Contract
-野菜の契約取引に伴って生じるリスクを軽減するための制度です-
契約野菜安定供給制度は、平成14年6月の野菜生産出荷安定法の一部改正により創設されました。これまで、野菜価格安定制度は、卸売市場に出荷されたもののみを対象としてきましたが、この制度により、加工業者、外食産業、量販店等の実需者と野菜生産者(出荷者)の契約取引についても対象となり、契約に伴い野菜生産者が負うリスクの軽減ができるようになりました。
■ 対象となる契約取引
出荷者と実需者が書面により契約した取引が対象となります。
出荷者(経済連、農協、大
規模生産者等)
書面
契約
実需者(外食業者、加工業者、
小売店等)
仲介者(卸売会社、商社)
なお、仲介者や市場を介した契約も対象となります。
■ 対象となる野菜
指定野菜又は特定野菜で、それぞれ野菜指定産地又は一定の要件を満たした対象産地で生産されたものが対象となります。
指定産地
キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、
たまねぎ、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ばれいしょ、ピーマン、ほうれんそう、レタス
指定野菜
アスパラガス、いちご、えだまめ、かぶ、かぼちゃ、カリフラワー、かんしょ、グリーンピース、ごぼう、こまつな、さやいんげん、さやえんどう、ししとうがらし、しゅんぎく、しょうが、すいか、スイートコーン、セルリー、そらまめ、ちんげんさい、生しいたけ、にがうり、にら、にんにく、ふき、ブロッコリー、みつば、メロン、やまのいも、らっきょう、れんこん、わけぎ
(32品目)及び指定野菜14品目
対象産地
都道府県の野菜価格安定法人
特定野菜等
対象野菜
対象産地手続き先
なお、産地が指定産地や対象産地に該当するかどうかは、農畜産業振興機構にお問い合わせ下さい。
■ 交付金の交付の流れ ~国・都道府県のカバーで大きな安心~
農畜産業振興機構(特定野菜等の場合は都道府県法人)が、あらかじめ生産者の皆さんから負担金をお預かりして交付金の基となる資金を造成し、一定の要件に達したときに生産者に交付金を交付します。
① 生産者は、交付金の基となる資金の25%(特定野菜等は1/3)を負担金として納付するだけで結構です。残りは国・都道府県がしっかりカバーします。
交 付 金
一定の要件に達したと
きに交付されます。
指定野菜
特定野菜等
負 担 金
国・道府県
国・都道府県
あらかじめ、
負担金を納付します。
生産者1/3
生産者25%
生産者
② 最大で、負担した額の4倍(特定野菜等は3倍)まで、生産者に交付されます。
③ 負担金はかけ捨てのお金ではありません。当該年度に交付されずに余った資金は翌年度に引き継がれます。
また、何らかの理由により本制度を継続しない場合には、交付されずに余った資金は返還されます。
■ 制度の仕組み 市場価格連動契約の場合
◆価格低落タイプ
市場価格に連動した取引価格を設定し、契約取引を行った場合、市場価格が著しく低下すれば取引価格も下がります。このような時に生産者に交付金が交付されます。
えっ!契約取引でも交付金がもらえるの?
■ 契約取引でも生産者に交付金が支払われるようになりました。
市場価格連動の契約なら、価格低落分に交付
定量定価格契約の場合
◆数量確保タイプ
事前に数量や価格を定めて契約取引を行った場合、天候不良などにより収量が不足すれば、市場出荷を予定していた分を契約取引に廻すことによって契約数量を守ることになります。
このような時には、市場に出せば得られた差益分について交付金を交付します。
価格が低い時しか交付金はもらえないの?
契約だと市場が高い時に損だ!
■ 数量を確保するため、市場振り向け分を契約に廻すような場合にも、品薄で高騰した市場価格との差に関して助成します。
制度を使って、農家が責任をもって供給
さらにひどい不作のときには、自分のところで生産したものだけでは契約数量を確保できません。
こんな時に、不足分をxxxから購入してでも契約数量を確保した場合、購入に要した掛かり増し経費に対し交付金が交付されます。
契約したのに欠品になりそうどうしよう?
■ 数量を確保するため、市場から購入してでも確保しなければならないような時、購入価格と契約価額の差に関して助成します。
制度を使って、市場から購入してでも責任をもって供給
定量契約の場合(契約価格は市場価格連動契約でも定価格契約でも構いません)
◆出荷調整タイプ
一定量を取引する契約取引を行った場合、当初の計画以上に収穫された時には、過剰に生産した分の取り扱いが問題となります
このような時に、過剰生産分を出荷調整(産地廃棄等)した経費に対して交付金が交付されます。
約束より大量にできてしまったどうしよう….
■ 引き取り量が約束されていて、過剰生産分の処理が必要な場合でも、その処理コストについて助成します。
過剰生産でも実需者に迷惑かけず、約束どおり供給
実需者にとってのメリット
交付金は生産者サイドが受け取るものであり、直接的なメリットは生産者サイドにあるものの、実需者サイドにも様々なメリットがあります。
◆ 野菜生産は、天候や市場の変動の影響を強く受けることから、工業産品のように一定の数量を一定の価格で供給することは、生産者側にとっては非常に難しく、経営的にもリスクが大きいものです。
◆ しかし、本制度を活用することで、野菜生産者も、実需者のニーズに沿って、あらかじめ決めた数量及び価格で供給する契約取引に応じやすくなりました。
この結果、実需者にとっても、
① 天候等による生産の変動や市場価格の変動に関わらず、安定的に供給されること
② 安定して一定の品質の原料が入手できることから計画的な製造が可能となり、施設・労力等が効率的に利用できること
といったメリットがあります。
実需者に御協力頂くこと
本制度の利用に当たっては、出荷者から契約書の写しの提出を求めるとともに、契約当事者である実需者に対して契約内容の確認を行うことがありますが、それらの情報については、本制度の運営以外の目的で使うことはなく、外部に示すことはありませんのでご安心の上御協力のほどお願いします。
■ 手続きの概要
◆ 機構への申込みは、原則として、対象出荷期間の開始の約40日前までに、加入するタイプを決めて行うことが必要です。
◆ 申込みには、生産者と実需者があらかじめ書面により、野菜の種別、供給期間、数量、価格(価格の決め方)、不足した場合の生産者の供給義務(数量確保タイプの場合のみ)等について締結された契約が必要です。
◆ なお、あらかじめ取引基本契約を結んでおけば、数量等については覚書き等で双方が合意していることが確認できれば結構です。
◆ 価格低落タイプ等において、予約申込み時点で実需者との契約数量がはっきりしない場合は、過去の実績等を基に算定した数量で申込み、また、出荷直前まで出荷数量が確定しない契約でも一定の幅の範囲内で契約数量が定められていれば、本事業の対象となります。
■ 交付金の試算例 ~各タイプでの交付の例~
(1) 価格低落タイプ(市場価格連動契約)
市場価格に連動した価格による契約取引について、市場価格(平均取引価額)が著しく低落した場合に交付金を交付します。
○交付される要件
平均取引価額が保証基準額を下回った場合
○交付金額の算定方法
交付金額=(保証基準額-平均取引価額)×0.9×交付対象数量
・平均取引価額とは、旬ごとに全国の主要な 10 市場の卸売価格を加重平均した価格であり、機構のホームページで公表します。
交付金の試算例
実需者との売買契約書の内容が
保証基準額最低基準額
215.00円/kg
131.31円/kg
の場合
契約品目 | 冬春きゅうり(3~4月) |
契約期間 | 2ヶ月(6旬) |
契約価額 | 東京xx市場の価格×0.8 |
契約数量 | 60t(1旬10t×6旬) |
機構が定めている基準額
※保証基準額は、機構のホームページで公表しています。
① 交付予約が可能な数量:60t
※契約数量を限度として、交付予約を行うことができます。
② 生産者の負担金:約113万円
負担金=(保証基準額-最低基準額)×0.9×交付予約数量×負担率
=(215.00円/kg-131.31円/kg)×0.9×60t×25%
③ 交付金の算出額:約176万円
契約期間中に4月上旬・中旬・下旬の3旬にわたって価格が低落し、平均取引価額が150円/kgになった場合、3旬の出荷実績が30tだったとすると、
交付金額=(保証基準額-平均取引価額)×0.9×出荷実績
=(215円/kg- 150円/kg)×0.9×30t
※ 176万円の交付金のうち生産者の負担分は、わずか44万円( 25%相当)です。
(2) 数量確保タイプ(定価定量供給契約)
一定の量を一定の価格で取引する定量定価供給契約を締結したとき、作柄変動等により品薄で契約数量を充足できなくなった場合に、市場に出荷予定のものやxxxから購入したものによって契約数量を確保した掛増し経費に対し交付金を交付します。
○交付される要件
平均取引価額が指標価額を上回ったときに数量を確保した場合
○交付金額の算定方法
①市場に出荷予定のものにより数量を確保した場合
交付金額=(平均取引価額-契約価額)×0.5×交付対象数量
②xxxから購入することにより数量を確保した場合
交付金額=(購入価額-契約価額)×0.9×交付対象数量
・市場に出荷予定のものだけでは充足できない場合にxxxから購入して充足することとします。
・指標価額とは、基準価格の 130%相当額であり、機構のホームページで公表しています。
・交付金の基となる数量は、不足した数量のほか、当初の出荷計画数量等から機構が算定します。
・購入価額は、契約価額の 150%を限度としています。
交付金の試算例 | ||
実需者との売買契約書の内容が 契約品目 xxレタス(結球)(8~10 月) 契約期間 3ヶ月(9旬) 契約価額(定価) 160円/kg 契約数量 90t(10t×9旬) の場合 基準価格 167.22円/ kg 機構が定めている基準額 指標価額 217.39円/ kg ① 交付予約が可能な数量:27t ※交付予約数量は、「契約数量×30%」を限度としています。 ② 生産者の負担金:約49万円 負担金=(購入限度額(契約価額×150%)-契約価額)×0.9×交付予約数量×負担率 =(240 円/kg-160 円/kg)×0.9×27t×25% ※「xxxから購入」することがない契約取引の場合、生産者の負担金:約27万円 負担金=(購入限度額(契約価額×150%)-契約価額)×0.5×交付予約数量×負担率 =(240円/kg- 160円/kg)×0.5×27t×25% |
③ 交付金の算出額
市場に出荷予定のものにより確保した場合:約53万円《 ア)参照》
※53 万円の交付金のうち生産者の負担分は、わずか 13 万円(25%相当)です。
それでも足りなくてxxxから購入した場合:約72万円《 イ)参照》
※72 万円の交付金のうち生産者の負担分は、わずか 18 万円(25%相当)です。
ア)市場に出荷予定のものにより数量を確保した場合
契約期間中に日照不足により8月上旬・中旬・下旬の3旬にわたって品薄となり、平均取引価額が230円/kgに上昇した場合
契約出荷実績数量は計画どおり3旬で30t、市場出荷計画数量は70tであったが、市場出荷実績数量は20tにとどまったとすると、契約取引の充当見込相当数量は15t※ であるため、
交付金額=(平均取引価額-契約価額)×0.5×交付対象数量
=(230円/kg- 160円/kg)×0.5×15t
※ 契約取引の充当見込相当数量=契約出荷実績数量-全実績(契約出荷実績数量+市場出荷実績数量)×全体計画に占める契約割合(契約数量/全出荷計画数量)
=30t-(30t+20t=50t)×(30t/(30t+70t)=30%)=15t
イ)xxxから購入することにより数量を確保した場合
もしも、ア)で示した事例よりも更にひどい品薄が発生し、9月上旬・中旬・下旬の3旬にわたって全体で20tの収穫しかなく、契約分の数量30tを確保するため、不足分10tを240円/kgで購入して確保した場合
交付金額=(購入価額-契約価額)×0.9×交付対象数量
=(240円/kg- 160円/kg)×0.9×10t
※「xxxから購入」することがない場合の負担金のみ納めている場合は、ア)に相当する交付金が交付されます。
(3) 出荷調整タイプ(定量供給契約)
一定の量を取引する定量供給契約を締結したとき、生産過剰により市場価格(平均取引価額)が著しく低落し、出荷調整(産地廃棄等)を実施した場合に交付金を交付します。
○交付される要件
平均取引価額が発動基準額を下回ったときに出荷調整を行った場合
○交付金額の算定方法
交付金額=(契約価額又は基準価格のいずれか低い額)×0.4×交付対象数量
・基準価格とは、卸売市場の過去9ヵ年の卸売価格の平均価格のことであり、発動基準額とは、その 70%相当額です。機構のホームページで公表しています。
・交付対象数量は、出荷調整を行った数量のほか、当初の出荷計画数量等から機構が算定します。
交付金の試算例 | ||
実需者との売買契約書の内容が 契約品目 xxレタス( 結球)(8~10月) 契約期間 3ヶ月(9旬) 契約価額 160円/kg 契約数量 90t(10t×9旬) の場合 基準価格 167.22円/ kg 発動基準額 117.05円/ kg 機構が定めている基準額 ① 交付予約が可能な数量:27t ※交付予約数量は、「契約数量×30%」を限度としています。 ② 生産者の負担金:約43万円 負担金=契約価額×0.4×交付予約数量×負担率 = 160円/kg×0.4×27t×25% ③ 交付金の算出額:約51万円 契約期間中に10月上旬・中旬・下旬の3旬にわたって、平均取引価額が発動基準額である117.05円/ kg以下となり、余剰に生産された40tを産地廃棄した場合、3旬の市場出荷分の計画及び実績を120t、当該3旬の契約数量は30tとすると、出荷調整相当数量は8t※ であるため、 ※ 出荷調整相当数量=全実績(市場出荷実績数量+契約出荷実績数量+出荷調整実績数量) ×全体計画に占める契約割合(契約数量/全出荷計画数量)-契約出荷実績数量 =(120+ 30+ 40= 190t)×( 30/(120+30)=20%)-(30t)=8t 交付金額=(契約価額又は基準価格のいずれか低い額)×0.4×数量 = 160円/kg×0.4×8t ※ 51万円の交付金のうち生産者の負担分は、わずか13万円( 25%相当)です。 |
(参 考)
x x 売 買 契 約 書(案)
-必要記載事項例-
(買主)○○○(以下「甲」という。)と(売主)○○○(以下「乙」という。)及び(仲介者)
注:(野菜)○○は、秋冬はくさい(以下「はくさい」という。)のように種別で表
記します。
○○○(以下「丙」という。)は、乙が出荷する(野菜)○○(以下「○○」という。)の売買について、次のとおり契約を締結する。
(目的)
第1条 丙は、乙が出荷する○○を甲に売り渡し、甲はこれを買い受けるものとする。
2 甲、乙、丙は、それぞれの事業の円滑な運営及び発展のため協力するものとする。
(出荷期間及び契約数量)
第2条 乙は、甲が指定する出荷期間に次の数量を出荷する。
(1) 出荷期間は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までとする。
(2) 出荷数量は、出荷期間を通じて、合計で○○○トンとする。
注1:旬別に出荷数量を記載する必要はありません。
2:【価格低落タイプ】の場合のみ、「おおむね○○○トン」や「○○トンから
○○トンの範囲において」等契約価格に幅を持たせる記載が可能になりました。
(売買価格)
第3条 乙が甲に売渡す(野菜)○○の価格は次により定める。
(例1)正味 1kg 当たり○○○円とする。
注:消費税、運賃は別とします。
〔このような契約の場合は【数量確保タイプ】に加入できます。〕
(例2)○○市場の同種別野菜の同規格の日々の価格とする。
注:(市場価格+α)×βなどの契約当事者間で合意した独自の手法による価格設定も対象となるようにしました。
〔このような契約の場合は【価格低落タイプ】に加入できます。〕
〔【出荷調整タイプ】に加入する場合は、例1及び例2のいずれの価格設定でも可です。〕
(数量確保の措置)
注:【数量確保タイプ】の場合は、必ずこの条文を記載すること。
第4条 作況の影響等により乙が甲に対して第2条に記載されている(野菜)○○の数量を出荷できない場合は、乙は甲の了承を得たうえで、他から同一種別の(野菜)○○の調達を行うものとする。
(契約の補充)
第5条 この契約に定めていない事項については、甲、乙、丙が協議のうえ決定する。
平成 年 月 日 | ||||
(買 甲 | 主) 住所 名称 代表者 | 氏 | 名 | 印 |
(売 乙 | 主)住所名称 | |||
代表者 | 氏 | 名 | 印 |
(仲介人)丙 住所名称
代表者 氏 名 印
契約取引も野菜制度の対象となり、国産野菜での 契約取引が行いやすくなりました。
ぜひ本制度を積極的に御活用下さい!
お 問 合 せ 先
独立行政法人農畜産業振興機構
(担当)野菜業務第二部契約取引推進課xx、xxx、xx、xx
〒106-8635
xxx港区麻布台二丁目2番1号 麻布台ビル電話 03-3583-9816~9
F A X 03-3583-9484
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平成1 9 年2 月
独 x x 政 法 人 農 畜 産 業 振 興 機 構