Contract
運送保険普通保険約款
第1条(保険金を支払う損害-貨物に生じた損害)
当会社は、この保険の対象となる貨物(以下「貨物」といいます。)に生じた次の①または②に該当する損害に対して、この約款の条項にしたがって保険金を支払います。
① 「オール・リスク担保」条件の場合は、すべての偶然な事故によって生じた損害
② 「特定危険担保」条件の場合は、火災、爆発、もしくは輸送用具の衝突・転覆・脱線・墜落・不時着・沈没・座礁・座州によって生じた損害または共同海損犠牲損害
第2条(保険金を支払う損害-費用の損害)
当会社は、前条に定める損害に加えて、次の①から④に該当する費用の損害に対して保険金を支払います。
① 損害防止費用
第22条(損害防止義務)(1)および(2)で定める損害防止義務を履行するために必要または有益な費用をいいます。
② 救助料
当会社が保険金を支払うべき事故(以下「保険事故」といいます。)が発生した場合において、救助契約に基づかないで貨物を救助した者に支払うべき報酬をいいます。
③ 継搬費用
貨物または輸送用具に保険事故が発生した場合において、貨物を保険証券記載の仕向地へ輸送するために要した費用(中間地における荷卸し、陸揚げ、保管または再積込みの費用を含みます。)をいいます。ただし、原運送契約によって運送人が負担すべき費用、貨物について通常要すべき費用または被保険者が任意に支出した費用を除きます。
④ 共同海損分担額
運送契約に定めた法令またはヨーク・アントワープ規則もしくはその他の規則に基づき正当に作成された共同海損精算書によって、被保険者が支払うべき額をいいます。
第3条(保険金を支払わない損害-その1)
当会社は、次の①または②に該当する事由によって生じた損害に対しては、保険金を支払いません。
① 保険契約者、被保険者、保険金を受け取るべき者(保険契約者、被保険者または保険金を受け取るべき者が法人である場合は、その法人の理事、取締役その他の業務執行機関を構成する個人を含みます。以下同様とします。)またはこれらの者の使用人の故意または重大な過失。ただし、上記の使用人については②に掲げる者を除きます。
② 貨物の輸送に従事する者が、保険契約者、被保険者または保険金を受け取るべき者の代理人もしくは使用人である場合は、これらの者の故意
第4条(保険金を支払わない損害-その2)
(1)当会社は、次の①から④までのいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては、保険金を支払いません。
① 貨物の自然の消耗またはその性質もしくは欠陥によって生じた自然発火・自然爆発・むれ・かび・腐敗・変質・変色・さび・蒸発・昇華その他類似の事由
② 荷造りの不完全
③ 輸送用具、輸送方法または輸送に従事する者が出発(中間地からの出発および積込港・寄航港からの発航を含みます。)の当時、貨物を安全に輸送するのに適していなかったこと。ただし、保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人がいずれもその事実を知らず、かつ、知らなかったことについて重大な過失がなかった場合は、この規定を適用しません。
④ 運送の遅延
(2)当会社は、(1)に定める損害に加えて、間接損害(第2条(保険金を支払う損害-費用の損害)を除きます。)に対しては、保険金を支払いません。
第5条(保険金を支払わない損害-その3)
(1)当会社は、次の①から⑦までのいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては、保険金を
支払いません。
① 戦争、内乱その他の変乱
② 水上または水中にある魚雷または機雷の爆発
③ 公権力によると否とを問わず、捕獲、だ捕、抑留または押収
④ 検疫または③以外の公権力による処分
⑤ ストライキ、ロックアウトその他の労働争議行為または労働争議参加者の行為
⑥ 10人以上の群衆・集団の全部または一部によりなされた暴力的かつ騒動的な行動およびこの行動に際して当該群衆・集団の一部によりなされた暴行(放火および盗取を含みます。)ならびにこれらに関連して生じた事件
⑦ 原子核反応または原子核の崩壊。ただし、医学用、科学用または産業用ラジオ・アイソトープ(ウラン、トリウム、プルトニウムおよびこれらの化合物ならびにこれらの含有物は含みません。)の原子核反応または原子核の崩壊を除きます。
(2)当会社は、陸上(湖川を含みます。)にある貨物について、地震、噴火もしくはこれらによる津波またはこれらに関連のある火災その他類似の事故によって生じた損害に対しては、保険金を支払いません。地震、噴火もしくはこれらによる津波により異常な状態が存続する間に生じた損害は、前段に掲げる事故によって生じたものと推定します。
第6条(保険価額)
(1)保険価額は、貨物の仕切状面価額(貨物の仕切状・納品書に記載された価額をいいます。以下同様とします。)または発送の地および時における価額を基準として、保険契約を締結した時に、当会社と保険契約者または被保険者との間で約定した額とします。
(2)あらかじめ保険価額を約定しなかった場合は、保険価額は保険金額と同額とします。ただし、次の
①または②に該当する場合は、それぞれの規定によります。
① 当該保険金額が仕切状面価額(仕切状面価額が運送賃、保険料その他の諸掛りを含んでいない場合は、これらを加算した額をいいます。以下同様とします。)にその10%に相当する金額を加算した額を超えていたことが明らかになった場合は、保険金額および保険価額はいずれも仕切状面価額にその 10%に相当する金額を加算した額とします。
② 当該保険金額が仕切状面価額より著しく低い場合は、保険価額は仕切状面価額と同額とします。
(3)仕切状・納品書がない場合は、貨物の発送の地および時における価額に仕向地までの運送賃、保険料その他の諸掛りを加算した額を(2)の仕切状面価額とみなします。
第7条(当会社の保険責任の始期と終期)
(1)当会社の保険責任は、輸送開始のために、貨物が保険証券記載の発送地における保管場所から搬出された時またはその保管場所において貨物の輸送用具への積込みが開始された時のいずれか早い時 に始まり、通常の輸送過程を経て、貨物が保険証券記載の仕向地における荷受人の指定した保管場所に搬入された時またはその保管場所において輸送用具から荷卸しされた時のいずれか遅い時に終わ
ります。ただし、輸送用具が仕向地における荷受人の指定した保管場所に到着した後の担保期間は、輸送用具が到着した日の翌日の正午をもって限度とします。
(2)(1)本文の規定にかかわらず、積込港において貨物が海上輸送用具に積み込まれる前の担保期間は、貨物の保険証券記載の発送地における保管場所からの搬出が開始された日またはその保管場所における輸送用具への積込みが開始された日のいずれか早い日の翌日の午前0時から起算して15日間
(発送地が積込港以外の地である場合は30日間)をもって、また、荷卸港において貨物が海上輸送用具から荷卸しされた後の担保期間は、貨物の荷卸しが完了した日の翌日の午前0時から起算して15日間(仕向地が荷卸港以外の地である場合は30日間)をもって、限度とします。
(3)(1)本文の規定は、搬出された、もしくは積込みが開始された貨物の部分ごと、または搬入された、もしくは荷卸しされた貨物の部分ごとにこれを適用します。
(4)(1)および(2)の時刻は、日本国の標準時によるものとします。
第8条(告知義務)
(1)保険契約者または被保険者になる者は、保険契約締結の際、保険契約申込書(付属する明細書等の書類がある場合は、これらの書類を含みます。以下「保険契約申込書等」といいます。)の記載事項について、当会社に事実を正確に告げなければなりません。
(2)当会社は、保険契約締結の際、保険契約者または被保険者が、保険契約申込書等の記載事項につい て、故意または重大な過失によって事実を告げなかった場合または事実と異なることを告げた場合は、保険契約者に対する書面による通知をもって、この保険契約を解除することができます。
(3)(2)の規定は、次の①から⑤までのいずれかに該当する場合は適用しません。
① (2)に規定する事実がなくなった場合
② 当会社が保険契約締結の際、(2)に規定する事実を知っていた場合または過失によってこれを知らなかった場合(当会社のために保険契約の締結の代理を行う者が、事実を告げることを妨げた場合または事実を告げないこともしくは事実と異なることを告げることを勧めた場合を含みます。)
③ 保険契約者または被保険者が、保険事故による損害の発生前に、保険契約申込書等の記載事項につき、書面をもって訂正を当会社に申し出て、当会社がこれを承認した場合。なお、当会社が訂正の申出を受けた場合において、その訂正を申し出た事実が、保険契約締結の際に当会社に告げられていたとしても、当会社が保険契約を締結していたと認める場合にかぎり、これを承認するものとします。
④ 当会社が(2)の規定による解除の原因があることを知った時の翌日から起算して1か月を経過した場合または保険契約締結の時の翌日から起算して5年を経過した場合
⑤ (2)の事実が、当会社が保険契約締結時に交付する書面において定めた危険(損害の発生の可能性をいいます。)に関する重要な事項に関係のないものであった場合
(4)(2)の規定による解除が保険事故による損害の発生した後になされた場合であっても、第16条(保険契約解除の効力)の規定にかかわらず、当会社は、保険金を支払いません。この場合において、既に保険金を支払っていた場合は、当会社は、その返還を請求することができます。
(5)(4)の規定は、(2)に規定する事実に基づかずに発生した保険事故による損害については適用しません。
第9条(野積み等の貨物の取扱い)
(1)当会社は、この条を適用しない旨の特約がある場合を除き、次の①から③までのいずれかに該当する損害に対しては、第1条(保険金を支払う損害-貨物に生じた損害)②で定める「特定危険担保」条件のみで保険に付けられたものとみなして保険金を支払います。
① 貨物が野積みされている間に生じた損害
② 貨物が船舶またははしけの甲板上に積まれている間に生じた損害
③ 貨物が被覆の完全でない輸送用具(船舶およびはしけを除きます。)に積まれている間に生じた損害。ただし、その輸送用具の被覆が完全であったとしても生じたであろう損害を除きます。
(2)(1)の規定は、次の①から③までのいずれかに該当する場合は適用しません。
① 貨物が密閉式の金属製または強化プラスチック製コンテナに収容されている場合
② 保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人がいずれも(1)①から③までのいずれかに該当する事実を知らず、かつ、知らなかったことについて重大な過失がなかった場合
③ 保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人のうち、(1)①から③までのいずれかに該当する事実を知った者が遅滞なくこれを当会社に通知し、当会社の承諾を得て、相当の追加保険料を支払った場合
第10条(通知義務)
(1)保険契約締結の後、次の①から⑤までのいずれかに該当する事実が発生した場合は、保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人は、事実の発生がその責めに帰すべき事由による場合はあらかじめ、責めに帰すことのできない事由による場合はその発生を知った後、遅滞なく、その旨を当会社に申し出て、承認を請求しなければなりません。ただし、その事実がなくなった場合は、当会社に申し出る必要はありません。なお、切迫した危険を避けるため、または人命救助もしくは輸送用具上にある者の緊急の医療のために必要となった場合は、この規定を適用しません。
① 保険契約申込書等に記載された発送地、積込港、荷卸港もしくは仕向地を変更し、もしくは変更しようとしてその実行に着手したこと、または輸送用具が順路外へ出たこと。
② 貨物が保険契約申込書等に記載された輸送用具以外のものに積み込まれ、または積み替えられたこと。
③ 輸送の開始または遂行が著しく遅延したこと。
④ 輸送用具を日本国または外国の法令に違反する目的のために使用し、または使用しようとしてその実行に着手したこと。
⑤ ①から④までのほか、保険契約申込書等に記載された事項の内容に変更を生じさせる事実が発生したこと。ただし、他の保険契約等(この保険契約の全部または一部に対して支払責任が同じである他の保険契約または共済契約をいいます。以下同様とします。)に関する事実は除きます。
(2)(1)の事実がある場合((4)ただし書の規定に該当する場合を除きます。)は、当会社は、その事実について承認請求を受けたと否とを問わず、保険契約者に対する書面による通知をもって、この保険契約を解除することができます。
(3)(2)の規定は、当会社が、(2)の規定による解除の原因があることを知った時の翌日から起算して1か月を経過した場合または(1)の事実が生じた時の翌日から起算して5年を経過した場合は適用しません。
(4)(1)に規定する手続を怠った場合は、当会社は、(1)の事実が発生した時または保険契約者もしくは被保険者がその発生を知った時から当会社が承認請求を受けるまでの間に生じた保険事故に よる損害に対しては、保険金を支払いません。ただし、(1)に規定する事実が発生した場合において、変更後の保険料が変更前の保険料より高くならなかった場合はこの規定を適用しません。
(5)(4)の規定は、(1)の事実に基づかずに発生した保険事故による損害については適用しません。
第11条(保険契約の無効)
保険契約者が、保険金を不法に取得する目的または第三者に保険金を不法に取得させる目的をもって締結した保険契約は無効とします。
第12条(保険契約の失効)
(1)保険契約締結の後、次の①または②に該当する場合は、その事実が発生した時に保険契約は効力を失います。
① 貨物の全部が滅失した場合。ただし、第35条(保険金支払後の保険契約)(1)の規定により保険契約が終了した場合を除きます。
② 貨物が譲渡された場合
(2)おのおの別に保険金額を定めた貨物が2以上ある場合は、それぞれについて、(1)の規定を適用します。
第13条(保険契約の取消し)
保険契約者または被保険者の詐欺または強迫によって当会社が保険契約を締結した場合は、当会社は、保険契約者に対する書面による通知をもって、この保険契約を取り消すことができます。
第14条(保険契約者による保険契約の解除)
保険契約者は、当会社に対する書面による通知をもって、この保険契約を解除することができます。ただし、保険金請求権の上に質権または譲渡担保権が設定されている場合は、この解除権は、質権者または譲渡担保権者の書面による同意を得た後でなければ行使できません。
第15条(重大事由による解除)
(1)当会社は、次の①から③までのいずれかに該当する事由がある場合は、保険契約者に対する書面による通知をもって、この保険契約を解除することができます。
① 保険契約者または被保険者が、当会社にこの保険契約に基づく保険金を支払わせることを目的として損害を生じさせ、または生じさせようとしたこと。
② 被保険者が、この保険契約に基づく保険金の請求について、詐欺を行い、または行おうとしたこと。
③ ①および②に掲げるもののほか、保険契約者または被保険者が、①および②の事由がある場合と同程度に当会社のこれらの者に対する信頼を損ない、この保険契約の存続を困難とする重大な事由を生じさせたこと。
(2)(1)の規定による解除が保険事故による損害の発生した後になされた場合であっても、次条の規定にかかわらず、(1)①から③までの事由が生じた時から解除がなされた時までに発生した保険事故による損害に対しては、当会社は、保険金を支払いません。この場合において、既に保険金を支払っていた場合は、当会社は、その返還を請求することができます。
第16条(保険契約解除の効力)
保険契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じます。
第17条(保険料の支払)
(1)保険契約者は、保険契約締結の際、保険料の全額を支払わなければなりません。ただし、別途取決めた場合は、この規定を適用しません。
(2)当会社の保険責任が始まった後でも、(1)ただし書に該当する場合を除き、当会社は、保険料領収前に生じた保険事故による損害に対しては保険金を支払いません。
第18条(保険料の取扱い-告知義務・通知義務等の場合)
(1)第8条(告知義務)(1)により告げられた内容が事実と異なる場合において、保険料を変更する必要がある場合は、当会社は、変更前の保険料と変更後の保険料との差額を返還または請求します。
(2)第10条(通知義務)(1)の事実が生じた場合は、当会社は、保険料を返還しません。ただし、危険の著しい減少がある場合にかぎり、変更前の保険料と変更後の保険料との差額を返還します。
(3)第10条(通知義務)(1)の事実が生じた場合において、追加保険料が必要となる場合は、当会社は、変更前の保険料と変更後の保険料との差額を請求します。
(4)当会社は、保険契約者が(1)または(3)の規定による追加保険料の支払を怠った場合(当会社が、保険契約者に対し追加保険料の請求をしたにもかかわらず相当の期間内にその支払がなかった場合にかぎります。)は、保険契約者に対する書面による通知をもって、この保険契約を解除することができます。
(5)(1)または(3)の規定による追加保険料を請求する場合において、(4)の規定によりこの保険契約を解除することができる場合は、当会社は、次の①または②に定める時より後に生じた保険事故による損害に対しては、保険金を支払いません。この場合において、既に保険金を支払っていた場合は、当会社は、その返還を請求することができます。
① 第8条(告知義務)(1)に該当する場合は、第7条(当会社の保険責任の始期と終期)に定める当会社の保険責任の始期
② 第10条(通知義務)(1)に該当する場合は、危険増加が生じた時
(6)(1)、(2)および(3)のほか、保険契約締結の後、保険契約者が保険契約の条件の変更を当会社に通知し、承認の請求を行い、当会社がこれを承認する場合において、保険料を変更する必要がある場合は、当会社は変更前の保険料と変更後の保険料との差額を、返還または請求します。
(7)(6)の規定による追加保険料を請求する場合において、当会社の請求に対して、保険契約者がその支払を怠った場合は、当会社は、保険契約条件の変更の承認の請求がなかったものとして、この保険契約に適用される普通保険約款および特約にしたがい、保険金を支払います。
(8)(1)、(3)または(6)の規定による追加保険料が必要となる場合において、被保険者が当会社に保険金の支払の請求を行う場合は、当会社は、保険契約者が追加保険料の全額を支払った場合にかぎり、保険金を支払います。ただし、別途取り決めた場合はこの規定を適用しません。
第19条(保険料の取扱い-無効または失効の場合)
(1)第11条(保険契約の無効)の規定により、保険契約が無効となる場合は、当会社は、保険料を返還しません。
(2)保険契約が失効となる場合は、この保険契約に適用される特約に別の定めがないかぎり、当会社は、保険料を返還しません。ただし、危険の著しい減少がある場合にかぎり、変更前の保険料と変更後の保険料との差額を返還します。
第20条(保険料の取扱い-取消しの場合)
第13条(保険契約の取消し)の規定により、当会社がこの保険契約を取り消した場合は、当会社は、保険料を返還しません。
第21条(保険料の取扱い-解除の場合)
(1)第8条(告知義務)(2)、第10条(通知義務)(3)、第15条(重大事由による解除)(1)または第18条(保険料の取扱い-告知義務・通知義務等の場合)(4)の規定により、保険契約が解除となる場合は、この保険契約に適用される特約に別の定めがないかぎり、当会社は、保険料を返還し
ません。
(2) 第14条(保険契約者による保険契約の解除)の規定により、保険契約が解除となる場合は、この保険契約に適用される特約に別の定めがないかぎり、当会社は、保険料を返還しません。ただし、危険の著しい減少がある場合にかぎり、変更前の保険料と変更後の保険料との差額を返還します。
第22条(損害防止義務)
(1)保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人は、保険事故が発生したことを知った場合は、損害の発生および拡大の防止に努めなければなりません。保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人が損害の発生および拡大の防止を怠った場合は、損害の額から損害の発生および拡大を防止することができたと認められる額を差し引いた残額を基礎として、保険金の額を決定します。
(2)保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人は、第三者(他人のためにする保険契約の場合の保険契約者ならびにその使用人を含みます。以下同様とします。)に対して、損害について賠償、補償その他の給付を請求することができる場合は、その請求権の保全または行使に努めなければなりません。保険契約者、被保険者またはこれらの者の使用人が第三者に対する請求権の保全または行使に必要な手続を怠った場合は、当会社は、損害の額からその請求権の行使によって、第三者から給付を受けることができたと認められる額を差し引いた残額を基礎として、保険金の額を決定します。
第23条(保険事故発生の通知義務)
(1)保険契約者または被保険者は、保険事故が発生したこと、または発生した疑いがあることを知った場合は、遅滞なくその旨ならびに他の保険契約等の有無および内容(既に他の保険契約等から保険金または共済金の支払を受けた場合は、その事実を含みます。)を当会社に通知しなければなりません。
(2)保険契約者または被保険者が、正当な理由がなく(1)の規定に違反した場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて保険金を支払います。
第24条(保険金の請求)
(1)当会社に対する保険金請求権は、次の時から発生し、これを行使することができるものとします。
① 貨物に生じた損害に対する保険金については、損害が発生した時
② 費用の損害に対する保険金については、費用の額が確定した時
(2)被保険者が保険金の支払を請求する場合は、次の①から③までの書類または証拠のうち、当会社が求めるものを当会社に提出しなければなりません。
① 保険金請求書
② 損害額の計算書(損害額の明細が把握できる書類)
③ その他当会社が第26条(保険金の支払時期)(1)に定める必要な事項の確認を行うために欠くことのできない書類または証拠として保険契約締結の際に当会社が交付する書面等において定めたも の
(3)当会社は、事故の内容または損害の額等に応じ、保険契約者または被保険者に対して、(2)に掲げるもの以外の書類もしくは証拠の提出または当会社が行う調査への協力を求めることがあります。この場合は、当会社が求めた書類または証拠を速やかに提出し、必要な協力をしなければなりません。
(4)保険契約者または被保険者が、正当な理由がなく(3)の規定に違反した場合または(2)もしくは(3)の書類に事実と異なることの記載をし、もしくはその書類もしくは証拠を偽造しもしくは変造した場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて保険金を支払います。
第25条(時 効)
保険金請求権は、前条(1)に定める時の翌日から起算して3年を経過した場合は、時効によって消滅します。
第26条(保険金の支払時期)
(1)当会社は、被保険者が第24条(保険金の請求)(2)の手続を完了した日(以下この条において「請求完了日」といいます。)からその日を含めて30日以内に、当会社が保険金を支払うために必要な次の①から⑤までの事項の確認を終え、保険金を支払います。
① 保険金の支払事由発生の有無の確認に必要な事項として、事故の原因、事故発生の状況、損害発生の有無および被保険者に該当する事実
② 保険金が支払われない事由の有無の確認に必要な事項として、保険金が支払われない事由としてこの保険契約において定める事由に該当する事実の有無
③ 保険金を算出するための確認に必要な事項として、損害の額(保険価額を含みます。)および事故と損害との関係
④ 保険契約の効力の有無の確認に必要な事項として、この保険契約において定める解除、無効、失効または取消しの事由に該当する事実の有無
⑤ ①から④までのほか、他の保険契約等の有無および内容、損害について被保険者が有する損害賠償請求権その他の債権および既に取得したものの有無および内容等、当会社が支払うべき保険金の額を確定するために確認が必要な事項
(2)(1)の確認をするため、次の①から⑤までに掲げる特別な照会または調査が不可欠な場合は、(1)の規定にかかわらず、当会社は、請求完了日からその日を含めて次の①から⑤までに掲げる日数(複数に該当する場合は、そのうち最長の日数)を経過する日までに、保険金を支払います。この場合において、当会社は、確認が必要な事項およびその確認を終えるべき時期を被保険者に対して通知するものとします。
① (1)①から④までの事項を確認するための、警察、検察、消防その他の公の機関による捜査・調査結果の照会(弁護士法(昭和24年法律第205号)に基づく照会その他法令に基づく照会を含みます。) 180日
② (1)①から④までの事項を確認するための、専門機関による鑑定等の結果の照会 90日
③ 災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用された災害の被災地域における(1)①から⑤までの事項の確認のための調査 60日
④ (1)①から⑤までの事項の確認を日本国内において行うための代替的な手段がない場合の日本国外における調査 180日
⑤ 損害を受けた貨物もしくは損害発生事由が他の事例に鑑み特殊である場合または多数の貨物が事 故により損害を受けた場合において、(1)①から④までの事項を確認するための、専門機関による鑑定等の結果の照会もしくは関係当事者への照会 180日
(3)(2)①から⑤までに掲げる特別な照会または調査を開始した後、(2)①から⑤までに掲げる期間中に保険金を支払う見込みがないことが明らかになった場合は、当会社は、(2)①から⑤までに掲げる期間内に被保険者との協議による合意に基づきその期間を延長することができます。
(4)(1)から(3)までに掲げる必要な事項の確認に際し、保険契約者または被保険者が正当な理由なくその確認を妨げ、またはこれに応じなかった場合(必要な協力を行わなかった場合を含みます。)は、これにより確認が遅延した期間については、(1)から(3)までの期間に算入しないものとします。
第27条(全 損)
(1)貨物の全部が保険事故によって次の①から④までのいずれかに該当する状態になった場合は、貨物に全損があったものとします。
① 貨物が滅失したかまたはこれに類する大損害を受けた場合
② 被保険者が貨物を喪失して回収の見込みがない場合
③ 貨物を保険証券記載の仕向地へ輸送する方法がなくなった場合
④ 第2条(保険金を支払う損害-費用の損害)に定める各費用の見積額の合計額が、貨物が仕向地に到着したならば有するであろう価額を超える場合
(2)貨物を積載している船舶または航空機の行方が最後の消息のあった日から起算して30日間不明である場合は、保険事故によって貨物に全損があったものとします。ただし、その行方不明が保険事故以外の事故によるものと推定される場合を除きます。
(3)貨物が複数の鉄道車両、自動車、船舶、はしけまたは航空機に分載されている期間中は、その貨物は1両、1台、1隻または1機ごとにおのおの別に保険に付けられたものとみなして、(1)または
(2)の規定を適用します。
(4)この保険契約においては、被保険者は貨物を当会社に委付することができません。
第28条(残存物)
(1)当会社が保険事故により保険金を支払った場合でも、貨物の残存物について被保険者が有する所有権その他の物権は、当会社がこれを取得する旨の意思を表示しないかぎり、当会社に移転しません。
(2)(1)で当会社が所有権その他の物権を取得する場合において、貨物に対して留置権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、その他の権利が存在する場合、または損害を受けた貨物を取り除く義務その他その貨物に関する義務が存在する場合は、被保険者は、遅滞なくその明細を当会社に通知しなければなりません。
(3)被保険者は、(2)に定める権利を消滅させなければなりません。これに要する金額および費用または(2) に定める義務を履行するために要する金額および費用は、被保険者の負担とします。
(4)当会社が(3)の金額および費用を支払った場合、または将来支払う必要があると認めた場合は、当会社は、支払うべき保険金の額からこれらを差し引くことができます。
第29条(請求権代位)
(1)損害が生じたことにより被保険者が損害賠償請求権その他の債権を取得した場合において、当会社がその損害に対して保険金を支払った場合は、その債権は当会社に移転します。ただし、移転するのは、次の①または②の額を限度とします。
① 当会社が損害の額の全額を保険金として支払った場合被保険者が取得した債権の全額
② ①以外の場合
被保険者が取得した債権の額から、保険金が支払われていない損害の額を差し引いた額
(2)(1)②の場合において、当会社に移転せずに被保険者が引き続き有する債権は、当会社に移転した債権よりも優先して弁済されるものとします。
(3)保険契約者および被保険者は、当会社が取得した(1)または(2)の債権の保全および行使ならびにそのために当会社が必要とする証拠および書類の入手に協力しなければなりません。この場合において、当会社に協力するために必要な費用は、当会社の負担とします。
第30条(分損の計算方法)
(1)貨物の全部または一部が、保険事故によって損傷を被って仕向地に到着した場合は、損傷を被らないで到着したならば有したであろう価額(以下「正品市価」といいます。)と損傷した状態で有する価額(以下「損品市価」といいます。)をもとに次の算式によって算出した額を損害の額とします。
損害の額=保険価額またはその割当額 × 正品市価-損品市価
正品市価
(2)輸入税、消費税、その他の税金が課せられる貨物については、これらの税金を含めた価額を正品市価または損品市価とします。
(3)当会社と被保険者との間で、損品市価について協定がととのわない場合は、被保険者の勘定で損傷を被った貨物を売却し、その売却代金(税金を買主の負担とした場合はその額を加算し、また、売却に要した費用はこれを控除しません。)を損品市価とみなします。
(4)(1)の規定にかかわらず、貨物のラベルに損害が生じた場合は、そのラベルの代替費(再貼付費を含みます。)を、また貨物が機械類である場合は、その損害部分の代替品購入代金、修繕費および運送費を合算した額(貨物の関税の全額が保険価額に含まれていた場合にかぎり、代替品購入のため支払われた関税があればこれを加算します。)を当会社が支払うべき保険金の限度とします。この場合においても第32条(保険金の支払額の限度)の規定を適用します。
第31条(支払を免れた運送賃その他の費用の控除)
保険価額に運送賃その他の費用が含まれている場合において、損害発生のために被保険者がこれらの費用の全部または一部について支払を免れた場合は、当会社は、その費用を控除した残額を基礎として、保険金の額を決定します。
第32条(保険金の支払額の限度)
(1)当会社が保険金として支払う額は、1回の保険事故について保険金額を限度とします。
(2)(1)の規定にかかわらず、貨物が損害を被り、これを修繕または手直ししない状態において、さらに他の保険事故によって損害を被った場合は、当会社が保険金として支払う額は、担保期間中を通
算して保険金額を限度とします。
(3)(1)および(2)の規定にかかわらず、第2条(保険金を支払う損害-費用の損害)①に定める損害防止費用については、その費用とその他の保険金とを合算した額が保険金額を超えた場合でも、当会社は、これを支払います。
第33条(一部保険の場合の保険金の支払額)
保険金額が保険価額より低い場合は、当会社は、保険金額の保険価額に対する割合によって算出した額を保険金として支払います。
第34条(他の保険契約等がある場合の保険金の支払額)
(1) 他の保険契約等がある場合において、それぞれの支払責任額(注1)の合計額が、損害の額(注
2)を超えるときは、当会社は、次の①または②に定める額を保険金として支払います。
① 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われていない場合この保険契約の支払責任額(注1)
② 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われた場合
損害の額(注2)から、他の保険契約等から支払われた保険金または共済金の合計額を差し引いた残額。
ただし、この保険契約の支払責任額(注1)を限度とします。
(注1) 支払責任額
それぞれの保険契約または共済契約について、他の保険契約または共済契約がないものとして算出した支払うべき保険金または共済金の額をいいます。
(注2) 損害の額
それぞれの保険契約または共済契約に免責金額の適用がある場合は、そのうち最も低い免責金額を差し引いた額とします。
(2)保険契約等のうち、保険価額の異なるものがある場合は、最も高い保険価額を基礎として算出した損害の額を(1)の損害の額とします。
第35条(保険金支払後の保険契約)
(1)保険事故による保険金(第2条(保険金を支払う場合-費用の損害)①に定める損害防止費用を除きます。)の支払額が1回の保険事故につき保険金額の全額となった場合は、保険契約は、その保険金支払の原因となった損害の発生した時に終了します。
(2)(1)の場合を除き、当会社が保険金を支払った場合においても、この保険契約の保険金額は、減額することはありません。
(3)(1)の規定により、保険契約が終了した場合は、当会社は保険料を返還しません。
(4)おのおの別に保険金額を定めた貨物が2以上ある場合は、それぞれについて、(1)から(3)までの規定を適用します。
第36条(貨物の譲渡)
(1)保険契約締結後、被保険者が貨物を譲渡する場合は、保険契約者または被保険者は、遅滞なく、その旨を当会社に通知しなければなりません。
(2)(1)の場合において、保険契約者がこの保険契約に適用される普通保険約款および特約に関する権利および義務を貨物の譲受人に移転させる場合は、(1)の規定にかかわらず、貨物の譲渡前にあらかじめ、書面をもってその旨を当会社に申し出て、承認を請求しなければなりません。
(3)当会社が(2)の規定による承認をする場合は、第12条(保険契約の失効)(1)②の規定にかかわらず、(2)の権利および義務は、貨物が譲渡された時に貨物の譲受人に移転します。
第37条(訴訟の提起)
この保険契約に関する訴訟については、日本国内における裁判所に提起するものとします。
第38条(準拠法)
この約款に規定のない事項については、日本国の法令に準拠します。