ESCO 前の光熱水費から削減が保証
資 料 2
省エネルギー改修事業に係る契約に関する解説資料(案)
3-10 契約書の作成
1-1 省エネルギー改修事業の必要性と意義
環境配慮契約法第5条第2項第3号において、省エネルギー改修事業(以下、「ESCO事業」という。)とは「事業者が、省エネルギーを目的として、庁舎の供用に伴う電気、燃料等に係る費用について当該庁舎の構造、設備等の改修に係る設計、施工、維持保全等(以下この号において「設計等」という。)に要する費用の額以上の額の削減を保証して、当該設計等を行う事業をいう。」とされている。「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制のため実行すべき措置について定める計画(政府の実行計画)」(平成 19 年3月 30 日閣議決定)においても、「ESCO事業導入のフィージビリティ・スタディを実施し、可能な限り幅広く導入する」としているところである。
ESCO事業の内容として、省エネルギー設備等の導入費用をESCO事業者が負担する場合があり、利用者において新たな改修資金を必要としない省エネルギー推進方法として注目されている。このような状況を踏まえ、国等の機関がESCO事業を推進することは、環境への負荷の低減を図るとともに、環境と両立する新しい経済づくりに役立つことが期待されるものである。
なお、環境配慮契約法第7条の規定により国のESCO事業の契約に当たっては、特例として 10 年間以内の債務負担が可能となったところである。
1-2 本解説資料の使い方
本解説資料は、環境配慮契約法に基づく基本方針に定められた、省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項を踏まえ、調達者が具体的にESCO事業に係る契約を締結する際の参考として使用されることを想定したものである。
本解説資料は、省エネルギー改修事業に係る契約に当たっての考え方や具体的な内容、実際の事務手続等について説明したものである。国土交通省の「官庁施設のESCO事業実施マニュアル」(平成 18 年 3 月)及び(財)省エネルギーセンターの「ESCO導入のてびき
(自治体向け)」(平成 18 年 8 月)をもとに、国庫債務負担行為の延長や設備更新を伴うE SCO事業についての対応を検討、整理したものである。
なお、本解説資料に示した事例は参考例であり、企画立案、発注等は諸条件を踏まえて適切に対応することが必要である。
1-3 ESCO事業の概要
一般に、ESCO事業では、事業者が建物の簡易な省エネルギー診断をそれぞれ行い、省エネルギー効果の大きい設備改修や施設運用方法の改善などの技術について提案を行う。顧客は、この提案を基に事業者を選定し、当該事業者の提案に基づいた設計、施工、及び保守・運転管理等を含む複数年のサービスを提供される。なお、事業費の支払いに当たっては、定期的に省エネルギー効果の計測・検証を行い、保証された効果を確認することにより契約された額を毎年度支払うこととなる。
発注者がESCO事業に設備機器等の更新を指定し発注する場合については、環境配慮契約法第5条第2項第3号でいう「維持保全等」に係る費用には、設備の単純更新に係る費用が「電気、燃料等」に含まれると解釈する。
ESCO事業総事業費
更新改修費
ESCO 前の光熱水費から削減が保証
ESCO事業者の経費
返済分
光熱水費
+ 維持保全に係る
費用
改修前
改修後
ESCO
前
ESCO
期間中
ESCO
終了後
通常の設備改修の場合
ESCO事業の場合
図 1-2 通常の設備改修とESCO事業
ESCO事業の契約は、設計業務、施工(設備システムなどの改修)及び維持管理業務等を一括として締結するものであるため、事業の全てを一社で実施することは少なく、複数の企業から構成されるコンソーシアム等と契約を結ぶことが一般的である。
国等及び地方公共団体においては、コンソーシアム等と契約を結ぶ際の制度として、以
下のように整理された設計・施工一括発注方式が導入されているところ1。ESCO事業においても、設計・施工一括発注方式を採用し、におけるコンソーシアムの各構成員の責任を明確にする必要がある。
[契約の性格]
❑ 設計は準委託契約(ただし、詳細設計は請負的性格が強い)
❑ 施工は請負契約
❑ 契約は設計の部分と施工の部分からなる一本の契約(価格は設計と施工それぞれに定める)
[企業連合の性格]
❑ 建設コンサルタントは設計の責任を負い施工に関する連帯責任を負わないことを、建設会社は施工の責任を負い設計に関する連帯責任を負わないことを明記する。
[瑕疵責任の考え方]
❑ 発注者は自らの指示による瑕疵については責任を負う。
❑ それ以外の瑕疵については、コンソーシアムの構成員のいずれかの瑕疵であり、設計の瑕疵については建設コンサルタントが、施工の瑕疵については建設会社が負う。
ESCO事業の契約は、設備改修、維持管理及び運用等を対象とするものであることから、「政府調達に関する協定」(平成 7 年条約第 23 号)が適用される調達の対象となるサ
ービス(「サービス」の適用範囲は、政府調達協定付属書Ⅰ付表 4 に特定されており、E SCO事業に直接・間接に関連すると考えられるサービスの例としては、建設工事、建設のためのサービス、エンジニアリング・サービスその他の技術的サービス2が考えられる)及び対象外のサービスの双方を包含する混合的な契約になる可能性がある。そのため、E SCO事業の実施に当たっては、省エネルギー診断の結果を踏まえて、いずれのサービスに該当するかを判断する必要がある。
ESCO事業の契約方式には、表 1-1 に示す2つの方式がある。
1 中央建設業審議会ワーキンググループ第二次中間とりまとめ」(平成 19 年 3 月 15 日)
2 建設サービスに関連する建築のためのサービス、エンジニアリング・サービスその他の技術的サービスに限る。ただし、独立して調達される場合の次のサービスを除く。
・建築設計サービスの実施設計サービス
・契約管理サービス
・基礎及び建築構造物の建設のためのエンジニアリングデザイン・サービス、建築物の機械及び電気の設備のためのエンジニアリングデザイン・サービス又は土木建設工事のためのエンジニアリングデザイン・サービスのうちいずれかの実施設計、仕様書の作成及び費用の見積りの一又はこれらの組合わせからなる設計サービス
・建設及び設置工事段階におけるその他のエンジニアリングデザイン・サービス
表 1-1 ESCO事業の契約方式の比較
契約方式 | 特 徴 |
ギャランティード・セイビングス契約 | ・国が初期投資(設計・施工)に係る資金調達を行う。 ・国はESCO事業者と光熱費等の削減保証を行うためのパフォーマンス契約を結ぶ。 ・初期投資年度の予算支出が突出する。 |
シェアード・セイビングス契約 | ・ESCO事業者が初期投資を含め必要な資金調達を行う。 ・国はESCO事業者と削光熱費等の減保証を行うためのパフォーマンス契約を結び、改修等の費用の対価を分割で支払う。 ・契約期間内で予算支出の平準化が可能である。 |
2-1 ESCO事業の導入フロー(計画段階)
ESCO事業の計画段階の概略のフローは図 2-1 のとおりであるが、ESCO事業の範囲又は事業者選定方式(総合評価落札方式又はプロポーザル方式)によって、予算化の手続等が異なるため、計画段階において事業の全体を詳細に検討することが重要である。
改修施設の実態把握
長期供用計画の作成
ESCO事業導入可能性判断
予算化の手続
図 2-1 ESCO事業の導入フロー(計画段階)
ESCO事業導入の検討に当たっては、まず改修施設の実態把握が必要である。以下に示す項目等を調査、整理し、国の機関にあっては原則として簡易な診断(以下、「簡易省エネルギー診断」という。)を行う。
❑ 建物概要
❑ 設備概要
❑ 施設の運用状況
❑ 過去3箇年のエネルギー種別ごとの消費量及び水の消費量
❑ 設備の運転状況
❑ 改修履歴、改修計画予定
簡易省エネルギー診断の概要は次のとおり。
❑ 設計図又は完成図を基に、現状を把握する。
❑ 省エネルギー技術をリストアップする。
❑ リストアップした省エネルギー技術に関する必要なデータ整理し、エネルギー消費傾向を把握する。
❑ リストアップした省エネルギー技術に関するヒアリング項目を整理し、必要に応じ現地調査を行う。
❑ 省エネルギー技術ごとにおおよその費用対効果を算出する。
なお、官庁施設においては国土交通省がグリーン診断を実施しており、各施設のグリーン診断結果を分析することで、改修施設の実態のおおよその把握が可能である。
2-2 長期供用計画の作成
公共機関においては、行政改革の中で今後も効率化が推進され組織の再編等が活発に行われていく可能性がある。
ESCO事業は長期にわたる事業であるため、ESCO事業の実施に当たっては、組織変更や事業の見直し等によるリスクについても留意する必要がある。
このため、当該施設の長期的視点に立った運用のための計画に加え、周辺の他の国有施設全体の運用計画の中で、適切な当該施設の供用計画(長期供用計画)を立案する必要がある。
2-3 ESCO事業導入可能性判断
国の機関にあっては簡易省エネルギー診断等の結果を基に、エネルギー多消費傾向が見られる施設から、xx、ESCO事業の導入可能性判断を行う。
当該施設への導入が見込めそうそうな省エネルギー技術について、次の①及び②に従いE SCO事業への採用の可能性を検討する。
計測・検証が著しく困難なもの以外をすべて抽出する。計測・検証方法については、「3
-3(3)計測・検証方法」による。この際、他の改修計画がある場合は、これが実施された時の省エネルギー効果への影響についても可能な限り考慮する。
①により抽出された省エネルギー技術ごとに、それぞれ光熱水費削減額、改修工事費、投資回収年数等を算出し、費用対効果のあるものを採用の可能性が高い技術とする。
「(1)①」により抽出された技術のうち、「(1)②」により採用の可能性が高いとした技術を中心に集約し、さらに次の条件を満たす場合は、国等の機関にあってはESCO事業の導入可能性を検討する。
①建物全体のエネルギー消費量が一定割合以上削減されること
②ESCO事業としてのふさわしい事業規模が確保されること
③集約した技術全体の改修工事費を適宜想定した事業期間内の光熱水費削減額・設備の単純更新に係る費用で賄えること
④その他、施設ごとに必要とされる与条件を総合的に判断し、事業化が適切であること
2-4 ESCO事業実施の適否
国の機関にあっては、ESCO事業導入の可能性のある施設に対して、ESCO事業の規模(事業実施にかかる総費用)、効果の計測検証方法、ESCO事業実施にかかる与条件等について、可能な限り詳細に検討、整理することを目的としたフィージビリティ・スタディを実施する。
なお、フィージビリティ・スタディの実施者は次の要件を全て満たす者の中から適切に選定する。
①建築設計、建築設備設計及び積算業務に精通している者
②グリーン診断あるいは省エネルギー診断を行った実績を有する者
③その他、必要な要件を満たす者
ただし、ESCO事業のxx性、透明性の観点から、フィージビリティ・スタディを実施した者、または、その関係者(フィージビリティ・スタディを実施した者と直接資本若しくは人事面において関連のある者)は、ESCO事業の実施者としての資格を有しないものとする。
フィージビリティ・スタディの結果に基づき、ESCO事業実施の適否を検討する。以下の要件を考慮するものとする。
❑ フィージビリティ・スタディで省エネルギー効果が高い技術について検討し、事業として成立しうる技術を仮決定する。
❑ 仮決定した技術をもとに、事業期間を考慮し、CO2削減効果が最大となる組み合せにより、事業規模を算定する。
❑ 事業規模の算定に当たっては、次の費用を含める。
・現地調査、設計図書等の作成及びその関連業務に係る費用
・省エネルギー改修工事及びその関連業務に係る費用
・設備の維持管理に係る費用
・計測・検証に係る費用
・金利、その他
❑ 光熱水の原単位の設定については、次の例を参考とし適切に設定するものとする。
・電気 必要な場合は各月別または技術別に設定する。
・ガス 一般用と空調用を設定し、空調用に関しては必要に応じて季節ごとに設定する。
・上下x x水+下水の削減額として設定する。
検討の結果、ESCO事業として成立し、かつ、ESCO事業としてふさわしい事業規模が確保される場合は、ESCO事業の導入が適当であると判断する。
また、管理官署が異なる複数の施設を一つのESCO事業とする可能性についても検討する。
2-5 予算化の手続
国の機関においては、予算要求に当たって、ESCO事業導入の検討結果を踏まえ、ES CO事業を実施する際の事業スキームを整理する必要がある。整理すべき事項は、概ね次のとおりである。
①契約方式
②事業方式
③事業期間
④事業スケジュール
⑤官民のリスク分担
⑥業績監視
⑦予算種別
なお、上記項目の整理に当たっては、次を考慮する。
ESCO事業の契約方式には、ギャランティード・セイビングス契約及びシェアード・セイビングス契約があり、それぞれの特徴を考慮の上、方式を選択する。
事業方式には、BTO(Build-Transfer-Operate)方式及びBOT(Build-Operate-Transfer)方式があり、それぞれの特徴を考慮の上、方式を選択する。
なお、国が実施した「経済産業省総合庁舎ESCO実証事業」(平成 17 年 2 月実施)においては、BTO方式を採用している。
表 2-2 事業方式の比較
事業方式 | 特 徴 |
BTO方式 | ・設備等の完成後、所有権を国に移転する。 ・国が設備等を所有するので、設備等の所有に伴う税金の負担は事業者に生じない。 |
BOT方式 | ・事業の終了後、所有権を国に移転する。 ・事業者が設備等を所有するので、設備等の所有に伴う税金の負担が事業者に生じる。 ・国が所有する施設において、一部設備を事業者が所有することに なるので、管理が複雑になる可能性がある。 |
ESCO事業の事業規模に基づき、10 箇年度を限度して事業期間を設定する。
契約、設計・建設及び維持管理をどの時期に行うかにより、予算の年度配分額に影響が出る。このため、予算要求段階に事業スケジュールを整理する。
官民のリスク分担により、事業者が負担するリスク対策費を、事業費に積む必要がある項目を整理する。
業績監視を行う際に、財務状況等の監視のために、アドバイザーと契約する必要がないかを整理し、必要な場合はその予算確保に留意する。
ESCO事業を実施する際の予算の種別は、施設整備費、施設施工庁費等が考えられるが、調整を要するので留意する。
ESCO事業の実施に当たっては、設計、施工、維持管理業務等を一括で行う複数年契約となることを踏まえて予算要求を行う。
ESCO事業の対象とするべき項目については、施設の修繕計画との調整を図り、改修内容の重複等が起こらないようする。なお、主な項目は、次のとおり。
❑ 現地調査、設計図書等の作成及びその関連業務に係る費用
❑ 省エネルギー改修工事及びその関連業務に係る費用
❑ 設備の維持管理に係る費用
❑ 計測・検証に係る費用
❑ 金利、その他
ESCO事業について、設備更新に伴う初期投資を必要とするものも含めて、予算化の手続を示す。
既に予定されている設備更新においても、他の省エネルギー技術と組み合わせることにより、ESCO事業として成立する可能性が考えられる。
予定
されている更新改修費
組み合わせて大きな事業に
ESCO事業者の経費
返済分
光熱水費
+ 維持保全に係る
費用
光熱水費
+ 維持保全に係る
費用
改修前
改修後
ESCO
前
ESCO
期間中
ESCO
終了後
図 2-1 予定されている設備更新と他の省エネルギー技術を組み合わせた場合の経費のイメージ
既に予定されている設備更新を含めて、全体を1つのESCO事業とする場合、以下の点に注意する必要がある。
❑ ESCO事業期間中に発生する費用は、サービスへの対価であり、更新改修費とは予算項目が異なることがあるため、財務省担当部局と調整する必要がある。
❑ 省エネルギー診断の結果等により、予算化されている更新改修費を発注時に算出される予定価格が下回る場合があるが、その場合にあっては残額の予算については、ESCO事業に流用することは原則認められない。3
通常、事業を実施する場合は、原則として予算要求時と同じ工事種目で事業を実施する必要がある。このため、ESCO事業の実施において、予算要求時段階と事業実施段階での工事種目が異なることが想定される場合は、財務省担当部局と協議が必要となる場合がある。
3 「財政法」(昭和 22 年 3 月 31 日法律第 34 号)第 33 条 2 項:各省各庁の長は、各自の経費の金額については、財務大臣の承認を経なければ、目の間において、彼此流用することができない。
2-6 プロポーザル方式による導入計画
一般には、プロポーザル方式により事業者を選定する場合は、詳細な省エネルギー診断及び最終的なESCO事業実施の適否の判断については、事業提案を行った応募者の中から、優先交渉権者を決定した後に、優先交渉権者が行うことになる。
ESCO事業者をプロポーザル方式で選定する場合であっても、整理すべき事業スキームや予算要求項目は前述2-5と基本的に同様であるが、次の点に留意する。
プロポーザル方式の性格上、結果として事業者が予算規模の上限を超える提案をする可能性があるため、予算要求時における事業規模の想定、及び事業実施時において事業者提案金額が予算規模を超えた場合の措置について整理する必要がある。
事業者提案が予算規模を超えないようにする対応策として、事業者選定後に予算要求をする方法もあるが、予算化手続きのスケジュールによっては、事業者選定後1年以上事業が実施できないことが想定される。
なお、地方公共団体においては事前に提案公募に係る経費のみを予算化した上で、最優秀提案に基づく金額によって予算額を設定した事例4もある。
4 例えば、大阪府立羽曳野病院ESCO事業では、大阪府が、最優秀提案を行った提案者と詳細協議した上で予定価格を作成し、予算化している。ただし、当該事業は、提案募集概要書の中で選定後の取り扱いを示しており、予算化されなかった場合は事業化されないという停止条件付きの提案募集である。
3-1 ESCO事業の導入フロー(事業者選定・契約段階)
「省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項」では、「ESCO事業者の決定にあたっては、価格のみならず、その施設の設備システム等に最も適し、かつ、創意工夫を最大限に取り込む技術提案その他の要素について総合的に評価を行うこと」とされている。当該基本的事項に則る方式として、総合評価落札方式とプロポーザル方式が考えられる。
これらの方式については、表 3-1 のような特徴があり、法令等の制約の範囲内で、適切な方式を選択する。
表 3-1 入札契約方式の比較
契約方式 | 概要 | メリット | デメリット |
総合評価落 札方式 | ○事業提案とともに公示価格を含めて事業者を選定 | ○事業提案内容と価格との関係における透明性が確保 ○発注者が想定する省エネルギー効果等を上回る優れた事業提案に対し、価格を踏まえた評価が可能 | ○評価の低い提案でも低価格の事業者が選定されるおそれがあり、その対策が必要 ○提案時の事業提案の内容を原則変更できないので、公募時に詳細な調査・ 診断結果が必要 |
プロポーザ ル方式 | ○事業提案に基づき、事業者を選定 | ○一般的に、事業者は予算規模の上限を超えない範囲での幅広い提案が可能 | ○結果として予算規模を超えた事業提案が提出されるおそれがあり、その対策が必要となる ○事業者特定段階で提案x xの実施が確約されていない |
なお、公募型プロポーザル方式は、技術提案を公募して、提出されて技術提案書に基づき事業者を選定し、随意契約を行う方式であるが、採用に当たっては以下の整理が必要である。
❑ 随意契約の理由
🡺 事業内容は、施工の占める割合が最も大きいが、技術資料を作成する者が施工を行うのに最も適している、という理由に関する整理
❑ 技術提案書の時点で事業内容が確定していないなどの事業者選定上の問題
🡺 不確定な技術提案書により事業者を決定すると、適切な提案をした者より、結果として実施が困難な提案をした者を選定してしまうおそれがあることに対する整理
入札準備
(2)総合評価落札方式によるESCO事業の導入フロー例(事業実施段階)
契 約
契約書の作成
事業者決定
入 札
提案内容等の審査
ヒアリングの実施
技術提案書の受領
現地見学等
公 告
技術資料作成要領の作成
予定価格の算定
与条件の設定
審査内容の設定
参加要件の設定
入札公告・提案審査
事業者決定
x 約
図 3-1 総合評価落札方式による、ESCO事業の導入フロー例(事業実施段階)
(3)プロポーザル方式によるESCO事業の導入フロー例(事業実施段階)
特定事業の選定結果の公表
PFI法に基づく場合に必要な事務手続き
現場ウォークスルー調査
図面等資料の配布
資格審査結果及び提案要請書の送付
参加表明書及び資格審査書類の受付
説明・質問回答書配布
質問受付
募集要項及び資料配布
特定事業の評価・選定
意見の受付/回答の公表
実施方針の公表
実施方針の策定
ESCO提案書の受付
優先交渉権者の選定、審査講評、結果通知
詳細診断・契約書作成協議
ESCO契約書締結
図 3-2 プロポーザル方式による、ESCO事業の導入フロー例(事業実施段階)
ESCO事業提案を募集するに当たり、事業概要及びその他応募条件等を示す募集要項を作成し、関連資料とともに配布する。
応募を検討している事業者からの募集要項に関する疑問点や質問を受け付け、説明をし、質問へ回答する。
参加を希望する事業者からの参加表明書及び応募条件や資格要件の確認に必要な書類等を受付け、応募者の資格審査を行う。
資格審査結果及び提案要請書を送付する。また、次項に示す資料等を配布する。
(参考)主な配布資料
❑ 施設概要
❑ 過去3年間の月別光熱水費(電気、ガス、油、水道)及び使用量、供給約款形態
❑ 建物外観図(平面図、立面図)
❑ 各階平面図(ダクト図、照明機器配置図)
❑ 系統図(電気、衛生、空調)
❑ 竣工図(電気、衛生、空調)
❑ 単線結線図
❑ 機械室配置図(熱源機械室、空調機械室)
❑ 機器リスト
❑ 設備稼働状況データ
❑ 事前省エネルギー診断調査資料 など
参加事業者が提案書作成のために最低限必要な1日程度の現地調査を実施する。
30(実労働)日間程度を提案書作成期間として設け、ESCO提案書を受け付ける。
予め評価委員会等の承認を経た提案書審査評価xxに従い、最優秀の提案を行ったES CO事業者を選定し、その後速やかに審査の講評や事業者への結果の通知を行う。
詳細診断に基づいて包括的エネルギー管理書等を作成し、契約書作成に係る詳細協議に入る。
3-2 事業者の応募に関する事項の規定
事業者の応募に関しては、広く提案を求めるために、入札参加希望者が不当に参加を制限されることのないようxxに配慮することが重要である。
一方、施設が必要とするサービス水準を確保するためには、競争参加者に対し、事業実施に必要な業許可及び類似の経験についての要件設定を行う必要がある。
ESCO事業を実施する事業者は、設計、工事及び導入した設備等の維持管理業務に加え、資金調達や事業計画の立案等の包括的なサービスを提供することから、一社で全てを実施する他に、代表企業と構成企業による企業グループ(コンソーシアム)を構成することや、特別目的会社(SPC)等の特定のESCO事業を目的とした法人を構成することが考えられる。ESCO事業のように小規模なプロジェクトでは、特別目的会社(SPC)等は一般的ではなく、通常、企業グループで実施される。
したがって、各役割及び各役割に対する要件の設定は、以下を参考とし、必要に応じ適宜設定する。
設計役割は、設計業務の技術上の管理及び統括に関する業務を担う。
設計役割には、建築コンサルタントとしての能力が求められるため、通常の設計委託業務と同等の要件を設定することが考えられる。
工事役割は、ESCO事業の実施に必要な、施設の設備システム等の改修工事を担う。工事役割には、品質の確保のために、対象となる改修部位等の規模及び技術的難易度に 応じた技術力が求められる。このため、工事実績(建物用途、施設規模、工事種別)、配
置予定技術者の工事経験等、必要な要件を設定する。
なお、ESCO事業の事業費は、省エネルギー効果による光熱水費等の削減額で事業費をまかなうことから、対象となる設備システム等全体の新設(あるいは全面的な更新)に要する費用に比べ少額となる。このため、場合によっては、単純に改修工事に要する金額に応じた発注標準に見合う工事業者のみでなく、上位の発注標準に位置する工事業者にも参加資格を与えることが考えられる。
導入した設備に係る維持管理の他、計測・検証に必要な業務等を担う。このため「役務の提供等」の資格を要件として設定することが考えられる。
なお、事業のxx性を確保するため、フィージビリティ・スタディを行った者又はこの者と資本若しくは人事面において関連がある者など、競争に際しxx性を欠く立場の者は応募できない条件とする。
この他、省エネルギー保証を含む事業全体の調整や資金調達のみを担う役割を設定する場合は、不良不適格業者の参入排除に十分に留意する必要がある。。
総合評価落札方式により事業者を決定するに当たっては、提案された技術についての採否の判定及び当該施設に適しか技術について評価を行うための審査が必要になる。
このため、当該施設に求めている改修内容を想定し、提案の採否の判断及び優秀な提案における採点基準及び加算点を事前に決定しておく。
事業のxx性の観点から応募者の提出する技術資料についての審査項目及び審査方法については、公表しておくことが重要である。
〔必須事項の審査の例〕
すでに当該施設に採用されているものと同様の技術が提案される場合もある。このため、提案技術の内容を十分に把握し、実現可能性の分析を行い、実現可能性のない技術は不採用とする。
ESCOサービス料の支払いに当たっては、削減効果の実績値に基づき支払額が決定されるため、計測・検証を確実に行うことが必須条件となる。
一般に、施設全体のエネルギー消費量からの削減効果が大きい場合は、ベースラインを用いて施設全体の使用量から把握できる場合もあるが、事務庁舎などの業務特性からエネルギー使用量が少ない傾向のある施設は、削減効果を施設全体のエネルギー使用量全体から把握することが困難な場合も多い。
このため、技術資料においては導入する省エネルギー技術の計測・検証方法の記載を求め、審査時において提案された方法により検証可能か判断し、採否を決定することが重要である。例えば、効果量を計算により推計するものなど、計測できない技術は不採用とする。
なお、ベースラインを用いて全体量から把握する場合もベースラインの変動方法などを審査する必要がある。
光熱水費削減額及び二酸化炭素排出の削減量が、入札条件で設定した最低ラインを超えているかを確認する。なお、必要に応じ削減量等の算定根拠をヒアリング等で確認する。
〔加算対象の例〕
省エネルギー技術においては、光熱水費の削減と二酸化炭素の削減は単純に比例しないため、特に二酸化炭素の削減を重点的に評価する場合は二酸化炭素排出量について加点評
価を行う。加点の設定に当たってば、二酸化炭素の削減量を金額換算するなどにより点数化する手法もある。
ESCO事業により導入した機器等は、事業期間終了後も削減効果があることを考慮すると、長寿命の機器の方が発注者にとって有利となる。このため、長期耐用性の観点から評価を行い、長寿命の機器を導入しているものを高く評価する。
ESCO事業により導入される技術は、システムの一部のみ更新される場合や機器の追加となる場合がある(図 3-3)。このため、導入した機器が、更新していない部分に与える影響を考慮し、他の機器の故障を引き起こすおそれの無い技術や故障時に責任分担が明確なものを高く評価する。
既存機器1 | 追加機器 | 既存機器2 | |||
※既存機器2の故障時に原因が不明確となる。
図 3-3 既存設備に対する影響例
導入した機器の維持管理は、事業期間中はESCO事業者が行うものの、事業期間終了後には施設管理者(または維持管理等業務を外注している場合はその受注者)が行うこととなる。このため、提案技術に必要な維持管理が施設管理者にとって過度な負担とならないかなどの長期的視点から評価し、負担の少ないものは高く評価する。
事業者は連帯責任を負うこととされているものの、事業者の連携によって効果は変動することが想定される。このため、事業者の構成を加点対象とし、各役割の業務が明確であり、十分に連携の取れる体制を組んでいる事業者を高く評価する。
総合評価落札方式は、応募者から提出される技術資料により提案内容の評価を行い、入札価格が予定価格の制限の範囲内にあるもののうち、評価値の最も高いものを落札者とする方式である。評価値の算出方法としては、加算方式と除算方式があるが、事業内容等を考慮し適切に選定する。
価格以外の要素を数値化した技術評価点を入札価格によって除算することにより評価する方式(評価値=技術評価点÷入札価格)を除算方式という(図 3-4)。公共工事の場合には、技術評価点は基礎点(要求要件を満たしている場合に与えられる得点)及び加算点
(必須とする項目以外について与えられる得点)からなる。
この方式においては、適切な改修を行なう技術提案が高く評価されるように、加算対象となる項目を十分検討し、適切に加算点の配分を設定することが重要となる。
なお、等評価値線(技術評価点を入札価格で除した値がなす直線)は、原点と各点を結ぶ放射状の直線であり、この傾きが大きいものほど評価値が高い。
基礎点+加算点
●D
●B
●A
●C
評価値大
入札価格が予定価格の範囲外の領域
最低限の要求水準を満たさない領域
基礎点
予定価格
B(落札者)>A>C(欠格D)
図 3-4 除算方式のイメージ
入札価格
価格以外の要素を数値化した技術評価点と、入札価格を数値化した価格評価点を加算することにより評価する方式(評価値=技術評価点+価格評価点)を加算方式という(図 3
-5)。
一般的に、価格評価点は入札価格が低いほど大きくなるため、等評価値線(技術評価点と価格評価点を加算した値がなす直線)は右上がりの平行線(傾きは入札価格の数値化の方法により決まる)となり、評価値線が左上にあるものほど評価値が高い。
技術評価点
評価値大
●D
●B
●A ●C
入札価格が予定価格の
範囲外の領域
価格評価点大
予定価格
B(落札者)>A>C(欠格D)
図 3-5 加算方式のイメージ
入札価格
財政法の規定により行う場合は、評価の方法について財務省との個別協議が必要になる。 ESCO事業は、自由な提案を求めるため、省エネルギー技術の想定により改修内容及び それに要する費用が変動する。ただし、総合評価落札方式においては予定価格以上の入札を行った者は欠格となるため、標準改修図の提示などにより過度な改修が提案されないように
配慮する必要がある。
国においては、現段階までプロポーザル方式によってESCO事業者を選定した事例がないため、地方公共団体における評価項目の例を示す。
例を参考にしてプロポーザル方式における評価基準を適宜設定すること。
①事業期間内の利益総額が大きいこと。
②契約期間中の各年の自治体の利益がある程度見込まれること。
③光熱水費削減保証額が高いこと。
④資金調達計画が信頼できること。
⑤契約期間が可能な限り短いこと。
⑥ESCO 事業に係る補助金等の可能性の提案があること。
⑦対象建物全体の省エネルギー率が 0%以上であり、省エネルギー効果が充分にあること。
⑧二酸化炭素排出の削減効果が高い等、地球温暖化対策が考慮されていること。
⑨NOx,SOx,ばいじん、騒音等についての環境性が配慮されていること。
⑩技術・提案に具体性・妥当性があること。
⑪提案に独自性や特殊なノウハウが含まれること。
⑫既設機器の更新に係る改修が考慮されていること。
⑬設備維持管理、計測・検証方法及び運転管理方針の提案に具体性・妥当性があること。
⑭優れた品質管理を行い、期限までに確実に工事を完了し、自治体に ESCO サービスが提供できること。
⑮ESCO契約期間終了後の対応について提案があること。
⑯提案が全体としてバランスが良く優れていること。 なお、④、⑦、⑩に失格規定が設けられている事例もある。
3-3 与条件の設定
ESCO事業では、改修の内容により施設の室内環境の性能が変化することがあるため、事前に要求される性能の水準を与条件として設定する。
室内環境の性能としては、照度、温度、空気環境等が考えられるが、各室の用途に応じて必要な性能を適切に設定し、与条件として明記する。現状を維持するのであれば、現在の施設が有している性能水準を設定し、現状より水準を向上させる必要がある場合には、必要な性能水準を設定する。
その他、各室の使用時間、人員密度、OA機器の配置等、要求される水準を設定する。 現在の水準と異なる条件を設定する場合は、計測・検証に係るベースラインが異なること
になるため、ベースラインの補正方法についても、適切に検討し、設定すること。
なお、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に規定された水準(二酸化炭素の含有率、温度、相対湿度など)により設定することも考えられる。
提案対象の範囲としては、改修してもよい範囲という意味の「改修対象範囲」と、提案される可能性がある技術のうち実際に採用可能な範囲という意味の「提案技術の範囲」の2種類がある。それぞれ、次の点に注意しながら、事業者の創意工夫々技術力を活かせるように、適切に設定するものとする。
改修対象範囲は、既に別件で予算付けがされている部分や改修された直後で会計検査対象となっている部分など、事業提案が行われても採用できない部分を除いた範囲とし、事前に事業対象外である部分は明記する。
提案技術の範囲は、必ずしも「2-2 予算化の手続き」で予算要求時に仮定した技術に限定し、設定する必要はない。ただし、道連れ工事として発注を予定する技術や、当該施設が特に必要としている技術等については、必須項目とする。
なお、原則として、予算要求時と同じ工種で事業を実施する必要があるため、工種を条 件として設定する必要がある(予算要求時の工種と、事業実施段階での工種が異なることが想定される場合は、財務担当部局と協議が必要になる場合がある。)。
計測・検証方法に関する与条件設定については、計測・検証が確実に行えることが原則であることに留意し、適切に設定する。さらに、計測・検証に係るベースラインの設定についても適切に設定し、「3-3(1)施設に要求される水準」で、水準の設定を現状と異なるものに設定した場合は、ベースラインの補正方法についても明示すること。
また、改修対象範囲毎または提案技術毎に、計測・検証方法を指定する必要がある場合には、次の代表的な4つのオプション(選択肢)を参考に、適切に設定する。ただし、「3-
2(2)事業提案の審査内容の設定」との整合についても留意する。
なお、オプションは省エネルギー対策範囲のエネルギー用途、機器の特性及びかけられるコストを考慮して選択しなければならない。
1)オプションA
省エネルギー対象機器毎のエネルギー消費量の差を算出するのに、設備容量、稼働時間、及び省エネルギー率を乗じて省エネルギー効果を評価する。設備容量の設定は、省エネルギー対策の前後に1回又は短期の実測を行う場合と、メーカーのカタログデータを使用して推定する場合がある。
〔ベースラインの設定例〕
・一定消費電力機器、器具、システムの場合=対策前機器の消費電力×
機器数×稼働時間
2)オプションB
省エネルギー対策前後に、対象機器の出力(能力)、エネルギー消費などを一定期間あるいは長期計測する。
〔ベースラインの設定例〕
・一定消費電力機器、器具、システムの場合=対策前機器の消費電力×
機器数×稼働時間
・負荷連動機器 =相関が強いパラメータを用いた統計解析モデル式
3)オプションC
施設全体のエネルギーまたは系統別エネルギー消費の実測結果、あるいはエネルギー供給会社の料金請求書をもとに統計的処理を行なう。
〔ベースラインの設定例〕
相関が強いパラメータを用いた統計解析モデル式
4)オプションD
空調熱負荷シミュレーター、空調用エネルギー消費シミュレータ一等を使用し、熱負荷又はエネルギー消費を推計して、省エネルギー効果を求める。
光熱水の原単位は、二酸化炭素排出量削減の原単位については地球温暖化対策の推進に関する法律を、光熱水費削減の原単位については次の例を参考に適切に設定する。その他、必要な項目があれば、これらに準じて適切に設定するものとする。
光熱水費削減額の原単位については、単位は[円/kWh]とし、必要な場合は各月別または技術毎に設定する。ただし、各月別の削減量が一定と見込まれる場合は、年間平均単価としてもよい。
光熱水費削減額の原単位については、単位は[円/Nm3]とし、一般用と空調用を設定する。また、空調用については、必要な場合は季節ごとに設定する。
光熱水費削減額の原単位については、単位は[円/m3]とし、上水十下水の削減額として設定する。
3-4 予定価格の算定
国の事業では、会計法により予定価格の範囲内で契約を締結すること5となっており、予算決 算及び会計令において予定価格を作成すること6となっているため、採用する入札方法に応じた適正な予定価格を入札前までに作成することが必要である。
予定価格の積算については、予算化された項目に基づき、フィージビリティ・スタディの積算結果を精査する。
5 「会計法」(昭和 22 年 3 月 31 日法律第 34 号)第 29 条の 6 第 1 項
6 「予算決算及び会計令」(昭和 22 年 4 月 30 日勅令第 165 号)第 79 条
3-5 発注スケジュール等
一般競争総合評価落札方式の場合の標準的な発注スケジュール例を図 3-6 に示す。
技 術 審 査 会
(競争参加資格確認資料の審査)
入札時VE審査委員会
(提案内容と評価結果(案)の審査)
ESCO事業有識者委員会
(提案内容の評価結果(案)の作成)
競争参加資格確認資料、技術資料等の提出期限
技 術 資 料 の x x 説 明現 地 見 学
告
公
技 術 審 査 会
(競争参加資格(案)の内容の審査)
V E 審 査 委 員 会
(技術資料作成要領(案)の審査)
ESCO事業有識者委員会
(技術資料作成要領(案)の作成)
入札・契約手続運営委員会
(競争参加資格の有無の決定)
技術資料のヒアリング
入札・契約手続運営委員会
(競争参加資格の決定)
公 告 案 の 検 討
標準的日数
入札説明書(技術資料作成要領を含む)の交付
公告後速やかに
10 日
30 日
20 日
20 日
競争参加資格の確認結果の通知
競争参加資格がないと認めた理由の説明要求
7 日※
理由の説明要求に係る回答
10 日
1 日
質問書の提出期限
5 日
質問書に対する回答期限
※は、土曜日、日曜日、祝日等を含まない
3 日
札
入
注)本表は会計法に基づいた例であり、PFI法に基づく場合は「官庁施設のPFI事業手続き標準」に準じて実施するものとする
図 3-6 一般競争総合評価落札方式の場合の標準的な発注スケジュール例
3-6 技術資料作成要領の作成
技術資料作成要領には、「3-2 事業者の応募に関する事項の設定」及び「3-3 与条件の設定」の内容に加え、次の項目について記載する。
その他、追加項目が必要な場合は、適宜、記載する。
ESCO事業のサービス期間は、BTOの場合、工事が終了し財産の引渡しを受けた後から開始されるため、事前に引渡し日を明確にする。なお、工事の遅延等により定められた日に引き渡されなかった場合には、サービス期間が短くなるため契約金額の変更等が生じるおそれがある。
事前に発生が予想されるリスクに対しては、発注者または事業者のどちらに責任があるのかを明記する。なお、各リスクについては契約時点で契約書として明記されることとなる。
技術資料作成要領には、応募者の参加資格が認められなかった場合または技術提案が不採用であった場合には、応募者は説明を要求することができることを明記する。
改修工事に当たっては、居ながらの改修になるため事務xxにおける平日の作業は困難となる場合が多い。このため、作業時間等に施工上の制約がある場合には、その条件を明記する。また、施設の改修計画との整合によりシステム一体として改修するなどの条件がある場合は記載する。
フィージビリティ・スタディにて調査した事項のうち、技術資料の作成に必要となる、施設概要、平面図、主要機器リスト、エネルギー使用量、実施済改修工事リスト等を資料として添付する。
3-7 現地見学等
事業者の創意工夫を最大限に活用するには、応募者が施設の状況を十分把握したうえで提案を求めることが必要である。このためには、次の手続きを実施することが有効である。
実際の既存設備システムの見学を行うことにより、既存設備システムの把握、改善余地の確認、新設する設備機器の設置場所の確認などが可能となる。
電気、ガス、油、水等の使用量とその詳細データを閲覧し、消費傾向の確認々運用方法の確認などを行うことにより、省エネルギー技術の適否の判断、削減効果の精査などが可能となる。
なお、フィージビリティ・スタディの際に収集した詳細データが古くなってしまった場合等は、必要に応じ、最新のデータを準備する。
過去の工事の完成図を閲覧することにより、既存設備システムの詳細の把握や既存機器の設置時期の把握及び新設する設備機器の設置場所の確認などが可能となる。
なお、これらの手続きを実施した後には、応募者が技術資料を作成するのに十分な日程を確保する必要がある。
3-8 ヒアリングの実施
提出された技術資料についてヒアリングを実施することは、技術資料の内容を審査担当者が十分理解するとともに、正確でxxな評価を行う上で有効である。このため、必要に応じ、技術資料に関してヒアリングを実施するものとする。
ヒアリングは、提出された技術資料の記載内容を変更することはできないが、提出された技術資料だけでは不明な点を補足するために行う。なお、ヒアリングした事項が口約束とならないために、両者で合意した議事録を残すなど、回答された内容を担保することが必要である。
3-9 事業者の評価
提出された技術資料について、「3-2 (2)事業提案の審査内容の設定」で設定した内容に従い、提案内容の審査を行う。
提案内容の審査については、ESCO事業の技術について専門的な知見を有する有識者等からなる「ESCO事業有識者委員会」等において、提出された技術資料及びヒアリング結果を基に提案内容の評価結果(案)を作成する。この評価結果(案)に基づき、入札時VE審査委員会等、既存の枠組を活用し、提案内容の評価を決定する。
なお、工事の総合評価落札方式の場合、技術提案の内容の一部を改善することで、より優れた技術提案となる場合などに、技術提案の審査において、提案者に当該技術提案の改善を求める、または改善を提案する機会を与えることができる仕組みがあるなど、工事内容に応じて、その手続きの仕方が工夫されている。このため、ESCO事業においても有効と思われる手続きについては、積極的にこれを検討することとする。
提出された技術資料の審査結果を踏まえ、競争参加資格の確認を行う。
なお、競争参加資格の確認結果は書面により通知する。競争参加資格がないと認められた者に、その理由について一定期間以内に説明を求めることを可能とする。
3-10 契約書の作成
ESCO事業は、設計、工事、維持管理業務などを包括的に実施し、長期間に亘りサービスの提供を行うものである。このため、契約書に記載する内容については、業務の内容を十分踏まえ、業務の各段階において行うべき事項、問題発生時の対応方法などを明らかにしておく必要がある。次に、ESCO事業の契約として、特徴的な主な事項を示す。
ESCO事業の実施体制、保全計画書、運転管理方針、計測・検証計画、ベースラインの設定方法、ベースラインの調整方法などESCO事業期間全体を通してESCOサービスに関する基本的事項を定めるために、実施計画書の策定を義務付けておく。
ESCO事業により設置された設備等は、既存の設備等に混在して設置される場合があるので、当該設備等の維持管理に関する責任や当該設備等が第三者に損害を及ぼした場合の責任など、その所在(あるいは分担)を明らかにしておく。
ESCO事業では、計測・検証の結果により、事業者に支払われるESCOサービス料が減額される場合がある。このため、どのような方法により削減効果を計測し、その結果をどのような条件の下で算定、評価するか、あらかじめ明らかにしておく。なお、ESC Oサービスによる削減効果の保証額(あるいは量)は、総合評価落札方式の場合、技術提案書に記載された額(あるいは量)となる。
ESCO事業では、事業者が削減効果の計測・検証を毎年度実施し、保証された削減効果が達成されていない場合、発注者は事業者に対してペナルティを課すことになる。このため、ペナルティの算定方法やその額についてあらかじめ明らかにしておく。また、総合評価落札方式の場合は、事業者の技術提案の評価において、加点した内容についてもペナルティの対象となるので、提案内容を満たさなかった際の処置についてもあらかじめ明らかにしておく。
発注者が行う業績監視について、その方法、時期などについて定めておく。
構成員の変更の可否および構成員の破産または解散が生じた際の対応について定める。
リスクとは、事業の実施に当たり、契約の締結の時点ではその影響を正確には想定できない不確実性のある事由によって、損失が発生する可能性をいう。
ESCO事業に限らず一般的に論じられるリスクとしては、表 3-3 に示すものがある。これらはESCO事業実施の各段階に共通なリスクである。
表 3-3 各段階に共通なリスク
リスクの種類 | リスクの性質 | リスク分担の考え方 |
制度関連リスク | 税制を含む法令の変更や許認可の取得などの制度に関わる要因に関して想定されるリスク | ・民間事業者の努力によって回避または軽減することが不可能であるため、民間事業者には負担が困難な場合が多いことを考慮 ・事業期間中に発生可能性のあるリスクについては、事前に検討 ・契約時点で想定することが困難なものについて は、協議や補償の可能性を示す記述を盛り込む |
経済リスク | 民間事業者の資金調達にかかる金利及び物価(主に光熱水費)の変動リスク | ・金利の設定時期並びに見直しの有無及びその時期の設定により、リスクの負担度合いを考慮 ・発注者側の事由により事業が大幅に遅延し、融資契約の解約等に件う解約手数料が発生する場合等は、遅延可能な期間の期限の設定の有無等に よる条件変更の可能性等も考慮し検討 |
債務不履行リスク | 起因事由を分類項とするリスク | ・起因者によってリスク負担を検討 |
不可抗カリスク | 誰も管理不可能なリスク | ・事業の継続が可能な程度の損害の場合等は、損害拡大の阻止や事業の早期復旧 ・継続に向けて効果的なリスク負担の方法を検討 ・事業の終丁となるような場合等は、お互いに妥当な費用負担や損害の補てんの方法をあらかじめ定める ・不可抗力であっても保険による対処が可能なリスクもあるため、保険市場における動向を勘案し て、適切な負担方法を定める |
事業の適正かつ確実な実施を確保するために、これらの一般的なリスク負担の考え方に基づき、事業実施の各段階について、リスクが顕在化した場合の責任の所在及び対処方法を整理し、契約書に記載する。
リスクが顕在化する原因としては、提案内容の不備、発注者の指示による提案の変更等が考えられる。リスクを最小化する観点から、このリスクは起因者が負担することが望ましい。
調査・設計段階の物価変動リスクには、契約時点以降の物価変動に起因する調査・設計費用の増加等がある。現在の設計業務委託においては、物価変動による業務委託金額の変更は契約書に明記されていないが、契約期間が1年間であるため、1年間の経済リスクは設計業務を受注した者が負担している。
施工段階に関するリスクは、その内容、起因により多岐にわたるが、ESCO事業においては基本的に設計図書どおりの施工をおこなうため、建設工事の請負契約に用いられている公共工事標準請負契約約款におけるリスク分担を参考に検討を進めることが、効率的かつ効果的である。
施設改修については、重要な会議等で改修が行えない場合など、予期せぬ施設の所有者の事由により工事が着手できず要求水準に不適合となった場合は発注者の負担とする。
施設損傷、第三者への損害リスクは、まず発注者から施工に関する特別な指示のない限り、起因性の観点から事業者が負担することが通常と考えられる。なお、従来型の工事同様に保険のxxを義務づけることも一つの方策と考えられる。
建設期間中の金利変動リスクには、金利の設定時期が大きく影響する。
金利の設定時期は、入札時、契約締結時、着工時、完工時などいくつかの時点が考えられるが、設定時点が後になればなるほど、発注者が完工までの金利の変動リスクを負担することになる。
建設段階においては物価変動に伴う工事費の増加がリスクとして想定される。当該物価変動リスクの分担方法としては、以下の方法が考えられ、事業期間等を考慮して決定する。
・ 全額事業者の負担とする
・ 一定範囲内の物価変動は事業者の負担とする
維持管理運営段階のリスクは、施工段階に比してその発生要因が多岐にわたるとともに、その期間が長期に及び、利用者、管理者、業務従事者など多くの者の関与が想定されるこ
とから、起因者の特定が困難である場合が想定される。このため、起因者の特定が困難な場合を中心に、事前の想定によりいくっかの場合に分類し、その類型ごとに負担方法を定めておくことが重要となる。
性能に関するリスクには、要求水準への不適合、瑕疵、性能変更等のリスクxxx、性能及び仕様の決定プロセスに基づいて負担者を決定することが一般的である。
要求水準に対する不適合については、基本的には、起因性及びリスク最小化努力の観点から、仕様を決定し、施工した事業者がリスクを負担することが適切である。ただし、事業期間中の社会状況の変化等に伴う性能変更の場合は、原則として変更を希望する発注者のリスク負担となる。
設備等の所有に伴うリスクは、基本的に設備等の所有者の負担とする。
施設損傷のリスクにおいて起因者が明確である場合は、起因者が負担することが原則である。第三者による施設損傷等については、求償措置をとる者のリスクとすることが適切である。また、不可抗力による場合等求償措置をとることができない場合は、発注者のリスクとすることも考えられるが、施設損傷については保険のxxが可能な場合もあることから、保険でカバー可能な範囲を検討し、そのコストと比較考量した上で最終的な負担方法を決定すること。
金利変動リスクの検討に当たっては、事業の内容(サービスの継続性・持続性や公共施設等の管理者等、サービスの対価の支払者の信用力等)及び事業スキームの内容(事業の類型、事業期間、事業方式、支払方法、減額措置等)に対する市場の評価と、当該時点での金融の市場動向か大きく影響することに十分留意するとともに、将来における財政負担変動への対応可能性の有無にも配慮すること。
物価変動リスクの分担方法としては、以下の方法が考えられる。
・ 一定範囲内の物価変動は民間事業者の負担とする
・ 数年後ごとに物価変動指数に連動した見直しを行う
維持管理期間中の物価変動リスクは、長期間となることからその動向の見極めが困難であるため、実施するESCO事業の事業期間を考慮した上でその負担方法を検討すること。
不可抗カリスクのうち施設に関するものについては、通常は施設の所有者がその責任を
負うことが一般的である。このため、BTOの場合は、施設の所有者である国が施設に関するリスクを負担することとなるが、BOTの場合は特段の定めがなければ事業者がそのリスクを負担することとなる。
しかし、現実的には事業者にとって管理不可能なリスクであるため、当該リスクを負担することが適切であるか検討する必要がある
事業終了時に維持しておくべき施設の性能に係るリスクについては、事業終了後の施設の扱いや大規模改修の発生時期等によって、その負担のあり方が異なる。一般に事業終了後も引き続き同様の使い方が想定される場合には、民間事業者の負担とすることが、合理的である。その際、維持しておくべき施設の範囲や期間、性能の程度を決めておく必要がある。
一方、事業終了後は、使い方が異なるあるいは同様の使い方とする事が必ずしも明確ではないような場合には、国の負担とすることが、合理的と考える。
なお、事業期間終了時に、大規模改修が重なるような場合には、そのリスク負担も同様の考え方とする。さらに、国の負担とする場合には、事業終了時に一時的に改修のための費用が集中することになりかねないことに留意すること。
事業の終了時の手続きに関する諸費用の発生や事業会社の精算に必要な費用は、民間事業者の提案によって異なるため、民間事業者が負担することが望ましい。
4-1 監視職員
発注者は事業の実施状況等を確認するため、必要に応じ、契約及びこれに基づき締結される一切の合意に定めるもののうち発注者の権限とされる事項について、その一部を発注者の職員(以下「監視職員」という。)に委任する。この場合、発注者は監視職員の氏名及び委任する事務の範囲その他必要な事項を事業者に通知する。
監視職員は、発注者が必要と認めて委任したもののほか、次の権限を有する。
①契約の義務履行に係る事業の実施状況の監視
②契約の履行に関する事業者又は事業者の現場代理人に対する請求、通知、確認、承認又は協議
③事業者が作成及び提出した資料の確認
事業実施における発注者又は監視職員の行う職務のフローを図 3-7 に示す。
事業者実施
ESCO事業契約
発注者実施
監視職員の設置 | ||||
実施計画書の策定 | 確認・検査 | |||
設計実施工程表の作成設計業務計画書の作成 | 確認 | |||
設計業務の実施 | 確認 | |||
設計業務終了 | 検査 | |||
工事実施工程表及び施工計画書の提出 | 確認 | |||
改修工事の施工 | 確認 | |||
改修工事の施工終了 | 完工検査 | |||
業務計画書の提出 | 承認 | |||
運転及び維持管理 | ||||
計測・検証結果の報告 | 確認 | |||
年間業務報告書の提出 | 検査 | |||
契約終了 | 引き継ぎ |
図 3-7 業務監視に係るフロー
4-2 事業実施計画
事業者は、契約の締結後速々かに、事業関係図書に基づき、事業の実施体制、事業概略工程表、運転管理方針、保全計画書、計測・検証計画、ベースライン及びその計算方法、ベースラインの調整方法等、ESCOサービスに関する基本的事項を定めるために、実施計画書を策定する。
次に実施計画書の記載内容の主な概要を記載する。
① 事業計画
○事業実施体制
・各役割の業務実施体制等
○事業概略工程表
・事業終了までの事業計画の概要(設計・施エスケジュールを含む)
② 総合仮設計画
○総合仮設計画書
・現場代理人、監理技術者、技能士等の通知書
・施工体制台帳
・緊急連絡先等
③ 省エネルギー技術概要
・光熱水費削減予想額及び保証額
・二酸化炭素排出削減予想量及び保証量 等
④ 維持管理等計画
○保全計画書
・ESCO事業対象設備等の点検項目、点検内容、点検周期等
・ESCO事業対象設備等の保守(消耗品等の交換など)等の計画
○運転管理計画
・運転管理体制
・導入した設備等の運転管理に関する計画
・非常時のバックアップ体制
・既存機器の運転管理に関する省エネルギー提案があった場合、当該技術の具体的方法
⑤ 計測・検証計画
・計測方法、計測場所、計測時期、計測器の精度等
・得られたデータから効果量を検証する具体的方法
・ベースラインを用いる場合には、その設定方法及び調整方法等
⑥ その他必要と認められるもの
事業者は、実施計画書の策定を完了したと判断するとき、当該実施計画者を添えて業務完了報告書を発注者に提出する。
発注者は、一定期間以内に、その内容が契約及び事業関係図書に適合するか否かを検査し、事業者に書面で通知する。このとき、当該実施計画書の内容が、契約及び事業関係図書に適合しないと認めるときは、事業者に是正を求めることができる。
4-3 ESCO事業対象部位の設計
事業者は、設計実施工程表及び設計業務計画書を発注者に提出する。
発注者は、設計実施工程表及び設計業務計画書の提出を受けた場合、一定期間以内に確認を行う。
発注者は、設計業務の着手後、定期又は随時に、当該業務の進捗状況について確認を行う。
事業者は、設計業務を終了したと判断するときは、設計図書その他の関係資料(以下「設計図書等」という。)を添えて、発注者に業務完了報告書を提出する。
発注者は、設計業務完了報告書又は設計図書の受領後、一定期間以内に、その内容が契約及び事業関係図書に適合するか否かを検査し、事業者に書面で通知する。
このとき、発注者は、当該実施計画書の内容が、契約及び事業関係図書に適合しないと認めるときは、事業者に是正を求めることができる。
次に設計図書の主な検査項目を記載するが、詳細は建築設備設計審査マニュアルによる。
① 図 面改修図
・工事仕様書において、使用材料の仕様、設計用標準震度、発生材の処分方法等が適切に記載されているか。
・各階設備等平面図(改修対象フロア)において、改修を行わない設備等との取り合い、改修範囲、養生範囲等が適切に記載されているか。
・機器仕様(新設及び改設する機器の名称、仕様、数量)において、設計計算書に基づく適切な記載がされているか。
・各種システム系統図において、改修を行わないシステムに影響を与えるものでないか。
・各平面詳細図・断面図等において、必要な点検スペースが適切に確保されているか。
撤去図
・既存機器等の撤去を行うフロアの平面図において、撤去を行わない機器等に与える影響がないか。
・撤去する機器の名称、仕様、数量、発生材の処理(引渡し・廃棄の別)等が適切に記載されているか。
② 設計計算書等
・各種計算書が適切なものとなっているか。
・各種技術資料の内容が適切なものとなっているか。
・工事種目別積算資料及び内訳書に誤りがないか。
4-4 改修工事の施工
発注者は、事業者が改修工事の施工に先立ち作成された工事実施工程表の提出を受ける。このとき発注者は、必要に応じて、工事実施工程表の補足として、週間又は月間工程表、工種別工程xxの作成及び提出を求め、施設管理者と工程についての調整を行う。
発注者は、事業者が改修工事の施工に関する総合的な計画をまとめた総合施工計画書、品質計画、安全計画、搬入計画、試運転計画及び工程の施工の確認を行う段階及び施工の具体的な計画を定めた工種別の施工計画書の提出を受け、使用材料、施工方法、安全対策等が適切に記載されているか確認する。
発注者は施工計画書に基づいて次の項目について確認、検査等を行う。
①工事記録・工事写真・打合せ議事録
②工事実施工程表
③施工状況
(4)完工検査
発注者は事業者及び現場代理人立会いの上、完工検査を実施し、設計図書等の通り改修工事が完成したと確認したときに完工確認通知書を事業者に交付する。
主な完工検査の内容を次に記載する。
・機器類、配管類、ダクト類、電線類の据付、固定状態
・機器類及びシステムの稼働状態
・騒音、振動の発生状況
・室内環境測定データ、試運転データ
4-5 運転及び維持管理
事業者は、運転及び維持管理期間中において行うESCO事業対象部位の日常点検、定期点検、修理、その他の運転及び維持管理のための作業の内容及び発注者が必要と認めて報告を求めた事項について、遅滞なく発注者に対して報告を行う。
事業者は、毎年度開始前又は前月末までに実施計画書で定められた運転管理方針及び保全計画書に基づき、当該年度又は月次等の業務計画書を作成し発注者に提出する。
発注者は、事業者から業務計画書の提出を受けたときは、遅滞なく事業者及び施設管理者と協議し承認を行う。また、発注者は、実施計画書で定められた運転管理方針及び保全計画書で定める条件を変更しようとするときは、あらかじめ事業者に対して通知し、事業者と協議しなければならない。
事業者は、実施計画書で定められた運転管理方針に基づきESCO事業により設置された設備の運転管理を自らの責任と負担で行う。その運転管理状況について、定期的に発注者に報告する。
また、運転は改修前の室内環境水準を遵守するように行うが、これが守れなくなった場合及び設備の不具合、故障等が発生した場合、速々かに発注者に報告する。
事業者は、実施計画書で定められた保全計画書に基づきESCO事業対象部位の維持管理を自らの責任と負担で行い、その維持管理状況について、定期的に発注者に報告する。
発注者は、事業実施期間中、次の事項について事業者に通知する義務を負う。
①発注者が、ESCO事業対象部位の故障又は不具合を発見したときは、速やかに通知。
②当該施設へのエネルギー供給が中断したときは、速やかに通知。
③事業者の改修工事の完了日の属する翌月以降、毎月、当該施設に係る光熱水費の実績をその翌月に通知。
4-6 計測・検証
事業者は、運転及び維持管理中、光熱水費削減額及び二酸化炭素削減量が計画通り守られていることを証明するため、実施計画書で定められた計測・検証計画に基づき、計測・検証を行う。
発注者は、事業者が行う対策後の定期的な達成省エネルギー量のレビュー(計画省エネルギー量との差の検証等)から、省エネルギー対策後に機器が正しい運転がされているか、パラメータとした要因以外にエネルギー消費に大きな変動を与える要因に変化がないか確認する。運転や管理に問題があり、保証されたエネルギー削減量等が計画通りに達成されていない場合は、事業者に是正措置を検討させる。
また、発注者は、事業者から報告される計測・検証を行った結果の二酸化炭素削減量や光熱水費削減額の確認を必要に応じて定期的に行う。
事業者は、「業務の監視及び改善要求措置要領」に定めるところにより計測・検証結果を年間業務報告書として取りまとめ、発注者に提出する。
発注者は、年間業務報告書の提出を事業者から受けたときは、一定期間以内に、光熱水費削減額及び二酸化炭素削減量が計画通り守られているか否か検査し、その結果を、事業者に書面で通知する。
4-7 契約終了
事業者は、契約終了後、発注者に維持管理業務を引き継ぐために必要な作業手順、管理項目等をまとめたマニュアルを作成する。
発注者は、当該マニュアルについて、事業者から説明を受ける。
契約終了時、発注者は、ESCO事業対象部位の状況を検査し、完工時以降に損傷及び不具合等が発生していないか確認を行う。