企 業 名 株式会社 エスケーワイ 所 在 地 岐阜県美濃市松森 1555 番地 1 代 表 者 関谷 篤 事業内 容 製缶加工、半導体製造装置組立 資 本 金 5 百万円 設 立 2015 年 1 月 9 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2023 年 11 月 27 日
株式会社 エスケーワイとの
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 好岡 政宏)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、株式会社 エスケーワイ(代表取締役 関谷 篤)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
融 資 金 額 | 50 百万円 |
期 間 | 7 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
企 業 名 | 株式会社 エスケーワイ |
所 在 地 | 岐阜県美濃市松森 1555 番地 1 |
代 表 者 | 関谷 篤 |
事業内 容 | 製缶加工、半導体製造装置組立 |
資 本 金 | 5 百万円 |
設 立 | 2015 年 1 月 9 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
株式会社エスケーワイ
ポジティブインパクトファイナンス評価書
2023 年 11 月 27 日
岐阜信用金庫は、株式会社エスケーワイ(以下、「エスケーワイ」)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫が開発した評価体系に基づいている。
目次
(3)社員のモチベーション向上と人材育成に資する取り組み 5
同社は、鉄・アルミ・ステンレス・チタン・インバーの製缶をはじめとし、様々な大型構造物の設計・製造・加工に一貫対応することで産業や経済の発展に貢献している。
なかでも、高度な溶接技術が必要とされ、溶接ロボットでは対応できない職人技術が求められる製缶案件を中心に、幅広い産業へ同社技術を提供している。
企業名 | 株式会社エスケーワイ |
本社所在地 | 岐阜県美濃市松森 1555-1 |
代表者 | 関谷 篤 |
資本金 | 500 万円 |
売上高 | 658 百万円(2023 年 7 月期) |
設立 | 2015 年1月 |
事業内容 | 製缶加工、半導体製造装置組立 |
従業員数 | 57 名(2023 年 8 月現在) |
資格・認証 | 健康経営優良法人 2023(中小規模法人部門) 清流の国ぎふ健康経営宣言企業 |
1998 年 | 岐阜県美濃加茂市にて関谷塗装を創業 |
2015 年 | 岐阜県大垣市に株式会社エスケーワイを設立、製缶業を開始 |
2019 年 | 岐阜県美濃市へ本社移転、事業拡大のため美濃工場を増設 |
2021 年 | 名古屋支店開設 |
2021 年 | 現代表取締役が代表取締役へ就任 |
2023 年 | 海津支店開設 |
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基本方針
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同社では主力事業である製缶業の根幹技術である溶接技術を中心に、医療機械、工作機械、建材、自動車部品、建設機械等多様な産業における大型構造物の製造、半導体製造装置組立といった事業活動が持続可能性ある良質な影響を地域社会に提供するため、技術革新に日々取り組んでいる。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
〇大型構造物の溶接への対応
・特定産業に偏ることなく、多様な産業分野からの生産依頼に対応している。特に、大型構造物の溶接を得意としており、30 トンを超える大物製缶技術の提供を通じた高品質な架台、機械フレーム、治具等の製造を手掛けている。
〇熟練職人による溶接技術
・同社の溶接は溶接ロボットでは対応できない熟練職人による高難度溶接技術を提供している。また、単なる溶接対応だけではなく、「より安く、高精度、短納期」を実現するために受注先ニーズに応じた製缶手法改善の提案を実施している。
〇半導体製造への貢献
・半導体製造装置組立技術の提供を通じた半導体産業の活性化、安定供給への貢献をしている。半導体製造装置組立においても工程改善の提案も実施することで、高品質かつ短納期を実現している。
〇伝統産業への貢献
・立地する美濃市の伝統産業である美濃和紙を用いた和傘のリブランディングに向けた技術提供を実施し、地場産業の活性化に貢献している。
同社では溶接業として製造工程における「モノづくりのはじまり」の担い手としての責任と誇りを持ち環境保護の観点から汚染物質等の蔓延防止に努め、また、生産効率向上を通じた省資源化、省エネルギーの推進等、環境への配慮を積極的に実施している。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
〇環境負荷抑制への取り組み
・集排じん装置見直しによる社外への汚染物質の流出阻止施策の実施や洗浄装置の設置による研磨や酸洗ペーストと比較し環境に配慮した溶接部、金属表面の洗浄、不動態化処理を実施している。
・工場内で発生する廃棄物に関しては分別処理の徹底、リサイクル可能廃棄物のリサイクル業者への引き渡しを実施することで、環境負荷低減を図っている。
〇省エネルギー化の推進
・高効率な手動溶接技術の追求により溶接時の使用エネルギー量を抑制している。
・省エネ診断受診結果に基づく省エネルギー施策の推進や照明設備 LED 化、社用車のハイブリット車採用など各種施策を通じて省エネルギー化を推進している。
同社では男女問わず従業員の働きやすい職場環境づくりを維持し、女性の溶接作業者の雇用生成に結び付けられるような企業ブランドの確立を目指し、各種取り組みを推進している。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
〇労働環境の整備による働きやすさの追求
・現場作業員の呼吸用保護機導入をはじめとした従業員の健康管理、健康増進に向けた支援施策を実行している。取り組みの結果として、健康経営優良法人 2023 認定や清流の国ぎふ健康経営宣言企業登録を取得している。
・そのほか、定年制度の廃止や原則 19 時以降の就業禁止を通じた長時間労働の抑制、短時間勤務への柔軟な対応など多様な働き方に対応している。
〇従業員のスキルアップへの支援
・同社は溶接技術者が 19 名在籍しているが、うち 11 名は特定技能実習生であり、積極的な受け入れによる人材育成を実施している。
・従業員の資格取得支援として外部講習会への派遣や技術手当の設定などを実施している。また、社内勉強会開催を通じた技術・作業の標準化、多能工化推進を図っている。
同社の事業は主に次項の 2 事業から構成される。
① 製缶事業(売上高構成比 80%)
30 トンを超える大物製缶を中心に、溶接技術者 19 名体制にて高品質な溶接技術を中心に提供している。
同業他社において溶接加工は機械化、ロボット化も進められているが、同社ではロボットでは対応できない高難度溶接技術が求められる案件を中心に対応しており、医療機械、工作機械、建材、自動車製造設備ライン部品、建設機械等、特定産業に偏らず幅広い産業へ技術を提供している。
| 同社では多様な素材、形状、サイズに対応する高度な溶接技術に評価を得て、幅広い産業における製缶製造に対応している。 |
同事業は今後においても同社の主力事業となり、溶接技術者の育成、技術向上を図っていくとともに、溶接作業周辺業務についても受注確保を進め、対応範囲の拡大を図っていく方針としている。
② 半導体製造装置組立事業(売上高構成比 20%)
半導体製造装置の部品組立について、クリーンルームを備えた環境にて高品質に対応している。同事業では女性従業員を中心としながら組立技術の標準化・マニュアル化を進め、従業員の多能工化を推進しており、2022 年の同事業分野進出以降、半導体製造装置メーカーより作業品質に高い評価を得ている。
同社では多様な産業より 30 トンを超える大型構造物を中心に製缶製造を請け負い、素材については連携する外注事業者にて溶断済み素材を仕入れ、組立・溶接に特化し高品質な架台、機械フレーム、治具等を提供している。
また、半導体製造装置組立事業においては、各種加工工程を経て集約された半導体製造装置部品を高品質に組み上げ、半導体製造装置メーカーへ納品している。
同社のバリューチェーン図(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
川上の事業
同社の事業
川下の事業
医療機械
金属素材
溶断加工
架台、フレーム等
組み上げ
溶接加工
工作機械建材
自動車等
各産業分野
製缶事業
半導体製造装置
部品製造
半導体製造装置組立
半導体製造
装置メーカー
半導体製造装置組立事業
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業および川上・川下の事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については「構造用金属製品製造業(ISIC:2511)」、「金属製タンク、貯槽及び容器製造業(ISIC:2512)」、「その他の特殊産業用機械製造業(ISIC:2829)」を、川上の事業については「金属の処理・塗装・機械加工業(ISIC:2592)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
川上の事業 | 同社の事業 ① | 同社の事業 ② | 同社の事業 ③ | |||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2592】 金属の処理・塗装・機械加工業 | 【2511】 構造用金属製品製造業 | 【2512】 金属製タンク、 貯槽及び容器製造業 | 【2829】 その他の特殊産業用機械製造業 | ||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||||
食糧 | ||||||||
住居 | ||||||||
健康・衛生 | ||||||||
教育 | ||||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ||||||||
移動手段 | ||||||||
情報 | ||||||||
文化・伝統 | ||||||||
人格と人の安全保障 | ||||||||
正義・公正 | ||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||
水(質) | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
大気 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
土壌 | ○ | |||||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||||
資源効❹・安全性 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
気候 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
廃棄物 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
経済収束 |
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
川下の事業 | ||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2824】 鉱業、採石業及び建設業用機械製造業 | 【2910】 自動車製造業 | 【2822】 金属成形機械及び工作機械製造業 | |||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ◎ | |||||
食糧 | ||||||
住居 | ○ | |||||
健康・衛生 | ◎ | |||||
教育 | ||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ||||||
移動手段 | ◎ | ○ | ||||
情報 | ||||||
文化・伝統 | ||||||
人格と人の安全保障 | ||||||
正義・公正 | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||
水(質) | ○ | ○ | ○ | |||
大気 | ○ | ○ | ○ | |||
土壌 | ○ | ○ | ○ | |||
生物多様性と生態系サービス | ||||||
資源効❹・安全性 | ○ | ◎ | ○ | |||
気候 | ○ | ◎ | ○ | |||
廃棄物 | ○ | ○ | ○ | |||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ○ | |||
経済収束 | ○ |
上表のうち、川上・川下の事業に関しては同社事業活動が与える影響が軽微なものであるため分析を省略している。
同社の事業 ① 構造用金属製品製造業(ISIC:2511)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
同社の事業 ② 金属製タンク、貯槽及び容器製造業(ISIC:2512)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
同社の事業 ③ その他の特殊産業用機械製造業(ISIC:2829)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
【社会面】
◆「雇用」
従業員の雇用の創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NI が発現する。
同社では特定技能実習生の積極的な受け入れや定年制度の廃止、短時間勤務への柔軟な対応を通じて従業員の多様な働き方を実現していることに加え、外部講習会への派遣や技術手当の設定等を通じた従業員の資格取得支援を通じて PI を拡大している。
また、社内勉強会開催を通じた技術・作業の標準化、多能工化推進による特定従業員への労働負荷軽減を図っている。さらに、現場作業員の呼吸用保護機導入をはじめとした従業員の健康管理、健康増進に向けた支援施策の推進により労働形態の改善を通じて NI を緩和している。
上記は SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
【環境面】
◆「水(質)」「大気」「土壌」「気候」
事業活動に伴い、環境汚染や過剰なエネルギーなど環境負荷が発生し、NI が発現する。
同社では集排じん装置見直しによる社外への汚染物質流出阻止や、溶接後後処理における専用洗浄機活用を通じた酸洗ペースト等の使用回避を通じて、水質汚染や大気汚染、土壌汚染といった環境負荷の低減を図っている。また省エネ診断受診結果に基づく省エネルギー施
策の推進を通じた過剰なエネルギー使用の回避により NI を緩和している。
上記は SDG7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、SDG12「つくる責任つかう責任」、 SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通じて化学物資や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「資源効率・安全性」「廃棄物」
非効率な製造過程や不良品の発生により資源効率が悪化し NI が発現する。また、製造過程で発生する廃棄物や老朽化した機械の適正な処分がおこなわれないと NI が発現する。 同社では高効率な手動溶接技術の追求を通じた不良率の低下、工場内で発生する廃棄物の分別処理の徹底、リサイクル可能廃棄物のリサイクル業者への引き渡しにより、製造工程における資源効率の改善、廃棄物発生量の抑制を実現し、NI を緩和している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通じて化学物資や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済が活性化するという PI が発現する。
同社では大型設備向けの製缶事業は特定産業に限定せず、多様な産業を対象とすることで地域経済の活性化に貢献している。さらに、半導体製造装置組立事業の新規展開を実現しているなど、PI 拡大に努めている。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
雇用創出
地域経済活性化
SDG8
SDG9
正の影響
川上の事業
同社の事業
川下の事業
医療機械
金属素材
溶断加工
架台、フレーム等
組み上げ
溶接加工
工作機械建材
自動車等
各産業分野
製缶事業
半導体製造装置
部品製造
半導体製造装置組立
半導体製造
装置メーカー
半導体製造装置組立事業
労働負荷 環境負荷
SDG8
SDG12 SDG13
負の影響
以上を踏まえて同社のインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
「大物製缶技術の多様な産業への適用による貢献拡大」
「社員の働きがい創出と人材育成」
「省エネルギー化への取り組み推進」
① 大物製缶技術の多様な産業への適用による貢献拡大:SDG9、12
同社は、鉄・アルミ・ステンレス・チタン・インバーの製缶をはじめとし、様々な大型構造物の設計・製造・加工に一貫対応し、ロボットでは対応できない高難度溶接技術が求められる案件を中心に、医療機械、工作機械、建材、自動車部品、建設機械と幅広い産業へ同社技術を提供し川下の産業や経済の発展に貢献している。
主力事業である製缶事業については同社の強みである溶接技術を最大限に活かすため、大物製缶の組立・溶接工程の前工程となる部品製作工程、後工程である機械加工工程など既存主力業務である溶接業の周辺業務についても対応範囲を拡大し内製化を進めていく方針である。これにより、同社の一貫対応体制を強化し多様な産業への大物製缶技術の適用による貢献を拡大していく。さらに、一貫対応体制を確立することで加工物の無駄な運搬の削減や溶接工程を考慮した一貫対応体制の構築により生産効率の向上が見込まれる。
これらの取り組みは、同社の製造技術適用範囲の拡大を通じた多様な産業の経済発展への貢献とともに資源効率に貢献するものである。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、経済的側面の PI を拡大すると考えられる。
② 社員の働きがい創出と人材育成
・労働環境の整備:SDG8
同社では現場作業員の呼吸用保護機導入をはじめとした従業員の健康管理、健康増進に向けた支援施策の実行、原則 19 時以降の就業禁止を通じた長時間労働の抑制といった取り組
みにより、健康経営優良法人 2023 に認定、清流の国ぎふ健康経営宣言企業に登録されるなど従業員の労働環境の整備、改善に積極的に取り組んでいる。
今後においても、従業員の意見を取り入れながら設備面、制度面の両面から従業員が安全、安心に働き続けられる労働環境の整備、改善に継続的に取り組んでいく。
・多様な人材の雇用促進:SDG8
同社では特定技能実習生の積極的な受け入れ、定年制度の廃止、短時間勤務への柔軟な対応を通じて多様な働き方を推進している。多様な働き方による雇用促進は、地域における雇用創出に貢献している。
今後においても、生産効率を維持・向上させながら短時間勤務や週休 3 日制の導入等様々な働き方ニーズに対応できる社内生産体制の整備、改善に継続的に取り組み、働きやすい職場環境を形成していく。
・従業員育成の体系化:SDG8
外部講習会への派遣、技術手当の設定等を通じた従業員の資格取得支援、社内勉強会開催を通じた技術・作業の標準化、多能工化推進といった取り組みを通じて同社の技術力を支える人材育成を図っている。
今後、同社基盤技術となる高難度溶接について職人技術の伝承・育成を図り、女性従業員においても溶接作業者として育成していくための教育体制整備を推進していく。さらに、業務遂行に必要となるスキルをスキルマップとして体系化、各従業員のスキル習得状況を可視化したうえでの人材育成に取り組んでいくことで、従業員一人一人がやりがいをもって成長できる会社としての同社の価値向上を図っていく。
これらの取り組みを通じて、社員が健康的で働きがいをもって働ける職場環境を整備し、一人ひとりの成長を促す体制を構築する。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大すると考えられる。
③ 省エネルギー化への取り組み推進:SDG13
同社は事業活動において、電気やガス、ガソリン等のエネルギーを使用しており、省エネルギー化 を図るために省エネ診断受診結果に基づく施策を実行している。カーボンニュートラルなど脱炭素経営が求められる経営環境下において、継続的な省エネルギー化推進は経営上重要事項 となる。同社においても定期的な省エネ診断の受診により、使用エネルギーの見える化を実践し、無駄なエネルギー削減に継続的に取り組んでいく。
これらの取り組みを通じて、省エネルギー化を実践し環境負荷低減を図っていく。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「気候」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 4 点である。
「 8:働きがいも経済成長も」
「 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
「12:つくる責任、つかう責任」
「13:気候変動に具体的な対策を」
国内における SDG ダッシュボード上では、「9」に関しては「達成に近づいている」とされているものの、「12」、「13」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては「重要な課題が残る」とされており、同社における多様な産業への大物製缶技術適用への取り組み、環境負荷低減の取り組みや、社員の働きがい創出と人材育成への取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② 岐阜県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する岐阜県を中心に行われていることから、「岐阜県 SDGs 未来都市計画」を参照し、岐阜県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、岐阜県では「<環境>美しい清流とそれを育む豊かな森の保全と活用」、「<経済>「清流の国ぎふ」ブランドと変化に強い地域経済の確立」、「<社会>誰もが活躍し生きがいを感じられる地域社会の構築」を 2030 年のあるべき姿と設定し SDGs 達成に向けた課題を設定しており、同社の多様な産業への大物製缶技術適用への取り組みや社員の働きがい創出と人材育成への取り組み、省エネルギー化への取り組みが、岐阜県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
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(出典:岐阜県第 2 期 SDGs 未来都市計画の概要)
③ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目を SDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した当社のインパクトである「大物製缶技術の多様な産業への適用による貢献拡大」については「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)と、「社員の働きがい創出と人材育成」については「ぎふしん SDGs 宣言」の (2)と、「省エネルギー化への取り組み推進」は
「ぎふしん SDGs 宣言」の(3)と親和性があり、相互に協力しあうことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■大物製缶技術の多様な産業への適用による貢献拡大
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「包括的で健全な経済」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・鉄・アルミ・ステンレス・チタン・インバーなど多種多様な素材への対応を継続。 ・大型構造物の設計・製造・加工に一貫対応し、ロボットでは対応できない高難度溶接技術を要する受注を確保。 ・溶接周辺業務の内製化により、業務対応範囲を拡大し、事業規模 拡大を図る。 |
目標とKPI | ・2030 年 7 月期において、全社の売上高規模 15 億円を達成する。 ・2030 年 7 月期において、新たに取り組む溶接周辺業務の売上高規模 5 億円を達成する。 |
■社員の働きがい創出と人材育成
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・従業員の健康面を配慮した労働環境の整備。 ・外部講習会や社内勉強会を通じた従業員スキルの向上および資格 取得推進。 |
目標とKPI | ・2030 年 7 月期まで継続的に健康経営優良法人を取得する。 ・2030 年 7 月期までに、溶接技能者検定を新たに 3 名取得させる (現在 5 名保有)。 ・2030 年 7 月期までに、外国人技能実習生 6 名に、図面を基に仮付け工程を単独実施できる技能を習得させる。 |
■省エネルギー化への取り組み推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「気候」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・省エネ診断等の CO2 排出量の見える化ツールを活用し CO2 排出量の把握。 ・診断結果に基づく省エネルギー化施策の実行。 |
目標とKPI | ・CO2 排出量の見える化を継続実施し、省エネルギー化を推進する。 (モニタリングで取り組み状況と次年度の取り組み内容を確認) |
同社では、関谷社長を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びにKPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役社長 | 関谷 篤 |
本PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 7 年間 (2030 年 11 月 1 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、株式会社エスケーワイから提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3.本評価書に関する一切の権利は岐阜信用金庫に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。