Contract
工事請負契約における設計変更ガイドライン
令和4年8月xx市
1 | . | 本ガイドラインの策定にあたって P.1 |
2 | . | 建設工事の請負契約の原則 P.1 |
3 | . | 設計変更の考え方 P.1 |
4 | . | 発注者及び受注者の留意事項 P.1、2 |
5 | . | 工期及び請負代金額の変更対象となる主な事項 P.2 |
6 | . | 設計変更ができないケース P.3 |
7 | . | 設計変更対象となる事項の具体的な事例 P.3、4 |
8 | . | 設計変更の流れ( 契約書第 1 8 条の場合 ) P.5 |
9 | . | 仮設、施工方法等の設計変更について( 指定と任意 ) ·· P.6 |
10 | . | 設計変更に関する主な条項< 参考 > P.7 |
11 | . | 変更協議・変更手続きにおける注意事項 P.7、8 |
(附則) P.8
【 工事打合せ簿 】
別紙1 P.9
1.本ガイドラインの策定にあたって
建設工事は、道路・河川・公園・上水道・下水道・建築物等多岐にわたる公共施設を地形、地質、天候などの自然条件や騒音、振動、交通の確保、現場周辺の住民や施設管理者の要望等の社会的な制約条件の影響を著しく受けるとともに、工事目的物は場所や使用目的毎に用途・機能・構造などを勘案し個別に設計し建設される。
工事の施工は、現場ごとに異なる複雑かつ多様な施工条件に対し、事前の調査・計画に基づく一定の条件下で作成された設計図書により、発注者と受注者が締結する契約のもと履行される。
しかしながら、現実の建設工事の施工にあたっては、当初の計画どおり工事が進行しないこともあり、設計変更等が余儀なくされることが少なくなく、建設業法では、あらかじめそのような場合における処理方法について、契約書において定めることを規定している。
【建設業法第 19 条第 1 項第六号】工事請負契約書(以下「契約書」という。)においては、設計変更に関わる手続等について規定さ
れているが、それらの各条項における適用指針等を示すことにより、適切な設計変更手続の遂行をもって、一層の公共工事の品質確保に寄与すべく本ガイドラインを策定するものである。
2.建設工事の請負契約の原則 【建設業法第 18 条】
発注者と受注者は、各々対等な立場における合意に基づいて、xxな請負契約を締結し、xxに従って誠実にこれを履行しなければならない。
3.設計変更の考え方
発注者及び受注者は、設計図書に従い、工事の請負契約を履行しなければならない(契約書第 1
条第 1 項)とされているが、設計図書に明示されている内容と実際の現場条件が一致しない等の場合には、契約書の関連条項に基づき、必要があると認められるときは、設計図書に明示した事項を変更し、それに伴い必要となる工期又は請負代金額を変更するものである。
4. 発注者及び受注者の留意事項
(1)発注者 <設計図書の変更【契約書第 18 条第 1 項~第 5 項】>
◆ 契約書第 18 条第 1 項に該当する事実において確認を請求されたとき又は自らが発見したときは、直ちに調査を行い、発注者は調査の結果を受注者に「通知」しなければならない。
【契約書第 18 条第 1 項、2 項、3 項】
◆ 調査の結果、契約書第 18 条第 1 項の事実が確認された場合においては、必要な設計図書の訂正又は変更を行う。 【契約書第 18 条第 4 項】
◆ 訂正又は変更が行われた事項について、必要な工期又は請負代金額の変更を行う。
【契約書第 18 条第 5 項】
(2) 受注者 <照査、事実の通知及び確認請求【契約書第 18 条第 1 項】>
◆ 施工前及び施工中において、受注者は契約書第 18 条第 1 項の第一号から第五号に関わる設計図書の照査を行う。
◆ 工事の施工にあたり、契約書第 18 条第 1 項の第一号から第五号に該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督職員に「通知」し、その確認を「請求」しなければならない。
※契約書に定める、「請求」、「通知」、「報告」、「申出」、「承諾」及び「解除」は、書面により行わなければならない。 【契約書第 1 条第 5 項】
(3)工期及び請負代金額の変更方法 【契約書第 24 条及び第 25 条】
工期及び請負代金額の変更については、発注者と受注者が「協議」の上、定める。
5. 工期又は請負代金額の変更対象となる主な事項
変更等の内容 | 契約書 |
① 図面や仕様書など、相互に一致しない設計図書の訂正 (優先順位が定められている場合を除く) | 第 18 条第 1 項第一号 |
② 誤謬(ごびゅう)又は脱漏がある設計図書の訂正 | 第 18 条第 1 項第二号 |
③ 表示が明確でない設計図書の訂正 | 第 18 条第 1 項第三号 |
④ 実際の工事現場と一致しない施工条件が示された設計図書の 変更 | 第 18 条第 1 項第四号 |
⑤ 当初には明示されていない施工条件について予期することの できない特別な状態が生じたことによる、設計図書の変更 | 第 18 条第 1 項第五号 |
⑥ 発注者が必要あると認める場合の設計図書の変更 | 第 19 条 |
⑦受注者の責によらない事由による工事の一時中止 | 第 20 条 |
⑧受注者の責によらない事由により受注者から請求される工期 の延長 | 第 22 条 |
⑨ 特別の理由により発注者が請求する工期の短縮 | 第 23 条 |
6. 設計変更ができないケース
次のような場合は、原則として設計変更はできない。
「契約書第 27 条(臨機の措置)に該当する場合を除く」
◆ 契約書、土木工事共通仕様書及び公共建築工事標準仕様書等に定められている所定の手続を経ていない場合
◆ 工事打合せ簿による「指示」や「協議」がない場合(口頭のみの指示や協議)
◆ 設計図書に明示のない事項について、発注者との「協議」を行わず、受注者が独自の判断で施工した場合
◆ 発注者と受注者との「協議」が整っていない時点で施工した場合
◆ 受注者自らの都合により設計図書と異なった同等以上の施工方法等について監督職員の「承諾」を得て施工した場合
7. 設計変更対象となる事項の具体的な事例
(1)設計図書が相互に一致しない。 【契約書第 18 条第 1 項第一号】
(優先順位が定められている場合を除く)
◆ 設計図書の図面と仕様書の材料寸法、数量等の記載が一致しない場合
◆ 設計図書の平面図と詳細図の寸法、規格等の記載が一致しない場合
(2)設計図書に誤謬(ごびゅう)又は脱漏がある。 【契約書第 18 条第 1 項第二号】
◆ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
◆ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合
◆ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導員に関する一切の条件明示がない場合
(3)設計図書の表示が明確でない。 【契約書第 18 条第 1 項第三号】
◆ 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
◆ 水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
(4)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない。
【契約書第 18 条第 1 項第四号】
◆ 設計図書に明示された土質が、現場条件と一致しない場合
◆ 設計図書に明示された地下水位が、現場条件と一致しない場合
◆ 設計図書に明示された交通誘導員の人数等が、交通管理者との協議結果と一致しない場合
(5)設計図書で明示されていない施工条件について、予測することのできない特別な状態が生じた。
【契約書第 18 条第 1 項第五号】
◆ 施工中に想定外の地中障害物等が存在し、撤去が必要となった場合
◆ 工事区域内で想定外の軟弱地盤層が存在し、地盤改良が必要となった場合
(6)発注者が必要あると認める場合の設計図書の変更 | 【契約書第 19 | 条】 |
◆ 現場周辺の住民との協議により、変更が妥当であると認める場合 ◆ 関連工事との調整の結果、変更が妥当であると認める場合 | ||
◆ 関係官公署の行政指導等により、変更する必要があると認める場合 | ||
(7)受注者の責によらない事由による工事の一時中止 | 【契約書第 20 | 条】 |
◆ 設計図書に定められた工事着工時期に、受注者の責によらない理由により施工できない場合
◆ 警察や河川・道路・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合
◆ 管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
◆ 受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
◆ 予見できない事態が発生した場合(地中障害物の発見等)
(8)受注者の責によらない事由により受注者から請求される工期の延長 【契約書第 22 条】
(9)特別の理由により発注者が請求する工期の短縮 【契約書第 23 条】
◆ 発注者が行政運営の必要性から工事費の増嵩等をも考慮して、工期の短縮等を行う必要性があると判断した場合(いわゆる突貫費用等の負担)
8.設計変更の流れ(契約書第 18 条の場合)
① 図面や仕様書などが相互に一致しないこと (優先順位が定められている場合を除く)
② 設計図書に誤謬(ごびゅう)又は脱漏があること
③ 設計図書の表示が明確でないこと
④ 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたことなど
【発注者】
事実を発見
事実を発見
「通知」を受理
意 見
【受注者】
事実を発注者に「通知」し、その確認を「請求」する
【契約書第 18 条第 1 項】
受注者の立会いの上調査を実施
【契約書第 18 条第 2 項】
調査結果の取りまとめ |
結果を書面により「通知」する |
【契約書第 18 条第 3 項】 |
協議
受注者及び発注者は、「協議」により
工期及び請負代金額を定める
【契約書第 24 条及び第 25 条】
※ 点線内は、他の条項による
変更の場合も同様の流れとなる。
協議成立
協議が整わない等により、当該契約に関して発注者と受注者との間に紛争を生じた場合、大阪府建設工事紛争審査会のあっせん又は調停によりその解決を図る。(契約書第 61 条)
変更契約を締結
設計図書の訂正又は変更にともなう工期又は請負代金額の変更を行う
【契約書第 18 条第 5 項】
調査結果に基づき、
必要な設計図書の訂正又は変更を行う 【契約書第 18 条第 4 項】
設計変更は予算の範囲内でその内容を明確にし、発注者の意思決定と受注者の意思確認をするため、工事打合せ簿に必要な事項を記載して行う。
【※1】また、上記によらず軽微な設計変更については、書面「工事打合せ簿※」(別紙1)により確認の上、工事を進めることができる。
※水道局発注工事においては、水道局の様式によるものとする。(以下同様)
9.仮設、施工方法等の設計変更について(指定と任意)
(1)基本事項【契約書第 1 条第 3 項】
仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
◆ 施工方法等は特別の定めがある場合は「指定」、その他は「任意」である。
◆ 「任意」については、その施工方法等を自らの責任において受注者が選択する。
(2) 注意事項
◆ 「任意」については、その施工方法等に変更があっても原則として設計変更の対象としない。ただし、設計図書に明示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は変更できる。
(3)「指定」の事例
◆ 特許工法や特殊工法を採用する場合
◆ 関係機関等との協議により、施工条件等が制約される場合
◆ 環境対策等、施工方法等の選択にあたり特段の配慮が必要な場合
◆ 他の工事等に使用するため、仮設物を工事完成後も存置する必要がある場合等
10.設計変更に関する主な条項<参考>
契約書
◆ 第 8 条 特許xxの使用
◆ 第 15 条 支給材料及び貸与品
◆ 第 17 条 設計図書不適合の改造義務及び破壊検査等
◆ 第 18 条 条件変更等
◆ 第 19 条 設計図書の変更
◆ 第 20 条 工事の中止
◆ 第 22 条 受注者の請求による工期の延長
◆ 第 23 条 発注者の請求による工期の短縮等
◆ 第 24 条 工期の変更方法
◆ 第 25 条 請負代金額の変更方法
◆ 第 26 条 賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更
◆ 第 27 条 臨機の措置
◆ 第 28 条 一般的損害
◆ 第 30 条 不可抗力による損害
◆ 第 31 条 請負代金額の変更に代える設計図書の変更
◆ 第 34 条 部分使用
◆ 第 44 条 前払金等の不払いに対する工事中止
※各条項の適用にあたっては、それぞれに規定されている条件等について十分に精査すること。
11.変更協議・変更手続きにおける注意事項
設計変更が必要となった場合は、書面「工事打合せ簿」(別紙1)に必要事項を記載し、双方確認の上、取り交わすものとする。また、工事の施工については、変更契約を締結後、施工するものとする。ただし、軽微な設計変更については、書面「工事打合せ簿」(別紙1)により工事を施工することができる。
<工事打合せ簿について>
①工事打合せ簿(別紙1)には、変更にかかる内容等を記載し、双方確認の上、取り交わすものとする。
②数量等は、工事打合せ簿(別紙1)を取り交わした後、速やかに精査を行い変更契約できるようにする。
<契約変更のタイミング>【契約書第 18 条~第 25 条】
① 【条件変更等の発生】受注者が発見し直ちに監督職員に確認の請求をする。
【契約書第 18 条第 1 項】
② 【 調 査 】発注者、受注者立会の上、調査する。 【契約書第 18 条第 2 項】
③ 【調査の結果を通知】発注者は調査終了後、14 日以内に結果を受注者に通知する。
【契約書第 18 条第 3 項】
④ 【設計図書の訂正又は変更】事実が確認された場合は、訂正又は変更を行う。
【契約書第 18 条第 4 項、第 5 項】
⑤ 【契約変更協議】変更事由を生じた日から 7 日以内に協議を開始する。
【契約書第 24 条、第 25 条、第 26 条】
⑥ 【契約変更締結】協議を開始してから 14 日以内に協議を整える。
【契約書第 24 条、第 25 条、第 26 条】
附則
(作成日)令和3年4月1日
附則
(作成日)令和4年8月1日
別紙1
様式-8
工 事 打 合 せ 簿
第 | 回 | 追 番 | 頁 | ||||
発 議 | 者 | □ 発注者 □ 受注者 | 年 月 日 | 年 月 | 日 | ||
発 議 事 項 | □指示 □協議 | □通知 □承諾 □提出 □報告 □届出 | □その他( | ) | |||
工 事 名 | |||||||
出 席 者 | 発注者側 | ||||||
受注者側 | |||||||
(内容) | |||||||
添付図 | 葉、その他添付図書 | ||||||
(処理・回答欄) | |||||||
処理 ・回答 | 発注者 | 上記について □指示・□承諾・□協議・□通知・□受理 します。 □その他( ) 年 月 日 確認者 | |||||
受注者 | 上記について □了解・□協議・□提出・□報告・□届出 します。 □その他( ) 年 月 日 確認者 |