浜松いわた信⽤⾦庫(理事⻑ 髙栁 裕久、以下「当⾦庫」)では、SDGs への取組み及び持続可能な社会への貢献を実現するため藤本工業株式会社様と「ポジティブ・イ ンパクト・ファイナンス」(以下PIF)の契約を締結しましたので下記のとおり、お知らせいたします。
2024年3月29日
xx工業株式会社との
「浜松xxxx⽤⾦庫ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約締結について
浜松xxxx⽤⾦庫(理事⻑ xx xx、以下「当⾦庫」)では、SDGs への取組み及び持続可能な社会への貢献を実現するためxx工業株式会社様と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」(以下PIF)の契約を締結しましたので下記のとおり、お知らせいたします。
企業概要
xx工業株式会社様の取組みについての詳細は、「評価書」をご参照ください
事業者名 | xx工業株式会社 |
所 在 地 | xxxxxxxx0000-0 |
業 種 | ⾃動⾞部品製造業 |
実施内容
契約日 | 2024年3月29日 |
融資⾦額 | 50,000,000円 |
資⾦使途 | 運転資⾦ |
同社におけるインパクトを、以下のとおり評価しました。(詳細は別添の「評価書」をご参照ください)
社 会 | ・安全な⾃動⾞部品の供給 ・従業員教育の充実 ・特別支援学校を始めとする地域の教育機関との連携 ・労働災害の防止 | |
社 会 ・ 社 会 経 済 | ・バリ取りロボットの導入と運⽤ | |
⾃ 然 環 境 | ・CO₂排出量の削減 |
「PIF」は、企業活動において環境・社会・経済に及ぼすポジティブインパクトの向上とネガティブインパクトの低減を包括的に分析・評価することで、資⾦供給と当該活動の継続的な支援を目的とする融資商品です。
事業者様の企業活動そのものが SDGs や ESG 等に与えるポジティブ及びネガティブなインパクトを当⾦庫および(⼀財)しんきん経済研究所が(株)日本格付研究所の協⼒を得ながら評価を実施します。
また、事業者へのインパクト評価で特定された KPI について、進捗状況、適切に回避・低減されているか融資期間中におけるモニタリングを実施します。
浜松xxxx⽤⾦庫は、お客様の SDGs・ESG 経営に向けたソリューションの提供や対話を⾏い、⻑期に亘る信頼関係構築と持続可能な地域社会の構築に取り組んでまいります。 以 上
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
評価対象企業:xx工業株式会社
2024 年 3 月 29 日
一般財団法人 しんきん経済研究所
目次
3-1 UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた分析 20
3-3 特定されたインパクト領域とサステナビリティ活動の関連性 20
xx工業株式会社(以下、xx工業)は、1967年に静岡県浜松市で創業した、バリ取り加工を営む企業である。
バリ取りとは、金属やプラスチックを鋳造・成形・切削加工などしたときに発生してしまうバリ(設計にはない部分)を研削などして、部品に設計通りの精度をもたらすもので、最終製品の組み立てや設計上の性能・耐久性を発揮させるためには欠くことのできない作業工程である。一方でバリは形状も発生個所や大きさを完全に制御することは困難であることから機械による自動化には課題も多く、現在でも手作業による工程が継続されている。
輸送機器関連の産業が集積している静岡県西部では、輸送機器のパワートレイン(エンジンで発生したエネルギーを効率よく伝える装置類)用の多くのアルミダイキャスト部品が製造されており、xx工業ではこれらの部品に発生したバリを精密かつ迅速に除去する技術を企業として蓄積し、地域の産業を支えてきた。主力取引先からもその作業精度や納期遵守の体制などが評価され、幾度となく表彰もされてきたところである。
しかしxx工業はバリ取り加工は製造業での重要性に比べて、社会的な認知度や存在感が高くなく現場で働いている人々のモチベーションが上がらない現状は、バリ取り加工の人材確保や技術の伝承にとっては大きな課題であり、高度に発達した分業制の下で高い評価を受けてきた日本の製造業にとっても無視できないことであると認識している。
そこでxx工業では、手作業で職人の技量に大きく依存しているバリ取り業を、人間からロボットへ伝えていくことで労働力の不足や技術伝承についての課題を解決し、労働集約的な産業から近代的な経営への進化を実現することで、働く人々が輝ける企業を目指すとしている。
今回実施の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の概要
金額 | 50,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
モニタリング期間 | 5 年間 |
1.企業概要
企業名 | xx工業株式会社 | |
所在地 | xxxxxxxxxxx | 0000-0 |
事業所 | 本社・工場 xxxxxxxxxxx0000-0根洗工場 xxxxxxxxxxxx0000東海工場 xxxxxxxxxxxxx00(株)アーレスティ東海工場内 | |
従業員数 | 46 名(2024 年 1 月末現在) | |
資本金 | 1,350 万円 | |
事業内容 | 自動車部品製造業 アルミダイカスト部品のバリ取り加工・羽布研磨加工・ショットブラスト加工等 バリ取り用の治工具設計製作 バリ取りロボットティーチング | |
子会社 | 株式会社F.O.D xxxxxxxxxxxx 0000 ロボットのティーチング、教育、研修事業 | |
許認可・登録・特許・認証等 | ISO9001 (認証機関:インターテック・サーティフィケーション) | |
主要取引先 | 株式会社アーレスティ株式会社メッツ 株式会社ユタカ技研 | その他 |
沿革 | 1967 年 1977 年 | 現在の静岡県浜松市浜名区貴布祢にて創業資本金 350 万円にてxx工業有限会社設立 事業拡大に伴い現在の浜松市中央区根洗町に工場新設移転 アーレスティと取引開始(バリ取り部門新設) 資本金 1,350 万円として商号をxx工業株式会社に変更する エコアクション21認証取得 アーレスティ東海工場より、3 年連続 QCDS 評価で1位になる。同時に「品質優良賞」を受賞する 関連会社株式会社F.O.D設立 代表取締役社長にxxxxxが就任 アーレスティ東海工場より、3 年連続「品質優良 |
1997 年 2008 年 | ||
2011 年 2017 年 | ||
2018 年 | ||
2019 年 |
2022 年 2022 年 2023 年 2023 年 | 賞」を受賞する ロボット技術事業部(現技術本部)の本部長が『浜松ものづくりマイスター1』に認定される アーレスティ東海工場より、2 年連続「協力賞」を受賞する アーレスティ東海工場の QCDS 評価にて 100 社中 1 位を獲得する ISO9001 認証取得(根洗工場) |
1 浜松ものづくりマイスター
2010 年度より地域の優れた技術の伝承と次世代のものづくり産業を担う人材育成を図ることを目的として実施されている浜松市の制度。ものづくり基盤技術を支える技術者・技能者の中から、特に優れた技術を有し人材育成への熱意がある者の推薦を公募し現地調査や選考委員会による審査を経て、浜松市長が認定するものである。マイスター認定者は、市内企業、学生への技術指導やセミナーなどの人材育成活動を行い、優れた技術の伝承を通じて地域産業の発展に協力することが求められている。
(1)事業の概要
xx工業は、静岡県浜松市に所在する2工場と、愛知県豊橋市のアーレスティ東海工場内の合計3つの拠点で、金属部品のバリ取り加工を主とする自動車(輸送機器)部品製造業である。
バリ取りとは、材料を切削や鋳造などをした際に加工物の端々にできる出っ張り(バリ)を取り除く作業である。バリは、切削や研削加工では刃物が加工物に食い込む際に塑性変形(元に戻らない変形)が発生し、塑性変形によって押し出されることで形成される。また、鋳造でも金型に1/100mm単位でもすき間があると、そこに溶湯(金属を高温にして溶解し液体になったもの)が入り込みバリが発生する。さらに、鋳造時の溶湯によって高温な部分ができると、ガスの発生によって全体が窪 み、そこに金属が充填されることで突起状のバリが発生する。
【バリ取り加工の施工例】
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細部まで丁寧にバリ取り加工された部品
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①バリ取り加工前 ②バリ取り加工後
内側やフチに大きなバリが発生している部品
(出典:xx工業HP) このように、金属を部品に加工することがバリの発生原因であり、バリの全く出ない加工は不可能
である。よって、部品の用途が何であれ、製品形状・機能・安全性を保つにはバリ取り加工は必須であり、なくてはならない工程である。さらに近年ではアルミダイキャストの材質や鋳造技術の向上によって、より複雑な製品・部品が作られるようになっており、そのバリ取り加工の工程も複雑化しているのが現状である。
なお関連会社の株式会社F.O.D(以下、F.O.D)は、xx工業が進めるバリ取りロボットの普及やティーチング等を実施するために設立した企業である。企業の目的は、xx工業の事業遂行を補完するものであり、事業規模は小さいため、本評価書ではxx工業のバリ取り事業についての評価を行う。
【xx工業の事業規模(金額単位:百万円)】
2023 年 8 月期 | 売上高 | 経常利益 | 従業者数 |
xx工業 | 1,470 | 17 | 46 名 |
(出典:xx工業)
(2)業務プロセス
(ア)標準的な業務プロセス
xx工業の標準的な業務プロセスは以下のとおりである。
<受注>
①取引先からの図面・仕様書と量産時期の提示により、想定工数・使用設備の検討を行い、見積額を提示する。
②見積もりを基に受注金額が決定し、生産が決定となる。
③内外作のメーカーレイアウトおよび工程設計にて工程の詳細を決定する。
④作業標準書など各種帳票類を作成し、必要であれば量産に向けて設備を発注する。
⑤試作工程にて作業者教育・習熟・品質確認をしながら目標工数との差などを確認する。
⑥目標工数の達成や量産に向けて繰り返し工程改善を行い最終的な生産計画を作成する。
<生産工程>
①生産計画に基づき、バリ取り作業を行う。
②作業後には、バリ取りライン工程内にてバリ残り・工程飛び・外観異常がないかを品質面で全数を確認する。
③xx工業が独自に作成・調整した「現品票」を製品パレットに添付する。これには製品名・作業日・製品ロット・検査者・4M 管理・修正内容等を記載しており、納品後のトレーサビリティとして機能している。
④出荷の準備工程では、「現品票」を基に納品書・納品伝票・検査成績書を発行し、品質管理スタッフが出荷検査を行う。
⑤異常時の対応
取引先から引き取ったワーク(加工対象となる部品)の素材に異常があった場合は、取引先に対して迅速な情報伝達と相談(いわゆる「打ち上げ」)を行って対処方法を検討する。この結
果、修正のための工程を追加してバリ取りを施し、取引先の製品が無駄になってしまうことを防止する場合もある。
一方、xx工業の工程内での不具合や取引先から指摘事項が発生した際は、「異常連絡書2」を作成して社内で報告し次回生産での改善を図る。さらに事象によっては「VA 提案書2」を取引先に提出し、双方によい効果のある改善方法を検討する。
<納品>
運送会社のトラックにより取引先の指定する工場へ搬送する。突発の対応が必要時には、自社
2 異常連絡書および VA 提案書
いずれもxx工業が制定した書式である。「異常連絡書」はxx工業内部での問題で不具合や求められる品質が出せなかった場合に作成し、今後の工程改善のために記録するものである。一方、「VA 提案書」は取引先に対して改善の提案を行うために作成し、取引先・xx工業間のムダを極力排除することで作業時間の短縮を図り、さらにはコストダウンにつなげるための資料としている。
トラック(4tトラックまたは軽トラック)を使用してサプライチェーンが停滞しないように対応している。
(イ)取引先からの評価
xx工業はバリ取り加工をアルミダイカスト製品製造の大手メーカーである株式会社アーレスティ(以下、アーレスティ、本社:愛知県豊橋市、東証プライム 5852)と 1997 年に取引を開始し
た。アーレスティは協力企業の技術力等の向上のため、QCDS(Quality:品質、Cost:コスト、
Delivery:納期、Service:対応やサポートなどのサービス)に優れた企業などを表彰している。そこでxx工業は、アーレスティ(東海工場)の QCDS 評価で 2015~2017 年には 3 年連続で1位
評価を受けた。また 2017~2019 年には 3 年連続で品質優良賞を受賞し、2021~2022 年には 2 年連続で協力賞を受賞した。さらに 2023 年には QCDS 評価にて 4 度目の 1 位評価を受けた。
このようにxx工業が取引先から高い評価を受けるのには、加工技術が高度に安定的であることが大きな理由になっている。バリ取り加工に関する技術的な蓄積に加えて、工程内で発生した不具合は記録に残し工程改善を行っていること、ライン工程の中での検品および出荷検査の実施により出荷製品の品質に万全を期していること、製品パレットごとに申し送り事項を示す「現品票」を貼付して後に不具合が判明した時には原因究明を容易にしているなど、xx工業では常に「バリ取り
の品質」を維持・向上させているのである。
さらにxx工業では、発注者である取引先に対しても発注の仕方や指示の出し方などを提案し て、「省けることは省き、足りないことは補完する」ことで受注者にとっても発注者にとっても、経済的・時間的なメリットのある新しい取引方法を実現しようとしている。改善に向けた考え方を持つ姿勢は社内教育を通じて浸透しており、従業
員は前項で記述した「VA 提案書」の着眼点や作成方法についても日常的に学んでいる。
xx工業では作業を受注する立場のサプライヤーであっても決して受け身にならずに、積極的に提案していく姿勢が取引先から評価されていると認識している。
【VA 提案書(社内教育用サンプル)】
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(出典:xx工業)
(1)ビジョンマップ
xx工業では企業としてあるべき姿、目指したい姿として「FUJIMOTO VISION MAP」を掲げている。
【xx工業:FUJIMOTO VISION MAP】
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(出典:xx工業)
・VISION~会社の夢、目標~
xx工業が行っている事業を、従業員が子供に自慢できるような仕事にすることで、自分の大切な人にも入社してもらいたいと思うような企業への成長を企業としての夢・目標としている。
・MISSON~xx工業の使命、成し遂げたいコト~
顧客に信頼される実績を積み上げ、「日本一のバリ取り屋」と呼ばれるようになるという気概を持ち、様々な挑戦と改善を継続し、「バリ取り」という仕事の価値観を向上させ、事業としての存在価値を高く示していくことを使命と考えている。
・VALUE~xx工業が大切にしたい社風~
また会いたい、また一緒に仕事をしたいと思われる技術的にも人間的にも優れた人材を育成し、その人たちがいきいきと活躍できる会社を作り上げることを最も大切に考える社風を構築していきたいと考えている。
・PURPOSE~社会にとっての存在意義、xx工業が社会に必要な理由~
バリ取りは目立たない工程であるがなくてはならない工程である。しかも、最終製品の種類を問わずに製造業を支えている工程であり、xx工業からバリ取り業界や社会に夢と希望を与えていけるようになりたいと考えている。
この中でxx工業が、社内外に大きく掲げていることは「日本一のバリ取り屋」になるという点で
ある。バリ取りはなくてはならない工程ではあるが一般的には認知度の高くない作業であり、日本の工業製品の性能を支える要諦であるにも関わらず、製造業の社会的分業の中では脚光を浴びることは少ない。このように一部の工程についての認知度や存在感が薄いままでは、多彩で複層的な分業の発達で成り立ってきた日本のものづくりにとっても、実際にバリ取りを専門とするxx工業にとって も、優秀な人材の確保や国際的な競争力を維持していくためにも懸念すべき状況であると藤本工業は考えている。
そこでxx工業では、受け身の受託加工会社として生き残るのではなく、メーカーにも提案できる積極性と高い技術を有した「日本一のバリ取り屋」になることで事業継続力を強化し、同時に「バリ取り」の存在価値を高め、同業者・関連業者をはじめコラボレーションが可能な企業をも活性化していきたいと考えている。
(2)組織図
xx工業は 3 か所の工場を有しており、各工場の機能と役割を遂行するため、それぞれに工場長を配している。これらの工場長を製造本部長が束ね、人事労務・財務・経営企画等を管理本部長 が、全社の生産工程の見直しや新技術への挑戦などの分野を技術本部長が担っている。本部長らに代表取締役である会長と社長を加えた 5 名で経営を担っている。
この中でも根洗工場は、バリ取りロボットの導入などを進めており、xx工業では「マザー工場」(研究開発や他の技術支援を行う機能を持った工場)と位置付け、通常の生産活動の主力を担うとともに新しい取組を最初に実施していく場ともなっている。
【xx工業の組織図】
代表取締役会 長 | ||||||
代表取締役社 長 | ||||||
製造本部本部長 | 管理本部本部長 | 技術本部本部長 | ||||
製造部東海工場 工場長 | 製造部xx工場 工場長 | 製造部根洗工場 工場長 |
生産管理 | 品質管理 | 生産管理 | 品質管理 | 生産管理 | 品質管理 | 技術 | ||||||
リーダー | リーダー | リーダー | リーダー | リーダー | リーダー | リーダー |
(出典:xx工業)
(3)ISO9001 の認証取得
xx工業は 2023 年に ISO9001 の認証(認証機関:インターテック・サーティフィケーション)を取得した。品質管理に関しては、社内で精度向上や効率性の改善など、様々な継続的な改善を図り成果も感じてきていたところであるが、標準化や見える化については ISO の手法を取り入れることで、対外的な理解を得やすくする点からも認証取得を決定したものである。
認証の取得から1年を経過していない段階であるが、認証取得を決定する以前から作業の標準時間の把握や社内物流の改革などに取り組んでいたため、従業員への浸透も早く、一部の目標では 100%以上の成果を認識できるようになっている。なお、認証の対象サイトは根洗工場のみであるが、根洗工場で成果を上げた改善については、他工場でも実施していく方針である。
【xx工業:ISO9001 品質方針】
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(出典:xx工業)
ISO9001 認証取得後の初年度の取組は以下の点に重点を置いている。
・組織力(Organization)- 仕組化された品質体制
属人化でなく組織的に安定的な品質を維持しながら各工場の売上向上を図るため、効率的且つ効果的なレイアウトの実施及び各工場間の物流改善並びに稼働率の低い設備機器の返納などを進める。
・対応力(Flexible)- 顧客の困り事を提案型で解決
変化に強い組織づくりと標準化定着を図り、品質安定化および向上を図る。また、双方にメリットがある提案を積極的に行い、取引先と藤本工業の共存共栄を目指す。
・対話力(Dialogue)- 困った時のxxx
「困った時のxxに!」をスローガンに、xx工業固有の技術をより向上させ、取引先に信頼されることで、「xx工業に相談してみよう」と思われる企業となる。
・改善力(Improvement)- 問題を前向きに改善する姿勢
自社のみで解決できない問題も、あきらめず前向き改善する姿勢を持って行動し、物理的・技術的および運用等を含め、定期的な設備導入など経営資源の投入を維持し、ハード・ソフト両面の強化を同時に進行させる。
ISO の認証取得による実質的な効果を最大限に引き出すために、各テーマの目標を設定し目標管理シートを使用して進捗の管理を行っている。
(4)環境行動理念
xx工業では、事業活動を通じて自社を取り巻く社会・経済・自然環境に対する考え方を 2011 年 3
月に取得したエコアクション 21 の取組の中で「環境経営理念」として宣言しており、環境保全への行動指針を定めている。
<環境経営理念>
私たち藤本工業全社員は、輸送用機器部品の表面加工「バリ取り、羽布研磨加工等」の生産活動を通じ、環境保全の重要性を認識し、社会・経済・環境の共生した生産活動及び継続的環境保全に取組み、後世の豊かな社会環境実現に貢献します。
<環境保全への行動指針>
1.継続的改善及び汚染予防のため、最善の施策を講じます。
2.次の事項に関して目標を掲げ、計画的に進めます。
・エネルギーの効率的使用(地球温暖化防止)を推進します。
・廃棄物の発生抑制に努めます。
・地下水の適正利用に努めます。
・低炭素社会に貢献するべく、積極的にグリーン購入を推進します。
・周辺地域の環境に配慮した、改善活動を行います。
3.弊社に適用される全ての環境関連法規等並びに弊社が同意するその他の要求事項を遵守す
ることを誓約します。
4.弊社に課せられた課題を克服し、利益向上に繋げます。
5.地域や関係団体の環境活動に積極的に参加します。
6.環境経営方針は、全従業員に周知します。
7.環境経営レポートを作成し、一般に公表します。
藤本工業では、2011 年のエコアクション認定を取得して以来、これらの理念・行動理念に基づいた活動を継続している。2020 年には一般財団法人持続性推進機構(エコアクション 21 中央事務局)からエコアクション 21 の 10 年継続の表彰も受けており、自然環境の保全に対する全社的な取組のベースとして定着している。
2.サステナビリティ活動
(1)地域の教育機関からの職場見学の受け入れ藤本工業では 2022 年より、新原工場・根洗
工場の近隣中学校 2 校からそれぞれの工場で見学と職場体験を受け入れている。各校とも
5名程度を年1回受け入れており、働く場を中学生に見学させることには、現場での従業員のモチベーションの向上にも貢献している。
また、2017 年からは静岡県立特別支援学校の高校生を職場体験として受け入れている。この取組の学校側の狙いは、将来の自立のために生徒が就業することを体験する点にある。学校側との調整により 1 名を 10 日間受け入れ、実際に工場での作業を体験してもらっており、藤本工業は作業を標準化するなど、
(出典:藤本工業 HP)
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【地元中学生による工場見学・職場体験】
働きやすい環境が整っているため、継続的に生徒を受け入れている。このような取組の結果、生徒の希望と藤本工業の条件が一致したケースも生まれており、正従業員として雇用を開始して 2024 年 1月現在も在職している。なお、藤本工業では全ての従業員を「同一労働同一賃金」で雇用しており、障がいによる不平等はない。
藤本工業としては、障がいの程度と受入体制を見ながら働きたい意欲がある人であれば積極的に雇用する考えであり、特別支援学校からの職場体験の受け入れを継続している。
(2)労働環境の整備
(ア)物理的な安全対策の実施と「見える化」
藤本工業では安全性と効率性を向上させるために、工場内の作業ブースなどのレイアウトを機動的に変更している。2023 年でも根洗工場の一部を変更しており、継続的な改善を図っている。
レイアウトの改善とともに、機械装置については作業面以外を金属フレームとアクリルパネルでカバーして稼働面への従業員の誤侵入を防止し、作業面にはエリアセンサーやロールカーテンで事故防止を図っている。加えて、ワークなどの運搬用のバッテリーフォークリフトには、後退時の事故を防止するため LED ライトを設置し、進行方向への注意を喚起している。
機械装置の操作については、1 台ごとに通常操作と異常時の操作方法を掲示しており、誤操作による事故のない作業と異常時への対応を図っている。このような取組の結果、藤本工業では「労働者死傷病報告」(厚生労働省向け報告)が必要な労働災害事故の発生は過去 10 年間で 2 件だけである。
【藤本工業の機械操作の「見える化」の例】
①通常運転のマニュアル ②異常時のマニュアル
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(出典:藤本工業)
(イ)安全講習の実施
藤本工業では、バリ取り作業の自動化を進めており、今後も計画的なロボットへの設備投資は継続的に行う方針である。そこで、R/B 安全講習(作業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育3)を定期的に実施している。これはバリ取りロボットを担当する従業員だけでなく、危険の防止のために全従業員に対して実施していく計画である。
(ウ)健康診断とじん肺対策の完全実施
藤本工業では全従業員を対象とした年 1 回の健康診断の受診率は 100%である。
また、藤本工業のバリ取り加工は、「労働安全衛生法」や「紛じん障害防止規則」などに規定される防じん措置が必要な業種に該当する。そこで藤本工業では、予防措置として①粉じんをできるだけ発生させない作業環境の改善、②粉じんの拡散を防止する換気・清掃対策の実施、③粉じんを吸入しないための作業時の呼吸用保護具の適切な着用といった対策を徹底している。当然ながら、6 か月に 1 回の実施が義務づけられている法定じん肺検査も全員が受診しており、この結果、記録に残る範囲で藤本工業に在籍した従業員(退職者を含む)でじん肺が発症した者はいない。
(4)社員教育の充実
藤本工業では、バリ取りなどの作業マニュアルに加えて、「ロボットライン教育資料」などの研修用テキストも自社で作成して、現場教育に活用している。これは、個人のもつ暗黙知を形式知に変換することによる知識の共有化・明確化を図る、いわば「ナレッジマネジメント」を進める取組である。
ISO9001 の認証を取得したことを契機として、従業員に対する教育体系の再整備に着手しており、藤本工業の従業員だけではなく協力企業の従業員も対象にして、品質の向上を図っていくものとしてい
3 作業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育
労働安全衛生法による危険・有害な業務には産業用ロボットの使用が含まれており、事業者が労働者をその業務に就かせるときに実施しなければならない教育のこと。ロボットへのティーチングや操作も教育の範囲に含まれているので、未受講者は産業ロボットを使うことはできない。
る。
(ア)実務内訓練の標準化
バリ取り加工の技術習得はもちろん、ある程度の経験を積んだ従業員に対する図面の見方などの教育は現場での OJT で行われてきた。現在は、従業員の業務に対する「習熟度マトリックス」の作成を開始しており、所属や担当業務によって習熟度の差が出ないように、誰も取り残さない社内教育の実施を目指している。
(イ)新技術への対応教育
バリ取り作業の効率化には産業用ロボットの活用が不可欠であるとの方針を基に、単にロボットを扱えるのではなく、習得した技術をロボットに伝える(ティーチングする)能力のある人材の養成が必要である。後述のヒトとバリ取りロボットの協働を高い次元で実現するための教育制度の構築を目指している。
(1)ヒトとバリ取りロボットの導入との協働
ワークに発生するバリは、発生を防止することや大きさや発生する箇所・頻度などを制御することは極めて難しいことから、一つ一つのワークのバリの形状等を視覚や触覚で認知し、適切な工具を選択し、必要な強度と時間を調整した加工を施す、というヒトの感覚や技術に大きく依存した工程である。これは他の工程に比較して自動化が遅れた一つの要因でもある。
しかしバリ取りに関わらず、日本では将来的には労働人口の減少によって労働力の不足は強まるものと予想される。そこで藤本工業では、バリ取り作業にロボットを導入することを検討し、2017 年から地元である静岡県浜松市の企業2社(株式会社東洋鐵工所、株式会社アラキエンジニアリング)と TAFLINK(タフリンク)というバリ取り問題解決チームを結成し展開している。
これは、藤本工業では、手作業でのバリ取りのノウハウを提供し、株式会社東洋鐵工所はフィードバックされたバリ取りの実態を取り入れたソフト・ハードの製作を担当し、株式会社アラキエンジニアリングはロボットの導入支援を扱う取組である。この取組は静岡大学からの研究支援も受けてお り、現在も共同研究は継続している。
藤本工業では、ロボットの導入は労働力を代替する点においては、ヒト一人を新たに雇用することと同等に考えてい る。そして、ロボットにティーチングを行うことは、技術を伝承していく点においては人材を育成することと同等であると考えている。藤本工業は、ヒトとロボットの高いレベルでの協働を実現することで、将来の労働人口の減少と技術の伝承という日本の製造業が直面している課題を解決しようと取り組んでいるのである。
【TAFLINK のイメージ図】
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(出典:TAFLINK HP)
(ア)労働環境の改善
この取組から、ロボットを導入
した藤本工業では、熟練した従業員とロボットがペアを組むかたちとなっ て、従業員はロボットに職人としての加工の仕方をティーチング(プログラミング)し、協働していく仕組みを作り上げている。
これは、単に作業効率や生産性の向上だけでなく、作業に携わる従業員の肉体的な負担も軽減する。このため、藤本工業では高齢者や筋力の弱い女 性、身体的な障がいを持つ者でも容易
(出典:藤本工業 HP)
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【ヒトと協働するバリ取りロボット】
にバリ取り作業に従事できるようになる取組であると考えてさらに展開する方針である。
【年代別性別従業員数(2024 年 1 月末現在、単位:人)】
20 代 | 30 代 | 40 代 | 50 代 | 60 代 | 70 代 | 80 代 | 合計 | |
男性 | 6 | 6 | 8 | 8 | 2 | 6 | 1 | 37 |
女性 | 6 | 2 | 1 | 9 |
(出典:藤本工業)
(イ)研究開発の継続
2024 年 1 月現在で、このようなヒトとロボットの協働
ペアは 5 組が成果を上げており、藤本工業では今後も毎
年 1 台以上のロボットを投入し、ヒトとの協働を実現していくとしている。
バリ取りロボットの性能についても、現状での成果に満足せずに、これについては、TAFLINK ならびに静岡大学等の研究機関と一体となって、継続的な改善を実施していく。
【TAFLINK により完成したバリ取りロボットのシリーズ】
(出典:TAFLINK パンフレット)
(2)作業の標準化に伴う労働環境の整備
バリ取りの工程では、大量のワークを一定の加工度で作業した後に期日以内に納品することが求められる。限られた人員と設備での作業であることから、納期を遵守するためには作業量の見積もりが不可欠となる。
そこで藤本工業では、発注についての打ち合わせの段階から、従業員が所定労働時間内で要求されるレベルの品質での加工を施し期日に納品が可能であるかを判断できるように次のような取組を実施している。
(ア)標準作業時間の計測
藤本工業では、それぞれのワークと仕様書ごとに1個あたりに必要な作業時間をデータベース化している。このため、取引先の求める品質と納期をいつでも約束することができる。また、社内システムである「日報管理システム」によって、予算時の作業時間と実績との差異も検証しており、
見積時の誤差を小さくしていく取組も行っている。
(イ)生産計画の精緻化
標準作業時間を把握しているため、ロット数に応じた生産計画と人員・設備の振り分けが容易になっている。このため、生産計画を早い段階で社内外に提示することから、有給休暇も取得しやすくなるなど、従業員にとっても働きやすい取組が実施されている。
生産計画は原則的にすべての作業を所定労働時間内で終えることを前提にして精緻に策定されているので、藤本工業での時間外労働は 1 人あたり月平均 2 時間程度であり、有給休暇の平均取得日
数も 10 日間を超え、法令の基準(年間 5 日以上取得)は順守されている。
(1)環境関連法規の遵守
藤本工業ではエコアクション 21 の取組の中で、自然環境面で企業として最低限、遵守しなければならない法規等を取りまとめている。これらの法規制・要求事項等は当然に厳格に順守してお り、これらの法規等が規制している事項に関する周辺住民等からの苦情についても記録の残る過去 10 年間で 0 件であった。
【藤本工業が遵守しなければならない法規等】
法規等名称 | 規制対象・内容等 |
騒音規制法 | 空気圧縮機 |
振動規制法 | 空気圧縮機 |
消防法(浜松市火災予防条例) | 火災報知の設置・設備の維持管理 |
浄化槽法 | 浄化槽 |
フロン排出抑制法 | 業務用空調機・コンプレッサー付属のエアドライヤー |
プラスチック資源循環促進法 | ごみの分別(廃プラ)・グリーン購入法適合製品の購入 |
顧客要求事項 | ISO9001(品質管理)取得 エコアクション 21 の維持管理 |
(出典:藤本工業 環境経営レポート 2023 年 10 月版)
(2)エネルギー使用量の見直しによる CO2排出量の削減
藤本工業工場内の生産設備の動力は電気であり、静粛性や労働環境の維持保全の観点から、フォークリフトも電動の機種を採用している。これらの電気の使用量に加えて、社用車のガソリン・軽油の使用量から年間での CO2総排出量を算出しており、環境経営レポートに掲載している。2020 年 8 月を基準年として、CO2総排出量を増加させない目標でエネルギー使用料の削減を進めており、排出量の推移は以下のとおりである。
【藤本工業の CO2総排出量の推移(単位:t】
2020 年 8 月期 | 2021 年 8 月期 | 2022 年 8 月期 | 2023 年 8 月期 | |
CO2総排出量 | 171 | 151 | 184 | 182 |
(出典:藤本工業 環境経営レポート)
2023 年までに、かねてから生産効率の点でも課題としていた社内物流(新原工場と根洗工場間の自社便での物資輸送)をほぼ完全に廃止したことにより、軽油の使用量が大きく減少しており、引き続き 2020 年 8 月期の水準を目標としている。
(3)廃棄物の削減
藤本工業の作業の多くが、アルミダイキャスト部品のバリ取り作業であり、工程から排出される産
業廃棄物はアルミ合金の切削紛だけである。廃棄物となるアルミ合金の切削粉の多寡は、取引先から持ち込まれるワークの量とバリの大きさ・数によって決まるため、藤本工業の工程だけでは排出量を制御することは不可能である。
なお、アルミニウムは金属の中では比較的低温での再溶融が可能であり、リサイクルしやすい金属であることから、藤本工業でも発生した切削粉は産業廃棄物処理業者へ処理を委託しており 100%がアルミニウム地金にリサイクルされている。
この他の加工に伴うガスや水は排出されておらず、藤本工業での工程では人体や自然環境に大きく影響を及ぼす大気汚染や水質汚濁をもたらす廃棄物等は発生しない。
3.包括的分析
UNEP FI のインパクト分析ツールを用いて、藤本工業の自動車部品製造事業について網羅的なインパクト分析を実施した。その結果、ポジティブ・インパクトとして「移動手段」、「雇用」、「賃金」、「零
細・中小企業の繁栄」が、ネガティブ・インパクトとして「健康および安全性」、「移動手段」、「賃金」、「社会的保護」、「気候の安定性」、「水域」、「大気」、「資源強度」、「廃棄物」が抽出された。
当社の個別要因を加味して、当社のインパクト領域を特定した。
その結果、ポジティブ・インパクトでは、教育体系の再整備や特別支援学校に対する取組は、技術 的・職業的スキルなどの向上や職業訓練に平等にアクセスできるようにする取り組みであり「教育」に該当することから追加した。
一方、ネガティブ・インパクトからは、藤本工業は交通手段自体を提供しているわけではないことから「移動手段」を、「同一労働同一賃金」を実践しており従業員に対する一切の差別的な待遇は行われていないことから「賃金」、「社会的保護」を、事業において直接的に影響を及ぼす物質を使用していないことから「水域」を、藤本工業の加工の対象物は取引先から提供を受ける事業形態であることから
「資源強度」を、バリ取り加工から排出される切削粉等は微量であり全量がリサイクルされていることから「廃棄物」を削除した。また、若年の障がい者の雇用も視野に入れた職場体験を広める取組は「年齢差別」、「その他社会的弱者」への配慮に該当することからネガティブ・インパクトに係る取り組みに追加した。
なお、粉じん等の排出については現在の取組によって十分にネガティブなインパクトの抑制が図られていることから「大気」については KPI を設定しないこととした。
3-3 特定されたインパクト領域とサステナビリティ活動の関連性
当社のサステナビリティ活動のうちボジティブ面のインパクトは、品質の向上により自動車の安全性を高める取組は「移動手段」に、従業員教育体系の再整備は「教育」に、職場体験の実施は「教育」、
「雇用」、「賃金」に、バリ取りロボットの導入によるヒトと機械の協働を進める取組は「雇用」、「零細・中小企業の繁栄」に貢献すると評価できる。
一方、ネガティブ面においては、職場体験を通じた就労機会を提供することは「年齢差別」、「その他社会的弱者」に、労働災害を防止する取組は「健康および安全性」に、CO2総排出量を削減する取組は
「気候の安定性」に貢献すると評価できる。
UNEP FI のインパクト分析ツールを用いたインパクト分析結果を参考に、当社のサステナビリティに関する活動を同社の HP、提供資料、ヒアリング等から網羅的に分析するとともに、同社を取り巻く外部環境や地域特性等を勘案し、当社が社会・環境・経済に対して最も強いインパクトを与える活動について検討した。そして、同社の活動が、対象とするエリアやサプライチェーンにおける社会・環境・経済
に対して、ポジティブ・インパクトの増大やネガティブ・インパクトの低減に最も貢献すべき活動を、インパクト領域として特定した。
(UNEP FI のインパクト分析ツールを用いたインパクト分析結果】
インパクトエリア | インパクトトピック | 既定値 | ||
ポジティブ | ネガティブ | |||
社会面 | 人格と人の安全保障 | 紛争 | ||
現代奴隷 | ||||
児童労働 | ||||
データプライバシー | ||||
自然災害 | ||||
健康および安全性 | 健康および安全性 | 〇 | ||
資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質 | 水 | |||
食料 | ||||
エネルギー | ||||
住居 | ||||
健康と衛生 | ||||
教育 | ||||
移動手段 | 〇 | 〇 | ||
情報 | ||||
コネクティビティ | ||||
文化と伝統 | ||||
ファイナンス | ||||
生計 | 雇用 | 〇 | ||
賃金 | 〇 | 〇 | ||
社会的保護 | 〇 | |||
平等と正義 | ジェンダー平等 | |||
民族・人種平等 | ||||
年齢差別 | ||||
その他の社会的弱者 | ||||
社会経済面 | 強固な制度・平和・安定 | 法の支配 | ||
市民的自由 | ||||
健全な経済 | セクターの多様性 | |||
零細・中小企業の繁栄 | 〇 | |||
インフラ | インフラ | |||
経済収束 | 経済収束 | |||
自然環境面 | 気候の安定性 | 気候の安定性 | 〇 | |
生物多様性と生態系 | 水域 | 〇 | ||
大気 | 〇 | |||
土壌 | ||||
生物種 | ||||
生息地 | ||||
サーキュラリティ | 資源強度 | 〇 | ||
廃棄物 | 〇 |
修正値 | |
ポジティブ | ネガティブ |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
〇 | |
4.KPI の設定
特定されたインパクト領域のうち、社会・社会経済・自然環境に対して一定の影響が想定され、当社の経営の持続可能性を高める項目について、以下のとおり KPI が設定された。
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インパクトレーダーとの関連性 | 移動手段 |
インパクトの別 | ポジティブ・インパクトの増大 |
テーマ | 安全な自動車部品の供給 |
取組内容 | 従業員の技量を向上させ品質管理を徹底することで自動車の安全性 向上に貢献する。 |
SDGs | 11.2 2030 年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。 |
KPI(指標と目標) | 2029 年 8 月期までにメーカーからの品質に関する年間クレーム件数 をゼロ件にする。 |
インパクトレーダーとの関連性 | 教育 |
インパクトの別 | ポジティブ・インパクトの増大 |
テーマ | 従業員教育の充実 |
取組内容 | 従業員の教育体系を再整備して資格取得奨励制度を創設する。 |
SDGs | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 |
KPI(指標と目標) | 2025 年 8 月までに教育体系を整備し制度を創設する。2026 年以降は 継続的な改善を図る。 |
インパクトレーダーとの関連性 | 教育、雇用、賃金、年齢差別、その他社会的弱者 |
インパクトの別 | ポジティブ・インパクトの増大およびネガティブ・インパクトの低減 |
テーマ | 特別支援学校を始めとする地域の教育機関との連携 |
取組内容 | 地域の教育機関との連携によって、若年層や障がい者に雇用を視野に 入れた職場体験・就業体験の機会を提供する。 |
SDGs | 4.5 2030 年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 |
KPI(指標と目標) | 引き続き特別支援学校からの職場体験の受け入れを継続し、2029 年 8 月までに少なくとも 1 校以上の高等学校と定期的な工場見学等についての合意を形成し、2029 年度までに1名以上を新規に採用(雇用)する。 |
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インパクトレーダーとの関連性 | 健康および安全性 |
インパクトの別 | ネガティブ・インパクトの低減 |
テーマ | 労働災害の防止 |
取組内容 | 安全教育の継続的な実施などを通じて労働災害の発生を防止する。 |
SDGs | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 |
KPI(指標と目標) | 2029 年 8 月期まで労働災害の発生件数をゼロ件とし、以降もゼロ件 を継続していく。 |
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インパクトレーダーとの関連性 | 雇用、ジェンダー平等、年齢差別、その他社会的弱者 零細・中小企業の繁栄、 |
インパクトの別 | ポジティブ・インパクトの増大、ネガティブ・インパクトの低減 |
テーマ | バリ取りロボットの導入と運用 |
取組内容 | バリ取りロボットを導入して人間との協働を標準化することで加工の品質や効率性を向上させるとともに、女性・高齢者・障がい者 の就労機会を増加させる。 |
SDGs との関連性 | 1.2 2030 年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。 5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心 な労働環境を促進する。 |
KPI(指標と目標) | 毎期 1 台以上のロボットを導入して、2029 年 8 月期までに協働ラ インを 5 以上増加させる。 |
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インパクトレーダーとの関連性 | 気候の安定性 |
インパクトの別 | ネガティブ・インパクトの低減 |
テーマ | CO2排出量の削減 |
取組内容 | エコアクション 21 の計画を維持・発展させ、CO2の排出量を削減 する。 |
SDGs との関連性 | 13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)および適応力を強化する。 |
KPI(指標と目標) | 2024 年 8 月は 2020 年 8 月期と同じ水準を目標とする。以降の期 は 2020 年 8 月期から毎期 0.1%ずつ排出量を削減する。 |
最高責任者 | 代表取締役 藤本武洋氏 |
実行責任者 兼プロジェクトリーダー | 取締役 管理本部 藤本悦子氏本部長 |
担当部署 | 管理本部 |
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した KPI の達成及び進捗状況については、浜松磐田信用金庫と藤本工業の担当者が定期的に会合の場を設け、共有する。会合は少なくとも年1回実施するほか、日ごろの情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
浜松磐田信用金庫は、KPI の達成に必要な資金及びその他のリソースの提供、浜松磐田信用金庫が持つネットワークから外部の資源ともマッチングすることで KPI の達成をサポートする。
モニタリング期間中に達成した KPI については、達成後もその水準を維持しているか確認し、経営環境の変化などにより KPI を変更する必要がある場合は、浜松磐田信用金庫と当社が協議の上、制設定を検討する。
以上
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、一般財団法人しんきん経済研究所(以下、しんきん経済研究所)が、浜松磐田
信用金庫から委託を受けて実施したもので、しんきん経済研究所が浜松磐田信用金庫に対して提出するものです。
2.しんきん経済研究所は、依頼者である浜松磐田信用金庫及び浜松磐田信用金庫がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する藤本工業から供与された情報と、しんきん経済研究所が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した
「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)」に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的な考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
<評価書作成者及び本件問合せ先>一般財団法人しんきん経済研究所主席研究員 森 達也
〒432-8036
静岡県浜松市中央区東伊場二丁目7番1号浜松商工会議所会館5階
TEL:053-452-1510 FAX:053-401-6511
第三者意見書
2024 年 3 月 29 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 藤本工業株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:浜松いわた信用金庫 |
評価者:一般財団法人しんきん経済研究所 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省のESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、浜松いわた信用金庫が藤本工業株式会社(「藤本工業」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、一般財団法人しんきん経済研究所(「しんきん経済研究所」)による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定した PIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。浜松いわた信用金庫は、中小企業向けの PIF の実施体制 整備に際し、しんきん経済研究所と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツー ルを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつ かのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大 企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務 局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、浜松い わた信用金庫及びしんきん経済研究所にそれを提示している。なお、浜松いわた信用金庫は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照しているIFC(国際金融 公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の 企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的
で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
浜松いわた信用金庫及びしんきん経済研究所は、本ファイナンスを通じ、藤本工業の持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、藤本工業がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、浜松いわた信用金庫がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(1) 浜松いわた信用金庫は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
(出所:浜松いわた信用金庫提供資料)
(2) 実施プロセスについて、浜松いわた信用金庫では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、浜松いわた信用金庫からの委託を受けて、しんきん経済研究所が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIFモデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全てしんきん経済研究所が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の
専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、しんきん経済研究所が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要 素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である藤本工業から貸付人である浜 松いわた信用金庫及び評価者であるしんきん経済研究所に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト
川越 広志
担当アナリスト
望月 幸美
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026