(SCM 協定)
関 係 法 令 集
経済産業省 特殊関税等調査室
2022 年 5 月
-補助金及び相殺措置に関する協定
(SCM 協定)
-関税定❹法(第七条)
-相殺関税に関する政令
-相殺関税のに関する手続等についてのガイドライン(本文のみ)
補助金及び相殺措置に関する協定
(SCM 協定、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成6年条約第 15 号)附属書1A)
1994 年 4 月 15 日署名
加盟国は、ここに、次のとおり協定する。第一部 一般規定
第一条 補助金の定義
1.1 この協定の適用上、次の(a)の(1)又は(2)のいずれか及び(b)の条件が満たされる場合には、補助金は、存在するものとみなす。
(a)
(1) 加盟国の領域における政府又は公的機関(この協定において「政府」という。)が資金面で貢献していること。すなわち、
(i) 政府が資金の直接的な移転を伴う措置(例えば、贈与、貸付け及び出資)、資金の直接的な移
転の可能性を伴う措置又は債務を伴う措置(例えば、債務保証)をとること。
(ii) 政府がその収入となるべきものを放棄し又は徴収しないこと(例えば、税額控除等の財政による奨励)。(注)
注: 千九百九十四年のガット第十六条(第十六条の注釈及び補足規定)及びこの協定の附属書 1 から附属書 3 までの規定に基づき、いずれかの輸出産品が、国内消費に向けられる同種の産品に課される関税若しくは内国税を免除されること又はこれらの関税若しくは内国税が課されたときにその額を超えない額だけ払戻しを受けることは、補助金とはみなさない。
(iii) 政府が一般的な社会資本以外の物品若しくは役務を提供し又は物品を購入すること。
(iv) 政府が資金調達機関に支払を行うこと、又は政府が民間団体に対し、通常政府に属する任務であって(1)から(3)までに規定するものの一若しくは二以上を遂行すること若しくは政府が通常とる措置と実質上異ならないものをとることを委託し若しくは指示すること。
(2) 千九百九十四年のガット第十六条に規定する何らかの形式による所得又は価格の支持があること。
(b) (a)の(1)又は(2)の措置によって利益がもたらされること。
1.2 1.1 に規定する補助金は、次条の規定に基づいて特定性を有する場合に限り、第二部の規定又は第xx若しくは第五部の規定の適用を受ける。
第二条 特定性
2.1 1.1 に規定する補助金が当該補助金を交付する当局(この協定において「交付当局」という。)の管轄の下にある一の企業若しくは産業又は企業若しくは産業の集団(この協定において「特定企業」という。)について特定性を有するか有しないかを決定するため、次の原則を適用する。
(a) 交付当局又は交付当局の適用する法令が補助金の交付の対象を明示的に特定企業に限定している場合には、当該補助金は、特定性を有するものとする。
(b) 交付当局又は交付当局の適用する法令が補助金の交付を受ける資格及び補助金の額を規律する客観的
な基準又は条件(注)を定めている場合には、特定性は、存在しないものとする。ただし、当該資格が自動的に付与されるものであり、かつ、当該基準及び条件が厳格に遵守されていることを条件とする。当該基準又は条件については、確認することができるように、法令その他の公文書に明確に定めなければならない。
注: この(b)に規定する「客観的な基準又は条件」とは、中立的であり、特定企業を他のものよりも有利に扱うものではなく、本質的に経済に係るものであり、かつ、一様に適用される基準又は条件(例えば、被用者の数又は企業の規模)をいう。
(c) (a)及び(b)に定める原則の適用の結果として特定性が存在しないと認められるにもかかわらず、補助金が実際には特定性を有するものである可能性があると信ずるに足りる理由がある場合には、他 の要因を考慮することができる。この要因とは、限定された数の特定企業による補助金制度の利用、 特定企業による補助金制度の支配的な利用、特定企業に対する均衡を失した多額の補助金の交付及び 補助金の交付を決定するに当たって交付当局が裁量的な方法をとっていること(注)をいう。この
(c)の規定の適用に当たっては、交付当局の管轄の下にある経済活動の多様性の程度及び補助金制
度を運用している期間の長さを考慮する。
注: この点に関し、特に、補助金の申請が拒否され又は承認される頻度及びそのような決定の理由に関する情報を考慮する。
2.2 交付当局の管轄の下にある地理的に指定された地域内にある特定企業のみに交付される補助金は、特定性を有するものとする。この協定の適用上、権限を有するすべての段階の政府が行う一般的に適用される税率の決定又は変更は、特定性を有する補助金とはみなさないと了解する。
2.3 次条の規定に該当する補助金は、特定性を有するものとみなす。
2.4 この条に規定する特定性については、実証的な証拠に基づく明確な裏付けによって決定する。
第二部 禁止される補助金第三条 禁止
3.1 農業に関する協定に定める場合を除くほか、第一条に規定する補助金のうち次のものについては、禁
止する。
(a) 法令上又は事実上(注 1)、輸出が行われることに基づいて(唯一の条件としてであるか二以上の条件のうち一の条件としてであるかを問わない。)交付される補助金(附属書 1 に掲げるものを含む
(注 2)。)
注 1: 補助金の交付が法的には輸出が行われることに基づいたものではない場合においても、当該補助金の交付が実際の又は予想される輸出又は輸出収入と事実上結び付いていることが事実によって立証されるときは、この基準は、満たされるものとする。輸出を行う企業に補助金を交付するという単なる事実のみを理由として、この 3.1 に規定する輸出補助金とみなされることはない。
注 2: 輸出補助金には当たらないものとして附属書 1 に規定する措置は、この条の規定又はこの協定の他のいかなる規定によっても禁止されない。
(b) 輸入物品よりも国産物品を優先して使用することに基づいて(唯一の条件としてであるか二以上の条件のうち一の条件としてであるかを問わない。)交付される補助金
3.2 加盟国は、3.1 に規定する補助金を交付し又は維持してはならない。
第四条 救済措置
4.1 加盟国は、他の加盟国が禁止される補助金を交付し又は維持していると信ずるに足りる理由がある場合には、当該他の加盟国に対し協議を要請することができる。
4.2 4.1 の規定に基づく協議の要請には、禁止される補助金の存在及び性格についての入手可能な証拠を
付する。
4.3 関係する補助金を交付し又は維持しているとされた加盟国は、4.1 の規定に基づく協議の要請を受けた場合には、できる限り速やかに協議に応ずる。協議は、事実関係を明らかにすること及び相互に合意する解決を得ることを目的とする。
4.4 協議の要請から三十日(注)以内に相互に合意する解決が得られなかった場合には、協議の当事者である加盟国は、小委員会を直ちに設置するため、問題を紛争解決機関に付託することができる。もっとも、同機関が小委員会を設置しないことをコンセンサス方式によって決定する場合には、小委員会は、設置されない。
注: この条に定める期間は、合意によって延長することができる。
4.5 小委員会は、設置された場合には、関係する措置が禁止される補助金であるかないかの問題に関し、常設専門家部会(注)の援助を要請することができる。同部会は、その要請を受けた場合には、当該措置の存在及び性格についての証拠を直ちに検討するものとし、また、当該措置をとり又は維持している加盟国に対し、当該措置が禁止される補助金ではないことを立証する機会を与える。同部会は、小委員会が決定する期限内に小委員会に結論を報告する。小委員会は、当該措置が禁止される補助金であるかないかの問題に関する同部会の結論を修正することなく受諾する。
注: 第二十四条の規定に基づいて設置する。
4.6 小委員会は、紛争当事国に最終的な報告を送付する。当該報告については、小委員会の構成及び付託事項の確定の日から九十日以内にすべての加盟国に送付する。
4.7 関係する措置が禁止される補助金であると認める場合には、小委員会は、補助金を交付している加盟国に対し、当該補助金を遅滞なく廃止するよう勧告する。この点に関し、小委員会は、当該措置を廃止しなければならない期限をその勧告において特定する。
4.8 小委員会の報告は、すべての加盟国への送付から三十日以内に、紛争解決機関によって採択される。ただし、一の紛争当事国が上級委員会への申立ての意思を同機関に正式に通報し又は同機関が当該報告を採択しないことをコンセンサス方式によって決定する場合は、この限りでない。
4.9 小委員会の報告について申立てがされた場合には、上級委員会は、紛争当事国が当該申立ての意思を正式に通報した日から三十日以内に決定を行う。上級委員会は、三十日以内に報告を作成することができないと認める場合には、報告を送付するまでに要する期間の見込みと共に遅延の理由を書面により紛争解決機関に通報する。この期間は、いかなる場合にも、六十日を超えてはならない。同機関は、上級委員会の報告を、加盟国への送付の後二十日以内に採択し(注)、紛争当事国は、これを無条件で受諾する。ただし、同機関が当該報告を採択しないことをコンセンサス方式によって決定する場合は、この限りでない。
注: 紛争解決機関の会合がこの期間内に予定されていない場合には、この目的のために開催される。
4.10 小委員会が定めた期限(小委員会又は上級委員会の報告の採択の日から起算する。)内に紛争解決 機関の勧告が実施されない場合には、同機関は、申立てをした加盟国(この協定において「申立加盟国」という。)に対し、適当な対抗措置をとることを承認する(注)。ただし、同機関が対抗措置に係る申 請を却下することをコンセンサス方式によって決定する場合は、この限りでない。
注: この 4.10 の前段の規定は、この条に規定する補助金が禁止されているという事実に照らして均衡を失する対抗措置を認めることを意味するものではない。
4.11 紛争当事国が紛争解決了解第二十二条 6 に規定する仲裁を要請する場合には、仲裁人は、対抗措置が適当であるかないかを決定する。(注)
注: この 4.11 の規定は、この条に規定する補助金が禁止されているという事実に照らして均衡を失する対抗措置を認めることを意味するものではない。
4.12 この条の規定に従って紛争を処理するに当たっては、紛争解決了解に従って紛争処理のために適用 される期間については、この条に特に定める期間を除くほか、同了解に定める期間の半分の期間とする。
第xx 相殺措置の対象となる補助金第五条 悪影響
加盟国は、1.1 及び 1.2 に規定する補助金によって、他の加盟国の利益に次のいずれの悪影響も及ぼすべ
きではない。
(a) 他の加盟国の国内産業に対する損害(注)
注: 「国内産業に対する損害」の語は、第五部におけるものと同一の意味で用いる。
(b) 他の加盟国に対し千九百九十四年のガットに基づいて直接又は間接に与えられた利益、特に、千九百九十四年のガット第二条の規定に基づく譲許の利益の無効化又は侵害(注)
注: この協定において、「無効化又は侵害」の語は、千九百九十四年のガットの関連規定におけるものと同一の意味で用いるものとし、無効化又は侵害の存在は、当該関連規定の適用に関する慣行に従って認定する。
(c) 他の加盟国の利益に対する著しい害(注)
注: この協定において、「他の加盟国の利益に対する著しい害」の語は、千九百九十四年のガット第十六条 1 におけるものと同一の意味で用い、著しい害のおそれを含む。
この条の規定は、農業に関する協定第十三条に規定する農産品に関して維持される補助金については、適用しない。
第六条 著しい害
6.1 次のいずれかの場合には、前条(c)に規定する著しい害は、存在するものとみなす。
(a) 補助金の総額が産品の価額の五パーセントを超える場合(注 1、注 2)
注 1: 産品の価額に対する補助金の総額の割合は、附属書 4 の規定に従って算定する。
注 2: 民間航空機は、多数国間の特定の規律に服すると見込まれるので、この(a)に定める基準は、民間航空機については、適用しない。
(b) 補助金がいずれかの産業の営業上の損失を補てんするものである場合
(c) 補助金がいずれかの企業の営業上の損失を補てんするものである場合。ただし、当該企業について繰り返されることのない一回限りの措置であって、長期的な解決を図るための時間を与え、かつ、深刻な社会的問題を避けるためにのみとるものを除く。
(d) 債務の直接的な免除(注)、すなわち、政府に対して負っている債務を免除する場合及び債務の返済を補てんする贈与を行う場合
注: 加盟国は、民間航空機の製造に対するロイヤルティに係る融資は、実際の販売の水準が予想される販売の 水準を下回 るために全額返済されていない場合には、それ自体、この(d)に定める著しい害を構成するものではないことを認める。
6.2 6.1 の規定にかかわらず、補助金を交付している加盟国が、当該補助金が 6.3 に規定する影響のいかなるものももたらさなかったことを立証する場合には、著しい害は、存在するとは認めない。
6.3 前条(c)に規定する著しい害は、次に規定するもののうち一又は二以上に該当する場合には、生ずる
ことがある。
(a) 補助金の効果が、補助金を交付している加盟国の市場への他の加盟国からの同種の産品の輸入を代替し又はその輸入を妨げるものであること。
(b) 補助金の効果が、第三国市場において他の加盟国の同種の産品の輸出を代替し又はその輸出を妨げ
るものであること。
(c) 補助金の効果が、補助金の交付を受けた産品の価格を同一の市場における他の加盟国の同種の産品の価格よりも著しく下回らせるものであること又は同一の市場における価格の上昇を著しく妨げ、価格を著しく押し下げ若しくは販売を著しく減少させるものであること。
(d) 補助金の効果が、当該補助金の交付を受けた特定の一次産品(注)について、当該補助金を交付している国の世界市場における占拠率を当該国が過去三年間に有していた平均的な占拠率よりも増加させるものであり、かつ、その増加が、補助金が交付された期間を通じて一貫したものであること。
注: ただし、多数国間で合意された他の特定の規律が当該産品の貿易に適用される場合は、この限りでない。
6.4 6.3(b)の規定の適用上、輸出を代替すること又は妨げることには、6.7 に規定する場合を除くものとし、(しかるべき代表的な期間であって、関係産品の市場の拡大の傾向を明確に立証するために十分な期間(この期間は、通常の場合には、少なくとも一年とする。)を通じて)相対的な市場占拠率の変化が補助金の交付を受けていない同種の産品にとって不利益となるように生じたことが立証される場合を含む。「相対的な市場占拠率の変化」には、(a)補助金の交付を受けた産品の市場占拠率が増加すること、(b)補助金が存在しなかったとしたならば補助金の交付を受けた産品の市場占拠率が減少したであろうという状況において、当該市場占拠率が一定であること及び(c)補助金の交付を受けた産品
の市場占拠率が、補助金が存在しなかったとした場合の市場占拠率の減少の速度よりも遅い速度で減少していることを含む。
6.5 6.3(c)の規定の適用上、価格を下回らせることには、補助金の交付を受けた産品の価格と同一の市場
に供給される補助金の交付を受けていない同種の産品の価格との比較によって立証される場合を含む。この比較については、商取引の同一の段階で、かつ、同等な時点で行うものとし、価格の比較に影響を及ぼすその他の要因に妥当な考慮を払う。もっとも、このような直接的な比較を行うことができない場合には、価格を下回らせることについては、単位当たりの輸出価額に基づいて立証することができる。
6.6 自国の市場において著しい害が生じたと申し立てる加盟国は、附属書 53 の規定に従うことを条件と
して、紛争当事国の市場占拠率の変化及び関係産品の価格について入手することができるすべての関連情報を次条に規定する紛争当事国及び 7.4 の規定に基づいて設置される小委員会に提供する。
6.7 6.3 の規定の適用上、関係する期間中に次のいずれかの状況が存在する(注)場合には、輸出又は輸入を代替し又は妨げることが著しい害をもたらすことはない。
注: 特定の状況がこの 6.7 に規定されているという事実は、それ自体、千九百九十四年のガット又はこの協定において、当該特定の状況にいかなる法的地位も与えるものではない。これらの状況は、単発的なもの、突発的なものその他重要でないものであってはならない。
(a) 立加盟国からの同種の産品の輸出又は関係する第三国の市場への申立加盟国からの輸入の禁止又は制限
(b) 関係産品について、貿易を独占し又は国家貿易を実施している輸入国の政府が、非商業的理由によ
り、申立加盟国からの輸入を他の国からの輸入に転換することを決定すること。
(c) 自然災害、同盟罷業、輸送上の混乱その他の不可抗力であって、申立加盟国から輸出することができる産品の生産、品質、数量又は価格に相当な影響を与えるものが生じていること。
(d) 申立加盟国からの輸出を制限する取決めが存在すること。
(e) 申立加盟国が輸出することができる関係産品の量を自発的に減少させること(特に、申立加盟国の企業が自主的に当該産品の輸出を新たな市場に割り当てる場合を含む。)。
(f) 輸入国における基準その他の法的な規制を遵守しないこと。
6.8 6.7 に規定する状況が存在しない場合には、著しい害の存在については、小委員会に提供された情報又は小委員会が入手した情報(附属書 5 の規定に従って提供されたものを含む。)に基づいて決定すべきである。
6.9 この条の規定は、農業に関する協定第十三条に規定する農産品に関して維持される補助金については、適用しない。
第七条 救済措置
7.1 農業に関する協定第十三条に定める場合を除くほか、加盟国は、第一条に規定する補助金であって他の加盟国が交付し又は維持するものが自国の国内産業に対する損害、無効化若しくは侵害又は著しい害をもたらしていると信ずるに足りる理由がある場合には、当該他の加盟国に対し協議を要請することができる。
7.2 7.1 の規定に基づく協議の要請には、(a)補助金の存在及び性格についての入手可能な証拠並びに
(b)国内産業に対する損害、無効化若しくは侵害又は協議を要請する加盟国の利益に対する著しい害
(注)についての入手可能な証拠を付する。
注: 要請が 6.1 に規定する著しい害をもたらすものとみなされる補助金に関係する場合には、著しい害についての入手可能な証拠は、6.1 の条件を満たしているかいないかについての入手可能な証拠に限定することができる。
7.3 関係する補助金を交付し又は維持しているとされた加盟国は、7.1 の規定に基づく協議の要請を受けた場合には、できる限り速やかに協議に応ずる。協議は、事実関係を明らかにすること及び相互に合意する解決を得ることを目的とする。
7.4 協議により六十日(注)以内に相互に合意する解決が得られなかった場合には、協議の当事者である加盟国は、小委員会を設置するため、問題を紛争解決機関に付託することができる。もっとも、同機関が小委員会を設置しないことをコンセンサス方式によって決定する場合には、小委員会は、設置されない。小委員会の構成及び付託事項については、小委員会が設置された日から十五日以内に確定する。
注: この条に定める期間は、合意によって延長することができる。
7.5 小委員会は、問題を検討するものとし、紛争当事国に最終的な報告を送付する。当該報告については、小委員会の構成及び付託事項の確定の日から百二十日以内にすべての加盟国に送付する。
7.6 小委員会の報告は、すべての加盟国への送付から三十日以内に、紛争解決機関によって採択される
(注)。ただし、一の紛争当事国が上級委員会への申立ての意思を同機関に正式に通報し又は同機関が当該報告を採択しないことをコンセンサス方式によって決定する場合は、この限りでない。
注: 紛争解決機関の会合がこの期間内に予定されていない場合には、この目的のために開催される。
7.7 小委員会の報告について申立てがされた場合には、上級委員会は、紛争当事国が当該申立ての意思を正式に通報した日から六十日以内に決定を行う。上級委員会は、六十日以内に報告を作成することができないと認める場合には、報告を送付するまでに要する期間の見込みと共に遅延の理由を書面により紛
争解決機関に通報する。この期間は、いかなる場合にも、九十日を超えてはならない。同機関は、上級委員会の報告を、加盟国への送付の後二十日以内に採択し(注)、紛争当事国は、これを無条件で受諾する。ただし、同機関が当該報告を採択しないことをコンセンサス方式によって決定する場合は、この限りでない。
注: 紛争解決機関の会合がこの期間内に予定されていない場合には、この目的のために開催される。
7.8 補助金が第五条に規定する他の加盟国の利益に対する悪影響をもたらしたと決定する旨の小委員会又は上級委員会の報告が採択される場合には、当該補助金を交付し又は維持している加盟国は、当該悪影響を除去するための適当な措置をとり又は当該補助金を廃止する。
7.9 紛争解決機関が小委員会又は上級委員会の報告を採択した日から六箇月以内に加盟国が補助金の悪影響を除去し又は補助金を廃止するための適当な措置をとらず、かつ、代償についての合意が存在しない場合には、同機関は、申立加盟国に対し、存在すると決定された悪影響の程度及び性格に応じた対抗措置をとることを承認する。ただし、同機関が対抗措置に係る申請を却下することをコンセンサス方式によって決定する場合は、この限りでない。
7.10 紛争当事国が紛争解決了解第二十二条 6 に規定する仲裁を要請する場合には、仲裁人は、対抗措置
が、存在すると決定された悪影響の程度及び性格に応じたものであるかないかを決定する。
第四部 相殺措置の対象とならない補助金
第八条 相殺措置の対象とならない補助金の特定
8.1 次の補助金は、相殺措置の対象とならない補助金とみなす。(注)
注: 加盟国が種々の目的のための政府による援助を広く提供していること及びこのような援助がこの条に規定する相殺措置の対象とならない補助金の取扱いの条件を満たすことができないという事実は、それ自体、加盟国が当該援助を提供することを制限するものではないことを認める。
(a) 第二条に規定する特定性を有しない補助金
(b) 第二条に規定する特定性を有する補助金であって、8.2 の(a)、(b)又は(c)に定めるいずれかの条件を満たすもの
8.2 第xx及び第五部の規定にかかわらず、次の補助金は、相殺措置の対象とならないものとする。
(a) 企業が行う研究活動又は高等教育機関若しくは研究機関が企業との契約に基づいて行う研究活動に対する援助であって(注 1、注 2、注 3)、産業上の研究(注 4)に係るものについては当該研究の費用の七十五パーセント以下であり又は競争前の段階の開発活動(注 5)に係るものについては当該活動の費用の五十パーセント以下であるもの(注 6、注 7)。ただし、当該援助の対象が次の事項に限定されていることを条件とする。
注 1: 民間航空機は、多数国間の特定の規律に服すると見込まれるので、この(a)の規定は、民間航空機については、適用しない。
注 2: 第二十四条に規定する補助金及び相殺措置に関する委員会(この協定において「委員会」という。)は、世界貿易機 関協定の効力発生の日の後十八箇月以内に、この(a)の規定の運用を改善するために必要なあらゆる変更を行うため、同規定の運用について検討する。委員会は、この変更を行う可能性を検討するに当たり、研究計画の運用に関する加 盟国の経験及び他の適当な国際機関の活動に照らして、この(a)に規定する定義を慎重に検討する。
注 3: この協定は、高等教育機関又は研究機関が独立して行う基礎的な研究活動については、適用しない。「基礎的な研究」とは、工業上又は商業上の目的と関連を有しない科学上及び技術上の一般的な知識の拡大を目的とする研究をいう。
注 4: 「産業上の研究」とは、新たな産品、工程若しくは役務の開発又は既存の産品、工程若しくは役務の相当な改善に有用となり得る新たな知識の発見を目的とする計画的な研究又は詳細な調査をいう。
注 5: 「競争前の段階の開発活動」とは、産業上の研究の成果を新たな、修正された又は改善された産品、工程又は役務のための計画、青写真又は企画に具体化すること(販売を目的とするか使用を目的とするかを問わない。)をいい、商業的に使用することができない第一段階の原型を作ることを含む。「競争前の段階の開発活動」には、更に、代わりの産品、工程又は役務の構想及び企画並びに事業の第一段階の実施又は実験的な実施を含む。ただし、これらの事業が工業への適用又は商業上の活用のために転用され又は利用される場合は、この限りでない。既存の産品、生産ライン、製造工程、役務その他進行中の作業の日常的又は定期的な変更は、改善をもたらし得るものであっても、「競争前の段階の開発活動」には含めない。
注 6: この(a)に規定する相殺措置の対象とならない援助が許容される水準については、個別の事業の存続期間中に要した対象となる費用の総額に照らして設定する。
注 7: 産業上の研究及び競争前の段階の開発活動の両者にまたがる計画については、相殺措置の対象とならない援助が許容される水準は、この両者に適用される相殺措置の対象とならない援助が許容される水準(この(a)の(i)から(v)までに規定するすべての対象となる費用に基づいて算定する。)の単純平均を超えてはならない。
(i) 人件費(専ら当該研究活動のために雇用される研究者、技術者その他補助的な要員に関する費用)
(ii) 専ら当該研究活動のために永続的に使用される(商業的な原則に基づいて処分される場合を除く 。)器具、装置、土地及び建物に関する費用
(iii) 専ら当該研究活動のために使用されるコンサルタントの役務及びこれと同等の役務(既成の研
究、 技術上の知識及び特許を含む。)に関する費用
(iv) 当該研究活動の結果として直接生ずる追加的な間接費
(v) その他当該研究活動の結果として直接生ずる運営費(例えば、材料、需品その他これらに類するものに関する費用)
(b) 地域開発の一般的な枠組み(注)に基づいて加盟国の領域内の不利な立場にある地域に対して与え られる援助であって、対象となる地域内において第二条に規定する特定性を有しないもの。ただし、次のことを条件とする。
注: 「地域開発の一般的な枠組み」とは、地域的な補助金制度が国内的に一貫し、かつ、一般的に適用される地域開発に関する政策の一部であること及び地域開発のための補助金が当該地域の開発に影響を及ぼさず又は実質的な影響を及ぼさない地理的に孤立した場所に交付されるものではないことをいう。
(i) 不利な立場にある地域は、それぞれが明確に指定された地理的な連続性を有する一の地域でなければならず、かつ、他の地域と区別することができる経済的及び行政的な同一性を有していなければならないこと。
(ii) 地域は、当該地域の困難が一時的な状況により生じているものではないことを示す中立的かつ
客観的な基準(注)に基づいて不利な立場にあるものとみなされるものであること。この基準については、確認することができるように、法令その他の公文書に明確に定めなければならない。
注: 「中立的かつ客観的な基準」とは、地域開発に関する政策の枠組みにおいて、地域的な不均衡を除去し又は軽減するために適当な程度を超えて特定の地域を有利に取り扱うことのない基準をいう。この点に関し、地域的な補助金制度については、補助金を交付する事業計画ごとに援助の額の上限を設定する。この上限については、援助が提供される地域の開発の程度に応じて差異を設けなければならず、また、投資又は雇用創出に関する費用に着目して設定しなければならない。この上限の範囲内において、援助については、第二条に規定する特定企業による補助金の支配的な利用又は特定企業に対する均衡を失した多額の補助金の交付を回避するため、十分幅広く、かつ、均衡のとれた額で分配する。
(iii) (ii)の基準は、経済的な発展を評価するための指標であって次の要因の少なくとも一に基づくものを含むこと。
一人当たり若しくは一世帯当たりの所得又は一人当たりの国内総生産(この所得又は国内総生産は、関係する領域についての平均値のxxxパーセントを超えてはならない。)
失業率(この失業率は、関係する領域についての平均値の少なくとも百十パーセントでなければならない。)
これらの指標については、三年の期間にわたって算定する。もっとも、これらの指標については、複合的なものとすること及び他の要因を含めることができる。
(c) 既存の施設(注)を、法令により課される新たな環境上の要件(企業に対し一層大きな制約及び財
政的な負担をもたらすもの)に適合させることを促進するための援助。ただし、次のことを条件とする。
注: 「既存の施設」とは、新たな環境上の要件が課されたときに少なくとも二年間使用されている施設をいう。
(i) 援助が繰り返されることのない一回限りの措置であること。
(ii) 援助の額が新たな環境上の要件に適合するための費用の二十パーセント以下に限定されていること。
(iii) 援助が当該援助を受けた投資に係る施設の更新又は操業に関する費用(企業がすべてを負担し
なければならないもの)を負担するものではないこと。
(iv) 援助が、企業が計画する有害なもの及び汚染の削減に直接の関連を有し並びに当該削減の計画と均衡のとれたものであり、かつ、製造の過程において節約することができる費用を負担するものではないこと。
(v) 援助が新たな設備又は生産工程を採用することができるすべての企業にとって利用可能なもの
であること。
8.3 加盟国は、補助金制度について 8.2 の規定を適用しようとする場合には、その実施に先立ち第七部の規定に従って委員会に通報する。その通報は、当該補助金制度が 8.2 の関連規定に定める条件及び基準に適合するものであることを他の加盟国が評価することができるようにするために十分正確なものとする。加盟国は、また、特に、補助金制度ごとの総額及び補助金制度の変更に関する情報を提供することにより、当該通報を毎年改定したものを委員会に提供する。その他の加盟国は、通報された補助金制度の下における個々の事例に関する情報を要請する権利を有する。(注)
注: 通報に関するこの 8.3 の規定は、秘密の情報(業務上の秘密の情報を含む。)の提供を求めるものではないことを認める。
8.4 事務局は、加盟国の要請に基づき、8.3 の規定に基づいて行われた通報を検討するものとし、また、必要な場合には、通報された補助金制度であって検討の対象となっているものに関する追加の情報を補助金を交付している加盟国に対し要請することができる。事務局は、その検討の結果を委員会に報告する。委員会は、要請に基づき、8.2 に定める条件及び基準が満たされていたかいなかったかを決定するため、事務局の検討の結果(又は、事務局による検討が要請されていない場合には、通報それ自体)を速やかに検討する。この 8.4 に定める手続は、補助金制度に関する通報と委員会の通常会合との間に少なくとも二箇月以上の間隔が存在していることを条件として、遅くとも当該通報の後の最初の委員会の通常会合において完結させる。この 8.4 に規定する検討の手続は、要請に基づき、通報された補助金制度(その通報については、8.3 に定めるところにより毎年改定する。)の重要な変更についても適用す
る。
8.5 8.4 に規定する委員会の決定又は委員会が当該決定を行わないこと及び通報された補助金制度に定める条件についての個々の事例における違反については、加盟国の要請に基づき、拘束力を有する仲裁に付託する。仲裁を行う機関は、問題が当該機関に付託された日から百二十日以内にその結論を加盟国に提示する。この 8.5 の規定に別段の定めがある場合を除くほか、この 8.5 の規定に基づき行われる仲裁については、紛争解決了解を適用する。
第九条 協議及び承認された救済措置
9.1 8.2 に規定する制度の実施の過程において、当該制度が 8.2 に定める基準に適合しているという事実にかかわらず、加盟国は、当該制度が当該加盟国の国内産業に対して回復し難い損害を生ずるような著しい悪影響を及ぼしていると信ずるに足りる理由がある場合には、補助金を交付し又は維持している加盟国に対し協議を要請することができる。
9.2 関係する補助金を交付し又は維持している加盟国は、9.1 の規定に基づく協議の要請を受けた場合には、できる限り速やかに協議に応ずる。協議は、事実関係を明らかにすること及び相互に受け入れることが可能な解決を得ることを目的とする。
9.3 9.2 の規定に基づく協議において当該協議の要請から六十日以内に相互に受け入れることが可能な解決が得られなかった場合には、当該協議を要請した加盟国は、問題を委員会に付託することができる。
9.4 問題が委員会に付託された場合には、委員会は、直ちに事実関係及び 9.1 に規定する悪影響の証拠を
検討する。委員会は、当該悪影響が存在すると決定する場合には、補助金を交付している加盟国に対し、当該悪影響を除去するような方法で制度を修正することを勧告することができる。委員会は、問題が
9.3 の規定に基づいて委員会に付託された日から百二十日以内にその結論を提示する。委員会は、その
勧告が六箇月以内に実施されなかった場合には、協議を要請した加盟国に対し、存在すると決定された当該悪影響の性格及び程度に応じた適当な対抗措置をとることを承認する。
第五部 相殺措置
第xx x九百九十四年のガット第六条の規定の適用(注)
注: 第二部及び第xxの規定は、この部の規定と併せて適用することができる。もっとも、特定の補助金が輸入加盟国の国内市場に及ぼす影響に関しては、当該補助金について一の救済形態(この部に定める要件が満たされた場合に課することができる相殺関税又は第四条若しくは第七条に規定する対抗措置のいずれか)のみを用いることができる。第xx及びこの部の規定は、第四部の規定に従って相殺措置の対象とならないとみなされた措置については、適用してはならない。もっとも、8.1(a)に規定する措置については、第二条に規定する特定性を有するものであるかないかを決定するために調査することができる。第xx又はこの部の規定は、また、8.2 に規定する補助金であって 8.3 に規定する通報が行われていない制度に基づいて交付されるものについて適用することができるが、当該補助金が 8.2 に定める基準に適合するものであると認められる場合には、当該補助金は、相殺措置の対象とならないものとして取り扱う。
加盟国は、いずれかの加盟国の領域の産品であって他の加盟国の領域に輸入されるものに対する相殺関
(注 1)が千九百九十四年のガット第六条の規定及びこの協定に定める条件に適合して課されることを確保するため、必要なすべての措置をとる。相殺関税は、この協定及び農業に関する協定に従って開始し
(注 2)、実施する調査に基づいてのみ課することができる。
注 1: 「相殺関税」とは、千九百九十四年のガット第六条 3 に定義するとおり、産品の製造、生産又は輸出について直接又は間接に交付される補助金を相殺する目的で課する特別の関税をいうものと了解する。
注 2: 以下「開始する」又は「開始」とは、加盟国が次条の規定に従って正式に調査を始めるための手続上の措置をとることをいう。
第十一条 調査開始及び実施
11.1 11.6 に規定する場合を除くほか、申し立てられた補助金の存在、程度及び影響を決定するための調査は、国内産業によって又は国内産業のために行われる書面による申請に基づいて開始する。
11.2 11.1 の申請には、(a)補助金の存在及び、可能なときは、その額、(b)この協定により解釈され
る千九百九十四年のガット第六条に規定する損害の存在並びに(c)補助金の交付を受けた産品の輸入と申し立てられた損害との間に因果関係が存在することについての十分な証拠を含める。関連する証拠によって裏付けられない単なる主張は、この 11.2 に定める要件を満たすために十分なものであるとみなすことができない。この申請には、申請者が合理的に入手することができる次の事項に関する情報を含むものとする。
(i) 申請者の身元関係事項並びに当該申請者による同種の産品の国内生産の量及び価額に関する記述。書面による申請が国内産業のために行われる場合には、当該申請は、同種の産品の知られているすべての国内生産者(又は同種の産品の国内生産者の団体)の名簿を記載すること並びに可能な限り当該国内生産者による同種の産品の国内生産の量及び価額を記述することによって、申請がいずれの産業のために行われているかを明らかにする。
(ii) 補助金の交付を受けていると申し立てられた産品に関する完全な記述、関係原産国又は関係輸出国
の国名、知られている輸出者又は外国の生産者のそれぞれの身元関係事項及び当該産品を輸入してい
ることが知られている者の名簿
(iii) 当該補助金の存在、額及び性格に関する証拠
(iv) 当該補助金の交付を受けた産品の輸入が補助金の効果を通じて国内産業に対する申し立てられた損害をもたらしたという証拠。この証拠には、補助金の交付を受けていると申し立てられた産品の輸入の量の推移、これらの輸入が国内市場における同種の産品の価格に及ぼす影響及びこれらの輸入が国内産業に結果として及ぼす影響(国内産業の状態に関係を有する要因及び指標、例えば、15.2及び 15.4 に規定するものによって示されるもの)に関する情報を含む。
11.3 当局は、申請の際に提供された証拠が調査の開始を正当とするために十分なものであるかないかを決定するため、当該証拠の正確さ及び妥当性について検討する。
11.4 11.1 の調査については、同種の産品の国内生産者が申請について表明した(注 1)支持又は反対の
程度の検討に基づき、当局が、当該申請が国内産業によって又は国内産業のために行われている(注 2)と決定しない限り、開始してはならない。申請は、当該申請について支持を表明している国内生産者の生産高の合計が、当該申請について支持又は反対のいずれかを表明している国内産業の一部が生産する同種の産品の総生産の五十パーセントを超える場合には、「国内産業によって又は国内産業のために」行われたものとみなす。ただし、申請を明示的に支持している国内生産者による生産が国内産業によって生産される同種の産品の総生産の二十五パーセント未満である場合には、調査を開始してはならない。
注 1: 非常に多数の生産者から成る産業であって、その生産者が加盟国の領域内に広く分布するものについては、当局は、統計上有効な標本抽出の方法を用いて支持及び反対を決定することができる。
注 2: 加盟国は、特定の加盟国の領域内においては、同種の産品の国内生産者の被用者又はこれら の代表が 11.1 の調査のための申請を行い又は支持することができることを認識する。
11.5 当局は、調査を開始する旨の決定が行われない限り、調査の開始を求める申請書を公表しないようにする。
11.6 関係当局は、特別な状況において国内産業によって又は国内産業のために行われる調査の開始を求
める書面による申請を受領しないで調査を開始することを決定する場合には、調査の開始を正当とする十分な証拠(11.2 に規定する補助金、損害及び因果関係の存在についてのもの)があるときにのみ手続を進める。
11.7 補助金及び損害の双方についての証拠は、(a)調査を開始するかしないかを決定するに当たり同時に考慮するものとし、(b)その後の調査の過程においても、遅くともこの協定に従って暫定措置がとられる日から、同時に考慮する。
11.8 産品が原産国から直接に輸入されず、xxxから輸入加盟国に輸入される場合については、この協定を完全に適用するものとし、この協定の適用上、取引が原産国と輸入加盟国との間において行われたものとみなす。
11.9 関係当局は、補助金又は損害のいずれか一方についての証拠が事案に関する手続の進行を正当とす
るために十分でないと認める場合には、速やかに 11.1 の申請を却下するものとし、また、速やかに調
きん
査を取りやめる。関係当局は、補助金の額が僅少であり、又は補助金の交付を受けた産品の現実の若
しくは潜在的な輸入の量若しくは損害が無視することのできるものである場合には、直ちに手続を取りやめる。この 11.9 の規定の適用上、補助金の額は、産品の価額の一パーセント未満である場合に
きん
は、僅少であるものとみなす。
11.10 調査は、通関手続を妨げるものであってはならない。
11.11 調査については、特別の場合を除くほか、その開始の後一年以内に完結させなければならず、かつ、いかなる場合においても、その開始の後十八箇月を超えてはならない。
第十二条 証拠
12.1 相殺関税の賦課のための調査に利害関係を有する加盟国及び当該利害関係を有するすべての者は、当局が必要とする情報について通知されるものとし、また、当該調査について関連を有すると考えるあらゆる証拠を書面により提出する機会を十分に与えられる。
注: 輸出者に与えられる期間は、原則として、質問書の受領の日から起算するものとし、このため、質問書は、回答者又は輸出加盟国の適当な外交上の代表者若しくは、世界貿易機関の加盟国である独立の関税地域については、輸出を行う当該関税地域の公式の代表者に送付された日から一週間で受領されたものとみなす。
12.1.1 相殺関税の賦課のための調査に使用される質問書を受領する輸出者、外国の生産者又は利害関係を有する加盟国は、回答のために少なくとも三十日の期間を与えられる(注)。この三十日の期間の延長に関する要請に対しては、妥当な考慮が払われるべきであり、理由が示される場合には、そのような延長は、実行可能なときはいつでも認められるべきである。
注: 輸出者に与えられる期間は、原則として、質問書の受領の日から起算するものとし、このため、質問書は、回答者又は輸出加盟国の適当な外交上の代表者若しくは、世界貿易機関の加盟国である独立の関税地域については、輸出を行う当該関税地域の公式の代表者に送付された日から一週間で受領されたものとみなす。
12.1.2 秘密の情報の保護に関する要件に従うことを条件として、利害関係を有する一の加盟国又は一の
者が書面によって提出した証拠については、調査に参加している利害関係を有する他の加盟国又は他の者が速やかに入手することができるようにする。
12.1.3 当局は、調査が開始された場合には、11.1 に規定する申請書の全文を知られている輸出者(注)及
び輸出加盟国の当局に速やかに提供するものとし、また、要請があったときは、利害関係を有する他の者が当該申請書の全文を入手することができるようにする。12.4 に規定する秘密の情報の保護に対して、妥当な考慮を払う。
注: 関係する輸出者の数が特に多い場合には、申請書の全文は、輸出者に代えて輸出加盟国の当局又は関係する貿易業者の団体にのみ提供されるべきであり、その後、当該当局又は当該団体が当該申請書の写しを関係する輸出者に送付すべきであると了解する。
12.2 利害関係を有する加盟国及び者は、また、正当な理由がある場合には、情報を口頭で提供する権利を有する。情報が口頭で提供される場合には、利害関係を有する加盟国及び者は、その後、当該情報を書面に作成するものとする。調査当局のいかなる決定も、当該調査当局が文書による記録として保有している情報及び論証であって、秘密の情報を保護する必要性に妥当な考慮を払いつつ、調査に参加する利害関係を有する加盟国及び者が入手することができるようにしたもののみに基づいて行うことができる。
12.3 当局は、実行可能なときはいつでも、利害関係を有するすべての加盟国及び者に対し、それぞれの
立場の主張に関係があるすべての情報であって、12.4 に規定する秘密のものではなく、かつ、相殺関税の賦課のための調査において当該当局が使用するものを閲覧する機会及びこれらの情報に基づいてそれぞれの主張について準備する機会を適時に与える。
12.4 いかなる情報も、その性質上(例えば、その開示が競争者に対して競争上の著しい利益を与えるこ と又はその開示が情報を提供した者に対して若しくは情報を提供した者の当該情報についての情報源 である者に対して著しい悪影響を及ぼすことを理由として)秘密であるもの又は調査の当事者が秘密 の情報として提供したものは、正当な理由が示される場合には、当局により秘密として取り扱われる。当該情報は、当該当事者の明示的な同意を得ないで開示してはならない(注)。
注: 加盟国は、特定の加盟国の領域において厳格な保護命令に定める条件による開示が必要となることのあることを認める。
12.4.1 当局は、秘密の情報を提供した利害関係を有する加盟国又は者に対し当該情報の秘密でない要約 を提出するよう要請する。この要約は、秘密の情報として提供されたものの実質を合理的に理解する ことができるように十分詳細なものとする。例外的な場合には、当該利害関係を有する加盟国又は者 は、当該情報を要約することが不可能であることを示すことができる。このような例外的な場合には、要約することが不可能であることの理由を提出しなければならない。
12.4.2 当局は、秘密扱いの要請に正当な理由がないと認める場合において、情報の提供者が当該情報の
公表を望まず又は一般的な表現若しくは要約された形によるその開示を認めないときは、その情報の正確であることが適当な者から当局に対して十分に立証されない限り、その情報を無視することができる。(注)
し
注: 加盟国は、秘密扱いの要請を恣意的に拒否すべきでないことを合意する。加盟国は、更に、調査当局が手続に関連を有する情報のみについて秘密扱いの免除を要請することができることを合意する。
12.5 当局は、12.7 に規定する場合を除くほか、利害関係を有する加盟国又は者が提供した情報であって、自己が行う認定の根拠とするものの正確さについて、調査の過程において十分に確認する。
12.6 調査当局は、必要に応じ、他の加盟国の領域において調査を行うことができる。ただし、調査当局 が当該他の加盟国にその旨を十分な時間的余裕をもって通知し、かつ、当該他の加盟国が調査に反対 しないことを条件とする。更に、調査当局は、企業の構内において調査を行うこと及び企業の記録を 調べることができる。ただし、(a)当該企業が同意すること及び(b)当該他の加盟国がその旨の通 知を受け、反対しないことを条件とする。企業の構内において行う調査については、附属書 6 に定め る手続を適用する。秘密の情報の保護に関する要件に従うことを条件として、当局は、当該調査の結 果に関係する企業がその結果を入手することができるようにするか又は 12.8 の規定に従ってこれらの 企業にその結果を通知するものとし、また、申請者がその結果を入手し得るようにすることができる。
12.7 利害関係を有する加盟国又は者が妥当な期間内に必要な情報の入手を許さず若しくはこれを提供しない場合又は調査を著しく妨げる場合には、知ることができた事実に基づいて仮の又は最終的な決定
(肯定的であるか否定的であるかを問わない。)を行うことができる。
12.8 当局は、最終的な決定を行う前に、検討の対象となっている重要な事実であって、確定的な措置をとるかとらないかを決定するための基礎とするものを利害関係を有するすべての加盟国又は者に通知する。その通知は、これらの者が自己の利益を擁護するための十分な時間的余裕をもって行われるべきである。
12.9 この協定の適用上、「利害関係を有する者」には、次のものを含む。
(i) 調査の対象となる産品の輸出者、外国の生産者、輸入者又は貿易業者の団体若しくは業界団体であって、その構成員の過半数が当該産品の生産者、輸出者若しくは輸入者であるもの
(ii) 輸入加盟国における同種の産品の生産者又は貿易業者の団体若しくは業界団体であって、その構成員の過半数が輸入加盟国の領域において同種の産品を生産しているもの
(i)及び(ii)の規定は、加盟国がこれらの規定に規定する国内又は外国の関係者以外のものを利害関係を有する者に含めることを妨げるものではない。
12.10 当局は、調査の対象となる産品の産業上の使用者及び、調査の対象となる産品が一般に小売段階で
販売されている場合には、代表的な消費者団体に対し、補助金、損害及び因果関係に係る調査に関連する情報を提供する機会を与える。
12.11 当局は、利害関係を有する者(特に小規模な会社)が要請された情報を提供する際に直面する困難
について妥当な考慮を払うものとし、また、実行可能な援助を行う。
12.12 12.1 から 12.11 までに定める手続は、加盟国の当局が、この協定の関連規定に従い、調査の開始及び仮の若しくは最終的な決定(肯定的であるか否定的であるかを問わない。)についての手続の迅速な進行又は暫定措置若しくは最終的な措置の適用を妨げることを目的とするものではない。
第十三条 協議
13.1 11.2 に掲げる事項に関して事情を明らかにするため及び相互に合意する解決を得るため、第十一条に規定する申請が受理された後できる限り速やかに、いかなる場合にも調査が開始される前に、自国の産品が調査の対象となり得る加盟国を協議に招請する。
13.2 更に、事実関係を明らかにするため及び相互に合意する解決を得るため、調査の期間を通じて、自国の産品が調査の対象となっている加盟国に対し協議を継続するための適当な機会を与える。(注)
注: この 13.2 の規定により、協議のための適当な機会を与えることなく肯定的な仮の又は最終的な決定を行うことが認められないことが、特に重要である。この協議は、第二部、第xx又は第十部に定める手続をとる場合の基礎となることがある。
13.3 協議に関するこの条の規定は、加盟国の当局が、この協定の関連規定に従い、調査の開始及び仮の若しくは最終的な決定(肯定的であるか否定的であるかを問わない。)について手続を迅速に進めること又は暫定措置若しくは最終的な措置をとることを妨げるものではない。ただし、協議のための適当な機会を与える義務に影響を及ぼさないことを条件とする。
13.4 調査を開始しようとする加盟国又は調査を実施している加盟国は、要請があったときは、自国の産品が調査の対象となる加盟国が秘密でない証拠(調査の開始又は実施に当たって用いられる秘密の情報に係る秘密でない要約を含む。)を知ることができるようにする。
第十四条 補助金を受ける者の利益による補助金額の算定
この部の規定の適用上、調査当局が 1.1 の規定に従い補助金を受ける者に与えられる利益を計算するために使用する方法は、当該加盟国の国内法令又は実施規則に規定する。また、加盟国は、個々の事例についてこの方法を適用するに当たって、透明性をもって実施し、かつ、適切に説明する。この方法は、次の指針に適合するものとする。
(a) 政府による出資は、その投資の決定が当該加盟国の領域内の民間投資者の投資に関する通常の慣行
(危険資本の提供に関するものを含む。)と適合しないものとみなすことができない限り、利益をもたらすものとみなしてはならない。
(b) 政府による貸付けは、当該貸付けを受けている企業が当該貸付けに対して支払う額と当該企業が市場
で実際に同等な商業的貸付けを受ける場合に当該商業的貸付けに対して支払う額との間に差がない限り、利益をもたらすものとみなしてはならない。この場合において、利益は、これらの二の額の差額とする。
(c) 政府による債務保証は、当該債務保証を受けている企業が政府によって保証されている貸付けに対し
て支払う額と当該企業が政府による保証なしに同等な商業的貸付けを受ける場合に当該商業的貸付けに 対して支払う額との間に差がない限り、利益をもたらすものとみなしてはならない。この場合において、利益は、手数料の差を調整した後のこれらの二の額の差額とする。
(d) 政府による物品若しくは役務の提供又は物品の購入は、当該提供が妥当な対価よりも少ない額の対価
で行われ、又は当該購入について妥当な対価よりも多い額の対価が支払われるものでない限り、利益をもたらすものとみなしてはならない。対価の妥当性は、当該提供又は購入が行われる国における関係する物品又は役務についての市場の一般的状況(価格、品質、入手可能性、市場性、運送その他の購入又は販売の条件を含む。)との関連において決定される。
第十五条 損害(注)の決定
注: この協定において「損害」とは、別段の定めがない限り、国内産業に対する実質的な損害若しくは実質的な損害のおそれ又は国内産業の確立の実質的な遅延をいい、この条の規定により解釈する。
15.1 千九百九十四年のガット第六条の規定の適用上、損害の決定は、実証的な証拠に基づいて行うものとし、(a)補助金の交付を受けた産品の輸入の量及び当該輸入が国内市場における同種の産品(注)価格に及ぼす影響並びに(b)当該輸入が同種の産品の国内生産者に結果として及ぼす影響の双方についての客観的な検討に基づいて行う。
注: この協定において「同種の産品」とは、同一の産品、すなわち、検討の対象となる産品とすべての点で同じである産品又は、そのような産品がない場合には、すべての点で同じではないが当該産品と極めて類似した性質を有する他の産品をいうものと解する。
15.2 調査当局は、補助金の交付を受けた産品の輸入の量については、当該輸入が絶対量において又は輸入加盟国における生産若しくは消費と比較して相対的に著しく増加したかしなかったかを考慮する。調査当局は、当該輸入が価格に及ぼす影響については、当該輸入の価格が輸入加盟国の同種の産品の価格を著しく下回るものであるかないか又は、当該輸入の及ぼす影響により、価格が著しく押し下げられているかいないか若しくは当該輸入がなかったとしたならば生じたであろう価格の上昇が著しく妨げられているかいないかを考慮する。これらの要因のうち一又は数個の要因のみでは、必ずしも決定的な判断の基準とはならない。
15.3 二以上の国からのある産品の輸入が同時に相殺関税の賦課のための調査の対象である場合において、
調査当局は、(a)各国からの輸入について定められる補助金の額が 11.9 に規定する僅きん少であるものよりも大きく、かつ、各国からの輸入の量が無視することができるものではなく、また、(b)輸入産品の間の競争の状態及び輸入産品と国内の同種の産品との間の競争の状態に照らして輸入の及ぼす影響を累積的に評価することが適当であると決定したときにのみ、このような輸入の及ぼす影響を累積的に評価することができる。
15.4 補助金の交付を受けた産品の輸入の国内産業に及ぼす影響についての検討は、当該国内産業の状態に関係を有するすべての経済的な要因及び指標(生産高、販売、市場占拠率、利潤、生産性、投資収益若しくは操業度における現実の及び潜在的な低下、資金流出入、在庫、雇用、賃金、成長、資本調達能力若しくは投資に及ぼす現実の及び潜在的な悪影響又は国内価格に影響を及ぼす要因並びに農業については助成に関する政府の施策に係る負担の増大の有無を含む。)についての評価を含む。これらの要因及び指標は、すべてを網羅するものではなく、また、これらの要因のうち一又は数個の要因のみでは、必ずしも決定的な判断の基準とはならない。
15.5 補助金の交付を受けた産品の輸入が当該補助金の及ぼす影響(注)によりこの協定に定義する損害
を与えていることが立証されなければならない。当該輸入と国内産業に対する損害との因果関係は、当局が入手したすべての関連する証拠の検討に基づいて明らかにする。当局は、当該輸入以外の要因であって、国内産業に対して同時に損害を与えていることが知られているいかなる要因も検討するものとし、また、これらの他の要因による損害の責めを当該輸入に帰してはならない。この点について関連を有することがある要因には、特に、当該補助金の交付を受けていない同種の産品の輸入の量及び価格、需要の減少又は消費態様の変化、外国の生産者及び国内生産者の制限的な商慣行並びに外国の生産者と国内生産者との間の競争、技術の進歩並びに国内産業の輸出実績及び生産性を含む。
注: 15.2 及び 15.4 に規定するところによる。
15.6 補助金の交付を受けた産品の輸入の及ぼす影響については、入手することができる資料により、生産工程、生産者の販売、利潤等に基づいて同種の産品の国内生産を他の産品の国内生産と区別することができる場合には、当該同種の産品の国内生産との関連において評価する。そのような区別を行うことができない場合には、当該輸入の及ぼす影響については、必要な情報を入手することができる最小範囲の産品(同種の産品を含む。)の生産について検討することによって評価する。
15.7 実質的な損害のおそれの決定は、事実に基づくものでなければならず、単に申立て、推測又は可能
性の希薄なものに基づくものであってはならない。補助金が損害を与えるような事態を生ずるに至る状況の変化は、明らかに予見され、かつ、差し迫ったものでなければならない。調査当局は、実質的な損害のおそれの存在に関する決定を行うに当たっては、特に、次の要因を考慮すべきである。
(i) 補助金の性格及び補助金により生ずることのある貿易上の影響
(ii) 補助金の交付を受けた産品の国内市場への輸入の著しい率による増加であって、輸入が相当に増加する可能性を示すもの
(iii) 輸出者の能力の十分な余力又は輸出者の能力の差し迫ったかつ相当な増加であって、補助金の交付を受けた産品の輸入加盟国の市場への輸出が相当に増加する可能性を示すもの。この点について、追加的な輸出を吸収することができる他の輸出市場の存在に考慮を払う。
(iv) 国内価格を著しく押し下げ又は国内価格の上昇を著しく妨げる影響を有する価格であって、追加的な輸入に対する需要を増加させる可能性がある価格で輸入が行われているかいないか。
(v) 調査の対象となる産品の在庫
これらの要因のうち一の要因のみでは、必ずしも決定的な判断の基準とはならず、考慮された要因が、全体として、補助金の交付を受けた産品の追加的な輸出が差し迫っており、かつ、保護的な措置がとら れない限り実質的な損害が生ずるという結論を導くものでなければならない。
15.8 補助金の交付を受けた産品の輸入が損害を与えるおそれがある事案に関しては、相殺措置の適用は、
特別の注意をもって検討し及び決定する。第十六条 国内産業の定義
16.1 この協定の適用上、「国内産業」とは、16.2 に定める場合を除くほか、同種の産品の国内生産者の 全体又はこれらの国内生産者のうち当該産品の生産高の合計が当該産品の国内総生産高の相当な部分 を占めている生産者をいうものと解する。もっとも、生産者が補助金の交付を受けていると申し立て られた産品の輸出者若しくは輸入者と関係を有する(注)場合又は生産者自身が補助金の交付を受け ていると申し立てられた産品若しくは他の国からの同種の産品の輸入者である場合には、「国内産業」には、これらの生産者を含まないと解することができる。
注: この 16.1 の規定の適用上、生産者は、輸出者又は輸入者との間において、(a)両者のいずれか一方の者が他方の者
を直接若しくは間接に支配している場合、(b)両者が同一の第三者によって直接若しくは間接に支配されている場合 又は(c)両者が共同して同一の第三者を直接若しくは間接に支配している場合にのみ、関係を有するものとみなす。 この場合において、生産者が輸出者又は輸入者と関係を有するものであるとみなすためには、その関係による影響が、当該生産者に対して、関係を有しない生産者の行動とは異なる行動をとらせるようなものであることを信じ又は疑う に足りる理由があることを条件とする。この 16.1 の規定の適用上、一方の者が法律上又は事実上他方の者を拘束し 又は指図する地位にある場合には、当該一方の者は、当該他方の者を支配しているものとみなされる。
16.2 例外的な状況においては、一の加盟国の領域を関係産品の生産について二以上の競争的市場に分割し、各市場内の生産者を別個の国内産業とみなすことができる。もっとも、(a)各市場内の生産者が生産した当該産品の全部又はほぼ全部をそれぞれの市場で販売しており、かつ、(b)その領域の当該市場以外の場所にある生産者が当該市場に当該産品を実質的に供給していないことを条件とする。このような例外的な状況においては、国内産業全体の相当な部分に損害が生じていないときでも、このような分割された市場に補助金の交付を受けた産品の輸入が集中しており、かつ、当該輸入がその市場内の当該生産の全部又はほぼ全部を生産する生産者に損害を与えていることを条件として損害の存在を認定することができる。
16.3 国内産業が特定の地域、すなわち、16.2 に規定する市場における生産者をいうものと解される場合
には、相殺関税は、最終的な消費のためにその地域に仕向けられる産品についてのみ課する。輸入加 盟国の憲法がこのような方法によって相殺関税を課することを認めていない場合には、輸入加盟国は、地域についての限定を付することなく相殺関税を課することができる。ただし、(a)第十八条の規定 により、補助金の交付を受けている場合の価格による当該地域に対する輸出を停止する機会及びその 他の保証を与える機会を輸出者に提供したにもかかわらず、この点に関し適当な保証が速やかに得ら れず、かつ、(b)相殺関税を当該地域に供給を行う特定の生産者の産品に対してのみ課することがで きない場合に限る。
16.4 二以上の国が千九百九十四年のガット第二十四条 8(a)に規定する単一の統一された市場としての性格を有する統合の水準に達した場合には、統合された地域全体における産業は、16.1 及び 16.2 に規定する国内産業とみなされる。
16.5 15.6 の規定は、この条について準用する。
第十七条 暫定措置
17.1 暫定措置は、次の(a)から(c)までに定める条件が満たされた場合においてのみ、とることができる。
(a) 第十一条の規定に従って調査が開始され、その旨について公告され、並びに利害関係を有する加
盟国及び者が情報を提供し及び意見を表明するための十分な機会が与えられること。
(b) 補助金が存在しており、かつ、当該補助金の交付を受けた産品の輸入が国内産業に損害を与えていることについて、肯定的な仮の決定が行われること。
(C) 損害が調査中に生ずることを防止するために暫定措置が必要であると関係当局が認めること。
17.2 暫定措置は、現金の供託による又は債券等による保証の形式をとる暫定的な相殺関税とすることができるものとし、現金の供託又は債券等による保証の額は、暫定的に算定された補助金の額に等しいものとする。
17.3 暫定措置は、調査の開始の日から六十日が経過するまでは、とってはならない。
17.4 暫定措置の適用は、できる限り短い期間に限るものとし、その期間は、四箇月を超えるものであってはならない。
17.5 暫定措置の適用に当たっては、第十九条の関連規定を準用する。
第十八条 約束
18.1 次のいずれかのことを内容とする満足すべき自発的な約束を認める場合には、暫定措置をとらず又は相殺関税を課することなく、手続を停止し又は取りやめることができる。(注)
注: 「手続を停止し又は取りやめることができる」とは、18.4 に規定する場合を除くほか、約束の実施と併せて手続を継続することを許すものと解してはならない。
(a) 出加盟国の政府が、補助金の廃止、補助金の制限又は補助金の及ぼす影響に関係する他の措置をとることに同意すること。
(b) 輸出者が、補助金の与える損害が除去されると調査当局により認められる価格の修正に同意するこ
と。約束に基づく価格の引上げは、補助金の額を相殺するために必要な範囲を超えるものであってはならない。補助金の額よりも少ない額の価格の引上げが国内産業に対する損害を除去するために十分である場合には、当該価格の引上げの額は、その少ない額であることが望ましい。
18.2 輸入加盟国の当局は、補助金及び補助金によって生ずる損害について肯定的な仮の決定を行わない
限り、また、輸出者が行う約束については、輸出加盟国の承諾を得ない限り、約束を求め又は認めてはならない。
18.3 輸入加盟国の当局が、現実の又は潜在的な輸出者が極めて多数であることその他の理由(一般的な
政策上の理由を含む。)により、約束を認めることが実際的でないとする場合には、申出のあった約束を認める必要はない。この場合において、当局は、実行可能なときは、約束を認めることが適当でないとするに至った理由を輸出者に提示するものとし、また、可能な限り、輸出者に対しその点について意見を表明する機会を与える。
18.4 約束を認めた場合であっても、輸出加盟国が希望し又は輸入加盟国が決定するときは、補助金及び
損害の調査は、完結させる。この場合において、補助金又は損害について否定的な決定が行われたと きは、約束は、自動的に消滅する。ただし、その決定が主として約束の存在によるものである場合は、この限りでなく、その場合には、関係当局は、この協定に合致する妥当な期間その約束を維持するこ とを要求することができる。補助金及び損害について肯定的な決定が行われた場合には、約束は、そ の条件及びこの協定に従って存続する。
18.5 輸入加盟国の当局は、価格に関する約束を勧奨することができる。もっとも、いかなる輸出者も約
束をすることを強制されない。政府又は輸出者が約束を申し出ず又は約束を申し出るようにとの勧奨 を受け入れないことは、事案を検討する上でいかなる影響も及ぼすものではない。もっとも、当局は、補助金の交付を受けた産品の輸入が引き続き行われる場合に損害のおそれが現実のものとなる可能性 が大きくなると判断することができる。
18.6 輸入加盟国の当局は、約束が認められた政府又は輸出者に対し、約束の履行に関連する情報を定期
的に提供すること及び当局が関連資料の確認を行うことを認めることを要求することができる。約束の違反があった場合には、輸入加盟国の当局は、この協定に従って迅速な措置(入手可能な最善の情報を用いて暫定措置を直ちにとることを含む。)をとることができる。この場合には、暫定措置がとられた日前九十日を超えない日以後消費のために輸入された産品につき、この協定に従って確定的な
そ
税を課することができる。ただし、約束の違反があった日前に輸入された産品については、遡及して
課してはならない。
第十九条 相殺関税の賦課及び徴収
19.1 加盟国は、協議を完結させるために妥当な努力を払った後、補助金の存在及び額につき並びに当該補助金の交付を受けた産品の輸入が当該補助金の及ぼす影響により損害を与えていることにつき最終的な決定を行った場合には、当該補助金が廃止されない限り、この条の規定により相殺関税を課することができる。
19.2 相殺関税を課するためのすべての要件が満たされた場合にこれを課するか課さないかの決定及び課すべき相殺関税の額を補助金の額に等しい額とするか又は補助金の額よりも少ない額とするかの決定は、輸入加盟国の当局によって行われる。相殺関税の賦課は、すべての加盟国の領域において裁量行為であることが望ましく、また、補助金の額よりも少ない額の相殺関税の賦課が国内産業に対する損害を除去するために十分である場合には、相殺関税の額は、その少ない額であることが望ましい。また、相殺関税の賦課によって自己の利益が望ましくない影響を受けるおそれのある国内の利害関係を有する者(注)が表明する意見を関係当局が十分考慮することができる手続を確立することが望ましい。
注: この 19.2 の規定の適用上、「国内の利害関係を有する者」には、調査の対象となる輸入産品の消費者及び産業上の
使用者を含む。
19.3 いずれかの産品について相殺関税を課する場合には、相殺関税については、補助金の交付を受け、かつ、損害を与えていると認定された産品の輸入(すべての輸入源からの輸入。ただし、補助金を受けることを放棄した輸入源又はこの協定に定める条件による約束が認められた輸入源からの輸入を除く。)につき、それぞれの場合において適正な額を無差別に課する。輸出者のうち、その輸出が確定的な相殺関税の対象となり、かつ、調査に協力することを拒否したこと以外の理由で実際に調査されなかったものは、調査当局が速やかに相殺関税の額を個別に定めるための迅速な見直しを受ける権利を有する。
19.4 いかなる輸入産品についても、その存在が認定された補助金の額(補助金の交付を受けて輸出され
た産品の単位当たりの補助金の額)を超える額の相殺関税を課してはならない。(注)
注: この協定において「課する」とは、関税又は内国税の確定的又は最終的な賦課又は徴収を法令により行うことをいう。
そ
第二十条 遡及
20.1 暫定措置又は相殺関税は、それぞれ 17.1 又は 19.1 の規定に基づいて行われた決定が効力を生じた後に消費のために輸入される産品についてのみ課する。ただし、この条に規定する例外が適用される場合は、この限りでない。
20.2 損害の最終的な決定(損害のおそれ及び産業の確立の実質的な遅延に係るものを除く。)が行われる場合又は、損害のおそれの最終的な決定の場合であって暫定措置がとられなかったとしたならば補助金の交付を受けた産品の輸入の及ぼした影響により損害の決定が行われたであろうと認められると
そ
きは、暫定措置がとられていた期間について相殺関税を遡及して課することができる。
20.3 確定的な相殺関税の額が現金の供託又は債券等による保証の額を上回る場合には、その差額は、徴 収してはならない。確定的な相殺関税の額が現金の供託又は債券等による保証の額を下回る場合には、超過額を迅速に還付し、債券等の担保を迅速に解除する。
20.4 20.2 の場合を除くほか、損害のおそれ又は産業の確立の実質的な遅延の決定が行われる場合において、損害がまだ生じていないときは、確定的な相殺関税は、損害のおそれ又は産業の確立の実質的な遅延の決定が行われた日からのみ課することができる。この場合には、暫定措置の適用期間中に行われた供託に係る現金を迅速に還付し、債券等の担保を迅速に解除する。
20.5 最終的な決定が否定的である場合には、暫定措置の適用期間中に行われた供託に係る現金を迅速に
還付し、債券等の担保を迅速に解除する。
20.6 当局が、補助金の交付を受けた産品につき、千九百九十四年のガット及びこの協定に反して交付された補助金による利益を受ける産品の比較的短期間における大量の輸入が回復し難い損害を与えていると認定する危機的な事態が存在する場合において、そのような損害の再発を防止するために当該産
そ
品の輸入について相殺関税を遡及して課する必要があると認められるときは、確定的な相殺関税は、
暫定措置がとられた日前九十日を超えない日以後消費のために輸入された産品について課することができる。
第二十一条 相殺関税及び約束に係る期間及び見直し
21.1 相殺関税は、損害を与えている補助金に対処するために必要な期間及び限度においてのみ効力を有する。
21.2 当局は、相殺関税の賦課を継続することの必要性につき、正当な理由がある場合には、自己の発意
に基づいて又は、確定的な相殺関税の賦課の日から合理的な期間が経過しているときは、見直しの必要性を裏付ける実証的な情報を提供する利害関係を有する者の要請に基づいて、見直しを行う。利害関係を有する者は、相殺関税の賦課を継続することが補助金を相殺するために必要であるかないか若しくは相殺関税が撤廃され若しくはその額が変更された場合に損害が存続し若しくは再発する可能性があるかないか又はこれらの双方について検討することを当局に要請する権利を有する。当局は、この 21.2 の規定に基づく見直しの結果、相殺関税を維持する正当な理由がないと決定する場合には、直ちに相殺関税を撤廃する。
21.3 21.1 及び 21.2 の規定にかかわらず、いかなる確定的な相殺関税も、その賦課の日、21.2 の規定に
基づく最新の見直しの日(ただし、当該見直しが補助金及び損害の双方を対象としていた場合に限る。)又はこの 21.3 の規定に基づく最新の見直しの日から五年以内に撤廃する。ただし、当局が、自己の発意に基づいて又はその撤廃の日に先立つ合理的な期間内に国内産業によって若しくは国内産業のために行われた正当に裏付けられた要請に基づいて当該撤廃の日前に開始した見直しにおいて、相殺関税の撤廃が補助金及び損害の存続又は再発をもたらす可能性があると決定する場合は、この限りでない(注)。相殺関税は、この見直しの結果が出るまでの間、効力を有するものとすることができる。
そ
注: 相殺関税の額を遡及して確定する場合には、最新の確定のための手続において相殺関税を課さないと認定することは、それ自体、当局に対して確定的な相殺関税の撤廃を求めるものではない。
21.4 証拠及び手続に関する第十二条の規定は、この条の規定に基づいて行われる見直しについて準用する。この見直しは、迅速に行うものとし、通常、この見直しの開始の日から十二箇月以内に完結させる。
21.5 この条の規定は、第十八条の規定に基づいて認められた約束について準用する。
第二十二条 公告及び決定の説明
22.1 当局は、第十一条の規定に基づいて調査を開始することを正当とするために十分な証拠があると認める場合には、自国の産品が当該調査の対象となる加盟国及び調査当局に知られている利害関係を有するその他の者にその旨を通知するものとし、また、その旨を公告する。
22.2 調査の開始についての公告は、次の事項に関する適切な情報を含むものとするか、又は公告とは別
の報告書(注)によってこれらの情報を入手することができるようにして行う。
注: 当局は、この条に規定する情報及び説明を別の報告書によって提供する場合には、公衆が当該報告書を容易に入手することができることを確保する。
(i) 輸出国の国名及び関係する産品
(ii) 調査の開始の日
(iii) 調査の対象となる補助金に関する記述
(iv) 損害の申立ての根拠となる要因の要約
(v) 利害関係を有する加盟国及び者による意見の提出先
(vi) 利害関係を有する加盟国及び者が意見を表明することができる期限
22.3 仮の又は最終的な決定(肯定的であるか否定的であるかを問わない。)、第十八条の規定に基づき約束を認めるための決定、その約束の終了及び確定的な相殺関税の撤廃は、公告する。この公告は、事実及び法令に係る問題であって調査当局が重要と認めたすべてのものに関して得られた認定及び結論を十分詳細に記載するか、又は別の報告書によって入手することができるようにして行う。この公告及び別の報告書はすべて、自国の産品が決定又は約束の対象となる加盟国及び知られている利害関係を有するその他の者に送付されるものとする。
22.4 暫定措置の適用についての公告は、補助金及び損害の存在に関する仮の決定について十分詳細な説
明を記載するか、又は別の報告書によって入手することができるようにして行うものとし、また、提示された論証の採用又は却下をもたらした事実及び法令に係る事項について言及する。この公告又は別の報告書には、秘密の情報の保護に関する要件に妥当な考慮を払いつつ、特に、次のものを含む。
(i) 供給者の氏名又は、これが実行可能でない場合には、関係供給国の国名
(ii) 通関上十分に明確な産品に関する記述
(iii) 定められた補助金の額及び補助金の存在が決定された根拠
(iv) 第十五条に規定する損害の決定に関連して行った検討
(v) 決定に至った主な理由
22.5 確定的な税の賦課又は約束の承認について肯定的な決定が行われた場合には、調査の完結又は停止についての公告は、秘密の情報の保護に関する要件に十分な考慮を払いつつ、最終的な措置の適用又は約束の承認をもたらした事実及び法令に係る事項並びに理由についてのすべての関連情報を含むものとするか、又は別の報告書によってこれらの情報を入手することができるようにして行う。この公告又は別の報告書には、特に、22.4 に規定する情報並びに利害関係を有する加盟国並びに輸出者及び輸入者が提示した関連する論証又は主張を採用し又は却下した理由を含む。
22.6 第十八条の規定に基づいて約束を認めた後に行う調査の完結又は停止についての公告は、その約束のうちの秘密でない部分を含むものとするか、又は別の報告書によって当該部分を入手することができるようにして行う。
22.7 この条の規定は、前条の規定に基づく見直しの開始及び完結並びに第二十条に規定する相殺関税を
そ
遡及して課するための決定について準用する。
第二十三条 司法上の審査
加盟国は、自国の法令に相殺関税に係る措置に関する規定を有する場合には、特に、最終的な決定及び第二十一条に規定する決定の見直しに関する行政上の措置を速やかに審査するため、司法裁判所、仲裁裁判所若しくは行政裁判所又はそれらの訴訟手続を維持する。これらの裁判所又は訴訟手続は、当該最終的な決定又は見直しについて責任を有する当局から独立したものとし、また、行政手続に関与した利害関係を有するすべての者であって、行政措置によって直接かつ個別に影響を受けているものに対し、審査に関与する機会を提供する。
第六部 機関
第二十四条 補助金及び相殺措置に関する委員会及び補助機関
24.1 この協定により、各加盟国の代表で構成する補助金及び相殺措置に関する委員会を設置する。委員会は、議長を選出するものとし、少なくとも年二回会合するほか、この協定の関連規定の定めるところによりいずれかの加盟国の要請に基づき会合する。委員会は、この協定に基づく任務又は加盟国により与えられた任務を遂行するものとし、この協定の実施又はこの協定の目的の達成に関する事項について協議する機会を加盟国に与える。世界貿易機関事務局は、委員会の事務局として行動する。
24.2 委員会は、適当な場合には、補助機関を設置することができる。
24.3 委員会は、補助金及び貿易に関係する分野において高い資質を有する独立した五人の者で構成する常設専門家部会を設置する。委員会は、同部会を構成する専門家を選出するものとし、専門家の一人は、毎年交代する。同部会は、4.5 に定めるところにより、小委員会を援助するよう要請されることがある。委員会は、また、補助金の存在及び性格に関する勧告的意見を求めることができる。
24.4 加盟国は、自国が導入しようとしている補助金又は維持している補助金の性格について常設専門家 部会と協議することができるものとし、同部会は、この点について勧告的意見を与えることができる。
この勧告的意見は、秘密のものとして扱い、第七条に規定する手続において用いることができない。
24.5 委員会及び補助機関は、その任務を遂行するため、適当と認めるいかなる者とも協議し及びこれらの者から情報を求めることができる。もっとも、委員会又は補助機関は、いずれかの加盟国の管轄内にある者から情報を求めるのに先立ち、当該加盟国にその旨を通知する。
第七部 通報及び監視第二十五条 通報
25.1 加盟国は、千九百九十四年のガット第十六条 1 の規定の適用を妨げることなく、毎年遅くとも六月
三十日までに補助金の通報を行うこと及び当該通報を 25.2 から 25.6 までの規定に適合するものとすることについて合意する。
25.2 加盟国は、1.1 に規定する補助金(自国の領域内において交付し又は維持しているもの)であって第
二条に規定する特定性を有するものを通報する。
25.3 通報の内容は、他の加盟国が貿易上の影響を評価し及び通報された補助金制度の運用を理解することができるよう十分明確なものとすべきである。この点に関し、加盟国は、補助金に関する質問表
(注)の内容及び形式に影響を及ぼすことなく、自国の通報が次の情報を含むことを確保する。
注: 委員会は、ガット基本文書選集(BISD)追録第九巻の百九十三ページ及び百九十四ページに規定する質問表の内容及び形式を見直すための作業部会を設置する。
(i) 補助金の形態(例えば、贈与、貸付け、税の軽減等)
(ii) 産品の単位当たりの補助金の額又は、これが可能でない場合には、補助金の総額若しくは補助金のための年間の予算額(可能な場合には、前年における産品の単位当たりの補助金の額の平均を示すことができるもの)
(iii) 政策目的又は補助金の目的
(iv) 補助金の交付の期間又は当該補助金に係るその他の期間
(v) 補助金の貿易上の影響を評価することができる統計資料
25.4 25.3 に規定する特定の事項を通報に含めない場合には、通報自体にその理由を記載する。
25.5 補助金が特定の産品又は部門に交付されている場合には、産品又は部門ごとに通報を行う。
25.6 加盟国は、千九百九十四年のガット第十六条 1 及びこの協定に基づいて通報することが求められて いる措置が自国の領域内に存在しないと判断する場合には、その旨を事務局に書面によって通報する。
25.7 加盟国は、措置の通報が千九百九十四年のガット及びこの協定の下における当該措置の法的地位、
この協定の下で当該措置がもたらす影響又は当該措置自体の性格を予断するものではないことを認める。
25.8 いずれの加盟国も、他の加盟国が交付し又は維持している補助金(第四部に規定するものを含む。)
の性格及び範囲に関する情報並びに、他の加盟国が特定の措置について通報の要件を満たしていないと認める場合には、その理由の説明をいつでも書面により要請することができる。
25.9 25.8 に規定する要請を受けた加盟国は、25.8 の情報をできる限り速やかに、かつ、包括的なものと
して提供するものとし、また、加盟国から要請があった場合に当該加盟国に対し追加の情報を提供することができるようにしておくものとする。当該要請を受けた加盟国は、特に、自国がこの協定の規定を遵守していることを他の加盟国が評価することができるようにするため、十分詳細な情報を提供する。これらの情報が提供されていないと認める加盟国は、委員会の注意を喚起することができる。
25.10 加盟国は、補助金としての効果を有する他の加盟国の措置について千九百九十四年のガット第十六
条 1 及びこの条の規定による通報が行われていないと認める場合には、当該他の加盟国の注意を喚起することができる。注意の喚起の後これらの申し立てられた補助金について速やかに通報が行われない場合には、当該加盟国は、自ら当該補助金について委員会に通報することができる。
25.11 加盟国は、相殺関税についてとられたすべての仮の又は最終的な措置を遅滞なく委員会に報告する。その報告は、事務局において、他の加盟国による閲覧に供する。加盟国は、また、半年ごとに、直前 の六箇月の期間にとられた相殺関税についてのすべての措置に関する報告を提出する。その半年ごと の報告については、合意された標準的な様式で提出する。
25.12 各加盟国は、委員会に対し、(a)第十一条に規定する調査を開始し及び実施する権限を有する当局並びに(b)この調査の開始及び実施を規律する国内手続について通報する。
第二十六条 監視
26.1 委員会は、三年ごとに開催される特別会合において、千九百九十四年のガット第十六条 1 及びこの協定の 25.1 の規定に基づいて行われる新たなかつ完全な通報を検討する。特別会合が開催されない年に行われる通報(改定の通報)については、委員会の通常会合において検討する。
26.2 委員会は、25.11 の規定に基づいて提出される報告を通常会合において検討する。
第八部 開発途上加盟国
第二十七条 開発途上加盟国に対する特別のかつ異なる待遇
27.1 加盟国は、補助金が開発途上加盟国の経済開発計画において重要な役割を果たすことがあることを認める。
27.2 補助金の禁止に関する 3.1(a)の規定は、次の国については適用しない。
(a) 附属書 7 に規定する開発途上加盟国
(b) 世界貿易機関協定の効力発生の日から八年間についてその他の開発途上加盟国(ただし、27.4 の規定を遵守することを条件とする。)
27.3 補助金の禁止に関する 3.1(b)の規定は、開発途上加盟国については世界貿易機関協定の効力発生の
日から五年間適用しないものとし、また、後発開発途上加盟国については同日から八年間適用しない。
27.4 7.2(b)に規定する開発途上加盟国は、八年以内に輸出補助金を廃止するものとし、当該輸出補助金の廃止は、漸進的に行われることが望ましい。もっとも、開発途上加盟国は、輸出補助金の水準を引き上げてはならないものとし(注)、また、輸出補助金の交付が自国の開発上のニーズと合致しない場合には、この 27.4 に定める期間よりも短い期間内に当該輸出補助金を廃止する。開発途上加盟国は、八年の期間を超えて輸出補助金を交付する必要があると認める場合には、当該八年の期間の満了の日の遅くとも一年前までに委員会と協議するものとし、委員会は、当該開発途上加盟国のすべての関連する経済上、財政上及び開発上のニーズを検討した後、当該八年の期間の延長が正当であるかないかを決定する。委員会がこの延長が正当であると決定する場合には、当該開発途上加盟国は、当該輸出補助金を維持する必要性の有無を決定するため、毎年委員会と協議を行う。当該輸出補助金を維持する必要性があると委員会が決定しない場合には、当該開発途上加盟国は、存続している輸出補助金を承認された最後の期間の満了から二年以内に段階的に廃止する。
注: この 27.4 の規定は、世界貿易機関協定の効力発生の日に輸出補助金を交付していない開発途上加盟国については、千九百xxx年に交付した輸出補助金の水準に基づいて適用する。
27.5 開発途上加盟国は、いずれかの産品について輸出競争力を得た場合には、当該産品に対する輸出補助金を二年間にわたり段階的に廃止する。もっとも、附属書 7 に規定する開発途上加盟国であって一又は二以上の産品について輸出競争力を得たものは、当該産品に対する輸出補助金を八年間にわたり漸進的に廃止する。
27.6 開発途上加盟国による産品の輸出が連続した二暦年の間当該産品の世界貿易の三・二五パーセント以上を占めるに至った場合には、当該産品についての輸出競争力が得られたものとする。輸出競争力は、(a)輸出競争力を得た開発途上加盟国による通報又は(b)加盟国の要請により事務局が行う算定に基づいて得られたものとする。この 27.6 の規定の適用上、産品は、統一システムの品目表の部に従って定められるものとする。委員会は、世界貿易機関協定の効力発生の日から五年でこの 27.6 の規定の運用を見直す。
27.7 第四条の規定は、27.2 から 27.5 までの規定に合致する輸出補助金の場合には、開発途上加盟国については適用しない。この場合には、第七条の規定を適用する。
27.8 開発途上加盟国が交付する補助金については、当該補助金が 6.1 の規定に従いこの協定に規定する
著しい害を及ぼすと推定してはならない。著しい害は、27.9 の規定を適用するに当たっては、6.3 から 6.8 までの規定に従い、実証的な証拠によって裏付けられるものとする。
27.9 開発途上加盟国が交付し又は維持する第xxに規定する相殺措置の対象となる補助金であって 6.1 に規定するもの以外のものについては、第七条の規定に基づいて措置をとることは、認められない。ただし、関税譲許その他千九百九十四年のガットに基づく義務の無効化又は侵害が当該補助金の交付の結果として存在しており、その結果、当該補助金がこれを交付している開発途上加盟国の市場への他の加盟国からの同種の産品の輸入を代替しており又は当該輸入を妨げていると認定される場合及び輸入加盟国の市場において国内産業に対する損害が生じている場合は、この限りでない。
27.10 開発途上加盟国を原産国とする産品に対する相殺関税の賦課のための調査は、関係当局が次のいず
れかのことを決定する場合には、速やかに完結させる。
(a) 当該産品に交付されている補助金の全般的な水準が、単位当たりで計算して当該産品の価額の二パーセント以下であること。
(b) 助金の交付を受けた産品の輸入の量が輸入加盟国における同種の産品の輸入の総量の四パーセン
ト未満であること。ただし、輸入の量が単独では当該輸入の総量の四パーセント未満である開発途上加盟国からの輸入の量を合計した場合において、当該輸入の量の合計が輸入加盟国における同種の産品の輸入の総量の九パーセントを超えるときは、この限りでない。
27.11 27.2(b)の対象とされている開発途上加盟国であって世界貿易機関協定の効力発生の日から八年の
期間が経過する前に輸出補助金を廃止したもの及び附属書 VII に規定する開発途上加盟国については、 27.10(a)に規定する数値は、二パーセントではなく三パーセントとする。この 27.11 の規定は、輸出 補助金の廃止が委員会に通報された日から適用するものとし、当該通報を行った開発途上加盟国が輸 出補助金を交付しない限り適用する。この 27.11 の規定は、同協定の効力発生の日から八年で効力を
失う。
きん
27.12 27.10 及び 27.11 の規定は、15.3 に規定する僅少であるものの決定を規律する。
27.13 債務の直接的な免除及び社会費用を負担するための補助金の交付(形態のいかんを問わず、政府収 入の放棄その他債務の移転を含む。)が開発途上加盟国の民営化計画の枠組みの下で行われ、かつ、 これらの補助金が当該民営化計画と直接結び付いている場合には、第xxの規定は、当該補助金につ いては適用しない。ただし、当該民営化計画及び当該補助金の双方が限られた期間に適用され、かつ、委員会に通報されていること並びに当該民営化計画が最終的に関係企業の民営化をもたらすものであ ることを条件とする。
27.14 委員会は、利害関係を有する加盟国の要請があった場合には、開発途上加盟国の特定の輸出補助金
が当該開発途上加盟国の開発上のニーズに合致しているかいないかを審査するため、当該輸出補助金について検討する。
27.15 委員会は、利害関係を有する開発途上加盟国の要請があった場合には、特定の相殺措置が当該開発
途上加盟国に適用される 27.10 及び 27.11 の規定に適合しているかいないかを審査するため、当該相殺措置について検討する。
第九部 経過措置
第二十八条 既存の制度
28.1 加盟国が世界貿易機関協定に署名する日前に自国の領域において有していた補助金制度であってこの協定に適合しないものについては、次のとおりとする。
(a) 世界貿易機関協定が当該加盟国について効力を生ずる日の後九十日以内に委員会に通報する。
(b) 世界貿易機関協定が当該加盟国について効力を生ずる日から三年以内にこの協定に適合させるものとし、それまでの間は、第二部の規定は、適用しない。
28.2 いかなる加盟国も、28.1 に規定する補助金制度の適用範囲を拡大してはならず、また、当該補助金制度の期間の満了の時において当該補助金制度を更新してはならない。
第二十九条 市場経済への移行
29.1 中央計画経済から市場自由企業経済への移行過程にある加盟国は、この移行のために必要な制度及び措置を適用することができる。
29.2 29.1 に規定する加盟国は、第三条の規定の適用を受ける補助金制度であって 29.3 の規定に従って
通報するものを世界貿易機関協定の効力発生の日から七年以内に段階的に廃止し又は第三条の規定に適合させる。この場合には、第四条の規定は、適用しない。この期間においては、更に、次のとおりとする。
(a) 6.1(d)の規定の適用を受ける補助金制度については、第七条の規定を適用しない。
(b) 相殺措置の対象となるその他の補助金については、27.9 の規定を適用する。
29.3 第三条の規定の適用を受ける補助金制度については、世界貿易機関協定の効力発生の日の後実行可能な限り早い日に委員会に通報する。このような補助金に関する追加的な通報については、同協定の効力発生の日の後二年以内に行うことができる。
29.4 29.1 に規定する加盟国は、例外的な事情のある場合において、自国が通報した制度及び措置並びにこれらに係る期限について逸脱することが移行過程のために必要と認められるときは、委員会によってその逸脱を承認されることがある。
第十部 紛争解決第三十条
この協定に別段の定めがある場合を除くほか、紛争解決了解によって詳細に定められて適用される千九百 十四年のガットの第二十二条及び第二十三条の規定は、この協定に係る協議及び紛争解決について準用する。
第十一部 最終規定
第三十一条 暫定的な適用
6.1 の規定並びに第八条及び第九条の規定は、世界貿易機関協定の効力発生の日から五年の期間適用する。委員会は、この期間が経過する日の遅くとも百八十日前までに、その後の期間についてこれらの規定を現在 のまま又は修正して適用するかしないかを決定するため、これらの規定の運用を検討する。
第三十二条 その他の最終規定
32.1 他の加盟国の補助金に対するいかなる措置も、この協定により解釈される千九百九十四年のガットの規定による場合を除くほか、とることができない。(注)
注: この 32.1 の規定は、適当な場合には千九百九十四年のガットの他の関連規定による措置をとることを妨げるものではない。
32.2 この協定のいかなる規定についても、他のすべての加盟国の同意なしには、留保を付することができない。
32.3 32.4 の規定に従い、この協定は、調査及び既存の措置の見直しであって、各加盟国について世界貿易機関協定が効力を生ずる日以後に行われる申請に基づいて開始されるものについて適用する。
32.4 既存の相殺措置に 21.3 の規定を適用するに当たっては、当該措置は、遅くとも各加盟国について世
界貿易機関協定が効力を生ずる日にとられたものとみなす。ただし、同日に効力を有する加盟国の法令が既に 21.3 に規定する条項と同様のものを有する場合を除く。
32.5 各加盟国は、世界貿易機関協定が自国について効力を生ずる日以前に、自国の法令及び行政上の手続を当該加盟国について適用されるこの協定に適合したものとすることを確保するため、すべての必要な一般的又は個別的な措置をとる。
32.6 各加盟国は、この協定に関連を有する法令の変更及びその運用における変更につき、委員会に通報する。
32.7 委員会は、この協定の目的を考慮して、毎年この協定の実施及び運用について検討する。委員会は、
検討の対象となった期間における状況について毎年物品の貿易に関する理事会に報告する。
32.8 この協定の附属書は、この協定の不可分の一部を成す。
附属書 1 輸出補助金の例示表
(a) 政府が、企業又は産業に対し、輸出が行われることに基づいて直接補助金を交付すること。
(b) 外貨資金特別割当制度その他これに類する輸出について報奨を与える措置
(c) 政府によって定められ又は義務付けられる輸出貨物の国内運送に係る料金であって、輸出貨物を国内貨物よりも有利に扱うもの
(d) 政府又は政府機関が、直接又は政府が義務付ける制度を通じて間接に、輸出される産品の生産に用い
るため輸入された又は国産の物品又は役務を提供する場合において、国内消費に向けられる産品の生産に用いるため当該輸入された又は国産の物品又は役務と同種の又は直接に競合する物品又は役務を提供する場合におけるよりも有利な条件で提供すること。ただし、物品については、その条件が輸出者にとり世界市場において商業的に得られる(注 1)条件よりも有利な場合に限る。
(e) 商工業を営む企業が支払う又は支払うべき直接税(注 2)又は社会保障負担金につき、輸出に関連させてその額の全部又は一部の免除、軽減又は繰延べを認めること(注 3)。
(f) 直接税の課税標準の計算において、国内消費向けの生産について認められる控除に加え、輸出又は輸出実績に直接に関連させて特別の控除を認めること。
(g) 輸出される産品の生産及び流通に関し、同種の産品が国内消費向けに販売される場合にその生産及び
流通に関して課される間接税(注 2)の額を超える額の間接税の免除又は軽減を認めること。
(h) 輸出される産品の生産に用いられる物品又は役務に対して課される前段階の累積的な間接税(注 2)につき、同種の産品が国内消費向けに販売される場合において当該同種の産品の生産に用いられる物品又は役務に対して課される前段階の累積的な間接税と同種の間接税について認められる免除、軽減又は繰延べに係る額を超えて免除、軽減又は繰延べを認めること。もっとも、前段階の累積的な間接税が輸出される産品の生産において消費される投入物(利用できなかったものに対して通常の考慮を払う。)に対して課される場合には、国内消費向けに販売される同種の産品について当該間接税の免除、軽減又は繰延べが認められていないときでも、当該輸出される産品については、当該間接税の免除、軽減又は繰延べを認めることができる(注 4)。この点については、附属書 2 に規定する生産工程における投入物の消費に関する指針に従って解釈する。
(i) 輸出される産品の生産において消費される輸入された投入物(利用できなかったものに対して通常の考
慮を払う。)に対して課される輸入課徴金(注2)の額を超えて輸入課徴金の軽減又は払戻しを認めること。もっとも、特別の場合には、企業は、投入物の輸入及びこれに対応する産品の輸出の双方が合理的な期間内(二年を超えないものとする。)に行われることを条件として、前段の規定による利益を得るため、輸入される投入物と量並びに品質及び特性を同一にする国産物品を当該輸入される投入物に代えて用いることができる。この点については、附属書 2 に規定する生産工程における投入物の消費に関す
る指針及び附属書 3 に規定する輸出補助金としての代替物に係る払戻制度の決定に関する指針に従って解釈する。
(j) 政府(又は政府の監督の下にある特別の機関)が、輸出信用保証制度、輸出信用保険制度、輸出され
る産品に係る費用の上昇に対処する保険制度若しくは保証制度又は外国為替の変動の危険に対処する制度について長期的な運用に係る経費及び損失を補てんするためには不十分な料率によってこれらの制度を運用すること。
(k) 政府(又は政府の監督の下にある若しくは政府の権限の下で活動する特別の機関)が、輸出信用に用
いる資金を自ら獲得するために実際に支払わなければならない利率(又は輸出信用に用いる資金と償還 期間、他の信用条件及び通貨を同一にする資金を獲得するために国際資本市場において借入れを行った としたならば支払わなければならなかったであろう利率)よりも低い利率で輸出信用を供与すること又 は輸出者若しくは金融機関が輸出信用の供与を受けるために負担する費用の全部又は一部を支払うこと。ただし、政府が輸出信用を供与すること及び費用を支払うことが輸出信用の条件について相当な利益を 与えるために行われる場合に限る。
もっとも、加盟国が千九百七十九xx月一日において少なくとも十二の原加盟国が参加している公的輸出信用に関する国際的な約束(又は当該約束を継承する約束であってこれらの原加盟国によって採択されるもの)の参加国である場合又は事実上当該約束における利率に関する規定を適用している場合には、これらの規定に合致する輸出信用の供与は、この協定により禁止される輸出補助金とはみなされない。
(l) その他公的勘定による負担であって千九百九十四年のガット第十六条に規定する輸出補助金に該当する
もの
注 1: 「商業的に得られる」とは、国産物品又は輸入された物品のいずれかの選択が、制限されておらず、かつ、商業的考慮に基づいてのみ行われることをいう。
注 2: この協定の適用上、
「直接税」とは、賃金、利潤、xx、賃貸料、ロイヤルティその他の所得に対して課される税及び不動産の所有に対して課される税をいう。
「輸入課徴金」とは、関税その他この注 2 に規定していない課徴金であって輸入に対して課されるものをいう。
「間接税」とは、売上税、個別消費税、取引高税、付加価値税、フランチャイズ税、印紙税、流通税、事業資産税、国境税その他の税であって直接税及び輸入課徴金以外のものをいう。
「前段階の」間接税とは、産品の生産に直接又は間接に用いる物品又は役務に対して課される間接税をいう。
「累積的な」間接税とは、生産の一の段階において課税された物品又は役務が当該生産のその後の段階において用いられる場合に当該生産のその後の段階において税額控除を行う仕組みを有しない多段階にわたる間接税をいう。税の「軽減」には、税の払戻しを含む。
輸入課徴金の「軽減又は払戻し」には、輸入課徴金の全部又は一部の免除又は繰延べを含む。
注 3: 加盟国は、例えば、適当な額のxxが徴収される場合には繰延べが輸出補助金に該当しないことを認める。加盟国は、課税上、輸出企業とその支配下にある外国の買手との間、又は輸出企業と当該輸出企業と同一の支配下にある外国の買手との間の取引における産品の価格については全く独立の立場で行動する独立の企業の間において支払われるであろう価格を用いるべきであるとの原則を再確認する。加盟国は、この原則に反するおそれがあり、かつ、輸出取引について直接税の相当な減額をもたらす行政上の措置及び他の措置につき、他の加盟国の注意を喚起することができる。この場合において、加盟国は、千九百九十四年のガットに基づく加盟国の権利及び義務(当該注意の喚起により行われることとなる協議に関する権利を含む。)を害することなく、通常、既存の二国間の租税条約 その他特定の国際的な制度を利用して意見の相違を解消するよう努める。
(e)の規定は、加盟国が自国又は他の加盟国の企業の外国源泉所得に対する二重課税を防止するための措置をとることを制限するものではない。
注 4: (h)の規定は、付加価値税制度及びこれに代わるような国境における税の調整については、適用しない。付加価値税の過度の軽減の問題については、専ら(g)の規定により取り扱う。
附属書 2 生産工程におけるおける投入物の消費に関する指針(注)
注: 生産工程において消費される投入物とは、生産工程において輸出される産品に組み込まれ、これと一体を成している投入物、生産工程において用いられるエネルギー、燃料及び油並びに輸出される産品を得る過程で消費される触媒をいう
Ⅰ.
1. 間接税払戻制度は、輸出される産品の生産において消費される投入物(利用できなかったものに対して通常の考慮を払う。)に対して課される前段階の累積的な間接税の免除、軽減又は繰延べを認めることができる。同様に、輸入課徴金に係る払戻制度は、輸出される産品の生産において消費される投入物(利用できなかったものに対して通常の考慮を払う。)に対して課される輸入課徴金の軽減又は払戻しを認めることができる。
2. この協定の附属書 1 の輸出補助金の例示表は、同附属書の(h)及び(i)において「輸出される産品
の生産において消費される投入物」について規定している。同附属書(h)に定めるところにより、間接税払戻制度は、輸出される産品の生産において消費される投入物に対して実際に課される前段階の累積的な間接税の額を超えて当該間接税の免除、軽減又は繰延べをもたらす場合には、輸出補助金となり得る。同附属書(i)に定めるところにより、輸入課徴金に係る払戻制度は、輸出される産品の生産において消費される投入物に対して実際に課される輸入課徴金の額を超えて当該輸入課徴金の軽減又は払戻しをもたらす場合には、輸出補助金となり得る。同附属書の(h)及び(i)の規定は、輸出される産品の生産において消費される投入物の使用に関する認定の際に、利用できなかったものに対して通常の考慮を払わなければならないことを規定している。同附属書(i)の規定は、適当な場合の代替について規定している。
Ⅱ. 調査当局は、この協定に基づく相殺関税の賦課のための調査の一部として投入物が輸出される産品の生産において消費されたかされなかったかを検討するに当たっては、次の規定に従うべきである。
1. 間接税払戻制度又は輸入課徴金に係る払戻制度が、輸出される産品の生産において消費される投入
物に対して課された間接税又は輸入課徴金の額を超える額による払戻しによって補助金を交付するものであると申し立てられた場合には、調査当局は、どのような投入物が輸出される産品の生産において消費されているか及び消費される当該投入物の額がいかなるものであるかを確認するための制度又は手続を輸出国の政府が有しているかいないか及び適用しているかいないかを最初に決定すべきである。調査当局は、当該制度又は手続が適用されていると決定した場合には、当該制度又は手続が合理的であるかないか、意図された目的上効果的であるかないか及び輸出国における一般的に認められた商業上の慣行に基づくものであるかないかを調べるため、当該制度又は手続を検討すべきである。調査当局は、情報を確認し又は当該制度若しくは手続が効果的に適用されていることを十分に確認するため、12.6 の規定に従って実際的な調査を行うことが必要であると認めることができる。
2. 1 に規定する制度若しくは手続が存在しない場合、当該制度若しくは手続が合理的でない場合又は
当該制度若しくは手続が設けられており、かつ、合理的であると認められるが、これが適用されていないか若しくは効果的に適用されていないと認められる場合には、輸出加盟国が、超過して払戻しが行われているかいないかを決定するため、実際に消費された投入物に基づいて更に検討する必要がある。調査当局が必要と認める場合には、1 の規定に従って、更に検討が行われる。
3. 投入物が、生産工程において用いられ、かつ、輸出される産品の中に物理的に存在する場合には、調査当局は、当該投入物が輸出される産品に組み込まれ、これと一体を成しているものとみなすべきである。加盟国は、必ずしも投入物が生産工程に投入された時の形と同じ形で最終的な産品の中に存在する必要がないことに留意する。
4. 輸出される産品の生産において消費される特定の投入物の額を決定するに当たり、「利用できなかったものに対して通常の考慮を払う」ことに留意し、当該利用できなかったものは、輸出された産品の生産において消費されたものとみなされるべきである。「利用できなかったもの」とは、投入物のうち、生産工程における独立の機能を果たさないもの、非効率等の理由により輸出された産品の生産において消費されないもの又は生産工程に係る製造業者によって回収されず、使用されず若しくは販売されないものをいう。
5. 調査当局は、利用できなかったものに対する考慮が「通常の」ものであるかないかを決定するに当た
り、適当な場合には、生産工程、輸出国の産業の有する平均的な経験その他の技術的要因を考慮すべきである。利用できなかった投入物の額が間接税又は関税の払戻し又は軽減に含まれることが意図されている場合には、輸出国の当局が当該利用できなかった投入物の額を合理的に計算したかしなかったかが重要な問題であるということに、調査当局は、留意すべきである。
附属書3 輸出補助金としての代替物に係る払戻制度の決定に関する指針
Ⅰ.輸入課徴金に係る払戻制度は、産品の生産工程において消費される投入物に対する輸入課徴金の還付又は払戻しを認めることができる。輸出される産品には、輸入される投入物に代わるものとして、国産の投入物であって当該輸入される投入物と同一の品質及び特性を有するものを用いることができる。附属書 1 の輸出補助金の例示表の(i)に定めるところにより、代替物に係る払戻制度は、払戻しが要求されている輸入された投入物に対して最初に課される輸入課徴金の額を超える額による払戻しをもたらす場合には、輸出補助金となる。
Ⅱ.調査当局は、この協定に従って相殺関税の賦課のための調査の一部として代替物に係る払戻制度を検討するに当たっては、次の規定に従うべきである。
1. 輸出補助金の例示表の(i)の規定は、国産の投入物が輸入される投入物と量並びに品質及び特性を
同一にすることを条件として、輸出される産品の生産において、当該国産の投入物を当該輸入される投入物に代えて用いることができることを規定している。払戻しの要求の対象となる投入物の量が輸出される類似の産品(形状を問わない。)に用いられる量を超えないこと及び当該輸入される投入物に対して当初に課される輸入課徴金の額を超える額による輸入課徴金の払戻しがないことを輸出加盟国の政府が確保し及び立証することを可能にする確認のための制度又は手続が存在することが重要である。
2. 代替物に係る払戻制度が補助金を交付するものであると申し立てられた場合には、調査当局は、輸
出国政府が確認のための制度又は手続を有しているかいないか及び適用しているかいないかを最初に決定すべきである。調査当局は、当該制度又は手続が適用されていると決定した場合には、確認のための手続が合理的であるかないか、意図された目的上効果的であるかないか及び輸出国における一般的に認められた商業上の慣行に基づくものであるかないかを調べるため、当該確認のための手続を検討すべきである。当該手続がこれらの基準を満たすものであり、かつ、効果的に適用されていると決定される場合には、補助金は、存在しないとみなすべきである。調査当局は、情報を確認し又は当該手続が効果的に適用されていることを十分に確認するため、12.6 の規定に従って実際的な調査を行うことが必要であると認めることができる。
3. 確認のための手続が存在しない場合、当該手続が合理的でない場合又は当該手続が設けられてお
り、かつ、合理的であると認められるが、これが実際には適用されていないか若しくは効果的に適用されていないと認められる場合には、補助金は、存在し得るものとする。このような場合には、輸出加盟国が、超過して払戻しが行われているかいないかを決定するため、実際の取引に基づいて更に検討する必要がある。調査当局が必要と認める場合には、2 の規定に従って、更に検討が行われる。
4. 代替物に係る払戻制度は、輸出者に対して払戻しの要求を行う対象として特定の輸入貨物を選択す
ることを認めるものであっても、それ自体、補助金の交付とみなされるべきではない。
5. 政府が輸入課徴金に係る払戻制度に基づいて払い戻す金銭に対してxxを支払う場合には、実際に支払った又は支払うべきxxの範囲内で附属書 1(i)に規定する輸入課徴金の超過払戻しが存在するものとみなすことがある。
附属書4 産品の価額に対する補助金の総額の割合の計算(6.1(a)) (注)
注: 6.1(a)の規定の適用上、この附属書に規定されていない事項又は更に明確にされる必要がある事項に関し、必要に応じ、加盟国間の了解を図るべきである。
1. 6.1(a)の規定の適用上、補助金の額については、補助金を交付する政府が負担する費用により計算する。
2. 3 から 5 までに規定する場合を除くほか、補助金の全般的な割合が産品の価額の五パーセントを超えているかいないかを決定するに当たっては、当該産品の価額については、販売に係る資料の入手が可能な期間であって補助金が交付されている期間に先立つ直近の十二箇月の期間における補助金を受ける企業
(注 1)の販売総額として計算する(注 2)。
注 1: 補助金を受ける企業は、補助金を交付する加盟国の領域内の企業とする。
注 2: 税に関連する補助金の場合には、産品の価額については、補助金を受ける企業の販売総額であって当該税に関連する措置がとられた会計年度におけるものとして計算する。
3. 補助金が一の産品の生産又は販売に結び付いている場合には、産品の価額については、販売に係る資料の入手が可能な期間であって当該補助金が交付されている期間に先立つ直近の十二箇月の期間における当該補助金を受ける企業の当該一の産品の販売総額として計算する。
4. 補助金を受ける企業が立ち上がり段階にある場合において、補助金の全般的な割合が投資の総額の十
五パーセントを超えるときは、著しい害が存在するものとみなす。この 4 の規定の適用上、立ち上がり期間は、生産を行う最初の一年間を超えないものとする(注)。
注: 立ち上がり段階には、生産が開始されていない場合であっても、補助金から利益を受ける産品の開発又は当該産品の製造施設の建設に対する資金面での約束が既になされている場合を含む。
5. 補助金を受ける企業が所在する国の経済にインフレーションが存在する場合には、産品の価額については、当該企業の前暦年における販売総額(又は、補助金が一の産品に結び付いている場合には、当該一の産品の販売額)を補助金の交付される月に先立つ十二箇月の間におけるインフレーションの率によって調整したものとして計算する。
6. 特定の年の補助金の全般的な割合の決定に当たっては、加盟国の領域内において異なる制度の下で交付される補助金の合計及び異なる当局によって交付される補助金の合計に基づいて計算する。
7. 世界貿易機関協定の効力発生の日前に交付される補助金については、その利益が将来の生産に配分さ
れる場合には、補助金の全般的な割合に含める。
8. 6.1(a)の規定の適用上、この協定の関連規定により相殺措置の対象とならない補助金については、補助金の額の計算に含めない。
附属書5 著しい害に関する情報を収集するための手続
1. すべての加盟国は、7.4 から 7.6 までの規定に定める手続に従って小委員会が検討する証拠の収集に協力する。紛争当事国である加盟国及び関係する第三国である加盟国は、7.4 の規定が適用されたときは、この 1 の規定の実施について責任を有する自己の領域内の機関及び情報提供の要請に応ずるための手続を速やかに紛争解決機関に通報する。
2. 7.4 の規定に基づき問題が紛争解決機関に付託された場合には、同機関は、要請に基づき、補助金の存在、補助金の額及び補助金を受けた企業の販売総額を確定するために必要な情報並びに補助金の交付を受けた産品が与える悪影響を分析するために必要な情報を補助金を交付している加盟国の政府から入手するための手続を開始する(注 1)。この過程には、適当な場合には、情報を収集し及び第七部に定める通報手続を通じて紛争当事国が入手することができる情報を明確なものとし、かつ、詳細なものとするために、補助金を交付している加盟国及び申立加盟国の政府に対して質問書を提示することを含む
(注 2)。
注 1: 著しい害の存在が立証されなければならない場合に適用する。
注 2: 紛争解決機関が情報を収集する過程においては、その性質上秘密である情報又はこの過程に関与する加盟国が秘密のものとして提供した情報を保護する必要を考慮する。
3. 第三国の市場における影響については、紛争当事国は、悪影響を分析するために必要な情報であって申立加盟国又は補助金を交付している加盟国から合理的に入手することができないものを、第三国である加盟国の政府に対する質問を含む手段を通じ収集することができる。この場合、この要請は、第三国である加盟国に対して不合理な負担を課さないような方法で行われるべきである。第三国である加盟国は、特に、そのために市場又は価格の分析を特別に行うことを期待されない。提供される情報は、当該第三国が既に入手したもの又は容易に入手することができるもの(例えば、関係する統計機関が既に収集した最新の統計であって公表されていないもの、関係産品の輸入及び申告価額に関する通関資料等)とする。ただし、紛争当事国が自国の負担で詳細な市場の分析を行う場合には、第三国である加盟国の当局は、当該分析を行う者又は企業の作業に対して便宜を与える。また、これらの者又は企業は、政府が通常秘密としている情報以外のすべての情報を入手する機会を与えられる。
4. 紛争解決機関は、情報を収集するための過程を促進するための職務を遂行する代表者を指名する。当
該代表者の目的は、紛争の多角的な検討を迅速に行うことを容易にするために必要な情報を適時に収集することを確保することに限られる。当該代表者は、特に、必要な情報を最も効果的に収集する方法を提案すること及び当事国の協力を奨励することができる。
5. 2 から 4 までに定める情報を収集するための過程は、7.4 の規定に基づいて問題が紛争解決機関に付託
された日から六十日以内に完結させる。この過程で入手された情報は、第十部の規定により同機関が設置する小委員会に提出される。当該情報は、特に、補助金の額(及び、適当な場合には、補助金を受けた企業の販売総額)、補助金の交付を受けた産品の価格、補助金の交付を受けていない産品の価格、市場に供給する他の供給者の産品の価格、補助金の交付を受けた産品の市場への供給の変動及び市場占拠率の変動に関する資料を含むべきである。当該情報は、また、反証のための証拠及び小委員会が結論を得る過程において適当とみなす補足的な情報も含むべきである。
6. 情報を収集するための過程において補助金を交付している加盟国又は第三国である加盟国が協力しな
い場合には、申立加盟国は、入手可能な証拠に基づき、当該補助金を交付している加盟国又は第三国である加盟国が協力を行わないという事実及び状況を示すとともに著しい害に関する自国の立場を表明する。補助金を交付している加盟国又は第三国である加盟国の協力がないために情報が入手できない場合には、小委員会は、必要に応じ、その他の方法により入手可能な最善の情報によって記録を完成することができる。
7. 小委員会は、決定を行うに当たり、情報を収集するための過程に関与する当事国の協力がないという
事実に基づいて当該当事国に不利益な推定を行うべきである。
8. 小委員会は、入手可能な最善の情報又は不利益な推定のいずれか一方を用いることを決定するに当たり、情報提供の要請の合理性及び当事国が当該要請に応ずるために協力的かつ適時に払った努力に関して、4 の規定に従って指名される紛争解決機関の代表者の助言を考慮する。
9. 情報を収集するためのいかなる過程も、紛争の適切な解決のために重要と認められる追加の情報であって当該手続を通じて十分に収集されなかったものを小委員会が求めることを制限するものではない。もっとも、小委員会は、特定の当事国の立場を支持する情報であって、情報を収集するための過程において当該当事国が合理的な理由なしに協力しなかった結果として記録に記載されていないものについては、通常、記録を完成するための追加の情報として提供を要請すべきではない。
附属書6 12.6 の規定に基づく現地調査に関する手続
1. 調査の開始に当たっては、現地調査の実施に関する意図を輸出加盟国の当局及び関係があると知られている企業に通知すべきである。
2. 例外的な状況において調査団に政府の職員ではない専門家を含めようとする場合には、企業及び輸出
加盟国の当局にその旨を通知すべきである。その専門家は、秘密の取扱いに係る要件に違反した場合には、効果的な制裁の対象とされるべきである。
3. 訪問調査を最終的に計画する前に輸出加盟国における関係企業の明示の同意を得ることを標準的な慣
行とすべきである。
4. 調査当局は、関係企業の同意を得たときは、速やかに、訪問調査を受ける企業の名称及び所在地並びに合意された訪問調査の日を輸出加盟国の当局に通知すべきである。
5. 訪問調査を行う前に、関係企業に対し十分前もって通知すべきである。
6. 質問書について説明するための訪問調査は、輸出企業の要請に基づいてのみ行うべきである。当該要請が行われる場合には、調査当局は、当該輸出企業のために当該訪問調査を行うことができる。当該訪問調査は、(a)輸入加盟国の当局が関係加盟国の政府の代表者にその旨を通知し、かつ、(b)その代表者が訪問調査に反対しない場合にのみ行うことができる。
7. 現地調査については、提供された情報を確認し又は更に詳細な情報を入手することを主たる目的とし
ていることにかんがみ、質問書に対する回答を受領した後に行うべきである。ただし、企業が同意し、輸出加盟国の政府が予定されている訪問調査について調査当局より通知され、かつ、当該政府が当該訪問調査に反対しない場合は、この限りでない。更に、訪問調査の前に、確認する情報の一般的な性格及び追加的に必要な情報について関係企業に通知することを標準的な慣行とすべきである。ただし、このことは、入手した情報に照らして更に詳細な情報の提供を現地において要請することを妨げるものではない。
8. 輸出加盟国の当局又は企業が行った照会又は質問であって現地調査の成功に不可欠なものについて
は、可能なときはいつでも、訪問調査を行う前に回答すべきである。
附属書7 27.2(a)に規定する開発途上加盟国(平 13 xx 118・一部改正)
27.2(a)の規定に基づき 3.1(a)が適用されない開発途上加盟国は、次のとおりとする。
(a) 国際連合が後発開発途上国に指定する世界貿易機関の加盟国
(b) 世界貿易機関の加盟国である次の開発途上国(ただし、一人当たりの国民総生産が年額千合衆国ドルに達したときは、27.2(b)の規定に従って他の開発途上加盟国に適用される規定が適用される。)(注)ボリヴィア、カメルーン、コンゴー、象牙海岸共和国、ドミニカ共和国、エジプト、ガーナ、グァテマラ、ガイアナ、ホンデュラス、インド、インドネシア、ケニア、モロッコ、ニカラグァ、ナイジェリ ア、パキスタン、フィリピン、セネガル、スリ・ランカ及びジンバブエ
注: 開発途上加盟国を(b)の表に含めるに当たっては、一人当たりの国民総生産に関する世界銀行の最新の資料による。
関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)
施行日:令和二年四月一日最終更新:令和二年三月三十一日公布(令和二年法律第九号)改正
(相殺関税)
第七条 外国において生産又は輸出について直接又は間接に補助金の交付を受けた貨物の輸入が本邦の産 業(当該補助金の交付を受けた輸入貨物と同種の貨物を生産している本邦の産業に限る。以下この条に おいて同じ。)に実質的な損害を与え、若しくは与えるおそれがあり、又は本邦の産業の確立を実質的 に妨げる事実(以下この条において「本邦の産業に与える実質的な損害等の事実」という。)がある場 合において、当該本邦の産業を保護するため必要があると認められるときは、政令で定めるところによ り、貨物、当該貨物の輸出者若しくは生産者(以下この条及び次条において「供給者」という。)又は 輸出国若しくは原産国(これらの国の一部である地域を含む。以下この条及び次条において「供給国」 という。)及び期間(五年以内に限る。)を指定し、当該指定された供給者又は供給国に係る当該指定 された貨物(以下この条において「指定貨物」という。)で当該指定された期間内に輸入されるものに つき、別表の税率による関税のほか、当該補助金の額と同額以下の関税(以下この条において「相殺x x」という。)を課することができる。ただし、当該補助金の交付を受けた貨物の輸入の本邦の産業に 与える実質的な損害等の事実を理由として前条第一項の規定による措置(第一号に係るものに限る。) その他の同号に規定する紛争解決機関による承認を受けた措置がとられている場合は、この限りでない。
2 この条において「補助金」とは、補助金相殺措置協定第一条に規定する補助金のうち世界貿易機関協定
附属書一Aの農業に関する協定第十三条の規定並びに補助金相殺措置協定第八条8・1及び8・2の規定により相殺関税の対象とされないもの以外のものをいう。
3 第一項の場合のほか、外国において生産又は輸出について直接又は間接に補助金の交付を受けた貨物
(第三号に掲げる貨物にあつては、条約の規定に違反して輸出について直接又は間接に補助金の交付を受けているものに限る。)のうち、第十項の規定による措置(以下この項において「暫定措置」という。)がとられ、かつ、次の各号に掲げる貨物の区分に応じ当該各号に定める期間内に輸入された指定貨物があるときは、これらの貨物について、別表の税率による関税のほか、政令で定めるところにより、相殺関税を課することができる。この場合において、当該暫定措置がとられていた期間内に輸入された貨物について課することができる相殺関税の額は、第十項の規定により提供を命ぜられた担保により保証された額を限度とする。
x xx輸入が本邦の産業に実質的な損害を与えたと認められる貨物(暫定措置がとられなかつたとしたならばその輸入により本邦の産業に実質的な損害を与えたと認められるものを含む。次号において同じ。)(同号及び第三号に該当するものを除く。) 暫定措置がとられていた期間
二 第九項(第十五項、第二十一項及び第二十五項において準用し、並びに第二十一項の規定を第二十八項において準用する場合を含む。第十項及び第二十八項において同じ。)の規定により受諾された約束の違反があつたことにより暫定措置がとられた貨物で、その輸入が本邦の産業に実質的な損害を与えたと認められるもの 暫定措置がとられた日の九十日前の日と当該約束の違反があつた日とのいずれか遅い日以後第一項の規定による指定がされた日の前日までの期間
三 その輸入が短期間に大量に行われたことにより、本邦の産業に回復することが困難な損害を与えたと認められる貨物で、本邦の産業に与える回復することが困難な損害の再発を防止するため相殺関税を課する必要があると認められるもの 暫定措置がとられた日の九十日前の日以後第一項の規定による指定がされた日の前日までの期間
4 前項の相殺関税は、当該相殺関税を課されることとなる貨物の輸入者が納める義務があるものとする。
5 第一項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者は、政令で定めるところにより、政府に対し、補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての十分な証拠を提出し、当該貨物に対し相殺関税を課することを求めることができる。
6 政府は、前項の規定による求めがあつた場合その他補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての十分な証拠がある場合において、必要があると認めるときは、これらの事実の有無につき調査を行うものとする。
7 前項の調査は、当該調査を開始した日から一年以内に終了するものとする。ただし、特別の理由により必要があると認められる場合には、その期間を六月以内に限り延長することができる。
8 第六項の調査が開始された場合において、当該調査に係る貨物の供給国の当局又は輸出者は、政府に対 し、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める約束の申出(第二号に定める約束の申出にあつては、当該約束の申出について当該貨物の供給国の当局が同意している場合に限る。)をすることができる。
一 当該調査に係る貨物の供給国の当局 当該貨物に係る補助金を撤廃し若しくは削減し、又は当該補助金の本邦の産業に及ぼす影響を除去するための適当と認められる措置をとる旨の約束
二 当該調査に係る貨物の輸出者 当該貨物に係る補助金の本邦の産業に及ぼす有害な影響が除去されると認められる価格に当該貨物の価格を修正する旨の約束
9 政府は、前項各号に定める約束の申出があつた場合において、十分な証拠により、補助金の交付を受け
た貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実を推定することができるときは、その約束(有効期間が五年以内のものに限る。)を受諾することができる。政府が約束の申出を受諾したときは、政府は、当該約束に係る貨物の供給国の当局が第六項の調査を完了させることを希望する場合を除き、同項の調査を取りやめることができる。
10 政府は、第六項の調査が開始された日から六十日を経過する日以後において、その調査の完了前にお
いても、十分な証拠(前項の規定により受諾された約束の違反があつたときは、最大限の入手可能な情報)により、補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事 実を推定することができ、当該本邦の産業を保護するため必要があると認められるときは、第三項の規定 により課されるべき相殺関税を保全するため、政令で定めるところにより、貨物、当該貨物の供給者又は 供給国及び期間(四月以内に限る。)を指定し、当該指定された供給者又は供給国に係る当該指定された 貨物で当該指定された期間内に輸入されるものにつき、当該貨物を輸入しようとする者に対し、当該補助 金の額に相当すると推定される額の担保の提供を命ずることができる。ただし、当該補助金の交付を受け た貨物の輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実を理由として前条第一項の規定による措置(第 一号に係るものに限る。)その他の同号に規定する紛争解決機関による承認を受けた措置がとられている 場合は、この限りでない。
11 政府は、前項の規定による措置がとられた貨物につき、第九項の規定により約束を受諾したときは、
政令で定めるところにより、当該措置を解除するものとする。
12 政府は、第六項の調査が終了したときは、第三項の規定により相殺関税を課する場合を除き、第十項の規定により提供された担保を速やかに解除しなければならない。同項の規定により提供された担保の額が第三項の規定により課される相殺関税の額を超える場合における当該超える部分の担保についても、同様とする。
13 第一項の規定により供給国を指定して相殺関税が課される場合において、指定貨物の供給者であつて第六項又は第十九項の調査の対象とならなかつたもの(以下この条において「調査対象外供給者」という。)は、政令で定めるところにより、政府に対し、当該調査対象外供給者に係る貨物に課される第一項の規定による相殺関税の額が当該貨物の現実の補助金の額と異なることに関する事実についての十分な証拠を提出し、当該調査対象外供給者に係る貨物に課される当該相殺関税を変更し、又は廃止することを求めることができる。
14 政府は、前項の規定による求めがあつた場合又は調査対象外供給者に係る貨物に課される第一項の規
定による相殺関税の額が当該貨物の現実の補助金の額と異なることに関する事実についての十分な証拠があり必要があると認める場合は、当該事実の有無につき調査を行うものとする。
15 第七項、第八項(第一号を除く。)及び第九項の規定は、前項の調査が開始された場合について準用
する。この場合において、第七項本文中「一年以内に」とあるのは、「一年以内において速やかに」と読み替えるものとする。
16 第十四項の調査の対象となつた調査対象外供給者に係る貨物について、当該貨物に課される第一項の
規定による相殺関税の額が当該貨物の現実の補助金の額と異なると認められる場合は、政令で定めるところにより、当該調査対象外供給者に係る貨物について同項の規定により課される相殺関税を変更し、又は廃止することができる。
17 指定貨物について次に掲げる事情の変更がある場合において、必要があると認められるときは、政令
で定めるところにより、第一項の規定により課される相殺関税を変更(同項の規定により指定された期間の変更を含む。以下この項及び次項において同じ。)し、又は廃止することができる。第一項の規定により課される相殺関税を変更する場合において、次の各号に掲げる事情の変更のいずれをも勘案してその必要があると認められるときは、同項の規定により指定された期間を延長することができる。
一 当該指定貨物に係る補助金についての事情の変更
二 当該指定貨物の輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての事情の変更
18 指定貨物の供給者若しくはその団体、輸入者若しくはその団体又は第一項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者は、同項の規定により指定された期間の初日から一年を経過した日以後において、政令で定めるところにより、政府に対し、前項第一号又は第二号に掲げる事情の変更があることについての十分な証拠を提出し、第一項の規定により課される相殺関税を変更し、又は廃止することを求めることができる。
19 政府は、前項の規定による求めがあつた場合その他第十七項第一号又は第二号に掲げる事情の変更が
あることについての十分な証拠がある場合において、必要があると認めるときは、当該事情の変更の有無につき調査を行うものとする。
20 前項の調査は、当該調査を開始した日から一年以内に終了するものとする。ただし、特別の理由によ
り必要があると認められる期間に限り、その期間を延長することができる。
21 第八項及び第九項の規定は、第十九項の調査が開始された場合について準用する。
22 第一項の規定により相殺関税が課されている場合において、補助金の交付を受けた指定貨物の輸入及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が同項の規定により指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、当該指定された期間を延長することができる。
23 指定貨物に係る第一項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者は、同項の規定により指定された期間の末日の一年前の日までに、政令で定めるところにより、政府に対し、補助金の交付を受けた指定貨物の輸入及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が当該指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあることについての十分な証拠を提出し、当該指定された期間の延長を求めることができる。
24 政府は、前項の規定による求めがあつた場合その他補助金の交付を受けた指定貨物の輸入及び当該輸
入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が第一項の規定により指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあることについての十分な証拠がある場合において、必要があると認めるときは、当該おそれの有無につき調査を行うものとする。
25 第八項、第九項及び第二十項の規定は、前項の調査が開始された場合について準用する。
26 第二十四項の調査が開始された日から終了する日までの期間内に輸入される指定貨物については、当該指定貨物が第一項の規定により指定された期間内に輸入されたものとみなして同項の規定を適用する。
27 第一項の規定により指定された期間を第十七項又は第二十二項の規定により延長する場合においてそ
の延長することができる期間は、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める日から五年以内に限るものとする。当該延長された期間を延長する場合においても、同様とする。
一 第十七項の規定により延長する場合 第十九項の調査が完了した日
二 第二十二項の規定により延長する場合 第二十四項の調査が完了した日
28 第十七項から第二十一項まで及び前項(第二号を除く。)の規定は、第九項の規定により受諾された約束を変更(有効期間の変更を含む。)する場合について準用する。
29 指定貨物の輸入者が納付した相殺関税の額が当該指定貨物の現実の補助金の額を超える事実がある場合には、当該輸入者は、政令で定めるところにより、政府に対し、当該事実についての十分な証拠を提出し、当該超える部分の額(次項において「要還付額」という。)に相当する相殺関税の還付の請求をすることができる。
30 政府は、前項の規定による請求があつた場合には、要還付額の有無その他必要な事項について調査し、
その調査したところにより、遅滞なく、その請求に係る金額を限度として相殺関税を還付し、又は請求の理由がない旨をその請求をした者に通知する。
31 前項の調査は、第二十九項の規定による請求があつた日から一年以内に終了するものとする。ただし、
特別の理由により必要があると認められる場合には、その期間を六月以内に限り延長することができる。
32 関税法第十三条第二項から第七項まで(還付及び充当)の規定は、第二十九項から前項までの規定により相殺関税を還付する場合について準用する。この場合において、同法第十三条第二項に規定する還付加算金の計算の基礎となる同項の期間は、第二十九項の規定による還付の請求があつた日の翌日から起算するものとする。
33 前各項に定めるもののほか、相殺関税の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
相殺関税に関する政令(平成六年政令第四百十六号)
(定義)
施行日:平成二十九年四月一日最終更新日:平成二十九年三月三十一日公布(平成二十九年政令第百一二七号)改正
第一条 この政令において、「供給者」、「供給国」、「指定貨物」又は「要還付額」とは、それぞれ関税定率法(以下「法」という。)第七条第一項又は第二十九項に規定する供給者、供給国、指定貨物又は要還付額をいう。
(本邦の産業)
第xx x第七条第一項に規定する本邦の産業とは、当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における総生産高に占める生産高の割合が相当の割合以上である本邦の生産者をいうものとする。
2 前項の本邦の生産者には、次に掲げる関係を有する生産者及び当該輸入貨物又はこれと同種の貨物を法第七条第五項、第十八項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)又は第二十三項の規定による求めがあった日(これらの規定による求めがない場合において同条第六項、第十九項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)又は第二十四項の調査を行うときは、当該調査を開始する日)の六月前の日以後に輸入(その輸入量が少量なものを除く。)した生産者は含まないものとする。ただし、次の各号に掲げる関係を有する生産者が、当該各号に掲げる関係による影響が次の各号に掲げる関係のいずれをも有しない他の生産者の行動と異なる行動をとらせるものでないことについての証拠を提出した場合、又は当該輸入貨物若しくはこれと同種の貨物を輸入した生産者が、当該輸入貨物及びこれと同種の貨物に係る当該生産者の事業のうち主たる事業が当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産であることについての証拠を提出した場合において、当該証拠によりその旨認められるときは、この限りでない。
一 当該輸入貨物の供給者又は輸入者を直接又は間接に支配している関係
二 当該輸入貨物の供給者又は輸入者により直接又は間接に支配されている関係
三 当該輸入貨物の供給者又は輸入者を直接又は間接に支配している第三者により直接又は間接に支配されている関係
四 当該輸入貨物の供給者又は輸入者と共同して同一の第三者を直接又は間接に支配している関係
(本邦の産業に利害関係を有する者)
第xx x第七条第五項、第十八項及び第二十三項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者とは、次に掲げる者をいうものとする。
一 当該輸入貨物と同種の貨物の本邦の生産者又は当該貨物の本邦の生産者を直接若しくは間接の構成員とする団体(以下この号、次条及び第七条において「関係生産者等」という。)(団体である関係生産者等にあっては、その直接又は間接の構成員のうち二以上の者が当該貨物の本邦の生産者であるものに限る。次条において同じ。)であって当該生産者又は当該団体の直接若しくは間接の構成員である当該生産者の当該貨物の本邦における生産高の合計が当該貨物の本邦における総生産高の四分の一以上の割合を占めるもの
二 当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産に従事する者を直接又は間接の構成員とする労働組合
(次条及び第七条において「関係労働組合」という。)であってその直接又は間接の構成員のうち当該生産に従事する者の合計が当該生産に従事する者の総数の四分の一以上の割合を占めるもの
2 前条第二項の規定により同条第一項の本邦の生産者には含まないとされる生産者及び当該生産者の当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産高は、前項第一号の本邦の生産者及び総生産高には含まないものとし、同条第二項の規定により同条第一項の本邦の生産者には含まないとされる生産者の当該貨物の生産に従事する者は、前項第二号の従事する者には含まないものとする。
(相殺関税を課すること等求める手続)
第xx x第七条第五項の規定により政府に対し相殺関税を課することを求めようとする者(以下この項において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、同条第五項に規定する補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての十分な証拠を添えて、これを財務大臣に提出しなければならない。
一 当該申請者の氏名又は名称及び住所又は居所二 当該貨物の品名、銘柄、型式及び特徴
三 当該貨物の供給者又は供給国
四 前条第一項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者に該当する事情
五 法第七条第五項に規定する補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実の概要
六 提出に係る書面に記載された事項の一部又は証拠の全部若しくは一部(以下この条において「証拠等」という。)を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由
七 当該申請者の法第七条第五項の規定による求めに対する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況八 その他参考となるべき事項
2 法第七条第一項の規定により課される相殺関税について、同条第十三項の規定により政府に対し当該相殺関税を変更し、又は廃止することを求めようとする同項に規定する調査対象外供給者(以下この項において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、当該申請者に係る貨物に課される当該相殺関税の額が当該貨物の現実の補助金の額と異なることに関する事実についての十分な証拠を添えて、これを財務大臣に提出しなければならない。
一 当該申請者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 当該相殺関税に係る指定貨物の品名、銘柄、型式及び特徴
三 法第七条第十三項に規定する調査対象外供給者に該当する事情
四 当該申請者に係る貨物に課される当該相殺関税の額が当該貨物の現実の補助金の額と異なることに関する事実の概要
五 提出に係る証拠等を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由六 その他参考となるべき事項
3 法第七条第一項の規定により課される相殺関税について、同条第十八項の規定により政府に対し当該相殺関税を変更し、又は廃止することを求めようとする者(以下この項において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、同条第十七項第一号又は第二号に掲げる事情の変更があることについての十分な証拠を添えて、これを財務大臣に提出しなければならない。
一 当該申請者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 当該相殺関税に係る指定貨物の品名、銘柄、型式及び特徴三 当該相殺関税に係る指定貨物の供給者又は供給国
四 法第七条第十八項に規定する者に該当する事情
五 法第七条第十七項第一号又は第二号に掲げる事情の変更の概要
六 提出に係る証拠等を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由
七 当該申請者が前条第一項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者である場合には、当該申請者の法第七条第十八項の規定による求めに対する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況
八 その他参考となるべき事項
4 法第七条第一項の規定により課される相殺関税に係る同項の規定により指定された期間について、同条 第二十三項の規定により政府に対しその延長を求めようとする者(以下この項において「申請者」とい う。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、同条第二十三項に規定する補助金の交付を受けた指定貨物 の輸入及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が当該指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあることについての十分な証拠を添えて、これを財務大臣に提出しなければならな い。
一 当該申請者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 当該相殺関税に係る指定貨物の品名、銘柄、型式及び特徴三 当該相殺関税に係る指定貨物の供給者又は供給国
四 前条第一項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者に該当する事情
五 法第七条第二十三項に規定する補助金の交付を受けた指定貨物の輸入及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が当該指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあることの概要
六 提出に係る証拠等を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由
七 当該申請者の法第七条第二十三項の規定による求めに対する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況
八 その他参考となるべき事項
5 第三項の規定は、法第七条第九項前段(同条第十五項前段、第二十一項及び第二十五項において準用し、並びに同条第二十一項の規定を同条第二十八項において準用する場合を含む。)の規定により受諾された 約束を同条第二十八項において準用する同条第十八項の規定により変更(有効期間の変更を含む。)する ことを求める場合について準用する。
6 財務大臣は、前各項の規定により提出された証拠等で秘密として取り扱うことを適当と認めるもの(以下この条において「秘密証拠等」という。)があるときは、当該証拠等を提出した者に対し、当該秘密証拠等についての秘密として取り扱うことを要しない要約を記載した書面の提出を求めるものとする。
7 前項の書面の提出を求められた者は、同項に規定する秘密証拠等についての要約をすることができないと考えるときは、その旨及びその理由を記載した書面を財務大臣に提出しなければならない。
8 財務大臣は、第六項の規定により秘密証拠等に係る書面の提出を求められた者が前二項の規定による書面の提出をしない場合又は当該提出を求められた者が前二項の規定により提出した書面の内容が適当でな
いと認める場合には、当該秘密証拠等を調べないものとすることができる。
9 財務大臣は、第一項から第五項までの規定により提出された証拠等のうち当該証拠等を提出した者から秘密として取り扱うことが求められたものについて、秘密として取り扱うことが適当でないと認める場合には、当該証拠等を提出した者に対し、速やかに、その旨及びその理由を通知するものとする。この場合において、財務大臣は、当該証拠等を提出した者が秘密として取り扱うことの求めを撤回せず、かつ、当該証拠等についての適当と認められる要約を記載した書面を提出しないときは、当該秘密として取り扱うことが求められた証拠等を調べないものとすることができる。
10 財務大臣は、第一項から第五項までの規定により提出された証拠等を前二項の規定により調べないものとしたときは、速やかに、その旨及びその理由を当該証拠等を提出した者に対し書面により通知しなければならない。
(調査の開始の通知等)
第五条 財務大臣は、法第七条第六項、第十四項、第十九項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)又は第二十四項の調査(第十一条、第十三条第一項(各号列記以外の部分に限る。)及び第十五条を除き、以下単に「調査」という。)を開始することが決定されたときは、速やかに、その旨及び次に掲げる事項を直接の利害関係人(当該調査に係る貨物の供給者又はその団体(その直接又は間接の構成員の過半数が当該調査に係る貨物の供給者である団体に限る。)及び当該調査に係る貨物の輸入者又はその団体(その直接又は間接の構成員の過半数が当該調査に係る貨物の輸入者である団体に限る。)並びに当該調査に係る申請者(法第七条第五項、第十三項、第十八項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)又は第二十三項の規定による求めをした者をいう。以下この条において同じ。)並びにこれらの者以外の者であって財務大臣が当該調査に特に利害関係を有すると認める者をいう。以下同じ。)と認められる者に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
一 当該申請者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 当該調査に係る貨物の品名、銘柄、型式及び特徴三 当該調査に係る貨物の供給者又は供給国
四 当該調査を開始する年月日五 当該調査の対象となる期間
六 当該調査の対象となる事項の概要
七 第七条第一項前段の規定による証拠の提出及び証言、第八条第一項の規定による証拠等の閲覧、第九条第一項の規定による意見の表明並びに第十条第一項の規定による情報の提供についてのそれぞれの期限
八 その他参考となるべき事項
2 財務大臣は、前項の規定により直接の利害関係人に対し通知する場合には、申請者を除く直接の利害関係人に対し、同項に規定する書面に前条第一項から第五項までの規定により提出された書面及び証拠(その性質上秘密として取り扱うことが適当であると認められる部分及び申請者により秘密の情報として提供された部分を除く。)の写しを併せて送付しなければならない。
3 財務大臣は、法第七条第五項、第十三項、第十八項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)又は第二十三項の規定による求めがあった場合において、調査を開始しないことが決定されたときは、速やかに、その旨及びその理由を申請者に対し書面により通知しなければならない。
(調査の期間の延長)
第六条 財務大臣は、法第七条第七項ただし書(同条第十五項前段において準用する場合を含む。)又は第二十項ただし書(同条第二十五項及び第二十八項において準用する場合を含む。)の規定により調査の期間を延長することが決定されたときは、速やかに、その旨、延長される調査の期間及び延長の理由を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
(証拠の提出等)
第七条 調査が開始された場合において、利害関係者(直接の利害関係人並びに関係生産者等(団体である 関係生産者等にあっては、その直接又は間接の構成員の過半数が当該貨物の本邦の生産者であるものに限 る。)及び関係労働組合(その直接又は間接の構成員の過半数が当該輸入貨物と同種の貨物の本邦におけ る生産に従事する者である労働組合に限る。)であって直接の利害関係人以外のものをいう。以下同じ。)は、第五条第一項の規定により通知又は告示された同項第七号に掲げる期限までに、法第七条第六項若し くは第十四項に規定する事実、同条第十九項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)に規定す る事情の変更又は同条第二十四項に規定するおそれに関し、財務大臣に対し、証拠を提出し、又は証言を することができる。この場合において、証拠を提出し、又は証言をしようとする者は、証拠又は証言によ り証明しようとする事実並びに当該証拠又は証言を秘密として取り扱うことを求めるときはその旨及びそ の理由を記載した書面を提出しなければならない。
2 財務大臣は、調査の期間中必要があると認めるときは、利害関係者に対し、法第七条第六項若しくは第十四項に規定する事実、同条第十九項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)に規定する事情の変更又は同条第二十四項に規定するおそれに関し、証拠を提出し、又は証言をすることを求めることができる。この場合において、証拠を提出し、又は証言をしようとする者は、当該証拠又は証言を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由を記載した書面を提出しなければならない。
3 財務大臣は、利害関係者から第一項前段の規定による証言の求めがあった場合又は前項前段の規定により利害関係者に証言を求める場合は、証言の聴取の日時及び場所その他証言の聴取のために必要な事項を当該利害関係者に対し書面により通知しなければならない。
4 財務大臣が第二項前段の規定により利害関係者に対し証拠又は証言を求めた場合には、第十条の二の決定(当該証拠又は証言を求める前に行われたものを除く。)及び第十二条の決定は、当該証拠又は証言が提出された後でなければしてはならない。ただし、当該利害関係者が相当な期間内に当該証拠又は証言を提供しない場合は、この限りでない。
5 第四条第六項から第十項までの規定は、第一項前段若しくは第二項前段の規定により提出された証拠又はこれらの規定によりされた証言について準用する。
(証拠等の閲覧)
第八条 調査が開始された場合において、財務大臣は、第五条第一項の規定により通知又は告示された同項第七号に掲げる期限まで、第二条第二項ただし書の規定により提出された証拠、第四条第一項から第五項までの規定により提出された書面若しくは証拠、前条第一項前段若しくは第二項前段の規定により提出された証拠若しくはこれらの規定によりされた証言を録取した書面若しくはその他の証拠(その性質上秘密として取り扱うことが適当であると認められる書面及び証拠並びに利害関係者により秘密の情報として提供された書面及び証拠並びに秘密の情報としてされた証言を録取した書面を除く。)又は第四条第六項、第七項若しくは第九項後段(これらの規定を前条第五項において準用する場合を含む。)の規定により提出された書面(次項において「証拠等」という。)を利害関係者に対して閲覧させなければならない。
2 前項の規定により証拠等の閲覧をしようとする者は、閲覧をしようとする証拠等の標目及び利害関係者に該当する事情を記載した書面を財務大臣に提出しなければならない。
(意見の表明)
第九条 調査が開始された場合において、利害関係者、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物 の主要な消費者の団体は、第五条第一項の規定により通知又は告示された同項第七号に掲げる期限までに、当該調査に関し、財務大臣に対し、書面により意見を表明することができる。ただし、主要な消費者の団 体が意見を表明することができるのは、当該貨物が小売に供されている場合に限る。
2 財務大臣は、調査の期間中必要があると認めるときは、利害関係者、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体に対し、当該調査に関し、書面による意見の表明を求めることができる。
(産業上の使用者及び消費者団体の情報提供)
第十条 調査が開始された場合において、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体は、第五条第一項の規定により通知又は告示された同項第七号に掲げる期限までに、当該調査の対象となっている事項に関する情報を財務大臣に対し書面により提供することができる。ただし、主要な消費者の団体が情報を提供することができるのは、当該貨物が小売に供されている場合に限る。
2 財務大臣は、調査の期間中必要があると認めるときは、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体に対し、当該調査の対象となっている事項に関する情報を書面により提供することを求めることができる。
(仮の決定の通知等)
第十条の二 財務大臣は、法第七条第六項の調査が開始された場合において、同条第九項又は第十項に規定する補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実を推定することについての決定がされたときは、その旨及び当該決定の基礎となった事実を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示するものとする。
(約束の申出等)
第十一条 法第七条第六項、第十四項、第十九項(同条第二十八項において準用する場合を含む。)又は第二十四項の調査に係る貨物の供給国の当局又は輸出者は、同条第八項(同条第十五項前段、第二十一項及び第二十五項において準用し、並びに同条第二十一項の規定を同条第二十八項において準用する場合を含む。第十四条において同じ。)の規定により政府に対し約束の申出をしようとするときは、その旨、当該約束の申出の内容及び法第七条第六項の調査を完了させることを希望する場合にあってはその旨を記載し
た書面を財務大臣に提出しなければならない。
2 財務大臣は、前項の規定による約束の申出につき法第七条第九項前段(同条第十五項前段、第二十一項及び第二十五項において準用し、並びに同条第二十一項の規定を同条第二十八項において準用する場合を含む。第五項において同じ。)の規定による受諾がされたときは、速やかに、その旨及び当該約束の内容
(その性質上秘密として取り扱うことが適当であると認められる部分及び当該約束の申出をした供給国の当局又は輸出者により秘密の情報として提供された部分を除く。)並びに同条第六項の調査を取りやめることが決定された場合にあってはその旨、その理由及び当該調査を取りやめる期日又は当該調査を継続することが決定された場合にあってはその旨を、直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
3 法第七条第八項の規定により同条第六項の調査に係る貨物の供給国の当局又は輸出者からされた約束の申出につき同条第九項前段の規定による受諾がされた後当該調査が完了した場合において、当該貨物の輸入につき、政府が、同条第六項に規定する事実がある旨の認定をしたときは、同条第九項前段の規定による受諾がされた約束は消滅しないものとし、当該事実がない旨の認定をしたときは、当該約束は消滅するものとする。ただし、当該事実がない旨の認定が主として当該約束があることを考慮してされたものであるときは、当該約束は消滅しないものとする。
4 財務大臣は、前項の認定がされたときは、速やかに、法第七条第九項前段の規定による受諾がされた約束が消滅しない旨又は消滅した旨及びその理由を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
5 財務大臣は、第三項の規定により約束が消滅する場合のほか、法第七条第九項前段の規定による受諾がされた約束が効力を失ったときは、速やかに、その旨及びその理由を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
(最終決定前の重要事実の開示)
第十二条 財務大臣は、法第七条第一項の規定により相殺関税を課し、又は同項の規定により課される相殺関税を変更(同項の規定により指定された期間の変更を含む。)し、若しくは廃止するかどうかの決定までに相当な期間をおいて、当該決定の基礎となる重要な事実を直接の利害関係人に対し書面により通知するものとする。
(相殺関税を課することの通知等)
第十三条 財務大臣は、法第七条第一項の規定により相殺関税を課すること、同項の規定により課される相殺関税を変更(同項の規定により指定された期間の変更を含む。)すること若しくは廃止すること若しくは同条第十項の規定による措置をとることが決定されたとき又は同条第一項の規定により指定された期間が満了したとき(同条第二十四項の調査が行われている場合を除く。以下この項において同じ。)は、速やかに、その旨及び次に掲げる事項を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
x x第七条第一項又は第十項の規定による指定に係る貨物の品名、銘柄、型式及び特徴二 法第七条第一項又は第十項の規定による指定に係る貨物の供給者又は供給国
三 法第七条第一項又は第十項の規定により指定された期間(同条第一項の規定により課される相殺関税を廃止するときは、当該廃止の期日を含む。)
四 調査により判明した事実及びこれにより得られた結論(法第七条第一項の規定により指定された期間が満了したときを除く。)
五 法第七条第一項の規定により相殺関税を課することに併せて同条第三項の規定により相殺関税を課することが決定されたときは、その対象とされる貨物及びその決定の理由
六 その他参考となるべき事項
2 財務大臣は、調査の結果、法第七条第一項の規定による相殺関税を課さないこと又は同項の規定により課される相殺関税を変更(同項の規定により指定された期間の変更を含む。)しないこと若しくは廃止しないことが決定されたときは、速やかに、その旨及び次に掲げる事項を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
一 当該調査に係る貨物の品名、銘柄、型式及び特徴二 当該調査に係る貨物の供給者又は供給国
三 当該調査により判明した事実及びこれにより得られた結論四 その他参考となるべき事項
3 前項の規定は、調査を取りやめることが決定された場合(法第七条第九項後段の規定により調査を取りやめることが決定された場合を除く。)について準用する。この場合において、前項中「当該調査により判明した事実及びこれにより得られた結論」とあるのは、「当該調査を取りやめるまでに判明した事実及び当該調査を取りやめる理由」と読み替えるものとする。
(調査に関する協議等)
第十四条 財務大臣、法第七条第一項に規定する本邦の産業を所管する大臣(以下この条において「産業所管大臣」という。)及び経済産業大臣は、調査を開始する必要があると認めるときは、相互にその旨を通知するものとする。この場合において、財務大臣、産業所管大臣及び経済産業大臣は、調査(調査の結果の取扱いを含む。)及び法第七条第八項の規定による申出に係る約束に関し常に緊密な連絡(第四条第一項から第五項まで及び第十一条第一項の規定により提出された書面の写しの財務大臣による産業所管大臣及び経済産業大臣に対する送付を含む。)を保つとともに、これらに関する重要事項について協議の上定めるものとする。
(還付)
第十xx x第七条第二十九項の規定により指定貨物に係る相殺関税の還付を請求しようとする輸入者は、 還付を受けようとする相殺関税の額及びその計算の基礎を記載した還付請求書に、要還付額があることに ついての十分な証拠を添えて、これを当該指定貨物の輸入を許可した税関長に提出しなければならない。 この場合において、税関長は、当該提出された書面の写し及び当該証拠を財務大臣に送付するものとする。
2 前条後段の規定は、法第七条第三十項の調査が開始された場合について準用する。
3 財務大臣は、法第七条第三十一項ただし書の規定により同条第三十項の調査の期間を延長することが決定されたときは、速やかに、その旨、延長される調査の期間及び延長の理由を同条第二十九項の規定により請求をした輸入者に対し書面により通知しなければならない。
4 財務大臣は、法第七条第三十項の調査が終了したときは、その調査の結果を税関長に通知するものとし、税関長は、当該通知に基づき、遅滞なく、その請求に係る金額を限度として相殺関税を還付し、又は請求 の理由がない旨を書面によりその請求をした輸入者に通知する。
(関税・外国為替等審議会への諮問)
第十六条 財務大臣は、調査の結果に基づき法第七条第一項の規定により相殺関税を課すること、同項の規定により課される相殺関税を変更(同項の規定により指定された期間の変更を含む。)すること若しくは廃止すること又は同条第十項の規定による措置をとることが必要であると認められるときは、速やかに、関税・外国為替等審議会に諮問するものとする。
相殺関税に関する手続等についてのガイドライン
1.ガイドラインの性格
x x 省厚 生 労 働 省農 林 水 産 省経 済 産 業 省国 土 交 通 省
相殺関税に関する制度の運用については、国内関係法令、関税及び貿易に関する一般協定及び補助金・相殺措置協定に定められているところによるが、このガイドラインは、これらを補完し、制度の円滑な運営に資するために制定するものである。なお、本ガイドラインの適用に当たっては、個々の事案ごとに柔軟かつ弾力的な対応を妨げないものとする。また、各協定の適用に当たっては、国際的に確立された各協定の解釈を考慮する。
2.定義
このガイドラインにおいて、「法」、「政令」又は「補助金・相殺措置協定」とは、それぞれ「関税定率法 (明治43年法律第54号)」、「相殺関税に関する政令(平成6年政令第415号)」又は「補助金及び相殺措置に関する協定」をいう。
3.本邦の産業
(1)相当の割合(政令第2条第1項)
政令第2条第1項に規定する相当の割合は、概ね50%とする。
(2)本邦の生産者から除外される生産者(政令第2条第1項、第2項)
政令第2条第2項の規定により同条第1項の本邦の生産者には含まないものとされる生産者の当該輸入貨物と同種の貨物の生産高は、当該貨物の本邦における総生産高の計算に当たっては、これを含める。
(3)支配関係(政令第2条第2項ただし書)
政令第2条第2項ただし書各号に規定する支配とは、我が国の会計原則に基づく次のいずれかに該当する場合をいう。
一 他の会社等の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合
二 他の会社等の議決権の40%以上、50%以下を自己の計算において所有している場合であって、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当する場合
① 自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の会社等の議決権の過半数を占めていること。
② 役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。
③他の会社等の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること。
④他の会社等の資金調達額の総額の過半について融資を行っていること。
⑤その他他の会社等の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。 三 自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせた場合(自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)に他の会社等の議決
権の過半数を占めている場合であって、かつ、3(3)二の②から⑤までのいずれかの要件に該
当する場合
(4)当該輸入貨物の供給者又は輸入者と関係を有する生産者又は自ら輸入を行った生産者の例外 (政令第2条第2項ただし書)
一 政令第2条第2項ただし書に規定する他の生産者の行動と異なる行動をとらせるものでないか否かの判断に当たっては、次に掲げる事項を考慮して行う。
① 取引量、用途その他の当該貨物に係る支配関係にある者との取引の実態
② 法第7条第5項、第18項又は第23項の規定による課税の求め等に対する支持の状況
③ その他直接又は間接の支配関係が他の生産者の行動と異なる行動をとらせるものでないと認められる特別の事情
二 政令第2条第2項ただし書に規定する主たる事業が当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産であるか否かの判断に当たっては、次に掲げる事項を考慮して行う。
① 輸入先、輸入量、輸入の目的その他の当該貨物に係る輸入の実態
② 法第7条第5項、第18項又は第23項の規定による課税の求め等に対する支持の状況
③ その他主たる事業が当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産であると認められる特別の事情
4.課税の求め等
(1)証拠の提出先等(政令第2条第2項ただし書、第4条第1項から第7項まで、第9項後段、第7条第1項、第2項、第8条第2項、第9条第1項、第2項、第10条第1項、第2項、第11条第1項)
政令第2条第2項ただし書に規定する証拠、政令第4条第1項から第7項まで若しくは第9項後段に規定する書面若しくは証拠、政令第7条第1項若しくは第2項に規定する証拠、証言若しくは書面、政令第8条第2項に規定する書面、政令第9条第1項若しくは第2項に規定する意見の表明、
政令第10条第1項若しくは第2項に規定する情報又は政令第11条第1項に規定する書面の提出先又は申出先は、財務省関税局関税課特殊関税調査室とし、名宛人は、財務大臣とする。提出に際して電磁的記録媒体を提出する場合には、書面による提出部数は最低1部とし、当該媒体を提出しない場合には、書面による提出部数は最低4部とする。
(2)十分な証拠(法第7条第5項)
法第7条第5項に規定する十分な証拠とは、合理的に入手可能な情報に基づく証拠とする。
ただし、関連する証拠によって裏付けられない単なる主張は、当該十分な証拠であるとみなされない。
(3)団体による課税の求め等(法第7条第5項、第18項、第23項、政令第3条第1項第1号)
法第7条第5項、第18項又は第23項の規定に基づき、団体による課税の求め等がなされた場 合、当該団体が実在すること及び当該課税の求め等が団体として合意されたものであることについて確認する。
(4)課税の求め等の記載事項・記載要領例、証拠の提出様式例及び秘密証拠等の要約の作成例 (政令第4条第1項から第6項まで、第7条第1項、第5項)
一 相殺関税を課すること等を求める場合には、別添1の課税の求め等の記載事項・記載要領例に従い、必要事項を記載した書面を提出することとし、その際に添付する証拠の提出様式例は別添2とする。また、秘密証拠等の要約を作成する場合の作成例は別添3とする。なお、提出する書面及びその際に添付する証拠のうち補助金額に係る事項については、6.に従うこととする。
二 政令第7条第1項に規定する証拠の提出様式例は別添4とする。また、秘密証拠等の要約を作成する場合の作成例は別添3とする。なお、提出する証拠のうち補助金額に係る事項については、6.に従うこととする。
(5)相談窓口(法第7条第5項、第13項、第18項、第23項)
相殺関税を課すること等の求めに関しての相談の担当部局は、以下の部局とする。
・財務省関税局関税課特殊関税調査室
〒100‐8940 xxxxxx区霞が関3‐1‐1電話番号:03-3581-4786
FAX番号:03-5251-2173
電子メールアドレス:xxxx.xxxxxxx@xxx.xx.xx
・経済産業省貿易経済協力局貿易管理部特殊関税等調査室
〒100‐8901 xxxxxx区霞が関1‐3‐1電話番号:03-3501-3462
FAX番号:03-3501-0992
電子メールアドレス:xxx-xxxxxx@xxxx.xx.xx
0.xxxxxx
(1)調査開始決定までの期間(法第7条第6項、第14項、第19項、第24項、第28項)
法第7条第6項、第14項、第19項(同条第28項において準用する場合を含む。)又は第24項の調査(5(2)、(5)及び(6)、10.並びに11(1)一を除き以下単に「調査」という。)を開始するか否かの決定は、政令第4条第1項から第5項までの規定による書面が提出された後、2ヶ月程度を目途に行う。なお、当該書面が提出された場合には、必要に応じ、補正(証拠の追加を含む。)を求めることがある。この場合には、全ての補正が完了した日から2ヶ月程度を目途に調査を開始するか否かの決定を行う。
(2)調査開始の検討
(法第7条第6項、第19項、第24項、政令第4条第1項第5号、第7号、第3項第7号、第4項第7号、補助金・相殺措置協定11.4)
x x第7条第1項に規定する本邦の産業を所管する大臣(5(2)二において「産業所管大臣」という。)は、関係生産者等又は関係労働組合に対し、法第7条第5項、第18項又は第23項の規定による課税の求め等に対する支持の状況の確認をすることができる。ただし、政令第4条第1項第7号、第3項第7号又は第4項第7号に規定する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況により次のいずれかに該当することが示されないときは、当該確認をしなければならない。
① 当該課税の求め等を支持している関係生産者等(当該輸入貨物と同種の貨物の本邦の生産者を直接又は間接の構成員とする団体の場合にあっては、その直接又は間接の構成員である当該生産者をいう。5(2)三①において同じ。)の当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産高の合計が当該貨物の本邦における総生産高(政令第3条第2項の規定により本邦の生産者には含まないとされる生産者の当該貨物の本邦における生産高を除く。)の二分の一を超えること
② 当該課税の求め等を支持している当該貨物の本邦における生産に従事する者の合計が当該生産に従事する者の総数の二分の一を超えること
二 産業所管大臣は、5(2)一に規定する確認をした場合には、当該確認の結果を財務大臣及び経済産業大臣に書面により通知しなければならない。
三 政令第4条第1項第7号、第3項第7号又は第4項第7号に規定する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況(5(2)一に規定する確認をした場合には、当該確認の結果)により、次のいずれかに該当することが示されない限り、法第7条第6項、第19項又は第24項に規定する必要があると認めるときには該当しないものとする。
① 法第7条第5項、第18項又は第23項の規定による課税の求め等を支持している関係生産者等の当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産高の合計が当該課税の求め等に反対することを明らかにしている関係生産者等の当該貨物の本邦における生産高の合計を超えること
② 当該課税の求め等を支持している当該貨物の本邦における生産に従事する者の合計が当該課税の求め等に反対することを明らかにしている当該生産に従事する者の合計を超えること
四 法第7条第5項の規定により相殺関税を課することの求めがなされた場合において、同条第6項
に規定する調査を開始するか否かの検討に際しては、当該求めにおいて提出された証拠等について、特に以下の項目につき確認を行う。
① 補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実
イ 補助金・相殺措置協定1.1(a)に規定するいずれかの措置により行われたかが示されていること。
ロ 5(2)四①イに示された措置により、利益がもたらされていることが示されていること。ハ 5(2)四①イに示された措置に、補助金・相殺措置協定2に規定する特定性があるこ
とが示されていること。
② 補助金の交付を受けた貨物の輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実
イ 補助金の交付を受けた貨物の輸入の絶対的な増加又は本邦における生産又は消費と比較して相対的な増加が示されていること。なお、補助金の交付を受けた貨物の供給国が複数存在する場合には、当該増加が当該供給国別に示されていること。
ロ 補助金の交付を受けた貨物の輸入により、本邦における補助金の交付を受けた貨物と同種の貨物の価格が押し下げられていること又は補助金の交付を受けた貨物の輸入がなかったとしたならば生じたであろう当該価格の上昇が妨げられていることが示されていること。
ハ 補助金の交付を受けた貨物の輸入が本邦の産業に及ぼした影響(少なくとも申請者についての販売、利潤、生産高、市場占拠率、生産性、投資収益率若しくは操業度の低下又は資金流出入、在庫、雇用、賃金、成長、資本調達能力若しくは投資への悪影響を含む。)が合理的に入手可能な情報により示されていること。
ニ 5(2)四②イ、ロ及びハで申請者が示した事実等に基づき、本邦の産業に与える実質的な損害等が説明されていること。
ホ 補助金の交付を受けた貨物の輸入と本邦の産業に与える実質的な損害等との間に因果関係が確認できること。
五 5(2)四の検討の範囲は、原則として相殺関税を課することを求める書面に記載されている事項に限る。ただし、当該書面の提出後に5(1)の補正が行われた場合には、補正された書面に基づき調査を開始するか否かを判断する。
(3)関税・外国為替等審議会(政令第5条第1項、第13条第2項、第3項)
財務大臣は、調査を開始することが決定されたときは、関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会の委員に通知するとともに、適当な時期に調査開始に至った事情を同部会に説明する。
財務大臣は、政令第13条第2項又は第3項の規定により通知及び告示をする場合は、その内容を関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会に報告する。
(4)調査担当者団(政令第14条)
財務大臣は、調査を開始することが決定されたときは、法第7条第1項に規定する本邦の産業を所管する大臣及び経済産業大臣と協議の上、財務省、当該本邦の産業を所管する省及び経済産業省の関係
職員からなる調査担当者団を設ける。
(5)調査の標準期間(法第7条第6項、政令第5条第1項第7号、第7条第1項、第9条第1項、第10条第1項、第10条の2、第12条、第13条第1項、第2項)
x x第7条第6項に規定する調査の開始に当たり、政令第5条第1項第7号に基づき告示する証拠の提出等の期限については、原則として、以下を目途に設定する。
① 政令第7条第1項前段の規定による証拠の提出及び証言の期限調査開始から3ヶ月
②政令第9条第1項の規定による意見の表明及び政令第10条第1項の規定による情報の提供の期限
調査開始から4ヶ月
二 法第7条第6項に規定する調査に関する手続については、原則として、以下を目途に行う。
① 現地調査
調査開始から6ヶ月後
② 仮の決定
調査開始から8ヶ月後
③ 重要事実の開示(政令第12条の規定による通知をいう。以下同じ。)調査開始から10ヶ月後
④ 最終決定
調査開始から1年後
三 法第7条第6項に規定する調査の開始後において、当該調査に係る貨物の供給者等、政令第5条第1項の規定により告示した事項を変更することが適当であると認められる場合には、原則として当該告示の改正により対応することとする。その際、利害関係者(政令第7条第1項に規定する利害関係者をいう。以下同じ。)及び産業上の使用者等(政令第10条第1項に規定する当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体をいう。以下同じ。)のうち変更された事項に関係する者に対し、調査開始の時点で利害関係者及び産業上の使用者等に対して与えられた証拠の提出等の権利(政令第5条第1項第7号により告示したそれぞれの期限までに提出できる権利をいう。)と同等の権利を与える。
四 財務大臣は、重要事実の開示の際、併せて最終決定までの目途を通知する。
(6)調査の対象となる期間(法第7条第6項、政令第5条第1項第5号)
法第7条第6項に規定する調査の開始に当たり、政令第5条第1項第5号に基づき告示する調査の対象となる期間は、原則として、以下のとおりとする。
一 補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実 1年間
二 当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実 3年間三 5(6)一の期間は、二に含まれるものとする。
(7)調査の取りやめ(政令第13条第3項)
政令第13条第3項に規定する調査を取りやめることの決定は、以下の場合に行われる。なお、5
(7)一においては、6.の規定に留意して算出を行う。
x x第7条第6項に規定する調査の過程において、当該調査に係る貨物の価格に占める補助金額の割合が1%未満であることが明らかとなった場合
二 法第7条第5項、第13項、第18項、第23項又は第28項において準用する第18項の規定による課税の求め等に基づき調査が開始された場合において、当該課税の求め等が取り下げられたことによって、調査の継続の必要性がないと認められる場合
三 調査の手続の進行を正当とするための証拠が十分でないと認められる場合、その他の調査を取りやめることが妥当であると認められる場合
6.補助金額の算出
(1)算出における原則(法第7条第1項)
原則として、以下の事項に従って補助金額の算出を行う。一 換算通貨は現地通貨を用いる。
二 調査の対象となる期間に販売されたものを対象とする。なお、販売の日とは、通常、実質的な販売条件が定められる日であるが、販売の日を定める際には、個々の事案ごとに判断することとする。
(2)算出方法の基本的考え方(補助金・相殺措置協定14)
代表的な補助金額の算出方法に関する基本的な考え方は以下のとおりとし、補助金の受領者の観点から算出を行うこととする。ただし、各補助金額の算出方法については、個別の調査において、その性質・条件等を十分に踏まえ、適切な決定を行うこととする。
一 贈与
① 補助金額
贈与による補助金額は、当該輸出国政府(注)から当該企業が受領した贈与額とする。内国税の減免税等も贈与として取り扱うこととし、その場合の補助金額は、当該企業が減免された税等の額とする。
(注)「当該輸出国政府」には次のものを含む(以下同じ。)。イ 当該輸出国内の公的機関
ロ 通常当該輸出国政府に属する資金的貢献を遂行すること、又は、当該輸出国政府が通常とる措置と実質上異ならないものをとることを当該輸出国政府から委託又は指示された民間団体
② 補助金の受領時期
贈与の場合には、当該企業が贈与を受領した時点で補助金が受領されたものとする。二 債務免除
① 補助金額
債務免除による補助金額は、当該輸出国政府が当該企業に対し免除した元本又は利息のいずれか一方又は双方の額とする。
② 補助金の受領時期
債務免除の場合には、元本又は利息のいずれか一方又は双方が免除された時点で補助金が受領されたものとする。
三 出資
① 補助金額
イ 当該輸出国政府による出資が、当該国内の民間投資者の出資に関する通常の慣行(危険資本の提供に関するものを含む。)と適合しない状況(同様の出資条件では通常の民間投資者は出資しないと考えられるなど。)で行われる場合には、利益をもたらすものとみなす。その場合の出資による補助金額は、当該輸出国政府及び民間投資者による同様の出資条件のもとでのそれぞれの出資額の差額とする。
ロ 当該輸出国政府による出資と比較できる民間投資者による適当な出資が存在しない場合、当該輸出国政府による出資額と企業が発行した株式の価値の評価額との差額等を検討の上で妥当な補助金額を決定する。
② 補助金の受領時期
出資の場合には、当該企業が出資を受けた時点で補助金が受領されたものとする。四 貸付け
① 補助金額
イ 当該輸出国政府による貸付けを受けている企業が当該貸付けに対して支払う額と当該企業が市場で実際に同等な商業的貸付けを受ける場合に当該商業的貸付けに対して支払う額との間に差が存在する場合には、利益をもたらすものとみなす。その場合の貸付けによる補助金額は、当該輸出国政府による貸付け及び当該商業的貸付けそれぞれに対して支払う額の差額とする。
ロ 当該輸出国政府による貸付けと比較できる当該企業への商業的貸付けが存在しない場合、比較のために適切と考えられる当該国内で行われている商業的貸付け等を検討の上で妥当な補助金額を決定する。
② 補助金の受領時期
貸付けの場合には、当該企業が当該輸出国政府による貸付けを受けなかったとしたならば、同等の商業的貸付けに関する支払いを行わなければならなかったと推定される時点で補助金が受領されたものとする。
五 債務保証
① 補助金額
当該輸出国政府による債務保証を受けている企業が当該保証を受けている貸付けに対して支払う額と当該企業が政府による保証なしに同等な商業的貸付けを受ける場合に当該商業的貸付けに対して支払う額との間に差が存在する場合には、利益をもたらすものとみなす。その場合の
債務保証による補助金額は、当該輸出国政府による保証を受けている貸付け及び当該商業的貸付けそれぞれに対して支払う額の差額とする。
② 補助金の受領時期
債務保証の場合には、当該企業が当該輸出国政府による債務保証がなかったとしたならば、同等の商業的貸付けに関する支払いを行わなければならなかったと推定される時点で補助金が受領されたものとする。
六 物品・役務の提供又は物品の購入
① 補助金額
イ 当該輸出国政府による当該提供が妥当な対価よりも少ない額の対価で行われ、又は当該購入について妥当な対価よりも多い額の対価が支払われる場合には、利益をもたらすものとみなす。その場合の物品・役務の提供又は物品の購入による補助金額は、それぞれの額の差額とする。
ロ 対価の妥当性は、当該提供又は購入が行われる当該輸出国における関係する物品又は役務について市場の一般的状況(価格、品質、入手可能性、市場性、運送その他の購入又は販売の条件を含む。)を考慮の上、適切に決定される。
② 補助金の受領時期
物品・役務の提供又は物品の購入の場合には、当該輸出国政府による当該提供又は購入に対して当該企業又は当該輸出国政府が支払いを行った、又は支払いがなかったときには、支払いを行うべきであったと推定される時点で補助金が受領されたものとする。
七 債務の出資転換
① 補助金額
イ 当該輸出国政府による債務の出資転換が、当該国内の民間投資者の出資又は出資転換に関する通常の慣行と適合しない状況(同様の条件では通常の民間投資者は出資又は出資転換しないと考えられるなど。)で行われる場合には、利益をもたらすものとみなす。その場合の債務の出資転換による補助金額は、当該輸出国政府により出資転換された債務の額と民間投資者による同様の条件のもとでの出資額又は出資転換額と の差額とする。
ロ 当該輸出国政府による債務の出資転換と比較できる民間投資者による適当な出資又は出資転換が存在しない場合、当該輸出国政府によって出資転換された債務の額と当該企業が発行した株式の価値の評価額との差額等を検討の上で妥当な補助金額を決定する。
② 補助金の受領時期
債務の出資転換の場合には、当該企業が債務の出資転換を受けた時点で補助金が受領されたものとする。
八 債務の弁済期延長
① 補助金額
イ 当該輸出国政府による債務の弁済期延長を受けている企業が、当該弁済期延長を受 けて
いる貸付けに対して支払う額と当該企業が市場で実際に同等な商業的貸付けを受ける場合に当該商業的貸付けに対して支払う額との間に差が存在する場合には、利益をもたらすものとみなす。その場合の債務の弁済期延長による補助金額は、当該輸出国政府による弁済期延長を受けている貸付け及び当該商業的貸付けそれぞれに対して 支払う額の差額とする。
ロ 当該輸出国政府による弁済期延長を受けている貸付けと比較できる当該企業への商業的貸付けが存在しない場合、比較のために適切と考えられる当該国内で行われている商業的貸付け等を検討の上で妥当な補助金額を決定する。
② 補助金の受領時期
債務の弁済期延長の場合には、当該企業が当該輸出国政府による債務の弁済期延長を受けなかったとしたならば、同等の商業的貸付けに関する支払いを行わなければならなかったと推定される時点で補助金が受領されたものとする。
(3)算出にともなう調整(補助金・相殺措置協定14)
補助金額の算出を行う際には、以下の調整を行う。一 経費の控除
補助金の申請に要する経費、補助金を相殺するための輸出税等は、補助金額から控除される。二 補助金額の配分
① 補助金の交付を受けた年を起算年として、複数年にわたり当該補助金による利益が継続していると考えられる場合には、妥当な期間に当該補助金額を配分することとする。この場合には、当該利益から生じる利息を加算する。
② 当該配分の必要性については、各補助金の性質・条件等を検討の上、個別に決定される。
(4)相殺関税率の算出(法第7条第1項)
法第7条第1項に規定する相殺関税を従価税により課する場合には、調査に係る貨物の補助金額を、当該調査の対象となる期間中に輸入された当該貨物のCIF価格(本邦までの運賃及び保険料を加えた取引価格)で割ることにより算出する。
7.証拠の提出等の求め(政令第5条第1項第7号、第7条第2項、第9条第2項、第10条第2項)
(1)財務大臣は、政令第7条第2項の規定による証拠の提出、政令第9条第2項の規定による意見の表明又は政令第10条第2項の規定による情報の提供(以下「証拠の提出等」という。)の求めに際し、利害関係者又は産業上の使用者等に質問状を送付するときは、当該質問状の回答期限を調査事案ごとに質問状に明示する。
(2)証拠の提出等を求める場合には、書面による提出とともに、併せて電磁的記録媒体による任意の提出を求める。
(3)証拠の提出については、調査の開始に当たり、政令第5条第1項第7号に基づき告示される証拠の提出の期限までに提出される必要があるが、それ以外に証拠の提出を認める場合には、以下の場合が考えられる。
一 質問状を送付する場合
二 仮の決定に際し、その内容に関する証拠の提出を求める場合
三 重要事実の開示に際し、その内容に関する証拠の提出を求める場合四 現地調査において証拠の提出を求める場合
五 その他やむを得ない場合として証拠の提出を求める場合
8.現地調査(補助金・相殺措置協定12.6、附属書Ⅵ)
(1)提供された情報を確認し又は更に詳細な情報を入手するため必要がある場合には、補助金・相殺措置協定12.6の規定に従い、輸出国における供給者又は補助金の交付を行った輸出国における政府に対し、以下のとおり現地調査を行う。
一 調査前
① 調査日程の調整
イ 現地調査の対象者(以下「対象者」という。)に対し、現地調査の受入れの可否について確認する。
ロ 現地調査の受入れに同意した対象者と日程を調整する。
ハ 輸出国における政府の代表者に対し、現地調査実施の通知を行い、反対しないことを確認する。
② 対象者への事前通知
日程決定後、対象者に対し、通知文書、現地調査に係る説明文書を送付する。輸出国における供給者に対しては、詳細な調査項目をこれらの文書と併せて送付するものとし、準備期間等に配慮し、現地調査の日までに相当な期間をおいて発出する。
二 調査後
① 調査結果報告書を作成する。
② 重要事実の開示において、当該調査の結果に関係する企業に対し、調査結果報告書を送付する。
③ 8(1)二②の規定にかかわらず、重要事実の開示前であっても、当該調査の結果に関係する企業の求めがある場合には、調査結果報告書を開示する。
(2)7(3)四の規定により、現地調査において証拠の提出を求める場合の対応については、次のとおりとする。
一 証拠については書面での提出が必要であり、提示のみでは証拠の提出とみなさない。二 証拠については書面での提出とともに電磁的記録媒体による任意の提出を求める。
三 現地調査当日に証拠が提出できないものは回答がなかったものとみなすこととし、現地調査時に提出した証拠の差替えは、原則として認めない。
四 現地調査前に明らかになった事実に関連しない新規の証拠の提出は、原則として認めない。 五 現地調査の終了時までに、対象者に対し、現地調査中に提出した証拠の目録の提出を求める。
現地調査中に提出を求めた証拠については、当該目録を用い、求めた証拠が正しく提出されていることにつき確認を行う。
六 調査の正確性を向上させる観点から、原則として、質疑応答は録音する。七 現地調査は、原則として日本語で行うこととし、適宜通訳を使用する。
八 証拠が提出されない場合その他対象者の協力が十分に得られない場合には、現地調査を終了することができる。
九 8(2)八により現地調査を終了した場合、9(2)の手続に従い、知ることができた事実(以下
「ファクツ・アヴェイラブル」という。)を適用する。
(3)8(1)及び(2)の規定は、本邦の生産者及び輸入者に対して行う場合にも準用する。
9.ファクツ・アヴェイラブル(政令第7条第4項、補助金・相殺措置協定12.7)
(1)ファクツ・アヴェイラブルの適用とは、政令第7条第4項に規定する手続をいうものとし、例えば、以下の場合に用いることができる。
一 7.による証拠の提出の求めに対し、当初設定された回答の期限内に回答が行われない場合
二 7.による証拠の提出の求めに対し、部分的な回答のみが行われ、必要な証拠の提出がされない場合
三 提出された証拠の正確性が検証できない場合
四 調査を妨害する等、正当な理由なく証拠の提出を著しく遅延させているものと認められる場合
(2)ファクツ・アヴェイラブルの適用に当たっては、次の手続に従う。なお、結果的に、調査に非協力的な利害関係者に対して、不利な結論となることがあり得る。
また、質問状を送付する際には、質問状の回答期限を徒過した場合にファクツ・アヴェイラブルが適用される可能性があることにつき当該質問状に記載することとし、現地調査に係る説明文書を送付する際には、現地調査において提出を求めた証拠が当該調査の終了までに提出されなかった場合にファクツ・アヴェイラブルが適用される可能性があることにつき当該説明文書に記載することとする。
一 質問状の回答期限を徒過した場合は、原則として回答が行われなかったものとみなす。
二 現地調査において、現地調査前に提出された証拠の正確性を検証するための証拠の提出を求める場合、求めた証拠のうち現地調査が終了するまでに提出されないものは回答がなかったものとみなす。
三 仮の決定においては、仮の決定を通知する書面に、ファクツ・アヴェイラブルの適用に至った理由並びに採用した証拠及び適用した手法を記載する。
四 重要事実の開示においては、重要事実を通知する書面に、ファクツ・アヴェイラブルの適用に至った理由並びに採用した証拠及び適用した手法を記載する。
五 最終決定においては、当該決定を通知する書面に、ファクツ・アヴェイラブルの適用に至った理由並びに採用した証拠及び適用した手法を記載する。
六 利害関係者から直接的に得られた証拠がない場合であっても、ファクツ・アヴェイラブルの適用により二次的な情報を証拠として利用する際には、当該二次的な情報を十分に精査することとする。
10.仮の決定
(1)仮の決定の通知等(政令第7条第2項、第9条第2項、第10条の2)
仮の決定の通知等を行う際の対応については、次のとおりとする。
一 仮の決定の通知及び告示において、必要があると認める場合には、当該決定の内容に直接関係するものに限り、回答期限を定めて、政令第7条第2項の規定による証拠の提出を求める。
二 仮の決定の告示において、必要があると認める場合には、当該決定の内容に直接関係するものに限り、回答期限を定めて、政令第9条第2項の規定による意見の表明を求める。なお、産業上の使用者等に係る意見の表明についても、利害関係者に係る意見の表明と同様、最終決定へどのように反映するかについては裁量であり、相殺関税を課することの独立した要件ではないが、本邦の産業の保護の必要性を判断する際の考慮要素の一つとする。
三 仮の決定時には、原則として、それまでに判明した当該決定の基礎となる事実につき中間報告書を作成し、ウェブサイトに公開するものとする。
(2)仮の決定後の対応(法第7条第9項、第10項)
仮の決定後の対応については、次のとおりとする。
一 仮の決定において、補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実を推定することができ、当該本邦の産業を保護するため必要があると認められるときは、法第7条第10項の規定による措置(以下「暫定措置」という。)をとること又は同条第9項前段に規定する約束を受諾することができる。
二 仮の決定において、補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実が推定に至らないが、当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が推定される場合には、調査の継続を検討する。
三 仮の決定において、補助金の交付を受けた貨物の輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が推定に至らない場合には、調査の終了を検討する。
11.約束(法第7条第9項前段、第15項前段、第21項、第25項、第28項) (1)約束の受諾の要件
約束(法第7条第9項前段(同条第15項前段、第21項及び第25項において準用し、並びに同条第
21項の規定を同条第28項において準用する場合を含む。)に規定する約束をいう。11(1)及び (3)から(5)までにおいて同じ。)は、以下に定める事項のいずれもが規定されている申出がなされた場合に限り受諾される。
一 当該約束の有効期間は、当該約束の受諾の日から5年以内の当該約束で定める日を経過する日に満了する。ただし、政令第11条第3項の規定により当該約束が消滅した日又は当該約束が撤回
された日、当該約束の違反があった日、法第7条第28項の規定において準用する同条第19項の調査により同条第17項各号に掲げる事情の変更があると認められた場合(同条第28項の規定において準用する同条第21項の規定により新たに約束が受諾される場合を除く。)におけるこれらの調査が完了する日、その他の当該約束が効力を失った日のいずれか早い日が、当該約束の受諾の日から5年以内の当該約束で定める日を経過する日より前である場合、本約束は、当該いずれか早い日に効力を失う旨の規定。
二 当該約束の履行に関連する情報の提供、関連資料の確認その他必要と認められる事項に関する規定。なお、本規定には、少なくとも以下に掲げる事項が含まれるものとする。
① 補助金の交付に関する情報が定期的に提出されること。
② 調査に係る貨物の生産に関する情報が定期的に提出されること。
③ 約束の履行を確認するために必要であると考えられるその他の情報が必要に応じて提出されること。
④ 補助金の交付を受けた貨物の第三者による本邦への輸出及び第三国を通じた本邦への迂回輸出を最大限に防止すること。
⑤ 提供された情報等のxx性を検討するため、現地検証の実施を無条件にかつ随時受け入れること。
⑥ 約束を撤回しようとする場合には、事前に申し出ること。
⑦ 補助金の本邦の産業に及ぼす有害な影響が除去されると認められる価格に貨物の価格を修正する旨の約束の申出がなされた場合にあっては、以下に例示する事項。
イ 本邦の産業の損害が除去される価格が提示されること。
ロ 調査に係る貨物の価格が変動する場合には、本邦の産業の損害が除去される形で約束価格も連動させること及び当該価格の検証可能な算出方法が併せて提示されること。
ハ 顧客に対する便益(割引等)が与えられた場合においても、約束価格が維持されること。
ニ 調査に係る貨物の日本向け輸出についての輸出取引に関する情報が定期的に提出されること。
⑧ 供給国の当局から補助金の本邦の産業に及ぼす影響を除去するための適当と認められる措置をとる旨の約束の申出がなされた場合にあっては、当該措置の具体的内容。
三 当該約束の申出をした供給国の当局又は輸出者が当該約束の履行に関連する情報の提供又は関連資料の確認その他約束の履行に際して必要と認められる事項を拒否した場合には、当該約束の違反があったものとみなされる旨の規定。
四 日本国政府が約束の違反がなされたか否かの判断を独自に行うことを認める旨の規定。
(2)約束に際しては、次の手続に従う。
一 約束(法第7条第9項前段(同条第15項前段、第21項及び第25項において準用する場合を 含む。)に規定する約束をいう。)の申出は、重要事実の開示の日の10日後までに行うものとする。
二 約束に際しては、政令第4条第1項に規定する申請者に対し、意見を表明する機会を与えるものとする。
(3)11(1)に定める事項のいずれもが規定されている約束の申出がなされた場合であっても、次のいずれかに該当する場合には、当該申出を拒否することができる。
一 約束履行が疑わしいと判断される客観的事情が存在する場合
二 約束の遵守状況の監視が困難になると判断される客観的事情が存在する場合三 その他約束の受諾が不適切と考えられる場合
(4)約束を受諾した場合においても、原則として調査を継続することとする。
(5)約束に違反した事実があったと判断した場合の対応については、次のとおりとする。
一 調査が完了していない場合には、その時点における最大限の入手可能な情報により直ちに暫定措置をとるとともに、速やかに調査を完了させ、法第7条第1項の規定により相殺関税を課することができる。
二 調査が完了している場合には、直ちに法第7条第1項の規定により相殺関税を課することができる。
12.重要事実の開示(政令第12条)
重要事実の開示において、必要があると認める場合には、当該重要事実の内容に直接関係するものに限り、回答期限を定めて、政令第7条第2項の規定による証拠の提出を求める。