企 業 名 株式会社オオヤブ 所 在 地 愛知県丹羽郡扶桑町大字斎藤字本新須 17 番地 代 表 者 大藪 寿男 事業内 容 プレス金型の設計・制作、プレス加工、スポット溶接、アッセンブリー組付 資 本 金 1,000 万円 設 立 1985 年 5 月 10 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2024 年 5 月 31 日
株式会社オオヤブとの
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 xx xx)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、株式会社オオヤブ(代表取締役 xx xx)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
実 行 日 | 2024 年 5 月 31 日 |
融 資 金 額 | 50 百万円 |
期 間 | 5 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
企 業 名 | 株式会社オオヤブ |
所 在 地 | xxxxxxxxxxxxxxxxx 00 xx |
代 表 者 | xx xx |
事業x x | プレス金型の設計・制作、プレス加工、スポット溶接、 アッセンブリー組x |
x 本 金 | 1,000 万円 |
設 立 | 1985 年 5 月 10 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
株式会社オオヤブ
ポジティブインパクトファイナンス評価書
発行日:2024 年 5 月 31 日
発行者:岐阜信用金庫 ソリューション営業部
岐阜信用金庫は、株式会社オオヤブ(以下、「オオヤブ」)に対してポジティブインパクトファイナンス
(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト
(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫が開発した評価体系に基
づいている。
目次
1.企業情報
企業名 | 株式会社オオヤブ |
本社所在地 | xxxxxxxxxxxx0xx00x0 |
代表者 | xx xx |
資本金 | 1,000 万円 |
売上高 | 783 百万円(2023 年 3 月期) |
設立 | 1985 年 5 月 |
事業内容 | プレス金型の設計・製作、プレス加工、スポット溶接、アッセンブリー組付 |
従業員数 | 27 名(2024 年 4 月現在) |
1970 年 | xx製作所として個人創業、プレス加工を主力事業とする。 |
1985 年 | 株式会社三祥精工、法人設立、金型製作を主力事業とする。 |
1995 年 | xx製作所と株式会社三祥精工を合併、資本金を 1000 万円へ増資し株式会社オオヤブへ社名変更。本社をxx郡扶桑町とする。 |
1996 年 | 本社工場新築 |
2008 年 | xx工場購入、増築 |
2009 年 | 事務所機能、順送プレス、金型部門をxx工場へ移転 |
①経営理念
お客様に信頼される会社
現状に満足せず、進化を目指す会社従業員の活気あふれる会社
技術・知識・行動力を駆使し製品に思いを込める会社
②組織体制
同社は、愛知県xx郡に本社を構える金属加工業であり、金型メンテナンス、プレス加工、アッセンブリー加工の一貫体制のもとで高品質なプレス加工部品を安定提供し、主要産業となる国内自動車産業をはじめ、建設用機械部品や配電関連部品、建築資材等多様な産業を支えている。プレス金型製造事業者とプレス加工事業者が合併し設立した同社は、現在までプレス金型の設計・製造、プレス加工、プレス加工後のアッセンブリー加工までの一貫対応体制のもと、高品質な加工部品を低コスト、短納期で主要産業となる自動車分野を中心に多様な産業へ提供している。
プレス金型については顧客図面に基づく金型設計から対応が可能であり、xxの経験に基づく効率的プレス加工を実現するための金型設計の提案力も同社の強みとなっている。
また、金型部品への精密加工技術、順送金型など複雑な金型の組付け、メンテナンスに対し社内で完結させられる体制も同社の強みとなっている。
プレス金型について、金型製造の観点とプレス加工の観点の両面より対応できることが同社の強みとなっており、また社内で金型メンテナンスを完結させられることで効率的な金型対応とプレス加工対応の一貫対応体制を実現している。 |
近年では 3D スキャナを活用し、他社が製造を取りやめた図面が存在しない既存製品についても金型を再現し製品供給の継続を可能とするリバースエンジニアリング技術の構築にも積極的に取り組んでおり、受注先からの製品の安定供給ニーズに高度に対応している。
3D スキャナやxxx測定機を備え、高精度なプレス加工金型製造を支える検査環境を整備しており、これらの設備、金型製造技術を活用したリバースエンジニアリングへの取り組みも同社が近年積極的に取り組む特徴となっている。 |
プレス加工においては単発プレス、順送プレスなど多様なプレス加工に対応する体制を整備し、製品ごとの特性に応じてプレス設備の使い分けを行いながら最適な加工条件を導出し、半自動での効率的生産を実現している。
単発プレス、順送プレスなど多様なプレス加工に対応可能なプレス機を複数種類取り揃え、また 35 トン~300 トン規模クラスまでのプレス設備ラインナップにより様々な製品のプレス加工に高品質に対応している。 |
また、プレス加工後のアッセンブリー加工においても独自開発の自動加工機、自動組付け機を活用し、加工の高品質化、安定化と効率的生産の両立を実現している。
プレス加工後のタップ加工や組付け加工において、同社では独自開発した自動加工機、自動組付け機を活用し高品質かつ効率的な生産を安定的に実現しており、また多様な従業員が加工に対応できる体制を整備している。 |
これらの一貫対応体制のもとでの高品質な製品製造体制に同社は受注先より高い評価を得ている。
2.サステナビリティ
同社では 2022 年 1 月にSDGs 宣言を公表し「品質にこだわったモノづくり」「環境に配慮した経営」「働きやすい職場づくり」「地域貢献」を掲げ、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを実践している。
同社では、プレス金型の設計・製造・メンテナンスからプレス加工、アッセンブリー加工までの一貫生産ラインを整備し、試作品の 1 品物から 100 万個単位の量産品生産まで対応する生産能力にて自動車部品を中心に多様な産業へ製品を安定提供し、サプライチェーンを支えている。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【一貫生産体制のもとでの高品質プレス加工技術の提供】
・プレス金型の設計・製造・メンテナンスから、プレス加工、アッセンブリー加工までの一貫対応による高品質機械部品等の低コスト、短納期提供を実現している。さらに、金型の改良、メンテナンスを社内で対応し金型の長寿命化を図りメンテナンス期間とコストの削減の実現している。
・単発プレスから順送プレスまで対応した多様なプレス設備の活用により顧客ニーズにあわせた高品質プレス加工を提供している。
・近年では 3D スキャナを活用したリバースエンジニアリング技術により、図面が存在しない旧製品の量産引継ぎの実現し、部品供給の安定化に貢献している。
・金型面とプレス加工技術面の両面からの対応体制による提案型ものづくりへの取り組みを通じた顧客の課題解決に貢献している。
同社では製造過程を中心に、環境リスクの低減及び環境への貢献を目指した事業展開を図っている。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【製造環境における環境配慮の推進】
・生産設備の計画的な省エネ設備への更新、独自の自動組付け機、加工機の開発、利用により生産の効率化、不良発生率の低減を実現しながら生産過程における過剰なエネルギー使用の抑制に取り組んでいる。
・プレス加工においてはコイル打ち切り方式を採用し、一定量の製品在庫を保有することで生産効率の向上と短納期納品体制につなげており、都度生産と比較し生産過程におけるエネルギー効率の向上を実現している。
・社内照明 LED 化推進を通じて、事務所、工場のエネルギー使用量の削減に取り組んでいる。
・事業活動に伴う CO2 排出量の見える化を進め、排出実績推移に基づく削減計画立案、削減策実行に着手している。
【廃棄物の発生抑制、廃棄物の適正処理、リサイクル推進】
・工場内で発生するプレス端材をはじめとする廃棄物については素材別の分別処理の徹底、リサイクル可能廃棄物のリサイクル業者への引き渡しを徹底している。
・製品輸送に用いるパレット、箱類については繰り返し利用し、製品輸送に伴う廃棄物を削減している。
同社では働くすべての人が輝ける職場づくり、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいる。具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【従業員のスキルアップ支援】
・社内各業務についてスキルマップを整備し、習得が必要となるスキルを把握できる環境を整備している。また、年次での目標管理によりスキルの習得状況を可視化するとともに新たなスキル習得に向けたモチベーション向上を図っている。
・業務上必要となる資格取得については会社負担にて取得を支援するとともに、必要に応じて社外研修を活用しながらスキルアップに取り組むことのできる環境を整備している。
・品質目標の達成に向け、月次での工程別改善ミーティングの開催などを通じて現場レベルでの業務改善を促進、実践できる環境を整備している。
・製品輸送は自社便で対応しており、輸送効率向上および従業員負担軽減のために大型自動車免許取得の支援を実施し、大型車導入を実施する。
【多様な人材が働き続けやすい職場環境の形成】
・再雇用制度の活用による高齢者就業機会の創出、産休・育休制度、日にち単位での年次有給休暇の利用制度等により従業員のワーク・ライフ・バランス確保に努めている。また、労働条件については従業員 1 名 1 名と面談のうえ個々の状況を勘案して決定し、多様な人材が柔軟に働き続けられる環境整備に努めている。
・受注スケジュールに基づき各設備の稼働計画を事前に設定し、効率的生産に努めることで時間外労働の発生を抑制している。
・外国人技能実習生(ベトナム人)を積極的に受入れ、技術講習に加えて社宅を完備し、国内での生活支援を実施している。また、通訳を雇い、円滑なコミュニケーションができる環境を整備している。さらに、特定技能実習生にはフォークリフト免許の取得支援など、国内での活躍を支援している。
・2022 年 3 月に「あいち女性輝きカンバニー1」認証を取得するなど、女性従業員の活躍に向けた取り組みを積極的に推進している。
1 「あいち女性輝きカンパニー」とは、女性の活躍に向け、トップの意識表明や採用拡大、職域拡大、👉 成、管理職登用のほか、ワーク・ライフ・バランスの推進や働きながら👉児・介護ができる環境づくりなどの取組をおこなっている企業等を愛知県が認定する制度。
【従業員が心身ともに健やかに働き続けられる職場環境の形成】
・作業着の支給、安全関連備品の支給など、従業員が健やかに働き続けられる職場環境整備に努めている。また、業務災害総合保険への加入、従業員への積極的な制度周知を通じて安心して働き続けられる職場環境の形成に努めている。
・会社補助による昼食支給など福利厚生制度の充実に努めており、働きやすい職場環境の実現へつなげている。
3.インパクトの特定
インパクトの特定のため、同社主力事業についてバリューチェーン分析を実施した。
プレス金型製造においては、顧客図面をもとに金型設計から部品加工、金型組付け、メンテナンスまで一貫対応が可能であり、主に自動車部品を中心としながら建設用機械部品や配電関連部品、建築資材等の金型についても手掛けている。また、3D スキャナを活用し、図面が存在しない既存の製品についても金型を再現することができることも同社の特徴となっている。
プレス加工においては、単発プレス、順送プレスをはじめ多様なプレス方式に対応し、製品ごとの最適な射出成形条件の導出により製品品質の安定化、低コスト、短納期を同時に実現している。また、プレス加工後のアッセンブリー加工においても独自の自動加工機、組付け機を活用し効率的かつ高精度な対応を実現しており、金型同様に自動車部品を中心としながら建設用機械部品や配電関連部品、建築資材等多様な産業へ納品している。
同社のバリューチェーン図(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業およびxx・xxの事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については「その他の特殊産業用機械製造業(ISIC:2829)」、「金属の鍛造、プレス、打ち抜き及び圧延成形業並びに粉末冶金業(ISIC:2591)」、「金属の処理・塗装・機械加工業
(ISIC:2592)」を、xxの事業については「鉄鋼鋳造業(ISIC:2431)」を、xxの事業については「自動車部品及び付属品製造業(ISIC:2930)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
なお、同社の売上構成は自動車部品製造が大半を占めることから、xxの事業は「自動車部品及び付属品製造業(ISIC:2930)」のみ分析対象としている。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
xxの事業 | 同社の事業 | xxの事業 | ||||||||
① | ② | ③ | ||||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2431】鉄鋼鋳造業 | 【2829】 その他の特殊産業用機械製造業 | 【2591】 金属の鍛造、プレス、 打ち抜き及び圧延成型業並びに粉末冶金業 | 【2592】 金属の処理・塗装・機械加工業 | 【2930】自動車部品 及び付属品製造業 | |||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||||||
食糧 | ||||||||||
住居 | ○ | |||||||||
健康・衛生 | ○ | |||||||||
教育 | ||||||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 | 〇 | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ||||||||||
移動手段 | ○ | ○ | ||||||||
情報 | ||||||||||
文化・伝統 | ||||||||||
人格と人の安全保障 | ||||||||||
xx・xx | ||||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||||
水(質) | ○ | ○ | 〇 | ○ | ○ | |||||
大気 | ○ | ○ | 〇 | ○ | ○ | |||||
土壌 | ◎ | ○ | ○ | |||||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||||||
資源効❹・安全性 | ◎ | ○ | 〇 | ○ | ◎ | |||||
気候 | ○ | ○ | 〇 | ○ | ◎ | |||||
廃棄物 | ○ | 〇 | ○ | ○ | ||||||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | 〇 | ○ | ○ | |||||
経済収束 | ○ |
上表のうち、xxの事業、xxの事業は同社事業活動が与える影響については軽微なものとなるため分析を省略している。
同社の事業① その他の特殊産業用機械製造業(ISIC:2829)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」 |
【社会面】
◆「雇用」
従業員の雇用の創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NIが発現する。
同社では、「あいち女性輝きカンパニー」の認定取得を通じた女性従業員の活躍推進や外国人技能実習生の就業環境整備、再雇用制度を通じた高齢者の就業機会創出など、多様な人材が活躍できる場を創出し PI を拡大している。また、作業着や安全関連備品等の会社支給や業務災害総合保険への加入、受注スケジュールにもとづく稼働計画の策定による時間外労働の抑制など、職場環境の整備により NI を緩和している。
上記は SDG5「ジェンダー平等を実現しよう」、SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「5.1:あらゆる場所で、すべての女性・少女に対するあらゆる形態の差別をなくす。」
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
【環境面】
◆「水(質)」「大気」「土壌」
製造に伴い水や大気、土壌などの環境汚染が発生し、NI が発現する。
同社では工場内で水溶性の油の使用を推進し、適切な廃棄処分を実施することで環境汚染となりうる物質の適正管理に努め NI を緩和している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通じて化学物資や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「資源効率・安全性」「気候」
非効率な製造過程や不良品の発生により資源効率が悪化し、また過剰な温室効果ガスの発生は気候に悪影響をもたらすという NI が発現する。
同社では金型製造からプレス加工までの一貫対応により効率的な生産体制を構築するとともに、不具合発生時に社内対応できることで不良発生率の低減に努め NI を緩和している。
その他、生産設備の定期的な省エネ設備への更新や効率的な加工プログラムの開発・利用など、製造工程における省エネルギー化の推進に加え、照明設備の LED 化など付帯設備に関しても 省エネルギー化を推進することで NI を緩和している。さらに、月次単位での CO2 排出量の見え る化に取り組み、排出量削減に向けた改善活動の実施により NI を緩和している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的対策を」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通じて化学物資や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済を下支えするという PI が発現する。
同社では自社製金型に加え、他社製造の金型についてメンテナンスを実施しているほか、他社が製造を取りやめた図面が存在しない既存製品についても、3D スキャナの活用により金型を再現し製品供給の継続を可能とすることで自動車産業を中心にサプライチェーンを支え、PI を拡大している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
同社の事業② 金属の鍛造、プレス、打ち抜き及び圧延成形業並びに粉末冶金業
(ISIC:2591)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
同社の事業③ 金属の処理・塗装・機械加工業(ISIC:2592)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
上表のうち、「雇用」「水(質)」「大気」「気候」については同社の事業①と重複するため記載を省略する。
【環境面】
◆「資源効率・安全性」「廃棄物」
製造過程で発生する廃棄物や老朽化した機械の適正な処分がおこなわれないことに起因する産業廃棄物の増加という NI が発現する。
同社では必要量を都度生産することなく、コイル打ち切り方式でのプレス加工を行っている。これにより過剰なエネルギー使用や未使用による原料廃棄を抑制し NI を緩和している。
また、プレス端材をはじめとする廃棄物に対しては素材別の分別処理を徹底し、リサイクル可能な廃棄物はリサイクル業者への引き渡しを実践している。さらに、製品輸送時に使用する梱包資材については繰り返し使用できる資材の活用を推進し NI を緩和している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.5:2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。」
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済を下支えするという PI が発現する。
同社では金型の設計製造に加え、単発プレス、順送プレス等多様な方式に対応したプレス加
工、自動組付け機や自動加工機を活用したアッセンブリー組付けまでの一貫対応体制により高品質製品を自動車産業はじめ多様な産業に安定提供し、PI を拡大している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
経済
SDG9
社会
SDG5 SDG8
ポジティブインパクト
社会
SDG8
環境
SDG12 SDG13
ネガティブインパクト
以上を踏まえて同社のインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
「金型とプレス加工の一貫対応による高品質製品製造の推進」
「CO2 排出量削減による環境負荷低減への取り組み推進」
「働きやすい職場環境の整備」
① 金型とプレス加工の一貫対応による高品質製品製造の推進:SDG9
同社はプレス金型の設計・製造・メンテナンスから、プレス加工、アッセンブリー加工までの一貫生産ラインを整備し、試作品の 1 品物から 100 万個単位の量産品生産まで対応する生産能力を背景に、自動車部品を中心に多様な産業の製品を安定供給し、各産業におけるサプライチェーンの高度化、活性化へと貢献している。
また、近年では 3D スキャナを活用し、他社が製造を取りやめた図面が存在しない既存製品についても金型を再現し製品供給の継続を可能とするリバースエンジニアリング技術の構築にも積極的に取り組むことで製品の安定供給を支えている。
同社の主力受注先となる自動車産業においては、EV 化の進展を受け高精度かつ複雑化、軽量化した部品加工が求められており、また、サプライチェーン全体での生産性向上に向けてジャスト・イン・タイムでの納入ニーズが強まっている一方、多くの事業者がこれら受注伸長が見込まれる EV 化関連分野での新規受注を目指す中で従来から供給されてきた部品等の製造を受け持つ事業者が廃業等した際の製品供給の継続も課題となっている。
今後の同社においては、主要受注先のニーズを確認しながらの継続的な改善活動のもとでの加工精度の更なる向上、効率化の追求を通じた生産性向上を図っていき、新規受注を目指していくとともに、リバースエンジニアリング技術を活用した既存製品の継続した安定供給の役割を担っていくことで、同社の金型からプレス加工、アッセンブリー加工までの高度な一貫生産体制の適用分野の拡大を図っていく方針である。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、経済的側面の PI を拡大すると考えられる。
② CO2 排出量削減による環境負荷低減への取り組み推進:SDG13
同社では生産設備の計画的な省エネ設備への更新、金型製造、メンテナンスとプレス加工の一貫対応体制のもとでの効率的生産に向けた継続的な改善活動への取り組みや、アッセンブリー加工における独自の自動組付け機、加工機の開発、利用を通じて、生産の効率化、不良発生率の低減を実現しながら生産過程における過剰なエネルギー使用の抑制に取り組んでおり、照明設備の LED 化など付帯設備に関しても省エネルギー化を推進し、事業活動の展開と環境保全の推進の両立を目指している。
また、プレス加工で発生する端材など廃棄物に関しても適切に分別したうえでリサイクル可能な廃棄物についてはリサイクルしているほか、製品輸送時の梱包資材についても繰り返し利用可能な資材を活用し事業活動に伴い発生する廃棄物の抑制に努めている。
今後においても現在推進している CO2 排出量の推移把握をもとに、中小企業版SBT 認定の取得を目指し CO2 排出量の削減目標を設定し、事業の発展と環境保護の両立を目指していく。 これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「気候」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和すると考えられる。
③ 働きやすい職場環境の整備:SDG8
同社では再雇用制度の制定、活用による高齢者就業機会の創出や外国人技能実習生の積極的な受入れ、女性活躍の推進を通じて地域における多様な人材の雇用創出に貢献している。また、従業員個々の状況を勘案した労働条件の設定や、受注状況に応じた生産計画の策定を通じた時間外労働の抑制により、一人一人の従業員がワーク・ライフ・バランスを確保しながら働き続けやすい職場環境の形成に努めている。
今後においても、従業員の意見を取り入れながら多様な人材が働ける環境の整備、改善に継続的に取り組み、就業規則等についても整備を進めるとともに、健康経営優良法人の認定取得を通じて従業員が安心して働き続けられる職場環境を構築していくことで多様な人材の確保、育成に努め、持続可能な地域経済への貢献を強化していく。また、製品輸送における自社便に大型車を導入することで、輸送効率向上および従業員負担軽減を図っていく。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大し、社会的側面の NI を緩和すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 3 点である。
「 8:働きがいも経済成長も」
「 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
「13:気候変動に具体的な対策を」
国内における SDG ダッシュボード上では、「9」に関しては「達成に近づいている」とされているものの、
「13」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては「重要な課題が残る」とされており、同社における高品質プレス製品製造に向けた金型、プレス加工、アッセンブリー加工の一貫対応への取り組み、多様な人材の雇用創出や人材育成への取り組みや、環境負荷低減の取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② 愛知県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する愛知県を中心に行われていることから、「愛知県 SDGs xx都市計画」を参照し、愛知県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、愛知県では「<経済面>あらゆる産業において、イノベーションを巻き起こす力強い産業づくりの推進」、「<社会面>すべての人が参画し、生涯にわたって活躍できる社会を築いていく、企業等で女性が活躍できる環境を作っていく」、「<環境面>多様な主体が連携して生態系を守っていく、企業等と連携しながらカーボンニュートラルの実現にも取り組んでいく」といった課題を
SDGs 達成に向け設定しており、同社における高品質プレス製品製造に向けた金型、プレス加 工、アッセンブリー加工の一貫対応への取り組み、多様な人材の雇用創出や人材育成への取り組みや、環境負荷低減の取り組みなどが、愛知県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
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(出典:愛知県第 2 期 SDGs xx都市計画の概要)
③ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目を SDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した当社のインパクトである「金型とプレス加工の一貫対応による高品質製品製造の推進」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)、(3)と、「CO2 排出量削 減による環境負荷低減への取り組み推進」については「ぎふしん SDGs 宣言」の (2)、(3)と、「働きやすい職場環境の整備」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の (3)と親和性があり、相互に協力しあうことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
4.KPI の設定
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■金型とプレス加工の一貫対応による高品質製品製造の推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「包括的で健全な経済」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・技術革新に対応した、高品質・短納期・低コストで生産できる一貫生産体制のブラッシュアップ継続 ・他社が製造を取りやめた製品の金型再現・供給継続(リバースエンジニアリング)の強化、それに向けた主要取引先からのニーズ確認と技術 力の向上 |
目標とKPI | ・2029 年 3 月期までに全社売上高 8.5 億円以上を達成する (2023 年 3 月期実績:7.8 億円)。 ・2029 年 3 月期までにリバースエンジニアリング関連売上高 75 百万 円以上を達成する(現状:約 50 百万円)。 |
■CO2 排出量削減による環境負荷低減への取り組み推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「気候」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・CO2 排出量の実績推移に基づいた環境配慮・改善活動の推進 ・中小企業版 SBT 認定を取得し、CO2 排出量の削減に向けた計画 再策定、実行体制の整備 |
目標とKPI | ・2026 年 3 月期までに中小企業版 SBT 認定を取得する。 ・2029 年 3 月期までに事業活動に伴う CO2 排出量を 2023 年 3月期対比で 21%以上削減する。 (対象期間:2025 年 3 月期~2029 年 3 月期) |
■働きやすい職場環境の整備
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大社会的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・従業員の意見を取り入れながら、就業規則を見直すなど多様な人材が健康的に働き続けられる環境の整備を進める。 ・製品輸送に伴う従業員負担軽減のために大型自動車導入を推進 し、従業員の大型自動車免許の取得者数を増やす。 |
目標とKPI | ・2029 年 3 月期までに残業時間を月間平均 10 時間以内へと抑制 する(現状:約 15 時間)。 ・2026 年 3 月期までに健康経営優良法人認定を取得し、継続する。 ・2026 年 3 月期までに大型自動車免許の取得者を 2 名に増やす (現状:0 名)。 |
5.モニタリング
同社では、xx社長と井上取締役を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びにKPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役 | xx xx |
プロジェクトリーダー | 専務取締役工場長 | xx xx |
本 PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 5 年間 (2029 年 5 月 25 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、株式会社オオヤブから提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
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