◇監督員が立会や見本検査に不適当に応じず工期延長が必要となった場合 ・・・ etc
工事請負契約に係る
設計・契約変更ガイドライン
平成28年4月
広島高速道路公社
企画調査部 技術管理課
目 次
1.設計・契約変更ガイドライン策定の目的 P1
◆公共工事の特徴
◆設計・契約変更の現状
◆設計・契約変更の課題
◆適切な設計変更の必要性
◆ガイドライン策定の目的
2.設計・契約変更の基本事項 P3
◆設計変更と契約変更
◆契約変更の範囲
◆設計・契約変更の対象となる事項
◆指定・任意の考え方
◆施工条件の明示
3.発注者・受注者の留意事項 P8
◆発注者の留意事項
◆受注者の留意事項
4.設計・契約変更の考え方 P9
◆受注者が照査結果の確認を請求した場合
◆発注者が必要と認め変更する場合
◆工事を一時中止する必要がある場合
◆受注者の責に帰することができない事由によって工期内に工事を完成することが困難となった場合
◆発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合
5.契約変更の手続 P21
6.契約金額の変更に代える
設計図書の変更 P22
7.参考資料 P23
◆広島高速道路公社建設工事請負契約約款関係事項
◆広島高速道路公社土木工事共通仕様書関係事項
◆広島高速道路公社請負工事変更指示取扱要領関係事項
◆施工条件の明示について(通知)【技管通知14-8】
1.設計・契約変更ガイドライン策定の目的
◆公共工事の特徴
◇公共工事は、多岐にわたる目的物について個別に設計を行い、多種多様な自然条件・施工条件の下で構築されるという特殊性を有している。
◇発注者は、当初設計積算時に予見できない地質・湧水等の変化に対応できるよう施工条件を設計図書に明示し、設計変更等工事の円滑化に努める必要がある。
◆設計・契約変更の現状
設計・契約変更の現状
設計図書に条件明示されている事項
◇設計図書に条件明示されている事項と現場条件が一致しない場合には、契約約款の関連事項に基づき、設計図書に条件明示した事項を変更し必要に応じて請負代金額の変更を行っている。
◇このことから、設計変更に係る問題はない。
設計図書に条件明示が脱漏又は不明確となっている事項や任意仮設等一式計上されている事項
◇契約約款の関連事項に基づく手続が適正に行われておらず、発注者・受注者間での変更対応が問題となっている場合がある。
◆設計・契約変更の課題
設計・契約変更の課題
◇「適正な設計・契約変更対応」は、各建設業団体との意見交換会においても議論されているところであり、発注者・受注者間における喫緊の課題
◆適切な設計変更の必要性
◇改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負代金で締結」と示されているとともに、また、発注者の責務として
「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、(中略)必要があると認めらえるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと」と規定されている。
◆ガイドライン策定の目的
◇設計変更の課題に対して、発注者・受注者間で設計変更に係る規則の理解を深め、設計・契約変更の円滑化・適性化を図ることを目的に、本ガイドラインを策定した。
2.設計・契約変更の基本事項
◆設計変更と契約変更
設計変更及び契約変更の基本原則
◇工事の施工は、設計図書に基づいて施工すべきであるが、やむを得ず当初設計に差異を生じた場合に設計変更及び契約変更を行う。
設計変更と契約変更
◇設計変更とは、工事の施工にあたり設計図書の内容の変更に係るもの。
◇契約変更とは、設計変更に伴う請負代金額の変更又は工期の変更の決定に基づく契約の変更を行うもの。
◆契約変更の範囲(広島高速道路公社請負工事変更指示取扱要領)
◇設計表示単位に満たない設計変更は、契約変更の対象としない。(第3条第2項)
◇一式工事については、受注者に仕様書、図面、工事に関する説明書及びこれらにおいて設計条件又は施工方法を明示したものにつき、当該設計条件又は施工方法を変更した場合のほか、原則として契約変更の対象としない。(第3条第3項)
◇変更見込金額が請負代金額の30%をこえる工事は、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難な場合、又は緊急やむを得ない場合を除き、原則として別途契約するものとする。
(第3条第1項)
⇒なお、変更見込金額が請負代金額の30%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金額又は工期の変更を行うものとする。
また、変更見込金額が請負代金額の30%を超えたことのみをもって設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負代金額や工期の変更の変更を行わないことはあってはならない。
◆設計・契約変更の対象となる事項
◇広島高速道路公社建設工事請負契約約款で定められている設計・契約変更は以下のとおり。
設計・契約変更の対象となる事項 | 契約約款 |
1.仕様書、図面、工事に関する説明書及びこれらに対する質問回答書が一致しない場合(これらの優先順位が定められている場合を除く) | 第18条第1項第1号 |
2.設計図書に誤謬又は脱漏がある場合 | 第18条第1項第2号 |
3.設計図書の表示が明確でない場合 | 第18条第1項第3号 |
4.工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合 | 第18条第1項第4号 |
5.設計図書で明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合 | 第18条第1項第5号 |
6.発注者が必要と認め、設計図書の内容を変更する場合 | 第19条 |
7.工事を一時中止する必要がある場合 | 第20条 |
8.受注者の責に帰することができない事由により工期内に工事を完成することができない場合 | 第21条 |
9.発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合 | 第22条 |
※契約約款では、上記表における条文に起因する場合の他、第8条(特許xxの使用)、第15条(支給材料及び貸与品)、第17条
(設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等)、第25条(賃金又は物価変動に基づく請負代金額の変更)、第26条(臨機の措置)、第27条(一般的損害)、第29条(不可抗力による損害)、第33条(部分使用)で設計・契約変更する場合があることを規定している。
◆指定・任意の考え方
契約約款第1条3項
◇仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、この約款及び設計図書に特別の定めがない場合を除き、乙がその責任において定めるものとする。
◇指定とは、工事目的物を施工するにあたり、設計図書で指定したとおり施工を行わなければならないもの。
◇任意とは、工事目的物を施工するにあたり、設計図書では指定せず、受注者の責任において施工を行うことができるものである。
○仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
○仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。 (但し、受注者の責によらない場合を除く)
○当初設計時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。(但し、受注者の責による場合を除く)
指定・任意の考え方
x x | 任 意 | |
設計図書での取り扱い | 施工方法等について具体的に指定 (契約条件として位置付け) | 施工方法について具体的に指定しない (契約条件ではないが、見積参考図書として標準的工法等を示すことがある) |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意 (施工計画書等の変更、提出は必要) |
施工方法の変更が生じた場合の設計変更 | 対象とする (但し、受注者の責による場合を除く) | 対象としない (但し、受注者の責によらない場合を除く) |
当初明示した条件の変更が生じた 場合の設計変更 | 対象とする (但し、受注者の責による場合を除く) | 対象とする (但し、受注者の責による場合を除く) |
◆施工条件の明示
◇発注者は、受注者が工事の目的に即した適切な施工ができるよう設計図書(施工条件明示書等)に必要な施工条件を明示しなければならない。
◇施工条件の明示にあたっては、 「施工条件明示について(通知)」に記載されている事項について明示する。なお、条件明示に不足が生じないようチェックを行うこと。
3.発注者・受注者の留意事項
◆発注者の留意事項
◇発注者は、受注者が工事の目的に即した適切な施工ができるよう、設計図書には必要な条件を明示しなければならない。
◇また、変更の必要がある場合は受注者に対して書面により指示を行わなければならない。
◇設計積算にあたり工事の施工に係る制約事項については、設計図書に条件明示を行う。
[契約約款第18条第1項4項、「施工条件明示について(通知)」]
◇受注者が実施する設計図書の照査の結果、受注者から確認の請求があった場合は、調査を行いその結果を受注者に通知し、必要があると認められる時は設計変更又は契約変更を行う。
[契約約款第18条第1項第1号から第5号、土木工事共通仕様書1-1-1-3(設計図書の照査等)]
◇設計変更を行う必要が生じた場合など必要な指示、協議等は書面で行う。[契約約款1条第5項]
◆受注者の留意事項
◇受注者は、工事の目的が達せられるよう施工する義務があり、工事に係る発注者の意図、設計図書、現場条件等を確認する必要がある。
◇受注者(入札参加者)は、仕様書、図面、工事に関する説明書及びこれらに対する質問回答書について不明瞭な事項がある場合は質問にて確認のうえ入札書を提出する。[入札説明書]
◇工事着手時点においては設計図書を照査し疑義を明確にするとともに、施工中疑義が生じた場合は、発注者と書面による協議を行い、発注者からの書面での指示に従い施工する。
4.設計・契約変更の考え方
◆受注者が照査結果の確認を請求した場合[契約約款第18条第1項]
◇受注者は、契約約款第18条第1項第1号から第5号及び土木工事共通仕様書1-1-1-3(設計図書の照査等)で定めている照査を実施。
□設計図書の照査と設計・契約変更
◇監督員は、受注者から照査に基づき確認を請求された時、又は自ら事実を発見したときは受注者の立会いの上調査を実施。(受注者の立会いを得ずに行うこともできる。)
◇監督員は、調査の結果をとりまとめ、調査終了後14日以内に、結果を受注者に通知。
調査の結果、事実を確認
◇必要があると認められる時は、設計図書を訂正又は変更。
○「必要があると認められる時」とは、発注者の意思ではなく客観的に決定。
○従って、確認された事実が軽微で、当初の設計図書に従って施工を継続しても支障がない場合を除き、訂正又は変更を行うべき。
◇設計図書を訂正又は変更した場合、必要があると認められる時は、工期若しくは請負代金額を変更
○「必要があると認められる時」とは、発注者又は受注者が認めるときではなく客観的に決定。
○従って、設計図書の変更等が行われても、全く工期又は請負代金額に影響を及ぼさない等特殊な場合を除き変更を行うべき。
□「設計図書の照査」の範囲を超える事項
◇受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える事項としては以下の事項が想定される。
○現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
○現地調査の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。又は土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
○構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造物の再計算が必要となるもの。
○構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
○現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるが標準設計では修正不可能なもの。
○構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
○基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
○土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
○「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
○構造物の応力計算を伴う照査。
○設計根拠まで遡る設計図書の見直し。
○舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断図面が示されており、その修正を行う場合とす る。) なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書第3-2-6-15路面切削工、3-2-
6-17 オーバーレイ工等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる。
※なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとする。
□設計図書がお互いに一致しない場合[契約約款第18条第1項1号]
(仕様書、図面、工事に関する説明書及びこれらに対する質問回答書が一致しない場合)
事 例
◇図面と仕様書の材料の寸法、規格、数量等の記載が一致しない。
◇平面図と縦断図の延長、材料名称、仕様等の記載が一致しない。・・・ etc
□設計図書に誤謬又は脱漏がある場合[契約約款第18条第1項2号]
事 例
設計図書に誤謬がある場合
◇設計図書に示されている施工方法では、条件明示されている土質に対応できない。
◇図面に記載されている材料の規格が間違っている。 ・・・ etc設計図書に脱漏がある場合
◇図面に使用材料の規格が記載されていない。
◇一式工事について、図面、仕様書又は工事に関する説明書及びこれらに対する質問回答書に設計条件又は施工方法に係る必要事項が記載されていない。 ・・・ etc
□設計図書の表示が明確でない場合[契約約款第18条第1項3号]
事 例
◇水替工の記載はあるが、作業時、常時など運転状況の記載がない。
◇用地買収が未了との記載はあるが、着工見込み時期の記載がない・・・ etc
事 例
◇設計図書に明示された土質や地下水位が工事現場と一致しない。
◇設計図書に明示された地盤高が工事現場と一致しない。
◇設計図書に明示された地下埋設物の位置が工事現場と一致しない。・・・ etc
□設計図書と実際の工事現場が一致しない場合[契約約款第18条第1項4号]
事 例
◇施工中に埋蔵文化財が発見され、調査が必要となった。
◇工事範囲の一部に軟弱地盤があり、地盤改良が必要となった。・・・ etc
□予期することのできない特別な状況が生じた場合[契約約款第18条第1項5号]
契約約款第18条第1項に係る変更手続
受注者
発注者
発注者、受注者立会いの上、調査を実施(契約約款第18条第2項)
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第23・24条)
必要がある場合、設計図書の訂正又は変更(契約約款第18条第4項)
受注者の意見を聴いた上で結果をとりまとめ、受注者に通知
(契約約款第18条第3項)
請求内容を確認するため調査の実施を決定(契約約款第18条第2項)
設計図書の照査結果を発注者に通知し確認を請求(契約約款第18条第1項)
◆発注者が必要と認め変更する場合[契約約款第19条]
◇発注者は、工事の施工途中において、当初発注の内容を変更せざるを得ない事態が生じた場合
◇必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知し、設計図書の変更を行う。
○「必要があると認める」とは、発注者の判断であり、その理由を受注者に示す必要はない。
◇この場合において、必要があると認められるときは、工期又は請負代金額の変更を行う
○「必要があると認められるとき」とは、発注者又は受注者が認めるときではなく客観的に決定。
○従って、設計図書の変更等が行われても、全く工期又は請負代金額に影響を及ぼさない等特殊な場合を除き変更を行う。
事 例
◇地元調整、関係機関協議の結果、施工範囲、施工内容、施工日・時間の変更を行う。
◇新たに施工する必要のある工種が判明し、その工種を追加する。
◇関連する工事の影響による施工条件の変更により、施工内容の変更を行う。
◇工事現場の安全管理上、フェンス等の防護施設(共通仮設費の率分以外)を必要と判断し、追加する。
◇関連する他工区との調整の結果、必要となった工法変更。 ・・・ etc
契約約款第19条に係る変更手続
請負者
発注者
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第23・24条)
発注者が設計図書の変更を行い、受注者にその内容を通知
(契約約款第19条)
設計変更の必要があると判断(契約約款第19条)
◆工事を一時中止する必要がある場合[契約約款第20条]
※「工事一時中止に係るガイドライン」参照
◇工事用地等の確保ができない等のため又は自然的若しくは人為的な事象であって受注者の責に帰すことができないものにより、工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合。[契約約款第20条第1項]
○「工事を施工できないと認められるとき」とは、客観的に認められる場合を意味し、発注者又は受注者の主観的判断により決まるものではない。
◇上記以外に、発注者が必要であると認める場合。 [契約約款第20条第2項]
○「必要であると認める」とは、発注者の判断。
◇発注者は、工事の中止内容を受注者に通知し、工事の全部又は一部の施工を中止させることができる。[契約約款第20条第1・2項]
◇工事の中止に伴う増加費用等の負担については、受注者から請求があった場合に適用する。
◇増加費用として積算する範囲は、「工事現場の維持に要する費用」、「工事体制の縮小に要する費用」、「 工事の再開準備に要する費用」とする。[契約約款第20条第3項]
事 例
工事用地等の確保ができない場合
◇発注者の義務である工事用地等(施工上必要な用地)の確保が工事着手に間に合わない。自然的若しくは人為的な事象により工事を施工できない場合
◇暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動、反対運動等の妨害活動、埋蔵文化財の発掘又は調査等
契約約款第20条に係る変更手続
受注者
発注者
受注者の責に帰することができないものにより、受注者が工事を施工することができない事態が発生した場合、又は発注者が必要であると認める場合
(契約約款第20条第1・2項)
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第23・24条)
発注者は、必要があると認められるときは、工期又は請負代金額を変更し必要な費用を負担(契約約款第20条第3項)
発注者は、工事の一時中止を受注者に通知し、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。(契約約款第20条第1・2項)
工事の一時中止に伴う増加費用等を発注者に請求
通知された内容の工事を一時中止
◆受注者の責に帰することができない事由によって工期内に工事を完成することができない場合[契約約款第21条]
◇受注者は、天候の不良、関連工事の調整への協力その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは、その理由を明示した書面により、発注者に工期の延長変更を請求することができる。[契約約款第21条第1項]
○「その他受注者の責めに帰すことができない事由」とは、不可抗力や発注者の帰責事由によるものも含まれる。
◇発注者は、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。
[契約約款第21条第2項]
○発注者は、受注者の申し出が不当な場合を除き延長に応じなければならない。
◇工期の延長が、発注者の帰責事由による場合には、請負代金額の変更又は受注者の損害に対する費用を負担しなければならない。[契約約款第21条第2項]
事 例
不可抗力
◇暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象であって発注者と受注者の双方に帰することができないもの
発注者の帰責事由によるもの
◇監督員の失火による火災
◇監督員が立会や見本検査に不適当に応じず工期延長が必要となった場合 ・・・ etc
契約約款第21条に係る変更手続
受注者
発注者
天候の不良、関連工事の調整への協力その他受注者の責に帰すことができないものにより、工期内に工事を完成することができない場合
(契約約款第21条第1項)
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第23・24条)
発注者は、工期の延長が発注者の帰責事由による場合には、請負代金の変更又は受注者の損害に対する費用を負担
(契約約款第21条第2項)
発注者は、必要があると認められるときは工期を延長
(契約約款第21条第2項)
工期の延長変更について、理由を明示した書面により発注者に請求
◆発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合[契約約款第22条]
◇発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に請求することができる。[契約約款第22条第1項]
◇発注者は、この約款の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。[契約約款第22条第2項]
◇発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。[契約約款第22条第3項]
※特別な理由
発注者の自由意思によるものであり、必ずしもこれを明示しないと短縮請求ができないものでは
ないが、少なくとも発注者と受注者の協議の過程でその理由を受注者に明示する必要がある。
事 例
◇道路の供用開始時期について、当初に予定していた時期を繰り上げて行うことが、業務運営上必要となる場合
◇事業の執行に関する当初の予定が変更され、早い時期に完成が必要となる場合。 ・・・ etc
契約約款第22条に係る変更手続
受注者
発注者
発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合、又は工期を延長すべき場合において特別の理由により通常必要とされる工期に満たない工期延
長をする場合 (契約約款第22条第1・2項)
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第23・24条)
工期の短縮を書面にて受注者に請求
(契約約款第22条第1・2項)
受注者は、請求に基づき工期短縮を図るための施工計画書を発注者に提出
5.契約変更の手続[契約約款第23・24条]
□工期の変更[契約約款第23条]
◇工期の変更については、発注者・受注者協議。
○協議開始日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め受注者に通知。
◇協議の開始日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知
○発注者が工期の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日
を定め発注者に通知。
□請負代金額の変更[契約約款第24条]
◇請負代金額の変更については、発注者・受注者協議。
○協議開始日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め受注者に通知。
◇協議の開始日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知
○発注者が請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議
開始日を定め発注者に通知。
◇請負者が増加費用を必要とした場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者・
受注者協議。
6.契約金額の変更に代える設計図書の変更[契約約款第30条]
◇請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において、特別な理由があるときは、請負代金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。
○請負代金額の増額が発生する場合、発注者は予算を確保しておかなければならないが、予算が確保できていない場合は、予算管理上問題となる
○このような場合には、設計図書を変更し、当初の請負代金額又は発注者の負担しうる範囲内の増額等に相応する工事量とすることができる。
◇設計図書の変更内容は、発注者・受注者協議して定める。
○協議開始日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め受注者に通知。
◇ 協議の開始日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知
○発注者が工期の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日を定め発注者に通知。
7.参考資料
◆広島高速道路公社 建設工事請負契約約款 関係事項
(総則)
第 1条 発注者及び受注者は、この約款(契約書を含む。以下同じ。)に基づき、設計図書(別添の設計書、仕様書、図面、工事に関する説明書及びこれに対する質問回答書を言う。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この約款及び設計図書を内容とする工事の請負契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
3.仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
(条件変更等)
第18条 受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求 しなければならない。
(1) 仕様書、図面、工事に関する説明書及びこれらに対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く)
(2) 設計図書に誤謬又は脱漏があること
(3) 設計図書の表示が明確でないこと
(4) 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
(5) 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと
2 監督員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、 直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、 調査の終了後14日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由が あるときは、あらかじめ受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果において第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次に掲げるところにより設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
(1) 第1項第1号から3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるものについては、発注者が行う。
(2) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うものについては、発注者が行う。
(3) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないものについては発注者と受注者とが協議して、発注者が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第19条 発注者は、前条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工事の中止)
第20条 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって受注者の責に帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められるときは、発注者は、工事の中止内容を直ちに 受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止内容を受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代 金額を変更し、又は乙が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(受注者の請求による工期の延長)
第21条 受注者は、天候の不良、第2条の規定に基づく関連工事の調整への協力その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは、その理由を明示した書面により、発注者に工期の延長変更を請求することができる。
(発注者の請求による工期の短縮等)
第22条 発注者は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に請求することができる。
2 発注者は、この約款の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。
3 発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工期の変更)
第23条 工期の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知するものとする。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、発注者が工期の変更事由が生じた日(第21条の場合にあっては、発注者が工期変更の請求を受けた日、前条の場合にあっては、受注者が工期変更の請求を受けた日)から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(請負代金額の変更方法等)
第24条 請負代金額の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知するものとする。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、発注者が請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
3 この約款の規定により、受注者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者と受注者とが協議して定めるものとする。
(請負代金額の変更に代える設計図書の変更)
第30条 発注者は、第8条、第15条、第17から第22条まで、第25条から第27条まで、前条又は第33条の規定により請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において、特別の理由があるときは、請負代金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。この場合において、設計図書の変更内容は、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知するものとする。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知しなければならない。ただし、発注者が請負代金額の増額すべき事由又は費用の負担すべき事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
◆土木工事共通仕様書関係事項
1-1-1-3 設計図書の照査等
1.図面原図の貸与
受注者からの要求があり、監督員が必要と認めた場合、受注者に図面の原図を貸与することができる。ただし、共通仕様書等市販・公開されているものについては、受注者が備えなければならない。
2.設計図書の照査
受注者は、施工前及び施工途中において、自らの負担により契約約款第18条第1項1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、受注者は、監督員から更に詳細な説明又は書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
3.受注者は、契約の目的のために必要とする以外は、契約図書及びその他の図書を監督員の承諾なくして第三者に使用させ、又は伝達してはならない。
1-1-1-13 工事の一時中止
1.一般事項
発注者は、契約約款第20条の規定に基づき、以下の各号に該当する場合においては、あらかじめ受注者に対して通知した
上で、必要とする期間、工事の全部または一部の施工について一時中止させることができる。なお、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他自然的又は人為的な事象による工事の中断については1-1-1-41臨機の措置により、受注者は、適切に対応しなければならない。
(1)埋蔵文化財の調査、発掘の遅延及び埋蔵文化財が新たに発見され、工事の続行が不適当又は不可能となった場合
(2)関連する他の工事の進捗が遅れたため工事の続行を不適当と認めた場合
(3)工事着手後、環境問題等の発生により工事の続行が不適当または不可能となった場合
2.発注者の中止権
発注者は、受注者が契約図書に違反しまたは監督員の指示に従わない場合等、監督員が必要と認めた場合には、工事の中止内容を受注者に通知し、工事の全部または一部の施工について一時中止させることができるものとする。
3.基本計画書の作成
第1項及び第2項の場合において、受注者は施工を一時中止する場合は、中止期間中の維持・管理に関する基本計画書を監督員を通じて発注者に提出し、承諾を得るものとする。また、受注者は工事の再開に備え工事現場を保全しなければならない。
1-1-1-14 設計図書の変更
1.一般事項
設計図書の変更とは、入札に際して発注者が示した設計図書を、発注者が指示した内容及び設計変更の対象となることを認めた協議内容に基づき、発注者が修正することをいう。
2.契約内容の変更手続きの書面化の徹底
契約約款第19条(設計図書の変更)の規定に基づく、設計図書の変更・工期若しくは請負代金の変更は、発注者または受注者から書面による指示または協議を交わしたもののみを対象とする。これ以外の口頭によるもの、署名・押印のないもの等は変更契約の対象としない。
1-1-1-15 工期変更
1.一般事項
契約約款第15条第7項、第17条第1項、第18条第5項、第19条、第20条第3項、第21条及び第40条第2項の規定に基づく工期の変更について、契約約款第23条の工期の変更協議の対象であるか否かを監督員と受注者との間で確認する(本条において以下
「事前協議」という。)ものとし、監督員はその結果を受注者に通知するものとする。
2.設計図書の変更等
受注者は、契約約款第18条第5項及び第19条に基づき設計図書の変更または訂正が行われた場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
3.工事の一時中止
受注者は、契約約款第20条に基づく工事の全部もしくは一部の施工が一時中止となった場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
4.工期の延長
受注者は、契約約款第21条に基づき工期の延長を求める場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする延長日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
5.工期の短縮
受注者は、契約約款第22条第1項に基づき工期の短縮を求められた場合、可能な短縮日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付し、契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督員と協議しなければならない。
◆広島高速道路公社請負工事変更指示取扱要領関係事項
(設計変更の範囲)
第3条 設計変更に伴い工事の変更見込額(設計変更の回数が2回以上である場合は、その合計額)が当初請負代金額の30%を超える場合は、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難な場合、又は緊急やむを得ない場合を除き、原則として、別途の契約とするものとする。
2 設計表示単位に満たない設計変更は、契約変更の対象としないものとする。
3 一式工事については、図面又は仕様書において設計条件又は施工方法を明示したものにつき、当該設計条件又は施工方法を変更した場合のほか、原則として、契約変更の対象としないものとする。
◆施工条件明示について(通知)【平成14年8月27日付け技管通知14-8号】
1 目的
不確定要素の多い「建設工事」の中で、あらかじめ予測可能な施工条件について明示を行うことにより、合理的かつ適正に工事を施工するために施工条件を明示するものである。
2 明示項目、明示事項 別記のとおり
3 明示方法
設計図書の中で特記仕様書として明示する。また、明示した条件に変更が生じた場合は、契約約款の関連する条項に基づき適切に対応するものとする。
4 その他
施工条件の明示は、工事規模・内容に応じて適切に対応すること。なお、積算上の想定を明示するために記す施工方法や機会施設等の仮設については、受注者の創意工夫を損なわないよう、工法の指定をする場合との区別が出来るよう、表現上留意すること。