「土づくり」については、持続可能な開発のための 2030 アジェンダ（SDGs）の国連採択を踏まえ、農地土壌が農業の持続的な発展にとり果たす役割の重要性が再認識される一方、国内でも ICT を活用したスマート農業の展開が始まる中、その取組が真に効果を発揮する上で、農業生産の基盤となる土壌機能の重要性が指摘されている。

土づくりコンソーシアム規約

2019 年 8 月 5 日改定

2020 年 12 月 1 日最終改定

第１ 名称

この会は「土づくりコンソーシアム」（以下「コンソーシアム」という。）と称する。

第２ 目的

「土づくり」については、持続可能な開発のための 2030 アジェンダ（SDGs）の国連採択を踏まえ、農地土壌が農業の持続的な発展にとり果たす役割の重要性が再認識される一方、国内でも ICT を活用したスマート農業の展開が始まる中、その取組が真に効果を発揮する上で、農業生産の基盤となる土壌機能の重要性が指摘されている。

こうした中、我が国が、目指すべき社会として Society5.0 が提唱され、農業分野でも農業データ連携基盤の設立などビッグデータの活用が始まりつつあり、「土づくり」についても、こうした流れに遅れることなくデータを活用していく必要性が増しているところである。

以上を踏まえ、土づくりにかかわる関係者によるコンソーシアムを立ち上げ、土壌に係るデータの収集・蓄積・利用の場を構築し、もって科学的なデータに基づく土づくりの導入とその効果的な普及を通じた農業の持続的な発展に資するものとする。

第３ 活動

コンソーシアムの活動は以下の取組とする。

１ 都道府県等による土壌調査データの共有・利用（以下「フェイズ１」という。）別記１のとおりとする。

２ 生産現場における土壌診断結果等の共有・利用（以下「フェイズ２」という。）別記２のとおりとする。

３ その他土壌改善に関する活動

第４ 構成員

コンソーシアムの構成員は、フェイズ１及びフェイズ２の活動にそれぞれの構成員として参画するものとし、別記１及び別記２のとおりとする。ただし、都道府県がフェイズ２に参画する場合にあっては、フェイズ１の構成員となっている場合に限るものとする。

第５ 総会

１ フェイズ１及びフェイズ２の基本的な活動に係る事項について審議するためのフェイズ

１総会及びフェイズ２総会を設置するものとする。

２ 各総会はフェイズ１及びフェイズ２の各構成員をもって構成し、必要に応じて開催するものとする。

３ 各総会の開催は、書面又は電子メールの開催とすることができるものとする。

第６ 顧問

コンソーシアムには土づくりに係る専門的知見に係る助言を受けるため、顧問を設置することができる。

第７ 経費

１ 別記１及び２に掲げるコンソーシアムでの活動のうち、各構成員が行う活動に要する経費については、各構成員が自ら負担するものとする。

２ コンソーシアムの運営等に係る会費の徴収は行わないものとする。

第８ 事務局

１ コンソーシアムの運営に係る事務を執行するため、事務局を置く。

２ 事務局は、農林水産省生産局農業環境対策課（以下「事務局」という。）が担うこととする。

第９ 入退会

１ 構成員は、コンソーシアムへの入会にあたり、本規約に基づく活動に係る同意、担当者の連絡先等を記載した入会届並びにデータの適切な管理に係る誓約書を事務局に提出するものとする。

２ 事務局は、各構成員の担当者の連絡先に係る名簿を作成し、構成員に配布するものとする。

３ 構成員は、担当者の連絡先等、入会届に係る記載事項に変更が生じた場合には、速やかに事務局宛に通知するものとする。

４ 構成員は、コンソーシアムを退会する場合は、その旨、文書により、事務局あてに提出し、事務局は当該事実について構成員に通知するものとする。

第 10 土づくりコンソーシアム以外のデータ基盤へのデータの提供

１ 構成員は、コンソーシアムに収集・蓄積されたデータ（構成員が自ら収集したデータを除く。）について、新たな土壌診断手法の策定に向けて、コンソーシアム以外のデータ基盤へのデータの提供に関して協議できるものとする。

２ 事務局は、当該協議に向けて、データの提供先、提供内容、提供の結果、当該データ基盤を通じて新たな診断手法等が創出された場合の取扱い等について構成員に案を提示できるものとする。

第 11 知的財産の取扱い

構成員は、コンソーシアムから得られたデータ（構成員が自ら収集したデータを除く。）による新たな知見に関して、知的財産権が発生する場合には、権利の帰属について他の構成員に対して協議し決定するものとする。

第 12 データの漏えいへの対応

構成員は、構成員が管理するデータに漏えい等の不測の事態があった場合は、その旨、他の構成員に対して関係する情報を事務局を通じて提供するとともに、適切な対応を行うものとする。

第 13 守秘義務

１ 構成員は、別記１及び２に掲げられたデータの適切な管理について、第９の１の誓約書により誓約するものとする。

２ １の誓約書については、事務局において保管するものとする。

３ １の規定にかかわらず法令上の強制力を伴う開示請求がなされた場合は、各構成員において適切に対処するものとする。

第 14 是正措置

１ 構成員において、本規約に反して、データの管理を怠り、コンソーシアムの活動の目的以外にデータを活用したことが明らかになった場合（構成員が自ら収集したデータを除く。）、当該構成員に対してコンソーシアムは是正の措置を求めるとともに、必要に応じてデータの利用の停止等を求めることができる。

２ 前項については、総会の開催等により決定することとする。

第 15 規約の改正等

１ 本規約については、コンソーシアムの活動状況を踏まえつつ、他のデータ基盤への提供等、必要に応じて見直すものとする。

２ 構成員は、規約の改正が必要な事態が生じると判断した場合には、理由を付した上で、事務局を通じて他の構成員に対して提案できることができる。

３ 当該提案があった場合には、総会により決定することとする。

第 16 その他

本規約に掲げるものの他、活動に必要な規定については、細則として定めることができるものとする。

（別記１）都道府県による土壌調査データの共有・利用（フェイズ１）

第１ 活動内容

構成員がこれまでに実施した土壌調査及び今後実施する土壌調査において取得したデータについて、以下の取組を行う。

① 土壌調査データの収集・蓄積

② 収集・蓄積したデータを収納するデータベースの構築

③ 収集・蓄積したデータの構成員による共有

④ 収集・蓄積したデータの土づくりの取組への利用

第２ 構成員

フェイズ１の構成員は、農林水産省、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構（以下「農研機構」という。）、都道府県とする。

第３ データの取得及び提供

１ 構成員は、各自がこれまでに実施した別表１に掲げる土壌調査において取得したデータ及び今後実施する土壌調査で取得するデータ（以下「フェイズ１データ」という。）について、原則、電子的情報により事務局を通じてコンソーシアムに提供するものとする。

２ フェイズ１データ項目については、個人情報等を除く別表２に掲げる項目とし、構成員は可能な限り多くの項目または全ての項目のデータを提供するものとする。

３ フェイズ１データの提供時期は、2017 年度以前に実施した調査については、コンソーシアムに参加する期日までに、2018 年度以降に実施する調査については、原則、調査年度の翌年 6 月末日までに、事務局に提供するものとする。

第４ データベースの設置・運営

１ コンソーシアムは、フェイズ１データを収納・蓄積するため、農研機構においてデータベース（以下「フェイズ１DB」という）を設置・運営する。フェイズ１DB の項目は別表

２と同じ項目とする。

２ 農研機構は、フェイズ１DB の利用に係る利用権限を構成員に付与する。

３ 農研機構は、事務局を通じて他の構成員からフェイズ１データが提供された場合は、速やかにフェイズ１DB に収納する。なお、収納の結果は、原則、毎年 9 月末日までに、事務局を通じて他の構成員に電子メールにより通知する。

４ 農研機構は、フェイズ１DB を農研機構の内規に従って適切に管理するものとする。

第５ データの管理及び利用

１ 構成員は、フェイズ１DB から取り出したフェイズ１データについて、適切に管理するとともに、フェイズ１データをフェイズ１の活動内容に従って適切に利用するものとする。

２ 構成員は、加工等（データを加工、分析、編集、統合したもの。以下同じ。）を施していないフェイズ１データを、構成員以外の第三者に提供してはならないものとする。ただし、別記２の第４の③の場合を除く。

３ 構成員は、フェイズ１データの加工により新たな知見が得られた場合は、他の構成員に対して、その内容を共有するとともに、原則、他の構成員は当該知見を利用できるものとする。なお、当該知見に関して、知的財産権が発生する場合には、権利の帰属について他の構成員に対して協議し決定するものとする。

（別記２）生産現場における土壌診断結果等の共有・利用（フェイズ２）

第１ 活動内容

構成員は、生産現場における土壌診断結果等の共有・利用に向け、以下の取組を行う。

① 生産現場における土壌診断及び当該診断に基づく改善結果等に係るデータの取得

② ①により取得されたデータの収集・蓄積

③ 収集・蓄積したデータを収納するデータベースの構築

④ 収集・蓄積したデータの共有と利用による科学的なデータに基づく土づくりの導入と普及

第２ 構成員

フェイズ２の構成員は、農林水産省、都道府県、（一財）日本土壌協会（フェイズ２の取組に従事する土壌医及びこれに準じるものを含む）、第５に掲げるデータベースを設置・管理する者、その他構成員が認める者とする。

第３ 土づくり協議会の設置（準構成員）

フェイズ２の構成員は、フェイズ２の取組にあたり、土づくり専門家（都道府県内で活動する土壌医及びこれに準じる者、施肥技術マイスター及び構成員が専門家と認める者、農業協同組合の普及及び営農指導員等）、及び土づくりに関心の高い生産者をメンバー（以下「準構成員」という。）とする土づくり協議会を設置できるものとする。

第４ データの取得及び提供

１ フェイズ２の構成員は、生産現場における以下に掲げる取組についてデータ（以下「フェイズ２データ」という。）を収集し、コンソーシアムに提供するものとする。

① 生産者のほ場における土壌の物理性、化学性及び生物性等の調査分析結果

② 調査分析結果と適正な土壌との比較等の土壌診断結果

③ 土壌の改善のための土壌管理及び施肥設計等の手法及び内容（以下「処方箋」という。）

④ 処方箋に基づく土壌管理及び施肥の実施と、土壌の物理性、化学性及び生物性並びに栽培生育状況等の改善効果

２ フェイズ２データの項目については、個人情報を除く別表３に掲げる項目とし、構成員は可能な限り提供するものとする。

３ フェイズ２の構成員は、フェイズ２データの取得にあたり、

① データ提供元の土づくり専門家及び生産者に対して、コンソーシアムの趣旨について十分説明するとともに、データを共有・利用することについて同意を得るものとする。

② 前項の同意も含めデータの取得にあたっては、協議会を設置している場合は準構成員の取組を通じて実施できるものとする。その際、準構成員の知見を最大限活用するため、必要に応じて検討会等を開催できるものとする。

③ 処方箋の策定等にあたっては、準構成員を含め、収集・蓄積されたフェイズ２データを活用できるものとする。

④ 構成員は、準構成員から求めがあった場合には、フェイズ２データを提供できるものとする。

第５ データベースの設置

１ コンソーシアムは、フェイズ２データを収納・蓄積するため、データベース（以下「フェイズ２DB」という。）を設置することとする。

２ フェイズ２DB を設置及び管理する主体（以下「設置主体」という。）は、フェイズ２DBの利用に係るアクセスのための ID（以下「フェイズ２ID」という。）を構成員に発行する。なお、構成員が特に認める者については、フェイズ２ID を発行できるものとする。その

場合、他の構成員に対して、その旨事務局を通じて通知するものとする。

３ 構成員及び前項においてフェイズ２ID の発行を受けた者は、設置主体から提供されたフェイズ２ID を用いてフェイズ２DB にアクセスし、原則、データの取得後速やかに、遅くとも取得した年度の翌年 6 月末日までに、フェイズ２データをフェイズ２DB に収納するものとする。

４ 設置主体については、2020 年度は株式会社 NTT データ（以下「NTT データ」という。）とし、2021 年度以降の主体については、2020 年度中に検討を行った上で決定するものとする。

５ 事務局は、前項に掲げる検討に係る案を、設置主体を除く他の構成員に提示できるものとする。

６ 設置主体は、フェイズ２DB を適切に管理するとともに、2020 年度以降、フェイズ２DBの設置・管理をしない場合には、他の構成員から提供されたデータはコンソーシアムに返却するとともに、自社内のシステムに保存されたデータを消却し、その旨を事務局を通じて他の構成員に通知するものとする。

第６ データの管理及び利用

１ 構成員及び第５の２においてフェイズ２ID の発行を受けた者は、フェイズ２ID 及びフ ェイズ２DB から取り出したフェイズ２データについて、適切に管理するとともにフェイ ズ２の活動内容に従って適切に利用するものとする（ただし、構成員が自ら収集したデー タは除く）。また、構成員は、加工等を施していないものを第４の３③により準構成員に 提供する場合を除き、構成員及び準構成員以外の第三者に提供してはならないものとする。

２ 準構成員は、第４の３③により構成員からデータが提供された場合には、当該データに ついて、適切に管理するとともにフェイズ２の活動内容に従って適切に利用することとし、また、加工等を施していないものは構成員及び準構成員以外の第三者に提供してはならな いものとする。

３ 構成員及び準構成員は、フェイズ２データの加工により新たな知見が得られた場合は、他の構成員に対して（準構成員の場合は、協議会を設置した構成員を通じて）、その内容を共有するとともに、原則、他の構成員は当該知見を利用できるものとする。なお、当該知見に関して、知的財産権が発生する場合には、権利の帰属について他の構成員等に対して協議し決定するものとする。ただし、構成員が自ら収集したデータは除く。

第７ 新たな土壌診断手法の策定等

１ フェイズ２の取組等により収集及び蓄積された土壌データをもとに、土壌データ以外のデータとの連結による解析や、人工知能（AI）等を用いた解析による新たな土壌診断手法の策定や、データに基づく土づくり施策の展開等（以下「フェイズ３」という。）を図るものとする。

２ フェイズ３の具体的な取組内容及び規約については、フェイズ２構成員の協議を踏まえ、策定するものとする。

３ 事務局は、前項に掲げる規約案について構成員に提示するものとする。

附則

本規約は、令和２年 12 月１日から適用する。

別表１ フェイズ１収集対象土壌調査

農林水産省データ	農地土壌炭素貯留等基礎調査事業（2013 年～）
都道府県データ	土壌環境基礎調査（1979 年～1998 年） 土壌機能実態モニタリング調査（1999 年～2008 年）県独自調査（2009 年～）

別表２ フェイズ１データ項目

緯度経度情報	小数点以下 2 桁
ほ場データ	降水量、浸食の種類・程度、土壌名、作土深、地下水深、地目、耕うん 方法
植生データ	作物生育の良否、雑草の有無、要素欠乏の有無、病害虫発生状況
土壌断面データ	土層区分、土性、れき、土色、有機物の有無、ち密度、グライ層の有無、 孔隙性
土壌物理性データ	仮比重、硬度、粒径組成、気相率、液相率、固相率、団粒分析、保水性 等
土壌化学性データ	ｐH、電気伝導度、陽イオン交換容量、交換性カルシウム、交換性マグネシウム、交換性カリウム、塩基飽和度、有効態リン酸、可給態窒素、 硝酸態窒素
作物体データ	全窒素、xxx、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ケイ酸
かんがい水データ	pH、電気伝導度、全窒素、xxx、カリウム、カルシウム
経営データ	経営形態、耕地面積、労働力、家畜頭羽数、ほ場地目、かんがい水源、 耕うん方法、耕うん機械、土地改良方法
営農データ	作物名、品種名、播種時期、収穫時期、収量、堆きゅう肥種類・施用量、 土壌改良資材種類・施用量、肥料種類・施用量

注：必ずしも全ての項目を提供するものではない。

別表３ フェイズ２データ項目（フェイズ２構成員により検討）

西暦 年 月 日

入会届

土づくりコンソーシアム 宛て

組織名：代表者名：

土づくりコンソーシアムの目的、活動に賛同し、下記のとおり、入会を申請します。なお、入会にあたっては、規約、その他の取り決め事項を遵守いたします。

記

１	区分	□ 都道府県による土壌調査データの共有・利用（フェイズ１）参加 □ 生産現場における土壌診断結果等の共有・利用（フェイズ２）参加 □ 構成員 □ 準構成員
２	会員情報	組織名：
		住所：
		代表者役職名・氏名：
３	担当者情報	氏名：
		所属：
		役職：
		連絡先（メールアドレス、電話番号）：

※ 押印済みの誓約書をスキャンしたファイルを土づくりコンソーシアム事務局までご送付ください

※ 本入会届に記載された情報はコンソーシアムの運営のみに利用します

土づくりコンソーシアムから提供されたデータの管理・利用に係る誓約書

土づくりコンソーシアム 宛て

土づくりコンソーシアムのデータベースから提供されたデータ及びデータベースの利用に係る ID については、自ら収集したデータを除き、土づくりコンソーシアムの規約に基づき、適切な管理を行うことを誓います。

参加する活動：（ ）都道府県による土壌調査データの共有・利用（フェイズ１）

（ ）生産現場における土壌診断結果等の共有・利用（フェイズ２）

（該当する活動について○）

日     付 ：     年    月    日（西暦で記載）

組織名              ：           

代表者氏名            ：