データの利用権限に関する契約ガイドラインver1.0の概要
資料2
データの利用権限に関する契約ガイドラインver1.0の概要
本契約ガイドラインの目的
契約においてデータの利用権限をxxに取り決めるための考え方を示すこと
本契約ガイドラインの概要
●合意形成プロセスの流れ
事前協議
申入れ
※不当拒絶は競争法の
問題も
●参考事例
データの選定
各当事者で利用を希望するデータを選定
利用を希望する データの提示、意見調整
データカタログの作成
ポイント
・取引関連性と利活用可能性の観点から、利用権限の設定対象とするデータを選び出し、カタログ化。
・当事者間で意見の相違等があるデータを明らかに。
利用権限の決定
ポイント
・寄与度等、以下に例示するような考慮要素に照らして、利活用権限の有無を「白地」からxxに検討。
<考慮要素1>創出/取得
寄与度、コスト負担、機器所有権(リース等の契約形態)、操作主体、独自性等
<考慮要素2>保存/管理
コスト負担、安全管理、守秘義務(転々流通防止)、
知財処理との整合性、データに係る責任の所在等
<考慮要素3>利用
対価、協調領域・競争領域、メリット・インセン ティブ提供の有無、データの必要性・有用性、データの用途、データの公共性等
・必ずしもいずれか一方に帰属するわけではない。考慮要素に基づき総合判断されるため、共同保有も念頭に置いた検討が必要。
条項 作成
モデル条項を参照
・製造会社が、工作機械メーカーから購入した工作機械を、ソフトウェアベンダから購入したミドルウェアを用いて工場内で稼働さ
せ、稼働データを創出させている場合
・製造会社が自社データをサービス提供事業者に提供し、AI分析等によるサービスを受け、分析データを創出させている場合
寄せられたご意見の概要とご意見に対する回答・考え方等
通番 | ご意見の概要 | ご意見に対する回答・考え方等 |
1 | 今回、取引の過程において生じるデータの取扱いを定 める契約のガイドラインを作成されたことにより、データの利活用がさらに促進されることが期待されます | 本ガイドラインの趣旨に賛成のご意見として承りました。 |
2 | 本ガイドラインは、事業者におけるデータの利活用を促 進するきっかけとなる重要なものであると考えます。また、ガイドライン案の基本的趣旨である、データの利活用の促進についても大いに賛同します。 | 本ガイドラインの趣旨に賛成のご意見として承りました。 |
3 | ガイドラインの適用対象とするデータの範囲が不明確で す。 | 本ガイドラインで対象とするデータについては、「契約に係る取引に関 連し 、当事者双方が関わって創出等されるデータ」としており(4 ページ)、その範囲は明確に示しております。その上で、契約当事者がどの範囲でテータの利用権限を取り決めるかはその協議等によるものと考えております。 |
4 | 機械の稼働データやセンサーから得られる生データの場 合、データを創出するプロセスには、データが表現する 対象である物事の創出(データになる以前の状態)に関与した者が含まれると考えるのが自然ですが、本ガイドラインは、その者の存在を無視し、その者がもつx xを意図的に隠ぺいしているように思われます。本ガイドラインがこの点について明確な回答を避けるのであれば、対象とするデータを、すべての産業データではなく、工場の稼働データのようにノウハウやその他の営業秘密等を含む可能性があるデータは対象外であると明記し、工作機械から創出される稼働データは例として用いずに、地図データや個人を特定できない消費者行動データなどを用いるべきです。 | 本ガイドラインは、データにかかる権利(オーナーシップ)を認めてそ の帰属・所在の明確化を促す趣旨ではなく、データを利用する権限を契約で取り決めることを図るものであります。契約を当事者間で締結する際の考慮要素を挙げ、操作主体や機器所有者、技術提供者等の個別事情を考慮要素とし、xxかつ総合的な判断を促しています。 本ガイドラインでは、稼働データ等の生データであっても、その創出等への寄与については権限の取決めに当たって考慮すべきものとされており、その寄与は契約当事者以外の第三者であっても配慮すべきものとしています。現行曖昧なままにデータが吸い取られている例もあり、本ガイドラインでは、xxにデータを選出し、考慮要素に照らして契 約で利用権限を適切に取り決めることで、データ利用に係る当事者の保護が図られるものと考えております。 |
5 | 適用例2では、「加工済みデータ」に「学習済みモデル等のアルゴリズム」が含まれることになりますが、「学習用データセット」と「学習済みモデル」では、元の生データ以外の要素が作出に寄与する度合等が異なります。また、生データにもオープン可能なものと差別化技術開発のためにクローズにしたいものがあります。かかる点の検証や考慮なしに「協議の在り方や利用権限の定め方」(P3)や「基本的な考え方」(P5)を示すことは実務感覚にそぐわず、データ利用の流動化に萎縮効果を与えることを懸念しています。 | 「学習用データセット」と「学習済みモデル」では元の生データ以外の要素が作出に寄与する度合等が異なること、生データにもオープン可能なものと差別化技術開発のためにクローズにしたいものがあることといった点はご指摘のとおりであります。本ガイドラインでは、検証や考慮を踏まえ、そうしたデータの種別や性質、さらには創出への寄与度等に応じて柔軟に協議や権限の設定が可能となるプロセスを示し、また、基本的な考え方等を示しております。本ガイドラインは、相手方からのデータ利活用の申し入れを受けた場合に必ずそれに応じなければいけないという考えを示すものではありません。申し入れを受けた結果として、当該データをオープンにできない (交渉のテーブルにすら載せたくない)正当な理由があれば、そ れを以て交渉に応じないことも可能であるとの考えです。 |
6 | 「特定の事業者において過剰に囲い込まず」(P5)という部分が否定的に書かれていますが、情報の非対称性を利用し、営業秘密等データを秘匿することはビジネス上の競争力の源泉であり、これを否定的にとらえることはガイドラインとしての信頼性を損ないます。 | 営業秘密等データを秘匿することはビジネス上の競争力の源泉であるという点は否定するものではありません。本ガイドラインでは、事業者の「囲い込み」行為それ自体を否定的に記述したものではなく、有識者等の意見の下、「過剰な」囲い込みに対してその事態の解消や緩和の必要性を述べたものであります。営業秘密等の何らかの法的保護を受けるデータ以外のデータで、必ずしも競争力の源泉ともいえないデータについてまで過剰に囲い込まれている現状も認められると承知しており、本ガイドラインはそうしたデータ についてもxxに権限を設定すべきという考え方を示すものであります。 |
7 | 「あるデータの利害関係者や利活用を求める者が多数存在し、 その関わり方も多様であること、データは広く利活用されてこそ価値があること(公共財的性質)」(P5)について、オープンデータなど、一部のデータは広く利用されてこそ価値があるという例もあるが、多くのデータは、特定の利害関係者がクローズな環境で利活用することで利益を生み出し、それによって競争が促進されます。したがって、あえて言うなら「公共財的性質を持つ場合がある」くらいが妥当だとおもいます。 | ご指摘のデータのクローズドな利活用もございますが、ここでは、 データの利活用が政府全体で求められる中でデータの一般的な 特性、性質について述べたものであります。 |
○
機密性
8 | 「データは、無体物性ゆえに公共財的性質や非排他性を有する」すなわち「何人も独占的な権利は有さず、広く利活用されるべき」という記載には論理的な飛躍があります。 | 広く利活用されるべきという考え方を導く事情の一つとしてデータの特性等を挙げております。 |
9 | データは全てオープンな交渉に晒されると開発事業者としては 差別化技術の確立が難しくなり、開発・事業化に支障をきたすおそれがあります。「契約当事者は・・データを可能な限りもれなく選定し協議のテーブルにのせることが肝要」(P9)との 記載は、実務感覚とのバランスを逸し、データの過剰なオープン化による事業への悪影響が懸念されます。 | あくまで事業者が取引関連性や利活用可能性の観点から利活 用を希望するデータをもれなく選定すべきとの考え方を示すものであります。データの選定プロセスそのものは、データの利用権限を取り決めるための対象データを明らかにするプロセスであり、必ずし もデータの内容やその存否も含めてオープンにすることが求められているものではありません。 |
10 | 海外事業者との取引を前提とした記述も追記いただけるとよ り有効なものになると思います。(同旨1件) | 海外事業者との取引も本ガイドラインの対象ではありますので、ご 指摘いただきました点につきましては、今後の改訂の参考とさせて いただきます。 |
11 | データの「創出」、「収集」、「取得」についての定義が必要です。 | ご指摘いただきました各用語については、それ自体若しくはそれぞれの文脈においての意味は明らかであると考えますが、今後の改訂の参考とさせていただきます。 |
性○
機密
12 | 「BUILDING A EUROPEAN DATA ECONOMY, COM(2017) 2 final」において示されているとおり、EUにおいては、事業者間での契約が不xxなものとならないような対策が検討されています。 中小企業は、多くの場合契約実務等に精通する人材がおらずxx、適正な契約交渉ができないため、大企業に対し不利な条件でデータを提供してしまう可能性があります。中小企業がノウハウを含むデータを不利な条件で大企業に提供する状況に陥らないよう対策可能な事項を追記頂く必要があると考えます。 | 「本ガイドラインの目的」(1ページ)に「特に中小企業の場合には、意識せずして契約でデータの利用権限が相手方に設定されてしまっているとの指摘もあり」とも記載しておりますとおり、中小企業が不用意にデータを提供するといった事態が認められることは承知しております。本ガイドラインは、そうした中小企業が自らの権利を適切に保護するために積極的に活用されることを期待するものであり、そのため、利用権限を適切かつxxに取り決めるための 考え方や手法を示しております。併せて、契約当事者がデータを不用意に不利な条件で提供しないよう、競争法の問題の指摘 (7ページ)のほか、随所にその旨の記述をしております。 中小企業における契約交渉の遂行能力やその負担の問題等についてはデータの利用権限を定める場合に限った課題ではありませんが、中小企業の方々にも積極的に活用していただくため、分かりやすい表現や記述の改善、企業規模等に応じたプロセスの設定や見直し等、今後の改訂の参考にさせていただきます。併せて、本ガイドラインの活用において、こうした中小企業の保護・支援のための他の取組み等との連携を積極的に行っていきます。 |
13 | 事業者がデータを利活用することで価値を生み出した場合、当該利益をデータ創出に携わった事業者に配分することでxxな契約が成立すると考えられますので、利益配分や負担 (保障)についての条項例の追加を要望します。 | データの利活用によって生み出された利益は当該データを利活用した事業者がその事業活動によって得たものであるため、利益分配についてはデータの利用権限の取決めにおいて必ずしもあらかじめ定めておくべき事項とはいえないものと考えております。 なお、利用権限の設定の条件として当該データを利活用することによって生じた利益の配分を求めることは考えられますが、そうした約定は取引に応じて当事者が個々に検討すべき条件であります。条項例の追加につきましては今後の改訂の参考にさせていただきます。 |
14 | 誰が事業責任を負うプロセスや事象によりデータが創出されたか、という観点が不足している。 | ご指摘いただきました点につきましては、本ガイドラインで取り上げた考慮要素のうち「データに係る責任の所在」(P16)、「データの必要性・有用性、自らの事業との関連性、活用能力、データの用途」(P17)等で考慮されているものと理解しております。 |
性○
機密
15 | 装置からのデータにも個人情報やノウハウ(例:匠の技)が含まれる可能性がある。 | ご指摘いただきました点につきましては、本ガイドラインにおいて対象とする「データ」に含まれるものとして整理しており(P4)、また、考慮要素のうち「対個人の責任の所在」(P16)等も取り上げ、個人情報等に係る利用権限も想定しております。 |
16 | データは加工可能でありトレーサビリティを担保するのが難しいため、データを扱う目的や二次利用について考えておく必要がある。 | 利用権限の決定プロセスにおける、利用条件の設定(17ページ)等において調整されるべき事項と考えられます。 |
17 | データの二次利用で生成されたデータ等における原データx x者の権利についても言及しておくべき | 「複数の当事者又は第三者がデータ創出等に関わる場合」 (11ページ)において、第三者がデータ創出等に関与した場合について検討しております。 |
18 | アナログな方法で従来から行われていたデータ創出(例:工作機械の表示画面からセンサー値を手書きで記録する)との取扱いの整合性を考えておく必要がある。 | 本ガイドラインは、ご指摘いただきましたデータ創出の態様により 取扱いを異にするものではございません。 |
19 | 今回のガイドラインは、データ一般ではなく「契約に関わる取引に関連し、当事者双方が関わって創出等されるデータ」を対象にしているが、ガイドライン名称や、目的・対象で明記されていないため分かりにくい。 | ご指摘いただきました点につきましては、「本契約ガイドラインの対象」(P4)において明確にしておりますが、今後の説明機会等において分かりやすい説明につとめて参ります。 |
20 | 契約を交わさない場合のデフォルト条件(例:対価や取り下げ等)や契約が不適切だった場合(例:あまりにも中小企業側に不利な内容)の措置(契約破棄できるなど)に関する記載を追加して欲しいです。 | ご指摘いただきました点につきましては、当事者が相手方である中小企業に対して、優越的地位に立っている場合など本ガイドライン(P7)でも述べておりますが、今後の改訂の参考にさせていただきます。 |
21 | 多数のスタッフを擁した法務部門を持つ大企業でないと使いこなすのは難しい。条項例および「表」の記載例を拡充してほしい。 | 分かりやすい表現や記述の改善等、ご指摘いただきました点につ きましては、今後の改訂の参考にさせていただきます。 |
22 | 契約書雛形(および別表の記載例)の英語版を希望します。 | ご指摘いただきました点につきましては、海外事業者との取引実態 |
23 | 実務では(特にデータ分析AI等のプラットフォーム提供の場合)、サービス利用規約等の約款形式でデータの利用権を一律に処理する場合があります。特に上位のIoTプラット フォーマーは、サービス約款においてデータの帰属や利用権限につき一方的な条件を強要するケースがあります。かかる課題 について、本ガイドラインにおいても独禁法上課題となる状況や行為類型の指針が示されることを望みます。 | 本ガイドラインでは、ご指摘いただいた独禁法等に係る課題やその考え方等につきましても述べております(P7)。 |
24 | データ選定やデータカタログ作成を精緻に行うほど、それ自体 が編集著作物(著作xx12条)となり得るケースが生じると考えますが、この点につき解説を求めます。 | 本ガイドラインでは、データ選定の目的でデータカタログが活用され るものとしており、著作物性を有するに至るような創作性のあるデータカタログが作成されることは想定しておりません。 |
25 | 対象となるデータが特許権、著作権、営業秘密にも該当する 場合(P22、P28)の契約に定める利用権限とこれら知的財産権との関係につき解説を求めます。例えば、モデル条項の「利用権限を有する」(P22)との規定は、当該データに含まれる当事者の既存・新規の知的財産権を当然に許諾することが意図されているのか如何。知的財産権の許諾条件については、データの利用権限とは別に定めたいと考える場合が多いものと考えます。 | 契約でデータの利用権限を設定すべきことと、当該データが知的 財産権として保護されるものであるかは、必ずしも関連しないものと理解しております。また、本ガイドラインは知財処理を考慮要素として位置付けていますが、この点は、一般的にはデータに係る知的財産を有すると認め得る者に当該データの利用権限を認め得ることを考慮要素として挙げたものであります。 契約における取決めにおいて一方当事者にデータの利用権限が認められ、当該データが他方当事者の知的財産に当たる場合、他方当事者において相手方のデータのアクセスを認め、利用権限 の行使を認めることを契約上必要な範囲で規定することになると思われます。 |
26 | データの所有・帰属について「データそれ自体は権利ではない ため帰属の概念になじまない」(P23)ことが前提とされていますが、データの売買・流通に向けては、データのオーナーシップの概念を明確化していくことも必要と考えます。 | 本ガイドラインは、データにかかる権利(オーナーシップ)を認めて その帰属・所在の明確化を促す趣旨ではなく、データを利用する 権限を契約ベースで取り決めることを図るものとしております。 |
27 | 契約相手方の委託先以外の第三者にデータの利用許諾を認める場合は、特定の利用制限を加えたり、別途のライセンス料を求める場合が多いと思われるため、該当部分の条文案 (P18~20、P26、27、P28、30、P41、別添2)の充実を求めます。 | ご指摘いただきました点につきましては、本ガイドラインの射程や位置付けにも留意しつつ、今後の本ガイドラインの活用状況や契約実務も踏まえ、今後の改訂の参考にさせていただきます。 |
性○
機密
28 | データ利用に係るコスト分担(P26、27、別添2)につき 会計処理及び税法上(贈与税、移転価格税制等)の観点から妥当な対価による取引が必要ですが、データの価値評価について相場観が定まっていないため、実務に資するガイドラインや事例等が示されることを望みます。 | ご指摘いただきました点につきましては、本ガイドラインの射程や位置付けにも留意しつつ、今後の本ガイドラインの活用状況や契約実務も踏まえ、今後の改訂の参考にさせていただきます。 |
29 | 相手方が利用権限を認められていないデータを不正に利用したことによって生じた損害の賠償についての考え方を示して欲しいです。 特に、知的財産権侵害や守秘義務違反の場合には免責や損害賠償額の上限設定を排除する契約が多いが、データ取引についての債務不履行、知的財産権侵害、不競法違反、一般不法行為等の各側面から解説を要望します。 | ご指摘いただきました点につきましては、本ガイドラインの射程や位置付けにも留意しつつ、今後の本ガイドラインの活用状況や契約実務も踏まえ、今後の改訂の参考にさせていただきます。 |
性○
機密
30 | 「当事者が相手方である中小企業に対して、優越的地位に立っている場合には、取引の力関係を背景に不当な利用権限の取決めを強制し、結果として、相手方が不当に不利益を甘受せざるを得ないときも同様に競争法の問題が生じ得るため留意を要する。」との記載について、具体的にどのような問題を前提としているのかが明らかではないため、事業者が競争法上の問題が生じることを怖れ、データの利用権限を契約で定めることを躊躇し、ひいてはデータ利活用自体を萎縮させる懸念があります。 問題となっている具体例について必要な追記もしくは当該記 載の削除を求めます。 | ご指摘にかかる当該記述については、データの利用権限を巡って一般的に想定し得る事態のうち、競争法の観点から特段留意すべき事項を示したものです。ここに記述しました、優越的な地位を利用して不当な条件の取決めを強制することや相手方が不当に不利益を甘受せざる なお、問題を明確化するため具体的な想定事例を摘示することとし、以下の記述を脚注に追記(P7)して示しました。 「例えば、①システム開発委託契約において、優越的な地位にあるメーカー(委託者)が中小企業のシステム開発事業者(受託者)に対して、今後の継続的発注等の可能性を暗示しながら、システム開発において創出された一切のデータ(アルゴリズム等を含む)に係る利用権限を受託者に専属的に認めるよう強 制し、受託者側は取引継続を期待し、若しくは継続的取引の中止等をおそれて委託者の要求をのまざるを得ないといった事例、 ②金型製作供給契約において、優越的な地位にあるメーカー (委託者)が中小企業である金型メーカーに対して、金型製作において創出されたデータ(図面等データ等を含む)に係る利用権限を受託者に認めてデータを提供するよう強制し、受託者側は取引の力関係を背景にこれに応じざるを得なかった事例等が想定される。」 |
性○
機密
31 | BtoB向けパブリッククラウドサービスの提供に関連して創出された様々な「データ」について、サービス運用またはサービス品質の改善のために自社利用するケースの位置づけが不明確であり、クラウドサービス運用上、不適切な制約となり得る可能性があるため、その点の整理などを明確にして欲しい。 本ガイドラインでいう「稼働データ」はクラウドサービスではサービスの利用状況に関するデータに該当しますが、必ずしも利用規約において取扱い条件を明記しておりません。 例えば、一部のサービス利用者が、サービス運用管理に必要な稼働データの利用に同意しない場合、全体のサービス運 営に支障を来す恐れがあります。 本ガイドラインが本来想定する範囲を超えてデータの範囲が解釈されることで、過度なデータの利用規制に繋がらないよう補足説明の記載を希望します。 | 本ガイドラインでは、対象の「データ」の範囲を特段限定しておらず、サービス提供契約においても、事業者間の取決めにより、ご指摘 のような具体的なサービスの利用状況に関するデータ等について 利用権限の取決めを契約で行うことも可能であると考えておりま す。また、本ガイドラインでは、考慮要素として「データとの関連性」、 「データに係る責任の所在」等を取り上げ、適切に利用権限が設定されることを想定しております。 ただし、例えばサービスを利用する事業者が利用権限を主張することにより直ちに利用権限を取得するものではなく、また、サービスを利用する事業者にデータ創出の寄与があるからといって当然に利用権限が認められるわけではありません。また、コスト等に鑑みて、利用規約等においてサービス提供者のみに当該データの権限を認める取扱いをすることも可能であって、サービスによってはそのような取決めが一般的に是認されるケースも想定されます。 |
32 | 本ガイドライン「3(3)利用権限を契約で定めることの効果」において、「契約でデータの利用権限を定めた場合は、当該当事者、当該データの利用権限を有し、~」と説明されておりますが、この表現では、契約で定めていなければ利用権限を有しないとも解釈できるものと思料します。 本ガイドラインは、法規制に基づく制約の解除を意図したものではなく、この説明の趣旨も、契約で定めることにより「相手 方に対して正当に利用権限を主張できる(相対的効力)」ということを意味しているものと思料いたしますので、契約で定めが無い場合であっても、利用権限を有するケースがある点などを念のため補足いただけますと幸いです。 | ご指摘を踏まえ以下の記述を追記致しました。 「なお、契約でデータの利用権限を定めていない場合であっても、 当事者の利用権限が認められないわけではない。」 |
33 | データを提供しただけで、解析ツール等に関する知的財産権に対し原始的に権利を有するという印象を与えかねないこと、 データの提供したことが当該データの解析で得られる知的財産権の帰属にどのような影響を与えるかについて議論が未成熟な状況であることから、「<要素2>「知財処理との整合性」 欄」(P16)について以下のとおり修正を希望します。 原案: 「データに基づき、若しくはデータが寄与して創出された知的財産権の帰属先はいずれの当事者か。」 修正案:「データ解析過程で創出された知的財産権の帰属先はいずれの当事者か。」 | 本記述はデータに係る知財処理を考慮要素として取り上げたものであり、知財処理の考え方を述べたものではありません。 |
34 | データを提供しただけで、解析ツール等に関する知的財産権に対し原始的に権利を有するという印象を与えかねないこと、 データの提供したことが当該データの解析で得られる知的財産権の帰属にどのような影響を与えるかについて議論が未成熟な状況であることから、「知的財産権の帰属の問題」(P32)について以下のとおり修正を希望します。 原案: 「当該データそのもの又は当該データの利用によって、知的財産権が発生する場合も想定されることから、その権利関係や帰属関係を規定しておく。」 修正案:「当該データそのもの又は当該データの利用に際して、 知的財産権が発生する場合には、その権利関係や帰 属関係を規定しておく。」 | ご意見を踏まえ以下のとおり修正致しました。 「当該データそのもの又は当該データの利用によって、知的財産権が発生する場合又は発生することが想定される場合には、その権利関係や帰属関係を規定しておく。」 |
35 | 実証実験を含む研究の用に供するために、データを創出する機器を購入等した場合に、当該研究における利用データ等の利用権限を求められるような場合の扱いです。このような場合には、付加価値がまだ不確定で、提供対象として必ずしも適切でない場合も含まれ得ると考えられます。本ガイドラインにおいては、データの「利用」とはどの段階のものなのかについて特定はされていないと理解しておりますが、このような研究段階の利用データ等も提供対象とするのが適切かどうかを検討すべき、 ということを明記するのが望ましいのではないかと考えます。 | 本ガイドラインでは、「利用」の段階や対象の「データ」の範囲を特段限定しておらず、事業者間の取決めにより、ご指摘のような研究段階において創出されたデータ等について利用権限の取決めを契約で行うことも可能であると考えております。 11 |
36 | 当事者間の主張が対立する点を踏まえ、交渉の結論である 「取決め」欄にて、Aの主張が通った場合とBの主張が通った場合の両方の場合について取り決め例として記載することを希望します。 例①:適用例1の稼動データが、データ提供者Aの製造状況を把握する営業秘密と成りうる点に鑑み、工作機器メーカーBの利用権限「無」を追加。 | ご意見を踏まえ以下の記述を追記致しました。 「利用権限:無 ・Aのみが稼働データの利用権限を有することを踏まえて工作機 械の代金を定めている ・稼働データがAにおいて高度に機密情報として扱われている」 |
37 | 当事者間の主張が対立する点を踏まえ、交渉の結論である 「取決め」欄にて、Aの主張が通った場合とBの主張が通った場合の両方の場合について取り決め例として記載することを希望します。 例②:適用例2の解析ツールのアルゴリズムが、サービス提供事業者Bの営業秘密と成りうる点に鑑み、データ提供者Aの利用権限「無」を追加。 | ご意見を踏まえ以下の記述を追記致しました。 「利用権限:無 ・Bのみが学習済みモデルのアルゴリズムの利用権限を有すること を踏まえてサービス代金を定めている ・学習済みモデルのアルゴリズムがBにおいて高度に機密情報として扱われている」 |
38 | データ提供者とサービス提供事業者それぞれの役割分担及 びデータ解析を行う事業上の目的が異なること、又、解析 ツールのアルゴリズムが解析サービス事業継続に必須の営業秘密となるケースがあることを踏まえて、「適用例2「3 利用 権限の決定」Bの「主張」欄」(P41)に以下を追記することを希望します。 「Aはデータ解析結果を踏まえて事業を展開するのが目的であって解析サービス事業を行うことが目的ではないため、解析ツールのアルゴリズムは不要」 | ご意見を踏まえ以下の記述を追記致しました。 「Aは分析結果を踏まえて事業を展開するのが目的であって分析サービス事業を行うことが目的ではないため、分析ツールのアルゴリズムは不要」 |
39 | アルゴリズムについて一律に「第三者へのサービス提供にはA の同意を要する」と判断する可能性がありますので、「適用例 2「3 利用権限の決定」 Bの「取決め」欄」(P40)の「第三者へのサービス提供にはAの同意を要する」を削除するか、もしくは、「利用権限:有。第三者へのサービス提供にAの同意を要するか否かは、Aの貢献度に依る」との記載へ変更を希望します。 | ご意見を踏まえ以下のとおり修正致しました。 「利用権限:有 ただし、寄与度等に応じて、第三者へのサービス提供にはAの同意を要する場合あり」 12 |
40 | P5に記載のとおりデータは「非排他性」があります。元々データの利用自体には制限が課されているものではなく、「利用権限」の定義において、「データを利用、管理、開示、譲渡…、データに係る一切の権限」といった排他的な権限と定義する ことに疑問があります。例えば、「相手方が利用、管理、開示、譲渡、許諾等することを妨害しない旨の合意(不作為債 務)」という整理が適切ではないか、検討が必要かと考えます。 | 本ガイドラインでは、「利用権限」は全て「データを利用、管理、開示、譲渡…、データに係る一切の権限」と定義する趣旨ではなく、契約において当事者間でどのような取決めをしていくかという考え方を示しております。利用権限について「具体的な内容は当事者が合意して決める」(4ページ)とありますとおり、あくまで当事者間での取決めにおいてデータの利用権限の内容を定めていくことになります。 |
41 | 「各産業分野によっても考慮すべき要素であったり重点となる 要素が異なってきたりし得る。」(P18)という記載がありますが、この点産業分野によっては考慮の対象とならないような要素もあり得るため、「考慮を要しない事項があったり」という文言を追記した方がよいと考えます。 | 本ガイドラインで取り上げた考慮要素はその全てについて考慮す ることを求めるものではありませんので、当然、考慮を要しない要素もあります。但し、この点を明記するため、以下のとおり修正致しました。 「各産業分野によっても考慮すべき要素や考慮を要しない要素があったり、重点となる要素が異なってきたりし得る。」 |
42 | 「分担金の支払い」(P26)について、一方当事者がデータ を保管し、提供を行うのであれば、データ提供の対価として規定すべきかと考えます。解説文にも「データ保管費用名目」という表現がありますが、実態と名目が乖離していることを含意しているようであり、実態を反映した適切な契約を行うという 観点からは好ましくないと思われます。 | ご意見を踏まえて、以下のとおり修正致しました。 (修正前) 「データ保管費用名目の例」 (修正後) 「データ保管費用の負担」 |
43 | 「税法上の観点からの考慮が必要」(P27)とありますが、どのような考慮が必要かを明示いただきたいと考えます。 | ご指摘いただきました点につきましては、以下のとおり修正致しました。 「なお、利用権限の取決めに係る費用について、データの利用許諾(ライセンス)に係る使用料(ライセンスフィー)といった、本 ガイドラインで想定する取決めの実態と乖離した解釈・評価がなされないよう、税法上の観点からの考慮も必要である。」 |
44 | 「データの秘密管理」第1項第四号の「正当な権利を有す る」(P31)は、第三者よりデータの提供を受けた場合に、当該第三者が「正当な権利を有する」かどうかの判断材料を受領者側が持たないため、削除すべきです。 | ご指摘の当該規定については、守秘義務の例外事由に関する 一般的な事項であると解しております。 13 |
45 | 取引内容の考慮要素としては、データ取得の対価が含まれていますが、この対価の点について、ガイドラインに契約条項例等を示すなどもう少し説明があればと考えます(例えば、データ取得の対価についての契約条項例として、データ取得の対価は、売買代金に含まれる、売買代金とは別途定めるなどの場合分けした条項例を設けるなど)。 | データ取得の対価を売買代金に含めて評価するときには一般的な代金の規定となるものと思料しますが、その定め方の適否については、個別の取引事情に応じて、適宜弁護士、税理士等専門家の意見も踏まえてご対応いただくことになるかと考えられます。売買代金とは別途定めるときは、モデル条項3-2 「利用に係るコスト分担を定めるとき」における「分担金の支払い」の規定 (P26)を参考にしてください。なお、ご指摘いただきました点につきましては、今後の本ガイドラインの活用状況や契約実務も踏まえ、今後の改訂の参考にさせていただきます。 |
46 | ミドルウェアを提供する第三者が登場する例や、AI分析に よってデータを知識化する例があげられています。これらはとても実際的で、例で示された解決策としての取り決めは理解できるのですが、対応するモデル条項がイメージできません。 モデル条項は、データの提供者である工場にとって、xxで適 正なものであるか疑問です。 | 本ガイドライン別添2のモデル条項につきましては、契約書作成 の参考のために、xxかつ適正の観点から一般的な条項を掲載したものです。あくまで「モデル条項」であるため、個別の取引事情に照らし必要に応じて条項の修正や追加、削除等の対応を適 宜行っていただくことを念頭においております。 |
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