1 策定の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P1
設計業務等委託契約における設計変更ガイドライン
~農業農村整備事業関係~
平成29年10月
岩手県農林水産部農村計画課
目 次
1 策定の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P1
1.1 策定の主旨
1.2 発注者・受注者の姿勢
2 設計変更を行うことができないケース・・・・・・・・・・・P3
3 設計変更を行うことができるケース・・・・・・・・・・・・P4
3.1 「設計図書の点検」による手続き
3.2 設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
3.3 設計図書の表示が明確でない場合の手続き
3.4 設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際の施行条件と相違する場合の手続き
3.5 発注者から設計図書の変更に係る指示があった場合の手続き
3.6 業務中止の場合の手続き
3.7 受注者の請求による履行期間の延長の場合の手続き
4 設計変更手続きフロー・・・・・・・・・・・・・・・・・・P14
5 関連事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P16
5.1 指定・任意の正しい運用
本ガイドラインは、岩手県が発注する農業農村整備事業に関係する設計業務等委託契約を対象とするものであり、設計変更における留意点等を取りまとめ、発注者・受注者双方の共通認識を深めることを目的としています。
岩手県農林水産部 農村計画課
技術指導担当(電話 000-000-0000)
1 策定の背景
1.1 策定の趣旨
○調査・測量・設計等業務(以下、「設計等業務」)の成果は、工事予算の把握および工事発注図書の作成等に活用されるが、業務成果の良し悪しが、工事コスト、円滑な工事の実施、工事目的物の品質、維持管理コスト等に大きく影響を及ぼすことから、その品質を確保することは極めて重要である。
○設計等業務を進めるにあたっては、発注者において業務を行うための基本的な方針や仕様を明確に示した上で、受注者は、それらの方針等に基づきxxに当該業務を実施する責務を負うとともに、自らの技術力や創意工夫を発揮し、より良い成果を得るべく業務に取り組むことが求められる。
○設計等業務は、それぞれの業務において工事実施に必要な事項を整理するといった共通の目的を持つ一方で、個々の現場条件等に応じた仕様に沿って業務の成果を作成するという単品生産の側面を持ち、担当する技術者の知識や経験が反映されやすいことから、発注者と受注者間の情報共有や意思疎通等が不可欠である。
○また、業務の適正な履行確保と良好な成果品を得るためには、発注者は設計図書における条件明示を適正に行うことはもとより、履行条件の変化等に対応して適切な設計変更等を行うことが重要となる。
○しかしながら、個々のケースを仔細に見たとき、実態としてその一部において、設計条件の明示が不明確、協議未了に伴う条件提示の遅れ、条件変更に伴う作業内容の追加や変更、打合せ回数の大幅な増加等が発生しているにもかかわらず、受発注者間の意思疎通不足等により必要な手続きが行われず、適正な設計変更が実施されていないことが散見されている。
○本ガイドラインは、既存の関係通知等を踏まえ、設計変更等の手続きに係る留意点等について、「設計業務等委託契約書(以下「契約書」という。)」の第 18 条(条件変更等)における設計変更及びそれに係る契約手続き方法を適正かつ円滑に行うことができるよう、設計変更における留意事項をとりまとめたものである。
○今後においても、運用の過程において本ガイドラインの見直しを行うとともに、必要事項を追加していく。
1.2 発注者・受注者の姿勢
<発注者> | ||
積算及び設計図書等の作成にあたって、業務内容に関係する項目については、安易に省略せず、設計条件や規格等の指定すべき事項は必ず条件明示するよう徹底す る。 |
<受注者>
業務の着手にあたって、設計図書を点照し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、履行中に疑義が生じた場合には、発注者と「協議」し、進めることが重要である。
(参考)用語の定義
○
○
○
○
契約図書・・・契約書及び設計図書をいう。
契 約 書・・・設計業務等委託契約書をいう。
設計図書・・・仕様書、図面、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。
指
○ 請
○ x
○ 協
示・・・監督職員が受注者に対し、設計業務等の遂行上必要な事項について書面をもって示
し、実施させることをいう。
求・・・発注者又は受注者が契約内容の履行あるいは変更に関して、相手方に書面をもって行為あるいは同意を求めることをいう。
x・・・xx者が監督職員に対し、書面で申し出た設計業務等の遂行上必要な事項について、監督職員が書面により業務上の行為に同意することをいう。
議・・・書面により契約図書の協議事項について、発注者と受注者が対等の立場で合議する
ことをいう。
○ 成 果 物・・・受注者が契約図書に基づき履行した設計業務等の成果を記録した図書、図面及び関連
する資料をいう。
[上記の出典:設計業務共通仕様書]
2 設計変更を行うことができないケース
下記のような場合においては、原則として設計変更を行うことができない。
<設計変更を必要としないもの>
① 受注者の任意の都合による提案を発注者の「承諾」を得て実施した場合
<設計変更を行うことができないもの>
② 設計図書に条件明示のない事項について、発注者と「協議」を行う前に、又は発注者からの「指示」等の通知がなく、受注者が独自に判断した内容で業務を実施した場合
③ 発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で協議している内容の業務を実施した場合
④ 契約書及び共通仕様書※に定められている所定の手続きを経ていない場合
※ 共通仕様書とは、①地質・土質調査共通仕様書、②測量業務共通仕様書、③設計業務共通仕様書をいう。
契約書 | 第 18 条 | 条件変更等 |
〃 | 第 19 条 | 設計図書の変更 |
〃 | 第 20 条 | 業務の中止 |
〃 | 第 21 条 | 業務に係る受注者の提案 |
〃 | 第 22 条 | 受注者の請求による履行期間の延長 |
〃 | 第 23 条 | 発注者の請求による履行期間の短縮等 |
〃 | 第 24 条 | 履行期間の変更方法 |
〃 | 第 25 条 | 業務委託料の変更方法等 |
〃 | 第 30 条 | 業務委託料の変更に代える設計図書の変更 |
共通仕様書(以下、設計業務共通仕様書の場合) | ||
〃 | 1-1-4 | 設計図書の支給及び点検 |
〃 | 1-1-21 | 条件変更等 |
〃 | 1-1-22 | 契約変更 |
〃 | 1-1-23 | 履行期間の変更 |
〃 | 1-1-24 | 一時中止 |
⑤ 正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
ただし、契約書第 26 条(臨機の措置)の緊急やむを得ない事情の措置を行う場合は、この限りではない。)
ポイント
・発注者は、協議に対する回答を迅速かつ適切に行う必要がある。
3 設計変更を行うことができるケース
設計変更を行うことができるケースは、主に以下のものが挙げられる。
① 所定の手続き「協議等」を行い、発注者の「指示」によるもの
② 「設計図書の点検」の範囲を超える作業で、協議を行った上で発注者の「指示」により実施する場合
③ 地形・地質・地下水・河川流量等の自然的条件、又は現地調査のための立入条件や準拠すべき技術基準等の人為的条件など、設計図書に示された履行条件が実際と相違する場合
④ 契約時点で予定していた業務着手時期に、受注者の責によらず業務に着手出来ない場合、又は受注者の責によらず業務を中止せざるを得ない場合
ただし、設計変更にあたっては、下記事項に留意する。
① 当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更「協議」(書面による確認)を行う。
② 当該業務における変更の必要性を明確にする。
③ 設計変更の必要が生じた場合は、業務打合せ簿等で、その都度遅滞なく指示するものとし、所定の手続きは、適切に行うものとする。
ポイント
・「協議」の結果、金額変更を行わない場合もある。
3.1 「設計図書の点検」による手続き
【設計業務共通仕様書第 1-4 条※】
第1-4条 設計図書の支給及び点検
受注者からの要求があり、監督職員が必要と認めた場合は、受注者に図面の原図若しくは電子データを貸与する。ただし、共通仕様書、各種基準、参考図書等市販されているものについては、受注者の負担において備えるものとする。
2 受注者は、設計図書の内容を十分点検し、疑義がある場合には、監督職員に書面により報告し、その指示を受けなければならない。
3 監督職員は、必要と認めた場合には、受注者に対し、図面又は詳細図面等を無償で貸与又は追加支給するものとする。
※ 地質・調査業務共通仕様書 第1-4条
※ 測量業務共通仕様書 第5条
3.1.1 「設計図書の点検」の範囲をこえる行為の事例
以下のような作業を行う必要が生じた場合は、契約書第 18 条に基づき受発注者に基づき受発注者で対応を協議し、設計変更を行い発注者が費用を負担する。
① 水理計算や構造計算を伴う既存成果の照査
② 関係機関の協議結果と既存成果の照査
③ 既存成果における設計計算と図面(詳細な配筋図等)の照査
ポイント
・設計図書の点検は、受注者の費用負担によるものとする。
・設計図書の点検の範囲をこえるものについては、契約書第 18 条に基づき協議する。
【既存業務の成果品に誤り等があった場合の取扱い】
➣ 設計図書の点検において、既存業務の成果品に誤り等があることが認められた場合、受注者は速やかにその事実を発注者に報告しなければならない。
➣ 発注者は、既存業務の受注者に対して成果品の欠陥及びその原因について調査を指示し、事実関係の確認を行うものとする。その結果、誤りが既存業務の受注者の責にある場合は、契約書第 40 条(瑕疵担保)に基づく「瑕疵の修補の請求」を求めるものとし、速やかに修正させ、修正後の成果品を受注者へ提示する。
➣ なお、成果品の瑕疵の原因が発注者の責による場合は、その費用は発注者が負担するものとする。また、既存業務の受注者、又は当該業務の受注者のどちらに修正させるかは、修正の内容及び効率的な業務の推進等を考慮のうえ、適切に判断するものとし、責任の所在を明確にしないまま費用負担も行わずに、安易にいずれかの受注者に修正を行わせることは、厳に慎まなければならない。
3.1.2 設計変更の手続き
<受注者>
「設計業務共通仕様書第1-4条(設計図書の支給及び点検)第2項」に基づく設
計図書の点検を行い、契約書第 18 条(条件変更等)第1項の一~五に該当する旨を直ちに監督職員に通知。
発注者は契約書第 18 条第4項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更。
発注者は契約書第 18 条第5項に基づき、客観的判断に基づき必要があると認めら
れるときは履行期間若しくは業務委託料を変更することができる。
<発注者>・<受注者>
発注者と受注者とが協議により、契約書第 24 条に基づく履行期間の変更及び契約
書第 25 条に基づく業務委託料の変更を行うことができる。
<発注者>
<発注者>
【参考】 設計図書の点検
設計等業務において、受注者が行うべき「設計図書の点検」の範囲は以下のものなどがある。
① 適用すべき諸基準と整合した業務内容となっているか
② 設計図書と現地が整合しているか
③ 既存業務の成果、適用すべき諸基準の取違いの不備はないか
④ 既存業務の調査結果等が適切か、調査不足は生じていないか
⑤ 業務実施のための関係機関協議が実施済みか、協議内容が明示されているか
3.2 設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
【契約書第 18 条第1項の二】
(条件変更等)
第 18 条 受注者は、業務を行うに当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、金額を記載しない内訳書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 施行上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施行条件と実際の施行条件が相違すること。
五 設計図書に明示されていない施行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2~5項 省略
3.2.1 設計図書の誤謬又は脱漏の事例
① 誤謬とは、設計条件や特記仕様書等の設計図書に間違いがある場合
② 脱漏とは、 以下のような条件明示する必要がある場合にも係わらず、記載されるべき内容が抜けている場合
・ 見積りにより歩掛を定めた場合の積算根拠に関する条件明示
・ 実施設計の前段として基本設計を行っている場合の「前段設計補正」に関する条件明示
・ 適用する図書の明示(例:橋梁設計にあたっての道路橋示方書の適用)
・ 耐震設計を行う場合の施設の重要度区分に関する条件明示
・ 打合せの回数、照査に関する条件明示
・ 調査業務における仮設・運搬・安全対策等に関する条件明示
ポイント
・①、②の事例は、本来ならば当初発注時に条件明示すべきである。
3.2.2 設計変更の手続き
<受注者>
「契約書第 18 条(条件変更等)第1項の二」に該当する旨を直ちに監督職員に通知。
発注者は契約書第 18 条第4項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更。
発注者は契約書第 18 条第5項に基づき、客観的判断に基づき必要があると認められ
るときは履行期間若しくは業務委託料を変更することができる。
<発注者>・<受注者>
発注者と受注者とが協議により、契約書第 24 条に基づく履行期間の変更及び契約書
第 25 条に基づく業務委託料の変更を行うことができる。
<発注者>
<発注者>
3.3 設計図書の表示が明確でない場合の手続き
【契約書第 18 条第1項の三】
(条件変更等)
第 18 条 受注者は、業務を行うに当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、金額を記載しない内訳書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 施行上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施行条件と実際の施行条件が相違すること。
五 設計図書に明示されていない施行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2~5項 省略
3.3.1 設計図書の明示が明確ではない事例
① 設計図書の表示が抽象的なため、業務の実施にあたって判断し得ない場合
② 標準歩掛にない作業で、比較検討の実施が記載されているが、何タイプの比較検討を想定しているのか明示がない場合
③ 調査業務での水替工実施の記載があるが、当初設計における想定の湧水量や排水設備規模、運転日数等の明示がない場合
ポイント
・①~③の事例は、本来ならば当初発注時に条件明示すべきである。
・また、②の事例は、見積徴集時に仕様を条件明示すべきである。
3.3.2 設計変更の手続き
<受注者>
「契約書第 18 条(条件変更等)第1項の三」に該当する旨を直ちに監督職員に通知。
発注者は契約書第 18 条第4項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更。
発注者は契約書第 18 条第5項に基づき、客観的判断に基づき必要があると認めら
れるときは履行期間若しくは業務委託料を変更することができる。
<発注者>・<受注者>
発注者と受注者とが協議により、契約書第 24 条に基づく履行期間の変更及び契約
書第 25 条に基づく業務委託料の変更を行うことができる。
<発注者>
<発注者>
3.4 設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際の施行条件と相違する場合の手続き
【契約書第 18 条第1項の四】
(条件変更等)
第 18 条 受注者は、業務を行うに当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、金額を記載しない内訳書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 施行上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施行条件と実際の施行条件が相違すること。
五 設計図書に明示されていない施行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2~5項 省略
3.4.1 設計図書の履行条件と実際の施行条件が一致しない事例
① 水管橋の架設地点の地形条件(川幅、地表形状等)が現地と相違する場合
② 地質調査結果の支持層の位置、地下水位等が実際と相違する場合
③ 調査業務での水替工に係る湧水量等が実際と相違する場合
④ 3.2又は3.3の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合
⑤ 現地調査にあたり立入条件等の制約が課せられた場合
⑥ 関係機関及び第三者機関との協議結果等により、業務内容や履行条件に変更が生じた場合
3.4.2 設計変更の手続き
<受注者>
「契約書第 18 条(条件変更等)第1項の四」に該当する旨を直ちに監督職員に通
知。
発注者は契約書第 18 条第4項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更。
発注者は契約書第 18 条第5項に基づき、客観的判断に基づき必要があると認めら
れるときは履行期間若しくは業務委託料を変更することができる。
<発注者>・<受注者>
発注者と受注者とが協議により、契約書第 24 条に基づく履行期間の変更及び契約
書第 25 条に基づく業務委託料の変更を行うことができる。
<発注者>
<発注者>
3.5 発注者から設計図書の変更に係る指示があった場合の手続き
【契約書第 19 条】
(設計図書等の変更)
第 19 条 発注者は、前条第4項に規定する場合のほか必要があると認めるときは、設計図書又は業務に関する指示(以下この条及び第 21 条において「設計図書等」という。)の変更内容を受注者に通知して、設計図書等を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは、履行期間若しくは業務委託料を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償しなければならない。
3.5.1 設計変更の手続き
発注者から受注者に対し設計図書の変更に係る指示を行った場合は、契約書第 19 条に基づき設計変更を行うものとする。
ポイント
・業務の進捗に伴い、新たな技術的な観点から業務範囲を超える作業を指示した場合は、適切な費用を計上する。
・発注者の指示により比較検討や構造検討等を実施した場合は、最終成果に繋がらない途中段階の検討業務についても検討資料を成果として設計変更の対象とする。
・業務の追加変更は、その都度打合せ簿により指示する。
3.5.2 設計変更の手続き
発注者は契約書第 19 条に基づき、必設計図書又は業務に関する指示の変更内容を
受注者に通知。
発注者は契約書第 19 条に基づき、必要があると認められるときは履行期間若しく
は業務委託料を変更することができる。
<発注者>・<受注者>
発注者と受注者とが協議により、契約書第 24 条に基づく履行期間の変更及び契約
書第 25 条に基づく業務委託料の変更を行うことができる。
<発注者>
<発注者>
3.6 業務中止の場合の手続き
【契約書第 20 条】
(業務の中止)
第 20 条 第三者の所有する土地への立入りについて当該土地の所有者等の承諾を得ることができないため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下この条及び第 29 条において「天災等」という。)であって、受注者の責めに帰すことができないものにより、作業現場の状態が著しく変動したため、受注者が業務を行うことができないと認められるときは、発注者は、業務の中止内容を直ちに受注者に通知して、業務の全部又は一部を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、業務の中止内容を受注者に通知して、業務の全部又は一部を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により業務を一時中止した場合において、必要があると認められるときは、履行期間若しくは業務委託料を変更し、又は受注者が業務の続行に備え業務の一時中止に伴う増加費用を必要としたとき若しくは受注者に損害を及ぼしたときは、その増加費用を負担し、若しくはその損害を賠償しなければならない。
3.6.1 自然的又は人為的な事象により業務を行うことができない事例
① 豪雨、地震、火災等により地形等の物理的な変動があった場合
② 土地への立入りが承諾されないために業務が行えない場合
③ 埋蔵文化財の調査及び処理を行う必要が生じた場合
④ 反対運動等の妨害活動があった場合
3.6.2 設計変更の手続き
<受注者>・<発注者>
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が業務を行うことができない。
<発注者>
「契約書第 20 条(業務の中止)第1項」により、発注者は業務の全部又は一部を
一時中止しなければならない。
<発注者>
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)。
<受注者>
受注者は、作業現場を維持しなければならない。
<発注者>
発注者は、契約書第 20 条(業務の中止)第3項に基づき、受注者が業務の続行に備え業務の一時中止に伴う増加費用を必要としたとき若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
<発注者>・<受注者>
発注者と受注者の協議により、客観的判断に基づき必要があると認められるときは、契約書第 24 条に基づく履行期間の変更及び契約書第 25 条に基づく業務委託料の変更を行うことができる。
3.7 受注者の請求による履行期間の延長の場合の手続き
【契約書第 22 条】
(受注者の請求による工期の延長)
第 22 条 受注者は、その責めに帰すことができない事由により履行期間内に業務を完了することができないときは、その理由を明示した書面により発注者に履行期間の延長変更を請求することができる。
2 発注者は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、履行期間を延長しなければならない。発注者は、その履行期間の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、業務委託料について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
3.7.1 受注者からの請求による工期の延長が認められる事例 受注者の責に帰さない事由(第三者の所有する土地への立入りの承諾を得ることがで きない場合や天災等)により、履行期間内に業務を完了することができない場合があげ
られる。
① 土地への立入りが承諾されないため業務が行えない場合
② 天災等により業務の履行に支障が生じた場合
③ 関係機関との協議が未了又は協議遅延による方針の決定が遅れたことにより履行期間に影響を与えた場合
④ 既往成果の設計に不備が多く、発注者による見直しにより業務開始までに時間を要した場合
⑤ 設計に必要な地質データが不足しており、発注者による追加調査に伴い業務が遅延した場合
3.7.2 設計変更の手続き
<受注者>
受注者の責に帰さない事由により、履行期間内に業務を完了することができない。
<受注者>
「契約書第 22 条(受注者の請求による履行期間の延長)第1項」により、「履行期間の延長理由」「必要とする延長日数の算定根拠」「変更工程表」等を提出。
契約書第 22 条(受注者の請求による履行期間の延長)第2項により、客観的に判断
に基づき、必要があると認められるときは、履行期間を延長することができる。
<発注者>・<受注者>
発注者と受注者とが協議により、客観的判断に基づき必要があると認められるとき
は、契約書第 24 条に基づく履行期間の変更及び契約書第 25 条に基づく業務委託料の変更を行うことができる。
<発注者>
4 設計変更手続きフロー
設計変更を行うケース (契約書第 18 条第1項の一~五)
一 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと二 設計図書に誤謬又は脱漏があること
三 設計図書の表示が明確でないこと
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと
発 注 者
【第 18 条第2項】
上記に該当する事実を発見
【第 18 条第1項】
上記に該当する事実を発見
受 注 者
【第 18 条第2項】発注者:調査の実施受注者:立合い
【第 18 条第1項】
通知し確認を請求
【第 18 条第3項】
調査結果のとりまとめ
【第 18 条第3項】
意 見
【第 18 条第3項】
調査結果の通知:取るべき措置の指示含む
(原則として調査実施後 14 日以内)
受 理
【第 18 条第4項】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更
変更内容・変更根拠を明確にした上で変更設計図書を作成し、打合せ簿により受発注者間で相互に確認する。
【第 18 条第5項】
設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、必要があると認められるときは、履行期間若しくは業務委託料を変更
【第 24 条、第 25 条】
協議:①履行期間の変更 ②業務委託料の変更
※条項は全て、契約書を示す
【契約書第 18 条】
(条件変更等)
第 18 条 受注者は、業務を行うに当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、金額を記載しない内訳書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 施行上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施行条件と実際の施行条件が相違すること。
五 設計図書に明示されていない施行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 発注者は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの下、直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後 14 日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ、受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果により第1項各号に掲げる事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、発注者は、設計図書の変更又は訂正を行わなければならない。
5 前項の規定により設計図書の変更又は訂正が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは、履行期間若しくは業務委託料を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償しなければならない。
5 関連事項
5.1 指定・任意の正しい運用
【契約書第1条第4項】
(x x)
第1条 1~3項 省略
4 受注者は、この約款若しくは設計図書に特別の定めがある場合又は前項の指示若しくは発注者と受注者との協議がある場合を除き、業務を完了するために必要な一切の手段をその責任において定めるものとする。
履行方法等の指定・任意については、契約書第1条第4項にあるとおり、適切に扱う必要がある。
<指定>
① 設計図書に示したとおり作業を行わなければならないもの
<任意>
② 受注者の責任において自由に作業を行うものをいい、業務を完了するために必要な一切の手段を受注者の責任で行う
ポイント
・発注者は、指定・任意にかかわらず、設計条件の明示をできるだけ明確に行い、設計変更に対応できるようにすることが必要である。
・履行方法を指定する必要がある場合は、その旨条件明示する。
5.1.1 指定・任意の条件設定フロー
履行方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にす
る必要がある。
任意については、受注者が自らの責任で行うもので、履行方法等の選択は、受注者に
委ねられている。(契約変更の対象としない)
発注者(監督職員)は、任意の趣旨を踏まえ、適切な対応を行うように注意が必要。
※ 例えば、任意における下記のような対応は不適切
① 調査業務において、条件明示に具体的な手法を指定していないのに、○○で積算しているので、「○○以外での調査は不可」との対応。
② 新たな手法(解析・分析方法、構造計算等)等の活用を受注者から申し出が
あった場合に、「積算上の手法以外での実施は不可」との対応。
ただし、任意であっても、設計図書に示された履行条件と実際の作業条件が一致しな
い場合は変更できる。
指定・任意の考え方
【参考】
x x | 任 意 | |
設 計 図 書 | 履行方法等について具体的に指定する (契約条件として位置付け) | 履行方法等について具体的に指定しない (契約条件ではない) |
履行方法等の条件 | 変更する場合は、発注者の指示または承諾が必要 | 受注者の任意 (施工計画書等の修正、提出は必要) |
履行方法の変更がある場合の設計変更 | 行う | 行わない (発注者の履行方法を変更する必要がある場合は設計変更を行う) |
当初明示した条件の 変更に対応した設計変更 | 行う | 行う |