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埼玉県立がんセンター受託研究取扱規程
(目的と適用範囲)
第1章 目的と適用範囲
2018.11.1
第1条 本規程は、平成 9 年 3 月 27 日厚生省令第 28 号(以下「GCP 省令」という。)第
36 条第 1 項の規定に基づき、埼玉県立がんセンター(以下「がんセンター」という。)において、国、県及びそれに準じる機関以外のものから委託を受けて行う研究(以下「受託研究」という。)を実施する際の必要な手続き等について定めるものである。
2 本規程内にある「書式」、「参考書式」は、「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」の一部改正について」(平成 30 年 7 月 10 日医政研発 0710 第 4 号 薬生薬審
発 0710 第 2 号 薬生機審発 0710 第 2 号厚生労働省医政局研究開発振興課長及び厚生労働省医薬生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬生活衛生局医療機器審査管理課長通知) で示されている「書式」、「参考書式」を適用し、用いるものとする。
また「新たな「 治験の依頼等に係る統一書式」の一部改正について」(平成 25 年 3 月 26 日医政研発 0326 第 1 号 薬食審査発 0326 第 1 号厚生労働省医政局研究開発振興課長及び厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知) で示されているように、押印省略を可とする。
(受託研究の範囲)
第2条 がんセンターにおいて受託できる研究は、次の各号に掲げる調査及び研究であってがんセンターの業務に関連したもの、又はその他のがんセンターの業務に関連した調査及び研究とする。
( 1)医薬品及び医療機器の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う臨床試験(以下「治験」という。)
( 2)平成 16 年 12 月 20 日厚生労働省令第 171 号(以下「医薬品 GPSP 省令」とい
う。)及び平成 17 年 3 月 23 日厚生労働省令第 38 号(以下「医療機器 GPSP 省令」という。)に規定された製造販売後調査のうち、使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験
( 3)その他、( 1) や( 2) に分類されない研究で、病院長が受託研究審査委員会で審議することが適当と判断した臨床性能試験等の試験
第2章 病院長の業務
(受託研究の受理)
第3条 病院長は、受託研究依頼者と受託研究責任医師との受託研究に関する文書による合意が成立した後、受託研究依頼者から受託研究実施計画書等の審査に必要な資料とともに「治験依頼書(書式 3)」及び「治験責任医師の履歴書(書式 1)」を受理するものとする。また、使用成績調査・特定使用成績調査については、受託研究依頼者から「研究委託申込書(がんセンター様式第 1- 1 号)」を、受託研究責任医師から「受託研究申請書(がんセンター様式第 1- 2 号)」を受理するものとする。
2 病院長は、受託研究責任医師が研究の重要な業務の一部を他の医師又は受託研究協力者に分担させる場合には、受託研究責任医師が作成したリストに基づき受託研究分担医師及び受託研究協力者を了承するものとする。この場合、病院長は「治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)」を受託研究責任医師に交付するものとする。また、病院長又は受託研究責任医師は、受託研究依頼者に当該リストの写しを交付するものとする。
(受託研究の承認)
第4条 病院長は、がんセンターにおいて受託研究を行うことの適否について、あらかじめ受託研究審査委員会に「治験審査依頼書(書式 4)」とともに受託研究実施計画書等の審査の対象となる文書を提出して意見を聴かなければならない。
2 病院長は、受託研究審査委員会の意見に基づく病院長の指示、決定を、受託研究審査委員会の「治験審査結果通知書(書式 5)」の写しをもって受託研究依頼者及び受託研究責任医師に通知するものとする。
3 病院長は、受託研究審査委員会が受託研究の実施を却下する決定を下した場合は、 受託研究の実施を承認することはできない。ただし、病院長は受託研究審査委員会 が承認した場合であっても承認を取り消すことができる。この場合を含めて病院長 は、病院長の指示と受託研究審査委員会の決定が異なる場合には、病院長の決定を、
「治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)」に記名したものを 2 部作成し、
「治験審査結果通知書(書式 5)」の写しを添付し、受託研究依頼者及び受託研究責任医師にそれぞれ 1 部通知し、受託研究責任医師に対して必要な指示を行うものとする。
4 病院長は、受託研究審査委員会が修正の上で承認の決定を下し、受託研究依頼者及び受託研究責任医師がその点について修正を行った場合は、「治験実施計画書等修正報告書(書式 6)」を提出させ、修正の確認後に病院長の決定を、「治験実施計画書等修正報告書(書式 6)」の写しをもって、受託研究依頼者及び受託研究責任医師に通知し、受託研究審査委員会に報告するものとする。
(受託研究実施の契約)
第5条 病院長は、受託研究審査委員会の決定に基づき受託研究の実施を承認した後、受託研究依頼者と研究実施に関する契約書(がんセンター様式第 6-1 号又は 6-2 号)により契約を締結するものとする。また、受託研究責任医師は契約内容の確認のため契約書に記名押印又は署名し、日付を記入するものとする。ただし、第 2 条( 3)に基づき病院長が受託研究審査委員会で審議することが適当と判断した臨床性能試験等の試験に関しては、がんセンター様式第 6-1 号又は 6-2 号は、記載例を示したものであり、受託研究依頼者所定の様式により契約を締結することを妨げるものではない。
2 契約書の内容を変更する場合は、前項に準じて契約内容の一部変更契約書を締結するものとする。
3 受託研究責任医師が受託研究にその専門知識を持つ受託研究協力者などの委託を要する場合は、当該委託に係る業務の範囲などを示した手順書を含めた契約書を締結するものとする。
(受託研究の継続)
第6条 病院長は、研究期間が 1 年を越える場合には、受託研究責任医師に年 1 回「治験
実施状況報告書(書式 11)」を提出させ、研究の継続について受託研究審査委員
会の意見を求め、受託研究審査委員会の決定と病院長の決定が同じである場合には、
「治験審査結果通知書(書式 5)」の写し 2 部に記名し、受託研究依頼者及び受託
研究責任医師にそれぞれ 1 部通知するものとする。受託研究審査委員会の決定と異
なる場合には「治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)」に記名したものを
2 部作成し、「治験審査結果通知書(書式 5)」の写しを添付し、受託研究依頼者
及び受託研究責任医師にそれぞれ 1 部通知するものとする。
(受託研究計画書等の変更)
第7条 病院長は、受託研究依頼者及び受託研究責任医師から受託研究の実施に重要な影響を与える受託研究実施計画書等の変更の申請があった場合は、受託研究の継続の可否について受託研究審査委員会の意見を求め、「治験審査結果通知書(書式
5)」により通知してきた場合、受託研究審査委員会の決定と病院長の決定が同じ
である場合には、「治験審査結果通知書(書式 5)」の写し 2 部に記名し、受託研究依頼者及び受託研究責任医師にそれぞれ 1 部通知するものとする。受託研究審査委員会の決定と異なる場合には「治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)」
に記名したものを 2 部作成し、「治験審査結果通知書(書式 5)」の写しを添付し、受託研究依頼者及び受託研究責任医師にそれぞれ 1 部通知するものとする。
(受託研究実施計画書等からの逸脱)
第8条 病院長は、受託研究責任医師から受託研究実施計画書等からの逸脱の報告があった場合は、受託研究依頼者にその旨を報告するとともに、受託研究審査委員会の意見を求め、「治験審査結果通知書(書式 5)」により通知してきた場合、受託研究審査委員会の決定と病院長の決定が同じである場合には、「治験審査結果通知書
(書式 5)」の写し 2 部に記名し、受託研究依頼者及び受託研究責任医師にそれぞ
れ 1 部通知するものとする。受託研究審査委員会の決定と異なる場合には「治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)」に記名したものを 2 部作成し、「治験審査結果通知書(書式 5)」の写しを添付し、受託研究依頼者及び受託研究責任医師にそれぞれ 1 部通知するものとする。
(重篤な有害事象の発生等)
第9条 病院長は、重篤で予測できない副作用又は定期報告される既知重篤な副作用等について受託研究依頼者から報告を受けた場合、重篤な有害事象の発生等について受託研究責任医師から報告(「重篤な有害事象に関する報告書(書式 12-1、書式 12-
2)」、「有害事象に関する報告書(書式 13-1、書式 13-2)」、「重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 14)」、「有害事象及び不具合に関する報告書
(書式 15)」)を受けた場合、及び受託研究に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えると認められる情報を入手し、説明文書を改訂した旨受託研究責任医師から報告を受けた場合、その他必要と認められる場合には受託研究の継続の可否について受託研究審査委員会の意見を求め、「治験審査結果通知書
(書式 5)」により通知してきた場合、受託研究審査委員会の決定と病院長の決定
が同じである場合には、「治験審査結果通知書(書式 5)」の写し 2 部に記名し、
受託研究依頼者及び受託研究責任医師にそれぞれ 1 部通知するものとする。受託研究審査委員会の決定と異なる場合には「治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)」に記名したものを 2 部作成し、「治験審査結果通知書(書式 5)」の写しを
添付し、受託研究依頼者及び受託研究責任医師にそれぞれ 1 部通知するものとする。
(受託研究の中止、中断及び終了)
第 10 条 病院長は、受託研究依頼者が受託研究の中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、その旨「開発の中止等に関する報告書(書式 18)」を通知してき
た場合は、その写し 2 部に記名し受託研究責任医師及び受託研究審査委員会に対し速やかに文書により通知するものとする。なお、通知の文書には、中止又は中断についての詳細が説明されていなければならない。
2 病院長は、受託研究責任医師が受託研究を中止又は中断し、その旨を「治験終了
(中止・中断)報告書(書式 17)」にて報告してきた場合には、受託研究審査委
員会及び受託研究依頼者に対し、速やかに「治験終了(中止・中断)報告書(書式
17)」の写しにより通知しなければならない。
3 病院長は、受託研究責任医師が受託研究の終了を「治験終了(中止・中断)報告書
(書式 17)」にて報告してきた場合には、受託研究審査委員会及び受託研究依頼者に対し、「治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)」の写しにより通知するとともに、受託研究責任医師から提出された報告書に基づき、研究結果の概要を報告しなければならない。
(モニタリング等への協力)
第 11 条 病院長は、受託研究依頼者によるモニタリング及び監査並びに受託研究審査委
員会及び規制当局による調査を受け入れ、協力しなければならない。これらの場合、モニター、監査担当者、受託研究審査委員会又は規制当局の求めに応じ、原資料等 の全ての受託研究関連記録を直接閲覧に供するものとする。
第3章 受託研究審査委員会
(受託研究審査委員会の設置)
第 12 条 病院長は、受託研究を行うことの適否その他の受託研究に関する調査審議を行わせるため、院内に受託研究審査委員会を設置する。
2 病院長は、受託研究審査委員会の委員を指名し、その中から委員長及び副委員長を指名するものとする。また、受託研究審査委員会と協議の上、受託研究審査委員会の運営の手続き及び記録の保存に関する業務手順書と委員名簿を作成する。
3 病院長は、受託研究審査委員会の業務の円滑化を図るため、受託研究審査委員会の運営に関する事務を行う者を指名し、受託研究審査委員会事務局を設置する。
第4章 受託研究責任医師の業務
( 受託研究責任医師の要件)
第 13 条 受託研究責任医師は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
( 1)教育・訓練及び経験によって、受託研究を適正に実施しうる者でなければならない。また、このことを証明する最新の「履歴書(書式 1)」( 受託研究分担医師を置く場合に、求めがあった場合には当該受託研究分担医師の履歴書を含む。)を受託研究依頼者に提出するものとする。
( 2)GCP 省令を熟知しこれを遵守するとともに、治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び受託研究依頼者から提供される文書に記載されている治験薬の適切な使用方法に十分精通していなければならない。
( 3)合意された期間内に受託研究を適正に実施し、終了するに足る時間を有して
いなければならない。
( 4)合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
( 5)受託研究を適正かつ安全に実施するため、受託研究の予定期間中に十分な数の受託研究分担医師及び受託研究協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
(受託研究責任医師の責務)
第 14 条 受託研究責任医師は、次に掲げる責務を負うものとする。
( 1)受託研究依頼の申し出があった場合、受託研究依頼者と受託研究実施計画書等及び症例報告書の見本の内容並びに受託研究実施計画書等を遵守することについて合意しなければならない。また、合意に当たっては、受託研究依頼者から提供される資料・情報に基づき受託研究依頼者と協議し、当該受託研究を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。受託研究実施計画書等及び症例報告書の見本が改訂される場合も同様とする。
( 2)受託研究依頼者の協力を得て、受託研究への参加の同意を得るために用いる説明文書を作成し、必要な場合はこれを改訂しなければならない。
( 3)受託研究の実施前及び実施期間を通じて、受託研究審査委員会の審査の対象となる文書のうち、受託研究責任医師が提出すべき文書を最新のものにしなければならない。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに病院長に提出すること。
( 4)受託研究の重要な業務の一部を他の受託研究分担医師又は受託研究協力者に分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリストを作成してあらかじめ病院長に提出し、その了承を受けなければならない。
( 5)受託研究分担医師、受託研究協力者に受託研究実施計画書等、被験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
( 6)受託研究審査委員会が受託研究の実施を承認し、これに基づく病院長の指示、決定が文書で通知された後で、その指示、決定に従って受託研究を開始しなけ
ればならない。また、受託研究審査委員会において受託研究の実施が「修正の上で承認」となった場合、指摘箇所を訂正した上で「受託研究実施計画書等修正報告書(書式 6)」に添付し病院長に提出する。病院長により変更が承認された後、受託研究を開始することができる。
( 7)受託研究審査委員会が実施中の受託研究の継続を承認し、これに基づく病院長の指示決定が文書で通知された場合は、その指示、決定に従って受託研究を継続しなければならない。また、受託研究審査委員会において受託研究の継続が「修正の上で承認」となった場合、指摘箇所を訂正した上で「受託研究実施計画書等修正報告書(書式 6)」に添付し病院長に提出する。病院長により変更
が承認された後、受託研究を開始することができる。
( 8)受託研究審査委員会が実施中の受託研究に関して承認した事項を取り消し、これに基づく病院長の指示、決定が文書で通知された場合には、その指示、決定に従わなければならない。
( 9)被験者の緊急の危険を回避する等医療上やむを得ない場合を除いて、受託研究実施計画書等を遵守して受託研究を実施しなければならない。
( 10) 被験薬を承認された受託研究計画書等を遵守した方法でのみ使用しなければならない。
( 11) 被験薬の正しい使用法を各被験者に説明し、当該受託研究にとって適切な間隔で、説明された指示を守っているか否かを確認しなければないない。
( 12) 受託研究の期間が 1 年を越える場合には、年 1 回病院長に「治験実施状況報
告書(書式 11)」を提出しなければならない。
( 13) 受託研究の実施に重大な影響を与え、又は、被験者の危険を増大させるような受託研究のあらゆる変更について、病院長及び受託研究依頼者に速やかに報告書を提出するとともに、変更の可否について病院長の指示を受けなければならない。
( 14) 受託研究実施中に重篤な有害事象が発生した場合は、直ちに病院長及び受託研究依頼者に文書で報告するとともに、受託研究の継続の可否について病院長の指示を受けなければならない。また、報告する重篤な有害事象のうち、重篤で予測できない副作用を特定すること。
( 15) 受託研究実施計画書等の規定に従って正確な症例報告書を作成し、受託研究依頼者に提出しなければならない。また、受託研究分担医師が作成した症例報告書については、それらが受託研究依頼者に提出される前にその内容を点検し、問題がないことを確認した上で記名押印又は署名するものとする。
( 16) 受託研究終了後、速やかに病院長に「治験の終了(中止・中断)報告書(書式 17)」を提出しなければならない。また、受託研究が中止又は中断された場合においても同様の手続きを行わなければならない。
( 17) 受託研究依頼者によるモニタリング及び監査並びに受託研究審査委員会又は規制当局による調査を受け入れ、モニター、監査担当者、受託研究審査委員会又は規制当局の求めに応じて原資料等の全ての受託研究関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(被験者の選択)
第 15 条 受託研究責任医師及び受託研究分担医師は、被験者となるべき者の選定に当たっては、人権保護の観点から受託研究実施計画書等に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、受託研究責任医
師等との依存関係、他の受託研究等への参加の有無等を考慮の上、受託研究に参加を求めることの適否について慎重に検討しなければならない。
2 同意能力を欠く者については、当該受託研究の目的上被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。
3 社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に注意を払わなければならない。
(被験者の同意の取得)
第 16 条 受託研究責任医師及び受託研究分担医師は、被験者が受託研究に参加する前に説明文書を用いて十分に説明し、受託研究への参加について自由意思による同意を文書(がんセンター様式第 9 号)により得なければならない。
2 同意文書には、説明を行った受託研究責任医師又は受託研究分担医師並びに被験者が説明文書の内容を十分理解した上で記名押印又は署名し、各自日付を記入するものとする。なお、受託研究協力者が補足的な説明を行った場合には、当該受託研究協力者も記名押印又は署名し、日付を記入するものとする。
3 受託研究責任医師及び受託研究分担医師は、被験者が受託研究に参加する前に、説明文書と前項の規定に従って作成された同意文書の写しを被験者に交付しなければならない。また、被験者が受託研究に参加している間に説明文書が改訂された場合は、その都度改訂された説明文書と新たに前項の規定に従って作成された同意文書の写しを被験者に交付しなければならない。
4 受託研究責任医師、受託研究分担医師及び受託研究協力者は、受託研究への参加や受託研究への参加の継続に関し、被験者に強制したり、不当な影響を及ぼしてはならない。
5 説明文書には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は受託研究責任医師、受託研究分担医師、受託研究協力者、実施医療機関及び受託研究依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
6 説明文書並びに説明に際して口頭で提供される情報には、被験者が理解可能で可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
7 受託研究責任医師又は受託研究分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問する機 会と受託研究に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際受託研究責任医師、受託研究分担医師又は補足的説明者としての受託研究協 力者は、全ての質問に対して被験者が満足するように答えなければならない。
8 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、受託研究責任医 師は、速やかに当該情報に基づき説明文書を改訂し、あらかじめ受託研究審査委員 会の承認を得なければならない。また、受託研究責任医師又は受託研究分担医師は、すでに受託研究に参加している被験者に対しても当該情報を速やかに伝え、改訂さ
れた説明文書を用いて改めて説明するとともに、受託研究への参加の継続について自由意思による同意を文書により得なければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
(被験者に対する医療)
第 17 条 受託研究責任医師は、受託研究に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 受託研究責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するため等医療上やむを得ない理由により受託研究依頼者との事前の文書による合意及び受託研究審査委員会の
事前の承認なしに受託研究実施計画書等からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、受託研究責任医師は、「緊急の危険を回避するための受託研究実施
計画書からの逸脱に関する報告書(書式 8)」により、逸脱又は変更の内容及び理由、並びに受託研究実施計画書等の改訂が適切な場合にはその案を、早急に受託研究依頼者、病院長及び病院長を経由して受託研究審査委員会に提出してその承認を得なければならない。病院長は、受託研究依頼者から「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(書式 9)」の提出を受け、写しを受託研究責任医師に交付する。
3 受託研究責任医師又は受託研究分担医師は、受託研究実施計画書等から逸脱した行為を全て記録しなければならない。
4 被験者が受託研究の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、受託研究責任医師又は受託研究分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
5 受託研究が何らかの理由で中止又は中断された場合には、受託研究責任医師は被験者に速やかにその旨を伝え、被験者に対する適切な治療及び事後処理を保証しなければならない。
6 受託研究責任医師又は受託研究分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の受託研究への参加について知らせなければならない。
(受託研究実施計画書等からの逸脱)
第 18 条 受託研究責任医師又は受託研究分担医師は、受託研究依頼者との事前の文書による合意及び受託研究審査委員会の事前の審査に基づく文書よる承認を得ることなく、受託研究実施計画書等からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ない場合又は受託研究の事務的事項のみに関する変更はこの限りではない。
2 受託研究責任医師は、医療上やむを得ない理由により受託研究実施計画書等からの逸脱又は変更を行った場合、逸脱又は変更の内容及び理由、並びに受託研究実施計画書等の改訂が適切な場合にはその案を、早急に病院長及び受託研究審査委員会に提出してその承認を得るとともに、病院長を経由して受託研究依頼者の合意を文書で得なければならない。
3 受託研究責任医師又は受託研究分担医師は、受託研究実施計画書等から逸脱した 行為を全て記録しなければならない。受託研究責任医師は、その理由等を説明した記録を作成して受託研究依頼者に提出し、その写しを保存しなければならない。
第5章 治験薬の管理
(治験薬の管理)
第 19 条 治験薬の管理責任は、病院長が負う。
2 病院長は、治験薬を保管、管理させるため、薬剤部長又は病院長が必要と認めた薬剤師を治験薬管理者に定め、院内で実施される全ての受託研究の治験薬を管理させる。なお、治験薬管理者は、必要に応じて治験薬管理補助者を文書により指名し、治験薬の保管、管理を行わせることができる。
3 治験薬管理者は、受託研究依頼者が作成した治験薬の管理に関する手順書に従って治験薬を適正に保管、管理する。
4 治験薬管理者は次の業務を行う。
( 1)治験薬を受託研究依頼者から受領し、治験薬受領書を発行する。
( 2)治験薬の保管、管理及び払い出しを行う。
( 3)治験薬の受領、在庫、使用状況についての記録を作成し、保存する。
( 4)被験者からの未使用治験薬の返却記録を作成し、保存する。
( 5)未使用治験薬を受託研究依頼者に返却し、未使用治験薬返却書を発行する。
( 6)治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与されていることを確認する。
第6章 受託研究事務局
(受託研究事務局の設置)
第 20 条 病院長は、受託研究の実施に関する事務及び支援を行う者を指名し、院内に受託研究事務局を設ける。受託研究事務局は、受託研究審査委員会事務局を兼ねるものとする。
2 受託研究事務局は、次の者で構成する。
( 1)事務局長:治験管理室長
( 2)事務局員:治験管理室員
3 受託研究事務局は、病院長の指示により次の業務を行う。
( 1)受託研究審査委員会の委員の指名に関する業務(委員名簿の作成を含む)
( 2)受託研究依頼者に対する必要書類の交付と依頼手続きの説明
( 3)受託研究の契約に係わる手続き等の業務
(4)受託研究の実施に必要な手続きを作成すること。
( 5)受託研究依頼書及び受託研究審査委員会の審査の対象とする資料等の受付
( 6)受託研究審査委員会の意見に基づく病院長の指示、決定に関する通知文書を作成し、受託研究責任医師及び受託研究依頼者に交付すること。
( 7)記録の保存
( 8)その他受託研究に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
第7章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第 21 条 病院長は、受託研究事務局長を保存責任者とし、次に掲げる記録(文書を含
む。)を保管、管理させるものとする。ただし、原資料については、診療情報・がん登録管理委員会委員長を保存責任者とする。
( 1)原資料
( 2)契約書、同意文書及び説明文書、その他 GCP 省令の規定によりがんセンターの職員が作成した文書又はその写し
( 3)受託研究実施計画書等の受託研究審査委員会の審査対象とした文書、その他
GCP 省令の規定により入手した文書
( 4)被験薬の管理等の受託研究に関する業務の記録
2 記録の保存責任者は、がんセンターにおいて保存すべき記録が保存期間中に紛失 又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じなければならない。
(記録の保存期間)
第 22 条 病院長は、がんセンターにおいて保存すべき記録を、( 1) 又は( 2) の日のうちいずれか遅い日までの期間保存するものとする。ただし、受託研究依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合は、保存期間及び保存方法について受託研究依頼者と協議するものとする。
( 1)当該治験薬に係る製造販売承認日(開発が中止された場合には、開発中止が決定された日から 3 年が経過した日)
( 2)受託研究の中止又は終了後 3 年が経過した日
( 3)使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験については、再審査又は再評価が終了する日まで
第8章 体外診断用医薬品等に関する受託研究の取り扱い
(体外診断用医薬品に関する受託研究の取り扱い)
第 23 条 体外診断用医薬品に関する受託研究については、第 15 条から第 17 条及び第 19
条の規定は適用しないものとする。
( 医療機器に関する受託研究の取り扱い)
第 24 条 医療機器に関する受託研究について、「治験薬」とあるのは「治験機器」と、
「被験薬」とあるのは「被験機器」と、「治験薬管理者」とあるのは「治験機器管理者」と、「副作用」とあるのは「不具合」と読み替えるものとする。
(製造販売後臨床試験の取り扱い)
第 25 条 製造販売後臨床試験について、「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と、
「受託研究責任医師」とあるのは「製造販売後臨床試験責任医師」と、「受託研究分担医師」とあるのは「製造販売後臨床試験分担医師」と、「受託研究協力者」とあるのは「製造販売後臨床試験協力者」と、「受託研究依頼者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、「治験薬管理者」とあるのは「製造販売後臨床試験薬管理者」とそれぞれ読み替えるものとする。また、製造販売後臨床試験薬として市販薬を用いる場合、第 19 条の規定は適用しないものとする。
(使用成績調査及び特定使用成績調査の取り扱い)
第 26 条 使用成績調査及び特定使用成績調査については、第 3 条第 2 項、第 4 条、第 6
条、第 8 条、第 9 条、第 10 条、第 11 条、第 13 条、第 14 条第 2 項、第 4 項、第 6
項、第 7 項、第 8 項、第 9 項、第 10 項、第 11 項、第 12 項、第 13 項、第 14 項、
第 16 項及び第 17 項、第 15 条、第 16 条、第 17 条、第 18 条及び第 19 条の規定は適用しない。
2 使用成績調査及び特定使用成績調査については、受託研究審査委員会を受託研究審査委員会委員長及び薬剤部長又は薬剤部内の代表者による審査に代えることができることとする。
第9章 受託研究に要する経費等
(受託研究に要する経費)
第 27 条 受託研究に要する経費は依頼者が負担するものとし、受託研究の適正な実施に必要な事務的経費を含む研究費等(以下「研究費」という。)については納入通知書により納入する。また、受託研究に係わる保険外併用療養費の支給対象外の
経費(以下「支給対象外経費」という。)については、研究費とは別に診療月の
翌月ないし当該年度末までにその全額を埼玉県病院事業財務規程(平成 14 年病院
事業管理規程第 1 号)の定めるところにより納入するものとする。
(研究経費の出納、保管等)
第 28 条 研究経費の出納、保管及び物品の調達等の事務については、埼玉県病院事業財務規程その他関係法令の定めるところにより、適正に処理するものとする。
(特許権等)
第 29 条 受託研究により生じた特許を受ける権利は、研究者が取得するものとし、当該
権利又は当該権利に基づく特許権及び専用実施権は、埼玉県が承継するものとする。
2 前項の規定は、実用新案権及び意匠権に準用する。
( 治験、医薬品及び医療機器の製造販売後調査等に関する基準の遵守)
第 30 条 治験及び医薬品の製造販売後調査等を受託する場合にあっては、この規程の他、
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 9 年 3 月 27 日厚生省令第
28 号)、「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 17 年 3 月 23日厚生省労働省令第 36 号)、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成 16 年 12 月 20 日厚生労働省令第 171 号)及び「医療機器の
製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成 17 年 3 月 23 日厚
生労働省令第 38 号)並びに関連諸通知に従うものとする。
(その他)
第 31 条 受託研究依頼者、受託研究責任医師および受託研究審査委員会の委員は、申請を行う受託研究が「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成 29 年 2 月
28 日医政発 0228 第 1 号、平成 29 年 2 月 28 日一部改正)」、「ヒトゲノム・遺伝
子解析研究に関する倫理指針(平成 29 年 2 月 28 日 20170223 情局第 3 号、平成 29
年 2 月 28 日一部改正)」、又は「遺伝子治療等臨床研究に関する指針(平成 29 年
4 月 7 日科発 0407 第 1 号、平成 29 年 4 月 7 日一部改正)」を遵守して行うものである場合には、別途「自主臨床試験および未承認薬等の臨床試験の指針」、「自主臨床試験および未承認薬等の臨床試験の手順書」又は「臨床研究審査委員会標準業務手順書」等適用される規程も参照するものとする。
2 前項に該当する受託研究については、遵守する指針に従い受託研究審査委員会の審査を受けるものとし、原則として臨床研究審査委員会における審査を不要とする。
3 この規程に定めるもののほか、受託研究の取扱いについて必要な事項は、病院長が別に定める。
(付則)
この手順書は、平成10年 3月 9日から施行する。この手順書は、平成13年 4月 1日から施行する。この手順書は、平成17年 8月 1日から施行する。この手順書は、平成18年12月 1日から施行する。この手順書は、平成20年 4月 1日から施行する。この手順書は、平成21年 4月 1日から施行する。この手順書は、平成23年11月 1日から施行する。この規程は、 平成24年 6月 1日から施行する。この規程は、 平成25年 5月 1日から施行する。この規程は、 平成28年 8月 1日から施行する。この規程は、 平成30年11月 1日から施行する。