第9条 コンソーシアム構成員は、他のコンソーシアム構成員と共有するフォアグラウンドIPについて、無償にて自己実施できるものとする。ただし、フォアグラウンドIP の共有権者に当該発明を実施する手段を有さない者が含まれる場合は、別段の取決めをすることができる。
「○○事業(試験研究計画名を記載)」知財合意書(案)(作成例)
(目的)
第1条 本合意書は、「○○事業(試験研究計画名を記載)」(以下「本研究計画」という。)の実施及びその成果の活用のために必要な知的財産の取扱いについて定めることにより、本研究計画を円滑に遂行し、その成果を事業活動において効率的に活用することを目的とする。
(定義)
第2条 本合意書において、次に掲げる用語は次の定義によるものとする。
一 「発明等」とは、次に掲げるものをいう。
イ 発明
ロ 考案
ハ 意匠の創作
ニ 半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和60年法律第43号)第2条第2項に規定する回路配置の創作
ホ 種苗法第2条第2項に規定する品種の育成
ヘ 著作物の創作
ト 技術情報のうち秘匿することが可能なものであって、かつ、財産的価値のあるもの(以下「ノウハウ」という。)の案出
二 「発明者等」とは、発明等をなした者をいう。
三 「知的財産権」とは、次に掲げるものをいう。
イ 特許権、特許を受ける権利、実用新案権、実用新案登録を受ける権利、意匠権、意匠登録を受ける権利、回路配置利用権、回路配置利用権の設定の登録を受ける権利、育成者権、種苗法(平成10年法律第83号)第3条に規定する品種登録を受ける地位及び外国における上記各権利及び地位に相当する権利及び地位
ロ 著作権(著作xx(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定する全ての権利を含む)及び外国における上記権利に相当する権利(以下「著作権」と総称する。)
ハ ノウハウを使用する権利
四 知的財産権の「実施」とは、特許法(昭和34年法律第121号)第2条第3項に定める行為、実用新案法(昭和34年法律第123号)第2条第3項に定める行為、意匠法(昭和34年法律第125号)第2条第3項に定める行為、半導体集積回路の回路配置に関する法律第2条第3項に定める行為、種苗法第2条第5項に定める行為、著作xx第21条から第28条までに規定する全ての権利に基づき著作物を利用する行為並びにノウハウを使用する行為をいう。
五 「コンソーシアム構成員」とは、本研究計画を実施する別紙に記載された者をいう。
六 「研究開発従事者」とは、本研究計画において実施する研究開発に従事する者をいう。
(〇〇コンソーシアム知財運営委員会)
第3条 本研究計画における知的財産の取扱いを適切に行うため、〇〇コンソーシアム知財運営委員会を設置する。
2 〇〇コンソーシアム知財運営委員会は、本研究計画における知的財産の取扱いについて、オープン・クローズ戦略を踏まえて権利化(国外出願も含む)、秘匿化、公知化、標準化等の方針を審議・決定するとともに、知的財産の活用方針等に係る調整を行う。
3 〇〇コンソーシアム知財運営委員会の審議内容、議決方法、構成員その他知財運営委員会の運営に関する事項は、別途定める○○コンソーシアム知財運営委員会運営規則によるものとする。
(秘密保持)
第4条 コンソーシアム構成員は、本研究計画に関して他のコンソーシアム構成員(その研究開発従事者を含む。)から開示され、かつ開示の際に秘密である旨明示された技術上の一切の情報を、秘密として保持し、当該情報開示者の承諾を得ない限り、研究開発従事者以外の第三者に対して開示し又は漏洩してはならない。また、開示を受けたコンソーシアム構成員は、当該情報を本研究計画の実施以外の目的で使用してはならない。ただし、開示を受けたコンソーシアム構成員が、当該情報が次のいずれかに該当することを立証できる場合についてはこの限りでない。
一 開示を受ける際、既に公知となっていたもの
二 開示を受ける際、自己が正当に保有していたもの
三 開示を受けた後、自己の責によらずに公知となったもの
四 開示を受けた後、正当な権利を有する第三者より秘密保持義務を負うことなく開示を受けたもの
五 開示を受けた情報によらずに、自己が独自に入手し、または創出したもの
2 コンソーシアム構成員は、自己に属する研究開発従事者が、研究開発従事者でなくなった後も含め、本条及び次条に規定する義務と同様の義務を、当該研究開発従事者に遵守させなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、本研究計画における秘密漏洩防止及び技術情報流出防止のために必要な措置については、〇〇コンソーシアム知財運営委員会において決定するものとする。
(本研究計画の成果の第三者への開示の事前承認)
第5条 コンソーシアム構成員は、知財運営委員会の承認を得ることなく、本研究計画の実施により得られた成果をコンソーシアム構成員以外の第三者に対して開示し又は漏洩してはならない。
(発明等の成果の届出及び権利化等方針の決定手続)
第6条 コンソーシアム構成員は、自己に属する研究開発従事者が、本研究計画の実施により発明等をなした場合には、直ちに〇〇コンソーシアム知財運営委員会に対し、発明者等及び発明等の成果の内容を届け出なければならない。
2 〇〇コンソーシアム知財運営委員会は、前項に基づく届出を受けた場合、別途定める〇〇コンソーシアム知財運営委員会運営規則に基づき、当該発明等の成果について、出願により権利化し又は秘匿する必要があるか否かの評価、出願により権利化する場合にあっては出願対象国、秘匿する場合にあっては秘匿期間等について審議し、決定する。
(出願による権利化)
第7条 コンソーシアム構成員は、本研究計画の成果を出願により権利化するに当たっては、海外においても市場展開が見込まれるのであれば、その市場規模や他社との競合状況等を勘案して権利化が必要と判断される国においても権利化することを原則とする。
2 〇〇コンソーシアム知財運営委員会は、コンソーシアム構成員と協議の上、コンソーシアム構成員が出願による権利化を行わないと判断した国において出願する権利を他のコンソーシアム構成員に譲渡させることができる。
3 本研究計画の成果の出願から登録の前までに要する費用は委託経費(間接経費)から支出できるものとし、登録及びそれ以降(維持管理等)の費用は、原則として出願人が負担するものとする。
(本研究計画の実施により得られた知的財産権の帰属)
第8条 本研究計画の実施により得られた知的財産権(以下「フォアグラウンドIP」という。)は、発明者等が属するコンソーシアム構成員の職務発明規程等に基づき当該コンソーシアム構成員に帰属させるものとする。
2 発明者等の所属するコンソーシアム構成員が二以上に亘る場合にあっては、各コンソーシアム構成員の持分は、当該コンソーシアム構成員間で協議して決定するものとする。
(共有するフォアグラウンドIPの取扱い)
第9条 コンソーシアム構成員は、他のコンソーシアム構成員と共有するフォアグラウンドIPについて、無償にて自己実施できるものとする。ただし、フォアグラウンドIPの共有権者に当該発明を実施する手段を有さない者が含まれる場合は、別段の取決めをすることができる。
(知的財産権の実施許諾)
第10条 コンソーシアム構成員は、自己が保有する知的財産権(フォアグラウンドIP以外の知的財産権を含む。以下本条において同じ。)について、委託期間中における他のコンソーシアム構成員による本研究計画内での研究開発活動に対しては、当該知的財産権を行使しないものとし、本研究計画の円滑な遂行に協力するものとする。ただし、コンソーシアム構成員間で有償により実施許諾すること等の別段の取決めがある場合はこの限りでない。
2 前項の規定は、コンソーシアム構成員が、保有するノウハウを他のコンソーシアム構成員に対して開示することを義務づけるものではない。
(フォアグラウンドIPの移転先への義務の承継)
第11条 コンソーシアム構成員は、フォアグラウンドIPの移転を行うときは、第7条から本条までの規定により課されている義務を負うよう当該知的財産権の移転先に約させなければならない。
(本研究計画から脱退したコンソーシアム構成員の取扱い)
第12条 コンソーシアム構成員は、本コンソーシアムから脱退した場合においても、本合意書により自己に課された義務を負うものとする。
(協議)
第13条 本合意書の解釈及びその他の事項につき疑義が生じたとき並びに本合意書にない事項について定める必要が生じたときは、〇〇コンソーシアム知財運営委員会において審議し、決定するものとする。
(本合意書の改訂)
第14条 〇〇コンソーシアム知財運営委員会は、全てのコンソーシアム構成員による同意を得て本合意書の改訂を行うことができる。
2 〇〇コンソーシアム知財運営委員会は、本合意書の改訂を行った場合は、速やかに生研支援センターに報告するものとする。
(有効期間及び残存条項)
第15条 本合意書は、○年○月○日より発効し、事業期間の終了後○年経過するまでは有効とする。
2 前項の規定にかかわらず、第4条の規定は、情報開示者が秘匿すべきとして明示した期間中は有効とし、第7条から第12条までの規定は、フォアグラウンドIP
の権利存続期間中は、当該存続するフォアグラウンドIPについて有効とする。
(本合意書と他の契約書との関係)
第16条 本合意書と本研究計画を進めるために当該機関が参加するコンソーシアム代表機関と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターとの間で締結された委託試験研究契約書(以下「委託試験研究契約書」という)との間に齟齬が生じた場合は、前項の規定にかかわらず、委託試験研究契約書で定めた規定のうち知的財産の取扱い及び守秘義務を優先するものとする。
本合意書が有効であることの証として本書○○通を作成し、本研究の当事者であるコンソーシアム構成員がそれぞれ記名捺印の上1通を保有する。
令和○年○月○日
(住所)
(法人名)
(代表者氏名)印
(住所)
(法人名)
(代表者氏名)印
※知財合意書をコンソーシアム規約等の中に組み入れて作成するなど、単独で作成しない場合は、上記のコンソーシアム構成員の住所、法人名、代表者名及び印は不要です。
※知財合意書は、本作成例を参考にし、生研支援センターが定める試験研究委託契約書を逸脱しない範囲で各コンソーシアムの実情に合わせて内容を検討した上で作成してください。