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第2節 対物賠償責任条項
「用語の説明」
この対物賠償責任条項において使用される用語の説明は、普通保険約款「用語の説明」による場合のほか、次のとおりとします。
(50xx)
用語 | 説明 | |
う | 運行不能 | 正常な運行ができなくなることをいいます。ただし、運行することにつき、物理的な危険を伴うものをいい、情報の流布(注)のみに起因するものを除きます。 (注)情報の流布には、特定の者への伝達を含みます。 |
き | 軌道上を走行する陸上の乗用具 | 汽車、電車、気動車、モノレール、ケーブルカー、ロープウェー、いす付リフト、ガイドウェイバス(注)をいいます。なお、ジェットコースター、メリーゴーラウンド等遊園地等で専ら遊戯施設として使用されるもの、ロープトウ、ティーバーリフト等座席装置のないリフト等は含みません。 (注)ガイドウェイバスとは、専用軌道のガイドに沿って走行するバスをいいます。なお、専用軌道のガイドに沿って走行している間に限 り、軌道上を走行する陸上の乗用具として取り扱います。 |
ほ | 法律上の損害賠 償責任 | 民法(明治29年法律第89号)等法律に基づく損害賠償責任をいいま す。 |
第1条(保険金を支払う場合)
当社は、被保険者が借用自動車の運転に起因して他人の財物を損壊させたこと、または被保険者が借用自動車の運転に起因して軌道上を走行する陸上の乗用具を運行不能にさせたこと
(以下「対物事故」といいます。)により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、この対物賠償責任条項および基本条項に従い、対物賠償保険金を支払います。
第2条(補償の対象となる方-被保険者)
この対物賠償責任条項における被保険者は、借用自動車を運転している次のいずれかに該当する者とします。
① 記名被保険者
② 指定被保険者
第3条(保険金を支払わない場合)
(1)当社は、次のいずれかに該当する事由によって発生した損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
① 保険契約者、記名被保険者、指定被保険者またはこれらの者の法定代理人(注1)の故意
② 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動(注2)
③ 地震もしくは噴火またはこれらによる津波
④ 台風、洪水または高潮
⑤ 核燃料物質(注3)もしくは核燃料物質(注3)によって汚染された物(注4)の放射性、爆発性その他有害な特性の作用またはこれらの特性に起因する事故
⑥ 本条(1)⑤に規定した以外の放射線照射または放射能汚染
⑦ 本条(1)②から⑥までの事由に随伴して発生した事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて発生した事故
⑧ 借用自動車を競技(注5)もしくは曲技(注6)のために使用すること、または借用自動車を競技もしくは曲技を行うことを目的とする場所において使用(注7)すること。
(2)当社は、被保険者が第三者との間に損害賠償に関する特別の約定を締結している場合にお いて、その約定によって加重された損害賠償責任を負担することによって被る損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
(3)当社は、次のいずれかに該当する場合に発生した事故により、被保険者が被った損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
① 被保険者の使用者の業務(注8)のために、その使用者の所有する自動車(注9)を運転している場合
② 自動車の修理、保管、給油、洗車、売買、陸送、賃貸、運転代行等自動車を取り扱う業務として受託した自動車を運転している場合
(4)当社は、対物事故により次のいずれかに該当する者の所有、使用または管理する財物が損壊した場合、または次のいずれかに該当する者の所有、使用または管理する軌道上を走行する陸上の乗用具が運行不能になった場合には、それによって被保険者が被る損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
① 被保険者
② 被保険者の配偶者
③ 被保険者の父母または子。ただし、被保険者またはその配偶者と同居している場合に限ります。
(注1)これらの者の法定代理人とは、保険契約者が法人である場合、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関をいいます。
(注2)暴動とは、群衆または多数の者の集団の行動によって、全国または一部の地区において著しく平穏が害され、治安維持xxxな事態と認められる状態をいいます。
(注3)核燃料物質には、使用済燃料を含みます。
(注4)核燃料物質によって汚染された物には、原子核分裂生成物を含みます。
(注5)競技とは、ロードレース(山岳ラリー、タイムラリー)やサーキットレース等をいい、これらのための練習を含みます。
(注6)曲技とは、サーカス、カースタント等をいい、これらのための練習を含みます。
(注7)競技もしくは曲技を行うことを目的とする場所において使用とは、救急、消防、事故処理、補修、清掃等のための使用を除きます。
(注8)業務とは、家事を除きます。
(注9)所有する自動車には、所有権留保条項付売買契約により購入した自動車、および1年以上を期間とする貸借契約により借り入れた自動車を含みます。
第4条(支払保険金の計算)
(1)1回の対物事故につき当社の支払う対物賠償保険金の額は、次の算式によって算出される額とします。ただし、対物保険金額を限度とします。
保険証券に免責金額の記載がある場合は、その免責金額
被保険者が損害賠償請求権者に対して損害賠償金を支払ったことにより代位取得するものがある場合
は、その価額
第5条(費用)①から
⑤までの費用
被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責
任の額
対物賠償保険金の額
= + - -
(2)当社は、本条(1)に定める対物賠償保険金の額のほか、対物保険金額を超過した場合でも、次の額の合計額を対物賠償保険金として支払います。
① 第5条(費用)⑥および⑦の費用
② 第7条(当社による解決)(1)の規定に基づく訴訟または被保険者が当社の書面による同意を得て行った訴訟の判決による遅延損害金
第5条(費用)
費用 | 説明 | |
① | 損害防止費用 | 基本条項第14条(事故発生時の義務および義務違反の場合の取扱い)(1)①に規定する損害の発生または拡大の防止のために 必要または有益であった費用をいいます。 |
② | 権利保全行使費用 | 基本条項第14条(事故発生時の義務および義務違反の場合の取扱い)(1)④に規定する権利の保全または行使に必要な手続を するために要した費用をいいます。 |
③ | 緊急措置費用 | 対物事故が発生した場合において、損害の発生または拡大の防止のために必要または有益と認められる手段を講じた後に法律上の損害賠償責任のないことが判明したときは、その手段を講じたことによって要した費用のうち、緊急措置のために要した費用、 およびあらかじめ当社の同意を得て支出した費用をいいます。 |
④ | 落下物取片づけ費用 | 偶然な事故によって借用自動車に積載していた動産(注)が落下したことに起因して、落下物を取り片づけるために被保険者が負担した費用のうち、あらかじめ当社の同意を得て支出した取片づ け費用をいいます。 |
⑤ | 原因者負担費用 | 対物事故が発生した場合で、失火ノ責任ニ関スル法律(明治32年法律第40号)の適用により被保険者に法律上の損害賠償責任が発生しないときにおいて、被保険者が道路法(昭和27年法律第180号)第58条(原因者負担金)等の法令に定められる原 因者負担金として支出した費用をいいます。 |
保険契約者または被保険者が支出した次の費用は、これを損害の一部とみなします。ただし、これらの費用を支出する際の措置・手続を行うことによって得られなくなった収入は対象となりません。
⑥ 示談交渉費用 | 対物事故に関して被保険者の行う折衝または示談について被保険者が当社の同意を得て支出した費用、および第7条(当社による解決)(2)の規定により被保険者が当社に協力するために要 した費用をいいます。 |
⑦ 争訟費用 | 損害賠償に関する争訟について、被保険者が当社の書面による同意を得て支出した訴訟費用、弁護士報酬、仲裁、和解もしくは調停に要した費用またはその他権利の保全もしくは行使に必要な 手続をするために要した費用をいいます。 |
(注)借用自動車に積載していた動産とは、法令で積載が禁止されている動産または法令で禁止されている方法で積載されていた動産を除きます。
第6条(当社による協力または援助)
被保険者が対物事故にかかわる損害賠償の請求を受けた場合には、当社は、被保険者の負担する法律上の損害賠償責任の内容を確定するため、当社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、被保険者の行う折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続について協力または援助を行います。
第7条(当社による解決)
(1)次のいずれかに該当する場合には、当社は、当社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当社の費用により、被保険者の同意を得て、被保険者のために、折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続(注1)を行います。なお、この場合における折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続(注1)には、借用自動車に発生した損害について借用自動車の所有者および被保険者から相手方へ行う請求に関するものは含みません。
① 被保険者が対物事故にかかわる損害賠償の請求を受け、かつ、被保険者が当社と解決条件について合意している場合
② 当社が損害賠償請求権者から第8条(損害賠償請求権者の直接請求権)の規定に基づく損害賠償額の支払の請求を受けた場合
(2)本条(1)の場合には、被保険者は当社の求めに応じ、その遂行について当社に協力しなければなりません。
(3)当社は、次のいずれかに該当する場合は、本条(1)の規定は適用しません。
① 1回の対物事故につき、被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の総額が対物保険金額(注2)を明らかに超える場合
② 保険証券に免責金額の記載がある場合は、1回の対物事故につき、被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の総額が免責金額を明らかに下回る場合
③ 損害賠償請求権者が、当社と直接、折衝することに同意しない場合
④ 正当な理由がなく被保険者が本条(2)に規定する協力を拒んだ場合
(注1)訴訟の手続には、弁護士の選任を含みます。
(注2)対物保険金額とは、保険証券に免責金額の記載がある場合、その額との合計額をいいます。
第8条(損害賠償請求権者の直接請求権)
(1)対物事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償
請求権者は、当社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当社に対して本条(3)に定める損害賠償額の支払を請求することができます。
(2)当社は、次のいずれかに該当する場合に、損害賠償請求権者に対して本条(3)に定める損害賠償額を支払います。ただし、1回の対物事故につき当社がこの対物賠償責任条項および基本条項に従い被保険者に対して支払うべき対物賠償保険金の額(注1)を限度とします。
① 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合
② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合
③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合
④ 法律上の損害賠償責任を負担すべき被保険者について、次のいずれかに該当する事由があった場合
ア.被保険者(注2)の破産または生死不明
イ.被保険者が死亡し、かつ、その法定相続人がいないこと。
(3)第7条(当社による解決)および本条の損害賠償額とは、次の算式により算出される額をいいます。
次のいずれか高い額
① 被保険者が損害賠償請求権者に対して既に支払った損害賠償金の額
② 保険証券に免責金額の記載がある場
合は、その免責金額
被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額
損害賠償額
= -
(4)損害賠償請求権者の損害賠償額の請求が被保険者の対物賠償保険金の請求と競合した場合は、当社は、損害賠償請求権者に対して優先して損害賠償額を支払います。
(5)本条(2)または(8)の規定に基づき当社が損害賠償請求権者に対して損害賠償額の支払を行った場合は、その金額の限度において当社が被保険者に、その被保険者の被る損害に対して、対物賠償保険金を支払ったものとみなします。
(6)1回の対物事故につき、被保険者が負担する法律上の損害賠償責任の総額(注3)が対物保険金額(注4)を超えると認められる時以後、損害賠償請求権者は本条(1)の規定による請求権を行使することはできず、また当社は本条(2)の規定による損害賠償額を支払いません。
(7)次のいずれかに該当する場合には、本条(6)の規定を適用しません。
① 本条(2)④に規定する事実があった場合
② 損害賠償請求権者が被保険者に対して、対物事故にかかわる損害賠償の請求を行う場合において、被保険者(注2)とも折衝することができないと認められる場合
③ 当社への損害賠償額の請求について、すべての損害賠償請求権者と被保険者との間で、書面による合意が成立した場合
(8)本条(7)②または③に該当する場合は、本条(2)の規定にかかわらず、当社は、損害賠償請求権者に対して、損害賠償額を支払います。ただし、1回の対物事故につき当社がこの対物賠償責任条項および基本条項に従い被保険者に対して支払うべき対物賠償保険金の額(注
1)を限度とします。
(注1)対物賠償保険金の額とは、同一事故につき既に当社が支払った対物賠償保険金または損害賠償額がある場合、その全額を差し引いた額をいいます。
(注2)被保険者とは、被保険者が死亡した場合、その法定相続人とします。
(注3)法律上の損害賠償責任の総額には、同一事故につき既に当社が支払った対物賠償保険金または損害賠償額がある場合、その全額を含みます。
(注4)対物保険金額とは、保険証券に免責金額の記載がある場合、その額との合計額をいいます。
第9条(仮払金および供託金の貸付け等)
(1)第6条(当社による協力または援助)または第7条(当社による解決)(1)の規定により当社が被保険者のために援助または解決にあたる場合には、当社は、1回の対物事故につき、対物保険金額(注1)の範囲内で、仮処分命令に基づく仮払金を無利息で被保険者に貸し付け、また、仮差押えを免れるための供託金もしくは上訴のときの仮執行を免れるための供託金を当社の名において供託し、または供託金に付されると同率の利息で被保険者に貸し付けます。
(2)本条(1)により当社が供託金を貸し付ける場合には、被保険者は、当社のために供託金
(注2)の取戻請求権の上に質権を設定するものとします。
(3)本条(1)の貸付けまたは当社の名による供託が行われている間においては、第4条(支払保険金の計算)(1)ただし書、第8条(損害賠償請求権者の直接請求権)(2)ただし書および同条(8)ただし書の規定は、その貸付金または供託金(注2)を既に支払った対物賠償保険金とみなして適用します。
(4)本条(1)の供託金(注2)が第三者に還付された場合には、その還付された供託金(注
2)の限度で、本条(1)の当社の名による供託金(注2)または貸付金(注3)が対物賠償保険金として支払われたものとみなします。
(5)基本条項第16条(保険金の請求)の規定により当社の保険金支払義務が発生した場合は、本条(1)の仮払金に関する貸付金が対物賠償保険金として支払われたものとみなします。
(注1)対物保険金額とは、同一事故につき既に当社が支払った対物賠償保険金または第8条(損害賠償請求権者の直接請求権)の損害賠償額がある場合、その全額を差し引いた額をいいます。
(注2)供託金には、利息を含みます。
(注3)貸付金には、利息を含みます。
第10条(先取特権)
(1)対物事故にかかわる損害賠償請求権者は、被保険者の当社に対する保険金請求権(注)について先取特権を有します。
(2)当社は、次のいずれかに該当する場合に、対物賠償保険金の支払を行うものとします。
① 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をした後に、当社から被保険者に支払う場合。ただし、被保険者が賠償した金額を限度とします。
② 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、被保険者の指図により、当社から直接、損害賠償請求権者に支払う場合
③ 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、損害賠償請求権者が本条(1)の先取特権を行使したことにより、当社から直接、損害賠償請求権者に支払う場合
④ 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、当社が被保険者に対物賠償保険金を支払うことを損害賠償請求権者が承諾したことにより、当社から被保険者に支払う場合。ただし、損害賠償請求権者が承諾した金額を限度とします。
(3)保険金請求権(注)は、損害賠償請求権者以外の第三者に譲渡することはできません。また、保険金請求権(注)を質権の目的とし、または本条(2)③の場合を除いて差し押さえることはできません。ただし、本条(2)①または④の規定により被保険者が当社に対して対物賠償保険金の支払を請求することができる場合を除きます。
(注)保険金請求権とは、第5条(費用)の費用に対する保険金請求権を除きます。
第11条(損害賠償請求権者の権利と被保険者の権利の調整)
対物保険金額が、第10条(先取特権)(2)②または③の規定により損害賠償請求権者に対して支払われる対物賠償保険金と被保険者が第5条(費用)の規定により当社に対して請求することができる対物賠償保険金の合計額に不足する場合は、当社は、被保険者に対する対物賠償保険金の支払に先立って損害賠償請求権者に対する対物賠償保険金の支払を行うものとします。