Contract
貿易代金貸付( 貸付金債権等)保険約款
平成29年4月1日 17‐制度‐00002
沿革 令和2年2月28日 一部改正令和2年9月4日 一部改正令和4年6月17日 一部改正令和5年1月30日 一部改正
第1章 総則
( この約款の内容)
第1条 この約款は、貿易保険法( 昭和25年法律第67号。以下「法」という。) の規定に基づく貿易代金貸付保険のうち、法第2条第13項の貿易代金貸付金債権等の取得を行った者が受ける損失をてん補する貿易代金貸付保険の保険約款とする。
( 定義)
第2条 この約款における以下の用語の定義は、次の各号に定めるところによる。一 「日本貿易保険」とは、法第3条に規定する株式会社日本貿易保険をいう。二 「貿易代金」とは、以下のいずれかに該当するものをいう。
イ 輸出契約に基づく貨物の代金又は賃貸料
ロ 仲介貿易契約に基づく貨物の代金又は賃貸料
ハ 技術提供契約に基づく技術又は労務の提供の対価
三 「貿易代金貸付金債権等」とは、この証券記載の以下のいずれかに該当するものをいう。
イ 国際機関、外国政府等、外国法人又は外国人に対する貿易代金の支払に充てられる資金に充てられる貸付金に係る債権
ロ イに規定する資金を調達するために発行される国際機関、外国政府等又は外国法人の公債、社債その他これらに準ずる債券
四 「貿易代金貸付」とは、本邦法人若しくは本邦人又は外国法人若しくは外国人が行う、貿易代金貸付金債権等の取得をいう。
五 「貸付金等」とは、貿易代金貸付金債権等の元本及び利子をいい、延滞利息その他貿易代金貸付に基づき被保険者が有する元本及び利子以外の債権を含まない。
六 「保険価額」とは、貸付金等の額をいい、二以上の時期に分割して貸付金等の償還を受けるべきときは、一の時期において償還を受けるべき部分の貸付金等の額をいう。
七 「被保険者等」とは、保険契約者、被保険者若しくは保険金を受け取るべき者又はこれらの者の役員、代理人若しくは使用人をいう。
八 「輸出契約等」とは、貿易代金貸付の対象となる輸出契約、仲介貿易契約又は技術提供契約をいう。
九 「輸出者等」とは、輸出契約等における輸出者、仲介貿易者又は技術提供者をいう。
第2章 てん補の範囲
( てん補危険)
第3条 日本貿易保険は、被保険者が、次の各号のいずれかに該当する事由により貸付金等を回収することができないことにより受ける損失を、この約款( 別に特約を締結したときは当該特約を含む。以下同じ。) の定めるところに従い、てん補する責めに任ず
る。
一 外国において実施される為替取引( 外貨交換及び外貨送金を含む。) の制限又は禁止
二 事業が行われる国において実施される輸出又は輸入の制限又は禁止
三 政府間合意に基づく債務繰延べ協定又は借入国に起因する外貨送金遅延
四 為替の換算率にかかわらず現地通貨による償還をもってする債務の弁済を有効とする旨の借入国の法令の制定その他の外国の政府、州政府又は地方公共団体による債務の全部又は一部の償還を免除する措置又は決定
五 外国の政府、州政府又は地方公共団体による収用
六 外国の政府、州政府又は地方公共団体による債務の全部又は一部の償還を妨げる違法又は差別的な措置又は決定
七 国際連合その他の国際機関又は借入国以外の国による経済制裁八 本邦外において生じた次のいずれかに該当する事由
イ 戦争、革命、テロ行為その他の内乱、暴動、騒擾又はゼネラルストライキ
ロ 暴風、豪雨、洪水、高潮、落雷、地震、噴火、津波、人為的でない火災その他の自然現象による災害
ハ 原子力事故ニ 輸送の途絶
九 前各号に掲げるもののほか、本邦外において生じた事由であって、貿易代金貸付の当事者の責めに帰することができないもの
十 貿易代金貸付の相手方についての破産手続開始の決定( 破産手続開始の決定の事実が外国の公的機関により明らかにされた場合に限る。)
十一 貿易代金貸付の相手方についての破産手続開始の決定に準ずる事由( 支払不能の事実が外国の公的機関により明らかにされた場合に限る。)
十二 貿易代金貸付の相手方の3月以上の債務の履行遅滞( 被保険者の責めに帰することができないものに限る。)
第3章 損失額及びてん補責任額
( 損失額)
第4条 前条に規定する損失の額は、保険価額のうち、同条各号のいずれかに該当する事由により被保険者が償還期限( 同条第12号に該当する事由によるときは、償還期限から
3月を経過した日) までに回収することができない貸付金等の額から次の各号の金額を控除した残額をいう。
一 被保険者が第16条第1項又は第2項の規定による損失の防止軽減義務を履行するため、賠償請求権及び保証債務履行請求権の行使その他一切の合理的措置を講ずることにより取得した金額( 延滞利息を除く。) から、当該金額を上限としてその履行のために要した費用又は要すべき費用を控除した残額
二 前号に掲げるもののほか、前条の規定に基づき日本貿易保険がてん補する責めに任ずる事由の発生により、被保険者が支出を要しなくなった金額
( てん補責任額)
第5条 日本貿易保険がてん補すべき額は、前条の規定に基づき算出した損失額から次の各号に掲げる額を控除した残額を基礎として、この証券記載の保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た額とする。
一 被保険者が第16条第1項又は第2項の規定による義務の履行を怠った場合、被保険者がその義務を履行すれば防止軽減することができたと認められる金額又は賠償若し
くは保証債務の履行を受けることができたと認められる金額
二 日本貿易保険が第11条の規定に基づき被保険者に指示をした場合において、被保険者が当該指示に従わなかったことにより拡大したと認められる損失額
( 免責)
第6条 日本貿易保険は、第19条第4項に規定するもののほか、次の各号に掲げる損失をてん補する責めに任じない。
一 被保険者等の故意又は重大な過失により生じた損失
二 貿易代金貸付に関して保険契約者又は被保険者による法令( 外国の法令を含む。)違反があった場合において貸付金等に係る債権について生じた損失
三 貿易代金貸付又は輸出契約等に関して、被保険者等又は輸出者等( 輸出者等の役員、代理人及び使用人を含む。) による不正競争防止法( 平成5年法律第47号) 又は刑法( 明治40年法律第45号) の贈賄に関する規定違反があった場合において貸付金等に係る債権について生じた損失
四 第9条第1項に規定する保険責任の開始日前に発生した第3条各号のいずれかに該当する事由によって生じた損失
( 保険金不払、保険金返還)
第7条 日本貿易保険は、次の各号のいずれかに該当するときは、保険金の全部若しくは一部を支払わず又は当該保険金の全部若しくは一部を返還させることができる。
一 被保険者等の過失( 重大な過失を除く。) により損失が発生したとき
二 被保険者等が故意又は過失により、事実を告げなかったとき又は真実でないことを告げたとき
三 保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき
四 被保険者等が、暴力団、暴力団員( 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者を含む。)、暴力団準構成員、暴力団関係企業その他の反社会的勢力に該当し、又は反社会的勢力若しくはこれと密接な関係にある者( 以下「反社会的勢力等」という。) による経営の支配若しくは実質的関与、反社会的勢力等に対する資金等の提供若しくは便宜の供与、その他反社会的勢力等と社会的に非難されるべき関係にあると認められるとき
( 保険契約の解除)
第8条 日本貿易保険は、第19条第1項、第20条第2項、第3項、及び第9項並びに第22条第4項に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、保険契約を解除することができる。
一 被保険者等又は輸出者等( 輸出者等の役員、代理人及び使用人を含む。) が、貿易代金貸付又は輸出契約等に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反したとき
二 貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン( 平成29年4月1日 17‐制度‐00091。以下「環境ガイドライン」という。) に基づき、保険契約者又は被保険者が日本貿易保険に提出したスクリーニングフォーム( 環境ガイドラインで定めるスクリーニングフォームをいう。) の内容の全部又は一部が、被保険者等の故意又は過失により事実に反しているか、又は記載すべき事項を記載していないため、環境ガイドラインに定めるカテゴリA又はBに分類されるべき当該プロジェクトがカテゴリCに分類されたとき
三 保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき
四 被保険者等が、反社会的勢力等による経営の支配若しくは実質的関与、反社会的勢力等に対する資金等の提供若しくは便宜の供与、その他反社会的勢力等と社会的に非
難されるべき関係にあると認められるとき
2 前項第2号の適用に当たっては、貿易代金貸付について被保険者と協調して貿易代金貸付を行う者が存在する場合であって、この約款に基づく他の保険契約が締結されている場合にあっては、当該他の保険契約に係る被保険者等の故意又は過失は、被保険者の故意又は過失とみなす。
3 この約款に特段の定めがない限り、第1項各号の規定による解除その他の保険契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じる。
4 保険契約者は、次条第1項に規定する保険責任の開始日前に第3条各号のいずれかに該当する事由( 保険契約者が保険契約締結の当時存在することを知っていた事由を除く。) が生じたことを知ったときは、日本貿易保険に遅滞なく当該事実を書面で通知した場合に限り、保険契約を解除することができるものとし、この場合、保険契約は締結の日にさかのぼって効力を失うものとする。
( 保険期間)
第9条 日本貿易保険の保険責任の開始日は、貿易代金貸付金債権等を取得した日又は保険契約の締結を行った日のいずれか遅い日とする。
2 日本貿易保険の保険責任の終了日は、貿易代金貸付金債権等の償還期限とする。
第4章 保険契約者又は被保険者の義務
( 他の保険契約の通知義務)
第10条 保険契約者又は被保険者は、貿易代金貸付について、この約款のてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約が存在することを知ったときは、当該事実を知った日から1月以内、かつ、保険金の支払請求時までに当該保険契約について日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 指示に従う義務)
第11条 日本貿易保険は、貿易代金貸付金債権等に関し指示をすることができ、被保険者はこれに従わなければならない。
( 償還金額及び償還期限確定の通知義務)
第12条 保険契約者又は被保険者は、貿易代金貸付保険運用規程( 平成29 年4 月1 日 17‐ 制度‐00046) に定める場合を除き、貸付金等の全部又は一部について償還金額及び償還期限が確定したときは、当該金額及び期限が確定した日から1月以内にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 債権保全義務)
第13条 被保険者は、他の債権における注意と同様の注意をもって貿易代金貸付金債権等の管理保全に努めなければならない。
( 損失を受けるおそれが高まる事情発生の通知義務)
第14条 被保険者は、償還期限前に、貿易代金貸付保険手続細則( 平成29 年4 月1 日 17‐ 制度‐00037。以下「手続細則」という。) で定める損失を受けるおそれが高まる事情の発生を知ったときは、当該事情の発生を知った日から、原則として15日以内にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 損失発生等の通知義務)
第15条 被保険者は、損失の発生を知ったときは、当該損失の発生を知った日から、原則として、1月以内にその旨を日本貿易保険に書面で通知( 以下「損失発生通知」という。) しなければならない。
2 被保険者は、償還期限までに貿易代金貸付に係る債務が履行されず、第3条第12号の事由による損失を受けるおそれのある場合には、原則として、償還期限から1月以内に
その旨を日本貿易保険に書面で通知( 以下「危険発生通知」という。) しなければならない。
3 前項の場合において、償還期限から3月を経過した日までに、第17条に規定する入金通知がないときは、危険発生通知を損失発生通知とみなし、貸付金等の一部についての入金が通知されているときは、当該入金通知と危険発生通知をもって損失発生通知とみなす。
( 損失の防止軽減等の義務)
第16条 被保険者は、損失を防止軽減するため、他の債権における注意と同様の注意をもって一切の合理的措置を講じなければならない。
2 被保険者は、損失の全部又は一部の賠償又は保証債務の履行を受けることができる場合、その賠償請求権又は保証債務履行請求権の行使又は保全に必要な手続を怠ってはならない。
3 日本貿易保険は、被保険者が前2項の規定による義務の履行のために要した費用をその義務の履行によって取得した金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
( 入金の通知義務)
第17条 被保険者は、第15条の規定に基づき損失発生通知又は危険発生通知を行った後、保険金の支払を請求する以前に回収した金額があるときは、当該金額の入金のあった日から1月以内、かつ、保険金請求前にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 調査に応ずる義務)
第18条 保険契約者又は被保険者は、日本貿易保険が貿易代金貸付又は貸付金等に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は貿易代金貸付に関する帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
2 被保険者は、日本貿易保険が貿易代金貸付又は貸付金等に関し、貿易代金貸付の相手方に対し調査、報告又は資料の提出を求めることが必要と認めた場合、当該調査、報告又は資料の提出が円滑に行われるよう日本貿易保険に協力しなければならない。
3 被保険者は、第31条第7項の規定により納付すべき金額に係る債権の保全上の必要に基づいて、日本貿易保険が業務若しくは資産の状況に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は業務若しくは資産の状況に関する帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
( 告知義務違反)
第19条 保険契約締結の当時、被保険者等が損失を受けるおそれのある重要な事実又は貿易代金貸付保険の対象となるための要件に係る重要な事実のあることについて、故意又は過失によって、日本貿易保険にこれを告げず、又は真実でないことを告げたときは、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
2 前項の規定による解除権は、日本貿易保険が解除の原因を知った日から2月間行使しないときは、消滅する。
3 第1項の適用に当たっては、貿易代金貸付について被保険者と協調して貿易代金貸付を行う者が存在する場合であって、この約款に基づく他の保険契約が締結されている場合にあっては、当該他の保険契約に係る被保険者等の故意又は過失は、被保険者の故意又は過失とみなす。
4 被保険者に損失が発生した後に日本貿易保険が第1項に基づいて保険契約を解除した場合においても、日本貿易保険は当該損失をてん補する責めに任じない。ただし、当該損失が、第1項に規定する損失を受けるおそれのある重要な事実に基づいて発生したも
のではない場合は、この限りでない。
( 貿易代金貸付の変更等)
第20条 被保険者が貿易代金貸付金債権等又は貸付金等に関し、手続細則で定める重大な内容変更等( 以下「重大な内容変更等」という。) を行った場合には、当該重大な内容変更等の日から1月以内かつ償還期限までにその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。ただし、被保険者の意思によらない変更等又は被保険者が関与できない変更等は除く。
2 日本貿易保険は、前項に規定する通知を受けたときには、保険契約を解除することができる。ただし、日本貿易保険が書面で承認したときは、この限りでない。
3 前項の承認に条件を付けた場合であって、当該条件が成就されないときには、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
4 前2項及び第9項の規定に基づく解除は、重大な内容変更等があった時から将来にわたってのみ効力を生ずる。
5 日本貿易保険は、被保険者が第1項に規定する通知を怠った場合、重大な内容変更等があった時から、保険契約は効力を失ったものとみなすことができる。
6 被保険者は、重大な内容変更等を行おうとするときは、日本貿易保険に対し書面による事前の承認を求めることができる。
7 被保険者は、前項の日本貿易保険の承認に基づいて重大な内容変更等を行うときは、当該承認の日から6月以内に行わなければならない。
8 前2項に従って重大な内容変更等を行った場合は、第2項から第4項までの規定は適用しない。
9 日本貿易保険は、第6項の承認に条件を付けた場合であって、当該条件が成就されていないにもかかわらず、第1項の通知があったときには、保険契約を解除することができる。
( その他の通知義務)
第21条 貿易代金貸付金債権等又は貸付金等に関し、手続細則で定める事由が生じた場合には、被保険者は、当該事由が生じたことを知った日から15日以内かつ第9条第2項に定める保険責任の終了日までに、当該事由について日本貿易保険に通知しなければならない。
2 被保険者は、貿易代金貸付の相手方の財務状況に関する資料その他の情報を入手したときは、当該資料等又はその写しを日本貿易保険に提出しなければならない。
( 贈賄行為に関与しない旨の宣誓義務等)
第21条の2 保険契約者及び被保険者は、不正競争防止法及び刑法の規定に違反する贈賄行為にかかわっていないこと及び今後ともかかわらないことを日本貿易保険に対して誓約しなければならない。
2 被保険者は、輸出者等が不正競争防止法及び刑法の規定に違反する贈賄行為にかかわっていないこと及び今後ともかかわらないことを、輸出者等に日本貿易保険に対して誓約させなければならない。
3 保険契約者又は被保険者は、被保険者等が貿易代金貸付又は輸出契約等に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反した罪により起訴された場合、日本貿易保険に対して速やかに報告しなければならない。輸出者等( 輸出者等の役員、代理人及び使用人を含む。) が輸出契約等について当該各法令に違反した罪により起訴されたことを知った場合も、同様とする。
第5章 保険料
( 保険料の納付等)
第22条 保険契約者は、保険契約を締結した場合、第12条に規定する通知をした場合又は重大な内容変更等を行った場合であって保険契約者が保険料を納付すべき場合その他保険契約者が保険料を納付すべき場合においては、日本貿易保険が指定する日までに貿易保険の保険料率等に関する規程( 平成29年4月1日 17‐ 制度‐00070。以下「保険料率等規程」という。) に従って日本貿易保険の指定する額の保険料の全額を日本貿易保険に納付しなければならない。
2 保険契約者が日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日までに前項に規定する保険料の全額を納付しなかったときは、保険契約者は、保険料及び当該保険料について日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日の翌日から保険契約者の納付すべき保険料が納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。ただし、第4項の規定に基づき保険契約が解除された場合は、この限りでない。
3 前項の規定により延滞金を納付しなければならない場合において、保険契約者が納付すべき保険料及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を保険料、延滞金の順に充当する。
4 保険契約者が、日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日までに日本貿易保険の指定する額の保険料の全額又は延滞金の全額を納付しなかったときは、日本貿易保険は保険契約の全部又は一部を解除することができる。
5 前項の規定による解除は、当該保険料又は延滞金が保険契約を締結した場合において納付すべきものであるときは保険契約の締結の日から、被保険者が重大な内容変更等を行った場合において納付すべきものであるときは当該重大な内容変更等があった日からそれぞれ効力を生ずる。
6 保険契約者について、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始若しくは特別清算手続開始の各決定又は外国の法令に基づく制度上これに準ずる手続があった場合には、第1項の規定にかかわらず、日本貿易保険からの通知等を要さずに、保険契約者は、日本貿易保険に対する第1項に定める保険料の支払債務について当然に期限の利益を失い、直ちに保険料の全額を支払うものとする。ただし、当該期限の利益の喪失後、日本貿易保険は、新たに支払期日を指定することができる。
( 保険料の返還)
第23条 日本貿易保険は、保険料の納付が日本貿易保険の指定する日の翌日以後になされた場合であって日本貿易保険が前条第4項の規定に基づき保険契約を解除したとき又は日本貿易保険が同項の規定に基づき保険契約を解除した日以後に保険料が納付された場合は、当該納付に係る保険料を返還する。
2 保険契約者が、第8条第4項に規定する保険契約の解除を通知したときであって、当該解除の通知の前に保険料が納付された場合は、日本貿易保険は、当該納付に係る保険料を返還する。
3 保険契約者又は被保険者が、貿易代金貸付の内容変更又はその他合理的理由により保険価額の減少又は保険期間の短縮を申請し、日本貿易保険がこれを承認したときは、日本貿易保険がてん補すべき責めに任じなくなった部分に相当する保険料を返還する。ただし、保険料率等規程で定める場合を除く。
4 前3項に定める場合を除き、保険契約の無効、失効若しくは解除の場合又は日本貿易保険が損失をてん補する責めに任じない場合においても、日本貿易保険は保険料を返還しない。ただし、保険料率等規程で定める場合は、保険料の全部又は一部を返還する。
第6章 保険金の支払
( 保険金受取人)
第24条 被保険者は、保険金請求事務を被保険者の代わりに行い、被保険者のために保険金を受領する者として保険金受取人を定めることができる。
2 被保険者は、保険契約の締結後に、保険金受取人を指定、変更又は廃止( 以下「指定等」という。) した場合には、当該指定等の日から1月以内( ただし、1月以内に保険金の支払を請求する場合には、保険金の請求日前) にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
3 保険金受取人を定めた場合、被保険者は、この証券記載の保険金受取人を通じてのみ保険金の支払を請求することができる。
4 日本貿易保険は、この証券記載の保険金受取人が保険金の支払を請求してきた場合には、当該保険金受取人に対して保険金を支払うものとし、この場合、日本貿易保険は被保険者に対して保険金を支払ったものとみなし、当該保険金支払債務は消滅するものとする。
( 保険金の請求)
第25条 被保険者その他の保険金の支払を請求しようとする者( 以下「保険金請求人」という。) は、自己の費用をもって損失の計算を行い、保険金請求書に損失計算書、証拠書類その他必要な書類を添えて日本貿易保険に提出しなければならない。
2 前項の請求は、第15条に定める損失発生の通知をした日以降、償還期限から9月以内
( 第3条第12号の事由による損失がてん補される場合にあっては、償還期限から3月を経過した日以後、償還期限から9月以内) に行うものとする。ただし、日本貿易保険が、特に猶予期間を定めた場合は、この限りでない。
3 保険金請求人が正当な理由なく前項に規定する期間内又は日本貿易保険が定めた猶予期間内に保険金の支払の請求を行わない場合には、日本貿易保険は、保険金を支払わない。
4 保険金の支払を請求した者は、日本貿易保険がてん補責任の有無又はてん補額の決定のため必要と認める書類の提出を求めたときは、遅滞なく、これに応じなければならない。
5 保険金請求人は、第22条第1項及び第2項の規定にかかわらず、保険金の支払を請求するまでに、同条第1項及び第2項に規定する保険料及び延滞金の全部が支払われない限り、保険金の支払請求をすることが認められないものとする。
( 保険金請求権の消滅時効)
第26条 保険金請求権は、償還期限( 第3条第12号の事由による損失がてん補される場合にあっては、償還期限から3月を経過した日) から3年を経過した場合、時効により消滅するものとする。
2 前条第5項の規定は、前項に基づく消滅時効の成立を妨げない。
( 償還期限前の請求)
第27条 被保険者は、償還期限前において、第3条各号のいずれかに該当する事由の発生により償還期限までに貸付金等を回収することができないことが確実であるときは、損失の発生について、日本貿易保険の確認を求めることができる。
2 前項の規定により日本貿易保険が損失の発生を書面で確認したときは、保険金の支払の請求は、第25条第2項の規定にかかわらず、当該確認のあった日から9月以内の間に行うことができる。
3 前項の場合における損失額は、第4条の規定により算出した損失額のうち、元本及び
前項の確認があった日までに発生した利子に係るものとする。
( 保険金の支払)
第28条 日本貿易保険は、第25条第1項に定める手続による請求を受けた日から2月以内に保険金を支払う。ただし、調査のため特に時日を要するときは、この限りでない。
( 他の保険契約等との関係)
第29条 貿易代金貸付について、この約款に基づく被保険者を同じくする二以上の保険契約を締結している場合は、各保険契約のうち日本貿易保険が支払うべき保険金額が最大となる保険契約による第5条のてん補責任額を支払保険金額とする。
2 貿易代金貸付について、この約款のてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約が存在し、かつ、各保険契約のてん補責任額の合計が損失額を超える場合には、第4条の損失額に、第5条のてん補責任額の各保険契約のてん補責任額の合計額に対する割合を乗じて得た額を支払保険金額とする。
第7章 債権の回収
( 保険代位)
第30条 日本貿易保険は、保険金を支払ったときは、法第42条の規定に基づき保険金の支払の時に被保険者の有していた貸付金等に係る債権を支払った保険金の額の第4条に規定する残額に対する割合をもって取得する。
( 回収金の納付)
第31条 被保険者は、前条の規定にかかわらず、保険金の支払の請求がなされた後においても、自己又は日本貿易保険のために貿易代金貸付に基づく貸付金等又は損害賠償金、違約金その他これらに類する金銭の回収に努めなければならない。ただし、当該回収に係る権利の行使の相手方についての破産手続開始の決定がなされたことその他やむをえない事由により当該回収に係る権利を行使することが困難であることについて日本貿易保険の認定を受けたとき又は第4項若しくは次条第3項の規定に基づき権利行使等の委任を行ったときは、この限りでない。
2 被保険者は、前項に規定する義務の履行の状況について、日本貿易保険に書面で報告しなければならない。ただし、前項ただし書の規定により日本貿易保険の認定を受けたとき又は権利行使等の委任を行ったときは、この限りでない。
3 被保険者は、前条に規定する日本貿易保険の保険代位を貿易代金貸付の相手方の住所地法において当該相手方その他の第三者に対抗することができるために必要な手続を行うことを日本貿易保険が指示したときは、これに従わなければならない。
4 被保険者は、前項による義務を履行したときは、被保険者が有している保険事故に係る債権について日本貿易保険に権利行使等の委任を行わなければならない。
5 被保険者は、前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項について、貿易保険共通運用規程( 平成29年4月1日 17‐ 制度‐00069。以下「共通運用規程」という。) に従わなければならない。
6 日本貿易保険は、第1項による義務の履行のために要した費用を取得した金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
7 被保険者は、保険金の請求がなされた後、回収した金額があるときは、回収のあった日( 回収のあった日が保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日) から1月以内にその旨を日本貿易保険に通知し、かつ、日本貿易保険が指定する次の式で算出された金額を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
( 回収金額- A) ×
支払保険金額
- B
第4条の損失額
Aは、第1項による義務の履行のために要した費用( ただし、日本貿易保険が認めた金額に限る。)
Bは、第4条の損失額に償還期限( 第27条第1項に規定する確認を受けた場合にあっては当該確認のあった日) の翌日から保険金支払日( 回収が保険金の支払を受けた日以前の場合には、当該回収のあった日) までの期間に応じ共通運用規程に定める利率を乗じて得た額から保険金請求日までに回収した延滞利息( 保険金請求までに回収した元本に係る延滞利息を除く。) を除いた額に支払った保険金の額の第4条の損失額に対する割合を乗じて得た金額から既に被保険者に充当した金額を除いた金額又は回収した金額からAを除いた金額に支払った保険金の額の第4条の損失額に対する割合を乗じて得た金額のいずれか少ない金額
8 前項に規定する期間内に同項に規定する通知をすることを怠った被保険者は、同項の規定により納付すべき金額( 以下「回収納付金額」という。) について回収のあった日
( 回収のあった日が、保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日) の翌日から当該通知をした日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した違約金を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
9 被保険者は、第7項又は前項のいずれかに該当する場合において、各項の規定に基づき日本貿易保険に納付すべき金額を日本貿易保険の指定する日までに納付しなかったときは、当該金額及び当該金額について日本貿易保険の指定する日の翌日から納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。
10 前2項の規定により違約金及び延滞金を納付すべき場合において、被保険者が回収納付金額、違約金及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を回収納付金額、違約金、延滞金の順に充当する。
( 日本貿易保険による権利の行使)
第32条 日本貿易保険は、保険金支払前に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、被保険者から当該債権に係る権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
2 日本貿易保険は、第30条の規定に基づき保険代位を行った後に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、当該債権のうち被保険者が有している部分について被保険者から権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
3 被保険者は、日本貿易保険から前2項の申込みを受けた場合は、合理的な理由のあるときを除き、これに応じなければならない。
4 前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項については、前条第5項を準用する。
5 日本貿易保険は、第3項又は前条第4項の規定により権利行使等の委任を受けた保険事故に係る債権の行使を第三者に委任することができる。
第8章 雑則
( 換算率)
第33条 この約款において、外貨を邦貨に、邦貨を外貨に、又は一の外貨を他の外貨に換算する場合に適用する外国為替相場は、次の各号のとおりとする。
一 外貨を邦貨に換算する場合にあっては、銀行( 銀行法( 昭和56年法律第59号) 第2条第1項に規定する銀行をいう。以下同じ。) が提示する対顧客直物電信買相場の始値( 日本貿易保険が認めたものをいう。以下同じ。)
二 邦貨を外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する対顧客直物電信売相場の始値
三 一の外貨を他の外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する当該外貨間の換算率の始値
2 貸付金等が外貨建てのときは、保険価額、第4条の損失額及び第5条のてん補責任額は、次の各号に掲げる日における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、日本貿易保険が別に定めた場合は、この限りでない( 以下第3項から第5項までの各項において同じ。)。
一 保険価額にあっては、貿易代金貸付金債権等に係る契約の締結の日( 保険契約の締結後に貸付金等の額が増額変更された場合の当該増額部分に係る保険価額又は貸付金 等が邦貨建てから外貨建てに変更された場合若しくは外貨建てから他の外貨建てに変 更された場合の保険価額は、当該変更が行われた日( 以下この項において同じ。)) 二 第4条の損失額及び第5条のてん補責任額にあっては、貿易代金貸付金債権等に係る契約の締結の日又は償還期限のいずれか円高( 貸付金等の額として表示された外貨 の本邦における邦貨をもって表示される外国為替相場が低落した場合をいう。) の日
3 第4条各号の金額が貸付金等の額として表示された通貨( 邦貨の場合を含む。以下
「表示通貨」という。) と異なる通貨建てのときは、当該金額は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。ただし、第4条第1号に規定する費用について、当該費用に係る通貨を表示通貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
4 第31条第7項の規定に基づき回収した金額を納付する場合において、回収した金額が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該金額は、回収を確認した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。
5 第16条第3項又は第31条第6項に規定する日本貿易保険の負担する費用は、次の各号の規定により換算する。
一 第31条第7項に規定する費用が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を表示通貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
二 第4条第1号又は第31条第7項の規定によらない方法で日本貿易保険の負担する費用を請求する場合において、当該費用が外貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を邦貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
6 第2項から第5項において定める日に第1項各号の外国為替相場がない場合は、その日の直前の第1項各号の外国為替相場のある日における当該外国為替相場を適用する。
7 第1項各号の外国為替相場が提示されていない外貨の場合には、他の通貨を媒体とした換算率を適用する。
8 日本貿易保険が特に認めた場合には、第2項から第7項までの規定にかかわらず、日本貿易保険の指定した換算率を適用する。
( 保険の目的又は保険金請求権の譲渡)
第34条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権
を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
( 保険金支払後の債権譲渡等)
第35条 保険金支払日以後において、被保険者は、保険事故に係る債権のうち被保険者が有している部分を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
( 質権又は譲渡担保の設定)
第36条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権に質権又は譲渡担保を設定しようとするときは、当該質権又は譲渡担保権の取得予定者と連名で事前に日本貿易保険の承諾を得なければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承諾に当たっては、条件を付けることができる。
( 保険の目的又は保険金請求権の信託)
第37条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、債権流動化のために保険の目的又は保険金請求権を信託( 自己信託を含む) しようとするときは、受託予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
3 被保険者は、第1項に基づく信託等の内容を規定する書類を変更しようとするときは、事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
( ローン・パーティシペーション)
第38条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、債権流動化のために保険の目的に係る経済的利益及びリスクを移転( 以下「ローン・パーティシペーション」という。) しようとするときは、事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
3 被保険者は、第1項に基づくローン・パーティシペーションの内容を規定する書類を変更しようとするときは、事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
( 約款の改正)
第39条 日本貿易保険は、法令の改正、社会情勢の変動、その他相当の事由がある場合に、この約款を改正することができる。
( 手続事項)
第40条 この約款に規定するもののほか、保険契約に関する手続的な事項は、日本貿易保険が手続細則として別に定める。
( 準拠法令)
第41条 この約款に定めていない事項については、法及びこれに基づく命令その他日本国の法令の定めるところによる。
附 則
この約款は、平成29年4月1日から実施する。附 則
この改正は、令和2年4月1日から実施する。附 則
この改正は、令和2年10月1日から実施する。附 則
この改正は、令和4年7月1日から実施する。
附 則
この改正は、令和5年3月20日から実施する。