特 許 共 同 出 願 契 約 書E
特 許 共 同 出 願 契 約 書E
・本様式は、大学と企業間の共同出願契約様式となるが、学外機関等との協議で大学としての基本的な立場を維持しつつ必要に応じて柔軟に対応するものとする。
国立大学法人佐賀大学(以下「甲」という。)と○○株式会社(以下「乙」という。)は、甲に属する研究者及び乙に属する研究担当者が共同して発明を行った「○○○」
(以下「本発明」という。)の特許共同出願に関し、次のとおり契約を締結する。
・当事者として義務を負う主体を明確にし、当事者の意図及び契約履行の意思を確認する。
・当事者が2者ではなく、共同出願人の数により複数者となることもある。
・例文は大学と企業との間の共同出願の例であるが、大学同士の共同出願においても基本的に変わることはない。
(権利の帰属及び持分)
第1条 甲及び乙は、本発明に係る特許を受ける権利及びこれに基づき取得する特許権(以下「特許xx」という。)を以下のとおり共有するものとする。
発明の名称:○○○
整理番号 :甲 ○○○ 、 乙 ○○○
持分
:甲 ○% 、 乙 ○%
・共同出願契約書の締結は原則特許出願前となることから、発明を発明名称で特定する。
・特許出願の段階において発明名称が変更されることもあることから、甲及び乙のそれぞれの整理番号を記載する。
・持分は、発明に対する発明者の寄与度、それ以外の当事者の技術に対する貢献度等を考慮して決められる。
(手続き及び費用)
第2条 本発明の特許出願及びこれに付随する手続き並びに特許xxの維持保全の手続きは乙がこれを行うものとする。ただし、審査請求を行うときまたは拒絶理由通知を受けたとき、その他甲乙協議のうえ手続きすることが適当と認められるときは、乙は甲と事前に協議するものとする。なお、乙は甲の同意を得て、出願及び維持保全の手続きを代理人に委託することができる。
2 前項の手続きに要する出願費、特許料等の費用は、乙が本特許権に係る独占的実施権を留保することに鑑み、乙がこれを負担するものとする。
・特許出願等の手続きを担当する当事者を明確にする。企業が費用負担を行い主導的に進める場合は、企業に出願等に係る手続き窓口をお願いしている。
・例文は、実施権について企業の要望を満たす方法(独占的実施権の留保等)をとる代わりに、相手方の企業に全額費用の負担をお願いするパターンとなる。
・相手方の企業が独占的実施を希望しない(大学が第三者にライセンス可)場合、相手方が本学と同様に自己実施しない場合(大学、公的機関等)は、通常費用は、持分割合で負担することになる。
(通知・書類の送付)
第3x xは、乙自身または代理人を介して前条第1項における手続きの経過をその都度遅延なく甲に通知しなければならない。
・手続き窓口を担当する当事者は、責任を持って経過を遅延なく相手方に通知する義務を明確にしておく。
・特許事務所(代理人)に委託する場合は、通常特許事務所から直接、両当事者に関係書類の写しが送付されてくる。
(共有者の実施)
第4条 甲は、本発明に係る特許xxを業として実施せず、かつ、乙または乙の指定する者から独占的に実施したい旨の通知があった場合には、本発明を出願したときから○年間独占的に実施させることを許諾するものとする。
2 甲は、乙または乙の指定する者から前項に規定する独占的に実施させる期間(以下、「独占的実施期間」という。)を更新したい旨の申し出があった場合には、独占的実施期間の更新を許諾する。この場合、更新する期間については、甲乙協議の上、定めるものとする。
3 乙は、毎年4月1日から翌年3月31日の1年間における本発明に係る特許xxの実施の有無及び状況を、当該期間終了後1ヶ月以内に、甲に報告するものとする。
・本様式は、企業が独占的実施を留保する場合を想定しており、独占的実施期間については、相手方の企業の事業展開の状況等を勘案して決定する。
・企業は実施の状況を毎年大学に報告することを定めている。
・相手方が本学と同様に自己実施できない場合(大学、公的機関等)は、本特許xxの実施は、研究開発のものに限定されるため、本条は不要となる。
(実施料)
第5条 乙は、乙または乙の指定する者が本発明に係る特許xxを実施しようとするときは、甲は業として実施しないことから、別に実施契約で定める実施料を甲に支払うものとする。ただし、乙が乙の指定する者からの実施料の支払いを甲に申し入れた場合は、当該実施料を第1条に定める持分に応じて、甲及び乙それぞれに配分するものとする。
・大学と企業との共同研究の場合、事業のために研究成果を実施できるのは企業であり、大学は自ら実施することができない。大学としては、研究成果に基づく利益の合理的な配分という考え方に立ち、大学研究者の発明に対する貢献に適正に報いることの重要性を認識し、企業が共有特許を実施する場合、大学は企業から
応分の実施料をもらうことを定めている。
・企業が企業の指定する者から実施料を得た場合、当事者間で持分に応じて分配するように定めている。
・相手方が本学と同様に自己実施できない場合(大学、公的機関等)は、本特許xxの実施は、研究開発のものに限定されるため、本条は不要となる。
(第三者に対する実施の許諾)
第6x xは、本発明に係る特許xxを乙の指定する者及び乙の指定する者以外の者(以下「第三者」という。)に対して実施許諾することができ、事前に書面により甲に通知をするものとする。
2 前項により実施許諾する場合の実施料率その他の条件については、甲乙で別途協議するものとする。
3 前2項により第三者から実施料を得た場合は、甲乙で第1条に定める持分に応じてこれを分配するものとする。
4 甲は、乙または乙の指定する者が本発明に係る特許xxを前条に定める独占的実施期間xxx第2年次以降において正当な理由なく実施しない場合のみ、事前に乙または乙の指定する者の書面による同意を得た後、第三者に対し本発明に係る特許xxの実施を許諾することができるものとする。
5 前項において、甲は、乙または乙の指定する者が本発明に係る特許xxに関する研究または開発を行っている場合及び本特許xxを実施するのに必要な調査または準備を行っている場合は、正当な理由があるものとみなすことができる。
・企業が第三者に実施許諾する場合は、事前に大学に通知し、当事者間で実施料率等条件を別途協議することを定めている。
・第三者から実施料を得た場合、当事者間で持分に応じて分配するように定めている。
・企業が独占的実施期間xxx第 2 年次以降において積極的に事業活動をせず正当な理由なく実施しない場合は、事前に企業に同意を得た上で大学は第三者に対して実施許諾できることを定めている。大学が自ら第三者との実施契約を締結する
場合を想定しており、大学の第三者実施に係る権利を留保しようとする規定である。
(第三者との紛争等)
第7条 甲及び乙は、本発明の特許出願若しくは特許xxに関し、審判、判定または第三者との間に紛争の生じた場合には、相互に協力して対処するものとする。
2 前項の解決に要する費用は、甲及び乙が協議して負担するものとし、侵害の解決の結果として金銭的利益が得られた場合、甲及び乙は、それぞれの持分に応じてその利益を配分する。
・事業を行う立場にある企業は、権利侵害とされないために当該特許xxを無効審判手続等により、無効にする努力をする。これに備えて、両当事者があらかじめ協力することを約し、準備をしておく趣旨である。
・紛争処理の費用は、その争いの形態・結末が不透明であり、より合理的な配分を考えて、両当事者が協議して負担するものとしている。なお、侵害の解決の結果得られた金銭的利益については、持分に応じての利益配分としている。
(持分譲渡)
第8条 甲及び乙は、事前に相手方の同意を書面にて得なければ、第1条に定める自己の持分を第三者に譲渡することはできない。
2 前項に定める同意を得て第三者に譲渡する時は、その持分譲渡に関する費用は譲渡人及び譲受人の双方またはそのいずれかが負担するものとする。
・自己の持分を第三者に譲渡する場合は、相手方に通知し同意を得た上で、譲渡するものとしている。また、持分譲渡に関する費用については、譲受当事者間で負担するものとする。
(持分放棄)
第9条 甲及び乙は、第1条に定める自己の持分の放棄を希望する場合は、事前に書面により相手方に通知するものとする。
2 前項により甲または乙が持分放棄した場合、放棄した持分は、相手方が無償でこれを承継することができる。放棄人は、当該承継人が自己負担で行う当該承継に必要な出願人名義変更等の手続きに協力するものとする。
3 前項に定める当該放棄人の協力義務が当該承継人の指定する日までに履行されず、前項の手続きがなされない場合、本特許xxは当該承継人の名義とみなし、当該承継人の裁量で本特許xxを措置することができる。
・実施可能性がない特許xxに対して、棚卸しを行い、共有者の一方が権利放棄を行う場合は、相手方に事前に通知を行い、連絡を密にし、権利関係の円滑な終了手続きを行う必要がある。
・権利放棄をした持分については、相手方が無償で承継することができることとしている。
(守秘義務)
第10条 甲及び乙は、本発明の内容について秘密を厳守するものとする。ただし、事前に相手方の同意を得た事項あるいは、当事者の責によらず公知となった事項については、この限りではない。
2 前項の定めは第13条により本契約が終了した後においても本発明が公知となるまでは有効とする。
・特許出願は、出願日から 1 年半後に公開される。それまでは、特許内容が当事者間以外に漏れないよう注意を払う必要がある。
・未公開特許について第三者から情報開示の要望があり、相手方の同意が得られた場合には、特許内容を第三者に開示できることとし、個別の案件に応じて、最適な対応をとれることを定めている。
(外国出願)
第11条 甲及び乙は、本発明について外国出願を行おうとするときは、その取扱いについて別途協議の上、定めるものとする。
・外国出願には多額の費用がかかることから、本学では原則 JST の支援制度より費用の支援が受けられるもの、企業にて費用負担を行うもの以外は、外国出願は行わないことにしている。
・世界的な市場が見込まれる技術の場合等、企業側が外国出願を希望する場合もあることから、当事者間で費用、出願国等、協議を行う必要があり、本条を定めている。
(国内優先権主張出願等)
第12条 甲及び乙は、本発明の特許出願を先の出願とする国内優先権主張出願、分割出願、または変更出願を行おうとするときは、その取扱いについて別途協議の上、定めるものとする。
2 国内優先権主張出願、分割出願、または変更出願を行った場合には、当該出願に本契約の各規定を準用し、当該出願の日に新たな共同出願契約が締結されたものとみなす。
・共同出願契約で対象となった発明が基礎となり新たな関連発明がなされた場合等の取り扱いについては、当事者間にて協議して進めることを定めている。
・当事者間にて協議の上、優先権主張出願、分割出願、変更出願を行った場合には、本契約を準用することとしている。
(契約有効期間)
第13条 本契約の有効期間は、本契約の締結日から本発明に基づき取得した特許権の存続期間満了日までとする。ただし、次の各号に該当したときは、その該当する日に終了するものとする。
(1)本発明の特許出願のすべてについて拒絶の査定若しくは審決が確定したとき。
(2)本発明に基づいて取得した特許の無効の審決が確定したとき。
(3)本出願を取り下げたとき。
・通常、特許出願前に共同出願契約を締結することになるが、緊急の出願を要する場合等については、出願後に共同出願契約を締結する場合がある。その場合の有効期間は、「特許を出願した日(特許出願日)から本発明に基づき取得した特許権の存続期間満了日まで」とする。
・特許xxの性質上、権利が存続しなくなれば、それを前提とする約束は意味をなさなくなる。
(発明者に対する補償)
第14条 本発明者に対する補償は、甲及び乙がそれぞれ自己に属する発明者に対してのみ自己の規定に基づき行う。
・発明者への補償については、大学及び企業がそれぞれ自己に属する発明者に対してのみ自己の規定に基づいて報償金の支払いを行うものとする。
・本学においては、佐賀大学職務発明等に対する報償金に係る要項に基づき、本学発明者に支払うものとする。
(準用)
第15条 前各条項は、本出願を変更し、実用新案登録出願もしくは意匠登録出願としての出願手続きをし、または本出願を基礎とした優先権主張を伴う出願をし、並びにこれらに基づき特許権、実用新案権または意匠権を取得した場合に準用する。
・本特許出願を変更して、実用新案登録出願もしくは意匠登録出願を行った場合、並びにそれらが登録になった場合等の取り扱いについては、本契約のそれぞれの条項を準用することを定めている。
(協議)
第16条 この契約に定めのない事項について、これを定める必要があるときは、甲乙協議の上、定めるものとする。
・契約締結時点において想定していなかった事態がその後生じた時に、当事者間で円滑に話し合いができるように規定する。
・本契約の定めのない事項についての協議は、当事者間での合意を前提としている。
この契約の締結を証するため、本契約書2通を作成し、甲、乙がそれぞれ1通を保管するものとする。
平成○年○月○日
甲 | 住 名 | 所 称 | 佐賀県佐賀市xx町1番地 国立大学法人佐賀大学 学 x x x x x |
乙 | 住名 | 所称 |