Contract
日本メックス株式会社 2023.07.18 17:07:36 +09'00'
工 事 請 負 契 約 約 款
(総則・用語の定義)
第1条 本工事請負契約約款において用いる用語の定義は、次の各号のとおりとする。
(1) 本契約約款
本工事請負契約約款をいう。
(2) 本契約
本契約約款に基づいて締結された請負契約をいい、その内容を変更した場合を含む。
(3) 個別契約
注文書、請書及び本契約約款に基づいて締結する個別の契約をいう。
(4) 本工事
本契約に基づいて実施する工事をいう。
(5) 発注者
注文者に対して工事を注文した者をいう。
(6) 注文者
本工事を注文した者をいう。
(7) 受注者
本工事を請け負った者をいう。
(8) 設計図書
別冊の図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。
(9) 関連工事
注文者が自ら施工する工事又は第三者が施工する工事で、注文者が施工する工事と施工上関連する工事をいう。
(10) 契約不適合
種類又は品質に関して本契約の内容に適合しない状態をいう。
(総則・基本条項)
第2条 注文者及び受注者は、建設業法(昭和24年法律第100号)その他日本国の法令を遵守し、本契約約款に基づき、設計図書に従い、本契約を履行する。
2 設計図書に明示されていない事項については、注文者と受注者とが協議して定める。
3 本契約約款の各条項に基づく協議、承諾、通知、指示、催告、請求等は本契約約款に別に定めるもののほか原則として、書面により行う。
(請負代金内訳書及び工程表)
第3条 受注者は、設計図書に基づく請負代金内訳書、工事計画書及び工程表を作成し、契約締結後速やかに注文者に提出して、その承認を受けるものとする。
2 請負代金内訳書には、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に係る法定福利費を明示するものとする。
(安全及び衛生の確保)
第4条 受注者は、本工事の実施にあたり、事業者として本工事の従事者の災害防止に万全を期さなければならない。
2 受注者は、災害防止のため、注文者の安全衛生管理の方針並びに安全衛生管理計画を遵守するとともに、自ら作業基準を確立し、かつ、責任体制を明確にするものとする。
3 受注者は、その被用者又は受注者の下請負人の被用者の業務上の災害補償について、労働基準法第87条第2項に定める使用者としての責を負う。なお、労働者災害補償保険(以下、
「労災保険」という。)の取扱いについては、以下のとおりである。
(1) 注文者が加入する労災保険による。ただし、受注者若しくはその被用者又は受注者の下請負人若しくはその被用者の責による労災保険に定める不正支給、故意又は重大な過失による事故等にかかる徴収金の事業主負担分については、受注者がこれを負担する。
(2) 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)第8条第2項の定めにより、労働者災害補償保険法による補償について、受注者を事業主とする認可を受けた場合は、受注者が加入する労災保険による。
(秘密の保持)
第5条 受注者は、秘密情報を善良なる管理者の注意をもって厳重に管理し、秘密として保持しなければならない。
2 本契約に関する秘密情報とは、書類(電子媒体によるものを含む。)又は口頭若しくは視覚により開示又は提供される情報等の一切が含まれる。ただし、以下の情報は、秘密情報から除かれる。なお、口頭又は視覚により開示された場合は、開示後書面にて開示の有無及び内容を確認したものに限り、秘密情報として取扱う。
(1) 開示のときにおいて公知であり、又は自己の責によることなく、若しくは本契約約款及び個別契約の定めに反することなくその後公知となった情報。
(2) 開示されたとき、自己が既に知得していたことを証明できる情報。
(3) 開示後、守秘義務を負うことなく第三者から適法に入手し又は入手する情報。
(4) 秘密情報を使用することなく独自に創出したものであることを証明できる情報。
(5) 秘密保持義務を課することなく第三者に開示した情報。
3 前項の規定にかかわらず、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)における「個人データ」に該当する情報については、秘密情報に該当するものとする。
4 受注者は、事前の書面による注文者の承諾を得た場合又は法令等に基づく場合を除き、秘密情報をいかなる第三者に対しても開示又は漏洩してはならない。
5 受注者は、本工事を実施するために必要な注文者及び受注者の事業所又は注文者及び受注者の指定する事業所の中においてのみ、本工事を実施するために必要な範囲で秘密情報の取扱いを実施し、自己の従業員に対し、本工事を通じて知り得た秘密情報の持ち出し、漏洩又は盗用を行わせないために必要な指導・措置を行わなければならない。
6 受注者は、本契約約款及び個別契約の目的の範囲内で秘密情報を使用するものとし、それ以外の目的で秘密情報の加工、利用、改ざん等を行ってはならない。
7 受注者は、安全管理上必要なバックアップを目的とするもの等、本契約約款及び個別契約の目的の範囲内のものを除き、秘密情報の複写又は複製を行ってはならない。
8 受注者は、本契約が期間満了又は解除により終了した場合若しくは注文者から秘密情報の返還を求められた場合には、当該秘密情報の使用を直ちに中止し、受領した秘密情報(前項に基づき複写又は複製したものを含む。)を速やかに注文者に返還しなければならない。ただし、返還に代えて廃棄処分することを注文者が指示した場合には、再利用を防ぐため厳重なる注意をもって廃棄するものとし、注文者に処分結果を報告するものとする。
9 受注者は、本工事を実施するにあたり、情報管理責任者の設置、本工事の遂行に従事する者の限定、情報管理の徹底等、秘密情報の安全管理措置を実施しなければならない。なお、従業員の異動等の際は、速やかに管理情報を変更し、派遣社員等、自己の社員就業規則によらない者については、本工事に関する守秘義務を文書にて確認するものとする。
10 受注者は、注文者から受領した秘密情報を厳重に管理するとともに、秘密情報の管理の徹底を図るため、社員就業規則の整備、社内監査等の必要な措置を講じなければならない。
11 注文者は、受注者に対し秘密情報が適切に取扱われているか監督するために、事前に受注者の承諾を得て必要に応じて調査することができる。
12 受注者は、本工事を実施するにあたり、秘密情報が外部へ漏洩したこと、又は漏洩した可能性を認知した場合は、速やかに注文者に対し状況を報告しなければならない。
13 受注者は、自己又は受注者の下請負人若しくはその被用者(請負が数次にわたるときは、その全てを含む。)の故意又は過失により、秘密情報の管理を怠ったことによって注文者又は第三者に生じた損害については、賠償の責を負う。
14 受注者は、注文者が定める「情報取扱い要領」を遵守し、これに基づく対策に取り組むものとする。
15 本条の秘密保持義務は、本契約終了後もなお有効に継続するものとする。
(個別契約の優先)
第6条 個別契約において、本契約約款と異なる条項を定めたときは、個別契約に従う。
(請負代金の決定)
第 7 条 個別契約の請負代金は、注文者と受注者とが協議のうえ決定する。
2 注文者は、前項の請負代金に対して、関係法令で定められた割合で計算し、円未満の端数を切り捨てた額を付加して受注者に支払う。
(請負代金の変更)
第8条 注文者及び受注者は、次の各号の一にあたるときは、相手方に対して請負代金の変更を求めることができる。この場合、請負代金の変更をするときは、注文者と受注者とが協議のうえ決定する。
(1) 本工事の追加又は内容の変更を行ったとき。
(2) 工期の変更があったとき。
(3) 工期内に予期することができない法令の改廃があり、又は経済事情の特別な変動により、賃金又は物価に著しい変動を生じ、請負代金が明らかに不適当となったとき。
(個別契約の内容変更)
第9条 個別契約の内容を変更する際には、注文者と受注者とが協議してこれを定め、変更注文書、変更請書又は変更依頼書を発行、受領及び提出する。ただし、請負代金又は工期等の重要事項の変更がなく、注文者及び受注者に特段の支障がない場合には、この限りでない。
(権利義務の譲渡禁止)
第10条 受注者は、注文者の書面による承諾を得なければ、本契約によって生じる権利及び義務を第三者に譲渡し、又は承継させてはならない。
2 受注者は、注文者の書面による承諾を得なければ、本工事の目的物(第36条の成果物を含む)並びに本工事の完成に必要な資材や工事材料等を第三者に譲渡し、若しくは貸与し、又は抵当権その他の担保の目的に供してはならない。
(関連工事との調整)
第11条 注文者は、受注者が施工する工事と関連工事の施工につき調整を行う。
2 前項の場合において、受注者は、注文者の調整に従い、関連工事の円滑な施工に協力しなければならない。
3 受注者は、関連工事の施工者と緊密に連絡及び調整を図り、本工事及び関連工事の円滑な完成に協力しなければならない。
(一括委任及び一括下請負の禁止等)
第12条 受注者は、本工事の全部又はその主要な部分を一括して第三者に委任し又は請け負わせてはならない。ただし、公共工事及び共同住宅の新築工事以外の工事で、かつ、あらかじめ発注者及び注文者(以下、総称して「委託者」という。)の書面による承諾を得た場合には、この限りでない。
2 前項ただし書の注文者の書面による承諾にあたって、受注者は、秘密情報の保持について必要なセキュリティ体制を有する委託先を選定し、あらかじめ委託者に対し、委託先、委託期間、委託業務の内容、委託先に提供する秘密情報、委託先での秘密情報に関する管理措置等について文書をもって報告し、委託者の承諾を得なければならない。
3 受注者は、第5条に規定する受注者の義務を委託先にも課し、当該委託先への管理及び監督を行うものとする。
4 受注者は、注文者に対し、委託先のすべての行為及び結果についての責を負う。
5 本条の規定は、受注者の委託先が再委託(その後の再委託も同様とする。)した場合についても準用する。
(受注者の関係事項の通知)
第13条 受注者は、注文者に対して、本工事に関し、次の各号に掲げる事項を本契約締結後、遅滞なく書面をもって通知するものとする。
① 現場代理人及びxx技術者の氏名
② 雇用管理責任者の氏名
③ 安全管理者の氏名
④ 工事現場において使用する一日当たり平均作業員数
⑤ 工事現場において使用する作業員に対する賃金支払の方法
⑥ 自らの健康保険等の加入状況
⑦ その他注文者が工事の適正な施工を確保するため必要と認めて指示する事項
2 受注者は、注文者に対して、前項各号に掲げる事項について変更があったときは、遅滞なく書面をもってその旨を通知しなければならない。
(受注者の下請負人の関係事項の通知)
第14条 受注者が本工事の全部又は一部を第三者に委任し、又は請け負わせ、建設業法第24条の7による政令で定める金額以上になる場合、受注者は、注文者に対して、その契約(その契約に係る工事が数次の契約によって行われるときは、次の全ての契約を含む。)に関し、次の各号に掲げる事項を遅滞なく書面をもって通知するものとする。
① 委任者又は請負者の氏名及び住所(法人であるときは、名称及び工事を担当する営業所の所在地)
② 建設業の許可番号
③ 現場代理人及びxx技術者の氏名
④ 雇用管理責任者及び安全管理者の氏名
⑤ 工事の種類及び内容
⑥ 工期
⑦ 受任者又は請負者が工事現場において使用する一日当たり平均作業員数
⑧ 受任者又は請負者が工事現場において使用する作業員に対する賃金支払の方法
⑨ 受任者又は請負者の健康保険等の加入状況
⑩ その他注文者が工事の適正な施工を確保するため必要と認めて指示する事項
2 受注者は、注文者に対して、前項各号に掲げる事項について変更があったときは、遅滞なく書面をもってその旨を通知しなければならない。
(官公庁への手続)
第15条 受注者は、本契約の履行に関し、官公庁その他に対して必要な手続きを講じなければならない。ただし、注文者が関係法令等に基づき直接行うものについては、この限りでない。
(保証人)
第16条 注文書、請書において保証人を要すると定めている場合、受注者は、自己に代わって自ら工事を完成すること又は受注者に債務不履行があったときに本契約から生じる金銭債務について、受注者と連帯して保証させるため、注文者の認める他の建設業者を保証人として立てなければならない。
2 保証人がその義務を果たせないことが明らかになったときは、注文者は受注者に対してその変更を求めることができる。
(火災保険等)
第17条 受注者は、注文者が求めた場合には、本工事につき、火災保険、地震保険、建設工事保険を付すものとする。なお、保険金額については、注文者と受注者とが別途協議のうえ定める。
2 受注者は、前項の規定により保険契約を締結したときは、その証券を遅滞なく注文者に提示しなければならない。
(注文者の現場代理人)
第18条 注文者は、自己に代わって工事現場を統括し、受注者を指揮及び監督するとともに関連工事との調整を図り本工事を円滑に完成するため現場代理人(建設業法第19条の2第1項に規定する現場代理人をいう。以下同じ。)を置くときは、その氏名を受注者に通知するものとする。
2 受注者が本工事の実施に必要な指示、検査、立会、承認等を注文者に求めたときは、注文者の現場代理人は速やかにこれに応じるものとする。
(受注者の現場代理人及びxx技術者)
第19条 受注者は、本工事の実施にあたり、現場代理人並びにxx技術者(建設業法第26条第
1項に規定する技術者をいう。以下同じ。)を定め、書面をもってその氏名を注文者に通知しなければならない。現場代理人又はxx技術者を変更したときも同様とする。なお、xx技術者は、現場代理人を兼ねることができる。この場合、それぞれの立場について定められている責を負う。
2 受注者は、前項の規定にかかわらず、現場代理人の工事現場における運営、取締り及び権限の行使に支障がなく、かつ、注文者との連絡体制が確保されると認めた場合には、現場代理人について工事現場における常駐を要しないこととすることができる。
3 第1項の現場代理人は、本工事の実施にあたり、その運営及び監理を行い安全の確保を図るほか、本契約約款及び個別契約に基づく受注者の一切の権限(請負代金の変更、請負代金の請求及び受領並びに本契約約款及び個別契約の解除に係るものを除く。)を行使することができる。ただし、工事現場の取締り、安全衛生、災害防止又は就業時間など工事現場の運営及び監理に関する重要な事項については、注文者に通知する。
4 受注者は、前項の規定にかかわらず、自己の有する権限のうち、これを現場代理人に委任せず自ら行使しようとするものがあるときは、あらかじめ当該権限の内容を、書面をもって注文者に通知しなければならない。
(不安全行為に関する措置請求)
第20条 作業場等において、別表第一に掲げる安全遵守違反、その他重大な事故及び災害に繋がる可能性がある事象に該当すると認められる行為を発見した場合、注文者は当該作業員及び作業班に対し、直ちに作業の中止を指示し、当該作業場から退場させる措置を実施する。また、安全設備の使用について、著しく不適当と認められた場合は個別契約を解除することができる。
2 前項の安全遵守違反が認められた場合、注文者は退場となった当該作業員及び作業班に対し、速やかに安全教育を実施し、受注者は誓約書を提出しなければならない。
3 注文者は前項の誓約書を確認し、適当と判断した場合は受注者の当該作業員及び作業班を当該作業場に復帰させることができる。
4 第1項の規定により、個別契約を解除した場合は第51条第2項及び第3項の規定を準用する。
(工事関係者に関する措置請求)
第21条 注文者は、現場代理人、xx技術者その他受注者が本工事の実施のために使用している下請負人、作業員等で本工事の運営又は管理につき著しく不適当と認められる者があるときは、受注者に対して、その事由を明示した書面をもって必要な措置を請求することができる。
2 受注者は、前項の請求があったときは、当該請求にかかる事項について決定し、その結果について、請求を受理した日の翌日から10日以内に書面をもって注文者に通知しなければならない。
3 受注者は、注文者の現場代理人等でその職務の執行につき著しく不適当と認められる者があるときは、注文者に対して、その事由を明示した書面をもって必要な措置をとるべきことを請求することができる。
4 注文者は、前項の請求があったときは、当該請求にかかる事項について決定し、その結果について、請求を受理した日の翌日から10日以内に書面をもって受注者に通知しなければならない。
(立会)
第22条 受注者は、地中又は水中の工事、その他施工後外から見ることのできない工事を施工するときは、注文者の現場代理人等の立会を求めなければならない。ただし、注文者の現場代理人等の立会が出来ない場合の施工方法等については、注文者と受注者とが協議して定める。
(工事材料及び工事用機器)
第23条 受注者は、仕様書等に明示されているもの又は注文者の現場代理人等が認めた工事材料を使用しなければならない。注文者の現場代理人等は、工事用機器について不適当であると
認めたときは、理由を伝え、受注者に対して、その交換を求めることができる。
2 受注者は、工事現場に搬入した工事材料又は工事用機器を工事現場外に持ち出すときは、注文者の現場代理人等の承諾を得なければならない。
3 注文者の現場代理人等が、第1項所定の工事材料でない不合格工事材料又は不適当であると認めた工事用機器については、注文者の現場代理人等の指示により受注者がこれを引き取らなければならない。
4 工事材料のうち仕様書等にその品質が明示されていないものについては、注文者と受注者とが協議して定める。
(支給材料及び貸与品等)
第24条 本工事の実施にあたり注文者から受注者へ支給する工事材料(以下、「支給材料」という。)及び貸与する建設機械機具(以下、「貸与品」という。)の品名、数量、規格、性能及び引渡場所は、仕様書等に定めるところにより、その引渡時期は注文者の指示による。
2 注文者は、あらかじめ注文者の検査又は試験に合格した支給材料又は貸与品を支給し、受注者は、当該注文者の検査又は試験に立会うことができる。
3 受注者は、支給材料又は貸与品の引渡しを受けたときは、遅滞なく注文者に受領書又は借用書を提出しなければならない。
4 受注者は、支給材料又は貸与品が仕様書等の定めと異なり、又は使用に適当でないと認めたときは、遅滞なくその旨を注文者に通知し、注文者は、それを承認した場合は、当該支給材料又は貸与品に代えて他の支給材料又は貸与品を引渡す。
5 受注者は、支給材料又は貸与品を善良な管理者の注意をもって保管し、受注者の故意又は過失によって支給材料又は貸与品が滅失、若しくは毀損し又はその返還が不可能となったときは、注文者の指定した期間内に原状に復し、若しくは代品を納め又はその損害を賠償しなければならない。
6 受注者は、支給材料又は貸与品の使用方法が仕様書等に明示されていないときは、注文者の指示に従うものとする。
7 受注者は、不要となった支給材料及び貸与品又は工事により生じた撤去品を、仕様書等の定め又は注文者の指示により、注文者に返還、引渡等を行い、仕様書等に第三者への売却の指示があるものはそれに従うものとする。
8 受注者は、引渡しを受けた支給材料又は貸与品が種類、品質又は数量に関し本契約の内容に適合しないもの(第2項の検査により発見することが困難であったものに限る。)であり、使用に適当でないと認められるときは、遅滞なく注文者の現場代理人にその旨を通知する。この場合において、必要があると認められるときは、注文者と受注者とが協議して、工期又は請負代金額を変更する。
(条件変更等)
第25条 受注者は、本工事の実施にあたり、次の各号の一に該当する事実を発見したときは、直ちに書面をもってその旨を注文者の現場代理人に通知し、その確認を求めるとともに、注文者の現場代理人の指示に従い、必要な措置を講ずるものとする。
(1) 仕様書等と工事現場の状態が一致しないとき。
(2) 仕様書等の表示が明確でないとき、図面と仕様書等が一致しないとき、仕様書等の誤謬若しくは脱漏等により表示が明確でないとき。
(3) 工事現場の地質、湧水等の状態及び施工上の制約等、仕様書等に示された自然的又は人為的な施工条件が実際と相違するとき。
(4) 仕様書等に明示されていない施工条件について、予期することのできない特別の状態が生じたとき。
2 前項の規定により、工事内容の変更又は仕様書等の訂正を行った結果、工期又は請負代金を変更する必要があると認められたときは、第8条の規定を準用する。
(仕様書等不適合の場合の修補義務、破壊検査等)
第26条 受注者は、本工事の実施が個別契約又は仕様書等に適合しない場合において、注文者がその修補を請求したときは、これに従わなければならない。この場合、当該修補に要する費用は、受注者の負担とする。
2 前項において、注文者は、本工事の実施が個別契約又は仕様書等に適合しない恐れがあり、かつ、必要があると認められたときは、本工事の実施部分を破壊して検査することができる。なお、当該検査及び破壊部分の復旧に要する費用は、受注者の負担とする。ただし、破壊検査の結果、個別契約及び仕様書等に適合している場合は、当該破壊検査及び破壊部分の復旧に要する費用の負担については、注文者と受注者とが協議のうえ決定する。
3 注文者の責に帰すべき事由により、前2項の事由が生じたときには、当該修補費用、当該検査費用及び当該破壊部分の復旧に要する費用は、注文者の負担とする。ただし、受注者の責に帰すべき事由も認められるときには、前記各費用の負担については、注文者と受注者とが協議のうえ決定する。
(著しく短い工期の禁止)
第27条 注文者は、工期の変更をするときは、変更後の工期を建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間としてはならない。
(工事の変更及び中止等)
第28条 注文者は、必要があると認めるときは、書面をもって受注者に通知し、工事内容を変更し、又は工事の全部若しくは一部の施工を一時中止させることができる。この場合において、必要があると認められるときは、注文者と受注者とが協議して、工期又は請負代金額を変更する。
2 工事用地等の確保ができない等のため又は天災地変その他の不可抗力により工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が本工事を施工できないと認められるときは、注文者は、工事の全部又は一部の施工を中止させる。この場合において、必要があると認められるときは、注文者と受注者とが協議して、工期又は請負代金額を変更する。
3 注文者は、前2項の場合において、受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し、若しくは作業員、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし、又は受注者に損害を及ぼしたときは、その増加費用を負担し、又はその損害を賠償する。この場合における負担額又は賠償額は、注文者と受注者とが協議して定める。
(受注者による工事の中止)
第29条 天災地変その他これに準ずる事情により工事の続行が不可能と判断されるときは、受注者は、本工事を中止することができる。
2 注文者が第39条所定の部分完了払を遅延し、受注者が相当の期間を定めて催告しても支払わないときは、受注者は、本工事を中止することができるものとし、この場合、第53条の規定を準用する。
3 前項において、注文者は、受注者が本工事の続行に備え、工事現場を維持し又は作業員、工事用機器等を保持するために支出した費用及び本工事の中止に伴う受注者の損害を補償 しなければならない。この場合、補償額は、注文者と受注者とが協議して定める。
(注文者の請求による工期の短縮)
第30条 注文者は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、受注者に対し書面をもって工期の短縮を求めることができる。この場合における短縮日数は、注文者と受注者とが協議して、書面をもって定める。
2 前項の場合において、必要があると認められるときは、注文者と受注者とが協議して請負代金を変更する。この場合、第8条の規定を準用する。
(受注者の請求による工期の延長)
第31条 受注者は、天災地変その他受注者の責に帰すことができない事由により、個別契約で定める工期の期間内に工事を完了できないときは、注文者に対し遅滞なく書面によりその事由を付して工期の延長を求めることができる。
2 前項の場合、延長日数その他必要な事項は、注文者と受注者とが協議して、書面をもって定める。
(賃金又は物価の変動等に基づく請負代金額の変更)
第32条 工期内に賃金又は物価の変動により請負代金額が不適当となり、これを変更する必要があると認められるときは、注文者と受注者とが協議して請負代金額を変更する。
2 注文者と発注者との間の請負契約において、本工事を含む元請工事の部分について、賃金又は物価の変動を理由にして請負代金額が変更されたときは、注文者又は受注者は、相手方に対し、前項の協議を求めることができる。
(検査及び引き渡し)
第33条 注文者は、受注者から本工事の完成通知を受けた日から20日以内に受注者の立会のもとに検査を行い、検査に合格しているときには、その旨を受注者に通知する。
2 本工事のうち、引渡しを要する工事にあっては、前項所定の検査合格通知日をもって引渡完了日とする。引渡しを要しない工事にあっては、前項所定の検査合格通知日をもって工事完成確認日とする。
3 受注者は、注文者による第 1 項所定の検査に合格しないときには、速やかに修補して注文者の再検査を受けなければならない。
4 前項所定の注文者による再検査については、第1項及び第2項の規定を準用する。
5 注文者が第2項の引渡しを拒み、又は引渡しを受けることができない場合において、受注者は、引渡しを申し出たときからその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。
6 前項の場合において、受注者が自己の財産に対するのと同一の注意をもって管理したにもかかわらず本工事の目的物に生じた損害及び受注者が管理のために特に要した費用は、注文者の負担とする。
7 本条の規定は、本工事の部分完成についても準用する。
(完成前使用)
第34条 注文者は、本工事の完成前においても、本工事の全部又は一部を受注者の同意を得て使
用することができる。ただし、受注者は、必要があるときは、注文者の同意を得て、その使用中止を求めることができる。
2 注文者は、前項の使用部分を善良な管理者の注意をもって使用するものとし、当該使用によって受注者に損害を及ぼした場合は、これを賠償するものとする。
(部分引渡し)
第35条 工事目的物について、注文者が設計図書において工事の完成に先だって引渡しを受けるべきことを指定した部分(以下、「指定部分」という。)がある場合において、その部分の工事が完了したときは、第33条の規定を、「工事」とあるのは「指定部分に係る工事」と読み替えて準用する。
(成果物の受領)
第36条 注文者は、本工事の目的物以外の注文者による指示、要請のもとに受注者が作成した物、図面その他の有体物(電子媒体によるものを含む。)(以下、「成果物」という。)を注文者に提出するよう受注者に要求することができる。
2 注文者は、受注者から成果物の提出があったときは、その内容を確認のうえ、受領した旨を受注者に通知する。この場合、注文者による確認をもって検査に代えることができる。これにより、成果物については引渡しがあったものとし、当該通知日をもって成果物の引渡完了日とする。
3 注文者は、成果物の内容に疑問があるときには、その理由を遅滞なく受注者に通知するものとし、その措置については、注文者と受注者とが協議して定める。
(請負代金の支払)
第37条 請負代金は、第33条所定の工事完了・引渡書等の引渡しの申出日(引渡しを要しない工事にあっては、工事完成確認日)から起算して50日以内に別途定める支払期日に支払う。
2 請負代金は、受注者の指定する金融機関の口座に振り込むことにより、これを支払うものとする。
3 振込手数料その他支払いに要する費用は、受注者の書面による同意を得て受注者の負担とすることができる。
4 注文者は、本契約約款及び個別契約の定めにかかわらず、やむを得ない場合には、受注者の書面による同意を得て請負代金の支払時期又は支払方法を変更することができる。
5 前項の場合において、注文者は受注者が負担した費用又は受注者が被った損害を賠償する。
(前払金)
第38条 資材の購入、その他本工事の着手に必要な受注者の資金につき、注文者は受注者からの請求に応じ前払金を支払うことができる。
(部分完了払)
第39条 受注者は、個別契約に定めがある場合には、本工事の完成前に部分完了払を請求することができる。
2 注文者は、前項の請求があったときは、遅滞なく本工事の検査を行い、検査の結果を受注者に通知しなければならない。この場合、第33条及び第36条の規定を準用する。
3 受注者は、本工事につき出来形の検査に合格したときは、工事の出来形部分及び第23条第1項所定の工事材料等(以下、「調達材料」という。)で注文者の承認しているものにかかる費用のうち、請負代金額から前条所定の前払金を控除した残額の10分の9以内(10
0円未満切り捨て)の金額を注文者に請求することができる。ただし、この請求は個別契約に定めた範囲内で行わなければならない。
4 前項所定の出来形部分及び受注者の調達材料等の金額については、内訳明細書等により算定するものとする。
5 本条の規定による注文者から受注者への支払については、第37条の規定を準用する。
(遅延利息)
第40条 注文者の責に帰すべき事由により、第37条所定の請負代金が支払期日までに支払われなかったときは、受注者は、支払期日の翌日から支払日までの日数に応じ、支払遅延額に対し年14.6%の割合で計算した額を遅延利息として注文者に請求することができる。
2 注文者は、支払請求書を受理した後、天災地変その他注文者の責に帰すことができない事由により、前条所定の期間内に支払を完了することができないときは、受注者に対し遅滞なくその事由を付して同期間の延長を求めることができるものとし、その延長日数は、注文者と受注者とが協議して書面をもって定める。
3 第1項の規定により計算した遅延利息の額に円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。
(賃金等の立替払)
第41条 受注者又は受注者の下請負人が、賃金、材料代等を支払わないときは、注文者は、受注者に対し当該金員を支払うよう勧告する。
2 注文者から受注者に対する前項の勧告がなされても、受注者が当該金員を支払わないとき又は前項の勧告をすることができない場合は、注文者は、受注者又は受注者の下請負人の作業員、納入業者等からの書面による申出により、受注者の同意を得ることなくこれを立替払することができる。ただし、請負代金の額を上限とする。
3 注文者は、前項の規定によって、立替払したときは、受注者の同意を得ることなく、これを受注者に対する立替金として処理することができる。
(請負代金との相殺及び遅延利息)
第42条 注文者は、受注者に対する金銭債権があるときには、受注者に支払う請負代金と相殺することができる。この場合において、相殺後、注文者の受注者に対する残余の金銭債権があるときは、受注者は、その残額を、注文者からの請求により支払わなければならない。
2 受注者が注文者に対する金銭債務の支払を怠ったときは注文者は、受注者に対し、支払期日の翌日から支払日までの日数に応じ、支払遅延額に対し年14.6%の割合で計算した額を遅延利息として請求することができる。この場合、第40条第3項の規定を準用する。
(履行遅滞の場合における延滞金)
第43条 受注者が、その責に帰すべき事由により個別契約に定めた工期内に本工事を完成することができない場合において、工期経過後相当の期間内において完了する見込みのあるときは、注文者は、受注者から延滞金を徴収して工期を延長することができる。
2 前項の延滞金は、延滞日数1日につき、請負代金額から出来形部分に対する請負代金相当額を控除した額の10,000分の4に相当する額とする。
3 前項の延滞日数の計算は、工期満了の翌日から引渡完了日までとする。なお、引渡しを要しない工事にあっては、工事完成確認日までとする。ただし、第33条第1項所定の注文者による検査の期間は、これに算入しない。
4 第2項の規定により算出した延滞金の額が100円未満であるときは、延滞金を支払うことを要せず、その額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。
(臨機の措置等)
第44条 受注者は、本工事の実施にあたり、災害防止等のために特に必要と認めるときは、あらかじめ注文者の意見を聞いて臨機の措置を講じなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、受注者は、自らの判断により、必要な措置を講ずることができる。
2 前項の場合において、受注者は、講じた措置の内容を速やかに注文者に通知しなければならない。
3 注文者は、災害防止、故障の発生、その他本工事の実施上特に必要があると認めたときは、受注者に対して臨機の措置を求めることができる。
4 受注者が第1項又は前項の規定により臨機の措置を講じた場合において、当該措置に要した費用のうち、受注者が請負代金の範囲内において負担することが適当でないと認められる部分については、注文者と受注者とが協議のうえ注文者の負担額を決定する。
5 注文者は、必要があると認めたときは、受注者に対して事業経営の内容等について報告を求めることができる。
(一般的損害)
第45条 本工事の引渡完了日又は工事完成確認日前に本工事の出来形部分、成果物又は工事・保守等に使用する材料について生じた損害は、第47条所定の場合を除き受注者の負担とする。ただし、当該損害のうち注文者の責に帰すべき事由により生じたものについては、注文者がこれを負担する。
(第三者等に発生した損害)
第46条 受注者は、本工事の実施にあたり注文者又は第三者に対して損害を与えるおそれがあるときは、必要な予防措置を講じるものとし、その措置に必要な費用は、受注者の負担とする。
2 受注者は、本工事の実施によって、注文者又は第三者に損害を及ぼしたときは、当該損害を賠償する。ただし、本工事の実施に伴い通常避けることができない理由により生じた損害については、この限りでない。
3 注文者は、受注者が本工事を実施する際、注文者の責に帰すべき事由により受注者又は第三者に損害を及ぼしたときは、当該損害を賠償する。
4 本工事の実施によって、第三者との間に紛争が生じた場合には、注文者と受注者とで協議してその処理解決にあたる。
(天災地変その他不可抗力による損害)
第47条 天災地変その他不可抗力により、注文者、受注者いずれにもその責に帰すことができない事由によって、本工事のうち出来形部分、工事材料、工事仮設物、成果物又は建設機器機具等に損害が生じたときは、受注者は、その事実の発生後遅滞なくその状況を書面により注文者に通知するものとする。
2 注文者は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに調査を行い、前項の損害の状況を確認し、その結果を書面により受注者に通知する。
3 前項の規定により損害の状況が確認されたときは、注文者と受注者とが協議して重大と認められたものは、受注者は、注文者に対して書面をもって当該損害額の負担を請求することができる。
4 前項の規定により、受注者から損害額の負担の請求があったときは、当該損害額のうち、本工事のうち出来形部分に関する損害、現場搬入済みの工事材料に関する損害及び工事仮設物又は建設機器機具に関する損害について、請負代金額の100分の1を超える金額のうち、注文者と受注者との協議により定められた金額を注文者は負担する。ただし、損害を生じた工事仮設物又は建設機器器具がリース物品の場合には、受注者が当該リース契約に基づきリース会社と協議のうえ決定した、受注者のリース会社に対する損害負担額をもって損害額とする。
5 火災保険、地震保険、建設工事保険その他損害を填補するものがあるときは、それらの額を前項の注文者の負担額から控除する。
(契約不適合責任)
第48条 注文者は、引き渡された本工事の目的物に契約不適合があるときは、受注者に対し、目的物の修補又は代替物の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、その履行の追完に過分の費用を要するときは、注文者は履行の追完を請求することができない。
2 前項の場合において、注文者が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、注文者は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。ただし、次の各号の一に該当する場合は、催告をすることなく、直ちに代金減額を請求することができる。
(1) 履行の追完が不能であるとき。
(2) 受注者が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(3) 工事目的物の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行しなければ本契約をした目的を達することができない場合において、受注者が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
(4) 前3号に掲げる場合のほか、注文者が本項の規定による催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
(契約不適合責任期間)
第49条 注文者は、引き渡された本工事の目的物に関し、第33条(第35条において準用する場合を含む。)の規定による引き渡しを受けた日から2年以内でなければ、契約不適合を理由とした履行の追完の請求、損害賠償の請求、代金の減額の請求又は契約の解除(以下、この条において「請求等」という。)をすることができない。
2 前項の規定に関わらず、設備の機器本体等の契約不適合については、引渡しの時、注文者が検査して直ちにその履行の追完を請求しなければ、受注者はその責任を負わない。ただし、当該検査において一般的な注意の下で発見出来なかった契約不適合については、引渡しを受けた日から1年を経過する日まで請求等をすることができる。
3 前2項の請求等は、具体的な契約不適合の内容、請求する損害額の算定の根拠等当該請求等の根拠を示して、受注者の契約不適合責任を問う意思を明確に告げることで行う。
4 注文者が第1項又は第2項に規定する契約不適合に係る請求等が可能な期間(以下、「契約不適合責任期間」という。)の内に契約不適合を知り、その旨を受注者に通知した場合において、注文者が通知から1年が経過する日までに前項に規定する方法による請求等をしたときは、契約不適合責任期間の内に請求等をしたものとみなす。
5 注文者は、第1項又は第2項の請求等を行ったときは、当該請求等の根拠となる契約不適合に関し、民法の消滅時効の範囲で、当該請求等以外に必要と認められる請求等をすることができる。
6 前各項の規定は、契約不適合が受注者の故意又は重過失により生じたものであるときは適用せず、契約不適合に関する受注者の責任は、10年間とする。
7 民法第637条第1項の規定は、契約不適合責任期間については適用しない。
8 本契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)第94条第
1項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成12年政令第64号)第5条に定める部分の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について履行の追完の請求、損害賠償の請求、代金の減額の請求又は契約の解除を行うことのできる期間は、10年とする。この場合において、前各項の規定は適用しない。
9 引き渡された工事目的物の契約不適合が支給材料の性質又は注文者の指図により生じたものであるときは、注文者は当該契約不適合を理由として請求等をすることができない。ただし、受注者がその材料又は指図の不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは、この限りでない。
(注文者の任意解除権)
第50条 注文者は、本工事が完成しない間は、次条及び第52条に規定する場合のほか必要があるときは、本契約を解除することができる。
2 注文者は、前項の規定により本契約を解除した場合において、これにより受注者に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償する。この場合における賠償額は、注文者と受注者とが協議して定める。
(注文者の催告による解除権)
第51条 注文者は、受注者が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、本契約を解除することができる。
(1) 正当な理由がないのに、本工事に着手すべき時期を過ぎても、本工事に着手しないとき。
(2) 工期内又は工期経過後相当期間内に本工事を完成する見込がないと認められるとき。
(3) 正当な理由なく、第48条第1項の履行の追完がなされないとき。
(4) 前各号に掲げる場合のほか、本契約に違反したとき。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行が本契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
2 前項の規定により本契約を解除した場合は、注文者は、受注者に対し、請負代金の100分の10に相当する違約金を請求することができる。この違約金の請求は、当該違約金を超える損害が発生した場合に、注文者が受注者に対してその超過した損害の賠償を請求することを妨げない。
3 工期の延長を行った後に解除した場合は、前項に定める違約金のほか、解除通知をした日までの第43条所定の延滞金を別途徴収することができる。
(注文者の催告によらない解除権)
第52条 注文者は、受注者が次の各号の一に該当するときは、直ちに本契約の解除をすることができる。
(1) 差押、仮差押、仮処分、公売処分、租税滞納処分、その他公権力の処分を受け、又は会社更生手続、民事再生手続若しくは破産その他倒産手続(債権手続を含む)の開始申立がなされたとき、又は自ら同倒産手続の開始申立をしたとき。
(2) 自ら振出し、若しくは引き受けた手形又は小切手が不渡りになったときその他支払停止
状態に至ったとき。
(3) 監督官公庁から営業停止又は免許若しくは登録の取消の処分を受けたとき。
(4) 第10条第1項の規定に違反して、請負代金債権を譲渡したとき。
(5) 本契約の目的物を完成させることができないことが明らかであるとき。
(6) 引き渡された工事目的物に契約不適合がある場合において、その不適合が目的物を除却した上で再び建設しなければ、本契約の目的を達成することができないものであるとき。
(7) 受注者が本契約の目的物の完成の債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(8) 受注者の債務の一部の履行が不能である場合又は受注者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは本契約をした目的を達することができないとき。
(9) 本契約の目的物の性質や当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行しなければ本契約をした目的を達することができない場合において、受注者が履行をしないでその時期を経過したとき。
(10) 前各号に掲げる場合のほか、受注者がその債務の履行をせず、注文者が前条の催告をしても本契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みのないことが明らかであるとき。
2 前項の規定により、本契約を解除した場合は前条第2項及び第3項の規定を準用する。
(受注者の催告による解除権)
第53条 受注者は、注文者が本契約に違反したときは、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、本契約を解除することができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行が本契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
(受注者の催告によらない解除権)
第54条 受注者は、次の各号の一に該当する理由のあるときは、直ちに本契約を解除することができる。
(1) 第28条第1項の規定により工事内容を変更したため請負代金額が3分の2以上減尐したとき。
(2) 第28条第1項の規定による工事の施工の中止期間が工期の2分の1(工期の2分の1が6カ月を越えるときは6カ月)を超えたとき。ただし、中止が工事の一部のみの場合は、その一部を除いた他の部分の工事が完了した後、工期の4分の1(工期の4分の1が3カ月を越えるときは3カ月)を経過しても、なおその中止が解除されないとき。
(受注者の責めに帰すべき事由による場合の解除の制限)
第55条 受注者の責めに帰すべき事由があるときには、受注者は、前2条の規定による契約の解除をすることができない。
(解除に伴う措置)
第56条 注文者は、本工事の完成前に本契約が解除されたときは、工事の出来形部分及び部分払の対象となった工事材料の引渡しを受ける。ただし、その出来形部分が工事の出来形検査に合格しない場合又は設計図書に適合しない場合は、その引渡しを受けないことができる。
2 注文者は、前項の引渡しを受けたときは、その引渡しを受けた出来形部分及び工事材料に相応する請負代金を受注者に支払う。ただし、受注者が第57条所定の反社会的勢力である
ことが判明したときは、この限りでない。
3 前項の場合において、第38条の規定による前払金があったとき及び第39条の規定による部分払があったときは、注文者は、当該支払額との差額を受注者に支払う。
4 前項の場合において、受領済みの前払金額になお余剰があるときは、受注者は、その余剰額に前払金の支払の日から返還の日までの日数に応じ、年5%の割合で計算した額の利息を付して注文者に返還する。ただし、当該契約の解除が第50条第1項、第53条及び第54条の規定によるものであるときは、利息に関する部分は適用しない。
5 受注者は、本工事の完成前に本契約が解除されたときは、以下の措置を講じなければならない。
(1) 第24条の規定による支給材料があるときは、工事の出来形検査に合格した部分に使用されているものを除き、これを注文者に返還する。この場合において、当該支給材料が受注者の故意又は過失により滅失又は毀損したとき、又は工事の出来形検査に合格しなかった部分に使用されているときは、受注者は、代品を納め、若しくは修補し、又は返還に代えて損害を賠償しなければならない。
(2) 第24条の規定による貸与品があるときは、これを注文者に返還する。この場合において、当該貸与品が受注者の故意又は過失により滅失又は毀損したときは、受注者は、代品を納め、若しくは修補し、又は返還に代えて損害を賠償しなければならない。
(3) 工事用地に受注者の所有する工事材料、建設機器機具、仮設物その他の物件(受注者又は受注者の下請負人の所有に属するその他の物件並びに前2号の支給材料、貸与品のうち注文者に返還しないものを含む。)があるときは、これを搬出するとともに、工事用地を原状に復して元請負人に明け渡す。
6 前項に規定する受注者のとるべき措置の期限、方法等については、注文者と受注者とが協議して定める。
7 工事の完成後に本契約が解除された場合は、解除に伴い生じる事項の処理については注文者及び受注者が協議して定める。
(反社会的勢力との関係排除)
第57条 注文者及び受注者は、それぞれ自己が次の各号の一に該当しないこと及び今後もこれに該当する行為を行わないことを表明・保証し、相手方が各号の一に該当するとき、又は該当していたことが判明したときは、別段の催告を要せず即時に本契約を解除することができる。
(1) 暴力団、暴力団構成員、暴力団関係企業もしくは関係者、総会屋、その他の反社会的勢力であること、又は反社会的勢力であったこと。
(2) 役員又は実質的に経営を支配する者が反社会的勢力であること、又は反社会的勢力であったこと。
(3) 親会社、子会社(いずれも会社法の定義による、以下同じ。)又は本契約の履行のために再委託する第三者が前 2 号のいずれかに該当すること。
(4) 相手方に対して脅迫的な言動をすること、もしくは暴力を用いること、又は相手方の名誉・信用を毀損する行為を行うこと。
(5) 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害すること。
(6) 相手方に対して指針が排除の対象とする不当要求をすること。
(7) 反社会的勢力である第三者をして前3号の行為を行わせること。
(8) 自ら又はその役員もしくは実質的に経営を支配する者が反社会的勢力への資金提供を行う等、その活動を助長する行為を行うこと。
(9) 親会社、子会社又は本契約の履行のために再委託する第三者が前各号のいずれかに該当
する行為を行うこと。
2 注文者及び受注者は、前項により契約を解除されたことを理由として、相手方に対し、損害の賠償を請求することができない。
3 第1項に定める行為により損害を被った当事者は、相手方に対し、その損害の賠償を請求することができる。
(報告・通報)
第58条 受注者は、受注者又は受注者の下請負人(下請負が数次にわたるときは、その全てを含む。)が暴力団等による不当要求又は工事妨害(以下、「不当介入」という。)を受けたときには、断固としてこれを拒否し、又は受注者をして断固として拒否させるとともに、不当介入があった時点で、速やかに注文者にこれを報告し、注文者の捜査機関への通報及び発注者への報告に必要な協力を行わなければならない。
2 受注者が正当な理由なく前項に違反したときは、注文者は、何らの催告を要さずに受注者との本契約を解除することができる。
(注文者の損害賠償請求)
第59条 注文者は、受注者が次の各号の一に該当する場合は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が本契約及び取引上の社会通念に照らして受注者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(1) 工期内に工事を完成することができないとき(第43条第1項の規定により工期を変更したときを含む。)。
(2) 第48条第1項に規定する契約不適合があるとき。
(3) 第51条又は第52条の規定により、契約が解除されたとき。
(4) 前3号に掲げる場合のほか、受注者が債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき。
2 前項の場合において、賠償額は、注文者と受注者とが協議して定める。
(受注者の損害賠償請求)
第60条 受注者は、注文者が次の各号の一に該当する場合は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が本契約及び取引上の社会通念に照らして注文者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、適用しない。
(1) 第53及び第54条の規定により本契約が解除されたとき。
(2) 前号に掲げる場合のほか、注文者が債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき。
2 前項の場合において、賠償額は、注文者と受注者とが協議して定める。
(紛争の解決)
第61条 本契約について注文者と受注者とが協議して定めるものにつき協議が整わない場合、その他本契約に関して注文者と受注者との間に紛争を生じた場合には、注文者及び受注者は、建設業法による建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)のあっせん又は調停により解決を図る。
2 注文者又は受注者は、前項のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがないと認めたときは、同項の規定にかかわらず、仲裁合意書に基づき、審査会の仲裁に付し、その仲裁判断に服する。
3 前2項の規定にかかわらず、本契約に関して注文者と受注者との間に紛争を生じたときは、注文者又は受注者は、仲裁合意書により仲裁合意をした場合を除き、訴訟を提起することによって解決を図ることができる。この場合、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(情報通信の技術を利用する方法)
第62条 本契約約款において書面により行わなければならないこととされている承諾、通知、請求等は、建設業法その他の法令に違反していない限りにおいて、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて行うことができる。ただし、当該方法は書面の交付に準ずるものでなければならない
(Web 契約約款)
第63条 注文者は、受注者の書面による同意を得て、受注者に対して、本約款の電子情報を注文者のホームページに掲載する方法により提供する。
(Web 契約約款の変更)
第64条 注文者が、本契約約款を変更し、注文者のホームページで変更した約款を公開した場合は、受注者は、変更された工事請負契約約款に同意したとみなし、公開後30日の経過をもって、本契約の内容は変更される。ただし、受注者が、変更後の約款が公開された後、30日以内に、書面または電子メールにより異議を述べた場合はこの限りではない。
(補則)
第65条 本契約約款に定めのない事項について疑義を生じた事項については、関係法令及び商慣習によるほか、注文者と受注者とで協議し、信義誠実の原則に基づき円満に解決する。
別表第一
1 | 労働安全衛生法で適用される作業範囲で保護帽の未着用 |
2 | 高所作業における安全帯の未使用 |
3 | 鉄塔工事作業時のキーロック付安全帯未使用 |
4 | 天板上における脚立による作業 |
5 | 設備の安全使用違反 |
6 | 仮設足場のよじ登り・降り |
7 | 酸素欠乏箇所における未検知・無換気・無資格者作業 |
8 | 技能資格者が必要な作業を無資格者が実施 |
9 | 無電圧確認の未実施、絶縁工具の未使用 |
10 | 作業変更時のルール遵守違反 |