Contract
国立大学法人山口大学工事請負契約基準
(別記第1号)
この基準は,工事に関する請負契約の一般的約定事項を定めるものである。
(総則)
第1 発注者及び請負者は,契約書及びこの契約基準に基づき,設計図書(別冊の図面,仕様書,現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。以下同じ。)に従い,日本国の法令を遵守し,この契約(契約書及びこの契約基準並びに設計図書を内容とする工事の請負契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
2 請負者は,契約書記載の工事を契約書記載の工期内に完成し,工事目的物を発注者に引き渡すものとし,発注者は,その請負代金を支払うものとする。
3 仮設,施工方法その他工事目的物を完成させるために必要な一切の手段(「施工方法等」という。以下同じ。)については,契約書及びこの契約基準並びに設計図書に特別の定めがある場合を除き,請負者がその責任において定める。
4 請負者は,この契約の履行に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
5 契約書及びこの契約基準に定める請求,通知,報告,申出,承諾及び解除は,書面により行わなければならない。
6 この契約の履行に関して発注者請負者間で用いる言語は,日本語とする。
7 契約書及び契約基準に定める金銭の支払に用いる通貨は,日本円とする。
8 この契約の履行に関して発注者請負者間で用いる計量単位,設計図書に特別の定めがある場合を除き,計量法(平成4年法律第51号)に定めるものとする。
9 契約書及びこの契約基準並びに設計図書における期間の定めについては,民法(明治 29年法律第89号)及び商法(明治32年法律第48号)の定めるところによるものとする。
10 この契約は,日本国の法令に準拠するものとする。
11 この契約に係る訴訟については,日本国の裁判所をもって合意による専属的管轄裁判所において行うものとする。
12 請負者が共同企業体を結成している場合においては,発注者は,この契約に基づくすべての行為を共同企業体の代表者に対して行うものとし,発注者は当該代表者に対して行ったこの契約に基づくすべての行為は,当該企業体のすべての構成員に対して行ったものとみなし,また,請負者は,発注者に対して行うこの契約に基づくすべての行為について当該代表者を通じて行わなければならない。
(関連工事の調整)
第2 発注者は,請負者の施工する工事及び発注者の発注に係る第3者の施工する他の工事が施工上密接に関連する場合において,必要があるときは,その施工につき,調整を行うものとする。この場合においては,請負者は,発注者の調整に従い,第3者の行う工事の円滑な施工に協力しなければならない。
(工事費内訳明細書及び工程表)
第3 請負者は,この契約締結後15日以内に設計図書に基づいて,工事費内訳明細書(以下「内訳書」という。)及び工程表を作成し,発注者に提出しなければならない。ただし,発注者が,請負者に当該内訳書及び工程表の提出を必要としない旨の通知をした場合は,この限りでない。
2 内訳書及び工程表は,発注者及び請負者を拘束するものではない。
(契約の保証)
第4 請負者は,この契約の締結と同時に,次の各号のいずれかに掲げる保証を付さなければならない。ただし,第5号の場合においては,履行保証保険契約の締結後,直ちにその保険証券を発注者に寄託しなければならない。
(1) 契約保証金の納付
(2) 契約保証金に代わる担保となる有価証券等の提供
(3) この契約による債務の不履行により生ずる損害金の支払を保証する銀行,発注者が確実と認める金融機関又は保証事業会社(公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和27年法律第184号)第2条第4項に規定する保証事業会社をいう。以下同じ。)の保証
(4) この契約による債務の履行を保証する公共工事履行保証証券による保証
(5) この契約による債務の不履行により生ずる損害をてん補する履行保証保険契約の締結
2 前項の保証に係る契約保証金の額,保証金額又は保険金額(第5項において「保証の額」という。)は,請負代金額の10分の1以上としなければならない。
3 請負者は,第1項の規定にかかわらず,発注者が特に必要があると認めるときは,この契約の締結と同時に,この契約による債務の履行を保証する公共工事履行保証証券による保証(瑕疵担保特約を付したものに限る。)を付さなければならない。
4 前項の場合において,保証金額は,請負代金額の10分の3以上としなければならない。
5 請負代金額の変更があった場合には,第1項の場合においては,保証の額が変更後の請負代金額の10分の1に達するまで,第3項の場合においては,保証の額が変更後の請負代金額の10分の3に達するまで,発注者は,保証の額の増額を請求することができ,請負者は,保証の額の減額を請求することができる。
6 請負者は,第1項第2号又は第3号に掲げる保証を付したときは,当該保証は契約保証金に代わる担保の提供として行われたものとし,同項第4号若しくは第5号又は第3項に掲げる保証を付したときは,契約保証金の納付を免除する。
(個人情報の保護)
第5 請負者は,第1第1項による契約期間中又は契約終了後においても,この契約に基づいて遂行される業務に関連して知り得た発注者の保有する個人情報(以下「職員等の情報」という。)を第三者に漏えいし,又は使用してはならない。
2 請負者は,前項の義務に関し,この契約に基づいて業務の遂行に当たる従事者(請負者が法人の場合にあってはその使用人)においても遵守させるものとする。
3 請負者は,職員等の情報について,複写又は複製(安全管理上必要なバックアップを目的とするもの等この契約に関する範囲内のものを除く。)をしてはならない。
4 請負者は,事前に発注者の承諾がある場合を除き,職員等の情報に関し加工(この契
約に関する範囲内のものを除く。)又は改ざんを行ってはならない。
5 請負者は,職員等の情報に関し,漏えい等の事故が発生し若しくはその可能性があると認められるときは,直ちに発注者に報告し,発注者と協力して被害の拡大防止,損害の回復,再発の防止その他必要な対応をしなければならない。
6 請負者は,この契約が終了し,又はこの契約に係る業務が終了したときは速やかに職員等の情報が記録された全ての媒体を発注者に返還し,又は発注者の指示に従い破棄,消去しなければならない。
7 請負者あるいはこの契約に基づいて業務の遂行に当たる従事者(請負者が法人の場合にあってはその使用人)が前各号に違反した場合は,請負者は発注者に対して,発注者が受けた損害額の賠償金として請負代金額の10分の1に相当する額を発注者の指定する期間内に支払わなければならない。ただし,発注者は,請負者に対し,現実に生じた損害額が請負代金額の10分の1に相当する額を超えることを証明したときは,その超過額を請求することができる。
(権利義務の譲渡等)
第6 請負者は,この契約により生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し,又は承継させてはならない。ただし,あらかじめ,発注者の承諾を得た場合は,この限りでない。
2 請負者は,工事目的物並びに工事材料(工事製品を含む。以下同じ。)のうち第14第
2項の規定による検査に合格したもの及び第38第3項の規定による部分払のための確認を受けたものを第三者に譲渡し,貸与し,又は抵当権その他の担保の目的に供してはならない。ただし,あらかじめ,発注者の承諾を得た場合は,この限りでない。
(一括委任又は一括下請負の禁止)
第7 請負者は,工事の全部若しくはその主たる部分又は他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の工事を一括して第三者に委任し,又は請け負わせてはならない。
(下請負人の通知)
第8 発注者は,請負者に対して,下請負人の商号又は名称その他必要な事項の通知を請求することができる。
(特許権等の使用)
第9 請負者は,特許権,実用新案権,意匠権,商標権その他日本国の法令に基づき保護される第三者の権利(以下「特許権等」という。)の対象となっている工事材料,施工方法等を使用するときは,その使用に関する一切の責任を負わなければならない。ただし,発注者はその工事材料,施工方法等を指定した場合において,設計図書に特許権等の対象である旨の明示がなく,かつ,請負者がその存在を知らなかったときは,発注者は,請負者がその使用に関して要した費用を負担しなければならない。
(監督職員)
第10 発注者は,監督職員を置いたときは,その氏名を請負者に通知しなければならない。監督職員を変更したときも同様とする。
2 監督職員は,この契約基準に定めるもの及びこの契約基準に基づく発注者の権限とされる事項のうち発注者が必要と認めて監督職員に委任したもののほか,設計図書に定めるところにより,次に掲げる権限を有する。
(1) 契約の履行についての請負者又は請負者の現場代理人に対する指示,承諾又は協議
(2) 設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付又は請負者が作成した詳細図等の承諾
(3) 設計図書に基づく工程の管理,立会い,工事の施工状況の検査又は工事材料の試験若しくは検査(確認を含む。)
3 発注者は,2名以上の監督職員を置き,前項の権限を分担させたときにあってはそれぞれの監督職員の有する権限の内容を,監督職員に契約書及びこの契約基準に基づく発注者の権限の一部を委任したときにあっては当該委任した権限の内容を,請負者に通知しなければならない。
4 第2項の規定に基づく監督職員の指示又は承諾は,原則として,書面により行わなければならない。
5 契約書及びこの契約基準に定める請求,通知,報告,申出,承諾及び解除については,設計図書に定めるものを除き,監督職員を経由して行うものとする。この場合においては,監督職員に到達した日をもって発注者に到達したものとみなす。
6 発注者が監督職員を置かないときは,契約書及びこの契約基準に定める監督職員の権限は,発注者に帰属する。
(現場代理人及び主任技術者等)
第11 請負者は,次の各号に掲げる者を定めて工事現場に設置し,設計図書に定めるところにより,その氏名その他必要な事項を発注者に通知しなければならない。これらの者を変更したときも同様とする。
(1) 現場代理人
(2) 専任の主任技術者(建設業法(昭和24年法律第100号)第26条第1項に規定する主任技術者をいう。以下同じ。)又は監理技術者資格者証の交付を受けた専任の監理技術者(建設業法第26条第2項に規定する監理技術者をいう。以下同じ。)
(3) 専門技術者(建設業法第26条の2に規定する技術者をいう。以下同じ。)
2 現場代理人は,この契約の履行に関し,工事現場に常駐し,その運営,取締りを行うほか,請負代金額の変更,工期の変更,請負代金の請求及び受領,第13第1項の請求の受理,第13第3項の決定及び通知,第13第4項の請求,第13第5項の通知の受理並びにこの契約の解除に係る権限を除き,この契約に基づく請負者の一切の権限を行使することができる。
3 請負者は,前項の規定にかかわらず,自己の有する権限のうち現場代理人に委任せず自ら行使しようとするものがあるときは,あらかじめ,当該権限の内容を発注者に通知しなければならない。
4 現場代理人,主任技術者(監理技術者)及び専門技術者は,これを兼ねることができる。
(履行報告)
第12 請負者は,設計図書に定めるところにより,契約の履行について発注者に,報告しなければならない。
(工事関係者に関する措置請求)
第13 発注者は,現場代理人がその職務(主任技術者(監理技術者)又は専門技術者と兼任する現場代理人にあってはそれらの者の職務を含む。)の執行につき著しく不適当と
認められるときは,請負者に対して,その理由を明示した書面により,必要な措置をとるべきことを請求することができる。
2 発注者又は監督職員は,主任技術者(監理技術者),専門技術者(これらの者と現場代理人を兼任する者を除く。)その他請負者は工事を施工するために使用している下請負人,労働者等で工事の施工又は管理につき著しく不適当と認められるものがあるときは,請負者に対して,その理由を明示した書面により,必要な措置をとるべきことを請求することができる。
3 請負者は,前2項の規定による請求があったときは,当該請求に係る事項について決定し,その結果を請求を受けた日から10日以内に発注者に通知しなければならない。
4 請負者は,監督職員がその職務の執行につき著しく不適当と認められるときは,発注者に対して,その理由を明示した書面により,必要な措置をとるべきことを請求することができる。
5 発注者は,前項の規定による請求があったときは,当該請求に係る事項について決定し,その結果を請求を受けた日から10日以内に請負者に通知しなければならない。
(工事材料の品質及び検査等)
第14 工事材料の品質については,設計図書に定めるところによる。設計図書にその品質が明示されていない場合にあっては,中等の品質又は均衡を得た品質を有するものとする。
2 請負者は,設計図書において監督職員の検査(確認を含む,以下第14において同じ。)を受けて使用すべきものと指定された工事材料については,当該検査に合格したものを使用しなければならない。この場合において,検査に直接要する費用は,請負者の負担とする。
3 監督職員は,請負者から前項の検査を請求されたときは,請求を受けた日から7日以内に応じなければならない。
4 請負者は,工事現場内に搬入した工事材料を監督職員の承諾を受けないで工事現場外に搬出してはならない。
5 請負者は,前項の規定にかかわらず,検査の結果不合格と決定された工事材料については,当該決定を受けた日から7日以内に工事現場外に搬出しなければならない。
(監督職員の立会い及び工事記録の整備等)
第15 請負者は,設計図書において監督職員の立会いの上調合し,又は調合について見本検査を受けるものと指定された工事材料については,当該立会いを受けて調合し,又は当該見本検査に合格したものを使用しなければならない。
2 請負者は,設計図書において監督職員の立会いの上施工するものと指定された工事については,当該立会いを受けて施工しなければならない。
3 請負者は,前2項に規定するほか,発注者が特に必要があると認めて設計図書において見本又は工事写真等の記録を整備すべきものと指定した工事材料の調合又は工事の施工をするときは,設計図書に定めるところにより,当該記録を整備し,監督職員の請求があったときは,当該請求を受けた日から7日以内に提出しなければならない。
4 監督職員は,請負者から第1項又は第2項の立会い又は見本検査を請求されたときは,当該請求を受けた日から7日以内に応じなければならない。
5 前項の場合において,監督職員が正当な理由なく請負者の請求に7日以内に応じないため,その後の工程に支障をきたすときは,請負者は,監督職員に通知した上,当該立会い又は見本検査を受けることなく,工事材料を調合して使用し,又は工事を施工することができる。この場合において,請負者は,当該工事材料の調合又は当該工事の施工を適切に行ったことを証する見本又は工事写真等の記録を整備し,監督職員の請求があったときは,当該請求を受けた日から7日以内に提出しなければならない。
6 第1項,第3項及び前項の場合において,見本検査又は見本若しくは工事写真等の記録の整備に直接要する費用は,請負者の負担とする。
(支給材料及び貸与品)
第16 発注者が請負者に支給する工事材料(以下「支給材料」という。)及び貸与する建設機械器具(以下「貸与品」という。)の品名,数量,品質,規格又は性能,引渡場所及び引渡時期は,設計図書に定めるところによる。
2 監督職員は,支給材料又は貸与品の引渡しに当たっては,請負者の立会いの上,発注者の負担において,当該支給材料又は貸与品を検査しなければならない。この場合において,当該検査の結果,その品名,数量,品質又は規格若しくは性能が設計図書の定めと異なり,又は使用に適当でないと認めたときは,請負者は,その旨を直ちに発注者に通知しなければならない。
3 請負者は,支給材料又は貸与品の引渡しを受けたときは,引渡しの日から7日以内に,発注者に受領書又は借用書を提出しなければならない。
4 請負者は,支給材料又は貸与品の引渡しを受けた後,当該支給材料又は貸与品に第2項の検査により発見することが困難であった隠れた瑕疵があり使用に適当でないと認めたときは,その旨を直ちに発注者に通知しなければならない。
5 発注者は,請負者から第2項後段又は前項の規定による通知を受けた場合において,必要があると認められるときは,当該支給材料若しくは貸与品に代えて他の支給材料若しくは貸与品を引き渡し,支給材料若しくは貸与品の品名,数量,品質,規格若しくは性能を変更し,又は理由を明示した書面により当該支給材料若しくは貸与品の使用を請負者に請求しなければならない。
6 発注者は,前項に規定するほか,必要があると認めるときは,支給材料又は貸与品の品名,数量,品質,規格若しくは性能,引渡場所又は引渡時期を変更することができる。
7 発注者は,前2項の場合において,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
8 請負者は,支給材料及び貸与品を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
9 請負者は,設計図書に定めるところにより,工事の完成,設計図書の変更等によって不用となった支給材料又は貸与品を発注者に返還しなければならない。
10 請負者は,故意又は過失により支給材料又は貸与品が滅失若しくはき損し,又はその返還が不可能となったときは,発注者の指定した期間内に代品を納め,若しくは原状に復して返還し,又は返還に代えて損害を賠償しなければならない。
11 請負者は,支給材料又は貸与品の使用方法が設計図書に明示されていないときは,監
督職員の指示に従わなければならない。
(工事用地の確保)
第17 発注者は,工事用地その他設計図書において定められた工事の施工上必要な用地(以下「工事用地等」という。)を請負者が工事の施工上必要とする日(設計図書に特別の定めがあるときは,その定められた日)までに確保しなければならない。
2 請負者は,確保された工事用地等を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
3 工事の完成,設計図書の変更等によって工事用地等が不用となった場合において,当該工事用地等に請負者が所有又は管理する工事材料,建設機械器具,仮設物その他の物件(下請負人の所有又は管理するこれらの物件を含む。以下第17において同じ。)があるときは,請負者は,当該物件を撤去するとともに,当該工事用地等を修復し,取り片付けて,発注者に明け渡さなければならない。
4 前項の場合において,請負者が正当な理由なく,相当の期間内に当該物件を撤去せず,又は工事用地等の修復若しくは取片付けを行わないときは,発注者は,請負者に代わって当該物件を処分し,工事用地等の修復若しくは取片付けを行うことができる。この場合においては,請負者は,発注者の処分又は修復若しくは取片付けについて異議を申し出ることができず,また,発注者の処分又は修復若しくは取片付けに要した費用を負担しなければならない。
5 第3項に規定する請負者のとるべき措置の期限,方法等については,発注者が請負者の意見を聴いて定める。
(設計図書不適合の場合の改造義務,破壊検査等)
第18 請負者は,工事の施工部分が設計図書に適合しない場合において,監督職員がその改造を請求したときは,当該請求に従わなければならない。この場合において,当該不適合が監督職員の指示によるときその他発注者の責に帰すべき事由によるときは,発注者は,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
2 監督職員は,請負者が第14第2項又は第15第1項から第3項までの規定に違反した場合において,必要があると認められるときは,工事の施工部分を破壊して検査することができる。
3 前項に規定するほか,監督職員は,工事の施工部分が設計図書に適合しないと認められる相当の理由がある場合において,必要があると認められるときは,当該相当の理由を請負者に通知して,工事の施工部分を最小限度破壊して検査することができる。
4 前2項の場合において,検査及び復旧に直接要する費用は,請負者の負担とする。
(条件変更等)
第19 請負者は,工事の施工に当たり,次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは,その旨を直ちに監督職員に通知し,その確認を請求しなければならない。
(1) 設計図書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)
(2) 設計図書に誤謬又は脱漏があること
(3) 設計図書の表示が明確でないこと
(4) 工事現場の形状,地質,湧水等の状態,施工上の制約等設計図書に示された自然的
又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
(5) 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと
2 監督職員は,前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは,請負者の立会いの上,直ちに調査を行わなければならない。ただし,請負者が立会いに応じない場合には,請負者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は,請負者の意見を聴いて,調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは,当該指示を含む。)をとりまとめ,調査の終了後14日以内に,その結果を請負者に通知しなければならない。ただし,その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは,あらかじめ請負者の意見を聴いた上,当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果において第1項の事実が確認された場合において,必要があると認められるときは,次の各号に掲げるところにより,設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
(1) 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの発注者が行う
(2) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの発注者が行う
(3) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの 発注者請負者間において協議して発注者が行う
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において,発注者は,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第20 発注者は,必要があると認めるときは,設計図書の変更内容を請負者に通知して,設計図書を変更することができる。この場合において,発注者は,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工事の中止)
第21 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風,豪雨,洪水,高潮,地震,地すべり,落盤,火災,騒乱,暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって,請負者の責に帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため,請負者が工事を施工できないと認められるときは,発注者は,工事の中止内容を直ちに請負者に通知して,工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 発注者は,前項の規定によるほか,必要があると認めるときは,工事の中止内容を請負者に通知して,工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 発注者は,前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は請負者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者,建設機械器具等を保持するための費用その他の工
事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(請負者の請求による工期の延長)
第22 請負者は,天候の不良,第2の規定に基づく関連工事の調整への協力その他請負者の責に帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは,その理由を明示した書面により発注者に工期の延長変更を請求することができる。
(発注者の請求による工期の短縮等)
第23 発注者は,特別の理由により工期を短縮する必要があるときは,工期の短縮変更を請負者に請求することができる。
2 発注者は,契約書及びこの契約基準の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において,特別の理由があるときは,通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。
3 発注者は,前2項の場合において,必要があると認められるときは請負代金額を変更し,又請負者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工期の変更方法)
第24 工期の変更については,発注者請負者間において協議して定める。ただし,協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には,発注者が定め,請負者に通知する。
2 前項の協議開始の日については,発注者が請負者の意見を聴いて定め,請負者に通知するものとする。ただし,発注者が工期の変更事由が生じた日(第22の場合にあっては,発注者が工期変更の請求を受けた日,第23第1項及び第2項の場合にあっては,請負者が工期変更の請求を受けた日)から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には,請負者は,協議開始の日を定め,発注者に通知することができる。
(請負代金額の変更方法等)
第25 請負代金額の変更については,発注者請負者間において協議して定める。ただし,協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には,発注者が定め,請負者に通知する。
2 前項の協議開始の日については,発注者が請負者の意見を聴いて定め,請負者に通知するものとする。ただし,請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には,請負者は,協議開始の日を定め,発注者に通知することができる。
3 契約書及びこの契約基準の規定により,請負者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については,発注者請負者間において協議して定める。
(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)
第26 発注者又は請負者は,工期内で請負契約締結の日から12月を経過した後に日本国内における賃金水準又は物価水準の変動により請負代金額が不適当となったと認めたときは,相手方に対して請負代金額の変更を請求することができる。
2 発注者又は請負者は,前項の規定による請求があったときは,変動前残工事代金額(請負代金額から当該請求時の出来形部分に相応する請負代金額を控除した額をいう。以下同じ。)と変動後残工事代金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残
工事代金額に相応する額をいう。以下同じ。)との差額のうち変動前残工事代金額の 1,000分の15を超える額につき,請負代金額の変更に応じなければならない。
3 変動前残工事代金額及び変動後残工事代金額は,請求のあった日を基準とし,物価指数等に基づき発注者請負者間において協議して定める。ただし,協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合にあっては,発注者が定め,請負者に通知する。
4 第1項の規定による請求は,第26の規定により請負代金額の変更を行った後再度行うことができる。この場合においては,第1項中「請負契約締結の日」とあるのは「直前の第26に基づく請負代金額変更の基準とした日」とするものとする。
5 特別な要因により工期内に主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ,請負代金額が不適当となったときは,発注者又は請負者は,前各項の規定によるほか,請負代金額の変更を請求することができる。
6 予期することのできない特別の事情により,工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ,請負代金額が著しく不適当となったときは,発注者又は請負者は,前各項の規定にかかわらず,請負代金額の変更を請求することができる。
7 第5項及び前項の場合において,請負代金額の変更額については,発注者請負者間において協議して定める。ただし,協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合にあっては,発注者が定め,請負者に通知する。
8 第3項及び前項の協議開始の日については,発注者が請負者の意見を聴いて定め,請負者に通知しなければならない。ただし,発注者が第1項,第5項又は第6項の請求を行った日又は受けた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には,請負者は,協議開始の日を定め,発注者に通知することができる。
(臨機の措置)
第27 請負者は,災害防止等のため必要があると認めるときは,臨機の措置をとらなければならない。この場合において,必要があると認めるときは,請負者は,あらかじめ監督職員の意見を聴かなければならない。ただし,緊急やむを得ない事情があるときは,この限りでない。
2 前項の場合においては,請負者は,そのとった措置の内容を監督職員に直ちに通知しなければならない。
3 監督職員は,災害防止その他工事の施工上特に必要があると認めるときは,請負者に対して臨機の措置をとることを請求することができる。
4 請負者が第1項又は前項の規定により臨機の措置をとった場合において,当該措置に要した費用のうち,請負者が請負代金額の範囲において負担することが適当でないと認められる部分については,発注者がその費用を負担する。
(一般的損害)
第28 工事目的物の引渡し前に,工事目的物又は工事材料について生じた損害その他工事の施工に関して生じた損害(第29第1項若しくは第2項又は第30第1項に規定する損害を除く。)については,請負者がその費用を負担する。ただし,その損害(第49第1項の規定により付された保険等によりてん補された部分を除く。)のうち発注者の責に帰すべき事由により生じたものについては,発注者が負担する。
(第三者に及ぼした損害)
第29 工事の施工について第三者に損害を及ぼしたときは,請負者がその損害を賠償しなければならない。ただし,その損害(第49第1項の規定により付された保険等によりてん補された部分を除く。以下第29において同じ。)のうち発注者の責に帰すべき事由により生じたものについては,発注者が負担する。
2 前項の規定にかかわらず,工事の施工に伴い通常避けることができない騒音,振動,地盤沈下,地下水の断絶等の理由により第三者に損害を及ぼしたときは,発注者がその損害を負担しなければならない。ただし,その損害のうち工事の施工につき請負者が善良な管理者の注意義務を怠ったことにより生じたものについては,請負者が負担する。
3 前2項の場合その他工事の施工について第三者との間に紛争を生じた場合においては,発注者及び請負者は協力してその処理解決に当たるものとする。
(不可抗力による損害)
第30 工事目的物の引渡し前に,天災等(設計図書で基準を定めたものにあっては,当該基準を超えるものに限る。)であって,発注者請負者双方の責に帰すことができないもの(以下「不可抗力」という。)により,工事目的物,仮設物又は工事現場に搬入済みの工事材料若しくは建設機械器具に損害が生じたときは,請負者は,その事実の発生後直ちにその状況を発注者に通知しなければならない。
2 発注者は,前項の規定による通知を受けたときは,直ちに調査を行い,前項の損害(請負者が善良な管理者の注意義務を怠ったことに基づくもの及び第49第1項の規定により付された保険等によりてん補された部分を除く。以下第30において同じ。)の状況を確認し,その結果を請負者に通知しなければならない。
3 請負者は,前項の規定により損害の状況が確認されたときは,損害による費用の負担を発注者に請求することができる。
4 発注者は,前項の規定により請負者から損害による費用の負担の請求があったときは,当該損害の額(工事目的物,仮設物又は工事現場に搬入済みの工事材料若しくは建設機械器具であって第14第2項,第15第1項若しくは第2項又は第38第3項の規定による検査,立会いその他請負者の工事に関する記録等により確認することができるものに係る額に限る。)及び当該損害の取片付けに要する費用の額の合計額(以下「損害合計額」という。)のうち請負代金額の100分の1を超える額を負担しなければならない。
5 損害の額は,次の各号に掲げる損害につき,それぞれ当該各号に定めるところにより算定する。
(1) 工事目的物に関する損害
損害を受けた工事目的物に相応する請負代金額とし,残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
(2) 工事材料に関する損害
損害を受けた工事材料で通常妥当と認められるものに相応する請負代金額とし,残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
(3) 仮設物又は建設機械器具に関する損害
損害を受けた仮設物又は建設機械器具で通常妥当と認められるものについては,当該工事で償却することとしている償却費の額から損害を受けた時点における出来形部
分に相応する償却費の額を差し引いた額とする。ただし,修繕によりその機能を回復することができ,かつ,修繕費の額が上記の額より少額であるものについては,その修繕費の額とする。
6 数次にわたる不可抗力により損害合計額が累積した場合における第2次以降の不可抗力による損害合計額の負担については,第4項中「当該損害の額」とあるのは「損害の額の累計」と,「当該損害の取片付けに要する費用の額」とあるのは「損害の取片付けに要する費用の額の累計」と,「請負代金額の100分の1を超える額」とあるのは「請負代金額の100分の1を超える額から既に負担した額を差し引いた額」として同項を適用する。
(請負代金額の変更に代える設計図書の変更)
第31 発注者は,第9,第16,第18から第21まで,第23,第26から第28まで,第30又は第 34の規定により請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において,特別の理由があるときは,請負代金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。この場合において,設計図書の変更内容は,発注者請負者間において協議して定める。ただし,協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には,発注者が定め,請負者に通知する。
2 前項の協議開始の日については,発注者が請負者の意見を聴いて定め,請負者に通知しなければならない。ただし,発注者が請負代金額の増額すべき事由又は費用の負担すべき事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には,請負者は,協議開始の日を定め,発注者に通知することができる。
(検査及び引渡し)
第32 請負者は,工事が完成したときは,その旨を完成通知書により発注者に通知しなければならない。
2 発注者又は発注者が検査を行う者として定めた職員(以下「検査職員」という。)は,前項の規定による通知を受けたときは,通知を受けた日から14日以内に請負者の立会いの上,設計図書に定めるところにより,工事の完成を確認するための検査を完了し,当該検査の結果を請負者に通知しなければならない。この場合において,発注者は,必要があると認められるときは,その理由を請負者に通知して,工事目的物を最小限度破棄して検査することができる。
3 前項の場合において,検査又は復旧に直接要する費用は,請負者の負担とする。
4 発注者は,第2項の検査によって工事の完成を確認した後,請負者が工事目的物の引渡しを申し出たときは,直ちに当該工事目的物の引渡しを受けなければならない。
5 発注者は,請負者が前項の申出を行わないときは,当該工事目的物の引渡しを請負代金の支払の完了と同時に行うことを請求することができる。この場合においては,請負者は,当該請求に直ちに応じなければならない。
6 請負者は,工事が第2項の検査に合格しないときは,直ちに修補して発注者の検査を受けなければならない。この場合においては,修補の完了を工事の完成とみなして前5項の規定を適用する。
(請負代金の支払)
第33 請負者は,第32第2項の検査に合格したときは,工事請負代金請求書により請負代
金の支払を請求することができる。
2 発注者は,前項の規定による請求があったときは,請求を受けた日から別に定める期間に請負代金を支払わなければならない。
3 発注者がその責に帰すべき事由により第32第2項の期間内に検査をしないときは,その期限を経過した日から検査をした日までの期間の日数は,前項の期間(以下「約定期間」という。)の日数から差し引くものとする。この場合において,その遅延日数が約定期間の日数を超えるときは,約定期間は,遅廷日数が約定期間の日数を超えた日において満了したものとみなす。
(部分使用)
第34 発注者は,第32第4項又は第5項の規定による引渡し前においても,工事目的物の全部又は一部を請負者の承諾を得て使用することができる。
2 前項の場合においては,発注者は,その使用部分を善良な管理者の注意をもって使用しなければならない。
3 発注者は,第1項の規定により工事目的物の全部又は一部を使用したことによって請負者に損害を及ぼしたときは,必要な費用を負担しなければならない。
(前金払)
第35 国立大学法人山口大学建設工事等に係る前払金等支払い要項の規定に基づき,請負者は,保証事業会社と,契約書記載の工事完成の時期を保証期限とし,公共工事の前払金保証事業に関する法律第2条第5項に規定する保証契約(以下「保証契約」という。)を締結し,その保証証書を発注者に寄託して,請負代金額の10分の4以内の前払金の支払を工事請負代金前払金請求書により発注者に請求することができる。
2 発注者は,前項の規定による請求があったときは,請求を受けた日から別に定める期間に前払金を支払わなければならない。
3 請負者は,第1項の規定により前払金の支払を受けた後,保証事業会社と中間前払金に関し,契約書記載の工事完成の時期を保証期限とし,保証契約を締結し,その保証証書を発注者に寄託して,請負代金額の10分の2以内の前払金の支払を発注者に請求することができる。この場合においては,前項の規定を準用する。
4 請負者は,前項の中間前払金の支払を請求しようとするときは,あらかじめ,発注者又は発注者の指定する者の中間前金払に係る認定を受けなければならない。この場合において,発注者又は発注者の指定する者は,請負者の請求があったときは,直ちに認定を行い,当該認定の結果を請負者に通知しなければならない。
5 請負者は,請負代金額が著しく増額された場合においては,その増額後の請負代金額の10分の4(第3項の規定により中間前払金の支払を受けているときは10分の6)から受領済みの前払金額を差し引いた額に相当する額の範囲内で前払金の支払を請求することができる。この場合においては,第2項の規定を準用する。
6 請負者は,請負代金額が著しく減額された場合において,受領済みの前払金額が減額後の請負代金額の10分の5(第3項の規定により中間前払金の支払を受けているときは 10分の6)を超えるときは,請負者は,請負代金額が減額された日から30日以内に,その超過額を返還しなければならない。ただし,本項の期間内に第38又は第39の規定による支払をしようとするときは,発注者は,その支払額の中からその超過額を控除するこ
とができる。
7 前項の期間内で前払金の超過額を返還する前に更に請負代金額を増額した場合において,増額後の請負代金額が減額前の請負代金額以上の額であるときは,請負者は,その超過額を返還しないものとし,増額後の請負代金額が減額前の請負代金額未満の額であるときは,請負者は,受領済みの前払金の額からその増額後の請負代金額の10分の5(第
3項の規定により中間前払金の支払を受けているときは10分の6)の額を差し引いた額を返還しなければならない。
8 発注者は,請負者が第6項の期間内に超過額を返還しなかったときは,その未返還額につき,同項の期間を経過した日から返還をする日までの期間について,その日数に応じ,年5パーセントの割合で計算した額の遅延利息の支払を請求することができる。
(保証契約の変更)
第36 請負者は,第35第5項の規定により受領済みの前払金に追加してさらに前払金の支払を請求する場合には,あらかじめ,保証契約を変更し,変更後の保証証書を発注者に寄託しなければならない。
2 請負者は,前項に定める場合のほか,請負代金額が減額された場合において,保証契約を変更したときは,変更後の保証証書を直ちに発注者に寄託しなければならない。
3 請負者は,前払金額の変更を伴わない工期の変更が行われた場合には,発注者に代わりその旨を保証事業会社に直ちに通知するものとする。
(前払金の使用等)
第37 請負者は,前払金をこの工事の材料費,労務費,機械器具の賃借料,機械購入費(この工事において償却される割合に相当する額に限る。),動力費,支払運賃,修繕費,仮設費,労働者災害補償保険料及び保証料に相当する額として必要な経費以外の支払に充当してはならない。
(部分払)
第38 請負者は,工事の完成前に,出来形部分並びに工事現場に搬入済みの工事材料及び製造工場等にある工場製品(第14第2項の規定により監督職員の検査を要するものにあっては当該検査に合格したもの,監督職員の検査を要しないものにあっては設計図書で部分払の対象とすることを指定したものに限る。)に相応する請負代金相当額の10分の
9以内の額について,次項以下に定めるところにより部分払を請求することができる。
2 請負者は,部分払を請求しようとするときは,あらかじめ,当該請求に係る出来形部分又は工事現場に搬入済みの工事材料若しくは製造工場等にある工場製品の確認を発注者に請求しなければならない。
3 発注者は,前項の場合において,当該請求を受けた日から14日以内に,請負者の立会いの上,設計図書に定めるところにより,前項の確認をするための検査を行い,当該確認の結果を請負者に通知しなければならない。この場合において,発注者は,必要があると認められるときは,その理由を請負者に通知して,出来形部分を最小限度破壊して検査することができる。
4 前項の場合において,検査又は復旧に直接要する費用は,請負者の負担とする。
5 請負者は,第3項の規定による確認があったときは,部分払を請求することができる。この場合においては,発注者は,当該請求を受けた日から別に定める期間に部分払金を
支払わなければならない。
6 部分払金の額は,次の式により算定する。この場合において第1項の請負代金相当額は,発注者請負者間において協議して定める。ただし,発注者が前項の請求を受けた日から10日以内に協議が整わない場合には,発注者が定め,請負者に通知する。
部分払金の額≦第1項の請負代金相当額×(9/10-前払金額/請負代金額)
7 第5項の規定により部分払金の支払があった後,再度部分払の請求をする場合においては,第1項及び第六項中「請負代金相当額」とあるのは「請負代金相当額から既に部分払の対象となった請負代金相当額を控除した額」とするものとする。
(部分引渡し)
第39 工事目的物について,発注者が設計図書において工事の完成に先だって引渡しを受けるべきことを指定した部分(以下「指定部分」という。)がある場合において,当該指定部分の工事が完了したときについては,第32中「工事」とあるのは「指定部分に係る工事」と,「工事目的物」とあるのは「指定部分に係る工事目的物」と,「完成通知書」とあるのは「指定部分完成通知書」と,第32第5項及び第33中「請負代金」とあるのは
「部分引渡しに係る請負代金」と読み替えて,これらの規定に準用する。
2 前項の規定により準用される第33第1項の規定により請求することができる部分引渡しに係る請負代金の額は,次の式により算定する。この場合において,指定部分に相応する請負代金の額は,発注者請負者間において協議して定める。ただし,発注者が前項の規定により準用される第33第1項の請求を受けた日から14日以内に協議が整わない場合には,発注者が定め,請負者に通知する。
部分引渡しに係る請負代金の額=指定部分に相応する請負代金の額×(1-前払金額
/請負代金額)
(瑕疵担保)
第40 発注者は,工事目的物に瑕疵があるときは,請負者に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求し,又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。ただし,瑕疵が重要ではなく,かつ,その修補に過分の費用を要するときは,発注者は,修補を請求することができない。
2 前項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求は,第32第4項又は第5項(第39においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による引渡しを受けた日から,木造の建物等の建設工事の場合には1年以内に,コンクリート造等の建物等又は土木工作物等の建設工事及び設備工事等の場合には2年以内に行わなければならない。ただし,請負者の故意若しくは重大な過失により瑕疵が生じた場合又は木造若しくはコンクリート造等の建物の建設工事(新築工事に限る。)で設計図書に定める建物の構造耐力上主要な部分若しくは雨水の浸入を防止する部分に瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)がある場合には,請求を行うことのできる期間は10年とする。
3 発注者は,工事目的物の引渡しの際に瑕疵があることを知ったときは,第1項の規定にかかわらず,その旨を直ちに請負者に通知しなければ,当該瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできない。ただし,請負者がその瑕疵があることを知っていたときは,この限りでない。
4 発注者は,工事目的物が第1項の瑕疵により滅失又はき損したときは,第2項の定め
る期間内で,かつ,その滅失又はき損の日から6月以内に第1項の権利を行使しなければならない。
5 第1項の規定は,工事目的物の瑕疵が支給材料の性質又は発注者若しくは監督職員の指図により生じたものであるときは適用しない。ただし,請負者がその材料又は指図の不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは,この限りでない。
(履行遅滞の場合における損害金等)
第41 請負者の責に帰すべき事由により工期内に工事を完成することができない場合においては,発注者は,損害金の支払を請負者に請求することができる。
2 前項の損害金の額は,請負代金額から部分引渡しを受けた部分に相応する請負代金額を控除した額につき,遅延日数に応じ,年3.6パーセントの割合で計算した額とする。
3 発注者の責に帰すべき事由により,第33第2項(第39において準用する場合を含む。)の規定による請負代金の支払が遅れた場合においては,請負者は,未受領金額につき,遅延日数に応じ,年3.6パーセントの割合で計算した額の遅延利息の支払を発注者に請求することができる。
(契約保証金)
第42 請負者は,契約保証金を納付した契約において,請負代金額の増額の変更をした場合は,増加後における総請負代金額に対する所要の契約保証金額と既納の契約保証金額との差額に相当するものを追加契約保証金として,発注者の指示に従い,直ちに納付しなければならない。
2 請負者が契約事項を履行しなかった場合において,契約保証金を納付しているときは,当該契約保証金は,国立大学法人山口大学に帰属するものとする。
(公共工事履行保証証券による保証の請求)
第43 第4第1項及び第3項の規定による保証が付された場合において,請負者が第44第
1項各号のいずれかに該当するときは,発注者は,当該公共工事履行保証証券の規定に基づき,保証人に対して,他の建設業者を選定し,工事を完成させるよう,請求することができる。
2 請負者は,前項の規定により保証人が選定し発注者が適当と認めた建設業者(以下「代替履行業者」という。)から発注者に対して,この契約に基づく次の各号に定める請負者の権利及び義務を承継する旨の通知が行われた場合には,代替履行業者に対して当該権利及び義務を承継させる。
(1) 請負代金債権(前払金又は部分払金又は部分引渡しに係る請負代金として,請負者に既に支払われたものを除く。)
(2) 工事完成債権
(3) 瑕疵担保債務(請負者が施工した出来形部分の瑕疵に係るものを除く。)
(4) 解除権
(5) その他この契約に係る一切の権利及び義務(第29の規定により請負者が施工した工事に関して生じた第三者への損害賠償債務を除く。)
3 発注者は,前項の通知を代替履行業者から受けた場合には,代替履行業者が前項各号に規定する請負者の権利及び義務を承継することを承諾する。
4 第1項の規定による発注者の請求があった場合において,当該公共工事履行保証証券
の規定に基づき,保証人から保証金が支払われたときは,この契約に基づいて発注者に対して請負者が負担する損害賠償債務その他の費用の負担に係る債務(当該保証金の支払われた後に生じる違約金等を含む。)は,当該保証金の額を限度として,消滅する。
(発注者の契約解除)
第44 発注者は,請負者が次の各号のいずれかに該当するときは,契約を解除することができる。
(1) 正当な理由なく,工事に着手すべき期日を過ぎても工事に着手しないとき。
(2) その責に帰すべき事由により工期内に完成しないとき又は工期経過後相当の期間内に工事を完成する見込みが明らかにないと認められるとき。
(3) 第11第1項第2号に掲げる者を設置しなかったとき。
(4) 前3号に掲げる場合のほか,契約に違反し,その違反により契約の目的を達することができないと認められるとき。
(5) 第46第1項の規定によらないで契約の解除を申し出たとき。
2 前項の規定により契約が解除された場合においては,請負者は,請負代金額の10分の
1に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない。
3 前項の場合において,第4の規定により契約保証金の納付又はこれに代わる担保の提供が行われているときは,発注者は,当該契約保証金又は担保をもって違約金に充当することができる。
第45 発注者は,工事が完成するまでの間は,第44第1項の規定によるほか,必要があるときは,契約を解除することができる。
2 発注者は,前項の規定により契約を解除したことによって請負者に損害を及ぼしたときは,その損害を賠償しなければならない。
(請負者の契約解除)
第46 請負者は,次の各号のいずれかに該当するときは,契約を解除することができる。
(1) 第20の規定により設計図書を変更したため請負代金額が3分の2以上減少したとき。
(2) 第21の規定による工事の施工の中止期間が工期の10分の5(工期の10分の5が6月を超えるときは,6月)を超えたとき。ただし,中止が工事の一部のみの場合は,その一部を除いた他の部分の工事が完了した後3月を経過しても,なおその中止が解除されないとき。
(3) 発注者が契約に違反し,その違反によって契約の履行が不可能となったとき。
2 請負者は,前項の規定により契約を解除した場合において,損害があるときは,その損害の賠償を発注者に請求することができる。
(談合等不正行為に対する措置)
第47 発注者は,次の各号のいずれかに該当したときは,契約を解除することができる。この場合において,請負者は,解除により生じた損害の賠償を請求することができない。
(1) 請負者が,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第3条の規定に違反したことにより,公正取引委員会が請負者に対し,同法第50条第1項の規定に基づく課徴金の納付命令を行い,同条第
5項により当該納付命令が確定したとき。
(2) 請負者(請負者が法人の場合にあっては,その役員又は使用人)について,刑法(明治40年法律第45号)第96条の3又は独占禁止法第89条第1項に規定する刑が確定したとき。
2 請負者は,前項各号のいずれかに該当するときは,発注者が契約を解除するか否かを問わず,賠償金として請負代金額の10分の1に相当する額を発注者の指定する期間内に支払わなければならない。ただし,前項第1号に掲げる場合において,審決の対象となる行為が,独占禁止法第2条第9項に基づく不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示第15号)第6項に規定する不当廉売であるとき,その他発注者が特に認めるときは,この限りでない。
3 発注者は,実際に生じた損害の額が前項の請負代金額の10分の1に相当する額を超えるときは,請負者に対して,その超える額についても賠償金として請求することができる。
4 前2項の規定は,この契約による履行が完了した後においても適用があるものとする。
(解除に伴う措置)
第48 発注者は,契約が解除された場合においては,出来形部分を検査の上,当該検査に合格した部分及び部分払の対象となった工事材料の引渡しを受けるものとし,当該引渡しを受けたときは,当該引渡しを受けた出来形部分に相応する請負代金を請負者に支払わなければならない。この場合において,発注者は,必要があると認められるときは,その理由を請負者に通知して,出来形部分を最小限度破壊して検査することができる。
2 前項の場合において,検査又は復旧に直接要する費用は,請負者の負担とする。
3 第1項の場合において,第35の規定による前払金があったときは,当該前払金の額(第 38の規定による部分払をしているときは,その部分払において償却した前払金の額を控除した額)を第1項前段の出来形部分に相応する請負代金額から控除する。この場合において,受領済みの前払金額になお余剰があるときは,請負者は,解除が第44の規定によるときにあっては,その余剰額に前払金の支払の日から返還の日までの日数に応じ年
3.6パーセントの割合で計算した額の利息を付した額を,解除が第45又は第46の規定によるときにあっては,その余剰額を発注者に返還しなければならない。
4 請負者は,契約が解除された場合において,支給材料があるときは,第1項の出来形部分の検査に合格した部分に使用されているものを除き,発注者に返還しなければならない。この場合において,当該支給材料が請負者の故意若しくは過失により滅失若しくはき損したとき,又は出来形部分の検査に合格しなかった部分に使用されているときは,代品を納め,若しくは原状に復して返還し,又は返還に代えてその損害を賠償しなければならない。
5 請負者は,契約が解除された場合において,貸与品があるときは,当該貸与品を発注者に返還しなければならない。この場合において,当該貸与品が請負者の故意又は過失により滅失又はき損したときは,代品を納め,若しくは原状に復して返還し,又は返還に代えてその損害を賠償しなければならない。
6 請負者は,契約が解除された場合において,工事用地等に請負者が所有又は管理する工事材料,建設機械器具,仮設物その他の物件(下請負人の所有又は管理するこれらの物件を含む。以下第48において同じ。)があるときは,請負者は,当該物件を撤去する
とともに,工事用地等を修復し,取り片付けて,発注者に明け渡さなければならない。
7 前項の場合において,請負者が正当な理由なく,相当の期間内に当該物件を撤去せず,又は工事用地等の修復若しくは取片付けを行わないときは,発注者は,請負者に代わって当該物件を処分し,工事用地等を修復若しくは取片付けを行うことができる。この場合においては,請負者は,発注者の処分又は修復若しくは取片付けについて異議を申し出ることができず,また,発注者の処分又は修復若しくは取片付けに要した費用を負担しなければならない。
8 第4項前段及び第5項前段に規定する請負者のとるべき措置の期限,方法等については,契約の解除が第44の規定によるときは発注者が定め,第45又は第46の規定によるときは,請負者が発注者の意見を聴いて定めるものとし,第4項後段,第5項後段及び第
6項に規定する請負者のとるべき措置の期限,方法については,発注者が請負者の意見を聴いて定めるものとする。
(火災保険等)
第49 請負者は,工事目的物及び工事材料(支給材料を含む。以下第49において同じ。)等を設計図書に定めるところにより火災保険,建設工事保険その他の保険(これに準ずるものを含む。以下第49において同じ。)に付さなければならない。
2 請負者は,前項の規定により保険契約を締結したときは,その証券又はこれに代わるものを遅滞なく発注者に提示しなければならない。
3 請負者は,工事目的物及び工事材料等を第1項の規定による保険以外の保険に付したときは,遅滞なくその旨を発注者に通知しなければならない。
(賠償金等の徴収)
第50 請負者がこの契約に基づく賠償金,損害金又は違約金を発注者の指定する期間内に支払わないときは,発注者は,その支払わない額に発注者の指定する期間を経過した日から請負代金額支払の日まで年5パーセントの割合で計算した利息を付した額と,発注者の支払うべき請負代金額とを相殺し,なお不足があるときは追徴する。
2 前項の追徴をする場合には,発注者は,請負者から遅延日数につき年5パーセントの割合で計算した延滞金を徴収する。
(あっせん又は調停)
第51 契約書及びこの契約基準において発注者請負者間において協議して定めるものにつき協議が整わなかったときに発注者が定めたものに請負者が不服がある場合その他この契約に関して発注者請負者間に紛争を生じた場合には,発注者及び請負者は,建設業法による建設工事紛争審議会(以下「審議会」という。)のあっせん又は調停によりその解決を図る。
2 前項の規定にかかわらず,現場代理人の職務の執行に関する紛争,主任技術者(監理技術者)又は専門技術者その他請負者が工事を施工するために使用している下請負人,労働者等の工事の施工又は管理に関する紛争及び監督職員の職務の執行に関する紛争については,第14第3項の規定により請負者が決定を行った後若しくは第13第5項の規定により発注者が決定を行った後,又は発注者若しくは請負者が決定を行わずに第13第3項若しくは第5項の期間が経過した後でなければ,発注者及び請負者は,前項のあっせん又は調停を請求することができない。
(仲裁)
第52 発注者及び請負者は,その一方又は双方が第51の審査会のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがないと認めたときは,第51の規定にかかわらず,仲裁合意書に基づき,審査会の仲裁に付し,その仲裁判断に服する。
(補則)
第53 この契約基準に定めのない事項は,必要に応じて発注者請負者間において協議して定める。
付 記
この基準は,平成16年4月1日から適用する。付 記
この基準は,平成17年7月1日から適用する。付 記
この基準は,平成18年1月4日から適用する。