Contract
大証の自主規制業務について
平成23年9月16日
株式会社大阪証券取引所
自主規制本部 自主規制総務グループ
金融商品取引法第84条
(自主規制業務)
第八十四条 金融商品取引所は、この法律及び定款その他の規則に従い、取引所金融商品市場における有価証券の売買及び市場デリバティブ取引をxxにし、並びに投資者を保護するため、自主規制業務を適切に行わなければならない。
2 前項の「自主規制業務」とは、金融商品取引所について行う次に掲げる業務をいう。
一 金融商品、金融指標又はオプション(以下この章において「金融商品等」という。)の上場及び上場廃止に関する業務(内閣府令で定めるものを除く。)
二 会員等の法令、法令に基づく行政官庁の処分若しくは定款その他の規則又は取引のxxxの遵守の状況の調査
三 その他取引所金融商品市場における取引のxxを確保するために必要な業務として内閣府令で定めるもの
金融商品取引所等に関する内閣府令第7条
(自主規制業務)
第xx x第八十四条第二項第三号に規定する内閣府令で定めるものは,次に掲げるものとする。
一 会員等が行う取引所金融商品市場における有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の内容の審査(取引所金融商品市場における有価証券の売買又は市場デリバティブ取引を円滑にするため,これらの取引の状況について即時に行うものを除く。)
二 会員等の資格の審査
三 会員等に対する処分その他の措置に関する業務
四 上場する有価証券の発行者が行う当該発行者に係る情報の開示又は提供に関する審査及び上場する有価証券の発行者に対する処分その他の措置に関する業務
五 法第八十四条第二項第一号及び第二号に掲げる業務並びに前各号に掲げるもの
(以下「特定自主規制業務」という。)に関する業務規程その他の規則(金融商品等の上場及び上場廃止に関する基準並びに会員等の資格の付与に関する基準を除く。)の作成,変更及び廃止
六 特定自主規制業務に関する定款の変更(金融商品等の上場及び上場廃止に関する基準並びに会員等の資格の付与に関する定款の変更を除く。)に係る総会又は株主総会の議案の概要の作成
・金融商品取引所の自主規制に関する法的枠組み
内閣総理大臣
再委任(検査権限)
・資料の提出命令及び立入検査権
金融庁 証券取引等監視委員会
・取引・上場・決済ルールの変更命令
監 x
・処分(免許取消,業務停止命令等)
取引・上場・決済ルールの認可
免 許
金融商品取引所
運営目的:取引所金融商品市場は,有価証券の売買等をxxかつ円滑にし,投資家の保護に資するよう運営されなければならない。
取引ルール・上場ルール決済ルールの策定義務
取引参加者の法令等の遵守状況の調査義務
取引参加者の法令等の違反行為に対する処分義務
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・金融商品取引所の株式会社化のイメージ図
株主 →
証券会社
外国証券会社
投資家
資金調達
会員 → 取引参加者
証券会社
外国証券会社
(契約関係)
発行会社
承認
金融商品取引所(株式会社)
・市場開設
・決済業務
・関連業務
・上場基準
・取引参加者xxx
・ルールの遵守状況調査
・制裁措置
上場申請
出資 利益配当
手数料
売買執行決済サービス
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・自主規制業務と利益相反
・有価証券xxxを開設すべき取引所として市場の透明性・xx性の確保 株式会社としての企業価値の向上
利益相反の結果,以下の事象が生じる可能性。
・上場会社
⇒ 問題ある上場会社に対する適切な措置の不作為
・取引参加者
⇒
・株主
⇒
⇒
取引参加者の注文の獲得に有利な注文ルールの作成
特定株主の利益を図ることを目的としたルールの作成
取引所の財政基盤を危うくする過度な配当
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⇒ 新規上場会社数の増加を図るため甘い上場審査
・金融商品取引法下における自主規制組織の形態
①自主規制委員会の設置
②自主規制法人の設立
金融商品取引所
取締役会
(自主規制業務の決定権の委任)
自主規制委員会
持株会社
金融商品取引所
自主規制法人
(自主規制業務の委託)
・大証における自主規制組織の形態の検討
平成16年4月の当社株式上場を契機とし,取締役会の諮問機関として,平成16年7月に自主規制委員会を設置した(法定の機関ではない)。株主利益や取引参加者利益等から独立し,公共性の観点から,自主規制のあり方等について提言や意見を述べることを目的とする。平成18年5月に報告書をとりまとめ,取締役会に提言した。
(内容)
Ⅰ 本所の「自主規制」について
Ⅱ 自主規制組織の形態の検討に当たって
Ⅲ 自主規制組織の具体的在り方について
Ⅳ おわりに
Ⅰ 本所の「自主規制」について
1 証券取引所の公共性にかかるガバナンス
株式会社化した取引所では,公益及び投資者保護の実現を図る公共性と株主価値の向上のため営利性を最大限達成するといった,二律背反的なガバナンス体制の構築が必要となってくる。このような取引所においては,公共的な側面を有する自主規制部門がより強固な権能を発揮することが求められる。また,それが,市場の信頼を確保することとなり,長期的・安定的な株主価値の向上に資することになる。
2 本所の特性
本所の役割は,デリバティブ市場と現物市場,特に,新興市場の育成・強化を通じて我が国経済の発展に貢献していくことにあり,そのためには,自主規制機能を強化し,本所市場に対する信認を向上させていくことが重要である。
3 自主規制の概念
取引所の「自主規制」については,「市場開設主体による市場の品質管理を目的とする規制」として捉え,従来の取引参加者,市場取引ルールに関するものの他,上場関係業務も含めることが適当である。
4 上場に伴う自主規制機能の課題
基本的に,上場取引所としては,自主規制機関として,取引参加者,上場企業,投資家といったステークホルダーの利益と株主利益とのバランスを十分に図り,円滑でxxな市場の実現というその公共的役割を果たしていくことが大切である。
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Ⅱ 自主規制組織の形態の検討に当たって
1 自主規制部門の業務範囲
本所の市場管理本部内(参加者監理グループ,取引審査チーム及び上場グループ)において自主規制業務が行われている。
2 自主規制機能強化の現状と課題について
本所では,自主規制業務の充実に関する種々の施策が採られてきており,その結果,本所の自主規制は概ね有効に機能してきたと評価できる。しか し,近時,取引所に対し,より一層の公共性の確保が期待されていること から,自主規制機能強化について本所としてもさらに取り組んでいく必要 がある。
3 自主規制組織形態の検討に際しての視点
本所としては,「営利性」の追求などによって自主規制機能が損なわれ ることのないよう,自主規制部門の独立性をさらに高めることが重要であ る。この場合において考慮すべき点としては,①機動的で実効性ある規制 ができるような組織とすること,②より効率的な組織形態を確保すること,
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③自主規制組織の在り方は事業展開に応じて,弾力的に見直していくこと,が挙げられる。
Ⅲ 自主規制組織の具体的在り方について
1 金融商品取引法案(以下「法案」)における自主規制組織の態様
今般の「法案」においては,取引所の自主規制業務に関する組織として,同組織を内部に置く「自主規制委員会」方式(以下「自主規制委員会方式」)及び自主規制業務を行う非営利法人を設立し,そこに業務を委託する方式(以下「自主規制法人方式」)が提案されている。
2 自主規制組織の検討について
本委員会は,自主規制組織の具体的あり方について,(現在国会で法案が審議中ではあり,不確定要素があるものの)新法施行後及び施行までの間の対応について検討を行った。
(1)新法施行後の自主規制組織のあり方
法律に裏付けられた,自主規制に係る業務決定を独立して行う機関を設けることが適当であるが,将来の状況の変化に応じて見直す必要の生ずることにも留意すべきであろう。
(2)自主規制委員会方式と自主規制法人方式の比較について
本委員会としては,自主規制法人方式でなく自主規制委員会方式を採用する方向で検討すべきであると考える。その理由は,①現場主義による機動的かつ実効性の高い規制の可能性,②本所の規模等から,別法人設立に伴う費用増など業務遂行の効率性の考慮,③将来の本所のビジネスの多様化,拡大に対応できる,「組織としての弾力性」の維持,である。
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(3)「監査役設置会社」と「委員会設置会社」の比較について
本委員会としては,①どちらの方式をとっても自主規制委員会の独立性には影響がなく,②本所では,社外取締役が過半を占め,また,そのうち半数が証券業と直接関係のない業務に従事していることから,株主利益,公共性の両面でのガバナンスの手当てがなされているため,自主規制機能強化の視点のみを理由として,委員会設置会社に敢えて移行する必要はないと考える。
3 当面の施策について
現行法下においても,本所として可能な自主規制機能強化策をxx実施していくべきである。
(1)自主規制業務に係る組織の確立
最高自主規制責任者や自主規制本部の設置など,自主規制業務を行う組織のより一層の明確化と独立性の確保を図るべきである。もっとも,自主規制業務に必要な情報は,その他部門との間で円滑に共有されるよう配慮する必要がある。
(2)自主規制委員会の改組
社外取締役を中心とする新たな自主規制委員会を立ち上げ,自主規制業務に関する掘り下げた審議を行うことも検討に値する。その場合,現自主規制委員会の役割を見直すことが必要となる。
(3)組織面以外の施策について
組織面の整備に加えて,研修・人事交流の実施,新システムの活用・開発,他機関との情報交換・協力等,自主規制機能の充実策を講じていくべきであろう。
Ⅳ おわりに
自主規制機関として本所が投資者や社会一般からゆるぎない信頼を得るよう今後とも不断の努力を払っていくことを期待したい。
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・大証の組織機構図
・自主規制委員会の概要①(大証)
○ 仕組み
・株式会社金融商品取引所だけが自主規制委員会の設置可能
・自主規制業務に関する事項の決定
・構成員は取引所の取締役(大証では11名)のなかから,取締役会で選定
・自主規制委員会は3人以上の委員で構成
○ 独立性の確保
・自主規制委員会の人的構成(大証では3名。xx取締役,佐々木取締役,xx取締役)
⇒ 過半数(大証では2名。xx取締役,佐々木取締役)は社外取締役
⇒ 委員長(xx取締役)は社外取締役
・自主規制委員会の概要②(大証)
・自主規制業務に関する事項の決定の取締役会からの委任
⇒ 取締役会は自主規制委員会の決定を覆すことはできない
⇒ 自主規制委員は委員会の決定に反する行為に対して差止め請求権
⇒ 過半数の自主規制委員の出席で決議
⇒ 過半数の自主規制委員かつ過半数の出席社外取締役である自主規制委員の賛成で決議
・取締役会は,自主規制委員会がその職務執行のために必要な内部
統制環境の整備義務
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・自主規制委員会の決議
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自主規制委員会の職務執行のための決定(法第106条,取引所等府令第53条)
金商法内閣府令 | 当社の対応:自主規制委員会の職務執行のために必要な事項に関する基本方針(決議内容) | |
自主規制委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に関する事項 (第1号) | (1) 自主規制委員会の職務を補助する使用人として,補佐役を置く。 (2) 上記使用人の人事に関する事項については自主規制委員長に対して事前に同意を得るものとする。 (3) 自主規制委員会の職務を補助する者としての取締役は置かない。 | |
自主規制業務の執行を行う取締役及び使用人に関する事項(第2号) | 自主規制業務については,自主規制本部担当取締役及び自主規制本部に配属された者が行う。 | |
自主規制業務の執行を行う取締役及び使用人による自主規制業務の執行に関する業務の他の業務からの独立性に関する事項(第4号) | (1) 自主規制本部を担当する取締役は,自主規制本部以外の本部の担当を行わない。 (2) 自主規制本部に配属された者は,自主規制本部以外の本部との兼任を行わない。 (3) 自主規制本部に配属された者は,その業務の執行において自主規制担当取締役以外の者からの指揮命令を受けない。 (4) 自主規制本部に配属された者は,自主規制業務の独立性に配慮しつつ,取引所業務が全体として効率的・効果的に遂行されるよう,関連する他の本部との連携が適切に行われるように努める。 | |
自主規制業務の執行を行う取締役及び使用人が自主規制委員会に自主規制業務の執行に関する事項を報告するための体制その他の自主規制委員会への報告に関する事項(第5号) | 自主規制業務担当取締役は,自主規制委員会の決定により定めた報告事項について,実効的かつ機動的に報告する体制を整備するよう努める。 | |
自主規制委員会の自主規制業務に関する事項の決定が実効的に行われることを確保するための体制(第6号) | (1) 自主規制委員会が実効的に決定を行うため,諮問機関として,上場審査・上場廃止について審議する上場委員会,取引参加者の処分について審議する規律委員会を設置する。 (2) 自主規制に関する総務的な業務を行う部門として,自主規制総務グループを置く。 (3) 自主規制委員は,必要に応じ常勤取締役との会合を持ち,自主規制本部の体制,自主規制業務の重大な課題等について意見交換を行う。 | |
自主規制業務以外の業務に関する事項の決定を行う場合における当該決定が適切かつ実効的に行われることが確保されるための事項(第7号) | 当該事項については,当面,特に定めない。 |
・自主規制法人の概要(東証)
○ 仕組み
・金融商品取引所が自主規制法人を設立可能
・金融商品取引所は自主規制法人に対して自主規制業務を委任
・自主規制法人は営利目的の業務は禁止
・自主規制法人の役員は理事長1名,理事3名以上,監事2名以上で構成され,自主規制法人の総会決議で選任(東証では理事長1名,理事4名,監事2名)
○ 独立性の確保
・役員の人的構成 | ⇒ | 過半数(3名。x理事長,xx理事,xxx 理事)は外部理事 |
・行政による監督 | ⇒ ⇒ | 理事長は外部理事のなかから互選 金融商品取引所に対する監督規定を準用 |
・大証における自主規制本部の機構図
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・大証における自主規制業務の概要
部門 | 主たる内容 |
上場 | ・新規上場の審査 |
(大阪・東京) | ・上場廃止の審査 ・ディスクロージャー情報の管理 |
・上場会社に対する措置 | |
参加者監理 | ・取引参加者(証券会社)の法令違反等行為に対する措置 ・取引参加者に対する検査 ・取引参加者の資格付与 ・取引参加者のモニタリング |
取引審査 | ・インサイダー取引の調査 ・相場操縦行為の調査 ・上場会社・取引参加者の法令違反等行為に対する措置 |
自主規制総務 | ・自主規制業務に関するルールメイキング |
金商法上,自主規制委員の過半数は社外取締役でなければならない(金商法第105条の5)。法律上はそれ以外に属性の制限がない。
→専門性と自主規制の独立性の観点から,以下の属性を持つ社外取締役が自主規制委員に就任することについてどう考えるか。
①上場会社関係者
②取引参加者関係者
(参考)大証では,専門性を補完するため,自主規制委員会に諮問委員会を設けている。具体的には,取引参加者に対する処分等の決定について審議する規律委員会,新規上場又は上場廃止の決定について審議する上場委員会を設置している。
自主規制委員は4回に限り再選されることができる(金商法第105条の6第2項)。
→「連続して」という意味か,それとも自主規制委員は合計で5期しかできないと考えるべきか?
自主規制委員会で決議された内容に瑕疵が存在する場合が想定される。
→その場合,決議に関与した自主規制委員,特に社外取締役である自主規制委員の責任についてどう考えるか?
・論点③:自主規制委員会の権限
自主規制委員会の決議事項はかなり幅広い解釈が可能な規定となっている(金商法第84条第2項)。
→決議の対象を重要な利益相反の生じる可能性のある事項に限定することは可能か。
→形式基準該当により上場廃止となる場合(例:
「株主数」「時価総額」による上場廃止)は裁量が働かないが,このような場合は決議の対象外とすることは可能か。
(参考)
金商法は,自主規制業務に関する事項の決定権限は自主規制 委員会に委任されたものとみなし,取締役等に再委任すること を禁止している。決議事項については,文言上幅広く規定され ており,軽微な注意喚起に至るまでその対象としている。なお,大証では,軽微な措置についてはガイドラインを設けて簡易な 決議を行っている。
一方で,会社法上,取締役会が取締役に委任できないと定められているのは一定の重要な経営判断事項である(会社法第 362条第4項)。自主規制委員会による取締役等への決定権限の再委任が禁止されているが,自主規制委員会の決議範囲を
「経営との重要な利益相反が起きるおそれのある事項」と考えることはできないか。
(参考)大証の自主規制委員会で付議している議案例
○上場関係
新規上場銘柄の承認,上場廃止銘柄の承認,特設注意市場銘柄に係る指定解除審査の結果,実質的存続性に係る猶予期間からの解除,改善報告書の徴求,公表・警告措置の実施
○参加者監理関係
検査対象会社の選定,検査対象会社の検査結果,取引参加者による合併・事業譲渡・分割承継等の承認,取引資格取得の承認,取引参加者に対する処分,検査計画の策定
○売買審査関係
売買審査対象銘柄の選定,売買審査結果に対する措置の決定
○その他
規則改正の決議・同意,委員xxの選任
・論点④:立法論としての取引所の自主規制業務のあり方
国内外を問わず,取引所間,取引所とPTS等との競争が激しくなっている。我が国でも市場間競争を促進する措置がとられて きている。他方で,利益相反の問題が浮上し,我が国では法が取 引所に適切な自主規制業務を行うことを義務付けており,それに 反すれば,改善措置やペナルティーを受ける枠組みになっている。
→我が国でも米国やカナダのように自主規制業務を統括する団体を設立することについてどう考えるか?
その関連で,金融商品取引業協会に取引所の自主規制業務を委託できない現行法についてどう考えるか。
→あるいは,豪州のように行政が自主規制機能を代替し,取引所にはより競争に専念させることについてどう考えるか。
(参考)FINRAにおける自主規制について
FINRA(Financial Industry Regulatory Authority,金融取引業規制機構)は,2007年7月,NASD(National Association of Securities Dealers,全米証券業協会)とNYSE(New York Stock Exchange,ニューヨーク証券取引所)の自主規制部門の統合により設立された米国のすべての証券会社が加入する非政府規制機関である。
FINRAの設立の目的は,投資者保護及び市場の透明性を,効果的かつ効率的な規制,加えてそれに付随するコンプライアンス及び技術上のサービスを通じて向上させることである。
FINRAの自主規制の及ぶ範囲は,1934年証券取引所法及びFINR Aの自主規制規則が適用されるFINRAの会員会社及び登録外務員等による証券業務とされている。加えて,SEC(Securities and Exchange Commission,証券取引委員会)はFINRAに対し,必ずしも証券業務に関係しないものも含め,会員及び登録外務員等による,xxな非合法的ないし非倫理的行動についての処分権を認めている。
米国において,対顧客取引を行う証券会社は,営業を開始するにあたって, SECへの登録とともに,FINRA又は登録連邦証券取引所等のSRO
(Self Regulatory Organization,自主規制機関)への加入が義務付けられている。
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(参考)英国における自主規制について
1986年11月,投資サービスを包括的に規制する1986年金融サービス法(Financial Services Act 1986)が成立。同法では,参入ルールとして,証券投資委員会及びその下のSROの公認自主規制機関のメンバーとなることを要求。
1989年,金融サービス法を改正し,①10のプリンシプル(原則),②
40のコア・ルール,③ガイダンスの三層構造が導入された。(プリンシプル違反は,行政処分の対象となる一方,民事上の効果なし。ルール違反は,行政処分の対象となり,また民事上の効果あり(損害賠償責任の発生など))。
2000年,金融サービスxxx(Financial Services and Market Act of 2000)を制定。同2条は,金融サービス機構(FSA)の規制目的・規制原則を規定し,FSAの一般的機能を定めている。FSAはこれに基づき,①プリンシプル,②ルール若しくはコード,③ガイドラインの三層の規制体系を採用。
プリンシプルやxxxxxのルールを重視,その一方で詳細なルールに対する依存度を引き下げている。主にFSAハンドブック等の改定を通じて行うプリンシプルとルールのリバランスを図っている。
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(参考)豪州における自主規制について
2010年8月に,ASX(Australian Securities Exchange,オーストラリア証券取引所)の売買審査部門を,A SIC(Australian Securities and Investments Commission)に移管。ASXは市場運営会社と自主規制部門を傘下に抱えているが,上場関係と参加者監理関係はASXに残している。
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すなわち,行政機関が自主規制部門の一部を引き取ったことになる。