(解説) 本条は、本契約において使用される用語の定義をあらかじめまとめて規定したものです。第 7 号から第 10 号までは、共同研究のために各契約当事者から提供され又は共同研究を通じて創出されるデータの取り扱いを特に取り決める場合のみ設ける必要があ り、そのような取り決めを行わない場合には、削除されるべきものです。第 7 号から第 9号までの規定を置く場合には、別紙[1]及び[2]において、各データの範囲...
類型8 (発明者基準・共有成果事前包括許諾)共 同 研 x x 約 書(案)
[ ]大学(以下、「甲」という。)と[ ]( 以下、「乙」という。)とは、以下の研究項目に掲げる共同研究(以下、「本共同研究」という。)の実施に関 し、以下のとおり契約(以下、「本契約」という。)を締結する。
(契約項目表)
1.研究題目 | |||||
2.研究目的 | |||||
3.研究内容 | |||||
4.研究担当者 | 区分 | 氏名 | 所属・職名 | 本研究における役割 | |
甲 | |||||
乙 | 派遣の有無 | ||||
5.研究実施場所 | |||||
6.研究期間 | 平成 年 月 日 から 平成 年 月 日 まで | ||||
7.研究経費の負担 | 区分 | 研究費 | |||
甲 | [ ]円 | ||||
乙 | [ ]円 | ||||
合計 | [ ]円 | ||||
総額 | [ ]円 | ||||
8.施設及び設備 | 区 分 | 施設の名称 | 設 備 | ||
名 称 | 規 格 | 数量 | |||
甲 | |||||
乙 | |||||
9.xxxxの秘匿期間 | 本共同研究終了日(研究期間が複数年度にわたる場合は各年 度末)の翌日から起算して[ ]年間 | ||||
10.秘密保持義務の有効期 間 | 本共同研究終了日(研究期間が複数年度にわたる場合は各年度末)の翌日から起算して[ ]年間 | ||||
11.成果に関する知的財産権の帰属 | 甲 | ・甲に発明者が帰属する発明(甲発明)の知的財産(甲知的財産権)の単独帰属(第 13 条 1 項) ・甲及び乙に発明者が帰属する発明(共同発明)の知的財産 (共有知的財産権)の共有持分(第 13 条 2 項) | |||
乙 | ・乙知的財産の単独帰属(第 13 条 1 項) ・甲及び乙に発明者が帰属する発明(共同発明)の知的財産 の共有持分(第 13 条 2 項) | ||||
12.成果に関する権限 (実施権、選択xx) | 甲 | ・乙に発明者が帰属する発明(乙発明)の知的財産(乙知的財産権)の本共同研究その他研究目的での無償かつ非独占的実施(第 15 条 2 項) ・共同発明につき、本共同研究その他の研究目的での無償かつ非独占的実施(第 16 条 1 項) ・共同発明につき、第三者への実施許諾(第 16 条 2 項) |
1
乙 | ・甲発明/甲知的財産につき①本共同研究遂行目的での無償かつ非独占的実施(第 14 条 1 項)②本共同研究遂行目的以外 の目的での非独占的実施/独占的実施/譲渡の選択権(第 14 条 2 項) ・共同発明につき、本共同研究その他の研究目的での無償かつ非独占的実施(第 16 条 1 項) ・共同発明につき、第三者への実施許諾(第 16 条 2 項) ・共同発明/共有知的財産につき、本共同研究その他の研究目的以外の非独占的実施/独占的実施/譲渡の選択権(第 17 条) |
(以下、余白)
第 1 条 (定義) 本契約において、以下の各号に掲げる用語の意味は、当該各号に定めるところによる。
(1)「本研究成果」とは、本共同研究に基づき得られたもので、本共同研究の目的に関係する発明、考案、意匠、著作物、xxxx等の技術的成果をいう。
(2)「知的財産権」とは、以下に掲げるものをいう。
イ 特許法(昭和 34 年法律第 121 号)に規定する特許権、実用新案法(昭和 34 年法律第 123
号)に規定する実用新案権、意匠法(昭和 34 年法律第 125 号)に規定する意匠権、商標法(昭
和 34 年法律第 127 号)に規定する商標権、半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和
60 年法律第 43 号)に規定する回路配置利用権、種苗法(平成 10 年法律第 83 号)に規定する育成者権及び外国における上記各権利に相当する権利
ロ 特許法に規定する特許を受ける権利、実用新案法に規定する実用新案登録を受ける権利、意匠法に規定する意匠登録を受ける権利、商標法に規定する商標登録出願により生じた権利、回路配置利用権の設定の登録を受ける権利、品種登録を受ける権利及び外国における上記各権利に相当する権利
ハ 著作xx(昭和 45 年法律第 48 号)に規定するプログラムの著作物及びデータベース の著作物(以下「プログラム等」という。)に係る著作権並びに外国における上記権利に相当 する権利
ニ 秘匿することが可能な技術情報であって、かつ、財産的価値のあるものの中から、第
21 条の規定に基づき特定するもの(以下「ノウハウ」という。)
(3)「発明等」とは、特許権の対象となるものについては発明、実用新案権の対象となるものについては考案、意匠権及び回路配置利用権の対象となるものについては創作、商標権の対象となるものについては商標並びに育成者権の対象となるものについては育成をいう。
(4)「出願等」とは、特許権、実用新案権、商標権及び意匠権については出願、回路配置利用権については設定登録の申請、育成者権については品種登録の出願、並びに外国における上記各権利に相当する権利の申請、登録及び出願(仮出願を含む。)をいう。
(5)「出願等費用」とは、知的財産xxの出願等に要する費用であって、特許庁、裁判所等の機関又は甲及び乙のいずれにも所属しない弁理士等の外部専門家に対し支払われるものをいう。
(6)知的財産権の「実施」とは、特許法第 2 条第 3 項に定める行為、実用新案法第 2 条第 3
項に定める行為、意匠法第 2 条第 3 項に定める行為、商標法第 2 条第 3 項に定める行為、半
導体集積回路の回路配置に関する法律第 2 条第 3 項に定める行為、種苗法第 2 条第 5 項に定める行為、著作物のあらゆる利用行為並びにノウハウの使用をいう。
[(7)「本データ」とは、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)2 条所定の
「個人情報」以外の情報についての電磁的記録(電子的方式、電気的方式その他人の近くによっては認識できない方式で作成される記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)をいう。
(8)「各当事者提供データ」とは、本契約締結前から各当事者が利用権限を有し、本共同研究の目的で提供する本データであって、各当事者について別紙[1]に示される。
(9)「本成果データ」とは、本研究の遂行の過程で、又は、これに関して、創出され、取得又は収集される本データであって、別紙[2]に示される。
(10)「利用権限」とは、データを利用、管理、開示、譲渡(利用許諾を含む。)又は処分することのほか、データに係る一切の権限をいう。]
(解説) 本条は、本契約において使用される用語の定義をあらかじめまとめて規定したものです。第 7 号から第 10 号までは、共同研究のために各契約当事者から提供され又は共同研究を通じて創出されるデータの取り扱いを特に取り決める場合のみ設ける必要があ り、そのような取り決めを行わない場合には、削除されるべきものです。第 7 号から第 9号までの規定を置く場合には、別紙[1]及び[2]において、各データの範囲を画する必要があります(なお、さくらツールでは、「各当事者提供データ」及び「本成果データ」の特定並びにそれらの利用方法について定めるための別紙例もモデル契約とは別途作成していますので、必要に応じてご利用ください。)。なお、データについての契約上の取り扱いについては、経済産業省 IoT 推進コンソーシアム「データの利用権限に関する契約ガイドライン」(ver1.0 平成 29 年 5 月)も必要に応じてご参照ください。
第 2 条(研究題目等)
甲及び乙は、契約項目表 1.ないし 3.記載の共同研究(以下「本共同研究」という。)を実施するものとする。
(解説) 本条は、大学と企業が行なう共同研究の内容を特定したものです。
第 3 条(研究期間)
本共同研究の研究期間は、契約項目表 6.記載の期間とする。
(解説) x条は、共同研究の研究期間を特定したものです。
第 4 条(研究担当者)
1 甲及び乙は、それぞれ、契約項目表 4.に掲げる者を本共同研究の研究担当者として本共同研究に参加させるものとする。
2 甲は、乙が希望する場合、乙の研究担当者のうち甲の研究実施場所において本共同研究に従事する者を共同研究員として受け入れるものとする。
3 甲及び乙は、相手方の同意を得た上で、第1 項に定める研究担当者の変更、追加又は削減 を
行うことができるものとする。
(解説)
x条は、共同研究の研究担当者について規定したものです。第 1 項は、契約の相手方から開示される技術情報等は研究担当者のみに開示することができるとされていることから、あらかじめ特定しておく必要があるため、本共同研究の研究担当者を特定したものです。第 2項は、企業の希望に応じて大学が企業側の研究担当者を、大学の施設に受け入れることを認めたものです。第 3 項は、大学と企業の双方の合意の下、当初、指定した共同研究者の追加や変更を認めたものです。
第 5 条(研究経費の負担及び支払)
1 甲は、契約項目表 7.記載の研究経費、乙は、契約項目表 7.記載の研究経費[及び研究料]を、それぞれ負担するものとする。
2 乙は、甲が発行する請求書に定める支払期限までに研究経費[及び研究料]を支払うものとする。
3 乙は所定の支払期限までに研究経費[及び研究料]を支払わないときは、支払期日の翌日から支払った日までの日数に応じ、その未払額に年 5%の割合で計算した延滞金を付加して支払わなければならない。
(解説)
本条は、研究経費の分担及び支払方法について規定したものです。第 1 項では、大学が予め合意した研究経費を負担し、企業があらかじめ合意した研究経費を負担することとしています。第 2 項は、大学が支払期限を記載した所定の請求書を発行し、企業が支払期限までに
研究経費を支払うものとされています。第 3 項は、企業が請求書指定の支払期限までに支払を行わない場合には、企業は元本額の年率 5%の延滞金を加算した額を大学に支払うものとしています。
なお、研究経費を、その性質等に応じて区別し、例えば、「研究費」と「研究料」を規定する場合もあります。その場合、それぞれの内容について誤解がないよう、当事者間で合意し、可能であれば、定義規定を置くことが望ましいです。
定義規定例)「研究費」とは、甲の施設・設備の維持・管理に必要な経常経費等を除く、謝金、旅費、設備費、研究支援者等の人件費、消耗品費及び光熱水料等の本共同研究遂行に直接的に必要となる経費に相当する額、並びに甲が設ける規程により定められた本共同研究遂行に付随して間接的に必要となる経費に相当する額を合算した額に消費税及び地方消費税を加算したものをいい、「研究料」とは、共同研究員を受け入れる費用で、甲が設ける規程により定められた額に、消費税及び地方消費税を加算したものをいう。
第 6 条(経理)
1 前条の研究経費の経理は甲が行う。
2 乙は本契約に関する経理書類の閲覧を甲に申し出ることができる。甲は乙からの閲覧の申し出があった場合は、これに応じるものとする。ただし、当該経理書類の閲覧又は謄写により第三者の情報を開示することになるときは、甲は、乙に対しその理由を示した上で、該当部分の閲覧及び謄写を拒むことができる。
(解説)
本条は、研究費の経理について規定したものです。第 1 項は、研究費の経理を大学が担当
することとしています。第 2 項は、企業から大学に対し、経理書類の閲覧申出があった場合に原則としてこれに応じることとし、例外的に開示によって第三者の情報を開示することとなる場合には、企業に対して理由を示し、当該部分の開示を拒否することができます。
第 7 条(研究経費により取得した設備等)
契約項目表 7.記載の研究経費により取得した設備等は、甲に帰属するものとする。
(解説) 本条は、研究経費によって購入した設備は大学に帰属することを定めたものです。
第 8 条(施設及び設備の提供等)
1 甲及び乙は、契約項目表 8.に掲げる自己の施設・設備を本共同研究の用に供するものとする。
2 甲は、本共同研究の用に供するため、乙から契約項目表 8.に掲げる乙の所有に係る設備を乙の同意を得て無償で受け入れ、共同で使用するものとする。この場合、甲乙の合意により当該設備の所有権を無償で甲に移転できるものとする。なお、甲は乙から受け入れた設備について、その据付完了の時から返還に係る作業が開始される時まで善良なる管理者の注意義務をもってその保管にあたらなければならない。
3 前項に規定する設備の搬入、据付け、撤去及び搬出に要する経費は、乙の負担とする。
(解説)
本条は、契約当事者による施設や設備等の提供について定めたものです。第 1 項は、予め
特定した施設・設備を共同研究に使用できる状態にすることを定めています。第 2 項は、大学と企業が合意した設備を大学に搬入して共同で使用することを定めたものです。当該設備の所有権を当事者間の合意により、大学に移すこともできるものとしています。大学は、搬入を受けた設備を、善良な管理者の注意義務をもって保管しなければなりません。第 3 項は、企業の設備の搬入や据付に関する費用は企業が負担とすると定めたものです。
第 9 条(研究の中止又は期間の延長)
1 甲及び乙は、天災その他やむを得ない事由があるときは、相手方と協議した上で、本共同研究を中止し、又は当該協議により相手方との間で合意した場合には本共同研究の研究期間を延長することができる。この場合において、甲及び乙は、相手方に対し、中止又は期間延長の責めを負わないものとする。
2 甲は、甲の研究担当者等の退職又は他機関への異動により、本共同研究の実施の継続が困難になったと認められるときは、乙と協議した上で、本共同研究を中止することができる。この場合において、甲は、乙に対し、中止の責めを負わないものとする。
3 甲及び乙は、本共同研究の研究期間の延長により、第 5 条の規定により乙から甲に対し納入された本研究経費に不足が生じ、又は不足が生じるおそれがあるときは、本共同研究の継続の可否について協議するものとする。この場合において、乙が、当該不足額の追加負担をしないときは、甲は、乙との協議の結果を踏まえ、本共同研究を中止することができる。
(解説)本条は、災害などやむを得ない事由による共同研究の中止や期間の延長を行なう場合について規定しています。第 1 項では、災害等の事由により共同研究の続行が困難となった場合 には、当事者間で協議した上で、共同研究を中止するか、共同研究期間を延長することと定 めており、この場合には、大学と企業に中止や期間延長によって生じた損害や費用を負担し ないものとしています。第 2 項では、共同研究を担当していた共同研究担当者が大学を退職 したり、他の研究機関に異動したりした場合にも、当事者の協議によって本共同研究を中止 することができる旨を定めています。第 3 項は、第 1 項の研究期間を延長することによって、研究経費が不足した場合には、本共同研究の継続について改めて協議し、企業が、追加費用に負担をしない場合には、本共同研究を中止することができる旨を定めています。
第 10 条(研究の終了)
本共同研究は、以下のいずれかの事由が生じた時点において、終了するものとする。
(1)契約項目表 6.記載の研究期間が満了した場合
(2)研究期間満了前に共同研究が完了した場合
(3)第 26 条により、本契約が解除された場合
(4)甲及び乙が本共同研究の終了を合意した場合
(解説) x条は、本共同研究が終了する事由を例示しています。共同研究期間が満了した場合(第 1 号)、研究期間満了前に本共同研究が完了した場合(第 2 号)、本契約が解除さ
れた場合(第 3 号)、大学及び企業が本共同研究を終了させることを双方合意した場合(第
4 号)を定めて います。
第 11 条(研究の中止に伴う研究経費の取扱)
第9条(研究の中止又は期間の延長)の規定又は本契約の解除により、本共同研究を中止した場合において、第5条の規定により支払われた研究経費の額に不用が生じた場合は、乙は甲に不用となった額の返還を請求できる。
(解説) 本条は、本共同研究の中止により、不用となった研究経費を企業が返金請求しうることを定めた規定です。 さらに、予定通りに共同研究が終了した場合に残った研究経費の返金を請求する権利を企業に認める条項を定めることもできます。
第 12 条(研究の終了に伴う実績報告書の作成) 甲及び乙は、双方協力して、本共同研究の実施期間中に得られた本研究成果についての報
告書を、本共同研究終了の翌日から[ ]日以内にとりまとめるものとする。
(解説) x条は、本共同研究終了後、一定期間内に、大学と企業が協力して、本研究成果についての報告書を作成することを定めたものです
第 13 条(知的財産権の帰属)
1 本共同研究に伴い得られた発明等(以下「本発明等」という。)に関する知的財産権(以下「xx的財産権」という。)は、本発明等の発明者が所属する当事者にそれぞれ帰属するものとする(以下、発明者が甲にのみ属する発明等を「甲発明等」といい、甲発明等に関する知的財産権を「甲知的財産権」という。また、発明者が乙にのみ属する発明等を「乙発明等」といい、乙発明等に関する知的財産権を「乙知的財産権」という。)。
2 本発明等の共同発明者が甲及び乙にそれぞれ 1 人以上所属している発明等(以下「共同発明等」という。)に関する知的財産権(以下「共有知的財産権」という。)は甲乙の共有とする。
3 甲は、甲知的財産権及び共有知的財産権について、乙は、乙知的財産権及び共有知的財産権について、それぞれの規則等により、当該発明等を得た研究担当者等から、当該発明等に関する知的財産権の承継を受けるものとする。
(解説) x条は、本共同研究に伴って得られた発明等(以下「本発明等」といいます。)に関する知的財産権につき、発明者の属する当事者に帰属すると定めたものです。 当該発明等の発明者が大学又は企業のいずれかのみに所属している場合は、発明者が所属
している大学又は企業に知的財産権が単独で帰属することになります(第 1 項)。
他方で、共同発明の場合に、共同発明者が大学及び企業に各 1 名以上所属している場合には、当該知的財産権は大学と企業との共有とすることとしています(第 2 項) 大学及び企
業は上記取り決めに従い、研究担当者等から知的財産権を承継する義務を負います(第 3
項)。
第 14 条(甲発明等の取扱い)
1 甲は、甲発明等を研究目的で実施及び第三者に実施許諾できるものとする。ただし、第
21 条に定めるxxxx秘匿義務及び第 22 条に定める秘密保持義務を遵守するものとする。
2 甲は、乙に対し、本共同研究を遂行する目的で、甲発明等を無償で非独占的に実施することを許諾する。
3 乙は、甲発明等及び甲知的財産権につき、[出願等前まで/出願等後[ ]か月以内]に下記(1)から(3)のいずれかを選択できるものとする。
(1)甲発明等を、本共同研究を遂行する目的以外の目的で[有償/無償]で非独占的に実施する権利
(2)甲発明等を[有償/無償]で独占的に実施する権利
(3)甲知的財産権を有償で譲り受ける権利
4 乙が第 3 項(1)又は(2)の選択権を行使することにより発生する乙の実施権が有償とされる場合、乙が甲に支払う実施料その他の許諾条件は、甲乙協議の上定める。
5 乙が、第 3 項(3)に基づく有償譲受権を行使した場合、乙は甲に対し、甲乙で別途合意する譲渡対価を支払うものとする。
6 乙は、第 3 項の規定に基づき行った選択について、甲の事前の書面による同意を得て、同項に定める他の選択に変更することができる。ただし、甲は、乙より当該同意を求められたときは、正当な理由なく、当該同意を留保しないものとする。
(解説) 本条は、前条に従って大学に帰属するとされた知的財産の取扱及び企業側の選択権について定めたものです。(なお、以下「A/B」と記載のある箇所は A 又は B を合意により選択することが出来るという規定です)
第 1 項は、大学が、大学に知的財産権が帰属する発明等を研究目的で実施及び第三者に実施許諾することを認めています。ただし、発明等の実施にあたっては、本契約で定めるノウハウ秘匿義務及び秘密保持義務に違反しないように留意する必要があります。
第 2 項は、大学が企業に対し、大学に知的財産権が帰属する発明等を、本共同研究を遂行 する目的の範囲内で、無償で非独占的に実施することを許諾することと定めています。これは、本共同研究を遂行する上で、知的財産権が障害とならないように定めたものです。
第 3 項の趣旨は、第 13 条に基づいて大学に知的財産権が帰属するとされた発明等について も、企業側に発明等の実施や知的財産権の譲渡を受ける権利を認めることで、実態に応じた 柔軟な対応を可能にすることにあります。
上記の第 3 項の文例では、企業に対して、一定期間内(例として[出願等前まで/出願等 後[ ]か月以内])に、①第 2 項で認められている本共同研究遂行目的以外の目的で大学に 知的財産権が帰属する発明等を無償又は有償で非独占的に実施する権利(1 号)
②大学に知 的財産権が帰属する発明等を無償又は有償で、独占的に実施する権利(2号)③大学に帰属 する知的財産権を有償で譲り受ける権利(3 号)の 3 種類のいずれかを選択して行使できる 権利を認めています。
1 号及び 2 号の[無償/有償]の部分は、この契約段階でどちらかを選択して合意します。
有償で合意した場合、その実施料の金額等は第 4 項により、別途協議して定めることとして います。
さらに、第 3 項に定める企業に対する実施権付与や権利譲渡の定め方には、様々なバリエーションが可能です。①選択権行使の「一定期間」として例示以外の別の期間を定めたり、②期間ではなく、甲が第三者への実施許諾をしない場合に選択権行使できることとしたり、③選択肢として、このうちの 1 種類だけを定めたり、④実施権付与期間を●年間と限定した り、⑤3 号の譲渡を「譲渡の優先交渉権」するなど、事案に応じて、当該権利の活用に適した形を交渉して決めることができます。
なお、第 1 号及び第 2 号について、実施許諾が第三者への再許諾の権限まで含むか否かは 当事者間の協議によって決定すべきこととなります。
また、第 3 号については、企業側が譲渡権を行使した場合には、具体的な譲渡対価は第 17
条 2 項で協議の上、決定するとしても、企業の大学に対する特許移転登録請求権(特許出願 については名義書換え請求権)等は譲渡権の行使によって生じるものと解され得ることには 注意が必要です。大学が知的財産の譲渡を予定していない場合には、第 3 号を削除(関連する第 17 条第 2 項等の修正を含む。)するなど適宜契約書を修正することが必要です。
第 4 項は、共同研究契約の締結時点で、企業が第 3 項(1)又は(2)の選択権を行使した際の具体的な実施料等について合意することが難しい場合を想定し、研究成果に関する特許出願等の際など、将来に当事者間で協議して、実施料等の条件について定めることとするものです。
共同研究契約の締結時点で具体的な実施料等について合意できる場合は、以下の①~⑤のいずれかとすることが考えられます(類型0~3の第 17 条の解説と同じ)。
①大学と企業で定める利用許諾料率による支払
②まとまった一時金の支払
③大学と企業で定める研究段階ごとの一時金の支払
④上記①から③の組み合わせ
⑤無償
上記に係る具体的な規定例は次のとおりです。
[①毎年[ ]月[ ]日から[ ]月[ ]日までのそれぞれ[ ]月間に販売したxx的財産権を用いた製品の[正味販売価格]の[ ]%の実施料を、それぞれ[ ]月[ ]
日及び[ ]月[ ]日より[ ]日以内に[(i)現金/(ii)相当額の新株予約権の付与]にて支払うものとする。
②本契約の締結から[ ]日以内に[ ]円を現金にて支払うものとする。
③下記研究段階ごとに下記実施料を[(i)現金/(ii)相当額の新株予約権の付与]にて支払うものとする。
(1)[研究段階 1]完了後[ ]日以内に[ ]円
(2)[研究段階 2]完了後[ ]日以内に[ ]円
(3)[研究段階 3]完了後[ ]日以内に[ ]円
④以下のとおり、[(i)現金/(ii)相当額の新株予約権の付与]にて支払うものとする。
(1)本契約の締結から[ ]日以内に[ ]円
(2)[研究段階 1]完了後[ ]日以内に[ ]円 (3)[研究段階 2]完了後[ ]日以内に[ ]円 (4)[研究段階 3]完了後[ ]日以内に[ ]円
(5)毎年[ ]月[ ]日から[ ]月[ ]日までのそれぞれ[ ]月間に販売したxx的財産権を用いた製品の[正味販売価格]の[ ]%の実施料を、それぞれ[ ]月[ ]日及び[ ]月[ ]日より[ ]日以内
⑤無償とする。]
第 5 項は、企業が第 3 項(3)に基づき、大学に帰属する知的財産権を有償で取得する選択権を行使した場合、企業が大学と合意した譲渡対価を大学に支払うとしたものです。譲渡対価を定めるにあたっては、利用許諾料と同様に、大学における長期的な研究計画や企業による知的財産の利用可能性等を踏まえ、支払額や支払方法について柔軟に協議にすることが想定されています。
第 6 項は、企業が前項で行なった選択を大学からの書面による同意を得て変更することができる旨を定めた規定です。
第 15 条 (乙発明等の取扱い)
1 乙は、乙発明等を自己のために実施及び第三者に実施許諾できるものとする。ただし、第
21 条に定めるxxxx秘匿義務及び第 22 条に定める秘密保持義務を遵守するものとする。
2 乙は、甲に対し、乙発明等を、本共同研究その他研究目的で、無償で非独占的に実施することを許諾する。
(解説)
本条は、第 13 条に従って、知的財産権が企業に帰属することとなった発明等の取扱について定めたものです。
第 1 項は、企業が、知的財産権が企業に帰属する本発明等を自ら実施することを認めています。ただし、本契約で定めるxxxx秘匿義務及び秘密保持義務に違反しないように留意することは大学と同様です。
第 2 項は、企業が大学に対し、知的財産権が企業に帰属する本発明等を、本共同研究を遂行する目的の範囲内で、無償で非独占的に実施することを許諾することと定めています。これは、前条同様に本共同研究を遂行する上で、知的財産権が障害とならないように定めたものです。
第 16 条 (共同発明等の取扱い)
1 甲及び乙は、それぞれ、共同発明等につき、本共同研究その他の研究目的で、無償で非独占的に実施することができる。
2 甲及び乙は、相互に、共同発明を第三者に実施許諾することを包括的に許諾する。
3 甲及び乙は、共同発明等を第三者に実施許諾し、実施料を受領した場合、その[50%]を、相手方に支払うものとする。
(解説)
本条は、第 13 条に従って、知的財産権が大学と企業との共有に属することとなった共同発明等及び共有知的財産権の取扱について定めたものです。
第 1 項は、大学及び企業が相互に、共同発明等を無償で非独占的に実施することを認めて
います。
第 2 項は、大学又は企業が、共同発明等の実施を第三者に許諾することを事前に包括的に許諾しています。
第 3 項は、大学又は企業が第三者に共同発明等の実施を許諾した場合に、許諾料の一部を相手方に分配するものとした規定です。
第 17 条 (共同発明等の取扱い-乙の選択権)
1 乙は、共有知的財産権につき、[出願等まで/出願等後[ ]か月以内]に下記(1)から
(2)のいずれかを選択できるものとする。
(1)共同発明等を、[有償/無償]で独占的に実施する権利
(2)共有知的財産権を有償で譲り受ける権利
2 乙が第 1 項(1)又は(2)の選択権を行使することにより発生する乙の実施権が有償とされる場合、乙が甲に支払う実施料その他の許諾条件は、甲乙協議の上定める。
3 乙が、第 1 項(2 )に基づく有償譲受権を行使した場合、乙は甲に対し、甲乙で別途合意する譲渡対価を支払うものとする。
4 乙は、前項の規定に基づき行った選択について、甲の事前の書面による同意を得て、同項に定める他の選択に変更することができる。ただし、甲は、乙より当該同意を求められたときは、正当な理由なく、当該同意を留保しないものとする。
(
(解説)
第 1 項の趣旨は、第 13 条に基づいて共有とされた発明等についても、企業側に発明等の独占的実施や知的財産権の譲渡を受ける権利を認めることで、実態に応じた柔軟な対応を可能にすることにあります。
上記第 1 項の文例では、企業に対して、一定期間内(例として[出願等前まで/出願等後[ ]か月以内])に、①共同発明等を無償又は有償で、独占的に実施する権利
(1 号)③ 共有知的財産権を有償で譲り受ける権利(2 号)を選択する権利を認めたものです。1 号の[無 償/有償]の部分は、この契約段階でどちらかを選択して合意します。有償で合意した場合、 その実施料の金額等は第 2 項により、別途協議して定めることとしています。
さらに、第 1 項に定める企業に対する実施権付与や権利譲渡の定め方には、様々なバリエーションが可能です。①選択権行使の「一定期間」として例示以外の別の期間を定めたり、②期間ではなく、甲が第三者への実施許諾をしない場合に選択権行使できることとしたり、③選択肢として、このうちの 1 種類だけを定めたり、④実施権付与期間を●年間と限定したり、⑤2 号の譲渡を「譲渡の優先交渉権」するなど、事案に応じて、当該権利の活用に適した形を交渉して決めることができます。
第 1 号については、第 14 条 3 項 1 号 2 号と同様に、実施許諾が第三者への再許諾の権限まで含むか否かは当事者間の協議によって決定すべきこととなります。
また、第 2 号についても、第 14 条 3 項 3 号と同様に、企業側が譲渡権を行使した場合
には、具体的な譲渡対価は第 17 条 3 項で協議の上、決定するとしても、企業の大学に対する特許移 転登録請求権(特許出願については名義書換え請求権)等は譲渡権の行使によって生じるものと解され得ることには注意が必要です。大学が知的財産の持分譲渡を予定していない場合には、第 3 号を削除(関連する第 17 条第 3 項等の削除、修正等を含む。)するなど適宜契約 書を修正することが必要です。また、事情に応じて譲渡権を優先交渉権に変更することも可能です。
第 4 項は、企業が前項で行なった選択を大学からの書面による同意を得て変更することができる旨を定めた規定です。
第 18 条 (知的財産権の出願等)
xx的財産権の出願は、以下のとおりとする。
(1)甲知的財産権については、甲が単独で出願する。
(2)乙知的財産権については、乙が単独で出願する。
(3)共有知的財産権については、甲および乙が共同で出願する。
(解説) x条は、本共同研究に伴い得られた発明等に関する知的財産権の出願について規定したものです。第 13 条によって、大学に帰属するとされた知的財産権については、大学
が単独で出願手続を行なうこととし(第 1 号)、企業に帰属するとされた知的財産権につい
ては、企業が単独で出願手続を行なうこととし(第 2 号)、共有に属するとされた知的財産権については、大学と企業が共同で出願手続を行なうこととしています(第 3 号)。 な お、本条は、原則的な取り扱いを規定したものであり、大学と企業との合意によってこれと異なる取り扱いをすることは何ら妨げられません。大学と企業がそれぞれ有する出願手続のノウハウや予算等に応じて柔軟に定めることが想定されています。
第 19 条 (外国における出願等)
xx的財産権の外国における出願については、前条に準じるものとする。
(解説) 本条は、外国における知的財産権の出願について、前条の規定と同様に、大学に帰属する知的財産権は大学が単独で、企業に帰属する知的財産権は企業が単独で、共有に属する知的 財産権は、大学と企業が共同で出願すると規定しています。
なお、本条も前条と同様に原則的な取り扱いを規定したものであり、大学と企業が協議し、実態に応じて、柔軟に定めることが想定されています。
第 20 条 (出願等費用)
前 2 条の出願に関する出願等費用の負担は、以下のとおりとする。
(1)甲知的財産権については、甲発明等を、乙が非独占的に実施している場合には[①甲が
②甲及び乙が共同して]負担する。
(2)甲知的財産権については、甲発明等を、乙が独占的に実施している場合には、乙が単独で負担する。
(3)xx的財産権については、乙が負担するものとする。
(4)共有知的財産権については、甲乙が協議して決定する。
(解説)
本条は、前 2 条に規定する出願手続の費用負担について、知的財産権の帰属と企業に
よる利用形態という 2 つの観点に応じて規定したものです。まず、第 1 号は、知的財産が大学に 帰属する発明等を企業が非独占的に実施している場合について、①大学が負担するか、または、②大学と企業とが共同して出願等費用を負担するか、どちらかを選択して合意することを想定しています。②の出願等費用を共同して負担する場合、その負担割合は、利用許諾が 有償か無償か、有償である場合の利用許諾料、大学の権利管理ノウハウ及び予算、企業が利用する必要性等の観点から、実態に応じて柔軟に定めることを想定しています。
第 2 号は、知的財産が大学に帰属する発明等を企業が独占的に実施している場合には、出願等費用は、企業が単独で負担することとしています。
第 3 号は、企業に帰属する知的財産権の出願等費用は、企業が単独で負担することとしています。
第 4 号は、大学と企業の共有に属する知的財産権の出願費用等については、企業と大学が 協議して負担を決定することとしています。
本条についても、あくまで原則的な取り扱いの例を提示したものですので、大学と企業との間で知的財産権ごとに異なる取り扱いをすることは何ら妨げられません。
第 21 条 (ノウハウ及びプログラム、データ等)
1 本共同研究の結果、xxxxに該当するものが生じた場合は、相手方に速やかに通知し、書面にて特定するものとする。
2 特定されたノウハウは、特定の日から契約項目表 9.記載の期間まで、秘密として保持し、相手方の事前の書面による承諾なく、第三者に開示してはならない。
3 特定されたノウハウ及び本共同研究から生じたプログラム等の取り扱いについては、第 13 条から第 20 条に定める知的財産権の取り扱いに準じ、甲乙別途協議の上決定するものとする。
[4 当事者提供データについては当該データを提供した各本当事者がそれぞれ利用権限を有し、また、本成果データについては別紙に定めるとおりデータの利用権限を有するものとし、かかる利用権限の内容は、別紙においてデータ毎にそれぞれ定める。但し、別紙において特段の定めがないときは、各当事者は、他の当事者が提供した当事者提供データ及び本成果データについて本研究の目的で利用するための利用権限を有するものとする。なお、各本当事者は、自己が提供した当事者提供データ及び本成果データの有用性及び正確性について保証せず、何らの責任も負わない。]
(解説) x条は、共同研究から生じたノウハウ及びプログラムの取扱について規定したものです。
ノウハウは、特許等と異なり、その範囲がxx的には明確でないため、第 1 項は、ノウハウ
が生じた場合に、速やかに相手方に通知し、範囲を特定することと定めています。第 2 項は、前項で特定されたノウハウを秘密として取り扱い、契約相手方の事前の書面による承諾なくして、第三者に開示することを禁止しています。
第 3 項は、特定されたノウハウ及び本共同研究から生じるプログラムの帰属や利用につい
て、原則として、第 13 条以下の取り扱いに準じ、大学と企業が別途協議の上、決定することとしています。本条についても、ノウハウ及びプログラムの内容及び性質に応じて、大学と企業との間で異なる取り扱いをすることを妨げるものではなく、実態に応じた柔軟な取り扱いが想定されています。
第 4 項は、第 1 条第 8 号及び第 9 号で特定したデータの利用方法についての定めです。契約当事者が共同研究のために提供したデータについては、当該契約当事者が利用権を有し、共同研究の成果として創出されたデータについては、データ毎に取り扱い方法を定めることとしています(特段の定めがなければ、共同研究の目的に限り使用することができます。)。また、一般的に、データについては内容の正確性等について保証することが困難であるため、正確性等の不保証も定めています。なお、データの取り扱いを定める本項を設けるかどうかは、選択的なものと位置づけています。
第 22 条 (秘密保持)
1 甲及び乙は、本共同研究の実施に当たり、相手方より開示又は提供を受けた技術上及び営業上の一切の情報のうち、提供又は開示の際に相手方より秘密である旨の表示が明記され、又は口頭で開示されかつ開示に際し秘密である旨明示され開示後 30 日以内に書面で相手方に対して通知されたもの(以下「秘密情報」という。)について、第 4 条で指定する研究担当者以外に開示・漏洩してはならない。甲及び乙は、相手方より開示を受けた情報に関する秘密について、当該研究担当者がその所属を離れた後も含め保持する義務を、当該研究担当者に対し負わせるものとする。ただし、次のいずれかに該当する情報については、この限りではない。
(1)開示又は提供を受けた際、既に自己が保有していたことを証明できる情報
(2)開示又は提供を受けた際、既に公知となっている情報
(3)開示又は提供を受けた後、自己の責めによらずに公知となった情報
(4)正当な権限を有する第三者から適法に取得したことを証明できる内容
(5)相手方から開示又は提供された情報によることなく独自に開発・取得していたことを証 明できる情報
(6)書面により事前に相手方の同意を得たもの
2 甲及び乙は、秘密情報を本共同研究以外の目的に使用してはならない。ただし、書面により事前に相手方の同意を得た場合はこの限りではない。
3 前 2 項の有効期間は、第 3 条の本共同研究開始の日から契約項目表 10.記載の期間までとする。ただし、甲乙協議の上、この期間を延長し、又は短縮することができるものとする。
(解説) x条は、本共同研究の実施にあたって相手方から開示等を受けた技術上、営業上の情報を、原則として、研究担当者以外に開示せず、秘密として保持する旨を定めたもので す。但し書きでは、相手方から開示等を受けた情報であっても秘密保持義務を負わないものの例外を定めています。
第 2 項は、情報の重要性に鑑み、相手方から開示を受けた情報を、本共同研究以外の目的に使用してはならない旨を定めています。ただし、事前に相手方の書面による同意を得た場合には、本共同研究目的以外の目的で開示等された情報を使用することを認めています。
第 3 項は、秘密保持義務が長期にわたる場合には、双方の活動に過度の制約が生じることとなりますのでの期間を限定しています。但し書きにおいて個別の事情に応じて、期間を延長したり、短縮したりすることを認めています。3 年から 5 年程度の期間で合意する場合が多いようですが、技術分野により異なり、化学xxxは比較的長めです。
第 23 条(本研究成果の公表)
1 本研究成果は原則として、公表する。ただし、公表に当たっては、第 21 条のノウハウ秘匿義務及び第 22 条の秘密保持義務を遵守するものとする。
2 甲は、公表の[ ]日前までに、公表の目的・場所及び内容を、書面にて乙に通知する。 3 乙は、公表により、乙の利益が著しく害されるおそれがあると判断した場合、前項の通知を受領してから[ ]日以内に甲に書面にてその旨を通知し、甲は乙と協議の上、公表 範
囲及び方法を決定するものとする。
4 本共同研究終了日の翌日から起算して[ ]年間を経過した後は、xは、第 21 条のノウ ハウ秘匿義務及び第 22 条の秘密保持義務を遵守した上で、乙に対する通知を行うことなく、本研究成果の公表を行うことができるものとする。ただし、甲乙協議の上、この期間を延 長し、又は短縮することができるものとする。
5 甲及び乙は、事前に書面による相手方の同意を得たときは、本研究成果の発表又は公開若しくは公表を行う際に、当該本研究成果が本共同研究において得られたものである旨を表示することができる。
(解説) 本条は、大学の社会的使命から、研究成果を広く社会に公表することを原則としつつ、当事者の利益に配慮した規定を設けています。第 1 項は、公表が原則であることを明示しつつ、 但し書きにおいて、特定されたxxxx秘匿義務や秘密保持義務を遵守することを定めて、相手方の利益に配慮しています。第 2 項から第 4 項は、公表にあたって
の具体的な手続を定めています。まず、第 2 項は、大学が、公表の目的・内容を、事前に
時間的余裕をもって書面で企業に通知することを定めています。第 3 項は、企業が第 2 項の通知の内容に基づき、自社の利益が著しく害されるおそれがあると判断した場合には、第 2 項の通知を受領してから、一定期間内にその旨を大学側に書面で通知することとし、その上で大学と企業が協議して、公表範囲及び方法を決定することとしています。
第 4 項は、大学の自由な研究活動及び自由な研究発表の観点から、共同研究を終了して
から一定期間が経過している研究成果については、企業に対する通知を行なうことなく、公表することを認めています。ただし、大学と企業との協議に基づき、本項の期間を延長又は短縮することもができるため、研究成果の重要性や企業の利益が害される蓋然性など具体的な事情に応じて、柔軟に対応することが想定されています。
第 5 項は、研究成果の公表にあたって、相手方の事前の書面の同意を得た場合には、共同研究により得られた研究成果であることを表示することができるものとしています。
第 24 条(譲渡禁止)
甲及び乙は、事前に書面による相手方の同意を得ることなく、第三者に対し、本契約上の地位又は本契約から生じる権利若しくは義務を譲渡してはならない。なお、合併又は本契約 の目的に係る事業の全部若しくは一部の譲渡を原因とするか否かを問わない。
(解説) x条は、共同研究における相手方の個性を重視し、事前に相手方の書面による同意がない限り、第三者に対して本契約の契約上の地位や契約上生じる権利若しくは義務を譲渡することを制限したものです。企業側の事業譲渡や合併による場合でも同様としています。
第 25 条(有効期間)
1 本契約の有効期間は、本共同研究の研究期間と同一とする。
2 本契約の失効後も、第 21 条、第 22 条、第 28 条、第 29 条の規定は、有効に存続する。
(解説)
本条は、本契約の有効期間を定めており、第 1 項は、本契約の有効期間は、本共同研究の
研究期間と同一とすると規定しています。他方で、xxxx秘匿義務(第 21 条)、秘密保持
義務(第 22 条)、損害賠償(第 28 条)、準拠法及び裁判管轄(第 29 条)の規定については、本共同研究が終了した後も、効力を存続させています。このように、契約書においては、何についての有効期間をどのように定めているか、注意しましょう。
第 26 条(解除)
1 甲及び乙は、次の各号のいずれかに該当し、催告後[ ]日以内にかかる事態が是正されない場合は、直ちに本契約を解除することができるものとする。
(1)相手方が本契約の締結又は履行に関し、不正又は不当な行為をしたとき
(2)相手方が本契約に違反したとき
2 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当したときは、何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる。
(1)破産手続、民事再生手続、会社更生手続、特別清算手続の申立てをし、又は申立てを受けた場合
(2)銀行取引停止処分を受け、又は支払い停止に陥った場合
(3)仮差押命令を受け、又は公租公課の滞納処分を受けた場合
(解説) 本条では、本共同契約を解除するための解除原因及び手続について定めています。第 1 項は、契約の締結又は履行において、一方当事者が違法行為を含む不正行為や不当行為をした 場合や契約に違反した場合に、一定の期間を定めて是正を促し、当該期間内に是正されない場合には、契約を解除することを認めています。
第 2 項は、大学に対し、企業が倒産手続等に陥った場合に、ただちに本契約を解除する権
利を認めたものです。
第 27 条(反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙(法人の場合にあっては、その役員又は使用人を含む。)は、相手方に対し、次の各号の事項を表明し、保証する。
① 自らが、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団員でなくなったときから 5 年を経過しない者、暴力団関係企業、総会屋、政治活動・宗教活動・社会運動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団その他これらに準ずる者(以下、総称して「反社会的勢力」という。)に該当しないこと。
② 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約を締結する者でないこと。
③ 自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は相手方の信用を毀損する行為
2 甲又は乙が、次の各号のいずれかに該当した場合は、相手方は、何らの催告なしに本契約を解約することができる。
① 前項①の確約に反する申告をしたことが判明した場合
② 前項②の確約に反し契約をしたことが判明した場合
③ 前項③の確約に反する行為をした場合
3 甲又は乙は、前項により本契約を解約したことにより相手方に損害が生じたとしても、一切の損害賠償義務を負わないものとする。
(解説) 本条は、反社会的勢力でないことを相互に表明して保証させ、本契約の解約事由とすることで反社会的勢力の排除を推進する趣旨です。
第 28 条(損害賠償) 甲又は乙は、前条に掲げる事由、又は相手方の故意又は重大な過失により損害等を被った
ときは、相手方に対して被った直接損害に限り賠償請求をできるものとする。
(解説) 本条は、契約当事者が契約違反など前条に定める事由や契約相手方の故意又は重過失によって損害を受けた場合、直接損害に限って賠償することを定めたものです。これは、例えば 直接に生じた損害により企業に逸失利益が生じるなど間接的に生じた損害は対象から除く趣 旨です。
第 29 条(準拠法及び裁判管轄)
1 本契約の準拠法は日本法とする。
2 本契約に関する紛争については、[ ]地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
(解説) 本条は、大学が外国に本拠をおく企業と共同研究契約を行なうことを想定し、本契約に適用される法律が日本法であることを明示し(第 1 項)、本契約から生じる紛争については、双 方が合意した裁判所を管轄裁判所と定めるものです。
この契約の締結を証するため、本契約書 2 通を作成し、甲、乙それぞれ 1 通を保管するもの
とする。
平成 年 月 日
(甲) | [ [ 学 | 所 名 | 在 地 称 長 | ] ] [ | ] |
(乙) | [ [ | 所名 | 在 | 地称 | ] ] |
代表取締役 [ ]