長野県契約後 VE 方式試行要領
xx県契約後 VE 方式試行要領
(趣旨)
第1 本要領は、xx県で実施する「契約後 VE 方式」の実施に係る手続きを定めるものである。
(用語の定義)
第2 「契約後 VE 方式」とは、民間の新技術等を積極的に活用することにより建設工事のコスト縮減を図るため、契約締結後に、設計図書に定める工事の目的物の機能等を低下させることなく請負代金額を低減することを可能とする施工方法等に係る提案
(以下「VE 提案」という。)を受け付ける制度をいう。
(VE 提案の対象工事)
第3 VE 提案の対象工事は、xx県発注工事で次の要件を満たすものの中から、xx県建設工事請負人等選定委員会要領等に基づき設置される建設工事請負人選定委員会の審議に付し決定する。ただし、VE 提案を請負者に義務付けるものではない。
(1) 設計金額が1億円以上の工事
(2) (1)以外の工事のうち、主として施工段階における現場に即したコスト縮減が可能となる提案が期待できる工事
(技術評価委員会)
第4 VE 提案の審査等を行うために、発注機関単位に次に定める技術評価委員会を設置する。
(1) 委員会は、委員長、副委員長及び委員をもって構成する。
(2) 委員長、副委員長及び委員は、次表の職員をもって充てるものとする。なお、これによりがたい場合は、委員長が別途定めるものとする。
(3) 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは職務を代理するものとする。
区 分 | 現地機関 | 本 庁 |
委員長 | 所長(または副所長) | 課長 |
副委員長 | 課長で所属長の指定する者 | 課長補佐で課長の指定する者 |
委 員 | 課長、課長補佐、係長、当該業務の担当者 全体で2名以上 | 課長補佐、係長、当該業務の担当者 全体で2名以上 |
(提案を求める範囲)
第5 VE 提案を求める範囲は、工事材料、施工方法等に係る変更により請負代金額の低減を伴うものとし、原則として、工事目的物の変更を伴わない範囲とするが、以下の提案は原則として含めないものとする。
(1) 施工方法等を除く工期の延長等の施工条件の変更を伴う提案
(2) 建設工事標準請負契約約款(以下「契約約款」という。)第 18 条に基づく条件変更に該当する事実との関係が認められる提案
(3) 入札時に競争参加資格要件として求めた同種工事の範囲を超えるような工事材料、施工方法等の変更の提案
(4) 提案の実施に当たり、関係機関協議等、第三者との調整等を要する提案
(5) 提案工種に対して、直接工事費(設計金額ベース)で縮減額が 50 万円未満の提案
(提案の提出期限等)
第 6 VE 提案提出を受け付ける期間は、原則として、契約の締結日から当該提案に係る部分の工事に着手 35 日前までとし、15 日間以上の提案準備期間が確保されるよう工期設定において配慮するものとする。
なお、提案の回数は、原則として 1 回とするが、工事の実状に照らし適宜対応することができるものとする。
2 提出書類は以下のとおりとする。
(1)契約後 VE 提案書 (様式第 1 号)
(2)契約後 VE 提案概要書 (様式第 2 号)
(3)契約後 VE 提案による概算縮減額算出表(提案工種ごとに作成)(様式第 3 号)
(4)その他詳細資料及び図面
(提案の審査)
第 7 VE 提案の審査は、技術評価委員会が実施するものとする。
2 技術評価委員会は、前条により提出された VE 提案書類の内容についてヒアリングを実施することができるものとする。
3 審査は、提出された VE 提案書類及びVEチェックシート(様式第7号)に基づき、施工の確実性、安全性の確保、設計図書と比較した経済性、機能性等を審査するものとする。
4 VE 提案の最終的な採否の判断は、委員会の委員長が行うものとする。
5 発注機関の長は、VE 提案内容について補助採択要件等に抵触するおそれがある場合は、事業課に確認のうえ、審査を実施するものとする。
(提案の採否の通知)
第 8 VE 提案の採否については、原則として、VE 提案の受領後 14 日以内に契約後 VE提案採否通知書(様式第 4 号)により通知するものとする。ただし、請負者の同意を得た上でこの期間を延長することができるものとする。また、VE 提案を採用しなかった場合には、その理由を付して通知するものとする。
(VE 提案が適正と認められた場合の設計変更等)
第 9 VE 提案が適正と認められた場合において、必要があるときは、発注者は設計図書の
変更を行わなければならない。
2 前項の規定により設計図書の変更が行われた場合において、発注者は、必要があるときは請負代金額を変更しなければならない。
3 前項の変更を行う場合においては、VE 提案により請負代金額が低減すると見込まれる額の 10 分の5に相当する金額(以下「VE 管理費」という。)を削減しないものとする。また、請負者が VE 提案のために実施する構造計算や土質試験等の費用(以下「VE 提案費」という。)は、VE 提案により請負代金額が低減すると見込まれる額の 10 分の 4 を超えない範囲で計上できるものとする。
4 VE 提案が適正と認められた後、契約約款第 18 条の条件変更が生じた場合、VE 管理費については、原則として変更しないものとする。
(契約後 VE 縮減額証明書の発行)
第 10 発注者は、請負者から請負代金の支払請求がなされた場合に、請求のあった日から 30 日以内に契約後 VE 縮減額証明書(様式第 5 号)(以下「証明書」という。)1 部を発行する。
2 証明書には、工事名、工事場所、請負業者名とその建設業許可番号、工期、最終請負代金額、VE 提案による工事費の縮減額を記載する。
3 証明書記載事項である「VE 提案による工事費の縮減額」については、設計変更における VE 管理費に消費税相当額を加算した額(当該金額に 1 円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てた金額)を計上し、記載する。
4 請負者が共同企業体の場合、証明書(様式第 6 号)は、共同企業体の構成員の数と同部数発行する。
(提案内容の活用と保護、公表)
第 11 評定の結果、当該 VE 提案内容の活用が効果的であると認められた場合は、他の工事においても積極的に活用を図るものとする。その場合、工業所有xxの排他的権利を有する提案については、当該権利の保護に留意するものとする。なお、この旨を入札説明書、特記仕様書等に記載するものとする。
2 採用された VE 提案については、原則として、公表するものとする。ただし、公表内容については、事前に請負者の同意を得るものとする。その他の公表については、請負者との協議により適宜決めるものとする。
(責任の所在)
第 12 VE 提案等を適正と認め、設計図書の変更を行った場合においても、VE 提案を行った建設業者の責任が否定されるものではない旨を入札説明書、特記仕様書等に記載するものとする。
(契約約款の特約事項)
第 13 対象とされた工事については、契約に当たって、VE 提案に係る手続き等について特約条項(別紙1)として明確にしておくものとする。
(明示する事項)
第 14 VE 提案を求める場合においては、入札公告、入札説明書、及び特記仕様書に次の事項を明示するものとする。特記仕様書については、別紙 2 を基本に記載するものとする。
(1) 入札公告及び入札説明書
ア 契約後 VE 方式の対象工事であること。
イ VE 提案の方法等の詳細を特記仕様書等で明示していること。
(2) 特記仕様書
ア 契約後 VE 方式の対象工事であること。
x VE 提案の定義、意義及び範囲、VE 提案の提出方法、VE 提案の審査、採否、活用と保護、責任の所在等に関すること。
ウ VE 提案を提出する際の様式
(その他)
第 15 VE 提案に関連する事項は次のとおりである。ただし、これらの事項に係る基準等が改定された場合には、この限りではない。
(1) VE 提案が採用された請負者は、工事成績評定において加点される。
(2) VE 提案が適正と認められ請負代金額が減額となった請負者は、建設業法における経営事項審査の契約後 VE に係る完成工事高について、契約後 VE による縮減変更前の契約額で評価する特例を利用することができる。
第 16 この要領に定めるもののほか、必要な事項は別に定めるものとする。
附則
この要領は、平成 21 年 4 月 1 日から施行する。
(別紙1)
契約後 VE に係る特約条項
(設計図書の変更に係る乙の提案)
第○○x xは、この契約締結後、設計図書に定める工事目的物の機能、性能等を低下させることなく請負代金額を低減することを可能とする施工方法等の設計図書の変更について、甲に提案することができる。
2 甲は、前項の規定に基づく乙の提案を受けた場合において、提案の全部又は一部が適正であると認められるときは設計図書を変更し、これを乙に通知しなければならない。
3 甲は、前項の規定により設計図書を変更した場合において、必要があると認められるときは、請負代金額を変更しなければならない。
(別紙2)
特 記 仕 様 書
第○○条 VE 提案について
本工事は、契約締結後に施工方法等の提案を受け付ける契約後 VE 方式の対象工事である。
1 定 義
「VE 提案」とは、設計図書に定める工事の目的物の機能、性能等を低下させることなく請負代金額を低減することを可能とする施工方法等に係る設計図書の変更について、請負者が発注者に対し行う提案をいう。
2 VE 提案の意義及び範囲
(1) 請負者が VE 提案を行う範囲は、設計図書に定められている内容のうち、工事材料、施工方法等に係る変更により請負代金額の低減を伴うものとし、原則として、工事目的物の変更を伴わないものとする。
(2) 以下の提案は、VE 提案の範囲に含めないものとする。
ア 施工方法等を除く工期の延長等の施工条件の変更を伴う提案
イ 建設工事標準請負契約約款(以下「契約約款」という。)第 18 条に基づく条件変更に該当する事実との関係が認められる提案
ウ 入札時に競争参加資格要件として求めた同種工事の範囲を超えるような工事材料、施工方法等の変更の提案
エ 提案の実施に当たり、関係機関協議等、第三者との調整等を要する提案
オ 提案工種に対して、直接工事費(設計金額ベース)で縮減額が 50 万円未満の提案
3 VE 提案の提出
(1)請負者は、前項の VE 提案を行う場合は、下記の書類を発注者に提出しなければならない。
ア 契約後 VE 提案書 (様式第 1 号)
イ 契約後 VE 提案概要書 (様式第 2 号)
ウ 契約後 VE 提案による概算縮減額算出表(提案工種ごとに作成)(様式第 3 号)エ その他詳細資料及び図面
(2)発注者は、提出された VE 提案書に関する追加的な資料、図書その他の書類の提出について請負者に求めることができる。
(3)請負者は、前項の VE 提を契約の締結日より当該 VE 提案に係る部分の施工に着手する 35 日前まで、発注者に提出できるものとする。ただし、提案の回数は、
原則として 1 回とする。
(4)VE 提案にかかる費用は、請負者の負担とする。
4 VE 提案の審査
VE 提案の審査にあたっては、施工の確実性、安全性の確保、設計図書と比較した経済性、機能性等を評価する。なお、提出された VE 提案書の内容について説明を求められた場合にはこれに応じなければならない。
5 VE 提案の採否等
(1)発注者は、VE 提案の採否について、VE 提案の受領後 14 日以内に書面により請負者に通知するものとする。ただし、請負者の同意を得た上でこの期間を延長することができるものとする。また、提出された VE 提案を採用しなかった場合には、その理由を付して通知するものとする。
(2)発注者は、VE 提案が適正と認められた場合において、必要があるときは、設計図書の変更を行うものとする。
(3)発注者は、前項の規定により設計図書の変更が行われた場合において、必要があるときは、請負代金額を変更するものとする。
(4)前項の変更を行う場合においては、VE 提案により請負代金額が低減すると見込まれる額の 10 分の5に相当する金額(以下「VE 管理費」という。)を削減しないものとする。また、請負者が VE 提案のために実施する構造計算や土質試験等の費用(以下「VE 提案費」という。)は、VE 提案により請負代金額が低減すると見込まれる額の 10 分の 4 を超えない範囲で計上できるものとする。
(5)VE 提案が適正と認められた後、契約約款第 18 条の条件変更が生じた場合において、発注者が VE 提案に対する変更案を求めた場合、請負者はこれに応じるものとする。
(6)発注者は、契約約款第 18 条の条件変更が生じた場合には、契約約款第 24 条第
1 項の規定に基づき、請負代金額の変更を行うものとする。VE 提案を採用した後、契約約款第 18 条の条件変更が生じた場合の前記(4)の VE 管理費については、原則として変更しないものとする。ただし、双方の責に帰することができない事由(不可抗力や予測することが不可能な事由等)により、工事の続行が不可能、又は著しく工事低減額が減少した場合においては、協議して定めるものとする。
6 VE 提案の活用と保護、公表
(1)発注者は、評定の結果、当該 VE 提案内容の活用が効果的であると認められた場合は、他の工事においても積極的に活用を図るものとする。その場合、工業所有xxの排他的権利を有する提案については、当該権利の保護に留意するものとする。
(2)採用された VE 提案については、原則として、公表するものとする。ただし、公表内容については、事前に請負者の同意を得るものとする。その他の公表については、請負者との協議により適宜決めるものとする。
7 責任の所在
発注者が VE 提案を適正と認めることにより、設計図書の変更を行った場合においても、VE 提案を行った請負業者の責任が否定されるものではない。