Contract
大阪広域水道企業団随意契約ガイドライン
大阪広域水道企業団契約規程(平成31年大阪広域水道企業団管理規程第19号。以下「規程」という。)及び大阪広域水道企業団契約規程の運用(平成31年4月1日企契第1156号。以下「運用」という。)に規定する随意契約のガイドラインを次のとおり定める。
1 趣旨・目的
本ガイドラインは、建設工事、物品・委託役務関係業務及び測量・建設コンサルタント等業務に係る随意契約の事務を適正かつ円滑に進めるため、運用第11条関係に規定する随意契約に係る事項の解釈を示すとともに、事務手続上必要な事項を定めるものである。
地方公営企業法(昭和27年法律第292号。)及び地方公営企業法施行令(昭和27年政令第403号。以下「令」という。)並びに規程等に基づき、契約方式については一般競争入札を原則とすべきものであるが、例外的に随意契約を選択することとした場合は、契約事務の公平性及び透明性を保持し、経済性の確保を図る観点から、各発注所属が個々の契約ごとに技術の特殊性、経済的合理性、緊急性等を客観的、総合的に判断した理由及び経緯を整理しなければならない。
2 対象
本ガイドラインの対象は、次のとおりとする。
(1)建設工事 建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項に規定する建設工事をいう。
(2)物品・委託役務関係業務 物品の購入契約、車両等の修理契約、委託契約、請負契約(建設工事を除く。)及び賃貸借契約をいう。
(3)測量・建設コンサルタント等業務 測量、地質調査、建築設計・監理、設備設計・監理、建設コンサルタント及び補償コンサルタント業務をいう。
〔注釈〕
随意契約は、一般競争入札を原則とする契約方式の例外方式である。
しかしながら、一般競争入札によって契約を締結することが公共の目的に反したり、事業の能率的な運営を阻害すると認められるような場合や、一般競争入札によることが不利益な場合、客観的に困難であると認められるような場合までも、一般競争入札によらせることは適当でないので、指名競争入札や随意契約の方式を採用できるものとしている。
随意契約は、単に相手方の選定方法についての特例を定めたものにすぎないのであって、不利な条件(割高な価格)による契約の締結までを許容したものではない。有利な価格によって契約を締結すべきだということは、競争入札であろうと随意契約であろうとすべての契約方式を通じて適用される不変の大原則である。
*地方財政法(昭和23年法律第109号)第4条第 1 項、地方自治法第2条第14項
3 随意契約ができる場合(運用第11条関係第1項各号の解釈)
(1)(令第21条の13第1項第1号)
売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあっては、予定賃貸借料の年額又は総額)が規程第11条に掲げる額を超えないものをするとき。
一般競争入札を回避するため、予定価格(購入希望限度額)について、恣意的に少額随意契約の限度額以下で設定すること、又は契約を分割することは認められない。予定価格
(購入希望限度額)の設定にあっては、過去の実績、業者からの聞き取り、インターネットなどから十分に検討し、調査日、調査対象、調査内容等、設定過程を記録するなど、その根拠を明確にすること。
なお、随意契約の理由が、本号とその他の号に重複して該当する場合の適用規定は、本号を適用条文とする。
*規程第11条
契約の種類 | 予定価格(税込) | 適用 |
(1) 工事又は製造 の請負 | 250万円を超えな いもの | 建設工事のほか、建築物等の修繕を含む。 |
(2) 財産の買入れ | 160万円を超えな いもの | 動産、不動産の購入 |
(3) 物件の借入れ | 80 万円を超えな いもの | タクシーの使用並びに有料道路及び橋りょうの通 行回数券の購入を含む。 |
(4) 財産の売払い | 50 万円を超えな いもの | 動産、不動産の売払い |
(5) 物件の貸付け | 30 万円を超えな いもの | 動産、不動産の貸付け |
(6) 前各号に掲げ るもの以外のもの | 100万円を超えな いもの | 業務委託、役務の提供、物品の修繕及び電子複写 サービス等の契約 |
予定価格が規程第11条に掲げる額のものについて随意契約を行う場合にあっては、本号を適用する。
※規程第11条第2号に定める額以下の物件を随意契約で購入する場合は、原則として、ホームページ上に購入しようとする物件の品名、数量、見積書提出期限等の情報を公開し、価格の見積りを取る(以下「物品等調達見積合せ」という。)こととし、その手続については大阪広域水道企業団物品等調達見積合せ実施要領(平成23年4月1日企財第3017号)に基づいて行うものとする。(運用第13条関係(4))
(2)(令第21条の13第1項第2号)
不動産の買入れ又は借入れ、物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるために必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
この場合における「性質又は目的が競争入札に適しないもの」とは、おおむね次の場合が該当する。
ア 契約の目的物が特定の者でなければ納入することができないものであるとき。
イ 特殊の性質を有するため若しくは特別の目的があるため物品の買入れ先が特定されているとき又は特殊の技術を必要とするとき。
ウ 試験のため工作及び製造をさせ、又は物件の買入れをするとき。エ 企業団の行為を秘密にする必要があるとき。
オ 外国で契約を締結するとき。
カ 国、他の地方公共団体、その他公共的団体(独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人、国立大学法人法第2条第1項に規定する国立大学法人、地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人及び沖縄振興開発金融公庫を含める。以下同じ。)と直接契約を締結するとき。
キ 学術又は技芸の保護奨励のため、試験若しくは研究等を行う者に対し必要な物件を売り払い、又は貸し付けるとき。
ク 土地、建物、林野若しくはその産物等を特別の理由のある者に売り払い、又は貸し付けるとき。
ケ 運送又は保管をさせるとき。
コ 公債、債権又は株券の買入れ又は売払いをするとき。
以上の運用の解釈として、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。」とは、特殊な、あるいは独自の技術、機器、設備又は技法等を必要とする業務で、特定の者と契約しなければ契約の目的を達することができない場合や、競争入札に付することが不可能又は著しく困難な場合である。したがって、上記アからコに該当する場合でも、その唯一性について十分に検討すること。
コンペ、プロポーザル方式等の競争ないし比較競技により契約の相手方を予め特定した場合は、本号による随意契約が許されると解する。
一般的事例
【共通】
(ア)特殊工法等の新開発工法や、新開発製品を用いる必要がある工事・業務
(イ)実験、研究等の目的に供する極めて特殊な設備等であるため、履行可能な者が特定される工事・業務
(ウ)法令等の規定により履行できる者が特定される工事・業務
【建設工事】
(ア)当該業者が唯一保有する独自技術、又は当該業者のみが有し、その他の業者では知り得ない技術(設計・製作基準や設計・製作図等(一般的には社外秘))に基づかなければ、その契約内容を履行することが困難であるような設備、機器等の増設、改良(改修)、補修(修繕)等の工事
(イ)既設部分と密接不可分の関係(既設部分と当該工事で施工する部分が一体となって機能を発揮する関係)にあり、既設部分の同一施工者以外の者に施工させた場合、既設部分等の使用においてトラブルが生じた場合の責任の所在が不明確になるなど、著しい支障が生じるおそれがある設備、機器等の増設、改良(改修)、補修(修繕)等の工事
(ウ)文化財等の調査、発掘、補修等で、特殊な技術、手法を用いる必要がある工事
(エ)コンペ、プロポーザル・デザインビルド方式等の競争又は比較競技により契約の相手方を予め特定している工事(*)
【物品・委託役務関係業務】【測量・建設コンサルタント等業務】
(ア)測量、設計、設備・機器等の補修(修繕)・修理・保守管理、又は各種調査・分析等において、特殊の技術、手法又は機械器具を用いる必要があるため、当該業務の履行が可能な業者が特定される業務
なお、「特殊の技術、手法又は機械器具を用いる必要がある業務」とは、当該業者が特許権を有するなど、唯一保有する独自技術、又は当該業者のみが有し、その他の業者では知り得ない技術(設計(設計・製作基準や設計・製作図等(一般的には社外秘))に基づかなければ、その契約内容を履行することが困難であるような業務である。
(イ)既に契約した業務と密接不可分の関係(既に契約した業務と一連となって機能を発揮する関係)にあり、同一業者以外の者に履行させた場合、責任の所在が不明確になるなど、著しい支障が生じるおそれがある業務
(ウ)コンペ、プロポーザル方式等の競争又は比較競技により契約の相手方を予め特定している業務(*)
(エ)行政の福祉化等の企業団の施策を推進するための専門知識、ノウハウ又は豊富な業務実績等が不可欠となる業務
(オ)リース期間満了後に、その期間を延長することについての業務上の必要があるため、相当と認められる期間に限って行う賃貸借契約の継続
(カ) 会議や講演会に使用するための会議室を借りる場合で、日時、場所、目的等の条件に合致するものが特定される場合(*)
* プロポーザル方式により事業者を選定する場合の手続については、別途定めることとする。
* プロポーザル方式により選定した事業者と翌年度以降、公募の手続きを取らずに本号の規定により自動的に随意契約することは認められない。
プロポーザル方式は、あくまで「最優秀」の提案事業者を選定するのにすぎず、選定事業者に「唯一者」であることまでも認めるものではないことに留意すること。
* 会議室を借りる場合は、日時、場所、目的等の条件だけでなく、経済性について、検討を行うこと。
〔注釈〕
令第 21 条の 13 第 1 項第 2 号の「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」という規定は、
会計法(昭和 22 年法律第 35 号)第 29 条の 3 第 4 項の「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」よりも広い場面を想定している。即ち競争原理の導入が可能な場合にもなお競争入札に適しないものがあることを前提としている。*大阪高裁平成 8 年 6 月 26 日判決
しかしながら、契約相手方を恣意的に指定するなど公正性を欠く場合や契約相手方に関する遂行能力の調査を全く怠った場合など、契約相手方の選定において容認できないような事情がある場合には、その契約の締結が違法とされた事例があることから、公正性の確保、相手方の履行能力の調査は不可欠である。
*福岡地裁平成 3 年 2 月 21 日判決
(3)(令第21条の13第1項第3号及び第4号)
規程第12条で規定する手続により物品を買い入れ若しくは借り入れる契約又は役務
の提供を受ける契約をするとき。
障害者支援施設等において製作された物品を買い入れる場合、障害者支援施設、シルバー人材センター等から役務の提供を受ける場合又は新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として認定を受けた者から新商品として生産する物品を買い入れ若しくは借り入れる契約又は役務の提供を受ける場合に適用されるが、この場合、規程第12条の規定に基づく手続が必要となる。
(4)(令第21条の13第1項第5号)
緊急の必要により競争入札に付することができないとき。この場合には、次の2つの要件を備えた場合が該当する。
ア 天災地変その他の客観的理由の急迫を要する場合であって、公告の期間等を短縮してもなお競争入札に付するいとまがないこと。
イ 競争入札に付すと、契約の目的を達成することができないこと。
以上の運用の解釈として、「客観的理由の急迫を要する場合」とは、天災地変その他予見不可能な急迫の事態があって、住民の生命、健康、財産に著しい危険が生じるおそれがある場合(客観的事由であること。)をいい、応急の工事・業務に限っている。
このうち、見積書を徴取するいとまがなく、直ちに発注しなければ著しい危険が生じかねない工事・業務を「特に急迫を要する緊急の工事」・「特に急迫を要する緊急の業務」と称し、概算金額による契約手続を執ることとしている。
なお、客観的理由の急迫を要する緊急随意契約の対象となる一般的な工事・業務の事例及び契約相手方の選定に係る要件は、次のとおりである。
一般的事例
【建設工事】
(ア)堤防崩壊、道路陥没、地すべり等の災害に伴う応急工事
①海岸及び河川において堤防が崩壊した場合の応急工事
②道路陥没等により交通に支障を来している場合の応急工事
③地すべり等の災害に伴う応急工事
(イ)電気・機械設備の応急工事
①水道施設等の設備機器等の故障において直ちに機能を復旧しなければ浄水処理に支障を来す場合に行う応急工事
②防災施設、排水施設等の設備機器等の故障において、防災機能を保持する上で、常に稼動できる状態を保たなければならない機器等の故障時に行う応急工事
(ウ)供用施設の損壊(被害を受けたものを含む。)又は不具合に係る応急工事
①水道施設等の管渠の破損等により、道路陥没や浸水被害が発生した場合、又は発生するおそれのある場合に行う管渠の応急工事
②施設等の破損又は不具合により、大気汚染や水質汚濁等、環境への被害をもたらすおそれのある場合に行う応急工事
③その他、建物施設等の破損又は不具合により、緊急に復旧しなければ利用者の利便性及び安全性を損なう場合に行う応急工事
(エ)災害の未然防止のための応急工事
①堤防崩壊、落石等の危険な箇所が判明し、直ちに施工しないと被害が拡大するおそれのある場合の応急工事
②交通事故等による二次災害を防止するための応急工事
【物品・委託役務関係業務】【測量・建設コンサルタント等業務】
(ア)災害及び設備機器等の故障に伴う業務
①水道施設等の設備機器等の故障において直ちに機能を復旧しなければ施設の運転に支障を来す場合に行う応急業務
②防災施設、排水施設等の設備機器等の故障において、防災機能を保持する上で、常に稼動できる状態を保たなければならない機器等の故障時に行う応急業務
③エレベーター等設備機器、遊具等設備の緊急点検等、予見不可能な業務が発生した場合で、即時の対応が求められる業務
(イ)供用施設等の損壊(被害を受けたものを含む。)又は不具合に係る応急工事に関連する業務
①施設等の破損又は不具合により、大気汚染や水質汚濁等、環境への被害をもたらすおそれのある場合に行う点検整備等の応急業務
②施設等の破損又は不具合により処理できなくなった汚泥、浚渫土等の廃棄物の緊急処分に係る応急業務(廃棄物処理、運搬等)
③その他、建物施設等の破損又は不具合により、緊急に復旧しなければ利用者の利便性、安全性を損なう場合に行う点検整備等の応急業務
(ウ)堤防崩壊、道路陥没、地すべり等の災害への対応やその未然防止のための応急工事に関連する業務
(エ)OAシステム・インターネットを通じた申請・申込システム等のサービスを提供している場合(年間を通じてSEを常駐させる契約を行っていない場合に限る)で、緊急に復旧をしなければ、住民の生活に多大な損害や利便性低下が生じる場合における応急業務
(オ)公の秩序維持のための警備に関連する業務、災害発生時の住民避難に関する業務
(カ)天災地変その他災害等により緊急に調達の必要があるとき。
(キ)感染症(高病原性鳥インフルエンザ・SARS(重症急性呼吸器症候群)・新型
コロナウイルス感染症等)発生時の蔓延防止のために薬品等の物品の購入、車両等の借り上げ、施設の設置・借り上げ、施設運営の業務委託等の契約を緊急に行う必要があるとき。
【契約相手方選定に係る要件】
緊急の随意契約を行う業者には、必要がある場合、以下の要件の具備を求める。
(ア)入札参加資格登録について、次の要件を満たすこと(ただし、市町村域水道事業の場合においては、必ずしも具備することを要しない。)。
大阪府建設工事競争入札参加資格者名簿、大阪府建設工事測量・建設コンサルタント等競争入札参加資格者名簿又は大阪府物品・委託役務関係競争入札参加資格者名簿に登載されている者
(イ)地域要件等について、以下のいずれかの要件を満たすこと。
①応急工事又は応急業務を行う施設と同一又は隣接箇所において、現に企業団の他の業務等を契約中である者
②応急工事又は応急業務を行う施設の所在地が含まれる地域に、営業所等を有する者
③応急工事又は応急業務を行う施設における応急工事又は業務を過去に実施した者
④応急工事又は応急業務を行う設備機器等の製造者又はそのサービス部門(代理店等を含む。)
⑤大阪広域水道企業団と防災協定を締結している者
⑥その他、早急に実施が可能な者
(ウ)大震災などで上記(ア)及び(イ)の要件を満たす者が選定できない場合はこの限りでない。
〔注釈〕
設備機器に関する事故発生時や災害時等、競争に付する時間的余裕がないときのほかは適用せず、濫用は許されない。したがって、事務処理が間に合わないという理由のみでは適用すべきではない。
特に急迫を要する工事又は業務が発生した場合に備え、公正性の確保を図りつつ契約金額の確定前に概算金額で発注する随意契約の手続を執ることとしている。
(5)(令第21条の13第1項第6号)
競争入札に付することが不利と認められるとき。
この場合には、おおむね次の場合が該当する。
ア 競争入札によって得られる価格上の利益が入札に要する経費と比較して得失相償わないと認められるとき。
イ 現に契約履行中の工事、製造又は物品の買入れに直接関連する契約を現に履行中の契約者以外の者に履行させることが不利であるとき。
ウ 買入れを必要とする物品が多量であり、購入先を分けて買い入れなければ価格を騰貴させるおそれがあるとき。
エ 早急に契約をしなければ契約をする機会を失い、又は著しく不利な価格をもって契約をしなければならないこととなるおそれがあるとき。
以上の運用の解釈として、契約の目的に照らした結果、施工・実施できる者が一定数限定される場合には、競争入札による手続の煩雑、経費の増加及び契約相手方の決定に要する日時を考慮すると随意契約を適用する方が有利に契約締結できる場合、又は競争入札に付することが不利になる場合がある。このような場合は令第21条の13第1項6号を適用することとしている。
競争入札に付するとどのように不利となるかについては、入札に付した場合の予定価格や、その際に最低制限価格等を設定する案件ではそれらの価格とも比較するなど価格の妥当性を含め十分に検討すること。
一般的事例
【建設工事】
(ア)現に契約履行中の施工業者に引き続き施工させた場合、工期の短縮、経費の節減が確保できる等有利と認められる次のような工事
・当初予期し得なかった事情の変化等により必要となった追加工事
・本体工事と密接に関連する付帯的な工事
(イ)他の発注(他の発注者を含む)に係る施工中の工事と交錯する箇所の工事で、当該施工中の者に施工させた場合には、工期の短縮、経費の節減に加え、工事の安全、円滑かつ適切な施工を確保する上で有利と認められる次のような工事
・鉄道工事等と立体交差する道路工事等の当該交錯箇所での工事
・他の発注に係る工事と一部重複、錯綜する工事
(ウ)施工中の受注者自体の事情により施工できなくなったことによる残工事で、早急に着手しなければ住民の生活に影響が出て、企業団も損害を被る可能性があると認められる工事
【物品・委託役務関係業務】【測量・建設コンサルタント等業務】
(ア)現に契約履行中の業者に引き続き実施させた場合、期間の短縮、経費の節減が確保できる等有利と認められる次のような業務
・当初予期し得なかった事情の変化等により必要となった業務
・本体業務と密接に関連する付帯的な業務
・入札において、落札者が決定しなかった場合において、契約の相手方が決定するまでの必要最小限の期間の業務
・施設管理業務等、継続を要する業務(予算議決後の入札手続によっては、業務遂行に支障が生じる場合において、年度当初に次の入札を実施するまでの間の現受注者との契約)
(イ)他の発注に係る実施中の業務の内容と重複、若しくは関連する業務で、実施中の者に実施させた場合には期間の短縮に加え、業務の円滑な実施を確保する上で有利と認められる業務
(ウ)業務履行中の受注者自体の事情により履行できなくなったことによる残業務で、早急に着手しなければ住民の生活に影響が出て、企業団も損害を被る可能性があると認められる業務(履行期間が長期間残存している場合は、速やかに新たに入札に付し、新たな受注者が決定するまでの期間とする。)
【共通】
競争入札に付したが入札不調となり、又は落札者が契約を締結せず、令第21条の13第1項第8号又は第9号の規定に基づく随意契約もできなかった場合で、事業・業務の開始時期が急迫しており、競争入札に付していては契約の目的を達成することができないとき。
*注釈
令第 21 条の 13 第 1 項第 6 号は、見積相手方が 1 者となる場合があり同項第 2 号と接近していると見受
けられるが、同項第 2 号は、その者しか履行できない場合であるのに対し、同項第 6 号は受注者が極めて限定されるが、「予定価格以下」という要件等を除けば受注者の唯一性が絶対であるとはいえない場合である。
(6)(令第21条の13第1項第7号)
時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。
企業団の調達する物品を多量に所有し、又は企業団の意図する工事につき使用する材料を当該工事の現場付近に多量に所有するため、他の者に比べて著しく低価で契約することができる場合が該当する。
以上の運用の解釈として、「時価に比して著しく有利な価格」とは、予定価格から勘案して、明らかに有利であるといえる価格をいう。
しかし、その判断基準は明確にできるものではないこと、また、競争入札に付した場合より安価になるかどうかも不確定であることから、令第21条の13第1項第7号を適用する場合は市場調査を行う等、慎重に決定しなければならない。特に企業団の建設工事においては、品質確保の観点からその適用については、極めて慎重な判断が必要となる。
一般的事例
【建設工事】
(ア)特定の施工者が、施工に必要な資機材等を当該工事現場付近に多量に所有するため、これを利用することとした場合には、競争に付した場合より著しく有利な価格で契約することができると認められる工事
(イ)特定の施工者が開発し、又は導入した資機材、作業設備、新工法等を利用することとした場合には、競争入札に付した場合より著しく有利な価格で契約できると認められる工事
(7)(令第21条の13第1項第8号)
競争入札に付しても入札者がないとき又は再度の入札に付し落札者がないとき。
この場合は、契約保証金及び履行期限を除くほか、当初競争入札に付するときに定めた予定価格、品質等契約の要素となっている事項を変更することができないものである。
以上の運用の解釈として、「競争入札に付し入札者がないとき」には、再度公告入札を原
則とし、急迫した事態の場合に限り同号の適用をしている。まず、一般競争入札においては資格要件の緩和又は設計・積算の見直しを検討した上で、同号の適用の可否を判断することになる。
一方、「再度の入札に付し落札者がないとき」とは、これ以上競争入札を継続しても入札が成立することが期待できないことから随意契約を可能とするものである。
本号による随意契約の相手方は、入札に参加した者に限らない。
〔注釈〕
令第 21 条の 13 第 1 項第 8 号に規定する「再度の入札」は、「再度入札」と「再度公告入札」に分けられる。
「再度入札」は、開札の結果、各人の入札のうち、予定価格の制限の範囲内の価格の入札がないとき(最低制限価格を設けた場合にあっては、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格入札がないとき。)、直ちにその場で(電子入札の場合においては、発注者により定められた期日に)行う入札をいう。
「再度公告入札」は、入札価格のうちに予定価格の制限に達しないものがない場合のほか、入札者のない場合又は落札者が契約を結ばない場合において、再び公告をした後に改めて入札を行うことをいう。
(8)(令第21条の13第1項第9号)
落札者が契約を締結しないとき。
「契約を締結しないとき」とは、契約の完全な成立(契約書の作成までをいう。)に必要な手続をしないことをいう。この場合は、落札金額の制限内でこれを行うものとし、かつ、履行期限を除くほか、当初競争入札に付するときに定めた条件を変更することができないものである。
以上の運用の解釈として、令第21条の13第1項第8号との相違は、同号が落札決定前であり予定価格の制限内となることに対して、同項第9号は落札決定後であり落札者と合意された価格があるため、契約相手と合意する金額は落札金額の制限内でなければならないということである。
「契約の完全な成立(契約書の作成までをいう。)」とは、契約書に甲乙の記名押印が完了し、契約を確定させることをいう。
なお、落札者が契約を締結しないときは、入札保証金相当額を違約金として徴収することとしている(地方自治法第234条第4項参照)。
一般的事例
【共通】
(ア)競争入札において落札したにもかかわらず、当該落札者が契約の締結に応じない場合
(イ)競争入札において落札したにもかかわらず、落札決定後に入札参加停止措置となる等、落札者の責により契約締結ができない状態に陥った場合
4 随意契約における予定価格の設定
予定価格とは、予算執行の際の上限額としての性格を持つものであり、予算をもって最も経済的な調達をするために適正かつ合理的な価格を積算し、これにより入札価格を評価する基準とする意味を持っているものである。
予定価格の積算方法については、市場価格や需給の状況、履行の難易度、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して、適正に定める必要がある。
随意契約においても、予定価格を設定しなければならないものであり、その設定にあたっては、過去の実績、業者からの聞き取り、インターネットで情報収集し、十分に検討し、調査日、調査対象、調査内容等、設定過程を記録するなど、その根拠を明確にすること。また、随意契約においては、値引き交渉は行われるものの、競争入札のような価格の競争性が働かないため市場価格の調査や事業に対する経費の妥当性の検証など、積算の妥当性や価格の合理性、適正性を確保できるよう十分に検討すること。
なお、同種の業務を入札で行っている場合で、入札による落札率と本号による随意契約の設計金額に対する契約金額の割合が大きく異なる場合には、積算方法の見直し等を行い、契約金額の適正性を確保すること。
5 見積りの依頼
(1) 見積書の徴収について
随意契約のために見積りを依頼しようとするときは、特別の事情がない限り、別に定める「大阪広域水道企業団随意契約見積心得」を見積参加者に遵守させなければならない。
(2) 電子メールによる見積書の徴取について
電子メールにより徴する見積書は、PDFなど改ざんできないデータとし、その電子メールについては行政文書として保管すること。
(3) 比較見積について
随意契約を行うにあたっては、原則として2人以上の者から見積書を徴さなければならないが、比較見積りを行うことが困難なもの、比較見積りによる効果が期待できないもの等については、運用第13条関係の(1)から(11)のとおり、比較見積りを省略することができる。
比較見積りの省略を行う場合は、必要性や妥当性について十分検討し、伺書に省略理由の明記、もしくは見積書省略理由書を附すること。
(契約規程運用第 13 条関係)
1 随意契約により契約を締結しようとするときは、原則として2人以上の者から見積書を徴さなければならない。ただし、次に掲げるものについては、契約の相手方の見積書を徴取し、予定価格と対査して当該価格が適当であるかどうかを検討し、価額が適正と認められるものについては比較見積りを省略することができる。
(1)特定の者でなければ履行できないもの
(2)同一の品質、規格、仕様等で業者により価額が異ならないもの
(3)作業前において、修理、修繕するべき箇所の特定ができないため、適正な比較見積りが期待し得ないようなもの
(4)式典等に使用する生花 (5)水質管理用生物
(6)災害発生時又は発生が予想される時における応急対策に要する物品
(7)施設の修繕等で緊急に行わないと施設管理上著しく支障をきたすこととなるもの
(8)契約相手方が原版を保有し、増刷するもの (9)再度の入札に付し落札者がないもの
(10)第4項に規定する物品等調達見積合せを再度行っても採用者がないもの
(11)1件の代金が 10 万円以下のものの購入、修理等
6 契約の相手方の制限
(1)発注所属の長は、大阪広域水道企業団入札参加停止要綱(平成23年企契第29号) に基づく入札参加停止の措置を受けている者を随意契約の相手方としてはならない。ただし、災害時の緊急・応急契約及び特殊技術を要する契約を発注する場合で特に やむを得ない事由がある場合は、この限りでない。
(2)発注所属の長は、大阪広域水道企業団暴力団排除条例に基づく公共工事等からの暴力団の排除に係る措置に関する規則(令和2年大阪広域水道企業団規則第5号)
(以下、「暴力団排除措置規則」という。)第3条第1項に規定する入札参加除外者
(以下「入札参加除外者」という。)、同規則第9条第1項に規定する誓約書違反者
(以下「誓約書違反者」という。)、同規則第3条第1項各号のいずれか又は同条第
2項に該当すると認められる者を随意契約の相手方としてはならない。
(3)発注所属の長は、随意契約の相手方が下請契約等を行う場合においても、(1)、(2)の本旨を踏まえ、入札参加停止措置中又は入札参加除外者、誓約書違反者若しくは
暴力団密接関係者を契約の相手方としてはならない。
7 「大阪広域水道企業団暴力団排除条例に基づく公共工事等からの暴力団の排除に係る措置に関する規則」に基づく誓約書の徴取
発注所属の長は、契約の相手方に対し、暴力団排除措置規則第8条に規定する誓約書を、公共工事等に係る契約を締結する前に提出するよう求めるものとし、誓約書を提出しない場合は、当該契約を締結しないものとする。ただし、規程第27条の規定により契約書の作成を省略する場合は、この限りでない。また、発注所属の長は、下請負人等に対し、契約の相手方を通じて、誓約書を、当該公共工事等における下請契約又は再委託契約を締結する前に提出するよう求めるものとする。契約の相手方及び下請負人は、誓約書を提出しない者と下請契約又は再委託契約を締結してはならない。
8 公表
随意契約を締結したときは、次の各号により公表するものとする。このため、発注所属の長は、随意契約を採用した理由及び契約相手を選定した理由を明確に整理及び記録しなければならない。
【建設工事】
(1)公表の対象
予定価格が250万円を超える建設工事
(2)公表の内容
① 案件の名称、場所、種別及び概要
② 契約締結日及び契約期間
③ 相手方の商号又は氏名及び住所
④ 契約金額
⑤ 随意契約の相手方を選定した理由
⑥ 発注所属連絡先
【物品・委託役務関係業務】
【測量・建設コンサルタント等業務】
(3)公表の対象
予定価格が100万円を超える委託役務契約(測量・建設コンサルタント等業務委託を含む。物品の賃借については80万円超えるもの)及び予定価格が160万円を超える物品の購入契約
(4)公表の内容
① 案件の名称
② 契約締結日及び契約期間
③ 相手方の商号又は氏名及び住所
④ 契約金額
⑤ 随意契約の相手方を選定した理由
⑥ 発注所属連絡先
【共通】
(5)公表期間
公表は、少なくとも公表した日の翌日から起算して1年が経過する日まで行う。
(6)公表の方法
公表は、大阪広域水道企業団のホームページによるものとする。ただし「随意契約の相手方を選定した理由」等、詳細の問い合わせについては発注所属で対応するものとする。
9 公募型プロポーザル案件等
公募型プロポーザル方式など、調達に当たり採用する手法によって、本ガイドラインで定める事項以外に必要となる事務手続については、この限りでない。
10 契約書の作成
契約締結にあたって、従前に使用していた契約書を参考とした場合、規程において記載が必要とされている事項や、暴力団に関する解除の条項などが欠落する可能性があるほか、近時の判例等を踏まえ表現を改定すべき事項が修正されないままとなるなど、不都合をきたす恐れがある。
そのため、契約を締結する場合は、最新の契約書の標準例を参考として活用するよう留意すること。
また、規程第 27 条第1号により契約書の作成を省略できる「一般競争入札、指名競
争入札又は随意契約により、契約金額が 150 万円を超えない契約を締結しようとするとき」において、関係法令で契約書の作成が規定されている契約では契約金額にかかわらず、契約書を作成しなければならない。
【契約書を省略できない契約の例】
・建設工事(建設業法第19条)
建設工事の定義については建設業許可事務ガイドライン(国土交通省)を参照のこと。
(http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000192.html)
・産業廃棄物の処理については「収集運搬」と「処分」のそれぞれについて、契約金額にかかわらず、契約書を作成しなければならない(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条の2第4号)
附 則
(施行期日)
本ガイドラインは、平成23年4月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、平成24年11月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、平成28年4月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、平成29年4月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、平成30年4月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、平成31年4月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、令和3年4月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、令和5年4月1日から施行する。附 則
本ガイドラインは、令和6年6月1日から施行する。