Contract
5xx経第360号令和5年8月8日
工事請負契約約款第25条第6項の規定
(インフレスライド条項)の適用に係る運用基準
工事請負契約約款第25条第6項の規定(以下「インフレスライド条項」という。)により、台東区が発注し、契約する工事において、受注者が契約金額の変更を請求する場合の取扱いは、以下のとおりとする。
請求に当たっては、適用の条件をよく確認の上、工事主管課と十分な協議を行うこと。 また、賃金水準の変動により契約金額が変更された場合は、下請業者との間で既に締結し
ている請負契約の金額の見直しや技能労働者への賃金水準引き上げ等について、適切な対応を行うこと。
なお、運用の詳細については、xxx財務局「工事請負契約書第24条第6項の規定(インフレスライド条項)の運用について」に準拠するものとする。
1 適用対象工事
次の全てに該当する工事を対象とする。
(1) 原則として、残工期が2月以上ある工事であること。
(2) 台東区の積算による基準日以降の変動後残工事金額と変動前残工事金額の差額が変動前残工事金額の100分の1を超えていること。
2 定 義
(1) 請求日
インフレスライド条項により、受注者が契約金額の変更の請求に係る書面を提出した日とする。
(2) 基準日
工事請負契約約款第25条第6項の規定によるスライド額算出の基準とする日をいい、出来高を算定する基準となる日、賃金水準及び物価水準の変動後単価の基準となる日と する。なお、基準日は、請求日と同日とすることを原則とするが、請求日から起算して
14日以内で発注者と受注者とが協議して定める日とすることができる。 (3) 残工期
基準日以降の工期までの工事期間とする。ただし、基準日までに契約変更を行っていない場合でも、先行指示等により工期延長が明らかな場合には、その工期延長期間を考慮することができる。
(4) 出来形数量
基準日における既済部分に係る設計数量 (5) スライド額
「5 スライド額の算出」により算出した契約変更の対象となる額 (6) スライド額協議開始日
台東区が算出したスライド額を受注者に提示し、当該スライド額について協議を開始する日
3 請求方法
受注者が、インフレスライド条項の規定により、契約金額の変更を請求する場合、書面
(様式1-1)に賃金水準又は物価水準の変動により契約金額が不適当になったことを示す資料(様式1-2ほか)を添付し、工事主管課に提出する。工事主管課は、スライド額協議開始予定日及び基準日を定め、請求日の翌日から起算して7日以内に、受注者に通知する(様式2)。
4 出来形数量の確認
(1) スライド額の基礎となる残工事量を算出するため、工事主管課は、請求日から14日以内に、基準日時点における出来形数量の確認を行う。受注者は、出来形数量の確認に当たり、必要な資料を提出する。
(2) 出来形数量の確認は、工事設計内訳書等に対応して行う。 (3) 出来形数量の基本的な扱い
ア 現場搬入材料について、監督員が搬入を確認したものは出来形数量として取り扱うものとする。
イ 工事設計内訳書等で一式計上した仮設工事について、出来形数量の対象とする場合、その数量は発注者の積算に係る数量とする。
ウ 各工事におけるア及びイの詳細については、工事主管課へ確認すること。
(4) 受注者の責めに帰すべき事由により工事が遅延していると認められる部分は、出来形数量に含めるものとする。
5 スライド額の算出
(1) スライド額は次式により算出する。 S=[P2-P1-(P1×1/100)]
この式において、S、P1及びP2は、それぞれ次の額を表す。 S :スライド額
P1:変動前残工事金額(契約金額から基準日における既済部分に相応する契約金額を控除した額)
P1=α×Z1
P2:変動後残工事金額(変動後の賃金又は物価等を基礎として算出した(P1)に
相当する額) P2=α×Z2
α :落札率(当初契約金額/予定価格)(有効数字は積算基準による。)
Z1:発注者の積算金額から基準日における既済部分に相応する積算金額を控除した額 Z2:変動後の賃金又は物価等を基礎として算出した(Z1)に相当する額
(2) P1及びZ1の算出に用いる単価は、起工時における台東区の積算単価とする。また、算出に用いる共通仮設費率、現場管理費率及び一般管理費等率は、起工時の率(基準日以前に契約変更を実施している場合は、変更契約における率)とする。
(3) P2及びZ2は、基準日の物価指数等(積算に使用する単価の変動率)により定めることとし、残工事に係る全ての単価を基準日時点のものに入れ替えて算出する。
ただし、発注者及び受注者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は、別途の物価指数を用いることができる。また、算出に用いる共通仮設費率、現場管理費率及び一般管理費等率は、起工時の率(基準日以前に契約変更を実施している場合は、契約変更時における率)とする。
なお、消費税及び地方消費税の税率の改正による増額分は除く。
(4) P2及びZ2を算出する際に用いる単価については、基準日時点の台東区の積算単価とする。
(5) (4)によることが著しく不適当であると認められる場合には、発注者及び受注者の協議によることとする。
(6) 発注者は、協議書(様式3-1)により受注者にスライド額(案)を提示する。受注者は、異議のない場合、スライド額協議開始日から14日以内に承諾書(様式3-2)を提出する。
なお、スライド額協議開始日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者がスライド額を決定し、通知する(様式3-3)。
(7) スライド請求を複数回行う場合については、(1)から(6)までと同様に実施する。この場合のスライド額算定において、基準日における契約金額には、それまでに実施
したスライド額を含むものとする。
6 契約変更の時期
原則として、スライド額の決定後に速やかに行うものとする。ただし、精算変更時点で行うこともできる。
なお、議会の議決が必要な案件については、当該議決をもって契約変更が確定するものとする。
7 全体スライド条項及び単品スライド条項の併用
(1) 契約書第25条第1項から第4項までに規定する全体スライド条項に基づく契約金額の変更を実施した後であっても、インフレスライド条項に基づくスライド請求をすることができる。
(2) インフレスライド条項に基づき契約金額の変更を実施した後であっても、契約書第
25条第5項に規定する単品スライド条項に基づく契約金額の変更を請求することができる。
8 手続の流れ
手続の流れについては、別紙「インフレスライド条項の手続の流れ」を参照すること。
(参考)工事請負契約約款第25条抜粋
(賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更)
6 予期することのできない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、契約金額が著しく不適当となったときは、発注者又は受注者は、前各項の規定にかかわらず、契約金額の変更を請求することができる。
7 前2項の場合において、契約金額の変更額については、発注者と受注者とで協議して定める。ただし、協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。