企 業 名 株式会社サンワ 所 在 地 岐阜県多治見市旭ヶ丘九丁目三番地の一 代 表 者 鈴木 加代子 事業内 容 国内外タイルの販売、タイル・石材の輸出、輸入販売 資 本 金 60,531 千円 設 立 1951 年 12 月 28 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2024 年 3 月 29 日
株式会社サンワとの
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 好岡 政宏)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、株式会社サンワ(代表取締役 鈴木 加代子)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
実 行 日 | 2024 年 3 月 25 日 |
融 資 金 額 | 50 百万円 |
期 間 | 5 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
企 業 名 | 株式会社サンワ |
所 在 地 | 岐阜県多治見市旭ヶ丘九丁目三番地の一 |
代 表 者 | 鈴木 加代子 |
事業内 容 | 国内外タイルの販売、タイル・石材の輸出、輸入販売 |
資 本 金 | 60,531 千円 |
設 立 | 1951 年 12 月 28 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
株式会社サンワ
ポジティブインパクトファイナンス評価書
2024 年 3 月 25 日
岐阜信用金庫は、株式会社サンワ(以下、「サンワ」)に対してポジティブインパクトファイナンス
(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫が開発し
た評価体系に基づいている。
目次
(3)社員のモチベーション向上と人材育成に資する取り組み 6
同社は岐阜県多治見市に本社を構えるタイル販売業者である。
企業名 | 株式会社サンワ |
本社所在地 | 岐阜県多治見市旭ヶ丘 9 丁目 4-3 |
代表者 | 代表取締役 鈴木 加代子 |
資本金 | 60,531 千円 |
売上高 | 1,080 百万円(2023 年 12 月期) |
設立 | 1951 年 12 月 28 日 |
事業内容 | 国内外タイルの販売、タイル・石材の輸出、輸入販売 |
従業員数 | 29 名(2024 年 1 月現在) |
創業以来培ってきた知識、経験豊かなスタッフと幅広いパイプを活用し、多種多様な材質・デザイン・様々な機能性タイルを国内外へと安定供給している。
1932 年 3 月 | 元会長・鈴木計男が満州国奉天において「三光タイル店」を開業し、 建築材料、タイル、衛生陶器、付属器具、暖房器具の販売業を開始。 |
1946 年 10 月 | 終戦とともに引き揚げ、多治見市三笠町 2-11 で タイル製造の「三和建材」を個人創業開始。 |
1951 年 12 月 | 法人に改組し、(株)三和建材社を設立。 初代代表取締役に鈴木計男が就任。 |
1955 年 4 月 | 多治見市平和町において、陶磁器製造業を開始し 主力商品のアイボリーチャイナの製造を開始。輸出市場の開拓に着手 |
1963 年 4 月 | 可児郡御嵩町顔戸の土地を購入し工場を建設。 |
1964 年 5 月 | 「御嵩工場」としてタイルの製造を開始。 |
1965 年 1 月 | モザイクタイルメーカーの菱和製陶(株)を吸収合併し、「瀬戸工場」とする。 |
1971 年 12 月 | 本社社屋を新築。 |
1972 年 2 月 | 鈴木計男が代表取締役会長となり、代表取締役専務の鈴木秀雄が 代表取締役社長に就任。 |
1975 年 2 月 | 資本金 57,648,500 円に増資 |
1975 年 9 月 | 代表取締役会長 鈴木計男が死去。 |
1983 年 2 月 | 瀬戸工場を閉鎖。 |
1983 年 4 月 | (株)三和建材社から(株)サンワへ商号変更。 |
1985 年 7 月 | 資本金 60,531,000 円に増資。 |
1987 年 8 月 | 御嵩工場の施釉設備を無釉設備に切り替え。 |
1989 年 10 月 | 鈴木秀雄社長が急死、妻 鈴木加代子が代表取締役社長に、 鈴木恵吾が代表取締役副社長に就任。 |
1990 年 12 月 | 御岳工場を閉鎖。 |
1994 年 4 月 | 鈴木恵吾が代表取締役に就任。鈴木加代子は顧問に就任。 |
2002 年 2 月 | 鈴木恵吾が急死。鈴木加代子が再び代表取締役社長に就任。 |
①経営理念
②組織体制
経理総務部
貿易部
代表取締役
同社では建築用タイルを主要商材とし、多種多様な材質・デザイン・様々な機能性タイルを国内外より仕入れるとともに加工事業者によるアレンジを加え、デザイン性を損ねることなく高品質で安価なタイルを安定供給している。また、海外からの輸入体制を構築することで、海外製タイルの品質を見極め、国内事業者が求める建築関連資材の仕入れに貢献している。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【顧客ニーズの実現に貢献するタイル製品の供給】
・顧客ニーズにあわせた多種多様な材質・デザイン・様々な機能性タイルからの最適なタイル製品の選定、提案を実施
・タイルの使用箇所にあわせたタイルへのアレンジ(加工については外注利用)を通じたデザイン性を維持した状態での高品質かつ安価なタイル製品の供給
・自社オリジナル高品質タイル製品(製造は外注)である「アンドレ」シリーズの企画開発、供給
同社オリジナルタイルとして企画開発した「アンドレ」シリーズは、建物内外装に使用しやすい機能、デザインであり、全 8 色のカラーバリエーションにて多様な施工現場に対応できる製品としている。 |
【海外からの建築関連資材の調達による国内ニーズ実現への貢献】
・国内規格では製造が困難な大型サイズのタイルやデザイン性に富んだタイルを、同社が海外展示会等を視察し、品質を見極めた上で製品を輸入
同社では卸売業として徹底した在庫管理により廃棄ロス発生に伴う廃棄物削減に取り組むとともに、海外製造拠点と国内販売拠点間の商流の効率化に取り組むことでサプライチェーン全体としての環境負荷抑制に取り組んでいる。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【製品リサイクル、再加工等を通じた廃棄物削減の推進】
・製品輸送用資材の再利用、パッケージ簡略化の推進
・輸入時に発生が避けられないタイル割れ端材を活用したサンプル品製作
・在庫管理の徹底を通じた廃棄ロスの削減を実施し、廃棄タイルについては集約し廃棄業者に引き渡すことでの適正処理を徹底
・製品カタログの電子化を通じた紙媒体発行部数の削減
【業務効率化等を通じた環境負荷抑制への取り組み】
・自社倉庫を活用することで在庫をストックすることが可能となり、海外拠点から定期的な輸入を実現し効率的な製品輸入を実施
(船便にてコンテナ単位かつ混載便を活用した無駄のない輸送の実施)
・国内販売エリアにおける輸送ルート整備やタイル製品の取り扱いを得意とする運送会社選定を通じた効率的な製品発送体制の整備により製品輸送に伴う CO2 排出量削減への貢献
・社内照明環境の LED 化推進を通じた電力量削減
・営業車のハイブリット車採用の推進を通じた事業活動に伴う CO2 排出量削減
同社では一人ひとりの従業員がやりがいを持ち、いつまでも安心して働くことのできる職場づくりに取り組んでいる。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【多様な人材が働き続けられる職場環境の整備】
・再雇用制度、育休制度、産休制度等の整備活用を通じた多様な人材の雇用機会の創出
・有給休暇の計画付与を通じた従業員のワーク・ライフ・バランス確保
・短時間勤務制度の積極活用による多様な人材の雇用機会の創出
【充実した福利厚生制度】
・年 1 回のインフルエンザワクチンの会社負担での従業員接種の推進
・昼食費用の一部負担制度など福利厚生制度の充実
【従業員のスキルアップ支援環境の整備】
・業務の標準化、マニュアル化を通じた従業員のスキルアップ支援、多能工化の推進
・業務上必要となる免許や資格取得に加え、PC 関連スキルや外国語・マナー・コミュニケーション講習などの受講支援
・月次での営業目標会議を通じた個々の従業員の目標設定、実績振り返りの機会の創出
同社では創業以来、日本の焼き物文化伝承の地「東濃」地域においてタイル販売を展開してきた。
<.. image(タイル張りの床 中程度の精度で自動的に生成された説明) removed ..> | 同社では創業 70 年以上の経験から培ってきた知識、ノウハウと常に更新し続けている高品質なタイル製品仕入先の確保を通じ、多様なタイル製品を取り揃え、顧客ニーズにあわせた最適なタイル製品の提案を可能としている。 |
現在では、国内外タイルメーカーから高品質なタイル製品を仕入れ、内装・外装・水回りなど顧客ニーズ、施工箇所にあわせた最適な製品を提案、供給していることに加え、輸出商社を経由しタイル製品をアメリカ等海外へも販売している。
卸売業としての同社の強みは、豊富な製品バリエーションを実現する国内外の多様な仕入先の確保、常時 50 種類以上のタイルを保管する倉庫機能、タイル製品の輸送を得意とする輸送事業者との連携体制に加え、施工に関しても確かな技術と知識を保有するスタッフによる仕上がりのイメージやデザインだけでなく施工の専門的な視点からの相談対応力にある。
創業以来、職人の目線で品質にこだわり続け、高い水準の製品のみを取り扱ってきた同社では高い技術でデザインのアレンジなどを行い、バリエーション豊かな建材をリーズナブルに供給しており、同社企画によるオリジナルタイルブランドである「アンドレ」(製造については外部委託)も展開し ている。
また、近年では建築物の高意匠化、高機能化への対応が求められる中で、タイルの持つ耐久性の高さ、耐火性の高さといった特長を生かしながら一見タイルに見えないような製品が求められるケ ースや、曲面へのタイル施工ニーズ、点字タイルの施工ニーズなど、顧客のニーズは多様化しており、同社ではこれら多様化するニーズに対しきめ細やかな提案、対応により受注先からの信頼を獲得 している。
同社では左図に示すような様々なデザイン、機能性のタイルラインナップを取り揃え、顧客からの要望に合わせた製品を国内外多様な仕入先より供給している。 同社が供給するタイルは、住宅や店舗、施設など、様々な施工に活用され、確かな品質のタイル製品の安定供給体制に高い評価を得ている。 |
インパクトの特定のため、同社主力事業についてバリューチェーン分析を実施した。
同社は国内外タイルメーカーより高品質な内外装用タイル製品を仕入れ、卸売業として製品の一時保管機能、建築事業者等への提案販売機能を担っている。
また、輸出商社等を経由してアメリカ合衆国等海外向けのタイル製品の販売も手掛けている。 常時50 種類以上の製品在庫の保有体制、国内外の多様なタイルメーカーからの仕入れ体制、タイル製品の輸送取り扱いを得意とする運送協力会社の確保による安定供給体制と、長年タイル製品を取り扱ってきた中での施工を含めた製品知識、ノウハウによる提案力が同社の優位性となっている。
さらに、海外タイルメーカーとの安定した取引体制を構築している同社では、一括調達による海外輸入製品へのコストメリットも発揮しており、同業他社となる建築資材販売事業者からの要請により海外製タイル製品の輸入代行を手掛けるケースもあるなど、海外からの建築資材の調達に貢献している。
同社のバリューチェーン図(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業および川上・川下の事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については「建築材料、金物類及び配管・暖房設備器具卸売業(ISIC:4663)」を、川上の事業については「コンクリート製品、セメント製品及び石膏製品製造業(ISIC:2395)」を、川下の事業については「建築工事業(ISIC:4100)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
川上の事業 | 同社の事業 | 川下の事業 | ||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2395】 コンクリート製品、セメント製品及び石膏製品製造業 | 【4663】 建築材料、金物類及び配管・暖房設備器具卸売業 | 【4100】建築工事業 | |||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||
食糧 | ||||||
住居 | ○ | ○ | ◎ | |||
健康・衛生 | ○ | ○ | ○ | |||
教育 | ||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ○ | ○ | ○ | |||
移動手段 | ||||||
情報 | ||||||
文化・伝統 | ○ | |||||
人格と人の安全保障 | ○ | |||||
正義・公正 | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||
水(質) | ○ | ○ | ○ | |||
大気 | ○ | ○ | ○ | |||
土壌 | ○ | |||||
生物多様性と生態系サービス | ○ | ○ | ||||
資源効❹・安全性 | ○ | ○ | ||||
気候 | ○ | ○ | ◎ | |||
廃棄物 | ○ | ○ | ◎ | |||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ||||
経済収束 | ○ |
上表のうち、同社事業における「エネルギー」「水(質)」については同社事業活動との関連性が希薄と判断され、また、川上の事業については同社事業活動が与える影響については軽微なものとなるため分析を省略している。
川下の事業については「住居」のみ分析対象としているが、同社の事業と内容が重複するため記載を省略し、その他のカテゴリは同社が与える影響が軽微であり、分析を省略している。
同社の事業 建築材料、金物類及び配管・暖房設備器具卸売業(ISIC:4663)
PI | 「住居」「健康・衛生」「雇用」 |
NI | 「雇用」「大気」「生物多様性と生態系サービス」「気候」「廃棄物」 |
【社会面】
◆「住居」「健康・衛生」
建築材料の安定供給を通じて住居建築を支えるという PI を与え、また自然素材であるタイルを住居素材として積極的に使用することにより、清潔かつアレルゲンの蓄積を抑制するなど、住民の健康と衛生を増進させるという PI が発現する。
同社では長年培ったタイルに対する製品見極めにより国内外のタイルメーカーから意匠性、機能性に富んだタイル製品を仕入れ、建築事業者等に安定供給する体制整備を通じて PI を拡大している。意匠性に関しては、内装・外装・水回りなど顧客ニーズに合致する製品ラインナップを展開し、建築物に求めるデザインイメージの実現に貢献している。機能性に関しては、加工によるすべり止め効果や抗菌効果など用途に応じて求める機能を選択できる製品を供給し必要機能の実現に貢献している。
上記は SDG3「すべての人に健康と福祉を」、SDG11「住み続けられるまちづくりを」に該当する。
□「3.9:2030 年までに、有害物質や大気・水質・土壌の汚染による死亡や疾病の数を大幅に減らす。」
◆「雇用」
従業員の雇用の創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NI が発現する。
同社では再雇用制度、育休制度、産休制度等の整備活用や、有給休暇の計画付与による消化率向上を通じて多様な人材が働き続けやすい職場環境を形成している。全体の 30%を超える女性従業員も安心して仕事に従事できる体制を整えることでPI を拡大している。また業務の標準化、マニュアル化を通じて従業員の多能工化を推進することで過度の長時間労働を抑制するなど、労働形態の改善を通じてNI を緩和している。さらに、インフルエンザワクチンの接種費用の負担など、健康面を配慮した福利厚生制度を整備し NI を緩和している。
上記は SDG5「ジェンダー平等を実現しよう」、SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
【環境面】
◆「大気」「生物多様性と生態系サービス」「気候」
製品輸送過程や保管過程において発生する温室効果ガスが気候変動や大気汚染に悪影響を与え、生態系に対する悪影響につながるという NI が発現する。
同社では自社倉庫の活用や同業者との混載便の実現により、海外拠点からの効率的な製品輸入を実現し、環境負荷低減に貢献している。また、国内販売における効率的な製品発送体制の整備や社内照明環境の LED 化推進、営業車のハイブリッド化を通じて製品輸送、保管に伴う環境負荷を抑制し、NI を緩和している。
上記は SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
◆「廃棄物」
販売時の過剰包装は廃棄物の増加を招くという NI が発現する。
同社では製品輸送用資材の再利用、パッケージ簡略化を通じて NI の緩和に努めており、また在庫管理の徹底を通じた廃棄ロスの削減を図るとともに廃棄物については適正に処理することで NI を緩和している。
また、タイル割れ端材を活用したサンプル品製作や製品カタログの電子化を通じた紙媒体発行部数の削減への取り組みを通じて事業活動に伴い発生する廃棄物の削減を図り、NI を緩和している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.2:2030 年までに、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用を実現する。」
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
□「12.5:2030 年まえに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。」
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
雇用創出
地域住環境向上
SDG5 SDG8
SDG3 SDG11
地域住環境向上
SDG11
ポジティブインパクト
環境負荷
労働負荷
SDG12 SDG13
SDG8
ネガティブインパクト
以上を踏まえて同社のインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
「多様なタイル製品供給を通じた居住空間の創出への貢献」
「環境に配慮した継続的な事業環境整備、改善」
「多様な人材がやりがいをもって働き続けられる職場環境づくり」
① 多様なタイル製品供給を通じた居住空間の創出への貢献:SDG11
・顧客ニーズを満たすタイル製品の供給
同社ではタイル製品を主要製品とする卸売業として多種多様な材質・デザイン・様々な機能性タイルを国内外より仕入れ、高品質で安価なタイルを安定供給することで居住空間の創出に貢献している。
海外からの輸入に関しては、同社が現地で品質を確認することで、顧客ニーズに合致する製品の調達を実現している。
・安定供給によるまちづくりへの貢献
永久不変の建材であるタイルを建物の内外装に使用することは、住居等建築物の耐久性能、耐震性能の向上へとつながり、国内における安心、安全なまちづくりへの貢献している。
今後においては、将来的に新築需要が停滞することが予測される国内向け卸売り販売の維持に向けた取り組みに加え、市場規模拡大に向けて海外向け輸出についても強化し、高品質なタイル製品を用いた街づくりを下支えすることで社会、環境に貢献する取り組みを推進していく。これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「住居」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大すると考えられる。
② 環境に配慮した継続的な事業環境整備、改善:SDG12
同社では卸売事業者として海外からの最大効率での製品輸入や国内販売エリアへの効率的配送体制の整備を通じて製品の安定供給と環境負荷抑制を両立している。
また、社内照明設備の LED 化推進等を通じて消費電力の抑制や製品カタログの紙媒体から電子媒体への移行、営業車のハイブリッド化などを推進することで環境負荷を抑制している。 加えて、製品販売時のパッケージングにおいても梱包資材の再利用やパッケージング自体の簡略化により廃棄物の発生を抑制している。
さらに、在庫管理の徹底による廃棄ロス発生の回避、タイル割れ端材を活用したサンプル品製作により卸売事業の展開に伴う廃棄物の発生を抑制している。
今後においても、在庫管理、販売予測の高度化を図っていくことで製品の廃棄ロスを抑制していくとともに、製品販売時のパッケージングの簡略化、エコ素材化の推進を図っていく方針としており、これらの取り組みを通じて、高品質なタイル製品の安定供給を実現しながらも環境負荷抑制への貢献を強化していく。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「廃棄物」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和すると考えられる。
③ 多様な人材がやりがいをもって働き続けられる職場環境づくり:SDG8
・業務効率化を通じた従業員のワーク・ライフ・バランス確保の推進
業務の標準化、マニュアル化の推進を図ることで従業員ごとの業務量の偏りを防止し、過度の長時間労働抑制に努めている。
今後においても業務効率化に資するシステム化や業務改善に継続的に取り組むとともに、人材の適正配置の推進、社内キャリアプランの体系化を図っていくことで特定の従業員への業務負荷の集中を回避するとともに、すべての従業員がやりがいを持ちながら働き続けやすい職場環境の形成に取り組んでいく方針である。
・多様な人材の雇用促進
同社では再雇用制度、育休制度、産休制度等の整備活用や、有給休暇の計画付与による消化率向上を通じて多様な人材が働き続けやすい職場環境の形成に努め、多様な人材の雇用を促進し、地域における雇用創出に貢献している。
今後においても、多様な人材が働ける環境の整備、改善に継続的に取り組むことで、地域の雇用を守り、持続可能な地域経済への貢献を強化していく。
これらの取り組みを通じて、社員が健康的で働きがいをもって働ける職場環境を整備し、一人ひとりの成長を促すことが可能となる。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大し、社会的側面の NI を緩和すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 3 点である。
「 8:働きがいも経済成長も」
「11:住み続けられるまちづくりを」
「12:つくる責任、つかう責任」
国内における SDG ダッシュボード上では、「12」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては
「重要な課題が残る」、「11」に関しては「課題が残る」とされており、同社の高品質タイル製品の安定供給を通じた居住空間の創出への貢献への取り組み、環境に配慮した事業活動への取り組み、従業員がやりがいを持って働き続けられる職場環境形成への取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② アメリカ合衆国におけるインパクトニーズ
同社輸出売上の主力はアメリカ合衆国向けのものであり、アメリカ合衆国における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 3 点である。
「 8:働きがいも経済成長も」
「11:住み続けられるまちづくりを」
「12:つくる責任、つかう責任」
アメリカ合衆国における SDG ダッシュボード上では、「12」に関しては「大きな課題が残る」、「8」、
「11」に関しては「重要な課題が残る」とされており、同社の高品質タイル製品の安定供給を通じた居住空間の創出への貢献への取り組み、環境に配慮した事業活動への取り組み、従業員がやりがいを持って働き続けられる職場環境形成への取り組みなどが、アメリカ合衆国におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
③ 岐阜県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する岐阜県を中心に行われていることから、「岐阜県 SDGs 未来都市計画」を参照し、岐阜県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、岐阜県では「<環境>美しい清流とそれを育む豊かな森の保全と活用」、「<経済>
「清流の国ぎふ」ブランドと変化に強い地域経済の確立」、「<社会>誰もが活躍し生きがいを感じられる地域社会の構築」を 2030 年のあるべき姿と設定し SDGs 達成に向けた課題を設定しており、同社の高品質タイル製品の安定供給を通じた居住空間の創出への貢献への取り組み、環境に配慮した事業活動への取り組み、従業員がやりがいを持って働き続けられる職場環境形成への取り組みなどが、岐阜県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
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(出典:岐阜県第 2 期 SDGs 未来都市計画の概要)
➃ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目を SDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した当社のインパクトである「多様なタイル製品供給を通じた居住空間の創出への貢献」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)、(3)と、「環境に配慮した継続的な事業環境整備、改善」については「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)、(3)と、「多様な人材がやりがいをもって働き続けられる職場環境づくり」については、「ぎふしんSDGs 宣言」の
(3)と親和性があり、相互に協力し合うことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本件 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■多様なタイル製品供給を通じた居住空間の創出への貢献
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「住居」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・海外向けタイル販売事業の拡大に向けた、国内タイルメーカーと連携した新製品タイル製品の開発推進 ・海外向けタイル販売事業の拡大に向けた、輸出商社と連携した市場ニーズ調査、販路開拓の実行 ・国内向け販売量の維持に向けた市場ニーズ調査、仕入れ製品のブラ ッシュアップ |
目標とKPI | ・2028 年 12 月期までに、年間売上高 13 億円以上を達成する。 ・2028 年 12 月期までに、海外向けタイル販売事業売上高 4 億円を達成する。 |
■環境に配慮した継続的な事業環境整備、改善
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「廃棄物」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・製品発送資材、パッケージングの簡略化、再利用の推進 ・廃棄ロス削減に向けた在庫管理、販売予測の高度化のための継続的な改善活動の実施 |
目標とKPI | ・2026 年 12 月期までに、年間のタイル廃棄ロス量の推移を把握できる仕組みを構築する。 ・2028 年 12 月期までに、把握した廃棄量推移に基づく対策を定め、 目標を設定のうえ、ロス削減に向けた取り組みに着手する。 |
■多様な人材がやりがいをもって働き続けられる職場環境づくり
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 社会的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・従業員の意見を取り入れながら多様な人材が働き続けられる環境の継続的な労働環境の整備、改善の推進 ・健康経営優良法人認定の取得、これに伴う労働環境の整備改善 ・業務の標準化、マニュアル化の推進、社内研修体系、社内キャリアプランの体系化を図りながらの人材の適正配置の推進 ・業務の効率化や従業員の多能工化に資する改善活動の推進、シス テム化検討の推進 |
目標とKPI | ・2025 年 12 月期において、健康経営優良法人認定を取得し、以降認定を継続する。 ・2028 年 12 月期において、従業員の平均有給休暇消化率 60%を 達成する。 |
同社では、鈴木社長と鈴木取締役を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びにKPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役社長 | 鈴木 加代子 |
プロジェクトリーダー | 専務取締役 | 鈴木 嵩彬 |
本PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 5 年間 (2029 年 3 月 25 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、株式会社サンワから提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
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