本ガイドラインはじめ研修委託契約に係るガイドライン等は、以下 JICAホームページ(研修委託契約ガイドライン、契約書雛形、様式)をご参照ください。
研修委託契約における
ランプサム契約に係るガイドライン
2024 年 6 月版
独立行政法人国際協力機構ガバナンス・平和構築部
目次
本書の位置づけ
研修委託契約の実施にあたり必要な経費は、研修委託契約ガイドラインに記載のとおり、研修実施経費積上方式(以下「積上方式」という。)、又は研修実施基準単価方式(以下「基準単価方式」という。)のうち、いずれかの方式で積算します。
今般、積上方式を採用する研修委託契約を対象に、ランプサム(一括確定額請負型)契約(以下「ランプサム契約」という。)を導入することとしました。
なお、ランプサム契約の適用が難しい研修コースについては、従来どおり積上方式(実費精算)での契約としていただくことが可能です。
ランプサム契約にあたっても、経費積算等に係る基本的考え方は、以下リンク先に掲載している研修委託契約ガイドラインに沿うこととなりますが、本書では、主にランプサム契約の適用条件や手続き上の留意点等を解説します。
なお、本書に示すのは、現時点でのランプサム契約に係る考え方の目安であり、今後必要に応じて変更、更新の予定です。
本ガイドラインはじめ研修委託契約に係るガイドライン等は、以下 JICAホームページ(研修委託契約ガイドライン、契約書雛形、様式)をご参照ください。
「研修委託契約におけるランプサム契約に係るガイドライン」は、2024年 7 月 1 日以降に契約締結する研修コースでランプサム契約を採用したものから本格導入の扱いとします(それより前に契約締結するものは、試行として導入可能です)。
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第1章 ランプサム契約について
1.ランプサム契約の概要
研修委託契約におけるランプサム契約は、研修受託機関(以下「受託者」という。)による研修委託業務の履行期間内の実施及び完了に対して「契約金額」
(確定額)を支払う契約をいいます。
積上方式では、業務完了時に受託者が経費精算報告書を作成・提出し、JICA 国内機関がその内容を確認して精算金額を確定します。一方、ランプサム契約では、契約時に研修計画と見積書に基づき契約内訳、価格の妥当性等の精査を行いますが、精算時においては証拠書類に基づく精算手続きは行いません。
受託者に対して「契約」として研修業務を委託する場合において、契約時の契約金額の妥当性が確保できており、案件目標(アウトカム)達成に向けた単元目標
(アウトプット)や、単元目標達成のための活動(研修内容)の関係性や目標達成までの道筋が妥当であるという前提のもと、単元目標を達成するための業務が予定どおり実施されたことを確認(検査)することをもって、受託者へ契約金額を支払います。
2.ランプサム契約を導入する目的
ランプサム契約では、実費精算と比べて、研修委託業務の準備段階での契約内訳や価格の精査は生じるものの、精算手続きは簡素化されます。試行導入では、経費精算報告書の作成やその確認が不要になったことで、契約当事者双方の業務負荷を大きく軽減することができたとのフィードバックがありました。
ランプサム契約は、研修計画(目標設定から目標達成までの計画)をより重視する予算管理・事業実施監理であり、その導入目的は、契約当事者双方の業務負荷を軽減すること、そして、それにより創出した時間を、より質の高い研修の実 施・モニタリングなど内容面の充実に向けた取り組みに充てることとなります。
第2章 ランプサム契約について
1.ランプサム契約の対象案件
(1)対象とする契約
積上方式を採用する研修委託契約で、「確定払」が可能な契約
(複数年度契約を除く)
(2)適用対象コース
課題別・青年・国別研修で、以下①②③すべてを満たすコースに適用します。
① 案件目標(アウトカム)達成を目的とした単元目標(アウトプット)や、単元目標を達成するための活動(研修内容)の関係性のロジックが妥当であり、また、目標達成状況の確認方法を設定しているなど、目標達成への道筋や手だてが明確なコース
② 契約時点で研修内容が確定しており、過去の同じ又は類似の研修コースとの比較に基づき受託者が適正な見積価格を提示できること(以下例参照)
③ 受託者及び JICA 国内機関の双方がランプサム契約の目的、適用条件や対応事項を理解し、その適用について合意していること
(例)
・課題別研修の場合は 1 年目において積上方式にて研修委託契約を締結済みの、
2・3 年目のコース(研修構成に大幅な変更がない前提)
・更新初年度のコースでも、前タームと研修構成に大幅な変更がないコース
・研修期間が比較的短いなど経費確定が容易で経費が変動しにくいコース 等
2.ランプサム契約における受託者の対応事項
ランプサム契約を採用する場合、精算時に証拠書類の提出を求めません。
確定した研修内容と計画に基づき契約額を支払う方式のため、受託者は以下にご留意願います。
また、研修計画について、受託者と JICA 国内機関双方の認識に齟齬が生じないように、研修委託業務内容や研修コースの目標について、契約書等で可能な限り明確にしてください。
① 研修の目標達成に向けた活動や達成状況の確認方法が具体的に記された研修計画の策定
② 上記①に対応した適正な見積価格の計上
③ 研修計画・契約に基づく確実な業務履行・モニタリング、及び目標達成状況についてまとめた業務完了報告書の作成
第3章 ランプサム契約における契約手続き
1.契約
(1)「研修委託契約における見積書作成マニュアル」に沿って、見積額を積算してください1。提出いただいた見積書案に基づき、過年度の実績額等とも比較のうえ、契約金額の妥当性について、JICA 国内機関にて精査します。
(2)研修委託契約書本体の雛形修正が必要となります。ランプサム契約用の雛形はJICA 国内機関より共有します。
(3)ランプサム契約用の研修委託契約書附属書Ⅰ「業務実施要領」別紙「研修実施計画書」に、単元目標(アウトプット)、単元目標達成のための活動(研修内容)、達成状況の確認方法について記載をお願いします。上述のとおり、ランプサム契約が適切かどうかは、案件目標(アウトカム)達成を目的とした単元目標や、単元目標を達成するための活動(研修内容)の関係性のロジックの妥当 性、また、目標達成状況の確認方法を設定しているかなど、目標達成への道筋や手だてが明確かどうかに基づきJICA 国内機関にて確認します。
ランプサム契約では、目標達成(成果の発現)のための計画をより重視しています。「研修実施計画書」の作成例は以下のとおりです。
(例)
単元目標 | 単元目標達成のための活動(研修内容) | 達成状況の確認方法2 |
1.自国における●●策 定・実施に関する課題が明確になる。 | (1)個別インタビュー (2)インセプションレポート発表会 | (1)研修員との個別インタビューにより、現状理解を整理・把握する。 |
1 ランプサム契約では、経費精算報告書の作成業務が対応不要となるが、業務従事人日の目安日数については、「研修委託契約における見積書作成マニュアル」で定める日数から変更はない。
2 可能な範囲で定量的で客観的に達成状況を確認できるような確認方法を設定ください。
(3)●●にかかる各国比較の演習 | (2)インセプションレポートの発表及び質疑応答により確認を行う。 (2)研修員の演習のまとめから確認を行う。 | |
2.●●の概要について理解する。 | ●●に関連する講義、演習及び視察(以下、講義名等研修内容を記載) ・●●概要… | ・フィードバックシー ト、研修員による演習のまとめ ・小テスト(理解度テスト) ・実技 |
3.●●における様々なセクターの役割を理解す る。 | 産官学セクターからの講義、現場訪問及び講師・関係者とのディスカッション(以下、講義名等研修内容を記載) | ・小テスト(理解度テスト) ・実技 ・研修員のディスカッション内容、アクションプランへの反映状況 |
4.●●を実行するに当たっての指標の立て方、評価方法の概要を理解す る。 | 計画・評価に関する講義及び演習(以下、講義名等研修内容を記載) | 研修員のQ&A 等の発言内容及び演習のまとめ |
5.●●の促進に必要な自国の組織における実践内容(案)が作成される。 | ・海外の開発経験の適用にかかる講義 ・アクションプラン作成・発表 | ・アクションプランの発表・コメント内容 |
(4)契約(書)単位で、ランプサム契約を採用することが可能です。すなわ ち、課題別研修等で 3 年間の業務に係る調達が完了しているコースであっても、
年度毎の契約交渉によって契約(書)単位でランプサム契約を採用することを可能とします。
2.検査
案件目標達成に向けた単元目標や、単元目標達成のための活動(研修内容)の関係性や目標達成までの道筋が妥当である前提のもとで、単元目標を達成するための研修プログラムや業務が予定どおり実施されたことを確認したことをもって業務完了と判断します。
研修委託契約書附属書Ⅰ「業務実施要領」別紙「研修実施計画書」に記載の達成状況の確認方法に基づき、単元目標にひもづく活動の達成状況について、研修期間中の振り返り、質疑応答、小テスト(理解度テスト)や実技などで受託者にて確認をお願いします(研修期間中に、単元目標を見据えながら、モニタリングを行い必要に応じて適宜軌道修正していけるような進捗管理を実施願います)。業務実施内容は業務完了報告書等で JICA 国内機関へご報告ください。
3.精算
ランプサム契約の場合は、経費精算報告書の提出は不要です。
(契約書附属書Ⅰ「業務実施要領」の「第2.業務の内容」への「経費精算報告書作成」の記載は不要です。)
4.契約変更
本契約方式においては、基本的に契約変更は想定していません3。
3 契約書附属書Ⅰ「業務実施要領」に定める契約金額の変更を伴う業務内容の大幅な変更(例:北海道で予定していた研修を急遽関東で実施することになった場合など)や履行期間の変更については契約変更を検討します。
もし経費に増減が生じたとしても契約額の支払となりますが、内容に変更はないが明らかに減額して対応したほうがよい経費については、契約変更をせず、打合簿を交わしたうえで受託者が減額請求することが可能です。
5.例外的な対応(実費精算)
直接経費のうち、航空賃等変動が見込まれるものについて、実費精算部分を含めることが可能です。ただし、すべてランプサムが原則であり、対象とする費目は必要最小限とします。そして、その場合は、実費精算部分の証拠書類と共に、経費精算報告書の提出が必要となります。
以 上