Contract
中小企業輸出代金保険約款
平成17年4月1日 05-制度-00029平成18年12月27日 一部改正平成20年9月19日 一部改正平成22年3月29日 一部改正平成23年9月30日 一部改正平成24年3月16日 一部改正平成24年9月24日 一部改正
第1章 総則
(この約款の内容)
第1条 この約款は、貿易保険法(昭和 25 年法律第 67 号。以下「法」という。)の
規定に基づく輸出代金保険のうち、輸出者が中小企業者(中小企業基本法(昭和 38
年 7 月 20 日法律第 154 号)第2条第1項に定める中小企業者をいう。)又は資本金
の額若しくは出資の総額が 10 億円未満の会社(中小企業者を除く。)である輸出契約に係るものの保険約款とする。
第2章 てん補の範囲
(てん補危険)
第2条 独立行政法人日本貿易保険(以下「日本貿易保険」という。)は、被保険者が、輸出契約(この約款に基づく保険契約の締結後、当該輸出契約の内容の変更により法第26条第1項又は第2項の規定により、輸出契約とみなされるものとなったものを含む。以下同じ。)に基づいて輸出貨物を輸出した場合において、次の各号のいずれかに該当する事由によって当該輸出貨物の代金を回収することができないことにより受ける損失を、この約款の定めるところに従い、てん補する責めに任ずる。一 外国において実施される為替取引(外貨交換及び外貨送金を含む。)の制限又は
禁止
二 仕向国において実施される輸入の制限又は禁止
三 政府間合意に基づく債務繰延べ協定又は支払国に起因する外貨送金遅延
四 為替の換算率にかかわらず現地通貨による決済をもってする債務の弁済を有効とする旨の支払国の法令の制定その他の外国の政府、州政府又は地方公共団体による債務の全部又は一部の決済を免除する措置又は決定
五 外国の政府、州政府又は地方公共団体による収用
六 外国の政府、州政府又は地方公共団体による債務の全部又は一部の決済を妨げる
違法又は差別的な措置又は決定
七 国際連合その他の国際機関又は仕向国以外の国による経済制裁八 本邦外において生じた次のいずれかに該当する事由
イ 戦争、革命、テロ行為その他の内乱、暴動、騒擾又はゼネラルストライキ
ロ 暴風、豪雨、洪水、高潮、落雷、地震、噴火、津波、人為的でない火災その他の自然現象による災害
ハ 原子力事故ニ 輸送の途絶
九 前各号に掲げるもののほか、本邦外において生じた事由(保険契約締結の当時取得することを必要とした輸入許可又は為替の割当を取得できないこと及び保険契約締結の当時取得していた輸入許可の効力に付されていた条件又は期限により輸入許可が効力を失ったことを除く。)であって、輸出契約の当事者の責めに帰することができないもの
十 輸出契約の相手方についての破産手続開始の決定(破産手続開始の決定の事実が外国の公的機関により明らかにされた場合に限る。)
十一 輸出契約の相手方の3月以上の債務の履行遅滞(被保険者の責めに帰することができないものに限る。)
第3章 損失額及びてん補責任額
(損失額)
第3条 前条のてん補危険の損失額とは、保険価額のうち、前条各号のいずれかに該当する事由により被保険者が決済期限(前条第11号に該当する事由によるときは、決済期限から3月を経過した時)までに回収することができない代金の額から次の各号の金額を控除した残額をいう。
一 被保険者が第13条第1項の規定による輸出貨物の処分により取得した金額からその処分に要した費用を控除した残額
二 前号に掲げるもののほか、被保険者が同条第1項又は第2項の規定による損失の防止軽減義務を履行するため、賠償請求権又は保証債務履行請求権の行使その他一切の合理的措置を講ずることにより取得した金額(延滞利息を除く。)から、当該金額を上限としてその履行のために要した費用又は要すべき費用を控除した残額
三 前2号に掲げるもののほか、第2条の規定に基づき日本貿易保険がてん補する責に任ずる事由の発生により、被保険者が支出を要しなくなった金額
(てん補責任額)
第4条 日本貿易保険がてん補すべき額は、前条の規定に基づき算出した損失額から次の各号に掲げる額を控除した残額に100分の95を乗じて得た額とする。
一 被保険者が第13条第1項又は第2項の規定による義務の履行を怠った場合、被保険者がその義務を履行すれば防止軽減することができたと認められる金額又は賠償若しくは保証債務の履行を受けることができたと認められる金額
二 日本貿易保険が第10条の規定に基づき、被保険者に指示をした場合において、被保険者が当該指示に従わなかったことにより拡大したと認められる損失額
(免責)
第5条 日本貿易保険は、第16条第3項に規定するもののほか、次の各号に掲げる損失をてん補する責めに任じない。
一 保険契約者、被保険者若しくは保険金を受け取るべき者又はこれらの者の代理人若しくは使用人(以下「被保険者等」という。)の故意又は重大な過失により生じた損失
二 貨物の滅失、き損、だ捕、その他貨物について生じた損失(共同海損、救助料その他海上保険によって通常てん補される損失を含む。)
三 輸出契約に関して保険契約者又は被保険者による法令(外国の法令を含む。)違反があった場合において生じた損失
四 保険契約の締結後、保険の目的が輸出契約以外の契約となった場合において、当該契約に係る債権について生じた損失
五 第8条第1項に規定する保険責任の開始日前に発生した第2条各号のいずれかに該当する事由によって生じた損失
六 保険契約の成立から損失発生までのいずれかの時点において、輸出契約の相手方が、次のいずれかに該当する場合における第2条第10号又は第11号のいずれかに該当する事由により生じた損失
イ 被保険者の本店又は支店(被保険者が支店の場合、他の支店を含む。)
ロ 被保険者と特定の資本関係があるものとして、次のいずれかに該当する海外商社
(1) 被保険者の親会社又は子会社(「親会社」とは、他の法人の総株主、総社員又はその他の構成員の議決権(以下「議決権」という。)の過半数を保有する法人をいう。「子会社」とは、親会社に議決権の過半数を保有される法人をいう。他の法人の議決権の過半数を親会社及び子会社又は子会社が保有するときは、当該議決権の過半数を保有される法人は親会社の子会社とみなす。以下同じ。)
(2) 被保険者の直接親会社の直接子会社(「直接親会社」とは、親会社のうち、 (1)により親会社とみなされる以外の親会社をいう。「直接子会社」とは、子会社のうち、(1)により子会社とみなされる以外の子会社をいう。以下同じ。)
(3) 議決権の過半数を被保険者、被保険者の直接親会社又は被保険者の直接子会社のうちいずれか2者以上が保有する法人((1)及び(2)に該当する法人を除
く。)
(4) (1)、(2)及び(3)に該当する法人の支店
ハ 被保険者と特定の人的関係があるものとして、次のいずれかに該当する海外商社
(1) 被保険者が取締役等(「取締役等」とは、派遣先において代表権を有することとなる者、取締役の職に就く者若しくはその他経営の基本的方針の決定に参加することとなる者をいう。以下同じ。)を派遣する法人若しくは当該法人が取締役等を派遣する法人又は被保険者に取締役等を派遣する法人若しくは当該法人に取締役等を派遣する法人
(2) 被保険者が取締役等を派遣する法人の直接子会社又は被保険者に取締役等を派遣する法人の直接親会社若しくは直接子会社
(3) 被保険者の直接親会社が取締役等を派遣する法人、被保険者の直接親会社に取締役等を派遣する法人又は被保険者の直接子会社が取締役等を派遣する法人
(4) (1)、(2)及び(3)に該当する法人の支店
ニ その他イからハに掲げるものと実質的に同視できるものとして、日本貿易保険が特に認めた海外商社
(保険金不払、保険金返還)
第6条 日本貿易保険は、次の各号のいずれかに該当するときは、保険金の全部若しくは一部を支払わず又は当該保険金の全部若しくは一部を返還させることができる。一 被保険者等の過失(重大な過失を除く。)により損失が生じたとき。
二 被保険者等が故意又は過失により、事実を告げなかったとき又は真実でないことを告げたとき。
三 輸出契約等が無効であったとき。
四 保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき。
(保険契約の解除)
第7条 日本貿易保険は、第16条第1項、第17条第2項、第3項及び第9項並びに第18条第4項に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、保険契約を解除することができる。
一 保険契約者又は被保険者が、輸出契約に関して不正競争防止法(平成5年法律第
47号)の贈賄に関する規定に違反したとき。
二 保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき。
2 この約款に特別の定めがない限り、前項の規定による解除その他の保険契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じる。
3 保険契約者は、次条第1項に規定する保険責任の開始日前に第2条各号のいずれかに該当する事由(保険契約者が保険契約の当時存在することを知っていた事由を除
く。)が生じたことを知ったときは、日本貿易保険に遅滞なく当該事実を書面で通知した場合に限り、保険契約を解除することができるものとし、この場合、保険契約は締結の日にさかのぼって効力を失うものとする。
(保険期間)
第8条 日本貿易保険の保険責任の開始日は、輸出契約に基づき輸出貨物の輸出を行った日又は保険契約の締結の日から5日を経過した日のいずれか遅い日とする。
2 日本貿易保険の保険責任の終了日は、輸出契約において定められた決済期限とする。
第4章 保険契約者又は被保険者の義務
(他の保険契約の通知義務)
第9条 保険契約者又は被保険者は、輸出契約について、この約款のてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約が存在することを知ったときは、当該事実を知った日から1月以内、かつ、保険金の支払請求時までに当該保険契約について日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
(包括特約書の対象となる場合の通知義務)
第9条の2 前条の規定にかかわらず、保険契約者又は被保険者は、輸出契約について、保険契約者又は被保険者が一定の期間内に締結する輸出契約について包括して保険契約を成立させるべきことを日本貿易保険が特に約している場合であって、当該輸出契約について、保険契約を申込むときは、保険契約申込み時にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
(指示に従う義務)
第10条 日本貿易保険は、貨物の製造、輸出に関し指示をすることができ、被保険者はこれに従わなければならない。
(債権保全義務)
第11条 被保険者は、他の債権における注意と同様の注意をもって輸出契約に係る債権の管理保全に努めなければならない。
(損失等発生の通知義務)
第12条 被保険者は、決済期限までに輸出契約に基づく債務が履行されないときは、当該決済期限から原則として1月以内にその旨を日本貿易保険に書面で通知(以下「損失等発生通知」という。)しなければならない。
2 被保険者は、前項の通知にあわせて、輸出契約に係る債権について日本貿易保険が委任する第三者に履行請求を行わせるため、日本貿易保険に対し、当該債権に係る権利行使等の委任を申し込むことができる。
3 日本貿易保険は、損失等発生通知を受けた後保険金を請求する前において、輸出契約に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、被保険者から当該債権に係る権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。この場合において、被保険者
は、合理的理由があるときを除き、当該申込みに応じなければならない。
(損失の防止軽減等の義務)
第13条 被保険者は、損失を防止軽減するため、他の債権における注意と同様の注意をもって一切の合理的措置を講じなければならない。
2 被保険者は、損失の全部又は一部の賠償又は保証債務の履行を受けることができる場合、その賠償請求権又は保証債務履行請求権の行使又は保全に必要な手続を怠ってはならない。
3 前2項の規定は、前条第2項又は第3項の規定により被保険者が権利行使等の委任を行った場合には適用しない。
4 日本貿易保険は、被保険者が第1項及び第2項の規定による義務の履行のために要した費用を、当該費用又はその義務の履行によって取得した金額のうちいずれか少ない金額に100分の95を乗じて得た金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
(入金の通知義務)
第14条 被保険者は、第12条の規定に基づき損失等発生通知を行った後、保険金の支払を請求する以前に回収した金額があるときは、当該金額の入金のあった日から1月以内、かつ、保険金請求前にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
(調査に応ずる義務)
第15条 保険契約者又は被保険者は、日本貿易保険が代金の決済状況その他輸出貨物、輸出契約又は代金に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は輸出契約に関する帳簿書類、輸出貨物その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
2 被保険者は、日本貿易保険が輸出貨物、輸出契約又は代金に関し、輸出契約の相手方に対し、調査、報告又は資料の提出を求めることが必要と認めた場合、当該調査、報告又は資料の提出が円滑に行われるよう日本貿易保険に協力しなければならない。
3 被保険者は、第28条第5項から第7項までの各項の規定により納付すべき金額に係る債権の保全上の必要に基づいて、日本貿易保険が業務若しくは資産の状況に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は業務若しくは資産の状況に関する帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
(告知義務違反)
第16条 保険契約締結の当時、被保険者等が損失を受けるおそれのある重要な事実のあることについて、故意又は過失によって、日本貿易保険にこれを告げず、又は真実でないことを告げたときは、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
2 前項の規定による解除権は、日本貿易保険が解除の原因を知った日から2月間行使しないときは、消滅する。
3 被保険者に損失が発生した後に日本貿易保険が第1項に基づいて保険契約を解除
した場合においても、日本貿易保険は当該損失をてん補する責めに任じない。ただし、当該損失が、第1項に規定する損失を受けるおそれのある重要な事実に基づいて発生したものではない場合は、この限りでない。
(輸出契約の内容の変更)
第17条 被保険者が輸出契約又は代金に関し、次の各号のいずれかに該当する変更を加えたときは、当該変更の日から1月以内かつ第8条第2項に定める保険責任の終了日までにその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
一 証券記載の船積期日の3月を超える延期二 代金の決済条件の変更
三 相手方、支払人又は保証人の変更四 仕向国、支払国又は保証国の変更五 輸出貨物の変更
六 代金の増額(当初又は次項に規定する承認後の代金の額の増加の累計が当初又は当該承認後の代金の額の5%以上となった場合に限る。)
2 日本貿易保険は、前項に規定する通知を受けたときには、保険契約を解除することができる。ただし、日本貿易保険が書面で承認したときは、この限りではない。
3 前項の承認に条件を付けた場合であって、当該案件が成就されないときには、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
4 前2項及び第9項の規定に基づく解除は、第1項に規定する変更(以下「重大な内容変更」という。)があった時から将来にわたってのみ効力を生じる。
5 日本貿易保険は、被保険者が第1項に規定する通知を怠った場合、重大な内容変更があった時から、保険契約は効力を失ったものとみなすことができる。
6 被保険者は、重大な内容変更を行おうとするときは、日本貿易保険に対し書面による事前の承認を求めることができる。
7 被保険者は、前項の日本貿易保険の承認に基づいて重大な内容変更を行うときは、当該承認の日から6月以内に行わなければならない。
8 前2項に従って重大な内容変更を行った場合は、第2項から第4項までの規定は適用しない。
9 日本貿易保険は、第6項の承認に条件を付けた場合であって、当該条件が成就されていないにもかかわらず、第1項の通知があったときには、保険契約を解除することができる。
(贈賄行為に関与しない旨の宣誓義務)
第17条の2 保険契約者及び被保険者は、不正競争防止法の規定に違反する贈賄行為にかかわっていないこと及び今後ともかかわらないことを日本貿易保険に対して誓約しなければならない。
第5章 保険料
(保険料の納付等)
第18条 保険契約者は、保険契約を締結した場合又は重大な内容変更を行った場合であって保険料を納付すべき場合その他保険契約者が保険料を納付すべき場合においては、日本貿易保険が指定する日までに貿易保険の保険料率等に関する規程(平成16年7月2日 04―制度―00034。以下「保険料率等規程」という。)に従って日本貿易保険の指定する額の保険料の全額を日本貿易保険に納付しなければならない。
2 保険契約者が日本貿易保険の指定する日までに前項に規定する保険料の全額を納付しなかったときは、保険契約者は、保険料及び当該保険料について日本貿易保険の指定する日の翌日から保険契約者の納付すべき保険料が納付される日までの日数に応じて年10.95%の割合で計算した延滞金を日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。ただし、第4項の規定に基づき保険契約が解除された場合は、この限りでない。
3 前項の規定により延滞金を納付しなければならない場合において、保険契約者が納付すべき保険料及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を保険料、延滞金の順に充当する。
4 保険契約者が、日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険の指定する額の保険料の全額又は延滞金の全額を納付しなかったときは、日本貿易保険は保険契約の全部又は一部を解除することができる。
5 前項の規定による解除は、当該保険料又は延滞金が保険契約を締結した場合において納付すべきものであるときは保険契約の締結の日から、被保険者が重大な内容変更を行った場合において納付すべきものであるときは当該重大な内容変更があった日から効力を生ずる。
(保険料の返還)
第19条 日本貿易保険は、保険料の納付が日本貿易保険の指定する日の翌日以後になされた場合であって日本貿易保険が前条第4項の規定に基づき保険契約を解除したとき又は日本貿易保険が同項の規定に基づき保険契約を解除した日以後に保険料が納付された場合は、当該納付に係る保険料を返還する。
2 保険契約者が、第7条第3項に規定する保険契約の解除を通知したときであって、当該解除の通知の前に保険料が納付された場合は、日本貿易保険は、当該納付に係る保険料を返還する。
3 被保険者が、輸出契約の内容変更その他合理的理由により保険価額の減少又は保険期間の短縮を申請し、日本貿易保険がこれを承認したときは、日本貿易保険がてん補すべき責めに任じなくなった部分に相当する保険料を返還する。ただし、保険料率等規程で定める場合を除く。
4 前3項に定める場合を除き、保険契約の無効、失効若しくは解除の場合又は日本貿易保険が損失をてん補する責めに任じない場合においても、日本貿易保険は保険料を返還しない。ただし、保険料率等規程で定める場合は、保険料の全部又は一部を返還する。
第6章 保険金の支払
(保険金受取人)
第20条 被保険者は、保険金請求事務を被保険者の代わりに行い、被保険者のために保険金を受領する者として保険金受取人を定めることができる。
2 被保険者は、保険契約の締結後に、保険金受取人を指定、変更又は廃止(以下「指定等」という。)した場合には、当該指定等の日から1月以内(ただし、1月以内に保険金の支払を請求する場合には、保険金の請求日前)にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
3 保険金受取人を定めた場合、被保険者は、この証券記載の保険金受取人を通じてのみ保険金の支払を請求することができる。
4 日本貿易保険は、この証券記載の保険金受取人が保険金の支払を請求してきた場合には、当該保険金受取人に対して保険金を支払うものとし、この場合、日本貿易保険は被保険者に対して保険金を支払ったものとみなし、当該保険金支払債務は消滅するものとする。
(保険金の請求)
第21条 被保険者その他の保険金の支払を請求しようとする者(以下「保険金請求人」という。)は、自己の費用をもって損失の計算を行い、保険金請求書に損失計算書、証拠書類その他必要な書類を添えて日本貿易保険に提出しなければならない。
2 前項の請求は、第12条に定める損失等発生通知を行った日以降、決済期限から9月以内(第2条第11号の事由による損失がてん補される場合にあっては、決済期限から
3月を経過した日以後、決済期限から9月以内)に行うものとする。ただし、日本貿易保険が、特に猶予期間を定めた場合は、この限りでない。
3 保険金請求人が正当な理由なく前項に規定する期間内又は日本貿易保険が定めた猶予期間内に保険金の支払の請求を行わない場合には、日本貿易保険は、保険金を支払わない。
4 被保険者又は保険金請求人は、日本貿易保険がてん補責任の有無又はてん補額の決定のため必要と認める書類の提出を求めたときは、遅滞なく、これに応じなければならない。
(保険金請求権の消滅時効)
第22条 保険金請求権は、決済期限(第2条第11号の事由による損失がてん補される場合にあっては、決済期限から3月を経過した日)から2年を経過した場合、時効によ
り消滅するものとする。
(保険金の支払)
第23条 日本貿易保険は、第21条第1項に定める手続による請求を受けた日から1月以内に保険金を支払う。ただし、調査のため特に時日を要するときは、この限りでない。
(他の保険契約等との関係)
第24条 この証券記載の輸出契約につき輸出手形保険が存在し、当該輸出手形保険契約に基づき、日本貿易保険が保険金を支払うべき場合には、この約款に基づく保険契約の第4条のてん補責任額は、第3条の損失額から当該手形保険契約の保険金の額を控除した残額に保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た額を限度とする。
2 一の輸出契約について、この約款に基づく被保険者を同じくする二以上の保険契約を締結している場合は、各保険契約のうち日本貿易保険が支払うべき保険金額が最大となる保険契約による第4条のてん補責任額を支払保険金額とする。
3 輸出契約について、この約款のてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約
(輸出手形保険を除く。)が存在し、かつ、各保険契約のてん補責任額の合計が損失額を超える場合には、第3条の損失額に、第4条のてん補責任額の各保険契約のてん補責任額の合計額に対する割合を乗じて得た額を支払保険金額とする。
第7章 債権の回収
(保険代位)
第25条 日本貿易保険は、保険金を支払ったときは、法第25条の規定に基づき保険金の支払の時に被保険者の有していた代金に係る債権(以下「代金債権」という。)を、支払った保険金額の第3条に規定する残額(同条第2号の規定に従い第13条第1項又は第2項の義務の履行のために要した又は要すべき費用として控除した額を除
く。)に対する割合(以下「代位比率」という。)をもって取得する。
2 被保険者は、前項に規定する日本貿易保険の保険代位を輸出契約の相手方の住所地法において当該相手方その他の第三者に対抗することができるために必要な手続を行うことを日本貿易保険が指示したときは、これに従わなければならない。
(権利行使等委任)
第26条 被保険者は、保険金の支払を請求したときは、第12条第2項又は第3項の規定により日本貿易保険が権利行使の委任を受けている場合を除き、日本貿易保険に対し、代金債権に係る権利行使等の委任を申し込まなければならない。ただし、当該代金債権の行使を被保険者が自ら行うことにつき合理的理由があると日本貿易保険が特に認めた場合は、この限りでない。
2 日本貿易保険は、前項ただし書の規定により代金債権の行使を被保険者が自ら行うことを認めた場合において、その後当該代金債権に係る権利行使等の委任を受ける必要を認めたときは、当該被保険者から当該代金債権に係る権利行使等の委任を受ける
ことを申し込むことができる。この場合において、被保険者は、合理的理由があるときを除き、当該申込みに応じなければならない。
3 被保険者は、前条第2項による義務を履行したときは、被保険者が有している保険事故に係る債権について日本貿易保険に権利行使等の委任を行わなければならない。
4 被保険者は、前3項の規定による権利行使等の委任(以下「権利行使等委任」という。)に当たっては、日本貿易保険が自らの判断に基づき当該代金債権に係る決済条件等について変更を加えること又は日本貿易保険が経済合理的であると認める理由により当該代金債権を放棄することについて同意し、当該権限を日本貿易保険に付与するものとする。
5 被保険者は、権利行使等委任後、日本貿易保険が特に指示した場合を除き、当該代金債権に係る権利を行使してはならない。
6 日本貿易保険は、権利行使等委任を受けた後、当該代金債権の権利行使等の権限をさらに第三者(以下「回収業者」という。)に委任することができる。
7 被保険者は、権利行使等委任後、日本貿易保険の指示があった場合は、日本貿易保険又は回収業者が行う回収に協力しなければならない。
8 日本貿易保険は、理由の如何を問わずいつでも、権利行使等委任を解除することができる。この場合において、被保険者の責めに帰すべき事由により当該代金債権の全部又は一部が弁済されなかった場合には、被保険者は、日本貿易保険の請求に応じ、回収金の有無にかかわらず、日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険又は回収業者が回収のために要した費用を支払うとともに、第28条第2項の規定に基づき当 該代金債権の回収に努めなければならない。
9 被保険者から権利行使等委任の解除の申込みを受け、日本貿易保険が当該解除に合理的理由があると認める場合には、日本貿易保険は、当該権利行使等委任を解除することができる。この場合において、被保険者は、日本貿易保険の請求に応じ、回収金の有無にかかわらず、日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険又は回収業者が回収のために要した費用を支払うとともに、第28条第2項の規定に基づき当該代金債権の回収に努めなければならない。ただし、日本貿易保険が特に認めた場合は、この限りでない。
10 日本貿易保険は、前2項の規定により権利行使等委任を解除した場合、当該解除に起因して生じた一切の損害又は損失について賠償する責めを負わない。
11 日本貿易保険は、権利行使等委任の内容に関して影響を及ぼす事情の変更があったときは、被保険者に対して権利行使等委任の内容の変更を申し込むことができる。この場合において、被保険者は、正当な事由がない限り、当該申込みに応じなければならない。
(権利行使等委任を受けた場合における回収金の配分等)
第27条 被保険者は、権利行使等委任後、日本貿易保険又は回収業者が回収のために要
した費用について、当該費用又はその回収した金額のうちいずれか少ない金額から同金額に代位比率を乗じて得た金額を控除した金額を限度として負担しなければならない。
2 日本貿易保険は、権利行使等委任を受けた後、当該代金債権について回収した金額があるときは、遅滞なく、その旨を被保険者に通知し、次の式により算出した額を被保険者に配分する。
(回収金額-A) × (1- 代位比率)
Aは、日本貿易保険又は回収業者が回収のために要した費用又は回収した金額のいずれか少ない金額
3 被保険者は、権利行使等委任後に当該代金債権の弁済を自ら受けたときは、当該弁済を受けた日から1月以内にその旨を日本貿易保険に通知し、かつ、当該弁済額の全額を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。この場合において、日本貿易保険は、当該納付額を前項に規定する回収した金額とみなし、同項の規定による被保険者への配分を行う。
4 権利行使等委任後において、被保険者が輸出契約に基づいてその代金を回収することができなくなった貨物(以下「代金回収不能貨物」という。)を輸出契約の相手方に引き渡したときは、日本貿易保険が特に認めた場合を除き、当該代金回収不能貨物に係る代金の全額の弁済を受けたものとみなして、前項の規定を適用する。この場合において、同項中「当該弁済額の全額」とあるのは、「当該代金回収不能貨物の代金の額の全額」と読み替える。
5 第3項の場合(前項の規定により第3項の規定を適用する場合を含む。次項において同じ。)において、被保険者が同項に規定する期間内に同項に規定する通知を怠った場合には、同項の規定により納付すべき金額(以下「直接弁済納付金額」という。)について当該弁済を受けた日(当該弁済を受けた日が、保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日)の翌日から当該通知をした日までの日数に応じて年10.95%の割合で計算した違約金を、日本貿易保険の請求に従い日本貿易保険に納付しなければならない。
6 第3項の場合において、被保険者が日本貿易保険の指定した日までに同項に規定する納付を怠った場合には、当該納付金額及び当該納付金額について当該指定した日の翌日から納付される日までの日数に応じて年10.95%の割合で計算した延滞金を、日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。
7 前2項の規定により違約金及び延滞金を納付すべき場合において、被保険者が当該納付金額、違約金及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を当該納付金額、違約金、延滞金の順に充当する。
(回収金の納付)
第28条 被保険者が第26条第1項ただし書の規定により代金債権の行使を自ら行うと
きは、前2条の規定にかかわらず、本条の規定を適用する。
2 被保険者は、保険金の支払を請求した後においても、自己又は日本貿易保険のために代金債権の回収に努めなければならない。ただし、当該回収に係る権利の行使の相手方についての破産手続開始の決定がなされたことその他やむをえない事由により当該回収に係る権利を行使することが困難であることについて日本貿易保険の認定を受けたときは、この限りでない。
3 被保険者は、前項の規定による義務の履行の状況について、日本貿易保険に書面で報告しなければならない。ただし、前項ただし書の規定により日本貿易保険の認定を受けたときは、この限りでない。
4 日本貿易保険は、第2項の規定による義務の履行のために被保険者が要した費用を、当該費用又はその回収した金額のうちいずれか少ない金額に代位比率を乗じて得た
金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
5 被保険者は、保険金の支払を請求した後、代金回収不能貨物を処分することにより回収した金額があるときは、回収した日(回収した日が保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日。次項において同じ。)から1月以内にその旨を日本貿易保険に通知し、かつ、日本貿易保険が次の式により算定した金額を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
(転売額-A)× 代位比率
Aは、代金回収不能貨物の処分に要した費用又は回収した金額のいずれか少ない金額
6 被保険者は、保険金の支払を請求した後、前項に規定する場合のほか、回収した金額があるときは、回収した日から1月以内にその旨を日本貿易保険に通知し、かつ、日本貿易保険が次の式により算定した金額を日本貿易保険の指定する日までに日本 貿易保険に納付しなければならない。
(回収金額-A)× 代位比率
Aは、第2項による義務の履行のために要した費用又は回収した金額のいずれか少ない金額
7 被保険者は、保険金の支払を請求した後、代金回収不能貨物を輸出契約の相手方に引き渡したときは、日本貿易保険が特に認めた場合を除き、当該代金回収不能貨物に係る代金の全額を回収したものとみなして、前項の規定を適用する。この場合において、同項中「回収金額」とあるのは、「当該代金回収不能貨物の代金の額」と読み替える。
8 被保険者が第5項及び第6項に規定する通知又は納付を怠った場合については、前条第5項から第7項までの規定を準用する。
第8章 雑則
(換算率)
第29条 この約款において、外貨を邦貨に、邦貨を外貨に、又は一の外貨を他の外貨に換算する場合に適用する外国為替相場は、次の各号のとおりとする。
一 外貨を邦貨に換算する場合にあっては、銀行(銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第1項に規定する銀行をいう。以下同じ。)が提示する対顧客直物電信買相場の始値(日本貿易保険が認めたものをいう。以下同じ。)
二 邦貨を外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する対顧客直物電信売相場の始値
三 一の外貨を他の外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する当該外貨間の換算率の始値
2 代金の額が外貨建てのときは、保険価額、第3条の損失額及び第4条のてん補責任額は、次の各号に掲げる日における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、日本貿易保険が別に定めた場合は、この限りでない(以下第3項から第5項までの各項において同じ。)。
一 保険価額にあっては、輸出契約の締結の日(保険契約の締結後に代金の額が増額変更された場合の当該増額部分に係る保険価額又は代金が邦貨建てから外貨建てに変更された場合若しくは外貨建てから他の外貨建てに変更された場合の保険価額は、当該輸出契約が変更された日(以下、この項において同じ。))
二 第3条の損失額及び第4条のてん補責任額にあっては、輸出契約の締結の日又は代金の決済期限のいずれか円高(輸出契約に表示された外貨の本邦における邦貨をもって表示される外国為替相場が低落した場合をいう。)の日
3 第3条各号の金額が輸出契約に表示された通貨(邦貨の場合を含む。以下「表示通貨」という。)と異なる通貨建てのときは、当該金額は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。ただし、同条第1号に規定する費用について、当該費用に係る通貨を表示通貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
4 第28条第5項又は第6項の規定に基づき回収した金額を納付する場合において、回収した金額が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該金額は、回収を確認した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。
5 第13条第4項又は第28条第4項に規定する日本貿易保険の負担する費用は、次の各号の規定により換算する。
一 第28条第5項又は第6項の規定に基づき日本貿易保険の負担する費用を回収した金額から除く場合において、当該費用が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に
係る通貨を表示通貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
二 第3条第1号又は第28条第5項若しくは第6項の規定によらない方法で日本貿易保険の負担する費用を請求する場合において、当該費用が外貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を邦貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
6 第2項から第5項において定める日に第1項各号の外国為替相場がない場合は、その日の直前の第1項各号の外国為替相場のある日における当該外国為替相場を適用する。
7 第1項各号の外国為替相場が提示されていない外貨の場合には、他の通貨を媒体とした換算率を適用する。
8 日本貿易保険が特に認めた場合には、第2項から第7項までの規定にかかわらず、日本貿易保険の指定した換算率を適用する。
(保険の目的又は保険金請求権の譲渡)
第30条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を得なければならない。ただし、日本貿易保険が特に認める場合はこの限りでない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
(保険金支払後の債権譲渡)
第31条 保険金支払日以後において、被保険者は、代金債権のうち被保険者が有している部分を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
(質権又は譲渡担保の設定)
第32条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権について質権又は譲渡担保を設定しようとするときは、当該質権又は譲渡担保権の取得予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を得なければならない。ただし、日本貿易保険が特に認める場合はこの限りでない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
(手続事項)
第33条 この約款に規定するもののほか、保険契約に関する手続的な事項は、日本貿易保険が手続細則として別に定める。
(準拠法令)
第34条 この約款に定めていない事項については、法及びこれに基づく命令その他日本国の法令の定めるところによる。
附 則
この約款は、平成17年4月18日から施行する。
附 則
この改正は、平成19年1月1日から施行する。
附 則
この改正は、平成20年10月1日から施行する。
附 則
この改正は、平成22年4月1日から施行する。
附 則
この改正は、平成23年10月1日から施行する。
附 則
この改正は、平成24年4月1日から施行する。
附 則
この改正は、平成24年10月1日から施行する。