発行企業名 恵那眼鏡工業 株式会社 所 在 地 岐阜県中津川市苗木 4827-48 代 表 者 丹羽 大祐 事業内 容 眼鏡フレーム製造 資 本 金 75 百万円 設 立 1949 年 11 月 21 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2023 年 7 月 25 日
恵那眼鏡工業 株式会社との
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 xx xx)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、恵那眼鏡工業 株式会社(代表取締役社長 xx xx)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
融 資 金 額 | 200 百万円 |
期 間 | 7 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
発行企業名 | 恵那眼鏡工業 株式会社 |
所 在 地 | xxxxxxxxx 0000-00 |
代 表 者 | xx xx |
事業x x | 眼鏡フレーム製造 |
資 本 金 | 75 百万円 |
設 立 | 1949 年 11 月 21 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 x
xx眼鏡工業株式会社
ポジティブインパクトファイナンス評価書
2023 年 7 月 25 日
岐阜信用金庫は、恵那眼鏡工業株式会社(以下、「恵那眼鏡工業」)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信
用金庫が開発した評価体系に基づいている。
目次
(3)高品質な眼鏡フレーム製造を実現する人材育成体制の整備 8
企業名 | 恵那眼鏡工業株式会社 |
本社所在地 | xxxxxxxxx 0000-00 |
代表者 | 代表取締役社長 xx xx |
資本金 | 7,500 万円 |
売上高 | 824 百万円(2023 年 3 月期) |
設立 | 1947 年 11 月 |
事業内容 | 眼鏡フレームの生産、デザイン |
従業員数 | 65 名(2023 年 4 月現在) |
1947 年 | 「大阪眼鏡有限会社」を現在地に設立、メガネフレームの製造に着手。 |
1949 年 | 社名を変更、「恵那眼鏡工業株式会社」とする。 |
1957 年 | 日本で初めてアセテートを使用した、眼鏡フレームの量産化に成功。 |
1975 年 | 日本で初めてプロピオネイトを使用した、眼鏡フレームの量産化に成功。 |
1985 年 | 大型 MC(マシニングセンター)を量産ラインに導入。 |
1989 年 | 事業拡大の為、新社屋を建設。 |
2002 年 | 海外ブランドフレームの OEM 生産を開始。 |
2012 年 | 自社ブランド製品 EnaLloid 生産を再開 |
2016 年 | 現代表取締役が代表取締役に就任 |
※アセテート樹脂とは
アセテート樹脂は繊維素系プラスチックと呼ばれ、天然素材からつくられる樹脂素材である。同樹脂については下記の特徴があり、同社ではアセテート樹脂を活用した眼鏡フレームづくりを手掛けている。
①材料の経年劣化が少ない
②収縮が小さく変形が起きずらい
③素材の透明度が高い
➃磨いたときの艶、発色が抜群に良い
⑤加工性が良く、様々なデザインが可能
⑥純度が高い素材であり、肌に触れても安全
同社は岐阜県xxx市に本社を構える眼鏡フレーム製造業である。
アセテート樹脂素材に特化した眼鏡フレームメーカーとして、世界のブランドの眼鏡・サングラスの OEM 生産を手掛けてきた同社は、生産全体の 95%が欧米、欧州を中心に、世界への輸出を実現しており、創業以来積み上げてきた高度な眼鏡フレーム製造技術によりアセテート樹脂製国内眼鏡フレーム生産数 No.1 となる年間 15 万本(2023 年 4 月現在)の眼鏡フレームを生産している。OEM 生産による海外輸出は 95%を誇り、残りは国内向けに自社ブランドの展開をしている。
同社では 1947 年の創業以来、自社一貫生産方式を採用し、生地を切り出す工程から完成、出荷に至るまで、すべての工程を岐阜県xxx市の自社工場で行っており、世界基準の厳しい要求に応えられるよう、技術と品質の向上に取り組んでいる。
眼鏡フレームメーカーからの出荷後、小売店にて微調整が実施される眼鏡と比べ、サングラスについてはメーカーから出荷された状態のままエンドユーザーに製品が手渡されるため製品品質は更に高精度が求められる。
【特徴】 同社では眼鏡フレーム製造について一貫生産体制を確立しており、設計から製造、検査までの一貫対応によって試作から量産対応までを高品質、短納期に対応している。定形寸法への切り出しなど機械が得意とする加工は機械化を図りながら、かけ心地に大きく関わる仕上げ工程、磨き上げ工程は職人の手作業により同業他社とは一線を 画した高品質を実現している。 |
同社では眼鏡フレームについてもサングラス同様の製品品質にて作りこみを実施しており、「かけ比べてわかる製品品質」を目指した眼鏡フレーム製造に取り組んでいる。
①経営理念
「企業理念」
「眼鏡は工業製品ではなく工芸品 Craftsmanship makes a “difference”」
同社では上記の企業理念のもと、機械化が進む中でも品質を左右する加工では人の手による熟練作業での仕上げを追求した“工芸品の感触”を追求している。
②組織体制
同社では代表取締役社長の統括のもと、下図の組織体系にて事業を展開している。
恵那眼鏡工業株式会社 組織図
社長
xxxx
会長
xxxx
作成 2023年5月29日
2023年6月配置
経理 営業課
総務課 社長兼務
製造
xx部長
生地/開発/枠部門責任者
xx係長
ツル/組立加工責任者
原 係長
総務
営業
開発
一班 NC/レーザー 二班
二次加工 特班
三班
ガラ
五班
六班
出荷 印刻
資材
開発・・・ ①展示会・量産用試作品の作成 ②治具の作成 ③新しい作り方の構築 ④材料生地の管理 ⑤NC用プログラムを作成
1班・・・ ①枠、テンプルの材料を準備(切断・レーザー加工) ②枠材料を曲げる NC班・・・ ①マシニングセンターを使った枠の加工
2班・・・ ①鼻パット貼り ②鼻パットの成型 ③検査 ④バレル研磨途中の枠加工(カットや段差など) ⑤鼻パット作成
3班・・・ ①テンプル材料加工 ②芯の打ち込み ③七宝ロゴ加工 ④テンプルの成型加工特班・・・ ①枠、テンプルへのxx取付 ②飾り部品の取付
2次加工… ①マシニングによる枠、テンプルの蝶番取付加工 ②飾り部品取付加工 ③バレル研磨途中の模様加工ガラ・・・ ①枠、テンプルのバレル研磨 ②枠ブリッジ周辺の部分的磨き ③枠金具埋め周辺の磨き
5班・・・ ①枠とテンプルの組立 ②カシメ製品の研ぎ出し ③智部分の成型 ④テンプルxx周辺の部分的磨き
6班・・・ ①製品の磨き(荒~仕上げ) ②印刷・刻印 ③洗浄
出荷・・・ ①検査 ②最終磨き ③レンズ入れ ④調子見 ⑤レンズ拭き上げ ⑥梱包
同社では SDGs 宣言を掲げ、SDGs 達成に貢献していくための事業方針、重点項目を設定しこれらを意識した事業展開を行っている。
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同社では主要事業である眼鏡フレーム製造事業において、環境に配慮した製造工程の整備、製品仕様の設定に努めている。
① 製造設備における環境への配慮
同社では高品質な眼鏡フレーム製造に向けた一貫生産体制を整備しているが、この生産体制整備においては機械化できる工程は機械化を進め、人の手による作業が適した作業については職人の手作業で対応することで眼鏡フレーム製造における高品質と効率化を両立させている。
この機械化できる工程の機械化を推進する設備投資については毎期計画的に実施しており、省エネ型設備の選定、導入により環境への配慮と同社の製造コスト低減の両立を図っており、機械加工の精度向上を通じた不良率の低下によって原材料利用の抑制にもつなげている。
眼鏡フレーム製造において、樹脂素材を加熱したうえでプレスしフレーム形状を成形するが、同社ではこの素材加熱に利用するヒーターについて業界内でいち早く電気式ヒーターへの移行を実現し、環境負荷低減と加工精度の両立に資する製造環 境構築に取り組んでいる。 |
また、同社眼鏡フレーム製造における中心工程となり、眼鏡フレームの形状を作り出すアセテート樹脂素材の曲げ工程において電気ヒーターを熱源とした加工工程構築に業界内でいち早く取り組み、従来型の曲げ工程で発生していた樹脂素材加熱用油の使用を排除している。
② 製品仕様における環境への配慮
同社ではアセテート樹脂素材に特化した眼鏡フレーム製造を主要事業としているが、製品梱包用袋をはじめ、出荷用資材についてはいち早く環境配慮素材への切り替えを進めている。
現在では同社製眼鏡フレームのうち、60%が環境配慮素材による梱包袋、出荷用資材を用いて出荷されている。
また、同社ではアセテート樹脂生地より眼鏡フレームを製造するが、完成品に使用される原料は約 20%にすぎず、残りの 80%は製造時に発生するごみとなっている。
従来はこの 80%については廃棄物としての処理を余儀なくされていたが、プラスチック素材を活用する製造メーカーとして現在プラスチックごみを 3 分の 1 に減らす取り組みを検討しており、製造過程で発生する樹脂端材の再活用方法への研究にも着手している。
同社では製造する眼鏡フレームについて「品質第一」を掲げており、この品質第一の実現のため、
「そのひと手間を惜しまない」人材育成に努めている。
① 製造技術習得、組織人材育成に向けた研修制度の設定
同社では高品質な眼鏡フレーム製造を支える基盤として人材育成を重視しており、月2回、外部から講師を招待し、工程や品質などの改善を目的とした研修を実施している。
また、専門職においては金型部門や設計部門など各部門別に技術習得に向けた外部研修に参加し基礎技術の習得や専門的なスキルのさらなる向上などを目指している。
将来の同社を担う幹部候補は中小企業大学校が実施している「工場管理者養成コース」に派遣し、異業種からの参加者と交流を図りながら課題の解決、工場のあるべき姿の実現に向けた方法を検討している。
これら外部研修については研修参加にとどまらず、研修参加後の社員は社内へのフィードバックプレゼンを実施し、改善提案内容について全社を挙げて 1 か月間取り組む仕組みを整備し、現場における信頼関係の構築、研修参加者のモチベーション増加を図っているなど、従業員が熱意とともに成長できる環境を整備している。
② 各種委員会活動を通じた従業員による継続的な改善提案の実施
同社では各種委員会活動を通じて部門間を横断した従業員の意見交換の場、継続的な改善提案検討の場を設定し、現場目線でのものづくり技術の向上を目指 している。 |
同社では「安全衛生委員会」、「開発委員会」、「自主検査委員会」、「3S 委員会」、「開発・改善委員会」といった各種委員会活動を設け、部門間を横断しての従業員の意見交換の場、継続的な改善提案検討の場を設定している。
同社では地域貢献活動として、立地するxxx市からの要請に応え地域内の学生向け工場見学会を定期的に開催しており、この工場見学会をきっかけとして同社へ入社した従業員も存在するなど地域貢献と同社雇用の創出といった成果につながっている。
また、同社従業員の 90%が地元であるxxx市出身者で構成されており、地域における雇用の創出にも貢献している。
インパクトの特定のため、同社主力事業である「眼鏡フレーム製造事業」についてバリューチェーン分析を実施した。
同社では海外眼鏡・サングラスブランドを主要ターゲットに、デザイナーのデザイン案を基とした眼鏡フレームの設計、試作、量産を一貫対応している。
この一貫対応において、デザイナーのイメージを立体造形として高度に再現しながらも、同社が創業以来蓄積してきた眼鏡フレーム専業メーカーとしての製造技術、ノウハウによりかけ心地や耐久性、素材の軽量化をはじめとして実用性、機能性を確保した眼鏡フレームとして製造する点が同社の技術的な優位性となっている。
また、試作段階より新プロダクツ開発プロジェクトへ参加し、自社で 100%試作品を作成することも同社の特徴の一つとなり、技術部門と製造加工部門のいずれも本社直轄とし、確実かつ迅速な試作対応を実現している。
これら設計から試作開発までの対応精度の高さに加え、量産工程においても同社がこれまでの事業展開のなかで確立してきた量産品に求められる品質基準を確保しながらの生産効率化、低コスト化を追求できる体制を整備していることにより、受注先より同社の眼鏡フレーム製造に対し高い評価を得ている。
同社のバリューチェーン図(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業およびxx・xxの事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については「医療及び歯科用機器・備品製造業業(ISIC: 3250)」を、xxの事業については「プラスチック及び合成ゴム素材製造業業(ISIC: 2013)」を、xxの事業については
「専門店によるその他新品小売業業(ISIC: 4773)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
xxの事業 | 同社の事業 | xxの事業 | ||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2013】 プラスチック及び 合成ゴム素材製造業 | 【3250】 医療及び歯科用機器・備品製造業 | 【4773】 専門店による その他新品小売業 | |||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||
食糧 | ||||||
住居 | ||||||
健康・衛生 | ◎ | |||||
教育 | ||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ||||||
移動手段 | ||||||
情報 | ||||||
文化・伝統 | ||||||
人格と人の安全保障 | ||||||
xx・xx | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||
水(質) | ◎ | ○ | ||||
大気 | ○ | ○ | ||||
土壌 | ◎ | ○ | ||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||
資源効❹・安全性 | ○ | ○ | ||||
気候 | ○ | ○ | ||||
廃棄物 | ◎ | ○ | ○ | |||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ○ | |||
経済収束 |
上表のうち、xxの事業は同社事業との関連性が希薄と判断し分析を省略した。また、xxの事業に関しては「廃棄物」のみを分析対象とし、その他は同社事業との関連性が希薄と判断し、分析を省略した。
同社の事業
PI | 「健康・衛生」「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
【社会面】
◆「健康・衛生」
高品質な眼鏡製品により、利用者の視力矯正を通じて健康状態を改善するという PI が発現する。
同社では、「品質第一」をモットーに、機械化すべき工程は機械化しながら手作業による磨きの仕上げにこだわり、快適なかけ心地の高品質眼鏡フレームの製造、販売を通じて PI の拡大に努めてきている。
上記は SDG3「すべての人に健康と福祉を」に該当する。
◆「雇用」
従業員の雇用の創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NI が同社事業において発現する。
同社では定年後再雇用制度の積極活用や産休・育休制度の整備による PI の拡大に努めており、械化できる工程の機械化を通じた従業員の労働負荷の低減、対応可能要員の拡大と品質向上の同時達成を図ることを通じて NI の低減に努めている。また、SDGs 宣言書内で協会けんぽの「健康宣言」の実施を宣言しており、将来的には「健康経営優良法人」の取得に取り組むことで NI の低減に努める方針である。
上記は SDG5「ジェンダー平等を実現しよう」、SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
【環境面】
◆「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」
眼鏡フレーム製造工程において水質や大気への汚染が発生する可能性があることに加え、非効率なプロセスによるエネルギーの過剰利用や温室効果ガスの排出量増加が懸念される。また、製造工程での廃棄物や過剰包装による廃棄物増加などにより環境問題が発生する可能性が あり、NI が発現する。
同社では、製造工程の機械化によるプロセスの効率化に取り組み省エネルギー化を図っている。さらに、製造における曲げ工程での樹脂素材加熱についていち早く電気ヒーターへの切り替えを行い、油を使わない加熱方法とすることで排水面での環境配慮も実現するなど、NI の低減に取り組んでいる。
また、同社製眼鏡フレームの原料となるアセテート樹脂について、従来廃棄物として処理していた切削端材の再活用方式の検討を進めることでプラスチックごみの削減を図り、NI の低減に努めていく方針である。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的対策を」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
□「12.5:2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。」
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済が活性化するという PI が発現する。
同社では今後、受注先メーカーデザイナーのイメージの再現性、量産時の品質の均一性の更なる向上を通じてより強固な受注基盤を整備するとともに、高価格帯のニーズを捉えた事業展開を図っていく方針である。この事業展開を通じてメーカーが求める品質を担保しつつ、量産対応ができることで、より多くの人の健康維持・改善に貢献するという PI の拡大に努めている。
NI | 「廃棄物」 |
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。xxの事業
【環境面】
◆「廃棄物」
商品の過剰包装により廃棄物が増加するという NI が発現する。
同社では、自社工場内での検品後、製品を梱包するが、環境配慮素材による梱包袋、出荷用資材を活用することで NI の低減に努めている。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
雇用創出・環境整備
地域経済活性化 保健・衛生体制の向上
SDG5 SDG8
SDG9
SDG3
正の影響
環境負荷
労働負荷
SDG12 SDG13
SDG8
負の影響
以上を踏まえて同社のインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
「高品質かつファッション性・機能性を両立した製品開発」
「環境に配慮した製造の推進」
「雇用機会の増大を通じた地域社会の発展」
① 高品質かつファッション性・機能性を両立した製品開発:SDG3、9
同社は設計から試作開発、量産までを一貫対応する高品質眼鏡フレーム製造事業の展開によって、眼鏡メーカー、サングラスメーカーのデザイナーイメージを立体造形として高度に再現するとともに、これまで同社が眼鏡フレーム専業メーカーとして蓄積してきた設計・製造技術、ノウハウによりデザイン性と実用性・機能性を両立させ、エンドユーザーへの快適なかけ心地での視力矯正手段の提供を通じて健康・福祉の増進に貢献している。
眼鏡フレーム業界においては低価格路線とハイエンド路線の二極化が進んでいる中で、同社ではこれまでも中~高価格帯眼鏡フレーム製造を手掛けてきたが、今後においては更に高付加価値なハイエンド眼鏡フレームの製造比率を高めていく方針である。眼鏡に求める機能として視力矯正や UV カットなどが挙げられるが、同社が手掛けるハイエンド眼鏡フレームは、機能性だけを追求した製品開発ではなく、デザイン性を考慮した製品展開をすることで、ファッション性を重視しつつ目の健康維持・増進につながるという PI 拡大に貢献している。今後自社ブランドにおけるハイエンド眼鏡フレームの開発・販売強化を手掛けることで、国内においてもファッション性を重視しつつ目の健康維持・増進につながるという PI 拡大への貢献が見込まれる。
この方針達成に向けてはこれまでの優位性であるデザイナーイメージを高度に再現する設計、試作開発対応力に加えて、量産時の品質を維持しながらの製造リードタイム短縮が課題となり、この課題解決を通じて受注先との関係性を強化し受注基盤を更に強固なものとしていく方針である。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「健康・衛生」「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、社会的側面、経済的側面の PI を拡大すると考えられる。
② 環境に配慮した製造の推進:SDG9、12
同社は環境に配慮した製造工程の整備、製品仕様の設定に努め、油を一切使用しない製造工程の確立、製品梱包における環境配慮素材の使用等に取り組み環境負荷の低減を目指しており、また SDGs 宣言により持続可能な開発目標に向けて同社が重点的に取り組む事項を明確化している。同社受注先は海外アパレルメーカーが多く、SDGs や環境問題への取り組み状況によって、今後同社の経営に与える影響は増大していくものと考えられる。
同社では SDGs 宣言に即した取り組みの実施状況を継続的に公開していくことに加え、眼鏡フレーム製造において発生するアセテート樹脂端材、プラスチックごみの削減、再利用に取り組んでいくことで、更なる環境負荷低減に貢献していく方針を設定している。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「資源効率・安全性」「廃棄物」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和すると考えられる。
③ 雇用機会の増大を通じた地域社会の発展:SDG8
同社では高品質な眼鏡フレーム製造に向けて「そのひと手間を惜しまない」人材育成、製造現場を中心とした労働環境の整備を通じて働きがいのある職場形成に努めている。
若手人材については同社への勤務および外部研修への派遣を通じて加工技術に関する基礎知識の定着、技術取得に取り組むことができ、また各種委員会活動を通じて部門を横断しながらの意見交換の場、改善提案の場を構築することにより年齢、性別を問わず多様な人材が活躍、キャリアアップできる環境を整備している。
また、製造工程においても作業標準化への取り組み、機械化すべき工程の機械化の推進を通じて従業員の多能工化、対応要員の拡大を図っている。同社では製造工程の約 70%を占める手作業工程の品質安定化、負荷軽減に取り組んでいく方針であり、最終仕上げ工程は 手作業としながらも機械加工で対応できる範囲を拡大していくとともに、手作業工程についても標準化、マニュアル化をさらに進め、従業員間で教えあえる製造体制を整備していく計画としている。
これらの取り組みを通じて、地域において多様な人材が分け隔てなく労働を提供できる環境を整備し、地域社会の発展に貢献している。
同社では今後、受注先メーカーデザイナーのイメージの再現性、量産時の品質の均一性の更なる向上を通じてより強固な受注基盤を整備するとともに、ハイエンドニーズを捉えた事業展開を図っていく計画であり、これに伴う従業員育成を実現していく方針である。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面において PI を拡大すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社製造工程は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 4 点である。
「 3:すべての人に健康と福祉を」
「 8:働きがいも経済成長も」
「 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
「12:つくる責任、つかう責任」
国内における SDG ダッシュボード上では、「9」に関しては「達成に近づいている」とされているものの、「12」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては「重要な課題が残る」、「3」に関しては「課題が残る」とされており、同社のデザイナーイメージを高度に再現する高品質眼鏡フレーム製造への取り組み、従業員の人材育成および労働環境改善への取り組みや、環境負荷低減の取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② アメリカにおけるインパクトニーズ
同社製品は海外需要が多く、主要販売先の代表としてアメリカ合衆国における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
アメリカ合衆国における SDG ダッシュボード上では、「3」、「8」に関しては「重要な課題が残る」、
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「12」に関しては「大きな課題が残る」、「9」に関しては「課題が残る」、とされており、同社のデザイナーイメージを高度に再現する高品質眼鏡フレーム製造への取り組み、従業員の人材育成および労働環境改善への取り組みや、環境負荷低減の取り組みなどが、アメリカ合衆国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
③ フランス・イタリアにおけるインパクトニーズ
同社製品は今後ヨーロッパ圏への販売強化を計画しているが、そのなかでも販路開拓の中心として想定しているフランス、イタリアにおける SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
フランスにおける SDG ダッシュボード上では、「3」、「8」に関しては「重要な課題が残る」、「12」に関しては「大きな課題が残る」、「9」に関しては「課題が残る」、とされている。
またイタリアにおける SDG ダッシュボード上では、「3」に関しては「課題が残る」、「8」に関しては
「重要な課題が残る」、「9」、「12」に関しては「大きな課題が残る」、とされている。
これらに対し、同社のデザイナーイメージを高度に再現する高品質眼鏡フレーム製造への取り組み、従業員の人材育成および労働環境改善への取り組みや、環境負荷低減の取り組みなどが、フランス及びイタリア国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
➃ 岐阜県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する岐阜県を中心に行われていることから、「岐阜県 SDGs xx都市計画」を参照し、岐阜県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、岐阜県では「<環境>美しい清流とそれを育む豊かな森の保全と活用」、「<経済>「清流の国ぎふ」ブランドと変化に強い地域経済の確立」、「<社会>誰もが活躍し生きがいを感じられる地域社会の構築」を 2030 年のあるべき姿と設定し SDGs 達成に向けた課題を設定しており、同社のデザイナーイメージを高度に再現する高品質眼鏡フレーム製造への取り組み、従業員の人材育成および労働環境改善への取り組みや、環境負荷低減の取り組みといった取り組みが、岐阜県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
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(出典:岐阜県第 2 期 SDGs xx都市計画の概要)
⑤ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目を SDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した同社のインパクトである「高品質かつファッション性・機能性を両立した製品開発」は、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)と、「環境に配慮した製造の推進」は「ぎふしん SDGs 宣言」の(3)と、「雇用機会の増大を通じた地域社会の発展」は「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(3)と強い親和性があり、相互に協力しあうことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■高品質かつファッション性・機能性を両立した製品開発
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的・経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「健康・衛生」「包括的で健全な経済」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・各種委員会活動を通じた工程改善への継続的な取り組みの実施 ・計画的設備投資による機械加工で対応できる範囲の拡大 |
目標とKPI | ・2030 年 3 月期において、顧客の要請する製品品質を達成しながら月間平均製造可能量を 12,500 本から 14,000 本へと引き上げる。 ・2030 年 3 月期において、自社ブランドのハイエンド眼鏡フレーム製品売 上構成比率を 5%から 20%へ引き上げる。 |
■環境に配慮した製造への取り組みの推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「資源効率・安全性」「廃棄物」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・製造過程で発生するアセテート樹脂端材の再活用方法の検討 ・検討結果を踏まえた端材再活用の検証 ・端材再活用方法確立に向けた、検討、検証のサイクルを社内に構築し、有効な手段の実行を通じて廃棄処分量を削減する。 |
目標とKPI | ・2021 年 3 月期対比で 2030 年 3 月期までに、製造過程で発生する プラスチックごみ廃棄処分量 3 分の 1 を達成する。 |
■雇用機会の増大を通じた地域社会の発展
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・地域内向け工場見学会の継続実施 ・継続的な研修機会の提供による従業員の技術向上、管理人材の育成 ・「健康経営優良法人」認定取得を通じた従業員の労働環境の整備 |
目標とKPI | ・2030 年 3 月期までに、同社事業展開に伴う新規雇用者 15 名を達成する。 ・2027 年 3 月期までに、「健康経営優良法人」の認定を取得する。 |
同社では、xx社長を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びにKPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役社長 | xx xx |
本PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 7 年間 (2030 年 7 月 31 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、恵那眼鏡工業株式会社から提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3.本評価書に関する一切の権利は岐阜信用金庫に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。