Contract
大阪府随意契約ガイドライン
大阪府財務規則(昭和55年大阪府規則第48号。以下「規則」という。)及び大阪府財務規則の運用(昭和55年4月1日審第1号、財第14号。以下「運用」という。)に規定する随意契約のガイドラインを次のとおり定める。
1 趣旨・目的
本ガイドラインは、建設工事、物品・委託役務関係業務及び測量・建設コンサルタント等業務に係る随意契約の事務を適正かつ円滑に進めるため、運用第62条関係に規定する随意契約に係る事項の解釈を示すとともに、事務手続上必要な事項を定めるものである。
各発注機関が、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)及び地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「令」という。)並びに規則等に基づき個々の契約方式については、一般競争入札を原則として選択すべきものであるが、例外的に随意契約を選択することとした場合は、契約事務のxx性及び透明性を保持し、経済性の確保を図る観点から、個々の契約ごとに技術の特殊性、経済的合理性、緊急性等を客観的、総合的に判断した理由及び経緯を整理しなければならない。
なお、「政府調達に関する協定」の対象となる契約(特定調達契約、いわゆるWTO案件)については、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手段の特例を定める政令(平成7年政令第372号。)に基づく手続きが必要であり、随意契約ができる要件についても特定調達契約以外の契約に比べ限定されているので注意が必要である。(別に定める「特定調達契約ガイド」を参照のこと。)
2 対象
本ガイドラインの対象は、次のとおりとする。
(1)建設工事(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項に規定する建設工事をいう。)
(2)物品・委託役務関係業務(物品の購入契約、車両等の修理契約、委託契約、請負契約(建設工事を除く。)及び賃貸借契約をいう。)
(3)測量・建設コンサルタント等業務(測量、地質調査、建築設計・監理、設備設計・監理、建設コンサルタント及び補償コンサルタント業務をいう。)
〔注釈〕
随意契約は、一般競争入札を原則とする契約方式の例外方式である。
しかしながら、一般競争入札によって契約を締結することが公共の目的に反したり、事業の能率的な運営を阻害すると認められるような場合や、一般競争入札によることが不利益な場合、客観的に困難であると認められるような場合までも、一般競争入札によらせることは適当でないので、指名競争入札や随意契約の方式を採用できるものとしている。
随意契約は、単に相手方の選定方法についての特例を定めたものにすぎないのであって、不利な条件(割高な価格)による契約の締結までを許容したものではない。有利な価格によって契約を締結すべきだということは、競争入札であろうと随意契約であろうとすべての契約方式
を通じて適用される不変の大原則である。
*地方財政法(昭和23年法律1 第109号)第4条第 1 項、地方自治法第2条第14項
3 随意契約ができる場合(運用第62条関係第1項各号の解釈)
第1号(令第167条の2第1項第1号)
売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあっては、予定賃貸借料の年額又は総額)が規則第61条の2に掲げる額を超えないものをするとき。
一般競争入札を回避するため、予定価格(購入希望限度額)について、恣意的に尐額随意契約の限度額以下で設定すること、又は契約を分割することは認められない。
なお、予定価格(購入希望限度額)の設定にあっては、過去の実績、業者からの聞き取り、インターネットなどから十分に検討し、調査日、調査対象、調査内容等、設定過程を記録するなど、その根拠を明確にすること。
*規則第61条の2
契約の種類 | 予定価格(税込) | 適用 |
(1) 工事又は製造の請負 | 250万円を超えないもの | 建設工事のほか、建築物等の修繕を含む。 |
(2) 財産の買入れ | 160万円を超えないもの | 動産、不動産の購入 |
(3) 物件の借入れ | 80万円を超えないもの | タクシーの使用並びに有料道路及び橋りょうの通行回数券の購入を含む。 |
(4) 財産の売払い | 50万円を超えないもの | 動産、不動産の売払い |
(5) 物件の貸付け | 30万円を超えないもの | 動産、不動産の貸付け |
(6) 前各号に掲げるもの以外のもの | 100万円を超えないもの | 業務委託、役務の提供、物品の修繕及び電子複写サービス等の契約 |
予定価格が規則第61条の2に掲げる額のものについて随意契約を行う場合にあっては、他の号は適用せず本号を適用する。
第2号(令第167条の2第1項第2号)
不動産の買入れ又は借入れ、府が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
契約の「性質又は目的が競争入札に適しないもの」とは、おおむね次の場合が該当する。ア 契約の目的物が特定の者でなければ納入することができないものであるとき。
イ 特殊の性質を有するため若しくは特別の目的があるため物品の買入れ先が特定されているとき又は特殊の技術を必要とするとき。
ウ 試験のため工作及び製造をさせ、又は物件の買入れをするとき。エ 府の行為を秘密にする必要があるとき。
オ 外国で契約を締結するとき。
カ 国(公社及び公庫を含む。)、他の地方公共団体、その他公共的団体と直接契約を締結するとき。
キ 学術又は技芸の保護奨励のため、試験、研究等を行う者に対し必要な物件を売り払い、又は貸し付けるとき。
ク 土地、建物、xx若しくはその産物等を特別の理由のある者に売り払い、又は貸し付けるとき。
ケ 運送又は保管をさせるとき。
コ 公債、債権又は株券の買入れ又は売り払いをするとき。
以上の運用の解釈として、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。」とは、特殊な、あるいは独自の技術、機器、設備又は技法等を必要とする業務で、特定の者と契約しなければ、契約の目的を達することができない場合や競争入札に付することが不可能又は著しく困難な場合である。したがって、上記アからコに該当する場合でも、その唯一性について十分に検討すること。
コンペ、プロポーザル方式等の競争ないし比較競技により契約の相手方を予め特定した場合は、本号による随意契約が許されると解する。
(平成 23 年度定期監査の指摘)
平成 15 年7月に電気事業法施行規則が改正され、保安管理業務を受託する者となれるのは、個
人の電気管理技術者及び経済産業大臣が指定する者だけに限定されていたが、平成 16 年1月からその限定がなくなり一般競争入札を実施すべきであったにも関わらず随意契約していた。
法令等により履行できる者が特定されているものについては、契約の際に法令等の改正がないか確認すること。
なお、次の一般的事例は、可能性のある事案を記載したものであり、該当するものは直ちに適用すべきものとする趣旨ではないこと。よって個々の事案に即して、技術の特殊性などをふまえ客観的に判断すること。
一般的事例
【共通】
(ア) 特殊工法等の新開発工法や、新開発製品を用いる必要がある工事・業務
(イ) 実験、研究等の目的に供する極めて特殊な設備等であるため、履行可能な者が特定される工事・業務
(ウ) 法令等の規定により履行できる者が特定される工事・業務
【建設工事】
(ア) 当該業者が唯一保有する独自技術、又は当該業者のみが有し、その他の業者では知
り得ない技術(設計・製作基準や設計・製作図等(一般的には社外秘))に基づかなければ、その契約内容を履行することが困難であるような設備、機器等の増設、改良(改修)、補修(修繕)等の工事
(イ) 既設部分と密接不可分の関係(既設部分と当該工事で施工する部分が一体となって機能を発揮する関係)にあり、既設部分の同一施工者以外の者に施工させた場合、既設部分等の使用においてトラブルが生じた場合の責任の所在が不明確になるなど、著しい支障が生じるおそれがある設備・機器等の増設、改良(改修)、補修(修繕)等の工事
(ウ) 文化財等の調査、発掘、補修等で、特殊な技術、手法を用いる必要がある工事
(エ) コンペ、プロポーザル・デザインビルド方式等の競争ないし比較競技により契約の相手方を予め特定している工事(*)
【物品・委託役務関係業務】【測量・建設コンサルタント等業務】
(ア) 測量、設計、設備・機器等の補修(修繕)・修理・保守管理、又は各種調査・分析等において、特殊の技術、手法又は機械器具を用いる必要があるため、当該業務の履行が可能な業者が特定される業務
なお、「特殊の技術、手法又は機械器具を用いる必要がある業務」とは、当該業者が特許権を有するなど、唯一保有する独自技術、又は当該業者のみが有し、その他の業者では知り得ない技術(設計(設計・製作基準や設計・製作図等(一般的には社外秘))に基づかなければ、その契約内容を履行することが困難であるような業務である。
(イ) 既に契約した業務と密接不可分の関係(既に契約した業務と一連となって機能を発揮する関係)にあり、同一業者以外の者に履行させた場合、責任の所在が不明確になるなど、著しい支障が生じるおそれがある業務
(ウ) コンペ、プロポーザル方式等の競争ないし比較競技により契約の相手方を予め特定している業務(*)
(エ) 行政の福祉化等の府の施策を推進するための専門知識、ノウハウ又は豊富な業務実績等が不可欠となる業務
(オ) リース期間満了後に、その期間を延長することについての業務上の必要があるため、相当と認められる期間に限って行う賃貸借契約の継続
* プロポーザル方式により事業者を選定する場合の手続きについては、「大阪府公募型プロポーザル方式実施基準」で定められている事項を参照
* プロポーザル方式により選定した事業者と翌年度以降、公募の手続きを取らずに本号の規定により自動的に随意契約することは認められない。
プロポーザル方式は、あくまで「最優秀」の提案事業者を選定するのにすぎず、選定事業者に「唯一者」であることまでも認めるものではないことに留意すること。
〔注釈〕
令第167条の2第1項第2号の「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」という規定は、会計法(昭和22年3月31日法律第35号)第29条の3第4項の「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」よりも広い場面を想定している。即ち競争原理の導入が可能な場合にもなお競争入札に適しないものがあることを前提としている。*大阪高裁平成8年6月26日判決
しかしながら、契約相手方を恣意的に指定するなどxx性を欠く場合や契約相手方に関する遂行能力の調査を全く怠った場合など、契約相手方の選定において容認できないような事情がある場合には、その契約の締結が違法とされた事例があることから、xx性の確保、相手方の履行能力の調査は不可欠である。*福岡地裁平成3年2月21日判決
上記のほか、設備工事二段階工事方式(詳細設計付)においても、本号を適用することになる。この場合は、第一段階で一般競争入札を実施し、当該請負業者との契約と同時に第二段階の工事請負契約の予約を締結することを条件としている。第二段階の契約は、本号の随意契約に該当するが、契約金額はその予定価格に第一段階の落札率を乗じた価格以下としており、全体としてxx性と経済性の発揮を図っている。
第3号(令第167条の2第1項第3号及び第4号)
本号により、障害者支援施設等において製作された物品を買い入れる場合、障害者支援施設等、シルバー人材センター等から役務の提供を受ける場合又は新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として認定を受けた者が新商品として生産する物品を買い入れる場合は、規則第61条の3の規定に基づき、発注の見通しなどを公表する必要がある。
この公表手続きについては、令第 3 号に係るものにあっては福祉部の担当課と、令第
4 号に係るものにあっては商工労働部の担当課と事前に調整すること。
第4号(令第167条の2第1項第5号)
緊急の必要により競争入札に付することができないとき。この場合には、次の2つの要件を備えた場合が該当する。
ア 天災地変その他の客観的理由の急迫を要する場合であって、公告の期間等を短縮してもなお競争入札に付する暇がないようなときであること。
イ 競争入札に付していては、契約の目的を達成できないこと。
以上の運用の解釈として、「客観的理由の急迫を要する場合」とは、天災地変その他予見不可能な急迫の事態があって、府民の生命、健康、財産に著しい危険が生じるおそれがある場合(客観的事由であること。)をいい、応急の工事・業務に限っている。
このうち、見積書を徴取する暇がなく直ちに発注しなければ、著しい危険が生じかねない工事・業務を「特に急迫を要する緊急の工事」・「特に急迫を要する緊急の業務」と称し、概算金額による契約手続きを執ることとしている。
なお、客観的理由の急迫を要する緊急随意契約の対象となる一般的な工事・業務の事例及び契約相手方の選定に係る要件は、次のとおりである。
一般的事例
【建設工事】
(ア)堤防崩壊、道路陥没、地すべり等の災害に伴う応急工事
① 海岸・河川において堤防が崩壊した場合の応急工事
② 道路陥没等により交通に支障をきたしている場合の応急工事
③ 地すべり等の災害に伴う応急工事
(イ)電気・機械設備の応急工事
① 水道・下水道施設等の設備機器等の故障において直ちに機能を復旧しなければ施設の運転に支障をきたす場合に行う応急工事
② 防災施設、排水施設等の設備機器等の故障において、防災機能を保持するうえで、常に稼動できる状態を保たなければならない機器等の故障時に行う応急工事
(ウ)供用施設の損壊(被害を受けたものを含む。)又は不具合に係る応急工事
① 水道、下水道施設及び河川施設等の管渠の破損等により、道路陥没や浸水被害が発生、若しくは発生するおそれのある場合に行う管渠の応急工事
② 施設等の破損又は不具合により、大気汚染や水質汚濁等、環境への被害をもたらすおそれのある場合に行う応急工事
③ 港湾施設・設備及び監視艇等の故障、破損において、直ちに機能を回復しなければ会場運航及び荷役作業の安全確保等に支障をきたす場合に行う応急工事
④ その他、建物施設等の破損又は不具合により、緊急に復旧しなければ利用者の利便性、安全性を損なう場合に行う応急工事
(エ)災害の未然防止のための応急工事
① 堤防崩壊、落石等の危険な箇所が判明し、直ちに施工しないと被害が拡大するおそれのある場合の応急工事
② 交通事故等による二次災害を防止するための応急工事
【物品・委託役務関係業務】【測量・建設コンサルタント等業務】
(ア)災害及び設備機器等の故障に伴う業務
① 水道・下水道施設等の設備機器等の故障において直ちに機能を復旧しなければ施設の運転に支障をきたす場合に行う応急業務
② 防災施設、排水施設等の設備機器等の故障において、防災機能を保持する上で、常に稼動できる状態を保たなければならない機器等の故障時に行う応急業務
③ エレベーター等設備機器、遊具等設備の緊急点検等、予見不可能な業務が発生した場合で、即時の対応が求められる業務
(イ) 供用施設等の損壊(被害を受けたものを含む。)又は不具合に係る応急工事に関連
する業務
① 施設等の破損又は不具合により、大気汚染や水質汚濁等、環境への被害をもたらすおそれのある場合に行う点検整備等の応急業務
② 施設等の破損又は不具合により処理できなくなった下水汚泥、浚渫土等の廃棄物の緊急処分に係る応急業務(廃棄物処理、運搬等)
③ 港湾施設、設備及び監視艇等の故障、破損において、直ちに機能を回復しなければ海上運航及び荷役作業の安全確保等に支障をきたす場合に行う点検整備等の応急業務
④ その他、建物施設等の破損又は不具合により、緊急に復旧しなければ利用者の利便性、安全性を損なう場合に行う点検整備等の応急業務
(ウ)堤防崩壊、道路陥没、地すべり等の災害への対応やその未然防止のための応急工事に関連する業務
(エ) OAシステム・インターネットを通じた申請・申込システム等の府民サービスを提供している場合(年間を通じてSEを常駐させる契約を行っていない場合)で、緊急に復旧をしなければ、府民生活に多大な損害や利便性低下が生じる場合における応急業務
(オ) 公の秩序維持のための警備に関連する業務、災害発生時の住民避難に関する業務
(カ) 天災地変その他災害等により緊急に調達の必要があるとき。
(キ) 感染症(高病原性鳥インフルエンザ・SARS(重症急性呼吸器症候群)等)発生時の蔓延防止のために緊急に薬品等の物品を購入する場合
【契約相手方選定に係る要件】
緊急の随意契約を行う業者には、必要がある場合、以下の要件の具備を求める。
(ア)入札参加資格登録について、次の要件を満たすこと。
大阪府建設工事競争入札参加資格者名簿、大阪府建設工事測量・建設コンサルタント等競争入札参加資格者名簿又は大阪府物品・委託役務関係競争入札参加資格者名簿に登載されている者
(イ)地域要件等について、以下のいずれかの要件を満たすこと。
① 応急工事又は応急業務を行う施設と同一又は隣接箇所において、現に他の業務等を契約中である者
② 応急工事又は応急業務を行う施設の所在地が含まれる地域(土木事務所管内等)に、営業所等を有する者
③ 応急工事又は応急業務を行う施設における応急工事又は業務を過去に実施した者
④ 応急工事又は応急業務を行う設備機器等の製造者又はそのサービス部門(代理店等を含む。)
⑤ 防災協定を締結している者
⑥ その他、早急に実施が可能な者
〔注釈〕
設備機器に関する事故発生時や災害時等、競争に付する時間的余裕がないときのほかは適用せず、濫用は許されない。したがって、事務処理が間に合わないという理由のみでは適用すべきではない。
特に急迫を要する工事又は業務が発生した場合に備え、xx性の確保を図りつつ契約金額の確定前に概算金額で発注する随意契約の手続きを執ることとしている。
第5号(令第167条の2第1項第6号)
競争入札に付することが不利と認められるとき。この場合には、おおむね次の場合が該当する。
ア 競争入札によって得られる価格上の利益が入札に要する経費と比較して得失相償わないと認められるとき。
イ 現に契約履行中の工事、製造又は物品の買入れに直接関連する契約を現に履行中の契約者以外の者に履行させることが不利であるとき。
ウ 買入れを必要とする物品が多量であり、購入先を分けて買入れなければ価格を騰貴させるおそれがあるとき。
エ 早急に契約をしなければ契約をする機会を失い、又は著しく不利な価格をもって契約をしなければならないこととなるおそれがあるとき。
以上の運用の解釈として、契約の目的に照らした結果、施工・実施できる者が一定数限定される場合には、競争入札による手続きの煩雑、経費の増加及び契約相手方の決定に要する日時を考慮すると随意契約を適用する方が有利に契約締結できる場合、又は競争入札に付することが不利になる場合がある。このような場合は令第167条の2第 1 項6号を適用することとしている。
(平成 23 年度定期監査の指摘)
6号随意契約を選択する場合には、競争入札に付した場合より安価になるかは不確定であるため、市場調査を行う等、慎重な決定が求められる。
競争入札に付するとどのように不利となるかについて、十分に検討すること。
一般的事例
【建設工事】
(ア)現に契約履行中の施工業者に引き続き施工させた場合、工期の短縮、経費の節減が確保できる等有利と認められる次のような工事
・当初予期し得なかった事情の変化等により必要となった追加工事
・本体工事と密接に関連する付帯的な工事
(イ)他の発注(他の発注者を含む)に係る施工中の工事と交錯する箇所の工事で、当該施工中の者に施工させた場合には、工期の短縮、経費の節減に加え、工事の安全・円滑かつ適切な施工を確保する上で有利と認められる次のような工事
・鉄道工事等と立体交差する道路工事等の当該交錯箇所での工事
・他の発注に係る工事と一部重複、錯綜する工事
(ウ) 施工中の請負者自体の事情により施工できなくなったことによる残工事で、早急に着手しなければ府民生活に影響が出て、府も損害を被る可能性があると認められる工事
【物品・委託役務関係業務】【測量・建設コンサルタント等業務】
(ア)現に契約履行中の業者に引き続き実施させた場合、期間の短縮、経費の節減が確保できる等有利と認められる次のような業務
・当初予期し得なかった事情の変化等により必要となった業務
・本体業務と密接に関連する付帯的な業務
・入札において、落札者が決定しなかった場合において、契約の相手方が決定するまでの必要最小限の期間の業務
・施設管理業務等、継続を要する業務(予算議決後の入札手続きによっては、業務遂行に支障が生じる場合において、年度当初に次の入札を実施するまでの間の現契約業者との契約)
(イ)他の発注に係る実施中の業務の内容と重複、若しくは関連する業務で、実施中の者に実施させた場合には期間の短縮に加え、業務の円滑な実施を確保する上で有利と認められる業務
(ウ) 業務履行中の受注者自体の事情により履行できなくなったことによる残業務で、早急に着手しなければ府民生活に影響が出て、府も損害を被る可能性があると認められる業務(履行期間が長期間残存している場合は、速やかに新たに入札に付し、新たな受注者が決定するまでの期間とする。)
(エ) 競争入札に付したが入札不調となり、又は落札者が契約を締結しないとき、令第16
7条の2第1項第8号又は第9号の規定に基づく随意契約もできなかった場合で、業務の開始時期が迫っていることから、競争入札に付していては契約の目的を達成することができない業務
*注釈
令第167条の2第2項第6号は、見積相手方が1者となる場合があり同項第2号と接近していると見受けられるが、同項第2号は、その者しか履行できない場合であるに対し、同項第
6号は履行者が極めて限定されるが、「予定価格以下」という要件等を除けば履行者の唯一性が絶対であるとはいえない場合である。
第6号(令第167条の2第1項第7号)
時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。府の欲する物品を多量に所有し、又は府の意図する工事につき使用する材料を当該工事の現場付近に多量に所有するため他の者に比べて著しく低価で契約を締結することができる場合が該当する。
以上の運用の解釈として、「時価に比して著しく有利な価格」とは、予定価格から勘案して、明らかに有利であるといえる価格をいう。
しかし、その判断基準は明確にできるものではないこと、また、競争入札に付した場合
より安価になるかどうかも不確定であることから、令第167条の2第 1 項第7号を適用する場合は市場調査を行う等、慎重に決定しなければならない。特に本府の建設工事においては、品質確保の観点からその適用については、極めて慎重な判断が必要となる。
一般的事例
【建設工事】
(ア)特定の施工者が、施工に必要な資機材等を当該工事現場付近に多量に所有するため、これを利用することとした場合には、競争に付した場合より著しく有利な価格で契約することができると認められる工事
(イ)特定の施工者が開発し、又は導入した資機材、作業設備、新工法等を利用することとした場合には、競争入札に付した場合より著しく有利な価格で契約できると認められる工事
第7号(令第167条の2第1項第8号)
競争入札に付しても入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。
この場合は、契約保証金及び履行期限を除くほか、当初競争に付するときに定めた予定価格、品質等契約の要素となっている事項を変更することができないものである。
以上の運用の解釈として、
建設工事にあっては、「競争入札に付し入札者がないとき」には、再度公告入札を原則とし、急迫した事態の場合に限り同号の適用をしている。まず、一般競争入札においては資格要件の緩和又は設計・積算の見直しを、指名競争入札においては指名替え等を検討した上で、同号の適用を判断することになる。
物品・委託役務関係業務及び測量・建設コンサルタント等業務にあっては、「競争入札に付し入札者がないとき」には、まず、一般競争入札においては資格要件の緩和又は設計・積算の見直しを、指名競争入札においては指名替え等を検討した上で、同号の適用を判断することになる。
一方、「再度の入札に付し落札者がないとき」とは、これ以上競争入札を継続しても入札が成立することが期待できないことから随意契約を可能とするものである。
本号による随意契約の相手方は、入札に参加した者に限らない。
なお、国土交通省では、不落随意契約は原則廃止するという運用が執り行われている。参考:平成17年8月29日国地契第46号 国土交通省通知「不落随契の原則廃止等
その厳正化について」
〔注釈〕
令第167条の2第1項第8号に規定する「再度の入札」は、「再度入札」と「再度公告入札」に分けられる。
「再度入札」は、開札の結果、各人の入札のうち、予定価格の制限の範囲内の価格の入札がないとき(最低制限価格を設けた場合にあっては、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格入札がないとき。)、直ちにその場で(電子入札の場合においては、発注者により定められた期日に)行う入札をいう。
「再度公告入札」は、入札価格のうちに予定価格の制限に達しないものがない場合のほか、入札者のない場合又は落札者が契約を結ばない場合において、再び公告をした後に改めて入札を行うことをいう。
第8号(令第167条の2第1項第9号)
落札者が契約を締結しないとき。
「契約を締結しないとき」とは、契約の完全な成立(契約書の作成までをいう。)に必要な手続きをしないことをいう。この場合は、落札金額の制限内でこれを行うものとし、かつ、履行期限を除くほか、当初競争入札に付するときに定めた条件を変更することができないものである。
以上の運用の解釈として、令第167条の2第1項第8号との相違は、同号が落札決定前であり予定価格の制限内となることに対して、同項第9号は落札決定後であり落札者と合意された価格があるため落札金額の制限内でなければならないということである。
「契約の完全な成立(契約書の作成までをいう。)」とは、契約書に甲乙の記名押印が完了し、契約を確定させることをいう。
なお、落札者が契約を締結しないときは、入札保証金相当額を違約金として徴収することとしている(法第234条第4項参照)。
一般的事例
【共通】
(ア)競争入札において落札したにもかかわらず、当該落札者が契約の締結に応じない場合
(イ)競争入札において落札したにもかかわらず、落札決定後に入札参加停止措置となる等、
落札者の責により契約締結ができない状態に陥った場合
4 随意契約における積算の妥当性等の検討
(平成 23 年度定期監査の指摘)
随意契約では同じ相手先との一定の値引き交渉が行われるものの、xx、特定の相手先と契約していれば、価格の競争性が働かないおそれがある。したがって、随意契約においては、相手先の実績を確認して価格算定段階の積算と実績を比較することにより、積算見積りの妥当性・合理性や価格の適正性を検証すべきである。
(平成 23 年度包括外部監査の意見)
間接費の積算に当たって採用する率について、いくらが正しいのかといった是非を論ずることはできないが、(略)公益法人に対する委託においては、営利を目的とする企業に対する場合と同じ積算方法によるべきではない。営利の追求を基本目的とする民間業者とは異なる考え方を取り入れ、公益法人に適正な水準の契約金額とするよう、尐なくとも部局内においては一致した価格の積算ルールを検討することが必要である。
随意契約においては、値引き交渉は行われるものの、競争入札のような価格の競争性が働かないため、積算の妥当性・合理性や価格の適正性について十分に検討すること。
5 見積りの依頼
(1)見積書の徴収について
随意契約のために見積りを依頼しようとするときは、特別の事情がない限り、大阪府随意契約見積心得(別紙参照)を見積参加者に遵守させなければならない。
(2)比較見積の省略について
随意契約を行うにあたっては、比較見積の徴収が原則であることから、省略する場合には特段の緊急性や特定性等の有無について十分に検討すること。
(財務規則の運用第 62 条関係第 2 項)
契約担当者は、随意契約によろうとするときは、原則として2人以上の者から見積書を徴さなければならないが、(略)契約の相手方の見積書を徴収し、予定価格と対査して当該価格が適当であるかどうかを検討し価格が適正と認められるものについては、比較見積を省略することができる。
(3)見積書徴収に代えることのできる記録方法
見積書徴収に代えて、電話、ウェブページ等によるときは、確認した価格や日時などの状況を記
録しておくこと。
(財務規則の運用第 62 条関係第 3 項)
取引の実例価格を考慮して、価額が適正と認められる1件の代金が 10 万円以下のものの購入、修理等に係るもの等については、電話、ファックス、電子メール及びウェブページ等により価額の見積りを取り、その状況を記録しておくことにより見積書の徴収に代えることができる。
(平成 23 年度定期監査の指摘 ― 記録する項目例)
・価格を確認した日
・商品名等
・価格
・確認の相手方
・大阪府の確認者氏名(電話、店頭確認の場合)
(4) xx支払基金における比較見積の省略
1万円以下のxx支払基金について、小売店舗において購入又は修理する場合などのほか、速やかに機能回復しないと業務に支障を及ぼすような物品、施設又は設備を修理修繕する場合においても、同様に比較見積の省略が可能である。(例 安全確保に支障が生じるような窓ガラスの交換、自転車のパンク修理、床Pタイルの張替修繕など)xx支払基金の管理に関する規則を参照。
6 契約の相手方の制限
(1) 発注機関の長は、大阪府入札参加停止要綱に基づく入札参加停止措置を受けている者を随意契約の相手方としてはならない。ただし、災害時の緊急・応急契約、特殊技術を要する契約を発注する場合で特にやむを得ない事由がある場合は、この限りでない。
(2) 発注機関の長は、大阪府公共工事等に関する暴力団排除要綱に基づく入札参加除外措置を受けている者又は同要綱別表に掲げる措置要件に該当する者を随意契約の相手方としてはならない。
(3) 発注機関の長は、随意契約の相手方が下請契約等を行う場合においても、(1)、(2)の本旨を踏まえ、入札参加停止措置中又は入札参加除外措置中の者を契約の相手方としてはならない。
7 大阪府暴力団排除条例に基づく誓約書の徴収
大阪府暴力団排除条例第11条第2項に基づき、発注機関の長は、契約しようとする相手方から、暴力団員又は暴力団密接関係者でない旨の誓約書の提出を求めなければならない。誓約書を提出しない者と契約を締結してはならない。また、契約締結後、契約の相手方が業務の一
部を下請や再委託等をする場合は、契約しようとする相手方に対しての当該下請人等から誓約書徴収し、提出するよう求めなければならない。
ただし、いずれの場合も1件当たりの契約金額が500万円以上の契約に限る。
8 公表
随意契約を締結したときは、次の各号により公表するものとする。このため、発注機関の長は、随意契約を採用した理由及び契約相手を選定した理由を明確に整理、記録しなければならない。
【建設工事】
(1)公表の対象
予定価格が250万円を超える建設工事
(2)公表の内容
① 案件の名称、場所、種別、概要
② 契約締結日、契約期間
③ 相手方の商号又は氏名及び住所
④ 契約金額
⑤ 随意契約の相手方を選定した理由
⑥ 見積参加者名及び見積金額
⑦ 発注機関連絡先
【物品・委託役務関係業務】
【測量・建設コンサルタント等業務】
(3)公表の対象
予定価格が100万円を超える委託役務契約(測量・建設コンサルタント等業務委託を含む。物品の賃借については80万円超えるもの)及び予定価格が160万円を超える物品の購入契約
(4)公表の内容
① 案件の名称
② 契約締結日、契約期間
③ 相手方の商号又は氏名
④ 契約金額
⑤ 随意契約の相手方を選定した理由
⑥ 発注機関連絡先
【共通】
(5)公表期間
発注機関の長は、随意契約を締結したときは、速やかに公表を行うものとする。
公表は、尐なくとも随意契約を締結した日の翌日から起算して1年が経過する日までの期間とする。
(6)公表の方法
公表は、ホームページによるものとし、「随意契約の相手方を選定した理由」等の詳細は、発注機関で閲覧等により対応する。
9 地方公営企業法の適用を受ける発注機関
地方公営企業法の適用を受ける発注機関にあっては、本ガイドラインで示している令第16
7条の2第1項の各号に替えて地方公営企業法施行令(昭和27年政令第403号)第21条の14第1項の各号に読み替えるものとする。
また、規則及び運用の規定については、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第1
0条の規定に基づき制定された企業管理規程及び企業管理規程運用によるものとする。
10 公募型プロポーザル案件等
公募型プロポーザル方式など、調達にあたり採用する手法によって、本ガイドラインで定める事項以外に必要となる事務手続きについては、「大阪府公募型プロポーザル方式実施基準」など各手法に応じて定めるところによるものとする。
※公募型プロポーザル方式のxx性、透明性及び競争性を確保し、適正かつ円滑な運用を行うことを目的に、府の統一的な基準となる大阪府公募型プロポーザル方式実施基準を制定し、統一的な運用を実施
附 則
(施行期日)
1 本ガイドラインは、平成20年5月23日から施行する。
(ガイドラインの廃止)
2 建設工事に係る随意契約ガイドライン(平成19年9月20日契一2110号)及び物品・委託役務関係業務及び測量・建設コンサルタント等業務に係る随意契約ガイドライン(平成
19年12月28日契二1895号)は、廃止する。附 x
xガイドラインは、平成21年6月22日から施行する。附 x
xガイドラインは、平成22年2月1日から施行する。附 x
xガイドラインは、平成22年4月1日から施行する。附 x
xガイドラインは、平成23年4月1日から施行する。附 x
xガイドラインは、平成24年4月1日から施行する。