Contract
労働省インストラクション 050 号 雇用契約について
2019 年 5 月 24 日
労働省が有期雇用契約に関するインストラクションを出しました(2019 年 5 月 17 日 労働省インストラクション 050 号 雇用契約について。以下「インストラクション」)。
1.有期雇用契約の上限期間
労働法上、有期雇用契約は最長 2 年間とされており、これを超えると自動的に無期雇用契約に転換されます。有期雇用契約を更新した場合の期間の算定方法について、更新期間を含めて最長 2 年なのか、更新する場合は 2 年間を超えることができるのか、不明確でし
た。インストラクションは「最初の契約期間に加えて、最長 2 年間まで更新できる」と示しました。
例 1:最初に 6 カ月間の有期雇用契約を締結した場合、2 年間まで更新できるため、合計で最長 2 年 6 カ月まで有期雇用契約を継続できる。
例 2:最初に 2 年間の有期雇用契約を締結した場合、2 年間まで更新できるため、合計で最長 4 年まで有期雇用契約を継続できる。
最初の有期雇用契約の期間は上限 2 年間ですので、2 年間の有期雇用契約を締結して 2 年
間更新した場合の 4 年間が、有期雇用契約の上限期間となります。
更新の回数に制限はありませんので、2 年間の更新をする場合、2 年間の更新を 1 回するケースだけでなく、例えば 6 カ月の更新を 4 回することも可能です。
有期雇用契約が終了する際、労使協定で別途の定めがない限り、使用者は労働者に対して有期雇用契約期間中に支払った給与等の 5%を補償金(退職金)として支払う義務がありますが、有期雇用契約を更新する際には支払義務は生じませんので、契約を更新して合計 4 年間となった場合は、4 年間の満了時に退職金を支払うことになります。
2.有期雇用契約が満期に達した後、新規の有期雇用契約を締結できるか
例えば 2 年間の有期雇用契約を締結した後 2 年間更新し、合計 4 年間が経過した場合に雇用を継続すると、契約は自動的に無期雇用契約に転換されます。では、無期雇用契約に転換されることを避けるため、5%の退職金を支払って過去の有期雇用契約をいったん清算し、新たな有期雇用契約を締結することは可能でしょうか。このような実務は従来行われてきましたが、旧契約と新契約の間に一定の空白期間を設けるべきであるとの指摘がありました。インストラクションは、その空白期間を 1 ヶ月間と示しました。つまり、4 年が
経過した後、使用者と労働者が合意して 1 ヶ月間の空白期間を設けた上で新たな有期雇用
契約を締結すれば、そこから新たに最長 4 年間まで有期雇用契約を継続できることになります。
3.退職金の算定に試用期間を含めるか
インストラクションは、5%の退職金を算定する際は試用期間を含まないと示しました。例えば、2 年間の有期雇用契約が終了した際、最初の 3 か月間が試用期間であったならば、退職金の金額は試用期間の 3 か月間を除いた 1 年 9 か月分の給与等の 5%となります。
なお、無期雇用契約の場合に支払いが必要となる年功補償を算定する際も、試用期間は含めないと示されています。