Contract
マンション標準管理規約(団地型)
○○団地管理規約第1章 総則
(目的)
第1条 この規約は、○○団地の管理又は使用に関する事項等について定めることにより、団地建物所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 区分所有権 建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第1項の区分所有権をいう。
二 区分所有者 区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。
三 団地建物所有者 区分所有法第65条の団地建物所有者をいう。四 占有者 区分所有法第6条第3項の占有者をいう。
五 専有部分 区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。
六 共用部分 区分所有法第2条第4項の共用部分(以下「棟の共用部分」という。)及び区分所有法第67条第1項の団地共用部分(以下
「団地共用部分」という。)をいう。
七 土地 区分所有法第65条の土地をいう。 八 共用部分等 共用部分及び附属施設をいう。
九 専用使用権 土地及び共用部分等の一部について、特定の団地建物所有者が排他的に使用できる権利をいう。
十 専用使用部分 専用使用権の対象となっている土地及び共用部分等の部分をいう。
(規約及び団地総会の決議の遵守義務)
第3条 団地建物所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び区分所有法第65条の集会(以下「団地総会」という。)の決議を誠実に遵守しなければならない。
2 団地建物所有者は、同居する者に対してこの規約及び団地総会の決議を遵守させなければならない。
(対象物件の範囲)
第4条 この規約の対象となる物件の範囲は、別表第1に記載された土地、建物及び附属施設(以下「対象物件」という。)とする。
(規約及び団地総会の決議の効力)
第5条 この規約及び団地総会の決議は、団地建物所有者の包括承継人及び特定承継人に対しても、その効力を有する。
2 占有者は、対象物件の使用方法につき、団地建物所有者がこの規約及び団地総会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
(管理組合)
第6条 団地建物所有者は、区分所有法第65条に定める団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体として、第1条に定める目的を達成するため、団地建物所有者全員をもって○○団地管理組合(以下「管理組合」という。)を構成する。
2 管理組合は、事務所を○○内に置く。
3 管理組合の業務、組織等については、第6章に定めるところによる。第2章 専有部分等の範囲
(専有部分の範囲)
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち棟の共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
(共用部分の範囲)
第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。
第3章 土地及び共用部分等の共有
(共有)
第9条 対象物件のうち、土地、団地共用部分及び附属施設は団地建物所有者の共有とし、棟の共用部分はその棟の区分所有者の共有とする。
(共有持分)
第10条 各団地建物所有者及び各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。
(分割請求及び単独処分の禁止)
第11条 団地建物所有者又は区分所有者は、土地又は共用部分等の分割を請求することはできない。
2 団地建物所有者又は区分所有者は、専有部分と土地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない。
第4章 用法
〔※住宅宿泊事業に使用することを可能とする場合、禁止する場合に応じて、次のように規定〕
(専有部分の用途)
第12条 団地建物所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 団地建物所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。
(イ)住宅宿泊事業を禁止する場合
(専有部分の用途)
第12条 団地建物所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 団地建物所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出
を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
(ア)住宅宿泊事業を可能とする場合
(土地及び共用部分等の用法)
第13条 団地建物所有者は、土地及び共用部分等をそれぞれの通常の用法に従って使用しなければならない。
(バルコニー等の専用使用権)
第14条 団地建物所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓 枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第
1項及び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。
2 一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
3 団地建物所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その団地建物所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用することができる。
(駐車場の使用)
第15条 管理組合は、別添の図に示す駐車場について、特定の団地建物所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。
2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理組合に駐車場使用料を納入しなければならない。
3 団地建物所有者がその所有する専有部分を、他の団地建物所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その団地建物所有者の駐車場使用契約は効力を失う。
(土地及び共用部分等の第三者の使用)
第16条 管理組合は、次に掲げる土地及び共用部分等の一部を、それぞれ当該各号に掲げる者に使用させることができる。
一 管理事務所、管理用倉庫、機械室その他対象物件の管理のxxx必要な施設 管理事務(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「適正化法」という。)第2条第六号の
「管理事務」をいう。)を受託し、又は請け負った者
二 電気室 対象物件に電気を供給する設備を維持し、及び運用する事業者
三 ガスガバナー 当該設備を維持し、及び運用する事業者
2 前項に掲げるもののほか、管理組合は、団地総会の決議を経て、土地及び共用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く。)の一部について、第三者に使用させることができる。
(専有部分の修繕等)
第17条 団地建物所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって棟の共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第37条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、団地建物所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第53条に定め
る理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。
4 第1項の承認があったときは、団地建物所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る棟の共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内におい て、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、団地建物所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
6 第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により棟の共用部分又は他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した団地建物所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。
7 団地建物所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における棟の共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。
(使用細則)
第18条 対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。
(専有部分の貸与)
第19条 団地建物所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
2 前項の場合において、団地建物所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。
〔※専有部分の貸与に関し、暴力団員への貸与を禁止する旨の規約の規定を定める場合〕
(暴力団員の排除)
第19条の2 団地建物所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、前条に定めるもののほか、次に掲げる内容を含む条項をその貸与に係る契約に定めなければならない。
一 契約の相手方が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第六号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)ではないこと及び契約後において暴力団員にならない
ことを確約すること。
二 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、何らの催告を要せずして、団地建物所有者は当該契約を解約することができること。三 団地建物所有者が前号の解約権を行使しないときは、管理組合は、団地建物所有者に代理して解約権を行使することができること。
2 前項の場合において、団地建物所有者は、前項第三号による解約権の代理行使を管理組合に認める旨の書面を提出するとともに、契約の相手方に暴力団員ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。
第5章 管理 第1節 総則
(団地建物所有者の責務)
第20条 団地建物所有者は、対象物件について、その価値及び機能の維持増進を図るため、常に適正な管理を行うよう努めなければならない。
(土地及び共用部分等の管理)
第21条 土地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
2 専有部分である設備のうち棟の共用部分と構造上一体となった部分の管理を棟の共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
3 団地建物所有者は、第1項ただし書の場合又はあらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けた場合を除き、土地及び共用部分等の保存行為を行うことができない。ただし、専有部分の使用に支障が生じている場合に、当該専有部分を所有する団地建物所有者が行う保存行為の実施が、緊急を要するものであるときは、この限りでない。
4 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とあるのは「保存行為」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事」とあるのは「第21条第3項の承認を受けた保存行為後に、当該保存行為」と読み替えるものとする。
5 第3項の規定に違反して保存行為を行った場合には、当該保存行為に要
した費用は、当該保存行為を行った団地建物所有者が負担する。
6 理事長は、災害等の緊急時においては、団地総会又は理事会の決議によらずに、土地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。
(窓ガラス等の改良)
第22条 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能のxxxに資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
2 団地建物所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該団地建物所有者の責任と負担において実施することができる。
3 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とあるのは「第22条第2項の工事」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事」とあるのは「第22条第2項の承認を受けた工事」と読み替えるものとする。
(必要箇所への立入り)
第23条 前2条により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。
2 前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
3 前項の場合において、正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。
4 前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能xxxな影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分に自ら立ち入り、又は委任した者に立ち入らせることができ る。
5 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。
(損害保険)
第24条 団地建物所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する。
2 理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、団地建物所有者を代理する。
第2節 費用の負担
(管理費等)
第25条 団地建物所有者は、土地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
一 管理費
二 団地修繕積立xx 各棟修繕積立金
2 管理費の額については、棟の管理に相当する額はそれぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じ、それ以外の管理に相当する額は各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するものとする。
3 団地修繕積立金の額については、各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するものとする。
4 各棟修繕積立金の額については、それぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。
(承継人に対する債権の行使)
第26条 管理組合が管理費等について有する債権は、団地建物所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
(管理費)
第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
一 管理員人件費二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費四 備品費、通信費その他の事務費
五 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用十 管理組合の運営に要する費用
十一 その他第34条に定める業務に要する費用(次条及び第29条に規
定する経費を除く。)
(団地修繕積立金)
第28条 管理組合は、各団地建物所有者が納入する団地修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた団地修繕積立金は、土地、附属施設及び団地共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕三 土地、附属施設及び団地共用部分の変更
四 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他土地、附属施設及び団地共用部分の管理に関し、団地建物所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第70条第1項の一括建替え決議(以下
「一括建替え決議」という。)又は一括建替えに関する団地建物所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替え等の円滑化に関する法律
(平成14年法律第78号。以下「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第
45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。
3 第1項にかかわらず、円滑化法第108条第1項のマンション敷地売却決議(以下「マンション敷地売却決議」という。)の後であっても、円滑化法第120条のマンション敷地売却組合(以下「マンション敷地売却組合」という。)の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。
4 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、団地修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
(各棟修繕積立金)
第29条 管理組合は、それぞれの棟の各区分所有者が納入する各棟修繕積
立金を積み立てるものとし、積み立てた各棟修繕積立金は、それぞれの棟の共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕三 棟の共用部分の変更
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他棟の共用部分の管理に関し、その棟の区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議
(以下「建替え決議」という。)、一括建替え決議又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、円滑化法第9条の建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間におい て、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から建物の取壊し時に建替え不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。
3 第1項にかかわらず、マンション敷地売却決議の後であっても、マンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合 は、各棟修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。
4 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、各棟修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
(区分経理)
第30条 管理組合は、次の各号に掲げる費用ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。
一 管理費
二 団地修繕積立xx 各棟修繕積立金
2 各棟修繕積立金は、棟ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。
(使用料)
第31条 駐車場使用料その他の土地及び共用部分等に係る使用料(以下
「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、団地
建物所有者の土地の共有持分に応じて棟ごとに各棟修繕積立金として積み立てる。
第6章 管理組合第1節 組合員
(組合員の資格)
第32条 組合員の資格は、団地建物所有者となったときに取得し、団地建物所有者でなくなったときに喪失する。
(届出義務)
第33条 新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない。
第2節 管理組合の業務
(業務)
第34条 管理組合は、団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。
一 管理組合が管理する土地及び共用部分等(以下本条及び第50条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
二 組合管理部分の修繕
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務八 団地建物所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うこと
が適当であると認められる管理行為 九 土地及び共用部分等の変更及び運営
十 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の運用十一 官公署、町内会等との渉外業務
十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
十三 広報及び連絡業務
十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算及び建物の取壊し時における当該棟に係る残余財産の清算
十五 その他団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理に関する業務
(業務の委託等)
第35条 管理組合は、前条に定める業務の全部又は一部を、マンション管理業者(適正化法第2条第八号の「マンション管理業者」をいう。)等第三者に委託し、又は請け負わせて執行することができる。
(専門的知識を有する者の活用)
第36条 管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。
第3節 役員
(役員)
第37条 管理組合に次の役員を置く。一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名五 監事 ○名
2 理事及び監事は、組合員のうちから、団地総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
2 理事及び監事は、団地総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。
外部専門家を役員として選任できることとする場合
(役員の任期)
第38条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。
外部専門家を役員として選任できることとする場合 | ||
4 選任(再任を除く。)の時に組合員であった役員が組合員でなくなった 場合には、その役員はその地位を失う。 |
(役員の欠格条項)
第38条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
x xx被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
三 暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。)
(役員の誠実義務等)
第39条 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則 等」という。)並びに団地総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。
2 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる。
(利益相反取引の防止)
第39条の2 役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。二 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益
が相反する取引をしようとするとき。
(理事長)
第40条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一 規約、使用細則等又は団地総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、○箇月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
5 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。
(副理事長)
第41条 副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。
(理事)
第42条 理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。
2 理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならない。
3 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。
(監事)
第43条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を団地総会に報告しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び第40条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、団地総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理
事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。
第4節 団地総会
(団地総会)
第44条 管理組合の団地総会は、総組合員で組織する。
2 団地総会は、通常総会及び臨時総会とする。
3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。
4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
5 団地総会の議長は、理事長が務める。
(招集手続)
第45条 団地総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前
(会議の目的が区分所有法第69条第1項の建替え承認決議(以下「建替え承認決議」という。)又は一括建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第49条第3項第一 号、第二号に掲げる事項の決議、建替え承認決議又は一括建替え決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
5 会議の目的が建替え承認決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、新たに建築する建物の設計の概要(当該建物の当該団地内における位置を含む。)を通知しなければならない。
6 会議の目的が一括建替え決議であるときは、第4項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び
回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容 四 建物につき団地修繕積立金及び各棟修繕積立金として積み立てられて
いる金額
7 一括建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
8 第47条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
9 第1項(会議の目的が建替え承認決議又は一括建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。
(組合員の団地総会招集権)
第46条 組合員が組合員総数の5分の1以上及び第48条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して団地総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え承認決議又は一括建替え決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
3 前2項により招集された臨時総会においては、第44条第5項にかか
わらず、議長は、団地総会に出席した組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。
3 前2項により招集された臨時総会においては、第44条第5項にかか
わらず、議長は、団地総会に出席した組合員(書面、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次項に定めるものをいう。以下同じ。)又は代理人によって議決
権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
選任する。
4 前項の電磁的方法は、次に掲げる方法によるものとする。
一 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であっ て、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
二 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法
(出席資格)
第47条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、団地総会に出席することができる。
2 団地建物所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、団地総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、団地総会に出席して意見を述べようとする者 は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。
(議決権)
第48条 各組合員の団地総会における議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ団地総会開会までに理事長に届け出なければならない。
4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族三 他の組合員
6 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 | ||
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 | ||
(規定なし) (イ)電磁的方法が利用可能な場合 7 組合員は、第4項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。 |
(団地総会の会議及び議事)
第49条 団地総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 団地総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する団地総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止(第72条第一号の場合を除く。)
二 土地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 その他団地総会において本項の方法により決議することとした事項
4 建替え承認決議は、第2項にかかわらず、議決権(第48条第1項にかかわらず、建替えを行う団地内の特定の建物(以下「当該特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によ る。第6項において同じ。)総数の4分の3以上で行う。
5 当該特定建物の建替え決議又はその区分所有者の全員の合意がある場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権を行使したものとみなす。
6 建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、建替え承認決議を会議の目的とする総会において、当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者が、建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
7 一括建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権(第48条第1項にかかわらず、当該団地内建物の敷地の持分の割合による。)総数の5分の4以上で行う。ただし、当該団地総会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の3分の2以上及び議決権(第48条第1項に基づき、別表第5に掲げる議決権割合によ る。)総数の3分の2以上の賛成がなければならない。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 | ||
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 | ||
8 前7項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 8 前7項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。 |
9 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
10 第3項第二号において、土地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
11 団地総会においては、第45条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。
(議決事項)
第50条 次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。
一 収支決算及び事業報告二 収支予算及び事業計画
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
四 規約(第72条第一号の場合を除く。)及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 第28条第1項又は第29条第1項に定める特別の管理の実施(第7
2条第三号及び第四号の場合を除く。)並びにそれに充てるための資金の借入れ及び団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項若しくは第3項又は第29条第2項若しくは第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
八 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の保管及び運用方法九 第21条第2項に定める管理の実施
十 区分所有法第69条第1項の場合の建替えの承認十一 区分所有法第70条第1項の場合の一括建替え
十二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法十三 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十四 その他管理組合の業務に関する重要事項
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 | ||
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 | ||
(議事録の作成、保管等) 第51条 団地総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。 2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の団地総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。 3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。 4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。 (書面による決議) 第52条 規約により団地総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面による決議をすることができる。 2 規約により団地総会において決議すべきものとされた事項について は、組合員全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなす。 3 規約により団地総会において決議すべきものとされた事項についての書面による決議は、団地総会の決議と同一の効力を有する。 4 前条第3項及び第4項の規定は、書面による決議に係る書面について準用する。 5 団地総会に関する規定は、書面による決議について準用する。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 (議事録の作成、保管等) 第51条 団地総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。 |
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の団地総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
4 第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているとき は、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指名する2名の団地総会に出席した組合員が電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項の「電子署名」をいう。以下同じ。)をしなければならない。
5 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
(書面又は電磁的方法による決議)
第52条 規約により団地総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る組合員の承諾については、あらかじめ、組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
2 前項の電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。
一 第46条第4項各号に定める電磁的方法のうち、送信者が使用するもの
二 ファイルへの記録の方式
3 規約により団地総会において決議すべきものとされた事項ついては、組合員全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。
4 規約により団地総会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、団地総会の決議と同一の効力を有する。
5 前条第5項及び第6項の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第1項及び第3項の電磁的方法が行われた場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
6 団地総会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。
第5節 理事会
(理事会)
第53条 理事会は、理事をもって構成する。
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
一 規約若しくは使用細則等又は団地総会の決議により理事会の権限として定められた管理組合の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任
3 理事会の議長は、理事長が務める。
(招集)
第54条 理事会は、理事長が招集する。
2 理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
3 前項の規定による請求があった日から○日以内に、その請求があった日から○日以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。
4 理事会の招集手続については、第45条(建替え承認決議又は一括建替え決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第7項までを除 く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。
(理事会の会議及び議事)
第55条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
3 前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 | ||
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 | ||
4 議事録については、第51条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第51条第2項中「団地総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 4 議事録については、第51条(第6項を除く。)の規定を準用する。ただし、第51条第4項中「団地総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。 |
(議決事項)
第56条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
二 規約(第72条第一号の場合を除く。)及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案四 その他の団地総会提出議案
五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認六 第60条第3項に定める承認又は不承認
七 第62条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
八 第77条に定める勧告又は指示等九 団地総会から付託された事項
十 災害等により団地総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
2 第50条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の取崩しについて決議することができる。
(専門委員会の設置)
第57条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。
第7章 会計
(会計年度)
第58条 管理組合の会計年度は、毎年○月○日から翌年○月○日までとする。
(管理組合の収入及び支出)
第59条 管理組合の会計における収入は、第25条に定める管理費等及び第31条に定める使用料によるものとし、その支出は第27条から第29条及び第31条に定めるところにより諸費用に充当する。
(収支予算の作成及び変更)
第60条 理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければならない。
2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。
3 理事長は、第58条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
一 第27条に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
二 団地総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
4 前項の規定に基づき行った支出は、第1項の規定により収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなす。
5 理事会が第56条第1項第十号の決議をした場合には、理事長は、同条第2項の決議に基づき、その支出を行うことができる。
6 理事長は、第21条第6項の規定に基づき、土地及び共用部分等の保存行為を行う場合には、そのために必要な支出を行うことができる。
(会計報告)
第61条 理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。
(管理費等の徴収)
第62条 管理組合は、第25条に定める管理費等及び第31条に定める使
用料について、組合員が各自開設する預金口座から口座振替の方法により第64条に定める口座に受け入れることとし、当月分は別に定める徴収日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。
3 管理組合は、納付すべき金額を納付しない組合員に対し、督促を行うなど、必要な措置を講ずるものとする。
4 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができ る。
5 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
6 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。
(管理費等の過不足)
第63条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項から第4項に定める管理費等の負担割合に応じて、その都度必要な金額の負担を求めることができる。
(預金口座の開設)
第64条 管理組合は、会計業務を遂行するため、管理組合の預金口座を開設するものとする。
(借入れ)
第65条 管理組合は、第28条第1項又は第29条第1項に定める業務を行うため必要な範囲内において、借入れをすることができる。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 | ||
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 | ||
(帳票類等の作成、保管) 第66条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。 2 理事長は、第34条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。 3 理事長は、第51条第3項(第55条第4項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項、第74条第4項並びに第82条第 2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 (帳票類等の作成、保管) 第66条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。 2 理事長は、第34条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を、書面又は電磁的記録により保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。 3 理事長は、第51条第5項(第55条第4項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項、第74条第6項並びに第82条第 2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記 入した書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法によ |
り提供することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
4 電磁的記録により作成された書類等の閲覧については、第51条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。
(消滅時の財産の清算)
第67条 管理組合が消滅する場合、その残余財産について、団地に係る部分については、第10条に定める各団地建物所有者の団地共用部分の共有持分割合に応じて各団地建物所有者に、各棟に係る部分については、第1
0条に定める各区分所有者の棟の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に、帰属するものとする。
第8章 棟総会
(棟総会)
第68条 棟総会は、区分所有法第3条の集会とし、○○団地内の棟ごとに、その棟の区分所有者全員で組織する。
2 棟総会は、その棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び第71条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
3 棟総会の議長は、棟総会に出席した区分所有者(書面又は代理人によ
って議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、当該棟の区分所有者の中から選任する。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
3 棟総会の議長は、棟総会に出席した区分所有者(書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、当該棟の区分所有者の中から選任する。
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(招集手続)
第69条 棟総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月 前)までに、会議の日時、場所、目的及び議案の要領を示して、当該棟の区分所有者に通知を発しなければならない。
2 前項の通知は、管理組合に区分所有者が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない区分所有者に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
3 第1項の通知は、対象物件内に居住する区分所有者及び前項の届出のない区分所有者に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
4 会議の目的が建替え決議であるときは、次の事項を通知しなければならない。
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容四 建物につき各棟修繕積立金として積み立てられている金額
5 会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、次の事項を通知しなければならない。
一 売却を必要とする理由
二 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第
2条第2項に規定する耐震改修(以下単に「耐震改修」という。)又はマンションの建替えをしない理由
三 耐震改修に要する費用の概算額
6 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする棟総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
7 第70条の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
8 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、棟総会を招集する者は、その棟の区分所有者総数の5分の1以上及び第71条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる当該棟の区分所有者の同意を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。
(出席資格)
第70条 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、棟総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、棟総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ棟総会を招集する者にその旨を通知しなければならない。
(議決権)
第71条 各区分所有者の棟総会における議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これらの共有者をあわせて一の区分所有者とみなす。
3 前項により一の区分所有者とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ棟総会開会までに棟総会を招集する者に届け出なければならない。
4 区分所有者は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 区分所有者が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その区分所有者の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その区分所有者の住戸に同居する親族三 他の区分所有者
6 区分所有者又は代理人は、代理権を証する書面を棟総会を招集する者に提出しなければならない。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(規定なし)
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
7 区分所有者は、第4項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(議決事項)
第72条 次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない。
一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第
60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
五 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第
1項の場合のマンション敷地売却
六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと
(棟総会の会議及び議事)
第73条 棟総会の議事は、その棟の区分所有者総数の4分の3以上及び第
71条第1項に定める議決権総数の4分の3以上で決する。
2 次の各号に掲げる事項に関する棟総会の議事は、前項にかかわらず、議決権総数の半数以上を有する区分所有者が出席する会議において、出席区分所有者の議決権の過半数で決する。
一 区分所有法第57条第2項の訴えの提起及び前条第二号の訴えを提起すべき者の選任
二 建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
三 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
3 建替え決議及び前条第六号の団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付する旨の決議は、第1項にかかわらず、その棟の区分所有者総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
4 マンション敷地売却決議は、第1項にかかわらず、その棟の区分所有者総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者
は、出席区分所有者とみなす。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
5 前4項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席区分所有者とみなす。
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
6 前条第一号において、規約の制定、変更又は廃止がその棟の一部の区分
所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その区分所有者は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
7 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起の決議を行うには、あらかじめ当該区分所有者又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
8 棟総会においては、第69条第1項によりあらかじめ通知した事項につ
いてのみ、決議することができる。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 | ||
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 | ||
(議事録の作成、保管等) 第74条 棟総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。 2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者がこれに署名押印しなければならない。 3 議長は、前項の手続きをした後遅滞なく、議事録を理事長に引き渡さなければならない。 4 理事長は、議事録を保管し、その棟の区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。 5 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。 (書面による決議) 第75条 規約により棟総会において決議をすべき場合において、その棟の区分所有者全員の承諾があるときは、書面による決議をすることができる。 2 規約により棟総会において決議すべきものとされた事項について は、その区分所有者全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなす。 3 規約により棟総会において決議すべきものとされた事項についての書面による決議は、棟総会の決議と同一の効力を有する。 4 前条第3項から第5項の規定は、書面による決議に係る書面について準用する。 5 棟総会に関する規定は、書面による決議について準用する。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 (議事録の作成、保管等) 第74条 棟総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。 2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録し なければならない。 |
3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者がこれに署名押印しなければならない。
4 第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者が電子署名をしなければならない。
5 議長は、前項の手続きをした後遅滞なく、議事録を理事長に引き渡さなければならない。
6 理事長は、議事録を保管し、その棟の区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(第5
1条第5項の閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
7 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
(書面又は電磁的方法による決議)
第75条 規約により棟総会において決議をすべき場合において、その棟の区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係るその棟の区分所有者の承諾については、あらかじめ、その棟の区分所有者に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容(第52条第2項に掲げる事項をいう。)を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
2 規約により棟総会において決議すべきものとされた事項について は、その棟の区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。
3 規約により棟総会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、棟総会の決議と同一の効力を有する。
4 前条第5項から第7項の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第1項及び第2項の電磁的方法が行われた場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
5 棟総会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。
(義務違反者に対する措置)
第76条 区分所有者又は占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。
第9章 雑則
(理事長の勧告及び指示等)
第77条 団地建物所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「団地建物所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその団地建物所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
2 団地建物所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
3 団地建物所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は団地建物所有者等若しくは団地建物所有者等以外の第三者が土地、団地共用部分及び附属施設において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
二 土地、団地共用部分及び附属施設について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、団地建物所有者のために、訴訟の原告又は被告になること、その他法的措置をとること
4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
6 理事長は、第3項の規定に基づき、団地建物所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、団地建物所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第45条第2項及び第3項の規定を準用す る。
(合意管轄裁判所)
第78条 この規約に関する管理組合と組合員間の訴訟については、対象物
件所在地を管轄する○○地方(簡易)裁判所をもって、第一審管轄裁判所とする。
2 第72条第二号に関する訴訟についても、前項と同様とする。
(市及び近隣住民との協定の遵守)
第79条 団地建物所有者は、管理組合が○○市又は近隣住民と締結した協定について、これを誠実に遵守しなければならない。
(細則)
第80条 団地総会、棟総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等については、別に細則を定めることができる。
(規約外事項)
第81条 規約及び使用細則等に定めのない事項については、区分所有法その他の法令の定めるところによる。
2 規約、使用細則等又は法令のいずれにも定めのない事項については、団地総会の決議により定める。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(規約原本等)
第82条 この規約を証するため、団地建物所有者全員が記名押印した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
2 規約原本は、理事長が保管し、団地建物所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
3 規約が規約原本の内容から団地総会決議又は棟総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した団地総会又は棟総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。
4 団地建物所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した団地総会又は棟総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)並びに現に有効な第18条に基づく使用細則及び第80条に基づく細則その他の細則の内容を記載した書面(以下「使用細則等」という。)の閲覧をさせなければならない 。
5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び使用細則等の保管場所を
掲示しなければならない。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
(規約原本等)
第82条 この規約を証するため、団地建物所有者全員が書面に記名押印又は電磁的記録に電子署名した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
2 規約原本は、理事長が保管し、団地建物所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
3 規約が規約原本の内容から団地総会決議又は棟総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面又は電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した団地総会又は棟総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印又は電子署名した上で、この書面又は電磁的記録を保管する。
4 団地建物所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した団地総会又は棟総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「規約原本等」という。)並びに現に有効な第18条に基づく使用細則及び第80条に基づく細則その他の細則の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「使用細則等」という。)の閲覧をさせなければならない。
5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び使用細則等の保管場所を掲示しなければならない。
7 電磁的記録により作成された規約原本等及び使用細則等の閲覧については、第51条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。
附 則
(規約の発効)
第1条 この規約は、平成○年○月○日から効力を発する。
別表第1 対象物件の表示
物 件 名 | ||||||
土地 | 所在地 | |||||
面 積 | ||||||
権 | 利 関 係 | |||||
建 物 | ○号棟 | 構造等 | 造 地上 階建共同住宅 延べ面積 ㎡ | 階 地下 建築面積 | 階 | 塔屋 ㎡ |
専 有 部 分 | 住戸戸数 戸 延べ面積 ㎡ | |||||
○号棟 | 構造等 | 造 地上 階建共同住宅延べ面積 ㎡ | 階 地下 建築面積 | 階 | 塔屋 ㎡ | |
専 有 部 分 | 住戸戸数 戸 延べ面積 ㎡ | |||||
○号棟 | 構造等 | 造 地上 階建共同住宅 延べ面積 ㎡ | 階 地下 建築面積 | 階 | 塔屋 ㎡ | |
専 有 部 分 | 住戸戸数 戸 延べ面積 ㎡ | |||||
附属施設 | 管理事務所、集会所、管理用倉庫、塀、フェンス、駐車場、通路、自転車置場、ごみ集積所、排水溝、排水口、外灯設備、植栽、掲示板、案内板、専用庭、プレイロット及びその他の屋外の設備並びにこれらに附属する施設等団地内に存する施設 |
別表第2 共用部分の範囲
1 棟の共用部分
エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メータ ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、基礎部分、床、天井、柱、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配 管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配 管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
2 団地共用部分
管理事務所、集会所、管理用倉庫等「団地内の附属施設たる建物」
別表第3 土地及び共用部分等の共有持分割合
持分割合 住戸番号 | 土 地及び 附属施設 | 団地共用部分 | 棟の共用部分 | ||
○号棟 | ○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | |
○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
小 | 計 | - | - | ○○○分の○○○ | |
○号棟 | ○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | |
○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
小 | 計 | - | - | ○○○分の○○○ | |
○号棟 | ○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | |
○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ・ | ||
小 | 計 | - | - | ○○○分の○○○ | |
合 | 計 | ○○○分の○○○ | ○○○分の○○○ | - |
別表第4 バルコニー等の専用使用権
専用使用 部分 区分 | バルコニー | 玄 関 扉 窓 枠 窓ガラス | 1 階に面する庭 | 屋上テラス |
1 位 置 | 各住戸に接するバルコニー | 各住戸に付属する玄関扉、窓枠、窓ガラス | 別添図のとおり | 別添図のとおり |
2 専用使用権者 | 当該専有部分の区分所有者 | 同 左 | ○○号棟の ○○号室の団地建物所 有者 | ○○号棟の ○○号室の団地建物所 有者 |
別表第5 議決権割合
議決権 割合 住戸番号 | 団地総会における議決権割合 | 棟総会における議決権割合 | ||
○号棟 | ○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | |
○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ||
・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ||
小 | 計 | - | ○○○分の○○○ | |
○号棟 | ○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | |
○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ||
・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ||
小 | 計 | - | ○○○分の○○○ | |
○号棟 | ○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | |
○号室 | ○○○分の○○ | ○○○分の○○ | ||
・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ||
・ | ・ | ・ | ||
小 | 計 | - | ○○○分の○○○ | |
合 | 計 | ○○○分の○○○ | - |
マンション標準管理規約(団地型)コメント
全般関係
① マンションが重要な居住形態となっている中で、マンションの快適な居住環境を確保するため、区分所有者は、具体的な住まい方のルールを定めておくことが重要であるとともに、社会的には、マンションを社会的資産として、その資産価値を保全することが要請されている。
このような状況の中で、管理組合はマンションを適正に管理するよう努め、国は情報提供等の措置を講ずるよう努めなければならない旨の適正化法の規定を踏まえ、国は、管理組合が、各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として、このマンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメントを作成し、その周知を図るものであ る。
② この団地型標準管理規約が対象としているのは、一般分譲の住居専用のマンションが数棟所在する団地型マンションで、団地内の土地及び集会所等の附属施設がその数棟の区分所有者(団地建物所有者)全員の共有となっているものである。各棟及び各住戸についてはその床面積、規模等が、均質のものもバリエーションのあるものも含めている。
なお、この規約の対象となる団地の単位は、敷地が共有関係にある棟の範囲である。団地型マンションで土地の共有関係が数棟ごとに分かれている場合には、それごとに一つの管理組合を構成し、規約を作成することとなる。
③ 団地の形態の典型的なものとして、「団地内の土地全体が全団地建物所有者の共有となっている形態」(図1)と「土地の共有関係は各棟ごとに分かれ、集会所等の附属施設が全団地建物所有者の共有となっている形 態」(図2)とがあるが、本規約の対象としては、団地型として最も一般的な前者の形態であり、特に、
ア)団地内にある数棟の建物の全部が区分所有建物であること
イ)ア)の建物の敷地(建物の所在する土地と規約により敷地と定められた土地の両方を含む。)がその団地内にある建物の団地建物所有者の共有に属していること(建物の敷地利用権が所有権以外の権利である場合は、その権利が準共有に属していること)
ウ)団地管理組合において、団地内にある区分所有建物全部の管理又は使用に関する規約が定められていること
の三つの要件を満たしている団地(図1)とした。
後者の形態の場合には、基本的に各棟は単棟型の標準管理規約を使用し、附属施設についてのみ全棟の区分所有者で規約を設定することとなる。
図1 団地内の土地全体が全団地建物所有者の共有となっている形態(マンション標準管理規約(団地型)の対象とする形態)
B棟
A棟
• 土地全体が団地建物所有者の共有
集 • 集会所等の附属施設も団地建物所有者の共有
C棟
D棟 • 棟の共用部分は各棟の区分所有者の共有
• 団地建物所有者の共有である団地内の土地及び集会所等の附属施設とともに、区分所有建物(A~D 棟の各共用部分)全部を一元的に管理する場合。
• マンション標準管理規約(団地型)を参考に団地建物所有者全員で規約を作成。
図2 土地の共有関係は各棟ごとに分かれ、集会所等の附属施設が全団地建物所有者の共有となっている形態(マンション標準管理規約(団地型)の対象としない形態)
A棟
B棟
•
集
•
C棟
D棟
敷地及び区分所有建物の共有関係が各棟ごとに分かれている
集会所等の附属施設が全棟の共有
• 敷地及び区分所有建物( A~D 棟の各共用部分)管理は、マンション標準管理規約(単棟型)を参考として、各棟ごとに規約を作成。
• 集会所等の全棟で共有している附属施設についてのみ全棟で規約を作成。
④ いわゆる等価交換により特定の者が多数の住戸を区分所有する場合、一
部共用部分が存する場合、管理組合を法人とする場合、団地型マンションでも店舗併用等の複合用途型がある場合、事務所又は店舗専用の区分所有建物が団地内に併存する場合等は別途考慮するものとする。
⑤ この規約では、団地建物所有者の共有物である団地内の土地、附属施設及び団地共用部分のほか、それぞれの棟についても団地全体で一元的に管理するものとし、管理組合は団地全体のものを規定し、棟別のものは特に規定していない。ただし、区分所有法で棟ごとに適用されることとなっている事項(義務違反者に対する措置、復旧及び建替え)については、棟ごとの棟総会で決議するものである。
なお、棟の管理は各棟の管理組合で行うことと規約で位置づけた場合であっても、団地全体としての管理水準の統一、効率的な管理の確保等の観点から、全棟で管理のための連絡協議会のような組織を設置し、緩やかな形での統合的な管理を行っていくことが考えられる。
⑥ 近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが(第36条参照)、さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。このような外部の専門家には、管理の執行を担うという点から、特に、管理規約、管理の委託、修繕、建替え等に関する広範な知識が必要とされ、例えば、第35条及び第36条関係②に挙げるような者が外部の専門家として想定される。
外部の専門家が管理組合の運営に携わる際の基本的なパターンとして は、別添1に示したとおり、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型、(2)外部管理者理事会監督型、(3)外部管理者総会監督型の三つが想定される。
この標準管理規約は、理事会を中心とした管理組合の運営を想定したものであり、第37条第2項において組合員要件を外した場合には、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型による外部の専門家の活用を可能とするように規定を整備している。
なお、(2)、(3)を採用しようとする場合における規定の整備の考え方については別添1に示すとおりである。
⑦ この標準管理規約で示している事項については、マンションの規模、居住形態等それぞれのマンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、合理的に修正し活用することが望ましい。
なお、別に定められる公正証書による規約と一覧性をもたせることが望ましい。
第5条関係
包括承継は相続、特定承継は売買及び交換等の場合をいう。賃借人は、占有者に当たる。
第6条関係
管理組合は、「団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体」(区分所有法第65条)であって、団地内の対象物件の管理をより円滑に実施し、もって団地建物所有者の共同の利益の増進と良好な住環境の確保を図るため構成するものであり、団地建物所有者全員が加入するものである。区分所有法によれば、団地建物所有者の数が2名以上の管理組合は法人となることができるが、この規約では管理組合を法人とはしていない。したがって、ここにいう管理組合は権利能力なき社団である。
管理組合は、団地建物所有者全員の強制加入の団体であって、脱退の自由がないことに伴い、任意加入の団体と異なり、団地建物所有者は全て管理組合の意思決定に服する義務を負うこととなることから、管理組合の業務は、区分所有法第65条の目的の範囲内に限定される。ただし、建物等の物理的な管理自体ではなくても、それに附随し又は附帯する事項は管理組合の目的の範囲内である。各専有部分の使用に関する事項でも、区分所有者の共同利益に関する事項は目的に含まれる。その意味で、区分所有法第65条の「管理」概念は、専有部分の使用方法の規制、多数決による建替え承認決議又は一括建替え決議など、団体的意思決定に服すべき事項も広く包摂するといえる。なお、管理組合内部における意思決定や業務執行についての統制も、法と規約に基づき行われることが要請されていることに留意する必要がある。
第7条関係
① 専有部分として倉庫又は車庫を設けるときは、「倉庫番号を付した倉 庫」又は「車庫番号を付した車庫」を加える。また、全ての住戸に倉庫又は車庫が附属しているのではない場合は、管理組合と特定の者との使用契約により使用させることとする。
② 利用制限を付すべき部分及び複数の住戸によって利用される部分を棟の共用部分とし、その他の部分を専有部分とした。この区分は必ずしも費用の負担関係と連動するものではない。
利用制限の具体的内容は、建物の部位によって異なるが、外観を構成する部分については加工等外観を変更する行為を禁止し、主要構造部については構造的変更を禁止する趣旨である。
③ 第1項は、区分所有権の対象となる専有部分を住戸部分に限定したが、この境界について疑義を生じることが多いので第2項で限界を明らかにしたものである。
④ 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。
(第3項関係)
⑤ 「専有部分の専用に供される」か否かは、設備機能に着目して決定する。
第10条関係
① 土地、団地共用部分及び附属施設の共有持分の割合については、各棟の延べ面積の全棟の延べ面積に占める割合を出した上で、各棟の中での各住戸の専有部分の床面積の割合によることとし、棟の共用部分の共有持分の割合については、各棟の区分所有者の専有部分の床面積の割合によることとする。ただし、土地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、それに合わせる必要がある。
登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。
② 土地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。なお、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。
③ なお、第48条関係③で述べている価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる土地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。
第11条関係
① 専有部分を他の団地建物所有者又は第三者に貸与することは、本条の禁止に当たらない。
② 倉庫又は車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを当該棟の他の区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、又は専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない旨を規定する。
第12条関係
① 住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する。
② 住宅宿泊事業法第2条第3項に規定する住宅宿泊事業については、第2
項のように、可能か禁止かを明記することが望ましい。また、旅館業法第
3条第1項の簡易宿所の許可を得て行う「民泊」については、旅館業営業として行われるものであり、通常は第1項の用途に含まれていないと考えられるため、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい。旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されているとの趣旨である。
さらに、「団地建物所有者は、その専有部分を、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う用途に供してはならない。」のような規定を置くこともあり得る。
③ マンションによっては、一定の態様の住宅宿泊事業のみを可能とすることも考えられ、その場合は規約に明記すべきである。
多数の団地建物所有者等による共同生活の場であり、その共同生活の維持のための法的手段が区分所有法上特に設けられているというマンションの特性に鑑みれば、個別のマンションの事情によっては、例えば、住宅宿泊事業者が同じマンション内に居住している住民である等のいわゆる家主居住型の住宅宿泊事業に限り可能とするケースも考えられる。
いわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のみ可能とする場合の例
第12条 団地建物所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するも
のとし、他の用途に供してはならない。
2 団地建物所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項
2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合又は同じ建物内にある場合に限る。)に使用することができる。
さらに、個別のマンションの事情によっては、このようないわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のうち、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合(いわゆる家主同居型)に限り可能とするケースも考えられる。
いわゆる家主同居型のみ可能とする場合の例
第12条 団地建物所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するも
のとし、他の用途に供してはならない。
2 団地建物所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項
2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合に限る。)に使用することができる。
④ 新規分譲時の原始規約等において、住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任しておくこともあり得る。
住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任する場合
第12条 団地建物所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するも
のとし、他の用途に供してはならない。
2 団地建物所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。
⑤ (イ)の場合において、住宅宿泊事業の実施そのものだけでなく、さらに、その前段階の広告掲載等をも禁止する旨を明確に規定するため、「団地建物所有者は、前2項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他の募集又は勧誘を行ってはならない。」のような規定を置くこともあり得る。
⑥ 暴力団の排除のため、暴力団事務所としての使用や、暴力団員を反復して出入りさせる等の行為について禁止する旨の規定を追加することも考えられる。
第13条関係
「通常の用法」の具体的内容は、使用細則で定めることとする。
例えば、「自転車は、一階の○○に置きます。それ以外の場所に置いてはいけません。」
第14条関係
① バルコニー等については、専有部分と一体として取り扱うのが妥当であるため、専用使用権について定めたものである。
② 専用使用権は、その対象が敷地又は共用部分等の一部であることから、それぞれの通常の用法に従って使用すべきこと、管理のために必要がある範囲内において、他の者の立入りを受けることがある等の制限を伴うものである。また、工作物設置の禁止、外観変更の禁止等は使用細則で物件ごとに言及するものとする。
③ バルコニー及び屋上テラスが全ての住戸に附属しているのではない場合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる。
第15条関係
① 本条は、マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足しており、駐車場の利用希望者(空き待ち)が多い場合を前提としている。
近時、駐車場の需要が減少しており、空き区画が生じているケースもある。駐車場収入は駐車場の管理に要する費用に充てられるほか、各棟修繕積立金として積み立てられるため(第31条)、修繕積立金不足への対策等の観点から組合員以外の者に使用料を徴収して使用させることも考えら
れる。その場合、税務上、全てが収益事業として課税されるケースもあるが、団地建物所有者を優先する条件を設定している等のケースでは、外部貸しのみが課税対象となり団地建物所有者が支払う使用料は共済事業として非課税とする旨の国税庁の見解(「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)」(平成24年2月3日国住マ第43号)及びこれに対する回答
(平成24年2月13日))が公表されているため、参照されたい。
② ここで駐車場と同様に扱うべきものとしては、倉庫等がある。
③ 本条の規定のほか、使用者の選定方法をはじめとした具体的な手続、使用者の遵守すべき事項等駐車場の使用に関する事項の詳細については、
「駐車場使用細則」を別途定めるものとする。また、駐車場使用契約の内容(契約書の様式)についても駐車場使用細則に位置付け、あらかじめ団地総会で合意を得ておくことが望ましい。
④ 駐車場使用契約は、次のひな型を参考とする。
駐車場使用契約書
○○団地管理組合(以下「甲」という。)は、○○団地の団地建物所有者である○○(以下「乙」という。)と、○○団地の駐車場のうち別添の図に示す○○の部分につき駐車場使用契約を締結する。当該部分の使用に当たっては、乙は下記の事項を遵守するものとし、これに違反した場合には、甲はこの契約を解除することができる。
記
1 契約期間は、平成 年 月 日から平成 年 月 日までとする。ただし、乙がその所有する専有部分を他の団地建物所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、本契約は効力を失う。
2 月額○○円の駐車場使用料を前月の○日までに甲に納入しなければならない。
3 別に定める駐車場使用細則を遵守しなければならない。
4 当該駐車場に常時駐車する車両の所有者、車両番号及び車種をあらかじめ甲に届け出るものとする。
⑤ 第3項は、家主同居型の住宅宿泊事業を実施する場合は、対象としていないと考えられる。
⑥ 車両の保管責任については、管理組合が負わない旨を駐車場使用契約又は駐車場使用細則に規定することが望ましい。
⑦ 駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理費、修繕積立金の滞納等の
規約違反の場合は、契約を解除できるか又は次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることもできる。
⑧ 駐車場使用者の選定は、最初に使用者を選定する場合には抽選、2回目以降の場合には抽選又は申込順にする等、公平な方法により行うものとする。
また、マンションの状況等によっては、契約期間終了時に入れ替えるという方法又は契約の更新を認めるという方法等について定めることも可能である。例えば、駐車場使用契約に使用期間を設け、期間終了時に公平な方法により入替えを行うこと(定期的な入替え制)が考えられる。
なお、駐車場が全戸分ある場合であっても、平置きか機械式か、屋根付きの区画があるかなど駐車場区画の位置等により利便性・機能性に差異があるような場合には、マンションの具体的な事情に鑑みて、上述の方法による入替えを行うことも考えられる。
駐車場の入替えの実施に当たっては、実施の日時に、各団地建物所有者が都合を合わせることが必要であるが、それが困難なため実施が難しいという場合については、外部の駐車場等に車を移動させておく等の対策が考えられる。
⑨ 駐車場が全戸分ない場合等には、駐車場使用料を近傍の同種の駐車場料金と均衡を失しないよう設定すること等により、団地建物所有者間の公平を確保することが必要である。なお、近傍の同種の駐車場料金との均衡については、利便性の差異も加味して考えることが必要である。
また、平置きか機械式か、屋根付きの区画があるかなど駐車場区画の位置等による利便性・機能性の差異や、使用料が高額になっても特定の位置の駐車場区画を希望する者がいる等の状況に応じて、柔軟な料金設定を行うことも考えられる。
第16条関係
① 有償か無償かの区別、有償の場合の使用料の額等について使用条件で明らかにすることとする。
② 第2項の対象となるのは、広告塔、看板等である。
第17条関係
① 区分所有者は、区分所有法第6条第1項の規定により、専有部分の増築又は建物の主要構造部に影響を及ぼす行為を実施することはできない。
② 修繕等のうち、第1項の承認を必要とするものは、「棟の共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものである。具体例として は、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取
りの変更等がある。その範囲、承認を必要とする理由及び審査すべき点については、別添2に考え方を示している。
③ 本条は、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け、取替え工事に当たっ て、棟の共用部分内に係る工事についても、理事長の承認を得れば、団地建物所有者が行うことができることも想定している。
④ 専有部分の修繕等の実施は、棟の共用部分に関係してくる場合もあることから、ここでは、そのような場合も想定し、区分所有法第18条第1項の共用部分の管理に関する事項として、同条第2項の規定により、規約で別の方法を定めたものである。
なお、区分所有法第17条第1項の共用部分の変更に該当し、集会の決議を経ることが必要となる場合もあることに留意する必要がある。
⑤ 承認を行うに当たっては、専門的な判断が必要となる場合も考えられることから、専門的知識を有する者(建築士、建築設備の専門家等)の意見を聴く等により専門家の協力を得ることを考慮する。
特に、フローリング工事の場合には、構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので、専門家への確認が必要である。
⑥ 承認の判断に際して、調査等により特別な費用がかかる場合には、申請者に負担させることが適当である。
⑦ 工事の躯体に与える影響、防火、防音等の影響、耐力計算上の問題、他の住戸への影響等を考慮して、承認するかどうか判断する。考え方については別添2を参照のこと。なお、承認の判断に当たっては、マンションの高経年化に伴い専有部分の修繕等の必要性が増加することも踏まえ、過度な規制とならないようにすること、修繕技術の向上により、新たな工事手法に係る承認申請がされた場合にも、別添2に示された考え方を参考にすればよいことに留意する。なお、工事内容が上下左右の団地建物所有者に対して著しい影響を与えるおそれがあると判断される場合には、当該団地建物所有者の同意を必要とすることも考えられる。
⑧ 承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである(第56条第1項第五号参照)。
⑨ なお、老朽化が進む等、近い将来に、建替え若しくはマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)が想定されるマンションにおいて、高額な費用をかけて専有部分の大規模な修繕等を行う団地建物所有者がいた場合には、その工事から数年後に建替え等の検討が始まると、当該団地建物所有者にとって二重の出費ともなりかねないほか、合意形成に支障が生ずる可能性がある。このため、近い将来に建替え等の検討の可能性があるマンションにおいては、修繕等について理事長の承認を求めてくる団地建物所有者に対して、近い将来に建替え等が検討される可能性がある旨の注意喚起を行うことが望ましい。なお、注意喚起があった上で、実際に修繕等
を行うか否かはあくまで当該団地建物所有者の判断である。
⑩ 第5項の立入り、調査に関しては、施工状況を確認する必要があるものについて、工事中の現場で管理組合の理事等(又は組合から依頼を受けた技術者)が立ち会って確認することが考えられる。人手や工期などにより実際に立ち会うことが難しい場合には、抜き打ちで検査することをアナウンスしたり、工事業者に写真等の記録を取らせ報告させたりすることが考えられる。施工状況を確認する場合、図面の読み方や工事の進め方を知っている外部の専門家の協力が必要になる。確認が必要なものとしては、例えば、次のようなものが考えられる。
・ 全面リフォームを行う工事について、壁、床等をはがして耐力壁を撤去しないか、工事対象を確認する。
・ 躯体コンクリートにスリーブをあける際やアンカーを打ち込む際に、鉄筋を探査してから穴をあけているか、手順を確認する。
⑪ 第6項は、第1項の承認が、修繕等の工事の結果、棟の共用部分又は他の専有部分に生じた事後的な影響について、当該工事を発注した団地建物所有者の責任や負担を免責するものではないことを確認的に定める趣旨である。
なお、工事を発注する場合には、工事業者と協議した上で、契約書に事後的な影響が生じた場合の責任の所在と補償等についても明記することが適切である。
また、管理組合等が専有部分の修繕の記録を保管しておくため、工事業者から工事完了報告書等を提出させることも考えられる。
⑫ 第7項は、第1項の承認を要しない修繕等であっても、工事の実施期間中において、棟の共用部分又は他の専有部分に対し、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等の影響が想定されることから、管理組合が事前に把握する必要があるため、事前に届出を求めるものである。なお、第1項の場合と異なり、工事の過程における影響を問題とするものであり、工事の結果による事後的な影響を問題とする趣旨ではないことに留意する。また、他の居住者等に影響を与えることが考えられるため、上記届出に加えて工事内容等を掲示する等の方法により、他の団地建物所有者等へ周知を図ることが適当である。
なお、上記届出を要する工事の範囲等の考え方は、別添2を参照のこと。
⑬ 本条の承認を受けないで、専有部分の修繕等の工事を行った場合には、第77条の規定により、理事長は、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うか、その差止め、排除又は原状回復のための必要な措置等をとることができる。第5項の立入り、調査の結果、理事長に申請又は届出を行った内容と異なる内容の工事が行われている等の事実が確認さ
れた場合も、同様である。
⑭ 本条の規定のほか、具体的な手続、団地建物所有者の遵守すべき事項等詳細については、使用細則に別途定めるものとする。その際、上述した別添2の内容についても、各マンションの実情に応じて、参考にするとともに、必要に応じて、専門的知識を有する者の意見を聴くことが望ましい。
専有部分修繕等工事申請書
平成 年 月 日
○○団地管理組合
理事長 ○○○○ 殿
氏 名 ○○○○
下記により、専有部分の修繕等の工事を実施することとしたいの
で、○○団地管理規約第17条の規定に基づき申請します。
記
⑮ 申請書及び承認書の様式は、次のとおりとする。
1 | 対象住戸 | ○○号棟○○号室 |
2 | 工事内容 | |
3 | 工事期間 | 平成 年 月 日から |
平成 年 月 日まで | ||
4 | 施工業者 | |
5 | 添付書類 | 設計図、仕様書及び工程表 |
専有部分修繕等工事承認書
平成 年 月 日
○○○○ 殿
平成 年 月 日に申請のありました○○号棟○○号室における専有部分の修繕等の工事については、実施することを承認します。
(条件)
○○団地管理組合理事長 ○○○○
第18条関係
① 使用細則で定めることが考えられる事項としては、動物の飼育やピアノ等の演奏に関する事項等専有部分の使用方法に関する規制や、駐車場、倉庫等の使用方法、使用料等敷地、共用部分の使用方法や対価等に関する事項等が挙げられ、このうち専有部分の使用に関するものは、その基本的な事項は規約で定めるべき事項である。
なお、使用細則を定める方法としては、これらの事項を一つの使用細則として定める方法と事項ごとに個別の細則として定める方法とがある。
② 犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。
なお、飼育を認める場合には、動物等の種類及び数等の限定、管理組合への届出又は登録等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法並びに共用部分の利用方法及びふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置等の規定を定める必要がある。
③ ペット飼育を禁止する場合、容認する場合の規約の例は、次のとおりである。
(ペット飼育の禁止)
第○条 団地建物所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び
聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。
(ペットの飼育)
第○条 ペット飼育を希望する団地建物所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし、他の団地建物所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従
わない場合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる。
ペットの飼育を容認する場合
ペットの飼育を禁止する場合
④ 第12条において住宅宿泊事業を可能とする場合は、必要に応じ、住宅
宿泊事業法第13条に基づき掲げなければならないこととされている標識の掲示場所等の取扱いについて、あらかじめ使用細則において明確化しておくことが望ましい。
第19条関係
① 規約の効力は対象物件の使用方法につき占有者にも及ぶが、本条は、それ以外に、団地建物所有者がその専有部分を第三者に貸与する場合に、団地建物所有者がその第三者に、この規約及び使用細則に定める事項を遵守させる義務を定めたものである。
② 第三者が遵守すべき事項は、この規約及び使用細則に定める事項のうち、対象物件の使用に関する事項とする。
誓 約 書
私は、○○○○(賃貸人)との○○団地○○号棟○○号室(以下
「対象物件」という。)の賃貸借契約の締結に際し、下記事項を誓約します。
記
対象物件の使用に際しては○○団地管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守すること。
平成 年 月 日
○○団地管理組合
理 事 長 ○○○○ 殿
住所
氏名
印
③ 貸与に係る契約書に記載する条項及び管理組合に提出する誓約書の様式は次のとおりとする。
賃貸借契約書
○○条 賃借人は、対象物件の使用、収益に際して、○○団地管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守しなければならない。
2 賃借人が、前項に規定する義務に違反したときは、賃貸人は、本契約を解除することができる。
④ 第12条において住宅宿泊事業を可能とする場合は、管理組合が事業開始を把握することがトラブル防止に資すると考えられるため、例えば、
「団地建物所有者は、その専有部分において住宅宿泊事業法第2条第3項の住宅宿泊事業を実施することを内容とする、同法第3条第1項の届出を行った場合は、遅滞なく、その旨を管理組合に届け出なければならな
い。」等と規約に定めることも有効である。また、宿泊者等からの誓約書については提出義務を免除する旨を定めることも考えられる。
⑤ 団地建物所有者は、その専有部分を第三者に貸与している間(当該専有部分から転出する場合のみならず、転出後さらに転居する場合も含む。)は、現に居住する住所、電話番号等の連絡先を管理組合に届け出なければならない旨を規約に定めることも、団地建物所有者に連絡がつかない場合を未然に回避する観点から有効である。また、長期間不在にする場合も、届出の規定を設けることが有効である。
なお、上述の定めをした場合であっても、届出をしない団地建物所有者に対する総会招集手続については、第45条第2項及び第3項によることとなる。
第19条の2関係
① 第19条の2は、専有部分の貸与に関し、暴力団員への貸与を禁止する旨の規約の規定を定める場合の規定例である。なお、必要に応じ、暴力団員だけでなく、暴力団関係者や準構成員等を追加する場合は、その範囲について、各都道府県が定めている暴力団排除条例などを参考に規定することが考えられる。
第19条の2第1項第二号又は同項第三号の前提となる団地建物所有者の解約権は、団地建物所有者と第三者との間の契約における解除原因に係る特約を根拠とするものであり、管理組合は、団地建物所有者から当該解約権行使の代理権の授与を受けて(具体的には同条第2項に規定する解約権の代理行使を認める書面の提出を受ける。)、団地建物所有者に代理して解約権を行使する。管理組合の解約権の代理行使は、理事会決議事項とすることも考えられるが、理事会で決定することを躊躇するケースもあり得ることから、団地総会決議によることが望ましい。
② なお、暴力団員への譲渡については、このような賃貸契約に係るものと同様の取決めを団地建物所有者間で結ぶといった対応をすることが考えられる。
また、暴力団事務所としての使用等の禁止については、第12条関係コメントを参照。土地内における暴力行為や威嚇行為等の禁止については、第77条第1項の「共同生活の秩序を乱す行為」や区分所有法第6条第1項の「共同の利益に反する行為」等に該当するものとして、法的措置をは
じめとする必要な措置を講ずることが可能であると考えられる。
③ なお、措置の実行等に当たっては、暴力団関係者かどうかの判断や、訴訟等の措置を遂行する上での理事長等の身の安全の確保等のため、警察当局や暴力追放運動推進センターとの連携が重要であり、必要に応じて協力を要請することが望ましい。
第21条関係
① 第1項及び第3項は、区分所有法第18条第1項ただし書において、保存行為は、各共有者がすることができると定められていることに対し、同条第2項に基づき、規約で別段の定めをするものである。
② 駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う。
③ バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わなければならないのは、計画修繕等である。
④ 本条第1項ただし書の「通常の使用に伴う」保存行為とは、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入替え等である。
⑤ バルコニー等の経年劣化への対応については、③のとおり管理組合がその責任と負担において、計画修繕として行うものである。
ただし、バルコニー等の劣化であっても、長期修繕計画作成ガイドラインにおいて管理組合が行うものとされている修繕等の周期と比べ短い期間で発生したものであり、かつ、他のバルコニー等と比較して劣化の程度が顕著である場合には、特段の事情がない限りは、当該バルコニー等の専用使用権を有する者の「通常の使用に伴う」ものとして、その責任と負担において保存行為を行うものとする。なお、この場合であっても、結果として管理組合による計画修繕の中で劣化が解消されるのであれば、管理組合の負担で行われることとなる。
⑥ バルコニー等の破損が第三者による犯罪行為等によることが明らかである場合の保存行為の実施については、通常の使用に伴わないものであるため、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、同居人や賃借人等による破損については、「通常の使用に伴う」ものとして、当該バルコニー等の専用使用権を有する者がその責任と負担において保存行為を行うものとする。
⑦ 第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。
⑧ 配管の清掃等に要する費用については、第27条第三号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各団地建物所有者が実費に応じて負担すべきものである。
⑨ 第3項ただし書は、例えば、台風等で住戸の窓ガラスが割れた場合に、専有部分への雨の吹き込みを防ぐため、割れたものと同様の仕様の窓ガラ
スに張り替えるというようなケースが該当する。また、第5項は、区分所有法第19条に基づき、規約で別段の定めをするものである。
承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである(第56条第1項第五号参照)。
⑩ 区分所有法第26条第1項では、土地及び共用部分等の保存行為の実施が管理者(本標準管理規約では理事長)の権限として定められている。第
6項では、災害等の緊急時における必要な保存行為について、理事長が単独で判断し実施できることを定めるものである。災害等の緊急時における必要な保存行為としては、共用部分等を維持するための緊急を要する行為又は共用部分等の損傷・滅失を防止して現状の維持を図るための比較的軽度の行為が該当する。後者の例としては、給水管・排水管の補修、共用部分等の被災箇所の点検、破損箇所の小修繕等が挙げられる。この場合に必要な支出については、第60条第6項及びコメント第60条関係⑤を参照のこと。
⑪ 災害等の緊急時において、保存行為を超える応急的な修繕行為の実施が必要であるが、団地総会の開催が困難である場合には、理事会においてその実施を決定することができることとしている(第56条第1項第十号及びコメント第56条関係①を参照。)。しかし、大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。更 に、理事長をはじめとする役員が対応できない事態に備え、あらかじめ定められた方法により選任された団地建物所有者等の判断により保存行為や応急的な修繕行為を実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。なお、理事長等が単独で判断し実施することができる保存行為や応急的な修繕行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。
⑫ 第6項の災害等の緊急時における必要な保存行為の実施のほか、平時における専用使用権のない土地又は共用部分等の保存行為について、理事会の承認を得て理事長が行えるとすることや、少額の保存行為であれば理事長に一任することを、規約において定めることも考えられる。その場合、理事長単独で判断し実施することができる保存行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。
第22条関係
① 窓枠、窓ガラス及び玄関扉(玄関扉にあっては、錠及び内部塗装部分を除く。以下「開口部」という。)については、第7条第2項第二号及び第三号において専有部分に含まれないこととされていること、専有部分に属
さない「建物の部分」については、第8条に基づく別表第2において共用部分とされていることから、開口部は共用部分として扱うこととなる。
② また、区分所有法は、その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更について、集会の普通決議により決することを定めている。
③ 第1項は、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上のため行われる開口部の改良工事については、原則として、他の共用部分と同様に計画修繕の対象とすべき旨を規定したものである。
④ 第2項は、開口部の改良工事については、治安上の問題を踏まえた防犯性能の向上や、結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上等、一棟全戸ではなく一部の住戸において緊急かつ重大な必要性が生じる場合もあり得ることに鑑み、計画修繕によりただちに開口部の改良を行うことが困難な場合には、専有部分の修繕等における手続と同様の手続により、各団地建物所有者の責任と負担において工事を行うことができるよう規定したものである。
承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである(第56条第1項第五号参照)。
⑤ また、第2項及び第3項は、マンションでは通常個々の専有部分に係る開口部(共用部分)が形状や材質において大きく異なるような状況は考えられないことから、当該開口部の改良工事についてもその方法や材質・形状等に問題のないものは、施工の都度団地総会の決議を求めるまでもな く、専有部分の修繕等における手続と同様の手続により、各団地建物所有者の責任と負担において実施することを可能とする趣旨である。承認申請の対象範囲、審査する内容等の考え方については、別添2を参照された い。
⑥ 「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するもの」の工事の具体例としては、防犯・防音・断熱性等により優れた複層ガラスやサッシ等への交換、既設のサッシへの内窓又は外窓の増設等が考えられる。
⑦ 本条の規定のほか、具体的な工事内容、団地建物所有者の遵守すべき事項等詳細については、細則に別途定めるものとする。その際、上述の別添
2の内容についても、各マンションの実情に応じて、参考にするととも に、必要に応じて、専門的知識を有する者の意見を聴くことが望ましい。
⑧ 申請書及び承認書の様式は、専有部分の修繕に関する様式に準じて定めるものとする。
第23条関係
(第4項関係)
① 第4項の緊急の立入りが認められるのは、災害時等における共用部分に係る緊急的な工事に伴い必要な場合や、専有部分における大規模な水漏れ等、そのまま放置すれば、他の専有部分や共用部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがある場合に限られるものである。
② 第4項の規定の実効性を高めるため、管理組合が各住戸の合い鍵を預かっておくことを定めることも考えられるが、プライバシーの問題等があることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討する必要がある。
第25条関係
① 管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない。
② 管理費については、棟の管理に相当する額とそれ以外の管理に相当する額とに、実費等を考慮してあらかじめ按分した上で、それぞれの共有持分に応じて算出するものである。
各棟の構造、設備、グレード等があまり異ならないときは、団地建物所有者の土地の共有持分の割合によることもできる。
③ 管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。
④ 団地を構成する棟の数の多少、個々の棟の建物規模の大小、個々の棟の構造の差異、さらには分譲時期の時間差等が、建物の維持管理上の条件に影響を及ぼしている。長期修繕計画や団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の設定にも、これらの差異を十分に考慮する必要がある。
⑤ 議決権割合の設定方法について、一戸一議決権(第48条関係②)や価値割合(第48条関係③)を採用する場合であっても、これとは別に管理費等の負担額については、第2項から第4項の規定により算出することが考えられる。
⑥ なお、管理費等の徴収や、滞納があった場合の取扱い等については、第
62条を参照のこと。
第26条関係
以前は包括承継人についても記載していたが、包括承継人が債務を承継するのは当然であるため、削除した。
第27条関係
① 管理組合の運営に要する費用には役員活動費も含まれ、これについては一般の人件費等を勘案して定めるものとするが、役員は団地建物所有者全員の利益のために活動することに鑑み、適正な水準に設定することとす る。なお、コメント第39条関係②を参照のこと。
② 従来、本条第十号に掲げる管理費の使途及び第34条の管理組合の業務
として、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
(に要する費用)」が掲げられていた。これは、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するコミュニティ形成について、マンションの管理という管理組合の目的の範囲内で行われることを前提に規定していたものである。しかしながら、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている事例や、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった。一方、管理組合による従来の活動の中でいわゆるコミュニティ活動と称して行われていたもののうち、例え ば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第65条に定める管理組合の目的である「団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である。
以上を明確にするため、第十号及び第34条第十五号を削除するとともに、第34条第十二号を「団地及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」と改めることとした。
また、従来、第十二号に「その他土地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」が掲げられていたが、第34条に定める業務との関連が不明確であったことから、「その他第34条に定める業務に要する費用(次条及び第29条に規定する経費を除く。)」と改めることとした。上述の第3
4条第十二号の業務に要する費用は、本号あるいは別の号の経費として支出することが可能である。
③ 管理組合は、区分所有法第65条に基づき、団地建物所有者全員で構成される強制加入の団体であり、居住者が任意加入する地縁団体である自治会、町内会等とは異なる性格の団体であることから、管理組合と自治会、町内会等との活動を混同することのないよう注意する必要がある。
各居住者が各自の判断で自治会又は町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費又は町内会費等は、地域住民相互の親睦や福祉、助け合い等を図るために居住者が任意に負担するものであり、マンションを維持
・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。
自治会費又は町内会費等を管理費等と一体で徴収している場合には、以下の点に留意すべきである。
ア 自治会又は町内会等への加入を強制するものとならないようにすること。
イ 自治会又は町内会等への加入を希望しない者から自治会費又は町内会
費等の徴収を行わないこと。
ウ 自治会費又は町内会費等を管理費とは区分経理すること。
エ 管理組合による自治会費又は町内会費等の代行徴収に係る負担について整理すること。
④ 上述のような管理組合の法的性質からすれば、マンションの管理に関わりのない活動を行うことは適切ではない。例えば、一部の者のみに対象が限定されるクラブやサークル活動経費、主として親睦を目的とする飲食の経費などは、マンションの管理業務の範囲を超え、マンション全体の資産価値向上等に資するとも言い難いため、団地建物所有者全員から強制徴収する管理費をそれらの費用に充てることは適切ではなく、管理費とは別 に、参加者からの直接の支払や積立て等によって費用を賄うべきである。
第28条及び第29条関係
① 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、団地修繕積立金及び各棟修繕積立金を必ず積み立てることとしたものである。
② 分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していくため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕時に、既存の団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担金が団地建物所有者又は区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても団地修繕積立金又は各棟修繕積立金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。
③ 本規約の対象とする団地(コメント全般関係③参照)の建替えは、団地全体の一括建替え決議による場合、棟ごとの合意及び団地の建替え承認決議による場合の2つの方法がある。一括建替え決議を選択できるのは、区分所有法第70条第1項の要件を満たす団地型マンションのみであり、管理組合においては、各マンションの実態に応じて、規約を定めることが重要である。
④ 円滑化法に基づく建替組合によるマンション建替事業における建替えまでのプロセスの概要は、円滑化法の制定を踏まえ作成された「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」(平成15年1月国土交通省公表)によれば、次のとおりである。
A.建替え決議までのプロセス
(ア)準備段階:一部の区分所有者から建替えの発意がなされ、それに賛同する有志により、建替えを提起するための基礎的な検討が行われる段階であり、「管理組合として建替えの検討を行うことの合意を得ること」を目標とする。
(イ)検討段階:管理組合として、修繕・改修との比較等による建替えの
必要性、建替えの構想について検討する段階であり、「管理組合として、建替えを必要として計画することの合意を得ること」を目標とする。
(ウ)計画段階:管理組合として、各区分所有者の合意形成を図りなが ら、建替えの計画を本格的に検討する段階であり、「建替え計画を策定するとともに、それを前提とした建替え決議を得ること」を目標とする。
B.建替え決議後のプロセス
(ア)建替組合の設立段階:定款及び事業計画を定め、都道府県知事等の認可を受けて建替組合を設立する段階。
(イ)権利変換段階:権利変換計画を策定し、同計画に関し都道府県知事等の認可を受け、権利変換を行う段階。
(ウ)工事実施段階:建替え工事を施工し、工事完了時にマンション建替事業に係る清算を行う段階。
(エ)再入居と新管理組合の設立段階:新マンションに入居し、新マンションの管理組合が発足する段階。
⑤ ④のプロセスのうち、④のA(イ)及び(ウ)の段階においては、管理組合が建替えの検討のため、調査を実施する。調査の主な内容は、再建マンションの設計概要、マンションの取壊し及び再建マンションの建築に要する費用の概算額やその費用分担、再建マンションの区分所有権の帰属に関する事項等である。
⑥ ④のプロセスのうち、④のB(ア)の段階においても、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことのできる場合があることを定めたのが第
2項である。
⑦ ④のプロセスによらず、円滑化法第45条のマンション建替事業の認可に基づく建替え、又は団地建物所有者の全員合意に基づく任意の建替えを推進する場合であっても、必要に応じて、第1項及び第2項、又は第2項と同様の方法により、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。ただし、任意の組織に関し、その設立時期について管理組合内で共通認識を得ておくことが必要である。
⑧ 円滑化法に基づくマンション敷地売却組合によるマンション敷地売却事業のプロセスの概要は、平成30年のマンションの建替え等の円滑化に関する法律施行規則(平成14年国土交通省令第116号。以下「円滑化法施行規則」という。)の改正を踏まえ改訂された「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」(平成26年12月国土交通省公表)を参考とされたい。この場合にも、建替えの場合と同様に、第1項及び第3項に基づき、必要に応じて、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。
⑨ 建替え等に係る調査に必要な経費の支出は、各マンションの実態に応じて、管理費から支出する旨管理規約に規定することもできる。
第31条関係
① 機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、管理費、団地修繕積立金及び各棟修繕積立金とは区分して経理することもできる。
② この団地型標準管理規約では、棟の共用部分の修繕費用の方が団地共用部分等の修繕費用より相対的に多額になることが想定されることを考慮して、使用料はそれらの管理に要する費用に充てるほか、各棟修繕積立金として積み立てることとしているが、団地共用部分等の修繕に多額の費用が見込まれる場合には、団地修繕積立金として積み立てることが適当であ る。
第33条関係
届
出
書
平成 年 月 日
○○団地管理組合
理事長 ○○○○ 殿
○○団地における区分所有権の取得及び喪失について、下記のと
おり届け出ます。
記
届出書の様式は、次のとおりとする。
1 | 対象住戸 | ○○号棟 | ○○号室 | ||
2 | 区分所有権を取得した者 | 氏名 | |||
3 | 区分所有権を喪失した者 | 氏名 | |||
住所(移転先) | |||||
4 | 区分所有権の変動の年月日 | 平成 | 年 | 月 | 日 |
5 | 区分所有権の変動の原因 |
第34条関係
① 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修
繕計画として定め、団地建物所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。
② 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。
2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
3 全体の工事金額及び団地建物所有者の共有する部分と各棟の区分所有者の共有する部分に区分して工事金額が定められたものであること。 また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ご とに)見直しをすることが必要である。
③ 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。
④ 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。
ただし、修繕積立金から充当する場合には、団地分と各棟分及び各棟間の修繕積立金について適正に按分し、公平に行う必要がある。
また、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則としてその修繕工事の対象とする部分に対応する修繕積立金から取り崩すこととなる。
⑤ 管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条第1項に基づいて宅地建物取引業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書
(仕上げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図又は矩計図、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書であ る。ただし、同条は、適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。
他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、消防関係書類、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書関係書類等がある。
このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。
⑥ 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工
事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条第1項及び第3項の特殊建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検、耐震診断結果、石綿使用調査結果な ど、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するためにも有効な情報である。
⑦ 管理組合が管理する書類等として、第三号に掲げる長期修繕計画書、第五号及び⑤に掲げる設計図書等、第六号及び⑥に掲げる修繕等の履歴情報が挙げられるが、具体的な保管や閲覧については、第66条第2項で規定するとおり、理事長の責任により行うこととする。その他に、理事長が保管する書類等としては、第51条第3項で定める団地総会議事録、第74条第4項で定める棟総会議事録、第55条第4項の規定に基づき準用される第51条第3項で定める理事会議事録、第66条及び第66条関係コメントに掲げる帳票類等、第82条で定める規約原本等が挙げられる。
このうち、団地総会議事録及び棟総会議事録並びに規約原本の保管は、区分所有法により管理者が保管することとされているものであり、この標準管理規約では理事長を管理者としていることから理事長が保管することとしている。
⑧ 従来、第十五号に定める管理組合の業務として、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が掲げられていたが、「コミュニティ」という用語の概念のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった。一方、管理組合による従来の活動の中でいわゆるコミュニティ活動と称して行われていたもののうち、例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第65条に定める管理組合の目的である「団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である。なお、これに該当しない活動であっても、管理組合の役員等である者が個人の資格で参画することは可能である。
以上を明確にするため、区分所有法第65条を引用し、第34条本文に
「団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理のため」を加 え、第十五号を削除し、併せて、周辺と一体となって行われる各業務を再整理することとし、従来第十二号に掲げていた「風紀、秩序及び安全の維持に関する業務」、従来第十三号に掲げていた「防災に関する業務」及び
「居住環境の維持及び向上に関する業務」を、新たに第十二号において
「団地及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持
及び向上に関する業務」と規定することとした。なお、改正の趣旨等の詳細については、第27条関係②~④を参照のこと。
⑨ 建替え等により消滅する管理組合は、管理費、団地修繕積立金や各棟修繕積立金等の残余財産を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。
第35条関係
第三者に委託する場合は、マンション標準管理委託契約書を参考とする。
第35条及び第36条関係
① マンションは一つの建物を多くの人が区分して所有するという形態ゆ え、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなどを踏まえ、建物を維持していく上で区分所有者間の合意形成を進めることが必要である。
このような中で、マンションを適切に維持、管理していくためには、法律や建築技術等の専門的知識が必要となることから、管理組合は、マンション管理業者等第三者に管理事務を委託したり、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりするなど、専門的分野にも適切に対応しつつ、マンション管理を適正に進めることが求められる。
なお、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わる場合の考え方については、全般関係⑥、別添1等を参照のこと。
② 管理組合が支援を受けることが有用な専門的知識を有する者としては、マンション管理士のほか、マンションの権利・利用関係や建築技術に関する専門家である、弁護士、司法書士、建築士、行政書士、公認会計士、税理士等の国家資格取得者や、区分所有管理士、マンションリフォームマネジャー等の民間資格取得者などが考えられる。
③ 専門的知識を有する者の活用の具体例としては、管理組合は、専門的知識を有する者に、管理規約改正原案の作成、管理組合における合意形成の調整に対する援助、建物や設備の劣化診断、安全性診断の実施の必要性についての助言、診断項目、内容の整理等を依頼することが考えられる。
第37条関係
① 管理組合は、団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うために団地建物所有者全員で構成される団体であることを踏まえ、役員の資格要件を、当該マンションへの居住の有無に関わりなく団地建物所
有者であるという点に着目して、「組合員」としているが、全般関係⑥で示したとおり、必要に応じて、マンション管理に係る専門知識を有する外部の専門家の選任も可能とするように当該要件を外すことも考えられる。この場合においては、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」の第4項のように、選任方法について細則で定める旨の規定を置くことが考えられる。この場合の専門家としては、マンション管理士のほか弁護士、建築士などで、一定の専門的知見を有する者が想定され、当該マンションの管理上の課題等に応じて適切な専門家を選任することが重要である。
なお、それぞれのマンションの実態に応じて、「○○団地に現に居住する組合員」((注)平成23年改正前の標準管理規約における役員の資格要件)とするなど、居住要件を加えることも考えられる。
② 理事の員数については次のとおりとする。
1 おおむね10~15戸につき1名選出するものとする。
2 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○~○名という枠により定めることもできる。
③ 各棟から、役員を1名以上選出することが望ましい。
④ 200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模団地では、理事会のみで、実質的検討を行うのが難しくなるので、理事会の中に部会を設け、各部会に理事会の業務を分担して、実質的な検討を行うような、複層的な組織構成、役員の体制を検討する必要がある。
この場合、理事会の運営方針を決めるため、理事長、副理事長(各部の部長と兼任するような組織構成が望ましい。)による幹部会を設けることも有効である。なお、理事会運営細則を別途定め、部会を設ける場合は、理事会の決議事項につき決定するのは、あくまで、理事全員による理事会であることを明確にする必要がある。
⑤ 役員の選任方法は、一般的に合理的であると考えられる方法、例えば各棟の戸数、面積に比例してあらかじめ員数を割り当てる方法等、団地内の区分所有者の意向を公平に反映するような方法について配慮する必要がある。
⑥ 本標準管理規約における管理組合は、権利能力なき社団であることを想定しているが(コメント第6条関係参照)、役員として意思決定を行えるのは自然人であり、法人そのものは役員になることができないと解すべきである。したがって、法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいて、法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者等を選任することが一般的に想定される。外部専門家として役員を選任する場合であって、法人、団体等から派遣を受けるときも、同様に、当該法人、団体等から指定された者(自
然人)を選任することが一般的に想定される。なお、法人の役職員が役員になった場合においては、特に利益相反取引について注意が必要である
(第39条の2関係参照)。
⑦ 第4項の選任方法に関する細則の内容としては、選任の対象となる外部の専門家の要件や選任の具体的な手続等を想定している。なお、⑧及び第
38条の2関係②について併せて参照のこと。
⑧ 外部の専門家を役員として選任する場合には、その者が期待された能力等を発揮して管理の適正化、財産的価値の最大化を実現しているか監視・監督する仕組みが必要である。このための一方策として、法人・団体から外部の専門家の派遣を受ける場合には、派遣元の法人・団体等による報告徴収や業務監査又は外部監査が行われることを選任の要件として、第4項の細則において定めることが考えられる。
第38条関係
① 役員の任期については、組合の実情に応じて1~2年で設定することとし、選任に当たってはその就任日及び任期の期限を明確にする。
② 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのも良い。この場合には、役員の任期は2年とする。
③ 第4項は、組合員から選任された役員が組合員でなくなった場合の役員の地位についての規定である。第37条第2項において組合員要件を外した場合には、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」のような規定とすべきである。それは、例えば、外部の専門家として選任された役員は、専門家としての地位に着目して役員に選任されたものであるから、当該役員が役員に選任された後に組合員となった場合にまで、組合員でなくなれば当然に役員としての地位も失うとするのは相当でないためである。
④ 役員が任期途中で欠けた場合、団地総会の決議により新たな役員を選任することが可能であるが、外部の専門家の役員就任の可能性や災害時等緊急時の迅速な対応の必要性を踏まえると、規約において、あらかじめ補欠を定めておくことができる旨規定するなど、補欠の役員の選任方法について定めておくことが望ましい。また、組合員である役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合には、組合員から補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。
なお、理事や監事の員数を、○~○名という枠により定めている場合には、その下限の員数を満たさなくなったときに、補欠を選任することが必要となる。
第38条の2関係
① 選択肢として、役員の資格を組合員に限定することを改め外部の専門家を役員に選任することができるようにしたことを踏まえ、役員の欠格条項を定めるものである。なお、暴力団員等の範囲については、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)を参考にした。
② 外部の専門家からの役員の選任について、第37条第4項として細則で選任方法を定めることとする場合、本条に定めるほか、細則において、次のような役員の欠格条項を定めることとする。
ア 個人の専門家の場合
・ マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者から役員を選任しようとする場合にあっては、マンション管理士の登録の取消し又は当該分野に係る資格についてこれと同様の処分を受けた者
イ 法人から専門家の派遣を受ける場合(アに該当する者に加えて)
次のいずれかに該当する法人から派遣される役職員は、外部専門家として役員となることができない。
・ 銀行取引停止処分を受けている法人
・ 管理業者の登録の取消しを受けた法人
第39条関係
(第1項関係)
① 役員は、管理組合の財産の毀損の防止及びそのために必要な措置を講じるよう努めるものとする。特に、外部の専門家の役員就任に当たっては、判断・執行の誤りによる財産毀損に係る賠償責任保険への加入に努め、保険限度額の充実等にも努めるべきである。さらに、故意・重過失による財産毀損は、保険の対象外のため、財産的基礎の充実による自社(者)補償や積立て等による団体補償の検討等にも取り組むよう努めるべきである。
(第2項関係)
② マンションの高経年化、区分所有者の高齢化、住戸の賃貸化・空室化等の進行による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、マンションの円滑な管理のために、外部の専門家の役員就任も考えられるところである。この場合、当該役員に対して、必要経費とは別に、理事会での協議・意見交換の参画等に伴う負担と、実際の業務の困難性や専門的技能・能力等による寄与などを総合的に考慮して、報酬を支払うことも考えられる。その際、理事会の議事録の閲覧(第55条第4項)の活用等により、役員の業務の状況を適切に認知・確認することが望ましい。
第39条の2関係
役員は、マンションの資産価値の保全に努めなければならず、管理組合の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることがあってはならない。とりわけ、外部の専門家の役員就任を可能とする選択肢を設けたことに伴い、このようなおそれのある取引に対する規制の必要性が高くなっている。そこで、役員が、利益相反取引(直接取引又は間接取引)を行おうとする場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるものである。
なお、同様の趣旨により、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事 は、その議決に加わることができない旨を規定する(第55条第3項)とともに、管理組合と理事長との利益が相反する事項については、監事又は当該理事以外の理事が管理組合を代表する旨を規定する(第40条第6項)こととしている。
第40条関係
① 例えば植栽による日照障害などの日常生活のトラブルの対応において、日照障害における植栽の伐採などの重要な問題に関しては団地総会の決議により決定することが望ましい。
② 第4項は、理事長が職務の執行の状況を理事会に定期的に(例えば、
「3か月に1回以上」等)報告すべき旨を定めたものである。
③ 第6項については、第39条の2関係を参照のこと。
第42条関係
(第2項関係)
理事が、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見した場合、その事実を監事に報告する義務を課すことで、監事による監査の実施を容易にするために規定したものである。
第43条関係
① 第1項では、監事の基本的な職務内容について定める。これには、理事が団地総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果、法令又は規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときの団地総会への報告が含まれる。また、第2項は、第1項の規定を受けて、具体的な報告請求権と調査権について定めるものである。
② 第4項は、従来「できる規定」として定めていたものであるが、監事による監査機能の強化のため、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは、意見を述べなければならないとしたものである。ただし、理事会は第54条に規定する招集手続を経た上で、第55条第1項の要件を満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったことは、理事会に
おける決議等の有効性には影響しない。
③ 第5項により監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は、当該事実について検討することが必要である。第5項に定める報告義務を履行するために必要な場合には、監事は、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる旨を定めたのが、第6項である。さらに、第7項 で、理事会の確実な開催を確保することとしている。
第44条関係
(第5項関係)
団地総会において、議長を選任する旨の定めをすることもできる。
第45条関係
① 会議の目的が建替え承認決議又は一括建替え決議である団地総会を招集するに当たっては、決議時の議決権割合が、それぞれ第49条第4項又は同条第7項に定めるように、第48条第1項の定めとは異なることを事前に周知することが重要である。
(第3項、第8項関係)
② 所定の掲示場所は、建物内の見やすい場所に設けるものとする。以下同じ。
第46条関係
① 電磁的方法による議決権行使の具体例には、電子メールの送信やウェブサイト(ホームページ)への書込みの利用、フロッピーディスクやCD-ROMの交付による方法等がある。
② 電磁的方法の一部のみ利用可能な管理組合は、電磁的方法の利用状況に応じた規約を制定することが望ましい。例えば、電子メールの送受信やウェブサイト(ホームページ)への書込みは利用できないが、フロッピーディスクに記録されている内容の読込み及び表示は可能な場合、第46条において(イ)を選択した上で第46条第4項第一号は規定しないことが望ましい。
第47条関係
理事会が必要と認める者の例としては、マンション管理業者、管理員、マンション管理士等がある。
第48条関係
① 議決権については、土地の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。
② 各住戸の面積があまり異ならない場合は、住戸1戸につき各1個の議決権により対応することも可能である。
また、住戸の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能である。
③ ①の土地の共有持分の割合は、第10条コメント①によれば、専有部分の床面積が基準となっており、この点、単棟型の議決権割合(共用部分の共有持分の割合)も同様である。したがって、単棟型と同様、団地においても、①や②の方法による議決権割合の設定は、各住戸が比較的均質である場合には妥当であるものの、高層階と低層階での眺望等の違いにより住戸の価値に大きな差が出る場合もあることのほか、民法第252条本文が共有物の管理に関する事項につき各共有者の持分の価格の過半数で決すると規定していることに照らして、新たに建てられるマンションの議決権割合について、より適合的な選択肢を示す必要があると考えられる。これにより、特に、大規模な改修や建替え等を行う旨を決定する場合、建替え前のマンションの専有部分の価値等を考慮して建替え後の再建マンションの専有部分を配分する場合等における合意形成の円滑化が期待できるといった考え方もある。
このため、住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。
この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。
また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする。
なお、このような価値割合による議決権割合を設定する場合には、棟総会における議決権割合や分譲契約等によって定まる土地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。
④ 特定の者について利害関係が及ぶような事項を決議する場合には、その特定の少数者の意見が反映されるよう留意する。
⑤ 団地総会は管理組合の最高の意思決定機関であることを踏まえると、代
理人は、団地建物所有者としての組合員の意思が団地総会に適切に反映さ れるよう、団地建物所有者の立場から見て利害関係が一致すると考えられ る者に限定することが望ましい。第5項は、この観点から、組合員が代理 人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について規約に定めるこ ととした場合の規定例である。また、団地総会の円滑な運営を図る観点か ら、代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも考えら れる。なお、成年後見人、財産管理人等の組合員の法定代理人については、法律上本人に代わって行為を行うことが予定されている者であり、当然に 議決権の代理行使をする者の範囲に含まれる。
⑥ 書面による議決権の行使とは、団地総会には出席しないで、団地総会の開催前に各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を団地総会の招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる「委任状」)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が団地総会に出席して議決権を行使することである。
このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が団地総会 に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合 は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場 合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるもの である。そもそも団地総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを 考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議 案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。しかし、やむを得ず団地総会に出席できない場合であっても、組合員の意思を団地 総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自 ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、団地総会の招集 の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重 要であることに留意が必要である。なお、このような考え方は棟総会にお いても同様である。
⑦ 代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合があるため、そのようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておくことが考えられる。なお、このような考え方は棟総会においても同様である。
第49条関係
① 第2項は、議長を含む出席組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数で決議し、過半数の賛成を得られなかった議事は否決とすることを意味するものである。
② 特に慎重を期すべき事項を特別の決議によるものとした。あとの事項は、会議運営の一般原則である多数決によるものとした。
③ 区分所有法では、共用部分の変更に関し、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議(特別多数決議)で決することを原則としつつ、その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については区分所有者及び議決権の各過半数によることとしている(なお、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、区分所有法第17条第2項(第18条第3項において準用する場合を含む。)の規定に留意が必要である。(第10項参照))。
建物の維持・保全に関して、区分所有者は協力してその実施に努めるべきであることを踏まえ、機動的な実施を可能とするこの区分所有法の規定を、標準管理規約上も確認的に規定したのが第49条第3項第二号であ る。
なお、建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条の規定により、要耐震改修認定区分所有建築物の耐震改修については、区分所有法の特例として、敷地及び共用部分等の形状又は効用の著しい変更に該当する場合であっても、過半数の決議(普通決議)で実施可能となっている。
④ 第1項に基づき議決権総数の半数を有する組合員が出席する団地総会において、第2項に基づき出席組合員の議決権の過半数で決議(普通決議)される事項は、総組合員の議決権総数の4分の1超の賛成により決議されることに鑑み、例えば、大規模修繕工事のように多額の費用を要する事項については、組合員総数及び議決権総数の過半数で、又は議決権総数の過半数で決する旨規約に定めることもできる。
⑤ このような規定の下で、各工事に必要な団地総会の決議に関しては、例えば次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。
ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。
イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考
えられる。
ウ)防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではな く、外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可能と考えられる。
オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工 事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。
カ)その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
⑥ 建替え決議及び一括建替え決議の賛否は、売渡し請求の相手方になるかならないかに関係することから、賛成者、反対者が明確にわかるよう決議することが必要である。なお、第4項、第6項及び第7項の決議要件については、法定の要件を確認的に規定したものである。
第50条関係
規約の変更の際には以下の点に留意する必要がある。
1 団地内の棟が数期に分けて分譲され、新たに分譲された棟が従前の棟とその敷地等が同じ共有関係にある場合には、団地全体で管理する対象を再度決める必要があり、この場合は、従前の棟も含めた各棟の棟総会で、それぞれ各棟の区分所有者及び議決権の各4分の3以上で決議し、かつ団地総会で、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上で決議 し、団地の規約に位置づける。
2 団地全体で管理することとしていた棟の管理を各棟で管理することにする場合は、団地総会で、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上で決議し、団地の規約を変更した上で、各棟でその棟の管理のための規約を制定する。
3 団地全体で管理する対象の管理の方法について変更する場合は、団地総会で、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上で決議し、団地の
規約を変更する。
第51条関係
① 第3項の「利害関係人」とは、土地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。
② 電磁的記録の具体例には、磁気ディスク、磁気テープ、フロッピーディスク等のような磁気的方式によるもの、ICカード、ICメモリー等のような電子的方式によるもの、CD-ROMのような光学的方式によるものなどによって調製するファイルに情報を記録したものがある。
③ 電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項の電子署名とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの)に記録することができる情報について行われる措置であって、次のア)及びイ)のいずれにも該当するものである。
ア)当該情報が当該措置を行ったものの作成に係るものであることを示すためのものであること。
イ)当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
第53条関係
(第2項関係)
管理組合の業務執行の決定だけでなく、業務執行の監視・監督機関としての機能を理事会が有することを明確化するとともに、第37条第3項の規定に基づく理事長等の選任を含め、理事会の職務について明示した。
第54条関係
各理事は、理事会の開催が必要であると考える場合には、理事長に対 し、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を促すこともでき る。ただし、理事長が招集しない場合には、第2項の手続により招集を請求することとなる。それでも理事長が招集の通知を発出しない場合には、招集を請求した理事が、理事会を招集できることとなる。
第55条関係
① 理事は、団地総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
② したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。以下同じ。)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。
③ 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族(理事が、組合員である法人の職務命令により理事となった者である場合は、法人が推挙する者)に限り、代理出席を認める」旨を定める規約の規定は有効であると解されるが、あくまで、やむを得ない場合の代理出席を認めるものであることに留意が必要である。この場合においても、あらかじめ、団地総会において、それぞれの理事ごとに、理事の職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを審議の上、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい。
なお、外部専門家など当人の個人的資質や能力等に着目して選任されている理事については、代理出席を認めることは適当でない。
④ 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
⑤ 理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めることも考えられる。
⑥ 第2項は、本来、①のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議論することが望ましいところ、例外的に、第56条第1項第五号に掲げる事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要するものであることから、書面又は電磁的方法(電子メール等)による決議を可能とするものである。
⑦ 第3項については、第39条の2関係を参照のこと。
第56条関係
① 第1項第十号の「災害等により団地総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等」の具体的内容については、次のとおりである。
ア)緊急対応が必要となる災害の範囲としては、地震、台風、集中豪雨、竜巻、落雷、豪雪、噴火などが考えられる。なお、「災害等」の「等」の例としては、災害と連動して又は単独で発生する火災、爆発、物の落下などが該当する。
イ)「団地総会の開催が困難である場合」とは、避難や交通手段の途絶等により、組合員の団地総会への出席が困難である場合である。
ウ)「応急的な修繕工事」は、保存行為に限られるものではなく、二次被害の防止や生活の維持等のために緊急対応が必要な、共用部分の軽微な変更(形状又は効用の著しい変更を伴わないもの)や狭義の管理行為
(変更及び保存行為を除く、通常の利用、改良に関する行為)も含まれ、例えば、給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急 的な更新、エレベーター附属設備の更新、炭素繊維シート巻付けによる 柱の応急的な耐震補強などが「応急的な修繕工事」に該当する。また、
「応急的な修繕工事の実施等」の「等」としては、被災箇所を踏まえた共用部分の使用方法の決定等が該当する。
なお、理事会の開催も困難な場合の考え方については、第21条関係
⑪を参照のこと。
② 第2項は、応急的な修繕工事の実施に伴い必要となる資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて、第50条の規定によれば団地総会の決議事項であるところ、第1項第十号の決議に基づき実施する場合には、理事会で決議することができるとするものである。
③ ①のほかにも、共用部分の軽微な変更及び狭義の管理行為については、大規模団地など、それぞれの団地の実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である。その場合には、理事の行為が自己契約、双方代理など組合員全体の利益に反することとならないよう監事による監視機能の強化を図るなどの取組み、理事会活動の事前・事後の組合員に対する透明性の確保等について配慮することが必要である。
第57条関係
① 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合 や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に団地総会の決議が必要となる。
② 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。
第60条関係
① 通常総会は、第44条第3項で新会計年度開始以後2か月以内に招集することとしているため、新会計年度開始後、予算案の承認を得るまでに一定の期間を要することが通常である。第3項及び第4項の規定は、このような期間において支出することがやむを得ない経費についての取扱いを明確化することにより、迅速かつ機動的な業務の執行を確保するも
のである。なお、第4項の規定については、公益法人における実務運用を参考として、手続の簡素化・合理化を図ったものである。
② 第3項第一号に定める経費とは、第27条各号に定める経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要である。
③ 第3項第二号に定める経費とは、団地総会の承認を得て実施している工事であって、その工事の性質上、施工期間が長期となり、二つの会計年度を跨ってしまうことがやむを得ないものであり、団地総会の承認を得た会計年度と異なる会計年度の予算として支出する必要があるものであって、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることが必要である。
④ 第5項は、第56条第2項の決議に基づき、理事長が支出を行うことができることについて定めるものである。⑤ 第6項は、第21条第6項の規定に基づき、災害等の緊急時において土地及び共用部分等の保存行為を行う場合に、理事長が支出を行うことができることについて定めるものである。
⑤ 第6項は、第21条第6項の規定に基づき、災害等の緊急時において土地及び共用部分等の保存行為を行う場合に、理事長が支出を行うことができることについて定めるものである。
第62条関係
① 管理費等に関し、組合員が各自開設する預金口座から管理組合の口座に受け入れる旨を規定する第1項の規定は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第110号。以下「適正化法施行規則」という。)第87条第2項第一号イの方法(収納口座の名義人を管理組合又は管理者とする場合に限る。)又は同号ハの方法を前提とした規定であり、これ以外の方法をとる場合には、その実状にあった規定とする必要がある。その際、管理費等の管理をマンション管理業者に委託する場合には、適正化法施行規則第87条第2項に定める方法に則した管理方法とする必要がある。
② 徴収日を別に定めることとしているのは、管理業者や口座(金融機関)の変更等に伴う納付期日の変更に円滑に対応できるようにするためである。
③ 管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上での根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の団地建物所有者への負担転嫁等の弊害もあることから、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等
の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一つであるといえる。管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について段階的にまとめたフローチャート及びその解説を別添3に掲げたので、実務の参考とされたい。
④ 滞納管理費等に係る遅延損害金の利率の水準については、管理費等は、マンションの日々の維持管理のために必要不可欠なものであり、その滞納はマンションの資産価値や居住環境に影響し得ること、管理組合による滞納管理費等の回収は、専門的な知識・ノウハウを有し大数の法則が働く金融機関等の事業者による債権回収とは違い、手間や時間コストなどの回収コストが膨大となり得ること等から、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定することも考えられる。
⑤ 督促及び徴収に要する費用とは、次のような費用である。
ア)配達証明付内容証明郵便による督促は、郵便代の実費及び事務手数料イ)支払督促申立その他の法的措置については、それに伴う印紙代、予納
切手代、その他の実費
ウ)その他督促及び徴収に要した費用
⑥ 第2項では、遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することが「できる」と規定しているが、これらについては、請求しないことについて合理的事情がある場合を除き、請求すべきものと考えられる。
第64条関係
預金口座に係る印鑑等の保管にあたっては、施錠の可能な場所(金庫等)に保管し、印鑑の保管と鍵の保管を理事長と副理事長に分けるなど、適切 な取扱い方法を検討し、その取扱いについて団地総会の承認を得て細則等 に定めておくことが望ましい。
第66条関係
① 第1項から第3項までにおける「利害関係人」については、コメント第
51条関係①を参照のこと。
② 作成、保管すべき帳票類としては、第66条第1項に規定するものの 他、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などがある。
③ 組合員名簿の閲覧等に際しては、組合員のプライバシーに留意する必要がある。
④ 第2項は、第34条で管理組合の業務として掲げられている各種書類等の管理について、第1項の帳票類と同様に、その保管及び閲覧に関する業務を理事長が行うことを明確にしたものである。なお、理事長は、理事長
の責めに帰すべき事由により第1項の帳票類又は第2項に掲げる書類が適切に保管されなかったため、当該帳票類又は書類を再作成することを要した場合には、その費用を負担する等の責任を負うものである。
⑤ 第3項は、組合員又は利害関係人が、管理組合に対し、第51条第3項
(第55条第4項において準用される場合を含む。)、本条第1項、第2 項、第74条第4項並びに第82条第2項及び第4項の閲覧ではなく、管 理組合の財務・管理に関する情報のうち、自らが必要とする特定の情報の みを記入した書面の交付を求めることが行われている実態を踏まえ、これ に対応する規定を定めるものである。書面交付の対象とする情報としては、大規模修繕工事等の実施状況、今後の実施予定、その裏付けとなる団地修 繕積立金及び各棟修繕積立金の積立ての状況(マンション全体の滞納の状 況も含む)や、ペットの飼育制限、楽器使用制限、駐車場や駐輪場の空き 状況等が考えられるが、その範囲については、交付の相手方に求める費用 等とあわせ、細則で定めておくことが望ましい。別添4は、住戸の売却予 定者(組合員)から依頼を受けた宅地建物取引業者が当面必要とすると考 えられる情報を提供するための様式の一例に記載のある主な情報項目であ り、上述の細則を定める場合の参考とされたい。
⑥ 第3項に規定する管理組合の財務・管理に関する情報については、これらの情報が外部に開示されることにより、優良な管理が行われているマンションほど市場での評価が高まることや、こうした評価を通じて管理の適正化が促されることが想定されることから、書面交付の対象者に住戸の購入予定者を含めて規定することも考えられる。一方で、開示には防犯上の懸念等もあることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討することが必要である。
第67条関係
共有持分割合と団地修繕積立金等の負担割合が大きく異なる場合は負担割合に応じた清算とするなど、マンションの実態に応じて衡平な清算の規定を定めることが望ましい。
第68条関係
① この団地型標準管理規約では、区分所有法で各棟ごとに適用されることとなっている事項についても、一覧性を確保する観点から、各棟固有の事項について意思決定を行うことが必要になった場合の棟総会について、本条から第75条において規定したものである。
なお、第69条及び第74条については、団地総会に関する第45条関係及び第51条関係のコメントを参考にする。
② 棟総会に関する管理規約の変更は、棟総会のみで議決できる。各棟によ
って棟総会に関する管理規約に差異が生じた場合は、第8章を団地管理規約から分離し、各棟の規約を別に定めることが望ましい。
③ 各棟においては、日常的な管理は行わず、管理者は選任しないことか ら、棟総会は、区分所有法第34条第5項の規定に基づき、招集することとしている。
④ 事前に棟総会を招集する場合の世話人的な役割の人を決めておくことが望ましい。世話人は、当該棟より選任された団地管理組合の役員が兼ねることも考えられるし、理事とは別の区分所有者に定めることも考えられ る。
第71条関係
① 棟総会における議決権については、棟の共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。
② 各住戸の面積があまり異ならない場合には、住戸1戸につき各1個の議決権により対応することも可能である。
また、住戸の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能である。
③ 特定の者について利害関係が及ぶような事項を決議する場合には、その特定の少数者の意見が反映されるよう留意する。
④ 代理人は、区分所有者の意思が棟総会に適切に反映されるよう、区分所有者の立場から見て利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましい。第5項は、この観点から、区分所有者が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について規約に定めることとした場合の規定例である。また、棟総会の円滑な運営を図る観点から、代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも考えられる。なお、成年後見人、財産管理人等の区分所有者の法定代理人については、法律上本人に代わって行為を行うことが予定されているものであり、当然に議決権の代理行使をする者の範囲に含まれる。
第72条関係
① 棟総会の議決事項については、団地総会の議決事項とすることはできない。
② 棟総会の議決事項は、団地全体や他の棟に影響を及ぼすことも考えられるので、計画段階において他の棟の意見を取り入れるといった方法や棟総会で決定する前に理事会又は団地総会等に報告するといった方法で、団地全体の理解を得る努力をすることが適当である。
③ 特に、団地型マンションにおいて円滑化法第108条第1項の場合のマ
ンション敷地売却決議を行う場合は、マンション敷地売却決議は各棟において棟総会で行うものの、決議内容及びその他の手続きについては全棟での一体性が必要となるため、平成30年の円滑化法施行規則の改正を踏まえ改訂された「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」(平成26年12月国土交通省公表)を参考に、団地全体での合意形成を図ることが重要である。
④ 各棟修繕積立金の取崩しは、基本的に、団地総会の決議を経なければならないと規定している(第50条第六号及び第七号)が、各棟の建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施経費に充当するための取崩しのみは、団地総会の決議ではなく、棟総会の決議を経なければならないと規定している。
第73条関係
マンション敷地売却決議の賛否は、売渡し請求の相手方になるかならないかに関係することから、賛成者、反対者が明確にわかるよう決議することが必要である。なお、第4項の決議要件については、法定の要件を確認的に規定したものである。
第76条関係
区分所有法第57条から第60条までの規定は、団地関係に準用されていないことから、これらの措置は各棟ごとに実施することとなる。棟総会を招集する場合(コメント第68条関係④参照)と同様に、義務違反者に対する措置を実施する場合についても、世話人的な役割の人を決めておくことが望ましい。
第79条関係
① 分譲会社が締結した協定は、管理組合が再協定するか、附則で承認する旨規定するか、いずれかとする。
② 協定書は規約に添付することとする。
③ ここでいう協定としては、公園、通路、目隠し、共同アンテナ、電気室等の使用等を想定している。
第80条関係
細則は他に、役員選出方法、管理事務の委託業者の選定方法、文書保存等に関するものが考えられる。
第82条関係
① 団地建物所有者全員が記名押印した規約がない場合には、分譲時の規約
案及び分譲時の団地建物所有者全員の規約案に対する同意を証する書面又は初めて規約を設定した際の団地総会の議事録が、規約原本の機能を果たすこととなる。
② 第4項では、第18条に基づく使用細則及び第80条に基づく細則その他の細則についても、規約原本等と同じ手続で閲覧を認めることを明確に定めた。
附則全般関係
① 新規分譲において、分譲会社等が原始規約案を作成する際の参考とする場合は、附則第1条の次に以下のような附則を規定することが考えられる。
(管理組合の成立)
第2条 管理組合は、平成○年○月○日に成立したものとする。
(初代役員)
第3条 第37条にかかわらず理事○名、監事○名とし、理事長、副理事長、会計担当理事、理事及び監事の氏名は別に定めるとおりとする。
2 前項の役員の任期は、第38条第1項にかかわらず平成○年○月○日までとする。
(管理費等)
第4条 各団地建物所有者の負担する管理費等は、団地総会においてその額が決定されるまでは、第25条第2項に規定する方法により算出された別に定める額とする。
(経過措置)
第5条 この規約の効力が発生する日以前に、団地建物所有者が○○会社との間で締結した駐車場使用契約は、この規約の効力が発生する日において管理組合と締結したものとみなす。
② ①に記載するもののほか、初年度の予算及び事業計画等に関しても必要に応じて附則で特例を設けるものとする。
③ 新規分譲において、分譲会社等が原始規約案を作成する際の参考とする場合は、次の点に留意する。
ア)規約の効力発生時点は、最初に住戸の引渡しがあった時とする。ま た、管理組合の成立年月日も、規約の効力発生時点と同じく、最初に住戸の引渡しがあった時とする。
イ)役員の任期については、団地建物所有者が自立的に役員を選任することができるようになるまでとする。
ウ)入居後直ちに開催する団地総会で抽選で駐車場の使用者を決定する場合には、附則第5条は、不要である。
別表第1関係
所在地が登記簿上の所在地と住居表示で異なる場合は、両方を記載すること。
別表第2関係
① ここでいう共用部分には、団地共用部分のみならず、法定共用部分も含む。
② 区分所有建物とは独立して管理事務所等が存在するのではなく、区分所有建物内に管理事務室等を設ける場合は、当該部分は区分所有法上は専有部分の対象となるものであるが、団地建物所有者の共通の利益のために設置されるものであるから、これを規約により団地共用部分とすることができる。
③ 一部の団地建物所有者又は一部の区分所有者のみの共有とする共用部分があれば、その旨も記載する。
別添1 外部専門家の活用のパターン
別添2 団地建物所有者が行う工事に対する制限の考え方
別添3 滞納管理費等回収のための管理組合等による措置に係るフローチャート別添4 管理情報提供様式に記載のある項目例
外部専門家の活用のパターン
別添1
① 理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型
管理組合
総会=意思決定機関
事業者
管理者 = 理事長
副理事長又は理事又は監事
副理事長又は理事又は監事
理事会
管理組合
総会=意思決定機関
事業者
管理者= 理事長
副理事長
又は理事又は監事
※理事長を外部専門家とする
副理事長又は理事又は監事
理事会
【考え方】
・従来どおり理事会を設け、理事会役員に外部専門家を入れるパターン。
・外部専門家が理事長(=管理者)となることも想定される。
・外部専門家を含む役員の選任を含め、最終的な意思決定機関は総会であり、その役割は重
注:塗りつぶしが外部の専門家
要。
ことも可能
【想定されるケース(マンションの特性)】
・運営面の不全の改善
・計画的な大規模修繕等の適切な実施、耐震改修・建替え等の耐震対策等専門的知見が必要な場合を想定
※限定的な専門性が求められるケースも多くある。
【論点・課題と標準管理規約における規定等の整備】
・外部役員の選任・解任
→第37条第2項・第4項、コメント第37条関係①⑥
・役員の欠格要件
→第38条の2、コメント第38条の2関係
・外部役員の業務執行のチェック体制の構築(理事会によるチェックの補完)
→理事会の権限として理事の職務執行の監督等の位置付け(第53条第2項、コメント第53条関係)
→理事長の職務執行の状況の理事会への定期報告義務(第40条第4項、コメント第40条関係②)
→理事による理事会の招集請求・招集(第54条第3項、コメント第54条関係)
→監事の理事等に対する調査権(第43条第2項、コメント第43条関係①)
→組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実の理事から監事への報告義務(第42条第2項、コメント第42条関係)
→監事による理事会の招集請求・招集(第43条第6・7項、コメント第43条関係③)
→監事の理事会への出席・意見陳述義務(第43条第4項、コメント第43条関係②)
→監事による理事会への理事の不正行為等の報告義務(第43条第5項、コメント第43条関係③)
→監事による総会提出議案の調査・報告義務(コメント第43条関係①)
・役員の取引の健全性の確保(利益相反取引の排除等)
→利益相反取引となる事実の開示と理事会からの承認(第39条の2、コメント第39条の2関係)
→利害関係のある議決への当該理事の不参加(第55条第3項)
→監事等による管理組合の代表代行(第40条第6項、コメント第40条関係③)
・多額の金銭事故や財産毀損の防止、補償の担保と補償能力の充実
→コメント第39条関係①
・派遣された役員が欠けた場合の補欠ルールの明確化(継続性の確保)
→コメント第38条関係④
【参考】 ①の全パターン
注:塗りつぶしが外部の専門家
管理組合
総会=意思決定機関
事業者
=
副理事長又は理事又は監事
副理事長又は理事又は監事
理事長
管理者
理事会
管理組合
総会=意思決定機関
事業者
管理者 = 理事長
副理事長又は理事又は監事
副理事長又は理事又は監事
理事会
管理組合
総会=意思決定機関
事業者
=
副理事長又
は理事又は監事
副理事長又は理事又は監事
理事長
管理者
理事会
管理組合
総会=意思決定機関
事業者
管理者 = 理事長
副理事長又
は理事又は監事
副理事長又は理事又は監事
理事会
※現行標準管理規約
② 外部管理者理事会監督型
管理組合
総会=意思決定機関
理事会
事業者
理事長
(外部の専門家)
管理者
管理組合
総会=意思決定機関
理事会
理事長
事業者
(外部の専門家)
副理事長
又は理事又は監事
管理者
【考え方】
・外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は監事的立場となり外部管理者を監視するパターン。
監 視
監 視
・監視する立場の理事会の役員に、さらに別の外部専門家を選任することも考えられる。
※管理費回収、反社会的勢力、被災対応等の特定問題も併せて担当することも可能
※監視する役割の理事会に外部専門家を入れることも可能
・外部管理者の選任を含め、最終的な意思決定機関は総会であり、その役割は重要。
【想定されるケース(マンションの特性) 】
・高い専門性と透明性、団地建物所有者の利益の保護や最大化のニーズの高いマンション(大規模な新築マンションなどを中心に想定)
※総会は意思決定機関、管理者は知見豊富な執行者、理事会は監視機関、と分担や責任の明確化が期待できる。
※さらに、専門性が高く、時間的な拘束が強く心理的な負担も大きい管理費回収訴訟、反社会的勢力、被災対応等の特定問題も担当することも想定。
【論点・課題】
・外部管理者=区分所有法上の管理者とする
・外部管理者の選任・解任
・外部管理者の欠格要件 〔外部・内部共通〕
・外部管理者のチェック体制の充実(理事会によるチェックの補完)
・外部管理者の取引の健全性の確保(利益相反取引の排除等)〔外部・内部共通〕
・多額の金銭事故、財産毀損の防止 〔外部・内部共通〕
・補償の担保と補償能力の充実 〔外部・内部共通〕
・専門家の属性
・専門家の能力評価・育成方法
<個人の専門家が管理者に就任する場合に以下を追加>
・外部管理者の補欠ルールの明確化(継続性の確保)
【規約の整備等の考え方】
①理事長=区分所有法上の管理者とする規定の撤廃。理事長の業務・権限と管理者の業務・権限の整理。
②外部管理者の選任・解任を総会決議とする旨規定。
③外部管理者及び役員の欠格要件として、銀行との取引停止、破産(者)等、資格・登録の取消し処分からの一定期間内等を規定。
④派遣元団体等による報告徴収や監査(適任者への交替も含む)又は外部監査(別の専門家の一時派遣等)の義務付けについて規定することも考えられる。
⑤管理組合と外部管理者の利益が相反する取引の理事会への報告・承認。
⑥管理者の誠実義務として、財産の毀損の防止及びそのために必要な措置(保険加入、保険限度額の充実、財産的基礎の充実等)に努めるべき旨を規定
⑦一定期間の継続意思の確認について規定することも考えられる(新規参入を妨げないよう、意思の確認とする)。
⑧引継者を予め定めることができる旨を規定(欠けた時点での適任者の選任も可とする)
③ 外部管理者総会監督型
管理組合
総会=意思決定機関
監視
<日本>
事業者
団地建物所
有者
(監事)
管理者
理事会なし
監査法人等外部監査
【考え方】
・外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は設けないパターン。
・ 団地建物所有者からは監事を選任して監視するとともに、全団地建物所有者で構成する総会が監視するものであり、総会の役割は重要。
・さらに、監査法人等の外部監査を義務付ける。
【想定されるケース(マンションの特性)】
・高い専門性と透明性、 団地建物所有者の利益の保護や最大化のニーズが高いが、規模の小さいマンション
・理事長のなり手がいない例外的なケース
※支援的性格が強いケース
【論点・課題】
・外部管理者=区分所有法上の管理者とする
・理事会(理事)の廃止
・外部管理者の選任・解任
・外部管理者の欠格要件 〔外部・内部共通〕
・外部管理者のチェック体制の構築(理事会に代わる監査機能の確保)
・外部管理者の取引の健全性の確保(利益相反取引の排除等)〔外部・内部共通〕
・多額の金銭事故、財産毀損の防止 〔外部・内部共通〕
・補償の担保と補償能力の充実 〔外部・内部共通〕
・専門家の属性
・専門家の能力・育成方法
・資力のない管理不全マンションへの対策
<個人の専門家が管理者に就任する場合に以下を追加>
・外部管理者の補欠ルールの明確化(継続性の確保)
【規約の整備等の考え方】
①理事長=区分所有法上の管理者とする規定の撤廃。理事長・理事会に係る業務・権限を管理者の業務・権限に移行。
②外部管理者の選任・解任を総会決議とする旨規定。
③外部管理者の欠格要件として、銀行との取引停止、破産(者)等、資格・登録の取消し処分等からの一定期間内を規定
④派遣元団体等による報告徴収や監査(適任者への交替も含む)又は外部監査(別の専門家の一時派遣等)の義務付けについて規定することも考えられる。
⑤管理組合と外部管理者の利益が相反する取引の監事、総会への報告・承認
⑥管理者の誠実義務として、財産の毀損の防止及びそのために必要な措置(保険加入、保険限度額の充実、財産的基礎の充実等)に努めるべき旨を規定
⑦一定期間の継続意思の確認について規定することも考えられる(新規参入を妨げないよう、意思の確認とする)。
⑧引継者を予め定めることができる旨を規定(欠けた時点での適任者の選任も可とする)
⑨環境整備として、自治体の公益法人・自治体委託NPOからの低廉な専門家派遣の推進
団地建物所有者が行う工事に対する制限の考え方
別添2
本「考え方」は、団地建物所有者が実施する専有部分の修繕等や共用部分の窓ガラス等の改良工事の制限に関する一般的なルールを示したものであるが、階下等の住戸に伝わる騒音・振動、窓の変更が外観に与える影響などはマンションによって異なることから、各マンションの設備水準や劣化状況等の実情に応じたルールを定めることが望ましい。
ここでは、修繕等の工事のうち、建物全体や他住戸に長期的に負の影響を及ぼす可能性のある修繕等については、理事会(理事長)に承認申請をすることとし、下表において、部位ごとに、工事の実施主体と制限の考え方、制限の目的、制限すべき負の影響(事象)、理事会承認を要する工事、承認の条件として、一般的に想定されるものを示している。
その他の軽微な修繕等については理事会承認は不要としているが、下表右欄に示すように、工事業者の出入りや騒音・振動が発生する工事で管理組合として事前に把握が必要なものについては、事前届出の対象としている。
一方で、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」(区分所有法§6①)とされていることから、必要に応じて、こうした禁止行為を具体的に記載することも想定している。例) ディスポーザーの設置工事(ディスポーザー処理槽が設置されていない場合)
バルコニー・専用庭への増築工事(バルコニーとしての専用使用の範囲を逸脱するため)建物の主要構造部に影響を及ぼす穿孔・切欠等の工事
部位 | 工事の実施主体と制限の考え方 | 制限の目的 | 制限すべき負の影響(事象) | 理事会承認の必要な工事 | 届け出が必要な工事 | 届け出も不要の工事 | ||
理事会承認を要する工事 | 承認の条件 | |||||||
専有部分 | 管・配線 | ・団地建物所有者が管理し、必要に応じて工事する。 ・団地建物所有者が実施する工事について、他の住戸、共用部分に影響がある場合の取り扱いを定める。 | ・高圧洗浄用の掃除口があること、排水管の屈曲部等が高圧洗浄可能なものであることを確認する 給排水管の維持、円滑な給排 漏水、騒音(他住戸に影響) 給排水管を改修する工事(給排水管の改修 ・排水勾配が確保されていることを確認する 水、騒音の防止 を伴う浴室の改修等を含む) ・給排水管に防音対策が講じられていることを確認する ・給排水管と共用縦管の接続位置を変更する場合には、共用縦管への加工 について確認する。 | ○工事業者が出入りする工事については、工事時間、工事内容と業者名を管理組合に届出 → 業者の出入りを管理する → 工事による予想しがたい影響(例:給水工事によるウオーターハンマー現象)が生じた場合、どの住戸の工事が原因で あったかを確認できるようにする ○騒音・振動が発生する工事については、他の団地建物所有者がわかるよう工事期間と工事内容を掲示 | 他の団地建物所有者への直接・間接の影響がない工事 (例:専有部分の電球の取替 え、水道のパッキンの取替え、シャワーヘッドの取替え、温水洗浄便座の取替え) | |||
設備 | 火災に対する安全等のための端 火災の拡大(建物全体に影響) 住宅情報盤、感知器、スプリンクラーの改 ・設置する端末機器、配線を確認する 末の稼働の確保 避難の遅れ(他住戸に影響) 修工事 | |||||||
騒音を伴う設備設置の制限 (既存設備の状況により 騒音(他住戸に影響)必要な場合に限り制限する) | ジェットバス、夜間電力を利用した給湯器 ・設置する機器、防振・防音対策を確認するを設置する工事 | |||||||
ディスポーザー破砕機を交換する工事 ・設置する機器、防振・防音対策を確認する ※処理槽の状況によっては設置自体を禁止する | ||||||||
共用設備の利用の確保 (既存設備の状況により必要な場合に限り制限する 注1) | 停電(他住戸に影響) 電気を利用する設備の工事(電気契約量を ・電気の契約量を確認する ○A以上に増加させるものに限る) ※既存設備の状況によっては管理組合が幹線等を改修 | |||||||
ガス圧低下(他住戸に影響) ガスを利用する設備の工事(○号以上の給 ・ガスの使用量を確認する 湯器を設置するものに限る) ※既存設備の状況によっては管理組合がガス管等を改修 | ||||||||
一部団地建物所有者による共用設 電話回線を利用する工事(新たに回線を利 ・空き回線の状況を確認する 備の不公平な利用 用するものに限る) ※既存設備の状況によっては管理組合が配線盤等を改修 | ||||||||
天井、壁、床 | ・はつり等により躯体に悪影響を与えないことを確認する。 主要構造部の構造安全性の確 ※スラブ上の均しモルタルのはつり等、躯体コンクリートの工事を伴わ 保 躯体損傷(建物全体に影響) 大規模なリフォーム工事 ないものは承認することが考えられる。 ※躯体工事を伴うものは「共用部分(専用使用権なし) 躯体、梁、柱、 スラブ」の欄を参照。 | |||||||
床 | 階下への騒音の防止 注2 騒音(他住戸に影響) 床材を張替える工事 新築時と同等以上の遮音性能を確認する | |||||||
共用部分 (専用使用権あり) | 窓 | ・管理組合が管理するが、団地建物所有者が専用使用する。 ・団地建物所有者の責任と負担で実施することが合理的な工事について、取り扱いを定める。 | 外観の統一、防犯・防音の確保 (団地建物所有者の意識を踏まえて必要な場合に限り制限する) | 美観、防犯・防音性能の低下(建物全体に影響) | 共用部分である窓の工事で現在と異なる部材を用いるもの | ・色彩、形状、位置、防犯・防音性の低下の可能性を確認する | ||
玄関 | 玄関(扉・枠)の工事で現在と異なる部材を用いるもの | ・色彩、形状、位置、防犯性の低下の可能性を確認する | ||||||
面格子・ルーバー | 面格子・ルーバーの工事で現在と異なる部材を用いるもの | ・色彩、形状、位置、防犯性の低下の可能性を確認する | ||||||
バルコニー | バルコニーとしての適正な利用 | 避難等の障害(他住戸に影響) バルコニーに物品を固定する工事であらか防水機能の破壊(他住戸に影響) じめ定められた場所への設置※でないもの躯体損傷 ※ エアコン室外機 | ・避難上の支障等がないかを確認する ・防水層、排水に悪影響がないかを確認する ・躯体にボルト等を打ち込まないか確認する | |||||
共用部分 (専用使用権なし) | 躯体、梁、柱、スラブ、壁 | ・管理組合が管理する。 ・団地建物所有者が行う専有部分の工事が影響する場合の取扱いを定める。 | 主要構造部の構造安全性の確保 注3 | 躯体損傷(建物全体に影響) 躯体コンクリートへの穿孔又はアンカーボ ルト等の金物の打込みを伴う工事 | ・穿孔や金物の打ち込みにより躯体に悪影響を与えないこと | |||
その他 | 法令順守 注4 |
注1 電気、ガス、水道、電話は、共用設備(管・配線等)の仕様により使用できる量に制限があり、これを超えて利用しようとすると、停電、ガス圧の低下、水圧の低下等の障害、共用回線利用の不公平等の問題が起こる可能性がある。このため、マンションの共用設備の能力に応じて、専有部分で行われる共用設備の利用の増加に影響する工事について承認対象とすることが考えられる。
この場合、既存設備の状況を踏まえてあらかじめ各戸の利用限度を算出して承認基準(承認申請不要基準)を定めておくこと、各戸の契約量の合計が共用設備の能力の限界に近づいた場合の共用設備の改修についても、理事会で議論することが望ましい。
なお、インターネットについては、マンションに任意加入方式のインターネット回線が引かれており、団地建物所有者が加入を望んだときには、プロバイダに申し込めば工事なしで回線を利用することができるが、インターネット回線が引かれていないマンションで新たに引く場合には、管理組合が
イン
ターネット回線業者に申し込み、共用部分に設備(ルーター、配線等)を設置工事を実施する(団地建物所有者が工事をするのではない)。
注2 標準規約コメントにもあるとおり、特にフローリング工事の場合には、構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるため、専門家の確認が必要である。物件の状況によっては、専門家の協力を得たうえで、例えば、以下のような事項を定めておくことも考えられる。
・新築時フローリングのマンションの場合:使用されるフローリングの遮音等級が新築時と同等以上であり、施工方法が当該フローリング材のカタログに示されたとおりの工事であることを確認する
・新築時カーペット敷きの高経年マンションで、スラブが薄く、遮音性能が低いフローリング床では遮音性能上問題が発生する可能性があるとして管理組合が決定した場合:フローリング等の承認条件(遮音等級○L○○以上等)を示す
注3 躯体損傷をどこまで許容するかは、マンションの設計強度や施工状況、劣化状況等によって主要構造部への影響の度合いが異なることから、慎重な判断が必要である。物件の状況によっては、例えば、以下のような事項を定めておくことも考えられる。
・高層マンションで住戸間の界壁が乾式工法の場合:界壁への穿孔工事は原則禁止(必要となる耐火性能を満たさなくなる可能性が極めて高いため)
・比較的築浅で必要なスリーブが設置されているマンションの場合:スリーブの増設を禁止する
・高経年マンションで、設備グレードアップのニーズが高い場合:スリーブ増設の条件として、構造計算にかかわらない部位であって、レーダー等による配筋確認の上行うことを確認する
注4 申請者及び工事業者が関係法令を順守することは当然であり、各法令への対応状況を理事会が確認し承認することは現実的ではないが、安全性に関わる以下のような点については、承認の際に申請者に注意喚起を行うことが望ましい。
・玄関扉等を変更する際の防火性能の確保
・防火区画1m以内の被覆処理 など
別添3
滞納管理費等回収のための管理組合等による措置に係るフローチャート
買受人に対する法的措置へ
買受人が
督促の手続
滞納発生
滞納者の専有部分等の調査
・抵当権等の設定の有無を調
弁済せず
回収 買受人(特定承継人)に請求
(発生から一定の期間以内に順次実施)
・書面による請求、催告書、自宅訪問、内容証明郵便(配達証明付)等
査。
(先取特権の実行と関連)
専有部分等以外の資産調査
売却代金の配当では滞納額の全額は回収できない場合
回収 裁判所に対する配当要求
銀行等の他の債権者による競売
銀行等の他の債権者による競売が実施されない
・金融資産については、滞納者の同意書を携行し、銀行等から情報を得るよう努める。
・不動産については、登記や課税当局の固定資産課税台帳を調査するよう努める。
法的措置
専有部分等の担保不動産競売の申立て
(区分所有法 66 条・7 条の先取特権の実行)
団地建物所有者の資産に対する強制執行
(債務名義に基づく強制執行)
・債務名義(確定判決等)が不要
=訴訟を経ずに競売が実施可能
・対象資産は専有部分等に限定
・先取特権の対象となる建物に備え付けた動産に対する担保権の実行では滞納額の全額を回収できない場合に限定
・債務名義(確定判決等)が必要
=訴訟により債務名義を得た上で、滞納者が支払わなければ強制執行の申立て
・対象資産は専有部分等の他、金融資産、不動産等も含む
どちらの措置を実施しても滞納額の
回収 全額は回収できない見込みの場合 回収
区分所有法 59 条による区分所有権の競売請求が適切か否かを判断
競売請求する
弁済交渉等を継続
競売請求しない
区分所有法 59 条による区分所有権の競売請求訴訟
・区分所有者が区分所有法第6条第1項に規定する行為をしたこと、又はその行為をするおそれがあることを立証。
・その行為による共同生活上の障害が著しいことを立証。
・他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること(この要件を満たすためには先取特権の実行やその他滞納者の財産に対する強制執行によっても滞納管理費等の回収を図ることができない場合であることが必要)を立証。
認容判決の確定
・滞納者を排除した上で、新しい所有者から滞納管理費等の支払を受けることが可能。
・オーバーローンでも競売請求が可能な場合がある。
(注) 競売により抵当権等の担保権は消滅するとの見解がある。
区分所有法 59 条による競売の申立て
(注) 単棟型と同様のフローを記載しているが、団地総会には区分所有法第 59 条は準用されていないこと等に留意
滞納管理費等回収のための管理組合等による措置に係るフローチャート(解説)
フローチャートにおける各手順の概要は、つぎのとおりである。
(1)督促
管理組合は、滞納者に対して、滞納管理費等の支払の督促とともに、今後も滞納が継続する場合には、その状況に応じてさらなる措置を執ることになる旨を事前に警告する。
<督促の手順の例>
1ヶ月目 電話、書面(未納のお知らせ文)による連絡
2ヶ月目 電話、書面(請求書)による確認
3ヶ月目 電話、書面(催告書)
(過去の実績によれば、失念していたなど一時的な要因で滞納した者は、3か月以内に滞納を解消する)
(管理費の滞納者のほとんどは、ローン等の支払も滞納していることが多いため、6か月以内に銀行が債権回収のために競売等に動き出すことが多い注。)
4ヶ月目 電話、書面、自宅訪問
5ヶ月目 電話、書面(内容証明郵便(配達記録付)で督促)
注 銀行等の他の債権者による競売が実施された場合は、裁判所に対して配当要求を行い、滞納管理費等を回収する。売却代金の配当では滞納管理費等の全額を回収できない場合は、特定承継人
(買受人)から回収する。特定承継人が弁済しない場合は、特定承継人の資産について、先取特権の実行や債務名義に基づく強制執行を実施する。((3)、(4)参照)
(2)滞納者の保有財産の調査
滞納者の専有部分等について、抵当権等の設定の有無を調査するとともに、専有部分等以外の資産について、現住所と最低限その直前に居住していた市区町村内と勤務先の市区町村内の調査を行う。
金融資産については、金融機関が顧客情報の流出を懸念して本人の同意を求める可能性が考えられるため、団地建物所有者間の同意を事前にとって銀行等から情報開示を得ることが考えられる。
また、課税当局(地方自治体)の固定資産課税台帳については、本人の同意書を携えて調査する。
登記情報については、地番や家屋番号等が分かれば情報の取得が可能であるので、それまでの調査結果に基づき取得した地番や家屋番号等を基に各登記所で確認の閲覧調査を行う。
(3)区分所有法第66条において準用する第7条の先取特権の実行
滞納管理費等に係る債権は、区分所有法第66条において準用する第7条の先取特権の被担保債権となっているため、債務名義(確定判決等)を取得せずとも、先取特権の実行としての担保不動産競売を申し立てることにより、他の一般債権者に優先して弁済を受けることができる。
しかしながら、先取特権は、「土地等に関する権利、建物又は区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産」(同法第66条・第7条)についてのみ実行可能であり、しかも、区分所有法第66条において準用する第7条の先取特権は公租公課及び抵当権等の登記された担保権に劣後する。また、先取特権の対象となる建物に備え付けた動産に対する担保権の実行では滞納額の全額を回収できない場合に限って、区分所有権等の不動産に対して先取特権を実行できる。
したがって、先取特権の実行による滞納管理費等の回収は、抵当権が担保する融資残額などを控除しても、当該マンション等の売却代金から滞納管理費等の回収が見込まれる場合には実効性のあるものとなる。
なお、上記のように先取特権に優先する抵当権等が存在するなどし、買受可能価額がそれらの優先債権等の見込額に満たない場合、担保不動産競売手続は民事執行法第18
8条の準用する第63条により取り消される(いわゆる無剰余取消し)。
(4)団地建物所有者の資産に対する強制執行
上記(3)の先取特権の実行による専有部分等の担保不動産競売では滞納管理費等の回収が困難であったとしても、滞納者の預金その他の保有財産の存在が判明した場合には、これに対する強制執行により滞納管理費等の回収を図ることが考えられる。強制執行の場合は、先取特権の実行の場合と異なり、まず確定判決等の債務名義を取得することが必要である。しかし、管理組合は、債務名義を取得しただけで直ちに滞納管理費等を回収できるわけではなく、裁判所に対し、滞納者の財産に対する強制執行(不動産執行、動産執行、債権執行など)を申し立てる必要がある。債務名義に基づく強制執行については、当該財産の差押えが禁止されているなど一定の場合を除き、上記(3)の先取特権のような対象資産の限定はない。
また、強制執行は、滞納者の保有財産がどこにあるか十分調査してから行うべきである。一定の推測で絞り込みを行い、存在すると思われる財産を特定して強制執行を申し立てることは可能であるが、手続費用などに比して十分に回収できない等の問題があるからである補足。
補足
存在すると思われる複数の金融機関の預金等について同時に強制執行を申し立てる場合
保有財産である預金等が存在することが完全に判明していなくとも、預金等が存在すると推測される複数の金融機関を第三債務者として、預金等を差押債権とする強制執行を申し立てることは可能であるが、この場合には、数個の差押債権の合計額が請求債権額を超えないようにしなければならない(※)。その結果、預金等の一部しか回収できないこととなる可能性もある。このため、強制執行の申立てをする前に、保有財産の調査(金融機関に対する情報開示の請求等)を
行うべきである。
このことは、一の金融機関を第三債務者とした場合であっても、複数の取扱店舗の預金等を差押債権とする強制執行を申し立てる場合も同様である。
※ 民事執行法第 146 条第 2 項は、いわゆる超過差押えを禁止しており、差し押さえるべき債権の価額が差押債権者の債権額及び執行費用の額(請求債権額)を超えるときは、さらに他の債権を差し押さえてはならない。例えば、請求債権額が 100 万円しかないのに、5 行に対して 100 万円ずつ差し押さえるとなると、500 万円について差押えがされることとなり、超過差押えの禁止に抵触するため、それぞれ 20 万円ずつに割り付ける(割り付ける金額は必ずしも均等である必要はない)といった手当てが必要となる。
保有不動産の差押えの場合、上記先取特権の実行と同様、不動産競売手続につき無剰余取消しがされることがあることに留意しなければならない。
(5)区分所有法第 59 条による区分所有権の競売請求
区分所有法第 66 条において準用する第7条の先取特権の実行と団地建物所有者の保有財産の強制執行によっても滞納管理費等の全額を回収できなかった場合や回収できないことが確実な場合などには、区分所有法第 59 条による競売請求の可否について検討することとなる。なお、以下に単棟型と同様の解説を記載しているが、団地総会には区分所有法第 59 条は準用されていないこと等に留意が必要である。
区分所有法第 59 条による不動産競売においては、滞納管理費等の債権に優先する債権
があって民事執行法第 63 条1項の剰余を生ずる見込みがない場合であっても、競売手続
を実施することができるとした裁判例があり(東京高決平成 16 年 5 月 20 日(判タ 1210
号 170 頁))、区分所有者がいわゆるオーバーローン状態でも競売手続を実施すること
ができる可能性がある。この場合には、区分所有法第 66 条において準用する第8条により特定承継人である競落人に滞納管理費等の支払を求めることができるため、滞納者を区分所有関係から排除した上で、新しい所有者から滞納管理費等の支払を受けることが可能となる。ただし、買受可能価額が競売の手続費用を下回るような場合には、無剰余取消しとなる可能性があることも考慮する必要がある。
区分所有法第 59 条による競売請求は、「他の方法によっては・・・の共同生活の維持を図ることが困難であるとき」(同条第1項)という要件を満たす場合に認められる。この要件については、これまでの裁判例によると、管理費等の長期かつ多額の滞納が区分所有法第6条の共同利益背反行為に該当すると認定した上で、預金債権の強制執行が不奏功に終わったことや、区分所有法第7条による先取特権又は裁判所の判決に基づいて居室及びその敷地権の競売を申し立てたとしても、抵当権等優先する債権が資産価値以上に設定されており、資産を処分しても弁済を受けられない状態であることを理由として取消しとなる可能性が高いこと等から、区分所有法第 59 条による競売以外の方法では区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であると認定したものがある(東京地判平成 17 年 5 月 13 日(判タ 1218 号 311 頁)、東京地判平成 19 年 11 月 14 日(判タ
1288 号 286 頁))。
以上を踏まえると、区分所有法第 59 条による競売請求が認められるための要件や手順は以下のとおりである。
区分所有法第 59 条による競売請求の実体的要件は次の3つに整理することができる
(区分所有法第 59 条第1項)。
① 「区分所有者が区分所有法第6条第1項に規定する行為をしたこと、又はその行為をするおそれがあること。」(共同利益背反行為)
② 「当該行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しいこと。」
③ 「他の方法によっては、その障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること。」
管理費等の支払義務は、区分所有建物等の管理に関する最も基本的な義務の一つであることから、その著しい滞納は、①にいう第6条第1項に規定するいわゆる「共同利益背反行為」に該当すると解される。
②にいう「区分所有者の共同生活上の障害が著しい」状態については、滞納期間、滞納額、未払いに対する過去の交渉経緯等、諸般の事情を考慮して最終的には裁判所において判断される。区分所有法第 59 条による競売請求を管理組合が検討・意思決定すべき時期としては、○○ヶ月以上滞納した場合には、それ以上督促しても当人から管理費等が支払われることが期待できないという実績があり、管理費等の滞納の結果、建物の適切な管理若しくは計画的な大規模修繕の先送り又は修繕項目の削減につながって、住環境の悪化、躯体劣化、又は設備への支障が生じ、区分所有者の共同生活に著しい障害を与えるほどの資金不足に陥ったときである。こうした事情のほか、個々のマンションの著しい障害の実態を適切に立証することによって②に該当すると判断される可能性が高くなると考えられる。
③にいう「他の方法によっては、その障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること」については、先取特権の実行やその他滞納者の財産に対する強制執行によっても滞納管理費等の回収を図ることができない場合であることを要し、その前提として、可能な限り滞納者の保有財産の調査を行うべきである。なお、区分所有法第 59 条による競売請求をするに当たって、区分所
有法第 57 条第 1 項の差止め請求や同法第 58 条の専有部分の使用禁止の請求を経なければならないものではないと考えられる。
区分所有権等の競売請求を認容する旨の判決の確定後、不動産競売の申立てを行うこととなるが、競売により抵当権等の担保権は消滅するとの見解がある。また、売却基準価額の算定に当たっては、通常、滞納管理費等の存在を考慮した減価がされる。
競売によって区分所有権が売却された後は、区分所有法第 66 条において準用する第8条により、買受人(特定承継人)は滞納管理費等につき弁済する義務を負う。仮に、買受人が承継した滞納管理費等の弁済を拒否した場合には、区分所有法第 66 条において準用する第7条の先取特権の実行等により、その回収を図ることが可能である。
補足解説1.滞納者の保有資産の調査
上記(2)の滞納者の保有資産の調査について、以下のとおり補足する。
(1)金融資産の調査
金融資産については、滞納者本人から情報提供の協力が得られない場合には、銀行等に預金等の有無の情報開示を求めることが考えられるが、金融機関は顧客情報の流出を懸念して本人の同意を求める可能性が考えられる。開示を求める範囲としては、現住所と最低限その直前に居住していた市区町村内の銀行等や勤務先の市区町村内の銀行等が考えられる注。
注 銀行等の本店による一括照会を請求する。
(2)不動産の調査
一方、不動産については、滞納者本人から情報提供の協力が得られない場合には、課税当局が保有する情報から検索することと登記情報から検索することが考えられる。
このうち、課税当局の固定資産課税台帳による調査も保有不動産を確認する手段として考えられる。地方自治体は、地方税法上の守秘義務に抵触することを懸念するものの、固定資産課税台帳は、本人の同意を書面で確認できれば代理人が閲覧したり、記載事項の証明書の交付を受けることができる。調査する範囲としては、滞納者の現住所と最低限その直前に居住していた市区町村とすることが費用対効果の観点から適切である
また、登記情報については、地番や家屋番号等が分かれば情報の取得をすることが可能であるので、それまでの調査結果に基づき取得した地番や家屋番号等を基に各登記所で確認の閲覧調査を行う。
なお、登記情報は、どの登記所においても全国の登記情報を閲覧することができ、登記情報提供サービス(http://www1.touki.or.jp/)を利用してインターネット上で確認することも可能である。
補足解説2.他の保有資産が判明した場合の債務名義の取得手続
他の保有財産の存在が判明し、債務名義を取得するために訴えを提起する場合、訴額が 60万円以下であれば、「少額訴訟」※という、比較的簡便な手続の利用が可能。
※少額訴訟の手続
・当該訴えについて管轄のある簡易裁判所において裁判が行われ、原則として初回期日に審理を終え、判決が出される(ただし、場合により、通常訴訟に移行することもある。)。
・証拠書類や証人は、審理の日にその場で取り調べることができるものに限る。
原告(管理組合)
裁判所
被告(滞納者)
訴状、証拠書類提出(※)
訴状受理
期日の連絡を受ける
第1回期日の指定
訴状、呼出状等の受領
答弁書受領
答弁書受理
答弁書提出
追加の証拠書類、証人の準備
証拠書類、証人の準備
審
理
判決
和解(話合いによる解決)
(※)少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述も必要
別添4
管理情報提供様式に記載のある項目例(※)
※「管理情報提供様式に記載のある項目例」は単棟型を対象とした様式であるため、団地型については、括弧内に記載する項目の修正・追加をすることが適当である。
1 マンション名称等
①物件名称(※ ①を「団地名称等」に修正。)
②総戸数
③物件所在地
④対象住戸の住戸番号
(※ 「総棟数」、「対象棟の戸数」を追加。)
2 管理体制関係
①管理組合名称
②管理組合役員数(理事総数、監事総数)
③管理組合役員の選任方法(立候補、輪番制、その他の別)
④通常総会の開催月と決算月
⑤理事会の年間の開催回数
⑥管理規約原本の発効年月と変更年月
⑦共用部分に付保している損害保険の種類
(火災保険(マンション総合保険)、地震保険など)
⑧使用細則等の規程の有無と名称
(駐車場使用細則、自転車置場使用細則、ペット飼育細則、リフォーム細則など)
3 共用部分関係
(1)基本事項
①建築年次(竣工年月)
②共用部分に関する規約等の定め
・共用部分の範囲(規定している規約条項、別表名)
・共用部分の持分(規定している規約条項、別表名)
③専用使用に関する規約等の定め(規定している規約条項、使用細則条項、別表名)
(2)駐車場
①駐車場区画数
・敷地内台数(内訳:平面自走式台数、機械式台数)
・敷地外台数(内訳:平面自走式台数、立体自走式台数、機械式台数)
②駐車場使用資格(賃借人の使用可否、規定している規約条項、使用細則条項)
- 1 -