Contract
xxxx大学病院治験標準業務手順書
7.0 版 作成日 2024年 2月 1日
本手順書の構成
(治験薬管理者、治験機器管理者及び治験製品管理者の設置等) 12
(治験薬管理者、治験機器管理者及び治験製品管理者の業務) 13
第1条 xxxx大学病院(以下、当院という)において実施する医薬品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験(以下、治験という)は、次に掲げる原則的事項を遵守しなければならない。
(1)治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 17年厚生労働省令第36号)、再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成
26年厚生労働省令第89号)及びその関連通知(以下、GCP関連諸通知という)を遵守して行わなければならない。
(2)治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
(3)被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
(4)治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
(5)治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
(6)治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施されなければならない。
(7)被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負う。
(8)治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。
(9)すべての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
(10)治験に関するすべての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存しなければならない。
(11)被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
(12)治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準を遵守して行うこと。治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用するものとする。
(13)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に
負担を課すことがないようにしなければならない。
第2条 本手順書は、当院における治験の取扱いについて、GCP関連諸通知に定めるもののほか、その他必要事項を定め、治験の原則に則り、倫理的な配慮のもとに科学的かつ適正に実施されるよう、必要な手続きと運営に関する手順を定めるものである。
2 本手順書において「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。
3 本手順書において「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる薬物をいう。
4 本手順書において「治験薬」とは、被験薬及び対照薬をいう。
5 本手順書において「治験使用薬」とは、被験薬並びに被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する薬物をいう。
6 本手順書において「治験依頼者」とは、製薬企業等、当院に対して「治験を依頼しようとする者」又は「治験を依頼した者」をいう。
7 本手順書において「治験責任医師」とは当院において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
8 本手順書において「医師主導の治験」とは、自ら治験を実施する者による治験をいう。
9 本手順書において「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。
10 医師主導の治験の場合、本手順書においては、治験の準備及び管理の業務を行う場合は、
「自ら治験を実施する者」と呼び、治験責任医師として治験を実施する場合は、「治験責任医師」と呼ぶこととする。また、同一の治験実施計画書に基づき複数の医療機関において共同で治験を実施する場合で、「治験調整医師」又は「治験調整委員会」等を置き、治験の準備及び管理に関する業務の一部を委嘱する場合にあっては、委嘱した業務に関して「自ら治験を実施する者」を「治験調整医師」又は「治験調整委員会」等に適宜読み替えるものとする。
第3条 病院長は、当院で治験を実施するにあたり、その業務を支援するスタッフをxxxx大学及び当院に配置する。スタッフは以下の人員で構成され、病院長が任命する。
(1)治験記録保存責任者
(2)治験薬管理者及び治験薬管理担当者
(3)治験事務局担当者
(4)臨床研究コーディネーター(CRC)
(5)その他必要な人員
第4条 病院長は、治験依頼者による治験の場合は治験責任医師及び治験依頼者に対し、別に定める期日までに治験依頼書に次の各号に掲げる書類を添付し、治験事務局に提出させるものとする。
(1)治験薬概要書及び治験使用薬(被験薬を除く)に係る科学的知見を記載した文書
(2)治験実施計画書(治験実施計画分冊において、当院以外の実施医療機関の特有な情報を改訂する場合を除く)
(3)症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい)
(4)治験実施計画書・症例報告書への合意及び治験実施計画書を遵守することを示した文書
(写)
(5)患者説明文書(同意文書を含む)
(6)予定される治験費用に関する資料(治験経費算定書を含む)
(7)被験者の安全等に係わる報告
(8)被験者への支払い及び保険外併用療養費に関する資料
(9)被験者の健康被害に対する補償に関する資料(業務手順書を含む)
(10)被験者の募集手順に関する資料
(11)その他治験を適正に実施するために必要な情報を記載した文書
2 病院長は、医師主導の治験の場合は自ら治験を実施する者に対し、別に定める期日までに治験実施申請書に次の各号に掲げる書類を添付し、治験事務局に提出させるものとする。
(1)治験薬概要書及び治験使用薬(被験薬を除く)に係る科学的知見を記載した文書
(2)治験実施計画書
(3)症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)
(4)患者説明文書(同意文書を含む)
(5)モニタリングに関する手順書
(6)監査に関する計画書及び業務に関する手順書
(7)治験使用薬の管理に関する事項を記載した文書
(8)GCP省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書
(9)被験者への支払いに関する資料
(10)被験者の健康被害に対する補償に関する資料(業務手順書を含む)
(11)実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて、記録を閲覧に供する旨を記した
文書
(12)実施医療機関がGCP省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書
(13)被験者の募集手順に関する資料
(14)多施設共同治験において実施医療機関間の調整を行う医師若しくは歯科医師(以下、治験調整医師という)又は複数の医師若しくは歯科医師(以下、治験調整委員会という)への業務の委嘱の手順書
(15)その他治験を適正に実施するために必要な情報を記載した文書
3 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者に対し、第1項又は第2項に掲げるもののほか、治験審査に必要と思われる資料を提出させるものとする。
4 病院長は、治験責任医師に対し、治験実施の申請にあたって治験分担医師・治験協力者リストに治験責任医師(求めがあった場合は治験分担医師も含む)の履歴書を添付し提出させるものとする。
5 病院長は、治験依頼者による治験の場合、別に定める算出基準に基づき算定した治験費用について、治験責任医師と治験依頼者との合意の上、治験経費算定書に明記し提出させるものとする。
第5条 病院長は、治験審査依頼書及び第4条による治験審査書類等をxxxx大学病院群共同治験審査委員会(以下、委員会という)に提出し、その実施についての意見を求める。
2 病院長は、委員会から治験の実施の可否について、その旨を治験審査結果通知書に基づき報告を受けた場合、治験実施及び継続等の可否を決定する。ただし、委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を了承することはできない。
3 病院長は、第2項に基づく決定を治験審査結果通知書を用いて、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者に通知する。
4 病院長は、委員会から修正を条件に承認する旨の報告を受けたときは、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者に対し治験実施計画書等修正報告書を提出させるとともに、当該計画の修正内容について委員会委員長に報告し、修正内容に関する確認を受けさせるものとする。
5 病院長は、委員会から治験の実施を保留する旨の報告を受けたときには、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者に対し治験実施計画書等修正報告書を提出させ、当該計画の修正内容について委員会の承認を得た上で実施の可否を決定する。
6 病院長は、治験責任医師の作成した治験分担医師・治験協力者リストに基づき、治験分担医師及び治験協力者を了承し、了承したリストを治験責任医師に提出するとともに、治験依頼者による治験においては治験依頼者に治験分担医師・治験協力者リストを提供する。
7 病院長は、委員会の審査結果について異議申し立てがあった場合は、委員会に再審査を依頼することができる。なお、病院長の指示が委員会の決定と異なる場合には、治験審査結果通知書とともに治験に関する指示・決定通知書を用いて、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者に通知する。
8 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から委員会の審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
第6条 病院長は、治験依頼者による治験において第5条第3項の通知により治験の受託が決定した場合、治験責任医師による契約内容の確認後、治験依頼者と治験実施契約書により契約を締結し、双方が記名押印又は署名し、日付を付すものとする。ただし、医師主導の治験では契約書に代えて合意書等の文書を交わすことができるものとする。
2 病院長は、治験依頼者による治験の場合、治験経費等について、治験依頼者と、治験費用に関する覚書、及びその他必要経費に関する覚書を締結する。また、その他必要に応じて覚書を締結する。
3 契約締結の確認後、治験事務局は速やかに治験実施契約書、治験費用に関する覚書、その他必要経費に関する覚書、その他覚書の写しを治験責任医師及び大学事務局研究支援部へ送付する。病院長は治験責任医師に契約内容及び締結の確認を求めるが、署名等は必要としない。
第7条 治験依頼者による治験の場合、病院長は、治験実施計画の変更等やむを得ない理由により契約内容を変更する必要が生じたとき、治験依頼者及び治験責任医師に、双方合意の上、治験に関する変更申請書を提出させるものとする。ただし、治験経費の変更の場合は治験経費算定書も合わせて提出させるものとする。
2 病院長は、前項による変更申請書の提出を受けたときは、治験の変更の可否について、第
4条を準用して取り扱うものとする。
3 病院長は、治験依頼者による治験において第5条第3項の通知により変更が決定した場合、治験責任医師による契約内容の確認後、治験依頼者と治験実施変更に伴う契約書により契約 を締結し、双方が記名押印又は署名し、日付を付すものとする。
4 契約締結の確認後、治験事務局は速やかに治験実施変更に伴う契約書の写しを治験責任医師及び大学事務局研究支援部へ送付する。病院長は治験責任医師に契約内容及び締結の確認を求めるが、署名等は必要としない。
第8条 病院長は、治験の実施状況について、年1回以上治験責任医師に治験実施状況報告書を提
出させるものとする。なお、病院長は原則前年度の治験の実施状況を、翌年度開始時に治験責任医師に報告させるものとする。
2 病院長は、承認した治験について次の各号に該当する報告又は申請を受けたときには、治験を継続して行うことの適否についての意見を委員会に求める。
(1)治験依頼者が実施する治験においては治験依頼者又は治験責任医師より、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者より、治験実施計画書、患者説明文書・同意文書、治験責任医師及び治験分担医師、その他の審査対象となる文書の追加や変更のため、治験に関する変更申請書の提出を受けた場合。
(2)治験責任医師より、治験実施状況報告書の提出を受けた場合。
(3)治験責任医師より、緊急の危険の回避のためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書から逸脱または変更を行った旨の報告書の提出を受けた場合。
(4)治験責任医師より、重篤な有害事象に関する報告書若しくは重篤な有害事象又は不具合に関する報告書の提出を受けた場合。
(5)治験依頼者又は自ら治験を実施する者より、GCP関連諸通知により報告が義務付けられている安全性情報等に関する報告書の提出を受けた場合。
(6)医師主導の治験において、xxxxxxの報告書又は監査の報告書の提出を受けた場合。
(7)その他被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったこと等による変更の報告を受けた場合。
3 病院長は、治験依頼者による治験の場合、治験責任医師から実施中の治験について、緊急の危険を回避するための実施計画書からの逸脱に伴い、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書の提出を受けた後、治験依頼者より緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書を受領すると共にその通知書を治験責任医師へ提供する。
第9条 病院長は、治験依頼者が実施する治験又は医師主導の治験に関するモニタリング(直接閲覧を含む)及び監査並びに委員会又は規制当局による調査に協力する。
2 病院長は、前項のモニタリング、監査又は調査が実施される際には、モニター、監査担当者、委員会又は規制当局の求めに応じ、治験に関する原資料等を閲覧に供する。
3 病院長は、モニター、監査担当者、委員会又は規制当局からモニタリング又は監査の申し込み等の手続きに関し必要な事項を定める。
第10条 病院長は、治験責任医師又は自ら治験を実施する者から治験の終了、中断又は中止を決定した旨を記した治験終了(中止・中断)報告書を入手した場合は、その文書を委員会に通知する。治験依頼者による治験の場合には、治験依頼者にも通知する。
2 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から被験薬の製造販売承認取得、被験薬の開発中止、又は治験の中止(中断を含む)を決定した旨を記した開発の中止等に関する報
告書を入手した場合、治験責任医師及び委員会に通知する。
第11条 病院長は、治験に関する次の各号の記録等を、当該被験薬の製造販売承認日(治験依頼者による治験においては開発が中止された場合にあっては、開発中止が決定された日から3年が経過した日、医師主導治験において開発を中止した又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知をしたときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止もしくは終了後3年を経過した日のうち、いずれか遅い日まで保存しなければならない。ただし、治験依頼者から長期間の保存を希望されたときは、その保存期間及び保存方法について協議し決定する。
(1)治験の受託及び契約に関する文書及び資料
(2)治験使用薬の管理に関する記録
(3)被験者の同意文書
(4)原資料、その他の資料
(5)その他、GCP関連諸通知の規定により、病院長が作成又は入手した文書、資料及び記録
(6)GCP関連諸通知の規定により、治験責任医師が入手した文書及び資料
(7)症例報告書の写し
2 病院長は、前項に掲げる記録等の文書の保存責任者として、次のように定める。(1)乃至(5)治験記録保存責任者、(6)及び(7)治験責任医師。
3 病院長は、治験に関する記録等の保存期間が終了したものについては、原則として治験依頼者又は自ら治験を実施する者にその旨の文書を提出させるものとする。
4 病院長は、治験に関する記録等の保存期間が終了した旨を治験依頼者又は自ら治験を実施する者から文書にて報告を受けたときは、治験記録保存責任者に対し、当該治験に関する記録等の破棄を指示する。
第12条 治験責任医師は、治験にかかわる業務を統括する医師又は歯科医師で、当該診療科の教授、准教授又は講師とし、次の各号に掲げる要件を満たさなくてはならない。なお、講師の場合、治験分担医師の実績が3件以上あり、かつ、当該診療科の長からの推薦がなくてはならない。
(1)教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者であること。
(2)治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験薬提供者が提供するその他の文書に記載されている治験使用薬の適切な使用法に十分精通していること。
(3)「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、医薬
品医療機器等法という)第80条の2に規定する基準、GCP関連諸通知及び本手順書を熟知し、これを遵守すること。
(4)実施予定期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していること。
(5)募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができること。
(6)治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できること。
2 治験責任医師は、前項を証明する最新の履歴書を、治験依頼者による治験の場合は病院長及び治験依頼者に、医師主導の治験の場合は病院長に提出する。
3 治験責任医師は、当該治験について、責任を負うものとする。
第13条 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するために、業務の一部を治験分担医師に分担、及び治験協力者に協力させることができる。この場合、治験分担医師・治験協力者リストを病院長に提出する。また、治験分担医師及び治験協力者を変更する場合、変更後の治験分担医師・治験協力者リストを病院長に提出する。
2 治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に対して、治験実施に関する十分な情報を与え、指導・監督する。
3 治験分担医師とは、治験責任医師の指導・監督の下に、治験にかかわる業務を分担する医師又は歯科医師で、学校法人xx学園に所属し、原則として当院に常勤している者とする。ただし、非常勤であっても当院で一定の勤務実態があり、委員会で承認された場合は分担医師として認める。ただし、臨床研修医及び臨床研修歯科医はこれに含まない。
4 治験協力者とは、治験責任医師の指導・監督の下に、治験に係る業務を分担する薬剤師・看護師・臨床検査技師等の者であり、病院長により適格性が確認された者をいう。ただし、臨床研修医及び臨床研修歯科医は、治験協力者に含まない。
5 治験分担医師及び治験協力者は、治験の実施にあたり、GCP関連諸通知及び本手順書を遵守するものとする。
6 治験分担医師は、求めがあった場合において、最新の履歴書を治験依頼者による治験の場合は病院長及び治験依頼者に、医師主導の治験の場合は病院長に提出する。
第14条 治験責任医師等は、被験者の安全及び人権に十分配慮しなければならない。
2 治験責任医師等は、委員会の意見に基づき病院長が承認した治験実施計画書を遵守する。ただし、被験者の緊急の危険を回避するため等、医療上やむを得ない事態が生じ、又はそのおそれがあるときはこの限りでない。
3 治験依頼者による治験の場合は、治験責任医師等は治験の契約締結前に、医師主導の治験の場合は、治験実施計画書が医薬品医療機器総合機構に受理された日の翌日から起算して、 30日(未承認薬物の場合)又は14日(既承認薬の場合)を経過した後でなければ、被験者を
治験に参加させてはならない。
第15条 治験責任医師は、治験実施の申請をする前に被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる患者説明文書(同意文書を含む)を作成する。また、作成にあたっては、必要に応じ治験依頼者から予め作成に必要な資料の提供を受けることができる。
第16条 治験責任医師、自ら治験を実施する者及び治験依頼者は、治験の実施に先立ち、第4条第
1項又は第2項の関係する資料を病院長に提出する。
2 治験責任医師は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったこと等による治験実施計画書の変更等について、病院長に速やかに治験に関する変更申請書を提出すること。
3 治験責任医師は、委員会が治験の実施又は継続を承認、又は何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく病院長の指示を治験審査結果通知書又は治験に関する指示・決定通知書を受領した後に、その決定に従って治験を開始又は継続する。また、委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消し(治験の中断又は中止を含む)、これに基づく病院長の指示が治験審査結果通知書にて通知された場合には、その決定に従う。
4 治験責任医師及び自ら治験を実施する者は、病院長から修正を条件に承認する旨の通知を受けたとき、治験実施計画書等修正報告書にて当該計画の修正内容について報告する。
5 治験責任医師又は自ら治験を実施する者は、委員会の審査結果に基づく決定事項に対して、異議申立てをすることができる。
第17条 治験責任医師は、次の各号に揚げるところにより、被験者となるべき者を選定しなければならない。
(1)人権保護の観点から、治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討すること。
(2)同意能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としないこと。
(3)社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、自由意思による同意の取得に特に慎重な配慮を払う。
第18条 治験責任医師等は、あらかじめ被験者(同意能力を欠く等により被験者となるべき者の同意を得ることは困難であるが、当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合(例:未xx者や重度の認知症患者を対象とする場合)は、被
験者の親権を行う者、配偶者、後見人等(以下、代諾者という))に対し、当該治験の内容、効果及び予想される副作用等について、説明文書を交付して十分な説明を行い、被験者又は代諾者(以下、被験者等という)の自由意思による同意を文書(以下、同意文書という)で得なければならない。
2 被験者等が説明文書及び同意文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合は、説明に際してxxな立会人を要する。なお、治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、xxな立会人としては適当でない。
3 被験者等及び説明を行った治験責任医師等は、同意文書にそれぞれ署名し、日付を記入する。ただし、立会人を要する場合には、立会人も自ら同意文書に署名し、日付を記入する。
4 治験責任医師等は、被験者等から治験中止の要請があったときは、直ちに当該被験者に係る治験を中止しなければならない。
第19条 治験責任医師は、治験使用薬は承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用しなければならない。
2 治験責任医師等は、治験使用薬の正しい使用方法を各被験者に説明、指示し、当該治験にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認する。
第20条 治験責任医師は、治験に関する医療上のすべての判断に責任を負う。
2 病院長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関した臨床上問題となるすべての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証する。また、治験責任医師等は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝える。
3 治験責任医師等は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせる。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師等は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するため適切に対応する。
第21条 治験責任医師等は、治験の実施によって重篤な有害事象又は不具合が発生したときは、「重篤な有害事象に関する報告書」又は「重篤な有害事象又は不具合に関する報告書」を病院長に提出するほか、次の各号の対応をとらなければならない。
(1)治験依頼者による治験の場合は、治験実施計画書等の文書において緊急の報告が不要であると規定されている場合を除き、すべての重篤な有害事象を直ちに治験依頼者に報告する。
(2)医師主導の治験の場合は、共同で治験を実施している他の実施医療機関の治験責任医師
(多施設共同治験の場合)及び治験薬提供者に対しても通知する。
2 治験依頼者による治験の場合、治験依頼者は、新たな安全性に関する情報を入手したときは、その情報及びそれについての見解を記した安全性情報等に関する報告書を病院長及び治験責任医師に提出する。治験責任医師は、安全性情報に対する見解が治験依頼者と異なる場合、安全性情報等に関する報告書を受領して7日以内に、その見解を病院長に提出する(任意様式)。
3 医師主導の治験の場合、自ら治験を実施する者は、実施中の治験について、新たな安全性に関する情報を入手したときは、その情報について記した報告書を病院長に提出する。
第22条 治験責任医師等は、委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例:医療機関の名称・診療科名の変更、医療機関の所在地又は電話番号の変更、治験責任医師の職名の変更、モニターの変更等)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師等は、実施中の治験について治験実施計画書から逸脱したときは、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらずすべて記録する。また、治験責任医師は、実施中の治験について、緊急の危険を回避するために治験実施計画書から逸脱したときは、
「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」を、治験依頼者による治験の場合は病院長及び治験依頼者に、医師主導の治験の場合は病院長に提出する。治験依頼者による治験の場合、それを受けて治験依頼者より、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書に基づき報告を受けた病院長から、その通知書を受領する。
第23条 治験責任医師は、治験の実施状況について、年1回以上、治験実施状況報告書により病院長に報告する。なお、原則前年度の治験の実施状況を、翌年度開始時に速やかに報告するものとする。
第24条 治験責任医師は、治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、氏名を記載の上、治験依頼者による治験の場合は治験依頼者に提出し、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者が適切に保管する。また治験分担医師が作成した症例報告書については、その内容を点検し問題がないことを確認した上で氏名を記載しなければならない。
2 治験責任医師は、症例報告書の変更又は修正にあたり、治験依頼者による治験の場合は治験依頼者から提供された手引き、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者が作成した手引きに従う。
3 治験責任医師は、治験依頼者に提出した症例報告書の写しを第11条に従い保存する。
第25条 治験責任医師は、モニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れ、また、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じて、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供する。
第26条 治験責任医師は、治験を終了、中断又は中止したときは、治験終了(中止・中断)報告書を病院長に提出する。
2 治験責任医師は、治験が何らかの理由で中断又は中止された場合、あるいは自らが治験を中断し、又は中止した場合は、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療、その他必要な措置を講じる。
第27条 治験責任医師は、治験に関する記録等を、第11条に従い保存する。なお、保存の対象となる記録には、必要に応じて治験の実施に関する重要な事項について行われた治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等に関するものを含める。
(治験薬管理者、治験機器管理者及び治験製品管理者の設置等)
第28条 治験使用薬の管理責任は、病院長が負うものとする。
2 病院長は、治験使用薬を保管、管理させるため、治験薬管理者、及び必要に応じて治験薬管理担当者を置く。
3 治験薬管理者及び治験薬管理担当者は、薬剤師をあてる。
4 治験機器管理者及び治験製品管理者は、治験毎に当該治験使用機器及び治験使用製品に精通した者を病院長が任命する。
5 治験薬管理者は、原則として当院で実施されるすべての治験の治験使用薬を管理する。
6 治験薬管理者は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が作成した治験使用薬の管理に関する手順書に従って治験使用薬を保管、管理する。
7 治験薬管理者は、その指導の下、必要に応じて治験薬管理担当者に、第29条に規定する治験薬管理者の業務を実施させることができる。
8 治験機器管理者及び治験製品管理者は、当院で実施される医療機器及び再生医療等製品の治験毎に治験使用機器又は治験使用製品を管理する。
9 治験機器管理者及び治験製品管理者は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が作成した治験使用機器及び治験使用製品の管理に関する手順書に従って治験使用機器及び治験使用
製品を保管、管理する。
10 治験機器管理者及び治験製品管理者は、その指導の下、必要に応じて治験機器管理実務担当者、治験製品管理実務担当者を指名し、第29条に規定する治験機器管理者又は治験製品管理者の業務を実施させることができる。
第29条 治験薬管理者は、次の業務を行う。
(1)治験依頼者からの治験使用薬の授受
(2)治験使用薬に対する薬品コード番号の取得
(3)治験使用薬の保管及び管理
(4)被験者への治験使用薬の交付及び、服薬、使用方法等に関する説明
(5)治験依頼者への治験使用薬の返却
(6)その他、治験使用薬の保管管理を行う上で必要とされる業務
2 治験機器管理者及び治験製品管理者は、次の業務を行う。
(1)治験依頼者からの治験使用機器又は治験使用製品の授受
(2)治験使用機器又は治験使用製品の保管及び管理
(3)被験者への使用方法等に関する説明
(4)治験依頼者への治験使用機器又は治験使用製品の返却
(5)その他、治験使用機器又は治験使用製品の保管管理を行う上で必要とされる業務
第30条 病院長は、治験の実施に関する事務を行わせるため治験事務局担当者をxxxx大学に置く。
2 治験事務局は、次の業務を行う。
(1)治験の依頼・申請に伴う委員会開催前のヒアリングの開催
(2)委員会へ提出する資料の作成
(3)委員会審査の対象となる文書又は資料などが、依頼者又は治験責任医師などから病院長に提出された場合、当該文書などの委員会への提出
(4)委員会の意見に基づく病院長の指示、決定に関する通知文書の作成と治験責任医師及び依頼者への伝達
(5)治験実施又は進行に必要な手続き書類の作成
(6)治験の契約にかかわる手続き業務
(7)治験開始前に行うスタートアップミーティングの開催
(8)治験に関する記録の保存
(9)モニタリング・監査への対応及び支援
(10)その他、治験に関する業務の円滑化を図るために必要な業務及び支援
第31条 治験記録保存責任者は、病院長又は委員会委員長の指示により、次の文書等を保存する。
(1)各種手順書
(2)病院長に提出された必須文書及び資料
(3)治験使用薬、治験使用機器及び治験使用製品の保管管理に係わる資料
(4)その他、病院長が必要と認める資料
第32条 病院長又は治験記録保存責任者は、当該治験における保存すべき必須文書を、第11条に基づき定められた期間中に紛失又は破棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じるものとする。
第33条 自ら治験を実施する者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保し、治験の実施体制を整備しなければならない。
2 専門的知識を有する者とは、治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家、並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等、治験の全過程を通じて活用されるべき実施医療機関内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者等)を含むものである。
第34条 自ら治験を実施する者は、治験の準備及び管理に係る業務に関する以下の内容を記した手順書を作成しなければならない。
(1)治験実施計画書の作成・改訂に関する手順
(2)治験薬概要書の作成に関する手順
(3)症例報告書の作成・改訂に関する手順
(4)説明文書・同意文書の作成・改訂に関する手順
(5)被験者の健康被害補償に関する手順
(6)治験使用薬の管理に関する手順
(7)安全性情報の取り扱いに関する手順
(8)モニタリング並びに監査に関する計画書及び業務に関する手順
(9)多施設共同治験において治験調整医師又は治験調整委員会への業務の委嘱の内容と手順
(10)効果安全性評価委員会(独立データモニタリング委員会)審議の手順
(11)総括報告書作成に関する手順
(12)記録の保存に関する手順
(13)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要とされる手順
2 自ら治験を実施する者は、治験に係る検体等の検査機関(実施医療機関の検査室等を含む。)において、検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、当該検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認しなければならない。
第35条 自ら治験を実施する者は、被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験を実施するために必要な試験を終了していなければならない。
2 治験薬提供者がこれらの試験を既に実施している場合は、自ら治験を実施する者は、治験薬提供者と協議の上、治験実施時点における科学的水準に照らし適正な資料及び情報を入手する。入手にあたっては、自ら治験を実施する者は必要に応じ、必要な資料又は情報の提供が受けられるよう、治験薬提供者と契約を締結する。
第36条 自ら治験を実施する者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。
(1)自ら治験を実施する者の氏名及び住所
(2)治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
(3)実施医療機関の名称及び所在地
(4)治験の目的
(5)治験使用薬の概要
(6)治験薬提供者の氏名及び住所
(7)治験の方法
(8)被験者の選定に関する事項
(9)原資料の閲覧に関する事項
(10)記録(データを含む)の保存に関する事項
(11)省令GCP第26条の四の規定により治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名
(12)省令GCP第26条の四の規定により治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成
する医師又は歯科医師の氏名
(13)省令GCP第26条の五に規定する効果安全性評価委員会(独立データモニタリング委員会)を設置したときは、その旨
(14)作成及び改訂の日付
2 同意能力を欠く者に対して、薬物動態試験等の非治療的治験を実施する場合は、以下の事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
(1)同意能力を欠く者を対象にしなければならないことの説明
(2)被験者への予測される不利益が最小限のものであることの説明
3 被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な治験を実施する場合は、以下の事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
(1)生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請を予定していることの説明
(2)他の治療法では十分な効果が期待できないことの説明
(3)被験薬の使用により生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
(4)効果安全性評価委員会が設置されている旨
(5)治験の開始後、速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して説明を行い、文書により同意を得ること
(6)治験責任医師はこの経過と結果を治験審査委員会に報告すること
4 自ら治験を実施する者は、治験使用薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験実施計画書を改訂しなければならない。
第37条 自ら治験を実施する者は、非臨床試験の結果、その時点までに実施された臨床試験の結果、その他被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいて、以下の事項を記載した治験薬概要書を作成しなければならない。
(1)被験薬の化学名又は識別記号(治験機器においては被験機器の原材料名又は識別記号、及び被験機器の構造及び原理に関する事項、治験製品においては、被験製品の構成細胞、導入遺伝子又は識別記号
(2)品質、毒性、薬理作用(治験機器においては、品質、安全性、効能、効果、性能、治験製品においては、品質、安全性、効能、効果、性能)その他の被験薬に関する事項
(3)臨床試験が実施されている場合にあっては、その試験成績に関する事項
2 自ら治験を実施する者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験薬概要書を改訂しなければならない。
第38条 自ら治験を実施する者は、説明文書・同意文書を作成しなければならない。作成に当たっては、必要に応じ治験薬提供者の協力を得るものとする。
第39条 自ら治験を実施する者は、第4条第2項に規定する文書を事前に病院長に提出し、治験の実施の承認を得なければならない。
第40条 自ら治験を実施する者又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該受託者との契約を締結しなければならない。自ら治験を実施する者は、治験調整医師に当該業務の契約を委嘱することができるものとする。
(1)当該委託に係る業務の範囲
(2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
(3)前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを自ら治験を実施する者又は実施医療機関が確認することができる旨
(4)当該受託者に対する指示に関する事項
(5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを自ら治験を実施する者又は実施医療機関が確認することができる旨
(6)当該受託者が自ら治験を実施する者又は実施医療機関に対して行う報告に関する事項
(7)当該委託に係る業務に係る健康被害の補償措置に関する事項
(8)その他当該委託に係る業務について必要な事項
第41条 自ら治験を実施する者は、あらかじめ、被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生 じたものを含む)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。
第42条 自ら治験を実施する者は、医薬品医療機器等法第80条の2第2項、医薬品医療機器等法施行規則第269条、及び、自ら実施する薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて に従い、その計画を厚生労働大臣に届け出なければならない。
2 自ら治験を実施する者は、医薬品医療機器等法施行規則第270条の規定により当該届出に係る事項を変更したとき、又は当該届出に係る治験を中止し、もしくは終了したときは、その内容及び理由等を厚生労働大臣に届け出なければならない。
3 自ら治験を実施する者は、治験計画の届出を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱することができる。
第43条 自ら治験を実施する者は、治験薬の品質の確保のために、必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を用いて治験を実施しなければならない。
2 治験薬を治験薬提供者から入手する場合は、自ら治験を実施する者は、治験薬の品質確保並びに入手時期・入手方法について、治験薬提供者との間で、契約等の文書により明確な取り決めを行わなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。治験薬を治験薬提供者から入手する場合は、治験薬提供者に記載について協力を求めることとする。ただし、国際共同治験(新規の医薬品の世界規模での開発及び承認を目指して企画される治験であって、一つの治験に複数の国や地域の医療機関が参加し、共通の治験実施計画書に基づき、同時並行的に進行するもの)において複数の国や地域に英文で記載された共通の治験薬を用いる場合であって、治験実施計画書にその旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、英文で記載することで差し支えない。なお、英文で記載する場合には、別途、邦文で記載された治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書(次に掲げる事項を含むもの)を作成し、治験薬管理者に交付するなど治験薬を適切に管理するための必要な措置を講じておくこと。また、多施設共同治験を実施する場合であって、治験実施計画書に、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び住所を記載する旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び住所を記載することで差し支えない。
(1)治験用である旨
(2)自ら治験を実施する者の氏名及び住所
(3)化学名(治験機器の場合は原材料名、治験製品の場合は構成細胞又は導入遺伝子)又は識別記号
(4)製造番号又は製造記号
(5)貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容
4 自ら治験を実施する者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器もしくは被包 (内袋を含む)には、次に掲げる事項を記載してはならない。ただし、被験者、治験責任医師等若しくは治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態にしていない治験薬を用いる治験又は拡大治験を実施する場合にあっては、この限りでない。治験薬を治験薬提供者から入手する場合は、治験薬提供者に記載について協力を求めること。
(1)予定される販売名
(2)予定される効能又は効果
(3)予定される用法又は用量
5 自ら治験を実施する者は、病院長との合意等を交わし、厚生労働大臣に治験計画の届出が受理されるまで、治験薬の提供を受けてはならない。ただし、平成15年5月15日医薬発第 0515017号医薬局長通知「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の一部の施行について」の記のⅢの(2)のイに掲げる薬物にあっては、病院長との合意等を交わし、治験計画の届出提出後30日を経過した後でなければ治験薬の提供を受けてはならな
い。なお、医療機器の治験の場合、治験機器の提供に際して、組み立て、据え付けが必要な治験機器であって、その作業が終了しなければ臨床で使用できないものについては、組み立て、据え付けが終了するまでは治験機器として提供したとはみなされない。
6 自ら治験を実施する者は、被験者、治験分担医師及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で入手した治験薬について、緊急時に、治験分担医師が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
7 自ら治験を実施する者は、治験薬の輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じておかなければならない。
8 自ら治験を実施する者は、治験薬又は治験使用薬に関する次に掲げる記録を作成し、又は入手しなければならない。
(1)治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録。ただし、これらの記録内容を確認できる文書がある場合は、当該文書で代用することができる。
(2)治験使用薬を入手し、又は治験薬提供者から提供を受けた場合にはその数量及び年月日の記録
(3)治験薬を他の実施医療機関に交付した場合は、その交付及び未使用治験薬の回収に関する記録
(4)治験使用薬の処分の記録
9 自ら治験を実施する者は、治験の実施の承認後遅滞なく、実施医療機関における治験使用薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。実施医療機関における治験使用薬の管理に関する手順書には、治験使用薬の受領、取扱い、保管、処方、未使用治験薬の被験者からの返却、未使用治験薬の処分が適切かつ確実に行われるよう、治験使用薬の管理に関わる者が従うべき事項を規定しなければならない。
10 自ら治験を実施する者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者に交付しなければならない。
(治験調整医師及び治験調整委員会)
第44条 自ら治験を実施する者は、多施設共同で治験を実施する場合には、当該治験実施計画書の解釈及びその他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱することができる。なお、当該治験実施計画書は、全ての治験責任医師が合意し各医療機関の長が承認したものでなければならない。
2 前項の治験の細目について調整する業務には、医薬品医療機器等法80条の2第2項に規定する治験の計画の届出、省令GCP第26条の6第2項及び第48条の第3項に規定する他の実施医療機関の治験責任医師への副作用情報の通知に関する業務、医薬品医療機器等法施行規則第273条に規定する厚生労働大臣への副作用等報告の業務、及びモニタリング、監査、治験薬の管理方法及び記録の保存等について、各実施医療機関の間で治験の品質においてばらつきが生じないよう調整する業務及びこれらの業務の委託業務を含むこととする。
3 本条第1項の規定により治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。
4 治験調整医師は、当該治験の分野において十分な経験を有し、多施設間の調整を適切に行いうる者でなければならない。治験調整医師は、治験責任医師の中から選定されることが考えられるが、必ずしも治験責任医師に限らないものとする。
第45条 自ら治験を実施する者は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で評価させ、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
2 自ら治験を実施する者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。
4 自ら治験を実施する者、治験責任医師及び治験分担医師、治験調整医師、治験審査委員会の委員、治験薬提供者及び実施医療機関の長は効果安全性評価委員会の委員になることはできない。
第46条 自ら治験を実施する者は、モニタリングに関する手順書を作成し、治験審査委員会の意見を踏まえて、当該手順書に従って、モニタリングを実施させなければならない。
2 モニターは、当該モニタリングの対象となる実施医療機関において当該治験に従事してはならない。
3 本条第1項に基づきモニタリングを実施する場合には、当院において実地に行わなければならない。ただし、例外的に他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。
4 モニターは、モニタリングの結果、実施医療機関における治験がGCP関連諸通知又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には、その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
5 モニターは、モニタリングを実地に実施したときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリグ報告書を自ら治験を実施する者及び当該モニタリングに係る実施医療機関の長に提出しなければならない。
(1)モニタリングを行った日付
(2)モニターの氏名
(3)モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
(4)モニタリングの結果の概要
(5)前項の規定により治験責任医師に告げた事項
(6)前項に規定する事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見
第47条 自ら治験を実施する者は、監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、治験審査委員会の意見を踏まえて、当該計画書及び手順書に従って、監査を実施させなければならない。
2 監査担当者は、当該監査に係る治験を実施する医療機関において当該治験の実施(その準備及び管理を含む。)及びモニタリングに従事してはならない。
3 監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを自ら治験を実施する者及び病院長に提出しなければならない。
第48条 自ら治験を実施する者は、実施医療機関がGCP関連諸通知又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(被験者の緊急の危険を回避するための逸脱の場合を除く。)には、当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を病院長に治験終了(中止・中断)報告書により通知しなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料が承認申請書に添付されないことを知り得た場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に開発の中止等に関する報告書により通知しなければならない。治験薬提供者は、自ら治験を実施する者が治験を実施した治験薬に係る医薬品についての製造販売承認申請に関する情報を自ら治験を実施する者に提供しなければならない。
第49条 自ら治験を実施する者は、治験を終了し、又は中止したときは、その結果等を取りまとめ た総括報告書を手順書に従って作成しなければならない。なお、多施設共同治験にあっては、各実施医療機関の自ら治験を実施する者が共同で作成することが出来る。
2 総括報告書には、当該治験に係る監査証明書を添付して保存しなければならない。
第50条 自ら治験を実施する者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を、治験薬提供者が被験薬に係る医薬品についての製造販売承認を受ける日(当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料が医薬品の製造販売承認の申請書に添付されないことを実施医療機関の長に通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止もしくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間、適切に保存しなければならない。
(1)治験実施計画書、承認書、総括報告書その他GCP関連通知により自ら治験を実施する
者が作成した文書又はその写し
(2)症例報告書、治験審査委員会の意見に基づき実施医療機関の長より通知された文書、その他GCPの規定及び本規則により実施医療機関の長、治験責任医師又は治験分担医師から入手した記録
(3)モニタリング、監査その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務の記録((2)及び
(5)に掲げるものを除く。)
(4)治験を行うことにより得られたデータ
(5)治験薬に関する次の記録
1)治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
2)治験使用薬を入手し、又は治験薬提供者から提供を受けた場合にはその数量及び年月日の記録
3)治験使用薬の処分の記録
2 当該記録の保存については、自ら治験を実施する者が病院長にその業務を依頼することができる。また、当該自ら治験を実施する者が当院に所属しなくなった場合については、病院長が当該記録の保存業務を担うことができるものとする。
第51条 CRCは、治験責任医師の指導・監督の下に、当該治験にかかわる業務を行う。
2 CRCは、治験責任医師が当該治験について「治験分担医師・治験協力者リスト」にて分担した業務を行う。
3.CRCは、当該治験にかかわる業務を行う際には、治験責任医師から当該治験における治験実施計画書などの必要な情報を得て、十分に理解した上で行うこととする。
第52条 次にあげる臨床試験についてはこの手順書を準用するものとする。
(1)医療機器の治験
(2)体外診断用医薬品の治験
(3)再生医療等製品の治験
(4)製造販売後臨床試験
2 前項第1号に規定する医療機器の治験を実施する場合には、第2条第1項の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)」に替え「医療機器の臨床試験の実施の基準の省令(平成17年厚生労働省令第36号)」を適用する。
3 第1項第1号に規定する医療機器の治験に本手順書を準用する場合には、「治験薬」を「治験機器」に、「治験使用薬」を「治験使用機器」に、「被験薬」を「被験機器」に、「副作用」を「不具合」に適宜、読み替えるものとする。
4 第1項第3号に規定する再生医療等製品の治験を実施する場合には、第2条 第1項の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)」に替え「再生医療等製品の臨床試験の実施の基準の省令(平成26年厚生労働省令第89号)」を適用する。
5 第1項第3号に規定する再生医療等製品の治験に本手順書を準用する場合には、「治験薬」を「治験製品」に、「治験使用薬」を「治験使用製品」に、「被験薬」を「被験製品」に、
「副作用」を「不具合」に適宜、読み替えるものとする。
6 第1項第4号に規定する医薬品等の製造販売後臨床試験に本手順書を準用する場合には、
「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と読み替えるなど、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)第56条に準じた読み替えを行うものとする。
第53条 本手順書の改正は、委員会の審議に基づき、病院長の承認により行う。
1.この手順書は2017年4月1日から施行する。
2.2018年10月10日一部改正
改正に伴い、藤田保健衛生大学病院治験支援部門細則(平成26年10月1日施行)は、廃止する。
3.2019年4月1日一部改正
4.2020年4月1日一部改正
改正に伴い、藤田医科大学病院治験取扱規程(平成10年4月1日施行)は、廃止する。
5. 2022年4月1日一部改正
6. 2022年12月1日一部改正
7. 2024年2月1日一部改正
改正後の第12条の規定は2023年9月1日から適用する。
以上