『発注関係事務の運用に関する指針』p4抜粋
1.設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特性
(2)発注者・受注者の留意事項
(3)設計変更の現状
2.契約図書
(1)契約図書の構成
(2)契約関係用語の定義
3.設計変更が不可能なケース
◆基本事項
4.設計変更が可能なケース
◆基本事項及び留意事項
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合(契約書第18条第1項の二)
(2)設計図書の表示が明確でない場合(契約書第18条第1項の三)
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合
(契約書第18条第1項の四)
(4)工事中止の場合(契約書第20条)
(5)「設計図書の照査」の範囲を超えるもの
5.設計変更手続きフロー
6.設計変更に関わる資料の作成
7.条件明示について
8.指定・任意の使い分け 平成29年4月
奈良県 県土マネジメント部 技術管理課 3
1.設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特性
○土木工事では、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。
○当初積算時に予見できない事態、例えば、土質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する
必要がある。
(2)発注者・受注者の留意事項
発注者は、
設計積算にあたって、平成15年7月2日付け技第56号技術管理課長通知「施工条件の明示について」に記載されている工事内容に関係する項目については、「6.条件明示」を参考に条件明示するよう努めること。
受注者は、
工事の着手にあたって、設計図書を照査し着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、発注者と「協議」し進めることが重要である。
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図る。
『発注関係事務の運用に関する指針』p4抜粋
(平成27年1月30日 公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議) 4
(3)設計変更の現状
~次のような業界からの意見がみられる~
<設計成果>
○設計と現場があっていない。現場に即した設計としてほしい。
<発注時の条件整備>
○関係機関との協議が整ってから発注してほしい。
<条件明示>
○施工上影響がある条件については条件明示をしてほしい。
○施工条件を明示し、施工条件に変更が生じたら適切な設計変更をしてほしい。
<照査の範囲外>
○照査の範囲を超える設計変更の業務に対して対価を支払ってほしい。
<設計変更>
○設計変更に伴う増加費用として、一体性のある工事であれば、20%を超える増加費用の変更を認めてほしい。
<一時中止>
○工事中止時の増加費用を適切に見込んでほしい。
○設計変更:契約変更の手続きの前に当該変更の内容をあらかじめ受注者に指示すること
○契約変更:契約内容に変更の必要が生じた場合、当該受注者との間において、既に締結されている契約内容を変更すること
(4)適切な設計変更の必要性
改正品確法(平成26年6月公布・施行)の基本理念に、「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
また、変更見込金額が請負代金額の20%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこととする。この場合において、特に、指示等で実施が決定し、施工が進められているにも関わらず、変更見込金額が請負代金額の
20%を超えたことのみをもって設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負代金の額や工期の変更を行わないことはあってはならない。
(5)ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
(6)設計変更ガイドラインの契約図書への位置づけ
契約の一事項として扱うこととし、特記仕様書へその旨記載する。
2.契約図書
(1)契約図書の構成
頭書部分
(契約図書の扱いとするもの)
契約図書
(1)
条項部分
契約書
(2)
設計図書
(3)
仕様書
(4)
図 面
(7)
現場説明書
(8)
質問回答書
(9)
工事数量総括表
(10)
共通仕様書
特記仕様書
(5)
(6)
(根拠であるが、基本として設計図書に含まない)
設計計算書
(必要に応じ添付)
数量算出根拠資料
金抜き予定価格算出設計書
(12)
参考資料
(13) (11)
予定価格算出設計書
(2)契約関係用語の定義(1/3)
番号 | 用 語 | 用語の定義 | 解 説 |
(1) | 契約図書 | 発注者、受注者双方の合意により、締結された契約の内容を示した書類で、双方を拘束する契約上の効力を有するものである。 契約書と設計図書を合わせて契約図書という。 契約図書は、発注者と受注者の双方における工事目的物を完成させるための取り決めを記したものであり、これに属さない図書は契約上、効力を有しない。 | 契約図書は契約上の重要事項及び発注者と受注者との権利義務を定めた契約書と、工事目的物の規格・仕様を定めた設計図書からなる。 契約における権利義務や工事目的物の規格・仕様・技術的要求事項等を規程している。 |
(2) | 契約書 | 発注者と受注者との間の権利義務関係を明確にしたもので、工事名、請負代金額等の重要な契約事項が記載された頭書部分と、請負代金額等の変更、発注者と受注者の権利義務などの内容を定めている条項部分を併せたものをいう。 【契約図書の一部】 | 契約書は契約上の重要事項及び発注者と受注者との権利義務を明確にしたもので、甲乙対等な立場における合意に基づいて請負契約を締結し、xxに従って誠実にこれを履行するものである。 |
(3) | 設計図書 | 仕様書(共通仕様書、特記仕様書)、図面(位置図、設計図、工事数量総括表、参考図、数量算出書)、現場説明書、質問回答書(必要に応じて設計計算書)をいう。 【契約図書の一部】 | 設計図書は、発注者の予定価格の根拠となるほか、入札参加者は、これを基に入札額を算定する。 契約締結後、受注者は、この設計図書を照査し、これに基づいて工事目的物を完成させ、発注者に引き渡すこととなる。 |
(4) | 仕様書 | 工事の施工に際して要求される技術的要件、いわゆる使用する材料の品質や規格、寸法・位置・仕上げの許容誤差など工事目的物の内容を規定するもののほか、施工上必要な工程や手順、採用が義務付けられている施工方法及び工事施工上の制約条件などを示すものであり、これらを詳細に記載した書面をいう。 【設計図書の一部】 | 工事を施工するため、品質・規格・仕様・施工条件等を仕様書にて定めなければならない。 仕様書には、各工事に共通する共通仕様書と、各工事ごとの現場条件によって規定される特記仕様書があり、総称して仕様書という。 |
(5) | 共通仕様書 | 各作業の手順、使用する材料の品質、数量、仕上げの程度等のほか、場合によっては施工方法等、工事を施工する上で必要な技術的要求、工事内容を説明したもののうち、あらかじめ各工事を共通する内容を盛り込み作成した書面をいう。 【設計図書の一部】 | 受注者は工事を施工するにあたり、契約図書に施工方法や材料規格等特別の定め(特記事項)がない場合は、共通仕様書に記載されている内容を遵守する。 |
(2)契約関係用語の定義(2/3)
番号 | 用 語 | 用語の定義 | 解 説 |
(6) | 特記仕様書 | 共通仕様書で定められていないものや定められている事項と異なる場合等において、共通仕様書を補完するために工事固有の技術的要求事項及び工事施工上の制約事項を定める書面をいう。 【設計図書の一部】 | 発注者は現場条件を勘案し予定価格の根拠を算出している際に、共通仕様書と一致しない現場条件等について、発注者が想定した条件を特記仕様書で明示する必要がある。 |
(7) | 図面 | 工事の範囲や工事目的物について図化したもの。 位置図、平面図、縦断図、標準断面図、横断図、構造詳細図、仮設構造物図(指定、あるいは参考)等がある。 【設計図書の一部】 | 工事は図面を元に施工されることから、誤りや脱漏、不明確な表現がないよう細心の注意を払い、誰が見ても分かるように表記されなくてはならない。 |
(8) | 現場説明書 | 工事の入札前に、入札参加者に対して行われる説明会の図面や資料のことをいう。 【設計図書の一部】 | 奈良県では、現場説明会は入札予定者同士が入札前に会うことになるので、原則として現場説明会はおこなっていない。 |
(9) | 質問回答書 | 工事の入札前に、入札参加者からの質問に対して発注者が回答する書面をいう。 【設計図書の一部】 | 質問回答書については、契約締結時の条件となることから、他の入札参加者に対しても公表等を行う必要がある。 |
(10) | 工事数量総括表 | 契約条件の明確化を図るため、工事内容を構成する種別や細目などの項目と、項目ごとの規格・数量を、受注者が契約上制約されるもの(契約事項)とされないもの(非契約事項)に区分し、一覧的に記載した書面をいう。摘要欄に現場条件を明示することで、特記仕様書による明示を簡素化することができる。 【設計図書の一部】 | 契約上、制約される事項・数量は、品質・出来形を確認する必要がある。 非契約事項であっても、適正な変更予定価格算定の基礎となる現場条件等の変更が生じた場合、設計変更の対象とする。 |
(11) | 数量算出根拠資料 | 工事を施工する上で必要となる項目ごとの数量を設計図・参考図を基に算出し、取りまとめた書面をいう。参考資料であり特記仕様書等で指定しないかぎり設計図書とならない。 | 工事数量総括表の基礎資料であり、工事目的物・仮設構造物等の妥当性を検証する上で必要なものである。 |
(12) | 設計計算書 (必要に応じ添付) | 工事目的物の設計計算条件や計算結果等を記載した書面をいう。 受注者が工事を施工する際の条件として必要な際に添付する。 | 例として、グラウンドアンカーやロックボルト工の緊張力等、施工に必要な条件明示を記載する場合に添付する。 |
(2)契約関係用語の定義(3/3)
番号 | 用 語 | 用語の定義 | 解 説 |
(13) | 金抜き 予定価格 算出設計書 | 入札参加者に適正な見積りを実施させるために閲覧するもので、予定価格算出設計書の単価欄と金額欄を空白にした書面をいう。 | 金抜き予定価格算出設計書は、入札参加者が入札額を算定する際に参考とする資料であり、契約図書ではない。 |
(14) | 予定価格 算出設計書 | 「土木工事積算基準」や「土木工事工種体系化の手引き」等の諸基準に基づいて予定価格の根拠を算出した書面をいう。 設計変更が生じた場合にも、請負代金額の変更にあたり、発注者と受注者とが協議する根拠となるものである。 | 契約上は参考資料であり契約図書とはしないが、予定価格の根拠を算出したものであり、妥当な工事費用を決定するための重要な資料である。 会計検査等においては、この書類で受検し、工事費用の妥当性を説明することとなるため、単価算定資料等の根拠資料も適切に添付する必要がある。 |
3.設計変更が不可能なケース
【基本事項】
◆下記のような場合においては、原則として設計変更できない。
1.設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
2.発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
3.「承諾」で施工した場合
4.建設工事請負契約書・土木工事共通仕様書(案)に定められている所定の手続きを経ていない場合(契約書第18条~24条、共通仕様書1-1-13~1-1-15)
5.正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
※ 契約書第26条(臨機の措置)については別途考慮する。
承諾 : 受注者自らの都合により施工方法等について監督職員に同意を得るもの
設計変更不可
協議 : 発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの
設計変更可能
4.設計変更が可能なケース
【基本事項】
◆下記のような場合においては設計変更が可能である。
1.仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合。
(ただし、所定の手続きが必要。)
2.当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場合。
3.所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの。
(「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。)
4.受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
5.受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
◆設計変更にあたっては下記の事項に留意し受注者へ指示する。
1.当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更「協議」にあたる。
2.当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし、設計変更は契約書第19条にもとづき書面で行う。
(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注ではないか)を明確にする。)
3.設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
4.指示書へ概算金額の記載を行う。ただし、以下の事項を条件とする。
①受注者からの協議における変更の場合は、受注者が見積書を提出した場合に、その見積書を参考にして指示書に記載する。
②受注者からの協議によらず発注者の指示による場合は、概算金額を指示書に記載することとし、記載できない場合にはその理由を記載することとする。
③記載する概算金額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。
※具体的な記載の運用については次頁に記載する。
■先行指示書等への概算額の記載方法
設計変更を行うため、契約変更に先だって指示を行う場合は、指示書にその内容に伴う増減額の概算額を記載する。ただし、受注者からの協議により変更する場合にあっては、協議時点で受注者から、設計変更の対象となる工種の概算の見込み数量の提出を受けた場合に限る。
ここで記載する概算額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。
また、緊急的に行う場合または何らかの理由により概算額の算定に時間を要する場合は、「後日通知する」ことを添えて指示を行うものとする。
【受発注者間の協議により変更する指示の場合】
1.受発注者間の協議に基づき、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(指示書等)にて指示を行う。
2.指示書には、変更内容による変更見込み概算額を記載する。
3.概算額の明示にあたっては、協議時点で受注者から概算の見込み数量の提出があった場合に、その妥当性を確認した上で、その概算の見込み数量に基づく概算額を指示書に記載する。受注者から概算の見込み数量の提出がない場合は、概算額を記載しない。
4.概算額は、百万円単位を基本(百万円以下の場合は十万円単位)とする。
【発注者からの先行指示の場合】
1.発注者から指示を行い、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(指示書等)にて指示を行う。
2.指示書には、変更内容による変更見込み概算額を記載することとし、記載できない場合にはその理由を記載する。
3.概算額については、類似する他工事の事例や設計業務等の成果、協会資料などを参考に記載することも可とする。また、記載した概算額の出典や算出条件等について明示する。
4.概算額は、百万円単位を基本(百万円以下の場合は十万円単位)とする。
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
○受注者は、xxx上、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者としては、自分で勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
(契約書第18条第1項の二) <設計変更可能なケース>
受注者
発注者
「契約書第18条(条件変更等)第1項の二」に基づき、その旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき
、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者及び発注者は、契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア.条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
イ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合 ウ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導警備員についての条件明示がない場合
(2)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
○設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
(契約書第18条第1項の三) <設計変更可能なケース>
受注者
発注者
「契約書第18条(条件変更等)第1項の三」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき
、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者及び発注者は、契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア.土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
イ.水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
○自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。
また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
(契約書第18条第1項の四) <設計変更可能なケース>
受注者
発注者
受注者及び発注者は、契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項・第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
「契約書第18条(条件変更等)第
1項の四」に基づき、設計図書の条件明示(当初積算の考え)と現地条件とが一致しないことを直ちに監督職員に通知
ex. ア.設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ.設計図書に明示された交通誘導警備員の人数等が規制図と一致しない場合
エ.前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合オ.その他、新たな制約等が発生した場合
(4)工事中止の場合の手続き
○受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き
(工事一時中止に係るガイドライン(案)参照)
発注者
受注者
(契約書第20条) <設計変更可能なケース>
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事を施工することができない
「契約書第20条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない。
受注者からの中止事案の確認請求も可。
受注者は、共通仕様書1-1-13第3項に基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る。
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る。
発注者は、現場管理上、最低限必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
承諾した基本計画書に基づき、施工監督及び設計変更を実施
基本計画書に基づいた施工の実施
17
ex.
ア.設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
イ.警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合ウ.管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
エ.受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
オ.設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合カ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
キ.工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合
ク.設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
ケ.埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
(5)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
<設計変更可能なケース>
1.現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
2.施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
3.現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。又は、土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
4.構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
5.構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
6.現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるが標準設計で修正可能なもの。
7.構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
8.基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
9.土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
10.「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
11.構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
12.設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
13.舗装維持・修繕工事の縦横断設計。(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書「14-4-3路面切削工」「14-4-5切削オーバーレイ工」「14-4-6オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる) 。
14.新たな工種追加や設計変更による構造計算及び図面作成。
15.「各種示方書」等の変更に伴う構造計算及び図面作成。
16.照査の結果、必要となった追加調査の実施。
〈例〉・ボーリング調査
・杭打・大型重機による施工を行う際の近隣の家屋調査
・トンネル漏水補修工(裏込め注入工)の施工に際し、周辺地域への影響調査
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとする。
詳細については、「設計照査ガイドライン」を参照。
(6)受注者からの請求による工期の延長
○受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
協議
発注者は第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う。
発注者
受注者
(契約書第21条) <設計変更可能なケース>
「契約書第21条(受注者の請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示した書面により監督職員に通知
受注者及び発注者は、契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
イ.設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合ウ.その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
(7)発注者の請求による工期の短縮
(契約書第22条) <設計変更可能なケース>
○発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受注者
発注者
発注者は、契約書第22条(発注者の請求による工期の短縮等)第1項に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により受注者に請求。
受注者は発注者からの請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得る。
協議
受注者及び発注者は、契約書第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア.工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合イ.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
ウ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
発注者
契約書第18条第1項第1号~5号に該当する事実を発見
意見
通知し確認を請求
【第18条第1項】
受注者:立会い 発注者:直ちに調査の実施 【第18条第2項】
受注者
5.設計変更手続きフロー
調査結果の通知 (とるべき措置がある場合、当該指示を含む)「工事変更指示書」
承認決裁(14日以内)
調査結果のとりまとめ
【第18条第3項】
受理
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更
<発注者が行う>
・設計図書の訂正【第1号】
・工事目的物の変更を伴う設計図書の変更【第2号】
契約変更
協議 ①工期の変更【第23条】 ②請負代金額の変更【第24条】
【第18条第4項】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更 <発注者と受注者とが協議して発注者が行う>
・工事目的物の変更を伴わない設計図書の変更【第3号】
変更内容・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算書等の変更設計図書の作成
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更【第18条第5項】
6.設計変更に関わる資料の作成
設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
1)設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して、契約書第18条第1項に該当する事実が発見された場合、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
第18条第1項に該当する事実を発見
<契約書第18条第1項>
受注者 発注者
現地と設計内容の違いについて、
確認できる資料を書面で提出します。
資料を確認しました。 この資料の作成費用は
設計変更の対象としません。
2)設計変更に必要な資料作成
契約書第18条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、契約書第18条 第4項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
<契約書第18条第4項>
受注者
発注者
設計図書の訂正又は変更は発注者が行う。
~ 設計変更するために必要な資料の作成を依頼するときは ~
設計変更に関わる資料を作成したので提出します。
資料を確認しました。 この資料の作成費用は
設計変更の対象とします。
① 設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
② 設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③ 発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④ 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤ 増加費用の算定は、設計業務等標準積算基準書を基本とする。
設計変更が必要な内容について、受発注者間で確認
必要な資料の作成ついて協議し、発注者が受注者に具体的な作業を指示
7.条件明示について
施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
なお、条件明示等に不足が生じないよう、「土木工事『明示項目及び明示事項』(案)」を参考資料として活用するなど記載漏れがないようチェックすること。
(「施工条件の明示について」平成15年7月2日付け技第56号技術管理課長通知を参照。)
明示項目 | 明示事項 |
工程関係 | 1.他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期。 2.施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法。 3.当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容、成立見込み時期。 4.関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目及び影響範囲。 5.余裕工期を設定して発注する工事については、工事の着手時期。 6.工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間。 7.設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数。 |
用地関係 | 1.工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期。 2.工事用地等の使用終了後における復旧内容。 3.工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 4.施工者に、消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用させる場合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 |
明示項目 | 明示事項 |
公害関係 | 1.工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容。 2.水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容、期間。 3.濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容(処理施設、処理条件等)。 4.工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法 、範囲等。 |
安全対策関係 | 1.交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間。 2.鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容。 3.落石、雪崩、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容。 4.交通誘導員、警戒船及び発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は、その内容。 5.有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合は、その内容。 |
工事用道路関係 | 1.一般道路を搬入路として使用する場合 (1)工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等 。 (2)搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容。 2.仮道路を設置する場合 (1)仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間。 (2)仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)。 (3)仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容。 |
仮設備関係 | 1.仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引き継いで使用する場合は、その内容、期間、条件等。 2.仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及びその施工方法。 3.仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容。 |
建設副産物関係 | 1.建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件。 2.建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は、その内容。 3.建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場等の処理条件。なお、再資源化処理施設又は最終処分場を指定する場合は、その受入場所、距離、時間等の処分条件。 |
明示項目 | 明示事項 |
工事支障物件等 | 1.地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等。 2.地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工事内容及び期間等。 |
薬液注入関係 | 1.薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、削孔数量、削孔延長及び注入量、注入圧等。 2.周辺環境への調査が必要な場合は、その内容。 |
工事現場の イメージアップ | 1.イメージアップ工事として、特に指定する必要がある場合は、その方法、範囲、期間、注意事項等 |
その他 | 1.工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等。 2.工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等。 3.支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所、引渡期間等。 4.関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容。 5.架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件。 6.工事用電力等を指定する場合は、その内容。 7.新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容。 8.部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び使用時期。 9.給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等。 |
8.指定・任意の使い分け
【基本事項】
指定・任意については、契約書第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要がある。
1.任意については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
2.任意については、その仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
3.ただし、指定・任意ともに当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
【留意事項】
◆指定・任意の使い分けにおいては下記の事項に留意する。
1.仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある。
2.発注者(監督者)は、任意の趣旨を踏まえ、適切な対応をするように注意が必要。
※任意における下記のような対応は不適切
・○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・標準歩掛ではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応。ただし、任意であっても、当初積算時の条件と現地条件に変更がある場合は、設計変更を行う。
◎ 発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲
■自主施工の原則
契約書第1条第3項により、設計図書に指定されていなければ、工事実施の手段、仮設物等は受注者の裁量の範囲
契約書第1条第3項
仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する | 施工方法等について具体的には指定しない |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意(施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更があ る場合の設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない。 |
条件明示の変更に対応した設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする。 |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・仮設構造物を一般交通に供する場合 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合 ・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設 |