イークラウドが提供する株式投資型クラウドファンディング(以下、ECF)の多くの案件においては、投資家1の皆さまに「株主間契約」を締結していただくこととしており ます。
株主間契約について
イークラウドが提供する株式投資型クラウドファンディング(以下、ECF)の多くの案件においては、投資家1の皆さまに「株主間契約」を締結していただくこととしております。
案件に投資いただくためには、この株主間契約の締結が必須となりますので、以下ゆっくりご説明いたします。
株主間契約によって起こりうること
株主間契約を締結すると、投資家の皆さまには何が起こりうるのでしょうか。
簡単な例で申し上げれば、例えば経営者などが売却請求権2を行使することでECFを通じて株主になった全株主に、株式を売却する要請が出る可能性があります。
株主間契約の意義
投資家の皆さまが投資を検討されている非上場企業は、設立されて日の浅い企業であり、資本・ビジネスモデルほか、さまざまな要素が未成熟です。
これら企業は、成長していくためにECFで資金調達を行いますが、調達後順調に成長したとしても、追加の資金が必要になるケースが大半です(事業が順調なほど、追加資金が必要になる傾向があります)。
成長過程での資金調達方法には、借入れも含めさまざまな方法があります。ある程度の規模に育ち、事業の特異性も発揮できれば、例えば大手企業やベンチャーキャピタル(VC)などが資本参加を行おうとするケースなども考えられます。また、事業そのものを取り込もうと企業同士のM&Aで対応するかもしれません。
1 文中では「投資家」と表現していますが、規程では投資者と記載しております。
2 売却請求権: 発行会社が買収提案等に応じるに際し、経営株主が株式型ECFを通じて株主になった方々に発行会社株式の売却を請求すること
ただしそのような段階は、投資家の皆さまの多くが期待されているIPOにはまだまだ遠く、その行く末は定かではないことが大半です。一方で、相応に企業価値が高まっている段階でもあります。
また別のケースとして、IPOには遠い状態でも相応の企業価値が生まれた場合、企業の経営者は自分の人生の次のステップを考えて、資金調達ではなく会社そのものの売却を検討するかもしれません。
このような状態、つまり、投資家・起業家にとってなんらかの姿で現金化が実現することをイグジット(EXIT)と 呼びます。
ECFで資金を調達したベンチャー企業のイグジット手段はIPOだけではなく、M&Aや事業売却など他の手段も重要な選択肢となります。
下のグラフをご覧ください。
ベンチャー投資先のIPO及びM&A件数の日米比較
(日本は年度、米国は暦年)
(出所)株式会社三菱総合研究所による委託調査報告書
(経済産業省ホームページ掲載)
グラフからもわかるように、日本におけるM&Aによるイグジットの比率は米国に比べ多少
の変化は見られるものの、少ない状況です。
ベンチャー投資の主体や考え方が異なる米国と、ECFですら緒についたばかりの日本とでは比較が困難とも思いますが、IPOに至る可能性はどちらの国も低く、投資家の皆さまには、他の形でのイグジットも念頭に置いた投資スタイルが必要になるのではないでしょうか。
株主間契約がない場合、何が起こりうるか
皆さまが投資した企業が資金調達や事業売却を考える局面を迎えたとき、自分たちの株式にもそれなりの価値が生まれたと喜ばしく思うかもしれない一方で、IPOに至らなかったことを残念に思う方もいるかもしれません。
芽を出したばかりの企業に投資して、具体的な果実が手に入るのであれば良しとする方もいれば、将来の成果につながらないリスクを負ってもIPOの夢に賭けたい、と考える方もいるでしょう。イグジット手段の重要性については、企業という同じ船に乗っている株主としては同じように重みを持ちますが、その考え方は投資家によって異なるのではないでしょう か。
このような時、株主間契約が定められていないとしたら、何が起こりうるでしょうか?
例えば買収のケースでご説明しますと、少数株主も含めた全株主の協力が得られなければ、以下のように実行スケジュールへの支障などにより実現が困難となる可能性があります。
① 買収が株式譲渡の形で行われるケース
各株主と株式譲渡契約を締結する必要があることから、一部の株主が株式譲渡契約の締結を拒否すると、100%買収の実現が困難となります。
② 買収が、株式交換、株式移転、合併等の企業再編行為により行われるケース
原則として株主総会における特別決議により実現が可能ではあるものの、一部の株主の協力が得られない場合、反対株主の株式買取請求権の行使等により買収のスケジュールに大きな影響が生じる可能性があります。
このように、株主の数が増加するECFの特性ゆえに、株主によって期待しているキャピタルゲインの対価が異なる場合もあり、買収にあたり全株主の賛成を得ることが困難となる可能性があります。
私たちイークラウドは、ECFによる調達後にベンチャーキャピタル等からより規模の大きな資金調達を行い事業の成長加速を目指す際に、円滑に資金調達を行える仕組みや、新しい成長分野を求める企業などによるM&Aや事業売却に応じる際に、円滑な対応が行える仕組みが必要と考えております。これは、投資いただいた株主の方々の利益にもつながる仕組みと考えます。
もう一度話を振り返ります。
もちろん全ての企業がIPOに至ったり、買収価値が生まれたりするとは限りませんが、将来を期待して投資されたのであれば、いずれの形であれイグジットが具体化した際の手当てがされていることは大切なことです。
イークラウドはプラットフォームとして、成長期待のある企業への投資機会を投資家の皆さまに提供する方向に相違はありません。
それはそれとして、一般的にベンチャー企業がIPOに至る可能性は極めて低いことは現実です。一方で、この株主間契約のご説明の過程で、M&Aなどの可能性が高いと誤解されませんよう改めてお伝えいたします。
投資家の皆さまにおかれましては、いろいろな姿のイグジットの可能性をご認識いただき、時には売却請求権の発動により株主となった方の権利が意図せず制限される可能性もある現実もご理解されたうえで投資されますよう、お願い申し上げます。
株主間契約(サンプル)
URL: xxxxx://xxxxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxx-xxxxxxxxx-xxxxxx.xxx