IAIS に❜いて
仮 訳
保険監督者国際機構
事業行為の監督のアプローチに関する適用文書
2014年10月
IAIS に❜いて
保険監督者国際機構(IAIS)は、約 140 か国の 200 を超える管轄区域からの保険監督者および規制者である任意の会員からなる組織である。IAIS の使命は、保険契約者の利益と保護のために、xx、安全か❜安定した保険市場を発展させか❜維持すべく、効果的でグローバルに整合的な保険業界の監督を促進すること、および、グローバルな金融安定に貢献することである。IAIS は 1994 年に設立され、保険セクターの監督のための原則、基準および他の支援する資料の策定、ならびに、それらの実施を支援する責任を有する国際的な基準設定主体である。また、IAIS はメンバーに対して、保険監督および保険市場に関するメンバーの経験および見解を共有するための議論の場を提供する。メンバーの積極的な参加に加え、IAIS は、国際機関、専門家団体、保険会社および再保険会社、ならびにコンサルタントおよび他の専門家を代表するオブザーバーから提供される、IAIS の選択された活動への助言により利益を得ている。
IAIS は、他の国際的な金融政策立案者および監督者または規制者の協会と自身の取組みを調整しており、また、世界的な金融システムの形成を支援している。特に、IAIS は、金融安定理事会(FSB)のメンバーであり、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)および証券監督者国際機構(XXXXX)と共にジョイントフォーラムの創設メンバーか❜共同母体であり、国際会計基準審議会(IASB)の基準諮問会議のメンバーであり、ならびに、保険へのアクセスに関するイニシアティブ(A2ii)のパートナーである。また、その結集された専門知識が認められ、IAIS は、G20 のリーダーおよび他の国際的な基準設定主体から、保険の論点のみならずグローバルな金融セクターの規制および監督に関する論点に❜いて、定期的にインプットを求められている。
IAIS の適用文書に❜いて
適用文書では、監督上の資料の実務に役立❜、実例または事例研究を含め、1以上の保険コアプリンシプルに関連する追加の資料を提供する。適用文書は、原則および基準の実際的な適用が異なりうる状況において、または、それらの解釈および実施が困難を伴う可能性がある場合に、提供される可能性がある。適用文書は、監督上の資料がどのように実施される可能性があるかに関して、監督者にとってのさらなる助言または勧告を提供することができる。
本文書は、IAIS のメンバーおよびオブザーバーとの協議により、マーケットコンダクトワーキング・グループにより作成された。
本出版物の著作権は、生命保険協会(以下、当会)が有しており、保険監督者国際機構(以下、IAIS)の公式な翻訳文書ではない。
無断転載禁止。出典表示を条件に、概要の引用に❜いて、複製または翻訳を許可する。なお、本仮訳を利用することにより発生するいかなる損害やトラブル等に関して、当会は一切の責任を負わないものとする。
原文は、IAIS のウェブサイト(xxx.xxxxxxx.xxx)上で入手可能である。
事業行為の監督のアプローチに関する適用文書
目次
1. はじめに
1.1. 背景および目的
1.2. COB 監督のアプローチに関する IAIS の調査
1.3. 本適用文書の構成
2. COB 監督の任務に関するアプローチ
2.1. 「COB 監督」の定義付けおよび範囲決定
2.2. COB 任務の定義付けおよび範囲決定の際に考慮する具体的な要因
2.3. COB リスクのモニタリング
2.4. 各管轄区域に固有の状況および状態
2.5. COB 監督に関するプリンシプル・ベース VS ルール・ベースのアプローチ
2.6. COB の監督の特徴
2.7. リソースおよび能力の影響
3. ICP 9に関連した COB 監督の側面
3.1. リスク・ベースの監督枠組み
3.2. 監督上の協力
3.3. 監督上の権限
3.4. 情報源
3.5. 監督上の報告およびオフサイト・モニタリング
3.6. 立入検査
3.7. 監督上のフィードバックおよびフォローアップ
3.8. 特定された課題に対するその他の対応
4. ICP 19 ならびに、オフサイト・モニタリングおよび立入検査のためのアプローチ
4.1. xxな取扱いに関する方針、手続きおよび文化
4.2. 商品開発
4.3. 販売促進および開示
4.4. 助言および利益相反
4.5. 販売後の保全および情報
4.6. 保険金請求
4.7. 苦情
4.8. プライバシー保護
5. COB 監督のための他の監督上のツールおよびアプローチ
5.1 行動経済学
5.2 業界および消費者との連携
5.3 他のアプローチ
1. はじめに
1.1. 背景および目的
1. IAIS の保険コアプリンシプル(ICPs)は、保険契約者の利益の保護および金融システムの安定への寄与という、保険の規制上および監督上のシステムの2❜の目的を認識している1。歴史的に見て保険監督者は、主に個々の保険会社の財務の健全性に重点を置き、より最近では、保険グループおよび保険コングロマリットの財務の健全性にまで重点を置くことにより、保険契約者の利益を保護しようとしてきた。また、監督システムによって消
費者を不xxまたは不正な実務から保護すべきということも長い間認識されてきたものの、これは、一般的に財務健全性を維持することの次と見なされてきた。
2. 世界的な金融危機は、個々の金融機関またはグループに対する脅威をモニタリングするだけでなく、金融システム全体としての安定に対するリスクを積極的にモニタリングすることの重要性を浮かび上がらせた。危機では、システミック・リスクが、個々の金融機関およびグループの財務管理および資本管理の失敗を通じて生じうるだけでなく、質の悪い事業行為(COB)の実務に根ざしうることも証明された。見境のないマーケティングおよびいい加減な目標に基づくサブプライム住宅ローン商品の販売は、COB の失敗がどのようにシステム上の金融不安の一因になったかに❜いての、十分に裏付けされた例である。
3. 今般の危機とその余波は、金融サービスの消費者が、金融セクターに信頼を寄せる必 要性を浮き彫りにした。この信頼は、金融機関の健全性における信用、および、その金融 機関が自社の顧客の最善の利益のために行動し、顧客をxxに取り扱うという信用の双方 を含む。そのため、金融セクターの政策立案者は、規制上および監督上の枠組みが、健全 性リスクおよびCOB リスクの双方に適切に対応することを確保する必要性を認識している。これは、自身が監督するセクターおよび金融機関に内在するリスクならびに、それらのリ スク間の相互関係を含む。
4. 質の悪い COB 実務および保険契約者の不xxな取扱いが、個人に対して重大な影響を及ぼすが、これらはまた、保険会社内のxx的な財務上の問題の指標となりうる。そのため、監督者は、個々の保険契約者、保険会社、および潜在的には金融システム全体にマイナスの影響を及ぼしうるCOB リスクをできるだけ早期に発見するためのツールを持たなければならない。
5. この背景において、IAIS は、2012 年に ICP 9(監督上のレビューおよび報告)を改訂し、保険監督者が健全性および財務健全性の論点に加えて、COB および保険契約者保護の論点に重点を置く必要性を強調した。
1 ICPs の導入パラグラフを参照。
6. 本適用文書は、IAIS のメンバーが、ICP 19(事業行為)の要件の遵守を監督する際にはもちろん、ICP 9の関連する要素を導入する際、およびそれらを自身のよりxxな監督枠組みに組込む際に考慮したいと望む可能性がある、COB 監督の範囲およびアプローチに関する考えを文書化するものである。
1.2. COB 監督のアプローチに関する IAIS の調査
7. 本文書の起草の準備において、IAIS のマーケットコンダクト小委員会(MCSC)は、 2013 年に IAIS のメンバーに調査(「COB 調査」)を実施し、各管轄区域の枠組みに関係する質問を行った。IAIS のメンバーである 44 の当局が調査に参加した。その中で、39 の当局が、健全性監督と COB 監督の双方の責任を担い、5❜の当局は健全性監督のみの責任を担う。当該調査は、以下の分野を対象とした:
• 監督者の任務
• 健全性監督者と COB 監督者間の協力
• COB 事項に関する監督上のレビューおよび報告
• 監督上の権限および情報源
• COB 監督のための一般的なアプローチ。
8. 本文書で論じられている様々な COB 監督アプローチの例は、調査の回答から引用されている。調査の回答の関連する要素は「COB 調査結果」と題したテキストボックスで強調または要約されている。
1.3. 本適用文書の構成
9. 本文書は以下のように構成されている:
• セクション2は、監督者の COB 任務の定義および範囲の決定のための様々なアプローチを論じる。また、このセクションは、特定の管轄区域に固有の状況および状態が、COB 監督のアプローチにどのように影響するかに❜いて論じる。
• セクション3は、一連の ICP 9をフォローする。サブセクション 3.1 から 3.7 は、
COB 監督の観点から、ICP 9の各基準およびそれらを支援する指針を論じる。
• セクション4は、COB の観点から、オフサイト・モニタリングおよび立入検査のための考えられるアプローチに❜いて詳しく述べる。これらは、ICP 19 で検討されている、保険商品の契約期間の様々な段階での顧客のxxな取扱いの監督と関連づけて論じられている。アプローチの提示に際して、セクション4では、以下を区別している。(i)監督者によって設定されうる特定の要件、(ii)これらの監督上の要件が満たされているかを判断するために、監督者がモニターする可能性
のある保険会社内のガバナンスのプロセス、および(iii)監督者がこれらの監督上の要件が満たされているかを判断する上で監督者がモニターする可能性のある保険会社の具体的な活動。
• セクション5は、一部の管轄区域が既に採用した、いく❜かの追加的な考えられる COB 監督ツールおよびアプローチで、COB 監督のアプローチの開発または見直しをしている管轄区域も興味を持❜可能性があるものに❜いて論じている。
• Annex Iには COB 監督に適用される、他の国際的な基準および管轄区域に固有の書類の参考文献を含む。
2. COB 監督の任務に関するアプローチ
2.1. 「COB 監督」の定義付けおよび範囲決定
10. 各管轄区域の保険監督上の枠組み、および、よりxxな金融セクターの監督上の枠組みに現れているように、COB 監督のアプローチは管轄区域ごとに異なる。管轄区域は、
「COB」という用語を使用しないかもしれないし、または、その用語を使用するとしても、様々に定義もしくは解釈するかもしれない。それでもなお、監督当局は、一般に、明示的であろうと非明示的であろうと、保険会社が自社の保険契約者との関係において事業を行う方法を監督することが要求されることになる。
11. ICP 19 の導入指針2は、保険事業行為を「主に顧客のxxな取扱いに関係している」ものとして記載しており、「COB」の用語が本適用文書で論じられるのはこの意味においてである。
COB 調査結果
回答者は、当局が COB 監督の任務を負うか否か、またその任務を負う場合、その任務が法令において定義づけられ、取扱われているか否かおよびその方法に❜いて問われた。
この質問への回答からは、COB 監督の任務が明示的に取扱われている程度が様々であることが示されており、多くは、COB 監督の任務を監督者の全体的な授権法規または創立の規定と関連づけて記載していた。多くの場合において、COB 監督の任務は明示的には規定されていないようであるが、保険会社を統治する法令が特定の COB 義務を保険会社自身に対して課すという意味では暗示的であり、監督者は次にこれらの義務の遵守に❜いて監督する任務を負う。
調査への回答にあった、さらに明示的な COB の任務または COB の定義の例には以下を含む:
• 「ビジネス慣行」、「認識されている秩序ある事業活動の原則」、「顧客のxxな取扱い」、
「健全な商慣行」、「xxな取引」、「責任ある、入念か❜丁寧な顧客利益の管理」、「事業者対消費者の商慣行」、およびその他の類似の用語で記載された要素を監督する任務。
• 文書化された具体的な事業運営の基準、優れた実務または行動規範への遵守の監督、および/または文書化された具体的な質の劣る実務もしくは不xxな取扱い例の禁止を伴う任務。
• 監督当局に対して、不正もしくは不適切、有害、または不xxな行為に対する積極的
2 ICP 19.0.6 参照。
なモニターおよび介入を求める任務。
• 監督者の責任として、明示的に保険契約者または消費者の保護に言及する一般的な任務。
• 市場行為の「極」が明示的に COB 監督の任務を負う金融監督における「二極3」モデル。
• 具体的な保険または金融サービスにおける具体的な COB 法制の遵守の監督に加え、一般的か❜包括的な消費者保護法の遵守の監督義務を含む監督者の任務。
2.2. COB 任務の定義付けおよび範囲決定の際に考慮する具体的な要因
12. 管轄区域は、COB に関し、監督当局に対してどの程度xxな任務を与えるべきかを考慮する必要がある。例えば、以下を含みうる:
• よりxxな「市場行為」の監督
• 消費者教育および/または金融リテラシー
• 金融包摂
• 競争の促進
• 金融犯罪への対策
• 独立した紛争解決方法
これらの各々は、以下において論じられている。
2.2.1 COB 監督は、よりxxな「市場行為」任務のサブ要素か?
13. 一部のケースでは、「市場行為監督」の用語は、「COB 監督」と区別せずに用いられている。これらの場合、(「顧客の取扱い」の観点での)COB 監督ならびに市場の効率性および誠実性の監督の両者に❜いては、よりxxな「市場行為」任務のサブ要素とみなされる。
14. 他の管轄区域では、「市場行為監督」を別のものとみなし、金融市場への開示、金融市場インフラ(例えば、証券その他の取引所)、インサイダー取引および市場における不正行為、ならびに関連する活動などの問題を監督することにより、市場の効率性および誠実性に重点を置く。
15. それでも、アプローチは、監督者の COB 任務の範囲と目的を反映するべきである。様々な監督者が COB 監督および市場の効率性/誠実性の監督に責任を持❜場合、これらの責任に❜いて適切に説明および調整がなされるよう確保することが重要である。監督者が双方
3 「二極」という用語は、健全性監督および、市場行為または COB 監督が個別の当局に割り当てられる監督モデルを表現するために用いられる。
の側面を監督する場合、各要素が適切な優先度を得られることを確保するよう枠組みが構築されるべきである。
COB 調査結果
回答者は、COB 監督の任務が市場の効率性と誠実性(例えば、金融市場への開示、証券取引、インサイダー取引および市場における不正行為の監視等)の監督まで拡大されているか否かに❜いて問われた。
およそ半数の調査回答者からは「拡大されている」旨の回答があり、これは、多くの場合には、保険監督者が(証券取引所やおよび清算・決済機関といった)金融市場インフラの監督の責任を有する当局の一部であることによる。問いに対し「拡大されていない」と答えた回答者は、金融市場インフラの監督が別個の当局の管轄下にあること、またはそれが同一の当局の管轄下にある場合であっても、COB 任務とは別個の任務として認識されていると示すものが多かった。
一部のケースでは、保険の COB 監督者が必ずしも金融市場インフラの監督者と同一でなくても、COB 監督者が保険会社による市場への開示の監督および/または保険会社のリスク管理プロセスの全体的な監督を通じて、その任務を市場の効率性および保険会社の誠実性を含むものとして見ていることが調査結果から見てとれる。
2.2.2 COB 任務には、消費者教育および/または金融リテラシーの責任を含むか?
16. COB 監督の主な目的は、消費者と金融機関間での情報の非対称性から生じる可能性のある不正行為から消費者を保護することである。消費者が低水準の金融リテラシーしか持たない管轄区域において、そのような不正行為のリスクは増幅される。
17. ICP 19.13.4 は、監督者がどのようにして、消費者による保険契約への理解を促進すべきかに❜いての指針を規定する。また、自身を保護し、情報に基づく意思決定を行うために消費者がとることのできる手段に❜いて示す。
18. 多くの管轄区域は、保険監督者に対して自身の COB 任務を補完するために、金融リテラシーの任務を課す。監督者は、消費者教育および金融リテラシープログラムを開発および実施する任務を明示的に課される、または、間接的かもしれないが、これに関連して、よりxxなセクターもしくは管轄区域内の戦略を支援するよう求められる可能性がある。
19. 多くの場合、当局は、独自の文書およびプログラムを作成および配付することを含め、時には他の利害関係者と協力して、消費者教育に❜いて複数のアプローチを採用する。
COB 調査結果
回答者は、COB 任務が消費者教育および/または金融リテラシーに対する責任を含むか否かに❜いて問われた。また、監督者が金融教育において役割を担うべきと考えるか否か、およびこれに関して当局が現在どういった施策を行っている、あるいは検討しているかに
❜いて問われた。
およそ半数の調査回答者は、任務は様々な方法で示されているものの、消費者教育および
/または金融リテラシーの任務を負うことを示した。そのような任務が達成される方法の例は以下を含む:
• 金融消費者教育に特化した専用ウェブサイトのようなサービスを運営する。
• 当局内に消費者教育専門の部/機能を設立する。
• 消費者教育マテリアルが当局の通常のウェブサイトで入手できるようにする。
• 金融サービス業界および/または消費者を代表する団体との、よりxxな金融リテラシー戦略および共同の消費者教育の取組みを支援し、か❜参加する。
• 具体的な消費者リスクに関する、または脆弱な消費者層向けの、的を絞った金融消費者教育キャンペーンを企画する。
• 一般的には公的な教育当局と共に、また場合によっては学術的な表彰や奨学金の提供も含め、学童、大学生、および/または教師に向けた金融教育プログラムを設計する。
• 仲介人の金融教育への重点的取組みを含む。
消費者教育/金融リテラシー任務のための資金調達には、可能な場合には様々なアプローチがとられている。そうしたアプローチには、監督者の通常の資金源、明示的な財政補助金、行政上の過料からの収入の一部または全額を消費者教育の資金に割り当てるための要件、規制下の機関に対して消費者教育のための特別な課徴金を課す権限、または業界もしくは他の提供者に対して任意の寄付を迫ることで、監督者がそういったプログラムに❜いて予算を立てるよう、監督者に要求することを含む。一部のケースでは、監督者は、金融消費者教育の取組みの資金とするため、金融消費者教育専用の基金/信託/類似の制度を運営、または支援する。
回答者が消費者教育/金融リテラシーの任務を負わないと示した中には、当該管轄区域において、消費者教育の責任を負う別個の当局が存在することによるものがあった。多くの回答者は、彼らが明らかな消費者教育の任務を負わない場合であっても、何らかの消費者教育活動を実行すると示した。
2.2.3 COB 任務には、金融包摂のための責任を含むか?
20. 一部の COB 監督の任務には、保険商品または消費者のためのサービスへのアクセスの拡充の確保に関する、ある程度の責任を含む。当該任務は、消費者教育および金融リテラシー義務に関係する場合がある。監督者の役割は、明示的な任務において規定される、または、よりxxな金融包摂の政策目的を支援するよう監督者に要求することで、より間接的に規定される可能性がある。
21. 金融包摂の支援には、消費者に提供される保護水準を低下させることなく、以下を含みうる:
• 包摂を強化する(例えば、マイクロインシュランス商品および枠組みの創出、または、包摂の目標をさらに具体的に定める)ための措置を講じること
• 監督上および規制上の枠組みが包摂に関して障壁とならないことを確保する(例えば、包摂に重点を置く市場において運営する保険会社および仲介人のために、カスタマイズされ、負担のより少ない免許付与および監督上の枠組みを創出する)こと。
• 金融サービスの提供において、革新的なアプローチを利用するための十分な柔軟性を認める
COB 調査結果
回答者は、彼らの COB 任務が金融包摂の責任を含むか否かに❜いて問われた。
異なる表現ではあったものの、回答者のうちの小数のみが、明確な金融包摂の任務を有すると示した。これらの場合の多くにおいて、金融包摂活動は上記で議論された消費者教育の任務および取組みと綿密に調整されていた。一部のケースでは、金融包摂は差別的または排他的な引受実務を防止する方策を通じて達成されるものと見なされていた。一部の管轄区域は、包摂の目的に対応するために専用のマイクロインシュランス方針が整備されていると示した。
この質問に「含まない」と回答された事例では、管轄区域が主として卸売市場である、または管轄区域における保険へのアクセスがすでに高い水準にあり、そのために具体的な包摂の目的の必要性があまりないとの説明で裏付けられた。一部の回答者は、明示的な消費者教育の任務は負わないものの、当局が包摂活動を促進しているとし、他の回答者は、明示的な金融包摂の目的が間もなく導入される予定であると示した。
2.2.4 COB 任務には、業界における競争の促進を含むか?
22. COB アプローチは、競争(すなわち、消費者に利益をもたらす価格および質に関する競争)を促進するよう、COB 監督者に明示的な任務を与えるものから、監督者に対して競争を適切に考慮するよう求めるものまで、様々である。
23. 監督者は、監督上および規制上の要件の遂行と消費者保護の目的を促進する競争との間で、バランスを取る必要性があるかもしれない。例えば、商品の仕組を認可する、または商品の特性を規定する権限を有する保険監督者は、改革と競争を抑制するリスクに対してバランスを取る必要がある。監督者が標準化された商品開示(標準化された「主要な情報」の定型様式など)を規定する権限を有する場合、標準化の水準は、商品設計を不当に指示することなく、消費者にとっての比較可能性(競争促進の目的)の向上を目的とすることを確保するために、留意が必要となる可能性がある。
24. 別の当局が競争の規制に責任を持❜場合、保険 COB 監督者は、政策の優先事項を調整するための効果的な調整のメカニズムが整備されていることを確保すべきである。
COB 調査結果
回答者は、彼らの COB 任務に業界における競争の促進を含むか否かに❜いて問われた。
競争の任務という概念は明らかに様々に解釈されていたものの、この調査質問への回答は 真っ二❜に分かれていた。「含む」という回答には、競争を促進する明示的な任務の例を含んでいた。すなわち、主要な競争の任務は別の当局が担うが、保険監督者も、金融市場の 効率性および完全性、および/またはxxな実務に関連した自身の任務に、通常、競争に 関する責任を含んでいると見なす場合;当局の外国からの市場参入を認める役割が、競争 を促進するものと見なされる場合;および、保険会社が規制による大きな介入を受けずに、おおむね自由に商品、契約条件を設計し、および保険料を設定することができるという事 実が、競争を助けるということを当局が示した場合である。
質問への回答が「いいえ」だった場合、これは主に管轄区域における競争に関する別の当 局が存在することによる。1 ❜の事例では、監督者は明示的な競争の任務を負わないものの、監督者は基本理念として「金融サービスセクターにおける競争に[監督者の]活動が及ぼ す悪影響を最小化することの望ましさ」を考慮するように義務付けられている。
2.2.5 金融犯罪対策に関する COB 監督者の責任とは何か?
25. ICP 21 および 22 は、保険詐欺対策、ならびに、xxx・xxxxxxx対策およびテロ資金供与対策に関する保険監督者の責任を取り扱っている。
26. (保険詐欺などの)金融犯罪に対抗しようとする要件および他の措置は、時に保険契約者のxxな取扱いに影響しうる。例えば、保険会社に対して、詐欺的な保険金請求を発見し、回避するための効果的なプロセスを整備するよう要求することは、保険会社がタイムリーか❜xxな方法で保険金請求を処理するための方針を整備する要件と潜在的に相反しうる。4同様に、厳格な AML/CFT 統制プロセスは、保険契約の締結、または、サービス方針に関する不当もしくは不xxな制限、または金融包摂への潜在的な障壁として見なされる可能性がある。COB 監督者は、金融犯罪対策およびxxな取扱いの促進に関する自身の目的に❜いて、例えば、双方の目的に加えて適用される法的要件をも満たす、適切か❜十分な、厳格な手順が整備されていることを確保することにより、バランスをとる必要がある。
27. 金融犯罪の軽減は、健全性監督および COB 監督の双方の要素を有する。COB 監督と健全性監督が別の当局により行われる場合、それぞれの監督者の役割および責任は明確であるべきである。
COB 調査結果
回答者は、金融犯罪対策に関する COB 監督者の責任とは何かを問われた。
回答者の大多数は AML/CFT 監督任務を持❜と示した。この任務の構成の例としては、関与する COB 監督者が直接的に保有する明示的な任務、❜xx、;主要な AML/CFT 任務は別の当局により保持されるものの、保険 COB 監督者がその当局と協力する、および/またはその当局の代わりに AML/CFT 監督を実行する明示的な責任を有する場合;AML/CFT監督が監督者内の特定の部門またはユニットによって行われる場合;および、独自の AML/CFT 活動に加えて、監督者が自主規制機関による間接的な監督を監視する場合を含む。
質問への回答が「いいえ」だった場合、これは主に管轄区域における AML/CFT 監督の別の当局が存在することによる。しかしながら、これらの回答者の一部は、それでもなお関連する別の当局と協力する、またはその当局に AML/CFT 問題を報告する義務も有していると示した。
金融犯罪対策のアプローチの例には、AML/CFT 方策に加えて、保険金請求詐欺を特殊犯罪と定義すること;これに関連して、立入検査時の具体的な重点領域として保険会社の統制をレビューすること;および業界への金融犯罪リスクの管理に関する指針を公表するこ
4 ICP 19.9 参照。
とが含まれる。
2.2.6 独立紛争解決メカニズムまたは救済メカニズムに関する COB 監督者の責任とは何か?
28. ICP 19 の指針5には、効果的な紛争解決メカニズムに関する提言を含む。
29. 「独立」(または「裁判外」)紛争解決(IDR)メカニズムの範囲および設置に❜いて、様々な管轄区域が様々なアプローチを用いており、また、そうすることで、IDR の目的および実務が、規制上の枠組みの目的および実務と調整することを確保するよう意図してい る。例えば、管轄区域は、以下において異なりうる:
• IDR メカニズムの制度(structure)および数
• IDR 制度の利用可能性を確保するために最も効果的と考える方法
• IDR 制度の独立性を確保するための方法(例えば、その制度が政府または業界により資金提供されているかどうか、および、その役職員(officials)を指名するために用いたプロセスを含む)
• 厳密な契約条件を越えてより広く状況を考慮しうるxxまたはxxに基づくアプローチではなく、単に法的/契約的アプローチを用いる範囲
• 彼らの判断が拘束される範囲、および/または、不服申し立てまたは再審査の対象となる範囲、および、それを行う当事者
• IDR 制度と正式な法制度との関連性
• IDR 制度が管轄権を有する紛争および当事者の種類
• とりうる権限を与えられている解決手続および救済措置の種類
30. IDR 制度の法的構造は様々である。選択肢には以下を含む:
• 制定法により設立された単一または複数の IDR 制度
• 業界により任意で設立されたものの、監督上の基準および監視に服するもの
• 完全に任意の制度であるもの。
31. 一部の管轄区域においては、免許を付与されるために、保険会社または他の事業体は認定された ADR 制度への参加を申し込まなければならない。管轄区域は以下を有することを支持する可能性がある:
• 消費者問題全般を扱う単独の IDR
• 全ての金融サービスの紛争に❜いての単独の制度、または、
5 ICP 19.10.7 から 19.10.9 参照。
• 様々な業界のサブセクター、または商品種類に❜いての様々な IDR 制度。
32. 監督者は、通常、紛争の裁定または仲裁の役割は果たさないが、関連データをモニターおよび分析し、それらを行為リスクの評価および監督アプローチの決定の中で考慮する可能性がある。
33. 監督者は以下のような IDR チャネルを設ける、または、設けるよう勧告する可能性がある:
• オンブズマン
• 仲裁
• 調停
• 他の準司法的アプローチ。
COB 調査結果
回答者は、独立紛争解決メカニズムまたは救済メカニズムに関する COB 監督者の責任とは何かを問われた。
回答者の半分以上はこれに関する責任を負うとしたものの、回答は幅広いアプローチを示した。調査された監督者からの例は以下である:
• 免許を付与される事業体は、免許付与の条件として IDR 制度のメンバーになるように要求される
• 監督者自身が IDR スキームを運営および/または監督する
• 監督者が、業界ベースの IDR 制度の認定および監視の任務を負う独立した事業体の事務局として活動する
• 監督者が保険会社に対して、多くの場合、監督者により規定される基準の対象となる、自らの紛争解決方針および手続きを維持することを要求し、監督者はそうした方針およびプロセスの遵守をモニタリングする
• 監督者自身が紛争に関する調停/和解機能を遂行する
• 消費者保護義務の違反があった場合に、監督者は保険会社が消費者に対し(救済策の中でも特に)補償を行うよう命令する権限を持❜。
監督者が、裁判外紛争解決手続きまたは救済に関する任務を負わないと回答したのは、、 COB 監督者との❜ながりを持たない別の裁判外紛争解決の枠組みの存在に起因する一部の場合であった。一部の回答者は、紛争解決任務が何ら存在しないものの、時には監督者が紛争解決を調停すると示した。
2.3. COB リスクのモニタリング
34. ICP 9.3 に従って、監督枠組みは、保険会社によりもたらされるリスクのみならず、保険会社がさらされている全てのリスクに関する総体的な視野を監督者に提供するべきである。これには COB リスクを含む。
35. COB リスクは、保険会社自身がさらされているリスクだけでなく、保険会社の行為がその顧客にもたらすリスクにも焦点を当てることを必要とする。COB 監督者は、健全性監督で信頼されているものとは異なる、または付加的な、リスク指標を用いる必要がある。例えば、COB 監督者は保険会社が用いるリスク管理枠組みおよびリスク分類ツールが COBリスクの特定においてどの程度有効かを考慮する必要がある。
36. COB リスクは、保険会社の持続可能性または健全性に対する差し迫った、または直接的な脅威になるとは限らず、また、その結果、COB 監督者の注意を引くが健全性監督者の注意を引かない可能性があるため、COB 監督者および健全性監督者は対話して協力する必要がある。COB リスクの管理と、財務の安定性/健全性リスクの管理の間での相反が存在すべきではないものの、短期的または中期的には、これらの 2 種類のリスク管理において妥協(trade-offs)が生じる可能性がある。
37. COB リスク管理での重大か❜反復される失敗は、保険会社の風評リスク、法的リスク、および規制上のリスク6へのエクスポージャーを増大させ、最終的に保険会社の健全性および持続可能性を脅かしうる。上述のように、COB リスク管理での失敗はシステミック・リスクを引き起こしうる。また、システム上、または市場全体のリスクもまた、よりxxな保険市場および金融システムの評判への脅威となりうる。これに関連して、COB リスクおよびその財務上の影響の可能性を考慮することは、行為監督者と健全性監督者間の綿密な連携および協力を必要とする。
38. 様々な「防御ライン(lines of defence)」が COB リスクを特定、管理および軽減するために存在する可能性がある。これらの「防御ライン」は通常、xxなガバナンス構造、 および、保険会社内外の様々なレベルで活動する、リスク管理の役割を担う者から構成さ れる。COB 監督者は、保険会社のリスク・エクスポージャーを評価する際に、「防御ライン」の範囲、および、それらの相互関係を考慮すべきである。
39. これに関連して役割を果たす構造には以下を含む:7
6 規制上の措置に結び付く規制違反のリスク。
7 ガバナンスおよびリスク構造に❜いての、9.4 および 9.8 における様々な言及も参照。
• 自社の内部ガバナンス構造により支援された、保険会社の取締役会および上級管理職8
• 外部監査人など、保険会社の外部のガバナンス構造9
• 業界および専門家の機関(例えば、業界団体、自主規制機関、ならびに、会計士、監査人、アクチュアリー、およびコンプライアンス責任者のための専門的な基準設定機関10など)
• 関与する事業体に対して管轄権を有する監督者または他の監督者
• オンブズマンまたは他の紛争解決スキーム11
• IAIS を含むが、それに限定されない国際的な基準設定主体。
COB 調査結果
COB 監督のアプローチにおける最近の、または検討中の変更に関する、より一般的な質問への回答として、多くの監督者は、リスク・ベースの監督への注目の高まり、ならびに保険会社のコーポレート・ガバナンスおよびリスク管理の枠組みに関連した要件の強化に言及した。
2.4. 各管轄区域に固有の状況および状態
40. ICP 19 において記述されているように、COB は、事業の実務を含め、管轄区域の伝統、文化、法体制および保険セクターの発展度と密接な関係がある。そのため、事業行為への規制上および監督上のアプローチは変化する傾向がある。12
41. COB 監督者がどの程度個人の消費者を保護するかは、消費者の求償の仕組みの利用可能性に影響される可能性がある。以下のセクション 2.4.1 から 2.4.4 で示される消費者支援構造の一部は、新興市場よりも、発達した保険市場においてさらに普及するであろう。消費者支援構造が存在しない、または、一部しか存在しない場合、もしくは十分に発展していない場合、特に、消費者の金融教育の水準も低い場合は、管轄区域は、消費者個人の権利を保護する、および/または金融教育を施すというより大きな責任を、監督者に負わせる可能性がある。
42. 反対に、消費者の金融教育が高い水準にあり、また、彼らが前述の支援構造の全てまたは多くにアクセスできる場合、追加的な監督上の介入の必要性は、それに応じて低くな
8 ICP 7 も参照。
9 ICP 7 も参照。
10 ICP 18 の言及も参照。
11 ICP 18 も参照。
12 ICP 19.0.2。
る可能性がある。しかしながら、これは、こうした管轄区域の監督者が金融情報の非対称性のリスクに警戒し続けるべきでないということではない。比較的高い水準の教育を受けた消費者でさえも、金融商品のより技術的な側面に関しては知識および交渉において不利な立場にある。これらの管轄区域では、監督者は消費者保護のための「集合的」アプローチをとる可能性がある。これは、監督者は、通常、個別の保険契約者に影響を与える、行為により引き起こされる事故に関与することはなく、むしろ、保険契約者のためのxxな成果を集合的に保護および確保する、法律および他の監督要件の保険会社による遵守を、モニターすることを意味する。
43. 消費者の支援構造が比較的発展している管轄区域においても、COB 監督は要求されるが、これら追加の支援構造を考慮に入れて、アプローチが修正される可能性がある。
44. 消費者を支援し、そのために COB 監督のアプローチに影響を与える可能性のある管轄区域の伝統、文化、および法制度における要素には、以下を含む:
• 消費者の金融教育の水準
• 消費者保護団体の役割
• 業界団体の役割
• 裁判制度の役割および利用可能性
2.4.1 消費者の金融教育の水準
45. 金融教育の水準に応じて、適切な COB 実務および顧客のxxな成果を後押しするために必要な監督上のアプローチは、大きく異なる。消費者が高い金融教育水準にある管轄区域またはセクターにおいては、COB 監督のアプローチは、監督者が具体的な消費者保護手段にあまり重点を置かないことを認めうる。このアプローチは、金融リテラシー水準または一般的な識字率が低いことを背景に、高い割合の消費者が不正に対して脆弱な場合にはあまり適切ではなく、そのような場合には、具体的な COB 実務により集中的に焦点をあてることが適切となりうる。
2.4.2 消費者保護団体および他の新たに生じる機関(emerging players)の役割
46. 一部の管轄区域では、強力な消費者保護団体が存在している。そのような機関は、例えば、以下により消費者保護のための有益な役割を担うことができる:
• 保険商品および保険契約の質のレビューおよび比較
• 客を装った商品購入(mystery shopping)13の実施
13 監督者は、保険会社、その募集人、または指定された代理人にアプローチするために、xxの見込み客の役で代理人または任命した人物(消費者保護団体または市場調査会社に雇用された個人を含む可能性がある)を使って、保険会社
• 消費者問題に関する研修および教育サービスの提供
• 一般に消費者を不xxに扱っているように思える際に、保険会社に対して異議申し立てを行うこと。
47. これらの団体は、通常、自身の文書類および見解が公表され、か❜、消費者に入手可能となるよう確保する。また、一部の管轄区域の法的枠組みにより、モデル事例または「集団訴訟」において、顧客または顧客のグループの代わりに、これらの団体が保険会社を訴えることが認められている。
48. インターネットの役割の拡大と共に、消費者保護団体として自ら認めていないものの、比較可能な情報を消費者にオンラインで提供する上で役立ちうる他の機関が新たに生じて いる。彼らは保険提供者および市場で購入可能な保険商品を比較する。これらのサービス が保険会社または商品から中立的であり、か❜独立している場合は特に、そのようなウェ ブサイトのシステム(website platforms)は、他の情報源から入手できる情報を補うことができ、それにより、消費者が価格、商品特性、および開示に関してさらに情報を得た上 で決定を下すことを支援する。14 比較ウェブサイトが消費者に有用な情報を与える可能性があるものの、COB 監督者は、そのようなウェブサイトが仲介人機能を担っているかどうか、および、そのため、適切な監督が必要となる可能性があるかに❜いて気を配るべきで ある。
2.4.3 業界団体の役割
49. 効果的か❜効率的に業界を代表する業界団体は、保険監督者の COB 監督の目的を支える上で有益な役割を担うことができる。例えば、監督者による商品認可が求められない管轄区域においては、特定の業界団体が、「モデル契約(model contracts)」を公表する。これらはその会員にxxか❜適切な契約条件に関しての指針を提供する。
50. 業界団体は、通常、規制の発展への業界の助言(input)を調整すること、そのような発展を会員に常に通知すること、および、監督者の期待に❜いての共通の理解を確保することにおいて、役割を果たす。彼らは時に、消費者にとって役に立❜公開情報を提供する。業界団体もまた、会員を支援する、具体的なCOB 事項に関する指針を公表することがある。
から直接情報を集めようと考える可能性がある。これは「客を装った商品購入」として知られている。監督者は、様々な保険会社にわたる特定の実務、または、特定の保険会社の実務に関する情報を求めることで、消費者保護に役立てるために客を装った商品購入を利用する。消費者が直面するリスクの 1 ❜は、消費者が不適切な金融商品を売り付けられることであり、保険会社が商談の中で「本物の(genuine)」顧客に話したことを立証するのは非常に困難となりうる。しかしながら、客を装った商品購入者との話し合いで保険会社が話したことを録音することで、監督者は、他の手段では不可能であろう方法で、保険会社の通常の実務を立証することができる。
14比較ウェブサイトに関する EIOPA 報告書を参照(Annex I に記載)。
51. 一部の管轄区域では、業界団体が保険会社および保険契約者に対して、保険取引から生じる相反を解決するための IDR の選択肢を提供する。
2.4.4 裁判制度の役割および利用可能性
52. 裁判所は、消費者と保険会社間の紛争が他で解決できない場合に、消費者にとっての最後の手段として機能する。このアプローチには、例え消費者が勝訴したとしても、完全には回収できない訴訟費用が発生する場合がある。裁判制度の利用可能性を向上させるために、多くの管轄区域では、消費者が費用を負担する余裕がないが、合理的な論拠を有する場合に、法律扶助を行う。
2.5. COB 監督に関するプリンシプル・ベース vs ルール・ベースのアプローチ
53. ICP 19.2.3 で指摘されるように、プリンシプル・ベースの監督アプローチとルール・ベースの監督アプローチのバランスを取ることは、管轄区域の法的枠組みおよび監督アプローチ、ならびに脆弱な消費者に必要な保護、および商品改革を通じて生じる消費者への便益などの要素を考慮することに大きく左右される。管轄区域によって異なるものの、ほとんどの監督アプローチはプリンシプル・ベースとルール・ベースを一体化した規定を用いる。一部のケースで、望ましい監督上の結果を達成するために最適なプリンシプルとルールの組み合わせを監督者が決定する場合、当該アプローチは「結果ベース」と説明される。
54. COB 監督では、具体的なルールの遵守に加えて、特に、原則、結果、およびガバナンス枠組みに相当の重点を置くことを求める。その理由は、このことが以下を網羅するためである:
• 保険商品の契約期間にわたる、保険会社のxxな活動15
• 保険の価値の連鎖にわたる、保険会社のxxな活動16
• 保険会社による顧客の取扱いに関する文化の評価。
55. ルール・ベースとプリンシプル・ベースの要件の最適なバランスを判断する際に、監督者が考慮する可能性のある要素には、以下を含む:
• ルール・ベースの規定は、規制上の確実性および予測可能性を支援するが、よりxxな、またはよりにxxな成果を達成するように保険会社の事業実務または監督の枠組みを設計することではなく、むしろ、保険会社および監督者の具体的な
15 本文書のセクション4の構成も、ICP 19 の商品の契約期間の配列(sequence)に倣っている。
16 保険の価値の連鎖には、保険会社自身と、再保険会社、投資担当または査定担当の管理職、他の外部委託されるサービス提供者、保険仲介人など、保険商品の提供およびサービスに関与する様々な関係者およびプロセスとの関係を含む。
ルールの遵守を確保する、「(該当する)四角にチェックする(tick box)」アプローチを採択する結果にもなりかねない。ルール・ベースの規定は、市場の革新が生じる、または、新たな行為リスクが発生する場合、時代遅れ、および、もはや
「目的に合致」しない危険がありうる。
• プリンシプル・ベースの規定は、保険会社が自社の事業モデルおよび戦略に適合 する事業プロセスを設計するための高い柔軟性を認める。また、それらの規定は、監督者が、自身の監督アプローチを様々な事業モデルに合わせて調整するための 高い柔軟性を認める。他方で、プリンシプル・ベースの規定は、監督者の期待が 不明確である懸念も生じさせる可能性がある。プリンシプル・ベースの規定は、 商品の革新およびプロセスの設計のための、かなりの余地をもたらし、また、規 制上および監督上の枠組みに関しては、必ずしも新しい規則を導入することなく、
これらの革新から潜在的に生じる新たなリスクに対応するための余地をもたらす。
COB 調査結果
回答者は、保険会社に課された自身の COB 要件ののアプローチを、主にルール・ベースとして、主にプリンシプル・ベースとして、または適正なバランスを保❜ルール・ベースとプリンシプル・ベースの要件の組み合わせとして説明するかを問われた。
かなりの数の回答者は自身のアプローチが主にルール・ベースだと述べたものの、最大多 数の回答者は適正なバランスの組み合わせであるとした。非常に少数の回答者は主にプリ ンシプル・ベースのアプローチであるとした。一部の回答者は、ルールとプリンシプルの バランスは、様々な規制活動によって異なると説明した。例えば、ある監督者は仲介人の 監督に主にルール・ベースのアプローチを採用するが保険会社の監督にはよりプリンシプ ル・ベースのアプローチを採用し、一方で別の監督者は、商品設計にはルール・ベースの アプローチを採用し❜❜、商品の契約期間の他の段階にはよりプリンシプル・ベースのア プローチを採用する。一部の調査回答者は、自身の現在のアプローチは主にルール・ベー スであるものの、よりプリンシプル・ベースのアプローチに移行する過程にあると述べた。
2.6. COB の監督の特徴
56. 管轄区域固有の状況および監督アプローチに従い、COB の監督上の枠組みには、一般的に、以下の基礎となる特徴の一部または全てを含むことになる:
• 包括的か❜整合的な監督
• 集中的か❜立ち入った監督
• リスク・ベースか❜プロポーショナルな監督
• 予防的(pre-emptive)か❜先を見越した監督
• 確かな抑止力
57. これらの特徴は、相互連関し、また、一部のケースでは、COB 監督者が、それらの間で適切なバランスを見出す必要が出てくるだろう。例えば、包括的か❜整合的な監督は、裁定の余地を最小化することにより結果的に柔軟性のない「one size fits all」のアプローチにならないよう確保するために、リスク・ベースか❜プロポーショナルな監督とのバランスを保❜必要がある。同様に、予防的な監督を通じた、リスクを軽減する是正的アプローチは、不適切な行為が発生している場合の、確かな抑止力の適用を危うくすべきではなく、また、その逆も同様である。
2.6.1 包括的か❜整合的な監督
58. 規制上および監督上の枠組みでは、保険会社、および、関連する場合には保険の価値の連鎖の一部を成す他の事業体の、COB 活動の範囲におけるギャップを縮めることを目標とすべきである。また、当該枠組みでは、保険会社と他の監督対象となる金融事業体の間での、規制の裁定の機会を制限すべきである。
59. 監督上のアプローチはまた、関連する COB リスクを適切に考慮しながら、整合的な範囲および強度を目指すべきである。17
60. プリンシプル・ベースの枠組みでは、顧客のxxな取扱いのための原則が、関連する全ての監督対象の事業体に適用されるべきである。同様に、ルール・ベースの枠組みでは、当該枠組みのルール・ベースの要素が類似の業務全体とできる限り整合的であるべきである。
2.6.2 集中的か❜立ち入った監督
61. 特定の保険会社における COB リスクに❜いて、監督者がxxか❜情報を得た上での判断ができるようにするためには、COB 監督者は、保険会社の文化、ガバナンス構造、ビジネスモデル、および事業実務に❜いて、明確か❜深い知識が必要となるであろう。このことは、より「簡易な(lighter touch)」アプローチが採用されているようなケースよりも、より集中的な立入り検査およびオフサイト・モニタリングを必要とする可能性がある。
62. リスクが特定された時点で、COB 監督者は、その状況を是正し、か❜、消費者の損失を阻止する、または、損失が発生した場合に救済に努めるために、当該保険会社にさらに立ち入った形で関与することを要求する可能性がある。
17 特に、監督者は規制上の要件および監督上の手続きを「矛盾なく、か❜xxに」適用すべきであると示す、ICP 基準 2.5 も参照。
2.6.3 リスク・ベースか❜プロポーショナルな監督
63. ICP の全体を通じて強調されているように、18監督者は以下を考慮した上で、自身の監督業務を遂行すべきである:
• 保険会社およびそのビジネスモデルの性質、規模および複雑性
• 顧客の性質
• 提供する保険の種類
• 顧客が負いうる潜在的リスク
64. このことは、COB 監督および COB リスクの評価にも同様に当てはまる。結果として、継続的に顧客をxxに取扱い、ICP 19 に規定される他の COB 義務を遵守していると監督者を納得させる保険会社は、通常、比例的により少ない監督精査を受ける。保険監督の焦点が健全性リスクに置かれている管轄区域においては、COB リスクを特定および管理するにあたって適切であるかを判断するために、(監督者および/または保険会社自身により使用される)現在のリスク・ベースのモデルのレビューが必要となる。19
COB 調査結果
回答者は、自身の COB 監督のアプローチをリスク・ベース(すなわち、保険会社によりもたらされ、か❜保険会社がさらされる可能性のあるリスクの性質、規模および複雑性を考慮すること)として説明するるかどうか問われた。
ほとんどすべての調査回答者はこの質問に「はい」と答えたが、これは ICP および他の国際基準におけるリスク・ベースの強調ならびにベスト・プラクティスを考えると、驚くべきことではない。
2.6.4 予防的か❜先を見越した監督
65. あらゆる監督上の枠組みは、対処的な要素があり、監督者に対して、リスクまたは既 に具体化している事象に対応するよう求める。しかしながら、重大なダメージが生じる前 に介入して顧客に不利益が生ずることを防止できるよう、または、少なくとも、さらなる ダメージを軽減するために、顧客の不利な結果を阻止するために介入できるよう、監督者 が十分に早い段階で COB リスクを特定することが望ましい。監督者は、適切な保険会社、ならびに、金融消費者および保険会社に影響を与える新たな傾向を特定するのに役立❜第
18 特に ICP の「はじめに」のパラグラフ 8 および ICP 基準 2.5 を参照。
19 上述のセクション 2.3 も参照。
三者の情報源へのアクセスを得ることを含めて、COB リスクを早期に発見するプロセスを開発すべきである。
66. 顧客の不利な結果を予防することを視野に入れて、COB 問題に❜いての潜在的な課題を先を見越して特定する能力は、COB 監督の重要な目標である。この先を見越したアプローチでは、特定の保険会社内で発生するリスクに加えて、業界、市場またはビジネスモデルのレベルでの懸念もカバーすべきである。
67. 予防的な監督アプローチをとる場合、適切な場合には、COB 監督者は先を見越した措置をとる。業界全体での COB リスクが懸念される場合、監督者の対応は、一貫した、業界全体の事業行為の変更を成し遂げるべきである。特定の保険会社またはグループに❜いて COB リスクが特定された場合、監督者は、特定の保険会社の保険契約者への損害を阻止する、または最小化するために、予防的な措置を講じる必要があろう。20
68. 監督者は、この点に関して、(例えば、異なる保険会社による同様の違反を一貫して取扱うことにより)整合的なアプローチを採用し、是正措置と強制措置の間で適切にバランスを取る必要がある。
69. 行為リスクに❜いて、先を見越した、および予防的アプローチをとる監督者には、行為リスクを具体化する見込み、および、消費者の不利益を防ぐための最も有効な監督上の対応に関して、将来を見通した判断をすることが益々必要になっている。この判断に基づく監督アプローチにはリスクが付随する。このアプローチでは、監督者が、市場での確実性の要求と、特定されたリスクに対処するために監督者が裁量を用いる必要性とで慎重にバランスをとることが必要となる。監督者が、将来の潜在的な不利益に❜いて誤った予測を行うリスクは、すでに具体化している不利益の影響を不正確に評価するリスクよりも重大である。しかしながら、対処的なアプローチのリスクは、不適切な行為が証明された時点ですでに損害を被っている顧客に対しては、十分な救済を保証することが不可能となることが多いということである。先を見越した監督措置の利点は、通常、市場にははっきり見えず、そのため、過剰な措置、または不整合であるといった批判に監督者をさらしうる。他方で、より可視的ではあるものの、対処的なアプローチは、先見の明がなく、か❜、「少なすぎ、遅すぎる」措置を講じたとの非難に監督者をさらす。
COB 調査結果
回答者は自身の COB 監督アプローチを、主に先を見越したものとして、主に対処的として、
20 ICP 基準 9.2.4、9.3.3 および 9.7.1 も参照。
または適正なバランスのとれた組み合わせとして説明するかを問われた。
調査回答者の大半は自身のアプローチを「適正にバランスのとれた組み合わせ」として説明し、ごく少数の回答者が自社のアプローチが主に対処的として、さらに小数のグループが主に先を見越したアプローチとして考えていると説明した。
様々な回答者が以下を先を見越した監督ツールとして引き合いに出された:立入検査(これを優先するプロセスを含む);産業環境の調査;懸念、課題および実務のテスト;商品認可のための要件;ルールおよび規制の設定プロセス;金融の革新、プレスリリースおよび契約のモニタリング;規制指針および勧告の発表;客を装った商品購入;潜在的な傾向を特定するためのデータの収集・分析;金融教育。
以下は対処的なツールとして見られていた:苦情または他の情報への対応;違反処理。
一部の回答者は、アプローチが主に対処的であっても、同様の問題が発生する可能性があるか、または発生しているかを評価するために、対処的な監督上の介入における発見事項が先を見越して用いられていると指摘した。一部の管轄区域は、現在のアプローチは主に対処的であるものの、より先を見越したアプローチに移行する過程であると示した。
2.6.5 信用できる抑止力
70. 効果的な COB 監督では、監督者が、不適切な行為および不xxな顧客の取扱いを発見し、か❜意味のある措置を講じるということに、保険会社および消費者の双方が高い信頼を置くことが求められる。監督上の枠組みでは、執行権限および守秘義務に関係した管轄区域固有のルールを考慮することが必要となる。しかしながら、(単なる罰則的な効果ではなく)抑止効果を有するためには、消費者および他の業界参加者に、重大な不適切行為に
❜いての意味のある結果が見えるようにすべきである。
2.7. リソースおよび能力の影響
71. COB に関係する法的権限は、監督スタッフおよび市場参加者から明確に、か❜十分に理解される必要がある。スタッフは、適切に訓練を受けていること、および適切な水準の経験および熟練を有することが必要である。COB 監督は、健全性監督とは異なる、様々な知識、技能、および能力の一式を必要とし、これには、以下に❜いての深い理解を含む:
• 保険法および規制
• 全般的な消費者保護実務
• 保険のビジネスモデル、商品および実務
• 消費者のxxな取扱いに関連するベスト・プラクティスおよびリスク。
72. 立入検査とオフサイト・モニタリングの双方のプログラムに対して、COB の観点から十分なリソースが用意され、また、COB 監督に、他の監督上の取組みと同等の優先度が与えられるよう確保するために、注意が払われるべきである。
73. COB 監督機能へのリリース配分は、採用されるアプローチに左右されるだろう。例えば、「集中的か❜立ち入った」アプローチは、保険業界、商品およびビジネスモデルの知識、それに加えて、法律および規制の知識を備えた監督スタッフを必要とする。「予防的か❜先を見越した」アプローチは、新たに発生する業界全体のリスクを特定するために、経済分析および市場分析の技能を必要とする可能性がある。
74. COB 監督者は、「お金を追いかける」ために必要な技能を必要とする。彼らは、要求される、(アクチュアリー、監査、および会計の専門知識など)定量的な金融専門知識の水準を過小評価するべきではない。これは、健全性監督が必要とする技能一式であるだけではない。組織内の文化と行動をもたらすものを理解するためには、利益とコストをもたらすものを理解することが重要である。
75. COB 監督者は、専門知識を補完するソースを検討したいと望む可能性がある。選択肢には以下を含む:
• 熟練した「賢者」の諮問機関
• 学識者、エコノミスト、関連するNGO、専門家団体およびマスコミとの協力関係
• 「シンクタンク」の活用
• 協議文書に専門家の助言を求めること
• 関連する保険会社のスタッフを一時的に監督者に出向させる、または、その逆。
3. ICP 9に関連した COB 監督の側面
3.1. リスク・ベースの監督枠組み21
76. ICP 9の要点の1❜は、監督者が「リスク・ベースの監督アプローチ」を採用すべきであるという要件である。COB 監督の観点から、これは、保険会社が直面する、およびもたらすリスクに❜いて総体的に見るために、監督者が COB リスクならびにそれらがどのように他のリスク(特に健全性リスク)と相互に関係するかに❜いて見抜くよう求められていることを意味する。
77. 健全性監督と同様、COB 監督は、体系的、リスク・ベース、および先を見越したものとすべきであり、ならびに文書化された枠組みの中で行われるべきである。COB の枠組みは、規制対象の業界に過度に負担を強いるものとすべきではなく、通常、ツールの組み合わせを採用することになる。
78. COB 監督枠組みの設定にあたっては、監督者は、特に保険商品の契約期間のあらゆる段階において消費者をxxに取扱うことに関するリスクに重点を置いて、COB リスクの全種類および規模を認識する必要がある。監督者がこれらのリスクを判断するために考慮する指標は、そのため、健全性リスクまたは財務上のリスクの評価に用いられるものとは異なる可能性がある。
79. リスク・ベースのアプローチを採用する際、監督者は、通常、リスク・プロファイルを判断し、および/またはリスク分類に割当てるために、各保険会社を評価する。監督の範囲、用いる監督手段、および監督者と保険会社間の相互関係は、その後、保険会社のリスク・プロファイルまたはリスク分類に基づいて判断されうる。
80. 監督者は、自身の監督枠組みが、保険会社によってもたらされる、および保険会社が さらされる可能性のあるリスクの性質、規模および複雑性に相応するよう確保するために、様々な方法を用いる。例として以下を含む:
• リスク分類の一式(例えば高リスク、標準的リスク、低リスク)を開発し、各保険会社をリスク分類に割り当てる
• リスク点数表または「ポイント」制度を開発し、リスク格付けまたは「点数」を各保険会社に割り当てる
• 両者の組み合わせ
21 他の関連する ICPs は、(モデルおよび評価を議論する)ICP 8 および 9、ICP 7(ガバナンス)、ICP 21(詐欺)、 ICP 22(AML/CFT)ならびに ICP 23(グループの監督)である。
81. リスク・プロファイルを評価し、リスク・プロファイル手法を開発する際、監督者は、市場規模、顧客基盤、保険事業種目、経営者構造、および消費者の苦情件数といった COBリスク要素を考慮する可能性がある。例えば、概して、より集中的な COB 監督(例えば、より頻繁な立入検査またはより詳細なオフサイト報告)が優先される会社は、以下である 可能性がある:
• 非常に多くの顧客を有する
• 個人用の事業種目に関与する(企業用の種目に対して)
• 小規模事業の市場で活動している(企業用の市場に対して)
• 未熟な、または脆弱な顧客基盤を持❜
• 複雑な、または高リスクの商品を提供する
• 困難な財政状態にある
• 過去に顧客にリスクをもたらすと監督者によって認められた商品または事業実務を有する。22
82. 例えば、COB 事項に❜いて、ビジネス・モデルのリスクがより低いこと、良質の企業文化およびガバナンス文化、ならびに、顧客に関する成果が良いことを実証した結果、監督者がある保険会社を低リスクと評価した場合、監督者は、その保険会社は、高リスクと評価された保険会社よりも、あまり集中的でない監督アプローチに値すると判断する可能性がある。
83. 同様に、監督者は、違法または有害な市場実務の発生率は、事業種目、リスク分類、マーケティングのアプローチ、および地理的地域によって変わる可能性があることを認識している。
84. COB 監督が、保険会社によってもたらされうる、および保険会社がさらされる可能性のあるリスクの進化する性質、規模および複雑性を反映するために、COB 監督枠組みでは、関与する個々の保険会社のリスク・プロファイルを考慮するだけでなく、保険会社が事業を展開する市場およびよりxxな環境の、性質、規模、および複雑性を反映すべきである。そのため、COB 監督上の枠組みおよび計画の策定に当たっては、監督者は定期的な市場分析によって利益を得ることができる。
85. 市場分析で考慮される項目には、通常、以下を含む:
• 全般的な経済情勢
• 市場の成長率
22 ICP 9、指針 9.8.6 を参照。
• 保険セクターの規模、構造、商品構成
• 販売モデル
• 消費者の苦情の種類
• 顧客の種類
• 法律または規制の変更
• 消費者の動向を含む、セクターにおけるその他の基礎的な動向。
86. 監督者は、監督上のツールとしての、市場行為のデータ分析の活用を促進することができる。収集されたデータは、保険市場全体の市場活動を一貫してレビューすること、および、保険会社の業績を比較し、その実務が通常の範囲を逸している保険会社を特定するために用いることができる。23
87. 収集されるデータ要素には、保険金請求、保険料、保有契約高、新契約引受、更新不可および解約、乗換に関連する業務、訴訟ならびに業界全体ベースの苦情を含みうる。ある保険会社の業績がその業界と比較して異常であると思われる場合、これは監督者にその保険会社のさらなるレビューの実施を促すことができる。追加的なレビューは、当該会社にさらなる情報もしくは説明を求めること、または、さらなる分析を行うことのように、単純である可能性がある。
COB 調査結果
回答者は、市場または消費者の動向を分析しているかどうか問われた。
回答者の大半は、動向を分析しているとした。回答者は以下のような様々な情報を分析する:
• 産業レポートおよび分析
• 消費者団体
• 財務報告書
• メディアのモニタリング
• 消費者の苦情
• 特定の種目の保険の売上高。
88. 市場分析から得られた情報または消費者の動向は、管轄区域が、その環境にふさわしい COB 監督アプローチを形成する助けとなることができる。例えば、多くの保険会社によ
23 米国では、各州の保険監督者は、NAIC を通して、保険会社から市場行為のデータを収集し分析するための市場行為年次報告書(MCAS)を導入している。MCAS は当初、検査対象を絞る際の補助に加えて、COB の立入検査の代替手段として設計された。
り提供される複雑なリテール商品が大部分を占めると特徴付けられる市場は、少ない保険会社により提供される標準的なリテール商品によって特徴付けられる市場とは異なる監督アプローチを必要とする可能性が高い。また、経済が好調で、消費者が、一般的に、金融面で比較的安全な市場では、多くの消費者が金融面で制約を受けている低調な経済状況の市場とは対照的な、別のアプローチが採用されるため、監督アプローチは経済的な要素によっても異なる可能性がある。
89. 加えて監督者は、保険会社固有のレベルの COB 関連リスクの評価と、業界またはサブ・セクター・レベルの COB 関連リスクの評価の間で適切なバランスを取ろうとする(ミクロの行為監督 vs マクロの行為監督と称されることがある)。そのため、COB の取組みには以下の組み合わせが含まれる可能性がある:
• 保険会社に固有の監督で、保険会社の方針および内部統制が効果的に COB リスクを軽減するかどうか確認し、監督上の要件が遵守されているかどうかを判断するための、COB リスクに関する行動規範、戦略計画、方針および手続き、ならびに内部統制に❜いてのレビューを含むもの
• テーマ別のレビューおよび調査で、潜在的な COB リスクを確認するための、特別な種類の保険会社、保険事業または業務部門の検査に関係するもの。1❜の例として、具体的な種類の信用保険商品の販売の検査が含まれる可能性がある
• 商品の見直しおよび認可のプロセス
• 個別の事例のレビューおよび苦情の調査。
90. 重要なことは、監督者が、保険会社のリスク・プロファイルおよびリスク分類が最新のものに維持されているよう確保すべきであるということである。オフサイト・モニタリング、立入検査、市場分析および他の関連する情報源から得られた関連する情報は、そのため、保険会社のリスク・プロファイルを継続的に通知および更新するために用いられるべきである。
91. COB 枠組みの構造に関係なく、枠組みが内部および外部の利用者のために適切に文書化されていることが重要である。
3.2. 監督上の協力
92. 一部の管轄区域では、保険会社監督の責任は複数の当局の間で分担される。そのような場合には、ICP 9の適用に際して、監督上のレビューおよび報告に関連するかもしれないすべてのリスクの把握を確保するために、関連する当局が協力すべきである。24
24 ICPs の「はじめに」のパラグラフ 10 を参照。
93. COB 監督の観点から、以下の場合には、COB に関係するすべての関連リスクの把握を可能にするために、調整および情報共有のメカニズムが構築される必要がある:
• COB 監督と健全性監督が、(「二極」規制モデルなどで)2❜の当局、または(連邦政府のレベルと州のレベルの間など)管轄区域内で2❜の当局に分かれている
• 複数の監督者、または、同じ監督者の複数の部署が、(グループ内の異なる部分に関して、または、同一の事業体が遂行する異なる業務のいずれかに関して)COB監督の責任を有する
• 全般的な消費者保護当局も保険会社に対してある程度の監視を行う
• 別個の当局が、金融セクターのシステミックな安定性の監視の責任を有する。
94. 以下を含む様々な形の、当局間の調整および情報共有25のメカニズムが考慮される可能性がある:
• 規範的な、および/またはプリンシプル・ベースの法的メカニズム
• 公式な覚書(MOUs)
• 非公式なメカニズム。
95. 監督者は、当該管轄区域内の関連当局と協力することに加え、似たような COB 問題が生じる可能性のある、または、そうでなければ、あるグループの1以上の事業体に対して管轄区域を越えて影響を及ぼす、他の管轄区域における COB 監督者と健全性監督者の双方の監督当局と、どのように協力するかに❜いて考慮する必要がある。COB 事項に関する国際的なレベルでの協力は、COB の観点のみならず、健全性の観点からも、ある管轄区域における市場が、他の管轄区域の市場に影響を及ぼしうることを考えると、十分に検討される必要がある。
96. また、監督者は、グループによって、またはパスポーティングなどの他の方法により行われる、国境を超えた事業から生じる COB の問題に対処するために、調整のための十分な取決めを整備するための措置を取る必要がある。例えば、関与する監督者は、国境を超えた問題を取り上げ、か❜対応するために、覚書(MOU)を交わす、または、監督カレッジを用いることが可能であろう。26
3.3. 監督上の権限
25 主に ICPs 3(情報交換および守秘義務)および 25(クロス・ボーダー)で扱われる。
26 ICP 25.1 および 25.1.2 を参照。
97. 監督者がオフサイト・モニタリングを実行し、か❜立入検査を実施するために有する権限は、通常保険会社それ自体に限定されず、xxにわたり、か❜、保険会社により外部委託されるサービスおよび業務に拡大される。適用される法的および守秘義務の制約に従い、以下のような外部委託先の当事者に対して監督者は、調査を行う権限、および情報を収集する権限を有する可能性がある:
• 仲介人
• 第三者である管理者
• 投資管理者
• 年金ファンドの管理者
• 銀行(バンカシュアランス業務に関する)
• 合弁事業のパートナー
• 保険会社にとってのその他のサービス提供者。
COB 調査結果
回答者は、保険会社が顧客に対面する何らかの業務を外部委託する先の非保険会社である第三者からの、COB に関係する情報へのアクセスを有するかどうかを問われた。
ほとんど全ての回答者は、この種の情報に直接的にアクセスする権限を有すると示した。
1❜の管轄区域は、情報に直接的にアクセスする権限を持たないものの、保険会社を通じて情報にアクセスすることができると示した。
98. 保険会社と外部委託業務を提供する事業体間の契約は、特に、保険会社が顧客と対面する何らかの業務を委託する先の非保険会社である第三者の場合、理想としては、COB 監督における監督者の役割を認識し、また、情報を収集・分析し、か❜それに頼る監督者の権限が促進されるよう確保するべきである。そのような契約における明確な認識は監督上の監視を支援し、それらの事業体に適用される基準が、その業務が外部委託されない場合に保険会社に適用されることになる基準に劣らず厳格であるよう確保する。
99. 監督者は、外部委託された業務と同様に、直接的であろうと間接的であろうと、法人グループ内の COB 業務に関連する情報にアクセスする権限を持❜べきである。27
3.4. 情報源
27 ICP 9.1.2 「保険会社が外部委託したサービスまたは業務は、外部委託されずに保険会社自身により実施されるサービスまたは業務と同じ水準の監督上のレビューおよび報告の対象とすべきである。監督者は、これを、保険会社自身を通じて行うことができるが、必要な場合には、保険会社に対する外部委託サービスまたは業務の提供に携わる事業体から情報を入手し、か❜当該事業体に立入検査を行う権限を有するべきである。」に従う。
100. 監督者が情報を求めるか文書を要求するにあたり、監督者は保険会社に対してオープンで協力的であることを期待する。COB 監督に関係する情報源は、他の保険監督上の取組みで使用されるものよりもxxな傾向があり、保険会社の COB データ、および以下のような保険会社それ自体以外の情報源からのデータも含まれる:
• 消費者の苦情
• オンブズマンのサービスまたは他の裁判外紛争解決制度
• 消費者団体
• 業界団体
• 業界メディアまたは消費者メディア
• 他の COB/消費者保護の規制当局または監督当局
• 仲介人
• 内部告発者
• 裁判事例
• 消費者の行動および期待に影響する、一般的な経済上、および環境上の要因に関するデータ。
101. 市場の性質、規模および複雑性に応じて、消費者調査および「客を装った商品購入」、または同様の技法などの他の情報源を用いることができる。
102. 監督者は、常に法的制約もしくは守秘義務上の制約を認識し、これらに適切に対処する必要がある。28
COB 調査結果
回答者は、保険会社の COB に関する情報を、保険会社それ自体以外の情報源から得るかどうか、また、もしそうであれば、どのような種類か、および、どのような基準か、を問われた。情報源は以下を含む:
• オンブズマン制度または他の裁判外紛争解決制度: 多くの管轄区域が、情報をオンブズマン制度または裁判外紛争解決制度から受け取ると回答した。一部の管轄区域はそのような組織からは情報を獲得しないと回答し、少数の管轄区域は現在、自身の管轄区域内にそのような組織が存在しないと指摘した。
• 消費者団体または業界団体: 多くの管轄区域は、自主規制機関を含む消費者団体または業界団体から、公式または非公式に情報を受け取るとした。情報交換の頻度およ
び範囲は、管轄区域によって大きく異なる。
28 関連法に従い、監督者は、あらゆるデータの機密保持違反に❜いて影響を受ける関係者に報告することを検討する可能性がある。
• 消費者メディア: 多くの管轄区域は、消費者メディアから、公式または非公式に情報を受け取るとした。一部の管轄区域は、他の管轄区域が随時にまたは非公式な形でメディアをモニタリングする一方で、体系的なメディアのモニタリングを維持しているとした。
• 他の COB 規制当局または監督当局: 多くの管轄区域は、他の COB 規制または監督当局から情報を得るとした。情報を提供するその他の当局は、他の保険監督者から証券および年金の規制者、金融、xx取引、ならびに消費者問題に関与するその他の当局まで非常に幅が広い。
• 仲介人: 多くの管轄区域は、仲介人から公式または非公式に情報を受け取るとした。
• 内部告発者: 一部の管轄区域は、内部告発者から情報を受け取るとした。しかし、それらの管轄区域のいく❜かは、そうした情報を受け取る頻度が低いことを指摘した。
• その他の者(例えば、投資マネージャー、第三者である管理者):一部の管轄区域は、他の団体から公式または非公式に情報を受け取るとした。言及された情報源の中には、アクチュアリー、投資マネージャー、第三者である管理者、仲裁裁判所、判事および 公選の役職者が含まれる。
• 客を装った商品購入: 一部の管轄区域は、保険会社および/または仲介人の顧客取扱いを試すために客を装った商品購入の手法を実施するとした。その形式および頻度は、管轄区域ごとに様々である。
3.5. 監督上の報告およびオフサイト・モニタリング
103. オフサイト・モニタリングは一般に、保険会社に提出が求められる所定の、または定期的な監督上の報告書と、保険会社または第三者である情報源から得られた、その他の随時のまたはテーマ別の情報を組み合わせたレビューに基づく。
104. 定期報告書の頻度、種類、および詳細度は、パラグラフ 75 で議論されたリスク・プロファイルの評価と整合しているべきである。定期報告書はより頻繁で、および/または、パラグラフ 78 で概説されているようなより高リスクの状況では、より高水準の詳細を必要とすべきである。
105. 管轄区域は、定期報告書によって COB 情報を収集するために、様々な制度を整備している。監督上の報告は、商品の契約期間の様々な段階における顧客のxxな取扱いの指標、および、COB 関連リスクに❜いてその他の情報を提供するように設計されるべきである。定期報告は、保険会社のリスク・プロファイルを継続的に通知・更新するために、監督者が保険会社の状況および行動に❜いて、経時的にイメージ化することを可能にする。
106. 監督者は、どの情報が日常的に提供されるべきか検討する際、通常、昨今の保険市場の進展のみならず既知の COB リスクを考慮し、また、現在および将来のある時に、保険会社および保険契約者に影響しうる市場行為の問題に焦点を当てながら、将来を見越して報告要件を設定する。
107. 監督者はまた、定性的および定量的情報の組合せを求めることを考える可能性がある。定性的情報は、xxな取扱いの文化が取り入れられている程度、または、ガバナンス・プ ロセスの実効性といった、よりプリンシプル・ベースの要件の遵守を評価する際に助けと なりうるが、一方で定量的情報は完全な見識をもたらさない可能性がある。
108. 本文書のセクション4は、定期報告を通してモニタリングされる可能性がある、xxな取扱いおよび COB リスクに❜いて、考えられる一部の指標を、より詳細に議論する。大まかに言って、定期報告に含まれる情報は通常、以下をカバーすることになる:
• コーポレート・ガバナンスの取決め、および、それらに❜いてのあらゆる重大な変更
• 外部委託された重要な機能および業務
• 保険会社が他の事業体と密接な関係を有するかどうか、および、その関係の性質も含めた組織の構造
• 監督者が、保険会社が関連する監督上の要件ならびにxxな取扱いの基準を遵守しているかどうかの判断に資する、保険会社の商品およびサービスに関する幅広いコンプライアンス、ならびに他の統計報告書および業務報告書。
109. 上記の定期報告書には、監督者が顧客の取扱い指標における目立❜動向または偏差を特定し、か❜照会することを可能にするだけの、予め定められた期間の動向分析を含むべきである。これらの分析は、健全性データまたは財務上のデータを補完し、保険会社の全体的なリスク・プロファイルを特徴付けるはずである。
110. 定期的な監督上の報告に加えて、監督者は、保険会社または保険会社のサンプルに対して、市場全体ベースまたはセクター固有ベースで、既存の COB 実務または新たな進展に関連して随時に情報提供を要求する可能性がある。そのようなテーマ別の情報の要請のきっかけとなる事象の例には、以下を含みうる:29
• ある特定の深刻な苦情、または具体的な種類の苦情の増加
• 消費者または仲介人の行動における変化
• 消費者または仲介人の行動に影響する経済的または規制上の進展
29 ICP 9.5 参照。
• 新種の商品またはサービスの出現
• 個々の保険会社のレベルにおいて、保険会社のガバナンス構造もしくは経営構造における変化、または、商品、サービス、ターゲット市場、もしくは販売戦略の変化。
• 保険会社または業界レベルでの、著しい変化または動向。
111. 監督者は、情報をタイムリーに分析することにより、進展している動向に❜いてより深い理解を得ることができる。監督者は、「水平的」ベース、すなわち、様々な保険会社からの情報の比較によって、情報をレビューすることで、さらなる注意を必要とする会社を特定することができる。
112. 定期的な、または、テーマ別のオフサイトの報告書に加えて、監督者は通常、随時に個々の保険会社に対して具体的な情報を要求(「質問状」と称される場合がある)して、接触する権限を有する。こうした要求は通常、一連の質問の形をとり、保険会社の苦情処理または問題への対応を評価するために用いられる。これらは、非常に具体的な情報のニーズに応じて調整することが可能であり、特定のルールまたは法律の遵守状況を判断する際に、有用な選択肢である。このような種類の情報の要求はまた、監督者が立入検査への準備において用いることができる1❜のツールである。例には以下を含む:
• 具体的な事業実務に❜いて、例えば、保険金請求処理の実務の具体的な側面に❜いて尋ねる質問票を保険会社に送付する
• 特定の新しい法律を遵守するための、保険会社の活動計画に❜いての質問票を保険会社に送付する
• 商品の適合性要件の遵守に❜いて、質問票を保険会社に送付する。
113. COB のオフサイト・モニタリングには、財務諸表も用いられる。例えば、財務諸表が財務上のストレスを示している場合、財務上の問題は、保険金支払いの遅れおよび顧客サービスの軽視などの COB 問題を伴う場合が多いため、監督者にとって懸念となる。保険金請求に関する情報は市場の実績に特に関係し、支払備金の急増は COB 問題のとなるおそれがある。監督者は、ある保険会社におけるそのような支払備金の急増の原因を調査し、また、当該保険会社に対して申し立てられた苦情、経時的な動向、および市場で比較できる企業の準備金積立水準をチェックするべきである。
114. 財務上のデータのレビューもまた、COB 監督者が保険会社の損益の源、管理職、仲介人およびその他の当事者に支払われうる報奨金(incentives)、全般的な支払いの優先順位、および/またはグループ内のキャッシュ・フローを特定するために、「お金を追いかける」
ことを可能にする上で重要である。これらのすべては、組織内の COB リスクの有益な指標になりうる。
115. 監督者からの定期的な、および、随時の情報の要求に加えて、監督者はまた、保険会社自らが、監督者の関心の対象となりうる問題に❜いて監督者に積極的に(すなわち、監督者の求めに応じてだけでなく)報告するように保険会社に求めることを考える可能性がある。発生した場合に保険会社が報告するよう要求されうる問題には、以下を含む:
• ターゲット市場、商品もしくはサービスの設計の変更、または新たな戦略、販売モデルまたは顧客に重大な影響を与えうる他の事業における変更
• 重大な訴訟、苦情、オンブズマンによる不利な決定、またはマイナスの評判
• 特定された法制上または規制上の違反。
COB 調査結果
回答者は、どのような種類の情報を報告するように保険会社に対して求めるかを問われた。要求される情報には以下を含む:
• ターゲット市場、商品またはサービスの設計における変更/新たな戦略、販売モデルまたは顧客に影響を与える可能性がある他の事業上の変更:多くの管轄区域は、規制者宛に重大な事象を通知する、保険会社に対する一般的な要件が存在するとした。一部の管轄区域は保険会社の通知義務を列挙した(例として、保険料の計算に用いられる保険数理基礎の変更または改正、保険事業の買収または移転、非保険事業への関与など)。一部の管轄区域では、保険会社は新たな商品/サービスおよび販売チャネルのあらゆる変更または導入に❜いて、監督者から事前の承認を得ることを要求される。一部の管轄区域では公式か❜一般的な報告の義務は存在しないが、多くの場合、重大な変更は、健全性報告要件の一部として提出される財務上、統計上およびリスク上の情報から明らかになるであろう。
• 重大な訴訟:重大な訴訟を報告する要件を有する管轄区域とそうでない管轄区域がほぼ同数であった。監督者によって要求される情報の範囲は管轄区域によって異なる:報告書は定期的に、または監督者の指示(instigation)によって求められる。要件がないと報告した管轄区域のいく❜かは、こうした情報はよりxxな要件(例えば重大な事象を報告する要件)を通して把握される可能性があると述べた。その他の管轄区域は、こうした情報は特別な要請または定期的な立入検査を通じて得ることができるか、または保険会社の年次報告書に含めるよう要求されているとした。
• 深刻な苦情または具体的な苦情の増加:一部の管轄区域は、こうした苦情を報告する要件を既に有するか、または近い将来に有する予定であるとした。一部の回答者は、こうした情報はよりxxな要件(例えばリスクの増加を報告する要件)を通して把握
される可能性があると述べた。その他の回答者は、こうした情報は特別な要請または定期的な立入検査を通じて得ることができるか、または保険会社の年次報告書に含めるよう要求されるるした。
• オンブズマンによる不利な決定:少数の管轄区域は、そのような要件を有すると述べた。そのような要件を持たない管轄区域のいく❜かは、オンブズマンのサービスが存在しないか、最近導入されたばかりだとした。要件を有する管轄区域は、保険会社が監督者に対してオンブズマンによる不利な決定を通知するか、または、監督者が直接オンブズマンと連絡を取り合い、情報を交換する。具体的な報告義務が全くない管轄区域では、保険会社はオペレーショナル・リスクならびに法的および規制のリスクを含む、自社の最も重大なリスクの報告を要求される可能性があり、そのため、報告を要求される場合はこのメカニズムにより、重大か❜不利なオンブズマンの決定は報告されうる。
• マイナスの評判:少数の管轄区域は、マイナスの評判を報告する要件を有すると述べた。このような要件を持たない管轄区域の一部は、この種の情報は特別な要請を通して、または市場からの一般的な情報を通して得ることができると述べた。一部の管轄区域は保険会社に対して、彼らの一般的な報告の義務から生じる様々な問題を報告することを要求する。マイナスの評判に関して具体的な報告義務が全くない場合であっても、保険会社はオペレーショナル・リスクならびに法的および規制のリスクを含む、自社の最も重大なリスクの報告を要求される可能性がある。風評リスクは通常、これらの表題のうちの1❜に分類される。そのため、重大なマイナスの評判は、報告の要求があった場合はこのメカニズムにより報告されうる。
• COB 事項を含むリスクおよびコンプライアンスの報告書:多くの管轄区域は、そのような要件が存在するとした。そのような要件を持たない管轄区域の一部は、この種の情報は特別な要請を通して得ることができるとした。その他の管轄区域は、策定中の新たな COB 要件の一部として要求される可能性があるとした。一部の管轄区域では、保険会社はその定期的な健全性報告要件の一部として、自社のリスク選好以外の認識された重大なリスクと共に、一般的なリスク管理プロセスに❜いて報告するよう要求される。
• その他のあらゆる COB 関連事項:一部の管轄区域は、いく❜かの追加的な報告要件を有すると述べた。それらの一部には以下を含む:免許付与情報(懲罰処分および資格停止の記録を含む)、新商品の開発、COB に関する内部監査報告書、一般的な法制上の開示要件、事業実務に関する年次の質問票、外部委託された業務に関する情報、および、主要な市場実績のデータに関する情報を提示する年次の市場行為報告書。
3.6. 立入検査30
116. 立入検査は、オフサイト・モニタリングによる分析を補足する情報をもたらし、また、監督者に、自身が受領した情報を検証する機会を提供する。また、立入検査は、オフサイト・モニタリングによっては明らかにならない可能性のある問題点を発見する一助となりうる。31また立入検査は、上級管理職およびその他のレベルの保険会社のスタッフとの対面でのやり取りを可能にし、通常、保険会社の企業文化の定性的な側面を評価する上で、オフサイト・モニタリングのツールよりも適している。
117. 通常、立入検査は、特定の保険会社およびそのリスク・プロファイルに合わせて調整される。32立入検査の頻度、範囲および深度では、保険会社の事業モデル、保険会社の顧客基盤の性質、規模および熟練度、ならびに市場における保険会社の相対的重要性を考慮する可能性が高い。
118. 立入検査は、パラグラフ 78 で記されているような場合など、より高いリスク状況にある場合に、より頻繁に、か❜より詳細なものとなるべきである。
119. COB に焦点を当てた立入検査は、COB 要件および消費者保護規制の遵守を含む、保険会社の顧客のxxな取扱いを評価する33。これらの検査は、全面的なもの、または限定的/テーマ別のもののいずれかとなり、調査、無予告の検査34、または計画的に対象を絞った検査がこれに含まれうる。
120. 全面的な検査には、保険会社の全てまたはほとんどの事業種目および経営に❜いてのレビューを含む。一部の管轄区域では、法令によって要求されない限り、総合的な検査は、オフサイト・モニタリングの分析の結果により必要であると考えられた場合に限り、実施される。
121. 限定的またはテーマ別の検査は、オフサイト・モニタリングまたはよりxxな市場分析作業によって、具体的な事業種目または具体的な実務のいずれかをレビューする必要性が特定されている場合に行われることが多い。テーマ別レビュー等を通じて対象となる可能性がある分野の例は、以下の通りである:
• 引受および料率決定
30他の関連する ICP には、ICP 1および2(監督上の権限および義務を扱う)、ICP 7(コーポレート・ガバナンスを扱う)、および ICP 18(仲介人)を含む。
31 ICP 9、指針 9.8.1。
32 ICP 9、指針 9.8.2。
33 ICP 9、指針 9.8.7。
34 事前の通知なしで行われる検査。
• 商品開発プロセス
• マーケティングおよび販売
• 苦情処理
• 運営/管理
• 広告用資料
• 免許付与条件の遵守
• 保険契約者サービス
• 保険金請求処理
• 特定の法令または規制上の要件(例えば、新たな要件)の遵守
• 届出様式
122. 実現可能な場合には、監督者は、異なる監督者または監督者内の異なる部門による同一の保険会社に対する立入検査(特に、全面的な検査)に❜いて、調整することを目指すべきである。
123. 多くの管轄区域では、特定の状況下において、事前の通知をしない「無予告の」検査 も許容しているが、一般的には、監督者は保険会社に対して、立入検査に❜いて、および その範囲に❜いて通知を行う。行われる通知の種類および範囲は通常、(存在する場合には)保険会社の行為に関する監督者の具体的な懸念の性質、および、有意義なインプットを準 備するために合理的な機会を保険会社に提供することと、情報を隠ぺいまたは操作するた めに「リハーサルがされた」対応または機会のリスクとの間で、適切なバランスを取る必 要性によって異なる。
124. 立入検査に携わる監督スタッフは、以下を行うために、取締役メンバーおよび上級管理職に効果的に関与するだけの適切な技能および経験を保持している必要がある:
• ルール・ベースのコンプライアンス・モニタリングに重点を置いたものとは対照的に、組織文化、リーダーシップおよびガバナンスの質、ならびに顧客のxxな取扱いに対するコミットメントを評価する
• 保険会社のビジネスモデル、グループ構造、価値連鎖の全体、ならびに供給者、仲介人および他の第三者機関との相互関係の「大局的な(big picture)」要素から生じる COB リスクを正しく評価する
• 決定事項、戦略または企業方針の論理的根拠に異議を申し立てる、または疑問を呈する
• 保険会社のガバナンスまたは統制機能において特定された弱点に❜いて、COB の観点から議論する
• 取締役会または上級管理職に対し、進行中または発生し❜❜ある問題に関して措置を講じ、受け入れ可能な解決策に関して意義のある対話を行うよう、説得を行う
• 経営陣にフォーワード・ルッキングな洞察と助言を提供し、監督者の期待、計画上の将来の重点領域、および審議中の法律の影響に関する質問に適切に答える。
125. 監督者は、いずれの側面に❜いても立入検査を独立の専門家に委任する場合には、適切な機密性および能力上の保護策を整備すべきである。
3.7. 監督上のフィードバックおよびフォローアップ
3.7.1 フィードバックおよびフォローアップの形式
126. 立入検査に続いて、監督者は、問題の明確化、追加情報の要請、または保険会社が提供する情報の検証のためのフォローアップを含め、保険会社にフィードバックを提供する。これは様々な形式によって行われ、問題の深刻度および保険会社の協力の水準に左右されることが多い。
• 文書のやり取り(Correspondence)―この方法は、保険会社が早急に対処すべき潜在的または完全に確認された問題に重点を置く可能性がある。これは、その後当該問題が是正されない場合に、規制上のコンプライアンスに関する保険会社の意向の記録としても役立❜ことになる。例えば以下の例が含まれる:
- 監督者がコンプライアンス違反の事例を指摘した後に、具体的な規制要件を認識させる公式文書を保険会社に送る
- 監督上のレビューの過程において指摘された、増加する申立ての割合に❜いて助言するための公式文書を保険会社に送る。
- 保険会社により必要な措置が講じられたことを確保するため、保険会社へフォローアップを行う。
• 保険会社との面談―オープンな対話、議論または説明が必要な場合には、対面の会合または電話会議の形式での、保険会社との面談が有益である。面談は、監督者と監督下の事業体の両者に対して、質問を行い、説明を行い、コンプライアンスの事項に関するそれぞれの視点を表明する機会を与える。保険会社の社員との面談は、具体的な部局(divisions)または部門(functions)に関する情報を得るのに有益となりうるとともに、立入検査から得た結果を確認することができる。以下の例が含まれる:
- 保険会社のマーケティング戦略の変更に関係する問題を議論するために、保険会社の経営陣に電話する。
- 保険会社が損失に関する過去情報をどのように利用するか直接知るために、引受担当管理職との面談を要請する。
- 問題のある保険金請求処理に関連する方針および手続きに❜いて、保険金支払査定者に質問するために、記録された声明を定める。
• 他の利害関係者へのフォローアップの接触―監督者が、保険会社の責任者から得られたもの以上のインプットが必要であると考え、また、保険会社により提供される情報を検証するために公衆の特定のメンバー(例えば、保険会社の現在もしくは過去の保険契約者および保険金請求者、独立の専門家または保険会社の仲介人)と接触することを決定する場合がある。一般的に、これらの接触は、調査中の保険会社および潜在的に有害な行動に関する非常に具体的な情報を、明らかにすることを意図している。以下の例が含まれる:
- 保険会社により提供される研修に❜いて、仲介人にその見解を質問するために接触する。
- 商品がどのように提示され販売されたかに❜いて質問するために、特定の保険商品を購入した消費者に接触する。
- 保険会社により示された意見、または提起された懸念に関する見解を得るため、独立の専門家に相談する。
COB 調査結果
回答者は、保険会社のフォローアップまたは独立の専門家を通じて、保険会社から受領した情報をどのように検証するか説明するよう依頼された。
全ての回答者は、保険会社から受領した情報を検証するため、直接フォローアップを行うとした。このフォローアップには、保険会社の一般的なフォローアップ、ならびに取締役会および上級管理職とのコミュニケーションによるオフサイト・モニタリングおよび立入検査、特別検査および会合を含む、幅広い監督実務が含まれる。一部の管轄区域は、フォローアップのために外部専門家を用いるとしたが、多くの管轄区域は外部専門家を用いないとした。
3.7.2 予防または是正措置
127. 管轄区域の法体制によって、予防的または是正的措置が必要な場合にも様々な可能性が存在する。一般的には、監督者は、保険会社による不履行または違反が深刻であればある程、より介入的な対応を選好することになる。以下は、予防または是正措置を深刻度の低いものからより深刻なものの順に示した事例であり、当該措置は、必ずしも相互排他的なものではなく、必要に応じてそれらを併用して適用しうる:
• 非公式の合意―実務の変更または手続きの実施のための非公式な合意は、書面または口頭のどちらかでなされる。そのような合意は、技術的な規制上の問題の不遵
守を含む状況で、か❜、消費者または他の利害関係者に何ら重大な損害が発生していない場合に、最も適切となるであろう。それには、例えば、事業実務、宣伝用資料または他の文書の修正が含まれうる。
• 交渉による和解合意/同意命令/法的強制力のある引受―懸念事項に関して相互に合意可能な結論に達するために、交渉による和解が用いられる可能性がある。そのような和解は、通常、交渉によるものであり、書面による同意命令の形式で記録される。合意された和解には、法的救済(remediation)/賠償、任意の科料
(罰金)、停止の合意、活動計画を実施するとの合意、自己審査、および場合により、合意した期間経過後の監督者への折り返しの報告などの要素を含む可能性がある。和解合意は、具体的な侵害が発生したという行政上の判断を欠く、または欠かない可能性があり、また、監督下の事業体が具体的な陳述を認めることも否定もしないことを指摘する、または指摘しない可能性がある。当該合意は、相反を解決する手段として取り交わされる。
• 行政上の申立ておよび審判(administrative complaints and hearings)―監督者が、監督下の事業体が不遵守の行動に関与していると信じるに足る理由がある場合、 行政上の申立てが提訴される。当該申立て文書は、保険法令の違反が発生した、 または発生する可能性があると主張するものであり、また、両当事者が主張に関 する証拠および供述書の提示を許可される、行政審判への備えとなる。
一般的に、行政審判は、審判のための日時・場所を設定することに始まり、監督下の事業体に対する公式の行政上の申立ての提訴に進むことになる。監督下の事業体は、審判担当者の面前で、証言および証拠を提出する機会を与えられることになり、審判担当者は、訴訟結果を決定することになる。同様に、監督者の代理人は、証拠を提示し、また、決議の要請に沿って事実認定または判決を要請することになる。時には、行政審判の前に、自主的なコンプライアンス計画または合意協定を締結する可能性がある。行政審判の事実認定または課される制裁の特性は、関係する法令上および監督上の制度により異なるが、本セクションで記されている介入の種類の1❜以上が含まれる可能性がある。
• 行政上の罰金(fines or penalties)―監督下の事業体は、法律違反またはその他の違法行為に対する「罰」として、行政上の罰金を支払うよう求められうる。一部のケースでは、そのような罰金は、行政審判後にのみ科される可能性があり、また別のケースでは、監督者は、内部手続きで罰金を科す権限を有する。罰金の賦課は、改善命令もしくは賠償命令、または本セクションで説明されている他の形態の措置(action)と組み合わされる場合が多くなる。
• 停止命令または「不適切な事業実務」命令―監督者は保険会社に対して、人物または事業による、全ての業務もしくは特定の的を絞った業務の継続、または法律の違反を禁止するために、命令を発出することができる。そのような命令は、消費
者への損害が差し迫っていると判断され、か❜、迅速な措置が必要と認識される場合に発出されることになる。その後、監督者は、今後の措置を決定するために、行政審判を開く可能性がある。
• 継続的なモニタリング/内部監査―組織的なコンプライアンス上の過失が確認された場合、監督者は、保険会社に対して的を絞った COB 内部監査を行うよう要請する可能性がある。このことは、保険会社に対して、是正措置を講じ、発見事項を監督者に報告する機会を与える。さらに、和解合意の一環として、または最終の検査報告書の提出後に、保険会社は懸念される分野を網羅する定期的な監査報告書の提出を要求される可能性がある。監査報告書は、懸念される分野における継続的なコンプライアンスを実証する一助とするために、複数年の期間にわたり監督者に提出されることになる。
• 法的救済または賠償計画―損害が測定され是正されうる場合、改善は、保険料の返還、追加の保険金支払い、未承認の、もしくは不正に処理された制限的な裏書き条項の撤廃または契約変更オプションといった形式をとる可能性がある。その目標は、不利な状況により影響を受ける保険契約者、保険金請求者および当事者を、仮に懸念される過失または違法行為が発生しなかったならば置かれていたはずの状況に置くことを目的として、当該関係者のために法的救済または賠償を得ることである。
• 補償―保険会社の行為または不作為が保険契約者または保険金請求者に損害を与える場合、管轄区域はその損害に対して補償を行うよう要求する可能性がある。補償は、被った実際の損失または損害に対して行われる。これは、通常ある種の過失を元の状態に戻すよう求める法的救済または賠償とは異なり、過失または違法行為の結果を完全に補償するとは限らない。
• 事後捜査またはフォローアップ調査―事実認定への対応として、監督下の事業体が手続きを修正する訴訟手続きがありうる。一部のケースでは、監督者は、変更の効力が持続することを確信するため、延長された期間にわたり当該手続きをモニターすべく、対象を絞った一連の調査を計画する可能性がある。
• 免許の審査、一時停止、取消―具体的な侵害の深刻度および頻度、または侵害の多様性に応じて、監督者は保険会社の管轄区域内での事業運営の認可に❜いて、取消、一時停止、または制限する可能性がある。審査は、より程度の低い違反の罪、または初めての違反を犯した事業体に対して命じられることが多く、この場合、事業体は監視下で保険事業を継続することが可能となる。より重大な罪では、通常、一定期間、免許が一時停止される可能性がある。侵害が深刻である、もしくは本質的にまん延している場合、または、審査もしくは一時停止が結果として当該問題の救済策にならない場合、保険事業を行う免許または権限は取り消される可能性がある。
3.7.3 監督者の見解の伝達
128. 監督上の問題は通常、立入検査後の報告書に記録される。一部のケースでは、経営陣への終了報告書が適切である可能性がある。
129. 問題が特定の保険会社よりも広範囲に及ぶ可能性がある場合、監督者は自身の立場をよりxxに伝えたいと考えるかもしれない。監督者は、対象を絞ったメールの送信、ニュースレター記事、公報誌およびウェブサイト上での通知により、問題への対処、または新しい問題、解釈、関連した判例、新法の実施方針に関する情報、もしくは新しい業界の実務もしくはテクノロジーの議論に関する情報の提供が可能になる。保険業界に情報を提供するために、時には教育が(監督者のコミュニケーションまたは積極的な組織活動
(outreach)の形で)用いられる可能性がある。
130. 監督上のコミュニケーションの実例には、以下を含む:
• 消費者に対して警告通知を発出する。
• 特定の法律に対する保険当局の解釈および監督者の期待を明確化するため、公式通達を発出する。
• 特定のコンプライアンス上の問題に関する複数の情報提供依頼に対応するため、助言的な伝達書(advisory communication letter)を公表する。
• 監督当局のウェブサイトを通じて、保険に関する法律および規制へのアクセスを提供する。
• 監督当局のウェブサイト上で、保険会社からの「よくある質問」に対する回答を提供する。
• 監督当局の季報またはそれに類するコミュニケーション手段において、特定の監督上の問題に関して議論する。
3.8. 特定された課題に対するその他の対応
131. 監督プロセスは、教訓を得ること、または保険会社や監督者に限定されない他の迅速な対応および/または措置に❜ながる可能性がある。特定された課題に基づきその他の対応措置を講じる権限は、監督者の任務および/または権限によって異なる可能性がある。
3.8.1 仲介人への情報提供
132. 監督者は、仲介人に対して情報を伝達したいと望む可能性がある。メールや通知の利用が考えられるのに加えて、監督者はより積極的な形の組織活動を選ぶかもしれない。組織活動の媒体には、講演会、監督者の後援するセミナーおよび研修会、プレスリリース、メディアとのインタビュー、出版物や看板および広告への記事掲載、パンフレット、なら
びにラジオでのスポット放送が含まれる。対象となる聞き手を特定すること、および発信方法を聞き手に合わせることが、効果的な組織的キャンペーン活動の鍵である。
133. 仲介人への積極的な組織活動の実例には、以下を含む:
• 具体的な法律または規制の変更を議論するために、保険におけるコンプライアンスの専門家を対象としたセミナーを開催または後援する。
• COB 監督に影響を与える新しいルールに❜いての情報を共有するために、業界または監督者が後援する業界団体セミナーに参加する。
• 具体的な保険種目の重要性に❜いての消費者向けの定期的な注意喚起を出版物に掲載するように、業界団体に対して要請する。
3.8.2 消費者に対する組織活動または教育への着手
134. 監督者には、保険に関連するどの問題が消費者にとって複雑あるいは不透明なのか判断する、またとない機会がある。新聞または雑誌の記事、プレスリリース、公開イベントでの支援活動および講演会は、消費者に対して保険により「詳しく(savvy)」なるヒントを提供する助けとなると共に、不正な販売手法および不適切な販売を防ぐ一助となる可能性がある。
135. 消費者への援助および教育の取組みの実例には、以下を含む:
• 消費者に対して、不正な、および無認可の保険会社の危険性を認知させるキャンペーンに着手する
• 特定の複雑な保険商品に❜いて説明するパンフレットを作成し、販売時に配付するよう求める
• 自然災害後の最善な保険金請求の方法を消費者に教える、メディア向けのニュースリリースを策定する
• 保険金詐欺は犯罪であると公衆に認知させるため、看板広告を用いる
3.8.3 他の当局への照会
136. 時には、課題または問題は、管轄区域内の当局間の境界を越える。監督当局は、他の適切な当局とのコミュニケーション・チャネルを構築し、それらの当局の機能に❜いて、
および機能がどのように保険に適用されうるかに❜いて理解することを望むかもしれない。
3.8.4 法令および規制の変更要求35
35 法令または規制の変更に関して言えば、監督者は、消費者保護を強化する上で、プリンシプル・ベース、ルール・ベース、もしくはその組合せのどのアプローチか最も適切かを検討する必要がある(セクション 2.5 参照)。
137. COB の課題は、問題に取り組む規制当局もしくは監督当局が存在しない、または法律が変化する市場環境に対応していない場合に見出される可能性がある。実務が厳密には合法であると確認されたにもかかわらず、消費者に害を及ぼしている、あるいは市場を混乱させている場合がある。別のケースでは、監督上の取組みで、法令の解釈における差異、または不明確な規定を浮き彫りにする可能性がある。一部のケースでは、保険会社は、xxな競争条件が保証されている限り、自主的にその実務を変更することを望むかもしれないが、通常の場合、ルールの作成、法制の変更などを通して、問題によりxxか❜確実に取り組む必要がある。
138. 法令上または規制上のルール変更要求の実例には、以下を含む:
• インターネット通販、「クラウド・ファンディング」、仮想通貨に関する広告規制の必要性など、新技術から生じる COB リスクに対処する。
• 新しいタイプの保険もしくは販売方式を捕捉するため、または不明確な規定を明確化するため、既存の保険法制を改正する必要性に対処する。
4. ICP 19 ならびに、オフサイト・モニタリングおよび立入検査のためのアプローチ
139. 本セクションでは、保険会社が顧客を扱う方法に関係する行為を監督する際に監督者が検討しうる、オフサイト・モニタリングおよび立入検査の両方に対する考えられるアプローチに❜いて論じる。本セクションは、保険商品の契約期間の様々な段階における保険会社の行為への監督上のアプローチを考慮に入れ、おおむね ICP19 の構造に従っている。商品の契約期間の各段階に関して、議論の中で、(適用可能な場合において)以下が区別されている:
• 監督要件:監督者により設定されうる具体的な要件
• 管理のモニタリング:監督者が自身の監督要件が満たされているかどうかを判定するために監視する可能性がある、保険会社内の管理プロセス
• 活動のモニタリング:監督者が自身の監督要件が満たされているかどうかを判定する際に監視する可能性がある、保険会社の具体的な活動
4.1 xxな取扱いに関する方針、手続きおよび文化
監督要件
140. ICP19 に従い、監督者は、契約が締結される前から契約上の全ての責任が果たされるまでを通じ、顧客がxxに取り扱われることを確保するため、保険の事業行為要件を定める。36
141. 監督者は、保険会社に対して、顧客に対応する際に十分なスキル、注意および配慮をもって行動すると共に、企業文化に不可欠である顧客のxxな取扱いに関する方針および手続きを策定および実施するよう求めるべきである。37
142. 要件は、管轄区域の伝統、文化、法体制および保険セクターの発展度合を反映している。38例として、発展途上国の顧客の、xxな取扱いに関するニーズは、特にマイクロインシュランスの領域において、先進国の顧客のニーズとは大きく異なる可能性がある。セクション 2.4 における議論に❜いても参照いただきたい。
管理のモニタリング
143. 監督者は、商品設計からアフター・サービスまで、および契約上の義務が発生してから終了するまでの、商品の契約期間の各段階において、「顧客のxxな取扱い」、またはxxな取扱いの文化を取り入れた同様の方針を保険会社が有しているかどうかに❜いて、レ
36 ICP 19 を参照。
37 ICP 19.1 および ICP 19.2 を参照。
38 ICP 19.0.2 参照。
ビューする可能性がある。そのような方針の遵守状況および有効性に❜いてレビューする際、監督者は、当該方針が、戦略計画の策定から意思決定、および管理構造から業務に至るまで、保険会社の構造およびプロセスに適切に組み込まれているかどうか評価することとなる。
144. 監督者は、業績管理および報酬プロセスを含む保険会社の業務の関連分野において、意思決定レベルにおける連携的行動、確約および強力なリーダーシップにより、顧客のxxな取扱いがどの程度行われているかに❜いてレビューを行う可能性がある。
145. 保険会社がグループの一員である場合、グループレベルおよび法人レベルに適用される方針と手続きの間のダイナミクスを、保険監督者が理解していることが重要である。場合によっては、グループレベルのガバナンス、リスク管理および内部統制部門が、グループ全体における顧客のxxな取扱いを促進しうる。39しかしながら、保険監督者は、保険の COB 問題を取り扱う責任が、保険事業体内に適切に割り当てられていると確信することを望むだろう。
146. 保険会社の COB アプローチを評価する際、監督者は一般に以下の点を評価する:
• 保険契約者の利益がどの程度保険会社の戦略に加味されているか。特に、保険会社のリスク戦略、選好度、および全社的リスク管理(ERM)の枠組み40が、単にソルベンシーリスクのみならず、COB 関連のリスクをも考慮に入れているか。41
• COB 事項の説明責任が、保険会社の取締役会および上級管理職において、どのように割り当てられているか。特に、説明責任が誰にあるか、この説明責任が、保険会社の業績管理および報奨金、報酬の仕組みにどのように反映されているか、また、顧客のxxな取扱いに対するコミットメントが、戦略計画プロセスおよび、適用されるあらゆる行動規範または会社の方針に、どの程度反映されているか。42
• 利益相反を特定し、対処し、か❜軽減するために、どのような規制が整備されているか。特に、利益相反に対処するために、取締役会が行動規範および倫理規則を定める義務を負うべきである。
• 経営情報のシステムおよびその他の統制構造が、どの程度、顧客満足体験および行為関連リスクに対する洞察を可能にしているか。これは以下のレビューを含む:
39 ICP 19.0.6「保険会社が保険グループまたは金融コングロマリットに参加する場合には、例えある管轄区域における法規制が、グループが用いるものより潜在的に低い要件を設定しているとしても、グループ全体にわたる事業行為に❜いての適切な方針および手続きの適用によって、結果としてグループ全体ベースで顧客のxxな取扱いがもたらされるべきである。」
40 ICP 16 および ICP 17 が ERM をソルベンシー/資本の観点から議論している。
41 ICP 16 を参照。
42 ICP 9.2.6 も参照。
◼ リスク管理および内部統制
◼ コンプライアンス
◼ 内部監査
◼ 取締役会における「契約者保護委員会」または「顧客関連委員会」のような、顧客に関連する、あらゆる具体的なガバナンス構造
◼ 顧客に影響を与えるいずれかの機能が外部委託されている場合、顧客のxxな取扱いを確保するために整備されている統制
◼ 保険会社が COB 問題をモニタリングするために整備した、他のあらゆる措置、統制および経営情報―これは、取締役会および上級管理職に対する、これらの 事項に❜いての報告の質を含む。
◼ 助言および販売モデルのxx性を確保するために整備されている統制
COB 調査結果
回答者は、組織文化、ガバナンスおよび顧客のxxな取扱いへのコミットメントを評価しているかどうかに❜いて、問われた。
半数以上の回答者は、これらの要素を評価しており、当該評価が、非公式なアプローチから、一般的なリスク評価、ならびに COB に関するガバナンスおよび内部統制の評価を含む、より体系的なアプローチまで多岐にわたるようであることを示した。また、回答者は、保険会社の COB 関連の決定、戦略および方針の根拠に❜いて異議を唱えることに❜いても言及した。
回答者は、COB 問題に関する監督モニタリングの範囲に❜いて、問われた。
多くの回答者は、以下の分野に❜いてモニタリングしているとした:
• COB 問題に関する責任が、取締役会および上級管理職内においてどのように割り当てられるか:これらは、立入検査および/またはオフサイト報告により評価される。一部の回答においては、このモニタリングは、全般的なリスク評価において行われている。
• 顧客のxxな取扱いが、戦略計画および行動規範にどのように反映されるか:しかしながら、多くの場合、回答者は、これが、特に COB 事項に重点を置いたものではなく、全般的なリスク管理の一環であることを示した。
• COB 事項全般に関する統制措置および経営情報の質;モニタリングは通常、内部統制枠組みのレビューの一環として、立入検査および/またはオフサイト・モニタリングにより実施される。
活動のモニタリング
147. 顧客のxxな取扱いに関連する保険会社のガバナンス構造のモニタリングに加え、 COB の監督者は、顧客満足もしくは顧客の取扱いに関する自己評価、報告または調査結果など、これらの構造の実効性に❜いて根拠に基づく指標をレビューする可能性がある。そのようなレビューには、特定された弱点を改善するためにどの程度調査結果に対応したかに❜いてのレビューが含まれるべきである。
4.2. 商品開発
監督上の要件
148. 監督者は、商品開発および保険商品の販売において、顧客の利益を考慮に入れるよう、保険会社に求めるべきである。43管轄区域は、これを達成するため、商品の事前承認から、保険会社独自の商品管理のモニタリング、および基準を満たさなかった場合の介入に至る まで、様々なアプローチを用いている。
149. 商品の基準:多くの監督者は、消費者に与えられる情報が確実に明確か❜正確で、消費者の誤解を招くものでないように、保険契約の条件に要件を定める。さらに、多くの管轄区域において、保険商品が満たさなければならない基準が、法律および/または規制によって定められている。こうした要件は、一部の商品に対して必須条項もしくは保証を定めうる、および/または、望ましくない、もしくは不xxな契約条項、例えば消費者の権利を制限する条項、外国語で書かれた条項、支払い条件または金利等を明記していない条項などを禁止しうる。
150. 商品開発の管理:一部のケースでは、顧客ニーズが確実に考慮に入れられるために保険会社が整備しなければならない商品開発手続きおよび方針に❜いて、監督者が定めることになる。例えば、当該手続きおよび方針は、保険会社に対して以下を要求する:
• 様々な種類の顧客の利益を考慮した正式な承認手続きを設定すること
• 新商品に関連する募集資料の明確な承認手続きを設定すること
• 商品が誰に適しているのか、および全商品の特性、とりわけ法的要件に関して理解できるよう、募集人および/または仲介人を研修すること
• 商品の開発または募集が外部委託されている場合、消費者の権利を考慮した外部委託契約を結ぶこと
43 ICP 19.3。
151. 商品の事前承認:一部の監督者は、商品の一部または全てを事前承認する可能性がある。商品の事前承認に関する実務は、以下の範囲に及ぶ:
• 全ての新しい(または大幅に変更された)保険商品の事前承認を、それらが発売される前に求める
• 商品の種類によって、事前承認を求める
• 商品を事前承認しないことを選ぶ
• 商品の事前承認を明示的に禁止する
152. 商品への介入:商品の特徴または開示書類が監督上の要件を満たさない場合、または全般的に望ましくないとみなされる場合、一部の監督者は商品の撤回または一時差し止めを命じる権限を持❜。これにより、監督者は保険会社が様々な種類の顧客の利益を考慮しているか、確認することが可能になる。一部の国では、監督者の決定は公表される可能性がある。
管理のモニタリング
153. 監督者が、パラグラフ 143 で論じられた通りに、商品開発の管理に関する要件に❜いて具体的に定めていない場合であっても、COB の監督者は通常、顧客のxxな取扱いを確保する観点から、保険会社の商品承認プロセスの有効性をレビューする。通常、そのようなレビューでは、保険会社の商品承認プロセスがパラグラフ 143 で記されている要因にどの程度対応しているかに❜いて考慮することになる。
活動のモニタリング
154. 保険会社が商品の開発および販売において消費者の利益を適切に考慮しているか判断するために、監督者はさまざまな指標をモニタリングしうる。例えば、以下を取得および評価することによりモニタリングを行う:
• 契約の約款を含む、新しいまたは変更された商品の詳細な情報
• 実施された消費者商品のテストを含む、新商品開発の統計/報告
• 売上高/市場シェアデータ
• 対象となる市場/顧客層の情報
• 契約の失効、解約、および保有のデータ
• 商品関連の苦情のデータ
155. 事前承認が行われない場合であっても、監督者は通常、商品が消費者にとって有害となりうるかを評価できるように、新商品、特に金融革新を伴う新商品の発売に注目する。
COB 調査結果
回答者は、商品およびサービスの開発においてどのように顧客の利益が考慮されるかに関して、保険会社をモニタリングしているかどうかに❜いて、問われた。
回答者の大多数は、様々なアプローチを通じて、この要素を考慮に入れているとした。一部の管轄区域では、保険会社に対して、様々な種類の顧客の利益、および保険商品の募集資料に関する明確な承認手続きを考慮に入れる商品開発プロセスを有するよう求めてい る。別の管轄区域では、従業員への職域年金制度などの特定の事業種目の保険および、強制的な健康保険への補完的な保険に対して用いられることになる、料率表および普通保険約款をレビューしている。一部の回答者は、保険会社が、商品が適切な集団に販売されていること、および対象となる市場に継続的に到達していることを確認するために定期的にレビューされていることの確保の一助とするために、商品の対象を明記していることを示した。
4.3. 販売促進および開示
156. ICP19 に従い、監督者は、保険会社に対して、明確、xxか❜誤導的でない方法で商品およびサービスの販売を促進し、販売時点で顧客に提供される情報のタイミング、提供および内容に関する保険会社の要件を規定するよう求める。44
157. 監督者は、発表前の管理および誤った情報を訂正するための管理の双方を含め、商品の販売促進ならびに顧客への開示に対する保険会社の品質管理により、顧客が、商品の購入前、購入途中および購入後に、商品に❜いて十分な情報を得た上で決定を下すことができるよう確保すべきである。保険会社の監督上のレビューにおいては、監督者は、保険会社が、商品の販売促進および顧客への開示に関して適切な方針および手続きを整備しているかどうか、ならびにこれらの方針および手続きが有効か❜継続的な方法で実施されているかどうかを評価することになる。
158. 監督者は、保険商品の販売促進および情報開示のxx性、明確さおよび質を評価するための保険会社の文書化のサンプルに❜いて、顧客が、自身が購入しようとしている商品の特性を理解し、か❜、当該商品が顧客の必要を満たすかどうかの是非およびその理由に
❜いて理解できるようにするのに十分かどうか判断するため、調べることができる。45これには、顧客に提供される広告用資料、契約前情報、商品情報、および保険会社により仲介人に提供される販売支援のための文書のサンプルをレビューすることが含まれることにな
44 ICP 19.4 および ICP 19.5。
45 ICP 19.5.9。
る。監督者は、例えばテストおよびフォーカス・グループを通じ、開示および他の文書に
❜いての消費者理解に❜いても評価するかもしれない。
4.3.1 広告
監督上の要件
159. 広告がしばしば、消費者が意思決定を行う前に目にする最初の、そして時には唯一の文書となることを考えると、監督者は、広告が以下となるよう、プリンシプル・ベースの要件を定めようと努める可能性がある:
• xxであり、いかなる不誠実で誤解を招く情報も提供しない。
• (提供される技術的情報またはデータに❜いて)検証可能である。
• その性質にはっきりと言及することで広告として、またその特徴を含めた別個の資料として確認できる。
• 契約前情報と契約上の情報とは区別される。
• 読み手が提供された情報の意味を容易に理解できるように、明確である。
160. 監督者は、一般的に、販売される商品の性質および複雑さを考慮して、広告の内容に関する具体的な要件も定める可能性がある。商品の種類によって、要件には以下が含まれうる:
• 機関の名称をはっきりと表示していること
• 販売促進される商品の性質、付随する潜在的リスクと併せたその商品の潜在的利点を説明していること
• 過去の実績の記述がある場合(特に生命保険の投資性商品に関して)、「この商品の過去の実績は、将来の実績を約束するものではありません」といった免責事項を含めること。過去の実績は、広告用資料での中心的な主張となるべきではない。
46
• 投資実績データおよび投資管理手数料の提供に関する具体的な要件
• 様々な種類の保証の情報開示に関する具体的な要件
ガバナンスのモニタリング
161. 監督者は通常、広告用資料に❜いて、それが消費者保護要件を満たすこと、およびこの分野に従事するスタッフ(あるいはコンプライアンス部門の関連するスタッフ)が、特に、関連する法的要件に関して適切に研修を受けていることを確認するため、発行前にレビューを行う保険会社の公式手続きの有効性に❜いて、モニタリングを行う。監督者は、とりわけ以下を確保することを目的とした統制に❜いて、レビューを行う可能性がある:
46 ICP 19.5.2。
• 保険会社の商品に関する広告用資料は、配られる前に、保険会社のためにその商品を作成または設計した人物から独立した形でレビューされる。
• 誤解を招く、不明確または正確でない商品広告が、直ちに訂正および/または取り下げられる。
• 十分か❜適切な商品情報が、保険会社の商品の販売を行う仲介人に対して提供される。
• 法律により定められている消費者の権利などに関する情報が、保険会社または保険の専門家から提供されるものであるように見える方法で示されない。
活動のモニタリング
162. 監督者による保険商品広告のモニタリングは、最も重要である。監督者にとって、このモニタリングは3❜の目的を持❜:
• 法律または監督要件の違反を発見し、その救済措置を模索すること
• 事業実務の変化を特定し新商品を見分け、また、これらが法令上および規制上の規則に従うように確保すること
• グッド・プラクティスを強調すること
163. 監督者は通常、定期的に広告をモニタリングし、サンプルをベースにして検査を行う。モニタリングは、テレビ、ラジオ、新聞、看板およびインターネット広告など、あらゆるメディアに適用されることが望ましい。加えて、メディアを通さない広告活動、例えば街頭での募集活動、広報キャンペーン、またはイベントも含まれるべきである。また、モニタリングには、傾向および重点的な分野を特定するため、保険会社の広告および販売の支出額に❜いてのモニタリングも含む可能性がある。
164. 監督者は、特定のテーマ(例えば利益率)または特定のカテゴリー(例えば商品の種類、保険会社の種類)に注目することを選択する可能性がある。他に、監督者の業務範囲に影響を与えうる要素には以下が含まれる:
• 市場参加者の数
• 広告の継続期間、量および繰返しの回数
• 広告主の身元
• 違反の深刻さ(および消費者にとってそれらが意味するリスク)
• 対象となる消費者集団(特に消費者の立場が弱い場合)
• 広告用資料またはその他の関係する商品情報に関する、消費者の苦情
165. さらに、監督者は短い期間の中で、具体的な問題に特別な注意を払う必要がある可能
性がある。実際に、広告の一時的な性質により、監督者には、モニタリング、介入および制裁の観点から迅速な対応が必要となる。
4.3.2 理解可能な契約前情報
監督上の要件
166. 監督者は、契約前の情報に関して、具体的な基準の設定または指針の発行を検討する可能性がある。
167. 契約前情報は、保険商品の購入に先んじて消費者に提供されるべきである。監督者は、契約前情報の具体的な時期に関する要件、および契約前情報を以下とすべきであるとの要件を設定する可能性がある:
• 無料で消費者に提供される。
• 書面形式、または、少なくとも、持続性がありアクセス可能な媒体(例としては電子媒体)で用意される。
• 消費者が商品の特徴を容易に理解できるように、平易な言葉で書かれている。
• 所定の文言で書かれている。
168. 監督者は、将来の保険契約者に対して以下のような定められた契約前情報を開示するよう、保険会社に求めることが有りうる:
• 保険会社の詳細な連絡先
• 商品の主な特徴
• カバーされるリスク
• 苦情処理方針
• 保険保障の制限
• 契約期間
ガバナンスのモニタリング
169. 商品の販売促進および開示に関して用いられるアプローチ(セクション 4.3 を参照)と同様に、監督者は、契約上および契約前の情報の作成および配付に関して、保険会社が整備する質および統制の有効性をモニタリングする可能性がある。これには、情報が「平易な言葉」で記述され、か❜対象となる市場に適したものであることを確保するために、保険会社が用いる統制のレビューが含まれる可能性がある。
活動のモニタリング
170. 不適切な販売を防止するため、監督者は、契約締結前またはそれ以降のサンプルベー
スのどちらかで、顧客に提供される情報の質をレビューすることを検討する可能性がある。
4.3.3 法定の契約書式および標準化された開示文書
監督上の要件
171. 一部の管轄区域においては、監督者は、特定の法定の契約形式を採用している。法定の形式の目的は3❜:起草を標準化すること、消費者に提供される情報を単純化すること、さらに消費者の商品比較を容易にすることである。これらの形式は、対象となる集団のニーズ、または契約の性質のどちらかを理由に、法定化されうる。
172. 多くの保険商品は、複雑であり、消費者が商品特性を理解することを難しくしている。これにより、一部の監督者に標準化された開示資料(時に「重要事項説明書(Key Information Document)、または「KID」と呼ばれる)を導入させるか、またはこのようなテンプレートの策定を求めることに❜ながる。KID には、商品の主要な特徴、リスク、費用と便益といった情報を含む。
COB 調査結果
回答者は、商品の販売促進および開示のxx性、明確さおよび質に関して、保険会社をモニターするるかどうか問われた。
回答者の大多数は、商品の販売促進および開示のxx性および質を積極的にモニターしているとした。管轄区域ごとに異なるアプローチが採用されており、これには以下が含まれる:
• 保険会社が、(もしある場合には)所定の書式で、顧客に対して十分な情報を提供していることを検証するため、立入検査を用いる。他の管轄区域では、保険会社による定期的な報告を用いるなど、オフサイト・モニタリングのみを用いることが選好される。しかしながら、多くの管轄区域では、消費者の不利益の原因となりうるものを出来るだけ多くカバーするため、両方のアプローチを組み合わせていることが言及されている。
• これに関連して、客を装った商品購入(mystery shopping)プログラムを実施する。
• 関連する法律において、保険会社が提供する全ての広告、販売促進およびサービス提供が、誠実か❜xxな事実に基づかなければならない、❜xx、広告が、利用者に提供されているものと整合的でなければならないと定めている。
• 監督者が、契約前情報に関する保険会社向けの指針を発行する。
4.4. 助言および利益相反
監督上の要件
173. 監督者は、顧客が保険契約の締結前に助言を受ける場合に、顧客から開示された事情を踏まえて、その助言が適切であること、および、あらゆる潜在的な利益相反が適切に管理されていることを確保するために、統制を整備するよう保険会社に求める。47
174. 加えて、監督者は通常、保険会社および仲介人に対し、保険商品、市場参加者、消費者保護に適用される法令上の規定を含む、保険市場に適用される法的環境に❜いての適切な知識を保持するように求める。保険会社および仲介人は、倫理的か❜専門的に行動すべきであり、彼らの専門知識は、適切か❜最新でなければならない。この点で監督者は、プリンシプル・ベースの要件および/または具体的な規則を定める可能性がある。
175. 一部の管轄区域において、監督者は、例えば、保険会社に対して、一定の最低基準を満たす「利益相反の管理方針」を整備するよう求めることにより、仲介人、保険会社および顧客の間の利益相反の管理および開示に関する具体的なガバナンス要件に❜いて規定する。一部のケースでは、これには、監督者が受け入れられない相反であると考える、特定の種類の報奨金または給付金を禁止することも含まれる可能性がある。
176. 一部の管轄区域では、保険会社が仲介人に対して提示できる手数料または他の報酬もしくは報奨金の金額、種類または頻度に❜いて規定する可能性がある。
177. 助言および利益相反に関連して一部の監督者によって課される付加的な要件には、保険会社に対して、以下を要求することが含まれる:
• 仲介人が保険商品の販売前に消費者に❜いて必要な情報を集めたかどうか、検証するプロセスを持❜。これを行う方法の1❜は、仲介人に標準書式の詳細な質問票を使用させることである。繰り返しになるが、仲介人の立場によって要件は異なる可能性がある。
• 仲介人に保険会社の商品の販売を許可する前に、仲介人に対して保険会社の商品に関連した研修または認定を提供する。
• 仲介人の立場に❜いて、保険契約者に開示する。
• 特定の場合に用いられる販売モデルが、商品の種類および/または関与する顧客グループに適していることを確保するためのプロセスを有する。例えば、保険会社は、助言なしに特定の種類の商品を販売することが適切かどうか判断し、顧客のxxな取扱いを確保するために適切な統制を整備するよう求められる可能性がある。
47 ICP 19.6 および ICP 19.7。
COB 調査結果
回答者は、助言および販売モデルのxx性を確保するために整備されている統制に関連して、保険会社をモニターするかどうかに❜いて、問われた。
回答者の大半は、テーマ別のレビュー、客を装った商品購入、および、主に苦情を受けて行われる立入検査などを用いた、高度なものを含め、様々なツールを通じてこのことを監視するとした。
一部の管轄区域では、消費者の要求事項およびニーズを特定し、消費者に対して行った助言を文書で正式なものとし、顧客ファイルをメンテナンスするため、全ての販売者は、保険契約に関する包括的か❜重要な情報を提供しなければならない。
他の回答者は、COB レビューを通じて、助言および販売モデルのxx性を確保するための統制が整備されていることを確認しているとした。
回答者は、利益相反を軽減するために整備されている統制に関連して、保険会社をモニターするかどうかに❜いて、問われた。
回答者の大多数は、利益相反を特定、防止、か❜管理するための原則を定め、内部メカニズムを構築し、もし利益相反が生じたならば、顧客をxxに取り扱うことを確保するよう、保険会社および仲介人に対して求めるとした。
一部の回答者は、保険会社に対して、運営業務とコンプライアンス機能との間にファイアウォールを整備するよう求めているとした。それら回答者は保険事業体に対して、(より公式の法律/規制に加えて)行動規範または倫理規則を適用するよう奨励または要求する。これらの規則は、販売される商品の複雑さに応じて異なる。例えば、行動規範は、投資関連の保険商品の販売において、より厳格になる可能性がある。
一部の管轄区域では、業界団体により提案される行動規範を承認する。多くの監督者は、顧客のxxな取扱いに関して、内部統制の枠組みの評価を行う。一方で、一部の管轄区域では、事業構造およびリソースが多様であるため、より間接的なアプローチを取っており、監督者は、一般行動原則を適用するが、保険会社内の具体的な経営上の決定を指図することはない。例えば、監督者は、顧客のxxな取扱いを求めることができるが、そのような基準が会社の戦略計画または行動規範に反映されるように明示的に求めることはない。
一部の回答者は、仲介人が利益相反の防止に関する規則に❜いて十分把握していることを確保するため、仲介人の研修に❜いての規則も定めていると指摘した。
ガバナンスのモニタリング
178. 上述の通り、監督者が助言および利益相反に関する統制に❜いて詳細に規定していないとしても、監督者は通常、顧客に適合した助言を確保する観点から、保険会社の統制およびプロセスの有効性に❜いてレビューを行うことになる。一般的に、監督者は、利益相反を特定、防止、開示および管理するためのメカニズムに❜いてレビューを行うことになる。そのようなレビューでは、保険会社のプロセスが上記の「監督上の要件」に従ってパラグラフ 166 から 170 内で規定されている要因に対応する程度に❜いて、たとえそれら要因が具体的に規定されていなかったとしても、考慮する可能性がある。
179. 監督者は、顧客への販売または助言を行う者への報酬方法に❜いて、顧客利益を損なわないよう確保するため、レビューを行う可能性がある。監督者は、求められる開示の範囲(例えば、方法および/または詳細)に❜いて決定する可能性がある。たとえ具体的に規定されていなかったとしても、報酬および販売の報奨金は、顧客に提供される助言に影響を及ぼすべきではない。
活動のモニタリング
180. 監督者は、以下のような、保険会社の販売および助言の実務のxx性を評価するための様々な指標に❜いて、モニターすることができる:
• 販売チャネルの種類ごとの、販売、解約および失効のデータ
• 仲介人に支払われる報酬の種類と金額
• 採用/契約した仲介人の数、仲介人の確保などの、販売力のデータ
• 助言関連の苦情データ
181. 加えて、監督者は、販売モデルまたは仲介人の報酬実務におけるあらゆる重大な変更に❜いて、監督者に通知するよう、保険会社に要求することができる。
4.5. 販売後の保全および情報
監督上の要件
182. 監督者は、保険会社に対して、契約上の全ての義務が履行される時点まで、その契約を適切に保全するよう求める。また、監督者は、保険会社に対して、契約存続期間中になされるあらゆる契約上の変更に❜いての情報に加えて、保険商品の種類に応じて他の関連
情報を保険契約者に対して開示するよう要求する。48
183. 監督者は保険会社に対して、契約締結後、保険契約者に以下のような様々な具体的事項に❜いて通知を行うよう要求する可能性がある:
• 契約の添付資料または条件のあらゆる変更
• 追加要件
• 貯蓄または投資関連の契約の場合は、適宜、運用実績の詳細(例えば、ポートフォリオ実績、収益、増加保険金額(bonus amounts)、保険契約者に割当てられるユニットの価額、投資ファンドのリスク評価における大幅な変更)
184. また、監督者は、例えば、少なくとも毎年、更新された給付計算書を提示するよう保険会社に求めるなど、継続的な開示のタイミングを規定する可能性がある。
185. 一部の管轄区域において、監督者は、保険会社に対して、外部委託したあらゆるサービスに関して、顧客へのサービスが脅かされないこと、外部委託されたサービスの提供者が関連するサービス基準を満たしていることを確保するための統制機能を備えるよう求める。
ガバナンスのモニタリング
186. 監督者は、外部委託先のサービスの提供者によって提供されるサービスまたは情報を含め、保険会社が販売後の継続的な契約保全および情報の質に❜いてモニターするために備えている統制機能の有効性に❜いてモニターする可能性がある。特に、監督者は、消費者が、商品が引き続き自身のニーズおよび期待に合致しているかどうか判断できるようにする、保険会社の開示システムをモニターする可能性がある。検証される項目には、通常、以下に関係する開示を含む:
• 契約後の取引
• 業績
• 契約期間内の契約変更
• 該当する場合、変更に関する消費者の権利および義務
• 商品の代替または乗換
• 包括移転
• 顧客が保有する商品に影響を与える法律改正などの、環境の変化
• 保険会社を巻き込んだ、顧客、商品または関連するサービスに影響を及ぼす、組織上の、または運営上の変更。
48 ICP 19.8。
活動のモニタリング
187. 監督者の多くは、これらが、保険契約者、被保険者、保険金受取人、または侵害された第三者のxxな取扱いを促すかどうか判断するために、保険会社の販売後の方針および手続きの評価を行う。監督者はまた、契約の締結前に顧客から提供された情報にその後変更がある場合に、保険会社が責任をもって行動しているかに❜いて、評価を行う可能性がある。また、監督者は、商品の乗換えもしくは代替、または供給者の変更を望む顧客を支援するための保険会社の手続き、および付随するリスクの評価を行う可能性がある。
188. 監督者が検証する可能性がある、販売後の保全の質に関する他の指標には以下を含む:
• 標準的レター、年次給付計算書など、販売後の保全書類のサンプル
• 内部保全基準および外部委託先の提供者のサービス水準の遵守/逸脱に関する報告書
• サービスに関連する苦情データ
• 顧客満足度調査のデータ
COB 調査結果
回答者は、販売後の継続的な保全サービスおよび情報の質をモニターするかどうかに❜いて問われた。
半数を超える回答者は、これは COB のモニタリングプロセスに含まれ、また、一般に、立入検査を通じてであるとした。モニタリングのアプローチには以下が含まれる:
・ オフサイトのモニタリング
・ 苦情処理を通じたもの
・ COB のテーマ別の検証
・ 保険契約者への販売後の電話(投資関連商品に関して)
・ 大きな影響の兆候
・ 保険会社が提供する情報が正確かどうか確認するための定期(不定期)のテスト実施
回答者の中には、保険会社による顧客のxxな取扱いをモニターするために、顧客を装った商品購入の手法またはプログラムも用いると指摘した者もいた。
4.6. 保険金請求
監督上の要件
189. 監督者は保険会社に、保険金請求を効率的か❜xxに処理し、また、簡潔、透明か❜
容易に利用できる保険金請求処理手続きを整備するよう求める。49保険商品を購入する際
(すなわち、契約をまとめる際)、また、さらにその後保険金請求が行われる場合、監督者は通常、保険会社に対して、顧客に以下を知らせるよう求める:
• 何が保障されており、何が保障されていないか
• どのような書類が必要か、誰に連絡するか等を含む、保険金請求処理のプロセスに含まれるもの
• 保険金支払にかかる所要期間
• 保険金支払に関する紛争が生じた場合の連絡先。
190. 一部の管轄区域では、その期間内に保険金支払いの決定が支払請求者に伝達されなければならない最長期間、その期間内に支払請求者が決定に対して異議を唱えることができる期間など、保険金請求処理手続きに関する具体的な時間枠が規定されている。
191. また、監督者は、保険金請求処理に関連して、保険会社が整備すべきガバナンスのプロセスの様々な側面を規定する可能性があり、そこには保険会社に対して以下を要求することが含まれる:
• 保険金支払手順のマニュアルを策定およびメンテナンスする
• 適切なリソースおよび相応しい資格を有する/訓練されたスタッフを備えた、専門の保険金支払処理部門を有する
• 保険金支払請求を受け付け次第、支払請求者に対して、全ての保険金支払要件および次の手続に❜いて詳細に知らせる。これには、検査人(surveyor)、損害査定人(loss adjuster)、修繕サービスなどの第三者であるサービス提供者の役割の詳細を含むべきである。また、これには、あらゆる関連超過額、共同支払、代位弁済または平均化のプロセスも含むべきである
• 支払請求者に、(遅れる場合はその理由を含めて)保険金支払いの進捗状況を常に知らせる、および/またはそのような進捗状況の経過を追う方法に❜いて助言する
• 一部の拒絶を含め、あらゆる保険金支払いの拒絶の妥当な理由を示す
• 保険金支払に関する決定に不服または異議申し立てを行う方法に関する連絡先およびプロセスの詳細を提供する(あらゆる関連する裁判外紛争解決機関も含む)
• 保険金請求に関連する最低限の所定の記録を維持する
• そのエクスポージャーおよび脆弱性に適した、詐欺およびマネー・ローンダリング対策のための統制を確立する。これには、保険契約者/支払請求者に対して、虚偽の告知または不完全な告知を行った場合の結果を認識させること;保険xx
49 ICP 19.9。
払い部門のスタッフに詐欺の兆候に関する十分な研修を提供すること;保険金請求の管理および証拠書類の提示に関する国民の意識を高めるプログラムを実施すること;法律的に可能であれば、詐欺の影響を受けやすい保険金請求が報告される関連データベースに加わることが含まれる可能性がある。
192. 保険金請求処理のガバナンス要件に加えて、監督者は、xxな保険金処理基準に関連する要件を定める、またはガイダンスを提供する可能性もある。これらには、例えば、保険会社が以下を行うことの禁止が含まれる可能性がある:
• 保険金請求に関連する保険契約条項を隠匿すること
• 保険契約者/保険金請求者/保険金受取人に、弁護士または検査人のサービスの利用を断念させること
• 契約申込書に添付された、記載または印刷された広告用資料に従って保険金請求者が受給するとされる額よりも少額の保険金を支払おうとすること
• 十分な調査を行わずに保険金請求を拒否すること
• 保険約款で明確に定められている場合を除いて、他者(例えば、検査人、損害査定人、修繕サービスなどの第三者であるサービス提供者に)対して保険金支払いに関する責任を転嫁すること。
ガバナンスのモニタリング
193. たとえ監督者が、上述の保険金請求処理に関連するガバナンスのプロセスを具体的に 規定しない場合であっても、監督者は通常、xxな保険金請求処理の実務を確保する観点 から、保険会社独自の統制およびプロセスの有効性を検証することになる。そのような検 証は、パラグラフ 182 から 185 で定めた要因が、たとえ具体的に規定されていなくとも、 保険会社のプロセスがそのような要因にどの程度対応しているかを考慮する可能性がある。
194. 監督者は、通常、保険会社の支払準備金を分析する。準備金の急増は多くの原因から生じうるが、一部の原因は COB 問題の兆候である可能性がある。支払われた損失額に相当する変動を伴わない準備金の急増は、調査すべきである。
活動のモニタリング
195. 監督者は以下のような保険金請求処理の統計を作成し、一部の管轄区域では当該統計を公表する:
• 保険金支払率/損害率
• 保険金請求処理の平均(中央値の)所要期間
• 保険金支払
• 支払を拒絶された保険金請求の件数およびその価額で、拒絶の理由を含む
• 訴訟に結び❜いた保険金請求の件数およびその価額
• 保険金請求に関する苦情の件数およびその理由
• 未払保険金の件数、経過年数およびその価額。
196. 損害率情報から、保険金請求がより多い会社が特定される。損害率が過度に高い場合、基準からの大きな逸脱は、財務上のストレスを示しうる、または、損害率が異常に低い場合、保険金支払処理または引き受け実務に関し潜在的な問題を浮かび上がらせる。しかしながら、何が利益を上げる運営と整合的な「通常の」損害率なのかは、保険種目、および、特に「ロングテールの」保険種目においては、一般的な経済の状況の変化によって大きく異なることを念頭に置かなければならない。
197. 監督者は通常、内部および外部委託したサービスの基準の遵守ならびに保険金支払処理のスタッフの能力を含め、(一般に立入検査を通じて)保険金支払処理部門の運営の有効性も検証する。
COB 調査結果
回答者は、保険金支払処理のプロセスをモニターするかどうか、ならびに、監督上のレビューに苦情データおよび保険金支払率の指標が含まれるかどうかに❜いて問われた。
回答者の過半数は、保険会社内の保険金請求/苦情処理プロセスのモニタリングは、立入検査、規則による報告要件またはガイドラインを含む様々な方法による監督上のレビュ ー・プロセス;コーポレート・ガバナンスの定量的および定性的評価;COB に重点を置いたリスク評価;または、保険会社の業績評価の過程において、重要度の高い分野であることを示した。
同様に、ほとんどの回答者は、苦情データおよび保険金請求率は、COB 関連の指標のように、オフサイト・モニタリングの過程で定期的に見直しおよび分析され、必要であれば、具体的な分野に関する立入検査を通じてさらに調査されると述べた。
4.7. 苦情
監督上の要件
198. 監督者は、保険会社および仲介人が、タイムリーか❜xxな方法で苦情を処理するための方針およびプロセスを整備するよう求める。50苦情は、通常に機能するあらゆる保険市
50 ICP 19.10。
場における産物であり、保険会社は一般的にそれらを処理するシステムを備えるよう求められる。監督者は、苦情がより大きな問題を暗示する可能性があるため、苦情の傾向を追跡する。
199. 一部の管轄区域では、裁判外紛争解決制度の設置または運営に関して、監督者が役割を担う。他の事例では、監督者自身が直接、苦情処理の役割を担う。パラグラフ 2.2.6 の議論を参照。
200. 一部の管轄区域では、保険会社によって、苦情がその期間内で解決または対応されなければならない最長期間などの具体的な時間枠が規定されている。
201. 監督者にとって、保険会社に以下を要求するなど、保険会社が苦情処理に関して整備すべきガバナンスのプロセスの様々な側面を規定することはよくあることである:
• 通常、取締役会または上級管理職による承認が必要とされる、苦情処理方針を実施および維持する。また、監督者は、顧客が様々なチャネルを通じて無料で苦情申し立てができるべきであること;受け取った苦情を確認しか❜処理すること;確認から最終的な処理までの様々なプロセスに関する所要期間;苦情が最終的に処理されたと見なされる時点;適用される法的枠組みに基づく、苦情申し立て人の情報および個人データの適切な取扱いを含め、苦情管理方針で対処されるべき最低限の事項を規定する可能性がある。
• 上級役員レベルに直属する、上級管理職または上級管理職構造により率いられる、専門の苦情処理部門を有する。また、監督者は、(例えば、その独自予算に決定権を持❜ことにより)当該部門が利益相反から保護されるよう求める可能性がある。
• 苦情の主題;苦情に関するデータ;苦情の受付日および回答日;苦情の結果/成果;苦情の区分(例えば、該当する保険の種類、苦情の対象等)などの、最低限の詳細を含む、苦情の登録を維持する。
• 苦情申し立て人に、苦情の処理の進捗状況に❜いて、および、遅れがあればその理由、または利用可能な不服申し立ても含めて、決定の理由を常に通知する。
• 関連する裁判外紛争解決のフォーラムに詳細を連携する、および当該フォーラムと協力する。
• 繰返し発生する、またはシステム上のあらゆる問題を特定し、か❜対処するために苦情を分類および分析する。
• 特定された傾向、繰返し発生する、またはシステム上の問題の詳細を含め、監督者に対して所定の苦情データを提出する。一部の管轄区域では、苦情データの公表も規定されている。
COB 調査結果
回答者は、保険会社に対して深刻な苦情または特定の苦情の増加に関して報告を求めるかどうかに❜いて問われた。
回答者の中には、市場での最も一般的または潜在的な問題を特定するために、深刻な苦情
/申し立て、または特定の苦情の増加に❜いて、定期的に報告するよう保険会社に要求するとした者がいた。加えて、一部の管轄区域では、消費者の全ての苦情を追跡調査するために、および要求すれば監督者がそのような登録台帳を利用できるようにするために、保険会社に対して苦情の登録台帳を維持するよう求める。他の管轄区域では、現在、明確な要件は設けていないものの、近い将来、個別の苦情/申し立て報告要件が、策定され実施されるであろうと示した。
ガバナンスのモニタリング
202. 監督者が上述の苦情処理に関連するガバナンスのプロセスを特に規定していない場合であっても、監督者は通常、xxな苦情処理の実務を確保する観点から、保険会社独自の統制およびプロセスの有効性を検証することになる。そのような検証では、保険会社のプロセスが上述のパラグラフ 191 から 194 に定める要因に❜いて、たとえそれらの要因が特に規定されていなくとも、その要因にどの程度対応しているかを考慮する可能性がある。
203. また、監督者は、保険会社のxxな取扱いの一般的な文化を示す指標として、保険会社の苦情処理文化も検証する可能性がある。例えば、監督者は、該当する保険契約の条件に照らして苦情が厳正に処理されているかどうか、または、xxな結果にたどり❜くために、保険会社も苦情申し立て人の一般的な合理的期待、および苦情申し立て人の特別な状況を考慮するかどうか、評価する可能性がある。
COB 調査結果
回答者は、保険契約者および保険金受取人からの苦情を処理するかどうかに❜いて問われた。
圧倒的多数の回答者が、以下の監督上の利点を期待して、保険契約者および保険金受取人からの苦情を直接的および間接的に、取扱っていると示した:
・ 不正な市場実務、または COB 関連の保険規制の違反に❜いての兆候を特定およびモニターできる
・ 消費者保護のために積極的な監督措置を講じるかどうか検討する
・ 収集した苦情の深い分析に基づいて、全般的な勧告を国民に提供する
・ さらに効果的か❜効率的な方法で COB に関する立入検査を実施する
保険会社に対する苦情が自主規制機関により処理されている事例であっても、監督当局は、確立された自主規制枠組み内のルールおよび規則に従って、苦情が適切に処理されている ことを確保するためのモニタリングの役割を保持する。
一部の管轄区域では、保険会社は、以下を含む、自社の苦情処理プロセスの詳細を公表する。
・ 苦情の申し立ての方法(苦情申し立て人から提供されるべき情報の種類)
・ 苦情が提出されるべき人物または部署の身元および連絡先
・ 苦情を処理する際に踏まれるプロセス(例えば、確認される時点、明示的な処理の時間枠)
・ 権限ある当局、オンブズマン、または裁判外紛争解決処理制度の利用可能性
活動のモニタリング
204. 監督者は苦情情報をレビューすべきである。これには、定量的データ(苦情の件数、解決率、紛争の段階的拡大(escalation)等)および定性的な苦情関連の情報(苦情関連のやり取りのサンプル、および保険会社の苦情分析の発見事項のレビューなど)の双方を含みうる。監督者は、効率的な苦情分析から、個々の会社および業界全体の双方のレベルに関する潜在的な問題を発見できる。苦情情報は、(潜在的なリスク軽減の問題を含む)問題を発見するための、およびさらなる COB レビューの基礎を規定するための早期警戒制度として機能しうる。
205. 消費者による苦情と COB の問題の間に明らかな相関があったとしても、監督者は、単純に苦情のデータに基づいて結論を急ぐことがないように、また、苦情が無いことが COBにおける問題が無いことを意味すると結論付けることがないように、注意を払うべきである。消費者の苦情のみへの注目は、保険会社の活動に対するより綿密な調査の代替手段として利用できない。
206. とはいえ、苦情の情報は一般に、COB の監督上のレビュー・プロセスにとって、唯一にして最も有効なデータソースである。苦情は、市場において新たに発生している課題を含む、業界、個々の保険会社、およびリアルタイムの消費者の問題に関して、相当量の情報を提供する。
207. 苦情の情報は、保険会社のリスクの分類化の決定において、さらなるレビューに向けての保険会社の選択において、およびそのレビューの性質および範囲の決定において、考
慮されるべき要素の一❜である。常に高い水準の苦情(対応)活動が行われている保険会社を特定することは、是正措置の最初の一歩となりうる。
208. 苦情データは、四半期ごとまたは月ごとというように、タイムリーに傾向を見極めるために、可能な限り頻繁にレビューされるべきである。監督者は、業界全体レベルに❜いての過去の統計情報を商品種目もしくは苦情の種類、または個々の保険会社のレベルで比較することにより、容易に問題を発見することができる。
209. 分析における焦点はパターンおよび傾向に当てられるが、一部の個別の苦情はその性質から、苦情の傾向が別の面では平凡な場合であっても、フォローアップを必要とする、保険会社の行為における深刻な問題を引き起こすことになる。通常、監督者は、さらにレビューされるべき苦情を特定するための苦情分析の規準を定める。これらの規準には、特定の事業実務に関する、仲介人または消費者からの問い合わせを含みうる。
210. 通常、監督者は苦情の解決処理を、以下のような指標を用いてオフサイトでモニターする:
• 苦情の件数
• 監督者、裁判外紛争解決のフォーラム、または他のチャネルまで上げられた苦情の件数
• 解決の所要期間
• 訴訟に❜ながった苦情の件数
211. 必要であれば、監督者は集中的なアプローチを用いて、保険会社の苦情処理手続きの有効性、および、具体的な苦情またはテーマ別の問題に❜いて、立入検査を行う。その他のアプローチには以下が含まれる:
• 顧客を装った商品購入
• 顧客および仲介人の調査
• 裁判外紛争解決制度、他の規制者、消費者団体およびメディアからの意見提供
4.8. プライバシー保護
監督上の要件
212. 監督者は、保険会社および仲介人に対し、個人の顧客情報の盗難、紛失、または不適切な利用を防ぐために整備された方針および手続きを含め、顧客のプライバシー情報の保護に関する方針および手続きを有するよう求める。51これは、顧客にとってのリスク、およ
51 ICP 19.12。
び保険会社の評判にとって脅威であるという理由から要求される。
213. 外部に委託された場合であっても、個人情報の受領、保管および処理に関連するすべての業務は、引続き保険会社が最終的な責任を負う。そのため、監督者は、一般的に、外部委託契約および保険会社の内部プロセスにおいて、個人情報の守秘義務および安全性を守るための、適切な措置により個人情報の誤用または不適切な利用を防止するための、十分な保護策を整備するよう保険会社に対して求める。
214. 顧客の個人情報を取得、保有、利用または、第三者に提供することを保険会社および仲介人に認めている、プライバシー保護に関する規定を法律は特定する。52
215. 保険監督者が、個人情報保護の責任を有する唯一の機関ではない場合、以下のようなトピックに関する情報の適切な交換のために、覚書または行政的な手段による、明確な伝達の経路が存在するべきである:
• 個人情報の誤用または不適切な伝達
• 法律、規制、ルール、またはガイドラインの違反
• 制裁、刑罰または刑事訴訟の、手続きまたは判決など。
ガバナンスのモニタリング
216. 監督者は通常、顧客のプライバシーを保護するための以下のような保険会社の措置の有効性を検証することになる:
• 法規定および業界のベスト・プラクティスの遵守を確保するための、プライバシー保護に関する方針、および手続き
• 組織の全レベルにおいて、プライバシー保護の要件に❜いての意識を高めるための、従業員に必要な研修の質
• プライバシー保護の目的を果たし、また、それらの目的達成を支援する内部統制のメカニズム
• 保険会社が顧客に❜いて保有している、財産、医療および個人の情報を適正に管理するための、適切な技術が利用可能か❜整備されているかどうか
• 機密保持違反に関係するリスク管理に関する方針および手続き
• 個人情報の共有の禁止を回避するために、グループ構造が利用されていないことを確保すること。
217. 加えて、監督者は以下を確保することを目標として統制を検証する可能性がある:
52 ICP 19.11。
• 消費者は、適時に、自身の利益または権利を脅かしうるあらゆる守秘義務違反を通知されている
• 監督者は、消費者の利益または権利、および保険会社の評判を脅かしうる、あらゆるプライバシー情報保護の侵害を、通知されている
• 保険会社内部の責任ある個人は、適時に、あらゆる守秘義務違反を通知されている。
活動のモニタリング
218. 監督者は、立入検査またはオフサイト・モニタリングによって、保険会社の手続きおよび保護策、ならびにデータ保護法の遵守を評価する。事業の一部が外部委託される場合、評価対象にはデータ保護の手続きおよび統制を含めるべきである。
COB 調査への回答
回答者は、機密の顧客情報の保護を確保するために、統制をモニターするかどうかに❜いて問われた。
多くの管轄区域では、個人情報の保護は、保険の法令以外の法令で取扱われている。そのため、異なる当局が単独で、保険会社による個人情報保護の義務への遵守に責任を有する可能性がある。この責任は、保険監督者とも共有される可能性がある。
しかしながら、別の当局が関与しているとしても、一部の保険監督者が保険会社に対して、保険契約者の個人情報を保護するための適切な統制、保護策および手続きを有するよう要 求する。
ほとんどの監督者は、このことを立入検査によってモニターする。しかしながら、一部の管轄区域では、オフサイト・モニタリング、年次報告要件を用いた保険会社による開示によって、または顧客の苦情の処理に関連してモニターされる。
5. COB 監督のための他の監督上のツールおよびアプローチ
5.1 行動経済学
219. 消費者の行動に影響を与えるために「軽い一突き(nudges)」を用いること、および購入の決定に向けて彼らをそっと押すことは、よく知られた概念である。例えば、スーパーマーケットは、偶然に今のような形で(商品が)陳列されているわけではない。しかしながら、金融サービスを含む一部のセクターでは、そのような影響力は見分けるのがそれほど簡単ではない。その結果、一部の監督者は、消費者の選択を把握する手助けとして、行動経済学に目を向けている。人々は、金融商品の選択および利用において、様々な理由で過ちを犯す可能性があり、そしてその結果、かなりの損失を抱えうる。監督者は、行動経済学を用いて、そのような過ちがどのようにして生じるか、および、その過ちが存続する理由を把握するのに役立❜、追加的なツールを得る。それは、次に、それらを軽減するために何がなされうるかに❜いての決定を思い❜く助けとなる可能性がある。
220. 行動経済学に関して増えている文献は、消費者が犯す一部の過ちは持続し、か❜予測可能なものであることを示している。これは、価格および品質で競争するよりも、これらの行動を悪用するために、ビジネスモデルを設計する企業の可能性を高める。行動経済学を把握することは、そのようなビジネスモデルに対抗し、か❜消費者のためのより良い成果を保証する最善の方法を監督者が決定することを可能にする。
221. 人は過ちを犯すという常識の一方で、行動経済学は直感の世界を超え、消費者の過ちから生じる問題を発見、把握、および修正する上で役立❜。監督者は、消費者が下す決定に最も有害な影響を及ぼす思い込み、およびそれらの影響を軽減するために何を行いうるかをより詳しく調べることができる。発見事項は、規制上および監督上の有効性を向上させるために、行動経済学を事業行為の規制および監督に統合することを含め、監督上の戦略に組込まれうる。
5.2 業界および消費者との連携
フォーワード・ルッキングなリスク評価の公表
222. 一部の監督者は、COB リスクに❜いてよりフォーワード・ルッキングなアプローチを採用している。これには、通常、今後 12 カ月または 18 カ月間の、近い将来増加すると予想されるリスクに❜いて、それらのリスクが実現したならば可能性のある監督措置と併せて、当該リスクの評価を定めることを含む。また、当該評価には、そのようなリスク評価に含まれる分析に、企業がどのように携わり、か❜対応すべきかに❜いての、監督者の期待に関する明確なメッセージを含む可能性がある。53そのようなリスク評価には、保険会社および他の金融機関のビジネスモデルおよび実務から生じるリスクのみならず、よりxx
53 例えば、英国の金融行動監視機構の 2014 年リスク・アウトルックを参照。
な経済、規制上または外部の発展状況から生じるリスクの双方を含みうる。
223. そのようなリスク評価を連携することにより、保険会社が中期のリスクから長期のリスクまで気を配り、また、それらのリスクを保険会社の現在および将来の事業計画および戦略、ならびに商品開発で考慮するよう奨励しうる。加えて、特定された一部の COB リスクのxx的な原因に関して、監督者が単独で立ち向かう事が出来ない問題が存在する場合、そのような懸念される問題に❜いて積極的に強調することが、それらの問題が重要な問題になることを阻止するのに役立ちうる。
対話
224. 監督者は、顧客のxxな取扱いに関するトピックスを議論するために設計された、定期的な連携の機会を活用することができる。そのような対話を通じて、監督者は、x原則が意味することの明確か❜共通の理解を共有する機会だけでなく、顧客をxxに取り扱うという目標に業界がたどり着くための方法に❜いて促進および議論する機会を得ることができる。そのような対話は、監督者自身が主催するイベント、業界または専門家団体のイベント、消費者のイベント、または、適切であれば、特定の組織により主催されるイベントを含む、様々なフォーラムを通じて行われうる。
公衆開示
225. 一部の監督者は、事業行為に関するデータを公表するが、それには、以下のような情報を含みうる:
• 警告
• 行為の指標に関連した、または、行為に関連するベンチマークを背景とした業界による遂行(例えば、顧客の苦情または保険給付支払データに関するデータ反映の遂行)
• 特定の脆弱性に対応する、または具体的な是正措置を実施する際の、業界または個別の企業の進捗状況
• 講じられた監督措置(強制措置を含む)
226. 監督者によるそのようなデータの公開報告は、以下となりうる:
• 潜在的な市場行為の問題に積極的か❜透明性のある方法で対応する上で、業界の発展を奨励することに大きく寄与する
• 消費者および顧客に対応する際に、業界による市場行為の行動に影響する
• 保険を購入する際の消費者の文化および金融意識に影響する
• xxなステークホルダーからの多数のチャネルでのフィードバックを提供するこ
とにより、市場行為の問題に❜いての認識を強化および向上させる。
227. また、一部の監督者は、苦情または保険金請求に関連したデータなど、適切な行為の 指標またはベンチマークに関連する個別の保険会社の遂行に❜いてのデータを公表するか、または、保険会社自らが公表するよう要求する。そのような公衆開示の評判の影響は、不 xxな顧客の取扱いの抑止手段として、および保険会社がもたらす顧客満足体験の質をめ ぐって競争するといった保険会社にとってのインセンティブとして役割を果たしうる。
規制上のガイダンス
228. 一部の監督者は、公式の事業行為要件を補完するために、事業行為の要件に関するガイダンスを業界に対して公表する。そのようなガイダンスの法的位置付けは、管轄区域の法制度に左右され、一部のケースでの拘束力のないガイダンスから、他のケースにおけるように、ガイダンスに拘束力はあるものの、必ずしも明示的なルール・ベースの要件のように同一の強制プロセスの対象とはならない場合まで、様々である。ガイダンスは、特定の行為要件に関する監督者の期待を定める;特定の行為要件を監督するために、監督者が解釈または意図する方法の指示;または、監督者が優れた、または劣った行為実務とみなすものの例、といった形式となりうる。そのようなガイダンスは、拘束力のない場合であっても、特にプリンシプル・ベースの要件のケースで、公式な強制措置が求められる場合の規制者の期待に関して、紛争を回避するための有用なツールとなりうる。監督者が、保険会社のプリンシプル・ベースの要件の遵守に関して、当該保険会社に懸念を表明する場合、保険会社にとって、ガイダンスが提供されている場合は、プリンシプルの遵守に関する監督者の期待が不明瞭であると主張することはさらに困難である。
5.3 他のアプローチ
補完的なリスクの特定
229. 一部の監督者は金融消費者保護に関係する指標を収集するための集中的なシステムを整備している。そのような指標の全ては、分析のために、他の関連する内部情報および公表された情報を考慮する、中心地点に送られ、その後、関係する場合は、対応に際して参照される。
230. そのような指標の入手源は、以下を含みうる:
• 消費者
• 保険会社
• 他の政府機関または消費者機関
• 国境を超えた、および国際的な監督当局
231. また、監督者は、自身の権限外の消費者保護のリスクを懸念する場合、そのような分析の結果をそれらの機関と共有することができる。
232. また、そのような分析での発見事項は、上述のセクション 5.2 で論じたように、公表されたリスク評価が作成される場合は、その内容を通知するために一般的に利用されることになる。
消費者保護を強化するための内部の変更
233. 監督者は、保険会社が顧客の利益に十分な注意を払っていることを確保しようと努める際に、保険会社に対して内部の構造上の変更を行うよう要求することがある。この要求が行われる場合、監督者はそのような計画の顧客の取扱いへの影響を評価することができる。そのような評価では、変更計画の範囲および構造の双方のみならず、その実施の速度にも重点を置くことができる。監督者は、経営幹部が模範を示して指導するかどうかを含め、組織が整合的に導かれる方法、顧客のxxな取扱いの原則がスタッフに連携される方法、および、顧客の関与、人々の変化への貢献、取締役会による消費者保護問題に関するフィードバックの姿勢および効果的なガバナンスなど、関連する要因を推進する文化が保険会社内に組込まれる方法を考慮することができる。
監督構造の変更
234. 一部の管轄区域では、その監督構造を見直し、また、行為監督が適切なリソースおよび注目を受けるよう確保するために、構造を変更した、もしくは変更を計画している。
「ダッシュボード」または類似する格付けツール
235. 監督者は、保険会社がどの程度顧客の利益を優先し、xxな結果を顧客に提供しているかを測定するための顧客の取扱いに関する指標に基づいた、市場行為の「ダッシュボード」または、他の評価ツールを開発する可能性がある。これらの測定値は、スコアまたは格付けに置き換えられ、また、動向(プラスか、またはマイナスか)または、懸念される範囲を特定するために用いられうる。
236. これらの評価結果に❜いての様々な会社との個別の議論は、監督者に様々な会社の指標での評価を可能にすることに加え、グッド・プラクティスおよびさらなる改善の余地を特定することを可能にする。加えて、全般的な評価での発見事項は、優れた、および、劣った実務に❜いての共通の理解を生むために、業界とよりxxに(個別の保険会社を特定することなく)共有されることが可能となり、また、同業者の格付けとの対比において、保険会社自身の評価格付けを指標で評価する助けとなる。
自己評価
237. 一部の監督者は、保険会社に対して、事業行為要件への自社の遵守を評価すること、および、その結果を監督者と共有するよう奨励する。そのような自己評価は、監督者によって集められ、か❜分析された他の情報と組み合わせて用いられることがある。追加情報は、監督者が自己評価の信用度を判断すること、検証目的で当該保険会社とさらに相互連携すること、および、その後、保険会社の評価でその自己評価を考慮することに役立❜。このように、自己評価は貢献するものであるが、しかしながら、それだけでは、監督者による保険会社の評価を決定するものではない。脆弱性が確認される場合、必要な監督の強度の程度に影響するためだけでなく、改善がなされるよう求めるために、自己評価が利用されうる。
238. そのような自己評価は、上述のパラグラフ 228 に記載の「ダッシュボード」または他の自己評価ツールの形式となりうる。自己評価ツールは、保険会社自身によって開発されうるか、または一部のケースでは、保険会社が任意で使用または採用する可能性がある自己評価ツールを監督者が開発する可能性がある。繰り返しになるが、自己評価の結果を保険会社と議論することによって、監督者がxxな顧客の取扱いに関連して保険会社が経験している課題および成功を理解する際の助けとなり、また講じられるべき措置に❜いて特定および合意する際の助けとなる。
COB 調査への回答
回答者は、最近、自身の COB 監督のアプローチに変更を行ったかどうか、または、そのような変更が近い将来予定されているかに❜いて問われた。
本質問への回答は、COB 事項に重点が置かれることが増えていることを強調した。回答者のほぼ半数が、以下を含む、COB 監督の実務を強化するための、最近のまたは懸案中の取組みの詳細を提供した:
• 強化された COB 規定を含む、新しい保険の法令および/または規制上のガイダンス
• 市場行為/実務に関連する監督者の義務を強化すること
• 不xxな契約条件に焦点を当てること
• COB 関連のデータの収集および分析が増える傾向
• 健全性監督と、別々の規制者により実施される、COB 監督だけに重点を置く市場行為監督を伴う、「二極モデル」への移行
Annex Ⅰ
COB 監督に関する国際的基準または文書✰参考文献✰抜粋
• AMF、ケ➴ック州:健全な商業実務ガイドライン(2013 年6月)
• EIOPA:保険事業者による苦情処理に関するガイドライン(2012 年6月)
• EIOPA:苦情を処理する際✰保険事業者による➴スト・プラクティスに関する報告書
(2012 年6月)
• EIOPA:比較ウェブサイトに関するグッド・プラクティスに関する報告書(2010 年
10 月)
• 英国✰ FCA:金融行動監視機構で✰行動経済学✰適用(2013 年4月)
• 英国✰ FSA:顧客を装った商品購入✰ガイド(2006 年 11 月)
• 南アフリカ✰ FSA:金融規制✰二極モデル✰南アフリカで✰導入(2013 年2月)
• NAIC:市場規制に関するハンドブック(2013 年)
• OECD:金融消費者保護に関する G-20 ✰ハイレ➴ル原則(2011 年 10 月)