Summary
平成 27 年度我が国循環産業海外展開事業化促進業務
ベトナム国ハノイ市近郊リサイクル工業団地計画実現可能性調査
平成 28 年 3 月
株式会社xx環境エンジニアリング
はじめに
弊社は 2011 年並びに 2012 年に行った本調査事業の前身である”静脈産業海外展開支援 FS”を契機に、2014 年には事業協力契約に基づく廃棄物固形燃料(RPF)製造販売事業をハノイ市環境公社(URENCO)の傘下である URENCO11 と開始し、その結果 2016 年 4 月には事業協力契約を発展的に解消し、新たに URENCO11(49%)と弊社(51%)の合弁会社(Dai Dong Environmental Solution Co. LTD、以下 JV)を設立する運びとなった。
当該 JV は RPF 製造販売に留まらず、現在 URENCO11 が活動している Hung Yen 省 Dai Dong 区を拠点として、環境意識や CSR 意識の高い日系や欧米企業を中心にあらゆる廃棄物管理サービスを提供していく方針としている。そのアプローチの一つとして、今年度提案させていただいている“リサイクル工業団地構想”が挙げられる。あらゆるものを適正に処理・リサイクルできる受け皿を設け、多くの廃棄物を集めて経済効率並びに環境負荷の低減を両立させ、それを“見える化”していくことで顧客満足度を高めていくことが目標である。弊社パートナーである URENCO11 による 10ha 借用地の拡大は既定路線であり、JVを中心にこの用地を如何に有効活用していくことができるかが問われている。
そこで今回はリサイクル工業団地としてのインフラサービスを設定したうえで、日本の廃棄物管理事業者の質の高いサービスが社会的・経済的に現地でどの程度受け入れられるかと言う点に注力し、弊社をはじめ同業者 7 社で設立した任意団体である“iTask”のxx
メンバーによる、本用地をベースとした“次につながる調査”を行った。結果的には個別 6
事業のうち 5 事業についてはさらに調査を進める意義があることが見出された。
ベトナムの廃棄物分野は昨今、各種法律や規則の新設・改訂が目白押しであり、弊社で もxxのリスクも多いと思われる一方で大きなビジネスチャンスであると捉えている。こ うした時期に高い顧客満足度を得られる整備を行い、将来的に大きく飛躍するであろうベ トナムの廃棄物マネージメント市場における弊社の位置づけを盤石にしたいと考えている。
Summary
IKE has started production and sales business of RPF (recycled paper and plastic fuel) together with URENCO 11 which is one of the subsidiaries of Hanoi URENCO, based on Business Cooperation Contract (BCC) which is one of the investment options in Vietnam. This success was started from the feasibility study fund of Ministry of Environment in FY2012 and FY2013. After 2 years, XXX and URENCO 11 had successfully operated this BCC and came up to develop a joint venture called “Dai Dong Environmental solution Co. LTD” which is owned by the 2 companies with 51% share of IKE hopefully in April, 2016.
The activities of this JV is not only limited to production and sales of RPF, but also to provide high-quality waste management services especially aiming to companies which has high intentions to environmental protection and compliance to the laws and regulations. One of the approaches of the new JV to operate business in Vietnam is to set up the proposed plan, the development of “Recycling Industrial Park (RIP)”, which is the gathering area of various technologies and business to handle various wastes. The aim is not only to be the gathering point of various waste and operate business by volume, but also to maximize environmental protection by minimum cost. RIP will also provide services for the customers to track and confirm how their wastes/valuables are recycled or treated, to satisfy their responsibility as waste generators. The 10 ha land lease from the government in Dai Dong, Hung yen province to URENCO11 will be implemented soon, and the JV shall utilize this land effectively.
This Study aimed to find the candidate business which may be feasible to operate at RIP, by obtaining support by iTask member companies who are actually operating good services in Japan. “iTask” is the voluntary association consisting 7 waste management/recycling companies in Japan, which of those who are interested in business operation in oversea countries The study evaluation was done by, whether Japanese quality business/service can be adopted to Vietnamese market in both social and economic aspects. As a result of this survey, we found 5 out of 6 individual projects has business possibility, and shall go on for next step which is the detail study.
Recent business circumstances of environmental business field in Vietnam are rapidly changing by legal amendments and developments. XXX takes this situation as both unknown risks and business opportunities. Through the idea of RIP, XXX is thinking to provide better services and infrastructures for customers to obtain their high satisfaction during this rapidly changing period, for securing our stable position in the waste management business field in Vietnam, where we expect its rapid growth in near future.
目 次
3.2 事業対象地域における処理対象廃棄物の発生・処理の状況 10
3.3 廃棄物処理・リサイクルの制度・政策の動向や法規制の執行体制、その他一般的な事業の実施に係る許認可制度 11
4.2 事業に必要なコスト(イニシャルコスト、ランニングコスト等) 14
4.5 IT 資産処分サービス事業(IT 機器のリユース・リサイクル事業) 36
5. リサイクル工業団地その他業務①:保税工場化による有価物買取事業 76
<添付資料>
⚫ セミナー、報告会資料
本事業の目的は、各種品目を適正に処理・リサイクルすることができる機能とインフラを有するリサイクル工業団地の開発・運営の可能性並びに個別のリサイクル/処理事業の実施可能性を検討したものである。特に㈱xx環境エンジニアリング(以下 IKE)がメンバーとして加入している日本国内の各種廃棄物管理企業の任意団体である “iTask(アイタスク)”の参加企業が持つ個別廃棄物管理技術やノウハウを活用し、日系企業団体としての総合力を示すとともに現地に進出している日系企業をはじめとする排出事業者のサポートにつなげることも目的とした。
また、2016 年には自動車・バイク・タイヤ・潤滑油・家電/OA 等多岐にわたる製品メーカーを並びに輸入業者を対象に、廃製品の回収・処理/リサイクル責任を持たせる新たな通達(Decision16(仮)廃製品回収・処分に関する通達)が施行される予定であり、日系企業をはじめとする各メーカー・販売店からの適切な回収・処分・リサイクル等の受け皿が求められ、協業・協力ニーズも高まることが予想される。
IKE は、IKE がハノイ市近郊で RPF 事業を共同で行っている URENCO11(ハノイ市環境公社傘下企業)と共同で、RPF 事業実施サイト隣接地に確保中の 10ha の土地を活用して、共同利用できる埋立処分場や廃水処理/焼却施設などを整備したリサイクル工業団地を開発(現状 8 億円~を想定)し、各種リサイクル事業/廃棄物適正処理事業を誘致し、特に環境意識の高い排出事業者をターゲットとした廃棄物・有価物取引のワンストップサービスを提供することの実現可能性を検討した。
◎ ビジネスモデルの根幹=リサイクル工業団地化することによる集荷力向上
◎ 集荷力向上の為の手法
⯎ 適切な処理・処分・リサイクル手段確保、情報開示システムによる安心・安全
⯎ 量の確保・効率化によるコストダウン
⯎ 多品種対応
⮚ 既存セクターで対応できていない分野、新市場創出
⮚ 物流拠点(とにかく集まる)→ネットワーク化(既存セクターとの共存)
また一部区域で保税許可を取ることにより中間貿易(原料輸入/組立/製品輸出)形態をとって保税工場を運営する日系をはじめとする外資系企業に対して、廃棄物や有価物の処理・売却手続きを適正かつ簡便に提供することも検討した。
更に一部の区域を対象に、プラスチック等を加工する地元の零細リサイクル事業者を安価で誘致することで、既存事業者との相互協力関係の構築や技術移転・技術開発を行うことを検討した。
なお、誘致する企業には海外展開意識の高い日系廃棄物管理・リサイクル企業 7 社による任意団体である“iTask”傘下企業を見据え、実現可能性調査においてはこれら企業の有する個別事業の実現可能性調査並びに事業計画策定を行った。IKE はこの中で RPF 販売市場拡大に伴い、現在事業展開中の RPF 製造・販売事業の増強(既存の 3t/日
+新設 10t/日)に関する調査を行った。
図表 1.1:事業全体概要図
【出典:調査団作成】
(1)リサイクル工業団地建設場所
リサイクル工業団地の建設予定地は、弊社現地パートナーである URENCO11 が位置するベトナム国Hung Yen 省Dai Dong 地区内の事業所(10.2ha)の隣接地である。
図表 2.1:サイト位置図
【出典:Google Map をもとに調査団が作成】
(2)収集エリア
ベトナム社会主義共和国・ハノイ市近郊を含む北部地域。対象地域面積並びに人口は下表の通り。対象地域は面積ベースで全国の 1/13 にも満たないが、人口ベースでは約 1/4 となる。
面積 | 人口 | |||
㎞2 | 2014年 | |||
全国 | 330,966.90 | 90,728,900 | ||
紅河xx地帯(Red River Delta) | 21,060.00 | 20,705,200 | ||
Ha Noi | ハノイ直轄都市 | 3,324.50 | 7,095,900 | |
Vinh Xxxx | ビンフック省 | 1,237.50 | 1,041,900 | |
Bac Ninh | バクニン省 | 822.70 | 1,131,200 | |
Qunag Ninh | クアンニン省 | 6,102.30 | 1,199,400 | |
Hai Duong | ハイズン省 | 1,656.00 | 1,763,200 | |
Hai Phong | ハイフォン直轄都市 | 1,527.40 | 1,946,000 | |
Hung Yen | フンエン省 | 926.00 | 1,158,100 | |
Thai Binh | タイビン省 | 1,570.80 | 1,788,700 | |
Ha Nam | ハナム省 | 862.00 | 799,400 | |
Nam Dinh | ナムディン省 | 1,653.20 | 1,845,600 | |
Ninh Binh | ニンビン省 | 1,377.60 | 935,800 | |
Bac Giang | バクザン省 | 3,849.50 | 1,624,500 | |
対象12省合計 | 24,909.5 | 22,329,700.0 |
図表 2.2:対象地域面積並びに人口
【出典:ベトナム統計局資料を基に調査団が作成】この地域に位置する下記工業団地・日系企業は以下の通り。
⚫ 工業団地数:ハノイ市(14、うち外資系 6)、Hung Yen(5 うち外資系 1)、Hai Duong
(12 うち外資系 1)、Bac Ninh(17 うち外資系 3)、Hai Phong(6 うち外資系 5)、 Quanh Ninh(6 うち外資系 1)、Ha Nam(4 うち外資系 1)
⚫ 日系企業総数:417 工場(2015 年 3 月現在)
処理対象廃棄物種類、利用技術・導入規模は、下表のとおりである。なお、導入規模の設定根拠は以下の 3 通りである。
A・・・カウンターパート(URENCO11)の計画を準用 B・・・日本(若しくはベトナム)での実績を準用
C・・・限界費用における最低導入規模
図表 2.3:処理対象廃棄物種類、利用技術・導入規模(案)
対象廃棄物 | 利用技術 | 導入規模 | 根拠 |
廃油 | 再生重油、再生グリース | 500t/月 | C |
廃塗料・インク | Biomass Waste Fuel(BWF) | 未定 | - |
廃 PC | 再利用、資材化 | 6,000~10,000 台/月 | B |
廃家電 | 解体・リサイクル | 15,000 台/月 | C |
廃プラスチック | 固形燃料(RPF)化 | 520t/月 | B |
建設廃棄物 | 再生砕石、非焼成ブロック | 700m3/日 | C |
医療廃棄物・有害 廃棄物 | 焼却・無害化 | 30t/日 | A |
【出典:調査団作成】
このほか団地共有インフラとして焼却炉、埋立処分場、廃水処理設備を併設する。
(1)リサイクル工業団地開発:
本提案のリサイクル工業団地は、URENCO11 が現在事業運営を行っている Dai Dong 地区内 10.2ha の土地に隣接して設置される。
図表 2.4:工業団地概要
【出典:URENCO11 資料をもとに調査団作成】
土地使用権は URENCO11 がベトナム政府(Hung Yen 省)より獲得することが決定している。またリサイクル工業団地の運営は URENCO11 単独若しくはURENCO11 と弊社等とで設立する合弁会社を想定している。
なお、その際個別事業者に提供するサービス単価を下表のとおり設定した。これらの数値はベトナム国内の既存工業団地で提供されているサービスレベルと同水準である。
図表 2.5:提供サービスたたき台
【出典:調査団作成】
(2)個別リサイクル・処理事業
下表の個別事業を調査対象とするが、いずれの事業についても原則として URENCO11 との合弁企業となることを想定。なお、下表内の“DECOS”は、弊社㈱xx環境エンジニアリングとURENCO11 が2016 xxに設立予定の合弁企業を指す。
図表 2.6:個別リサイクル・処理事業主体企業(案)
対象廃棄物 | FS 担当/協力予定企業 |
廃油 | 東亜オイル興業所+URENCO11 |
IT 資産リユース | DECOS+URENCO11 |
廃家電 | DECOS+URENCO11 |
廃プラスチック | DECOS+URENCO11 |
建設廃棄物 | タケエイ+URENCO11 |
有害・医療廃棄物 | クレハ環境+URENCO11 |
収集運搬 | xx環境エンジニアリング、xx商事 |
【出典:調査団作成】
<資金>
自己投資及び各種補助金(JCM 補助等)による資金調達を想定している。
一般的な社会経済情報(人口、GDP、失業率、工業生産量等)の他、関連廃棄物等 が社会的に影響を及ぼしている実態の調査をヒアリングや文献調査を通じて行った。
対象地域である紅河デルタ地帯は首都ハノイの経済力に引き寄せられ、全国平均と比べて人口増加率や賃金等が高い。
図表 3.1:ベトナム全体並びに対象地域社会状況(抜粋)
人口密度 | 都市人口 | 都市人口比率 | 自然人口増減 | 人口増加率 | 月収/人口 | ||||
2014年 | 2014年 | 2014年 | 2014年 | 2014年 | 2014年 | 180 | |||
VND | 円 | ||||||||
全国 | 274 | 30,035,400 | 33.1% | 10.3% | 1.08% | 2,640,000 | 14,667 | ||
紅河xx地帯(Red River Delta) | 983 | 6,735,600 | 32.5% | 11.0% | 1.09% | 3,278,000 | 18,211 | ||
Ha Noi | ハノイ直轄都市 | 2,134 | 3,156,000 | 44.5% | 12.3% | 1.70% | 4,112,000 | 22,844 | |
Vinh Xxxx | ビンフック省 | 842 | 242,900 | 23.3% | 13.6% | 1.22% | 2,377,000 | 13,206 | |
Bac Ninh | バクニン省 | 1,375 | 311,400 | 27.5% | 14.9% | 2.08% | 3,748,000 | 20,822 | |
Qunag Ninh | クアンニン省 | 197 | 734,300 | 61.2% | 13.2% | 1.01% | 3,052,000 | 16,956 | |
Hai Duong | ハイズン省 | 1,065 | 407,400 | 23.1% | 9.0% | 0.65% | 2,755,000 | 15,306 | |
Hai Phong | ハイフォン直轄都市 | 1,274 | 909,100 | 46.7% | 10.1% | 1.08% | 3,922,000 | 21,789 | |
Hung Yen | フンエン省 | 1,251 | 151,800 | 13.1% | 10.4% | 0.56% | 2,191,000 | 12,172 | |
Thai Binh | タイビン省 | 1,139 | 179,000 | 10.0% | 3.7% | 0.03% | 2,468,000 | 13,711 | |
Ha Nam | ハナム省 | 927 | 123,500 | 15.4% | 6.6% | 0.43% | 2,198,000 | 12,211 | |
Nam Dinh | ナムディン省 | 1,116 | 335,900 | 18.2% | 12.7% | 0.31% | 2,815,000 | 15,639 | |
Ninh Binh | ニンビン省 | 679 | 184,200 | 19.7% | 12.9% | 0.93% | 2,215,000 | 12,306 | |
Bac Giang | バクザン省 | 422 | 183,700 | 11.3% | 14.0% | 0.67% | 2,173,000 | 12,072 | |
対象12省合計 | 6,919,300.0 |
2013 | 2014 | ||||||||||
GDP | 売上 | 税引き前利益 | 利益率 | 企業数 | 平均賃金 | GDP | |||||
Billion VND | Billion VND | Billion VND | 1000VND/月 | Billion VND | |||||||
GDP | 2010年額 | 2,543,596.00 | 12,201,747.00 | 488,273.00 | 3.91% | 373,213 | 5,799 | 2,695,796.00 | |||
十億円 | 180 | 14,131.09 | 14,976.64 | ||||||||
内訳 | 1次産業 | 合計 | 436642 | 69026 | 5966 | 8.08% | 3,656 | 4,952 | 451659 | ||
2次産業 | 合計 | 841,953.00 | 896,042.00 | ||||||||
鉱業 | 220,791.00 | 379,289.00 | 73,417.00 | 19.01% | 2,590 | 9,040 | 225,785.00 | ||||
製造業 | 372,597.00 | 4,416,988.00 | 207,990.00 | 4.64% | 58,688 | 5,266 | 400,192.00 | ||||
建設業 | 145,123.00 | 665,487.00 | 7,654.00 | 1.13% | 52,147 | 4,807 | 155,183.00 | ||||
電気ガス等供給 | 88,985.00 | 452,427.00 | 21,020.00 | 4.46% | 1,083 | 10,503 | 99,516.00 | ||||
上下水、廃棄物管理 | 14,457.00 | 33,177.00 | 2,246.00 | 6.60% | 1,125 | 6,977 | 15,366.00 | ||||
3次産業 | 合計 | 975,592.00 | 1,035,726.00 | ||||||||
卸売業、修理業 | 225,783.00 | 4,433,254.00 | 45,614.00 | 1.02% | 148,481 | 5,077 | 244,040.00 | ||||
物流業 | 74,828.00 | 403,752.00 | -4,086.00 | -0.98% | 20,614 | 6,228 | 78,776.00 | ||||
宿泊・飲食業 | 98,919.00 | 80,794.00 | 3,139.00 | 3.73% | 13,616 | 4,299 | 103,444.00 | ||||
通信業 | 25,827.00 | 291,017.00 | 35,334.00 | 11.42% | 7,770 | 10,634 | 28,068.00 | ||||
金融業 | 141,266.00 | 534,931.00 | 58,326.00 | 9.73% | 1,864 | 15,173 | 149,500.00 | ||||
不動産業 | 141,503.00 | 133,430.00 | 22,862.00 | 14.87% | 7,271 | 8,254 | 145,459.00 | ||||
研究開発業 | 34,335.00 | 145,868.00 | 1,309.00 | 0.88% | 32,340 | 6,825 | 36,730.00 | ||||
Administrative and support | 9,782.00 | 74,784.00 | 851.00 | 1.12% | 12,555 | 4,769 | 10,465.00 | ||||
共産党、社会政策、内務・防衛関係 | 68,377.00 | 73,286.00 | |||||||||
教育 | 62,545.00 | 5,226.00 | 811.00 | 5.22% | 3,939 | 7,977 | 67,176.00 | ||||
医療 | 29,040.00 | 11,556.00 | 8.00 | 0.07% | 1,132 | 7,784 | 31,141.00 | ||||
芸術、娯楽 | 18,021.00 | 54,342.00 | 5,927.00 | 10.56% | 1,681 | 7,191 | 19,364.00 | ||||
その他 | 41,730.00 | 6,400.00 | -117.00 | -1.81% | 2,661 | 3,499 | 44,422.00 | ||||
自家消費製造・サービス | 3,638.00 | 3,855.00 | |||||||||
税金・補助金 | 合計 | 289,409.00 | 312,369.00 | ||||||||
GDP伸び率 | 2010年額 | 5.42% | 5.98% | ||||||||
標 | |||||||||||
2013 | 2014 | ||||||||||
GDP | 売上 | 税引き前利益 | 利益率 | 企業数 | 平均賃金 | GDP | |||||
Billion VND | Billion VND | Billion VND | 1000VND/月 | Billion VND | |||||||
紅河xx地帯(Red River Delta) | 4251459 | 196685 | 4.53% | 120,677 | 5,608 | ||||||
Ha Noi | ハノイ直轄都市 | 104.50% | 2368811 | 102201 | 4.20% | 86,014 | 6,054 | 104.20% | |||
Vinh Xxxx | ビンフック省 | 114% | 140799 | 13635 | 9.57% | 2,682 | 5,715 | 97.10% | |||
Bac Ninh | バクニン省 | 149.20% | 694172 | 66680 | 9.57% | 3,915 | 6,654 | 87.50% | |||
Qunag Nin | クアンニン省 | 102.30% | 259209 | 1003 | 0.38% | 3,827 | 6,514 | 104.70% | |||
Hai Duong | ハイズン省 | 108.10% | 160781 | 6851 | 4.17% | 3,959 | 4,940 | 114.60% | |||
Hai Phong | ハイフォン直轄都市 | 106.50% | 261415 | 4501 | 1.66% | 8,461 | 4,925 | 112.90% | |||
Hung Yen | フンエン省 | 107.20% | 104305 | 2100 | 1.98% | 2,503 | 5,062 | 107.50% | |||
Thai Binh | タイビン省 | 114.10% | 57600 | -625 | -1.07% | 2,385 | 3,535 | 101.80% | |||
Ha Nam | ハナム省 | 110.90% | 50926 | 121 | 0.24% | 1,896 | 4,009 | 111.90% | |||
Nam Dinh | ナムディン省 | 116.10% | 61920 | 452 | 0.71% | 2,989 | 3,382 | 110.60% | |||
Ninh Binh | ニンビン省 | 111.40% | 91521 | -234 | -0.25% | 2,046 | 4,128 | 117.40% | |||
Bac Giang | バクザン省 | 118.70% | 59434 | 1798 | 2.99% | 2,406 | 4,053 | 114.70% |
【出典:ベトナム統計局データを用いて調査団で作成】図表 3.2:ベトナム全体並びに対象地域経済状況(抜粋)
【出典:ベトナム統計局データを用いて調査団で作成】
ベトナム国内で生産されている工業製品のうち、本プロジェクトにかかわりが深いと考えられる工業製品に関する 2010 年~2014 年の生産量推移を抜粋した。概ねいずれの製品も安定的に生産が行われており、関連廃棄物の排出も同様に行われることが予想される。
図表 3.3:ベトナム全体工業製品生産量(抜粋)
工業製品生産量(抜粋) | ||||||
単位 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
生産 | 生産 | |||||
紙 | 1000トン | 1536.8 | 1568.8 | 1492.3 | 1445 | 1460.8 |
車のタイヤ | 1000個 | 5949 | 5379 | 5239 | 5652 | 6025 |
2輪タイヤ | 1000個 | 48526 | 47031 | 41407 | 43987 | 47242 |
車のチューブ | 1000個 | 7872 | 0000 | 0000 | 0000 | 0000 |
2輪チューブ | 1000個 | 92782 | 84993 | 91276 | 97590 | 106236 |
プラスチック包装資材 | 1000トン | 662.9 | 714.4 | 741.7 | 778 | 829.3 |
生活用陶磁器 | 百万個 | 351.3 | 372.3 | 342 | 308.8 | 302.7 |
衛生陶器 | 千個 | 7295 | 8520 | 8140 | 8886 | 9366 |
レンガ | 百万個 | 20196 | 19865 | 17491 | 17193 | 17812 |
タイル | 百万個 | 587.4 | 543 | 476.1 | 472.4 | 484 |
セメント | 1000トン | 55801 | 58271 | 56353 | 57516 | 60507 |
耐セメントシート | 百万m2 | 88.3 | 73.1 | 75.8 | 69.5 | 62.8 |
鉄筋 | 1000トン | 2906.4 | 2930.8 | 2964.8 | 3484.3 | 3557.5 |
鉄 | 1000トン | 8415.5 | 8084.9 | 8405.4 | 9251.9 | 10216.3 |
携帯電話 | 百万個 | 37.5 | 79.6 | 109.4 | 132 | 181.6 |
印刷機 | 1000個 | 14561.9 | 15467.9 | 15721.7 | 17297.7 | 16058.5 |
固定電話 | 1000個 | 9405.7 | 11047.8 | 9680.5 | 5531.2 | 4268.8 |
テレビ | 1000個 | 2800.3 | 3099.2 | 2600.4 | 3112.3 | 3666.1 |
電池(1.5V) | 1000個 | 397 | 415.1 | 443.9 | 423.9 | 427.5 |
ランプ | 1000個 | 350.4 | 360.4 | 253.7 | 200.6 | 154.8 |
冷蔵庫 | 1000個 | 1540.9 | 1507.1 | 1632.2 | 1734.9 | 1766.1 |
洗濯機 | 1000個 | 467.4 | 656.1 | 851.3 | 930.9 | 979.8 |
ファン | 1000個 | 7174.1 | 7045.8 | 5905 | 5336.4 | 4977.8 |
エアコン | 1000個 | 343.7 | 355.3 | 393.4 | 414.1 | 431.5 |
ミシン | 1000個 | 9 | 9.9 | 12.6 | 14 | 14.9 |
完成車両 | 1000個 | 112.3 | 108.2 | 86.9 | 101.1 | 126.3 |
完成バイク | 1000個 | 3506.6 | 4070.2 | 3634.5 | 3662.3 | 3333.1 |
【出典:ベトナム統計局データを用いて調査団で作成】
対象地域における住宅の着工面積は全国の 25%前後を安定的に推移し、建設関連工事に伴う廃棄物の発生も同様に排出され続けると予想される。
図表 3.4:住宅着工面積
住宅着工面積 | (単位:1000 m2) | |||||
2009 | 0000 | 0000 | 0000 | 0000 | ||
全国 | 68210 | 85885 | 84366 | 81313 | 86621 | |
Red river delta | 17391 | 23993 | 22619 | 18841 | 22345 | |
全国における比率 | 25% | 28% | 27% | 23% | 26% |
【出典:ベトナム統計局データを用いて調査団で作成】
3.2 事業対象地域における処理対象廃棄物の発生・処理の状況
(1)廃棄物/有価物排出源数
工業団地及び日系企業に関する情報更新、予想される有価物/廃棄物内容の考察と将来展望を JETRO ホームページや各省工業団地委員会等の文献調査を通じて行った。
⚫ 工業団地数:64
【内訳】ハノイ市(14、うち外資系 6)、Hung Yen(5、うち外資系 1)、Hai Duong
(12、うち外資系 1)、Bac Ninh(17、うち外資系 3)、Hai Phong(6、うち外資系 5)、 Quanh Ninh(6、うち外資系 1)、Ha Nam(4、うち外資系 1)
⚫ 日系企業総数:417 工場(2016 年 2 月現在)
(2)対象廃棄物排出量
ヒアリング並びに文献・記事に記載されている各対象廃棄物のベトナムでの排出量を調査した。なお、下xxの“北部”地域にはxxデルタ 11 市省にバクザン省を
加えた 12 市省とする。
量的には各対象物共に市場として充分であるが、これらをいかにして収集するかが価格(処理費・再生品売却額等)と並び事業成立に向けた大きな要因である。
図表 3.5:対象廃棄物の排出量情報
対象廃棄物 | 排出量(全国) | 排出量(北部) | 出典 |
廃油 | 30 万 t/年 | 5 万 t/年 | ⚫ ヒアリング |
廃塗料・インク | 不明 | 不明 | - |
PC | デスクトップ型:120 万台/年タップトップ型:70 万台/年携帯端末:111 万台/年 携帯電話:301 万台/年 | 内 25%前後 | ⚫ *1 参照 |
廃家電 (2020 年予測) | テレビ:500 万台/年 PC:150 万台/年 冷蔵庫:225 万台/年 エアコン 90 万台/年洗濯機:250 万台/年 | 内 25%前後 | ⚫ JICA 調査報告書等 |
廃プラスチック | 生活廃棄物の 3.5%~9%の範囲ハノイ市:250t/日程度 Hung Yen 省 9 区(URENCO11 収集区):10t/日程度 | ⚫ 自社調査 | |
建設廃棄物 | 生活廃棄物の 20%~40% ハノイ市:2,300t/日~3,200t/日 Hung Yen 省 9 区(URENCO11 収集区):40t~80t/日 | ⚫ ハノイ市廃棄物マスタープラン ⚫ URENCO11 営業デ ータ | |
医療廃棄物 | 1~2 ㎏/ベッド | 120,000 ベッド 最低 120t/日程度 | ⚫ 各市省ホームペ ージ等 |
有害廃棄物 | 50 万トン/年 | 内 25%程度 | ⚫ UNDP 推計 |
*1:“Vietnam Digital landscape update 2013 Sep_2013_Mindshare”、“We Are Social’s Guide to Social, Digital and Mobile in Vietnam (2nd Edition, Oct 2012)”並びに“総務省 平成 27 年度版情報通信白書”
3.3 廃棄物処理・リサイクルの制度・政策の動向や法規制の執行体制、その他一般的な事業の実施に係る許認可制度
2015 年 9 月 30 日に開催された第 4 回国際環境会議では法制度の整備や政策策定の必要性及びそれらの現場への浸透が課題として挙げられている。今後も廃棄物管理を中心に環境課題への適切な取り組みが計画的に進められていくことが推測できる。
(1)全般
環境保護法「Law on Environmental Protection」(1993 年制定、2005 年改定、2013年改定)や廃棄物業者の運営に係る MONRE 通達「Circular12/2011」(2011 年策定)等、2010 年以降、発生量の減少と適切な処理を目的とした法令の策定がxx行われている。
(2)拡大製造者責任
製造者および輸入者がリサイクル・回収などの責任を定める決定 50/2013/QD-Ttgが発布され、2015 年 1 月 1 日より施行される予定であったが、施行細則などの決定が遅れたため、改めて“Decision16/2015/QD-Ttg”が発布された。新たな決定では、 2016 年 7 月 1 日から家電や廃油・タイヤなどの指定製品について、製造者および輸入者を対象として、市場で発生する使用済み製品の回収並びに適正処理について定められている。Decision16 の詳細内容は 2016 年 7 月の施行に向けて検討が引き続き行われている。基本的には規則であるため対象製品製造者・輸入者の回収について義務付ける内容となっているが、回収拠点の数や回収率・リサイクル率と言った具体的な指標は調整中の為未だ設定されていないものの、法律ではあるのでコンプライアンスを重視する企業にとっては何らかの対応策が必要となる。
(3)危険廃棄物全般:
<医療系有害廃棄物>
政府は 2012 年 2 月 8 日に「2025 年までの医療系有害固形廃棄物処理システムの基本計画の承認について」(首相決定「Decision No. 170/QD-TTg」)を策定し、2025年までに環境基準に適合した処理を 100%実施することを目標としている。
さらに、Ministry of Health (厚生省)とMONRE では、医療系有害廃棄物管理に特化した条例を策定中であり、2015 年中には施行される予定とのことである。
<有害廃棄物>
ベトナム国内の有害廃棄物にかかる法規制動向としては、廃棄物管理に関する詳細な定義やルールを定めた政府議定「Decree No. 38」が 2015 年 4 月に公布、同年 6
月に施行されている。この法令は廃棄物管理に関する定義やルールの一般的な事項をまとめたイントロダクションに位置づけられる。本 Decree は広く廃棄物全般を対象としているが、この中でも有害廃棄物管理が最も高い位置付けに設定されており、主に有害廃棄物処理業者が取得するライセンスについてのルールとして、ライセンスの取得義務、取り扱う有機廃棄物のコード分類、ライセンスに則った運営の報告義務、ライセンス記載内容に変更が生じた場合の報告・更新義務等が記載されている。この政府議定「Decree No. 38」は 2016 年以降に、より詳細な内容にまとめられていく予定である。
排出者及び処理業者に対して十分な安全性や衛生管理を要求した通達として MONRE 通達「Circular 36/2015」が施行されており、上述の有害廃棄物のコード分類定義、処理ライセンス取得の義務付け、管理に係る報告義務、有害廃棄物の運搬方法等が記載されている。
<PCB>
決定 184/2006/QD-TTg において”2020 年までに機材における PCB の使用を無くし、2028 年までに完全に除去する”ことが定められている。
(4)リサイクル政策(Decision No.2149/2009/QD-TTg)目標値:
決定 2149/2009/QD-TTg ではベトナムのリサイクル目標として以下が掲げられている。
“80%の廃棄物について 2020 年までに収集運搬及び処理が行われる体制を整える”、 “そのうちの 50%については 2020 年までにリサイクルされる”。
ここでは iTask 参加企業が日本で行っている事業について、日本の技術やビジネスモデルをベースとして、対象地域のコストや収入、商慣習や技術水準等と照らし合わせて、簡易的に評価を行い、次年度以降の詳細検討の可能性について調査を依頼した。
主な調査項目は以下の通りとした;
1. 事業目的
2. 対象市場と提供するサービス概要
3. 採用技術・規模
4. 考えられる環境影響と対策
5. 使用するユーティリティー(水、電気、資材、薬品等)
6. 工場概要(必要な敷地面積、建屋構造の特徴等)
7. 事業実施体制案
8. 初期投資総額、資金調達案
9. 簡易財務評価
10. スケジュール案
11. まとめと提案/依頼事項
個別調査は以下の体制のもと実施した。
図表 4.1:個別調査実施体制
4.2 事業に必要なコスト(イニシャルコスト、ランニングコスト等)
⚫ イニシャルコストは現場の状況と廃棄物性状調査結果を受けて、ひとまず日本に設備を建設するのと同等の条件を設定して算出する。
⚫ 個別事業に共通の資機材・製品・加工については、現地での調達可能性調査を IKEが中心となって行う。
なお、個別事業の検討に利用するランニングコスト、税率等は下表の通りとする。
図表 4.2:共通利用する予定のランニングコスト他
URENCO11における共通コスト | ||||||
項目 | 単位 | VND | 円 | 備考 | ||
180.63 | Vietcom Bank2015年12月4日 | |||||
電気 | 8:00-16:00 | kWh | 1,828.0 | 10.1 | 2015年12月5日時点 | |
16:00-24:00 | kWh | 1,841.0 | 10.2 | 2015年12月5日時点 | ||
24:00-8:00 | kWh | 1,251.0 | 6.9 | 2015年12月5日時点 | ||
基本料金 | なし | |||||
水道 | m3 | 6,000.0 | 33.2 | 仮設定価格(他工業団地参考) | ||
廃水 | m3 | 6,000.0 | 33.2 | 仮設定価格(他工業団地参考) | ||
ガス | LPG | Nm3 | 38,333.3 | 212.2 | 6 | 2015年12月5日時点 |
ディーゼル | L | 13,940.0 | 77.2 | 2015年12月5日時点 | ||
ガソリン | L | 17,925.0 | 99.2 | 2015年11月25日時点 | ||
潤滑油 | L | 57,200.0 | 316.7 | 2015年12月5日時点 | ||
土地賃借料・管理費 | m2・月 | 3,000.0 | 16.6 | 参考価格(他工業団地参考) | ||
運搬サービス | ㎞ | 20,000.0 | 110.7 | 参考価格(URENCO11) | ||
廃棄物処分費(無害) | t | 300,000.0 | 1,660.9 | 参考価格(IKE設定) | ||
廃棄物処分費(有害) | 発生廃棄物性状・量をお知らせください | |||||
人件費 | 人・月 | 7,700,000.0 | 42,628.6 | 参考価格(URENCO11) | ||
その他 | ||||||
法人所得税 | 20% | 全社2016年1月1日~適用予定 | ||||
配当課税 | 10% | |||||
海外借入金金利への課税 | 5% | |||||
Discount rate | 4.50% | VND | 中央銀行2014年3月18日~適用 | |||
Refinancing rate | 6.50% | VND | 中央銀行2014年3月18日~適用 | |||
市中銀行貸出金利 | 1年定期 | 6.00% | VND | Vietcom Bank 2015年12月4日 | ||
5年定期 | 6.20% | VND | Vietcom Bank 2015年12月4日 |
(1)事業概要と市場現況
<事業概要>
本事業は、ベトナム社会主義共和国・ハノイ市近郊を含む北部で発生する有害廃棄物の廃油(廃エンジンオイルや廃潤滑油)及び廃塗料や廃インク等の油性廃棄物処理において適切なリサイクルシステムが無い現状を鑑み、日本で培った油性廃棄物の総合リサイクル技術により、廃エンジンオイルを精製加工し、再生潤滑油の基油やボイラー・焼却炉向けの燃料(再生重油)とするほか、廃塗料・廃インク等は廃木材等を混練して石炭代替燃料である BWF(Biomass Waste Fuel)を製造し石炭ボイラーの代替燃料としてハノイ市近郊に販売するものである。本事業の実施により、当該地域の環境汚染軽減に寄与し、再生品の品質向上・化石燃料の削減・二酸化炭素の削減を通じて同地域に貢献する。
<市場現況>
現地にて、天然資源環境省(MONRE)、URENCO などの有害廃棄物処理業者、廃油リサイクル業者、日系の潤滑油等油脂類販売業者等からのヒアリング実施の結果、以下の情報を得た。
ベトナム国ハノイ市は人口約 700 万人で近年はモータリゼーションの進展が目覚
ましく、2010 年においての保有台数は、オートバイ 400 万台・自動車 35 万台となっており、廃エンジンオイルの発生量も大幅に増加している。ベトナム全体の潤滑油販売数量は年間 35 万 3 千トンあり、そのうちエンジンオイル(自動二輪 30%、自動車 30%)が 60%をしめており、残り 30%は工業用潤滑油である。ベトナム全体での廃油は年間約 30 万トン発生しており、そのうちハノイ(北部)周辺では約 5 万トン
発生していると推測される。廃油の種類としては、エンジンオイル約 3 万トンが主
体であり、工業系廃油(油圧オイル、潤滑油、トランス油、切削油)約 1.5 万トン、
その他(船舶等)約 0.5 万トンである。
主な排出先としては、カーディーラー・ガレージ(修理も行う)・整備工場・製造工場であり、ドラム缶などの容器に保管されている。それら有害廃棄物は、廃棄物の処理許可を受けた事業所が取り扱うことが原則で、ベトナム全体で許可を受けた事業所は 80 社あり、ハノイ周辺では 40 社となっている。そのうちリサイクルも実
施している事業者は 10 社とまだ少ない。
リサイクル可能な廃油は、再生品の原料として付加価値があり、現在有価で取引されている。本来はリサイクルの許可を有した事業所だけに有価取引が認められているが、実際は不法業者や個人事業者へ流通している。ハノイ(北部)周辺の発生量 5 万トンのうち、3.8 万トンが不法な市場へ、残り 1.3 万トンは処理事業所による焼却や再生品の原料として流通していると推測される。
現在、油性廃棄物はリサイクル業者によって、再生グリース・再生重油(直火燃料)などにリサイクルされている。一方で不法業者や個人事業者によってアスファ
ルト乳剤や再生潤滑油(新品と混ぜて再使用)などにも再利用されており、適正なリサイクル技術による再生品と言い難い状況もみられる。
また、各製造工場や印刷工場などでは、廃塗料や廃インクの発生も増加傾向にあるが、これらはリサイクルが困難でそのほとんどが焼却処理されている。将来的にはこれらを対象としたリサイクル技術の確立と適正な市場への流通が課題となると思われる。
図表 4.3.1:ハノイ市における廃油の商流
【出典:MONRE、URENCO、現地廃油リサイクル業者、日系油脂販売業者へのヒアリング結果に基づき作成調査団が作成】
(2)対象市場と提供するサービス概要
<原料市場規模>
(ハノイ市近郊(北部)地域の発生量)
リサイクル原料となる廃油の主な回収先はカーディーラー・ガレージ(修理も行う)・整備工場・製造工場を想定する。
発生する廃油はベトナム全土で年間約 12 万トンと推測されている。このうちエン
ジンオイルは約 7.2 万トン、工業系廃油(油圧油等)約 3.6 万トン、その他(船舶
等)約 1.2 万トンと推測されている。また北部で発生する廃油は年間約 5 万トンと
推測されている。このうちエンジンオイルは約 3 万トン、工業系廃油(油圧油等)
約 1.5 万トン、その他(船舶等)約 0.5 万トンと推測されている。
ハノイでは急速なモータリゼーションが進みオートバイの登録台数も 2010 年に
は約 400 万台、乗用車等の 4 輪車両が 35 万台となっている。車両保有率は 67%となっている。
図表 4.3.2:ハノイ市における車両保有台数の変化
【出典:JICA ホームページより】
<提供サービス概要>
(検討しているリサイクル技術)
ベトナムにおいて現在行われている廃油のリサイクル方法としては、再生グリース化・再生潤滑油化・再生重油化(直火燃料)などが挙げられる。またアスファルト乳剤や再生潤滑油(新品と混ぜて再使用)等として市場に流通していることも推測されている。これらは大半が事業許可を有しない業者や個人事業者によるものと見られている。今後の法規制によって正常な市場へ移行すると想定した場合の提供サービスを前提と考えている。
業採算性等の観点から考えると、再生重油と再生グリースへのリサイクルがxxと考えられる。但しハノイ近郊において再生重油のニーズ調査が不十分であり、今後軽油等の燃料の代替燃料と成り得るか継続調査が必要と考える。一方で再生グリースの基油を廃油から製造することは日本国内技術で対応することは充分可能であると考える。
図表 4.3.3:採用検討技術概要
<販売市場>
製品の供給先は Hung Yen 省内並びにハノイ市を含めた北部地域とする。
<価格設定条件>
事業としては次の 2 点において従来型との価格競争にさらされることとなる。
(廃棄物としての従来型(焼却)に対する新規提案(リサイクル))
図表 4.3.4:現況価格
廃棄物処理 リサイクル原料として買取り
廃油 2,000~3,000 VND/kg
(11~17 円/kg)
1,000~2,000 VND/kg
(6~11 円/kg)
(製品としての従来型(バージン価格)に対する新規提案(リサイクル製品価格))
図表 4.3.5:新規提案価格
商品名 新品製品 再生品
グリース 40,000~200,000 VND/kg
(222~1,111 円/kg)
重油 7,900 VND/kg
(44 円/kg)
15,000~25,000 VND/kg
(83~139 円/kg)
4,000~6,000 VND/kg
(22~33 円/kg)
以上から、本簡易 FS 上の収入源及び費用は次の通りとする。
・ | 受入時における原料買取り費用: | 2,000VND/kg(11 円/g) |
・ | リサイクル製品(再生グリース)販売: | 25,000VND/kg(139 円/kg) |
・ | リサイクル製品(再生重油)販売: | 6,000VND/kg(33 円/kg) |
※想定価格 |
(3)採用技術・規模
設備規模並びに採用技術のフローを以下の通りと設定する。
<再生重油>
図表 4.3.6:再生重油採用技術フロー
(4)考えられる環境影響と対策
本事業範囲からは、有害廃棄物である廃油からリサイクル可能部分とリサイクル不可部分が発生する。従って、リサイクル不可能部分の適正処理方法と処理先を担保する必要がある。
本調査においてはこれらリサイクル不可能部分(原料廃油の約 10%、本調査においては約 50t/月を想定)をリサイクル工業団地内に設置される予定の有害廃棄物処理設備や埋立処分場において、適切なマネージメントのもと処理されることによって環境影響は防止できるものとする。
(5)使用するユーティリティー(水、電気、資材、薬品等)、人員
<ユーティリティー>
図表 4.3.7:ユーティリティー
用途 | 使用量 | 備考 | |
電気 | 保管タンク、遠心分離装置 事務所他 | 48kW 10kW(仮定) | 8 時間稼動で計算 |
水道 | 3m3/日 | ||
燃料 | ボイラー燃料 | 3L/h(25L/日) |
*収集運搬は範囲外、製品搬出費用は販売管理費に計上。
廃油リサイクルには加温が必要であることから一般的には重油ボイラー等を熱源とするが、リサイクル工業団地内では焼却設備等の排熱の利用を行うことで CO2 並びにコストの削減の可能性がある。
<人員配置>
図表 4.3.8:人員配置
人数 | 勤務時間 | 備考 | |
機械オペレーター | 3 名 | 8 時間 | 24 時間の場合は 9 名 |
技術管理者 | 1名 | 8 時間 | |
事務 | 2 名 |
<工場概要>
工場には事務所棟のほか、タンクや遠心分離機などのプラント設備、原料保管庫が配置される。また車両搬入場所を考慮し、全体では約3,300 ㎡の敷地面積を想定する。
図表 4.3.9:工場平面図案
(6)簡易財務評価
<概要>
廃油リサイクル事業では、再生品として再生重油、再生潤滑油、廃塗料や廃インク等を原料とした BWF(Biomass Waste Fuel)がある。
ベトナム国ハノイ近郊では再生重油(FIO)、再生潤滑油、再生グリース市場があると推測されるが、中でも原料の確保性と取扱い性を考慮し、再生重油と再生グリースにターゲットを絞って事業検討を実施した。
<評価条件>
評価条件として、今回調査を行ったヒアリング情報や一般公開情報を参考として図表 4.3.10 及び図表 4.3.11 に示す項目に沿って想定評価することとした。
図表 4.3.10:事業前提条件
項目 | 基準条件 | 備考 |
施設規模 | 6,000トン/年 | ハノイ近郊市場の不法市場の16% |
受入単価 | 2,000,000VND/トン(11,000円/ト ン) | 1,000~2,000VND/kgの市場があ る |
収率 | 90% | 10%程度残渣があると想定 |
再生品の量 | 5,400トン/年 ①再生重油 4,320トン/年 ②再生グリース 1,080トン/年 | 再生グリースの市場需要により再生品の比率は変動する |
再生品の販売単価 | ①再生重油 6,000,000VND/トン (30,000円/トン) | 新油7,900VND/kgを鑑み想定 |
②再生グリース 25,000,000VND/ トン(139,000円/トン) | 15,000~20,000VND/kg |
図表 4.3.11:事業財務評価条件
項目 | 量(トン/年) | 単価(千円) | 金額(千円) | 備考 | |
設備投資額 | 設備費 | 100,000 | |||
収入 | 再生重油販売 | 4,320 | 33 | 142,560 | 販売比率80% |
再生グリース販売 | 1,080 | 139 | 150,120 | 販売比率20% | |
支出 | 受入資源購入費 | 6,000 | 14.6 | 87,600 | 回収費込 |
ユーティリティー | 37,008 | 電気、ガス、水等 | |||
残渣処理費 | 600 | 25 | 15,000 | ||
維持管理費 | 3,000 | 設備費の3% | |||
管理費 | 3,000 | 上記金額の10% | |||
法人所得税 | 経常利益の22% |
<簡易財務評価のまとめ>
設備投資額を 1 億円と仮定した。この場合、事業の収益を確報するための最低製造
販売量は 6,000 トン/年以上となった。
この数値はハノイ近郊の廃油発生量 5 万トン/年の約 12%のシェアにあたる。既に合法なリサイクル業者が取り扱っている 1.25 万トンを除くと、不法市場に流通している 3.75 万トンから 16%のシェア獲得が必要である。そのためには既存市場の発生場所や発生量の詳細把握のほか、販売先の確保の為の調査が更に必要である。
(7)課題と今後について
本年度の調査では、既存の廃油発生量(廃エンジンオイル、廃塗料、廃インク等)やリサイクル方法(再生グリース)についてヒアリングでの情報収集を通じて、日本の技術を用いたべトナムでの廃油リサイクル事業の実現可能性があることがわかった。
<日本技術で製造した再生品の現地での適性確認>
廃塗料・廃インクとバイオマスを使ったBiomass Waste Fuel (BWF)製造技術を活用したリサイクル事業に関しては今年度、充分な調査が出来なかったため、今後次のような調査を行うこととする。
⚫ 廃塗料・廃インク発生場所・量
⚫ 既存処理・リサイクル手段並びに価格
⚫ バイオマス廃棄物の種類・発生場所・量
なお、日本におけるBWFの事業モデルについて図表4.3.12に記す。
図表 4.3.12:BWF の事業モデル
また今後は再生品の潜在的ユーザーに対して日本の技術を用いた再生品(再生重油、BWF)が受け入れ可能であるかを確認する為に、既存の再生品市場についても調査を進めることが 不可欠である。
(8)まとめ
上述の通り、2016 年度以降は、①対象廃棄物の既存発生量、発生場所、回収方法、
回収コスト精査、②対象物再生品の既存リサイクル方法・処理方法、利用先の確認、
③再生品の受入可能性と市場評価、④事業実施のための関係法律や許認可、等の項目を継続調査として実施する。
4.4 廃家電リサイクル事業
(1)事業概要と市場概況
<事業概要>
本事業では、電子機器の製造過程及び使用後に廃棄される製品について、当該機器の生産企業と協力して回収し、サイトとなるHung Yen 省内リサイクル工業団地において日本の家電リサイクル事業者の指導により、主に手解体により分解することにより、素材ごとに付加価値を高めてリサイクル・販売する事業を実施する。
電子機器の適正な回収・処理ルートを構築することにより、現在当地で課題となっている不適正な処理ルート及び不適正な処理フローによる環境汚染や健康被害を回避し、当地における資源の適正な循環に貢献する。
<市場概況>
(ベトナムにおける電子機器排出状況)
ハノイ市の環境公社であるハノイ URENCO が 2007 年にとりまとめた調査報告書
「THE DEVELOPMENT OF E-WASTE INVENTORY IN VIETNAM」によると、電子機
器廃棄物(以下 E-waste)の発生量は今後、増大することが予測されている。上記調査報告書に記されている 2020 年時点での排出量予測は、テレビ約 500 万台/年、PC 約
150 万台/年、冷蔵庫約 225 万台、エアコン約 90 万台、洗濯機約 250 万台となっている。
また、Ministry of Information and communication が 2012 年に発行したICT 白書では、 現在 590 万台のパーソナルコンピューター(以下 PC)がベトナムの市場で販売されているとしている。またベトナムのインターネット利用者は 4,100 万人に上り、そのうち 67%がラップトップを含む PC ユーザー、29%がスマートフォンユーザー、そして 4%程度がタブレットのユーザーであるというデータもある(WeAreSocial’s research in 2015)。
このように、今後は電子機器の普及に伴う新型機器への買い替え等が予想されることから、併せて E-waste の増加も予想される。
図表 4.4.1:ベトナムにおけるE-Waste 発生量予測
【出典:URENCO 「THE DEVELOPMENT OF E-WASTE INVENTORY IN VIETNAM」(2007 年)】
(現在の処理状況)
現在のベトナムにおいては、E-waste は廃棄物というよりも“価値のあるもの”として有価で流通しているケースが殆どである。多くの E-waste が中古市場で取引されるほか、インフォーマルセクターにより回収・分解され、パーツなどが市場で売却されている。
リサイクル技術に関して、現状では E-waste に含まれる鉛・フロンなどの有害廃棄 物が適正に対処されておらず環境への影響・健康被害などのリスクがあることに加え、リサイクル製品の品質が低いといった指摘がある。また解体後の価値のある金属等は 正式な輸出手続きを取らずに周辺国へ輸出されているケースもあり、その結果ベトナ ムには価値のない不要な部分が残り、これら廃棄物が適正に処理されず、環境への影 響が懸念されている。
こうしたインフォーマルセクターはベトナムにおけるリサイクルを支えているという側面もあるものの、一方でインフォーマルであるがゆえに、環境対策などの面で政府や自治体が管理できていないことが問題となっている。
(法制度整備状況)
ベトナムでは事業由来のE-waste は有害廃棄物管理規定等に定められている。また家庭由来の E-waste については、2016 年に施行される予定の決定 16/2015/QD-TT の中の一部として、回収・リサイクル等などについて規定される。
(他社の取り組み状況)
決定 16/2015/QD-TT の内容としては、製造者・輸入者の回収について推奨する内容となっており、義務となっているわけではないものの、日系企業としてはコンプライアンスの観点から何らかの取り組みを報告する方向であることが、各企業へのヒアリングの中で伺えた。
こうした中、現在ドイツに本社を置く RLG Asia Pacific Pte.が、Hewlett-Packard Asia
Pacific Pte. Ltd.及び Apple South Asia Pte. Ltd より委託を受けて、「ベトナムリサイクルプラットフォーム」という組織を構築している。この組織は、製造者・輸入者から処理費を徴収し、回収・リサイクルのサービスを提供する体制を欧州などで構築しており、当該システムのベトナムでの適用を進めている。
方法としては回収ボックスを各地に設け、集まったものを製造者の処理基準を満たす処理業者にて処理を行う、というものである。現在同組織では欧州同様、市民への啓発を通して E-waste を回収ボックスに持ち込んでもらうことを促す試みを行っているが、実際はインフォーマルセクターによる E-waste の流通フローの存在が強いことから、今後の取り組みの方向性を検討している。
(2)対象市場と提供するサービス概要
<対象市場>
決定 16/2015/QD-TT に定められた廃製品品目の製造販売及び輸入を行う企業を対象顧客とする。中でも、法令順守意識が高く、適正な処理を求める企業が対象となる。決定 16/2015/QD-TT では、以下の品目が回収対象となっており、各々の回収開始時 期が定められている。本事業では特に、“I:バッテリー&電池”及び“II:家庭用・産
業用電気機器及び電子機器”に定められたものを対象として処理を行う。
図表 4.4.2:決定 16/2015/QD-TT に定められた廃製品品目と回収・処理開始時期
No. | 廃製品の名称 | 回収・処理開始時期 |
I | バッテリー&電池 | |
1 | すべての形式の充電器 | 2016 年 7 月 1 日 |
2 | すべての形式の電池 | 2016 年 7 月 1 日 |
II | 家庭用・産業用電気機器及び電子機器 | |
1 | コンパクトライト、蛍光灯 | 2016 年 7 月 1 日 |
2 | デスクトップ型・ノート型コンピューター、モニタ、CPU | 2016 年 7 月 1 日 |
3 | プリンター、ファックス、スキャナー | 2016 年 7 月 1 日 |
4 | カメラ、ビデオカメラ | 2016 年 7 月 1 日 |
5 | 携帯電話、タブレット | 2016 年 7 月 1 日 |
6 | DVD, VCD, CD レコーダー、その他 | 2016 年 7 月 1 日 |
7 | コピー機 | 2016 年 7 月 1 日 |
8 | テレビ、冷蔵庫 | 2016 年 7 月 1 日 |
9 | エアコン、洗濯機 | 2016 年 7 月 1 日 |
III | 潤滑油 | 2016 年 7 月 1 日 |
IV | チューブおよびタイヤ | |
1 | すべての形式のタイヤチューブ | 2016 年 7 月 1 日 |
2 | すべての形式のタイヤ | 2016 年 7 月 1 日 |
V | 交通乗用車 | |
1 | すべての形式のモーターバイク | 2018 年 1 月 1 日 |
2 | すべての形式の自動車 | 2018 年 1 月 1 日 |
(対象市場規模)
本事業においては、ハノイ市及びリサイクル工業団地建設予定の Hung Yen 省の近隣において発生するE-waste を対象とする。ハノイ市の人口は約 700 万人である。また、ベトナム北部の日系企業が所属するベトナム日本商工会の会員数は 633 社(2016 年 2
月)となっておりその約半数の 300 社が製造業である。そのうち、輸出加工型企業(EPE)
以外の最終製品をベトナム国内に販売している企業は、約 100 社であるとみられる
(JETRO アンケートより)。
<提供サービス概要>
電子機器の製造過程及び使用後に廃棄されるものを各企業と協力し回収し、サイトとなる Hung Yen 省内リサイクル工業団地において、ハノイ市を中心とした周辺から回収されたものを、日本の家電リサイクル事業者の指導により、主に手解体により分解することにより、素材ごとに付加価値を高め、日本などへの輸出を含め、販売する。
特に、基盤類については、日本の家電リサイクル事業者に選別方法などに知見の蓄積があることから、比較的高い値段で買い取りができるものと考えられる。また、適正な回収・処理ルートを顧客に提供し、随時追跡できるシステムも提供する。
なお、事業評価上では廃家電の種類を問わず、全体の平均として以下の数値を使用した。
⚫ 買値(廃家電の仕入れ値) 1 台あたり 300 円
⚫ 売値 1 台あたり 600 円
【内訳】 基盤 1 台あたり 400 円
その他、金属、プラスチック、等 1 台あたり 200 円
(3)採用技術・規模
<処理フロー>
主な処理フローは図表 4.4.3 の通りを想定している。本事業の範囲としては、①回収、②解体、③選別、④ ①~③の追跡管理を行う、といった 4 つの活動となる。リサイクル工業団地内においては②、③の活動を行う。
廃棄物の処理はサイトが位置するリサイクル工業団地内核施設若しくは
URENCO11 に処理を委託する。
図表 4.4.3:E-Waste 処理フロー
<規模>
本検討ではテレビ、PC、冷蔵庫、エアコン等の品目について、合計 15,000 台/月の処理規模を持つ事業規模である設定した。これはベトナム全体の上記品目排出量の約 2%にあたる。
ベトナムでは使用済み家電の 80%程度がインフォーマルセクターに流れているとされるが、現状ではこの流れを変える仕組みが無いことから、本調査では残りの 20%程度の市場の 10%シェアを狙うことを想定した。
(4)考えられる環境影響と対策
本事業においては、例えばコピー機やプリンターに含まれるトナーインクなど、有害廃棄物にあたる廃棄物も搬入されることが想定される。また一部破砕機による破砕を行うことを想定していることから、振動・騒音等が想定される。
振動・騒音対策などは、建設時に適切な対策をとり、外部に影響を与えないように する。また有害廃棄物については、当リサイクル工業団地内の焼却施設や保管施設等 で適切に処理し、その状況を管理することによって環境影響が発生しないよう努める。
(5)使用するユーティリティー(水、電気、資材、薬品等)、人員
<ユーティリティー>
図表 4.4.4:必要なユーティリティー
ユーティリティー | 用途 | 使用量 |
電気 | 破砕機 | 37Kw×1 台 |
電気ドリル | 0.5Kw×15 台 | |
燃料 | 重機運転用 | 100ℓ/月 |
<人員配置>
1 日 8 時間、1 か月 30 日運転とする。2 シフトを組み、交代で勤務することを想定する。
図表 4.4.5:人員配置計画
勤務場所 | 役職 | 人数 |
事務所 | 管理・事務処理 | 2 名 |
現場作業員 | リーダー | 2 名 |
作業員(手解体・破砕機) | 14 名 | |
フォークリフト運転 | 2 名 | |
合計 | 20 名 |
(6)事業実施体制案
株式会社市川環境エンジニアリングと、URENCO11 の合弁会社に対し、日系の家電リサイクル事業者が分別などの技術指導を行うことを想定するが、その他事業参入に関心のある企業からの投資も検討する。
図表 4.4.6:事業実施体制案
(7)工場概要(必要な敷地面積、建屋構造の特徴等)
工場全体としては約 5,000 ㎡を想定する。
⚫ 事務所棟:50 ㎡
⚫ 受入ヤード:1,000 ㎡
⚫ 手解体ライン及び破砕機:1,000 ㎡
⚫ 解体物ヤード:1,500 ㎡
⚫ その他:動線などとして 1,500 ㎡
図表 4.4.7:配置図案
(8)初期投資総額、資金調達案
初期投資額は約 1 億円を想定しており、事業主体となる合弁企業による自社調達を想定する。
図表 4.4.8:初期投資内訳
内容 | 詳細 | 金額 |
建屋 | 約 2,000 万円 | |
機械 | 破砕機・電気ドリル等 | 約 3,200 万円 |
重機 | フォークリフト等 | 約 500 万円 |
その他資材等 | 受入什器等 | 約 1,000 万円 |
技術指導・システム等 | コンサルティングフィー | 約 3,000 万円 |
事務所 | 約 300 万円 |
(9)簡易財務評価
以下の稼働条件で年間の利益を算出した。
図表 4.4.9:廃家電リサイクル事業簡易財務評価
年間(単位:千円) | |
売上 | 59,400 |
原料 | 29,700 |
減価償却 | 10,000 |
人件費 | 12,000 |
その他 | 2,970 |
利益 | 4,730 |
売上 59,400 千円は 15,000 台/月の廃家電を処理した際の売上で、内訳は次の通り;
⚫ 基盤:550g/台
⚫ 基盤販売価格:400 円/kg
⚫ 他の有価物:全体荷重平均で 110 円/台を想定
また Financial IRR(10 年)は 8%程度となった。ベトナムの市中金利 6.2%程度であることを考慮すると、事業の実現可能性はあるものの、さらに精査が必要であると考える。
(10)スケジュール案
今後の事業検討スケジュールは下表のとおりとする。
図表 4.4.10:今後のスケジュール案
時期 | 内容 | 備考 |
2016 年 3 月~10 月 | 詳細調査: ・顧客との協議、 ・回収量の想定、 ・販売先の検討、 ・機材/設備ラインの検討、 ・回収体制の検討、 ・技術提携日本企業との協議、 | |
2016 年 10 月~2017 年 2 月 | ライセンス取得準備、 土地・建屋の準備、機材準備 | |
2017 年上半期 | 事業開始 |
(11)まとめと提案/依頼事項
<決定 16/2015/QD-TT への対応の必要性>
多くの企業は決定 16/2015/QD-TT の施行細則の政令に従い、使用済み製品の回収事業を進めると考えられる。そのため、明確かつ論理的な政令が早急に発行されることが必要である。
<インフォーマルセクターへの対策の必要性>
インフォーマルセクターが現在の様に高い金額で使用済み製品を買取り、不法な方法も含めて解体・輸出し続ける限りは、ベトナムの消費者が適正な処理に対する意識を高める困難であると考えられる。インフォーマルセクターのうち、不適正な処理を行っている業者に対しては、取締をするなど行政の対応が求められる。
<巻末添付資料:廃製品回収・処分に関する通達(案)>
4.5 IT 資産処分サービス事業(IT 機器のリユース・リサイクル事業)
(1)事業概要と市場現況
<事業概要>
ベトナムは大きな経済成長を続けており、IT インフラのさらなる充実、ICT 端末のさらなる普及するなど、ますますの発展が予測されている。ただし、その反面、かつて日本が直面したように、不要になった IT 機器や ICT 端末、その他 OA 機器や家電の処分についての課題が顕在化することが予測される。そこでベトナムにおいても、従来日本で展開してきた、下図で示すような IT 資産処分サービス事業(IT 機器のリユース・リサイクル事業)を計画することとした。
図表 4.5.1:IT 資産処分サービス事業(IT 機器のリユース・リサイクル事業)イメージ図
(ベトナム国内で本事業がもたらす社会の変化)
本事業がベトナムで実施されることにより、以下の社会的変化は期待される。
① IT 機器をはじめ今後増えるであろう電子機器の廃棄問題の解決。
② IT 機器などに含まれる機密情報の漏洩などの情報セキュリティの問題の解決。
③ 品質の高い IT 機器のリユースを推進することで IT 機器の普及率の向上を促進。
④ 責任あるプロセスのリサイクルの推進により電子廃棄物による環境汚染の発生リスクを低減。
⑤ 障がい者がリサイクル事業に参画し活躍できる場を広げる。
(2)対象市場と提供するサービス
<市場概況>
“Vietnam Digital landscape update 2013 Sep_2013_Mindshare”、“We Are Social’s Guide to Social, Digital and Mobile in Vietnam (2nd Edition, Oct 2012)”並びに“総務省 平成 27 年度版 情報通信白書”をもとに、各文献に記されているベトナム国内で使用されている ICT 端末の普及数量の中間値付近をとり、以下のように推計した。
図表 4.5.2:ベトナム国内の ICT 端末の数量の推測値
① デスクトップパソコ ン | ② ラップトップパソコ ン | ③ インターネット利用 可能なモバイル端末 | ④ 携帯電話端末 (③除く) |
48,255 千台 | 28,000 千台 | 33,361 千台 | 90,372 千台 |
(*1)Vietnam Digital landscape update 2013 Sep_2013_Mindshare
We Are Social’s Guide to Social, Digital and Mobile in Vietnam (2nd Edition, Oct 2012)
総務省 平成 27 年度版 情報通信白書
(今後想定される、廃棄対象となる ICT 端末の年間排出数量)
図表 4.5.3:ベトナム国内で予測される今後の ICT 端末の年間排出数量
⑤ デスクトップパソコ ン | ⑥ ラップトップパソコ ン | ⑦ インターネット利用 可能なモバイル端末 | ⑧ 携帯電話端末 (⑦除く) |
12,000 千台~/年 | 7,000 千台~/年 | 11,120 千台~/年 | 30,124 千台~/年 |
ただし上表で予測した数値は最小値であり、経済発展とともに大きく伸長していくと考える。よって、ベトナムにおいては、これら ICT 端末はもちろん、通信基地における各インフラ、サーバー、NW 機器、さらには家電などにおいてもリユース・リサイクルのエコシステムを整備するニーズが益々高まると予測される。すなわち、IT 資産処分サービス事業(リユース・リサイクル事業)は、十分な需要があると判断できる。
<提供するサービス>
(IT 資産処分サービスとは?)
① 概要
IT 資産処分サービスは、顧客が IT 機器等の入替え時に従来使用していた IT機器等の資産を処分する際に、単純に産業廃棄物として処理するのではなく、リユース・リサイクルを前提として、それら資産を IT 資産処分事業者がデータ消去作業をした上で買取りをするサービスである。
それら資産を買取った IT 資産処分事業者は、国内外のリユース事業者に卸売りをするか、リサイクル事業者に素材販売するか、法人や個人に製品販売をする。
顧客としては、官公庁、リース会社、レンタル会社、大手生保企業、大手広告代理店等々様々な業種、様々な規模の法人を対象としている。また、顧客との接点を拡大するパートナーとしては、上述のような資産を保有する法人と関係の深い販売事業者や IT 関連事業者やメーカーなどを対象としている。図表
4.5.1 に IT 資産処分サービス事業の概要のイメージ図を示す。
② IT 資産処分サービスを構成するサービスについて
IT 資産処分サービスを構成するサービスは、買取サービス、データ消去サービス、運搬サービス、運搬サービス、卸販売サービス、素材販売サービス、製品販売サービスなどである。各々の概要について下表に概要を示す。
図表 4.5.3 IT 資産処分サービスを構成するサービス一覧
(IT 資産処分サービス事業のオペレーションについて)
日本で顧客に提供をしている IT 資産処分サービス事業のオペレーションの流れを図表 4.5.4 に示す。
特徴としては、顧客からの発注(契約)に対して、1 件ごとにユニークな 11 桁の番号の受注管理番号を発番し、一元管理をしていることにある。また、処分の依頼を受けた顧客資産の一品毎に受注管理番号に 4 桁の番号を加えた 15 桁のバーコード番号を発番し、シール化して貼付けること、すべての作業記録を基幹システムにて管理することで、一品毎の処分プロセスを顧客がトラッキングでき、かつ、顧客にエビデンスを提示できることも特徴と言える。
図表 4.5.4:IT 資産処分事業のオペレーション一覧
(IT 資産処分サービス事業のパートナーおよびチャネルについて)
従来の IT 資産処分サービス事業の肝としては、以下のことが挙げられる;
① 多くの資産を有する法人を顧客にすること
② 買取った IT 機器などをできる限り高値でリユース・リサイクルすること
③ 顧客の求める使用と品質を的確に捉えサービスを提案・提供すること
上記①③を実現するにあたっては、多くの資産を有する法人と既存事業において深 い関係を有する販売事業者や IT 関連事業者をパートナーとし、チャネル化していく ことが重要な戦略となる。同時に②を実現し販売価格をできる限り高値にすることで、顧客に提案する買取価格をできる限り高くすることができ、顧客満足度を向上させる ことができるとともに、競争力も高まる。
<IT 資産処分事業の事業モデル>
IT 資産処分事業の事業モデルの概略を下図に示す。
図表 4.5.5:IT 資産処分サービス事業(IT 機器のリユース・リサイクル事業)の事業モデル図
ただし、図表 4.5.5 中に示す価格は、日本でのケース(IT 機器の主要 4 品目であるノートパソコン、デスクトップパソコン、ネットワーク機器、サーバー)に関する各平均値である。
(3)採用技術と規模
<データ消去作業>
必要なツールは以下の通りである。全て卓上に収まる。
図表 4.5.6:データ消去ツール一覧
種別 | メーカー | 製品名 |
ソフト消去ツール | Blancco | blancco server edition(*2) |
磁気消去機器 | アドバンスデザイン | MW-15000X(*3) |
物理破壊機器 | 日東造機 | CrushBox DB-25(*4) |
(*2)メーカーURL: http://www.blancco.jp/product/blancco5/erasure/index.htm
(*3)メーカーURL: http://www.soho-jp.com/modules/products/content0340.html
(*4)メーカーURL: http://www.nittoh.co.jp/ntz3/topics/tp_db25/
<手解体作業>
リサイクル事業の主な技術は手解体作業である。ドライバーなどの工具、ゴーグル や軍手などの安全具を用意できれば、作業台と保管スペース程度の規模で実施できる。多くの雇用につながる作業である。
図表 4.5.7:手解体例(デスクトップ)
<リファビッシュ作業>
Windows10 などの OS をインストール、必要なドライバーソフトやアプリケーションソフトをインストールし、クリーニング、梱包などを実施し、製品化する作業である。専用のサーバーなどの設備や作業台、クリーニング用品などが必要である。多くの雇用につながる作業である。
図表 4.5.8:リファビッシュ作業の作業フロー
(4)考えられる環境影響と対策
本事業では特に環境影響が発生しないのが特徴である。
(5)使用するユーティリティ
1拠点当たり、35kW~50kW の電気設備が必要である。
(6)工場概要
1 拠点あたり 500 坪の敷地面積と 300 坪の施設が目安である。施設は物理的なセキュリティ、監視カメラ設備などのセキュリティ設備が必要である。
(7)事業実施体制案
今後の FS にもよるが、営業、マネージメント、オペレーションについては現地パートナーと連携した体制を想定している。
(8)初期投資総額、資金調達案
1 拠点あたり 1,000 万円程度の初期投資総額を想定。資金調達については今後の FSで継続的に検討する。
(9)簡易財務評価
日本におけるビジネスモデルは図表 4.5.5 で示したとおりであり、ベトナムは人件費も日本と比べて安価であるため、ほぼ同様のモデルが成立するものと考えている。
(10)スケジュール案
今後は次の通り検討を進め、早期の事業実現に向ける。
図表 4.5.9:今後のスケジュール案
時期 | 内容 |
2016 年 | 引き続き現地の市場調査および法令や規制についての調査研究 |
2017 年 | 現地パートナーの選定と契約の準備、および、事業実現可能性の検証 |
2018 年 | 現地パートナーと事業開始 |
4.6 RPF 製造販売事業
(1)事業概要と市場現況
<事業概要>
本事業は、ベトナム社会主義国・ハノイ市近郊を含む北部で発生する廃プラスチックが埋立処分されている現状を鑑み、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)化技術・ノウハウを導入することで、埋立処分場の延命化を図ることを目的とする。また、製紙工場など石炭を熱源とするボイラーの多いベトナム北部の状況に鑑み、RPF を利用することで化石燃料の削減、化石燃料由来の二酸化炭素の削減を通じて同地域の環境改善に貢献することを目的とするものである。
なお、本事業はリサイクル工業団地計画地の土地使用権を保有することになる URENCO11 とすでに BCC(事業協力契約)を締結し、RPF 製造販売事業の実証実験を開始しており RPF の需要家を持っているが、更なる事業の拡大を図るため、本調査では、「原料調達」、「生産拡大」、「需要家の開拓」を 3 つの調査項目として位置づけ調査を実施した。
<市場現況>
(RPF 原料(廃プラスチック)調達可能性)量について
ハノイ市近郊における廃プラスチックは、大きくは都市ごみに含まれるレジ袋などの廃プラスチックと工業団地等の工場から排出される産業廃棄物系の廃プラスチックの 2 種類に分類できる。ハノイ市における都市ごみの量は日量 5,000 トン程度排出されるため、廃プラスチック量の潜在量も多いことが考えられる(各種データでは 8%~10%程度、当社実験では 5%程度)。産業廃棄物系の廃プラスチックに関しては、マテリアル・リサイクルに利用できるものはすでに有価で売買されており、マテリアル・リサイクルにまわらないものを RPF 原料とすることを想定している。現在当社が URENCO11 と行っている BCC においては、現状、近隣の工業団地に ある日系の古紙再生工場から排出される日量 5~6 トン程度の廃プラスチック(パル
パー粕)を主原料としている。
ボイラーユーザー等に対する市場調査を通じて、従来の化石燃料(主に石炭)からバイオマス燃料など石炭代替燃料への移行、若しくは石炭とバイオマス燃料を併用するボイラーユーザーが増えてきていることがわかった。従って RPF を含めた石炭代替燃料の需要は既に存在している。
しかし、現在当社が試験的に導入した生産設備ではこれ以上の生産拡大が見込めない。このため、生産設備増強の可否を判断する材料を得るためにRPF 主原料である廃プラスチック調達に関する調査を実施した。
具体的には現在 URENCO11 にて埋立処分している廃プラスチックの精査を行っ
た。これらは工業団地から回収している産業廃棄物系の廃プラスチックと都市ごみの中から出てくる廃プラスチックの 2 種類からなり、その中で RPF 製造に比較的適した廃プラスチックがどの程度存在するかを調査した。
産業廃棄物系の廃プラスチックについては、回収してきたものを RPF 適物と不適物に選別した。その結果、50t/月程度の RPF 化が可能な廃プラスチックがあることがわかった(図表 4.6.1、4.6.2 参照)。特に収集運搬事業者である A 社が回収してくる廃プラスチックの量が一番多く、汚れや水分が共に少ないため、新原料の中では最もRPF に適していた。
今後は URENCO11 の既存の顧客に加えて、工業団地や製紙会社等から排出される廃プラスチック量を把握すると共に量を確保できるよう営業活動を継続する。
図表 4.6.1: 産廃系廃プラスチック量
会社名 | 産業 | 実績値 (t)/月 | 原料特性 | 想定される処理フロー | 製品評価 | |
1 | A社 ※排出事業者ではない | 廃棄物収集運搬業 | 33 | ・軟質プラ(フィルム、袋) ・水分=ほぼなし ・状態=未破砕 | 一次破砕→二次破砕→造粒 | ○ |
2 | B社 | ガラス製造 | 0.5 | ・軟質プラ(フィルム、袋) ・水分=ほぼなし ・状態=未破砕 | 一次破砕→二次破砕→造粒 | ○ |
3 | C社 | トイレットペーパー生理用品 | 12.5 | ・軟質プラ(PE) ・水分=多い ・状態=未破砕 | 一次破砕→二次破砕→造粒 | △ |
4 | D社 | 精密機器製造・販売 | 1.4 | ・軟質プラ(PE) ・水分=ほぼなし ・状態=未破砕 | 一次破砕→二次破砕→造粒 | ◎ |
合計 | 47.4 |
図表 4.6.2:産廃系廃プラスチック荷姿
A 社回収廃プラスチック | B 社廃プラスチック |
C 社廃プラスチック | D 社廃プラスチック |
その他、製紙工場を中心に有価に廻らない廃プラスチックの排出源の調査をした結果、Ha Nam 省にある製紙会社では、土砂などの汚れがみられるものの、60t/月あたり排出されていることがわかった。
一方で都市ごみに関しては、URENCO11 が現在Hung Yen 省内の 9 つの地区にある各回収拠点から収集している約 200t/月(日量 8t)を対象として調査を行った。本調査では、RPF 向きの軟質プラスチックをどの程度確保できるかに関する実験を行った。実験では、URENCO11 社敷地内に試験的に設置してあるベトナム製のプラスチック選別機(トロンメル→風力選別)を用いて、トラック 1 台当たりでどの程度のプラスチック量の確保ができるかを調査した。
図表 4.6.3 試験フロー
図表 4.6.4: 家庭ごみ選別時の様子
コンテナ設置 | コンテナ内部 |
重機にて選別機に投入 | 風力選別後 |
試験の結果、1 回目のテストでは 830kg の家庭ごみの投入に対して、得られたプ
ラスチック量は 74 ㎏であった(投入量の約 9%)。2 回目のテストでは、3,740kg の投入量に対して、得たプラスチック量は 132 ㎏であった(投入量の約 3.5%)。結果のまとめは下表の通り。
図表 4.6.5:家庭ごみ選別試験結果
平均すると全回収量の5%程度軟質系プラスチックが確保できることがわかった。現在、ハノイ市では日量 5,000 トン程度の都市ごみが全量埋立処分されている。そ
のうち、5%程度が廃プラスチックと想定すると、ハノイ市だけでも日量 250 トンの 廃プラスチック潜在量があると言える。また Hung Yen 省にて現在URENCO11 が収 集している 200t/日の都市ごみには 10t/日の廃プラスチックが含まれていると言える。
質について
URENCO11 が回収する都市ごみ選別試験を通じて、廃プラスチックに付着している水分率は 10%程度と比較的低かったものの、有機物の付着による臭気があった。この有機分の付着物には塩素も含まれることが想定され、十分な排ガス処理機能を持たないボイラーにおいては、燃焼した際のダイオキシンの発生確率を高める可能性がある。
従って、都市ごみからの廃プラスチックを使ってRPF を製造する場合は、前処理として洗浄設備の設置が必要となることが予測される。また洗浄に伴い増加する水分の除去についても、例えばリサイクル工業団地内で運転予定の焼却施設からの廃熱を活用して水分を蒸発させるなど、検討の余地がある。
RPF 市場について
ボイラーユーザーをターゲットに現地ボイラー会社等と連携しながら営業活動及びテスト使用を実施し、販路拡大を検討してきた。必要蒸気圧の維持、黒煙の発生(不完全燃焼)、臭気等様々な項目に留意しながら最適な使用方法の検討と提案を行ってきた。現在は、2 社の既存顧客に加え、新たに Bac Giang 省の製紙会社においてもテスト販売をしている。Hung Yen 省内の飼料工場からも引き合いがあり、テスト使用することになっている。
ベトナムのボイラー会社はRPF の燃焼に適したボイラーの開発にも興味を示しており、原料の安定調達や品質管理体制を構築できれば、更なる RPF 市場の拡大が見込まれる。
図表 4.6.6: RPF 顧客
<品質管理について>
RPF はベトナム国にとって新しい燃料であり、市場に浸透させるためには石炭代替燃料として石炭同等の発熱量が求められるだけでなく、ボイラーの腐食、排ガス、臭気等様々な項目で顧客の理解を得られなければ商品として販売することは困難であることが市場調査を通じてわかった。従って、分析機関を通じて製品の工業分析、元素分析、燃焼試験等を品質管理にかかわる分析を実施してきた。
現状、ベトナム国内で調達した原料から製造した RPF の品質は水分率を除いては JIS 規格(JIS Z 7311)における A~B 製品の間となっている。水分率は JIS 規格を若干上回っている。
今後は原料の多様化により、更なる品質管理が求められることが予測されるため、前処理等が可能な設備の検討が必要と考える。
(2)対象市場と提供するサービス概要
<対象市場>
RPF は石炭代替燃料となるため、製紙工場や飼料工場等のボイラーユーザーが販売対象となる。エネルギー価格が相対的に高いベトナムでは石炭価格が上昇傾向にあり、既にバイオマス燃料等で一部代替している石炭ボイラーユーザーが多数いることを考慮すると、
石炭同等のカロリーを持つ RPF のニーズは高いと言える。
また、ベトナム北部には製紙工場が多く、また CO2 排出削減等、環境への関心を持つ石炭ボイラーユーザーもいることから、環境負荷低減の観点からもニーズがあると言える。
サービス概要
本事業の提供するサービスは、現状マテリアル・リサイクルに回らない廃プラスチックを破砕、造粒工程を経て燃料化し、製紙工場など熱源を必要とするボイラーユーザーに供給するものである。
図表 4.6.7: RPF 事業イメージ
(3)利用技術・規模
処理対象は工業団地等から排出される PVC を含まないプラスチック及び紙、木くずとする。また、現状では造粒機能力に対する破砕機能力が小さい事が生産量拡大のボトルネックとなっているため、既存の設備に現状よりも処理能力の高い新規の破砕機を導入(増設)することを想定する。また、廃プラスチックの破砕に関して、本調査を通じて原料である廃プラスチックには粗破砕不要な物とフィルムのような粗破砕が必要な物の 2 種類があることが判明している。そのため、新しい設備においては、粗破砕が必要な廃プラスチックは切断アタッチメント付きホイール・ローダーにて粗破砕後、一軸式破砕機に投入することとする。粗破砕を必要としない廃プラスチックについては、そのまま一軸式破砕機投入する。一軸式破砕機の処理能力は既存設備との合計で、現在の 2 倍の処理能力が得られることを想定する。これにより、現在よりも効率よく処理量及び RPF の生産量を上げることができると考える。
図表 4.6.8:RPF(再生燃料)フロー
(4)考えられる環境影響と対策
RPF 設備の処理工程には破砕と造粒の 2 つがあるが、いずれの処理工程においても環境に重大な影響を与える要素はないと考える。
但し、RPF の主原料である廃プラスチックに関しては生産拡大に伴い取り扱う品種が多様化すれば、有害大気汚染物質の原因となる塩素を含む PVC が混入してくる可能性がある。これに関しては、現場にて簡易 PVC 検査を実施すると共に、分析機関において原料や RPF 製品を定期的に分析し、製造工程に混入させない仕組みを構築する。
(5)使用するユーティリティー
<ユーティリティー>
図表 4.6.9:使用ユーティリティー
用途 | 使用量 | 備考 | |
電気 | 自家消費電力 | 8000kw/日 | 16H 稼働で計算 |
水道 | 造粒機内散水 | 20ℓ/日 | |
燃料 | 重機用軽油 (フォークリフト、ホイール・ローダー) | 20ℓ/日 |
<人員>
図表 4.6.10:人員配置
人数 | 勤務時間 | 備考 | |
作業スタッフ(原料投入、重機運転) | 10 | 8H | 2 シフト |
技術管理者 | 1 | 8H |
(6)工場概要
設備の増強に際して、これまでの設備を設置していた URENCO11 の既存敷地内
(1,400m2 相当)から、Phase II の新規エリアに移設するものとする。敷地面積は 1904
㎡(≒56m×34m)を想定する。建屋には RPF 化設備一式のほか、RPF 原料(廃プラスチック)保管ヤード、RPF ヤードの設置を想定する。
図表 4.6.11:URENCO11 内 RPF 設備エリア及び移設エリア
図表 4.6.12:設備増強後後設備図面
(7)事業性評価
設定条件を廃プラスチック処理量 24 トン/日、RPF 生産量 20 トン/日、稼働日数 300
日/年、運営人員 12 名とし、減価償却 12 年とした。
本調査では破砕機能力を増強した際に、①設備資金補助がない場合と②設備資金補助が 2/3 の場合の 2 ケースで試算した。
現状の市況を考慮し、廃プラスチック処理費 0.8 円/kg、RPF 販売単価 7 円/kg としたところ、①の場合の IRR は 11%、②の場合の IRR は 45%となり、比較対象となるベトナムの国内預金金利状況(6%~7%を推移)を鑑みると、補助が必要である。また、設備投資補助がある場合とない場合とでは、利益率も 10%程度異なるため、設備補助が有効と考える。補助が得られない場合においては、RPF の販売価格を上げられない状況であれば投資を見合わせる可能性が高い。
図表 4.6.13: 設備資金補助なし
図表 4.6.14:設備資金補助あり(2/3 補助)の場合
中間処理技術が発展途上のベトナムにおいては現在、処理能力が時間当たり 1 トンを超える大きな破砕機はないことから、生産効率を上げて収益を得るには日本の技術と機械が必要となる。この試算結果を踏まえて、本事業は化石燃料由来の燃料を製造販売するものの、単位当たりの CO2 排出量は石炭と比べて小さくなることから、JCM関連補助金等、日本の設備資金補助の可能性を今後検討する。
(8)スケジュール案
<2016 年度~>
・RPF 原料調達に関する継続調査
・RPF 顧客確保に向けた営業活動の継続
・設備移設及び能力増強に関する詳細計画の検討及び立案
・日本政府の設備補助の検討
・設備増強実施
(9)まとめと提案
ベトナムではマテリアル・リサイクルに廻らない廃プラスチックが大量に埋立処分されており、これも原因の一つとして処分場が逼迫しているのが現状である。このことを考慮すると、未利用エネルギーである廃プラスチックを RPF(燃料)化することは、埋立処分場の延命効果だけでなく、石炭消費による CO2 削減といった環境負荷
低減にも寄与することができると考える。
しかし、現状では RPF はベトナムの市場で認知されておらず、その付加価値を証明するには天然資源環境省(MONRE)などの政府の支援が必要である。ベトナム政府がリサイクル率の向上をターゲットにリサイクル品購入に対するインセンティブを与えれば、RPF も円滑に普及していくものと考える。従って、官民一体となってリサイクル率向上に対する支援を進めていくことが我が国静脈産業の海外展開に重要な要素であるのであると考える。
4.7 建設解体廃棄物リサイクル事業
(1) 事業概要と市場現況
<事業概要>
建設解体廃棄物のうち、重量・容積共に 95%以上を占めると考えられている“レンガ+モルタル交じりの建設廃材”をターゲットとして、破砕・粒度調整を行い路盤下材相当の再生砕石”を製造する。また、この再生砕石を道路資材だけでなく、今後非焼成レンガ(コンクリートブロック、タイル)等の原料とするなど各種リサイクル製品の原料とすることを検討する。
サイトとなる Hung Yen 省内リサイクル工業団地においては、ハノイ市を中心とした建設解体現場から建設廃材を有償で受入れ、不純物除去・破砕・粒度調整を行って “再生原料”を製造する。再生砕石はその後路盤下材として道路資材供給会社に販売或いは建設現場に直接販売するほか、一部は URENCO11 が保有する非焼成レンガ製造ラインにて非焼成レンガを製造し、建設資材として建設現場に販売することも検討する。不純物は有価物回収後、無害・有害を確認したうえでリサイクル工業団地内の埋立処分場に廃棄或いは廃棄物焼却処理設備にて処理する。
当初は 700m3/日受け入れ規模のモデルプラントを日本政府支援等で実施し、品質基準やリサイクル製品普及支援策が整ったところで民間による投資を行う。
事業形態としてはハノイ市内の主要解体事業者並びにURENCO11 とJV を組むことで原料確保を行う一方で道路資材供給会社並びに非焼成性レンガ製造販売会社と提携或いはJV を組むことによって販売ルートの確保を行う。
なお、本調査はハノイ市の廃棄物マスタープランにある今後増大すると予測されている建設解体廃棄物へ対処ニーズに対して、現在最も本事業に近い位置にある建設物解体事業者のへのヒアリング調査並びに関連文献調査を通じて提案事業のベースとなる市場分析を行った。そのうえで日本の知見に基づき簡易事業計画を立案し、算出されたリサイクル製品(再背原料)の限界原価に対するハノイ市周辺におけるバージン原料価格との比較を行い、事業化の可能性を評価した。
<市場現況>
(ハノイ市及び周辺の建設廃棄物の現状)
ハノイ市では近年の都市開発、インフラ整備の推進に伴い、解体・新築工事から発生する建設廃棄物量が増加傾向にある。特に 1960 年~1970 年代の建物の解体が増加している。時期によって搬入量に変動がある(工事が減少する雨季は搬入量が減る)ものの、現在日量 2,300t~3,200t(生活廃棄物発生量の 20%~40%)の建設廃棄物が発生していると推測されるが、実態は数倍有るとも予想されている。
建設廃棄物の発生状況については、廃レンガ、コンクリートガラ等が主体であり、その他、スクラップ(鉄)、アルミ、塩ビ管等が発生すると推測される。スクラップ、アルミ、塩ビ管については、有価物としての市場が形成されており、再資源化されて
いる。ハノイ市が委託して運営されている建設解体廃棄物用の埋立処分場は、現在 3か所ある。搬入時に混入している少量の可燃物については処分場内で燃やしている。また、処分場に受入条件等は特にないが、有害系の廃棄物等については受入を拒否することがある。
建設廃棄物の解体は、建設業の許可を有する事業者が行うことが原則で、中でも解体専業に行っている企業があり、こうした解体業者は主要ゼネコンと連携を組んで事業展開をしている。建設廃棄物の収集運搬は解体事業者が保有する一般的なダンプトラックが利用されるほか、特段許可が必要ないことから個人・法人の運搬者に依頼することもある。不法投棄や小規模住宅における建設解体廃棄物についてはハノイ市環境公社等、ハノイ市が指定した業者が行う。現場からの解体廃棄物回収は交通量の少ない夜間に行われている。
レンガ、コンクリートガラ等については、一部埋め戻し材や道路下層材に利用されている以外ほとんど再資源化されておらず、その多くはHung Yen 省などの沼地や、ハノイ市郊外の最終処分場で埋立処分されているか、市内の空き地等に残置されている。将来的にはこれらを対象とした再資源化手法の確立が課題となると思われる。
図表 4.7.1:ハノイ市の建設廃棄物フロー
【出典:2012 年ハノイ市廃棄物マスタープラン情報より調査団作成】
(建設廃棄物の組成)
解体される建物は低層かつ 1960 年代の古い建物が多い。これらの建物の多くは、壁材にレンガを使用し、レンガの外側をモルタルで固めている構造である。また基礎や柱はコンクリート構造であり、レンガ及びコンクリートガラが建設廃棄物の大半を占めている。
図表 4.7.2:ベトナムにおける建設廃棄物の組成
【出典:Vietnam Institute of Building Materials(2010 年)】
スクラップ、アルミ、塩ビ等の有価物になるものは、少量ではあるが徹底的に分別されている。各品目の売値は概ね下記の通りである。
図表 4.7.3:ハノイ近郊における有価物の販売価格
品目 | 価格(円/t)※ |
鉄 | 約 30,000 |
アルミニウム | 約 125,000 |
ポリ塩化ビニル(塩ビ) | 約 25,000 |
※価格は市況により変動する。
有害廃棄物についてはアスベストを含むボード等が一部見られた。現状排出源での分別は有価物を回収することで成り立っており、有害廃棄物が事業側に流入するリスクがあるほか、現状リサイクルされている解体材料が経済成長に伴い有価物として扱われなくなることを見据える必要もある。
(2)対象市場と提供するサービス概要
<対象市場>
原料となる建設廃棄物はサイトである Hung Yen 省内からも回収されるが、主な回収先は埋立処分場が不足しているハノイ市内を想定する。また製品の供給先は Hung Yen 省内並びにハノイ市を含めた北部地域とする。
(原料市場規模)
時期によって搬入量に変動がある(工事が減少する雨季は搬入量が減る)ものの、現在日量 2,300t~3,200t(生活廃棄物発生量の 20%~40%)の建設廃棄物が発生していると推測されるが、実態は数倍有るとも予想されている。
<建設資材需要>
ハノイ市マスタープランに基づいてハノイ市人民委員会建設局は今後の建設資材市場を下表の通り予測している。本事業で製造される再生原料が参入できる資材市場の伸びはいずれも大きい。
図表 4.7.4:ハノイ市建材需要予測
資材 | 単位 | 2015 | 2020 | |||
量 | 成長率 %/年 | 量 | 成長率 %/年 | |||
1 | セメント | 1,000t | 7,250 | 9-11 | 10,880 | 6-10 |
2 | ブロック | 百万個 | 4,540 | 5-7 | 6,760 | 4-7 |
3 | 屋根材 | 1,000 ㎡ | 20,739 | 5-7 | 26,652 | 4-7 |
4 | 建設用石・砕石 | 1,000 ㎥ | 16,614 | 5-7 | 22,415 | 4-7 |
5 | 砂 | 1,000 ㎥ | 15,920 | 5-7 | 23,430 | 4-7 |
6 | 表面/舗装石 | 1,000 ㎡ | 32,200 | 9-11 | 48,350 | 6-10 |
7 | 衛生陶器 | 1,000 個 | 3,274 | 9 -11 | 64,375 | 6-10 |
8 | ガラス | 1,000 ㎡ | 13,200 | 9 - 11 | 19,900 | 6-10 |
【出典:ハノイ市人民委員会建設局
(再生砕石(製品製造)市場規模)
解体現場から発生する廃棄物のうち発生量が多いのがコンクリートガラ及びレンガくずである。これらは複合物として建材に使用されているため、各々の分別は困難である。そのためコンクリートガラ及びレンガくずが混在した状態での再資源化検討を行う必要性がある。
再生砕石への再資源化については、レンガが混在し強度が得られないため、表層路盤材等への利用は品質の観点から困難であると推測される。そのため、杭抜き工事時の埋戻し、路床への利用、土管の埋設クッション等、砂品としての再資源化を検討する必要がある。
(非焼成レンガ(原料製造 or 製品製造)市場規模)
ベトナムでは、環境施策の一環で、非焼成レンガ(コンクリートブロック)の使用を推進していく予定であり、具体的な公共工事での使用割合目標も明示されている。こうしたことから、非焼成レンガの需要は高まり、当該市場は拡大していくと推測される。
現地調査で訪問した非焼成レンガを製造・販売している工場も生産量が徐々に増加傾向にある。
<提供サービス概要>
建設解体廃棄物のうち、重量・容積共に 95%以上を占めると考えられている“レンガ+モルタル交じりの建設廃材”をターゲットとして、破砕・粒度調整を行い、再生砕石を製造するリサイクル事業を実施する。また一部で、非焼成レンガ(コンクリートブロック、タイル等)の製造も試みる。
図表 4.7.5:再資源化事業の検討案
対象廃棄物 | 再資源化方法 | 製造方法及びコスト※1 | 市場性 | 品質 |
コンクリートガラ+レンガくず | 再生砕石 | 受入基準の明確化が必要 | 要検討 | 要検討(砂品限る) |
コンクリートガラ+レンガくず | 非焼成レンガ (コンクリートブロック) | ◎ | 粒度、組成 | |
※1:基本的には粉砕し、粒度調整を想定。 | ||||
※2:上記の評価は、ヒアリング等を基に主観的に判断したものである。 |
(サービスの流れ、事業範囲)
本事業におけるサービスの流れは図表 4.7.6 の通り。JV としての事業範囲は原則として、①建設廃棄物の受け入れ、②リサイクル(製品製造)、③製品販売のプロセスと仮定する。
図表 4.7.6:サービスフローと事業範囲
(価格設定条件)
事業としては次の 2 点において従来型との価格競争にさらされることとなる。
1)廃棄物としての従来型(埋立処分費用)に対する新規提案(リサイクル費用)
2)製品としての従来型(バージン原料価格)に対する新規提案(リサイクル製品価格)
図表 4.7.7:価格競争の発生ポイント
図表 4.7.8:現状の各種原材料バージン価格
原材料 | 単位 | 単価 | 備考 |
VND/m3 (<500m3) | 22,199 | Refer to tipping fee Decree | |
埋立処分 | VND/m3 (<500m3, >1,000m3) | 15,574 | 510/QD-UBND of HPC (Jan, 2015) |
砂 | VND/m3 | 300,000 | For virgin material (as of June,2015) |
砂利 | VND/m3 | 290,000 | For virgin material(as of June,2015) |
非焼成レンガ | 円/個(700 個/m3) | 4.5~8.5 | ヒアリング結果 |
従って、本検討上の収入源は次の通りとする。
⚫ 受入時における処理費: 22,200 VND/m3
⚫ リサイクル製品(再生砕石)販売: 250,000 VND/m3
⚫ リサイクル製品(非焼成ブロック)販売: 568,890 VND/m3
(4.5 円/個、1 ㎥当たり 700 個と想定)
(3)採用技術・規模
設備規模並びに採用技術のシステムフローを以下の通りと設定する。
図表 4.7.9:設備規模・条件
内容 | 仮定条件 | 備考 |
対象物 | 混合解体廃棄物 | そのままでは使い辛い |
施設規模 | 700 m3 /日 | |
製品 | 再生砕石 | |
使用先 | 建設現場 | |
規格・仕様 | 直径<50 mm | 仮の数値 |
図表 4.7.10:システムフロー
(4)考えられる環境影響と対策
本事業範囲からはリサイクル不適物を除去することとなり、その適正処理が求められる。また一部有害性のある廃棄物の流入がある可能性も否定できないため、作業環境に留意し、これら有害廃棄物の実態把握と適正処理を行う必要がある。
リサイクル工業団地内には有害廃棄物処理設備や埋立処分場が整備されることから、適切なマネージメントのもと運営されることによって環境影響は防止できるものとする。
(5)使用するユーティリティー(水、電気、資材、薬品等)、人員
<ユーティリティー>
図表 4.7.11:ユーティリティー一覧
用途 | 使用量 | 備考 | |
電気 | 破砕・分級装置 事務所他 | 130kW 10kW(仮定) | |
水道 | 20m3/日 | ||
燃料 | 重機動力 | 40L/h(320L/日) |
*収集運搬は範囲外、製品搬出費用は販売管理費に計上。
<人員>
図表 4.7.12:人員配置一覧
役割 | 詳細 | 人員 | 備考 |
管理者 | 1 | ||
現場作業員 | 重機取扱い | 1 | |
その他作業 | 3 |
(6)工場概要(必要な敷地面積、建屋構造の特徴等)
工場は以下の構成とする;
⚫ 事務棟(200m2 程度)、
⚫ 粒度調整プラント区画(6000m2)、
⚫ レンガ製造プラント区画(400m2)、
⚫ 原料貯留・製品養生/貯留区画(2000m2)
なお、主要区画である粒度調整プラントの平面プランは図表 4.7.13 の通り。
図表 4.7.13:粒度調整プラント平面図
(7)事業実施体制案
従来の建設廃棄物収集運搬処理フローの中にリサイクル事業を組み込み、混乱を防ぐ。
図表 4.7.14:事業実施体制案
排出源 | 収集運搬 | 埋立処分場 | 作業 | |
大型解体現場 | 解体業者 | URENCO11 を含む リサイクル工業団地事業会社 | リサイクル (新会社) | 販売 (新会社) |
小型解体現場 | URENCO 11 等 | |||
不法投棄物 | 埋立処分 |
(8)初期投資総額、資金調達案
初期投資額は以下の通りを想定する。
図表 4.7.15:700m3/日規模工場・初期投資額
内容 | 単価 | 単位 数量 | 金額 | |
設備 | 破砕機 | 7,200 | Mil. VND/set 2 | 14,400 |
篩 | 900 | Mil. VND/set 1 | 900 | |
コンベヤ類 | 2,700 | Mil. VND/set 1 | 2,700 | |
小計 | 18,000 | |||
建設 | 建屋 | 9.0 | Mil. VND/m2 2,000 | 18,000 |
外回り | 5.4 | Mil. VND/m2 4,000 | 21,600 | |
小計 | 39,600 | |||
重機類 | バックホー | 2,700 | Mil. VND/set 1 | 2,700 |
ホイール・ローダー | 2,700 | Mil. VND/set 2 | 5,400 | |
小計 | 8,100 | |||
初期投資額 (mil. VND) | 65,700 |
(9)簡易財務評価
次の条件に基づいて簡易財務評価を行ったところ IRR が 43%となり、事業性が期待できることがわかった。
⚫ 上記(8)の初期投資に 1 年分の費用を運転資金として加えた
66,702 百万 VND を自己資金 100%で調達。
⚫ 年間 300 日、一日 8 時間稼働
⚫ 製品販売比率:再生原料 90%、非焼成ブロック 10%
図表 4.7.16:簡易財務評価結果
予測損益計算書 | ||||||||||||
(単位 1,000VND) | 能力100% | 80% | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% | |
0年目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | 7年目 | 8年目 | 9年目 | 10年目 | ||
[収入] | ||||||||||||
廃棄物処理費 | 4,620,000 | 3696000 | 4,620,000 | 4,620,000 | 4,620,000 | 4,620,000 | 4,620,000 | 4,620,000 | 4,620,000 | 4,620,000 | 4,620,000 | |
再生原料販売 | 37,800,000 | 30240000 | 37800000 | 37800000 | 37800000 | 37800000 | 37800000 | 37800000 | 37800000 | 37800000 | 37800000 | |
非焼成ブロック販売費 | 13,667,013 | 10,933,611 | 13,667,013 | 13,667,013 | 13,667,013 | 13,667,013 | 13,667,013 | 13,667,013 | 13,667,013 | 13,667,013 | 13,667,013 | |
合計 | 44,869,611 | 56,087,013 | 56,087,013 | 56,087,013 | 56,087,013 | 56,087,013 | 56,087,013 | 56,087,013 | 56,087,013 | 56,087,013 | ||
[支出] | ||||||||||||
原料調達費(セメント) | 10,080,000 | 8,064,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | 10,080,000 | |
人件費 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | 500,500 | ||
社会保障費 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | 125,125 | ||
電気代 | 435120 | 348,096 | 435,120 | 435,120 | 435,120 | 435,120 | 435,120 | 435,120 | 435,120 | 435,120 | 435,120 | |
水道代 | 36000 | 28,800 | 36,000 | 36,000 | 36,000 | 36,000 | 36,000 | 36,000 | 36,000 | 36,000 | 36,000 | |
減価償却費 | 13,140,000 | 13140000 | 13140000 | 13140000 | 13140000 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
合計 | 22,206,521 | 24,316,745 | 24,316,745 | 24,316,745 | 24,316,745 | 11,176,745 | 11,176,745 | 11,176,745 | 11,176,745 | 11,176,745 | ||
売上総利益 | 22,663,090 | 31,770,268 | 31,770,268 | 31,770,268 | 31,770,268 | 44,910,268 | 44,910,268 | 44,910,268 | 44,910,268 | 44,910,268 | ||
販売費一般管理費 | 6,730,442 | 8,413,052 | 8,413,052 | 8,413,052 | 8,413,052 | 8,413,052 | 8,413,052 | 8,413,052 | 8,413,052 | 8,413,052 | ||
営業利益 | 15,932,648 | 23,357,216 | 23,357,216 | 23,357,216 | 23,357,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | ||
支払利息 | ||||||||||||
税引き前純利益 | 15,932,648 | 23,357,216 | 23,357,216 | 23,357,216 | 23,357,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | 36,497,216 | ||
法人税 | 20% | 3,186,530 | 4,671,443 | 4,671,443 | 4,671,443 | 4,671,443 | 7,299,443 | 7,299,443 | 7,299,443 | 7,299,443 | 7,299,443 | |
当期純利益 | 12,746,118 | 18,685,773 | 18,685,773 | 18,685,773 | 18,685,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | ||
予測CF | ||||||||||||
(現金収入) | ||||||||||||
当期純利益 | 0 | 12,746,118 | 18685773.08 | 18685773.08 | 18685773.08 | 18685773.08 | 29197773.08 | 29197773.08 | 29197773.08 | 29197773.08 | 29197773.08 | |
長期借入金 | 0% | 0 | 0 | 0 | ||||||||
自己資本 | 100% | 66,702,521 | ||||||||||
小計 | 66,702,521 | 25,886,118 | 31,825,773 | 31,825,773 | 31,825,773 | 31,825,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | |
(現金支出) | ||||||||||||
固定資産の増減 | 65,700,000 | |||||||||||
運転資金の増減 | 1,002,521 | |||||||||||
長期借入金の返済(元金均等払いに基づく) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
小計 | 66,702,521 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
合計 | 0 | 25,886,118 | 31,825,773 | 31,825,773 | 31,825,773 | 31,825,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | 29,197,773 | |
累積 | 0 | 25,886,118 | 57,711,892 | 89,537,665 | 121,363,438 | 153,189,211 | 182,386,984 | 211,584,757 | 240,782,530 | 269,980,303 | 299,178,076 | |
IRR | 43% |
(10)スケジュール案
建設廃棄物リサイクル事業については規格作りや市場への認知等、本格的な事業化に向けて準備が必要である。この準備期間は日本政府による政府開発援助等との連携を行いながら進めるべきであると考え、以下のような内容とスケジュールでのアプローチを考えている。
図表 4.7.17:今後のスケジュール
時期 | 内容 |
2016 年度~2017 年度 | ⚫ リサイクル原料の製造・品質評価・試験利用を行うために、日本政府の支援(JICA 中小企業普及実証事業等)を得て民間主導で本提案規模のモデル事業をフンエン省で実施する(~2018 年)。 ⚫ 同時に JICA が現在行っている技術協力プロジェクト(ベトナム国都市廃棄物総合管理能力向上プロジェクト)等を通じて、現地政府に対してリサイクル製品の品質基準作り、リサイクル製品の利用に 対する支援策構築をすすめる。 |
2018 年度~ | ⚫ 品質基準、リサイクル製品利用促進策が構築される。 ⚫ モデルプロジェクトで設置したフンエン省プラント(ハノイ市南東部)に加え、ハノイ市北部・西部にも同様のプラントを設置運営する JV を設立し、事業を拡大する。 |
4.8 医療廃棄物、有害廃棄物、PCB の熱処理事業
(1)事業概要、定義と市場概況
<事業概要>
本調査では、“iTask”が持つ日本の高度で安全な有害廃棄物処理技術をベトナム国へ導入し、衛生面の向上を目指すと共に、両国にとって価値のあるビジネス市場開拓の可能性を検討した。
対象地域となっているハノイ近郊の廃棄物管理に関して、60 年以上の経験を持つ URENCO Hanoi、その傘下にありHung Yen 工業団地にて廃棄物処理施設を運営している URENCO11 の協力を得て調査を進め、医療系有害廃棄物処理施設や医療施設での廃棄物管理等の状況確認とともに、将来の URENCO11 のフェーズ 2 開発計画(後述)にある有害固形廃棄物(有害産業廃棄物、医療系有害廃棄物)の焼却処理事業に関する技術導入と事業性について調査した。
(医療廃棄物、有害廃棄物の定義)
ベトナムでは、環境保護法「Laws on Environmental Protection」の中で「廃棄物」を
「日常生活、生産工程、サービス、その他の活動から廃棄された物質」で「固体、気体、液体の形態をとる」と定義している。また、有害廃棄物は、「毒性、放射性、可燃性、感染性、中毒性等を含む物質」として定義され、有害廃棄物は有害産業廃棄物と医療系有害廃棄物の 2 種類に区分されている。
医療廃棄物の定義
医療系有害廃棄物の種類と定義は、人体の治療や予防行為からの排出物、動物治療からの排出物、人体・動物の治療に使用される医療機器の 3 種類に区分されている。さらに細分化したものは既に施行されている首相決定「Decision 43/2007/QD-BYT」を基に定められている。医療廃棄物の詳細な分類を図表 4.8.1 に示しており、このうち一般廃棄物以外は医療系有害廃棄物にあたる。
図表 4.8.1:首相決定「Decision 43/2007/QD-BYT」で定義された医療廃棄物
医療廃棄物の種類 | 各種類のタイプ |
感染性廃棄物 Contagious Waste | タイプ A:注射針、チューブ、メス、ガラス等の医療現場から排出される鋭利なものや先端があるもの タイプ B:鋭利ではないが、隔離病棟から排出される血液や体液が付着したもの タイプ C:ラボから排出される綿棒やその容器等の感染性の高いもの タイプ D:手術・治療時に排出された人体や実験動物の細胞、臓器等 |
有害化学廃棄物 Hazardous Chemical Waste | タイプ A:期限切れや低品質が理由で使用できない薬品タイプ B:医療現場で使用される有害化学物質 タイプ C:化学治療を受けている患者から内密に取り出された物質や、薬品汚染されている細胞等が扱った薬瓶、容器、機材 タイプ D:重金属を含んだ廃棄物:水銀(壊れた温度計、血圧計、歯の治 療から排出する廃棄物)、カドミニウム(電池からの排出)、導線 |
放射性廃棄物 Radioactive Waste | セラピー、リサーチ、生産工程で排出される固形、液体、ガス状の放射性 廃棄物 |
耐圧容器 Pressure Containers | 酸素、二酸化炭素、ガスシリンダー等、火に投入した際に火災や爆発を起 こすおそれのあるもの |
一般廃棄物 General Waste | タイプ A:病床から排出される廃棄物 タイプ B:ガラス瓶、容器、血清容器、プラスチック材、血液・体液・有害化学物質に汚染されていない骨等の医療現場から排出される廃棄物 タイプ C:事務現場から排出される、紙、新聞、書類、梱包材、段ボール箱、プラスチック袋、フィルム袋等の廃棄物 タイプ D:外部からの廃棄物:落ち葉や外部から排出される廃棄物 |
【出典:首相決定「Decision 43/2007/QD-BYT」を基に作成】
有害廃棄物の定義
有害産業廃棄物の種類とその定義は、MONRE 通達「Decision 36/2015/TT-BTNMT」に定められており、廃酸、重金属含有廃棄物、汚泥、電池および蓄電池、塗料、建設廃材などの区分がある。
<市場概況>
(医療廃棄物市場)
ベトナム国の人口は、2014 年時点で 9,073 万人、人口増加率は 2006 年から毎年 1%で推移しており、今後も増加傾向にある。医療施設から排出される有害廃棄物発生量も増加しており、衛生面での国民の安全確保が急務となっている。
医療廃棄物発生量に関しては、ベトナム国内の医療施設から排出される医療廃棄物が、1997~2010 年の期間で毎年 2%ずつ増加してきたことが確認されている。また、ハノイ近郊の医療廃棄物発生量は、人口の急激な増加に伴い今後 2 倍程度増加すると
みられている。具体的には、2010 年から 2020 年にかけて 1.7 倍増加、そのうち医療系有害廃棄物は 1.4 倍増加し、2030 年までにはそれぞれ 2.6 倍増加、2.0 倍増加すると予測されている。実際に、本調査で訪問した URENCO11 の取引先の各医療施設においても、現在、常に病床稼働率 100%の状態であり、増床計画が進められていた。このように今後も人口増により、医療系有害廃棄物の発生量は増加していくことが推測できる。
(有害廃棄物市場)
世界銀行が 2004 年に発表した「Vietnam Environment Monitor」では、2003 年に、ベトナム国内で発生している廃棄物は、都市ごみ 1,280 万トン、非有害産業廃棄物 251
万トン、有害産業廃棄物 12.8 万トン、医療系有害廃棄物 2.1 万トンで、合計 1,546 万トンの廃棄物が発生したと報告されている。世界銀行は、2004 年の有害廃棄物発生量は、産業廃棄物発生量 220 万トンの 6%にあたる 13 万トン程度であるため、2010 年における有害産業廃棄物は、産業廃棄物 320 万トンのうち 15%にあたる 50 万トンと予測している。
環境省は「海外の環境産業市場規模の推計」の中で、GDP と環境ビジネス市場規模の相関が強く、GDP を根拠に推計することは一定程度有用であると述べている。また、世界銀行も GDP と産業廃棄物発生量が比例関係にあると述べており、上述の廃棄物発生量データと GDP 推移を基に今後の市場展望を推測している。したがって、本調査においても世界銀行データとGDP 成長率を基にGDP と有害産業廃棄物発生量を算出した(図 2.4.参照)。今後も GDP 成長と共に有害産業廃棄物発生量が増加していくことが推測できる。
このほか、今まで埋立処理場に蓄積された有害廃棄物や現在も適切に処理されずに排出し続ける有害廃棄物を無害化し、適切に燃焼・再利用・リサイクルする必要もあることから、最先端の技術の導入が不可欠になるものと推測される。
図表 4.8.2: GDP 額と有害産業廃棄物発生量の関係と推移
【出典:世界銀行「Vietnam Environment Monitor」を基に作成】
また、2014 年 11 月に MONRE (Ministry of Natural Resources and Environment : 天然環境資源省)が発表した報告書「ベトナムの環境中ダイオキシン汚染の現状」では、有害廃棄物の焼却炉から排出された大気や排水に最も多くのダイオキシン類化合物が含まれていることが指摘されている。これは小規模で古い焼却技術に由来した問題であり、有害廃棄物の適正処理に対する技術導入が期待されている。
(URENCO11 が処理している有害廃棄物の既存市場概況)
現在 URENCO11 で処理されている廃棄物処理量は有害廃棄物が 30 トンであり、有害廃棄物のうち医療系有害廃棄物が 0.7 トン/日、液体廃棄物が 100 ㎥/日である。
有害産業廃棄物は、事業採算性の問題はあるものの Province(州)境の制限なく収集可能である。一方、医療系有害廃棄物は、Hung Yen 省の他、Vinh Phuc 省、Ha Nam省、Ha Noi 省、Thai Binh 省、Quang Ninh 省からの収集に限定される。
URENCO11 が所有している有害廃棄物の処理ライセンスは、汚泥、有害化学物質、塗料、廃油、重金属、廃酸、洗浄剤等がある。医療系有害廃棄物処理に関しても所有しており、固形の汚染物処理(Waste containing contaminants)及び中毒性のある薬品を帯びた細胞(Cell poisoning pharmaceuticals)の焼却処理を許可されている。
処理施設は、2008 年にフェーズ 1 の開発計画が完成し、10 トン/日の処理能力を持った有害固形廃棄物焼却炉(バッチ炉)及び 1 ㎥/日容量の有害液体処理施設、固形廃
棄物処理施設が稼働している。現在、フェーズ 2 の開発計画が検討されており、200 トン〜250 トン/日の処理能力を持った一般廃棄物処理施設と 30 トン〜50 トン/日の処 理能力の有害固形廃棄物処理施設の建設も含まれている。現在、URENCO11 で定め ている医療系有害廃棄物の処理価格は約 500USD/トンであり、その他の固形廃棄物は、約 50〜100USD/トンである。
(2)採用技術・規模
処理対象とする廃棄物を医療系有害廃棄物と近郊の工業団地から発生する有害産業廃棄物とする。また、Hung Yen 工業団地にて発生する建設廃材、汚泥、廃油、廃酸および廃アルカリも含め焼却施設にて混焼処理するものとする。この施設の普及効果としては、集中処理による廃棄物処理費のコストダウン、混焼処理による燃焼安定化および処理の効率化を期待している。焼却施設の処理量は URENCO11 のヒアリング結果に基づき 30 トン/日とする。採用技術のシステムフローを図表 4.8.3 に示す。
⚫ 供給設備:プッシャー方式(ピット&クレーン+自動供給装置)
⚫ 燃焼設備:ロータリーキルン方式(ロータリーキルン炉+二次燃料炉)
⚫ 排ガス処理設備:乾式排ガス処理方式
図表 4.8.3: システムフロー
(3)考えられる環境影響と対策
燃焼設備ではロータリーキルンおよび二次燃焼炉(JF 炉)にて高温焼却と滞留時間を保持し、安定した有害廃棄物の適正処理を行う。また、排ガス処理設備では消石灰による中和処理および活性炭によるダイオキシン低減対策を行い、焼却炉の稼働にともう周辺環境への負荷低減を図る。下記に示した医療廃棄物の焼却炉からの排ガス基準「QCVN19:2009/BTNMT」等を順守していく。
図表 4.8.4:医療廃棄物焼却炉からの排出基準
【出典:「QCVN19:2009/BTNMT」を基に作成】
また、作業環境にも留意し、これらの実態把握と適正処理を行う必要がある。リサイクル工業団地内には他廃棄物処理設備や埋立処分場が整備されることから、集中管理もしくは個別対応により、適切な管理・運営のもとによって環境影響は低減できるものと考えている。
(4)使用するユーティリティー(水、電気、資材、薬品等)
<ユーティリティー>
図表 4.8.5:使用するユーティリティー
用途 | 使用量 | |
電気 | 自家消費電力 | 1,520MWh/年 |
水道 | 冷却塔 | 112,000t/年 |
燃料(LPG) | 助燃剤 | 492t/年 |
消石灰 | 排ガス処理 | 360t/年 |
活性炭 | 排ガス処理 | 40t/年 |
*収集運搬は範囲外、製品搬出費用は販売管理費に計上。
<人員配置>
焼却施設は 24 時間稼働とし、廃棄物の受入は日勤のみ対応。
図表 4.8.6:人員配置案
人員 | 人数 | 備考 |
マネージャー | 1 | |
運転員 | 16 | 焼却炉運転(4 班×4 名) |
日勤 | 4 | 廃棄物受入、機械メンテナンス |
(5)工場概要(必要な敷地面積、建屋構造の特徴等)
URENCO11 の計画しているフェーズ2 エリア(10ha)へ施設を設置するものとする。保管施設および動線部を除いた焼却施設において必要な敷地面積は 4,500 ㎡(≒40m
×110m)である。主たる建屋はピット&クレーン方式の処理棟前室(360 ㎡×20mH)、ブロワ室(120 ㎡)であり、管理室は 3 階に位置する計画である。
図表 4.8.7:計画敷地概要
【URENCO11 作成】
図表 4.8.8:計画施設概要
(6)事業実施体制案
URENCO11 とクレハ環境で共同事業体(SPC)を設立し、Hung Yen 工業団地にて医療系有害廃棄物を含む有害廃棄物処理施設の建設・運営・管理を行う。資金調達はクレハ環境の出資及び日本国の無償資金協力を前提に検討を進める。
図表 4.8.9:事業実施体制図
(7)初期投資総額、資金調達案
ベトナム国内へ日本製の焼却炉を導入することは、有害廃棄物の適正処理および環境負荷低減が促進される反面、イニシャルコストが高額になるため単独企業での技術導入は非常に困難である。また、環境分野へ割り当てられている国家予算額も未だ低額であり、前述の第 4 回国際環境会議においても、人民委員会や各省から ODA 援助の必要性と重要性が繰り返し述べられていた。
従って、資金調達方法として、日本国政府からの設備資金補助のような資金協力を得てベトナム国の環境問題の 1 つとして解決することが望ましいと考えられる。この場合、本計画においては焼却施設の規模面で熱回収による廃熱利用システムの構築が適切と思われる。
(8)事業性評価
事業運営の現地単価ベースの支出金額により限界処理単価を算出し、現状の処理単価との比較を行った。検討条件を処理量 30 トン/日、稼動日数 300 日/年、運営人員
22 名、減価償却 7 年間とし、設備資金補助無(CASE1)と設備資金補助 50%導入時
(CASE2)の 2 ケースで試算した(図表 4.8.10 参照)。限界処理単価は CASE1 で 31 円/kg、 CASE2 で 24 円/kg 程度となる。現状の現地平均処理単価が約 8 円/kg(100USD/トン)であるので、想定している市場での事業構築構築は困難であるとの評価結果が得られた。
図表 4.8.10:限界処理単価の試算
(9)スケジュール案
事業性の面での課題が非常に大きいが、仮に 2016 年度より実際の事業化作業に移
行する場合には図表 4.8.11 に示したスケジュール(案)となる。
まずは、現地法人の設立等を行い、資金調達を行う。その後、クレハ環境と URENCO11 と共同でSPC を設立し本格的な開発準備を開始し、基本設計、EIA、詳細設計を行う。2018 年初旬から施設建設工事を開始し、2019 年の事業開始となる。
図表 4.8.11:事業スケジュール(案)
(10)まとめと提案/依頼事項
本調査にて明らかになった限界処理単価と現状の処理単価の比較により、想定された市場での有害廃棄物処理事業の事業性は期待できない結果となった。事業性を確保するためには、有害産業廃棄物の中でも高額で安定した処理料金を期待できる PCB絶縁油などの新規処理事業に関しても合わせて検討していく必要がある。さらに、焼却施設の廃熱を利用した熱供給事業等の付帯事業も検討の必要があると考えられ、二酸化炭素の排出削減等新たな事業価値の創出を行うことによって、二酸化炭素の排出削減のほか、収益増加が見込まれる。
5. リサイクル工業団地その他業務①:保税工場化による有価物買取事業
(1)概要
ベトナムにおいては保税区のライセンス(EPE)のライセンスを取得している企業は海外から原料を調達し、ベトナム国内で製造製を行い、製品を輸出している。EPEは原則的に入った原料及び生産量、輸出量をすべて税関に報告しなければならない。
有価物をベトナム国内への販売をする際には通関が必要となり、手続きが煩雑であったり、時間を要することもあることから管理がしづらく、販売できるものであっても廃棄をしたり日本に戻しているケースもある。
本事業においては、輸出加工区のライセンスを取得することで、顧客が輸出加工区内への販売という形で販売できることになり、顧客の税関手続きを簡易化し、適正な販売先に販売することを目的とする。
(2)提案事業の内容
本事業では、リサイクル工業団地内で保税工場のライセンスを取得し、工場内で選別・圧縮・リサイクルなどの加工を行う。その後、国内に販売できるものについては、通関手続きを行った上で国内に販売する。その他のものは、海外に輸出する。販売先については、信頼できるリサイクル先、原料利用先を選定し、追跡システムなどを活用しすべての回収・リサイクル・販売ルートを顧客に対し明確化する。
図表 5.1:保税工場による有価物買取事業概要図
(3)課題と進め方
<輸出加工区ライセンスの取得>
調査の結果、たとえばリサイクル会社が EPE の顧客から有価物を買取り、税関を代行することが可能であることは輸出ライセンスなどを取得することでできることが分かった。ただし、その場合でも顧客からリサイクル会社に渡る際に通関手続きが発生するため、顧客が通関をする場合と同じく時間を要する。
本事業では、リサイクル工場で保税工場ライセンスを取得することにより、顧客からリサイクル会社へ渡る際には、通関手続きは発生せずに、スムーズに販売ができるようになることを目指す。そのためには、政令 No. 29-2008-ND-CP に定められる、保税工場の設立のための諸条件を満し、必要であれば行政との交渉を経てライセンスの取得手続きを行う必要がある。
特に、同政令に輸出加工区は当該地域のマスタープランに従った工業団地内に建設されなければならない、という条件があるため、リサイクル工業団地自体が当該地域のマスタープランに従った工業団地であると認められる必要がある。また、「加工」と認められるための設備の条件などをライセンス発行主体である地元の投資計画局と確認する必要がある。
<リサイクルネットワークと追跡システムの構築>
顧客である排出事業者に対し、常に信頼のできる販売先に販売し、確実にリサイクルがなされたことを報告するために、リサイクルネットワークの構築が必要である。ベトナム国内のみならず、日本・中国のリサイクル事業者と協力し、適正なリサイクルをした上で、顧客にそれを報告することができる体制の構築を行う。
また、ICT システムを活用し、顧客が必要なときにいつでもリサイクルの状況を把握できるようにする。そのための追跡、報告システムを構築する。
• 事業名:共用回収拠点網整備事業
• 事業内容:
– Decision 16 の要求に合致した共用型回収拠点のユニット化
– 回収拠点を全国整備・運営
– RIP 若しくは今後提携する適正処理・リサイクル協力企業への収集網の整備
– 回収製品並びに物流の電子管理システム利用
– 回収量が増加した場合は拠点毎に考慮し拡張
(1) 事業目的
決定 16/2015/QD-TT の施行に伴い対象製品製造者・輸入者に課せられる回収拠点の整備について、現在どの程度回収されるかの見通しが立たない上に、法令順守の観点から当該対象製品の排出が予想される市省全てにおいて拠点を設ける必要性がみられる。本事業では共用型の回収拠点を全市省に最低一か所設け、その建設・運営費用はある一定条件のもと、システム参加が年会費と言う形で負担し合うことで最小限の負担で法令順守ができる仕組みを構築する。更に回収された廃製品については別途商業システムを設定し、有価での運搬・処理・リサイクルを行いながら現在計画している Hung Yen 省でのリサイクル工業団地への廃棄物収集量向上を目指す。
図表 6.1:共用回収拠点網整備事業構成要素のイメージ
(2)対象市場と提供するサービス概要
⚫ Phase1:
回収量が予想できない中で、全 63 市省に設けられる回収拠点を MONRE に申請できる権利を提供する。
⚫ Phase2:
回収された廃製品については電子的な管理のもと、適正な処理リサイクルが行われる仕組みを追加料金で利用する権利を提供する。
なお、会員に登録していない企業の回収製品については当該企業と交渉の上、取扱いについて協議する。
(3)採用技術・規模
今後制定されると考えられる決定 16/2015/QD-TT の細則に基づいた回収拠点要項に基づいて、決定 16/2015/QD-TT に該当するあらゆる製品を最低限受け入れられる“共用回収拠点”をユニット設計し、これを全市省に設置する。
運営並びに回収された製品の管理は電子的に行い、顧客への安心・安全を提供する。
(4)考えられる環境影響と対策
決定 16/2015/QD-TT の細則に従い実施される事業であることから、当該細則の動向を注視して法令順守に努めるものとする。
(5)使用するユーティリティー(水、電気、資材、薬品等)
原則として共用回収拠点に要する水道光熱関連。
(6)工場概要(必要な敷地面積、建屋構造の特徴等)
細則が決まっていない為、現状未定。
(7)事業実施体制案
DECOS を中心に、廃製品回収を行う必要のある大口ユーザー等と連携の予定。
(8)初期投資総額、資金調達案
1 か所 500 万円、本部並びに地方統括拠点を含め 4.5 億円を想定。
(9)簡易財務評価
会員企業 100 社の場合、600 万円/1 社程度の年会費(1 拠点 10 万円/年以下)で権利購入可能となるため、十分可能性があると考える。
(10)スケジュール案
– 2016 年 3 月~5 月
• 調査(法務調査、需要調査(ヒアリング))
• ユニット検討、土地探索
– 2016 年 6 月
• 事業化推進(投資家・顧客募集、ライセンス申請等
– 2016 年 12 月
• 一部開業
– 2017 年 12 月
• 全拠点開業
(11)まとめと提案/依頼事項
決定 16/2015/QD-TT 以外の廃棄物についても、許認可を今後取得して行けばリサイクル工業団地の末端として有効に機能するものと考える。
今後 MONRE への細則の動向ヒアリング並びにユニット化と、大口の支援企業との連携を目指す。
⚫ リサイクル工業団地の視察と実現に関する情報収集
⚫ 導入検討技術の確認、運営状況の視察
Hung Yen 省関係者、URENCO11 関係者(合計 6 名)が来日した。
図表 7.1:日本招聘対象者一覧
No | 氏名 | 性別 | 所属 | 職位 |
1 | Dang Minh Ngoc | 男 | Hung Yen province People's Committee | Vice Chairman |
2 | Nguyen Hung Nam | 男 | Hung Yen province Party Committee | Chief |
3 | Trinh Van Dien | 男 | Van Lam district Party Committee | Secretary |
4 | Tran Van Lam | 男 | Van Lam district Party Committee | Vice Chairman |
5 | Nguyen Minh Ha | 男 | URENCO 11 | Director |
6 | Vu Quy Binh | 男 | URENCO 11 | Deputy Director |
2016 年 2 月 16 日(火)~2 月 21 日(日)
視察は下表の通り、滞りなく実施された。
図表 7.2:日本招聘行程表
日付 | 曜日 | 時刻 | 場所 | 内容 | 食事 | 備考 | ||
0 | 2/15 | 月 | ||||||
23:00 | ハノイ | ハノイ国際空港発 | 集合 | |||||
1 | 2/16 | 火 | 01:35 | HAN | ベトナム航空356便 | 朝食 | 機内 | |
07:00 | FUK | 福岡空港着 | ||||||
08:00 | 福岡 | 福岡空港発-貸切バス | 蛍光灯リサイクル | |||||
10:20 | 福岡 | 北九州エコタウン | 自動販売機リサイクル | |||||
12:15 | 福岡 | 昼食 | ||||||
13:30 | 福岡 | 北九州エコタウン | 自動車リサイクル | |||||
18:00 | 福岡 | ホテル着 | 空き缶リサイクル | |||||
20:00 | 福岡 | 夕食 | ||||||
ホテルニューオータニ博多 | ||||||||
2 | 2/17 | 水 | 朝食 | ホテル | ||||
09:15 | 福岡 | ホテル発(チェックアウト) | ||||||
10:00 | 福岡 | 市内観光 | ||||||
12:20 | 福岡 | 福岡空港着 | ||||||
13:00 | 福岡 | 昼食 | ||||||
14:00 | FUK | 日本航空316便 | ||||||
15:30 | HND | 羽田空港着 | ||||||
16:00 | 東京 | 羽田空港発-タクシー | ||||||
16:30 | 東京 | ホテル着(チェックイン) | ||||||
19:00 | 東京 | 第一ホテル両国(歓迎会) | 夕食 | |||||
第一ホテル両国 | ||||||||
3 | 2/18 | 木 | 朝食 | ホテル | ||||
09:00 | 東京 | ホテル発-貸切バス | ||||||
12:00 | 福島 | 昼食 | ||||||
13:40 | 福島 | クレハ環境(いわき事業所) | 福島県・いわき | |||||
18:30 | 東京 | ホテル着 | ||||||
19:00 | 東京 | 夕食 | ||||||
第一ホテル両国 | ||||||||
4 | 2/19 | 金 | 朝食 | ホテル | ||||
08:30 | 東京 | ホテル発-貸切バス | ||||||
09:45 | 千葉 | 東亜オイル興業所 | 千葉県・勝田台 | |||||
12:15 | 千葉 | 昼食 | ||||||
14:30 | 千葉 | 市川環境エンジニアリング | 千葉県・行徳 | |||||
16:10 | 東京 | アンカーネットワークサービス | 東京都・新木場 | |||||
18:00 | 東京 | ホテル着 | ||||||
21:00 | 東京 | 夕食 | ||||||
第一ホテル両国 | ||||||||
5 | 2/20 | 土 | 朝食 | ホテル | ||||
08:45 | 東京 | ホテル発-貸切バス | ||||||
11:00 | 山梨 | 昼食 | ||||||
12:00 | 山梨 | 観光 | ||||||
14:00 | 静岡 | |||||||
17:30 | 東京 | ホテル着 | ||||||
東京 | 夕食 | 各自 | ||||||
第一ホテル両国 | ||||||||
6 | 2/21 | 日 | 朝食 | ホテル | ||||
東京 | チェックアウト | |||||||
東京 | 昼食 | 各自 | ||||||
13:30 | 東京 | ホテル発-タクシー | ||||||
14:00 | 東京 | 羽田空港着 | ||||||
16:35 | HND | ベトナム航空385便 | 夕食 | 機内 | ||||
21:00 | HAN | ハノイ空港着 |
⚫ 計画した行程通り、滞りなく日本招聘を完了した。
⚫ 北九州市の実例では、国の方針・政策に基づく自治体の決断力と推進力が重要であると認識した。
⚫ iTask 参加各社の施設については、視察したことによって具体的なイメージが湧いた。技術力もさることながら、特に安全管理等のマネージメントが徹底されていると見受け、サイト周辺地域としても信頼できると感じた。
⚫ クレハ環境の焼却施設はまさに URENCO11 が理想とするものである。受入設備等周辺機材・施設を含め、大いに学ぶことができた。
⚫ リサイクル工業団地構想は集荷が想定通り進むかが課題であると考える。海外からの輸入はもちろん禁止であるが、国内の廃棄物の集荷に対して支援できることがあれば検討していきたい。
以下の目的のために現地で「セミナー」並びに「報告会」を開催する企画を立てた。開催目的
⯎ 情報公開することにより排出事業者の認知を得る
⯎ 現地行政府に対するプロジェクト案紹介
8.1 2 月 24 日開催セミナー
(1)目的
主に日系企業並びに中央省庁関係者に対するアイデア披露を通した営業強化の為。
(2)参加者
主な対象者:廃棄物排出事業者, ハノイ市制度設計及び工業団地管理担当者(別途リスト参照)
(3)開催要項並びに当日の演目
<題名並びに副題>
多様な機能の集積による効率的な廃棄物処理・リサイクルセミナー
Hung Yen 省をモデルとしたリサイクル工業団地(RIP)のご提案
<開催要項>
日時:2016 年 2 月 24 日(水)9:00~12:00場所:ソフィテルプラザハノイ
主催:IKE, URENCO, URENCO11
共催: ベトナム国 建設省, INEV (Institute for Environment Industry of Vietnam)
後援:日本国 環境省
<備考>
⚫ 日越同時通訳
⚫ スライド言語: 日本語/英語 及び ベトナム語 による表示及び資料配布
図表 8.1:ハノイ市開催セミナー式次第
時間 | 次第 | 講演者 |
9:00 | 開会の言葉 | |
ご挨拶 | ||
主催者の紹介 | ||
9:15 | ベトナムの廃棄物処理概要 | ベトナム建設省 |
9:30 | ベトナムにおけるリサイクル活動の概要:現 状及び改善の必要性(仮) | INEV 副理事長 Dr. Nguyen Thi Kim Thai |
10:00 | Decision No.16/2015/QD-TTg:使用済み製品の回収・処理に関する規定の概要 | 天然資源環境局(MONRE)ベトナム環境局(VEA) 廃棄異物管理環境改善部(WENID) Mr. Do Tien Doan |
10:30 | コーヒーブレイク | |
10:45 | 廃棄物処理・リサイクル設備集積による効果と利点 | 独立行政法人国立環境研究所 現循環・廃棄物センター 主任研究員石垣 智基 博士 |
11:15 | Introduction of URENCO11 | URENCO 11(Dai Dong) 社長 Nguyen Minh Ha |
11:25 | リサイクル工業団地に関する調査結果と今後の報告性 | 株式会社市川環境エンジニアリングプロジェクト担当 顧問 倉澤 壮 児 |
11:45 | ベトナム国における廃棄物処理・リサイクル事業の展開について | 株式会社市川環境エンジニアリングイノベーション事業室 室長 加賀山 保一 |
Q & A | ||
12:30 | 閉会挨拶 | |
昼食 |
(4)プレゼンテーション資料
資料参照
(5)全体のまとめ、質疑応答
最終参加人数は、合計 66 名であった。参加者からの主要なコメントは以下のとおりである。
主要コメントは以下の通りであった;
⚫ リサイクル工業団地の構想はこれまであったが実現していないので期待している。
⚫ URENCO は信頼できる会社なのでぜひ協力して進めて欲しい。
⚫ 個別事業の選択は法律や支援制度が整っていないものなどは実施時期を考慮すべき。
8.2 2 月 25 日開催報告会
(1)目的
ターゲット参加者をHung Yen 省意思決定者並びにサイト周辺人民委員会関係者に設定し、本事業の政策として取り上げ検討と実行に向けた支援の要請並びに IKE と URENCO11 の間で設立する合弁会社(DECOS Co., LTD)の設立支援の為。
(2)参加者
添付資料参照
(3)内容
日時: 2016 年 2 月 25 日(木)9:00~11:30場所: Hung Yen 市PhoHieu ホテル内
題名: Future industrial development policy from the aspect of providing high-level industrial waste management service in the area
副題: Introduction of “Recycling Industrial Park (RIP)” idea in Hung Yen
主催者:Hung Yen 省天然資源環境局、IKE、 URENCO11
<備考>
⚫ 通訳: ベトナム語-日本語逐次通訳
⚫ スライド言語: ベトナム語
⚫ 参加者: 合計 55 名
図表 8.2:Hung Yen 省開催セミナー式次第
時間 | 内容 | 講演者 | 所属 |
9:00 | 開会挨拶 | - | Hung Yen 省 DONRE 固形廃棄物部長 |
9:15 | IKE の事業活動紹介 | 加賀山保一 | IKE |
9:45 | 調査結果報告 | 倉澤壮児 | IKE |
10:15 | 報告会へのコメント | Mr.Ngoc | Hung Yen 省 人民委員会副議長 |
10:45 | 質疑応答 閉会挨拶 | Mr.Cu | Hung Yen 省 天然資源環境局長 |
(4)プレゼンテーション資料
基本的に前日(2 月 24 日)ハノイで使用したものと同じ。
(5)全体まとめ及び質疑応答
最終参加人数は、Hung Yen 省人民委員会副委員長以下政府関係者 55 名であった。参加者からの主要なコメントは以下のとおりである。
主要コメント:
⚫ 当該プロジェクト並びに IKE と URENCO11 の JV 設立に対して、省としてバックアップを約束する。
リサイクル工業団地では、一定基準以上の廃棄物処理の為の基幹インフラ(廃水処理、中間処理、最終処分)が揃う予定であることから、排出事業者としては委託しやすく、有価物/廃棄物が集まりやすくなる。有価物に関しても量が集まることで比較的高い単価で購入若しくは安い単価で処理が可能となる。
個別事業は、現時点では日本技術を導入する前提で検討している医療廃棄物・有害廃棄物熱処理事業を除き、更なる市場調査の上で当該リサイクル工業団地での事業成立の可能性があるという評価となった。
一方、リサイクル工業団地の初期投資については、やはり現地の一般的な工業団地で提供される標準的なサービス料金だけでは URENCO11 では回収が困難である。しかし URENCO11 は個別の各事業を合弁で運営した場合に期待される収入は従来の URENCO11 単独での計画値より大きくなると予想される。
保税工場化による有価物買取は、投資は小さいので目的通りの円滑な運営ができるのであれば採算性は高いと考えられるものの、通関手続きの簡便さが担保されない限り、顧客のニーズを満足できない可能性がある。
また全国展開を想定した共用回収拠点整備事業については法令順守に基づいて初めて展開できる事業であることから、MONRE における今後の細則制定を注視しつつ、早急な準備をすることとなる。
図表 9.1:各事業の検討結果一覧
9.2 環境負荷削減効果
提案事業 | 排出物 | 対処 | 備考 |
廃油 | オイルスラッジ | 焼却 | 焼却炉燃料削減 排熱回収 |
廃家電 | 可燃廃棄物 | 焼却 | 焼却炉燃料削減 排熱回収 |
IT 資産処分 | 可燃廃棄物 | 焼却 | 焼却炉燃料削減 排熱回収 |
RPF | 廃製品 金属類 | 焼却 分別・販売 | 焼却炉燃料削減排熱回収 |
建廃 | 金属類 規格外製品 | 分別・販売 場内利用(構内道路等) | 資材購入削減 |
医療・有害廃棄物 | 焼却灰 排熱 | セメント固化 場内利用(加温用) | 資材購入削減 燃料費削減 |
⚫ 多様なリサイクルを提供することによってリサイクル原料の域内循環が増える。図表 9.2:廃棄物等の域内活用
*このほか、有価物の販売量が増える事による価格交渉力向上も期待できる。
⚫ バージン原料の購入の減少、CO2 排出量の低減効果がある。
図表 9.3:個別事業の環境負荷低減効果
提案事業 | 回収物 | 効果 | 備考 |
廃油リサイクル | 再生重油 | CO2 削減 (15,404t-CO2/年) | 重油消費量の削減に伴う CO2 削減効果-再生重油製造 CO2 排出量 |
バージン原料削減 | 再生品利用によるバージン 原料置き換え効果 | ||
廃家電 | プラスチック 金属 | バージン原料削減 | 再生品利用によるバージン 原料置き換え効果 |
IT 資産処分 | プラスチック 金属 | バージン原料削減 | 再生品利用によるバージン 原料置き換え効果 |
RPF | RPF | CO2 削減 (3,155t-CO2/年) | 石炭消費量の削減に伴う CO2 削減効果-RPF 製造時 CO2 排出量 |
バージン原料削減 | 再生品利用によるバージン 原料置き換え効果 | ||
建廃 | 再生原料 | CO2 削減 | (バージン採掘+運搬 CO2 排出量)-再選原料製造時 CO2 排出量 |
バージン原料削減 (189,000 ㎥/年) | 再生品利用によるバージン 原料置き換え効果 |
⚫ その他:
⮚ 既存リサイクル村の環境向上:本事業での経験が活かされることによって、環境問題の一因となっている各種リサイクル村のリサイクル工業団地化事業が進む可能性がある(リサイクル事業者をまとめることで弊社の新しい事業形成にもなりうる)。
⚫ 先端的なリサイクル/処理技術の不在:環境負荷を考慮しない簡易的なリサイクル/処理技術を使用している既存事業者が多い。日本からの管理ノウハウや各種技術移転が進み、人材や技術面においてベトナムの処理・リサイクル基盤が底上げされる。
⚫ ベトナム政府(天然資源環境省)では製造者責任法の作成に入っており、日系を中心とした製造者側自身が回収物の管理・適正処理・リサイクルを行うことが難しい:ワンストップで安心・安全な処理やリサイクルサービスを提供できる能力をもつプレイヤーの不在を補うことができる。
⚫ 保税工場から発生する廃棄物は原則ベトナム国内で有価取引ができない。保税区発生廃棄物処理の手間を引き受けることで排出事業者の手間を省く。