Contract
日本プロ野球選手会 公認選手代理人規約
第1章 前 文
日本プロ野球選手会は、選手の権利の確立・保護および選手の地位向上、並びに、日本プロ野球の健全な発展を目的として、選手らと日本プロフェッショナル野球組織を構成するいずれかの球団との間における選手契約、その他選手らと球団との間における権利関係に関する交渉を行おうとする者およびこの者の業務に関し、以下のとおり規定する。
第2章 定義
第1条 定義
この規約において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
「選手会」 労働組合日本プロ野球選手会をいう。
「野球協約」 日本プロフェッショナル野球協約をいう。
「コミッショナー」 日本プロフェッショナル野球組織のコミッショナーをい
う。
「連盟」 セントラル野球連盟、パシフィック野球連盟のいずれか
をいう。
「球団」 日本プロフェッショナル野球組織を構成するいずれかの
球団をいう。
「球団代表」 野球協約第13条に規定される球団を代表する球団役員
をいう。
「選手」 球団との間で選手契約を締結している者または選手契約
の締結を保留している者(野球協約第82条に定める外国人選手を除く)をいう。
「選手ら」 選手および選手になろうとする者をいう。
「統一選手契約書」 野球協約第45条で規定される契約書をいう。
「選手契約」 選手らが球団との間で締結する統一選手契約書に基づく
契約その他名称の如何を問わず選手の稼動に関する選手 と球団との間の権利義務関係を定める契約すべてをいう。
「選手契約交渉」 選手契約に関する球団との交渉をいう。
「選手代理人」 選手に代わって選手契約交渉を行う者をいう。
「登録選手代理人」 選手会の選手代理人名簿に登録されている選手代理人を
いう。
「選手代理人契約」 選手らが登録選手代理人に対して選手契約交渉に関する
業務を委任する契約をいう。
第3章 選手代理人の資格
第2条 選手代理人の資格
次のいずれかに該当する者は、選手代理人となる資格を有する。
一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の規定による弁護士
二 米国大リーグ選手会の規約に基づきエージェントとして登録された者(ただし、米国大リーグ選手会の規約に定める「General Certi fication」を得ている者に限る。)
三 選手会が実施する選手代理人資格検定試験に合格した者(法人その他の団体を除く)
(2003年12月4日第2号追加、号数繰り下げ)
(2010年12月2日第2号括弧書き追加)
第3条 選手代理人の欠格事由
次のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、選手代理人となる資格を有しない。
一 禁こ以上の刑に処せられた者。
二 選手会より、選手代理人の登録を抹消された日から三年を経過しない者。三 xx被後見人又は被保佐人。
四 破産者であつて復権を得ない者。
五 日本プロフェッショナル野球組織、連盟、球団、その他これらの関連組織において、役員、従業員、株主その他何らかの地位を占めている者。
(2003年12月4日本条3号改正)
第4章 選手代理人の登録
第4条 登録制度
選手代理人となるには、選手会に備えた選手代理人名簿に登録されなければならない。
第5条 登録申請
選手代理人となるには、選手会に、選手代理人名簿への登録申請をし、選手会による登録審査を受けなければならない。
第6条 登録申請および審査の手続
申請
前条の登録申請は、選手会所定の方式による登録申請書、選手会所定の方式による申請者の署名押印がなされた誓約書、その他選手会所定の添付書類(以下、これらを総称して「登録申請書類」という)を提出することによって行う。審査
一 選手会は、登録申請者につき、原則として登録申請書類の記載に基づいて、その登録審査を行う。
二 第2条の資格要件を満たし、第3条の欠格事由に該当しない者については、登録申請書類に不備がない限り、原則として、全ての者を代理人名簿に登録する。
ただし、申請者に次の各事由のうちいずれかの事由が認められる場合は、選手会は、登録申請を拒絶し、または登録を保留する場合がある。
イ プロ・アマチュアを問わず、スポーツ選手の一般的活動(選手の当該スポーツにおける競技活動、アドバイザーとしての活動、スポンサーとの関係での活動その他スポーツ選手であることに起因しまたスポーツ選手であることから派生するあらゆる活動)に関連する、様々な契約交渉・契約締結その他の代理業務、各種アドバイス、アレンジメント、プロモーションその他のマネジメント業務を通じて、過去にスポーツ選手との間で、直接または間接に、何らかの紛争を起こしたことがある者
ロ その他選手会に属する選手その他の者より、登録を適当とすべきでないとの申告があり、その理由に合理性が認められ、選手会が登録を適当でないと判断した者
三 登録申請書類に不備がある場合、選手会は、登録申請者に対して、期間を定めて、登録申請書類の訂正、追完を求めることができる。
四 登録申請の審査にあたり、選手会は、必要に応じて、申請者に、他の必要書類等の提出を求め、また面接を行うことができる。
五 代理人名簿への登録は、登録選手代理人としての活動の適正性等を何ら保証するものではない。
第7条 登録申請者への審査結果の通知
選手会は、審査が終了した場合、登録申請者に対して、審査結果をすみやかに書面(ファクシミリ、電子メールを含む)により通知する。
前項の通知に際して、登録申請を却下、拒絶、または保留する場合には、その理由の要旨を記載する。
第8条 再度の登録申請
登録申請者が、登録申請を拒絶されまたは登録申請を保留された場合には、登録申請が拒絶された場合には前条1項の通知を受けた日より1年間、登録申
請を保留された場合には登録申請を保留されている間、改めて選手代理人名簿への登録申請を行うことはできない。ただし、登録申請を保留する旨の通知を受けた日から1ヶ月以上を経過した登録申請者は、選手会に対し、登録申請の保留を解除するよう求めることができるものとし、かかる保留解除の申請があった場合は、選手会は当該登録申請者につき、選手代理人名簿への登録を行うか、登録申請を拒絶しなければならない。
前項にかかわらず、登録申請を拒絶された登録申請者は、前条1項の通知を受けた日から2週間以内に、一度に限り相当な書類を追加して、選手会に対し、再度の登録申請を行うことができる。
第9条 選手代理人名簿の公開
選手会は、登録選手代理人の氏名、登録選手代理人が主たる業務を行う事務所等の所在地、その他選手会所定の事項を記載した選手代理人名簿を、選手会所定の方式により、公開する。
第10条 登録の抹消
選手会は、登録選手代理人につき、以下の事由が生じた場合は、選手代理人名簿の登録を抹消しなければならない。
一 第2条第1号または第2号に規定する資格に基づいて選手代理人名簿に登録された登録選手代理人が、その資格を喪失したとき
二 登録選手代理人が、第3条第1号ないし第5号のいずれかの事由に該当するに至ったとき
三 登録選手代理人につき、第29条第3号の規定による登録抹消処分がなされたとき
四 登録選手代理人が選手代理人名簿からの抹消を申請したとき五 登録選手代理人が死亡したとき
(2003年12月4日本条1号改正)
選手会は、前項第1号ないし第4号に基づき、選手代理人の登録を抹消した場合には、同人に対してすみやかに選手代理人名簿からの抹消日等を記載した書面を交付する(当該書面の交付は、ファクシミリ、電子メールの送信により代用することができる)。
本条第1項により、登録を抹消された者は、登録抹消時点において選手代理人契約が存続している選手に対して、速やかに登録抹消された旨を書面にて通知しなければならない。
本条第1項により、登録を抹消された者は、登録が抹消される以前に行った選手代理人業務に関し、なお、本規約上の規制に従う。
第5章 選手代理人の活動に対する規制
第1節 選手代理人の一般的義務 第11条 選手代理人の注意義務
登録選手代理人は、選手らとの選手代理人契約に基づき、善良なる管理者の注意をもって、選手代理人業務を行う。
第12条 選手代理人の守秘義務
登録選手代理人は、本規約の定めに基づき選手会に対する報告を行う場合等本規約に別段の定めある場合を除き、その選手代理人活動により知り得た秘密を保持する義務を負う。
第13条 選手代理人登録抹消後の選手代理人活動の禁止
第10条第1項1号ないし4号の規定に基づき選手代理人名簿の登録抹消を受けた者は、本規約の規定に従い、再度選手代理人名簿に登録されるまでの間は、一切の選手代理人活動を行ってはならない。
第2節 選手代理人契約締結に関する規制
第14条 選手代理人契約書
選手代理人契約は、必ず書面により行わなければならない。
選手代理人契約書上の規定は、本規約に反するものであってはならず、また、選手代理人契約書に関して選手会が別途定めるガイドラインを尊重しなければならない。
選手らと登録選手代理人により締結された選手代理人契約書については、登録選手代理人は、必ず契約書の原本または写しを選手に交付しなければならない。
第15条 選手代理人契約の期間
選手代理人契約の期間は1年を超えてはならない。また、選手代理人契約には、明示的な契約終了の意思表示がない限り、自動的に契約更新または契約期間が延長される旨を規定する条項を設けてはならない。
第16条 報酬に関する指針
登録選手代理人は、その業務の報酬について、選手と協議するにあたり、選手会が別途定める選手会報酬ガイドラインを十分に尊重するものとする。
第3節 登録選手代理人の選手代理人契約に関する報告
第17条 選手らと選手代理人契約を締結した場合の報告
登録選手代理人は、選手らと選手代理人契約を締結した場合には、契約締結後速やかに選手代理人契約の写しを付して、選手会に報告する。選手代理人契約の期間満了に伴い、これまで選手代理人契約にあった選手と再度選手代理人契約を締結した場合も同様とする。
第18条 選手代理人契約に関する重要な変更が生じた場合等の報告
登録選手代理人は、選手らとの選手代理人契約が、期間満了によらずに終了した場合、その他選手代理人契約に重要な変更が生じた場合、すみやかに選手会に報告する。
第4節 登録選手代理人の選手契約交渉に関する報告
第19条 球団と合意に至った場合の報告
登録選手代理人は、選手らを代理し、球団と選手契約について契約締結に至った場合には、選手契約の写しを付して、その選手契約交渉の内容、報酬等について、すみやかに選手会所定の方式による書面により選手会に報告する。登録選手代理人の関与の下に、選手契約以外の選手らと球団との間の権利義務関係を定める契約を締結した場合も同様とする。
第20条 球団と合意に至らないことが確定した場合の報告
登録選手代理人が、球団との間で、選手契約交渉により選手契約について合意に至らないことが確定した場合にも、その選手契約交渉の内容、報酬等について、すみやかに選手会所定の方式による書面により選手会に報告する。登録選手代理人の関与の下に、選手契約以外の選手らと球団との間の権利義務関係を定める契約交渉を行ったが、それについて合意に至らないことが確定した場合も同様とする。
第21条 選手契約に関連する法的手段を講じる場合の報告
登録選手代理人が、参稼報酬調停を求める申請書の提出(野球協約第94条)や提訴(同第20章)等の野球協約に定められた紛争解決手段、裁判所に対する訴訟提起その他選手契約交渉に関連して何らかの紛争解決手段を講じることを決定した場合は、当該紛争解決手段を講じる前に選手会に適宜の方法により通知する。
第22条 球団等との非開示契約の禁止
登録選手代理人は、自らもしくは選手を代理して、球団との間で、選手契約及び選手契約交渉の内容等について、選手会に対する開示を禁止する旨を規定する合意を行ってはならない。
第23条 定時報告
登録選手代理人は、毎年1月31日時点における、過去1年間のすべての選手代理人業務内容及び選手らから得たあらゆる経済的利益について、毎年2月15日(1
5日が土曜日、日曜日または祝日である場合はその前営業日)までの間に、別途選手会が指定する関連書類を添付の上、書面により選手会に報告する。
第24条 登録選手代理人の報告に関する一般的義務
選手会は、登録選手代理人に対し、随時、業務内容その他の報告を求めることができる。
第25条 選手会への報告の写しの選手らに対する交付
登録選手代理人は、選手会に対して報告文書を提出する場合には、同時に選手らに対してもその写しを交付する(選手会が指定する関連書類についても同様であるが、そのうち選手らが既にその写しを保有している書類については選手らへの交付を省略することができる。)。
第5節 登録代理人による報告内容の選手会による利用
第26条 選手会の守秘義務
選手会は、本規約の施行に関連して知り得た選手らの選手契約に関する内容、登録選手代理人から報告を受けた内容について、当該選手または当該登録選手代理人の承諾なく、選手会本部役員、選手会事務局長および選手会事務局長により指定される選手会事務局職員以外の第三者に対してこれを開示しない。
ただし、次に定める場合は除くものとする。
一 選手会が、統計的観点から選手らおよび登録選手代理人の匿名性が担保された態様においてこれを開示する場合
二 選手らの選手契約に関連して参稼報酬調停、裁判所への訴訟提起その他の紛争解決手段が講じられた場合において、選手会が当該選手らの権利擁護のため必要かつ合理的な範囲で、職務上または契約上守秘義務を負う第三者に開示する場合
三 選手会が、日本プロフェッショナル野球組織、各連盟、各球団その他球団側の組織との交渉その他の活動(野球協約記載の手段または訴訟提起その他の法的手段を講じる場合を含む)のため、必要かつ合理的な範囲内で、職務上または契約上守秘義務を負う第三者に開示する場合
四 その他選手会の活動のため、必要かつ合理的な範囲内で、職務上または契約上守秘義務を負う第三者に開示する場合
第6章 登録選手代理人に対する監督
第1節 一般的監督第27条 誓約
選手代理人は、選手代理人名簿への登録申請の際に、本規約を遵守すること、選手会の監督に服すること等を誓約する旨の、選手会所定の方式による誓約書を選手会に提出しなければならない。
第2節 禁止される行為
第28条 禁止される行為の内容
選手代理人は次の行為を行ってはならない。
一 球団、連盟、コミッショナーまたはそれらの関係者から、経済的利益の供与を受け、またはこれらに対して経済的利益を供与する行為、その他選手代理人としての職務のxxを疑わしめるような金銭的利害関係を球団、連盟、コミッショナーまたはそれらの関係者との間で持つ行為
二 選手代理人契約を締結するため、球団から選手らの紹介を受け、または受けようとする行為
三 選手らに対する不相当な経済的利益の供与その他選手代理人としての職務のxxを疑わしめるような手段を用いて選手らとの選手代理人契約締結を慫慂する行為
四 選手ら及び選手会への報告を懈怠し、または虚偽の報告を行う行為
五 選手らに対して、不合理な投資行為を助言することまたは不合理な投資行為を助言するものを紹介する行為
六 選手会が定める規則、選手会が行う決定、その他選手会の活動方針に反する行動を選手らに行わせ、または奨励すること
七 選手代理人であることに基づく善良なる管理者としての注意義務を怠ること
八 その他本規約に違反し、または、選手ら、選手会に著しい不利益を与え、もしくは選手代理人としての職務のxxさに疑義を生じさせると認められる行為
第3節 禁止される行為に対する処分
第29条 処分
選手会は、登録選手代理人が前条により禁止される行為を行った場合、登録選手代理人に対して次の処分を行うことができる。
一 戒告
二 定期または不定期の選手代理人の活動停止三 選手代理人名簿の登録抹消
第30条 処分内容の通知
選手会は、登録選手代理人につき、前条による処分を決定した場合、処分を受ける登録選手代理人及び当該登録選手代理人と選手代理人契約関係にある選手らが存する場合には、当該選手らに対して、当該処分の内容を、選手会が別途定める方法により通知する。
第31条 処分内容の公開
選手会は、第29条による処分を決定した場合、当該処分の内容を、選手会が別途定める方法により公開する。
第7章 紛争解決手段(仲裁制度)
第32条 登録選手代理人・選手間
登録選手代理人と選手の間の紛議の解決については、一般財団法人日本スポーツ仲裁機構の仲裁手続によるものとする。
(2010年12月2日改正)
第33条 登録選手代理人・選手会間
登録選手代理人と選手会の間の紛議の解決については、一般財団法人日本スポーツ仲裁機構の仲裁手続によるものとする。
(2010年12月2日改正)
第8章 本規約の改正等
第34条 成立
本規約は、平成12年12月5日、選手会運営委員会の決議により、有効に成立した。
第35条 改正、修正、変更
本規約の改正、修正、変更は、選手会運営委員会の決議により行う。
第9章 附 則
第1条 本規約は、平成12年11月1日から遡及して施行する。第2条 選手代理人の登録申請資格に関する暫定措置
本規約第2条に関しては、当分の間、同条第1号および第2号の規定による者のみを選手代理人の資格を有する者とする。
(2003年12月4日本条1号改正、第2号削除)
(発効 2000年12月6日)
(改正 2003年12月4日)
(改正 2010年12月2日)