アフリカ知的所有権機関(OAPI)バンギ協定
第1章 総則
第1節 定義第1条 定義
アフリカ知的所有権機関(OAPI)バンギ協定
2015年12月14日公布
第2節 基本原則
第2条 義務及び責務
第3条 知的所有権官庁としてのOAPI第4条 係争解決
第5条 協定の範囲第6条 付属文書
第7条 国際条約の履行
第3節 実施要領及び手続第8条 出願
第9条 国内及び国際出願の提出並びに登録
第10条 特許の付与・公開・維持,実用新案の登録及びそれらの効果第11条 商標及び役務商標の登録並びに公開並びにそれらの効果
第12条 意匠の登録,維持及び公開並びにそれらの効果第13条 商号の登録及び公開並びにそれらの効果
第14条 地理的表示の登録及び公開並びにそれらの効果
第15条 集積回路の回路配置(図)の登録,維持及び公開並びにそれらの効果第16条 植物新品種の登録,維持及び公表
第17条 機関の公開第18条 専用登録簿第19条 不一致規定
第20条 司法判断の範囲第2章 加盟国
第1節 加盟資格第21条 加盟資格第22条 加盟
第2節 加盟国の権利及び義務第23条 加盟国の権利
第24条 義務
第3章 機関の組織第25条 機関の組織
第1節 管理評議会第26条 資格
第27条 管理評議会の任務及び権限第28条 特別な任務
第29条 管理評議会の会議第30条 管理評議会の決定
第2節 審判髙等弁務局
第31条 名称,任務及び構成
第3節 総局
第32条 総局の任務第33条 長官
第34条 仲裁及び調停センター
第4章 機関の財源第35条 財源
第36条 予算余剰金
第5章 その他及び最終規定第 37 条 機関の法人格
第 38 条 特権及び免責第39条 機関の本部
第40条 機関の存続期間第41条 署名及び批准 第42条 発効
第1節 経過規定第43条 経過規定
第44条 加盟以前に一国家において付与された権原第45条 国家の加盟以前にOAPIで有効な権利
第2節 経過及び最終規定
第46条 医薬品に関する経過規定第47条 改定
第48条 脱退
付属文書1 特許
第1章 総則第1条 定義
第2条 特許性のある発明第3条 新規性
第4条 進歩性
第5条 産業上の利用可能性
第2章 特許権第6条 特許権
第7条 特許権の制限第8条 保護期間
第9条 特許を受ける権利第10条 特許の共有
第11条 職務発明及び委託発明
第12条 特許出願の実用新案出顧への変更第3章 一般書式
第1節 特許出願 第13条 願書の提出第14条 国際出願 第15条 出願日
第16条 未払いによる不受理第17条 発明の単一性
第18条 優先権主張
第2節 特許付与 第19条 出願の公開第20条 異議申立
第21条 機関に対する所有権の申立第22条 出願の分割
第23条 出願の審査
第24条 クレーム,明細書,図面及び要約書の補正第25条 特許付与
第26条 付与の延期
第27条 拒絶を決定する条件
第28条 特許専用登録簿への登録
第3節 追加証明
第29条 追加証明
第30条 追加証明の存続期間
第31条 追加証明出願の特許出顔への変更第32条 同一の対象に関する特許の独立性
第4節 特許及び追加証明に関する送達及び公開第33条 追加証明出願を特許出願に変更する手続
第34条 特許及び追加証明の詳細な説明及び図面の送達第35条 特許及び追加証明の公開
第5節 特許及びライセンス契約の移転及び譲渡第36条 権利の移転及び譲渡
第37条 第三者に対する行使
第38条 特許及び追加証明の権利としての実施第39条 ライセンス契約
第40条 無効条項
第41条 無効条項の認定 第42条 ライセンスの用意
第4章 無効,権利失効及びそれらに関連する行為第1節 無効及び権利失効
第43条 無効
第44条 権利失効第45条 回復
第2節 無効又は権利失効に対する措置第46条 無効又は権利失効訴訟の開始第47条 管轄裁判所
第48条 無効又は権利失効に関する司法判断の登録第5章 強制ライセンス
第1節 不実施及び従属特許の強制ライセンス第49条 不実施に対する強制ライセンス
第51条 強制ライセンス付与の請求第52条 強制ライセンスの付与
第53条 強制ライセンスの実施権者の権利と義務第54条 強制ライセンスの制限
第55条 強制ライセンスの変更及び取下第56条 控訴
第57条 強制ライセンス受益者の義務の停止
第2節 国家緊急事態のための強制ライセンス第58条 国益における強制ライセンス
第6章 その他の法的手続及び手続第1節 一般規定
第59条 管轄裁判所
第60条 付与前の行為
第61条 裁判所に対する所有権の主張
第2節 民事及び刑事訴訟第62条 侵害
第63条 訴因
第64条 侵害の防止
第65条 侵害に対する差押
第66条 実体的手続開始の期限第67条 立証責任
第68条 情報調査 第69条 損害の判断第70条 期限
第71条 侵害犯罪及び刑事罰
第72条 処罰を加重するべき状況第73条 情状酌量
第74条 刑事手続の開始第75条 追加の罰則
第76条 無断利用
第3節 国境措置
第77条 請求に応じた措置第78条 職権行為
第7章 その他の経過規定及び最終規定
第79条 1999年2月24日のバンギ協定に基づいて付与又は承認された,継続している特許の有効性について
第80条 既得権
付属文書2 実用新案
第1章 総則
第1条 定義及び分類基準第2条 新規性
第3条 産業上の利用可能性
第4条 実用新案として保護されない主題第5条 付与される権利
第6条 保護期間
第7条 実用新案登録証を受ける権利第8条 実用新案権の共有
第9条 職務考案及び委託考案
第10条 実用新案により付与される権利の制限第2章 実用新案の登録に関する手続
第1節 実用新案登録出願第11条 願書の提出
第12条 実用新案の単一性第13条 優先権主張
第14条 特許出願から実用新案登録出顔への変更及びその逆の変更第15条 未払いによる不受理
第16条 出願日
第17条 出願の公開第18条 異議申立
第19条 機関に対する所有権の申立第20条 出願の分割
第2節 実用新案登録証の付与第21条 出願の審査
第22条 交付
第23条 拒絶を管理する規則
第3節 改良証
第24条 改良証を受ける権利第25条 改良証の存続期間
第26条 改良証出願の実用新案登録証出願への変更
第27条 改良証出願の実用新案登録証出願への変更に係る手続第28条 同一の対象に関し実用新案権の独立性
第3章 公開
第29条 実用新案登録証の公告
第30条 明細書,図面及び写真の送達
第4章 権利及びライセンスの移転及び譲渡第31条 権利の移転及び譲渡
第32条 実用新案専用登録簿への行為の登録
第33条 実用新案及びその改良の権利としての実施第34条 ライセンス契約
第35条 無効条項
第36条 無効条項の認定
第5章 不実施に対する強制ライセンス第37条 不実施に対する強制ライセンス
第38条 従属する実用新案権に対する強制ライセンス第39条 強制ライセンス付与の請求
第40条 強制ライセンスの付与
第41条 強制ライセンスの実施権者の権利と義務第42条 強制ライセンスの制限
第43条 強制ライセンスの変更及び取下第44条 控訴
第45条 付与された権利の防御
第46条 強制ライセンスの受益者の義務の停止第47条 国益による強制ライセンス
第48条 権利としてのライセンス
第6章 無効,権利失効及び関連する行為第1節 無効及び権利失効
第49条 無効
第50条 権利失効第51条 回復
第2節 無効又は権利失効を求める訴訟第52条 訴訟の開始
第53条 管轄権
第54条 無効又は権利失効に関する司法判断の登録
第7章 侵害,法的手続及び罰則第55条 侵害
第56条 登録前の行為
第57条 侵害の防止
第58条 侵害に対する差押
第59条 実体的手続開始の期限第60条 情報調査
第61条 損害の判断第62条 国境措置
第63条 侵害に対する罰則第64条 加重する状況
第65条 情状酌量
第66条 刑事手続の開始
第67条 異議申立を裁定する刑事裁判所の権限第68条 追加の罰則
第69条 無断利用第70条 期限
第8章 経過規定及び最終規定第71条 既得権
付属文書 3 商標及び役務商標第1章 総則
第1条 商標の任意選択性第2条 商標と認める標識
第3条 登録の対象とならない標章第4条 商標権
第5条 周知商標
第6条 登録により付与される権利第7条 権利の制限
第8条 商標の共有
第2章 出願,登録及び公開第9条 願書の提出
第10条 登録の範囲
第11条 出願受理書及び当該書類の送達第12条 優先権主張
第13条 受理及び出願日の要件第14条 出願の公開
第15条 異議申立
第16条 機関に対する所有権の申立第17条 出願の分割
第18条 商標の審査及び登録 第19条 出願拒絶に対する審判第20条 登録証の発行
第21条 登録の公告
第22条 権利の存続期間
第23条 商標及び役務商標専用登録簿に含まれる情報の利用第24条 標章登録の更新
第3章 国際出願
第25条 商標の国際保護
第4章 放棄,取消,無効及び回復第26条 放棄
第27条 取消第28条 無効第29条 回復
第5章 商標権及びライセンス契約のライセンスの移転及び譲渡第30条 権利の移転
第31条 第三者に対する行使第32条 ライセンス契約
第33条 無効条項
第34条 無効条項の認定
第6章 団体商標及び団体証明商標第1節 共通規定
第35条 使用を管理する規則
第36条 商標の性質の指定第37条 規則の改正
第2節 団体商標
第38条 団体商標を受ける権利第39条 団体商標の使用
第 40 条 団体商標の防護
第41条 団体商標の移転,無効及び権利失効
第3節 団体証明商標
第42条 団体証明商標に対する権利第43条 団体証明商標の利用
第44条 団体証明商標の移転を管理する条件
第45条 団体証明商標の移転,無効及び権利失効第7章 法的措置及び手続
第1節 共通規定
第 46 条 管轄裁判所
第47条 裁判所に対する所有権の主張第48条 商標登録前の行為
第2節 民事及び刑事訴訟第49条 模倣
第50条 模倣の防止
第51条 模倣に対する差押 第52条 本案手続開始の期限第53条 情報調査
第54条 損害の判断 第55条 その他の罰則第56条 期限
第57条 登録商標の不法使用に対する罰則
第58条 強制商標及び禁止標識に関連した罰則第59条 非加重罰則
第60条 累犯の場合の罰則第61条 情状酌量
第62条 選挙権のはく奪第63条 模倣品の結末
第64条 強制商標に係る他の措置
第65条 団体商標又は団体証明商標に関連した罰則
第3節 国境措置
第66条 請求に応じた措置第67条 職権行為
第8章 経過規定及び最終規定第68条 商標の継続的有効性第69条 既得権
付属文書4 意匠
第1章 総則第1条 定義
第2条 登録の対象となる意匠
第3条 登録により付与される権利第4条 意匠を受ける権利
第5条 意匠の共有
第6条 従業者により創作された意匠第7条 付与される権利の制限
第2章 出願,登録,公開及び回復第8条 願書の提出
第9条 優先権主張
第10条 受理書及び書類の送達第11条 出願の受理
第12条 出願の公開第13条 異議申立
第14条 機関に対する所有権の申立第15条 出願の分割
第16条 登録出願の審査第17条 登録証の発行 第18条 登録の公告
第19条 保護期間
第20条 出願書類の送達第21条 回復
第22条 保存期間
第23条 未払いによる不受理
第3章 意匠の移転,譲渡及びライセンス第24条 権利の移転
第25条 意匠専用登録簿への行為の登録第26条 ライセンス契約
第27条 無効条項
第4章 法的手段及び手続第28条 管轄権
第29条 刑事手続開始の条件第30条 登録の無効
第31条 裁判所に対する所有権の主張第32条 侵害の防止
第33条 侵害に対する差押
第34条 実体的手続開始の期限
第5章 罰則第35条 侵害
第36条 侵害の刑事罰
第37条 累犯に対する罰則第38条 選挙権のはく奪
第6章 国境措置
第39条 請求に応じた措置第40条 職権行為
第41条 裁判所への資料の送付第42条 付与された権利の防御
第7章 一般規定,移行規定及び最終規定第43条 意匠の継続的有効性
第44条 既得権
付属文書5 商号第1条 定義
第2条 商号として受け入れられない名称又は称呼第3条 商号を受ける権利
第4条 商号登録の特段の効果第5条 商号の使用条件
第6条 願書の提出第7条 出願受理書第8条 出願の公開第9条 異議申立
第10条 商号の審査及び登録第11条 登録証の発行
第12条 商号登録の公告第13条 権利の存続期間第14条 回復
第15条 放棄
第16条 商号の無効第17条 商号の移転
第18条 法的行為及び罰則第19条 範囲
第20条 商号の継続的有効性第21条 既得権
付属文書6 地理的指示標識(省略)
付属文書7 文学的及び美術的財産権(省略)付属文書8 不正競争からの保護(省略)
付属文書9 集積回路の回路配置(図)(省略)付属文書10 植物品種保護(省略)
第1章 総則
第1節 定義
第1条 定義
次に掲げる用語は,次のとおりの意味を有する。
「バンギ協定」とは,バンギで締結されたアフリカ知的所有権機関の創設に係る協定及びその付属文書すべてをいう。
「機関」とは,アフリカ知的所有権機関をいう。
「審判高等弁務局」とは,機関の審判高等弁務局をいう。
「議長」とは,機関の管理評議会の議長をいう。
「長官」とは,機関の長官をいう。
「加盟国」とは,機関の加盟国をいう。
「パリ条約」とは,1883年3月20日にパリで締結され,その後修正された「工業所有権の保護に関するパリ条約」をいう。
「特許協力条約」とは,1970年6月19日にワシントンで締結され,その後修正された条約をいう。
「国家管理部」とは,各加盟国において知的所有権に係る事項を担当する省をいう。
「ベルヌ条約」とは,1886年9月9日にベルヌで締結され,その後修正された「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」をいう。
「ローマ条約」とは,1961年にローマで締結された実演家,レコード製作者及び放送機関の保護に関する条約をいう。
第2節 基本原則
第2条 義務及び責務
(1) アフリカ知的所有権機関は,次の責務を負う。
(a) 知的所有権保護のための統一制度に由来する共通の管理手続を,機関の加盟国が加入するこの分野の国際協定の規定と同様に施行し,適用し,かつ知的所有権に関するサービスを提供すること。
(b) 文化的かつ社会的価値の表現としての文学的及び美術的財産権の保護の推進に貢献すること。
(c) 作家協会が存在しない加盟国にあっては各国の作家協会の創設を奨励すること。
(d) 文学的及び美術的財産権の保護に関するあらゆる種類の情報を集約し,統合し,普及させ,かつそうした情報を要求する本協定の加盟国に通知すること。
(e) 特に,知的所有権及び関連した権利の効果的な保護によって,加盟国の経済発展を促進すること。
(f) 知的所有権に係る訓練を提供すること。
(g) 加盟国によって機関に委託された目的に関連した他の任務を担うこと。
(h) 技術革新と創造性を促進すること。
(i) 地理的表示の保護を促進すること。
(j) 伝統的な文化的表現の保護を促進すること。
(k) 伝統的知識の保護を促進すること。
(2) 機関は,以下の第7条に従い,管理評議会の全会一致の決定に基づく,知的所有権に関連する法律の施行及び国際条約の施行に関する義務を遂行する。
第3条 知的所有権官庁としてのOAPI
(1) 各加盟国に対して,機関は,上述したパリ条約の第12条の意味における各国の知的所有権サービスを提供し,特許に関する文書及び情報の中央組織として機能する。
(2) 特許協力条約の加盟国でもある各加盟国に対して,機関は,当該条約の意味における「国内官庁」,「指定官庁」,「選択官庁」又は「受理官庁」としての役割を果たす。
(3) 各加盟国に対して,機関は,商標の国際登録に関するマドリッド協定議定書(以下,マドプロ)の意味における「国内官庁」及び「指定官庁」として機能する。
第4条 係争解決
(1) 加盟国によって署名された協定に別段の定めがない限り,本協定及び同付属文書に規定される権利の認定,範囲又は実施に関連する係争は,加盟国における裁判所の管轄に属するものとする。これらの裁判所は,関連する刑事事件に対して専属管轄権を有する。
(2) 本協定及び同付属文書の適用に関する如何なる係争も,仲裁又は調停によって解決することができる。
第5条 協定の範囲
(1) 本協定の付属文書に規定される知的所有権の分野に係る権利は,当該権利が効果を有する各加盟国の法律に従い,独立した各加盟国の権利である。
(2) 本協定及び同付属文書は,それらが意図した対象を管理する法律としての役割を加盟国内において果たすものとし,あらゆる違反規定の施行を取消し又は阻止する。文学的及び美術的財産権に関する付属文書7は,最低限の法定骨子である。
(3) 国民ではない者は,国民と同一の条件の下で,本協定及び同付属文書の規定を享受するものとする。
(4) 上記(3)の規定は,機関又はその加盟国が参加している国際協定の締約国における国民ではない者に対して又は相互主義を条件として,当該国における主要営業所又は居所を有さない国民ではない者に対して,適用される。
第6条 付属文書
(1) 本協定の付属書には,それぞれ,以下に関して各加盟国で適用される規定を含む。
-特許(付属文書1);
-実用新案(付属文書2);
-商標及び役務商標(付属文書3);
-意匠(付属文書4);
-商号(付属文書5);
-地理的表示(付属文書6);
-文学的及び美術的財産(付属文書7);
-不正競争からの保護(付属文書8);
-集積回路の回路設計(付属文書9); 及び
-植物新品種の保護(付属文書10)。
(2) 本協定は,本協定を批准又は加盟するすべての国にその全体が適用される。
(3) 上記第5条の規定に反することなく,付属文書1から10は本協定に不可欠な部分を構成する。
第7条 国際条約の履行
本協定の第26条及び後続の条文に記載されている管理評議会の決定により,機関は,加盟国が加盟した知的所有権に関する国際条約の履行に起因する管理手続の適用に必要なあらゆる措置を取ることができる。
第3節 実施要領及び手続
第8条 出願
(1) 特許出願,実用新案登録,商標若しくは役務商標,意匠,商号,地理的表示又は集積回路の回路配置及び植物新品種保護の出願は機関に直接行う。
(2) 上記(1)の規定に拘らず,出願人がその11の領域に居住する加盟国の国家管理部に対して出願することができる。かかる場合,国家管理部は,機関に対し,出願から5就業日以内に出願書類を送達する。
(3) 機関又は場合によっては各国家管理部が,報告書(出願人には写を送付)を作成し,各提出物を公式に記録し,文書の提出日時が通知する。
(4) 加盟国の領域外に居住する出願人は,何れかの加盟国から選任した代理人を介して出願する。機関に認定された代理人の職務は,管理評議会が採択した特別規則に準拠する。
(5) 機関又は国家管理部に提出された出願は,郵便,電子又は他の適法な通信手段によって送達できる。
(6)
(a) 機関は,下記(b)における合意が得られた場合を除き,加盟国の居住者及び国民によってなされた国際出願に関して特許協力条約の意味における受理官庁の役割を果たす。
(b) 機関は,特許協力条約における規則の関連規定に基づいて,特許協力条約の他の加盟国又は他の政府間組織との間で,その加盟国の国内官庁又はその政府間組織が,加盟国の居住者又は国民である出願人に対し,機関に代わって受理官庁の役割を果たすことに合意することができる。
第9条 国内及び国際出願の提出並びに登録
(1) 本協定の規則に従って何れかの加盟国の国家管理部又は機関に為された如何なる出願も
,下記(2)から(4)に従って,各加盟国における国内出願と同等の効力を有する。
(2) 少なくとも1つの加盟国の指定を含む如何なる国際特許出願も,特許協力条約にも加盟する各加盟国における国内出願と同等の効力を有する。
(3) マドプロの規定に基づいてなされ,かつ少なくとも1つの加盟国の指定を含む国際商標登録出願は,マドプロにも加盟する各加盟国における国内出願と同等の効力を有する。
(4) 意匠の国際寄託に関するハーグ協定に基づいて実施された如何なる意匠の国際登録出願も,同協定にも加盟する各加盟国における国内意匠出願と同等の効力を有する。
第10条 特許の付与・公開・維持,実用新案の登録及びそれらの効果
(1) 機関は,本協定及び同付属文書1及び2に規定された共通の手続に従って特許及び実用新案出願の審査を行う。
(2) 機関は,特許を付与し,実用新案を登録し,かつそれらを公開する。
(3) 特許協力条約の規則に従ってなされた国際出願に関する機関における手続は,同条約の規定の適用を受け,本協定及び同付属文書1の規定により補完される。
(4) 各加盟国において,実用新案及び特許は,下記(5)に従って,本協定及び同付属文書2に規定された効力を有する。
(5) 特許協力条約の規定に従ってなされた国際出願に付与された特許は,同条約にも加盟する加盟国においてもその効力を有する。
(6) 管理評議会による全会一致の決定により,機関は,特に,出願,審査の結果及び付与された権原の認定について,相手先官庁と検証契約を結ぶことができる。それらの実施の条件は,施行規則により定められる。
第11条 商標及び役務商標の登録及び公開並びにそれらの効果
(1) 機関は,本協定及び同付属文書3に規定された共通の手続に従って,商標及び役務商標を審査,登録及び公開する。
(2) 登録及び公開された商標は,下記(3)に従って,各加盟国において,本協定及び同付属文書3の規定による効力を有する。
(3) マドプロの規定により登録され,かつ少なくとも1つの加盟国において効力を有する国際商標登録は,本協定及びマドプロに加盟する各国において,当該商標が機関に登録されているのと同等の効力を有する。
第12条 意匠の登録,維持及び公開並びにそれらの効果
(1) 機関は,本協定及び同付属文書4に規定された共通の手続に従って,意匠を審査,登録
,維持及び公開する。
(2) 登録及び公開された意匠は,下記(3)に従って,各加盟国において,本協定及び同付属文書4の規定による効力を有する。
(3) 意匠の国際登録であるハーグ協定の規定により実施され,かつ少なくとも1つの加盟国において効力を有する意匠の国際登録は,本協定及びハーグ協定に加盟する各国において,当該意匠が機関に登録されているものと同等の効力を有する。
第13条 商号の登録及び公開並びにそれらの効果
(1) 機関は,本協定及び同付属文書5に規定された共通の手続に従って商号を審査,登録及び公開する。
(2) 登録及び公開された商号は,本協定及び同付属文書5に従って,各加盟国において効力を有する。
第14条 地理的表示の登録及び公開並びにそれらの効果
(1) 機関は,本協定及び同付属文書6に規定された共通の手続に従って地理的表示を審査,登録及び公開する。
(2) 下記(3)の規定に従って,登録及び公開された地理的表示は,本協定及び同付属文書6の規定に従って,各加盟国内で効力を有する。
(3) 原産地名称の保護に関する国際協定であるリスボン協定の規定に基づいて使用され,かつ,少なくとも1つの加盟国内で効力を有する地理的表示の国際登録は,本協定及びリスボン協定に加盟する各国において,地理的表示が機関に登録されていたのと同等の効力を有する。
第15条 集積回路の回路配置(図)の登録,維持及び公開並びにそれらの効果
(1) 機関は,本協定及び同付属文書9に規定された共通の手続に従って, 集積回路の回路配置(図)を審査,登録,維持及び公表する。
(2) 登録及び公表された集積回路の回路配置(図)は,本協定及び同付属文書9の規定に従って,各加盟国において効力を有する。
第16条 植物新品種の登録,維持及び公表
(1) 機関は,本協定及び同付属文書5に規定された共通の手続に従って,植物の新品種の申請を審査, 登録,維持及び公表する。
(2) 登録及び公表された植物新品種の証明書は,本協定及び同付属文書10の規定に従って,各加盟国において効力を有する。
第17条 機関の公開
(1) 機関は,施行規則に定められた条件に基づいて,以下を公開する。
(a) あらゆる種類の権原
(b) 付与されたすべての権原
(c) 後続する手続書類,及び
(d) 権原における権利を修正又は譲渡する旨の書類
(2) 機関によって付与された権原は,知的所有権の公報に公開される。
(3) 機関のあらゆる公開は,必要に応じて,知的所有権,文学的及び美術的財産権又は植物新品種を所管する各加盟国の官庁へ送達される。
第18条 専用登録簿
(1) 機関は,すべての加盟国のために,本協定に明記された記載事項が記入される特許専用登録簿,実用新案専用登録簿,商標及び役務商標専用登録簿,意匠専用登録簿,商号専用登録簿,地理的表示専用登録簿,植物新品種専用登録簿並びに集積回路の回路配置(図)専用登録簿を維持する。
(2) 何人も登録簿を調べ,施行規則に明記された条件でそこから抜粋を入手することができる。
第19条 不一致規定
本協定及び同付属文書の規定が,加盟国又は機関が加盟する国際条約の規定と不一致が生じた場合,国際条約を優先する。
第20条 司法判断の範囲
(1) 上記第4条の規定に従うことを条件として,本協定の付属文書1から付属文書10までの規定に準拠して加盟国における権原の有効性に関して下された最終的な司法判断は,公の秩序及び善良の風俗に基づく判断を除き,他の加盟国すべてに対しても拘束力を有する。
(2) 権原の有効性を除く分野において加盟国内で下された最終的な司法判断は,公の秩序及び善良の風俗に基づく判断を除き,関連加盟国の法律に基づいて下される執行判断に従って
,他の加盟国すべてにおいても行使できる。
第2章 加盟国
第1節 加盟資格
第21条 加盟資格
1999年2月24日のバンギ協定に加盟したアフリカ諸国は,機関の加盟国である。
第22条 加盟
(1) バンギ協定には加盟していないが,世界知的所有権機関の設立に関する条約,工業所有権の保護に関するパリ条約,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約及び/又は万国著作権条約並びに特許協力条約に加盟するアフリカ諸国は,本協定に加盟することができる。
(2) その目的のため,加盟申請は,管理評議会に提出され,管理評議会はその会員の多数決により裁決する。本協定の第32条の規定に拘らず,票が同数に分かれた場合は,否決とする
。
(3) 本協定への批准書又は加盟証書は,機関の長官に寄託される。
(4) 加盟証書に後日が明示されている場合を除き,加盟は上記(3)に記載されている寄託から2月後に効力を発する。
第2節 加盟国の権利及び義務
第23条 加盟国の権利
機関は,上記第2条に規定された義務と責務を実行することに加え,加盟国に対し管理評議会の指針に従って,その目的に関連するすべての必要なサービスを提供する。
第24条 義務
(1) 機関に加盟国の地位を得る如何なる国家も,初回の拠出金を納付する。初回の拠出金の額及び納付方法は,機関の管理評議会により決定される。ただし,第21条に基づいて機関の加盟国として認められる国は,この初回の拠出金を免除される。
(2) 予算の均衡をはかる必要がある場合,加盟国は機関に特別拠出金を納付する。その拠出金は,機関の予算に組み入れられ,加盟国間で均等に分配される。
第3章 機関の組織
第25条 機関の組織
本協定に基づき,機関は,その義務と責務を遂行するため,その自由裁量権が及ぶ次に掲げる組織を備える。
(a) 管理評議会
(b) 審判高等弁務局
(c) 総局
第1節 管理評議会第26条 資格
(1) 機関の管理評議会は,一国一代表者制に基づいて加盟国の代表者からなる。
(2) 加盟国は,必要に応じて,評議会におけるその代表権を他の加盟国の代表者に委託することができる。管理評議会の構成員は3国以上を代表することができない。
第27条 管理評議会の任務及び権限
管理評議会は,機関の最高意思決定機関である。管理評議会は,本協定の他の規定から生じる任務の遂行に加え,機関の総合政策を決定し,後記の活動を規制,管理するものとし,特に,
(a) 本協定及び同付属文書の適用に必要な規則を策定し,
(b) 財政規則,手数料及び審判高等弁務局に係る規則,一般職員規則並びに専門職代表者に関する規則を制定し,
(c) 上記(a)(b)に規定される規則の実施を監督し,
(d) プログラムを承認し,予算及び必要に応じて修正案又は追加予算を毎年採択し,それらの実施を管理し,
(e) 機関の年次決算及び財産目録を検査及び承認し,
(f) 機関の活動に関する年次報告書を承認し,
(g) 機密扱いではないポストの従事者及び機関の監査役を指名し,
(h) 機関の加盟国又は協力国としての加盟申請を裁決し,
(i) 加盟国又は協力国が納付する拠出金の額を定め,
(j) 必要に応じて,特定の事案に関する特別委員会の設置を決定し,
(k) 機関の使用言語を決定する。
第28条 特別な任務
本協定第27条に規定された任務に加え,管理評議会は,必要に応じて,加盟国それぞれの領域に適用することを目的として,加盟国が締約国である条約又は国際協定の実施に由来する適切な規則を策定する。
第29条 管理評議会の会議
(1) 管理評議会は,年一度の通常会議を開催する。
(2) 臨時会議は,必要に応じて,会員の3分の1による要請又は長官の要請があった場合に,
議長が招集することができる。
第30条 管理評議会の決定
(1) 管理評議会の議決は,決議として採択される。
(2) 管理評議会の如何なる議決に関しても,各加盟国の代表者は,一票を有する。
(3) 上記第2条(2)及び第10条(6)の規定に従って,管理評議会の議決は,出席又は代理が出席した構成員の単純多数による。
(4) 上記(3)の規定に従って,票が同数に分かれた場合は,議長が決定票を投じるものとする。
第2節 審判髙等弁務局
第31条 名称,任務及び構成
(1) 審判高等弁務局は,加盟国により指名される代表者一覧からの抽選によって選出された 3名の構成員からなるものとし,各加盟国は代表者1名を指名する。
(2) 審判高等弁務局は,次に掲げる不服申立を裁定する。
(a) 知的所有権保護の権利に関する出願の拒絶
(b) 保護期間の維持又は延長に関する請求の拒絶
(c) 回復申請の拒絶
(d) 異議申立に関する決定
(3) 審判高等弁務局の会期及びそこで審理される不服申立手続は,管理評議会が採択する規則に準拠する。
第3節 総局
第32条 総局の任務
総局は,長官の下で,機関の管理業務の責任を負う。総局は,日々の運営業務を継続的に処理するものとする。総局は,管理評議会の指示を実行し,本協定及び同付属文書の規定から生じる業務を遂行し,管理評議会に報告する。
第33条 長官
(1) 長官は,任期5年で任命され,一度だけ更新することができる。
(2) 長官は,機関の最高位の役員である。
(a) 長官は,民事のあらゆる行為において機関を代表する。
(b) 長官は,管理評議会に対して機関を管理する責任を負い,管理評議会に対して報告義務を負い,機関の内務及び外務に関する事項において管理評議会の指示に従う。
(3) 長官は,予算,計画,貸借対照表及び定期活動報告の草案を作成し,それらを加盟国に送達する。
(4) 長官は,管理評議会のすべての会議に投票権を有することなく参加する。長官は,これら会議の職権上の議長となる。
(5) 長官は,一般職員規則に定められた要件に従って,最高幹部を除く機関の職員を,採用
,任命及び解雇し又はその他その任務を終了させる。
(6) 長官は,権原の登録及び維持の可否を決定する。長官は,本協定及びその付属文書によって罰則を科す権限が規定されている場合,長官はそれを科すものとする。
第34条 仲裁及び調停センター
(1) 本協定により,機関内に,仲裁及び調停センターを設立する。当該センターは,総局に属し,かつ,知的所有権係争の裁判外での解決を促進する責務を負う。
(2) 仲裁及び調停センターの組織及び機能並びに仲裁及び調停を管理する規定は,管理評議会によって採択された規則により,定められる。
第4章 機関の財源
第35条 財源
(1) 機関の財源は,次に掲げるものからなる。
(a) 機関の規則及び加盟国の法律に規定された手数料からの収益
(b) 提供したサービスの報酬に対する収益
(c) 他の収益,とりわけ機関が所有する資産からの収入
(d) 管理評議会により承認された寄付金及び遺贈
(2) 収支を均衡させるため,加盟国は組織に多大な拠出を行うものとする。及かかる拠出金は機関の予算に含まれ,加盟国間で均等に分担する。
第36条 予算余剰金
(1) 予算余剰金は,管理評議会によって採択された知的所有権の開発プロジェクト及びプログラムの資金に割り当てられる。
(2) 予算余剰金は,財政規則によって定められた積立金及び特別基金が引き当てられた後で算定される。
第5章 その他及び最終規定
第 37 条 機関の法人格
機関は,法人格を有するものとする。各加盟国において,機関は,その国内法によって法人に与えられる最大限の法的能力を享受する。
第 38 条 特権及び免責
(1) 機関に対し,その活動を促進するため,加盟国の領域において一般的に国際機関に与えられる免責及び特権を与えられる。
(2) 特に,加盟国は,機関に対し次に掲げる特権 と免責の利益を与える。
(a) 機関の職員は,どこに居ようとも,機関が特定の手続又は契約によって明示的に免責を放棄しない限り,訴追から免責される権利を享受する。機関の職員とは,xx的に機関に勤める職員,任務期間中の専門家,加盟国の代表者及び管理評議会の会期期間の代理人を意味する。
(b) 機関の資産及び財産は,加盟国の行政当局,立法当局及び司法当局の命令による捜査,徴用,没収,収用,差押又はその他の形式の差押を免除される。
(c) 機関は,適切な規則に従って,資金を現地通貨で保持し,任意の通貨で銀行口座を開設し,その資金又は通貨を送金し,保持するすべての通貨を他の通貨に交換することができる。
(d) 機関における資産,財産及び収入並びにその事業及び業務は,あらゆる税金,課徴金及び関税を,本部受入国との協定及びその他の加盟国における国際機関に与えられる特権に従って免除される。
(e) 機関の構内は不可侵であり,その財産及び資産を没収することはできない。
(f) 機関の公文書は,不可侵とする。ただし,司法当局に与えられた捜査及び通信の権利の適用を受けるものとする。
(g) 機関のサービスにおいて公式かつ独占的に使用するつもりである資材に関して,機関に対し,輸入又は輸出の制限を課すことはできない。それら資材は,有効な規定に従って現地の消費にのみ供することはできる。
第39条 機関の本部
(1) 機関の本部は,ヤウンデ(カメルーン共和国)に設置する。
(2) 機関は,カメルーン共和国政府の保護下に置かれる。
第40条 機関の存続期間
機関の存続期間は,無期限とする。
第41条 署名及び批准
1977年3月2日のバンギ協定の加盟国は,本協定に署名及び批准し,批准書は,機関の長官に寄託される。
第42条 発効
(1) 本協定は,署名国の少なくとも3分の2が批准書を寄託してから,2月後に発効する。
(2) 本協定の付属文書の発効日は,長官又は管理評議会議長によって決定され,各国に通知される。
第1節 経過規定
第43条 経過規定
(1) 本協定は,加盟国間の関係について,該当する場合には,1999年2月24日のバンギ協定に代替する。
(2) 本協定が発効する以前に提出された権原保護申請出願は,その出願日に適用される規定に従って存続する。ただし,それらの出願の結果,付与される権原に由来する権利の行使は
,留保される既得権に従って,本協定の発効日から,本協定の付属文書の規定に従う。
第44条 加盟以前に一国家において付与された権原
(1) 本協定への加盟以前に国家において有効な権原は,それらの出願時に有効な法律に従って当該国家で効力を維持し続けることができる。
(2) それら権原の保有者で権利満了以前にそれらに基づく保護を機関の領域全体に拡張しようとする者は,施行規則に定められた手続に従って拡張の要請を機関に提出することができる。
(3) 施行規則は,加盟前の国家によって付与された権原の保有者と,機関によって付与された権原の保有者との間の係争を適用される。
第45条 国家の加盟以前にOAPIで有効な権利
国家の加盟以前に機関において有効な権利を保有する者で,保護を当該国家にまで拡張しようとする者は,施行規則に定められた手続に従って機関に対しそのような保護拡張申請を提出することができる。
第2節 経過及び最終規定
第46条 医薬品に関する経過規定
2033年1月1日まで又は後発開発途上国として分類されなくなる日まで,かかる地位を有する加盟国は,医薬品からなる特許又は医薬品に関連する特許に関する付属文書1の規定及び秘密情報に関する付属文書8の規定を適用しない。
第47条 改定
(1) 本協定は,適宜改定することができる。
(2) バンギ協定の改定は管理評議会又は総局によって発議される。
(3) 管理評議会は改正手続を定める。
第48条 脱退
(1)本協定の加盟国は,機関の長官あての書面による通知によって本協定を脱退することができる。
(2) 脱退は,機関の長官が通知を受け取った年の翌年の12月31日に効力を生じる。
(3) 当該国で有効な知的所有権は,脱退後,国内法に準拠する。
2015年12月14日,バマコで,1通をフランス語で作成し,機関の長官に寄託する。長官は,調印国又は加盟国の各政府に外交ルートを介して正謄本を送達する。
(以下,署名者の名称と地位は省略)
付属文書1 特許
第1章 総則
第1条 定義
本付属文書の適用上,
(1) 「発明」とは,技術分野における特定の問題を実際に解決可能とする思想をいう。
「特許」とは,発明の保護のために付与された権利をいう。
(2) 本発明は,物,製法若しくは使用から成るもの又はそれらに関連するものとする。
(3) 次に掲げるものは(1)項の意味における発明ではない。
(a) 発見,自然科学的理論及び数学的方法
(b) ビジネス,純粋に精神活動又はゲームを行うための枠組,原則若しくは方法
(c) 単なる情報の提示
(d) コンピュータプログラム
(e) 専ら装飾的な性質の作品;及び
(f) 文学的,建築的及び美術的作品又は他の審美的創作物
(4) 上記(3)は,特許出願に列挙された項目を含む場合,その項目の特許性のみを除外する
。
第2条 特許性のある発明
(1) 新規性,進歩性及び産業上の利用可能性のある発明は,発明特許(以下「特許」という)の対象である。
(2) 以下は特許を受けることができない。
(a) 発明の利用が公の秩序又は善良の風俗に反する発明。ただし,単に法又は規則によって禁止されているという理由では公の秩序又は善良の風俗に反するとはならないものとする。
(b) 診断方法も含む,外科又はセラピーによって人又は動物を治療する方法。
(c) 微生物学的方法及びそうした方法による生産物以外である植物品種,動物種若しくは植物又は動物の繁殖のための本質的な生物学的方法を主題とする発明。
(3) 上記(2)の規定に拘らず,先行技術に含まれる物質が新たに使用される場合,その物質は特許性を有する。
第3条 新規性
(1) 発明は,先行技術から予期されない場合には,新規性を有するとする。
(2) 先行技術は,特許出願又は外国で優先権が正当に主張された特許出願の出願日以前に,場所及び手段又は方法を問わず公衆が利用可能なあらゆるものからなるものとする。
(3)発明の新規性は,上記(2)に明記された日付に先立つ12月間に,当該発明が次に掲げるもののうち何れかに起因する開示の対象であった場合でも,否定されない。
(a) 出願人又はその発明者に対してなされた明らかな侵害
(b) 出願人又はその発明者が,それを公式又は公認の国際博覧会で展示したこと
(4) 後続する出願よりも出願日は早いが,公開日は当該後続出願の出願日又はその後の日と
なった特許出願は,当該後続出願についての先行技術の一部とする。
第4条 進歩性
発明は,特許出願の出願日に,当該先行技術に関し通常の知識及び技能を備えた熟練者にとって自明でない場合又は正当に主張された優先日に優先権が主張されている場合,進歩性を有するものとする。
第5条 産業上の利用可能性
発明は,それが何れかの産業で製造又は使用可能であれば,産業上利用可能であるとする。
「産業」という用語は広い意味で解釈されるものとし,特に,工芸,農業, 漁業及び役務を対象とする。
第2章 特許権
第6条 特許権
(1) 本付属文書に定められる要件及び制限の範囲内で,特許権者に対し,特許発明を実施する排他権が付与される。
(2) 本付属文書に定められる要件及び制限の範囲内で,特許権者に対し,他人による特許発明の実施を禁止する権利が付与される。
(3) 本付属文書の適用上,特許発明の「実施」とは,次に掲げる行為の何れかをいう。
(a) 特許が物に付与されている場合は,
(i) その物の製造,輸入,販売の申出,販売及び使用。
(ii) その物の販売の申出,販売又は使用するための保持。
(b) 特許が方法に対し付与されている場合は,
(i) その方法を使用すること。
(ii) その方法の使用により直接生じる物に関して,上記(a)にいう行為に従事すること。
(4) 特許権者は,次に掲げる行為を行うことができる。
(a) 特許を譲渡すること又は相続により移転すること。
(b) 他の契約を締結すること。
(5) 特許により付与される保護の範囲は,クレームによって判断される。ただし,明細書及び図面は,xxxxの解釈に参酌される。
(6) 特許の種類が方法である場合,同特許によって付与される保護は,当該方法によって得られる物を包含する。
第7条 特許権の制限
(1) 特許権は,次に掲げる事項には,及ばない。
(a) 特許権者によって又はその同意により,製品が任意の国から合法的に加盟国の領域内の市場に持ち込まれた後の,特許製品の提供,輸入,保有又は使用。
(b) 加盟国の領空,領域又は水域に一時的若しくは偶発的に進入した外国籍の航空機,地上車両又は船舶に搭載された対象の使用
(c) 科学的又は技術的研究の過程において実験目的又は教育目的で行われる,特許発明に関する行為
(d) 医薬品を市場に出すための認可を得るために必要な研究及び試験並びにかかる実施のため及び認可を得るために必要な行為。
(e) 出願日に又は優先権が主張されている場合は加盟国の領域内で付与された特許に基づく出願の優先日に,善意で当該発明を使用していた者又はそうした使用のため効果的かつ誠実な準備をしていた者により行われた行為。
(2) 上記(1)(e)に記載されている使用者の権利は,信用,事業所又はそれらが添付されている部分のみを譲渡することができる。
第8条 保護期間
特許は,第30条及び第44条に規定に従い,出願日から満20年の終わりに満了する。
第9条 特許を受ける権利
(1) 特許を受ける権利は発明者又はその承継者に帰属する。出願人は特許を受ける権利の権利者と推定する。
(2) 複数の者が互いに独立して同一の発明をした場合に限り,特許を受ける権利は,最先の出願日を記した出願書類を提出した者又は優先権が主張されている場合で最先の有効に主張された優先日を記した出願書類を提出した者に帰属する。ただし,上記出願が取下げ,放棄又は拒絶された場合はこの限りではない。
(3) 複数の者が共同で発明した場合,特許を受ける権利はこれらの者に共同で帰属する。権原は共同所有者として彼らに交付される。
第10条 特許の共有
別段の定めがない限り,特許の共有には,以下の規定を適用する。
(a) 各共有者は,発明を個人的に実施しない又はライセンスを付与していない他の共有者に対してxxな補償をなす場合には,自身の利益のために発明を実施することができる。円満な合意に至らない場合,当該補償は,国内管轄裁判所によって定められる。
(b) 各共有者は,自身の排他的利益のために,侵害に係る手続を講じることができる。当該手続を講じる共有者は,その行為について,他の共有者へ通知するものとする。当該行為に関する如何なる裁定も,当該通知の証拠が提供されるまで,中断される。
(c) 各共有者は,ライセンスを付与していない他の共有者に対してxxな補償をなす場合には,自身の利益のために,第三者に対して非排他的なライセンスを付与することができる。円満な合意に至らない場合,当該補償は,国内管轄裁判所によって定められる。ただし,xxxxx合意の草案は,特定の価格で持分を譲渡する申出とともに,他の共有者へ通知される。当該通知から3月以内に,共有者の何人も,ライセンス付与を希望する者の持分を取得することを条件に,ライセンス付与に異論を申し立てることができる。定められた期限内に合意に至らない場合,対価は国内管轄裁判所によって定められる。当事者らは,第1審又は控訴審の何れかにおける判決の通知から1月内に,可能性のある損害を負担することなくライセンス付与又は共有される持分の購入を放棄するものとする。費用は,放棄する当事者が負担する。
(d) 排他的ライセンスは,すべての共有者の合意でもって又は国内管轄裁判所の許可によってのみ,付与することができる。
(e) 各共有者は,いつでも,自身の持分を譲渡することができる。共有者は,譲渡の意向の通知から3月以内に最初の拒絶を行う権利を有する。対価に関して合意に至らない場合,当該対価は,国内管轄裁判所によって定められる。当事者は,司法判断又は控訴における決定の通知から3月内に,可能性のある損害を負担することなく共有される持分の販売若しくは購入を放棄するものとする。費用は,放棄する当事者が負担する。
(f) 特許の共有者は,他の共有者に対して,その者らの利益のために,自身の持分を放棄する旨を通知することができる。特許専用登録簿への当該放棄の記入又は機関への当該通知からその効力は生じ,当該共有者は,特段の合意がなされていない限り,他の共有者に関するすべての義務から免れ,当該共有権については,他の共有者のそれぞれの持分に比例して放棄された持分を分配するものとする。
第11条 職務発明及び委託発明
(1) 発明者が従業者である場合,特許を受ける権利は,従業者にとって一段と有利な契約規定が存在しないとき,以下の規定が適用される。
(a) 従業者の任務と合致する発明業務を包含する雇用契約又は従業者らに明示的に与えられた研究及び調査の何れかの履行において従業者によってなされた発明は,雇用者に帰属する。かかる場合,当該発明をなした従業者は,団体的又は個人的な交渉を通じての合意に至らないとき,国内管轄裁判所によって定められる補足報酬を受領するものとする。
(b) 従業者が,自身の雇用契約によって発明活動に従事することを要求されないが,事業所に特有な技術及び手段又は事業所が入手した情報を用いて発明をなす場合には,特許を受ける権利は,従業者に帰属する。ただし,雇用者は,当該従業者の発明を保護する特許に付属する権利のすべて又は一部の所有権又は享受する権利を有する。後者の場合では,従業者は,当事者間での合意に至らない場合,国内管轄裁判所によって定められるxxな価格を確保するものとする。裁判所は,雇用者及び従業者によって同裁判所に提供される可能性がある如何なる情報も考慮し,特に,各当事者の当初の寄与並びに発明の工業的及び商業的実用の両方に配慮して,xxな価格を算定する。
(c) その他発明はすべて,従業者に帰属する。
(2) 如何なる場合でも,発明をなした従業者は,その旨を速やかに自身の雇用者へ通知し,当該雇用者は,情報の受領を確認する。
(3) 従業者及び雇用者は,発明に関するあらゆる有用な情報を共有するものとする。本付属文書によって付与される権利の行使について,部分的又は全体的に危険にさらす可能性がある,如何なる開示も当該従業者及び雇用者は控えるものとする。
(4) 従業者及びその雇用者との間での職務発明に関する如何なる合意も,書面で記載され,それに違反する場合は,無効とされる。
(5) 上記(1)(a)に言及されている状況が存在する場合,雇用者が特許を受ける権利を明示的に放棄するときには,当該権利は従業者に帰属する。
(6) 本条の規定は,国,公共団体及びその他の公的法人の従業者にも適用される。ただし,上記(1)(a)に言及されている補足報酬の納付の額及び条件は,各加盟国の国内法によって定められる。
(7) 契約において別段の定めがない限り,顧客の注文の履行においてなされた発明に係る特許を受ける権利は,顧客に属する。
第12条 特許出願の実用新案出顧への変更
実用新案に係る付属文書2に明示された要件を満たす特許出願は,実用新案出願に変更することができる。かかる場合,当該特許出願は取下げされたとみなされ,機関は,特許登録簿に「取下げ」の注記を記載するものとする。
第3章 一般書式
第1節 特許出願
第13条 願書の提出
(1) 特許出願は,本協定第8条,本附属文書及び施行規則に定められた手順に従って,機関又は知的所有権を担当する国家管理部に提出される。
(2) 願書には以下が含まれていなければならない。
(a) 機関の長官にあてた十分な数の願書の写し
(b) 出願及び公開手数料の機関への納付を証明する書類
(c) 出願人が代理人により代理されている場合,印紙を貼っていない個人委任状
(d) 次に掲げるものを正副2通含んだ包袋
(i) 出願がなされた発明の明細書であって,通常の知識及び技能を備えた熟練技術者が当該発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたもの
(ii) 当該発明の理解に必要又は有用な図面
(iii) 保護を受けようとする範囲を画定した1つ又は複数のクレームであって,(i)で言及される明細書の内容を超えないもの
(iv) 明細書の内容を要約した要約書,xxxx又は上記(iii)に関連したクレーム,要約書を補足する図面
(V) 出願日及び優先権を主張する場合は優先日において,発明者が知っている発明を実施する最良の形態に関する十分な表示。
第14条 国際出願
(1) 機関の加盟国領域内に居所又は本社を有する自然人又は法人によって提出された発明の保護のための国際出願は,機関の加盟国領域内における先行出願の優先権が主張されていない場合,機関へ提出される。機関は,特許協力条約第2条(xv)及び第10条の意味における受理官庁としての役割を果たす。
(2) 機関へ提出された国際出願の対象である発明は,その旨の許可が付与されていない限り
,開示及び自由な実施をすることができない。当該期間中,出願は公開できず,かつ,出願のxxの謄本を許可なく発行することはできない。上記(1)及び(2)に規定された許可は,長官によって付与される。(1)に規定された許可は,いつでも付与することができる。
(3) 出願人が機関の加盟国領域内に居所又は本社を有していない場合,機関がワシントン条約の別の加盟国の国内官庁の代わる受理官庁としての役割を果たす場合又は加盟国が当該条約により設立された同盟の総会によって受理官庁として指定されている場合,上記(2)の規定は適用されない。
(4) 施行規則は,上記(1),(2)及び(3)に係る手続について,特に,国際出願の提出及び受理の管理条件,出願の提出において使用されるべき言語,機関に代わって受領したサービスの手数料(転送手数料)の取決め及び居所又は本社が海外にある出願人の代理人に関して定める。
第15条 出願日
(1) 機関は,出願受理の時点で,当該出願が次に掲げる事項を含むことを条件として,願書の受理日を出願日として付与する。
(a) 特許付与を要請する旨の明示的又は暗黙的な表示
(b) 発明の説明及び1つ又は複数のクレームがxxして認められる部分
(c) 所定の手数料の納付証明
(2) 国際出願の出願日は,受理官庁によって当該出願に付与された日付でなければならない
。
第16条 未払いによる不受理
願書に,出願及び公開のための手数料の納付を証明する書類が添付されていない場合,当該願書は受理されない。
第17条 発明の単一性
出願は,単一の主題に限定され,それを構成する詳細及び指定された用途を記載する。出願は,限定,条件又は留保を含まない。出願は,当該発明の目的を正確かつ簡潔に記載した表題を設ける。
第18条 優先権主張
(1) 先行出願の優先権を利用しようとする者は,当該出願の出願日から12月以内に特許出願をしなければならない。
(2) 出願人は次に掲げるものを添付又は当該出願の出願日から6月以内に機関に提出しなければならない。
(a) 先行出願の出願日,出願番号,出願国及び出願人の名称を記載した宣言書
(b) 先行出願のxxの謄本
(c) その者が当該先行出願をした者でない場合,先行出願の出願人又は当該優先権の利用を許可する権限の承継人からの授権書
(3) 単一の出願に関して,2つ以上の優先権を利用しようとする出願人は,各優先権に関して,上記規定を遵守しなければならない。当該出願人は,主張する各優先権ごとに料金を納付し,上記(2)にいう6月の期間内に当該料金納付の証拠を提出するものとする。
(4) 如何なる優先権主張も優先権の書類も,出願日の6月を超えて機関に提出された場合は
,優先権の喪失を伴うものとする。
(5) ただし,上記(4)に規定する優先権は,下記第45条に従って回復することができる。
(6) 回復却下の決定に対しては,審判高等弁務局に審判請求することができる。第2節 特許付与
第19条 出願の公開
(1) 機関は,各々の特許出願又は追加証明出願について,以下の情報を公開する。
(a) 特許出願又は追加証明出願の出願番号
(b) 出願の出願日
(c) 出願人の社名又は商号,氏,名及び住所
(d) 発明者の名称及び住所,ただし,発明者が,特許出願又は追加出願において記述されないことを要求する場合を除く。
(e) 該当する場合は,代理人の名称及び住所
(f) 1又は複数の優先権が有効に主張されている場合には,当該1又は複数の優先権の表示
(g) 優先日,優先権主張出願が提出された1又は複数の国の名称及び優先権主張出願の番号
(h) 発明の名称
(i) 発明の要約書
(j) 該当する場合は,国際出願の日付及び番号,及び
(k) 国際特許分類記号
(2) 各特許出願に関して,機関は,明細書,1又は複数のクレーム及び図面も公開する。
(3) 特許出願は,国際出願を除いては,出願日又は優先日から18月以内に公開される。
(4) 上記(2)は,国際出願には適用されない。
第20条 異議申立
(1) 上記第19条に言及されている出願の公開から3月以内に,何人も,異議申立の理由を記載した異議申立書を機関に送付することにより,特許又は追加証明に対して異議申立することができる。異議申立の理由は,本付属文書の第2条,第3条,第4条,第5条,第9条若しくは第17条の規定の違反又は異議申立人に属する先に登録された権利に基づくものでなければならない。
(2) 機関は,出願人又はその代理人に,異議申立書の写しを送達し,出願人又はその代理人は,申請につき1度更新可能な3月以内に,理由を付した答弁を提出することができる。答弁は,異議申立人又はその代理人に対し送達される。
(3) 異議申立を裁定する前に,機関は,請求に応じて,当事者又はそれらの代理人を聴聞する。
(4) 機関が,異議申立に関し,
(a) 一定のクレーム又は第9条及び第17条に定められた理由について十分な根拠があるとみなす場合には,機関は,特許出願を再審査する。及び
(b) すべてのクレーム又は第2条から第5条までに定められた理由について十分な根拠があるとみなす場合には,機関は,出願の審査を終了する。
(5) 機関が,異議申立に関し,十分な根拠がないとみなす場合には,機関は,特許出願又は追加出願の審査を継続する。
第21条 機関に対する所有権の申立
(1) 特許を受ける権利を有さない者が特許出願又は追加証明を提出する場合,特許を受ける権利を有する者は,出願の公開から3月以内に,自身の主張に関する理由を記述した申立書を提出して,その所有権を機関に対して申し立てることができる。
(2) 機関は,出願人又はその代理人に,所有権主張の申立書の写しを送達するものとし,出願人又はその代理人は,申立につき1度更新可能な3月以内に,理由を付した答弁を提出する
ことができる。当該答弁は,申立人又はその代理人に対し送達される。
(3) 所有権主張を裁定する前に,機関は,申立に応じて,当事者又はそれらの代理人を聴聞する。
(4) 所有権主張に関する機関の裁定に対しては,当事者への決定の通知から60日以内に,審判高等弁務局に対して審判請求することができる。
(5) 機関は,前述の主張が十分な根拠があるものである場合に限り,出願を移転する。
(6) 出願の移転に関する最終決定は,機関の特許専用登録簿に記録される。
第22条 出願の分割
(1) 幾つかの対象に関する如何なる最初の特許出願も,以下の時期に,分割出願と呼称される幾つかの出願へ分割できる。
(a) 遅くとも,特許付与の決定まで
(b) 特許出願に関する審査,異議申立又は保有権主張の手続中,及び
(c) 保有権主張についての決定に関する審判請求手続中
(2) 分割出願は,最初の出願の出願日を保持し,かつ,該当する場合は,優先権の利益を保持する。
(3) 手数料は,すべての分割出願に対して納付する。
第23条 出願の審査
(1) 特許出願は,次に掲げる事項を保証するために審査を受ける。
(a) 当該出願に記載された発明が,本付属文書第2条の規定に基づき特許によって与えられる保護から除外されないこと。
(b) 1又は複数のクレームが,本付属文書第13条(2)(d)(iii)の規定に適合していること
。
(c) 本付属文書第17条の規定を充足していること。
(2) 調査報告書は以下を明らかにするために作成されなければならない。
(a) 特許出願時において,先行する特許出願又は有効な優先権の主張から利益を得る特許出願が,同一の発明として特許を付与する過程にないこと。
(b) 発明が,
(i) 新規性を備え,
(ii) 進歩性を有し,
(iii) 産業上利用可能であること。
(3) 当該発明が微生物の使用に係る場合,寄託機関又は国際寄託機関から交付される当該微生物の試料提出を出願人に要求する権利を,機関は留保する。
(4) 特許協力条約に基づく国際出願に関して,国際調査報告書及び国際予備審査報告書に関する当該条約のそれぞれ第20条及び第36条の規定を,機関は利用することができる。
(5) 上記(4)の規定は,本協定第10条(6)に記載されている検証契約の規定を準用する。
第24条 クレーム,明細書,図面及び要約書の補正
(1) 出願人は,特許付与の前に,クレーム,明細書,図面及び要約書を補正することができる。
(2) 補正は,出願時の願書に記載された発明の開示を超えてはならない。
第25条 特許付与
(1) 機関は,特許付与のすべての要件が満たされており,かつ,第23条(2)に規定される調査報告書が作成されていると判断した場合,出願された特許を付与する決定を下し,その旨を通知するものとする。ただし,如何なる場合も,特許付与は出願人自身の責任に基づくものであり,発明の現実性,新規性又は価値若しくは詳細な説明のxx性又は正確性に関して何ら保証するものではない。
(2) 特許付与は,機関の長官の決定又はその目的のために長官によって正式に権限を授けられた機関の職員の決定によるものとする。
(3) 特許協力条約の下での国際出願に基づく特許は,前項の規定と同じ方式で付与される。ただし,当該条約に規定されている国際公開に準拠する。
(4) 特許又は追加証明の出願は,出願人本人によって付与の前に取り下げることができる。その書類は,出願人の請求によってのみ出願人に返却される。
第26条 付与の延期
(1) 第25条(1)の規定にも拘らず,当該出願がその旨の明示的な請求を含む場合,出願人は出願日から1年後における付与を請求できる。本規定の利益を請求した何人も,当該1年の期間以内のいつでもそれを放棄できる。
(2) 第13条の規定による書類の写しが添付されていない出願にも適用される。
(3) 前項の規定の利益は,国際条約及び特に工業所有権の保護に関するパリ条約の第4条によって与えられた優先期間を既に利用している者が主張することはできない。
第27条 拒絶を決定する条件
(1) 第2条に基づく特許性の欠如又は第23条の規定に適合しない発明に係る出願は,拒絶される。
(2) 同様の規定が,第13条(2)(d)に規定された各書類の写しが添付されていない出願に適用される。
(3) 第17条の規定を満たさない出願は,当該出願が単一の対象を備えていないので出願時の状態では認められない旨の通知があった日から6月以内に,当初の出願日の利益を受けつつ相応の数の出願に分割することができる。
(4) 手数料納付の証明を除く第13条の他の要件及び第17条の要件が満たされていない出願には,不備がある。当該不備は,施行規則に従って出願人又はその代理人に通知される。
(5) 補正書が所定の期間内に提出されない場合は特許出願を拒絶する。
(6) 如何なる出願も,出願人又はその代理人が,所定の手続の範囲で,かつ,所定の手続に従って当該出願を補正する機会を与えられることなく,本条(1),(2),(3)又は(4)に基づいて拒絶することは許されない。
(7) 前項の規定に拘らず,機関は明白な事務的な欠陥は職権で補正することができる。
(8) 出願人は,拒絶査定の日から60日以内に審判高等弁務局に審判請求することができる。
第28条 特許専用登録簿への登録
下記の第36条及び第38条の規定に従い,施行規則は特許専用登録簿に登録されるべき規定を定め,知的所有権公報に公示する。
第3節 追加証明
第29条 追加証明
(1) 特許権者又はその承継人は,願書の提出に関して本付属文書第14条,第15条,第16条及び第17条に規定された手続に従って,当該特許の存続期間全体において,発明の変更,改良又は追加を行う権利を有する。
(2) こうした変更,改良又は追加は,主特許と同様の形式で交付された証書に登録されるものとし,出願日及び交付日から当該主特許と同様の効力を有するものとする。
(3) 1人の承継人によって取得された追加証明は,他の被授権者すべてに利益を与えるものとする。
第30条 追加証明の存続期間
追加証明は,主特許とともに満了するものとする。ただし,主特許の無効は,対応する1又は複数の追加証明を無効するものではなく,第46条(3)の規定に基づいて絶対無効が宣言されている場合であっても,当該1又は複数の追加証明は,主特許の通常の存続期間が満了するまで当該主特許よりも長く存続しうる。ただし,当該特許が無効とならなかった場合に納付されたはずの年金が継続して納付されていることを条件とする。
第31条 追加証明出願の特許出顔への変更
追加の証明証が交付されていない場合,出願人は,追加証明出願を特許出願に変更することができ,その出願日を追加証明の出願日とする。特許が最終的に付与されると,追加証明の出願日に出願された特許と同様の年間登録料を納付するものとする。
第32条 同一の対象に関する特許の独立性
別の特許の対象に関連する発明に特許を取得した何人も,既に特許されている発明を実施する権利はなく,反対に,先の特許の権利者は,新たな特許の対象である発明を実施することはできない。
第4節 特許及び追加証明に関する送達及び公開
第33条 追加証明出願を特許出願に変更する手続
当初の特許とともに満了する追加証明に代わり,変更,改良又は追加に係る主特許を取得しようとする特許権者は,第13条及び第18条に定められた手続に従うものとする。
第34条 特許及び追加証明の詳細な説明及び図面の送達
(1) 付与された特許及び追加証の詳細な説明及び図面は機関が保持し,これらは,第35条の
規定による特許付与又は追加証明の発行の後は,請求を受けて送達する。
(2) 同日以降は,何人も当該詳細な説明及び図面の正式な写しを入手できる。
(3) 上記(1)及び(2)の規定は,先出願の優先権を利用しようとする出願人よって提供される正式な写し及びかかる出願人に優先権の主張を許可する書類に適用される。
(4) 特許出願人又は追加証明の出願人であって当該特許又は追加証明が付与される前に自己の出願の優先権を外国で利用しようとする者は,自己の出願の正式な写しを入手できる。
第35条 特許及び追加証明の公開
(1) 機関は,付与された各特許又は追加証明について次に掲げる事項を公告する。
(a) 特許又は追加証明の番号
(b) 出願番号
(c) 出願日又は申請日
(d) 保有者の会社名,氏,名及び住所
(e) 願書又は申請書において記載しないことが請求されていない場合,発明者の氏名及び住所
(f) 代理人があればその氏名及び住所
(g) 1又は複数の優先権が正当に主張されている場合は,当該1つ又は複数の優先権の記載
(h) 優先日,先の出願が行われた国又は先行出願の対象となっている1又は複数の国及び先行出願の番号
(i) 当該特許又は追加証明の付与日
(j) 発明の名称
(k) 発明の要約
(l) 該当する場合は,国際出願日及び番号
(m) 国際特許分類の記号
(2) 機関は,該当する場合,発明の詳細な説明,クレーム及び図面も公告する。
(3) 施行規則において,発明の詳細な説明,存在する場合は図面,クレーム及び要約書の公告手順を修正及び決定する。
第5節 特許及びライセンス契約の移転及び譲渡
第36条 権利の移転及び譲渡
(1) 特許出願又は特許権は,その全部又は一部を移転することができる。それらは,排他的又は非排他的なライセンス契約に基づき,一部又は全部を割り当てることができる。
(2) 特許出願又は特許に関する,権利の移転,ライセンス許諾又は譲渡若しくは質権の設定又はその取消に係る行為は,書面を作成して証拠を残すものとし,それに違反する場合は,無効とされる。
第37条 第三者に対する行使
(1) 上記第36条で言及される行為は,これらの行為が機関により維持される特許専用登録簿に登録され,知的所有権公報に公示されていない限り,第三者に対して行使できない。それ
にも拘らず,その登録の前でその行為の日の後に権利を取得したが,権利を取得した時点でその行為を知っていた第三者に対して,その行為は行使可能でなければならない。かかる行為の登録は,機関によって保管される。
(2) 規則によって設定される条件に基づき,機関は,特許専用登録簿への登録内容の写し及び質権の対象である特許に関する登録内容又はそうした登録内容が存在しないことを証する証明書を,請求を行う者に対しても交付する。
第38条 特許及び追加証明の権利としての実施
特許権者又は承継人から発明を実施する権利を得た者は,その後に当該特許権者又はその承継者に交付された追加証明の権利も享受する。結果として,特許権者又はその承継人は,当該発明を実施する権利を得た者に交付される可能性のある追加証明から利益を得る。
第39条 ライセンス契約
(1) 特許権者は,契約により,自然人,法人を問わず,特許発明をライセンスする契約を付与することができる。
(2) ライセンス契約の存続期間は,当該特許の存続期間を超えてはならない。
(3) ライセンス契約は,書面で作成され,当事者によって署名されるものとする。
(4) ライセンス契約は,特許専用登録簿に登録されるものとする。ライセンス契約は,本付属文書に関する施行規則に指定された様式で当該登録簿に登録され,公開されるまで第三者に対して対抗することはできない。
(5) 当該ライセンスは,特許権者又は実施権者の請求により,ライセンス契約の満了又は終了の証拠の提出を受けて登録簿から抹消される。
(6) ライセンス契約に別段の定めがない限り,許諾者がライセンスを他の者に許諾すること又は特許発明を自ら実施することについては,ライセンスの許諾によって妨げられない。
(7) 排他的ライセンスの付与によって,許諾者がライセンスを他の者に許諾すること及びライセンス契約に別段の規定が存在しなければ特許発明を自ら実施すること,は認められない
。
第40条 無効条項
(1) ライセンス契約又はそうした契約に関する条項は,競争上の不xx行為を構成する場合無効であり,一般に,工業又は商業分野において,特許に付与された権利に由来しない制限又はそうした権利を維持するために必要でない制限を実施権者に課す場合に適用される。
(2) 次に掲げる事項は,上記(1)の意味において制限とはみなされない。
(a) 特許発明の実施の程度,範囲又は存続期間に関する限定
(b) 特許の有効性を害する蓋然性が高い行為を実施権者に禁ずる義務
(3) ライセンス契約に別段の定めがなければ,実施権者はライセンスを第三者に譲渡できず
,サブライセンスを許諾する権限はない。
第41条 無効条項の認定
上記第40条で言及される無効条項は,何人からの請求によって国内管轄裁判所によって正式に認定される。
第42条 ライセンスの用意
(1) 既に登録済のライセンスの条件によってさらなるライセンスの付与を妨げられていない特許権者は,自己の特許に関して,登録簿に「ライセンスの用意(licenses of right)」の注記を機関に申請できる。当該注記は,機関によって可能な限り迅速に登記簿に記載され,公開される。
(2) こうした注記の登録簿への登録により,関連当事者間の合意に失敗した場合,裁判所により定められる条件で,何人も,当該特許を実施するライセンスを受ける権利を得るものとする。これにより年金も減額される。
(3) 特許権者は,いつでも「ライセンスの用意(licenses of right)」の注記の抹消を機関に申請することができる。有効なライセンスが存在しない場合又はすべての実施権者が抹消に同意する場合,機関は,当該記録が登記簿になされなければ納付されたはずの手数料全額が納付された後,その記録を抹消する。
(4) 本付属文書第29条(1)の規定も「ライセンスの用意」に適用することができる。
(5) 「ライセンスの用意」の受益者は,それを譲渡し又はそれに基づいてサブライセンスを付与することはできない。
第4章 無効,権利失効及びそれらに関連する行為
第1節 無効及び権利失効
第43条 無効
(1) 次に掲げる場合,付与された特許は,無効と宣言される。
(a) 発明が新規性を有しない,進歩性を含まない又は産業上の利用可能性がない場合
(b) 発明が第2条の意味で特許性がない場合。ただし,禁制品の製造又は販売による反則金が生じる可能性は否定されない。
(c) 特許証に添付された明細書が第13条(d)(i)の規定に適合していない又は発明者の真の方法を完全かつxxな方式で記載していない場合
(2) 主特許に関連性がない変更,改良又は追加に関する証明書も,本付属文書に規定されているとおり,同様に無効と宣言される。
(3) 無効は,クレームのすべて又は一部のみに係るものでもよい。
第44条 権利失効
(1) 自己の特許出願の毎年の出願日に年金納付を怠った特許権者は,自己の権利のすべてを失効させる。
(2) ただし,当該特許権者には,6月の納付猶予期間が認められ,その期間内に当該年金を有効に納付できる。その場合,当該特許権者は,追加料金も納付するものとする。
(3) 前項で言及される6月間に年金及び追加料金の不足分を補完するためになされた納付は
,有効とみなされる。
(4) 第31条に基づく追加証明出願の変更又は第27条(3)に基づく特許出願の分割に起因する特許出願の手数料又は追加料金の納付も,有効とみなされるものとする。ただし,納付が,変更出願又は分割に起因する出願の出願日から6月以内になされたものに限る。
第45条 回復
(1) 特許権者の責めに帰することができない事情によって特許が更新されなかった場合は,第43条及び第44条の規定に拘らず,当該特許権者又は承継人は,必要とされる年金及び規則によって決定される追加料金の納付を条件に,前記事情が解消された日から6月以内で,かつ更新の満期日から遅くとも2年以内に,その回復を申請することができる。
(2) 特許権回復申請は,前項(1)で言及される年金及び追加料金の納付を証明する書類を添付して機関に送達し,当該申請には,当該権利者又は承継人が回復を正当なものであると考える根拠を述べた陳述書を含まなければならない。
(3) 機関は,上記で言及される根拠を審査し,当該理由を正当なものと考える場合は当該特許を回復させ,考えない場合はその申請を却下する。
(4) 回復によって,当該特許の最大存続期間は,延長されない。
(5) 特許の回復によって,それに関連した追加証明も同様に回復される。
(6) 回復された特許は,本付属文書に関連した施行規則で定められた様式で機関によって公開される。
(7) 本条(1)から(6)までは,当該特許出願が国際条約により設定される期限以内に提出され
なかった場合に適用される。
(8) 回復に関する機関の決定に対しては,当該決定の通知の受領日から30日以内に審判高等弁務局に審判請求することができる。
第2節 無効又は権利失効に対する措置
第46条 無効又は権利失効訴訟の開始
(1) 無効又は権利失効を求める訴訟は,利害関係を有す者は何人も提起することができる。
(2) 公訴官は,特許の無効又は権利無効を求める訴訟に当事者として参加し,特許の無効又は権利失効の決定を求める訴えを起こすことができる。
(3) 第43条(1)(b)に規定されている無効の宣言を求める本訴に直接,入ることができる。
(4) 前項(3)に規定された場合,その行為が第37条に基づいて機関の特許専用登録簿に記録されているすべての特許権者は,その手続の当事者となることができる。
第47条 管轄裁判所
(1) 上記第46条で言及される訴訟及び特許の帰属に関係するあらゆる係争は,国内管轄裁判所に提起される。
(2) 訴訟が特許権者及び1名以上の限られた実施権者に同時に起こされた場合,当該訴訟は
,当該特許権者の確立した又は選択された住居地に所在する裁判所に提起されるものとする
。
(3) 争点は,略式手続に関して規定された方式で審理され,かつ,判断される。必要に応じて,これは公訴官に送達される。
第48条 無効又は権利失効に関する司法判断の登録
特許の無効又は権利失効が既判力を有する判決により決定された場合,裁判所は,それを機関に通知し,ある加盟国の領域で決定された無効又は権利失効は,付与された発明に関し第 35条に指定された様式で特許専用登録簿に登録され,公開される。
第5章 強制ライセンス
第1節 不実施及び従属特許の強制ライセンス
第49条 不実施に対する強制ライセンス
(1) 特許出願の出願日から4年の期間又は当該特許の付与日から3年の期間の満了の何れか遅い方の満了後に何人かにより請求がなされれば,次に掲げる要件の少なくとも1つ満たされる場合,強制ライセンスを付与することができる。
(a) 特許発明が,当該請求がなされた時に何れの加盟国の領域においても実施されていないこと。
(b) 特許発明の当該地域での実施が,保護された商品への需要を合理的な条件で満たしていないこと。
(c) 合理的な商業的条件及び手順でのライセンスの付与を特許権者が拒否しているために,当該地域での工業的又は商業的活動の確立又は発展が不当かつ実質的に侵害されていること。
(2) 上記(1)の規定にも拘らず,特許権者が当該発明の不実施の正当な理由を示した場合,強制ライセンスは付与されない。
第50条 従属特許に対する強制ライセンス
特許発明が先行特許に基づく権利を侵害することなく実施できず,当該先行特許権者が妥当な商業的条件及び手順でその使用を許諾しない場合,後行特許権者は,当該使用に関する強制ライセンスを,第49条に基づいて付与される強制ライセンスに適用されるものと同じ条件及び次に掲げる付加的要件で裁判所から得ることができる。
(a) 当該後行特許に記載された発明は,先行特許に記載された発明との関係で,相当の技術的進歩及び相当程度の経済的利益を示すものでなければならないこと。
(b) 当該先行特許権者は,後行特許に記載された発明の使用に関する相互的にライセンスを合理的な条件で受ける権利を有すること。
(c) 当該先行特許に関して許諾された使用は,当該後行特許もまた移転される場合を除いて移転できない。
第51条 強制ライセンス付与の請求
(1) 強制ライセンス付与の請求は,特許権者の住居地の国内管轄裁判所に対して行い,当該特許権者が外国に定住している場合,当該特許権者が選択した住居地又は当該特許権者が出願目的で代理人を指名した場所の国内管轄裁判所に行う。何れかの加盟国の領域に居住している者による請求のみが考慮される。当該特許権者又はその代理人は,当該請求がなされたことを遅滞なく通知される。
(2) 請求は次に掲げる事項を含むものとする。
(a) 請求人の氏名及び住所
(b) 強制ライセンス請求の対象となる特許発明の名称及び特許番号
(c) 特許発明の上記地域での実施が,保護された商品への需要を合理的な条件で満たしていないことを示す証拠
(d) 第49条に基づいて請求された強制ライセンスである場合は,当該請求人が市場の需要を満たすように,加盟国のうちの1つの領域で特許発明を実施することを約した当該請求人による申告書
(3) 請求には次のものを添付するものとする。
(a) 当該請求人が既に当該特許権者に書留郵便で申し入れし,契約に基づくライセンスを要請したにも拘らず,合理的な商業的条件及び手順の下で合理的な時間内に特許権者からライセンスを受けることができなかったことを示す証拠
(b) 第49条又は第50条に基づいて請求された強制ライセンスの場合は,当該請求人が当該特許発明を工業的に実施できることを示す証拠
第52条 強制ライセンスの付与
(1) 国内管轄裁判所は,強制ライセンス付与の請求が,第51条の要件を満たすかを審理する
。請求が当該要件を満たさない場合,裁判所は,当該請求を却下する。請求を却下する前に
,裁判所は,請求人にその請求の要件不備を通知し,当該請求人が必要な訂正をすることを許可する。
(2) 強制ライセンス付与の請求が第51条の要件を充足する場合,国内管轄裁判所は,それを当該特許権者及び特許登録簿に名前が記載されている実施権者にも通知し,当該請求に関するこれらの者の意見を3月の期間内に書面で提出するよう促す。当該意見は,請求人に対して送達されなければならない。国内管轄裁判所は,同様に,当該請求を関連政府機関にも通知する。国内管轄裁判所は,請求及び受理した意見に関する審理を行い,この審理には,当該請求人,特許権者,特許登録簿に名前が記載されている実施権者,関連政府機関を召喚する。
(3) 上記(2)に規定された手続が完了すると,裁判所は,請求に対して強制ライセンスを付与又は拒絶する旨の判決を下す。
(4) 強制ライセンスが付与される場合は,裁判所の判決は,次に掲げる事項を明記する。
(a) ライセンスの許諾範囲。特に,ライセンスの効力が及ぶ本付属文書第6条(2)で言及される行為及び許諾期間の明記。ただし,第46条及び第47条に基づく強制ライセンスは
,輸入行為には及ばないと解釈される。
(b) 実施権者によって特許権者に支払われる対価の額。当事者間で合意がない場合,そうした対価は,当該事案のあらゆる事情を相当に考慮した上でxxとなるものとする。対価の額は,強制ライセンスの受益者又は特許権者による請求時の裁判所による審査の対象とする。
(5) 裁判所の判決は,合理的でなければならない。判決が確定すると,最初に行動を起こす当事者によって機関に連絡される。
(6) 機関は,それを特許専用登録簿に記入し,その通知を公表する。機関は,判決を特許専用登録簿に名前が記載されている実施権者に通知する。
第53条 強制ライセンスの実施権者の権利と義務
(1) 本付属文書第56条に指定された不服申立期限の満了後若しくは国内管轄裁判所が強制ライセンス付与を決定した全部又は一部を支持する控訴判決が下された後,当該ライセンスの付与により,実施権者は,裁判所の判決又は控訴判決に定められた条件に従って特許発明を
実施することを許諾され,当該実施権者は,当該判決に指定された対価を支払う必要がある
。
(2) 強制ライセンスの付与は,有効なライセンス契約又は有効な強制ライセンスの何れにも影響を与えず,他のライセンス契約の締結又は他の強制ライセンスの付与を排除しないものとする。ただし,特許権者は,他の実施権者に当該強制ライセンスの条件よりも有利な条件を与えることができない。
第54条 強制ライセンスの制限
(1) 強制ライセンスの受益者は,特許権者の同意なしに,当該受益者が強制ライセンスの下でライセンスされた何れかの行為を実施する許可を第三者に与えることはできない。
(2) 上記(1)の規定にも拘らず,強制ライセンスは,当該強制ライセンスの受益者の組織又は特許発明を実施する組織の一部とともに移転することができる。かかる移転は,国内管轄裁判所の許可がなければ無効とする。この許可を与える前に,裁判所は,当該特許権者に聴聞の機会を与える。裁判所は,許可の事実を機関に通知し,機関は,それを登録し,公開する。かかる許可された移転によって,当該強制ライセンスの新たな受益者は,前の受益者に課されていたものと同じ義務を受け入れるものとする。
第55条 強制ライセンスの変更及び取下
(1) 特許権者又は強制ライセンスの受益者の請求により,国内管轄裁判所は,新たな事実により変更が正当なものであることが証明された場合,当該強制ライセンスの付与に関する判決を変更できる。
(2) 当該特許権者の請求により,国内管轄裁判所は,次に掲げる場合に強制ライセンスを取り下げるものとする。
(a) その付与の根拠が既に存在していない場合
(b) 受益者が,第52条(4)(a)に基づくライセンスの範囲を超えている場合
(c) 受益者が,第52条(4)(b)で言及されている対価の支払を延滞している場合
(3) 強制ライセンスが,上記(2)(a)に基づいて取り下げられた場合,強制ライセンスの受益者は,発明の実施を直ちに停止することが当該受益者に深刻な悪影響を及ぼすだろうと思われる場合,発明実施を停止するための合理的な期間が与えられる。
(4) 本付属文書第51条及び第52条の規定は,強制ライセンスの変更又は取り下げに適用される。
第56条 控訴
(1) 特許権者,特許専用登録簿に名前が記載されている実施権者又は強制ライセンス付与を請求した者は,上記第52条(6)に規定された公開から1月以内に,第52条(3),第54条(2)又は第55条に基づいて,下された判決に対して上級管轄裁判所に控訴することができる。
(2) 強制ライセンスの付与,強制ライセンス移転の許可若しくは強制ライセンスの変更又は取下げに異議を唱える上記(1)で言及される控訴は,効力停止の効果を有する。
(3) 控訴審に対する判決は機関に通知され,機関はそれを登録し,公開する。
第57条 強制ライセンス受益者の義務の停止
特許の無効を求める訴訟は,当該特許権者に対して提起される。最終的な法的判断が特許の無効を宣言した場合,強制ライセンスの受益者は,当該強制ライセンスの受益者に付与した判決に起因するあらゆる義務から解放される。
第2節 国家緊急事態のための強制ライセンス
第58条 国益における強制ライセンス
(1) 特許が国の経済,公衆衛生若しくは国防に不可欠である場合又はその不実施若しくは不十分な実施が国の必要性への適合を深刻に危険にさらす場合,当該特許は,関連加盟国の主務大臣の行政命令によって,強制実施の措置の対象となり得る。
(2) 上記(1)に言及した行政命令は,利害関係人,当局又は受益者たる機関の間での交渉後に,以下を判断する。
(a) ライセンスの期間
(b) ライセンスの範囲,特に,輸入を含む,特許をライセンスされた行為,商品の分量及びライセンス分野の領域的範囲,並びに
(c) 対価の額
(3) 上記(2)に定められたライセンスを管理する条件について,特許権者と関連当局との間で円満な合意が不履行な場合,当該条件は,加盟国の主務大臣の権限によって定められる。ただし,これらの条件は,最初に行動を起こす当事者によって付託された国内管轄裁判所によって改訂することができる。
第6章 その他の法的手続及び手続
第1節 一般規定
第59条 管轄裁判所
(1) 特許に関する民事訴訟は,国内管轄裁判所に提起され,略式手続として聴聞される。
(2) 侵害に対する訴訟が刑事事件に係る国内の刑事裁判所に提起された場合,当該裁判所は
,特許の無効若しくは権利失効又は特許権に関連する事項の何れかに関して,被告によって提起された異論申立を裁定する。
第60条 付与前の行為
特許の付与の前に行われた行為は,特許権者の権利を損なうものとはみなされない。ただし
,当該特許出願に添付された発明の明細書の正式な写しを,侵害者と主張されている者へ送達した後の行為は,その行為を記録して提訴することができる。かかる場合,提訴を受理した国内管轄裁判所は特許の付与が公示されるまでその判決を中断する。
第61条 裁判所に対する所有権の主張
(1) 特許が,発明者若しくはその承継人の権利侵害における発明又は法的若しくは契約上の責務の違反における発明の何れかについて発行又は取得される場合,被害者は,特許の所有権を主張することができる。
(2) 権原を確立するための訴訟は,特許の付与又は取得の公開から3年以内に,提起されなければならない。
(3) ただし,特許の付与又は取得時点において悪意が存在する場合,期限は,特許権の消滅から3年までを有効とする。
(4) 特許移転の最終決定は,最初に行動を起こす当事者によって,機関へ通知される。機関は,その最終決定を特許専用登録簿へ記入し,かつ,その旨の通知を公開する。機関は,当該決定を,名称が特許専用登録簿に出現するライセンスの如何なる受益者にも通知する。
第2節 民事及び刑事訴訟
第62条 侵害
(1) 前記第7条及び第49条から第58条までの規定により,特許の対象である手段を利用すること,隠蔽すること,販売若しくは販売の申出又は何れかの加盟国の領域内への導入は,侵害を構成する。
(2) 侵害には,加害者が民事及び刑事責任を負う。
(3) 如何なる方法でも侵害は証明されなければならない。
第63条 訴因
(1) 侵害に対する訴訟は,特許権者によって提起される。それにも拘らず,排他的ライセンスの受益者及び強制ライセンスの実施権者は,別段の定めがない限り,通知が提供された後に,特許権者が当該通知から3月以内に自身で権利を行使しない場合に,侵害に対する訴訟
を提起することができる。
(2) 如何なる実施権者も,自身が蒙る侵害に対する賠償を得るために,特許権者によって提起された侵害に対する訴訟に介入することができる。
第64条 侵害の防止
(1) 侵害に対する訴訟を提起する権限を与えられた何人も,必要な場合は,国内管轄裁判所に対して,金銭的強制下で,侵害者と主張されている者又は当該侵害者が役務を利用している仲介人に対する命令であって,権原において付与された権利の急迫な侵害を防止すること又は主張されている侵害の継続を防止することを意図した任意の措置を講じる命令を求める緊急な申請をなすことができる。
(2) 国内管轄裁判所は,当該措置が当事者間で講じられるべきでないことを状況が要件としている場合,特に,遅延が,申請人に取り返しのつかない程の不利益をもたらす可能性がある場合に,申請についてあらゆる緊急措置を命令することができる。緊急又は査定系の申請の受領時に,裁判所は,申請人に合理的に入手可能な証拠により申請人の権利が侵害されている又はそのような侵害が急迫している可能性を高める場合にのみ,求められた措置を命令することができる。
(3) 国内管轄裁判所は,主張されている侵害行為の継続を禁止し,必要に応じて,申請人に対する賠償を確保することを意図した保証の条件を当該行為に対して付すことができる。また,国内管轄裁判所は,権原により付与された権利の侵害の疑いがある商品の商業的ルートにおける導入若しくは流通を防止するために,当該製品の差押若しくは第三者への移転を命令することができる。
(4) 緊急又は査定系の申請の受領時に,裁判所は,侵害に対する手続が根拠なしと後日に認定される場合又は措置が取り消される場合には,被告人に補償する目的で,申請人による担保の提供を条件として命令する措置をなすことができる。
(5) 権利侵害を停止するために講じられる措置が,本案について訴訟が提起される前に命令される場合には,申請人は,措置が実施される日の翌日から20日以内に,民事裁判所又は刑事裁判所の何れかに対して訴訟を提起するものとする。さもなければ,自身の申請について理由を提示することを要求されない被告人の申請により,命令された措置は,取り消される
。ただし,可能性のある損害賠償請求を妨げない。
第65条 侵害に対する差押
(1) 侵害に対抗するための当事者資格を有する何人も,国境を含む何処でも措置を講じること,サンプル採取の有無に拘らず,詳細な製品目録又は主張されている侵害品若しくは方法の物理的差押の何れかを行使する権利を有する。
(2) 侵害に対する差押は,申請及び特許の提示に基づいてなされた裁判所による命令に従い
,該当する場合は,申請人により指定された1又は複数名の専門家によって支援されて,執行官,税関職員を含む公務員又は行政官によって行使される。必要な場合は,税関当局は,命令された措置の実行について,申請人及び輸入業者へ速やかに知らせることができる。
(3) 差押の根拠が存在する場合,上述の命令は,申請人に対して,差押が行使される前に申請人が提供しなければならない保証金を用意することを要求することができる。当該保証金は,申請人が自身で手続を利用することを妨げることのない適切なものとする。
(4) 保証金は,差押を求める外国人には常に要求される。
(5) 記述された又は差し押さえられた物を所有する者には,命令の写し,それが適切な場合
,保証金の寄託を証する書類を与える。ただし,違反すれば,事情に応じて当該命令は無効とされ,執行官,公務員,行政官又は税関職員に対し損害賠償が課されるものとする。
第66条 実体的手続開始の期限
申請人が,差押又は商品目録作成から10就業日以内に民事法又は刑事法の下で訴訟を提起しなかった場合,当該差押又は商品目録は当然に無効になる。ただし,損害賠償請求権の行使は妨げられない。
第67条 立証責任
(1) 第6条で言及される権利者の権利侵害に係る民事訴訟に関し,もし特許の対象が物を製造する方法であれば,裁判所は,被告人に対し,同一製品を製造するために使用された方法が,次に掲げる状況の何れかの点で,特許された方法とは異なることを証明すべきことを命じる権限を有する。
(a) 当該方法によって製造される製品が新規性を有していること。
(b) 当該同一物が当該方法によって製造されている蓋然性が高いこと及び当該特許権者が合理的な努力に拘らず如何なる方法が現に使用されたのかを証明できないという蓋然性が高いこと。
(2) 反証が提出された場合,製造秘密の保護に関する被告人の正当な利益は保護されなければならない。
第68条 情報調査
(1) 請求があれば,国内管轄裁判所は,必要な場合には,金銭的強制下に,申請人の権利を侵害する侵害品又は侵害方法の出所及び流通経路を判断する目的のために,被告人,侵害品を所持していることが判明した者,侵害方法を適用していることが判明した者,侵害において使用されている役務を提供していることが判明した者,若しくは,当該製品の生産,製造又は流通,当該方法の適用又は当該役務の提供に関与していると報告された者によって保持されたあらゆる文書又は情報の開示を命令することができる。
(2) 書類又は情報の開示は,正当な障害が存在しない場合に,命令することができる。
(3) 求められる書類又は情報は,以下に関するものとする。
(a) 生産者,製造業者,流通業者,供給者及び製品,方法又は役務を以前に所有していたその他の者並びに卸売業者及び小売業者の名称及び住所,並びに
(b) 製品,方法及び役務が,生産,販売,配送,受領又は注文された量並びに販売された価格
第69条 損害の判断
事件が付託された裁判所は,侵害された当事者が被った収益の損失を含む財務上の悪影響,侵害者による利益及び違反の結果として権原保有者に生じた道徳的損害を考慮して,損害額を算定する。
第70条 期限
本章に定められた侵害に係る手続は,主張された行為の日から5年までを有効期限とする。
第71条 侵害犯罪及び刑事罰
侵害犯罪は,1年から3年までの懲役及び5,000,000 CFAフランから30,000,000 CFAフランまでの罰金又はそれらの罰則の一方のみが科せられる。ただし,民事損害賠償は妨げられない
。
第72条 処罰を加重するべき状況
(1) 累犯又は処罰を加重するべき状況の場合,上述の罰則は,2倍とする。
(2) 累犯は,先立つ5年以内に,侵害者が本付属文書に定められた侵害行為の何れかで有罪判決を受けていた場合,発生する。
(3) 上記第71条に定められた罰則は,侵害者が特許権者の作業場若しくは営業所で就労していた者若しくは雇用されていた者である場合又は侵害者が特許権者の作業者若しくは従業者と連携し,それにより,特許に記載された方法の知識を備えた場合には,2倍とする。
(4) 後者の場合,作業者又は従業者は,共犯者として訴追されることがある。
第73条 情状酌量
情状酌量に関する加盟国の国内法の規定は,本付属文書に規定された侵害行為に適用される
。
第74条 刑事手続の開始
上記処罰を求める刑事訴訟は,公訴官及び被害者によって,同時に提訴される場合がある。
第75条 追加の罰則
(1) 有罪判決の場合,民事又は刑事事件に係る国内管轄裁判所は,侵害者,受取人,輸入者又は小売商人に関して,性質に応じて,侵害であることが判明した対象の没収又は破壊,かつ,必要な場合は,特にそれらの製造を意図した器具又は道具の没収又は破壊を命ずることができる。
(2) 国内管轄裁判所は,判決を公表するための適切な措置,特に,当該裁判所が指定する新聞又はオンライン公共通信サービスでの投稿又は公表を,全体として又は抜粋として,規定に従って,命令することもできる。
(3) 上記(2)に定められた措置は,無罪の場合であっても,講じることができる。
(4) 有罪判決の場合,国内管轄の民事裁判所は,前項に言及した公表の措置に加えて,侵害された当事者の請求時に,侵害と認定された製品並びに当該製品の創作又は製造において基本的に使用される材料及び器具が取引ルートから取り下げられ,そのようなルートから永久的に除外され,侵害された当事者の利益のために破壊され又は没収されることを命令することができる。
(5) 本条に定められた措置は,侵害者の費用負担で命令される。
第76条 無断利用
標識,広告,標章又は印章の手段によって,本協定及び本協定に基づく施行規則に従って付与される特許権者の権原を不適切に実施した者は,特許が失効した後も含めて,1,000,000 CFAフラン以上3,000,000 CFAフラン以下の罰金に処する。ただし,累犯の場合は,罰金は2倍になることがある。
第3節 国境措置
第77条 請求に応じた措置
(1) 税関当局は,何人かの書面による申請であって自身の権利を証明によって裏付けられた申請に応じて,管理を行う際に侵害の疑義ある商品を留置することができる。
(2) 公訴官,申請人及び商品の輸入業者は,かかる留置について税関当局から速やかに通知されるものとする。
(3) 留置措置は,申請人が税関当局に対して以下の証明を提供しなかった場合には,商品の留置の通知から10就業日以内に,法律上,解除される。
(a) 暫定措置,又は
(b) 民事事件又は刑事事件の何れかに係る国内管轄裁判所への自身の申請及び該当する場合は,主張されている侵害が存在すると最終的に認定されないときに,自身が負う可能性のある責任を担保するために必須な保証を,自身により提供すること
(4) 前項で言及されている法的行為をなす目的のために,申請人は,税関職員が順守すべき守秘義務を管理する規定に拘らず,留置された商品の分量とともに,当該商品の送付者,輸入業者及び対象の受取人の名称及び住所に関する通知を税関当局に請求することができる。
(5) 上記(3)に記述される10日の期限の満了時に,商品の自由な移動を中断する決定が司法機関又は独立した当局によってなされていない場合には,商品の保有者,輸入業者又は対象の受取人は,保証金の納付時に,留置命令を中断させることができる。
第78条 職権行為
(1) 税関当局は,商品が侵害であることの一応の証拠を有する場合には,職権により,疑義のある商品を留置することを決定できる。当局は,いつでも,権原の保有者に対して,当局の権限を行使するうえで当局を支援する可能性のある如何なる情報も提供することを要請することができる。
(2) 権利の保有者,輸入業者及び輸出業者は,留置について速やかに通知される。
(3) 税関当局の責任は,善意で行為する場合を除き,不当な留置の場合に負う可能性がある
。
第7章 その他の経過規定及び最終規定
第79条 1999年2月24日のバンギ協定に基づいて付与又は承認された,継続している特許の有効性について
(1) 1999年2月24日のバンギ協定法及びその付属文書1の規定に従って付与された特許の有効
性は存続する。
(2) 当該特許により付与された権利は,本条に従い,通常の有効期限をもって終了する。
第80条 既得権
(1) 本付属文書は,その発効日以降に提出された特許出願に適用される。ただし,1999年2月24日のバンギ協定付属文書1に基づき取得された権利に従うことを条件とする。
(2) 本付属文書の発効日前に提出された特許出願は,当該出願の出願日に適用されていた規則に引き続き従う。
(3) それにも拘らず,上記(2)に従って付与された特許に由来する権利の行使は,既得権に従うことを条件として,本付属文書の発効日から本付属文書の規定に従う。ただし,既得権は留保される。
(4) 1999年2月24日のバンギ協定の付属文書1は,廃止する。
付属文書2 実用新案
第1章 総則
第1条 定義及び分類基準
(1) 本付属文書の意味において,機関により付与された登録証により保護される実用新案とは,実用の対象となる作業用具若しくは物又はそうした用具若しくは物の部分をいい,これらが, 新規の構成,新規の配置又は新規の構成装置であることによって,その意図された作業又は使用に対して有用であり,かつ,産業上利用可能であることを条件とする。
(2) 次に掲げるものは(1)項の意味における実用新案の対象とはみなされない。
(a) 発見,自然科学的理論及び数学的方法
(b) 審美的創作物
(c) 精神的活動,ゲームを行うため若しくはビジネスを行うための枠組,原則又は方法若しくはコンピュータプログラム;及び
(d) 情報の提示
(3) 上記(2)の規定は,実用新案の要素又はそのようにみなされる保護を要求する場合を除き,実用新案としての保護を除外するものではない。
第2条 新規性
(1) 第1条に規定された用具若しくは物又はそれら一方の部分は,登録出願の機関への出願日にこれらが刊行物に記載されている場合又は加盟国若しくは第三国の領域において少なくとも6月以内に公然と使用されている場合,新規性はないとみなす。
(2) 本条(1)にいう新規性は,本条(1)に指定された日から先立つ12月の間に,当該作業用具若しくは物又はそれら一方の部分が次に掲げる結果によって開示の対象となった場合,否定されない。
(a) 出願人又はその承継人に対する権原の明らかな濫用,又は
(b) 出願人又はその承継人が,それらを公式の又は公認の国際博覧会で展示した事実。
第3条 産業上の利用可能性
実用新案は,それが何れかの種類の産業で製造又は使用可能であれば,産業上利用可能であるとみなされる。「産業」という用語は最も広い意味で理解されるものとし,特に,工芸,農業,漁業及び役務を含む。
第4条 実用新案として保護されない主題
(1) 本付属文書第1条による実用新案は,公の秩序又は善良の風俗,公衆衛生,国家経済又は国防に反する場合,登録されない場合がある。ただし,単にそれが法律又は規則によって禁止されているという理由で公の秩序又は善良の風俗に反するとみなされない。
(2) 実用新案が,先行出願又は優先権を有効に主張する出願に基づいた特許又は実用新案登録の対象に既になっていれば,当該実用新案は本付属文書に基づいて保護することは許されない。
第5条 付与される権利
本付属文書により規定される条件に従い,登録証の保有者には,他の者が,次に掲げる行為
,すなわち,当該実用新案の製造,販売のための提供,販売及び使用並びにその販売のための提供,販売及び使用を目的とした輸入及び保持によって,その実用新案を実施することを禁止する権利が付与される。
第6条 保護期間
下記第35条の規定に従い,実用新案登録証により付与される保護期間は,出願日から10年目の末日に満了する。
第7条 実用新案登録証を受ける権利
(1) 実用新案の登録を受ける権利は考案者に属し,出願人は権利の所有者と推定する。
(2) 2名以上の者が互いから独立して同一考案をした場合,その実用新案登録を受ける権利は,最先の出願日又は優先権が主張されている場合は,有効に主張された最先の優先日を記した出願書類を提出した者に属するが,当該出願が取り下げ,放棄又は拒絶されていないことを条件とする。
(3) 2名以上の者が考案を共同でした場合,その登録を受ける権利はこれらの者に共同で属する。権原は,共有者としてこれらの者に与えられる。
(4) 実用新案の登録を受ける権利は,相続又は譲渡により移転できる。
(5) 実用新案登録証を受ける権利を有さない者が出願を提出する場合,権利を有する者は,出願の移転の手続を講じることができ,権利が既に付与されている場合には,実用新案登録証の移転の手続を講じることができる。出願移転の手続は,実用新案登録証の公開日から5年を期限とする。ただし,悪意を持って行う被告人に対する手続に時効はない。
第8条 実用新案権の共有
別段の定めがない限り,実用新案権の共有には,以下の規定を適用する。
(a) 各共有者は,考案を個人的に実施しない又はライセンスを付与していない他の共有者に対してxxな補償をなす場合には,自身の利益のために考案を実施することができる。円満な合意に至らない場合,当該補償は,国内管轄裁判所によって定められる。
(b) 各共有者は,自身の排他的利益のために,侵害に係る手続を講じることができる。当該手続を講じる共有者は,その行為について,他の共有者へ通知するものとする。当該行為に関する如何なる裁定も,当該通知の証拠が提供されるまで,中断される。
(c) 各共有者は,ライセンスを付与していない他の共有者に対してxxな補償をなす場合には,自身の利益のために,第三者に対して非排他的なライセンスを付与することができる。円満な合意に至らない場合,当該補償は,国内管轄裁判所によって定められる。ただし,ライセンス合意の草案は,特定の価格で持分を譲渡する提案とともに,他の共有者へ通知される。当該通知から3月以内に,共有者の何人も,ライセンス付与を希望する者の持分を取得することを条件に,ライセンス付与に異論を申し立てることができる。定められた期限内に合意に至らない場合,対価は国内管轄裁判所によって定められる。当事者は,第1審又は控訴審の何れかにおける判決の通知から1月内に,可能性のある損害を負担することなくライセンス付与又は共有される持分の購入を放棄するものとする。費用は,放棄する当事者が負
担する。
(d) 排他的ライセンスは,すべての共有者の合意でもって又は国内管轄裁判所の許可によってのみ,付与することができる。
(e) 各共有者は,いつでも,自身の持分を譲渡することができる。共有者は,譲渡の意向の通知から3月以内に最初の拒絶を行う権利を有する。対価に関して合意に至らない場合,当該対価は,国内管轄裁判所によって定められる。当事者らは,司法判断又は控訴における決定の通知から3月内に,可能性のある損害を負担することなく共有される持分の販売若しくは購入を放棄するものとする。費用は,放棄する当事者が負担する。
(f) 実用新案権の共有者は,他の共有者に対して,その者らの利益のために,自身の持分を放棄する旨を通知することができる。機関への当該放棄の通知からその効力は生じ,当該共有者は,特段の合意がなされていない限り,他の共有者に関するすべての義務から免れ,当該共有権については,他の共有者のそれぞれの持分に比例して放棄された持分を分配する。
第9条 職務考案及び委託考案
(1) 実用新案の考案者が従業者である場合,実用新案を受ける権利は,従業者にとって一段と有利な契約規定が存在しないとき,以下の規定が適用される。
(a) 従業者の任務と合致する考案業務を包含する雇用契約又は従業者らに明示的に与えられた研究及び調査の何れかの履行において従業者によってなされた考案は,雇用者に帰属する。かかる場合,当該考案をなした従業者は,団体的又は個人的な交渉を通じての合意に至らないとき,国内管轄裁判所によって定められる補足報酬を受領する。
(b) 従業者が,自身の雇用契約によって考案活動に従事することを要求されないが,事業所に特有な技術及び手段又は事業所が入手した情報を用いて考案をなす場合には,雇用者は,その所有権を得る又は当該従業者の考案を保護する実用新案に付属する権利のすべて若しくは一部の所有権又は享受する権利を有する。ただし,従業者はxxな対価を確保するものとし,当事者間での合意に至らない場合,国内管轄裁判所によってそれを定める。裁判所は,雇用者及び従業者によって同裁判所に提供される可能性がある如何なる情報も考慮し,特に,各当事者の当初の寄与並びに考案の工業的及び商業的実用の両方に配慮して,xxな価格を算定する。
(c) その他考案はすべて,従業者に帰属する。
(2) 如何なる場合でも,考案をなした従業者は,その旨を速やかに自身の雇用者へ通知し,当該雇用者は,情報の受領を確認しなければならない。
(3) 従業者及び雇用者は,考案に関するあらゆる有用な情報を共有するものとする。本付属文書によって付与される権利の行使において,部分的又は全体的に危険にさらす可能性がある,如何なる開示もこれらの者は控える。
(4) 従業者及びその雇用者との間での職務考案に関する如何なる合意も,書面で記載され,それに違反する場合は,無効とされる。
(5) 上記(1)(a)に言及されている状況が存在する場合,雇用者が特許を受ける権利を明示的に放棄するときには,当該権利は従業者に帰属する。
(6) 本条の規定は,国,公共団体及びその他の公的法人の従業者にも適用される。ただし,上記(1)(a)に言及されている補足報酬の納付の額及び条件は,各加盟国の国内法によって定められる。
(7) 契約において別段の定めがない限り,顧客の注文の履行においてなされた実用新案登録権は,顧客に属する。
第10条 実用新案により付与される権利の制限
(1) 実用新案に由来する権利は,次に掲げる事項には,及ばない。
(a) 当該実用新案権者によって又はその同意により加盟国又は第三国の領域における市場で販売のために持ち込まれた対象に関する行為
(b) 加盟国の領空,地域又は水域に一時的若しくは偶発的に進入した外国航空機,地上車両又は船舶に搭載された対象の使用
(c) 科学的又は技術的研究の過程において実験目的で行われる,登録実用新案に関する行為
(d) 出願日又は優先権が主張されている場合は,当該実用新案が加盟国の領域で登録される根拠となる出願の優先日に,善意で当該実用新案を使用していた又はそうした使用のため効果的かつ誠実な準備していた者により行われた行為。
(2) 上記(1)(d)に言及される使用者の権利は,信用,事業若しくは会社又はそれらに付随する一部のみを譲渡することができる。
第2章 実用新案の登録に関する手続
第1節 実用新案登録出願
第11条 願書の提出
(1) 実用新案登録出願は,本協定第8条,本附属文書及び施行規則に定められた手順に従って,機関又は知的所有権を担当する国家管理部に提出される。
(2) 願書には以下が含まれていなければならない。
(a) 機関の長官にあての願書
(b) 所定手数料の機関への納付を証明する書類
(c) 出願人が代理人により代理されている場合,印紙を貼っていない個人委任状
(d) 次に掲げるものを含む封印された包袋:
(i) 実用新案が意図する作業又は目的に有用であることを示し,かつ,構成,配置又は機構によって,通常の知識及び技能を備えた熟練技術者が当該実用新案を実施できる程度に明確かつ十分に記載された明細書
(ii) 当該考案の理解に必要又は有用な図面及び写真
(iii) 明細書の内容を要約した要約書
(iv) 保護を受けようとする範囲を画定した1又は複数のクレームであって,上記(i)で言及される明細書の内容を超えないもの。
(V) 出願日及び優先権を主張する場合は優先日において,考案者が知っている考案を実施する最良の形態に関する十分な表示。
第12条 実用新案の単一性
出願は,単一の主題に限定され,それを構成する詳細及び指定された用途を記載する。出願は,限定,条件又は留保を含まない。
出願は,当該考案の目的を簡潔かつ正確に記載した表題を設ける。
第13条 優先権主張
(1) 先行出願の優先権を利用しようとする者は,次に掲げるものを登録願書に添付又は出願日から遅くとも6月以内に機関に送達する。
(a) 先行出願の出願日,出願番号,出願国及び出願人の氏名を記載した宣言書
(b) 先行出願のxxの謄本
(c) その者が先行出願をした者でない場合,先行出願の出願人又は当該優先権の利用を許可する権限を有する承継人からの授権書
(2) 単一の出願に関して,2つ以上の優先権を利用しようとする出願人は,各優先権に関して上に掲げる規定に従う。当該出願人は,主張する各優先権に関して料金を納付し,前項にいう6月の期間内に料金納付の証拠を提出する。
(3) 上に掲げる書類すべてが期限内に提出されない場合は,審査中の当該出願について,主張する優先権の利益が自動的に失われる。
(4) 当該登録出願の出願から6月経過後に機関に送達された書類は,受け入れられない旨が宣言される。
第14条 特許出願から実用新案登録出顔への変更及びその逆の変更 (1)
(a) 特許付与又は特許出願の拒絶以前は,いつでも,特許出願人は,所定の料金の納付
後に,自己の特許出願を実用新案登録出願に変更することができ,当該実用新案登録出願には最初の出願の出願日が与えられる。
(b) 実用新案登録証の付与又は出願の拒絶以前であれば,いつでも,実用新案登録出願人は,所定の料金の納付後に,自己の実用新案登録出願を特許出願に変更することができ,当該特許出願には最初の出願の出願日が与えられる。
(2)
(a) 特許出願が上記(1)(a)に基づいて実用新案登録出願に変更された場合は,当該特許出願は取り下げられたものとみなされ,機関は,特許専用登録簿に「取下」の注記を記載する。
(b) 実用新案登録出願が上記(1)(b)に基づいて特許出願に変更された場合は,当該登録出願は取り下げられたものとみなされ,機関は,実用新案登録簿に「取下」の注記を記載する。
(3) 出願は,上記(1)に基づいて2回以上変更することはできない。
第15条 未払いによる不受理
実用新案の登録願書に,出願及び公開のための手数料の機関への納付を証明する書類が添付されていない場合,当該願書は受理されない。
第16条 出願日
機関は,提出時に,使用可能な言語の何れかで記載され,次に掲げる事項を含む願書について,その受理日を出願日として付与する。
(a) 実用新案登録証の付与を要請する旨の明示的又は暗黙的な表示
(b) 出願人が本人であることを証明できる情報
(c) 考案の明細書及び1又はそれ以上のクレームであるとxxして認められる部分
(d) 所定手数料の納付の証明
第17条 出願の公開
(1) 機関は,各々の実用新案の登録出願について,以下の情報を公開する。
(a) 実用新案登録出願の出願番号
(b) 出願日
(c) 出願人の社名,氏,名及び住所
(d) 考案者の名称及び住所,ただし,考案者が,実用新案登録出願に記述されないことを要求する場合を除く。
(e) 該当する場合は,代理人の名称及び住所
(f) 1又は複数の優先権が有効に主張されている場合には,当該1又は複数の優先権の表示
(g) 優先日,優先権主張出願が提出された1又は複数の国の名称及び優先権主張出願の番号
(h) 考案の名称
(i) 考案の要約書
(j) 該当する場合は,国際出願の日付及び番号,及び
(k) 国際特許分類記号
(2) 実用新案登録出願の各々ごとに,機関は,明細書,1又は複数のクレーム及び図面(該当する場合)も公開する。
(3) 実用新案登録出願は,国際出願を除いては,出願日又は優先日から18月以内に公開される。
(4) 上記(2)は,国際出願には適用されない。
第18条 異議申立
(1) 利害関係人は,上記第19条に言及されている出願の公開から3月以内に,異議申立の理由を記載した異議申立書を機関に送付することにより,実用新案の登録証明書の発行に対して異議申立することができる。異議申立の理由は,本付属文書の第1条,第2条,第3条,第4条若しくは第8条の規定の違反又は異議申立人に属する先に登録された権利に基づくものでなければならない。
(2) 機関は,出願人又はその代理人に,異議申立書の写しを送達し,出願人又はその代理人は,申請につき1度更新可能な3月以内に,理由を付した答弁を提出することができる。答弁は,異議申立人又はその代理人に対し送達される。
(3) 異議申立を裁定する前に,機関は,請求に応じて,当事者又はそれらの代理人を聴聞する。
(4) 機関が,異議申立に十分に根拠があると考える場合,
(a) 一定のクレーム又は第9条及び第17条に定められた理由により,機関は,実用新案登録出願を再審査する。
(b) すべてのクレーム又は第1条から第4条までに定められた理由について十分な根拠があると考える場合には,機関は,出願の審査を終了する。
(5) 機関が,異議申立に関し,十分な根拠がないと考える場合には,機関は,実用新案登録出願の審査を継続する。
第19条 機関に対する所有権の申立
(1) 実用新案登録を受ける権利を有さない者が実用新案登録出願を提出する場合,実用新案登録を受ける権利を有する者は,出願の公開から3月以内に,自身の主張に関する理由を記述した申立書を提出して,その所有権を機関に対して申し立てることができる。
(2) 機関は,出願人又はその代理人に,所有権主張の申立書の写しを送達するものとし,出願人又はその代理人は,申立につき1度更新可能な3月以内に,理由を付した答弁を提出することができる。当該答弁は,申立人又はその代理人に対し送達される。
(3) 所有権主張を裁定する前に,機関は,申立に応じて,当事者ら又はそれらの代理人を聴聞する。
(4) 所有権主張に関する機関の裁定に対しては,当事者への決定通知から60日以内に,審判高等弁務局に審判請求することができる。
(5) 機関は,前述の主張が十分な根拠があるものである場合に限り,出願を移転する。
(6) 出願の移転に関する最終決定は,機関の実用新案専用登録簿に記録される。
第20条 出願の分割
(1) 幾つかの対象に関する如何なる最初の実用新案登録出願も,以下の時期に,分割出願と呼称される幾つかの出願へ分割できる。
(a) 遅くとも,実用新案登録証明書の発行に関する決定まで
(b) 実用新案登録出願に関する審査,異議申立又は所有権主張の手続中,及び
(c) 所有権主張についての決定に関する審判請求手続中
(2) 分割出願は,最初の出願の出願日を保持し,かつ,該当する場合は,優先権の利益を保持するものとする。
(3) 手数料は,すべての分割出願に対して納付する。第2節 実用新案登録証の付与
第21条 出願の審査
(1) すべての実用新案登録証出願は,次に掲げる事項を保証するために審査を受けなければならない。
(a) 登録証を求める出願に係る考案が,本付属文書第4条の規定に基づき実用新案によって付与される保護から除外されないこと。
(b) 何れのクレームも,本付属文書第11条(2)(d)(iv)の規定に適合していること。
(c) 本付属文書第12条の規定を充足していること。
(2) 次に掲げる事項を保証するために調査報告書も作成される。
(a) 登録出願時において,先行する登録出願,すなわち,有効な優先権の主張から利益が得られるものであり,同一の考案に係る登録出願が交付される過程になかったこと。
(b) 発明が,
(i) 新規性を備え,
(ii) 産業上の利用可能性を有すること。
(3) 特許協力条約に基づく国際出願に関して,機関は,国際調査報告書及び国際予備審査報告書に関係する当該条約のそれぞれ第20条及び第36条の規定を利用することができる。
第22条 交付
(1) 機関は,登録証交付のすべての要件が満たされており,第21条(2)に基づき報告書が作成されていると判断する場合,出願された実用新案登録証を交付する。ただし,如何なる場合も,実用新案登録証の交付は出願人自身の責任に基づくものであり,考案の存在,新規性若しくは価値に関して又は詳細な説明のxx性又は正確性に関して何ら保証するものではない。
(2) 実用新案登録証の交付は,機関の長官の決定又はその目的のために長官によって正式に権限を授けられた機関の職員の決定によるものとする。
(3) 特許協力条約の下での国際出願に基づく登録証は,上記第13条(2)に規定されたものと同じ方式で交付される。ただし,当該条約に規定されている国際公開に準拠するものとする
。
第23条 拒絶を管理する規則
(1) 第11条(ただし,(b)を除く)の規定及び第12条の規定を順守しない出願は,要件不備である。そのような不備は,出願人又はその代理人に通知され,出願人又はその代理人は,通知日から3月以内に適正な書類を提供するように求められる。必要性が認められる場合,出願人又はその代理人の申請によって,その期限を30日延長することができる。当該所定期限内に要件整備された出願は,当初の出願日を保持する。
(2) 要件整備された書類が所定期限内に提供されない場合,実用新案登録証のための出願は拒絶される。
(3) 出願人又はその代理人が,所定の条件及び手続に従って出願を補正することを求められていない場合には,出願は,上記(2)の条件に基づいて拒絶することはできない。
(4) 上記(4)の規定に拘らず,機関は,出願に含まれる明らかな誤記を補正することができる。
(5) 出願人は,拒絶査定の通知日から60日以内に,審判高等弁務局に審判請求することができる。審判高等弁務局による決定に対しては,提訴できない。
第3節 改良証
第24条 改良証を受ける権利
(1) 実用新案の考案者又は実用新案登録証を受ける権利の承継人は,願書の提出に関して本付属文書第11条及び第13条に規定された方式に従って,当該実用新案の存続期間を通じて,考案の変更,改良又は追加を行う権利を有する。
(2) こうした変更,改良又は追加は,主登録証と同様の形式で交付された証書に登録されるものとし,この証書は,交付日から当該主登録証と同様の効力を有する。
(3) 権利者の1人によって取得された改良証は,他の権利者すべてに対しても効力を有する
。
第25条 改良証の存続期間
改良証は主登録証とともに満了となる。ただし,主登録証の無効は,対応する1又は複数の改良証を当然には無効としないものとし,第34条の規定に基づいて絶対的な無効が宣言されている場合でさえ,前記1又は複数の改良証が無効とならなかった場合,納付されたはずの年間登録料が継続して納付されていることを条件に,当該改良証は,主登録証の通常の存続期間が満了するまで存続する。
第26条 改良証出願の実用新案登録証出願への変更
改良証が交付されていないことを条件に,出願人は改良証出願を実用新案登録証出願に変更することができ,その出願日は最初の出願日とする。
第27条 改良証出願の実用新案登録証出願への変更に係る手続
先行登録証とともに満了する改良証でなく,変更,改良又は追加のための実用新案の主登録証を取得することを希望する考案者は,第11条及び第13条に定められた手続に従う。
第28条 同一の対象に関し実用新案権の独立性
別の実用新案の対象に関連する考案について実用新案権を取得した何人も,既に保護されている考案を利用する権利を有しないものとし,反対に,先行する実用新案権者は,新たな実用新案権の対象となっている考案を利用することはできない。
第3章 公開
第29条 実用新案登録証の公告
(1) 機関は,付与された各実用新案について次に掲げる事項を公告する。
(a) 実用新案登録番号
(b) 出願番号
(c) 出願日
(d) 出願人の会社名,氏,名及び住所
(e) 実用新案登録証明証において記載しないことが請求されていない場合,考案者の氏名及び住所
(f) 代理人があればその氏名及び住所
(g) 1又は複数の優先権が正当に主張されている場合は,当該1つ又は複数の優先権の記載
(h) 優先日,先の出願が行われた国又は先行出願の対象となっている1若しくは複数の国及び先行出願の番号
(i) 当該登録証明証の付与日
(j) 考案の名称
(k) 要約
(l)考案の国際分類記号
(2) 施行規則において,図面,クレーム及び要約書の実用新案の公告手順を修正及び決定する。
第30条 明細書,図面及び写真の送達
(1) 登録実用新案の明細書,図面及び写真は機関が保持し,第29条の規定による公告後は,機関は請求を受けて,これらを提供する。
(2) 上記第29条で言及される公告後は,何人も明細書,図面及び写真の謄本を入手することができる。
(3) 上記(1)及び(2)の規定は,先行出願の優先権を利用することを希望する出願人によって提供された謄本及びこうした出願人に優先権の主張を許可する書類に適用される。
(4) 実用新案登録の出願人であって当該実用新案登録の前に自己の出願の優先権を外国で利用しようとする者は,自己の出願の謄本を入手できる。
第4章 権利及びライセンスの移転及び譲渡
第31条 権利の移転及び譲渡
(1) 実用新案登録出願の登録を受ける権利又は実用新案権は,その全部又は一部を移転することができる。
(2) 実用新案登録出願の登録を受ける権利又は登録実用新案に関する,権利の移転,ライセンスの許諾又は譲渡若しくは質権の設定又はその取消に係る行為は,書面で証明され,それに違反する場合は,無効とされる。
第32条 実用新案専用登録簿への行為の登録
(1) 上記第31条にいう行為は,これらの行為が機関により維持される実用新案専用登録簿に登録されない限り第三者に対して対抗できない。かかる行為の登録は,機関によって維持される。
(2) 規則によって設定される条件に基づき,機関は,実用新案専用登録簿への登録内容の写し及び質権の対象である実用新案に関する登録内容の記録又はかかる登録内容が存在しないことを証する証明書を,請求を行う者に対しても交付する。
第33条 実用新案及びその改良の権利としての実施
(1) 実用新案権者又は被授権者から実用新案を実施する権利を得た者は,当該実用新案権者又は被授権者によってなされる改良から権利として利益を得ることができる。反対に,当該権利者又は被授権者は,当該実用新案を実施する権利を得た者によってその後に当該実用新案になされた改良から利益を得ることができる。
(2) 当該改良から利益を受ける権利を有する者は,関係する契約書の写しを機関に提出することができる。
第34条 ライセンス契約
(1) 実用新案権者は,契約により自然人,法人を問わず,他人に対し,登録実用新案のライセンスを付与できる。
(2) ライセンスの存続期間は,実用新案登録の存続期間を超えることは許されない。
(3) ライセンス契約は書面で作成され,当事者によって署名されるものとする。
(4) ライセンス契約は実用新案専用登録簿に登録されなければならない。ライセンス契約は
,本付属文書に係る施行規則に指定された様式で当該登録簿に登録され,公開されるまで第三者に対して拘束力を有さない。
(5) 当該ライセンスは,実用新案権者又は実施権者の請求により,ライセンス契約の満了又は終了の証拠の提出を受けて登録簿から削除される。
(6) ライセンス契約に別段の定めがない限り,許諾者は実施権者に通知することを条件にライセンスを他の者に付与すること又は登録実用新案を自ら実施することを,ライセンスの付与は妨げない。
(7) 排他的ライセンスの付与によって,許諾者がライセンスを他の者に付与すること及びこれと別段の内容の規定がライセンス契約になければ登録実用新案を自ら実施することは,妨げられる。
第35条 無効条項
(1) ライセンス契約の条項又はそうした契約に関する条項は,工業又は商業分野において,実用新案によって付与された権利に由来しない制限又は権利を維持するために必要でない制限を実施権者に課す場合に限り無効となる。
(2) 次に掲げる事項は,上記(1)の意味において制限とはみなされない。
(a) 登録実用新案の実施の程度,範囲又は存続期間に関する限定
(b) 登録された実用新案の有効性を害する蓋然性が高い行為を実施権者に禁ずる義務
(3) ライセンス契約に別段の定めがなければ,実施権者はライセンスを第三者に譲渡できず
,サブライセンスを許諾する権限はない。
第36条 無効条項の認定
第35条で言及されている無効条項の認定は,利害関係人の請求によって民事裁判所によって認定される。
第5章 不実施に対する強制ライセンス
第37条 不実施に対する強制ライセンス
(1) 実用新案登録出願の出願日から4年の期間又は当該実用新案権の付与日から3年の期間の満了の何れか遅い方の満了後に何人かにより請求がなされれば,次に掲げる要件の少なくとも1つ満たされる場合,強制ライセンスを付与することができる。
(a) 実用新案が,当該請求がなされた時に何れの加盟国の領域においても実施されていないこと。
(b) 実用新案の当該地域での実施が,保護された物品への需要を合理的な条件で満たしていないこと。
(c) 合理的な商業的条件及び手順でのライセンスの付与を実用新案権者が拒否しているために,当該地域での工業的又は商業的活動の確立又は発展が不当かつ実質的に侵害されていること。
(2) 上記(1)の規定にも拘らず,実用新案権者が当該発明の不実施の正当な理由を示した場合,強制ライセンスは付与されない。
第38条 従属する実用新案権に対する強制ライセンス
実用新案権によって保護される発明が先行する実用新案権に基づく権利を侵害することなく実施できず,当該先行権利者が妥当な商業的条件及び手順でその使用を許諾しない場合,後行権利者は,当該使用に関する強制ライセンスを次に掲げる付加的要件で裁判所から得ることができる。
(a) 当該後行実用新案に記載された発明は,先行実用新案に記載された発明との関係で,相当の技術的進歩及び相当程度の経済的利益を示すこと。
(b) 当該先行権利者は,後行実用新案に記載された発明の使用に関する相互的にライセンスを合理的な条件で受ける権利を有すること。
(c) 当該実用新案権に関して許諾された実施は,当該後行実用新案権に移転される場合を除いて移転できないこと。
第39条 強制ライセンス付与の請求
(1) 強制ライセンス付与の請求は,実用新案権者の住居地の国内管轄裁判所に対して行うもののとし,当該権利者が外国に定住している場合,当該権利者が選択した住居地又は当該権利者が出願目的で代理人を指名した場所の民事裁判所に行うものとする。何れかの加盟国の領域に居住している者による請求のみが考慮される。当該所有者又はその代理人は,当該請求がなされたことを遅滞なく通知される。
(2) 請求は次に掲げる事項を含むものとする。
(a) 請求人の氏名及び住所
(b) 強制ライセンス請求の対象となる実用新案登録の名称及び登録番号
(c) 登録実用新案を上記地域で実施していることが,保護された物品への需要を合理的な条件で満たしていないことを示す証拠
(d) 上記第37条及び第38条に基づいて請求された強制ライセンスである場合は,当該請求人が市場の需要を満たすように,加盟国のうちの1つの領域で登録実用新案を実施する
ことを約した当該請求人による申告書
(3) 請求には次のものを添付する。
(a) 当該請求人が既に当該実用新案権者に書留郵便で申し入れし,契約に基づくライセンスを要請したにも拘らず,合理的な商業的条件及び手順の下で合理的な時間内に所有者からライセンスを受けることができなかったことを示す証拠
(b) 第37条又は第38条に基づいて請求された強制ライセンスの場合は,当該請求人が当該登録実用新案を工業的に実施できることを示す証拠
第40条 強制ライセンスの付与
(1) 国内管轄裁判所は,強制ライセンス付与の請求が,上記第39条の要件を満たすか否かを審理する。請求が当該要件を満たさない場合,裁判所は,当該請求を却下する。請求を却下する前に,裁判所は,請求人にその請求の要件不備を通知し,当該請求人が必要な訂正をすることを許可する。
(2) 強制ライセンス付与の請求が上記第39条の要件を充足する場合,国内管轄裁判所は,それを当該実用新案権者及び考案の実施権者にも通知し,当該請求に関するこれらの者の意見を3月の期間内に書面で提出するよう促す。当該意見は,請求人に対して送達されなければならない。裁判所は,同様に,当該請求を関連政府機関にも通知する。裁判所は,請求及び受理した意見に関する審理を行うものとし,この審理には,当該請求人,実用新案権者,実用新案登録簿に名前が記載されている実施権者,関連政府機関を召喚し,聴聞する。
(3) 上記(2)に規定された手続が完了すると,国内管轄裁判所は,請求に対して強制ライセンスを付与又は拒絶する旨の判決を下す。
(4) 強制ライセンスが付与される場合は,国内管轄裁判所の判決は,次に掲げる事項を明記する。
(a) ライセンスの許諾範囲。特に,ライセンスの効力が及ぶ本付属文書第5条で言及される行為及び許諾期間の明記。ただし,第37条及び第38条に基づく強制ライセンスは,輸入行為には及ばないと解釈される。
(b) 実施権者によって実用新案権者に支払われる対価の額。当事者間で合意がない場合
,そうした対価は,当該事案のあらゆる事情を相当に考慮した上でxxとなるものとする。対価の額は,強制ライセンスの受益者又は当該所有者による請求時の裁判所による審査の対象とする。
(5) 国内管轄裁判所の判決は,合理的でなければならない。判決が確定すると,最初に行動を起こす当事者によって機関に連絡される。
(6) 機関は,それを実用新案専用登録簿に記入し,その通知を公表する。
第41条 強制ライセンスの実施権者の権利と義務
(1) 本付属文書第44条に指定された不服申立期限の満了後若しくは国内管轄裁判所が強制ライセンス付与を決定した全部又は一部を支持する控訴判決が下された後,当該ライセンスの付与により,実施権者は,国内管轄裁判所の判決又は控訴判決に定められた条件に従って考案を実施することを許諾され,当該実施権者は,当該判決に指定された対価を支払う必要がある。
(2) 強制ライセンスの付与は,有効なライセンス契約又は有効な強制ライセンスの何れにも
影響を与えず,他のライセンス契約の締結又は他の強制ライセンスの付与を排除しない。ただし,実用新案権者は,他の実施権者に当該強制ライセンスの条件よりも有利な条件を与えることができない。
第42条 強制ライセンスの制限
(1) 強制ライセンスの受益者は,実用新案権者の同意なしに,強制ライセンスの下で実施することを許可されている行為を第三者に許可することはできない。
(2) 上記(1)の規定に拘らず,強制ライセンスは,実用新案を行う信用,事業又は事業所と一緒に譲渡することができる。国内管轄裁判所の許可なしにかかる譲渡は有効ではない。許可を与える前に,裁判所は実用新案権者にその見解を提出する機会を与えるものとする。許可を機関に通知し,機関はそれを登録及び公開する。かかる許可された譲渡に続いて,強制ライセンスの新しい受益者は,以前の受益者に課せられていたものと同じ義務を受け入れなければならない。
第43条 強制ライセンスの変更及び取下
(1) 実用新案権者又は強制ライセンスの受益者の請求により,国内管轄裁判所は,新たな事実により変更が正当なものであることが証明された場合,当該強制ライセンスの付与に関する判決を変更できる。
(2) 当該実用新案権者の請求により,国内管轄裁判所は,次に掲げる場合に強制ライセンスを取り下げるものとする。
(a) その付与の根拠が既に存在していない場合
(b) 受益者が,第40条(4)(a)に基づくライセンスの範囲を超えている場合
(c) 受益者が,第40条で言及されている対価の支払を延滞している場合。上記(a)及び (b)に規定されている場合,他の実施権者は取り下げを求めることができる。
(3) 強制ライセンスが,上記(2)(a)に基づいて取り下げられた場合,強制ライセンスの受益者は,即時停止が当該受益者に深刻な悪影響を及ぼすだろうと思われる場合,考案の実施を停止するための合理的な期間が与えられる。
(4) 本付属文書第39条及び第40条の規定は,強制ライセンスの変更又は取り下げに適用される。
第44条 控訴
(1) 実用新案権者,実用新案のライセンスの受益者又は強制ライセンス付与を請求した者は
,上記第52条(6)に規定された公開から1月以内に,第40条(3),第42条(2)又は第43条に基づいて,下された判決に対して上級控訴裁判所に控訴することができる。
(2) 強制ライセンスの付与,強制ライセンス移転の許可若しくは強制ライセンスの変更又は取下げに異議を唱える上記(1)で言及される控訴は,効力停止の効果を有する。
(3) 控訴審に対する判決は,機関に通知され,機関は,それを登録し,公開する。
第45条 付与された権利の防御
(1) 契約又は強制ライセンスの受益者は,当該実用新案権者に対し,当該受益者が言及する権利侵害に対し民事又は刑事制裁に必要な法的措置を講じるよう書留郵便で要求することが
できる。
(2) 上記(1)に規定された要求から3月以内に,当該実用新案権者が,上記(1)で言及される措置を講じることを拒否又は怠った場合は,登録済のライセンスの受益者は,自己の名義でこうした措置を講じることができる。ただし,当該実用新案権者が当該訴訟に参加することを妨げるものではない。
第46条 強制ライセンスの受益者の義務の停止
実用新案権の無効を求める訴訟は,当該証明証の所有者に対して提起される。最終的な法的判断が実用新案権の無効を宣言した場合,強制ライセンスの受益者は,当該強制ライセンスを受益者に付与した判決に起因するあらゆる義務から解放される。
第47条 国益による強制ライセンス
(1) ある実用新案が,国の経済,公衆衛生又は国防に極めて重要であり又はその不実施又は不十分な実施が国の必要性の充足に深刻な障害を生じる場合,関連加盟国の主務大臣の行政命令によって,強制ライセンスの措置の対象となりうる。かかる行為は,特に,輸入を含む物品の品質,強制ライセンスによってカバーされる領域及び料金の総額である実施内容について,期間及び範囲を政府又は受益者団体である利害関係者間の交渉において決定する。健康上の需要に対する強制ライセンスは,本付属文書第37条(1)に規定された条件に従う。ライセンスが不正競争の是正を目的とする場合又は緊急の場合,主務官庁は友好的な合意を求められることはない。
(2) 実用新案権者と主務官庁との間で,強制ライセンスの期間並びに範囲及び料金の額について合意に達しなかった場合,合意条件は加盟国の主務大臣によって指定される。ただし,最初に行動を起こす当事者により見直される場合がある。
第48条 権利としてのライセンス
(1) 既に登録済のライセンス条項を遵守することを条件として実用新案権者は,自己の登録実用新案に関して,「ライセンスの用意(license as of right)」の注記を登録するよう機関に申請できる。当該注記は,機関によって可能な限り迅速に実用新案専用登録簿に記載され,公開される。
(2) こうした注記の登録簿への登録により,何人も,関連当事者間の合意が存在しない場合は,裁判所により定められる条件で,当該実用新案を実施するライセンスを取得する権利を得る。これにより年間手数料も減額される。
(3) 実用新案権者は,いつでも「ライセンスの用意」の登録抹消を機関に申請することができる。有効なライセンスが存在しない場合又はすべての実施権者が抹消に同意する場合,機関は,当該記録が登記簿になされなければ納付されたはずの手数料全額が納付された後,その記録を抹消する。
(4) 本付属文書第24条(1)の規定も「ライセンスの用意」に適用される。
(5) 「ライセンスの用意」の受益者は,当該ライセンスを譲渡し又はそれに基づくサブライセンスを付与することはできない。
第6章 無効,権利失効及び関連する行為
第1節 無効及び権利失効
第49条 無効
(1) 次に掲げる場合,登録実用新案は,無効と宣言される。
(a) 本付属文書第2条及び第3条の規定に基づいて,実用新案が新規性を有さず,進歩性を有さず,産業上利用可能性がない場合。
(b) 実用新案が第4条に基づき登録できない場合。ただし,禁制品の製造又は販売による反則金が生じる可能性は否定されない。
(c) 実用新案に添付された明細書が第11条(2)(d)(i)の規定に適合していない又は出願人の真の方法を完全かつxxな方式で記載していない場合
(2) 実用新案に関連性がない改良に関する証明書も,本付属文書に規定されているとおり,同様に無効と宣言される。
(3) 無効はクレームのすべて又は一部のみに係るものでもよい。
第50条 権利失効
(1) 自己の毎年の出願日に年金納付を怠った実用新案登録証の所有者は,自己の権利のすべてを失効させる。
(2) ただし,所有者には,当該年金を有効に納付できる6月の納付猶予期間が与えられる。その場合,所有者は追加料金も納付する。
(3) 前項で言及される6月間に年金及び追加料金の不足分を補完するためになされた納付は
,有効とみなされる。
(4) 上記第14条に基づく実用新案登録証出願への変更に起因する実用新案登録出願の登録手数料又は追加料金としてなされた納付も有効とみなされる。ただし,納付は,変更請求から 6月以内になされなければならない。
第51条 回復
(1) 登録実用新案の所有者の責めに帰することができない事情によって当該実用新案により付与された保護が維持されていない場合,第49条及び第50条の規定に拘らず,当該所有者又は被授権者は,必要とされる年金及びその金額が規則によって決定される追加料金の納付を条件に,前記事情が解消された日から6月以内で,かつ年金の満期日から遅くとも2年以内に
,その回復を申請できる。
(2) 前項で言及される実用新案の回復申請は,前項で言及される年金及び追加料金の納付を証明する書類を添付して機関に送達し,当該所有者又は被授権者が,回復を正当なものであると考える根拠を述べた陳述書を含めなければならない。
(3) 機関は前項にいう根拠を審査し,当該根拠を正当なものと考える場合は当該実用新案を回復させ,考えない場合はその申請を却下する。
(4) 回復によって,当該実用新案の最大存続期間は,延長されない。
(5) 回復申請後の拒絶決定に対しては,当該決定の通知の受領から60日以内に審判高等弁務局に審判請求することができる。
(6) 回復された実用新案は,本付属文書に関連した施行規則で定められた様式で機関によって公開されなければならない。
(7) 実用新案登録出願が国際条約により設定される期限内に提出されなかった場合,本条 (1)から(6)までを適用する。
第2節 無効又は権利失効を求める訴訟
第52条 訴訟の開始
(1) 無効又は権利失効を求める訴訟は,利害関係を有す者は何人も提起することができる。
(2) 実用新案の無効又は権利失効を求めるあらゆる訴訟において,公訴官は仲裁者となり,当該実用新案の絶対無効又は権利失効の宣言を求める意見を述べることができる。
(3) 公訴官は,第49条(1)に規定された場合,無効を求める本訴を直接提訴することさえできる。
(4) 前項に規定された場合,その行為が第32条に基づいて機関の実用新案専用登録簿に登録されている実用新案登録証の権利所有者すべては,その手続の当事者となることができる。
第53条 管轄権
(1) 上記第52条で言及される訴訟及び実用新案権に関するあらゆる係争は,国内管轄裁判所に提起される。
(2) 訴訟が実用新案権者及び当該実用新案の1名以上の限定実施権者に対し同時に提訴された場合,当該訴訟は,当該実用新案権者の設定した又は選択された住居地に所在する裁判所に提起される。
(3) 争点は,略式手続に関して規定された方式で審理され,判断される。必要に応じて,これは公訴官に送達される。
第54条 無効又は権利失効に関する司法判断の登録
実用新案の無効又は権利失効が既判力を有する判決により宣言されている場合,裁判所は,それを機関に通知し,ある加盟国の領域で宣言された無効又は権利失効は,付与された実用新案に関する第29条に指定された様式で実用新案専用登録簿に登録され,公開される。
第7章 侵害,法的手続及び罰則
第55条 侵害
(1) 侵害の違反行為は,本付属文書の第5条に定められているように,特に,物品の製造,実用新案の主題を形成する手段の使用,盗品の販売若しくは複数の対象についての,販売又は販売目的での提供又は当該加盟国の領域内への導入は,登録実用新案の所有者の権利の侵害である。
(2) 侵害に対し,加害者は民事及び刑事責任を負う。
(3) 実用新案権者による申請時に又は実施権者が実用新案権者に対し法的手続を講じることを求めておりかつ実用新案権者がその行為を辞退又は無視している場合には実施権者による申請時に,国内管轄裁判所は,侵害を停止させるため又は付属文書8で想定される急迫な侵害若しくは不正競争行為の委託を阻止するための差止命令を発することができ,かつ,国内法に定められた損害賠償及びその他の賠償を与えることができる。実用新案権者は,上記 (3)に従って実施権者によって講じられる手続の当事者であり得る。実施権者は,当該実用新案権者が蒙る侵害に対する賠償を求めるために,実用新案権者によって講じられる手続の当事者となり得る。
第56条 登録前の行為
実用新案の登録前に行われた行為は,当該実用新案権を損なうものとはみなされないものとし,民事法上も有罪判決を正当とするために援用してはならない。ただし,当該実用新案登録出願に添付された明細書の正式な写しを,侵害者と主張されている者へ送達した後の行為は例外とする。
第57条 侵害の防止
(1) 侵害に対する訴訟を提起する権限を与えられた何人も,必要な場合は,国内管轄裁判所に対して,金銭的強制下で,侵害者と主張されている者又は当該侵害者が役務を利用している仲介人に対する命令であって,権原において付与された権利の急迫な侵害を防止すること又は主張されている侵害の継続を防止することを意図した任意の措置を講じる命令を求める緊急な申請をなすことができる。
(2) 国内管轄裁判所は,当該措置が当事者間で講じられるべきでないことを状況が要件としている場合,特に,遅延が,申請人に取り返しのつかない程の不利益をもたらす可能性がある場合に,申請についてあらゆる緊急措置を命令することができる。緊急又は査定系の申請の受領時に,裁判所は,申請人に合理的に入手可能な証拠が,申請人の権利が侵害されている又はそのような侵害が急迫している可能性を高める場合にのみ,求められた措置を命令することができる。
(3) 国内管轄裁判所は,主張されている侵害行為の継続を禁止し,必要に応じて,申請人に対する賠償を確保することを意図した保証の条件を当該行為に付すことができる。また,国内管轄裁判所は,権原により付与された権利の侵害の疑いがある商品の商業的ルートにおける導入若しくは流通を防止するために,当該物品の差押若しくは第三者への移転を命令することができる。
(4) 緊急又は査定系の申請の受領時に,裁判所は,侵害に対する手続が根拠なしと後日に認
定される場合又は措置が取り消される場合には,被告人に補償する目的で,申請人による担保の提供を条件として命令する措置をなすことができる。
(5) 権利侵害を停止するために講じられる措置が,本案について訴訟が提起される前に命令される場合には,申請人は,その措置が実施される日の翌日から10日以内に,民事裁判所又は刑事裁判所の何れかに対して訴訟を提起しなければならない。さもなければ,自身の申請について理由を提示することを要求されない被告人の申請により,命令された措置は,取り消される。ただし,可能性のある損害賠償請求を妨げない。
第58条 侵害に対する差押
(1) 実用新案権者又は排他的ライセンスの実施権者は,訴訟が提訴される国内管轄裁判所から命令を取得する過程で,必要なら専門家の援助を受けて,執行官,公務員又は税関職員を含む行政官に,侵害として請求された物の詳細な物品目録及び説明書を,差押の有無に関わりなく作成させることができる。
(2) 命令は,願書及び登録実用新案証明書の提示時に行われる。
(3) 差押がなされる場合は,命令により,申請人に対し保証金の提供を命じることができ,当該申請人は,差押が実施される前にその保証金を差し入れなければならない。当該保証金は十分な額とするが,当該手続に訴える妨げとなる程の額とならないものとする。
(4) 保証金は,差押を求める外国人には常に要求される。
(5) 記述された又は差し押さえられた物を所有する者には,命令の写し,それが適切な場合
,保証金の寄託を証する書類を与える。ただし,違反すれば,事情に応じて当該命令は無効とされ,執行官,公務員,行政官又は税関職員に対し損害賠償が課される。
第59条 実体的手続開始の期限
申請人が,差押又は物品目録作成から10日以内に刑事訴訟又は刑法の下で訴訟を提起しなかった場合,当該差押又は物品目録は当然に無効となるものとする。ただし,損害請求権の行使は妨げられない。
第60条 情報調査
(1) 請求があれば,国内管轄裁判所は,必要な場合には,金銭的強制下に,申請人の権利を侵害する侵害品又は侵害方法の出所及び流通経路を判断する目的のために,被告人,侵害品を所持していることが判明した者,侵害方法を適用していることが判明した者,侵害において使用されている役務を提供していることが判明した者,若しくは,当該物品の生産,製造又は流通,当該方法の適用又は当該役務の提供に関与していると報告された者によって保持されたあらゆる文書又は情報の開示を命令することができる。
(2) 書類又は情報の開示は,正当な障害が存在しない場合に,命令することができる。
(3) 求められる書類又は情報は,以下に関するものとする。
(a) 生産者,製造業者,流通業者,供給者及び物品,方法又は役務を以前に所有していたその他の者並びに卸売業者及び小売業者の名称並びに住所,及び
(b) 物品,方法及び役務が,生産,販売,配送,受領又は注文された量並びに販売された価格
第61条 損害の判断
事件が付託された裁判所は,侵害された当事者が被った収益の損失を含む財務上の悪影響,侵害者による利益及び違反の結果として権原保有者に生じた道徳的損害を考慮して,損害額を算定する。
第62条 国境措置
(1) 税関当局は,何人かの書面による申請であって自身の権利を証明によって裏付けられた申請に応じて,管理を行う際に侵害の疑義ある商品を留置することができる。
(2) 公訴官,申請人及び商品の輸入業者は,かかる留置について税関当局から速やかに通知される。
(3) 留置措置は,申請人が税関当局に対して以下の証明を提供しなかった場合には,法律上
,商品の留置の通知から10就業日以内に解除される。
(a) 暫定措置,又は
(b) 民事事件又は刑事事件の何れかに係る国内管轄裁判所への自身の申請及び,該当する場合は,主張されている侵害が存在すると最終的に認定されないときに,自身が負う可能性のある責任を担保するために必須な保証を自身により提供すること
(4) 前項で言及されている法的行為をなす目的のために,申請人は,税関職員が順守すべき守秘義務を管理する規定に拘らず,留置された物品の分量とともに,当該商品の送付者,輸入業者及び対象の受取人の名称及び住所に関する税関当局による通知を請求することができる。
(5) 上記(3)に記述される10日の期限の満了時に,物品の自由な移動を中断する決定が司法機関又は独立した当局によってなされていない場合には,商品の保有者,輸入業者又は対象の受取人は,保証金の納付時に,留置命令を中断させることができる。
(6) 税関当局は,物品が実用新案権者の権利を侵害することの一応の証拠を有する場合には
,当該商品を留置することを自発的に決定できる。税関当局は,いつでも,権利の所有者に対して,当該当局の権限行使に役立つ可能性のある如何なる情報も請求することができる。
(7) 権利の所有者,輸入業者又は輸出業者には,当該留置について速やかに通知される。
(8) 税関当局は,善意で行為する場合を除き,不当に留置した場合に責任を負う可能性がある。
(9) 上記(3)に記述される10日の期限の満了時に,商品の自由な移動を中断する決定が司法機関又は独立した当局によってなされない場合には,商品の所有者,輸入業者又は当該商品の受取人は,保証金の納付時に,留置命令を中断させることができる。
第63条 侵害に対する罰則
侵害犯罪は,1年から3年までの懲役及び3,000,000 CFAフランから15,000,000 CFAフランまでの罰金又はそれらの罰則の一方のみが科せられる。ただし,民事損害賠償は妨げられないものとする。
第64条 加重する状況
(1) 累犯の場合,第63条で定められた罰則は2倍にすることができる。
(2) それに先立つ2年以内に,被告人が本付属文書に規定された違法行為の何れかについて
最初の有罪判決を受けていた場合,累犯が起こったと認める。
(3) 侵害した者が実用新案の所有者の作業場若しくは営業所で就労した作業者又は従業者である場合又は侵害した者が当該実用新案の所有者の作業者若しくは従業者に関連していたためにその作業者若しくは従業者を介して登録実用新案に記載された方法を知得した場合,上記第63条に規定された罰則は2倍とする。
(4) 後者の場合,当該作業者又は従業者は,共犯者として訴追されることがある。
第65条 情状酌量
情状酌量に関する加盟国の国内法の規定は,本付属文書に規定された違反行為に適用される
。
第66条 刑事手続の開始
上記処罰を求める刑事訴訟は,公訴官及び被害者によって,同時に提訴される場合がある。
第67条 異議申立を裁定する刑事裁判所の権限
侵害事件が付託された場合,刑事裁判所は,実用新案の無効若しくは失効又は実用新案の所有権に関連する事項の何れかに関して,被告人により提起された如何なる異議申立も裁定する。
第68条 追加の罰則
(1) 侵害で有罪判決の受けた者は,侵害であることが判明した対象,侵害を犯すための使用又はそれらを意図した対象を,その者の費用で流通経路から取り下げることをさらに命じられる場合がある。
(2) 国内管轄裁判所は,損害賠償を妨げることなく,被告人の費用で侵害品の破壊を命じることができる。
(3) 裁判所は,規定に従って,判決を公表するための適切な措置,特に,当該裁判所が指定する新聞又はオンライン公共通信サービスでの投稿又は公表を,全体として又は抜粋として
,規定に従って,命令することもできる。上記(2)に定められた措置は,無罪の場合であっても,講じることができる。
(4) 本条に定められた措置は,侵害者の費用負担で行う。
第69条 無断利用
標識,通知,趣意書,貼り札,標章又は印章の手段によって,本協定及び本協定に基づく施行規則に従って付与される実用新案登録証を保持することなく,当該実用新案の所有者の身分を装う者は,賠償金に対する権利を損なうことなく,1,000,000 CFAフラン以上3,000,000 CFAフラン以下の罰金に処する。ただし,別途,損害賠償請求権を行使することができる。累犯の場合は,罰金は2倍とする。
第70条 期限
本章に基づいて定められた民事及び刑事訴訟は,当該訴訟を引き起こした行為から3年までを有効期限とする。
第8章 経過規定及び最終規定
第71条 既得権
(1) 本付属文書は,1999年2月24日のバンギ協定付属文書2に基づき取得された権利であることを条件に,その発効日から提出された実用新案出願に適用される。
(2) 本付属文書の発効日前に提出された実用新案出願は,当該出願の出願日に適用されていた規定の適用を引き続き受ける。
(3) 上記(2)で言及される規定に基づいて付与された実用新案登録に由来する権利の行使は
,本付属文書の発効日から本付属文書の規定の適用を受ける。ただし,既得権は留保される
。
(4) 1999年2月24日のバンギ協定の付属文書2は,廃止される。
付属文書 3 商標及び役務商標
第1章 総則
第1条 商標の任意選択性
商標又は役務商標は任意選択とする。ただし,加盟国は,自ら指定する商品又は役務に関して,例外的にその選択が強制的なものであることを宣言できる。
第2条 商標と認める標識
(1) 使用され又は使用を意図され,かつ,自然人又は法人の商品又は役務を識別可能とする可視的又は聴覚的な標識は,商標又は役務商標とみなされる。特に,以下のものにより構成される。
(a) 語句,語句の組み合わせ,それ自体又は識別力を有する形態の氏;特別な,恣意的な又は架空の称号;文字,略語及び数字;
(b) 図案,ラベル,印章,飾り模様,浮彫,ホログラム,ロゴ,合成画像のような図形標識;形状,特に商品若しくは商品の包装又は役務の特性を示す形状及び色彩の配置,組み合わせ若しくは濃淡;
(c) 音声及び音楽の聴覚的標識
(d) 視聴覚的標識
(e) 連続標識
(2) 使用条件が権限ある当局により承認された規則で定められていること及び公的に承認されておりかつ法人格を備えている,公営企業,組合若しくは組合の団体,協会又は生産者,製造業者,職人若しくは商人の団体によって使用されていること,を条件とする商標又は役務商標は団体商標とみなす。
(3) 団体商標は,その規則で指定された特性,品質又は本質的にその特徴を有する商品又は役務に適用される。
第3条 登録の対象とならない標x
xに掲げる場合,標章は有効に登録できない。
(a) その標章が識別力を欠く場合,特に商品又はその成分に必須又は由来する称呼を構成する標識又は内容からなる場合;
(b) その標章が別の所有者に属しかつ登録された標章と同一である場合と,その出願日又は優先日が先行しかつ同一若しくは類似の商品又は役務に係る標章と同一である場合又は当該標章が別の標章に非常に類似しており誤認又は混同を生じやすい場合
(c) その標章が公の秩序,善良の風俗又は法律に反する場合
(d) その標章が,とりわけ当該商品又は役務の地理的出所,性質又は特徴に関して公衆又は産業界を誤解させやすい場合
(e) その標章が,国家又は国際条約によって設立された政府間組織による統治及び保証を示す紋章,旗,その他の記章,略称,頭文字,公式標識又は優良品質表示を複製し,侵害し又は組み入れている場合。ただし,当該国又は組織の権限ある当局がその許可を与えた場合はこの限りでない。
第4条 商標権
(1) 後記する諸規定に従って,商標権は,それを最初に出願した者に属する。商標は共同で所有することができる。
(2) 何人も,第9条に定められた要件に従って登録商標出願していなければ,本付属文書の規定で指定された行為を行うことによって当該商標の排他的所有権を主張できない。
第5条 周知商標
工業所有権の保護に関するパリ条約第6条の2及び知的所有権の貿易関連の側面に関する協定 (TRIPS)第16条(2)及び(3)の意味における周知商標の所有者は,自己の商標と混同を生じさせやすい商標の出願の効果の無効を,何れかの加盟国の領域において裁判所に対して申請することができる。対象となる出願が善意でなされている限り,かかる措置は,その出願日から5年を超えて講じることはできない。
第6条 登録により付与される権利
(1) 商標登録は,その商標権者が指定する商品又は役務に対する当該標識の所有権を付与する。
(2) 商標権者の許可がない限り,以下の事項は禁止される。
(a) 「公式,方式,システム,複製,型式,形式」の如き語句を追加したとしても,標章を複製,使用又は貼付する行為を,指定した商品又は役務に対して行うこと;
(b) 適切に添付された標章の隠蔽又は部分的な変更;
(3) 商標権者の許可がない限り,公衆の認識に混同を惹起する可能性がある以下は禁止される。
(a) 登録で指定されたものと類似する商品又は役務に対して,標章を複製,使用又は貼付する行為;
(b) 登録で指定されたものと同一又は類似する商品又は役務に対して,標章の模倣及び模倣された標章の使用。
第7条 権利の制限
(1) 商標登録は,第三者が善意に,その名称又は住所,筆名,地理的名称又はその商品若しくは役務の性質,量,質,目的,価値,原産地,生産又は提供日時に係る正確な情報の使用を禁ずる権利を商標権者に付与しない。ただし,使用それ自体が単なる識別又は情報目的によるもの限られ,かつ当該商品又は役務の出所に関して公衆に誤解させない場合に限る。
(2) 商標登録は,商品が完全に変更されない限り,加盟国又は第三国の領域において,その商標の下で合法的に販売された商品を第三者がその商標で使用することを禁ずる権利は,当該商標権者に付与されない。
第8条 商標の共有
別段の定めがない限り,商標の共有には,以下の規定を適用する。
(a) 各共有者は,商標を個人的に使用しない又はライセンスを付与していない他の共有者に対してxxな補償をなすことを条件,自身の利益のために商標を利用することができる。円満な合意に至らない場合,当該補償は,国内管轄裁判所によって定められる。
(b) 各共有者は,自身の排他的利益のために,侵害に係る手続を講じることができる。当該手続を講じる共有者は,その行為について,他の共有者へ通知するものとする。当該行為に関する如何なる裁定も,当該通知の証拠が提供されるまで,中断される。
(c) 各共有者は,ライセンスを付与していない他の共有者に対してxxな補償をなす場合には,自身の利益のために,第三者に対して非排他的なライセンスを付与することができる。円満な合意に至らない場合,当該補償は,国内管轄裁判所によって定められる。ただし,ライセンス合意の草案は,特定の価格で持分を譲渡する申出とともに,他の共有者へ通知される。当該通知から3月以内に,共有者の何人も,ライセンス付与を希望する者の持分を取得することを条件に,ライセンス付与に異論を申し立てることができる。定められた期限内に合意に至らない場合,対価は国内管轄裁判所によって定められる。当事者らは,第1審又は控訴審の何れかにおける判決の通知から1月内に,可能性のある損害を負担することなくライセンス付与又は共有される持分の購入を放棄するものとする。費用は,放棄する当事者が負担する。
(d) 排他的ライセンスは,すべての共有者の合意でもって又は国内管轄裁判所の許可によってのみ,付与することができる。
(e) 各共有者は,いつでも,自身の持分を譲渡することができる。共有者は,譲渡の意向の通知から3月以内に最初の拒絶を行う権利を有する。対価に関して合意に至らない場合,当該対価は,国内管轄裁判所によって定められる。当事者らは,司法判断又は控訴における決定の通知から3月内に,可能性のある損害を負担することなく共有される持分の販売若しくは購入を放棄するものとする。費用は,放棄する当事者が負担する。
(f) 商標の共有者は,他の共有者に対して,その者らの利益のために,自身の持分を放棄する旨を通知することができる。商標及び役務商標専用登録簿への当該放棄の記入又は機関への当該通知からその効力は生じ,当該共有者は,別段の合意がなされていない限り,他の共有者に関するすべての義務から免れ,当該共有権については,他の共有者のそれぞれの持分に比例して放棄された持分を分配する。
第2章 出願,登録及び公開
第9条 願書の提出
(1) 登録出願は,本協定第8条,本付属文書及び施行規則に定められた手順に従って,機関又は知的所有権を担当する国家管理部に提出される。
(2) 願書には以下が含まれていなければならない。
(a) 機関の長官にあてた願書
(b) 必要な料金の機関への納付を証明する書類
(c) 標章の複製;ニース協定に定められた商標登録を目的として,指定商品又は役務はその国際分類に対応した明確かつ十分な一覧を含む
(d) 団体商標又は認証商標の場合,使用条件を規定した規則
(e) 必要があれば,優先権証明書
(f) 出願人が代理人により代理されている場合,印紙を貼っていない個人委任状
第10条 登録の範囲
商標は,商標登録のための商品及び役務の国際分類に関するニース協定が定める商品及び/又は役務を1又は複数について登録する。
第11条 出願受理書及び当該書類の送達
(1) 機関又は知的所有権を所管する官庁によって作成された受理書は,各出願を記載し,その書類の提出日及び時刻を明記する。
(2) 受理書の写しは出願人に交付される。
(3) 知的所有権を所管する官庁は,出願日から5就業日以内に当該書類を機関に送達する。
第12条 優先権主張
(1) 先行出願の優先権を利用しようとする者は,当該出願の出願日から6月以内に登録出願をしなければならない。
(2) 出願人は次に掲げるものを出願に添付又は当該出願の出願日から3月以内に機関に提出しなければならない。
(a) 先行出願の出願日,出願番号,出願国及び出願人の名称を記載した宣言書
(b) 先行出願のxxの謄本
(3) 単一の出願に関して,2つ以上の優先権を利用しようとする出願人は,各優先権に関して,上記規定を遵守しなければならない。当該出願人は,主張する各優先権ごとに料金を納付し,上記(2)にいう3月の期間内に当該料金納付の証拠を提出するものとする。
(4) 如何なる優先権主張も優先権の書類も,出願日の3月を超えて機関に提出された場合は
,その優先権を喪失する。
(5) ただし,上記(4)に規定する優先権は,回復することがある。
(6) 回復を却下する決定に対しては,審判高等弁務局に審判請求することができる。
第13条 受理及び出願日の要件
機関は,所定の様式に記載された登録出願が受理された日を出願日として認める。ただし,
受理の時点で,当該出願が次に掲げる事項を含むことを条件とする。
(a) 出願人の身元を証明するための情報
(b) 求める商標登録の基礎となる表現又は明示的な情報
(c) 標章の複製及び指定する商品又は役務
(d) 出願手数料の納付に係る情報
(e) 代理人が指名されている場合,その事実,当該代理人の氏名及び住所
第14条 出願の公開
機関は,各々の商標出願について,以下の情報を公開する。
(a) 出願番号
(b) 出願日
(c) 標章の複製
(d) 商標が指定する商品又は役務及びそれらの分類
(e) 出願人の社名,氏,名及び住所
(f) 優先権があれば,当該1又は複数の優先権の表示
(g) 該当する場合は,代理人の名称及び住所
第15条 異議申立
(1) 上記第14条に言及されている出願の公開から3月以内に,何人も,異議申立の理由を記載した異議申立書を機関に送付することにより,商標登録に対して異議申立することができる。異議申立の理由は,本付属文書の第2条及び第3条の規定違反又は異議申立人に属するより先に登録された権利に基づくものでなければならない。異議申立は,より早い出願又はより早い優先日を享受する出願に基づく場合もある。
(2) 機関は,出願人又はその代理人に,異議申立書の写しを送達し,出願人又はその代理人は,申請につき1度更新可能な3月以内に,理由を付した答弁を提出することができる。答弁は,異議申立人又はその代理人に対し送達される。
(3) 異議申立を裁定する前に,機関は,請求に応じて,当事者又はそれらの代理人を聴聞する。
(4) 異議申立に関する機関の裁定に対しては,当事者への裁定の通知から60日以内に,審判高等弁務局に審判請求することができる。
(5) 異議申立に関し,十分な根拠がある場合のみ,機関は,登録出願を拒絶する。
(6) 拒絶に関する最終決定は機関が公報に掲載する。
第16条 機関に対する所有権の申立
(1) 出願時に他人が商標を使用していることを知っていた又は知っているはずの者が当該商標を出願した場合,当該他者は,機関に当該商標の所有権主張を申し立てることができる。ただし,最初の出願の記録が公開されてから3月以内に,申し立てなければならない。
(2) 機関は,出願人又はその代理人に,所有権主張の申立書の写しを送達するものとし,出願人又はその代理人は,申立につき1度更新可能な3月以内に,理由を付した答弁を提出することができる。当該答弁は,申立人又はその代理人に対し送達される。
(3) 所有権主張を裁定する前に,機関は,申立に応じて,当事者又はそれらの代理人を聴聞
する。
(4) 所有権主張に関する機関の裁定に対しては,当事者らへの裁定の通知から60日以内に,審判高等弁務局に審判請求することができる。
(5) 機関は,前述の主張が十分な根拠があるものである場合に限り,出願を移転する。
(6) 出願の移転に関する最終決定は,機関の商標及び役務商標専用登録簿に記録される。
第17条 出願の分割
(1) 複数の商品又は役務に関する如何なる当初商標出願も,出願人によって又は当該出願人の請求に応じて,以下の時期に,分割出願と呼称される複数の出願に分割することができる
。
(a) 少なくとも,商標登録の決定まで
(b) 異議申立又は商標の所有権主張の手続中,又は
(c) 異議申立又は所有権主張についての裁定に関する審判請求過程中
(2) 当初出願の分割は,当該出願によって指定された商品及び役務の一覧のみに関連することができる。
(3) 分割出願は,最初の出願の出願日を保持し,かつ,該当する場合は,優先権の利益を保持する。
(4) 手数料は,すべての分割出願に対して納付する。
第18条 商標の審査及び登録
(1) 登録商標出願すべてにつき,機関は,本付属文書第9条に定める様式の要件を満たしていること及び所定の手数料が納付されていることを審査する。
(2) 第3条(a),(c),(d)及び(e)の規定に適合しない出願は,拒絶される。
(3) 第9条(ただし,(1)(b)を除く。)及び第12条に定める様式の要件が遵守されていない出願は,要件が不備である。当該不備は出願人又はその代理人に通知され,出願人又はその代理人は,通知日から3月の期間内に書類を補正するように求められる。必要性が認められる場合,出願人又はその代理人の請求によって,その期間は30日まで延長することができる。かかる当該期間内に補正された出願は,当初の出願日を保持するものとする。
(4) 補正された書類が許可された期間内に提出されなければ,登録商標出願は拒絶される。
(5) 拒絶は機関の長官によって宣言される。
(6) 如何なる出願も,所定の手続及び様式に従って,そしてその範囲内で当該出願を補正する機会を出願人又はその代理人に与えることなく本条(2),(4)及び(5)に基づいて拒絶されることはない。
(7) 機関は上記(1)で言及される要件が満たされていると認める場合,商標を登録し,その登録を公開しなければならない。
(8) 前項の規定に拘らず,出願に含まれる明らかな事務上の不備を機関が職権で是正することができる。
(9) 法定の登録日は出願日とする。
第19条 出願拒絶に対する審判
出願が機関により拒絶された場合,出願人は拒絶査定の通知から60日以内に審判高等弁務局
に審判請求することができる。
第20条 登録証の発行
登録がなされると,xxに掲げる情報を記載した証書が,商標権者に発行される。
(a) 商標登録番号
(b) 登録出願番号
(c) 登録商標出願の出願日
(d) 標章の複製
(e) 登録に係る商品及び役務の分類に関する記載
(f) 商標が指定する商品又は役務
(g) 商標権者の社名又は氏,名及び住所
(h) 優先権が主張されている場合は優先日
第21条 登録の公告
(1) 機関は,発行されたすべての登録証について,上記第20条に定められた内容を公開する
。これらの内容は,商標及び役務商標専用登録簿に記入されなければならない。
(2) 施行規則は,公告の手続を定め,決定する。
第22条 権利の存続期間
商標登録は,出願日から10年のみ有効とする。ただし,商標権は10年ごとに可能な継続登録を更新することによって無期限に保護できる。
第23条 商標及び役務商標専用登録簿に含まれる情報の利用
何人も,登録出願の公開又は標章登録の公告の後であれば,所定の料金を納付し,書面による申請をすれば,商標及び役務商標専用登録簿から情報,抜粋又はそれらの写し入手することができる。
第24条 商標登録の更新
(1) 上記第22条に規定する登録の更新は,商標権者が10年間の最終年に施行規則の定める更新料を支払い,それを申請することにより保証される。
(2) それが行われなければ,その年の施行規則により定められる追加料金を加えて納付することを条件に,その年の経過後に当該更新料を納付するための6月の猶予期間が認められる
。
(3) 商標の標章及び当該商標が指定する商品又は役務の対象を変更することは許されない。ただし,当該対象を減縮する商標権者の権利は留保される。
(4) 商標登録の更新には,その商標の新たな審査を要しない。
(5) 機関は,商標及び役務商標専用登録簿に更新を登録し,本付属文書で定められた方式でそれを公開し,必要な場合,当該商品又は役務の何らかの制限について言及する。
(6) 登録が更新されなかった商標は,登録期間又は更新期間が満了してから3年が経過するまでは,同一又は類似の商品又は役務に関し,第三者の利益のために登録することは許されない。
第3章 国際出願
第25条 商標の国際保護
(1) 商標登録出願が機関へ提出される場合又は当該出願が登録される場合,加盟国の国民又は加盟国内に居所若しくは現実に有効な工業的若しくは商業的組織を有する出願人若しくは商標権者は,1989年6月27日に採択され,かつ,2006年10月3日及び2007年11月12日に改正された商標の国際登録に関するマドリッド協定議定書の締約国の領域において当該商標の保護を確保することができる。
(2) マドリッド協定議定書の手続は,施行規則によって定められる。
第4章 放棄,取消,無効及び回復
第26条 放棄
(1) 登録後何時でも,商標権者は,登録商標が指定した商品又は役務の全部又は一部のみの登録を放棄することができる。
(2) 放棄は配達証明書付の書留郵便で機関に通知され,機関はそれを商標専用登記簿に記入し,公告する。
(3) ライセンスが商標及び役務商標専用登録簿に登録された場合,放棄は実施権者が放棄に同意した宣言書の提出を受けてのみ登録される。ただし,当該実施権者がライセンス契約においてその権利を明示的に放棄しているときは,この限りでない。
第27条 取消
(1) 任意の者による請求に応じて,国内管轄裁判所は,以下に係る権利失効を確認して,登録商標の取消を命ずることができる。
(a) 請求前の5年間,少なくとも1つの加盟国の領域内における継続的な使用について,当該商標の正当な所有者が有効な根拠を提示しない場合
(b) 商標権者の行為により,商品及び役務の一般名称となった場合。
取消は,商標が登録された商品又は役務のすべて又は一部に適用できる。
(2) 商標権者は,当該商標の使用に関する証明の責務を負う。他人による商標の使用は,商標権者による承認を受けることを条件として,その商標の使用として認める。同様なことが
,その標章の識別力を有する特徴を変えないで変更された態様における当該商標の使用にも適用される。
(3) 取消を命令する決定が最終的なものである場合,その決定は機関へ通知され,機関は,当該決定を商標及び役務商標専用登録簿へ記入し,かつ,登録を削除する。
(4) 取消は,施行規則に定められた様式で公表される。かかる商標登録は,その時から効力がなくなったとみなされる。
第28条 無効
(1) 加盟国の国内領域への商標登録の効力の無効は,公訴官,利害関係人又は利害関係を有する専門家集団の請求により国内管轄裁判所によって宣言される。
(2) 上記で言及される利害関係人又は機関の請求によって,裁判所は,商標が本付属文書第 2条及び第3条の規定に適合しない又は先行商標権に抵触する場合には,商標登録の無効を宣言するものとする。後者の場合,無効は先行商標の商標権者の請求を受けてのみ宣言することができる。無効は,商標登録に係る商品又は役務のすべて又は一部のみに適用できる。
(3) 登録無効の宣言が確定すれば,最も早く行動する当事者により機関に通知され,期間が商標及び役務商標専用登録簿に記入し,その通知を公告する。
(4) 無効は,施行規則に定められた様式で公告される。無効となった登録は,その登録日から無効とみなされる。
第29条 回復
(1) 商標権者の責めに帰することができない事情によって当該登録商標により付与される保護が更新されなかった場合は,第28条の規定に拘らず,当該商標権者又はその被授権者は,必要とされる更新手数料及び規則によって決定される追加料金の納付を条件に,前記事情が解消された日から6月以内で,かつ更新の満期日から遅くとも2年以内に,当該商標の回復を申請できる。
(2) 上記の商標回復申請は,上記(1)で言及される手数料及び追加料金の納付を証明する書類を添付して機関に送達されるものとし,かつ,当該申請には,当該保有者又は被授権者が回復を正当なものであるとみなす根拠を述べた陳述書を含まなければならない。
(3) 機関は上記で言及される根拠を審査し,当該根拠を正当なものとみなす場合は当該商標を回復させ,みなさない場合はその申請を却下する。
(4) 回復によって,当該商標の最大存続期間は,延長されない。
(5) 回復された商標は,施行規則で定められた様式で機関によって公告される。
(6) 回復申請に続く拒絶決定に対して,当該決定の通知から30日以内に審判高等弁務局に審判請求することができる。
(7) 本条(1)から(6)までは,商標登録出願が国際条約により設定される期限内に提出されなかった場合に適用される。
第5章 商標権及びライセンス契約のライセンスの移転及び譲渡
第30条 権利の移転
(1) 商標権は,その全部又は一部を移転することができる。
(2) 商標権の移転,ライセンス若しくはライセンスの譲渡又は商標に関する質権若しくは質権の取消を伴う行為は書面によって証明しなければならず,違反する場合は無効とする。
(3) 商標権の移転,ライセンスは,商標に係る商品又は役務のすべて若しくは一部であってもよい。ライセンスされた効力のみは,何れかの加盟国の領域を限定することができる。
第31条 第三者に対する行使
(1) 第30条で言及される行為は,これらが機関により維持される商標及び役務商標専用登録簿に登録されていなければ第三者に対して行使できない。
(2) 施行規則によって設定される条件に従って,機関は,商標及び役務商標専用登録簿への登録内容の写し若しくは質権の対象となっている商標に関する登録内容の記録又はそうした登録内容が存在しないことを証する証明書及び当該商標の元の見本に関する情報を複製した同一性証明書を,かかる請求を行う何人に対しても発行する。
第32条 ライセンス契約
(1) 商標権者は,契約により,自然人法人を問わず,他人に対し,その標章が登録されている商品又は役務の全部又は一部に関し当該商標の使用を許可するライセンスを付与できる。
(2) ライセンスの存続期間は,商標の登録期間を超えることは許されない。
(3) ライセンス契約は書面で作成され,当事者が署名をする。ただし,これに違反した場合は無効となる。
(4) ライセンス契約は,機関の商標及び役務商標専用登録簿に登録される。ライセンス契約は,本付属文書に関する施行規則に指定された様式で当該登録簿に登録され,公開されるまで第三者に対して行使できない。
(5) ライセンスは,商標権者又は使用権者の請求により,ライセンス契約の満了又は終了の証拠の提出を受けて登録簿から取り消される。
(6) ライセンス契約に別段の規定がない限り,ライセンスの付与によって,使用許諾者は,使用権者に通知することを条件にライセンスを他の者に与えること又は当該商標を自ら使用すること,を妨げられない。
(7) ライセンス契約に別段の規定がない限り,排他的ライセンスの付与によって,使用許諾者がライセンスを他の者に与えること及び当該商標を自ら使用することは認められない。
第33条 無効条項
(1) ライセンス契約の条項又はそうした契約に関する条項は,不正競争を構成する場合は無効とし,一般に,工業又は商業分野において,当該商標登録に付与された権利に由来しない又は当該権利を維持するために必要でない制限を使用権者に課す場合は無効とする。
(2) 次に掲げる事項は,上記(1)の制限を意味しない。
(a) 当該商標の使用の程度,範囲又は存続期間若しくは当該商標の使用に係る商品又は役務の質又は量に関する限定;
(b) 当該商標登録の有効性を害する蓋然性の高い行為を使用権者に禁ずる義務;
(3) ライセンス契約に別段の規定がない限り,ライセンスを第三者に譲渡できず,使用権者はサブライセンスを許諾する権限を有しない。
第34条 無効条項の認定
第30条で言及されている無効条項の認定は,利害関係人の請求によって国内管轄裁判所によってなされるものとする。
第6章 団体商標及び団体証明商標
第1節 共通規定
第35条 使用を管理する規則
(1) 使用を管理する規則は,団体商標及び団体証明商標に使用に関する条件を定めるものとする。
(2) 本付属文書に定められる保護は,使用を管理する規則が公の秩序又は善良の風俗に反する団体商標及び団体証明商標を包含しない。
(3) 機関は,規則の改正が公の秩序又は善良の風俗に反する場合には,当該改正の拒絶も行うことができる。
第36条 商標の性質の指定
商標は,特に,上記第9条(2)(a)に言及されている登録出願において及び上記第20条に言及されている登録証において,団体商標又は団体証明商標として指定されなければならない。
第37条 規則の改正
団体商標又は団体証明商標の保有者は,いつでも,商標を管理する規則に対してなされる変更について,機関へ書面で通知することができる。そのような変更の表示は,必要な手数料の納付時に,商標及び役務商標専用登録簿へ記入される。
第2節 団体商標
第38条 団体商標を受ける権利
公益のためかつ商業,工業,工芸及び農業の発展を促進するため,国家,株式会社,組合又は組合の団体並びに生産者,製造業者,職人及び商人の協会又は団体は,商品又は役務に係る団体商標を所有できる。ただし,それらは公的に承認されており,かつ法人格を備えているものとする。
第39条 団体商標の使用
団体商標は,商品又は取引される物に上記第 38 条に記載の団体により管理の手段として,直接又はこれら団体の成員により付される。事情のいかんに拘らず,この添付は関係団体の監督下で,かつ当該団体商標に適用される文書の規定に従ってなされる。
第 40 条 団体商標の防護
団体商標を保有する団体の成員は,本付属文書に規定された民事及び刑事手続を開始でき る。ただし,その団体が何ら措置を講じていないことを証明し,かつその団体に措置を講じるよう要請していることを条件とする。
第41条 団体商標の移転,無効及び権利失効
(1) 団体商標は,譲渡又は移転することは許されない。
(2) ただし,合併があった場合,知的所有権を所管する官庁は,当該合併によって生じた新たな団体に対するその商標の移転を承認することができる。
(3) 裁判所は,次に掲げる場合,団体商標の無効又は権利失効を宣言できる。
(a) 第38条に定義される当該商標の保有者が存在しなくなった場合
(b) その使用を管理する規則が公の秩序又は善良の風俗に反する場合
(c) 当該商標が本章の規定に定められた条件を満たさない場合,又は
(d) 上記(a)で言及される商標の保有者が,上記(b)で言及される規則に規定された以外の条件で故意に当該団体商標を使用し若しくはその使用を許可した場合
(4) 団体商標が無効又は権利失効を宣言された場合,当該商標は新たな登録によって同一の商品又は役務に利用することも,如何なる目的で使用することもできない。ただし,当該商標の無効又は権利失効を宣言した最終決定の日から10年が満了すれば,この商標は,第38条で定義された団体によってそのまま登録できる。その場合,後者が従前の保有者と同一国籍を有していることを条件とする。
(5) 登録が無効であると最終決定した場合,その決定は機関へ通知され,機関は,当該決定を商標及び役務商標専用登録簿へ記入し,かつ,その通知を公告する。
(6) 無効は,施行規則に定められた様式で公表される。かかる登録は,その時から効力がなくなったとみなされる。
第3節 団体証明商標
第42条 団体証明商標に対する権利
団体証明商標は,当該商標が関係する商品又は役務の製造業者,輸入業者又は販売業者の何れでもない者によって提出できる(できない)。
第43条 団体証明商標の利用
団体証明商標の利用は,保有者は別として,使用規定によって定められた条件に適合して商品又は役務を提供する何人にも公開される。
第44条 団体証明商標の移転を管理する条件
団体証明商標は,譲渡できず,また,質権として又はその他の執行手段のために使用することができない。それにも拘らず,国内管理部は,移転の受益者が商標の実施の実際の管理について責任を負う場合には,団体証明商標の登録の移転を認可することができる。移転は,商標及び役務商標専用登録簿へ記入され,公告される。
第45条 団体証明商標の移転,無効及び権利失効
(1) 国内管轄裁判所は,次に掲げる場合,団体証明商標の無効又は権利失効を宣言できる。
(a) 第42条に定義される当該商標の所有者が存在しなくなった場合
(b) その使用を管理する規則が公の秩序又は善良の風俗に反する場合
(c) 当該商標が本付属文書のこの部分の規定に定められた条件を満たさない場合,又は
(d) 上記(a)で言及される商標の所有者が,上記(b)で言及される規則に規定された以外の条件で故意に当該団体証明商標の使用を許可した場合。
(2) 無効又は権利失効が宣言された場合,如何なる取引相手先といえども,当該商標を同一の商品又は役務に預けたり使用することもできない。ただし,無効又は権利失効を宣言した最終決定の日から10日が満了すれば,この点に関して団体証明商標が登録される場合がある
。
(3) 登録が無効であると最終決定した場合,その決定は機関へ通知され,機関は,当該決定を商標及び役務商標専用登録簿へ記入し,かつ,その通知を公告する。
(4) 無効は,施行規則に定められた様式で公表される。かかる登録は,その時から効力がなくなる。
第7章 法的措置及び手続
第1節 共通規定
第 46 条 管轄裁判所
(1) 商標に係る民事訴訟は,国内管轄裁判所に提訴され,略式手続として裁かれる。
(2) 刑事裁判所は,被告人が請求した当該商標の無効,満了又は所有権に関する疑義について,判決を下す。
第47条 裁判所に対する所有権の主張
(1) 出願時に,ある者がその商標を優先して使用していることを知っていた又は知っていたはずの他人が,当該商標を登録した場合,その者は,当該商標の所有権を主張することができる。法的又は契約上の規定に違反して商標が取得された場合,被害者は国内管轄裁判所に当該商標の所有権を主張することができる。
(2) 商標移転の最終決定は,最初に行動を起こす当事者によって,機関へ通知される。機関は,その最終決定を商標及び役務商標専用登録簿へ記入し,かつ,その旨の通知を公開する
。機関は,当該決定を,名称が商標及び役務商標専用登録簿に出現するライセンスの如何なる受益者にも通知する。
第48条 商標登録前の行為
商標登録前に行われた行為は,商標に付随する権利を損なうものとはみなされない。ただし
,当該商標出願の願書の正式な写しを,侵害者と主張されている者へ送達した後の行為は,その行為を記録して提訴することができる。かかる場合,提訴を受理した国内管轄裁判所は登録が公示されるまでその判決を中断する。
第2節 民事及び刑事訴訟
第49条 侵害
(1) 第6条に定義されている商標権者の権利侵害は,侵害を構成する。侵害者は,その行為に対して民事及び刑事上の責任を負う。
(2) 侵害は,何らかの手段によって証明されなければならない。
第50条 侵害の防止
(1) 侵害に対する訴訟を提起する権限を与えられた何人も,必要な場合は,国内管轄裁判所に対して,金銭的強制下で,侵害者と主張されている者又は当該侵害者が役務を利用している仲介人に対する命令であって,権原において付与された権利の急迫な侵害を防止すること又は主張されている侵害の継続を防止することを意図した任意の措置を講じる命令を求める緊急な申請をなすことができる。
(2) 国内管轄裁判所は,当該措置が当事者間で講じられるべきでないことを状況が要件としている場合,特に,遅延が,申請人に取り返しのつかない程の不利益をもたらす可能性がある場合に,申請についてあらゆる緊急措置を命令することができる。緊急又は査定系の申請
の受領時に,裁判所は,申請人に合理的に入手可能な証拠により,申請人の権利が侵害されている又はそのような侵害が急迫している可能性を高める場合にのみ,求められた措置を命令することができる。
(3) 国内管轄裁判所は,主張されている侵害行為の継続を禁止し,必要に応じて,これら行為には申請人に対する賠償を確保することを意図した保証の条件を付すことができる。また
,国内管轄裁判所は,権原により付与された権利の侵害の疑いがある商品の商業的ルートにおける導入又は流通を防止するために,当該商品の差押若しくは第三者への移転を命令することができる。
(4) 緊急又は査定系の申請の受領時に,裁判所は,侵害に対する手続が根拠なしと後日に認定される場合又は措置が取り消される場合には,被告人に補償する目的で,申請人による担保の提供を条件として命令する措置をなすことができる。
(5) 権利侵害を停止するために講じられる措置が,本案について訴訟が提起される前に命令される場合には,申請人は,措置が実施される日の翌日から10就業日以内に,民事裁判所又は刑事裁判所の何れかに対して訴訟を提起しなければならない。さもなければ,自身の申請について理由を提示することを要求されない被告人の申請により,命令された措置は,取り消される。ただし,可能性のある損害賠償請求を妨げない。
第51条 侵害に対する差押
(1) 商標権者又は排他的ライセンスの使用権者は,サンプル採取の有無に拘らず,国境を含む何処でも,国内管轄裁判所の裁判長の命令に従い,本付属文書の規定に違反して自身の商標が付され,配達され,供給されたと主張する商品について,専門家によって支援されて,執行官,税関職員を含む公務員又は行政官に,自身の詳細な商品目録を作成することを要求することができる。
(2) 命令は,商標の願書及び登録証が提示された時に発せられる。侵害に対する差押は,申請及び特許の提示に基づいてなされた裁判所による命令に従い,該当する場合は,申請人により指定された1又は複数名のよって行使される。必要な場合は,税関当局は,命令された措置の実行について,申請人及び輸入業者へ速やかに通知する。
(3) 差押の根拠が存在する場合,上述の命令は,申請人に対して,差押が行使される前に申請人が提供しなければならない保証金を用意することを要求することができる。当該保証金は,申請人が自身で手続を利用することを妨げることのない程の適切なものとする。保証金は,差押を求める外国人には常に要求される。
(4) 記述された又は差し押さえられた物を所有する者には,命令の写し,それが適切な場合
,保証金の寄託を証する書類を与える。ただし,違反すれば,事情に応じて当該命令は無効とされ,執行官,公務員,行政官又は税関職員に対し損害賠償が課されるものとする。
第52条 本案手続開始の期限
申請人が,差押又は商品目録作成から10就業日以内に民事訴訟又は刑事訴訟を提起しなかった場合,当該差押又は商品目録は無効になる。ただし,損害賠償請求権の行使は妨げられない。
第53条 情報調査
(1) 請求された場合,国内管轄裁判所は,必要な場合,金銭的強制下で,申請人の権利を侵害する侵害した商品又は方法の出所及び流通経路を判断する目的のため,被告人,侵害品を所持していることが判明した者,侵害方法を適用していることが判明した者,侵害において使用されている役務を提供していることが判明した者,若しくは,当該商品の生産,製造又は流通,当該方法の適用又は当該役務の提供に関与していると報告された者によって保持されたあらゆる文書又は情報の開示を命令することができる。
(2) 書類又は情報の開示は,正当な障害が存在しない場合に,命令することができる。
第54条 損害の判断
事件が付託された裁判所は,侵害された当事者が被った収益の損失を含む財務上の悪影響,侵害者による利益及び違反の結果として権原保有者に生じた道徳的損害を考慮して,損害額を算定する。
第55条 その他の罰則
(1) 侵害の有罪判決が下された場合,国内管轄裁判所は,被害者の請求に応じて,侵害と認定された商品及び主に当該商品の作成又は製造に使用される材料並びに器具を,商流から取り下げられ,かかる流通から完全に除外され,破壊され又は没収されることを命令することができる。
(2) 国内管轄裁判所は,判決を公表するための適切な措置,特に,当該裁判所が指定する新聞又はオンライン公共通信サービスでの投稿又は公表を,全体又は抜粋として,規定に従って,命令することもできる。
(3) 上記(1)及び(2)に定められた措置は,侵害者の費用で命令される。
第56条 期限
本章に定められた侵害に係る民事訴訟は,主張された行為の日から5年までを有効期限とする。
第57条 登録商標の不法使用に対する罰則
(1)次に掲げる者は,5,000,000 CFAフラン以上30,000,000 CFAフラン以下の罰金及び3月以上2年以下の懲役に処する。
(a) 「様式(formula),仕様(manner),システム(system),模造(imitation),型式 (type),方法(method)」というような用語の付加を伴っていても,標章を不正に複製する者,登録において指定されたものと同一の商品又は役務について複製した標章を不正に使用する者;
(b) 侵害又は不正に付された標章を付した1つ又は複数の商品を故意に販売若しくは販売目的で提供した者若しくはそうした標章の下で商品又は役務を故意に販売,販売目的で提供,供給又は供給目的で提供する者
(c) 適正に貼付された標章を不正に削除又は変更する者;
(d) 適正に貼付された標章を世間の認識に混乱を招く可能性があるように不正に削除若しくは変更し,標章を複製,利用若しくは添付し又は登録において指定されたものと類
似する商品若しくは役務について複製した標章を利用する者。同条件において,標章を模倣し又は登録において指定されたものと同一の若しくは類似する商品若しくは役務について模倣した標章を利用する者;
(e) 商品の性質に関して買い手を誤解させる虞のある不正に模倣された標章又は情報を付した1つ又は複数の商品を故意に販売又は販売目的で提供する者若しくはそうした標章の下で商品又は役務を供給又は供給目的で提供する者
(f) 商標権者によって市販されていた商品であるが,その状態が後日に改変又は変更された商品に関して標章を不正に利用する者
(2) 次に掲げる者も,上記(1)に定められた罰則に科される。
(a) 登録商標として指定した以外の商品又は役務を故意に提供する者
(b) 商品の性質に関して需要者を誤解させる虞のある情報を付した標章を使用する者
第58条 強制商標及び禁止標識に関連した罰則
次に掲げる者は,5,000,000 CFAフラン以上10,000,000 CFAフラン以下の罰金及び15日以上6月以下の懲役又はこれら罰則の何れか一方のみに処する。
(a) 強制とする宣言がなされている標章を自己の商品に付していない者
(b) 当該種類の商品については強制とする宣言がなされている標章を付していない商品を販売又は販売目的で提供する者
(c) 本付属文書第1条の下でなされた決定の条件に違反する者
(d) 本付属文書の規定の下で禁止された標識を自己の商標に組み込んでいる者
第59条 非加重罰則
(1) 本付属文書第57条及び第58条で指定された罰則は,加重されない。
(2) 最も重い処罰のみが,訴追された最初の行為前のすべての行為に対して科される。
第60条 累犯の場合の罰則
(1) 累犯の場合は,第57条及び第58条に指定された罰則は2倍とする。
(2) 違反に先立つ5年以内に,違反者が本付属文書に指定された違反行為の何れかで有罪判決を受けている場合,累犯が起こったとみなす。
第61条 情状酌量
情状酌量に関する加盟国の国内法の規定は,本付属文書に規定された違反行為に適用される
。
第62条 選挙権のはく奪
(1) 違反者は,さらに10年を超えない期間,商工会議所及び農業会議所等の職業団体の選挙に参加する権利を剥奪することができる。
(2) 国内管轄裁判所は,有罪判決を受けた者による全額負担で,判決をその指定する場所に掲示し,かつ全部又は抜粋の形式で裁判所が指定する新聞に公表することを命じることができる。
第63条 模倣品の結末
(1) 国内管轄裁判所は,無罪の場合でも,第59条の規定に反すると認められる標章を付した商品の没収及び特に当該違反行為の実行に供された器具又は道具の没収も命じることができる。
(2) 国内管轄裁判所は,何れの場合でも,国内管轄裁判所は,第59条の規定に反すると認められる標章を付した商品の廃棄を命じることができる。
第64条 強制商標に係る他の措置
(1) 第58条に規定された場合,国内管轄裁判所は,強制とする宣言がなされている標章をその裁定の影響を受ける商品に付すよう常に命じる。
(2) それに先立つ5年以内に,被告人が第58条に規定された違反行為の何れかで有罪判決を受けている場合,裁判所は商品の没収を命じることができる。
第65条 団体商標又は団体証明商標に関連した罰則
(1) 本付属文書第57条,第58条,第60条,第62条,第63条及び第64条に規定された罰則は,商品又は役務に係る団体商標又は団体証明商標に適用される。
(2) さらに,次に掲げる者は,第57条に規定された罰則を科される。
(a) 第35条にいう使用規則で指定された以外の条件で団体商標を故意に使用した者
(b) 商品又は役務に係る標章に適用される規定に照らして不法に使用された団体商標を付した商品を販売又は販売を申し出る者
(c) 団体商標又は団体証明商標の無効日から10年以内に,その団体商標又は団体証明商標を複製又は模倣する標章を如何なる態様であれ故意に使用した者
(d) 団体商標又は団体証明商標の無効日から10年以内に,その団体商標又は団体証明商標を複製又は模倣する標章の下で商品又は役務を故意に販売,販売の申出,供給又は供給の申出をした者
第3節 国境措置
第66条 請求に応じた措置
(1) 税関当局は,商標権者又は排他的ライセンスの受益者の書面による申請に基づき,自身の権利を証明によって裏付けられた申請に応じて,管理を行う際に侵害の疑義ある商品を留置することができる。
(2) 公訴官,申請人及び商品の輸入業者は,税関当局によって,かかる留置について速やかに通知される。上記(2)に記載の情報を提供するにあたり,商品の種類及び実際の数量又は推定数量は,商標権者又は排他的ライセンスの受益者に通知される。
(3) 留置措置は,申請人が税関当局に以下についての証明を提供しなかった場合,商品の留置の通知から10就業日以内,生鮮商品の場合は3就業日以内に,法律上,解除される。
(a) 国内管轄裁判所に命じられた暫定措置,又は
(b) 民事事件又は刑事事件の何れかに係る国内管轄裁判所への自身の申請及び該当する場合は,主張されている侵害が存在するとは最終的に認定されないときに,自身が負う可能性のある責任を担保するために必須な保証の提供
(4) 上記(3)で言及されている法的行為をなす目的のために,申請人は,税関職員が順守すべき守秘義務を管理する規定に拘らず,留置された商品の分量とともに,当該商品の送付者
,輸入業者及び対象の受取人の名称及び住所に関する税関当局による通知を請求することができる。
(5) 上記(3)に記述される10日の期限の満了時に,商品の自由な移動を中断する決定が司法機関又は独立した当局によってなされていない場合には,商品の保有者,輸入業者又は対象の受取人は,保証金の納付時に,留置命令を中断させることができる。
第67条 職権行為
(1) 商標権者又は排他的ライセンスの受益者の書面による申請がない場合でも,税関当局は
,職権により,疑義のある商品を留置することができる。
(2) かかる留置は,商標権者又は排他的ライセンスの受益者に速やかに通知される。公訴官にも,その留置が通知される。
(3) 上記(2)の通知において,商品の種類及び実際の数量又は推定数量が,商標権者又は排他的ライセンスの受益者に通知される。
(4) 税関当局は,善意で行為する場合を除き,不当な留置の場合に責任を負う可能性がある
。
第8章 経過規定及び最終規定
第68条 商標の継続的有効性
1999年2月24日のバンギ協定に基づいて登録又は承認された本条により,1999年2月24日のバンギ協定及び同付属文書3に基づいて登録又は認定された商標は,本協定に規定された期間有効とする。
第69条 既得権
(1) 本付属文書は,その発効日以降に登録のため出願された商標に適用される。ただし, 1999年2月24日のバンギ協定付属文書3に基づき取得された権利は留保される。
(2) 本付属文書の発効日前にされた商標の登録出願は,当該出願の出願日に適用されていた規定の適用を引き続き受ける。
(3) ただし,上記(2)にいう規定に基づいて登録された商標に由来する権利の行使は,留保される既得権に従って,本付属文書の発効日から本付属文書の規定の適用を受ける。
(4) 1999年2月24日のバンギ協定の付属文書3は,廃止された。