清水銀行(頭取 岩山 靖宏)は、お客さまの SDGs の達成をご支援するため、様々なソリューションメニューとともに、関連する資金ニーズに対してはサステナブルフ ァイナンスを提供しておりますが、このたび、静岡県信用保証協会(会長 吉林 章仁)と連携し、株式会社櫻井メタル(代表取締役 櫻井 新一)と「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス(以下「PIF」)」契約を締結いたしましたので通知いたします。
令和 4 年8月 31 日株式会社 xx銀行
県内初! 静岡県信用保証協会との協業による 株式会社xxメタル との
「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
xx銀行(頭取 xx xx)は、お客さまの SDGs の達成をご支援するため、様々なソリューションメニューとともに、関連する資金ニーズに対してはサステナブルファイナンスを提供しておりますが、このたび、静岡県信用保証協会(会長 xx xx)と連携し、株式会社xxメタル(代表取締役 xx xx)と「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス(以下「PIF」)」契約を締結いたしましたので通知いたします。
このたびの PIF 契約では、SDGs の達成に向けて取り組む企業を対象とした、静岡県信用保証協会の保証制度「SDGs 支援保証」のうち、一定の財務条件を満たした企業を対象とした「SDGs プレミアム」枠を利用したものとなります。本制度は通常の保証制度より低い保証料率となる上、最長で令和 12 年 12 月までの長期一括返済が可能となるため、企業の長期的な資金繰りに資することで SDGs の達成に向けた取り組みを長期的に支援することが可能となっております。
本件の取り組みにあたっては、当行関連会社の株式会社xx地域経済研究センター(代表取締役 xx xx)がインパクトを分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所(代表取締役社長 xx xx)がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しております。
当行は、令和 4 年 4 月の PIF 取り扱い開始以降、4 月に 1 件 1 億円、6 月に 1 件 10 億円、7 月に 3 件計 4 億 5 千万円、
合計 5 件 15 億 5 千万円の取扱いを行ってまいりましたが、今回の SDGs 支援保証を利用したものは、当行が静岡県内初の
取り組みとなり、8 月には本件を含み 10 件 10 億 5 千万円の実行を予定しております。
xx銀行では、2021 年 12 月に「環境方針」「責任ある投融資方針」からなる「xx銀行サステナビリティ方針」を策定し、持続可能な社会の実現や社会的課題の解決に向けた取り組みを加速させてまいりました。今後も社会・環境問題の解決に資する取り組みを一層推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
1.契約概要 2.借入人概要
契 約 日 : 令和 4 年 8 月 31 日(水) 企 業 名 : 株式会社xxメタル
融資金額 : 1 億円 所 在 地 : xxxxxxxx 0000 xx
資金使途 : 運転資金 事業内容 : 非鉄金属卸売業
3.借入人の主な取り組み(詳細は「ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書」をご参照ください)
(1)特定されたインパクト
ポジティブ・インパクトが期待できる活動 | ・非鉄金属スクラップの再資源化 ・従業員とのコミュニケーション維持及び資格取得費用負担 ・再資源化効率向上に貢献することで循環型社会の実現を目指す |
ネガティブ・インパクトを低減する活動 | ・循環型設備による汚水排出量抑制 ・非鉄金属スクラップの再資源化による廃棄物の削減 ・運搬車のエコカー化 |
(2)測定する KPI
環境面 | ・資源化効率(銅加工率)70%以上 ・ハイブリッド車新規 3 台導入 ・電気清掃車新規 1 台導入 |
|
社会面 | ・女性従業員の新規採用 ・有休休暇取得率の向上 ・就業規則及び安全マニュアル策定 |
|
経済面 | ・クレーム件数ゼロ |
|
4.SDGs 支援保証制度の内容
ご利用できる方 | 【SDGs 保証】 ・金融機関所定の SDGs 取組に関する宣言書等を有する方 【SDGs プレミアム】 以下のすべての要件を満たす方 ・金融機関所定の SDGs 取組に関する宣言書等を有すること ・保証申込直前期の決算における保証料率区分が 6 以上であること ・申込金融機関にプロパー融資の残高があること、またはプロパー融資を同時実行すること |
保証限度額 | 【SDGs 保証】 3,000 万円(一般枠) 【SDGs プレミアム】 2 億円(別枠) |
保証期間 | 最長 令和 12 年 12 月末まで ただし、SDGs 保証において、一括返済の場合は保証期間 1 年以内とし、分割返済の場合は据置期間 1 年以内とする |
貸付利率 | 金融機関所定の利率 |
貸付形式 | 手形貸付/証書貸付 |
返済方法 | 一括返済/分割返済 |
保証料率 | 【SDGs 保証】 年 0.35%~1.80%(一般保証料率より 0.1%引き下げ) 【SDGs プレミアム】 年 0.25%~0.80%(一般保証料率より 0.2%引き下げ) |
以 上
<ニュースリリースに関するお問い合せ> xx銀行 支店営業部 松田 054-366-9990
The Shimizu Regional Economy Research Center ,INC
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2022年8月 31 日
株式会社xx地域経済研究センター
目 次
1.評価の概要••••••••••••••••••••••••••••••••••••2
2.PIFの概要•••••••••••••••••••••••••••••••••••3
3.企業概要•••••••••••••••••••••••••••••••••••••3
4.包括的分析••••••••••••••••••••••••••••••••••••5
5.サステナビリティ経営体制•••••••••••••••••••••••••••••8
6.インパクトの特定•••••••••••••••••••••••••••••••••9
7.KPIの決定••••••••••••••••••••••••••••••••••14
8.モニタリング••••••••••••••••••••••••••••••••••17
株式会社xx地域経済研究センターは、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融計画
(UNEP FI)が公表している「ポジティブ•インパクト•ファイナンス金融原則」に則り、株式会社xxメタル(以下、xxメタルという)の包括的なインパクト分析を実施しました。
株式会社xx銀行は、本評価書で特定されたポジティブ•インパクトの拡大とネガティブ•インパクトの低減に向けた取組みを支援するため、xxメタルに対してポジティブ•インパクト•ファイナンス(以下、 PIF)を実行します。
1.評価の概要
(企業概要)
xxメタルは 2012 年設立で業歴は浅いが、静岡県富士市において非鉄金属の総合スクラップ卸売業として急速に成長を遂げてきた。取扱品目は銅線、アルミ、ステンレス、鉄くず、機械部品等でこれらを収集加工し、再生資源として同業者等に販売している。同社の特徴は、地元周辺の工場や建設工事現場からの再生可能資源を広く扱っていることであり、地元の資源は地元で再生利用するという地域循環型のリサイクルを強く意識した活動を行っている。同社は最近の循環型社会において、 CO2 削減、省エネに対する社会的要請が強まり、また排水規制、廃棄物規制が厳格になる中で、地域の再生リサイクルを推進することにより、地域とのつながりを大切にしつつ、取引顧客数拡大を図っている。
(インパクトの特定)
インパクト分析による標準値に対して、個別要因を加除しインパクトを特定した結果、ポジティブ•インパクトは、「教育」「雇用」「資源効率•安全性」「廃棄物」「経済収束」とした。一方で、ネガティブ•インパクトとしては「健康•衛生」「雇用」「水(質)」「資源効率•安全性」「気候」「廃棄物」を特定した。
(KPI の決定)
xxメタルは、特定したポジティブ•インパクトにおいて、環境面では「環境保全」をテーマとして、地域から発生した非鉄金属スクラップの再資源化を行うことで、主要業務の銅の加工において資源化効率 70%以上を目指す。社会面では、「労働環境の整備」をテーマとして、女性従業員を 2025年までに新規採用するとともにそれに伴う就業環境の整備を行う。経済面では、地域の顧客対応における信頼向上のため、クレーム件数のゼロを目指す。特定したネガティブ•インパクトにおいて、環境面では、「環境保全」をテーマに、エコカー導入など地球環境に優しい取組みを行う。社会面では、
「健康経営による働きやすい職場づくり」をテーマに、有給休暇取得率向上と就業規則等の策定を
KPI に設定した。
(モニタリング)
モニタリング体制は、統括責任者にxxxx社長、プロジェクトリーダーにxxxx臣工場長、プロジェクトチーム担当者にxxxx運行xxを選定し、今後少なくとも年 1 回はモニタリングする体制を構築し、進捗状況を確認する。
2.PIFの概要
契約日および返済期限 | 2022 年 8 月 31 日~2030 年 12 月 25 日 |
金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
モニタリング期間 | 8 年間 4 か月 |
3.企業概要
企業名 | 株式会社xxメタル |
所在地 | 本社 xxxxxxxx 0000 xx |
設立 | 2012 年 2 月 14 日 |
従業員 | 5 名(男性 3 名、女性 2 名) |
職種別人数 | 役員 2 名、従業員 3 名 |
売上高 | 1,556,448 千円 (2021 年 11 月期) |
資本金 | 3 百万円 |
業種 | 卸売業 |
事業の内容 | 非鉄金属卸売業 100.0% |
取得許可 | 古物商許可 静岡県公安委員会許可 第 491100220900 号金属くず商 静岡県公安委員会許可 第 491109000479 号 収集運搬業 産業廃棄物収集運搬業許可 第 02201174368 号 |
主要仕入先 | エンドウメタル工業(株)、(株)サンコーxx、xxメタル(株) |
主要販売先 | xx金属(株)、(株)サンコーxx、xxメタル(株) |
沿革 | 2010 年(平成 22 年)2 月 現代表xxxxxが個人創業により開始 2012 年(平成 24 年)2 月 株式会社xxメタル法人設立 |
経営理念 | •人とのつながりを大切にした商売。 •限りある資源の中で、再利用できる資源を無駄にすることなく活用し、地域の皆様と共にxxを担う子供たちに豊かな地球環境を残すことができるように日々の業務に邁進する。 |
【事業特性】
xxメタルは、非鉄金属の総合スクラップ卸売業で取扱品目は銅線、アルミ、ステンレス、鉄くず、機械部品等を収集加工し、再生資源として同業者等に販売している。仕入先は地元富士市の廃棄物回収業者を中心
に、一般顧客からも各種スクラップ類を回収しており、分散化が図られている。xxメタルの特徴は、地元周辺の工場や工事現場から回収される再生可能資源を広く扱っていることであり、収集品目はアルミニウム、ステンレス、配電線•銅線、真鍮以外にも、配電盤、モーター、業務用エアコン、バッテリー、雑品、フォークリフト、重機類などを回収しており、地域資源の再生リサイクルを意識した活動を行っている。最近の循環型社会において、CO2 削減、省エネに対する社会的要請が強まり、また排水規制、廃棄物規制が厳格になる中で、xxメタルは地域の再生リサイクルを推進することにより、地域とのつながりを大切にしつつ、取引顧客数拡大を図っている。
業界の概要を見てみると、日本標準産業分類では再生資源卸売業に分類され、非鉄金属スクラップ卸売業は非鉄金属のみを回収、選別して卸売りするもので、xxメタルのように裁断、異物処理などを同時に行う加工施設を併設している事業所も含む。
産業分類小分類別 | 事業所数 | 従業者数(人) | 年間商品販売額 (百万円) |
非鉄金属卸売業 | 75 | 565 | 117,584 |
再生資源卸売業 | 319 | 2,325 | 103,481 |
合 計 | 394 | 2,890 | 221,065 |
取扱品目は、銅、鉛、亜鉛、アルミニウム等の「ベースメタル」とニッケル、コバルト、プラチナなどの希少金属である「レアメタル」に分類される。また、発生分類別では、各種メーカーの製造工程で発生する「プロダクション•スクラップ」と、市中で流通した製品に含まれ廃棄される「オールド•スクラップ」に大別される。静岡県における事業所数、従業者数、年間販売額をみると、下記の通りである。
出典:2016 年経済センサス活動調査産業別集計報告書より
国内、各地域においての非鉄金属の需要は堅調であり、オールド•スクラップの発生量は、製造業などの設備更新が進行する中で、旧来の設備機械装置類の解体が増えている他、廃家電、廃車の部品取り扱いも増えている。また、機械類では小型化•軽量化が進展し、電子部品も増えているため、部品内から金属を取り出す作業が複雑化している。廃電線では人手不足の課題があったが、最近では、専用の機械導入を使用した効率化が進んでいる。
単位:USドル/トン
非鉄金属市場の価格推移は下記の通りで、ウクライナ危機発生の時点をピークとして現在は 2021 年初期時点の水準に戻りつつある。
出典:世界銀行資料より加工作成
4.包括的分析
(1)業種別インパクトの状況
廃棄物•スクラップ及び他に分類されないその他の製品の卸売業におけるインパクトレーダーの標準値として、ポジティブなインパクトは「健康•衛生」「雇用」「資源効率•安全性」「気候」「廃棄物」
「経済収束」が発現した。
一方、ネガティブなインパクトは「雇用」「水(質)」「大気」「生物多様性と生態系サービス」「気候」「廃棄物」「経済収束」が発現した。
(2)xxメタルの現状分析
【具体的な事業活動】
xxメタルは 2012 年設立で新興企業であるが、経営理念にある「人とのつながりを大切にした商売」で地域と共に豊かな地球環境を残すことを目指して業務を行っている。特徴的な点として、廃銅線からの銅ナゲット生産能力が高く、取扱品目の構成比は銅 87%、アルミニウム 6%、ステンレス 4%、真鍮その他 3%と銅が大半を占めている点が挙げられる。
また、入荷から出荷までの工程は、下図の通りである。
選別分析•破砕•粉砕
【取扱品目】
(xxメタル HP より)
【自動選別処理】
•xxメタルでは、ナゲット機を新たに導入し、被覆電線•銅線を被膜部分と金属部分に自動選別が可能な体制が出来ている。
•選別される金属は、高純度かつ同形状であるため取扱いがしやすい状態になっている。
•また、剥線機では処理しきれなかった残存資源を焼却する必要がないことから、環境に配慮した処理を行えるようになっている。
(xxメタル HP より)
【品質】
•選別された高純度である銅の赤ナゲットは、不純物を含む 雑ナゲットと一線を画し、検査工程を経ずにそのまま溶解に廻せる高い品質である。
•品質維持を保つ専用ドラム缶に収納されて卸売業者等に販売される。
<xxメタルの通常業務フロー>
回収資源
入荷
加工処理
検品•出荷
販売先持込
収集運搬
運搬
【保有車両等】
(xxメタル HP より)
【設備概要】
導入したナゲット機
<ナゲット機による銅加工>
加工前の「廃電線」 加工後の「ナゲット」
(xxメタル HP より)
5.サステナビリティ経営体制
(1)環境面での活動
•xxメタルは、回収された資源を分別、加工した後、リサイクル資源として再使用する銅ナゲット等を販売会社に卸売りする一方で、残留する廃棄物については法令に従って適切な処理を実施している。
•自社にて発生した廃棄物の種類、量は常時把握測定しており、廃棄物削減のための加工効率向上を目指して設備機械の導入を図っている。
•CO2 排出量削減のための取組みとしては、ハイブリッド車の導入や工場の一部 LED 化を行い、空調設備使用に関しても節電を徹底している。会社の電力使用量では、常時把握しながら工場を稼働している。
•非鉄金属類の再資源化が本業であり、3R については地域資源を地域で再利用できる循環型社会を目指すとともに、17 時 30 分以降は工場稼働をしないなど、近隣地域の騒音対策にも一段の配慮をしている。
(2)社会面での活動
•xxメタルは地域の自治会、子供会との交流や、👉年会議所、商工会議所👉年部への参加により、自社事業が地域に貢献できるリサイクルを目指し広報活動している。
•また、地域のプロサイクリングチームであるレバンテフジ静岡への寄付や、地元高校生の就労体験受入れ
(2021 年度実績 3 名)を行っている。
•社会貢献活動としては、xx社長が匿名で貧困、飢餓問題や医療提供に関する寄付を行っている。
•xxxxxは従業員が男性 3 名、女性 2 名の計 5 名と少数であるが、従業員の意見具申を聞くため、社長が毎日ミーティングでコミュニケーションを取る時間を設けることで、メンタルヘルスに努めている。
•就業規則は明文化されたものはないものの、工場内の機械取扱い基準や大型車、特殊車両の運転に関するルールを定めており、従業員に徹底されている。
•工場長を任命配置し、出入り業者や従業員に危険が及ばぬように危機管理、保守管理を行っている。
•資取得格費用の補助を行い、従業員の能力開発を支援している。
(3)経済面での活動
•xxメタルのリサイクル事業は廃電線の銅を高品質なナゲット銅に加工することにより、地域のサプライチェーン全体に資源の好循環をもたらしている。
•現在、カーボンニュートラル実現に向けて様々な取組みが進められているが、再生可能エネルギーの増 加に伴い、洋上風力発電•xxx発電•電気自動車の導入など送電線の整備も含め、今後銅の需要増加がますます見込まれる。
<地域のサプライチェーンに与える好循環>
こうした中で、高品質なナゲット銅のリサイクルによる加工生産は、銅を使用して製造する製品の歩留まり改善や廃棄物削減、CO2 排出量削減につながる環境負荷の低減に貢献する重要な経済活動である。
xxメタルの
リサイクル事業
納品先が卸すメーカーの使用する製品の歩留まり率向上
納品先のメーカーが使用する高品質な 再生銅
廃棄物削減
CO2排出量削減
資源の有効活用
6.インパクトの特定 |
(1)インパクト特定分析 本ファイナンスでは、xxメタルの事業について、国際標準産業分類における「廃棄物•スクラップ及び他に分類されないその他の製品の卸売業」として分析を行った。 その結果、xxメタルの事業におけるインパクトレーダーの標準値として、ポジティブなインパクトは、「健康•衛生」「雇用」「資源効率•安全性」「気候」「廃棄物」「経済収束」が発現し、ネガティブなインパクトは「雇用」「水(質)」「大気」「生物多様性と生態系サービス」「気候」「廃棄物」「経済収束」が発現した。 xxメタルの個別要因を加味し、インパクト領域を特定したところ、同社の積極的な具体的事業活動の中で 「教育」は資格取得費用も負担するなど人材育成意欲が高いことからポジティブ•インパクトに追加した。「健康•衛生」について、従業員のメンタルヘルスケア管理を含めネガティブの軽減に資する取組みがあること、 「資源効率•安全性」に関しては受託先の工場内での設備製造工程でのロス率軽減に取り組んでいることから、ネガティブ•インパクトに追加した。 一方で、「健康•衛生」「気候」に対しては直接ポジティブに資する活動は行っていないことから、ポジティブ•インパクトから削除した。また、工場内設備の稼働によって「大気」「生物多様性と生態系サービス」に対してはネガティブな影響を及ぼすわけではないこと、及びxxメタルの事業は「経済収束」に係るネガティブな影響の是正に資する事業ではないことから、ネガティブ•インパクトから削除した。 |
その結果、個社分析修正値及び、そのインパクト具体的取組内容と関連する SDGs ターゲットとは以下の通りとなった。
(2)インパクトレーダーとの関連性
UNEP FI のインパクトレーダー(環境、社会、経済の全てを包括する 22 のインパクトカテゴリー)による、xxメタル固有のインパクト領域は下記の表の通りである。 (※網掛けが該当領域)
xxメタルにおいて、従業員に安全な業務遂行のために必要な資格取得を奨励する活動は「教育」に、女性の積極的な雇用継続の活動は、多様性ある職場づくりとしての「雇用」に関するポジティブ•インパクトと想定できる。
また、本業である非鉄金属の資源化効率の向上は、「資源効率•安全性」、「廃棄物」、「経済収束」に関するポジティブ•インパクトであると想定できる。
一方で、従業員のストレスチェックは「健康•衛生」に、有給休暇の取得率 100%目標や就業規則制定に係る対応は「雇用」に、循環設備による汚水抑制は「水(質)」に、本業における資源化効率向上による廃棄物の削減活動は「資源効率•安全性」「廃棄物」に、エコドライブの徹底やエコカー導入は「気候」に該当し、ネガティブ•インパクトを低減させている。
入手可能性、アクセス可能性、 手ごろさ、品質 | 質(物理的•化学的構成•性質) の有効利用 | 人と社会のための経済的価値創造 |
水(入手可能性) | 水(質) | 包括的で健全な経済 |
食料 | 大気 | 経済収束 |
住居 | 土壌 | |
健康•衛生 | 生物多様性と生態系サービス | |
教育 | 資源効率•安全性 | |
雇用 | 気候 | |
エネルギー | 廃棄物 | |
移動手段 | ||
情報 | ||
文化•伝統 | ||
人格と人の安全保障 | ||
xx | ||
強固な制度•平和•安定 |
(3)インパクトレーダーにおけるマッピング
特定したインパクトをもとにインパクトレーダーで発現したインパクト•マップは以下の通りとなる。
(4)企業活動がインパクトに与える影響
環境面•社会面•経済面でインパクトを与える活動をテーマごとに整理すると下記の通りとなる。
①ポジティブ•インパクトが期待できる活動
インパクト領域 | テーマ | ポジティブ•インパクトの活動内容 |
<環境面> 資源効率•安全性廃棄物 | 環境保全 | •地域から発生した非鉄金属スクラップを再資源化し、再資源化効率の向上により廃棄物の削減に貢献している。 |
<社会面>教育 雇用 | 労働環境の整備 | •社長が従業員と個人面談を実施するなど常時コミュニケーションを維持している。 •資格取得費用負担など人材育成を積極的に支援している。 |
<経済面>経済収束 | 循環型社会の実現につながる顧客 対応 | •人とのつながりを大切にした顧客対応により地域での信頼を確立し、再資源化効率向上に貢献することで循環型社会実現を目指す。 |
インパクト領域 | テーマ | ネガティブ•インパクトの活動内容 |
<環境面>水(質) 資源効率•安全性気候 廃棄物 | 環境保全 | •循環型設備により汚水排出量を抑制している。 •地域から発生した非鉄金属スクラップを再資源化し、再資源化効率の向上により廃棄物の削減に貢献している。 •従来よりエコドライブを徹底しており、CO2 抑制のために運搬車のエコカー化を計画中。 |
<社会面>健康•衛生雇用 | 健康経営による働きやすい職場づくり | •従業員のストレスチェックには配慮しており、さらに安全性向上のために休暇制度など就業ルールを策定中である。 |
7.KPI の決定(SDGs との関連性)
xxxxxは、本ファイナンス期間において以下のとおり KPI を設定する。
•ポジティブ•インパクトにおいて、環境面では、主要な業務である廃電線からの高品質な銅への加工において資源化効率 70%以上を目指す。社会面では、女性従業員の新規採用により、営業力の強化を図り顧客信頼度向上を目指す。また、そのための就業規則策定など就業体系を見直すこととする。経済面では、地域の人とのつながりを大切にする観点より、クレーム件数ゼロに取り組み、顧客対応の信頼向上を目指す。
•ネガティブ•インパクトにおいて、環境面では、環境保全の取組み意識を高めるため、エコカー導入など温室効果ガスの抑制を行う。社会面では、従業員の安全かつ働きやすい就業体制を構築するため、有給休暇の取得促進や就業規則策定を行う。
(1)ポジティブ•インパクトが期待できる活動
<環境面>
テーマ | 環境保全 |
インパクトレーダー | 資源効率•安全性、廃棄物 |
取組内容 | 地域から発生した非鉄金属スクラップの再資源化 |
SDGs との関連性 | 8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 か年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術•産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 |
KPI | •資源化効率(銅加工率)70%以上 |
<社会面> | |
テーマ | 労働環境の整備 |
インパクトレーダー | 教育、雇用 |
取組内容 | 働きやすい職場づくりと人材育成を通じて従業員が働きがいを持てる 環境の整備 |
SDGs との関連性 | 3.d 全ての国々、特に開発途上国の国家•世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。 |
KPI | •女性従業員の新規採用 1 名以上(2025 年まで) |
<経済面>
テーマ | 循環型社会実現につながる顧客対応 |
インパクトレーダー | 経済収束 |
取組内容 | 顧客対応による地域での信頼確立と再資源化効率工場に貢献することによる循 環型経済の実現 |
SDGs との関連性 | 8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 か年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
KPI | •クレーム件数ゼロ(対顧客現状の件数:5 件/年) |
(2)ネガティブ•インパクトを低減する活動
<環境面>
テーマ | 環境保全 |
インパクトレーダー | 資源効率•安全性、気候、廃棄物 |
取組内容 | •3R の低減、再資源化効率の向上に取り組んでいる。 •エコドライブの徹底とエコカー導入による CO2 排出量抑制に貢献 |
SDGs との関連性 | 8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 か年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術•産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 |
KPI | •ハイブリッド車新規 3 台導入(2030 年まで) •電気清掃車新規 1 台導入(2022 年中) |
<社会面>
テーマ | 健康経営による働きやすい職場づくり |
インパクトレーダー | 健康•衛生、雇用 |
取組内容 | 従業員のストレスチェック実施と休暇制度の確立 |
SDGs との関連性 | 3.d 全ての国々、特に開発途上国の国家•世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。 |
KPI | •有給休暇取得率の向上(現状 80%→100%:2023 年度中) •就業規則及び安全マニュアルの策定(2023 年度中) |
8.モニタリング
(1)モニタリング体制
xxメタルでは、本ポジティブ•インパクト•ファイナンスに取り組むにあたり、プロジェクトチームを結成。xxxx社長(以下xx社長)が陣頭指揮を執り、各部門が連携を図りながら、日々の業務、社内制度や諸活動を棚卸しすることで、自社の事業活動とインパクトレーダーや SDGs との関連性について検討を重ね、 SDGs の精神や経済•社会•環境に関する目標•KPI を決定した。本ポジティブ•インパクト•ファイナンス実行後においても、xx社長が統括責任者、xxxxx工場長がプロジェクトリーダー、xxxxxがプロジェクト担当者として、様々な場面•形で従業員に対しての周知•浸透を図り、KPI の達成を目指していく。
一方、KPI 達成のためには、自社内の経営資源だけでは困難なケースも想定される。取引先や地域など対外的にも、自社の経営理念やビジョンを HP などに公表することで、自社の強みや企業風土の理解を促進し、今まで以上に多くの関係者と連携を図り、KPI の実現を通じて、持続可能な企業として SDGs の理念の具現化を図っていく考えである。
統括責任者 | 代表取締役社長 | xx | xx |
プロジェクトリーダー | 工場長 | xx | xxx |
プロジェクト担当者 | 運行xx | xx | xx |
(2)モニタリングの方法と頻度
本ポジティブ•インパクト•ファイナンスで設定した KPI の達成及び進捗状況については、xx銀行と清水地域経済研究センター、及びxxメタルの担当者が定期的に会合の場を設け、共有する。会合は少なくとも年に1回実施するほか、日頃の情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
xx銀行は、KPI 達成に必要な資金およびその他ノウハウの提供、あるいはxx銀行やxx地域経済研究センターの持つネットワークから外部資源とマッチングすることで、KPI 達成をサポートする。
本件は、UNEP FI の「ポジティブ•インパクト金融原則」に準拠した融資である。xxxxxは、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低下に努めることを確認した。また、xx銀行は年に 1 回、その成果を確認する。
以 x
x評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、xx地域経済研究センターが、xx銀行から委託を受けて実施したもので、xx地域経済研究センターがxx銀行に対して提出するものです。
2.xx地域経済研究センターは、依頼者であるxx銀行およびxx銀行がポジティブ•インパクト•ファイアナンスを実施するxxメタルから供与された情報と、xx地域経済研究センターが独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ•インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル•パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に準拠しながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ•インパクト•
ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
<評価書作成者および本件問合わせ先>株式会社xx地域経済研究センター
xx xx
〒424-0941
xxxxxxxxxx0x0x
℡:000-000-0000 fax:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 8 月 31 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社xxメタルに対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社xx銀行 |
評価者:株式会社xx地域経済研究センター |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、xx銀行が株式会社xxメタル(「xxメタル」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社xx地域経済研究センターによる分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定した PIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。xx銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し、xx地域経済研究センターと共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、xx銀行及びxx地域経済研究センターにそれを提示している。なお、xx銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。 JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則
との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
xx銀行及びxx地域経済研究センターは、本ファイナンスを通じ、xxメタルの持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、xxメタルがポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、xx銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) xx銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:xx銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、xx銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、xx銀行からの委託を受けて、xx地域経済研究センターが分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めた PIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全てxx地域経済研究センターが作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、xx地域経済研究センターが、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるxxメタルから貸付人であるxx銀行及び評価者であるxx地域経済研究センターに対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所 サステナブル・ファイナンス評価部長 xx xx | |
担当xxアナリスト xx xx | 担当アナリスト xx xxx |
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000