1 設計変更ガイドライン策定の背景・・・・・・P 1
工事請負契約における設計変更ガイドライン
日進市
令和4年4月
はじめに
日進市 設計変更ガイドライン
工事の施工においては、その自然的・社会的条件が複雑かつ多様で、不確実である。このため、契約時点で設計図書に定められた条件が、現地の条件と異なる場合には、施工方法や使用材料等の設計内容について、変更が生じる場合がある。
平成26年6月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律(改正品確法)」において、発注者責務の明確化が明記され、「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の内容に必ず実施すべき事項として「適切な設計変更」が義務付けられた。
本市では、設計変更については「日進市公共工事請負契約約款(土木及び建築)」においてその手続を定め、また、「日進市設計変更等事務取扱要領」では設計変更及びこれに伴う契約変更の取扱いについて必要な事項(変更理由、変更の範囲、手続及び様式)を定めている。
本ガイドラインは、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等をまとめ、これを請負者・発注者の共通の目安とすることにより、設計変更が適切に実施されることを目的とし、策定したものである。
Ⅰ 設計変更ガイドライン目次
日進市 設計変更ガイドライン
1 設計変更ガイドライン策定の背景・・・・・・P 1
(1)請負工事の特徴
(2)発注者・請負者の留意事項
(3)適切な設計変更の必要性
(4)ガイドライン策定の目的
(5)ガイドラインの適用範囲
2 設計変更が適切に実施される為には・・・・・P 3
3 設計変更手続きフロー・・・・・・・・・・・P 4
4 設計変更が不可能なケース・・・・・・・・・P 7
◆基本事項
5 設計変更が可能なケース・・・・・・・・・・P 8
◆基本事項及び留意事項
◆日進市設計変更等事務取扱要領による変更理由
◆設計変更による契約変更の範囲
◆設計変更の手続
◆契約変更の手続
(1)設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合の手続き
(2)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
(3)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
(4)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
(5)設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合の手続き
(6)工事中止の場合の手続き
(7)「設計図書の照査」の範囲を超えるもの
(9)発注者の請求による工期の短縮等
6 設計変更に関わる資料の作成・・・・・・・・・P23
(1)設計照査に必要な資料作成
(2)設計変更に必要な資料作成
7 関連事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・P25
◆指定・任意の正しい運用
◆入札・契約時の設計図書等の疑義の解決
8 設計図書の照査について・・・・・・・・・・・P28
1 設計変更ガイドライン策定の背景
(1)請負工事の特徴
工事では、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。
当初積算時に予見できない事態、例えば土質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
(2)発注者・請負者の留意事項
発注者は
設計積算にあたって、工事内容に関係する現場条件については、特記仕様書の条件明示の項目に記載するよう努めること。
請負者は
工事の着手にあたって設計図書を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合についても、条件変更の確認請求手続きを行うことが重要である。
した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るよう努める。
『発注関係事務の運用に関する指針』P4抜粋
(3)適切な設計変更の必要性
改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
また、変更見込金額が請負代金額の30%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこととする。この場合において、特に、指示等で実施が決定し、施工が進められているにも関わらず、変更見込金額が請負代金額の30%を超えたことのみをもって設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負代金の額や工期の変更を行わないことはあってはならない。
(4)ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と請負者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
2 設計変更が適切に実施されるためには
◆設計変更が適切に実施されるためには
(現場で施工した内容に見合った設計変更とするためには)
工事発注段階では、条件明示を徹底する。
施工段階では指示・協議は書面にて約款第19条第3項により調査の終了後14日以内に関係部局の調整を行ったうえで回答する。
発注者
工事の着手にあたって設計図書を照査し、疑義が生じた場合は、速やかに約款第19条第1項による発注者に確認を請求し書面にて回答を得てから施工を行う。施工途中でも同様。
請負者
・積算前の現地調査
・条件明示項目の記載の有無の確認
・ワンデーレスポンス※に基づく速やかな意思決定及び回答を行う
・設計図書の照査要領(案)(愛知県建設局)の活用
・工程を考慮した早い段階での確認の請求
※・請負者が発議した打合せ簿に対して速やかに回答する
・回答が遅れる場合は、回答予定日を連絡する 等
発注者
請負者
請負工事の契約成立
3-1 設計変更手続きフロー(約款第19条・第20条)
日進市 設計変更ガイドライン
【約款第20条】
設計図書の変更
(発注者が設計図書の変更を必要と認めたとき)
【約款第19条第1項】
照査結果の報告(請負者)
通知(請負者)
内容の確認(発注者)
【約款第20条】
設計図書の変更(発注者)
【約款第19条第4項】
設計図書の訂正又は変更(発注者)
【約款第20条】
設計変更通知(様式第1号)にて変更内容を通知
設計図書の変更は行わない
【約款第20条】
工期若しくは請負代金の変更
【約款第19条第5項】
工期若しくは請負代金の変更
・設計及び契約変更の手続きをその都度行う。
ただし、設計変更は要領第5条第1項(1)から(3)に該当する場合、契約変更は第6条第1項(1)から (4)までの条件のいずれかを満たす場合は工事施工後に行うことができる。
凡例
請負者からの設計図書の条件変更の確認請求
設計図書の照査等(請負者)設計図書の照査要領(案)
【標準仕様書、特記仕様書等】
条件変更等
【標準仕様書1-1-3】
請負者
発注者
工事目的物の変更を伴うが請負者の都合によるもの 任意仮設の変更など
工事目的物の変更を伴うもの指定仮設の変更など
その他「約款」に記載されている設計・契約変更の対象となる事項
○第9条:特許xxの使用
○第16条:支給材料
○第18条:設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等
○第21条:工事の中止
○第23条:発注者の請求による工期の短縮等
○第26条:賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更
○第27条:臨機の措置
○第28条:一般的損害
○第30条:不可抗力による損害
3-2 設計変更手続きフロー(約款第19条関係)
日進市 設計変更ガイドライン
①設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと
②設計図書に誤謬又は脱漏があること
③設計図書の表示が明確でないこと
④工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
⑤設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと
【約款第19条第1項】
発注者
上記の1つに該当する事実を発見
【約款第19条第2項】
約
款
【約款第19条第2項】
発注者:調査の実施請負者:立会い
上記の1つに該当する事実を発見
請負者
【約款第19条第1項】
条件確認書(様式第2号)の提出
条
19 調査結果の取りまとめ
【約款第19条第3項】
意見 【約款第19条第1項】
によ
る 【約款第19条第4項】
条件確認書(様式第2号)により回答
(とるべき措置の指示含む)原則14日以内 受理
【約款第19条第4項第3号】
【約款第19条第3項】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更
設計変
更 【約款第19条第4項第1号】
【約款第19条第4項第2号】
発注者において工事目的物の変更を伴わないと判断した場合は協議
の 設計図書の訂正 設計図書の変更
手
続
き 設計変更通知書(様式第1号)にて変更内容を通知 通知 受理
【約款第19条第5項・約款第20条】
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金の変更
x 変更図面・特記仕様書・変更数量計算書等の変更設計図書の作成
約
変 協議①工期の変更
指示・協議内容・現地条件と適合しているか確認
更 ②請負代金額の変更
の手
続 契約締結(協議の成立)
【約款第24・25条】
請負者
凡例
発注者
6
4 設計変更が不可能なケース
【基本事項】
下記のような場合は、原則として設計変更ができない。
(ただし約款第27条(臨機の措置)での対応の場合はこの限りではない)
日進市 設計変更ガイドライン
1.契約図書に条件明示のない事項において、発注者に条件変更の確認請求を行わず請負者が独自に判断して施工を実施した場合
対応例)請負者は約款第19条第1項に該当する事項等発見したときは、その事実が確認できる資料を条件変更確認請求通知書(様式第2号)により監督員に提出し確認を求める。
2.発注者に条件確認書を提出しているが、回答がない時点で施工を実施した場合
対応例)回答は、発注者が約款第19条第3項により調査の終了後14日以内にすることとなっており、速やかな回答は発注者の責務である。もある。その為、請負者はその事実が判明次第、出来るだけ早い段階で条件変更の確認請求手続きを行うことが重要である。
3.「承諾」で施工した場合
対応例)承諾とは、請負者が自らの都合による施工方法等について発注者に施工の同意を得るものである。設計図書と工事現場の不一致・条件明示の無い事項等の場合は約款第19条による条件変更の確認請求をすることが必要であり、安易な承諾による施工は
避けるべきである。
4.日進市公共工事請負契約約款・日進市設計変更等事務取扱要領第5条(設計変更の手続)の手続きを経ていない場合
(約款第1925条、標準仕様書1-1-15 1-1-17)
対応例)発注者及び請負者は協議指示・一時中止・工期延期・請負代金の変更など所定の手続を行う。
5.正式な(指示・協議等)書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
対応例)発注者は速やかに書面による指示・協議等を関係部局の調整後に行う。請負者は書面による指示・協議等の回答を得るまでは施工しない。
5 設計変更が可能なケース
日進市 設計変更ガイドライン
【基本事項】
◆下記のような場合においては設計変更が可能である。
1.仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や湧水等が現地で確認された場合(ただし、所定の手続きが必要。)
2.当初発注時点で想定している工事着手時期に、請負者の責によらず、工事着手出来ない場合
3.所定の手続き(設計変更の手続)を行い、発注者の「設計変更内容の通知」によるもの。
(「通知」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。)
4.請負者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合
5.請負者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
◆設計変更にあたっては下記の事項に留意し請負者へ通知する。
1.当初設計の考え方や設計条件を再確認し、条件確認書(様式第2号)により回答する。
2.当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし、設計変更は約款第19条5項・第20条に基づき設計変更通知書により通知する(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注すべきか)を明確にする。)。
3.設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
4.日進市設計変更等事務取扱要領第5条第1項各号によるいずれかの条件を満たす設計変更は、工期の末までに行うことができる。
【日進市設計変更等事務取扱要領による変更理由】
日進市 設計変更ガイドライン
◆約款又は特に定めた契約条件に規定する事項に該当し、以下の理由により元設計を変更する必要が生じた場合に行う。
(1)発注後に発生した外的条件によるもの
ア 自然現象、その他不可抗力による場合【約款第19条第1項第4号又は第5号】
<例>○月○日の大雨により、現地盤の変状が確認されたため、現地に適合するよう変更する。
イ 他事業及び施行条件等に関連する場合【約款第19条第1項第4号又は第5号】
<例>発生土の搬出先について■■市○○地内の河川工事を予定していたが、工程調整の結果、●●市△△地内の区画整理工事へ変更する。
ウ 地元調整等の処理による場合【約款第19条第1項第4号又は第5号】
<例>地元要望により○○市の排水計画に変更が生じたことから、それに合わせ当該道路の流末箇所を変更する。
<例>工事用道路の振動抑制対策について地元要望があり、調査の結果、敷鉄板の敷設を追加した。
エ 安全対策に基づく場合(交通誘導警備員、仮設工等) 【約款第19条第1項第4号又は第5号】
<例>工事にあたり、警察協議を行ったところ、交通誘導警備員の配置計画について意見を付されたことから、配置人数を変更する。
<例>工事にあたり、警察協議を行ったところ、現道切り回し作業を夜間とするよう意見を付されたことから、夜間作業を追加する。
(2)発注時において確認困難な要因に基づくもの
ア 推定岩盤線の確認に基づく場合【約款第19条第1項第4号】
日進市 設計変更ガイドライン
<例>護岸の施工にあたり河床を掘削したところ、岩盤線が当初想定していたxxxxも低い位置にあったため、護岸が岩着するよう施工範囲を変更する。
イ 地盤支持力の確認に基づく場合【約款第19条第1項第4号】
<例>当初想定していた支持地盤が試験杭の施工やボーリング調査結果から強度不足が判明したので、基礎工の構造を変更する。
ウ 土質・地質の確認に基づく場合【約款第19条第1項第4号】
<例>土質条件が現場と設計で一致せず、薬液注入率を変更する。
エ 地下埋設物の撤去等に基づく場合【約款第19条第1項第4号】
<例>埋設管が工事の支障となるため、既設管を一部撤去し、埋設管の切り回し工事を追加変更する。
オ 建設リサイクル法等に基づく場合(数量、処理方法、処理場等の変更)【約款第19条第1項第4号】
<例>発生したAs殻にクラック抑制シート等の不要物が混入していたため、処理費用を変更する。カ 諸経費調整に基づく場合
キ 施工条件の明示項目の変更に基づく場合【約款第19条第1項第4号】
<例>当初設計では、掘削にあたり水替えポンプを想定していたが、予想以上に湧水が多いため、ウェルポイント工法を追加変更する。
ク 測量・地質調査時等に判明が不可能な場合【約款第19条第1項第4号】
<例>測量時と現地の状況が改変されており、擁壁高さを変更する。
ケ 設計図書の不一致、誤謬、脱漏、不明確な表示、設計図書の施工条件と工事現場の不一致及びその他確認困難な要因による場合【約款第19条第1項第1号から第5号】
(3)事業の進捗を図るもの【約款第20条】
<例>設計額と契約額との差額(いわゆる執行残)又はやむを得ない理由により執行困難となった用地買収費、補償費等の経費を年度末近くにおいて別途に発注すべきいとまがない場合において、当該予算が計上された主旨に沿って既発注契約の事業的効果或いは投資効果を促進するため、追加変更する場合等。
【設計変更による契約変更の範囲】-日進市設計変更等事務取扱要領より-
◆設計変更により契約変更のできる範囲は、以下のいずれかに該当する場合とする。
(1)設計変更による増加率が当初契約金額の30パーセント以内の場合
ただし、30パーセントを超えるものであっても、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難な場合については、契約変更することができるものとする。なお、「30パーセント」という範囲は、契約変更が2回、3回と重なることがあっても、当初契約金額に対する各回ごとの累計概算増減額がこの範囲を超えてはならない。
(2)設計変更により現契約金額を減額する場合
【設計変更の手続】-日進市設計変更等事務取扱要領より-
◆設計変更はその必要が生じた都度、契約担当者が行わなければならない。
ただし、以下の(1)から(3)のいずれかの条件を満たす変更は、当該変更に係る工事施工後に行うことができるものとする。
(1)施行前に数量が定まらないもの。
(2)防災及び安全管理等のため、緊急対応が必要なもの。
(3)請負者の責によらない事由で、設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるもの。)。
◆契約担当者は当該変更の内容を設計変更通知書(様式第1号)に整理し、請負者に対し設計変更内容を通知しなければならない。
◆事前に約款19条に基づく請負者から条件確認書(様式第2号)の提出があった場合は、調査を行ったうえ調査結果を請負者に回答するものとする。
【契約変更の手続】-日進市設計変更等事務取扱要領より-
◆設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた場合に遅滞なく行うものとする。
ただし、次に掲げる(1)から(4)のいずれかの条件を満たす契約変更は、工期の末までに行うことができるものとする。
(1)施行前に数量が定まらないもの。
(2)防災及び安全管理等のため、緊急対応が必要なもの。
(3)請負者の責によらない事由で、設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるもの。)。
(4)当初契約金額に対する累積概算増減額の増加率が30パーセント未満かつ増加額が500万円未満のもの。
(1)設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書
日進市 設計変更ガイドライン
が一致しない場合の手続き(これらの優先順位が定められている場合を除く)
(約款第19条第1項(1)) <設計変更可能なケース>
○設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書に優先順位の規程がなく、例えば図面と仕様書が一致していない場合に、請負者が勝手に判断して、施工を続けることは不適当であるため、設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書のうち誤っていると思われる点を発注者に確認すべきである。
請負者
発注者
「約款第19条(条件変更等)第
1項(1)」に基づき、条件明示が一致しない旨を直ちに発注者に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
請負者及び発注者は約款第24条、約款第25条に基づき、「協議」により工期変更及び変更請負代金額を定める。
例 ア.設計図書の平面図と詳細図でH鋼の規格、舗装構成等の記載が一致しない場合
(2)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
(約款第19条第1項(2)) <設計変更可能なケース>
○請負者は、xxxx、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合は設計図書を訂正する必要がある。また、設計図 書に脱漏がある場合に、請負者は、勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確 認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
請負者
発注者
「約款第19条(条件変更等)第
1項(2)」に基づき、その旨を直ちに発注者に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
請負者及び発注者は約款第24条、約款第25条に基づき、「協議」により工期変更及び変更請負代金額を定める。
例 ア.条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
イ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合 ウ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導警備員についての条件明示がない場合
(3)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
(約款第19条第1項(3)) <設計変更可能なケース>
○設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、請負者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
請負者
発注者
「約款第19条(条件変更等)第
1項(3)」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに発注者に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
請負者及び発注者は約款第24条、約款第25条に基づき、「協議」により工期変更及び変更請負代金額を定める。
例. ア.土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
イ.水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
(4)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
(約款第19条第1項(4)) <設計変更可能なケース>
日進市 設計変更ガイドライン
○自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。
また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、残土処理場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
発注者
請負者
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項・第5項に基づき、
必要に応じて設計図書の訂正・変更
請負者及び発注者は約款第24条、約款第25条に基づき、「協議」により工期変更及び変更
請負代金額を定める。
「約款第19条(条件変更等)第1項
(4)」に基づき、設計図書の条件明示(当初積算の考え)と現地条件とが一致しないことを直ちに発注者に通知
例. ア.設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ.設計図書に明示された交通誘導警備員の人数等が現地の規制と一致しない場合 エ.前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合オ.その他、新たな制約等が発生した場合
(5)設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合の手続き
(約款第19条第1項(5)) <設計変更可能なケース>
日進市 設計変更ガイドライン
○当初は、予期することができなかったために設計図書に施工条件として定められておらず、事後的に生じた特別な状態が施工条件となる場合についても、契約締結や工事施工の前提を大きく変えるものであり当初の設計図書どおりに施工することは不適当である。
また、すでに存在しており予期することができたのに設計図書に施工条件として定められていなかったものについては、設計図書に脱漏がある場合として第1項(1)の適用を受けることとなる。
発注者
請負者
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項・第5項に基づき、
必要に応じて設計図書の訂正・変更
請負者及び発注者は約款第24条、約款第25条に基づき、「協議」により工期変更及び変更
請負代金額を定める
「約款第19条(条件変更等)第1項
(5)」に基づき、発注時に確認困難な要因による事象が現地条件と一致しないことを直ちに発注者に通知
例. ア.工事区域内に想定外の軟弱地盤層が存在し、地盤改良が必要となった場合イ.施工中に地下埋設物を発見し、撤去が必要となった場合
ウ.工事区域内において埋蔵文化財が発見され、調査が必要となった場合
確保及び工程遅延に影響がある場合
(6)工事中止の場合の手続き
(約款第21条) <設計変更可能なケース>
○請負者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、請負者が工事を施工できないと認められる場合の手続き
請負者
発注者
地元調整や予期しない現場条件等のため、請負者が工事を施工することができない
「約款第21条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない。
請負者は、標準仕様書1-1-15第
3項に基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る。
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る。
基本計画書に基いた施工の実施
発注者は、現場管理上、最低限必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
承諾した基本計画書に基づき、施工監督及び設計変更を実施
例<設計変更可能なケース>
ア.設計図書に工事着工時期が定められている時に、その期日までに請負者の責によらず施工できない場合イ.請負者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
ウ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
エ.設計図書と実際の施工条件の相違が発見されたため施工を続けることが困難な場合オ.埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
(7)「設計図書の照査」の範囲を超えるもの
<設計変更可能なケース>
ア.現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
イ.施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
ウ.現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
構造計算の再計算が必要となるもの。オ.構造物への外力条件が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
カ.現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲をこえるものとして扱う)。
キ. 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。ク.基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
ケ.土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。コ.「手引き」「各種示方書」等との対比設計。
サ.構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。シ.設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、請負者の費用負担によるものとする。
(約款第22条)<設計変更可能なケース>
○請負者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他請負者の責めに帰すことができない事由により工期内
とができる。
「約款第22条(請負者の請求による工
xを明示した書面により発注者に通知
発注者は第2項に基づき、必要がある
ければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う。
発注者
請負者
協議
請負者及び発注者は約款第24条、約款第25条に基づき、「協議」により工期変更及び変更請負代金額を定める。
例.
(9)発注者の請求による工期の短縮等
(約款第23条)<設計変更可能なケース>
○発注者は、特別な理由により工期を短縮等する必要があるときは、工期の変更を請負者に書面にて請求することができる。
請負者は発注者からの請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得る。
発注者は、「約款第23条(発注者の請求による工期の短縮等)第1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により請負者に請求。
発注者
請負者
協議
請負者及び発注者は約款第24条、約款第25条に基づき、「協議」により工期変更及び変更請負代金額を定める
例. ア.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
イ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
6 設計変更に関わる資料の作成
日進市 設計変更ガイドライン
設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
(1)設計照査に必要な資料作成
請負者は、当初設計等に対して約款第19条第1項に該当する事実が発見された場合、発注者にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、これらの資料作成に必要な費用については当初経費に含まれるものとし、契約変更の対象としない。
<約款第19条第1項>
請負者
発注者
約款第19条第1項に該当する事実を発見
現地と設計内容の違いについて、
確認できる資料を条件確認書に添付し提出。
資料を確認。
この資料の作成費用は設計変更の対象
としない。
(2)設計変更に必要な資料作成
約款第19条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、約款第19条第4項に基づき発注者が行うものであるが、やむを得ず請負者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
① 設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、発注者・請負者間で確認する。
② 設計変更するために必要な資料の作成について書面により通知後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③ 発注者は、書面による指示に基づき請負者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④ 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤ 増加費用の算定は「平成30年3月1日付け29建企第553号 付加的業務の運用について(通知)」を基本とし、発注者・請負者間で確認する。
<約款第19条第4項>
請負者
発注者
設計図書の訂正又は変更は発注者
設計変更が必要な内容について、発注者・請負者間で確認
必要な資料の作成ついて発注者が請負者に具体的な作業を指示
設計変更に関わる資料を作成→提出
資料を確認。
この資料の作成費用は、設計変更の対象。
やむを得ず請負者に依頼する場合とは、以下の条件を全て満たす場合に適用可能とする
1)発注者の発議により、付加的業務(請負者による変更設計図書の作成)を実施することについて、請負者と作成図書及び作成期間(納期)について事前に協議が整っていること
2)設計図書の訂正又は変更内容等が当初の構造形式から変更とならないこと
3)「設計・施工条件確認会議」等による取り合いなどの現場不一致の変更や、早急な変更が必要な場合など、請負者以外では円滑な施工管理が困難となる場合
するものは、調査設計業務委託積算基準や見積を用いて適切に費用計上すること。
7 関連事項
◆指定・任意の正しい運用
日進市 設計変更ガイドライン
仮設・施工方法等の指定・任意については、約款第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要がある。
1.任意の仮設・施工方法等については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は請負者の責任で行う。
仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある。
任意については、請負者が自らの責任で行う
もので、仮設、施工方法等の選択は、請負者に委ねられている。(変更の対象としない)
発注者(監督員)は任意の趣旨を踏まえ、適切な対応が必要。
※任意における下記のような対応は不適切
・○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・標準歩掛ではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・新技術の活用について請負者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応。
ただし、任意であっても、設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は変更できる
2.任意の仮設・施工方法等については、その仮設・施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象とならない。ただし、指定・任意ともに設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は設計変更の対象となる。
◎ 発注者の指定事項以外は請負者の裁量の範囲
■自主施工の原則
約款第1条第3項により、設計図書に指定されていなければ、工事実施の手段、仮設物等は請負者の裁量の範囲
約款第1条第3項
仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、請負者がその責任において定める。
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する | 施工方法等について具体的には指定しない |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 請負者の任意(施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更がある場合の設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない |
条件明示の変更に対応した設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・仮設構造物を一般交通に供する場合 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合 ・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設 |
◆入札・契約時の契約図書等の疑義の解決
・契約図書等に係る疑義については、下記により、入札前の段階、設計図書の照査の段階で解決しておくことが、スムーズな設計変更に繋がることになる。
【入札前】
・入札参加者は、発注者から指示された設計書、図面及び仕様書(以下「設計図書」という。)その他契約締結に必要な条件を検討のうえ、入札しなければならない(日進市建設工事関係入札者心得書第9条第1項)。
・設計図書に対する質問(技術資料を作成するために必要な質問を含む。)は、公告に記載のある質問受付期間内に提出するものとする。
【契約後】
・請負者は、工事着手前及び工事途中において、自らの負担により約款第19条第1項第1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員を通じて発注者にその事実が確認できる資料を添付した「条件確認書(様式第2号)」を提出し、確認を求めなければならない。なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、請負者は、監督員から更に詳細な説明または書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
設計図書の照査等)
8 設計図書の照査について
日進市 設計変更ガイドライン
(1)約款及び標準仕様書において設計照査の実施は請負者の責務
約款第19条(条件変更等)
請負者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
(1)設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2)設計図書に誤謬又は脱漏があること。
(3)設計図書の表示が明確でないこと。
(4)工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5)設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと。
標準仕様書第1編総則編第1章総則
設計図書の照査等
請負者は、工事着手前及び工事途中において、自らの負担により約款第19条第1項第1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員を通じて発注者にその事実が確認できる資料を添付した「条件変更確認請求通知書」を提出し、確認を求めなければならない。
なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、請負者は、監督員から更に詳細な説明または書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
(2)設計図書の照査の範囲
●標準仕様書により請負者が作成する資料の範囲
①現場地形図・・・・・・・実測横断図
設計図との対比図・・・・当初設計図への現地盤線等の作図取合い図・・・・・・・・当初設計図への既設構造物の追記
施工図・・・・・・・・・施工ヤード等実施工程上問題となる施工資料
②更なる追加資料とは現地の事実が確認できない場合に限って要求できるものとする。注1)更なる追加資料とは前頁最終行「更に詳細な説明または書面の追加」を指す。
注2)現地事実の確認の範囲は、上記の資料に対して新たな比較設計や構造計算が伴うものは含まれていない。請負者の資料に対して更なる比較設計や構造計算等の検討に掛かる費用は発注者の責務において実施するものとする。
◆設計図書の照査の範囲を超えるもの
「設計図書の照査」の範囲を超えた設計図書の訂正又は変更に要する費用の負担は、発注者の責任において行うものとする。
※設計照査の範囲を超えるものの事例は本ガイドラインP.20を参照
◆請負者が実施する「設計図書の照査」の項目及び内容
請負者は、約款及び標準仕様書に基づいて設計照査を行うこととなるが、一般事項については、「設計図書の照査要領(案)」(愛知県建設局)の照査の項目を実施する。
また、その他工種毎の照査についても、適宜実施する。