)
事例の分類
1.工事目的物の形状•寸法や仕様の変更
2.工事目的物の追加
3.施工数量の増減
4.施工方法等(施工場所、施工時期、工法)の変更
5.工事の中止、工事着手時期の変更、工期の変更
※引用文献:「公共土木工事 設計変更事例集」山海堂
1-1 工事目的物の形状•寸法や仕様の変更
変更事例
•用地取得を前提として工事契約した一部分について用地交渉が不調となったため、その区間では設計通りの構造で施工が不可能なことから、用地取得範囲内ですりつけ構造として変更した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•工事用地に関する施工条件として用地取得時期を明示
•予定どおり処理出来ない場合は、監督員と協議する。
と示されていた。
•一部分について用地交渉が不調。
変更設計
•用地取得範囲内ですりつけるよう暫定構造とする。
•変更した設計図書に 基づき変更設計とする。
【契約書19条(設計図書の変更)】
Point
契約書第19条(設計図書の変更)では発注者は必要があると認める時は自らの意志で設計図書を変更できるとされており、工事目的物の変更を受注者に通知し、工期または請負代金の変更を行う。
1-2 工事目的物の形状•寸法や仕様の変更
変更事例
•当初想定していた支持地盤が試験杭の施工やボーリング調査結果から強度不足が判明したので、基礎工の構造を変更した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•設計図書には土質柱状図及び支持地盤となる岩盤線が示されていた。
•試験杭の施工や ボーリング調査結果
から強度不足が判明。
変更設計
•試験杭の施工結果より工事一時中止を指示
•ボーリング調査を追加
•土質変更に伴う基礎杭長、基礎杭径等の変更について設計図書に明示
•一時中止の増加費用、ボーリング調査費用および変更設計図書に基づく基礎構造の費用計上
Point
岩盤線推定のためのボーリングはジャストポイントで行われているとは限らないので試験杭で確認することは有効。
1-3 工事目的物の形状•寸法や仕様の変更
•土質条件が現場と設計で一致せず、薬液注入率を変更した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•当該箇所の土質条件は、設計図書に「土質柱状図」及び「薬液注入工法」が示されていた。
•土質条件が現場と設計で一致しなかった。
変更設計
•土質条件の変更を設計図書に明示
•変更後の薬液注入率
で費用を計上
Point
設計図書の変更内容は施工条件である「土質柱状図の変更」であり、これに伴う薬液注入率の変更は設計図書の変更ではなく、単に積算の変更となる。(※)この場合、薬液注入率の変更を必要に応じ、設計変更審査会等を通じて明確に伝える必要がある。
※通常、注入量、注入率等については、仕様書等で「明示」している。
2-1 工事目的物の追加
変更事例
•埋設管が工事の支障となるため、既設管を一部撤去し、埋設管の切りし工事を追加した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•既設管は、設計図書には示されておらず、その対処方法については監督員が別途指示する。
と示されていた。
•埋設管が工事の支障となる。
変更設計
•既設埋設管を一部撤去し、新規に切り しする埋設管の位置、規格、数量等を設計図書に明示。
•既設埋設管の一部撤
去費用と新規切り し埋設管の敷設費用を計上。
Point
工事に影響する可能性が大きいため特記仕様書又は図面には「存在」を記しておき、設計変更の対象とする可能性を示唆しておき、施工過程での調査内容については速やかに監督員に通知し、その確認を請求すること。【契約書第18条(条件変更等)】
3-1 施工数量の増減
変更事例
•一部用地において所有者との交渉が難航して、契約工期内に工事が完成出来ない見通しとなり、当該施工箇所の一部工事を取りやめた。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•工事用地に関するx x条件として用地取得 時期が明示されていた。
また、予定どおり処理出来ない場合は、監督員と協議する。
と示されていた。
•一部用地において所有者との交渉が難航。
変更設計
•工事の一時中止を指 示し、工期延長を行う。
•用地未取得箇所の工
事数量を減じ積算すると共に工事一時中止に伴う増加費用を計上。
Point
やむを得ず工事を一部一時中止しなければならない場合は、数量増減に伴う設計図書の変更を行う。【契約書第19条(設計図書の変更)】
3-2 施工数量の増減
変更事例
•工事施工箇所に家屋移転補償済みの家屋があるが、当初想定していた時期より移転が遅れたため、当該施工箇所の一部工事を取りやめた。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•用地未取得地の範囲、確保見込み時期が設計 図書に示されていな
かった。
•当初想定した移転時期より遅れた。
変更設計
•工事の一部中止を指
示すると共に設計図書の変更を行う。
•変更した設計図書に
基づき変更設計とする。
【契約書第19条(設計図書の変更)】
Point
用地の確保時期は施工計画に影響を与えるため、移転未了の見込み時期等も明示しておく必要がある。
4-1 施工方法等の変更
変更事例
•排水基準を満足する水質で排水したところ、渇水のために水質汚濁が危惧されたため、濁水処理設備を追加した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•当初設計図書には水質汚濁に関する特別な事項は示されていな かった。
•渇水のために水質汚濁が危惧された。
変更設計
•水質管理に伴う処理
剤及び濁水処理設備の機能、稼働時間について明示。
•変更積算は濁水処理
設備等について計上。
Point
本来ならば、濁水処理設備の必要性の有無も含めて受注者が自主的に施工する範囲であるが、渇水という状況下においてその必要性が検討されたもの。
4-2 施工方法等の変更
変更事例
•地元要望により、振動発生の懸念があるとして発注者に工法変更の申し入れがあり、工法変更をした。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•仮締め切りの施工に ついては、打ち込みを 高周波バイブロハンマ、引き抜きを電動式バイ ブロハンマ方式により 施工方法を指定してい る。また、現地の状況 によりがたい場合は、 監督員と協議する。
と示されていた。
•地元要望により、振動発生の懸念があるとして発注者に工法変更の申し入れがあった。
変更設計
•受注者と協議のうえ、鋼xxの打ち込み、引 き抜き工法を変更する。
•特記仕様書に工法変
更を明示した。
Point
契約時点では、最も合理的な工法として指定したものであるが、地元から要望を寄せられた時点で、発注者は苦情内容を調査し、「周辺住民に振動による悪影響を及ぼさない施工方法を採用すること」という施工の制約を変更特記仕様書に示し、設計変更の対象とする必要がある。
4-3 施工方法等の変更
変更事例
•工事用道路の振動抑制対策について地元要望があり、調査の結果、砕石による補修だけでは解決しないため敷鉄板の敷設を追加した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•工事用道路に関して
は「既設のものを使 用」することとしており、補修に関しては補修材の材質、数量の明示がされていた。
•工事用道路の振動抑制対策について地元要望があった。
変更設計
•工事用道路の整備に
ついて補修材料及び敷 鉄板の敷設数量を明示。
•敷鉄板の敷設費用及
び損料を計上。
Point
施工手段や仮設は本来任意であるが、重要な仮設物や特別に地元と約束がある場合などの仮設については指定仮設として設計図書に示す事になる。この場合、地元要望に基づき施工条件の変更となったため設計変更の対象とする。
4-4 施工方法等の変更
変更事例
•現道切りし作業を夜間とすることを警察協議により条件に付された。これにより、昼間とは別に夜間作業に伴う交通誘導警備員の配置が必要となった。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•「全作業はxxx 業」という施工時間帯が施工条件として示されている。また、車両出入り口の箇所数と交通誘導警備員の人数が示されていた。
•現道切り し作業を夜間とすることを警察協議により条件に付された。
変更設計
•以下の3点について設計図書に条件明示する。
①夜間作業の区分
②交通誘導警備員の夜間作業時間帯および員数
③夜間作業の変更に伴う工期の延長
•夜間作業に伴う積算の変更と交通誘導警備員の費用を計上。
Point
当初の特記仕様書では作業が昼間を前提としており、交通誘導警備員の配置も昼間のみであった。しかし、警察協議により夜間作業に条件変更となったため設計変更の対象とする。
4-5 施工方法等の変更
変更事例
•当初見込んだ道路使用が許可されず、クレーン及び仮設プラントの設置用に仮桟橋を設けることとした。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•当初の特記仕様書では仮設備の設置方法についての指定が示されており、設置箇所は車道の1車線規制が可能である旨の施工条件が示されていた。
•当初見込んだ道路使 用が許可されなかった。
変更設計
•施工ヤードとして仮桟橋工を設計図書に明示し、変更設計図書に従い仮桟橋工を計上。
Point
道路使用が許可されず施工ヤードを変更せざるを得なかった。条件明示に先だって、道路使用が可能であるか事前の調査•検討が必要であった。
4-6 施工方法等の変更
変更事例
•当初設計では、掘削にあたり水替えポンプを想定していたが、予想以上に湧水が多く、ウェルポイント工法を追加した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•当初設計図書には水替ポンプの規模と数量が示されていた。 Φ○○×台数を想定しているが、これによりがたい場合は、監督員と協議。
と示されてた。
•予想以上に湧水が多く、ウェルポイント工法を追加した。
変更設計
•ウェルポイントの追 加に伴って水替工のポ ンプ台数を減じて積算。
•ウェルポイント工法の費用を計上。
Point
一般に工事の施工条件は、たとえ常識的な範囲であっても、具体的な数値等を設計図書に明示しておくことが望ましい。
5-1 工事の中止、工事着手時期の変更、工期の変更
変更事例
•用地取得交渉に不測の日数を要したため一時中止し、工期延期を行った。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•工事用地に関するx x条件として用地取得 時期が明示されていた。また、予定どおり処理 出来ない場合は、監督 員と協議。
と示されていた。
•用地取得交渉に不測の日数を要した。
変更設計
•工事の一時中止を指 示し、工期延長を行う。変更費用については工 事一時中止に伴う増加 費用を計上。
【契約書第20条(工事中止)】
Point
発注者は、施工条件として用地未処理部分がある場合は、処理の見込み時期を明らかにすると共に事実上施工が不可能な時は、時機を逸せず工事の一時中止を速やかに指示する必要がある。
5-2 工事の中止、工事着手時期の変更、工期の変更
変更事例
•地元漁業関係者より漁業への影響があるとして工事計画(工事に伴う排水計 画)の再検討について要望が出されたため地元合意が成立するまで工事一時中止を行った。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•当初、特記仕様書には排水計画を作成し監督員と協議する。
と示されていた。
•地元漁業関係者より漁業への影響があるとして工事計画の再検討について要望が出された。
変更設計
•速やかに工事の「工事 一時中止」の指示を行い、ガイドラインに基づき
「基本計画書」の作成を行う。
•工事一時中止に伴う増加費用を計上。
【契約書第20条(工事の中止)】
Point
地元からの計画見直しの要望により、発注者が工事の中止を認めたものであり、工事の全部又は一部の施工を中止させることが出来る。このとき一時中止に伴う増加費用について受注者と協議して費用を見込まなければならない。
5-3 工事の中止、工事着手時期の変更、工期の変更
変更事例
•予期せぬ河川の増水により護岸基礎の施工ができず、その後の法覆工施工を含めると当初工期内で完了出来ないため、工期延長を行った。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•当初設計では現況河川の平水位が示されていた。
•予期せぬ河川の増水により護岸基礎の施工ができず、その後の法覆工施工を含めると当初工期内で完了出来なくなった。
変更設計
•受注者から河川の増 水により基礎工の施工 が不可能である旨を明 示。(工事期間中の水 位観測、天気調査結果、写真、工程表)
•工期の延長
【契約書第21条(受注者の請求による工期の延長)
第23条(工期の変更方法)】
Point
河川の増水が予期できないものか否かの判断がポイント。例年とは異なる水位の状況であり、施工出来ない水位であることを示さなければならない。
5-4 工期短縮に伴う変更
変更事例
•当初設計時点の現場条件に違いがあり○○工を追加したが、供用日が決まっており、追加工種分の工期延期ができず、当初工期のままで施工を指示した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•○○工種はなかった
•○○工種を追加したが、供用日が決まっていたた め、当初工期のまま施工 することになった。
変更設計
•受発注者間で○○工種追加に伴う工程上の影響を確認し、合意した内容に基づき、必要な費用を追加する。(受注者都合による超勤などは対象 外)
ex.
•施工時間の延長
•建設機械の増
Point
工種追加により、作業が増えているが工期を延期しない場合は、その影響が作業段取り等に出てくる可能性があり、その影響について必要性を確認の上、費用を見込まなければならない。
5-5 工期短縮に伴う変更
変更事例
•工事一時中止により2ヵ月の工期延期になるところ、供用日が決まっているため、工期延期を1ヵ月とし、1ヶ月間の工期短縮するための施工を指示した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•設計工程:○ヵ月
•工事一時中止が発生し、工期延期になるところ、 供用日が決まっているた め、1ヵ月工期短縮する 施工方法を計画し、実施 することになった
変更設計
•受発注者間で1ヵ月工期 短縮する方策について確認 し、合意した内容に基づき、必要な費用を追加する。
ex.
•プレキャスト導入に伴う増
•建設機械の増
•夜間施工に伴う増
Point
工事数量に変動はないが、工程短縮するために作業時間や機械セット数を増やす必要がある場合、その必要性を確認の上、費用を見込まなければならない。
5-6 工期短縮に伴う変更
変更事例
•工事一時中止により○ヵ月の工期延期になるところ、供用日が決まっているため、〇ヵ月工期を短縮するための施工を指示した。
設計での仕様•施工条件
当初設計
•設計工程:○ヵ月
•工事一時中止が発生し、工期延期になるところ、 供用日が決まっているた め、〇ヵ月工期短縮する 施工方法を計画し、実施 することになった
変更設計
•受発注者間で〇ヵ月工期
短縮する方策について確認 し、合意した内容に基づき、必要な費用を追加する。
ex.
•プレキャスト導入に伴う増
•建設機械の増
•夜間施工に伴う増
Point
工事数量に変動はないが、工程短縮するために作業時間や機械セット数を増やす必要がある場合、突貫作業で生じる作業ロスも含めて、その必要性を確認の上、費用を見込まなければならない。
Ⅳ
受発注者間の円滑なコミュニケーション
工事着手時
施工中
設計変更
【基本事項】
1 工事着手時:工事連絡調整会議
発注者、設計者、受注者(施工者)の三者が、事業目的、設計意図、条件等の情報の共有および施工上の課題または新たな技術提案に対する意見交換等を行う。
対象工事 (1)「予定価格(税抜き)」1億円以上の工事
(2)「予定価格(税抜き)」1千5百万円以上で下記に該当する工事で発注者が必要と認めるもの。
•一連の設計区間で、用地取得後初めて着手する工事
•作業工程に難易度の高い制約条件等が課せられている工事(重要構造物•法面工•地滑り防止工等)
2 施工中:ワンデーレスポンス
受注者(施工者)からの質問等に対して、迅速な答を実施し受注者(施工者)の待ち時間を解消。
•質問があった当日の答を原則とする。(遅くても翌日には答する。)
•答に時間を要する場合は、「答予定日」を当日に答する。
対象工事:すべての工事