Contract
[事案 25-185] 特別条件緩和請求
・平成 26 年 9 月 19 日 裁定終了
<事案の概要>
告知義務違反で契約が解除となったが、遡及的に保険料を割増することで契約継続に合意した契約について、告知は正確にしていたことを理由に、割増保険料の減額等を求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
以下の理由により、平成 23 年 9 月に契約した医療保険および同年 10 月に契約した収入保障保険について、保険会社との保険料割増の合意を取り消し、保険料を減額してほしい。
(1)遡及的に特別条件を付しての契約継続に合意したのは、保険会社が契約を解除すると通知してきたためであり、募集人の告知妨害等により保険会社は契約解除できないと知っていれば、合意しなかった。
(2)自分は正確に告知しており、告知義務違反があったとすれば、募集人から記入に対する指示が正確に行われていなかったためであって、自分には過失がない。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)各契約の告知の際、募集人は重要事項説明書を読み上げ、ありのままに告知するよう説明し、申立人自身に告知書を作成させている。
(2)募集人は本契約の告知前に、申立人から糖尿病の罹患歴を聞いたことが無く、申立人の健康診断書も見たことはない。
<裁定の概要>
裁定審査会では、当事者から提出された申立書、答弁書等の書面および申立人、募集人の事情聴取の内容にもとづき審理を行った。審理の結果、以下のとおり、申立内容は認められないので、指定(外国)生命保険業務紛争解決機関「業務規程」第 37 条 1 項にもとづき、裁定書にその理由を明記し、裁定手続を終了した。
1. 以下のとおり、申立人には告知義務違反があったと認められる。
(1)申立人は各契約の告知書の過去 2 年以内の健康診断での検査の異常の指摘の有無を問う項目において、「いいえ」と回答をしている。
(2)xxxは平成 22 年 7 月および平成 23 年 7 月に受診した健康診断で、「糖尿病の疑い」との指摘を受けている。
2. 以下のとおり、募集人による告知妨害、不告知教唆があったとは認められない。
(1)事情聴取において申立人は、告知書作成の前に「糖尿病の疑い」の記載のある健康診断結果の中間報告書を募集人に見せていたと供述するが、募集人はそれを否定しており、また、申立人から中間報告書の提出もなく、募集人が申立人の糖尿病の疑いの指摘を受けていたことを認識していたとの事実を認めることはできない。
(2)また申立人は、募集人に告知書の記入方法について質問したところ「いいえ」と記入するよう回答されたと供述するが、申立書の記載と異なる内容の供述であること、他の項目でも同様のやり取りがあったかもしれない等と不明瞭な供述であること、他に募集人の告知妨害等を推認させる証拠提出も無いことから、募集人による告知妨害等があったと認める
ことはできない。
3. 以上のとおり、保険会社による各契約の告知義務違反による契約解除を妨げる理由は存在しないので、申立人が「保険会社は、実際は契約解除できないのに、契約解除できると誤信した」との錯誤に陥ったとはいえず、申立人が保険会社との保険料割増の合意を取り消すことはできない。