Ⅰ 設計変更ガイドライン P.4~P.30
小牧市設計変更ガイドライン
令和2年10月
(令和3年4月1日一部改訂)小牧市総務部契約検査課
1
建設工事の施工は、複雑かつ多様な自然・社会・環境条件の下において行う特殊性がある。このため、工事の進捗と共に契約時点で設計図書に定められた条件が、現地の条件と異なってしまう場合や、予測できない状況により施工方法や使用材料等の設計内容に変更が生じる場合がある。
改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
小牧市では、「小牧市工事請負契約約款」(以下「約款」という。)において設計変更の手続きを定め、また、
「小牧市設計変更事務取扱要領」(以下「要領」という。)では設計変更及びこれに伴う契約変更の取扱いについて必要な事項(変更理由、変更の範囲、手続及び様式)を定めている。
「小牧市設計変更ガイドライン」は、約款・要領等の手続きの流れをまとめ、設計変更が可能なケース・不可能なケース等について一般的な考え方をまとめ、請負者・発注者の共通の目安とすることにより、設計変更に係る業務が適切に実施されることを目的として策定したものである。
Ⅰ 設計変更ガイドライン P.4~P.30
Ⅱ 参考資料 P.31~P.64
Ⅰ 設計変更ガイドライン目次
1 設計変更ガイドライン策定の背景・・・・・・・P.5 (1)建設工事の特徴
(2)発注者・請負者の留意事項 (3)適切な設計変更の必要性 (4)ガイドライン策定の目的 (5)ガイドラインの適用範囲
2 設計変更が適切に実施されるためには・・・・・P.7
3 設計変更手続きフロー・・・・・・・・・・・・P.8
4 設計変更が不可能なケース・・・・・・・・・・P.11
5 設計変更が可能なケース・・・・・・・・・・・P.12 (1)基本事項及び留意事項
(2)要領による変更理由
(3)設計変更による契約変更の範囲及び手続き (4)契約変更の手続き
6 約款第19条第1項の手続き・・・・・・・・・P.18 (1)設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に
対する質問回答書が一致しない場合の手続き (2)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き (3)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
(4)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
(5)設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合の手続き
(6)工事中止の場合の手続き
(7)請負者からの請求による工期の延長の手続き (8)発注者の請求による工期の短縮の手続き (9)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
7 指定・任意の運用・・・・・・・・・・・・・・P.27
8 指定と任意の考え方・・・・・・・・・・・・・P.28
9 設計図書の照査について・・・・・・・・・・・P.29
(1)建設工事の特徴
当初積算時に予見できない事態、例えば土質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
建設工事では、個別に設計された極めて多岐にわ たる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境 条件の下で生産されるという特殊性を有している。
(2)発注者・請負者の留意事項
発注者は
設計積算にあたって、工事内容に関係する現場条件については、特記仕様書の条件明示の項目に記載するよう努めること。
請負者は
工事の着手にあたって設計図書を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合についても、条件変更の確認請求手続きを行うことが重要である。
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るよう努める。
『発注関係事務の運用に関する指針』P.3抜粋
(3)適切な設計変更の必要性
公共工事の品質確保の促進に関する法律の基本理念に「公共工事等における請負契約(下請契約を含む。)の当事者が、各々の対等な立場における合意に基づいて、xxな契約を適正な額の請負代金で締結」すること及び発注者の責務として「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合等、必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期等の変更を行うこと」が規定されている。
また、要領に定めるとおり、設計変更による累計増加額が当初契約金額の30%を超えるものであっても、一体施工の必要性から分離発注できないものついては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負金額又は工期の変更を行うこととする。この場合において、特に、指示等で実施が決定し、施工が進められているにも関わらず、累計増加額が請負代金額の30%を超えたことのみをもって設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負金額や工期の変更を行わないことはあってはならない。
(4)ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と請負者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について共通の認識を持ち、十分理解しておく必要がある。
小牧市が発注する土木・建築のすべての工事に適用する。なお、工事とは、本体工事及び仮設工事、またはそれらの一部をいう。
(5)ガイドラインの適用範囲
◆設計変更が適切に実施されるためには
(現場で施工する内容に見合った設計変更とするためには)
発 注 者
請 負 者
工事発注段階では、条件明示を徹底する。
施工段階では指示・協議は書面にて約款第19条第3項により調査の終了後14日以内に関係部署との調整を 行ったうえで回答する。
工事の着手にあたって設計図書を照査し、疑義が生じた場合は、速やかに約款第19条第1項による発注者に確認を請求し、書面にて回答を得てから施工を行う。施工途中でも同様。
・積算前の現地調査
・条件明示項目の記載の有無の確認
・ワンデーレスポンス※に基づく速やかな意思決定及び回答を行う
・愛知県作成の「設計図書の照査要領(案)」の活用
・工程を考慮した早い段階での確認の請求
※・請負者が発議した打合せ簿に対して速やかに回答する
・回答が遅れる場合は、回答予定日を連絡する 等
請 負 者
発 注 者
請負工事の契約成立
【約款第19条第1項】
設計図書の変更
(発注者が設計図書の変更を必要と認めたとき)
【約款第20条】
条件変更等
【土木工事標準仕様書1-1-3】
【土木工事標準仕様書、特記仕様書等】
設計図書の照査等(請負者)設計図書の照査要領(案)
請負者からの設計図書の条件変更の確認請求
照査結果の報告(請負者) 通知(請負者)
内容の確認(発注者)
工事目的物の変更を伴うもの
指定仮設の変更
工事目的物の変更を伴うが請負者の都合によるもの 任意仮設の変更
【約款第20条】
設計図書の変更(発注者)
【約款第20条】
【約款第19条第4項】
設計図書の訂正又は変更(発注者) 設計図書の変更は行わない
凡例
要領第5条に規定する設計変更通知書(様式第6)にて変更内容を通知
発注者
【約款第20条】
【約款第19条第5項】
請負者
工期若しくは請負代金の変更 工期若しくは請負代金の変更
・軽微な設計変更は施工後に請負代金額及び工期の変更協議を行うため、概算金額については別途工事打合せ簿にて通知する。 8
・それ以外は、契約変更の手続きをその都度行う。
◆その他「約款」に記載されている設計・契約変更の対象となる条項
第 9条:特許xxの使用第16条:支給材料
第18条:設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等第21条:工事の中止
第21条の2:著しく短い工期の禁止
第22条:請負者の請求による工期の延長 第23条:発注者の請求による工期の短縮等
第26条:賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更第27条:臨機の措置
第28条:一般的損害
第30条:不可抗力による損害第35条:部分使用
9
3 設計変更手続きフロー(約款第19条関係)
①設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと
②設計図書に誤謬又は脱漏があること
③設計図書の表示が明確でないこと
④工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
⑤設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと
請負者
発注者
上記の一つに該当する事実を発見 上記の一つに該当する事実を発見
約
款第
1 調査結果のとりまとめ
9 要領第5条に規定する条件変更確認通知書(様式第4)条 により通知:(とるべき措置の指示含む)原則14日以内 に
よ
発注者:調査の実施
請負者:立会い
要領第5条に規定する通知事項等
を工事打合簿に添付し提出
意見受理
る 必要があると認められるとき
設 は設計図書の訂正又は変更
計
変 設計図書の訂正 設計図書の変更
更
の
手 要領第5条に規定する設計変更通知書(様式第6)にて変更内容を通知
続
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金の変更
発注者において工事目的物の変更を伴わないと判断した場合は協議
凡例
発注者
通知 受理
請負者
工事打合簿にて概算金額を通知 受理
契 変更図面・特記仕様書・変更数量計算書等の変更設計図書の作成
約
変 協議①工期の変更
指示・協議内容・現地条件と適合しているか確認
更 ②請負代金額の変更
の
手 10
続 契約締結(協議の成立)
【基本事項】
◆下記のような場合は、原則として設計変更ができない。
(ただし約款第27条(臨機の措置)での対応の場合はこの限りではない)
1.契約図書に条件明示のない事項において、発注者に条件変更の確認請求を行わず請負者が独自に判断して施工を実施した場合。
対応例)請負者は約款第19条第1項に該当する事項等を発見したときは、その事実が確認できる資料を要領第5条に規定する工事打合簿により監督員に提出し確認を求める。
2.発注者に条件変更確認請求通知書を提出しているが、条件変更確認通知書による回答がない時点で施工を実施した場合。
対応例)条件変更確認通知書による回答は、発注者が約款第19条第3項により調査の終了後14日以内にすることとなっており、速やかな回答は発注者の責務である。しかしながら、条件変更の確認内容によっては各種検討・関係機関調整が必要など、やむを得ず請負者の意見を聴いたうえで回答までの期間を延長する場合もある。その為、請負者はその事実が判明次第、出来るだけ早い段階で条件変更の確認請求手続きを行うことが重要である。
3.「承諾」で施工した場合。
対応例)承諾とは請負者が自らの都合による施工方法等について発注者に同意を得るものである。設計図書と工事現場の不一致・条件明示の無い事項等の場合は約款第19条による条件変更の確認請求をすることが必要であり、安易な承諾による施工は避けるべきである。
4.約款第19条~第26条・要領第5条(設計変更の手続)の手続きを経ていない場合。
対応例)発注者及び請負者は協議指示・一時中止・工期延期・請負金額の変更など所定の手続を行う。
5.正式な(指示・協議等)書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合。
対応例)発注者は速やかに書面による指示・協議等を関係部署の調整後に行う。請負者は書面による指示・協議等の回答を得るまでは施工しない。
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(1)基本事項及び留意事項
【基本事項】
◆下記のような場合においては設計変更が可能である。
1.仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や湧水等が現地で確認された場合。(ただし、所定の手続きが必要。)
2.当初発注時点で想定している工事着手時期に、請負者の責によらず、工事着手出来ない場合。
3.所定の手続き(設計変更の手続)を行い、発注者からの「通知」又は「協議」によるもの。
(「通知」、「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。)
4.請負者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
5.請負者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
◆設計変更にあたっては下記の事項に留意し請負者へ通知する。
1.当初設計の考え方や設計条件を再確認し、要領第5条に規定する条件変更確認通知書(様式第4)により通知する。
2.当該工事での変更の必要性を明確にし、設計変更は約款第19条第5項・第20条及び要領第5条に基づき、設計変更通知書により通知する。(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注すべきか)を明確にする。)
3.設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
4.要領第6条に規定する「軽微な変更」の設計変更を行う場合は、設計変更通知書とともに、別途工事打合せ簿にて以下の通り概算金額を通知する。
①概算金額は、請負者の見積書を参考とすることができる。
②概算金額通知には『概算金額は「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない』と記載する。
5.工期変更する場合は、約款第21条の2に規定する「著しく短い工期」とならないよう注意する。 12
(2)要領による変更理由
【要領による変更理由】-要領第3条より-
◆約款又は特に定めた契約条件に規定する事項に該当し、以下の理由により元設計を変更する必要が生じた場合に行う。
(1)発注後に発生した外的条件による場合ア 天災等不可抗力による場合
例:大雨により地盤の変状が確認されたため、現地の状況に適合するよう変更する。 イ 他機関、公益事業者等による実施中又は計画中の事業に起因する施行条件に関連する場合
例:区画整理地内の水道工事において、道路築造の進捗に合わせ施工延長を変更する。ウ 地域住民又は公安委員会等の要望に基づく場合
例:工事用道路の振動抑制対策について地元要望があり、調査の結果、敷鉄板の敷設を追加した。 例:工事にあたり、警察協議を行ったところ、交通誘導警備員の配置計画について意見を付されたこ
とから、配置人数を変更する。
(2)発注時において確認困難な要因に基づく場合ア 地下内部形状の確認に基づく場合
例:護岸の施工にあたり河床を掘削したところ、当初想定の岩盤線と相違していたため、護岸の施工範囲を変更する。
イ 土質の確認に基づく場合
例:現場の土質条件が設計条件と相違していたため、薬液注入を追加する。ウ 湧水の確認に基づく場合
例:掘削したところ、湧水が発生したため、湧水処理工を追加する。
エ 地下埋設物の撤去等に基づく場合
例:埋設管が工事の支障となるため、切り回し工事を追加する。
オ 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律等に基づく場合(数量、処理方法、処理場等の変更)例:発生したAs殻にクラック抑制シート等の不要物が混入していたため、処理費用を変更する。
カ 施工条件の明示項目の変更に基づく場合
例:当初設計では、掘削にあたり水替えポンプを想定していたが、予想以上に湧水が多いため、ウェルポイント工法を追加変更する。
キ その他確認困難な要因に基づく場合
(3)予算の都合により事業効果を促進する場合
例:設計額と契約額との差額(いわゆる執行残)、又はやむを得ない理由により執行困難となった用地買収費、補償費等の経費を年度末近くにおいて別途に発注すべきいとまがない場合において、当該予算が計上された主旨に沿って既発注工事の事業的効果或は投資効果を促進するため、増工する場合等。
ただし、増工する理由が明確であり、財政課等関係各課との協議が整った場合に限る。
(4)認可条件等の処理に伴う場合
(5)設計図書に誤謬、脱漏がある場合又は表示が明確でない場合
(3)設計変更による契約変更の範囲及び手続き
【設計変更による契約変更の範囲】-要領第4条より-
◆設計変更により契約変更できる範囲は、以下のいずれかに該当する場合とする。
(1)設計変更による累計増加額が当初契約金額の30パーセント以内の場合ただし、別件発注するのが妥当な場合を除く
(2)設計変更による累計増加額が当初契約金額の30パーセントを超えるものであって現に施行中の工事と分離して施行することが著しく困難な場合
(3)設計変更により現契約金額を減額する場合
【設計変更の手続】-要領第5条より-
◆設計変更の手続きは、以下のとおりとする。
1 契約約款第19条に基づき請負者から工事打合簿に通知事項等(様式第2)を添えて提出があった場合は、監督職員は調査を行った上、条件変更確認通知書(案)(様式第3)に通知事項を添えて作成し、所属課長に決裁の上、請負者に対し条件変更確認通知書(様式第4)に通知事項等を添えて通知しなければならない。
2 設計変更は、その必要が生じた都度、契約担当者が行わなければならない。
ただし、次の各号のいずれかの条件を満たす設計変更は、当該設計変更に係る工事施工後に行うことができる。
(1)現場合わせを行うため、工事施工前に数量が定まらないもの
(2)防災及び安全管理のため、緊急施工が必要なもの
(3)請負者の責によらない事由で、設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるものに限る。)
3 監督職員は、設計変更の内容について設計変更通知書(案)(様式第5)を作成し、小牧市職務権限規程
(昭和58年小牧市訓令第1号)別表第2に規定する工事等施行計画の区分により決裁するものとする。ただし、設計変更による累計増減額が、当初契約金額の10パーセント以内かつ300万円以内である場合は、所属課 長の判断により、所属課長の決裁をもってこの決裁に代えることができるものとする。
4 前項の場合において、設計変更による累計増減額が300万円以上であるものについては、所属課長決裁後に契約検査課及び財政課の確認行為を経るものとする。
5 前2項の決裁が完了したときは、直ちに請負者に対し設計変更通知書(様式第6)により通知しなければならない。
(4)契約変更の手続き
【契約変更の手続】-要領第6条より-
◆設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた場合に遅延なく行うものとする。
ただし、以下のいずれかの条件を満たす軽微な変更は、工期完了の日の前日から起算して5日前の日までに行うことができるものとする。
(1)現場合わせを行うため、工事施工前に数量が定まらないもの
(2)防災及び安全管理のため、緊急施工が必要なもの
(3)請負者の責によらない事由で、設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるものに限る)
(4)設計変更による累計増減額が当初契約金額の30パーセント以内かつ500万円以内のもの
※「5日前」には土日、祝日を含みます。
(1)設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合の手続き
(これらの優先順位が定められている場合を除く)
約款第19条第1項第1号 <設計変更可能なケース>
設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書に優先順位の規程がなく、例えば図面と仕 様書が一致していない場合に、請負者が勝手に判断して、施工を続けることは不適当であるため、設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書のうち誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであ る。
請負者
発注者
発注者は約款第19条第4項、第5項に基
づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
(当初積算の考え方に基づく条件明示)
請負者及び発注者は約款第21条の2、第25条、約款第26条に基づき、「協議」により工期及び請負
代金額を定める
「約款第19条(条件変更等)第1項第1号」に基づき、条件明示が一致しない旨を直ちに発注者に通知
例 ・設計図書の平面図と詳細図で舗装構成等の記載が一致しない
・図面と仕様書で構造物の延長等の記載が一致しない 等 18
(2)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
約款第19条第1項第2号 <設計変更可能なケース>
請負者は、設計図書が誤っていると思われる点があれば発注者に確認すべきであり、発注者は、その内容が誤っ
ている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合に、請負者は、勝手に補って施工するのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正を要求すべきである。
請負者
発注者
発注者は約款第19条第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
(当初積算の考え方に基づく条件明示)
「約款第19条(条件変更等)第1項第2号」に基づき、その旨を直ちに発注者に通知
請負者及び発注者は約款第21条の2、第25条、約款第26条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
例 ・条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
・条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合
・条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導警備員についての条件明示がない場合 等 19
(3)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
約款第19条第1項第3号 <設計変更可能なケース>
設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施
工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、請負者は勝手に判断して施工するのではなく、発注者に確認して、施工すべきである。
請負者
発注者
発注者は約款第19条第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
(当初積算の考え方に基づく条件明示)
「約款第19条(条件変更等)第1項第3号」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに発注者に通知
請負者及び発注者は約款第21条の2、第25条、約款第26条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
例 ・土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
・水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合 等
20
(4)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
約款第19条第1項第4号 <設計変更可能なケース>
設計図書に明示された掘削する地山の高さ、埋め立てする水面の深さなどの地表面の形状や地質、湧水の有無又は量などの自然的条件に左右される違いや、地下埋設物・地下工作物の有無又は位置、工事用道路、通行道路の変更、工事に関係する法令などの人為的な条件の違いにより施工条件が一致しない場合が考えられる。
請負者
発注者
調査の結果、その事実が確認された場合、
発注者は約款第19条第4項・第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
請負者及び発注者は約款第21条の2、第25条、約款第26条に基づき、「協議」により工期及び請負
代金額を定める
「約款第19条(条件変更等)第1項第4号」に基づき、設計図書の条件明示(当初積算の考え)と現地条件とが一致しないことを直ちに発注者に通知
例 ・設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
・設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
・設計図書に明示された交通誘導警備員の人数等が現地の規制と一致しない場合
・前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合
・その他、新たな制約等が発生した場合 等 21
約款第19条第1項第5号 <設計変更可能なケース>
当初は、予期することができなかったために設計図書に施工条件として定められておらず、事後的に生じた特別な状態が施工条件となる場合についても、契約内容の前提を大きく変えるものであり当初の設計図書どおりに施工することは不適当である。
また、すでに存在しており予期することができたのに設計図書に施工条件として明示されていなかったものについては、設計図書に脱漏がある場合として、約款第19条第1項第2号の適用を受ける。
請負者
発注者
(5)設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合の手続き
調査の結果、その事実が確認された場合、
発注者は約款第19条第4項・第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
請負者及び発注者は約款第21条の2、第25条、約款第26条に基づき、「協議」により工期及び請負
代金額を定める
「約款第19条(条件変更等)第1項第5号」に基づき、発注時に確認困難な要因による事象が現地条件と一致しないことを直ちに発注者に通知
例 ・工事区域内に想定外の軟弱地盤層が存在し、地盤改良が必要となった場合
・工事区域内において埋蔵文化財が発見され、調査が必要となった場合 等 22
(6)工事中止の場合の手続き
約款第21条 <設計変更可能なケース>
工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象であって請負者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、請負者が工事を施工できないと認められる場合の手続き
請負者
発注者
地元調整や予期しない現場条件等のため、請負者が工事を施工することができない
「約款第21条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
請負者は、土木工事標準仕様書1-1-15第3項に基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る
発注者は、現場管理上、最低限必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る
基本計画書に基づいた施工の実施
承諾した基本計画書に基づき、施工監督及び設計変更を実施
23
(7)請負者からの請求による工期の延長の手続き
約款第22条 <設計変更可能なケース>
請負者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他請負者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
発注者
請負者
発注者は約款第22条第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない
請負代金についても必要と認められるときは変更を行う
「約款第22条(請負者の請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示した書面により発注者に通知
協議
請負者及び発注者は約款第21条の2、第25条、約款第26条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
例 ・設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合
(8)発注者の請求による工期の短縮の手続き
約款第23条 <設計変更可能なケース>
発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を請負者に請求することができ
る。
請負者
発注者
発注者は、「約款第23条(発注者の請求による工期の短縮等)第1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により請負者に請求
請負者は発注者からの請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得る
協議
請負者及び発注者は約款第21条の2、第25条、約款第26条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
例 ・関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
(9)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
<設計変更可能なケース>の例示
① 現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの
② 施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるものただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる
③ 現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの
④ 構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの
⑤ 構造物への外力条件が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの
⑥ 現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲をこえるものとして扱う)
⑦ 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの
⑧ 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成
⑨ 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成
⑩ 「手引き」「各種示方書」等との対比設計
⑪ 構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査
⑫ 設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、請負者の費用負担によるものとする
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仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、請負者がその責任において定める。
約款第1条第3項
約款第1条第3項に定められているとおり、仮設・施工方法等の指定・任意については、適切に扱う。
1.任意の仮設・施工方法等については、その一切の手段の選択は請負者の責任で行う
2.任意の仮設・施工方法等については、その内容に変更があっても原則として設計変更の対象とならない
※ただし、指定・任意ともに設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は設計変更の対象となる
仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある
任意については、請負者が自らの責任で行うもので、仮設、施工方法等の選択は、請負者に委ねられている(変更の対象としない)
発注者(監督員)は任意の趣旨を踏まえ、適切な対応が必要
※任意における下記のような対応は不適切
・○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応
・標準歩掛ではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応
・新技術の活用について請負者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応
ただし、任意であっても、設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は変更できる
発注者の指定事項以外は請負者の裁量の範囲
指定施工 | 任意施工 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する | 施工方法等について具体的には指定しない |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 請負者の任意 (施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更がある場合の設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない |
条件明示の変更に対応した設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする |
その他 指定仮設とすべき事項 | ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・仮設構造物を一般交通に供する場合 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合 ・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設 |
約款及び愛知県土木工事標準仕様書による設計照査の実施
約款第19条(条件変更等)
請負者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
(1) 設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2) 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
(3) 設計図書の表示が明確でないこと。
(4) 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5) 設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと。
愛知県土木工事標準仕様書 第1編総則編第1章総則
1-1-3 設計図書の照査等
請負者は、工事着手前及び工事途中において、自らの負担により契約書第19条第1項第1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員を通じて発注者にその事実が確認できる資料を添付した「条件変更確認請求通知書」を提出し、確認を求めなければならない。
なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。
また、請負者は、監督員から更に詳細な説明または資料の追加の要求があった場合は従わなければならない。
設計図書の照査の範囲
土木工事標準仕様書により請負者が作成する資料の範囲
① 現場地形図・・・・・・・実測横断図
設計図との対比図・・・・当初設計図への現地盤線等の作図取合い図・・・・・・・・当初設計図への既設構造物の追記
施工図・・・・・・・・・施工ヤード等実施工程上問題となる施工資料
② 更に詳細な説明または書面の追加は、現地の事実が確認できない場合に限って要求できるものとする
注)現地事実の確認の範囲は、上記の資料に対して新たな比較設計や構造計算が伴うものは含まれていない
(新たな比較設計や構造計算等の検討に係る費用は発注者の責務)
Ⅱ 参考資料目次
1 小牧市工事請負契約約款(抜粋)・・・・・・P.32
2 小牧市設計変更事務取扱要領・・・・・・・・P.44
3 小牧市土木工事監督要領(抜粋)・・・・・・P.47
4 小牧市建築工事監督要領(抜粋)・・・・・・P.49
5 愛知県土木工事標準仕様書(抜粋)・・・・・P.51
6 愛知県 設計図書の照査要領・・・・・・・・P.60
(総則)
第1条 発注者及び請負者は、この約款(契約書を含む。以下同じ。)に基づき、設計図書(別冊の設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。以下同じ。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この約款及び設計図書を内容とする工事の請負契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
2 請負者は、契約書記載の工事を契約書記載の工期内に完成し、工事目的物を発注者に引き渡すものとし、発注者は、その請負代金を支払うものとする。
3 仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、請負者がその責任において定める。
4 請負者は、この契約の履行に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
5 この約款に定める催告、請求、通知、報告、届出、申出、承諾及び解除は、書面により行わなければならない。
6 この契約の履行に関して発注者と請負者との間で用いる言語は、日本語とする。
7 この約款に定める金銭の支払いに用いる通貨は、日本円とする。
8 この契約の履行に関して発注者と請負者との間で用いる計量単位は、設計図書に特別の定めがある場合を除き、計量法
(平成4年法律第51号)に定めるものとする。
9 この約款及び設計図書における期間の定めについては、民法(明治29年法律第89号)及び商法(明治32年法律第4
8号)の定めるところによるものとする。
10 この契約は、日本国の法令に準拠するものとする。
11 この契約に係る訴訟については、日本国の裁判所をもって合意による専属的管轄裁判所とする。
12 請負者が共同企業体を結成している場合においては、発注者は、この契約に基づくすべての行為を共同企業体の代表者に対して行うものとし、発注者が当該代表者に対して行ったこの契約に基づくすべての行為は、当該企業体のすべての構成員に対して行ったものとみなし、また、請負者は、発注者に対して行うこの契約に基づくすべての行為について当該代表者を通じて行わなければならない。
(特許権等の使用)
第9条 請負者は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権その他日本国の法令に基づき保護される第三者の権利(以下「特許権等」という。)の対象となっている工事材料、施工方法等を使用するときは、その使用に関する一切の責任を負わなければならない。ただし、発注者がその工事材料、施工方法等を指定した場合において、設計図書に特許権等の対象である旨の明示がなく、かつ、請負者がその存在を知らなかったときは、発注者は、請負者がその使用に関して要した費用を負担しなければならない。
(支給材料)
第16条 発注者が請負者に支給する工事材料(以下「支給材料」という。)の品名、数量、品質又は規格、引渡場所及び引渡時期は、設計図書に定めるところによる。
2 監督職員は、支給材料の引渡しに当たっては、請負者の立会いの上、発注者の負担において、当該支給材料を検査しなければならない。この場合において、当該検査の結果、その品名、数量、品質又は規格が設計図書の定めと異なり、又は使用に適当でないと認めたときは、請負者は、その旨を直ちに発注者に通知しなければならない。
3 請負者は、支給材料の引渡しを受けたときは、引渡しの日から7日以内に、発注者に受領書を提出しなければならない。
4 請負者は、支給材料の引渡しを受けた後、当該支給材料に種類、品質又は数量に関しこの契約の内容に適合しないこと
(第2項の検査により発見することが困難であったものに限る。)などがあり使用に適当でないと認めたときは、その旨を直ちに発注者に通知しなければならない。
5 発注者は、請負者から第2項後段又は前項の規定による通知を受けた場合において、必要があると認められるときは、当該支給材料に代えて他の支給材料を引き渡し、支給材料の品名、数量、品質若しくは規格を変更し、又は理由を明示した書面により、当該支給材料の使用を請負者に請求しなければならない。
6 発注者は、前項に規定するほか、必要があると認めるときは、支給材料の品名、数量、品質若しくは規格、引渡場所又は引渡時期を変更することができる。
7 発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは、工期若しくは請負代金額を変更し、又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
8 請負者は、支給材料を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
9 請負者は、設計図書の定めるところにより、工事の完成、設計図書の変更等によって不用となった支給材料を発注者に返還しなければならない。
10 請負者は、故意又は過失により支給材料が滅失若しくはき損し、又はその返還が不可能となったときは、発注者の指定した期間内に代品を納め、若しくは原状に復して返還し、又は返還に代えて損害を賠償しなければならない。
11 請負者は、支給材料の使用方法が設計図書に明示されていないときは、監督職員の指示に従わなければならない。
(工事用地の確保等)
第17条 発注者は、工事用地その他設計図書において発注者が提供すべきことを明示した工事の施工上必要な用地(以下
「工事用地等」という。)を請負者が工事の施工上必要とする日(設計図書に特別の定めがあるときは、その定められた日)までに確保しなければならない。
2 請負者は、確保された工事用地等を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
3 工事の完成、設計図書の変更等によって工事用地等が不用となった場合において、当該工事用地等に請負者が所有又は管 理する工事材料、建設機械器具、仮設物その他の物件(下請負人の所有又は管理するこれらの物件を含む。)があるときは、請負者は、当該物件を撤去するとともに、当該工事用地等を修復し、取り片付けて、発注者に明け渡さなければならない。
4 前項の場合において、請負者が正当な理由なく、相当の期間内に当該物件を撤去せず、又は工事用地等の修復若しくは取 片付けを行わないときは、発注者は、請負者に代わって当該物件を処分し、工事用地等の修復若しくは取片付けを行うこと ができる。この場合においては、請負者は、発注者の処分又は修復若しくは取片付けについて異議を申し出ることができず、また、発注者の処分又は修復若しくは取片付けに要した費用を負担しなければならない。
5 第3項に規定する請負者のとるべき措置の期限、方法等については、発注者が請負者の意見を聴いて定める。
(設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等)
第18条 請負者は、工事の施工部分が設計図書に適合しない場合において、発注者がその改造を請求したときは、当該請求に従わなければならない。この場合において、当該不適合が監督職員の指示によるときその他発注者の責めに帰すべき事由によるときは、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
2 発注者は、請負者が第14条第2項又は第15条第1項から第3項までの規定に違反した場合において、必要があると認められるときは、工事の施工部分を破壊して検査することができる。
3 前項に規定するほか、発注者は、工事の施工部分が設計図書に適合しないと認められる相当の理由がある場合において、必要があると認められるときは、当該相当の理由を請負者に通知して、工事の施工部分を最小限度破壊して検査することができる。
4 前2項の場合において、検査及び復旧に直接要する費用は、請負者の負担とする。
(条件変更等)
第19条 請負者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
(1) 設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2) 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
(3) 設計図書の表示が明確でないこと。
(4) 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5) 設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと。
2 発注者は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、請負者の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、請負者が立会いに応じない場合には、請負者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、請負者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後14日以内に、その結果を請負者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ請負者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果において第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
(1) 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるものは、発注者が行う。
(2) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うものは、発注者が行う。
(3) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないものは、発注者と請負者とが協議して発注者が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第20条 発注者は、前条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を請負者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工事の中止)
第21条 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動そ の他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって請負者の責めに帰すことができないものにより工事目 的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、請負者が工事を施工できないと認められるときは、発注者は、工事の中止内容を直ちに請負者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止内容を請負者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は請負者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(著しく短い工期の禁止)
第21条の2 発注者は、工期の延長又は短縮を行うときは、この工事に従事する者の労働時間その他の労働条件が適正に確保されるよう、やむを得ない事由により工事等の実施が困難であると見込まれる日数等を考慮しなければならない。
(請負者の請求による工期の延長)
第22条 請負者は、天災等又は第2条の規定に基づく関連工事の調整への協力その他請負者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは、その理由を明示した履行期限延長願により、発注者に工期の延長変更を請求することができる。
2 発注者は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、工期の延長を認めることができる。発注者は、その工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、請負代金額について必要と認められる変更を行い、又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(発注者の請求による工期の短縮等)
第23条 発注者は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を請負者に請求することができる。
2 発注者は、前項の場合において、必要があると認められるときは請負代金額を変更し、又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工期の変更方法)
第24条 工期の変更については、発注者と請負者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、請負者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が請負者の意見を聴いて定め、請負者に通知するものとする。ただし、発注者が工期の変更事由が生じた日(第22条の場合にあっては発注者が工期変更の請求を受けた日、前条の場合にあっては請負者が工期変更の請求を受けた日)から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、請負者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(請負代金額の変更方法等)
第25条 請負代金額の変更については、発注者と請負者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、請負者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が請負者の意見を聴いて定め、請負者に通知するものとする。ただし、請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、請負者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
3 この約款の規定により、請負者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者と請負者とが協議して定める。
(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)
第26条 発注者又は請負者は、工期内で請負契約締結の日から12か月を経過した後に日本国内における賃金水準又は物価 水準の変動により請負代金額が不適当となったと認めたときは、相手方に対して請負代金額の変更を請求することができる。
2 発注者又は請負者は、前項の規定による請求があったときは、変動前残工事代金額(請負代金額から当該請求時の出来形部分に相応する請負代金額を控除した額をいう。以下この条において同じ。)と変動後残工事代金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事代金額に相応する額をいう。以下この条において同じ。)との差額のうち変動前残工事代金額の1000分の15を超える額につき、請負代金額の変更に応じなければならない。
3 変動前残工事代金額及び変動後残工事代金額は、請求のあった日を基準とし、物価指数等に基づき発注者と請負者とが協 議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、請負者に通知する。
4 第1項の規定による請求は、この条の規定により請負代金額の変更を行った後再度行うことができる。この場合において、同項中「請負契約締結の日」とあるのは、「直前のこの条に基づく請負代金額の変更の基準とした日」とするものとする。
5 特別な要因により工期内に主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、請負代金額が不適当となったときは、発注者又は請負者は、前各項の規定によるほか、請負代金額の変更を請求することができる。
6 予期することができない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、請負代金額が著しく不適当となったときは、発注者又は請負者は、前各項の規定にかかわらず、請負代金額の変更を請求することができる。
7 前2項の場合において、請負代金額の変更額については、発注者と請負者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、請負者に通知する。
8 第3項及び前項の協議開始の日については、発注者が請負者の意見を聴いて定め、請負者に通知するものとする。ただし、発注者が第1項、第5項又は第6項の請求を行った日又は受けた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、請 負者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(臨機の措置)
第27条 請負者は、契約の履行に当って事故が発生したとき又は災害防止等のため必要があると認めるときは、臨機の措置をとらなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、請負者は、あらかじめ発注者の意見を聴かなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、この限りではない。
2 前項の場合においては、請負者は、そのとった措置の内容を発注者に直ちに通知しなければならない。
3 発注者は、災害防止その他工事の施工上特に必要があると認めるときは、請負者に対して臨機の措置をとることを請求することができる。
4 請負者が第1項又は前項の規定により臨機の措置をとった場合において、当該措置に要した費用のうち、請負者が請負代金額の範囲において負担することが適当でないと認められる部分については、発注者が負担する。
(請負者の催告によらない解除権)
第48条 請負者は、次の各号のいずれかに該当するときは、直ちにこの契約を解除することができる。
(1) 第20条の規定により設計図書を変更したため請負代金額が3分の2以上減少したとき。
(2) 第21条の規定による工事の施工の中止期間が工期の10分の5(工期の10分の5が6か月を超えるときは、6か 月)を超えたとき。ただし、中止が工事の一部のみの場合は、その一部を除いた他の部分の工事が完了した後3か月を経過しても、なおその中止が解除されないとき。
(請負者の損害賠償請求等)
第52条 請負者は、発注者が次の各号のいずれかに該当する場合はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、当該各号に定める場合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして発注者の責めに帰することができない事由によ るものであるときは、この限りでない。
(1) 第47条又は第48条の規定によりこの契約が解除されたとき。
(2) 前号に掲げる場合のほか、債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき。
2項 (略)
(目的)
第1条 この要領は、小牧市の発注に係る請負工事について、合理的かつ能率的な処理をするため、設計内容の変更及びこれに伴う契約内容の変更(以下「契約変更」という。)に関し必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この要領において「設計変更」とは、小牧市工事請負契約約款(以下「契約約款」という。)第19条及び第20条の規定により設計図書を変更することをいい、契約変更を行う前に第5条の規定により設計変更の内容をあらかじめ請負者に通知することを含むものとする。
(設計変更のできる範囲)
第3条 設計変更のできる範囲は、次の各号に掲げる理由により、やむを得ず設計図書を変更する必要が生じた場合とする。
(1) 発注後に発生した外的条件による場合ア 天災等不可抗力による場合
イ 他機関、公益事業者等による実施中又は計画中の事業に起因する施行条件に関連する場合ウ 地域住民又は公安委員会等の要望に基づく場合
(2) 発注時において確認困難な要因に基づく場合ア 地下内部形状の確認に基づく場合
イ 土質の確認に基づく場合ウ 湧水の確認に基づく場合
エ 地下埋設物の撤去等に基づく場合
オ 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)等に基づく場合(数量、処理方法、処理場等の変更)
カ 施工条件の明示項目の変更に基づく場合キ その他確認困難な要因に基づく場合
(3) 予算の都合により事業効果を促進する場合
(4) 認可条件等の処理に伴う場合
(5) 設計図書に誤謬、脱漏がある場合又は表示が明確でない場合
(6) その他やむを得ない場合
(設計変更による契約変更の範囲)
第4条 設計変更により契約変更のできる範囲は、次の各号のいずれかに該当する場合とする。
(1) 設計変更による累計増加額が当初契約金額の30パーセント以内の場合。ただし、別件発注するのが妥当な場合を除く。
(2) 設計変更による累計増加額が当初契約金額の30パーセントを超えるものであって現に施行中の工事と分離して施行することが著しく困難な場合
(3) 設計変更により現契約金額を減額する場合
(設計変更の手続)
第5条 契約約款第19条に基づき請負者から工事打合簿に通知事項等(様式第2)を添えて提出があった場合は、監督職員は調査を行った上、条件変更確認通知書(案)(様式第3)に通知事項等を添えて作成し、所属課長に決裁の上、請負者に対し条件変更確認通知書(様式第4)に通知事項等を添えて通知しなければならない。
2 設計変更は、その必要が生じた都度、契約担当者が行わなければならない。ただし、次の各号のいずれかの条件を満たす設計変更は、当該設計変更に係る工事施工後に行うことができる。
(1) 現場合わせを行うため、工事施工前に数量が定まらないもの
(2) 防災及び安全管理のため、緊急施工が必要なもの
(3) 請負者の責によらない事由で、設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるものに限る。)
3 監督職員は、設計変更の内容について設計変更通知書(案)(様式第5)を作成し、小牧市職務権限規程(昭和58年小牧市訓令第1号)別表第2に規定する工事等施行計画の区分により決裁するものとする。ただし、設計変更による累計増減額が、当初契約金額の10パーセント以内かつ300万円以内である場合は、所属課長の判断により、所属課長の決裁を もってこの決裁に代えることができるものとする。
4 前項の場合において、設計変更による累計増減額が300万円以上であるものについては、所属課長決裁後に契約検査課及び財政課の確認行為を経るものとする。
5 前2項の決裁が完了したときは、直ちに請負者に対し設計変更通知書(様式第6)により通知しなければならない。
(契約変更の手続)
第6条 設計変更に伴う契約変更は、小牧市契約規則(昭和55年小牧市規則第11号)第38条の規定により、前条第5項の通知後、遅滞なく行わなければならない。ただし、次の各号のいずれかの条件を満たす軽微な変更は、工期完了の日の前日から起算して5日前の日までに行うことができるものとする。
(1) 現場合わせを行うため、工事施工前に数量が定まらないもの
(2) 防災及び安全管理のため、緊急施工が必要なもの
(3) 請負者の責によらない事由で、設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるものに限る。)
(4) 設計変更による累計増減額が当初契約金額の30パーセント以内かつ500万円以内のもの。
(監督業務の分担)
第6条 監督職員の業務の分担は、それぞれ次に定めるところによるものとする。
(1) 専任監督職員
ア 契約の履行についての契約者又は現場代理人に対する必要な指示、承諾、確認又は協議で軽易なものの処理
イ 設計書に基づく工事等実施のための詳細図等で軽易なものの作成及び交付又は契約者が作成したこれらの図書で軽易なものの承諾
ウ 設計書に基づく工程の管理、立会い、工事等の実施状況の確認及び工事材料の試験又は検査の実施(重要なものを除く。)
エ 工事等の内容変更、一時中止又は打切りの必要があると認められる事項(請負工事に関する対外折衝等)の主任監督職員に対する報告
オ 工事検査に必要な資料等の調整と一般監督業務の掌理
カ 主任監督職員及び総括監督職員を置かない工事における次号及び第3号に定める業務
(2) 主任監督職員
ア 契約の履行についての契約者又は現場代理人に対する必要な指示、承諾又は協議(重要なもの及び軽易なものを除く。)の処理
イ 設計図書に基づく工事等の実施のための詳細図等の作成及び交付又は契約者が作成したこれらの図書(軽易なものを除く。)の承諾
ウ 設計図書に基づく工程の管理、立会い、工事等の実施状況の確認及び工事材料の試験又は検査の実施(他の者に実施させ、当該実施を確認することを含む。)で重要なものの処理
エ 関連する2以上の工事等の監督を行う場合における工事の工程等の調整(重要なものを除く。)の処理
オ 工事等の内容変更、一時中止又は打切りの必要があると認められた場合に おける当該措置を必要とする理由その他必要と認める事項の総括監督職員に対する報告
カ 専任監督職員の指導監督と一般監督業務の掌理
(3) 総括監督職員
ア 契約書に基づく発注者の権限とされる事項のうち発注者が必要と認めて委任したものの処理
イ 契約の履行についての契約者又は現場代理人に対する必要な指示、承諾又は協議で重要なものの処理ウ 関連する2以上の工事等の監督を行う場合における工事の工程等の調整で重要なものの処理
エ 工事等の内容変更、一時中止又は打切りの必要を認めた場合における当該措置を必要とする理由その他必要と認める事項の契約担当者に対する報告
オ 主任監督職員及び専任監督職員の指導監督と監督業務の掌理
(専任監督職員の業務)
第4条 専任監督職員の業務は、次に定めるところによる。
(1) 約款及び設計図書に基づく指示、承諾及び協議
(2) 約款及び設計図書に基づく工程の管理、各種立会い及び施工状況の検査
(3) 約款及び設計図書に基づく施工図、原寸図等の作成及び交付又は請負者が作成したこれらの図面の承諾
(4) 約款及び設計図書に基づく工事材料の検査及び承諾
(5) 約款及び設計図書に基づく工事材料の調合、色柄及び見本品の決定
(6) 約款及び設計図書に基づき請負者から提出された図書の審査及び確認
(7) 別契約工事の請負者間の調整
(8) 前各号の業務のうち、重要と判断されることについての主任監督職員への報告
(9) 工事等の内容の変更、一時中止、又は打ち切りの必要があると認められる事項(工事に関する対外折衝等)の主任監督職員への報告
(10) 工事の成績評定のうち「施工プロセス」のチェックリスト(様式第1)の作成
(11) 工事検査に必要な書類等の作成及び確認
(12) 主任監督職員及び総括監督職員を置かない工事における次条及び第6条(第3号を除く。)に定める業務
(主任監督職員の業務)
第5条 主任監督職員の業務は、次に定めるところによる。
(1) 専任監督職員の報告に対する指示及びその中でも重大であると判断されることについての総括監督職員への報告
(2) 工事等の内容の変更、一時中止、又は打ち切りの必要があると認められた場合における当該措置を必要とする理由その他必要と認められる事項の総括監督職員への報告
(3) 専任監督職員の指導監督及び監督業務の掌理
(総括監督職員の業務)
第6条 総括監督職員の業務は、次に定めるところによる。
(1) 主任監督職員の報告に対する指示
(2) 工事等の内容の変更、一時中止、又は打ち切りの必要があると認めた場合における当該措置を必要とする理由その他必要と認める事項の所管課長への報告
(3) 工事の成績評定のうち総括監督職員に分担された部分の成績評定
(4) 主任監督職員及び専任監督職員の指導監督及び監督業務の掌理
1-1-2 用語の定義
1.監督員
この標準仕様書で規定されている監督員とは、専任監督員、主任監督員、総括監督員を総称していう。請負者には主として専任監督員が対応する。
2.専任監督員
専任監督員とは、契約の履行についての請負者または現場代理人に対する指示、承諾または協議、設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付または請負者が作成した詳細図等の承諾、設計図書に基づく工程の管理、立会、工事の施工状況の検査または工事材料の試験若しくは検査(確認を含む。)、関連する2以上の工事が施工上密接に関連する場合における施工の調整を行うとともに、以上の事項(軽易と判断される事項を除く)及び設計図書の変更、工事の中止または工期変更の必要があると認められる事項の主任監督員への報告ならびに工事検査に必要な工事関係書類の整備を行う者をいう。
3.主任監督員
主任監督員とは、重要と判断される事項及び設計図書の変更、工事の中止または工期変更の必要があると認められる事項の総括監督員への報告及び専任監督員の指導監督ならびに総括監督員を置かない工事において、特に重要と判断される事項及び設計図書の変更、工事の中止または工期変更の必要があると認められる事項の所長への報告及び監督業務のとりまとめを行う者をいう。
4.総括監督員
総括監督員とは、特に重要と判断される事項及び設計図書の変更、工事の中止または工期変更の必要があると認められる事項の所長(本庁施行工事においては、建設局長又は都市整備局長。) への報告、主任監督員及び専任監督員の指導監督ならびに監督業務のとりまとめを行う者をいう。
5.契約図書
契約図書とは、契約書及び設計図書をいう。
6.設計図書
設計図書とは、設計書、仕様書、図面、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。
7.仕様書
仕様書とは、各工事に共通する標準仕様書と各工事ごとに規定される特記仕様書を総称していう。
8.標準仕様書
標準仕様書とは、各建設作業の順序、使用材料の品質、数量、仕上げの程度、施工方法等工事を施工するうえで必要な技術的要求、工事内容を説明したもののうち、あらかじめ定型的な内容を盛り込み作成したものをいう。
9.特記仕様書
特記仕様書とは、標準仕様書を補足し、工事の施工に関する明細または工事に固有の技術的要求を定める図書をいう。 10.現場説明書
現場説明書とは、工事の入札に参加するものに対して発注者が当該工事の契約条件等を説明するための書類をいう。 11.質問回答書
質問回答書とは、質問受付時に入札参加者が提出した契約条件等に関する質問に対して発注者が回答する書面をいう。 12.図面
図面とは、入札に際して発注者が示した設計図、発注者から変更または追加された設計図、工事完成図等をいう。なお、設計図書に基づき監督員が請負者に指示した図面及び請負者が提出し、監督員が書面により承諾した図面を含むものとする。 13.設計書
設計書とは、工事施工に関する工種、設計数量及び規格を示した書類をいう。 14.指示
指示とは、契約図書の定めに基づき、監督員が請負者に対し、工事の施工上必要な事項について書面により示し、実施させることをいう。
15.承諾
承諾とは、契約図書で明示した事項について、発注者若しくは監督員または請負者が書面により同意することをいう。 16.協議
協議とは、書面により契約図書の協議事項について、発注者または監督員と請負者が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう。
17. 提出
提出とは、監督員が請負者に対し、または請負者が監督員または検査員に対し工事に係わる書面またはその他の資料を説明のうえ差し出し、受理されることをいう。
18. 提示
提示とは、監督員が請負者に対し、または請負者が監督員または検査員に対し工事に係わる書面またはその他の資料を示し、説明することをいう。
19. 報告
報告とは、請負者が監督員に対し、工事の状況または結果について書面等により知らせることをいう。
20. 通知
通知とは、発注者または監督員と請負者または現場代理人の間で、工事の施工に関する事項について、書面等により互いに知らせることをいう。
21. 連絡
連絡とは、監督員と請負者または現場代理人の間で、契約書第19条に該当しない事項または緊急で伝達すべき事項について、口頭、ファクシミリ、電子メールなどの署名または押印が不要な手段により互いに知らせることをいう。なお、後日書面によ る連絡内容の伝達は不要とする。
22. 受理
受理とは、契約図書に基づき、請負者、監督員が相互に差し出された書面を受け取り、内容を把握することをいう。
23. 書面
書面とは、手書き、印刷物等による工事打合せ簿等の伝達物をいい、発行年月日を記載し、署名または押印したものを有効とする。ただし、情報共有システムを用いて作成され、報告等が行われたものについては、署名または押印がなくても有効とする。
24. 確認
確認とは、契約図書に示された事項について、監督員、検査員または請負者が臨場もしくは関係資料により、その内容について契約図書との適合を確かめることをいう。
25. 立会
立会とは、契約図書に示された項目について、監督員が臨場により、その内容について契約図書との適合を確かめることをいう。
26. 段階確認
段階確認とは、設計図書に示された施工段階において、監督員が臨場等により、出来形、品質、規格、数値等を確認することをいう。
27. 工事検査
工事検査とは、検査員が契約書第33条、第38条、第39条に基づいて給付の完了の確認を行うことをいう。
28. 中間検査
中間検査とは、契約書第32条に基づき行うものをいい、請負代金の支払いを伴うものではない。
29. 検査員
検査員とは、検査要領に基づき、工事検査及び中間検査を行うために発注者が定めた者をいう。
30. 同等以上の品質
同等以上の品質とは、設計図書で指定する品質または設計図書に指定がない場合、監督員が承諾する試験機関の品質確認を得た品質または、監督員の承諾した品質をいう。なお、試験機関において品質を確かめるために必要となる費用は、請負者の負担とする。
31. 工期
工期とは、契約図書に明示した工事を実施するために要する準備及び後片付け期間を含めた始期日から終期日までの期間をいう。
32. 工事開始日
工事開始日とは、工期の始期日または設計図書において規定する始期日をいう。
33. 工事着手
工事着手とは、工事開始日以降の実際の工事のための準備工事( 現場事務所等の設置または測量をいう。) 、詳細設計付工事における詳細設計または工場製作を含む工事における工場製作工のいずれかに着手することをいう。
34. 工事
工事とは、本体工事及び仮設工事、またはそれらの一部をいう。
35. 本体工事
本体工事とは、設計図書に従って、工事目的物を施工するための工事をいう。
36. 仮設工事
仮設工事とは、各種の仮工事であって、工事の施工及び完成に必要とされるものをいう。
37. 工事区域
工事区域とは、工事用地、その他設計図書で定める土地または水面の区域をいう。
38. 現場
現場とは、工事を施工する場所及び工事の施工に必要な場所及び設計図書で明確に指定される場所をいう。
39. SI
SIとは、国際単位系をいう。
40. 現場発生品
現場発生品とは、工事の施工により現場において副次的に生じたもので、その所有権は発注者に帰属する。
41. JIS規格
JIS規格とは、日本産業規格をいう。 42.情報共有システム
情報共有システムとは、監督員及び請負者の間の情報を電子的に交換・共有することにより業務効率化を実現するシステムのことをいう。情報共有システムの利用にあたっては「愛知県情報共有運用ガイドライン」に基づき実施すること。
なお、本システムを用いて作成及び提出等を行った工事書類については、別途紙に出力して提出しないものとする。
1-1-3 設計図書の照査等
1 . 図面原図の貸与
請負者からの要求があり、監督員が必要と認めた場合、請負者に図面の原図を貸与することができる。ただし、標準仕様書等市販・公開されているものについては、請負者が備えなければならない。
2.設計図書の照査
請負者は、工事着手前及び工事途中において、自らの負担により契約書第19条第1項第1 号から第5 号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員を通じて発注者にその事実が確認できる資料を添付した「条件変更確認請求通知書」を提出し、確認を求めなければならない。なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、請負者は、監督員から更に詳細な説明または資料の追加の要求があった場合は従わなければならない。
ただし、発注者は設計図書の照査以外の書面の追加については、契約書第20条によるものとし、監督員の指示によるものとする。
設計図書の照査は、愛知県建設局「設計変更ガイドライン」の「9 設計図書の照査について」に基づき行うものとする。なお、工事着手前に行う設計図書の照査は、「設計変更ガイドライン」の「9 設計図書の照査について」の内照査要領
( 案) に基づいた照査を行い、照査結果を報告するものとする。
3 . 条件変更確認通知書
発注者は、第2 項の規定による「条件変更確認請求通知書」が提出された場合、請負者の立会のうえ調査を行い、調査終了後2 週間以内に調査結果を「条件変更確認通知書」により請負者に通知しなければならない。
4.契約図書等の使用制限
請負者は、契約の目的のために必要とする以外は、契約図書、及びその他の図書を監督員の承諾なくして第三者に使用させ、または伝達してはならない。
1-1-15 工事の一時中止
1.一般事項
発注者は、契約書第21条の規定に基づき以下の各号に該当する場合においては、あらかじめ請負者に対して通知した上で、必要とする期間、工事の全部または一部の施工について一時中止をさせることができる。なお、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他自然的または人為的な事象による工事の中断については、第1編1-1-50臨機の措置により、請負者は、適切に対応しなければならない。
(1) 埋蔵文化財の調査、発掘の遅延及び埋蔵文化財が新たに発見され、工事の続行が不適当または不可能となった場合
(2) 関連する他の工事の進捗が遅れたため工事の続行を不適当と認めた場合
(3) 工事着手後、環境問題等の発生により工事の続行が不適当または不可能となった場合
2.発注者の中止権
発注者は、請負者が契約図書に違反しまたは監督員の指示に従わない場合等、監督員が必要と認めた場合には、工事の中止内容を請負者に通知し、工事の全部または一部の施工について一時中止させることができる。
3.基本計画書の作成
前1項及び2項の場合において、請負者は施工を一時中止する場合は、中止期間中の維持・管理に関する基本計画書を監督員を通じて発注者に提出し、承諾を得るものとする。また、請負者は工事の再開に備え工事現場を保全しなければならない。
1-1-16 設計図書の変更
設計図書の変更手続きは、「愛知県建設局・都市整備局・建築局設計変更事務取扱要領」の規定により行うものとする。
1-1-17 工期変更
1.一般事項
契約書第16条第7項、第18条第1項、第19条第5項、第20条、第21条第3項、第21条の2 、第22条及び第40条第2項の規定に基づく工期の変更について、契約書第24条の工期変更協議の対象であるか否かを監督員と請負者との間で確認する( 本条において以下「事前協議」という。)ものとし、監督員はその結果を請負者に通知するものとする。
2.設計図書の変更等
請負者は、契約書第19条第5項及び第20条に基づき設計図書の変更または訂正が行われた場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約書第24条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
3 . 工事の一時中止
請負者は、契約書第21条に基づく工事の全部もしくは一部の施工が一時中止となった場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約書第24条第2 項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
4.工期の延長
請負者は、契約書第22条に基づき工期の延長を求める場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする延長日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約書第24条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
5.工期の短縮
請負者は、契約書第23条第1項に基づき工期の短縮を求められた場合、可能な短縮日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付し、契約書第24条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
1-1-23 数量の算出及び工事完成図
1.一般事項
請負者は、出来形数量を算出するために出来形測量を実施しなければならない。
2.出来形数量の提出
請負者は、出来形測量の結果を基に、土木工事数量算出要領( 案) 及び設計図書に従って、出来形数量を算出し、その結果を監督員からの請求があった場合は速やかに提示するとともに、工事完了時までに監督員に提出しなければならない。
3.工事完成図
請負者は、特記仕様書で工事完成図の対象工事と明示された場合には、出来形測量の結果及び設計図書に従って工事完成図を作成し、監督員に提出しなければならない。
ただし、各種ブロック製作工等工事目的物によっては、監督員の承諾を得て工事完成図を省略することができる。
設計図書の照査要領(案)
令和元年10月愛知県建設局
請負者が設計図書の照査を行う際のチェックリストとして、照査要領(案)を定めた。
照査項目は、大項目として、条件明示(Ⅰ工法関係、Ⅱ工程関係、Ⅲ用地関係、Ⅳ安全対策、Ⅴ建設副産物)、資料貸与及び設計図書の3項目に分類した。
チェック内容は、大項目毎(条件明示、資料貸与及び設計図書)に異なる。
条件明示に関する項目は、設計書及び特記仕様書に明示してあるが、よくわからないことも含め、条件変更確認請求通知書で確認する。
条件の確認は重要で、発注者と請負者で認識のずれがあると、工事目的物が間違って出来上がったり、設計変更が円滑に行われないなどの問題が生じる原因となる。
資料貸与に関する項目は、資料が貸与されている場合についても、その資料中に確認したい事項があれば、条件変更確認請求通知書で確認する。
設計図書に関する項目は、設計図書に誤謬、脱漏等の事実がある場合に条件変更確認請求通知書で確認する。また、具体的なチェック方法は、照査要領(案)の記入要領を参考とする。
照査項目一覧表は、照査のためのツールであり、目的物ではない。照査結果の参考資料として条件変更確認請求通知書に添付し、提出する。
確認事項が無い場合は、打合簿に添付し、確認事項が無かったことを報告する。
なお、道路維持補修工事等「工事打合せ簿」による工事については、この照査要領(案)による照査の対象としない。
6 設計図書の照査要領(案)
Ⅱ 参考資料
6 設計図書の照査要領(案)
Ⅱ 参考資料
6 設計図書の照査要領(案)
Ⅱ 参考資料