Contract
子どもの健やかな成長のために
~離婚後の「養育費の支払」と「面会交流」の実現に向けて~
子どもの養育に関する 合意書作成の手引きとQ&A
子どもにとって、両親の離婚はとても大きなできごとです。
子どもがこれを乗り越えて健やかに成長していけるよう、離婚をするときに親としてあらかじめ話し合っておくべきことに、「養育費」と「面会交流」があります。
法務省
このパンフレットでは、「養育費」と「面会交流」の取 |
り決め方やその実現方法について分かりやすく説明して |
います。 |
民法では、協議離婚の際には子どもの監護者(親権者) |
だけでなく、「面会交流」や「養育費の分担」についても |
定めることとされ、その取り決めをする際には、「子の利 |
益を最も優先して考慮しなければならない」とされています。 離婚をされる際には、このパンフレットを参考にしていただき、「養育費」と「面会交流」について取り決 めをするよう努めてください。 |
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~ 目 次 ~
養育費について 4ページ
面会交流について 5ページ合意書のひな形について 6~9ページ Q&Aについて 10ページ~問い合わせ先 裏表紙
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養育費の取り決めについて
養育費とは
養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用のことをいいます。
一般的には、経済的・社会的に自立していない子が自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
親の子どもに対する養育費の支払義務(扶養義務)は、親の生活に余力がなくても
自分と同じ水準の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だとされています。子どもがいる夫婦が離婚する場合、基本的にはどちらか一方が親権者となって子ど
もを養育することになりますが、離婚により親権者でなくなった親であっても、また、子どもと離れて暮らすこととなった親であっても、子どもの親であることに変わりはありませんから、子どもに対して自分と同じ水準の生活ができるようにする義務があります。
子どもに対し、親としての経済的な責任を果たし、子どもの成長を支えることは、とても大切なことです。
養育費の取り決めについて
養育費は、子どものためのものですから、子どもと離れて暮らすことになる親と子どもとの関係を大事にするためにも、離婚時にきちんと取り決めておくようにしましょう。新しい生活の始まりからすぐに養育費の支払がスムーズに行われるように、養育費の金額、支払時期、支払期間、支払方法などを具体的に決めておくのがよいでしょう。養育費の取り決めは、後日その取り決めの有無や内容について紛争が生じないように、口約束ではなく、書面に残しておくようにしましょう(できれば「xx証書」にするのがよいでしょう。)。
養育費の支払は、長い年月継続するものです。その間、子どもと一緒に暮らす親にすれば、子どもの病気などにより監護費用が増えることもあるでしょうし、離れて暮らす親にすれば、再婚により扶養家族が増えたりすることもあるでしょう。事後的な事情の変更がある場合には、いったん取り決めた養育費の増額や減額を他方の親に求めることができる場合があります。
なお、離婚時の取り決めや、その後の増額又は減額について、当事者間で話し合いができないときは、家庭裁判所に調停又は審判を申し立てることができます。通常はまず調停を行い、調停でも話し合いがつかない場合は、最終的には家庭裁判所の審判で決めることになりますが、養育費は、子どもの成長を支えるためにとても大切なものですので、審判であってもその結果を受け入れ、親として養育費の支払を継続していく必要があります。
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面会交流の取り決めについて
面会交流とは
「面会交流」とは、子どもと離れて暮らしているお父さんやお母さんが子どもと定期的、継続的に、会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流することをいいます。
子どもは、両親の離婚という大きなできごとを経験して、「自分が悪いことをしたのでこんなことになってしまったのではないか?」、「自分を嫌いになっていなくなってしまったのではないか?」などと不安な気持ちになったりします。面会交流は、そんな子どもに、父母それぞれの立場から、「あなたが悪いんじゃないよ。」、「離れて暮らしているけど、どちらの親もあなたのことを好きなんだよ。」という気持ちを伝えていく一つの方法です。
離婚によって夫婦は他人になっても、子どもにとっては父母はともにかけがえのない存在です。面会交流は、そんな子どものために行うものです。子どもは、面会交流を通して、どちらの親からも愛されている、大切にされていると感じることで、安心感や自信をもつことができ、それが、子どもが生きていく上での大きな力となります。
面会交流の取り決めについて
面会交流は子どもの健やかな成長のためにとても大切なことであり、子どもにとって望ましい面会交流を行うためには、父母双方の協力が欠かせません。夫と妻という関係から子どもの父と母という立場に気持ちを切り替え、子どもの親同士というパートナーとして協力しましょう。
面会交流の方法や時期、回数などについては、子どもが安心して面会交流を楽しめるように、子どもの年齢や健康状態、生活状況等を考えながら無理のないように決めることが大切です。また、親同士がお互いに守らなければならないルールについてもしっかりと決めておくようにしましょう。面会交流の取り決めは、後日その取り決めの有無や内容について紛争が生じないように、書面に残しておくようにしましょう。
面会交流は、長い年月に渡って行われるものです。また、時間の経過とともにお子さんは成長し、養育環境も変化します。取り決めを守って安定した交流を行うことに加え、状況に応じてお互いに話し合い、協力し合いながら、子どもにとって最もよい面会交流を行っていくことが大切です。
なお、話し合いができないときは家庭裁判所に調停又は審判を申し立てることができます。通常はまず調停を行い、調停でも話し合いがつかない場合は、最終的には家庭裁判所の審判で決めることになりますが、面会交流は、子どもの健やかな成長をねがって行うとても大切なものですから、審判であってもその結果を父母が受け入れて協力しあうことが不可欠です。
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「 子どもの養育に関する
合意書
」について
8ページに掲載されている「子どもの養育に関する合意書」は、お子さんの「養育費」及び「面会交流」について父母がお互いの約束事を証明する文書です。2通作成し、双方で1通ずつ保管してください。なお、離婚届を出す際に、提出しなければならない文書ではありませんが、お子さんのためにも、できる限り作成するようにしてください。
1 養育費について
親権者を決めるのと並行して、お子さんの養育費についても決めておきましょう。お子さんそれぞれについて、金額・支払期間・支払時期などを具体的に決めておきましょう。
① 金額
原則として話し合いで決めることになりますが、その際には東京・大阪養育費等研究会が策定した「養育費算定表」が参考となります(Q&Aの第7問参照)。
② 支払期間
支払の始期と終期を決めておきましょう。終期については、18歳、20歳、
22歳などとする例が多いようですが、お子さんの成長のために十分な期間を設けておくようにしましょう。
③ 支払時期
支払の時期を決めておきましょう。毎月一定の金額を支払う例が多いようですが、経済状況等によりある程度の期間の分を一括して支払うことも可能です。
➃ その他
定額の養育費とは別に、入学金や大学等の授業料等、特別な出費が生じた場合に、どのように父母が負担するのか定めておくとよいでしょう。お子さんが健やかに成長するためには、いろいろとお金が必要になるものです。
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作成に当たっての注意事項
1 合意書は、離婚届を提出する際に、提出しなければならない文書ではありませんし、合意書を作成しないと離婚届が受理されないということもありませんが、お子さんが両親の離婚後も健やかに成長していけるよう、作成するように努めてください。
2 この参考書式は、様式が定まっているものではなく、一般的に必要と考えられる項目を記載しているものですので、父母双方が、お子さんの立場にたって、事案に応じて充実した内容を取り決めてください。
2 面会交流について
面会交流は、子どものためのものですので、子どもにとってどのような面会交流が望ましいかという視点から、具体的な条件を取り決めておきましょう。
① 面会交流の内容
日帰りの面会交流、宿泊を伴う面会交流などが考えられます。手紙や電話のやりとりを認めるかなども決めておきましょう。
② 面会交流の頻度
週又は月に何回程度面会交流を実施し、1回につき何時間程度の面会交流を実施するか、宿泊を伴う場合は何泊にするかなどを決めておきましょう。夏休みなどお子さんに長期の休みがある場合には、一定期間の宿泊を伴う面会交流を実施することも考えられます。
③ その他特記事項
待ち合わせ場所や、事情が変わった場合の連絡先などを取り決めておくことが考えられます。
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子どもの養育に関する合意書
作成日 年 月 日
ふりがな | ふりがな | ||
氏 名 | ㊞ | 氏 名 | ㊞ |
住所 | 〒 電話 メール | 住所 | 〒 電話 メール |
勤務先 | 名称 | 勤務先 | 名称 |
所在地 〒 | 所在地 〒 |
父 母
1 | ふりがな | 2 | ふりがな | ||||
氏 名 | 年 月 日生 | 氏 名 | 年 月 日生 | ||||
親権者 父 ・ 母 | 親権者 父 ・ 母 | ||||||
3 | ふりがな | 4 | ふりがな | ||||
氏 名 | 年 月 日生 | 氏 名 | 年 月 日生 | ||||
親権者 父 ・ 母 | 親権者 父 ・ 母 |
子ども
支払期間 | 金額 | 支払時期 | ||||||
子 1 | 年 | 月 | □ 歳に達する月まで 日から □ 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 円ずつ | □ 毎月 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||||
□ 円 | □ | |||||||
子 2 | 年 | 月 | □ 歳に達する月まで 日から □ 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 円ずつ | □ 毎月 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||||
□ 円 | □ | |||||||
子 3 | 年 | 月 | □ 歳に達する月まで 日から □ 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 円ずつ | □ 毎月 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||||
□ 円 | □ | |||||||
子 4 | 年 | 月 | □ 歳に達する月まで 日から □ 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 円ずつ | □ 毎月 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||||
□ 円 | □ | |||||||
振込先 | その他 | |||||||
金融機関 口座の種類口座番号 口座の名義 | 普通 | 銀行 支店 ・ 当座 |
養育費
面会交流の内容 | 面会交流の頻度 | |||
子 1 | □ 面会(宿泊なし) | □ に | 回程度 | □ |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | |
□ | □ に | 回程度 | □ | |
子 2 | □ 面会(宿泊なし) | □ に | 回程度 | □ |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | |
□ | □ に | 回程度 | □ | |
子 3 | □ 面会(宿泊なし) | □ に | 回程度 | □ |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | |
□ | □ に | 回程度 | □ | |
子 4 | □ 面会(宿泊なし) | □ に | 回程度 | □ |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | |
□ | □ に | 回程度 | □ | |
その他(連絡方法や留意事項等を自由にお書きください) |
面会交流
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子どもの養育に関する合意書(記入例)
作成日 平成28
年 9 月 1 日
xxxx | xxx xxx | xxxx | xxx xxx | ||||||
x 名 | 法務 太郎 | ㊞ | 氏 名 | 民事 xx | ㊞ | ||||
住所 | 〒 ○○○-○○○○ | 〒 ○○○-○○○○ | |||||||
○○県△△市□□町●-▲-■ | 住 | ○○県△△市■■町▲-■-● | |||||||
所 | |||||||||
電話 ○○○-○○○-○○○○ | 電話 ○○○-○○○-○○○○ | ||||||||
メール ○○○○@xx.xx.xx | メール ○○○○@xx.xx.xx | ||||||||
勤務先 | 名称 | ○○○株式会社 | 勤務先 | 名称 | □□□株式会社 | ||||
所在地 〒 ○○○-○○○○ ○○県△△市●●町▲-■-● | 所在地 〒 ○○○-○○○○ ○○県■■市□□町●-▲-■ |
父 母
1 | xxxx | xxx xxx | 2 | xxxx | xxx xxx | ||
x 名 | 民事 まもる | 平成20年 5月 1日生 | 氏 名 | 民事 xxx | 平成23年 8月 1日生 | ||
親権者 父 ・ 母 | 親権者 父 ・ 母 | ||||||
3 | ふりがな | 4 | ふりがな | ||||
氏 名 | 年 月 日生 | 氏 名 | 年 月 日生 | ||||
親権者 父 ・ 母 | 親権者 父 ・ 母 |
子ども
支払期間 | 金額 | 支払時期 | ||||
子 1 | xx x xに達する月まで 28年 9月 1日から □ 22 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 5万 円ずつ | □ 毎月 25 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||
□ 円 | □ | |||||
子 2 | 平成 □ 歳に達する月まで 28年 9月 1日から □ 22 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 5万 円ずつ | □ 毎月 25 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||
□ 円 | □ | |||||
子 3 | □ 歳に達する月まで 年 月 日から □ 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 円ずつ | □ 毎月 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||
□ 円 | □ | |||||
子 4 | □ 歳に達する月まで 年 月 日から □ 歳に達した後の3月まで □ まで | □ 1か月当たり | 円ずつ | □ 毎月 | 日 | |
□ 年/月分 | 円 | □ 年 | 月 | 日 | ||
□ 円 | □ | |||||
振込先 (子1及び子2の養育費の振込先) | その他 子1及び子2が大学等に進学した場合の費用等の負担については,別途協議する。 | |||||
金融機関 ○○ 銀行 △△ 支店口座の種類 普通 ・ 当座 口座番号 ○○○○○○○○ 口座の名義 ミンジハナコ |
養育費
面会交流の内容 | 面会交流の頻度 | ||||
子 1 | □ 面会(宿泊なし) | □ ○か月に | ○回程度 | □ | |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | 夏休みに2泊3日程度 | |
□ | □ に | 回程度 | □ | ||
子 2 | □ 面会(宿泊なし) | □ ○か月に | ○回程度 | □ | |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | 冬休みに2泊3日程度 | |
□ | □ に | 回程度 | □ | ||
子 3 | □ 面会(宿泊なし) | □ に | 回程度 | □ | |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | ||
□ | □ に | 回程度 | □ | ||
子 4 | □ 面会(宿泊なし) | □ に | 回程度 | □ | |
□ 面会(宿泊あり) | □ に | 回程度 | □ | ||
□ | □ に | 回程度 | □ | ||
その他(連絡方法や留意事項等を自由にお書きください) |
面会交流
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○ この合意書のひな形は、法務省のホームページにも掲載されています。
養育費と面会交流に
「
ついての
Q
&A 」
ここでは、養育費と面会交流について、よくある質問とその説明を掲載しています。養育費と面会交流の取り決めをするに当たり、よく読んでいただき、お子さんの健やかな成長のために、最適な養育費と面会交流の取り決めをするようにしてください。
Q1 養育費とは何ですか。
Q3 養育費の取り決めをしな
A1 養育費とは、子どもの監護(監督・保護)や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には、経済的・社会的に自立していない子どもが自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
父母が負う子どもの養育費の支払義務(扶養義務)は、父母の生活に余力がなくても自分と同じ水準の生活
を保障するという強い義務であるとされています。
Q2 親権者でなくても養育費を支払わなければならないのですか。
ければ離婚することができないのですか。
A3 養育費の取り決めをしていなくても離婚をすることはできます。しかし、民法には、離婚の際に両親が協議で定めるべき事項として養育費の分担が定められており、養育費の取り決めをする際には子どもの利益を最も優先して考慮しなければならないと定められています。離婚という結論を出すまでには、様々ないきさつや事情があり、親にとっても、それを乗り越えて新しい生活を築いていくことは大変なことですが、子どもにとっては親以上につらいことであり、子どもが両親の離婚を乗り越えて健やかに成長することができるためにも、養育費の取り決めはとても重要です。したがって、離婚をするに当たっては、可能な限り、養育
費の取り決めをし
ておくことが望ましいといえます。
A2 子どもがいる夫婦が離婚する場合には、基本的にはそのどちらかが親権者となって子どもを養育することになります。しかし、
離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることに変わりはなく、法律上の親子関係も存続しますので、親として養育費の支払義務を負うことになります。
(参考)民法第766条第1項
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
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Q4 養育費の取り決めはどのようにしたらよいのですか。
A4 まずは話し合いましょう。取り決めをする際には、養育費の支払がスムーズに行われるように、養育費の金額、支払期間、支払時期、振込先などを具体的に決めておくと
よいでしょう。また、取り決めた内容については、後日、紛争が生じないように、口約束ではなく、書面に残しておくとよいでしょう。その際には、このパンフレットに掲載されている「子どもの養育に関する合意書」を参考にしてください。
また、養育費の取り決めをxx証書(注)によってした場合には、実際に支払ってもらえない場合に強制執行の手続を利用することもできますので(詳細についてはQ8、Q9も参照してください。)、xx証書の利用も検討してみるといいでしょう。xx証書の利用については、最寄りの公証役場にご相談ください。
家事調停手続においても話し合いがまとまらなかった場合には、家事調停手続は終了しますが、引き続き、家事審判手続に移行し、そこで必要な審理が行われた上で、審判という裁判によって結論が示されることになります(家事調停手続から家事審判手続に移行するのに新たな申立てをする必要はありません。)。
Q6 家事調停の申立てをする場合には、どのくらいの費用や期間がかかりますか。
A6 養育費についての家事調停を申し立てるに当たっては、子ども1人につき
1200円が必要となります(収入印紙で納めることになります。)。そのほかにも、連絡用の郵便切手が必要となりますが、詳細については、申立てをする家庭裁判所に問い合わせてください。
養育費に関する家事調停手続についての平均的な審理期間は、家事審判手続に移行した場合も含め、約4か月程度といわれています。
(注)xx証書に基づいて強制執行の手続を利用するには、債務者が直ちに強制執行に服する旨を陳述した執行認諾文言がxx証書に記載されていることが必要です。
Q5 相手が話し合いに応じてくれない場合や、話し合いがまとまらない場合は、どうしたらよいでしょうか。
A5 家庭裁判所の家事調停手続を利用することができます。家事調停手続は、夫婦、親子、親族などの間のもめ事について、裁判官と民間から選ばれた調停委員が間に入り、非公開の場で、それぞれから言い分をよく聴
きながら、話し合いによって適切で妥当な解決を目指す手続です。
家事調停の申立ては、相手の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所にすることができます。
Q7 養育費の金額はどのように決めればよいのですか。
A7 基本的には話し合って決めることになりますが、その際には、東京・大阪養育費等研究会が策定した「算定表」(注)が参考にな
ります。この「算定表」は、家庭裁判所の実務においても参考にされているものです。もっとも、養育費は、個別具体的な事案に応じて決められるものですから、「算定表」が絶対的な基準というわけではありません。
この「算定表」は公表されており、東京家庭裁判所ホームページ( xxxx://xxx.xxxxxx. xx.xx/xxxxx-x/xxxx_xx/xxxxxxxxx.xxx )等で見ることができます。
(注)東京家庭裁判所や大阪家庭裁判所の裁判官等によって立ち上げられた東京・大阪養育費等研究会が発表した「簡易迅速な養育費等の算定を目指して 養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」(判例タイムズ 1111 号 285 頁)に掲載されています。
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Q8 養育費の取り決めをしましたが、支払ってもらえません。どうしたらいいですか。
A8 次のとおり、①履行の確保の手続や
②強制執行の手続をとることが考えられます。
① 履行の確保の手続
養育費の分担が家事調停や家事審判等で取り決められた場合には、家庭裁判所における履行の確保の手続を利用することができます。家庭裁判所に対して申出をすると、家庭裁判所では、相手に取り決めを守るように説得したり、勧告したりします。この手続には費用はかかりませんが、相手が勧告に応じない場合に、この手続の中で養育費の支払を強制することはできません。
② 強制執行の手続
養育費の分担がxx証書、家事調停及び家事審判等で取り決められた場合には、強制執行の手続を利用することができます(詳細については、Q9を参照してください。)。
これに対し、養育費の分担がそれ以外の方法で取り決められた場合には、直ちに強制執行の手続を利用することはできません。したがって、口頭で取り決めた場合はもちろん、文書で取り決めた場合でも、xx証書、調停調書、審判書等の法律で定められた文書(債務名義となる文書)に当たらない場合(掲載されている「子どもの養育に関する合意書」によって取り決めた場合も
同様です。)には、改めて、xx証書を作成するか、家庭裁判所に家事調停等の申立てをすること等が必要となります。
A9 養育費の分担がxx証書、家事調停又は家事審判等によって取り決められた場合には、地方裁判所に対して強制執行の申立てをすることができます。
強制執行の手続には、直接強制(相手の財産を差し押さえて、その財産の中から支払を受けるための手続)と間接強制(一定の期間内に履行しない場合に間接強制金を課すことで義務者に心理的圧迫を加え、自発的な養育費の支払を促す手続)があります。
例えば、相手が仕事をしていて給料をもらっている場合には、直接強制として、その給料のうち、2分の1に相当する部分までを差し押さえることができます。なお、未払いの養育費があれば、その分だけに限らず、将来の養育費分として将来の給与を差し押さえることができます。
Q10 一度取り決めた養育費の額を変更することはできますか。
A10 養育費の額を取り決めた後にお互いの経済状況や生活状況が変化するなどした場合には、一度取り決めた養育費の額を変更することができることがあります。その方法としては、当事者間の話し合いによる方法のほか、家事調停や家事審判による方法があり
ます。
Q11 面会交流に応じなければ、養育費を支払ってもらえないのですか。
A11 そのようなことはありません。養育費
Q9 家庭裁判所の家事調停手続で養育費の取り決めをしましたが、相手が決められたとおりに支払ってくれないので、強制執行を考えているのですが、強制執行の手続がよくわかりません。
の支払と面会交流とは別問題ですので、面会交
流に応じなければ養育費を支払ってもらえないということにはなりませんし、養育費を支払わなければ面会交流をすることができないというわけではありません。しかし、どちらも子どもの利益を最も優先して考慮しなければならないものですので、養育費の支払と面会交流の実施のどちらの場面においても子どもの幸せを第一に考えましょう。
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面会交流について
Q12 面会交流とは何ですか。
A12 面会交流とは、子どもと離れて暮らしているお父さんやお母さんが子どもと定期的、継続的に、会って話をしたり、一緒に遊んだり、電
話や手紙などの方法で交流することをいいます。
ても同じことであり、子どもが両親の離婚を乗り越えて健やかに成長することができるためにも、子どもの利益を最も優先して考えなければなりません。したがって、離婚をするに当たっては、可能な限り、面会交流の取り決めをしておくことが望ましいといえます。
Q13 面会交流に応じなけれ
Q15 面会交流の取り決めはど
ばならないのですか。
のようにしたらよいのですか。
A13 面会交流は、子どものためのもので
A15 まずは話し合いましょう。取り決めをす
あり、面会交流の取り決めをする際には、子どもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。
面会交流を円滑に行い、子どもがどちらの親からも愛されていることを実感し、それぞれと温かく、信頼できる親子関係を築いていくためには、父母それぞれの理解と協力が必要です。夫婦としては離婚(別居)することになったとしても、子どもにとっては、どちらも、かけがえのないお父さんでありお母さんであることに変わりはありませんから、夫と妻という関係から子どもの父と母という立場に気持ちを切り替え、親として子どものために協力していくことが必要です。
なお、相手からDV被害を受けているなど特段の事情がある場合には、以上の点は当てはまりません(面会交流をすることが子どもの最善の利益に反することもあります。)。
る際には、面会交流がスムーズに行われるように、面会交流の内容、頻度などを決めておくとよいでしょう。また、取り決めた内容については、後日、紛争が生じないように、口約束ではなく、書面に残しておくとよいでしょう。その際には、このパンフレットに掲載されている「子どもの養育に関する合意書」を参考にしてください。
Q16 面会交流の内容や頻度については、どのように取り決めたらよいのですか。
A16 面会交流は、子どものためのものであり、面会交流の取り決めをする際には、子どもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。したがって、面会交流の内容や頻度については、子どもが安心して面会交流を楽しめる
Q14
面会交流の取り決めを
ように、子どもの年齢や健康状態、生活状況等
しなければ離婚することができないのですか。
A14 面会交流の取り決めをしていなくても離婚をすることはできます。しかし、民法には、離婚の際に両親が協議で定めるべき事
項として面会交流が定められており、面会交流の取り決めをする際には子どもの利益を最も優先して考慮しなければならないと定められています。離婚という結論を出すまでには、様々ないきさつや事情があり、親にとっても、それを乗り越えて新しい生活を築いていくことは大変なことですが、それは、子どもにとっ
を考えながら無理のないように決めることが大切です。
子どもにとって望ましい面会交流を行うためには、父母双方の協力が欠かせません。夫と妻という関係から子どもの父と母という立場に気持ちを切り替え、子どもの親同士というパートナーとして協力しましょう。
また、面会交流は、長い年月にわたって行われるものです。時間の経過とともにお子さんは成長し、養育環境も変化します。取り決めを守って安定した交流を行うことに加え、状況に応じてお互いに話し合い、協力し合いながら、子どもにとって最もよい面会交流を行っていくことが大切です。
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Q17 相手が話し合いに応じ
Q19 面会交流の取り決めをし
てくれない場合や、話し合いがまとまらない場合は、どう
ましたが、相手が応じてくれません。どうしたらいいですか。
したらよいでしょうか。
A19 子どもにとって望ましい面会交流を行
A17
家庭裁判所の家事調停手続を利用す
うためには、父母双方の協力が欠かせませんの
ることができます。家事調停手続は、夫婦、親子、親族などの間のもめ事について、裁判官と民間から選ばれた調停委員が間に入り、非公開の場で、それぞれから言い分をよく聴きながら、話し合いによって適切で妥当な解決を目指す手続です。
家事調停の申立ては、相手の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所にすることになります。
家事調停手続においても話し合いがまとまらなかった場合には、家事調停手続は終了しますが、引き続き、家事審判手続に移行し、そこで必要な審理が行われた上で、審判という裁判によって結論が示されることになります(家事調停手続から家事審判手続に移行するのに新たな申立てをすることは必要ありません。)。
Q18 家事調停の申立てをする場合には、どの程度の費用や期間がかかりますか。
で、可能であれば、もう一度、話し合いをしましょう。その際には、家庭裁判所の家事調停手続を利用することができます(既に家庭裁判所の家事調停手続を利用している場合であっても、再度、面会交流の内容等を決め直すこともできます。)。
また、家事調停や家事審判等で面会交流の取り決めがされている場合には、家庭裁判所における履行の確保の手続を利用することができます。家庭裁判所に対して申出をすると、家庭裁判所では、相手に取り決めを守るように説得したり、勧告したりします。この手続には費用はかかりませんが、相手が勧告に応じない場合には、この手続の中で面会交流の実施を強制することはできません。
さらに、家事調停や家事審判等で面会交流の日時等を具体的に特定した取り決めがされている場合(注)には、強制執行として、間接強制(一定の期間内に履行しない場合に間接強制金を課すことで義務者に心理的圧迫を加え、自発的な面会交流の実施を促す手続)を利用することが
できます。
A18 面会交流についての家事調停を申し立
てるに当たっては、子ども1人につき1200円が必要となります(収入印紙で納めることになります。)。そのほかにも、連絡用の郵便切手が必要となりますが、詳細については、申立てをする家庭裁判所に問い合わせてください。
面会交流に関する家事調停手続についての
平均的な審理期間は、家事審判手続に移行した場合も含め、約
8か月程度といわれています。
(注)最高裁平成25年3月28日決定によると、「調停調書に面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえるときは、間接強制を許さない旨の合意が存在するなどの特段の事情がない限り、上記調停調書に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。」とされています。間接強制をするために、どの程度まで面会交流の内容を特定すればよいのかについては、弁護士等の専門家に相談するとよいでしょう。
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相談先について
Q20 養育費や面会交流についてもっと詳しく知りたいのです
が、どこに相談に行けばいいですか。
A20
地方公共団体によっては、相談窓口を設置したり、無料法律相談等を行ったりしてい
るところがありますので、まずは、各地方公共団体に聞いてみるとよいでしょう。また、養育費相談支援センターにおいても養育費や面会交流につい
ての相談に応じていますし、この他全国に母子家庭等就業・自立支援センターが設置されており、そこでも養育費や面会交流についての相談に応じている所があります。
裁判手続や強制執行手続等の法律的な問題について相談したい場合には、日本司法支援センター(法テラス)に相談してみるとよいでしょう。さらに、家事調停の申立て等をお考えであれば、必要な書類等の手
続面について、各家庭裁判所に問い合わせることもできます。
○ 養育費相談支援センター xxxx://xxx.xxxxxxxx-xxxxxx.xx/xxxxx.xxxxxxxxxxx 0000-000-000
( 携帯電話等からは 00-0000-0000)
xxxx@xxxxxxxx.xx.xx(E-mail)
○ 母子家庭等就業・自立支援センター(厚生労働省ホームページ)
xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxxxxxx/xxxxx/0000000000.xxxx
※ 全国の母子家庭等就業・自立支援センターの事業実施先を調べることができます。
○ 日本司法支援センター(法テラス)
おなやみなし
法テラス・サポートダイヤル 0000-000000
( IP 電話からは 00-0000-0000 )
○ 日本公証人連合会(xx証書について)
※ 全国の公証役場の所在地等を調べることができるとともに、xx証書の作成などに準備する資料・手数料等の情報が掲載されています。
○ 裁判所ホームページ
※ 全国の家庭裁判所の所在地等を調べることができるとともに、家事調停手続等の申立書等を入手することができます。
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「養育費」と「面会交流」の関係について
「養育費」は子どもの生活を支えるもの、「面会交流」は子どもの健やかな成長を願って行うもので、どちらも子どもにとって必要なものです。
離婚をする際には、できる限り、お子さんのために「養育費」と「面会交流」の取り決めをするようにしてください。
(
民法(明治29年法律第89号)
離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3~4(略)
問い合わせ先
○ 法的トラブルについてのお問い合わせは日本司法支援センター(法テラス)
おなやみなし
法テラス・サポートダイヤル 0000-000000
( IP 電話からは 00-0000-0000)
○ 養育費については
養育費相談支援センター
フリーダイヤル 0000-000-000
( 携帯電話等からは 00-0000-0000) xxxx@xxxxxxxx.xx.xx (E-mail) xxxx://xxx.xxxxxxxx-xxxxxx.xx/xxxxx.xxxx
または、最寄りの母子家庭等就業・自立支援センター xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxxxxxx/xxxxx/0000000000.xxxx
○ xx証書については
日本公証人連合会(xx証書について) xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx
○ 申立てを行うための手続、必要書類、費用等については
最寄りの家庭裁判所 xxxx://xxx.xxxxxx.xx
○ ひとり親家庭支援施策全般については、お近くの自治体まで
法務省民事xxxx室
TEL 00-0000-0000