Contract
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旧警戒区域でホテルを開業した直後に原発事故により廃業を余儀なくされた申立会社について、廃業に伴う逸失利益(4年分)、不動産の財物損害等が賠償された事例。
和解契約書(全部和解)
原子力損害賠償紛争解決センター平成○○年(東)第○号事件(以下「本件」という。)において、申立人株式会社X1、同X2、同X3、同X4(以下「申立人ら」という。)と被申立人東京電力株式会社(以下「被申立人」という。)は、次のとおり和解する。
第1 表明及び保証
申立人X2、同X3及び同X4は、被申立人に対し、次の事項を表明し保証する。
(1) 亡A(以下「被相続人」という。)が平成○○年○月○日に死亡し、申立人X2、同X3及び同X4が、被相続人の被申立人に対する損害賠償請求権を承継したこと
(2) 申立人X2、同X3及び同X4の知る限り、申立人X2、同X3及び同 X4が、被相続人の全相続人であること
第2 和解の範囲
申立人らと被申立人は、本件に関し、別紙の損害項目(ただし、別紙の期間に限る。)について和解することとし、それ以外の点については、本和解の効力は及ばないこととする。
第3 和解金額
1 被申立人は、申立人株式会社X1に対し、第2項別紙ア乃至オ、ク乃至シ記載の損害項目及び期間に対する和解金として金5億5323万7450円の支払義務があることを認める。
2 被申立人は、申立人株式会社X1に対し、第2項別紙カ記載の損害項目に対する和解金として金6800万1680円の支払義務があることを認める。
3 被申立人は、申立人株式会社X1に対し、第2項別紙キ記載の損害項目に対する和解金として金6837万2987円の支払義務があることを認める。
4 被申立人は、申立人X2、同X3及び同X4に対し、第2項別紙ス、セ記載の損害項目及び期間に対する和解金として金1822万6020円の支払義務があることを認める。
第4 支払方法
(省略)第5 清算
申立人らと被申立人は、第2項別紙記載の損害項目(同項別紙記載の期間に限る。また、その遅延損害金を含む。)については、本和解に定めるもののほか、当事者間に何らの債権債務がないことを相互に確認する。ただし、第2項
別紙ア、イ、ウ、ス記載の損害項目及び期間については、本和解に定める金額を超える部分につき、清算の効力は及ばず、申立人らが被申立人に対して別途損害賠償請求することを妨げないことを相互に確認する。
また、申立人らと被申立人は、第2項別紙イ記載の損害項目に対する和解金については、申立人株式会社X1と申立外B株式会社との間に係属中の○地方裁判所平成○年(○)第○号請負代金請求事件において係争中の請負代金部分を含まず、同部分について申立人らが被申立人に対して別途損害賠償請求することを妨げないことを相互に確認する。
また、申立人は、廃業に伴う逸失利益の賠償が第2項別紙エ乃至キで算定し尽くされていることから平成27年3月1日以降の期間にかかる廃業に伴う逸失利益の損害賠償請求権を放棄する。
第6 手続費用
本件に関する手続費用は、各自の負担とする。
本和解の成立を証するため、本和解契約書を2通作成し、申立人ら及び被申立人が記名押印の上、申立人らが1通、被申立人が1通を保有するものとする。また、被申立人は、本和解契約書の写し1通を、原子力損害賠償紛争解決センターに交付する。
平成25年8月7日
(別紙物件目録省略)
(仲介委員 xxxx)
別紙(損害項目) | |||
損害項目 | 金額 | 期間 | |
申立人株式会社X1について | |||
財物価値の喪失(不動産) | |||
ア | 別紙物件目録1記載の土地 | 46,495,500 | |
イ | 別紙物件目録2記載の建物(以下、本件ホテル建物という) | 304,551,082 | |
財物価値の喪失(動産) | |||
ウ | 本件ホテル建物内の動産 | 12,023,286 | |
営業損害 | |||
エ | 廃業に伴う逸失利益 (平成23年3月11日から平成24年2月末日まで) | 61,490,032 |
オ | 廃業に伴う逸失利益 (平成24年3月1日から 平成25年2月末日まで) | 60,892,378 | |
カ | 廃業に伴う逸失利益 (平成25年3月1日から 平成26年2月末日まで) | 68,001,680 | |
キ | 廃業に伴う逸失利益 (平成26年3月1日から 平成27年2月末日まで) | 68,372,987 | |
ク | 追加的費用(リース料) | 27,813,993 | 自 平成 23 年 3 月 11 日 至 平成 25 年 6 月 30 日 |
ケ | 追加的費用(支払利息) | 14,636,011 | 自 平成 23 年 3 月 11 日 至 平成 25 年 4 月 30 日 |
コ | 追加的費用(人件費) | 2,426,057 | 自 平成 23 年 3 月 11 日 至 平成 23 年 6 月 30 日 |
サ | 追加的費用(下記注記載の経費) | 3,109,111 | 自 平成 23 年 3 月 11 日 至 平成 24 年 6 月 30 日 |
弁護士費用 | |||
シ | 弁護士費用 | 19,800,000 | |
申立人株式会社X1計 | 689,612,117 |
注(損害項目サについて):
仕入高、自販機仕入高、福利厚生費、運賃、旅費交通費、接待交際費、車両費、通信費、水道光熱費、租税公課、消耗品費、事務用品費、保険料、支払手数料、家賃地代、諸会費、雑費
申立人X2、同X3、同X4について | |||
財物価値の喪失(不動産) | |||
ス | 別紙物件目録3記載の土地 | 17,696,020 | |
弁護士費用 | |||
セ | 弁護士費用 | 530,000 | |
申立人X2ら計 | 18,226,020 |
申立人ら計 | 707,838,137 | |
仮払金精算 | 0 | |
支払額合計 | 707,838,137 |