LL020408需02
派遣先の事業主の皆さまへ
労働者派遣契約の安易な中途解除はしないでください
■ 労働者派遣契約が解除されることなどに伴い、派遣労働者の雇用にも多大な影響を与えることになります。派遣労働者の雇用の安定を図るためにも、 労働者派遣契約の安易な中途解除は行わないようにお願いします。
■ また、派遣先の都合により、やむを得ず労働者派遣契約を中途解除する場合、労働者派遣法第29条の2に基づく労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき
措置や、派遣先の講ずべき措置に関する指針(以下「派遣先指針」)に基づき、
適切に対応することが必要です。
1 労働者派遣契約の解除の事前申し入れ(派遣先指針) | |
■ 派遣先は、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うことが必要です。 |
2 派遣先における就業機会の確保(労働者派遣法第29条の2及び派遣先指針) | |
■ 派遣先は、派遣先の関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。 |
3 | 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置(労働者派遣法第29条の2 | |
及び派遣先指針) | ||
① ② ③ ※ | 派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることができないときには、少なくとも中途解除によって派遣元事業主に生じた損害※の賠償を行うことが必要です。 損害賠償は、例えば、次のように行う必要があります。 ア 派遣元事業主が派遣労働者を休業させる場合は、休業手当に相当する額以上を賠償 イ 契約解除の申し入れが相当な猶予期間をもって行われなかった場合に派遣元事業主がやむを得ず解雇する場合は、次の賃金に相当する額以上を賠償 (ⅰ)派遣先の予告がないために派遣元事業主が解雇予告ができなかったときは、 30日分以上 (ⅱ)解雇予告の日から解雇までの期間が30日に満たないときは、当該解雇の 30日前の日から当該予告の日までの日数分以上 その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講じることが必要です。 派遣先は、派遣元事業主から請求があったときは、中途解除を行った理由を派遣元事業主に対し明らかにすることが必要です。 なお、労働者派遣契約の締結に当たって、労働者派遣契約に2と3①の事項を定める必要がありますが、労働者派遣契約に定めがない場合であっても、派遣先は措置を 行う必要があります。 |
厚生労働省・都道府県労働局
LL020408需02
新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(労働者派遣について)
<新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や、要請・指示を受けた事業の休止に伴う労働者派遣契約の中途解除等について>
【派遣先の皆様へ】
問1.改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受け、事業を休止したことを理由として、労働者派遣契約を中途解除せざるをえない場合、派遣先は、労働者派遣法第 29 条の2に基づく措置を講ずる必要はありますか。
○ 労働者派遣法第 29 条の2により、派遣先は、自らの都合により労働者派遣契約を解除する場合には、新たな就業の機会の確保や休業手当等の支払に要する費用の負担等の措置を講じなければなりません。
○ 派遣先の都合によるかどうかについては、個別の事例ごとに判断されるものであり、改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受けて派遣先において事業を休止したことに伴い、労働者派遣契約を中途解除する場合であっても、一律に労働者派遣法第 29 条の2に基づく措置を講ずる義務がなくなるものではありません。
○ なお、労働者派遣契約の中途解除が派遣先の都合によらないものであっても、派遣先は、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6の(3)に基づき、関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。
○ 今回の新型コロナウイルス感染症により、事業の休止等を余儀なくされた場合においても、安易な労働者派遣契約の解除はお控えいただくようお願いします。
問2.改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受け、事業を休止したことを理由として、労働者派遣契約の履行を一時的に停止する場合や、労働者派遣契約の内容の一部を変更する場合に、派遣先は派遣元から派遣料金や金銭補償を求められることになりますか。
○ 労働者派遣契約の履行を一時的に停止する場合や、労働時間や日数など労働者派遣契約の内容の一部を変更する場合には、それに伴う派遣料金等の取扱いについては、民事上の契約関係の話ですので、労働者派遣契約上の規定に基づき、派遣元と派遣先でよく話し合い、対応してください。
【派遣元事業主の皆様へ】
問3.改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受けて事業を休止した派遣先から、労働者派遣契約の中途解除を申し込まれているが、派遣元としてどのような対応を行うべきか。
○ 「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2の(3)及び(4)により、派遣元事業主は、ある派遣先との間で労働者派遣契約が中途解除された場合であっても、労働者派遣の終了のみを理由として派遣労働者を解雇してはなりません。
○ 派遣先とも協力しながら派遣労働者の新たな就業機会の確保を図り、それができない場合はまずは休業等を行い雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすことが必要です。
○ また、労働者派遣法第 30 条に基づき、派遣先の同一の組織単位での派遣就業見込みが一定期間以上である派遣労働者については、派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供などの雇用安定措置の義務(※)が生じます。
(※)派遣就業見込みが3年以上の場合は義務、1年以上3年未満の場合は努力義務となります。
○ なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀無くされた派遣元事業主が、派遣労働者の雇用の維持のために休業等を実施し、休業手当を支払う場合、雇用調整助成金が利用できる場合がありますので、これを活用すること等により、派遣労働者の雇用の維持を図っていただくようお願いします。
(参考)
◎労働者派遣事業の適正な運営の適正な運営の確保及び派遣労働社の保護等に関する法律
(昭和 60 年法律第 88 号)
(労働者派遣契約の解除に当たつて講ずべき措置)
第二十九条の二 労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣 契約の解除に当たつては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費 用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るため に必要な措置を講じなければならない。
◎派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成 11 年労働省告示第 138 号)第2 派遣先が講ずべき措置
6 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
(3) 派遣先における就業機会の確保
派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。
(4) 損害賠償等に係る適切な措置
派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされたことにより生じた損害の賠償を行わなければならないこと。例えば、当該派遣元事業主が当該派遣労働者を休業させる場合は休業手当に相当する額以上の額について、当該派遣元事業主がやむを得ない事由により当該派遣労働者を解雇する場合は、派遣先による解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより当該派遣元事業主が解雇の予告をしないときは 30 日分以上、当該予告をした日から解雇の日
までの期間が 30 日に満たないときは当該解雇の日の 30 日前の日から当該予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額以上の額について、損害の賠償を行わなければならないこと。その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。また、派遣元事業主及び派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及び派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮すること。
◎派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成 11 年労働省告示第 137 号)第2 派遣元事業主が講ずべき措置
2 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
(3) 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置
派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払等の労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)等に基づく責任を果たすこと。さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣労働者を解雇しようとするときであっても、労働契約法(平成 19 年法律第 128 号)の規定を遵守することはもとより、当該派遣労働者に対する解雇予告、解雇予告手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすこと。