改正案(条項骨子案) 現行民法の条文 第3編 債権第1章 総則第1節 債権の目的(債権の目的) Bー1条第399条を維持 第3編 債権第1章 総則第1節 債権の目的(債権の目的)第399条 債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。 (特定物の保存義務) B―2条1 契約に よって生じた債権につき、その内容が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまでは、契約の趣旨に適合する方法及び態様により、その物を保存しなければ ならない。2...
民法(債権関係)改正に関する条項対照表 民法第1編総則 平成25年4月3日 東京弁護士会法制委員会 *改正案(条項骨子案)の「A―○条」は第1編民法総則の、「B―○条」は第3編債権第1章総則の、「Cー○条」は同編第2章契約以下の条項案である。 *現行民法の条文を維持又は削除する場合は、その旨のみ記載し、かつ、今回の改正に関連性のない現行民法の条文は割愛した。また、改正案の順番の関係で、一部の現行民法の条文の順番が前後しているところがある。 | |
改正案(条項骨子案) | 現行民法の条文 |
第1編 総則第1章通則 (基本原則) Aー1条 1 第1条第1項を維持 2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない(以下、このような原則を「信義則」という。)。 3 同条第3項を維持 4 前2項その他この法律の適用に当たっては、契約当事者間において情報の質若しくは量又は交渉力の格差がある場合には、その格差の存在を考慮しなければならない。 | 第1編 総則第1章通則 (基本原則) 第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。 2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。 3 権利の濫用は、これを許さない。 |
(定義) Aー2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 物 有体物をいう。 二 法律行為 契約、取消その他の単独行為、その他法令の規定に従い意思表示に基づいてその効力を生ずる行為をいう。 三 取得時効 物の一定期間の占有、その他一定の事実状態を根拠として権利の取得を認める制度をいう。 四 消滅時効 一定期間の債権の不行使、その他一定の事実状態を根拠として権利の消滅を認める制度をいう。 五 契約の趣旨 契約の文言のみならず、当事者が契約をした目的、契約締結に至る経緯、その他契約に関する全ての事由(その契約に関する取引通念を含む。)をいう。 六 消費者 個人であって、事業に直接関連する取引をするために契約の当事者となる場合における者を除く。 七 事業者 法人その他の団体、及び事業に直接関連する取引をするために契約の当事者となる場合における個人をいう。 八 消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約をいう。九 約款 名称や形態のいかんを問わず、多数の契約に用いるためにあらかじめ定式化された契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的として使用するものをいう。ただし、就業規則は除く。 十 敷金 いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借契約に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に対して交付する金銭をいう。 | (定義) 第85条 この法律において「物」とは、有体物をいう。 |
A3条からA39条までは、第2条から第37条(第32条の2を含む)までを維持 | 第2条から第37条までは省略 |
第4章 物 (不動産及び動産) A-40条 1 第86条第1項維持 2 同条第2項を維持 (同条第3項は削除) | 第4章 物 (不動産及び動産) 第86条 土地及びその定着物は、不動産とする。 2 不動産以外の物は、すべて動産とする。 3 無記名債権は、動産とみなす。 |
(主物及び従物) Aー41条 第87条を維持 | (主物及び従物)第87条は省略 |
(天然果実及び法定果実) Aー42条 1 第88条第1項を維持 2 不動産の賃料、その他物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。 | (天然果実及び法定果実) 第88条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。 2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。 |
(果実の帰属) Aー43条 第89条を維持 | (果実の帰属) 第89条 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。 2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。 |
第5章 法律行為第1節 総則 (公序良俗等) Aー44条 1 公の秩序若しくは善良の風俗(以下「公序良俗」という。)、又は公序良俗に関する規定(以下「強行規定」 という。)に反する法律行為は、いずれも無効とする。 2 前項の規定は、相手方の困窮若しくは緊急な必要、経験若しくは知識の不足、その他相手方が法律行為による利害得失を適正に判断できない状態を利用して、著しく過当な利益を獲得する法律行為に適用する。これらの状態を利用して相手方に著しく過大な不利益を与える法律行為も、同様とする。 | 第5章 法律行為第1節 総則 (公序良俗)第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。 |
(任意規定と異なる意思表示) A―45条 法律行為の当事者が法令中の公の秩序又は善良の風俗に関しない規定(以下、このような規定を「任意規定」という。)と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。 | (任意規定と異なる意思表示)第91条 法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。 |
(任意規定と異なる慣習) A―46条 任意規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。 | (任意規定と異なる慣習)第92条 法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。 |
第2節 意思能力 (意思能力) A―47条 法律行為の当事者が、その法律行為の時に、その法律行為の結果を理解してその法律行為をするかどうかを判断する能力(以下「意思能力」という。)を有していなかったときは、その法律行為は、無効とする。 | なし |
第3節 意思表示 (非真意の表示) A―48条 1 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときで あっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。 2 前項による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。 | 第2節 意思表示 (心裡留保)第93条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は無効とする。 |
(虚偽表示) A-49条 第94条を維持 | (虚偽表示)第94条 1 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。 2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。 |
(錯誤) A―50条 1 表意者の意思表示について錯誤があり、かつ次に掲げる全ての要件を満たす場合は、表意者はその意思表示を取り消すことができる。 一 表意者が真意と異なることを知っていたとすれば、表意者は当該意思表示をしなかったこと。 二 通常人が、その真意と異なることを知っていれば、当該意思表示をしなかったこと。 2 表意者について、目的物の性質又は状態、その他意思表示の前提となる事項について錯誤があった場合において、次のいずれかに該当し、かつ、前項第一号及び第二号の要件を満たすときは、表意者はその意思表示を取り消すことができる。 一 意思表示の前提となる事項に関する表意者の認識が法律行為の内容とされたとき。 二 相手方が事実と異なることを表示した(以下「不実表示」という。)ために、表意者の錯誤が生じたとき。 3 前2項の錯誤において、表意者に重大な過失があったときは、その意思表示は取り消すことができない。ただし、相手方がその錯誤を知っていたとき、若しくはその錯誤を知らないことにつき相手方に重大な過失があるとき、又は当事者双方が同一の錯誤に陥っているとき は、この限りでない。 4 錯誤による取消は、第三者に対抗することができない。ただし、その第三者が表意者の錯誤を知っているとき、又は知らないことについて過失があったときは、この限りでない。 5 前項の規定にかかわらず、第2項第二号に該当する場合は、錯誤による意思表示の取消しは、不実表示の事実を知らない第三者に対抗することができない。但し、第三者がその事実を知らないことにつ いて過失があった場合はこの限りでない。 | (錯誤)第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができな い。 |
(錯誤の相手方の催告権) Aー51条 錯誤の意思表示の相手方は、表意者が錯誤の状況を脱した後、その者に対し、1ヶ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。ただし、不実表示による錯誤の場合は、除く。 | なし |
(詐欺又は強迫) A―52条 1 表意者が、相手方から詐欺又は強迫を受けたことによって意思表示をしたときは、表意者はその意思表示を取り消すことができる。相手方の代理人若しくは相手方から契約締結について媒介をすることの委託を受けた者がした詐欺又は強迫についても、同様とする。 2 前項に規定する者以外の者が詐欺又は強迫を行ったことにより、表意者が相手方に対して意思表示をしたときは、相手方がその詐欺又は強迫の事実を知り、若しくは知ることができたときに限り、表意者はその意思表示を取り消すことができる。 3 詐欺による意思表示の取消しは、詐欺の事実を知らない第三者に対抗することができない。ただし、第三者がその事実を知らないことについて過失があったときは、この限りでない。 | (詐欺又は強迫)第96条 1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。 2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。 3 前2項の規定による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。 |
(意思表示の効力発生時期) A―53条 1 相手方のある意思表示については、その意思表示を記載した書面(以下「通知」という。)が相手方に到達した時からその効力を生ずる。 2 相手方又は相手方のために通知を受領する権限を有する者(以下、この条では「相手方等」という。)の住所、常居所、営業所、事務所、又は相手方等が通知を受けるべき場所として指定した場所に通知が到達した場合、その他その通知が相手方等において了知することができる状態に置かれた場合には、前項の到達があったものとみなす。 3 相手方のある意思表示が相手方に通常到達すべき方法でされた場合において、相手方等又は使用人その他の従業員若しくは同居人であって通知の受領について相当のわきまえのある者が、正当な理由なしにその到達に必要な行為をしなかったために、その通知が相手方に到達しなかったときは、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。 4 相手方のある意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力の制限を受け若しくは意思能力を喪失したときであって も、そのためにその効力を妨げられない。 | (隔地者に対する意思表示)第97条 1 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。 2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。 |
(公示による意思表示) A-54条 第98条を維持 | (公示による意思表示)第98条(省略) |
(意思表示の受領能力) A―55条 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者、意思 能力を欠く状態の者、又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、意思能力 を欠く状態であった相手方が意思能力を回復してその意思表示を 知った後、又はその成年被後見人の法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。 | (意思表示の受領能力) 第98条の2 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。 |
第4節 代理 (代理行為の要件及び効果) Aー56条 1 第99条第1項を維持 2 同条第2項を維持 3 前2項の規定は、代理人がその権限内において、自らを本人と称してした意思表示について準用する。 | 第3節 代理 (代理行為の要件及び効果) 第99条 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。 2 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。 |
(本人のためにすることを示さない意思表示) A-57条 第100条を維持 | (本人のためにすることを示さない意思表示) 第100条 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知 り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。 |
(代理行為における意思表示の効力) A―58条 1 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が、意思の不存 在、事実の錯誤、詐欺、強迫、又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき 場合には、その事実の有無は代理人について決するものとする。 2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が、ある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は代理人について決するものとする。 3 本人から代理権を授与された場合(以下「任意代理」という。)においては、本人が知っていた事情について、本人が代理人に告げることが相当であった場合には、本人は、代理人がその事情を知らなかったことを主張することができない。 4 任意代理においては、本人が自らの過失によって知らなかった事情についても、本人がこれを知って任意代理人に告げることが相当であった場合には、本人は、任意代理人がその事情を過失なく知らな かったことを主張することができない。 | (代理行為の瑕疵) 第101条 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。 2 特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたとき は、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。 |
(代理人の行為能力) A―59条 制限行為能力者が代理人である場合において、その者が代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由として取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人である場合において、当該法定代理人が代理人としてした行為が自己を当事者としてした行為であるとすれば制限行為能力を理由として取り消すことができるものであるときは、この限りでない。 | (代理人の行為能力)第102条(一部改正) 代理人は行為能力者であることを要しない。 |
(代理権の範囲) A―60条 1 任意代理人は、代理権の発生原因である法律行為によって定められた行為をする権限を有する。 2 法令によって代理権が授与された場合(以下「法定代理」とい う。)における代理人は、法令(法令に基づき代理人の権限を定める処分を含む。)によって定められた行為をする権限を有するものとする。 3 前2項によって代理人の権限が定まらない場合には、代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。 ア 保存行為 イ 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為 ※第2項括弧書き部分は、保佐人に代理権を設定する審判等を想定した規定。 | (権限の定めのない代理人の権限) 第103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。 一 保存行為 二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為 |
(任意代理人による復代理人の選任) A-61条 任意代理人は、本人の許諾を得たとき、または本人の利益のために正当と認められる事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。 | (任意代理人による復代理人の選任) 第104条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。 |
(復代理人を選任した代理人の責任)第105条を削除 | (復代理人を選任した代理人の責任) 第105条 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。 2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。 |
(法定代理人による復代理人の選任) A-62条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。 | (法定代理人による復代理人の選任) 第106条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第1項の責任のみを負う。 |
(復代理人の権限等) A-63条 1 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代理する。 2 復代理人は、その権限の範囲内において、第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。 | (復代理人の権限等)第107条 1 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。 2 復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。 |
(自己契約、双方代理、利益相反行為) A―64条 1 代理人が、自己を相手方とする行為をした場合(以下「自己契約」という。)又は当事者双方の代理人として行為をした場合(以下「双方代理」という。)は、当該行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。 2 前項の規定は、代理人がした行為が次のいずれかに該当する場合には、適用しない。 一 本人があらかじめ許諾したものである場合二 本人の利益を害さないものである場合 3 第1項に該当しない場合であっても、代理人が本人の利益と相反する行為をしたときは、前2項を準用する。 | (自己契約及び双方代理) 第108条 同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。 |
(代理権の濫用) A―65条 1 代理人が自己又は他人の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした(以下「代理権の濫用」という。)場合、その行為は本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が当該目的を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、その行為は無効とする。 2 任意代理においては、前項ただし書きの規定による無効は、第三者に対抗できない。ただし、第三者が、代理人において自己または他人の利益を図る目的で代理行為をしたことを知り、又は重大な過失によってそのことを知らなかったときは、この限りでない。 3 法定代理においては、第1項ただし書きの規定による無効は、代理権濫用の事実を知らない第三者に対抗できない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。 | なし |
(代理権授与の表示による表見代理) A―66条 1 本人が、相手方に対して、他人に代理権を与えた旨を表示した場合において、その他人がその表示された代理権の範囲内の行為をしたときは、本人は当該行為について責任を負う。ただし、相手方が、その表示された代理権がその他人に与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。 2 前項の他人が、その表示された代理権の範囲を超えて代理行為をした場合において、相手方が当該行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときは、本人は当該行為について責任を負う。ただし、相手方が、表示された代理権がその他人に与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。 3 前項の正当な理由は、その他人の代理権があると推測させる事情の有無及び程度、その代理権の存在を疑わせる事情の有無及び程度、並びにその他人の代理権の存否についての相手方の調査の有無及び程度その他の事情を考慮して決する。 | (代理権授与の表示による表見代理) 第109条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。 |
(権限外の行為の表見代理) A―67条 1 代理人がその権限外の行為をした場合において、相手方が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、本人は当該行為について責任を負う。 2 代理人が自らを本人であると称してその権限外の行為をした場合において、相手方において代理人の行為が本人自身の行為であると信ずべき正当な理由があるときは、本人は当該行為について責任を負う。 3 前2項の正当な理由の判断については、前条第3項を準用する。 | (権限外の行為の表見代理) 第110条 前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。 |
(代理権の消滅事由) A-68条 1 第111条第1項を維持 2 任意代理における代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、代理権授与行為の終了によって消滅する。 | (代理権の消滅事由) 第111条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。 一 本人の死亡 二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。 2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。 |
(代理権消滅後の表見代理) A-69条 1 代理人であった者が、代理権の消滅後にその代理権の範囲内であった行為をした場合において、相手方がその代理権の消滅の事実を知らなかったときは、本人は当該行為について責任を負う。ただし、相手方がその代理権の消滅の事実を知らなかったことにつき過失があったときは、この限りでない。 2 代理人であった者が代理権の消滅後にその代理権の範囲外の行為をした場合において、相手方が、その代理権の消滅の事実を知らず、かつ、当該行為についてその者の代理権があると信ずべき正当な理由があるときは、本人は当該行為について責任を負う。ただし、相手方が、その代理権の消滅の事実を知らなかったことにつき過失があったときは、この限りでない。 3 前項の正当な理由については、Aー66条第3項を準用する。 | (代理権消滅後の表見代理) 第112条 代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。 |
(無権代理) A-70条 第113条を維持 | (無権代理) 第113条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。 2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。 |
(無権代理の相手方の催告権) A-71条 第114条を維持 | (無権代理の相手方の催告権) 第114条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。 |
(無権代理の相手方の取消権) A-72条 第115条を維持 | (無権代理の相手方の取消権) 第115条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。 |
(無権代理行為の追認) A-73条 第116条を維持 | (無権代理行為の追認) 第116条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。 |
(無権代理人の責任) A―74条 他人の代理人として契約をした者は、その代理権を有していた場合又は本人の追認を得た場合を除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 一 相手方において、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを知っていた場合 二 相手方において、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを、過失によって知らなかった場合。ただし、他人の代理人として契約をした者が、自己に代理権がないことを自ら知っていたときは、この限りでない。 三 他人の代理人として契約をした者が、自己に代理権がないことを知らなかった場合。ただし、重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。 四 他人の代理人として契約をした者が、行為能力を有しなかった場合 | (無権代理人の責任) 第117条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。 2 前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。 |
(単独行為の無権代理) A-75条 第118条を維持 | (単独行為の無権代理)第118条 (省略) |
(処分権等授与) A―76条 1 所有権その他の権利を有する者(以下、この条において「権利者」という。)が他人に対し、その他人を当事者とする法律行為によって自己の権利を処分する権限を与えた場合において、その他人が相手方との間で当該法律行為をしたときは、当該権利は、権利者から、相手方に直接移転する。この場合において、その権利者は、相手方に対し、その他人と相手方との間の法律行為においてその他人が相手方に対して主張することのできる事由を、主張することができるものとする。 2 前項については、その性質に反しない限り、代理に関する規定を準用する。 | なし |
第5節 無効及び取消し (法律行為の一部無効等) A―77条 1 法律行為の一部が無効となる場合であっても、法律行為のその余の部分の効力は妨げられない。ただし、当該一部が無効であることを知っていれば当事者がその法律行為をしなかったと認められる場合には、その法律行為は全部無効とする。 2 一つの法律行為に無効の原因があっても、他の法律行為はその効力を妨げられない。ただし、同一当事者間で複数の法律行為が行われた場合において、そのうちの一つの法律行為に無効原因があることを知っていれば、通常は当事者は他の法律行為をしなかったと認められる場合は、他の法律行為は無効となる。 | なし |
(消費者契約の無効と取消) A-78条 消費者契約については、この法律に定めるもののほか、消費者契約法(平成12年法律第61号)及び特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)の定めるところに従い、無効及び取消しを主張することができる。 | なし |
(無効な法律行為の効果) A―79条 1 法律行為が無効(取り消されたために無効であったとみなされた場合を含む。)であるときの効果は、次に掲げるとおりとする。 一 法律行為の当事者は、その法律行為に基づく債務の履行を請求することができない。 二 無効な法律行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方に対し、その給付を受けたもの及びそれから生じた果実を返 還しなければならない。この場合において、これらの返還をすることができないときは、相手方に対し、その価額の償還をしなければならない。 三 無効な法律行為が有償契約である場合において、給付を受けた者が、給付を受けた当時、その法律行為が無効であること又は取り消すことができること(以下、この条では「無効等」という。)を知らなかったときは、その者の償還義務は、当該法律行為に基づいて給付を受け若しくは給付を受けるべきであった価値の額又は現に受けている利益の額のいずれか多い額を限度とする。 四 無効な法律行為が有償契約以外の法律行為である場合において、給付を受けた者が、給付を受けた当時、その法律行為の無効等を知らなかったときは、その者は、その無効等を知った時点でその法律行為によって現に利益を受けた限度において返還の義務を負う。 五 第二号から第四号までの規定にかかわらず、制限行為能力 者、又は意思能力を欠く状態で法律行為をした者は、その法律行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。た だし、意思能力を欠く状態で法律行為をした者が意思能力を回復した後にその行為を了知したときは、その了知をした時点でその法律行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。 2 前項の規定による無効等の主張は、損害賠償の請求を妨げない。 | なし |
(無効な行為の追認) A-80条 第119条を維持 | 第4節 無効及び取消し (無効な行為の追認) 第119条 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみ なす。 |
(取消権者) A-81条 1 第120条第1項を維持 2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、表意者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。錯誤によって取消をなすことができる行為についても同様とする。 | (取消権者) 第120条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。 2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為 は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。 |
(取消しの効果) A-82条 取り消された行為は、始めから無効であったものとみなす。 | (取消しの効果) 第121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。 |
(取り消すことができる行為の追認) A-83条 取り消すことができる行為は、Aー81条(取消権者)に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。 | (取り消すことができる行為の追認) 第122条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。 |
(取消し及び追認の方法) Aー84条 第123条を維持 | (取消し及び追認の方法) 第123条 取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。 |
(追認の要件) A―85条 1 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、追認権者が取消権を行使することができることを知った後にしなければ、その効力を生じない。 2 次のいずれかに該当する場合には、追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。 一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合 二 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をする場合 | (追認の要件) 第124条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。 2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。 3 前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。 |
(法定追認) A-86条 第125条を維持 | (法定追認) 第125条 前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただ し、異議をとどめたときは、この限りでない。 一 全部又は一部の履行二 履行の請求 三 更改 四 担保の供与 五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡 六 強制執行 |
(取消権の期間の制限) A-87条 第126条を維持 | (取消権の期間の制限) 第126条 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。 |
第6節 条件及び期限 (条件が成就した場合の効果) A―88条 1 法律行為の全部又は一部の効力の発生を、将来発生する不確実な事実の発生又は不発生にかからしめる旨の特約を付した場合(以下、このような条件を「停止条件」という。)は、その停止条件が成就したときに、その法律行為の全部又は一部の効力が生じる。 2 法律行為の全部又は一部の効力の消滅を、将来発生する不確実な事実の発生又は不発生にかからしめる旨の特約を付した場合(以下、このような条件を「解除条件」という。)は、その条件が成就したときに、その法律行為の全部又は一部の効力が消滅する。 | 第5節 条件及び期限 (条件が成就した場合の効果) 第127条 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。 2 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。 3 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。 |
(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止) Aー89条 第128条を維持 | (条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止) 第128条 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。 |
(条件の成否未定の間における権利の処分等) Aー90条 第129条を維持 | (条件の成否未定の間における権利の処分等) 第129条 条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。 |
(条件の成就の妨害) A―91条 1 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が、その条件を付した趣旨に反して、故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方はその条件が成就したものとみなすことができる。 2 条件の成就によって利益を受ける者が、その条件を付した趣旨に反して、故意にその条件を成就させたときは、相手方はその条件が成就しなかったものとみなすことができる。 | (条件の成就の妨害) 第130条 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができ る。 |
(既成条件) Aー92条~Aー95条 第131条~第134条を維持 | (既成条件) 第131条~第134条は省略 |
(期限の意義、到来の効果) A―96条 1 法律行為の全部又は一部の効力の発生を、将来発生することが確実な事実の発生にかからしめる旨の特約を付した場合(以下、このような期限を「始期」という)は、その始期が到来するまでは、その法律行為の効力は発生しない。 2 法律行為の全部又は一部の効力の消滅を、将来発生することが確実な事実の発生にかからしめる旨の特約を付した場合(以下、このような期限を「終期」という)は、その法律行為の効力は、期限が到来したときに消滅する。 | (期限の到来の効果) 第135条 法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。 2 法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。 |
(期限の利益及びその放棄) Aー97条 第136条を維持 | (期限の利益及びその放棄) 第136条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。 2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。 |
(期限の利益の喪失) A―98条 次のいずれかに該当する場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。 一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。 二 債務者が、その義務に反して、担保を滅失、損傷、又は減少させたとき。 三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。 | (期限の利益の喪失) 第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。 一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。 二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。 三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。 |
第6章 期間の計算 Aー99条~A104条 第138~第143条を維持 | 第6章 期間の計算 (期間の計算の通則) 第138条~第143条は省略 |
第7章 時効第1節 総則 (時効の効力) Aー105条 第144条を維持 | 第7章 時効第1節 総則 (時効の効力) 第144条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。 |
(時効の援用と効果 ) A―106条 時効期間が満了したときは、当事者、又は保証人若しくは他人のために担保を設定した者(以下「物上保証人」という。)、その他その権利の消滅について正当な利益を有する第三者は、消滅時効を援用することができる。 | (時効の援用) 第145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない |
(時効の利益の放棄) Aー107条 第146条を維持 | (時効の利益の放棄) 第146条 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。 |
(時効の再進行) A―108条 1 債権の時効期間は、次に掲げる事由によって再進行する。一 確定判決によって権利が確定したこと。 二 裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力が認められるものによって権利が確定したこと。 三 相手方の権利を承認したこと。 四 強制執行又は担保権の実行としての競売の手続が終了したこと(権利の満足に至らない場合に限る。)。ただし、その手続が、債権者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときを除く。 2 前項第一号又は第二号に該当するときは、それぞれその確定の時から、新たに10年間の時効期間が進行を始めるものとする。 3 第1項三号に該当するときはその承認があった時から、第1項第四号に該当するときは当該手続が終了した時から、それぞれ新たに従前の時効期間と同一の時効期間が進行を始めるものとする。ただし、その時効期間の残存期間が従前の時効期間より長い場合には、時効の再進行の効力が生じない。 | (時効の中断事由) 第147条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。 一 請求 二 差押え、仮差押え又は仮処分三 承認 |
(時効の進行停止) A―109条 1 次のいずれかに該当する場合において、時効の再進行事由が生ずることなくこれらの手続が終了したときは、その終了の時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しないものとする。 一 訴えの提起その他の裁判上の請求、支払い督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加 二 強制執行、担保権の実行としての競売その他の民事執行の申立 三 仮差押命令その他の保全命令の申立て 2 前項の場合において、前項本文の期間中に行われた再度のこれらの手続については、時効の停止の効力を生じない。 3 債権の一部について、第1項に掲げる事由が生じた場合は、債権の全部について時効の進行が停止する。 4 第1項第二号又は第三号の申立ては、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の停止の効力を生じない。 | なし |
(裁判上の請求) Aー110条 裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の進行停止の効力を生じない。 | (裁判上の請求) 第149条 裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。 |
(支払督促) Aー111条 支払督促は、債権者が民事訴訟法第392条 に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の進行停止の効力を生じない。 | (支払督促) 第150条 支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条 に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。 |
(和解及び調停の申立て) Aー112条 和解の申立て又は民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の進行停止の効力を生じない。 | (和解及び調停の申立て) 第151条 和解の申立て又は民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。 |
(破産手続参加等) Aー113条 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の進行停止の効力を生じない。 | (破産手続参加等) 第152条 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。 |
(差押え、仮差押え及び仮処分) A-114条 差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の進行停止の効力を生じない。 | (差押え、仮差押え及び仮処分) 第154条 差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。 |
第155条を削除(A-110条第5項で規定) | 第155条 差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない。 |
(催告による時効の停止) A―115条 1 催告は、6ヶ月以内に、裁判上の請求、支払い督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事審判法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の停止の効力を生じない。 2 催告による時効の停止の効果は、1回のみ生ずる。 | (催告) 第153条 催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。 |
Aー116条 第156条を維持 | (承認) 第156条 時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。 |
第157条は削除(同内容は、Aー108条及びAー110条で規定) | (中断後の時効の進行) 第157条 中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たにその進行を始める。 2 裁判上の請求によって中断した時効は、裁判が確定した時から、新たにその進行を始める。 |
(未成年者又は成年被後見人と時効の停止) A-117条 第158条を維持 | (未成年者又は成年被後見人と時効の停止)第158条(省略) |
(夫婦間の権利の時効の停止) Aー118条 第159条を維持 | (夫婦間の権利の時効の停止)第159条 (省略) |
(相続財産に関する時効の停止) Aー119条 第160条を維持 | (相続財産に関する時効の停止)第160条 (省略) |
(天災等による時効の停止) A―120条 時効期間の満了に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効の再進行、進行の停止又は催告による時効の停止をすることがきでないときは、その障害が消滅した時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。 | (天災等による時効の停止) 第161条 時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から二週間を経過するまでの間は、時効は、完成しない。 |
(時効の再進行等の効力が及ぶ者の範囲) Aー121条 1 Aー108条の規定による時効の再進行は、その再進行開始の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。 2 Aー109条、Aー115条、又はAー121条の規定による時効の停止は、その時効停止の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を生ずる。 | (時効の中断の効力が及ぶ者の範囲) 第148条 前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。 |
第2節 取得時効 (所有権の取得時効) Aー122条~Aー125条 第162条~第165条を維持 | 第2節 取得時効 (所有権の取得時効)省略 |
第3節 消滅時効 (消滅時効の進行等) Aー126条 第166条を維持 | 第3節 消滅時効 (消滅時効の進行等) 第166条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。 2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の 承認を求めることができる。 |
(債権等の消滅時効) A―127条 1 債権は、10年間行使しないときは、消滅する。但し、事業者の有する契約に基づく債権については、5年間行使しないときは、消滅する。 2 第167条第2項を維持 3 前2項又はCー247条(不法行為による損害賠償請求権の期間 の制限)の規定にかかわらず、生命又は身体その他これに準じる利益の侵害を受けた者が、その侵害をした者に対する債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権を行使できる場合には、その侵害を受けた者又はその法定代理人が、その侵害行為によって生じた損害及び債務者若しくは加害者を知った時からその権利を5年間行使しないときは、その権利は時効によって消滅する。その権利を行使することができる時から30年を経過したときも、その権利は時効によって消滅する。 | (債権等の消滅時効) 第167条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。 |
(定期金債権の消滅時効) A―128条 定期金の債権についての消滅時効は、次のいずれかの場合に完成する。 一 第1回の弁済期から10年間行使しないとき 二 最後に弁済があった時において未払となっている給付がある場合には、最後の弁済の時から10年間行使しないとき 三 最後に弁済があった時において未払となっている給付がない場合には、次の弁済期から10年間行使しないとき | (定期金債権の消滅時効) 第168条 定期金の債権は、第一回の弁済期から二十年間行使しないときは、消滅する。最後の弁済期から十年間行使しないときも、同様とする。 2 定期金の債権者は、時効の中断の証拠を得るた め、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。 |
(定期給付債権の短期消滅時効) Aー129条 第169条を維持 | (定期給付債権の短期消滅時効) 第169条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。 |
第170条を削除 | (三年の短期消滅時効) 第170条 次に掲げる債権は、3年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。 一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権 二 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権 |
第171条を削除 | 第171条 弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から三年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる。 |
第172条を削除 | (二年の短期消滅時効) 第172条 弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権は、その原因となった事件が終了した時から二年間行使しないときは、消滅する。 2 前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時から五年を経過したときは、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は、消滅する。 |
第173条を削除 | 第173条 次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。 一 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権 二 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権 三 学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権 |
第174条を削除 | (一年の短期消滅時効) 第174条 次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。 一 月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権 二 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権 三 運送賃に係る債権 四 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権 五 動産の損料に係る債権 |
(判決で確定した権利の消滅時効) Aー130条 第174条の2を維持 | (判決で確定した権利の消滅時効) 第174条の2 確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。 2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。 |
改正案(条項骨子案) | 現行民法の条文 |
第3編 債権第1章 総則 第1節 債権の目的 (債権の目的) Bー1条 第399条を維持 | 第3編 債権第1章 総則 第1節 債権の目的 (債権の目的) 第399条 債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。 |
(特定物の保存義務) B―2条 1 契約によって生じた債権につき、その内容が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまでは、契約の趣旨に適合する方法及び態様により、その物を保存しなければならない。 2 契約以外の原因によって生じた債権につき、その目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまでは、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない(以下、第1項及び第2項を併せて「保存義務」という。)。 | (特定物の引渡しの場合の注意義務) 第400条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。 |
(種類債権) B―3条 1 第401条第1項を維持 2 前項の場合において、債権者と債務者が合意によって目的物の指定をなし、又は債務者が債権者の同意を得て給付すべき物を指定し、若しくは物の給付をするのに必要な行為を完了したときは、以後その物を債権の目的物とする。 | (種類債権) 第401条 債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。 2 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。 |
(金銭債権) Bー4条 第402条を維持 | (金銭債権) 第402条 債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。 2 債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。 3 前二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。 |
(外国通貨債権) B―5条 1 外国の通貨で債権額を指定した場合において、別段の意思表示がないときは、債務者は、その外国の通貨で履行をしなければならない。 2 前項の場合において、別段の意思表示がないときは、債権者は、その外国の通貨でのみ履行を請求することができる。 | 第403条 外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済をすることができる。 |
(法定利率) B―6条 1 利息を生ずべき債権について、別段の意思表示がないときは、その利率(以下「法定利率」という。)は年[3]パーセントとする。ただし、次に掲げる基準に従い、年1回に限り、基準貸付利率(日本銀行法第33条第1項第2号の貸付に係る基準となるべき貸付利率をいう。以下同じ。)の変動に応じて0.5パーセントの刻みで、改定されるものとする。 一 改定の有無が定まる日(以下、この条では「基準日」という。)は、1年のうちの一定の日に固定して政令で定めるものとする。 二 法定利率の改定は、基準日における基準貸付利率について、従前の法定利率が定まった日の基準貸付利率と比べて0.5パーセント以上の差が生じている場合に、行われるものとする。 三 改定後の新たな法定利率は、基準日における基準貸付利率をもとに、政令の定めるところにより、これに0.5パーセント刻みの数値とするための修正を行うことによって定めるものとする。 2 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、利息を支払う義務が生じた最初の時点の法定利率による。 3 債権の存続中に法定利率の変更があった場合に、変更があった時以降の当該債権に適用される利率は、変更後の法定利率とする。 | (法定利率) 第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年5分とする。 |
(利息の元本への組入れ) Bー7条 第405条を維持 | (利息の元本への組入れ) 第405条 利息の支払が1年分以上延滞した場合におい て、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。 |
(選択債権における選択権の帰属) Bー8条 第406条を維持 | (選択債権における選択権の帰属) 第406条 債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。 |
(選択権の行使) Bー9条 第407条を維持 | (選択権の行使) 第407条 前条の選択権は、相手方に対する意思表示によって行使する。 2 前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない。 |
(選択権の移転) Bー10条 第408条を維持 | (選択権の移転) 第408条 債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する。 |
(第三者の選択権) B―11条 1 第409条第1項を維持 2 同条第2項を維持 3 第1項による選択の意思表示は、債権者及び債務者の承諾を得なければ、撤回することができない。 | (第三者の選択権) 第409条 第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。 2 前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権 は、債務者に移転する。 |
(不能による選択債権への影響) B-12条 債権の目的である給付の中に、履行不能があるものがある場合(第三者が選択をすべき場合を除く。)において、それが選択権を有する当事者の選択権付与の趣旨に反する行為によって生じたときは、その選択権は相手方に移転する。 | (不能による選択債権の特定) 第410条 債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。 2 選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、前項の規定は、適用しない。 |
(選択の効力) Bー13条 第411条を維持 | (選択の効力) 第411条 選択は、債権の発生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。 |
第2節 債権の効力 第1款 履行の請求、強制等 (履行の請求と強制) B―14条 1 債権者は、債務者に対して、債務の履行を請求することができる。 2 前項の場合において、債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、民事執行法の定めに従い、直接強制、代替執行又は間接強制の方法により、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。 3 前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。 | 第2節 債権の効力 第1款 履行の強制等 (履行の強制) 第414条 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。 3 不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。 4 前三項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。 |
(履行不能) B―15条 1 次のいずれかに該当する場合には、債権者は、債務者に対してその履行を請求することができない(以下「履行不能」という。)。 一 債務の履行が不可能である場合 二 債務の履行に要する費用が、債権者が履行により得る利益と比べて著しく過大なものである場合 三 その他前二号に準じ、契約の趣旨又はその債務の発生原因に照らし、その債務の履行をさせることが相当でないと認められる場合 2 前項の規定は、金銭の支払いを目的とする債権(以下「金銭債権」という。)には適用しない。 3 前2項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。 | なし |
第2款 債務不履行の責任等 (履行期と履行遅滞) B―16条 1 第412条第1項を維持 2 債務の履行について、不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。債権者がその期限の到来を債務者に通知し、それが債務者に到達した時も同様とする。 3 同条第3項を維持 | 第2款 債務不履行の責任等 (履行期と履行遅滞) 第412条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。 2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。 3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。 |
(債務不履行による損害賠償) B―17条 1 債務者がその債務の履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。 2 前項の規定にかかわらず、その債務の不履行が、契約の趣旨又はその債務の発生原因に照らし、債務者の責めに帰することのできない事由により生じたと認められるときは、債務者はその不履行によって生じた損害を賠償する責任を免れる(以下、損害賠償の責任を免れる事由を「免責事由」という。)。 | (債務不履行による損害賠償) 第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。 |
(填補賠償) B―18条 1 前条の規定により債権者が損害賠償を請求できる場合において、次のいずれかに該当するときは、債権者は、債務者に対し、債務の履行に代わる損害の賠償(以下「填補賠償」という。)を請求することができる。 一 履行不能が生じたとき。 二 債権者が、その債権の発生原因である契約を解除したとき。 三 債権者が、債務者に対し、相当の期間を定めてその債務の履行を催告しても当該期間内に債務の履行がないとき。 2 前項の規定は、債務者が債務の履行を確定的に拒絶し、これによってその履行がされる見込みがないことが明らかである場合に準用する。 3 債権者の債務者に対する債務の履行請求と填補賠償請求は、共に行使することはできない。 | なし |
(履行遅滞後の履行不能) B―19条 債務者が履行期を経過した後にその債務につき履行不能が生じた場合において、その不能が生じたことにつき債務者に免責事由が認められ、かつ、履行期までに債務を履行したかどうかにかかわらずその不能が生ずべきであったときは、債務者は不履行による損害賠償の責任を免れ る。 | なし |
(損害賠償の範囲) B―20条 1 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、次に掲げる損害の賠償をさせることを目的とする。 一 通常生ずべき損害 二 前号以外の損害のうち、債務者が、不履行時において、当該不履行から生ずべき結果として予見した損害、又は当該契約の趣旨若しくは当該債務の発生原因に照らし予見すべきものと認められる損害 2 前項第二号の損害のうち、債務者が契約を締結した後に、初めて予見し、又は予見すべきものと認められるものについては、債務者がその損害を回避するために契約の趣旨に照らし相当と認められる措置を講じた場合は、債務者は、その損害を賠償する責任を負わない。 | (損害賠償の範囲) 第416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。 2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。 |
(損害賠償の方法) Bー21条 第417条を維持 | (損害賠償の方法) 第417条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。 |
(債務不履行による損害賠償責任の免除特約の効力) B―22条<日弁連案を引用> 次に掲げる契約条項はいずれも無効とする。ただし、その契約条項が正当な理由に基づいて設けられ、かつその内容が相当な範囲にとどまる場合は、この限りでない。 一 債務者の債務不履行による損害賠償責任を予め免除する契約条項二 債務者の故意又は重大な過失に基づく不履行による損害賠償責任を予め一部免除する契約条項 | なし |
(受領遅滞の効果) B―23条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は債務の履行を受けることができないとき(以下「受領遅滞」という。)は、以下の効果が生じる。 一 債務者の保存義務については、別段の合意がない限り、自己の財産に対するのと同一の注意をすれば足りる。 二 債務者に生じた増加費用を債権者に請求できる。 三 双務契約において、受領遅滞後に目的物の滅失又は損傷が生じた 場合(以下「滅失等」という。)は、債権者は反対給付の義務を負う。ただし C―28条(危険の移転)第2項ただし書きに該当する場合は、この限りでない。 | (受領遅滞) 第413条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないときは、その債権者は、履行の提供があった時から遅滞の責任を負う。 |
(金銭債務の特則) B―24条 1 金銭の支払いを目的とする債務(以下「金銭債務」という。)の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。 2 第419条第2項を維持 3 第1項の損害賠償については、債務者は、債務の不履行が不可抗力による場合でなければ、その責任を免れない。 4 Cー86条(諾成的消費貸借)の規定に基づく貸主の金銭の引渡し債務については、第1項及び第2項を適用しない。 | (金銭債務の特則) 第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただ し、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。 2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。 3 第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。 |
(過失等相殺) B―25条 債務の不履行又はそれによる損害の発生若しくは拡大について、債権者の過失行為その他の寄与行為があった場合、又は債権者に求めるのが相当と認められる措置を債権者が取らなかった場合は、裁判所は、これらを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。 | (過失相殺) 第418条 債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。 |
(損益相殺) B―26条 債務者が債務の不履行による損害賠償の責任を負うべき場合において、債権者がその不履行と同一の原因により利益を得たときは、その利益を得た額を賠償されるべき損害額から差し引くことができる。 | なし |
(賠償額の予定) B―27条 1 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。 2 第420条第2項を維持 3 同条第3項を維持 | (賠償額の予定) 第420条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の 額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。 2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。 3 違約金は、賠償額の予定と推定する。 |
Bー28条 第421条を維持 | 第421条 前条の規定は、当事者が金銭でないものを損害の賠償に充てるべき旨を予定した場合について準用する。 |
(損害賠償による代位) Bー29条 第422条を維持 | (損害賠償による代位) 第422条 債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。 |
(代償請求権) B-30条 履行不能と同一の原因によって、債務者が第三者に対する損害賠償請求権、保険金請求権その他履行の目的物の代償と認められる権利又は損害賠償金、保険金その他の利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の限度において、その権利又は利益の償還を請求することができる。ただし、債権者が債務者に対し、履行に代わる損害賠償請求権を行使できる場合は、この限りでない。 | なし |
第3款 債権者代位権及び詐害行為取消権 (債権者代位の要件、行使方法等) B―31条 1 債権者は、自己の債権を保全するため、自己の債権の範囲内において、債務者に属する第三債務者に対する権利を行使(以下「代位行使」という。)することができる。 2 代位行使は、次のいずれかに該当する場合は行うことができない。 一 債権者の権利について履行期が到来していない場合。ただし、債権 者の代位行使が保存行為となる場合はこの限りでない。 二 債権者の有する権利が強制力のないものである場合 三 債務者の権利が、債務者の一身に専属する権利である場合四 債務者の権利が、差押えを禁止された権利である場合 3 債権者は、代位行使をするときは、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。 4 債権者は、代位行使をするために必要な費用を支出したときは、債務者に対し、相当な範囲において、その費用の償還を請求することができ る。この場合、債権者は、その費用の償還請求権について、共益費用に関する一般の先取特権を有する。 | 第3款 債権者代位権及び詐害行為取消権 (債権者代位権) 第423条 債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。 2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。 |
(債権者代位の効果) B―32条 1 代位行使される債務者の権利が、金銭その他の物の引渡しを目的とするときは、債権者は、第三債務者に対し、その目的物を自己へ交付することを請求できる。 2 第三債務者が、前項により金銭その他の物を債権者に交付したときは、その限度で第三債務者の債務者に対する債務が消滅する。 3 債権者は、第1項により第三債務者から交付を受けた金銭その他の物を、債務者に返還する義務を負う。 4 債権者は、自己の債務者に対して有する金銭債権と、債務者に対する金銭返還債務との間で相殺をすることができない。ただし、次条第1項の規定による訴訟告知をした場合において、債権者が金銭その他の交付を受けた時から3ヶ月経過した場合は、この限りでない。 5 代位行使においては、第三債務者は、自己が債務者に対して有する抗弁を、債権者に対し、主張することができる。 | 同上 |
(債権者代位訴訟) B―33条 1 債権者が第三債務者に対し、代位行使のために訴訟を提起したときは、債権者は、債務者に対し、遅滞なく訴訟告知をしなければならない。 2 前項の訴訟告知を受けた債務者は、自己の第三債務者に対する債権について、取立てその他の処分、及び第三債務者からの弁済の受領をすることができない。 3 第1項の訴訟提起を受けた第三債務者は、債務者のために供託することができる。 | なし |
(責任財産の保全を目的としない債権者代位権) B―34条 1 B―31条(債権者代位権の要件、行使方法等)の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、債権者は債務者に属する第三債務者に対する権利を行使することができる。 一 債務者である不動産の譲渡人が、第三債務者である不動産の所有名義人に対する所有権移転の登記手続を求める権利を行使しないことによって、債権者である不動産の譲受人が、自己の譲渡人に対する所有権移転の登記手続を求める権利の実現が妨げられている場合 二 その他、債務者に属する第三債務者に対する権利が行使されないことによって、債権者の債務者に対する権利の実現が妨げられ、かつ債権者の権利を実現するために他に相当な方法がない場合 2 前項に規定する権利行使については、その性質に反しない限り、B― 31条から前条までの規定を準用する。 | なし |
(詐害行為取消権) B―35条 1 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律的行為(以下「詐害行為」という。)について、責任財産としての適格性を回復するために、その取消しを、次条以下の定めに従い裁判所に請求することができる。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 一 債権者の債権が詐害行為後の原因に基づいて生じたものである場合 二 債権者の債権が強制力のないものである場合 三 詐害行為が、財産権を目的としない行為である場合 2 詐害行為の取消しの請求は、その詐害行為によって財産その他の利益を受けた者(以下「受益者」という。)が、その詐害行為の当時債権者を害することを知らなかったときは、することができない。 3 詐害行為の取消訴訟においては、受益者、又は詐害行為によって逸出した財産を転得した者(以下「転得者」という。)を被告とする。 | (詐害行為取消権) 第424条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。 2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。 |
(詐害行為についてのみなし規定) B―36条 次に掲げる行為は、いずれも詐害行為とみなす。ただし、第三号の規定に該当する場合は、債権者は、その過大な部分に限り、取り消すことができる。 一 債務者が相当の対価を得てした財産の処分行為であって、当該行為がその財産の種類の変更により債務者において隠匿、無償の供与その他の債権者を害する処分(以下「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであり、及び債務者が当該行為の当時その対価について隠匿等の処分をする意思を有しており、かつ、受益者が当該行為の当時債務者において隠匿等の処分をする意思を有していることを知っていた場合 二 債務者が新たな借入れをするのと同時に、又はそれに先立って、当該借入先に抵当権の設定その他の担保を供与する行為(以下「担保供与行為」という。)であって、当該行為がそれにより債務者において隠匿等の処分をするおそれを現に生じさせるものであり、及び債務者が当該行為の当時その対価について隠匿等の処分をする意思を有しており、かつ、受益者が当該行為の当時債務者において隠匿等の処分をする意思を有していることを知っていた場合 三 債務者がした代物弁済であって、その代物弁済の給付の価額が当該代物弁済によって消滅した債務の額より過大である場合 四 債務者がした弁済、代物弁済(ただし、前号に該当しない場合又は該当しない範囲のもの)その他の債務消滅行為であって、当該行為が、債務者が支払不能であったときになされ、かつ、受益者が債務者と通謀して他の債権者を害する意図をもってした場合。ただし、当該行為の後、債務者が支払不能でなくなったときは、この限りでない。 五 債務者がした既存の債務についての担保供与行為であって、当該行為が、債務者が支払不能であったときになされ、かつ、受益者が債務者と通謀して他の債権者を害する意図をもって行った場合。ただし、当該行為の後、債務者が支払不能でなくなったときは、この限りでない。 六 第四号又は第五号に規定する行為が債務者の義務に属せず、又はその時期が債務者の義務に属しないものであって、当該行為が、債務者が支払不能になる前30日以内にされ、かつ、受益者が債務者と通謀して他の債権者を害する意図をもって行った場合。ただし、当該行為の後30日以内に債務者が支払不能になった後、債務者が支払不能でなくなったときは、この限りでない。 | なし |
(詐害行為についての推定規定) B―37条 1 前条第一号又は第二号に規定する受益者が、債務者の親族、同居 人、法人である債務者の理事、取締役、監査役又は親会社若しくは子会社、その他これらに準じると認められる者(以下、この款では、これらの者を総称して「債務者と同視できる者」という。)である場合は、受益者は当該行為の当時、債務者が隠匿等の処分をする意思を有していることを 知っていたものと推定する。 2 前条第四号から第六号までに規定する受益者が、債務者と同視できる者である場合は、受益者は、債務者と通謀し、その債権について債権者を害する意図を有していたものと推定する。前条第四号又は第五号に規定する行為が債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものであるときも、同様とする。 3 前条の適用については、債務者の支払の停止(同条四号又は第五号の行為の前1年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。 4 前条の適用については、受益者が、債務者の支払不能および当該行為が債権者を害することを知っていた場合には、債務者と通謀して他の債権者を害する意図を有しているものと推定する。 | なし |
(転得者に対する詐害行為取消権の要件) B―38条 1 債権者は、受益者に対する詐害行為取消権を行使することができる 場合において、その詐害行為によって逸出した財産を転得した者がある ときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、転得者に対する詐害行為取消権の行使として、債務者がした受益者との間の行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、転得者の前者が転得者と信義則上同視すべき事情があるときは、その前者において、詐害行為が債権者を害する事実につき善意であっても、転得者が当該事実につき悪意であるときは、債権者は、転得者に対して、詐 害行為取消権を行使することができる。この場合には、転得者は、善意の前者に対して、担保責任を追及することはできない。 一 当該転得者が受益者から転得した者である場合 当該転得者が、その転得の当時、債務者がした受益者との間の行為について債権者を害すべき事実を知っていた場合 二 当該転得者が他の転得者から転得した者である場合 当該転得者のほか、当該転得者の前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした受益者との間の行為について債権者を害すべき事実を知っていた場合 2 第1項の請求において、詐害行為が取り消されたときは、債務者に対する債権者は、詐害行為の対象となった転得者の所属財産に対して、民事執行法の定める手続きにしたがい、強制執行をすることができる。この場合においては、Bー39条(詐害行為取消しの効果)第2項から第5項までを準用する。 3 第1項の適用については、転得者が債務者と同視できる者であったときは、当該転得者は、その転得の当時、債務者がした受益者との間の行為について債権者を害すべき事実を知っていたものと推定する。 | なし |
(詐害行為の取消しの効果) B―39条 1 詐害行為が取り消されたときは、債務者に対する債権者は、詐害行為の対象となった受益者の所属財産に対して、民事執行法の定める手続きにしたがい、強制執行をすることができる。 2 債権者は、その有する債権の額にかかわらず、詐害行為取消しの請求によって、債務者の行為の全部を取り消すことができる。 3 債権者は、第1項に基づく強制執行につき、対象となる財産が費消、滅失、損傷、譲渡、権利の設定又は混和その他の事情により、その受益者若しくは転得者に対し行うことが不可能又は著しく困難な場合には、価格賠償を詐害行為取消訴訟において併せ求めることができる。 4 債務者に対し債権を有する債権者は、詐害行為を取り消した債権者が行う第1項の強制執行手続に対して、民事執行法の定める手続きに従い、権利を行使することができる。 5 詐害行為によって受益者の債権が消滅した場合において、詐害行為が取り消されたときは、受益者の債権は原状に復する。 6 詐害行為取消しの訴えに係る請求を認容する確定判決は、債務者の全ての債権者(ただし、取消権を行使することができる債権に限る)に対してその効力を有する。 | (詐害行為の取消しの効果) 第425条 前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。 |
(詐害行為取消権行使の費用) B―40条 債権者は、詐害行為取消訴訟をするために必要な費用を支出したときは、債務者に対し、その費用(弁護士費用を含む)のうち相当な額の範囲内について償還を請求することができる。この場合において、債権者は、その費用の償還請求権について、第306条第一号の規定による先取特権を有する。 | なし |
(詐害行為取消権の期間の制限) B―41条 Bー35条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から2年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から10年を経過したときも、同様とする。 | (詐害行為取消権の期間の制限) 第426条 第424条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から2年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。 |
第3節 多数当事者の債権及び債務第1款 総則 (分割債務) B―42条 1 法令に別段の定めがない限り、同一の可分給付を目的とする債務について複数の債務者がある場合には、当該債務は分割債務となる。ただし、債権者と各債務者との間の合意により連帯債務とすることができる。 2 分割債務を負担する数人の債務者は、債権者と各債務者との間に別段の合意がないかぎり、債権者との関係において、それぞれ平等の割合で債務を負担する。 | 第3節 多数当事者の債権及び債務第1款 総則 (分割債権及び分割債務) 第427条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。 |
(分割債権) B―43条 1 法令に別段の定めがない限り、同一の可分給付を目的とする債務について複数の債権者がある場合には、当該債権は分割債権となる。ただし、各債権者と債務者との間の合意により連帯債権とすることができる。 2 分割債権を有する数人の債権者は、各債権者と債務者との間に別段の合意がないかぎり、債務者との関係において、それぞれ平等の割合で債権を有する。 | 同上 |
第2款 連帯債務 (連帯債務) B―44条 1 同一の可分給付を目的とする債務について複数の債務者がある場合には、当該債務は、法律の規定により又は各債務者が連帯して債務を負担する旨の意思表示が債権者に対してなされたときに、連帯債務となる。 2 第432条を維持 3 保証の目的でなされた連帯債務については、保証の規定を準用する。 | 第3款 連帯債務 (履行の請求) 第432条 数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。 |
(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等) Bー45条 第433条を維持 | (連帯債務者の一人についての法律行為の無効等) 第433条 連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。 |
第434条を削除 | (連帯債務者の一人に対する履行の請求) 第434条 連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。 |
(連帯債務者の一人について生じた事由) B―46条 1 連帯債務者の一人に対する履行の請求、更改、その他の事由は、債権者と各連帯債務者間に別段の合意がある場合を除き、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。 2 前項の規定にかかわらず、連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。この場合において、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度で、他の連帯債務者は自己の債務の履行を拒絶することができ る。 3 第1項の規定にかかわらず、連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。 4 債務の免除を受けた連帯債務者は、他の連帯債務者からの求償に応じた場合であっても、債権者に対してその免除部分について償還を請求することはできない。 | (連帯債務者の一人との間の更改) 第435条 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。 |
第436条は削除(同条第2項はB-46条第2項において規定) | (連帯債務者の一人による相殺等) 第436条 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。 2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる。 |
第437条を削除 | (連帯債務者の一人に対する免除) 第437条 連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。 |
第438条を削除(Bー46条第3項において規定) | (連帯債務者の一人との間の混同) 第438条 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。 |
第439条を削除 | (連帯債務者の一人についての時効の完成) 第439条 連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。 |
第440条を削除(Bー46条において規定) | (相対的効力の原則) 第440条 第434条から前条までに規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。 |
第441条を削除 | (連帯債務者についての破産手続の開始) 第441条 連帯債務者の全員又はそのうちの数人が破産手続開始の決定を受けたときは、債権者は、その債権の全額について各破産財団の配当に加入することができる。 |
(連帯債務者間の求償権) B―47条 1 連帯債務者の一人が弁済その他自己の財産をもって共同の免責を得た(以下「連帯債務の履行」という。)ときは、その連帯債務者は、自己の負担部分を超える部分に限り、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償できる。 2 連帯債務者の一人が、債権者に対して代物弁済をし、又は更改後の債務の履行をして連帯債務の履行をした場合には、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、自己の負担部分を超える連帯債務の履行の限度で、他の連帯債務者の負担部分について求償をすることができる。 | (連帯債務者間の求償権) 第442条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。 2 前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。 |
(通知を怠った連帯債務者の求償の制限) B―48条 1 連帯債務者の一人が、連帯債務の履行をした場合であっても、そのことを他の連帯債務者に通知する以前に、他の連帯債務者が連帯債務の履行をしてその旨を先に通知してきたときは、通知を先にしてきた他の連帯債務者の連帯債務の履行を有効と見なす。ただし、通知をしてきた他の連帯債務者が、それ以前にその連帯債務者による連帯債務の履行がされた事実を知っていたときは、この限りでない。 2 連帯債務の履行をした連帯債務者が、他の連帯債務者の存在を知らなかった場合は、前項本文を適用しない。 | (通知を怠った連帯債務者の求償の制限) 第443条 連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。 2 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有 償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。 |
(償還をする資力のない者の負担部分の分担) B―49条 1 第444条を維持 2 負担部分を有する連帯債務者が全て資力のない者である場合において、負担部分を有しない連帯債務者が連帯債務の履行をしたときは、その履行をした連帯債務者は、負担部分を有しない他の連帯債務者のうちの資力がある者に対し、平等の負担割合による求償をすることができる。 | (償還をする資力のない者の負担部分の分担) 第444条 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。 |
第445条を削除 | (連帯の免除と弁済をする資力のない者の負担部分の分担)第445条 連帯債務者の一人が連帯の免除を得た場合において、他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があるときは、債権者は、その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する。 |
第3款 不可分債務、不可分債権、及び連帯債権 (不可分債務) B―50条 1 同一の債務について数人の債務者がある場合において、当該債務の内容がその性質上不可分であるときは、各債務者は、不可分債務を負担する。 2 数人が不可分債務を負担するときは、その性質に反しない限り、連帯債務に関する規定を準用する。 3 不可分債務の内容がその性質上可分となったときは、各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う。ただし、当事者の合意によって、これを連帯債務とすることができる。 | 第2款 不可分債権及び不可分債務 (不可分債務) 第430条 前条の規定及び次款(連帯債務)の規定(第四百三十四条から第四百四十条までの規定を除く。)は、数人が不可分債務を負担する場合について準用する。 |
(不可分債権) B―51条 1 同一の債権について数人の債権者がある場合において、当該債権の内容がその性質上不可分であるときは、各債権者は、不可分債権を有する。 2 数人が不可分債権を有するときは、その性質に反しない限り、Bー53条(連帯債権)に関する規定を準用する。 3 不可分債権の内容がその性質上可分となったときは、各債権者は自己が権利を有する部分についてのみ履行を請求することができる。ただ し、当事者の合意によって、これをB-53条に規定する連帯債権とすることができる。 | (不可分債権) 第428条 債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合において、数人の債権者があるときは、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。 |
(不可分債権者の1人について生じた事由等の効力) B-52条 1 不可分債権者の1人と債務者との間に更改、免除、又は混同があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その1人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならない。 2 第429条第2項を維持 | (不可分債権者の一人について生じた事由等の効力) 第429条 不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならない。 2 前項に規定する場合のほか、不可分債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の不可分債権者に対してその効力を生じない。 |
第431条を削除 | (可分債権又は可分債務への変更) 第431条 不可分債権が可分債権となったときは、各債権者は自己が権利を有する部分についてのみ履行を請求することができ、不可分債務が可分債務となったときは、各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う。 |
(連帯債権) B―53条 1 同一の可分給付を目的とする債権を複数の債権者が連帯して行使する場合(以下「連帯債権」という。)は、債権者は、すべての債権者のために履行を請求することができ、その債務者は、すべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。 2 連帯債権者の一人と債務者との間に更改、免除その他の事由が生じた場合においても、他の連帯債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合において、その一人の連帯債権者がその権利を失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならない。 3 前項の規定にかかわらず、連帯債権者の一人と債務者との間で混同があったときは、その連帯債権者は弁済を受領したものとみなす。債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合に、債務者が相殺を援用したときは、連帯債権はその相殺の限度で消滅する。 | なし |
第4款 保証債務第1目 総則 (保証契約の成立及び責任等) B-54条 1 保証は、債権者と保証人との間で、保証人が主たる債務者の債務の履行を保証する旨の契約を締結したときに成立する。 2 第446条第1項を維持 3 同条第2項を維持 4 同条第3項を維持 | 第4款 保証債務第1目 総則 (保証人の責任等) 第446条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。 2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 |
(個人保証の規制) B―55条 次に掲げる場合は、自然人を保証人とすることができない。ただし、事業者の事業を執行する者を事業者の保証人とする場合は、この限りでな い。 一 主たる債務の範囲に、金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれる根保証契約二 債務者が事業者であって、その事業者の貸金等債務を主たる債務とする保証契約 | なし |
(保証の責任制限) B―56条 1 裁判所は、主たる債務の性質、保証契約の締結に至る経緯、保証契約締結後の状況、保証期間、保証人の支払能力その他一切の事情を考慮して、保証人の責任を減免することができる。 2 債権者が事業者であり、保証契約を締結した当時における保証債務の内容がその当時における保証人の財産又は収入に照らして過大で あったときは、債権者は、保証人に対し、保証債務の過大な部分の履行 を請求することができない。ただし、保証債務の履行を請求する時点におけるその保証債務の内容が、その時点における保証人の財産又は収入に照らして適正な場合は、この限りでない。 | なし |
(保証債務の範囲) Bー57条 第447条を維持 | (保証債務の範囲) 第447条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約 金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。 2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。 |
(契約締結時の説明義務、情報提供義務) B―58条<第1項第四号以外は日弁連案を引用> 1 事業者である債権者は、保証人となる者が自然人である場合には、保証契約を締結するに際して、当該自然人に対して、以下の各号に掲げる事項をすべて説明しなければならない。 一 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負うこと。 二 主たる債務の元本、利息、違約金又は損害賠償の各内容、及び条件又は期限の定めがある場合は、その内容 三 当該保証契約に連帯保証の定めがある場合は、B-64条(催告の抗弁)、B-65条(検索の抗弁)、B-67条(催告、検索の抗弁の効果)及びB-68条(分別の利益)の適用がないこと。 四 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証する場合は、主たる債務者の信用状態。 2 事業者である債権者が、前項の説明を怠った場合には、保証人は保証契約を取り消すことができる。 | なし |
(契約締結後の情報提供義務) B―59条<第4項以外は日弁連案を引用> 1 事業者である債権者は、主たる債務の履行が遅延した場合には、直ちにその旨を保証人に通知しなければならない。 2 前項の通知を怠った場合には、債権者は、保証人に対し、当該通知を遅延した期間について遅延損害金を請求することができない。 3 第1項の通知を怠った場合には、債権者は、保証人に対し、期限の利益の喪失を主張することができない。 4 事業者である債権者は、保証人の請求があるときは、保証人に対し て、主たる債務の残額、及び延滞の状況その他債務が履行された状況を遅滞なく通知しなければならない。 | なし |
(保証人の負担が主たる債務より重い場合等) B―60条 1 保証人の負担が債務の内容において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に縮減する。 2 保証契約の成立後に、主たる債務の内容が縮減されたときは、保証債務の内容も主たる債務の限度に縮減される。 3 保証契約の成立後に、主たる債務の内容が加重された場合であっても、保証債務の内容は加重されない。 | (保証人の負担が主たる債務より重い場合) 第448条 保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。 |
(取り消すことができる債務の保証) Bー61条 第449条を維持 | (取り消すことができる債務の保証) 第449条 行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。 |
(保証人の要件) Bー62条 第450条を維持 | (保証人の要件) 第450条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。 一 行為能力者であること。 二 弁済をする資力を有すること。 2 保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったとき は、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。 3 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。 |
(他の担保の供与) Bー63条 第451条を維持 | (他の担保の供与) 第451条 債務者は、前条第一項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供し てこれに代えることができる。 |
(催告の抗弁) Bー64条 第452条を維持 | (催告の抗弁) 第452条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。 |
(検索の抗弁) Bー65条 第453条を維持 | (検索の抗弁) 第453条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。 |
(連帯保証の場合の特則) Bー66条 第454条を維持 | (連帯保証の場合の特則) 第454条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。 |
(催告の抗弁及び検索の抗弁の効果) Bー67条 第455条を維持 | (催告の抗弁及び検索の抗弁の効果) 第455条 第452条又は第453条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。 |
(数人の保証人がある場合の分別の利益) Bー68条 第456条を維持 | (数人の保証人がある場合) 第456条 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第427条の規定を適用する。 |
(主たる債務者について生じた事由の効力) B―69条 1 第457条第1項を維持 2 保証人は、主たる債務者が債権者に対して行使することのできる相殺権、取消権又は解除権を有する場合には、それらの権利の行使によって主たる債務者がその債務の履行を免れる限度で、債権者に対して保証債務の履行を拒絶することができる。 3 主たる債務者が、債権者に対し、前項に定める以外の抗弁権を有するときは、保証人はその抗弁権を債権者に対して主張できる。 | (主たる債務者について生じた事由の効力) 第457条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。 2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。 |
(連帯保証人について生じた事由の効力) Bー70条 連帯保証人に対する履行の請求は、債権者と連帯保証人との間に別段の合意がある場合を除き、主たる債務者に対してその効力を生じない。 | (連帯保証人について生じた事由の効力) 第458条 第434条から第440条までの規定は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。 |
(受託保証人の求償権) B―71条 1 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合(以下、このような保証における保証人を「受託保証人」という。)において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって主たる債務を消滅させる行為(以下「保証債務の履行」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。 2 B-73条(委託を受けない保証人の求償権)第1項の規定は、受託保証人が主たる債務の期限が到来する前に保証債務の履行をした場合について準用する。 3 前項の場合、主たる債務者は、保証人から求償を受けても、その債務の期限が到来した後に求償に応ずれば足りる。 | (委託を受けた保証人の求償権) 第459条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有す る。 2 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。 |
(受託保証人の事前求償権) B―72条 受託保証人は、次のいずれかに該当する場合には、主たる債務者に対して、あらかじめ求償権を行使することができる。 一 第460条第一号を維持二 同条第二号を維持 三 受託保証人が、過失なく、債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。 | (委託を受けた保証人の事前の求償権) 第460条 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。 一 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。 二 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。 三 債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後十年を経過したとき。 |
第461条を削除 | (主たる債務者が保証人に対して償還をする場合) 第461条 前二条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。 2 前項に規定する場合において、主たる債務者は、供託をし、担保を供し、又は保証人に免責を得させて、その償還の義務を免れることができる。 |
(委託を受けない保証人の求償権) Bー73条 1 主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が、保証債務の履行をしたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還をすれば足りる。 2 第462条第2項を維持 | (委託を受けない保証人の求償権) 第462条 主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還をしなければならない。 2 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。 |
(通知を怠った受託保証人の求償の制限) B―74条 1 受託保証人が、保証債務の履行をしたことを主たる債務者に通知しなかった場合において、その後に主たる債務者が債権者に対して弁済その他自己の財産をもって主たる債務を消滅させるべき行為(以下、この款では「主たる債務の弁済等」という。)をし、その旨をその保証人に先に通知したときは、その保証人は主たる債務者に求償できない。ただし、主たる債務者が、先にその保証債務の履行がされたことを知っていたとき、又は主たる債務者の所在不明その他により、その通知をすることが著しく困難な場合は、この限りでない。 2 主たる債務者が、主たる債務者の弁済等をしたにもかかわらず、これを受託保証人に通知することを怠っている間に、その保証人が保証債務の履行をし、これを主たる債務者に先に通知したときは、保証人は、主たる債務者に求償することができる。ただし、保証人が、主たる債務者のその弁済等を知っていたときは、この限りでない。 | (通知を怠った保証人の求償の制限) 第463条 第443条の規定は、保証人について準用する。 2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、善意で弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、第443条の規定は、主たる債務者についても準用する。 |
(通知を怠った委託を受けていない保証人の求償権の制限) B―75条 主たる債務者の委託を受けていないが、その債務者の意思に反しないで保証した者が、保証債務の履行をしたことを主たる債務者に通知しなかった場合において、その後に主たる債務者が主たる債務の弁済等をし、その旨を先にその保証人に通知したときは、その保証人は主たる債務者に求償できない。ただし、主たる債務者が、先にその保証債務の履行がされたことを知っていたときは、この限りでない。 | なし |
(連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権) Bー76条 第464条を維持 | (連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権) 第464条 連帯債務者又は不可分債務者の一人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。 |
(共同保証人間の求償権) Bー77条 第465条を維持 | (共同保証人間の求償権) 第465条 第442条から第444条までの規定は、数人の 保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。 2 第462条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。 |
第2目 根保証契約 (根保証契約の保証人の責任等) B―78条 1 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(身元保証を除く。以下「根保証契約」という。)の保証人(法人を除く。)は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。 2 根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。 3 Cー54条第3項及び第4項の規定は、根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。 | 第2目 貸金等根保証契約 (貸金等根保証契約の保証人の責任等) 第465条の2 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。 2 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。 3 第446条第2項及び第3項の規定は、貸金等根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。 |
(根保証契約の元本確定期日) B―79条 1 根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。 2 根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。 3 根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただ し、元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは、この限りでない。 4 Cー54条第3項及び第4項の規定は、根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その根保証契約の締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。 | (貸金等根保証契約の元本確定期日) 第465条の3 貸金等根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。 2 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする。 3 貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から五年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前二箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から五年以内の日となるときは、この限りでない。 4 第446条第2項及び第3項の規定は、貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その貸金等根保証契約の締結の日から三年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。 |
(根保証契約の元本の確定事由) B―80条 次のいずれかに該当する場合には、根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。 一 第465条の4第一号を維持二 同条第二号を維持 三 同条第三号を維持 | (貸金等根保証契約の元本の確定事由) 第465条の4 次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。 一 債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。 二 主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。 三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。 |
(根保証契約の元本確定請求) B―81条 主たる債務者と保証人との関係、債権者と主たる債務者との関係、又は主たる債務者の資産状態のいずれかについて、保証人が予期し得ない 事情の変更が生じ、そのために当初の根保証契約による保証人の責任を維持することが信義則に反すると認められるときは、根保証契約の保 証人は、主たる債務の元本の確定を請求することができる。 | なし |
(保証人が法人である根保証契約の求償権) Bー82条 保証人が法人である根保証契約であって、Bー78条第1項に規定する極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更がBー79条第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除く。)は、その効力を生じない。 | (保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権)第465条の5 保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の 定め若しくはその変更が第465条の3第一項若しくは第三項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除 く。)は、その効力を生じない。 |
第4節 債権の譲渡 (債権の譲渡性と譲渡禁止特約) B―83条 1 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2 債権者と債務者が当該債権の譲渡を禁止する旨の特約(以下「譲渡禁止特約」という。)をした場合であっても、その譲渡の効力は妨げられない。ただし、譲渡禁止特約を譲受人が知り、又は知らないことについて重大な過失があるときは、債務者は、譲受人に対して、当該債権の履行を拒み、又は譲渡人に対して弁済その他の当該債権を消滅させる行為をすることができ、かつ、その事由をもって譲受人に対抗することができる。 3 前項ただし書きに該当する場合であっても、次のいずれかに該当するときは、債務者は、譲渡禁止特約をもって譲受人に対抗することができない。 一 譲渡人又は譲受人に対して、当該債権の譲渡を承諾したとき。 二 債務者が債務の履行について遅滞の責任を負う場合において、譲受人が債務者に対し、相当の期間を定めて譲渡人に履行すべき旨の催告をし、その期間内に履行がないとき。 三 譲渡制限特約がある債権の譲受人がその債権譲渡を第三者に対抗することができる要件を備えた場合において、譲渡人について破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の決定があったこと。 四 譲渡制限特約がある債権の譲受人がその債権譲渡を第三者に対抗することができる要件を備えた場合において、譲渡人の債権者が当該債権を差し押さえたこと。 4 譲渡禁止特約のある債権が差し押さえられたときは、債務者は、当該特約をもって差押債権者に対抗することができない。 | 第4節 債権の譲渡 (債権の譲渡性) 第466条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。 |
(指名債権の譲渡の権利行使要件及び対抗要件) B―84条 1 特定の者を債権者とする債権(以下「指名債権」という。)の譲渡においては、その債権の譲受人は、その債権の譲渡人が当該譲渡をした旨を債務者に通知し、又は債務者が当該譲渡を承諾しなければ、債務者に対して債権者であることを主張できない(以下「債権譲渡の権利行使要件」という。)。 2 指名債権の譲渡においては、その債権の譲受人は、前項の通知が到達(ただし、到達が公証された場合に限る。以下同じ。)し、又は譲渡についての債務者の承諾を証する確定日付のある書面が債務者に提示されなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない(以下「債権譲渡の対抗要件」という。)。 | (指名債権の譲渡の対抗要件) 第467条 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 |
(複数の譲受人等がある場合の優先関係) B―85条 1 同一の指名債権について複数の譲渡がなされた場合において、いずれの譲渡についても前条第2項に規定する通知又は承諾がされたとき は、先に通知が到達し、又は承諾を証する確定日付のある書面が債務者に先に提示された譲受人が、債務者に対して弁済を請求することができ る。 2 複数の債権譲渡通知が債務者に同時に到達した場合、又は複数の承諾を証する確定日付ある書面の提示が同時に債務者に対してされた場 合、その各譲受人(以下「同順位譲受人」という。)は、債務者に対し、そ れぞれ指名債権の全部の弁済を請求することができる。 3 前項の規定による請求があったときは、債務者は、いずれかの同順位譲受人に対し全部の弁済をするか、又は弁済の目的物を供託して債務を免れることができる。 4 前項の規定により債権全部の弁済を受けた譲受人以外の同順位譲受人は、全部の弁済を受けた譲受人に対し、それぞれ、その債権額に応じて按分した額の償還を求めることができる。前項の規定により供託された場合においては、同順位譲受人は、それぞれ、その債権額に応じて案分した割合により供託物の還付を請求することができる。 5 譲渡された指名債権について差押えがあったときの第1項の適用については、前条第2項に規定する通知の到達時又は承諾を証する確定日付ある書面の提示がなされた時と、差押命令の送達時との先後によって債権の帰属の優劣を決する。これによって譲受人又は差押債権者への 債権の帰属の優劣を確定することができない場合は、第2項から前項までの規定を準用する。 | なし |
(指名債権の譲渡における債務者の抗弁) B―86条 1 指名債権の譲渡においては、債務者は、その債権譲渡の権利行使要件が具備された時までに生じた譲渡人に対抗することができた事由をもって、譲受人に対抗することができる。 2 前項の規定にかかわらず、債務者は、譲渡人に対して有する反対債権が次のいずれかに該当する場合は、これに基づく相殺の抗弁を譲受人に対抗できる。ただし、債権譲渡の権利行使要件の具備後に取得した他人の債権については、この限りでない。 一 債権譲渡の権利行使要件の具備前に生じた原因に基づいて取得した債権 二 将来発生する債権が譲渡された場合において、権利行使要件の具備後に生じた原因に基づいて債務者が取得した債権であって、その原因が譲受人の取得する債権を発生させる契約と同一の契約である債権 3 債務者は、書面で、及び放棄する抗弁を個別、かつ、具体的に特定するのでなければ、前2項の抗弁権を放棄する旨の意思表示をすることができない。債務者が、抗弁権を放棄した場合は、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。 | (指名債権の譲渡における債務者の抗弁) 第468条 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。 2 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。 |
(将来債権譲渡) B―87条 1 将来発生する債権(以下「将来債権」という。)の譲渡契約について は、B―83条(債権の譲渡性と譲渡禁止特約)第1項、B―84条(指名債権の譲渡の権利行使要件及び対抗要件)の規定を適用する。この場合、その債権は、債権契約の当事者、発生原因となる取引の種類、金額、発生時期その他の事項によって他の債権との識別が可能となるまで特定されること要する。 2 将来債権が譲渡され、権利行使要件が具備された場合には、その後に譲渡制限特約がされたときであっても、債務者は、これをもって譲受人に対抗することができない。 3 将来債権の譲渡契約が、次のいずれかに該当する場合は、その効力を有しない。 一 当該債権譲渡によって、譲渡人において譲渡以後通算して【10/ 5】年間又はそれ以上の期間にわたって発生しうる全ての債権を譲渡する場合 二 当該債権譲渡が担保目的である場合に、担保権が実行されたとき、民事執行法152条第1項の差押禁止債権にあたる部分について譲受人に確定的に帰属することが見込まれる場合 三 当該債権譲渡が担保目的である場合に、被担保債権の額が当該債権譲渡の総体としての価値と比較して著しく少額である場合 四 譲渡人が個人である場合において、譲渡以降通算して5年以上の期間において発生しうる債権を譲渡する場合 4 将来債権の譲渡契約における譲受人が、債務者に対してその効力を主張でき、かつ、第三者に当該債権譲渡を対抗できる場合は、譲受人 は、譲渡人から当該将来債権の発生原因となる契約上の地位を承継した者に限り、将来債権譲渡を対抗することができる。 5 前項の規定は、譲渡される債権が不動産賃料債権であり、当該不動産の賃貸人としての契約上の地位の承継が当該不動産自体の承継に伴って生じた場合には、適用しない。 | なし |
(指図証券の譲渡) B―88条 債権を表章する有価証券であって、次の各号に掲げるもの(以下、本節では「指図証券」という。)は、次条に規定する裏書きをして譲受人又は質権者に証券を交付することにより譲渡又は質権の設定をすることができる。 一 証券において権利者として指定された者またはその指図する者に対してのみ給付する旨の記載がある証券 二 法令の定めにより前号に規定する記載があるとみなされる証券 | (指図債権の譲渡の対抗要件) 第469条 指図債権の譲渡は、その証書に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 |
(裏書の方式等) B―89条 1 前条の裏書は、指図証券又はこれと結合した紙片に裏書の旨を記載し、裏書人が署名又は記名押印しなければならない。 2 裏書は、被裏書人を指定しないで、又は裏書人の署名のみですることができる。 3 持参人払の裏書は、前項に規定する裏書と同一の効力を有する。 4 裏書は、単純でなければならず、裏書に付した条件はこれを記載しなかったものとみなす。 5 表章された権利の一部のみの裏書は無効とする。 | なし |
(裏書の連続) B―90条 1 裏書のできる指図証券の占有者が裏書の連続によりその権利を証明するときは、これを適法な所持人と推定する。 2 最後の裏書が白地式の場合であっても前項の規定を適用する。 3 抹消した裏書は、裏書の連続との関係では、これを記載しなかったものとみなす。 4 白地式裏書に次いで他の裏書があるときは、その裏書をした者は、白地式裏書によって指図証券を取得したものとみなす。 | なし |
(善意取得) B―91条 事由の何であるかを問わず、指図証券の占有を失った者がいる場合において、その指図証券を取得した所持人は、前条の規定により権利を証明するときは、これを返還する義務を負わない。ただし、その指図証券を取得した者が、その前者において指図証券にかかる権利を取得していないことを知り、又は重大な過失によってこれを知らなかったときは、この限りでない。 | なし |
(指図証券と抗弁の切断) B―92条 指図証券に表章された債権の債務者は、その証券の証書に記載した事項及びその証書の性質から当然に生ずる結果を除き、その証券の譲渡人に対抗することができた事由をもってその証券の譲受人に対抗することができない。ただし、その譲受人がその債務者を害することを知ってその証券を取得した場合は、この限りでない。 | (指図債権の譲渡における債務者の抗弁の制限) 第472条 指図債権の債務者は、その証書に記載した事項及びその証書の性質から当然に生ずる結果を除き、その指図債権の譲渡前の債権者に対抗することができた事由を もって善意の譲受人に対抗することができない。 |
(指図証券の権利行使) B―93条 1 指図証券の所持人は、その証券と引換えでなければ、債務の履行を請求することができない。 2 指図証券に表章された債権については、その債務の履行は、証券に履行の場所が記載されている場合には、その場所においてしなければならない。 3 前項の記載がない場合には、債務者の現在の営業所又は事務所(営業所又は事務所がないときは、その住所)において、債務を履行しなければならない。ただし、債権の性質から当然に履行の場所が決定されるときは、この限りでない。 | なし |
(指図証券と履行遅滞) B―94条 指図証券に表章された債権の債務者は、その債務の履行について期限の定めがあるときであっても、その期限が到来した後に所持人がその証券を提示してその履行の請求をした時から遅滞の責任を負う。 | なし |
(指図証券と支払免責) B―95条 指図証券に表章された債権の債務者が、その証券と引換えに、裏書の連続した証券の所持人にその債務を履行したときは、その債務者は免責される。この場合、その債務者は、裏書の連続を調査する義務を負うが、裏書人の署名の真偽を調査する義務を負わない。ただし、債務者が、その指図証券が無効であることを知り、又は重大な過失によってこれを知らなかった場合は、この限りでない。 | (指図債権の債務者の調査の権利等) 第470条 指図債権の債務者は、その証書の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは、その弁済は、無効とする。 |
(記名式所持人払証券) B―96条 1 債権を表章する有価証券であって、その証券において債権者を指名する記載がされ、かつ、債権者として指名された者又は持参人に対してのみ給付する旨の記載があるもの(以下「記名式所持人払証券」という。) は、譲受人又は質権者に証券を交付することにより譲渡又は質権の設定をすることができる。 2 記名式所持人払証券の占有者は、その証券が表章する権利を適法に有するものと推定する。 3 記名式所持人払証券の交付を受けた者は、その証券が表章する権利を取得する。ただし、その者が、その証券の所持人が権利を取得していないことを知り、又は知らなかったことについて重大な過失がある場合は、この限りでない。 4 B―92条(指図証券と抗弁の切断)からB―94条(指図証券と履行遅滞)までの規定は、記名式所持人払証券に準用する。 5 記名式所持人払証券に表章された債権の債務者が、その証券と引き換えに、その証券の所持人に債務を履行したときは、その債務者は免責される。ただし、債務者、その証券が無効であることを知り、又は知らないことについて重大な過失があるときは、この限りでない。 | なし |
(債権者を指名する記載がされたその他の証券) B―97条 1 債権者を指名する記載がされている証券であって、指図証券及び記名式所持人払証券以外のものは、指名債権の譲渡又はこれを目的とする質権の設定に関する方式に従い、かつ、その効力をもってのみ、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。 2 前項に規定された証券の公示催告手続については、B-99条(有価証券と公示催告手続)及びB―100条(有価証券喪失と債務の履行)を準 用する。 | (記名式所持人払債権の債務者の調査の権利等) 第471条 前条の規定は、債権に関する証書に債権者を指名する記載がされているが、その証書の所持人に弁済をすべき旨が付記されている場合について準用する。 |
(無記名証券) B―98条 無記名証券については、B-96条(記名式所持人払証券)の規定を準用する。 | (無記名債権の譲渡における債務者の抗弁の制限) 第473条 前条の規定は、無記名債権について準用する。 |
(有価証券と公示催告手続) B―99条 次の各号に掲げる有価証券については、非訟事件手続法第142条に規定する公示催告手続により、これを無効とすることができる。 一 指図証券 二 記名式所持人払証券 三 証券において権利者として指定された者に対してのみ給付する旨の記載があるもの | なし |
(有価証券喪失と債務の履行) B―100条 前条に規定する有価証券の所持人、その他公示催告手続を利用することができる有価証券の所持人が、その有価証券を喪失した場合におい て、非訟事件手続法第156条に規定する公示催告の申立てをしたとき は、その証券に表章された債権の債務者に、その債務の目的物を供託させ、又は相当の担保を供してその有価証券の趣旨に従いその債務を履行させることができる。 | なし |
第5節 債務引受及び契約上の地位移転 (併存的債務引受) B―101条 1 債権者又は債務者以外の者は、次に掲げる場合には、債務者が負担している債務と同一内容の債務を、債務者と連帯して債権者に対して負担する(以下「併存的債務引受」という。)ことができる(以下、この節において、新たに債務を負担をする者を「引受人」という。)。 一 債権者と引受人との間で併存的債務引受の合意がある場合 二 債務者と引受人との間で併存的債務引受の合意があり、かつ債権者が引受人に対してその債務引受を承諾した場合 2 併存的債務引受における引受人と債務者の関係については、連帯債務の規定を準用する。 3 引受人は、併存的債務引受の成立時までに債務者が債権者に対して有していた抗弁を債権者に対抗することができる。但し、債務者が、その債権の発生原因たる契約の解除権若しくは取消権を有していた場合又は債権者に対する反対債権を有していたときは、その限度で引受人は履行を拒絶することのみできる。 4 併存的債務引受が、債務者の債務を保証する目的であるときは、保証の規定を準用する。 | なし |
(免責的債務引受) B―102条 1 引受人は、次に掲げる場合には、債務者が負担する債務と同一内容の債務を負担し、債務者にその債務を免れさせる(以下「免責的債務引受」という。)ことができる。 一 引受人が債権者との間で免責的債務引受の合意を行い、かつ、債権者が債務者に対してその債務を免責する意思表示を行った場合 二 引受人が債務者との間で免責的債務引受の合意を行い、かつ、これを債権者が承諾を行った場合 3 引受人は、免責的債務引受を行ったことによって、債務者に対して求償することはできない。 4 第1項によって債権者の債務者に対する債権が消滅したときは、債務者の債務に付されていた担保も消滅する。ただし、担保を設定した者が反対の意思を有していた場合、またはその担保を引受人が提供していた場合は、この限りでない。 5 引受人は、免責的債務引受の成立時までに債務者が債権者に対して有していた抗弁を債権者に対抗することができる。但し、債務者が、その債権の発生原因たる契約の解除権若しくは取消権を有していた場合、又は債権者に対する反対債権を有していたときは、その限度で引受人は履行を拒絶することのみできる。 | なし |
(契約上の地位の移転) B―103条 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をし、その契約の相手方が当該合意を承諾したときは、譲受人は、譲渡人の契約上の地位を承継する。 | なし |
第6節 債権の消滅第1款 弁済 第1目 総則 (弁済) B―104条 債務が履行されたときは、その債権は、弁済によって消滅する。 | なし |
(第三者の弁済) B―105条 1 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2 前項の規定により債務を履行しようとする第三者が、次のいずれにも 該当しないときは、債権者は、その履行を受けることを拒むことができる。一 物上保証人、担保物を譲り受けた者(以下「第三取得者」という。)、 後順位抵当権者、その他債務を履行するについて正当な利益を有する者 二 債務を履行するについて債務者の承諾を得た者 3 債権者が前項各号のいずれにも該当しない第三者による履行を受けた場合において、その第三者による履行が債務者の意思に反したとき は、その弁済は、無効とする。 | 第5節 債権の消滅第1款 弁済 第1目 総則 (第三者の弁済) 第474条 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。 2 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。 |
(債務の履行の相手方) B―106条 1 債務の履行は、次に掲げる者(以下、総称して「受取権者」という。)のいずれかに対してしたときは、弁済としての効力を有する。 一 債権者 二 債権者が履行を受ける権限を与えた第三者 三 法令の規定により履行を受ける権限を有する第三者 2 受取権者以外の者であっても、受取権者としての外観を有するものに対してした債務の履行は、債務者が、その外観を有する者が受取権者であると信じたことにつき正当な理由がある場合に限り、弁済としての効力を有する。 | なし |
Bー107条 第479条の規律を維持 | (受領する権限のない者に対する弁済) 第479条 前条の場合を除き、弁済を受領する権限を有しない者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。 |
Bー108条 第475条を維持 | (弁済として引き渡した物の取戻し) 第475条 弁済をした者が弁済として他人の物を引き渡したときは、その弁済をした者は、更に有効な弁済をしなければ、その物を取り戻すことができない。 |
第476条を削除 | 第476条 譲渡につき行為能力の制限を受けた所有者が弁済として物の引渡しをした場合において、その弁済を取り消したときは、その所有者は、更に有効な弁済をしなけれ ば、その物を取り戻すことができない。 |
(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等) Bー109条 第477条を維持 | (弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等) 第477条 前二条の場合において、債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をする |
第478条を削除 | (債権の準占有者に対する弁済) 第478条 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。 |
第480条を削除 | (受取証書の持参人に対する弁済) 第480条 受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。 |
(支払の差止めを受けた第三債務者の弁済) Bー110条 第481条を維持 | (支払の差止めを受けた第三債務者の弁済) 第481条 支払の差止めを受けた第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。 2 前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。 |
(代物弁済) B―111条 1 債務者が債権者との間で、その当事者間の契約により負担した本来の給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約(以下「代物弁済契約」という。)をした場合において、債務者が当該他の給付をしたときは、債権は消滅する。 2 代物弁済契約をした場合であっても、債権者は、他の給付がされるまでの間は、本来の給付を請求することができる。 3 代物弁済契約をした場合であっても、債務者は、本来の給付をすることができる。この場合には、債権者は、当該給付の受取を拒絶して他の給付を請求することはできない。 | (代物弁済) 第482条 債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。 |
第483条を削除 | (特定物の現状による引渡し) 第483条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。 |
(弁済の場所、時間) B―112条 1 第484条と同じ 2 法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、債務の履行をし、又はその履行の請求をすることができる。 | (弁済の場所) 第484条 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。 |
(弁済の費用) B―113条 第485条を維持 | (弁済の費用) 第485条 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。 |
(受取証書の交付請求) B―114条 弁済をする者は、弁済を受領する者に対し、弁済と引き替えに受取証書の交付をするよう請求することができる。 | (受取証書の交付請求) 第486条 弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。 |
(債権証書の返還請求) B―115条 第487条を維持 | (債権証書の返還請求) 第487条 債権に関する証書がある場合において、弁済をした者が全部の弁済をしたときは、その証書の返還を請求することができる。 |
(流動性預金口座における預金債権の成立による弁済) B―116条 債権者の預金口座に金銭を振り込む方法によって債務を履行したときは、債権者の預金口座において当該振込額の入金が記録される時に、弁済の効力が生ずる。 | なし |
(弁済の充当) B―117条 1 次のいずれかに該当し、かつ、履行をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をした場合において、当事者間に充当の順序に関する合意(以下「充当合意」という。)があるときは、その順序に従い充当する。 一 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を内容とする数個の債務を負担する場合。ただし、第三号に該当する場合を除く。 二 債務者が一個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合。ただし、第三号に該当する場合を除く。 三 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を内容とする数個の債務を負担する場合において、そのうち一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべきとき。 2 前項第一号に該当する場合において、充当合意がないときは、Bー1 18条(弁済の充当の指定)及びBー119条(法定充当)を適用する。 3 第1項第二号に該当する場合において、充当合意がないときは、Bー 120条(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)を適用する。 4 第1項第三号に該当する場合において、充当合意がないときは、Bー 120条の規定を適用する。この場合において、数個の債務の費用、利息又は元本のうちいずれかの全部を消滅させるのに足りないときは、Bー1 18条及びBー119条を適用する。 | なし |
(弁済の充当の指定) B―118条 第489条を維持 | (弁済の充当の指定) 第488条 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。 2 弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでな い。 3 前二項の場合における弁済の充当の指定は、相手方に対する意思表示によってする。 |
Bー119条 (法定充当) 第489条を維持 | (法定充当) 第489条 弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも前条の規定による弁済の充当の指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。 一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものに先に充当する。 二 すべての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。 三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。 四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。 |
(数個の給付をすべき場合の弁済充当)第490条を削除 | (数個の給付をすべき場合の充当) 第490条 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、前二条の規定を準用する。 |
(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当) B―120条 第491条の規律を維持 | (元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当) 第491条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。 2 第489条の規定は、前項の場合について準用する。 |
(民事執行手続きにおける配当と弁済の充当) B-121条 民事執行手続きにおける配当が、同一の債権者が有する数個の債権の全てを消滅させるに足りない場合は、Bー119条(法定充当)及びBー 120条(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)第2項を準用する。 | なし |
(弁済の提供の効果) B―122条 債務者は、弁済の提供の時から、履行遅滞による損害賠償の責任、債権者による契約解除権の行使、その他債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。 | (弁済の提供の効果) 第492条 債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。 |
(弁済の提供の方法) Bー123条 弁済の提供は、債務の内容に従って現実にしなければならない。ただ し、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。 | (弁済の提供の方法) 第493条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば 足りる。 |
第2目 弁済の目的物の供託 (供託) B―124条 1 債権者が、債務者において弁済の提供をしたにもかかわらずその受 領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下、この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。 2 弁済者が、債権者を確知することができないときも前項の供託をすることができる。ただし、弁済者が過失によって債権者を確知することができなかった場合は、この限りでない。 3 前2項による供託がなされたときは、債権は消滅する。ただし、供託をした者が、Bー126条(供託物の取戻し)の規定により供託物を取り戻したときは、債権は消滅しなかったものとみなす。 4 第1項又は第2項による供託がなされたときは、債権者は供託物の還付を請求することができる。 | 第2目 弁済の目的物の供託 (供託) 第494条 債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とす る。 |
(供託の方法) B-125条 第495条を維持 | (供託の方法) 第495条 前条の規定による供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。 2 供託所について法令に特別の定めがない場合には、裁判所は、弁済者の請求により、供託所の指定及び供託物の保管者の選任をしなければならない。 3 前条の規定により供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければならない。 |
(供託物の取戻し) B-126条 第496条を維持 | (供託物の取戻し) 第496条 債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす。 2 前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない。 |
(供託に適しない物等) B―127条 弁済者は、次のいずれかに該当する場合には、裁判所の許可を得て、弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができる。 一 弁済の目的物が供託に適しない場合 二 弁済の目的物が、滅失若しくは損傷その他の事由により価格の低落のおそれがある場合 三 その他弁済の目的物を供託することが困難な場合 | (供託に適しない物等) 第497条 弁済の目的物が供託に適しないとき、又はその物について滅失若しくは損傷のおそれがあるときは、弁済者は、裁判所の許可を得て、これを競売に付し、その代金を供託することができる。その物の保存について過分の費用を要するときも、同様とする。 |
(供託物の受領の要件) Bー128条 第498条を維持 | (供託物の受領の要件) 第498条 債務者が債権者の給付に対して弁済をすべき場合には、債権者は、その給付をしなければ、供託物を受け取ることができない。 |
第3目 弁済による代位 (任意代位) 第499条を削除 | 第3目 弁済による代位 (任意代位) 第499条 債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。 2 第467条の規定は、前項の場合について準用する。 |
(法定代位) Bー129条 第500条を維持 | (法定代位) 第500条 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。 |
(弁済による代位の効果) B―130条 前条によって代位した者は、債務者に対して求償をすることができる範囲内において、債権者が債務者に対して有していた債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使する(以下「債権者に代位する」という。)ことができる。この場合においては、次の各号の定めるところによる。 一 保証人又は物上保証人が債権者に弁済した場合は、第三取得者に対して債権者に代位する。 二 第三取得者が弁済した場合は、保証人又は物上保証人に対して債権者に代位しない。 三 保証人が複数存在する場合に、その保証人の1人が債権者に弁済したときは、保証人の頭数に応じて平等の割合で、他の保証人に対して債権者に代位する。ただし、その権利行使ができる範囲は求償権の範囲内とする。 四 物上保証人が複数存在する場合に、物上保証人の1人が弁済をしたときは、各担保提供財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。 五 保証人と物上保証人が各1人又はそれぞれ複数存在する場合に、いずれかの1人が弁済をしたときは、その頭数に応じて平等の割合で他の者に対して債権者に代位する。ただし、物上保証人が複数存在する場合は、保証人の負担部分を除いた残額について、各担保提供財産の価格に応じて、債権者に代位する。 六 前号の場合において、複数の保証人又は物上保証人の中に両方の地位を兼ねる者が存在するときは、この者を1人とし、全員の頭数に応じた平等の割合で債権者に代位する。 七 物上保証人から担保目的物を譲り受けた者は、本条の関係では物上保証人とみなす。 | (弁済による代位の効果) 第501条 前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。 一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。 二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。 四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。 五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。 六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。 |
(一部弁済による代位) B―131条 1 債権の一部について弁済がなされた場合は、その弁済の範囲で代位の効果(以下「一部代位」という。)が生じる。 2 一部代位の場合においては、債権者は単独で、債権者が債務者に対して有していた債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。 3 一部代位をした者は、債権者の同意を得て、前項の権利を行使することができる。 4 債権者による第2項の権利行使によって得られる担保目的物の売却代金その他の金銭については、債権者が一部代位をした者に優先する。 | (一部弁済による代位) 第502条 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使する。 2 前項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。 |
(債権者による債権証書の交付等) B―132条 第503条を維持 | (債権者による債権証書の交付等) 第503条 代位弁済によって全部の弁済を受けた債権者 は、債権に関する証書及び自己の占有する担保物を代位者に交付しなければならない。 2 債権の一部について代位弁済があった場合には、債権者は、債権に関する証書にその代位を記入し、かつ、自己の占有する担保物の保存を代位者に監督させなければならない。 |
(担保保存義務) B―133条 1 債権者は、Bー129条の規定により代位をすることができる者のために、担保を喪失又は滅失させない義務を負う。 2 債権者が故意又は過失によって前項の義務に違反した場合には、前項の代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなくなった限度において、その責任を免れる。ただし、その担保の喪失又は減少が、代位をすることができる者が代位をした場合における正当な利益を害するものと認められないときは、この限りでない。 3 前項の規定によって物上保証人、物上保証人から担保目的物を譲り受けた者又は第三取得者が免責されたときは、その後にその者から担保目的物を譲り受けた者も、免責の効果を主張することができる。 | (債権者による担保の喪失等) 第504条 第500条の規定により代位をすることができる者がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなくなった限度において、その責任を免れる。 |
第2款 相殺 (相殺の要件) B―134条 1 二人が、互いに対立する同種の内容の債権を有する場合において、双方の債権の弁済期が到来しているとき(以下、この状態を「相殺適状」という。)は、一方の債権者は自己が有する債権(以下この款では「自働債権」という。)をもって、相手方が有する債権(以下この款では「受働債権」という。)との間で相殺をすることができる。 2 相殺適状は、自働債権の債権者が、受働債権についての自己の債務の期限の利益を放棄することによって実現することができる。 3 相殺は、自働債権又は受働債権のうち、いずれかの性質がこれを許さないとき、いずれかにつき当事者が相殺を禁止する旨の合意をしたとき、又は自働債権の行使を阻止する事由が存在するときは、これをすることができない。 4 前項に規定する合意は、その合意の存在を知らない第三者に対抗することができない。ただし、その合意の存在を知らないことについて、その第三者に重大な過失がある場合は、この限りでない。 | 第2款 相殺 (相殺の要件等) 第505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないとき は、この限りでない。 2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。 |
(相殺の方法及び効力) B―135条 1 第506条第1項を維持 2 前項の意思表示があったときは、双方の債権は、相殺適状になった時に遡って対当額にて消滅する。 | (相殺の方法及び効力) 第506条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。 2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。 |
(履行地の異なる債務の相殺) Bー136条 第507条を維持 | (履行地の異なる債務の相殺) 第507条 相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければならない。 |
(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺) Bー137条 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺適状となっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。ただし、既に時効にかかった他人の債権を譲り受け、これを自働債権として相殺することは、この限りでない。 | (時効により消滅した債権を自働債権とする相殺) 第508条 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。 |
(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止) B―138条 1 不法行為又は債務不履行によって生じた損害賠償債権を受働債権とする相殺はできない。 2 前項にかかわらず、当事者双方の過失によって生じた同一の事故により、双方に損害が生じた場合は、これによって生じた損害賠償債権を受働債権とする相殺ができるものとする。ただし、その損害が、生命又は身体の侵害によって生じた場合は、この限りでない。 | (不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)第509条 債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。 |
(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止) Cー139条 第510条を維持 | (差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止) 第510条 債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。 |
(支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺) B―140条 債権の差押えがあった場合であっても、第三債務者は、差押えの前に 生じた原因に基づいて取得した債権を反対債権とする相殺をもって、差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が取得した債権が、差押え後に他人から取得したものである場合には、この限りでない。 | (支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)第511条 支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。 |
(相殺の充当) B―141条 (相殺の充当) 1 相殺における充当については、当事者間に充当合意があるときは、その順序に従い充当する。 2 前項の充当合意がない場合は、元本債権相互間においては相殺適状となった時期の順に従って相殺し、その時期を同じくする元本債権相互間並びに元本債権とこれについての利息及び費用との間については、民法第489条及び第491条の規定を準用する。 | (相殺の充当) 第512条 第488条から第491条までの規定は、相殺について準用する。 |
第3款 更改 (更改) B―142条 1 当事者が、従前の債務(以下「更改前の債務」という。)を消滅させるともに、債務の目的その他の債務の主要な部分が異なる新たな債務を成 立させる契約(以下「更改契約」という。)をしたときは、更改前の債務は消滅する。 2 前項の場合、新たな債務について不履行があったときであっても、債権者は更改契約を解除することができない。 3 更改は、次のいずれかの場合には、効力を有しない。 一 更改前の債務が更改契約の締結の時に存在しなかった場合二 更改後の債務が成立しなかった場合 | 第3款 更改 (更改) 第513条 当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。 2 条件付債務を無条件債務としたとき、無条件債務に条件を付したとき、又は債務の条件を変更したときは、いずれも債務の要素を変更したものとみなす。 |
(債務者の交替による更改) B―143条 債権者、債務者及び第三者の間で、従前の債務を消滅させ、第三者が債権者に対して新たな債務を負担する契約をしたときも、従前の債務は、更改によって消滅する。 | (債務者の交替による更改) 第514条 債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。ただし、更改前の債務者の意思に反するときは、この限りでない。 |
(債権者の交替による更改) B―144条 1 債権者、債務者及び第三者の間で、従前の債務を消滅させ、第三者が債務者に対する新たな債権を取得する契約をしたときも、従前の債務は、更改によって消滅する。 2 B―84条(指名債権の譲渡の権利行使要件及び第三者対抗要件)第 2項の規定は、債権者の交替による更改に準用する。 | (債権者の交替による更改) 第515条 債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。 |
第516条は削除 | 第516条 第468条第一項の規定は、債権者の交替による更改について準用する。 |
第517条を削除 | (更改前の債務が消滅しない場合) 第517条 更改によって生じた債務が、不法な原因のため又は当事者の知らない事由によって成立せず又は取り消されたときは、更改前の債務は、消滅しない。 |
(更改後の債務への担保の移転) B―145条 1 債権者は、更改前の債務の限度において、更改前の債務を担保するために設定された担保権、又は保証を、更改後の債務に移すことができる。 2 前項の担保権が、第三者が設定したものである場合には、その第三者の承諾を得なければならない。 3 更改前の債務の保証人が、書面によって、更改後の債務を履行する旨の承諾をしなければ、その保証人は更改後の債務を履行する責任を負わない。 4 第1項の担保権の移転、又は第3項の保証の移転は、更改契約と同時にする意思表示によってしなければ効力を生じない。 | (更改後の債務への担保の移転) 第518条 更改の当事者は、更改前の債務の目的の限度において、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができる。ただし、第三者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない。 |
第4款 免除 (免除) B―146条 債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は消滅する。ただし、これによって債務者の利益を害することはできない。 | 第4款 免除 第519条 債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。 |
第5款 混同 (混同) B-147条 第520条を維持 | 第5款 混同 第520条 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。 |
改正案(条項骨子案) | 現行民法の条文 |
第3編 債権 第2章 契約第1節 総則 第1款 契約の原則 (契約自由の原則と制約) C―1条 契約の当事者は、A―44条(法律行為と公序良俗)の規定その他法令の制限内において、自由に契約内容を決めることができる。 | なし |
(原始的に不能な契約の効力) C―2条 1 契約締結以前に目的物の滅失その他により履行不能が生じた場合(以下「原始的不能」という。)であっても、契約が有効であることの妨げにはならない。ただし、契約締結時に原始的不能であることを知っていたのであれ ば、契約の当事者は契約を締結しなかったであろうと認められるときは、その契約は無効とする。 2 前項本文の場合においても、当事者が錯誤により契約を取消すことは妨げない。 | なし |
(契約関係における付随義務) C―3条 契約の当事者は、当該契約に基づく債権の行使又は債務の履行に当た り、当該契約において明示又は黙示に合意されていない場合であっても、当該契約の目的を実現するために、当該契約の趣旨に照らし、必要、かつ、 相当と認められる行為をしなければならない。 | なし |
(契約関係における保護義務) C―4条 1 契約の当事者は、当該契約において明示又は黙示に合意されていない場合であっても、相手方の生命、身体、名誉、財産その他の利益を害しないよう、当該契約の趣旨に照らし、必要、かつ、相当と認められる行為をしなければならない。 2 契約当事者の一方が、前項に反した場合は、その者は、これにより相手方が被った損害を賠償しなければならない。 | なし |
(契約交渉の不当破棄) C―5条 契約交渉の当事者の一方は、契約が成立しなかった場合でも、これによって相手方が被った損害を賠償する責任を負わない。ただし、契約当事者の一方が次のいずれかに該当する行為をした場合は、その者は相手方が 被った損害を賠償する責任を負う。 一 交渉の経過から、相手方が、契約の成立が確実であると信じ、かつ、契約の性質、当事者の知識及び経験、交渉の進捗状況その他交渉に関する一切の事情に照らして、そのように信ずることが相当な場合において、正当な理由なく契約の締結を妨げたとき。 二 その他前号に準じ、契約の交渉の破棄が信義則に反し、相手方の利益を不当に害したとき。 | なし |
(契約締結過程における情報提供義務) C―6条 契約の当事者の一方(以下、この条では「情報保持者」という。)が、ある情報を契約締結前に知り、又は知ることができた場合に、次のすべての要件を満たすときには、情報保持者は、当該契約を締結したことによって相手方が被った損害を賠償しなければならない。 一 その相手方が、当該情報を契約締結前に知っていれば当該契約を締結せず、又はその内容では当該契約を締結しなかったことを、情報保持者において知ることができたこと。 二 契約の性質、当事者の知識及び経験、契約を締結する目的、契約交渉の経緯その他当該契約に関する一切の事情に照らし、その相手方が自ら当該情報を入手することを期待できないこと。 三 その内容により当該契約を締結したことによって生ずる不利益を、その相手方に負担させることが、前号の事情に照らして相当でないこと。 | なし |
(事情変更がある場合の法的拘束力の例外) Cー7条 契約は、その締結時において基礎となった事情が変更しても、法的拘束力は失われない。ただし、次に掲げる要件のすべてを満たす場合は、各当事者は当該契約の解除を裁判所に請求することができる。 一 契約締結後、その基礎となっていた事情に変更が生じ、これにより契約をした目的を達することができないこと。 二 その事情の変更が、契約締結時に当事者において予見できなかったこと。 三 その事情の変更が、契約の趣旨に照らし、当事者の責めに帰することができない事由により生じたと認められること。 四 その事情変更の結果、当初の契約内容に当事者を拘束することが、当事者間の衡平を著しく害すること。 | なし |
(反対給付が得られないおそれがある場合の抗弁権) Cー8条 1 双務契約の当事者のうち自己の債務を先に履行すべき義務を負う者(以下「先履行義務者」という。)は、次のいずれかの事由がその契約の締結後に生じ、かつ、その契約の締結時にこれを予見することができなかった場合には、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方が弁済の提供をし、又は相当の担保を供したときは、この限りでない。 一 相手方について破産手続開始、再生手続開始、又は更生手続開始のいずれかの申立があったこと。 二 相手方の財産に対する強制執行が功を奏さなかったこと。 三 その他、前二号に準じ、自己の反対債権につき相手方から履行が得られないおそれが生じたこと。 2 前項に掲げるいずれかの事由が、当該契約締結時に既に生じていたときでも、先履行義務者が正当な理由により、これを知ることができなかった場合は、前項と同様とする。 | なし |
(期間の定めのある契約の終了) C―9条 1 法令に別段の定めがある場合を除き、期間の定めのある契約は、その期間の満了によって終了する。 2 前項の規定にかかわらず、当事者の一方が契約の更新を申し入れた場合において、当該契約の趣旨、契約に定めた期間の長短、従前の更新の有無及びその経緯その他の事情に照らし、当該契約を存続させることにつき正当な事由があると認められるときは、当該契約は、従前の契約と同一の条件で契約を更新されたものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。 | なし |
(期間の定めのない契約の終了) C―10条 1 法令に別段の定めがある場合を除き、期間の定めのない契約の当事者の一方は、相手方に対し、いつでも解約の申入れをすることができる。 2 前項の解約の申し入れがされたときは、当該契約は、解約の申し入れの日から相当な期間を経過することによって終了する。この場合において、当該解約申入れに相当な予告期間が付されていたときは、当該契約は、その予告期間を経過することによって終了する。 3 前2項の規定にかかわらず、当該契約の趣旨、当該契約の締結から解約の申入れまでの期間の長短、解約の申入れの予告期間の有無及びその長短その他の事情に照らし、当該契約を存続させることにつき正当な事由があると認められるときは、当該契約は、その解約の申入れによって終了しない。 | なし |
(継続的契約の解除の効力) C―11条 法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の一方又は双方の給付がある期間に渡って継続して行われる契約(以下「継続的契約」という。)が解除された場合、その解除の効果は将来に向かってのみ効力を生ずる。ただし、その継続的契約の性質がこれに反する場合は、この限りでない。 | なし |
(契約の解釈) C―12条 1 契約の内容について当事者が共通の理解をしていたときは、契約は、当事者が理解した意味に従って解釈しなければならない。 2 契約の内容について当事者が異なる理解をしていたときは、表示の通常の意味のほか、当該契約の趣旨に照らし、当該契約の当事者が合理的に考えれば理解したと認められる意味に従って解釈しなければならない。 | なし |
第2款 契約の成立 (申込みと承諾) C―13条 1 当事者の一方が、相手方の承諾があれば契約を成立させる旨の意思表示(以下、このような意思表示を「申込み」という。)をし、この申込みに対して、相手方が、その契約を成立させる旨の意思表示(以下、このような意思表示を「承諾」という。)をし、その承諾がその申込みをした者に到達したときは、当事者間において契約が成立する。 2 前項にかかわらず、申込みをした者が、その承諾が発信したときに契約が成立する旨の意思表示をした場合は、承諾の発信により契約は成立する。 3 第1項の申込みが、契約の内容を確定することができないものである場合は、その申込みは効力を生じない。 | なし |
(承諾の期間の定めのある申込み) C―14条 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、申込者が反対の意思を表示した場合を除き、撤回することができない。 | 第3編 債権 第2章 契約第1節 総則 第1款 契約の成立 (承諾の期間の定めのある申込み) 第521条 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。 2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。 |
(承諾の通知の延着)第522条を削除 | (承諾の通知の延着) 第522条 前条第一項の申込みに対する承諾の通知が同項の期間の経過後に到達した場合であっても、通常の場合にはその期間内に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、申込者は、遅滞なく、相手方に対してその延着の通知を発しなければならない。ただし、その到達前に遅延の通知を発したときは、この限りでない。 2 申込者が前項本文の延着の通知を怠ったときは、承諾の通知は、前条第一項の期間内に到達したものとみなす。 |
(遅延した承諾の効力) Cー15条 第523条を維持 | (遅延した承諾の効力) 第523条 申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。 |
(承諾期間の定めのない申込み) C―16条 1 承諾の期間を定めないでした申込みの場合には、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、申込者はその申込みを撤回することができない。ただし、申込者が申込みにおいてこれと異なる意思表示をしたときは、この限りでない。 2 前項の場合において、今後承諾がなされることはないと考えることが相当と思われる期間を経過したときには、その申込みは効力を失うものとする。 3 前項の相当期間経過後に到着した承諾については、申込者はこれを相手方からの新たな申込みとみなすことができる。 | (承諾の期間の定めのない申込み) 第524条 承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。 |
(対話者間における承諾期間の定めのない申込み) C―17条 1 前条の規定にかかわらず、対話者間における承諾期間の定めのない申込みの場合は、対話が終了するまでの間は、申込みをした者はその申込みをいつでも撤回することができる。 2 前項の場合においては、対話が継続している間に承諾がなされないときは、契約は成立しない。ただし、申込みをした者が、これと反対の意思を表示したときは、この限りでない。 | なし |
(申込者の死亡等) C―18条 1 申込みを受けた相手方が、承諾を発信するまでの間に、申込みをした者が死亡したこと、又は行為能力の制限を受け若しくは意思能力を喪失した常況にあることを知ったときは、その申込みは効力を有しない。ただし、申込者が反対の意思を表示した場合は、この限りでない。 2 申込みをした者が、承諾が到達するまでの間に、承諾者が死亡したこ と、又は行為能力の制限を受け若しくは意思能力を喪失した常況にあることを知ったときは、その承諾は効力を有しない。ただし、承諾者が反対の意思を表示した場合は、この限りでない。 | (申込者の死亡又は行為能力の喪失) 第525条 第97条第2項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。 |
(隔地者間の契約の成立時期) Cー19条 第526条第1項を削除同条第2項のみ維持 | (隔地者間の契約の成立時期) 第526条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。 2 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。 |
第527条を削除 | (申込みの撤回の通知の延着) 第527条 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であっても、通常の場合にはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、承諾者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなければならない。 2 承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立しなかったものとみなす。 |
(申込みに変更を加えた承諾) Cー20条 第528条を維持 | (申込みに変更を加えた承諾) 第528条 承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。 |
(懸賞広告) Cー21条 1 第529条を維持 2 指定した行為をした者が懸賞広告を知らなかった場合であっても、懸賞広告者は、その行為をした者に対して報酬を与えなければならない。 | (懸賞広告) 第529条 ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者(以下この款において「懸賞広告者」という。)は、その行為をした者に対してその報酬を与える義務を負う。 |
(懸賞広告の効力) C―22条 1 懸賞広告をした者が指定行為をする期間を定めた場合には、その期間内に指定行為が行われなかったときは、懸賞広告は効力を失う。 2 懸賞広告をした者が指定行為をする期間を定めなかった場合には、もはや指定行為が行われることはないと考えられる相当期間が経過したときに、懸賞広告は効力を失う。 | なし |
(懸賞広告の撤回) C―23条 1 前条第1項の場合においては、懸賞広告者は、懸賞広告を撤回することができない。ただし、懸賞広告者がその広告中にこれと反対の意思を表示したときは、この限りでない。 2 前条第2項の場合においては、懸賞広告者は、その指定した行為を完了する者がない間は、その広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤回をしない旨を表示したときは、この限りでない。 3 前項本文の撤回において、前の広告と異なる方法によって撤回をした場合は、その撤回は、これを知った者に対してのみ、その効力を有する。 | (懸賞広告の撤回) 第530条 前条の場合において、懸賞広告者は、その指定した行為を完了する者がない間は、前の広告と同一の方法に よってその広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤回をしない旨を表示したときは、この限りでない。 2 前項本文に規定する方法によって撤回をすることができない場合には、他の方法によって撤回をすることができる。この場合において、その撤回は、これを知った者に対してのみ、その効力を有する。 3 懸賞広告者がその指定した行為をする期間を定めたときは、その撤回をする権利を放棄したものと推定する。 |
(懸賞広告の報酬を受ける権利) Cー24条 第531条を維持 | (懸賞広告の報酬を受ける権利) 第531条 広告に定めた行為をした者が数人あるときは、最初にその行為をした者のみが報酬を受ける権利を有する。 2 数人が同時に前項の行為をした場合には、各自が等しい割合で報酬を受ける権利を有する。ただし、報酬がその性質上分割に適しないとき、又は広告において一人のみがこれを受けるものとしたときは、抽選でこれを受ける者を定める。 3 前二項の規定は、広告中にこれと異なる意思を表示したときは、適用しない。 |
(優等懸賞広告) Cー25条 第532条を維持 | (優等懸賞広告) 第532条 広告に定めた行為をした者が数人ある場合において、その優等者のみに報酬を与えるべきときは、その広告は、応募の期間を定めたときに限り、その効力を有する。 2 前項の場合において、応募者中いずれの者の行為が優等であるかは、広告中に定めた者が判定し、広告中に判定をする者を定めなかったときは懸賞広告者が判定する。 3 応募者は、前項の判定に対して異議を述べることができない。 4 前条第二項の規定は、数人の行為が同等と判定された場合について準用する。 |
第3款 契約の効力 (同時履行の抗弁) Cー26条 第533条を維持 | 第2款 契約の効力 (同時履行の抗弁) 第533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。 |
(債務者の危険負担等) Cー27条 1 双務契約において、契約の趣旨に照らし、債務者の責めに帰することができない事由によって債務の履行が不能になったと認められる場合は、債権者は反対給付を拒むことができる。 2 契約の趣旨に照らし、債権者の責めに帰すべき事由によって債務の履行が不能となったと認められる場合は、債権者は契約の解除ができず、かつ、反対給付を拒むことができない。 3 前項の場合、債務者は反対給付を請求できる。この場合において、債務者が、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。 | (債務者の危険負担等) 第536条 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責 めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。 2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならな い。 |
(停止条件付双務契約における危険負担)第535条を削除 | (停止条件付双務契約における危険負担) 第535条 前条の規定は、停止条件付双務契約の目的物が条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しな い。 2 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰することができない事由によって損傷したときは、その損傷は、債権者の負担に帰する。 3 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰すべき事由によって損傷した場合において、条件が成就したとき は、債権者は、その選択に従い、契約の履行の請求又は解除権の行使をすることができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。 |
(危険の移転) Cー28条 1 前条第1項の規定にかかわらず、特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的としたときにおいて、その物が債務者から債権者に引き渡された後に滅失等した場合は、債権者は反対給付を拒むことができな い。 2 前項の場合においては、債務者は反対給付を請求できる。ただし、その滅失等が、目的物が契約の趣旨に適合しないものであったことにより生じたとき、又は売主の保存義務に反する行為によって生じたときは、この限りでない。 3 不動産について物権の設定又は移転を原因とする物権変動登記がなされたときは、引渡しがなされていなくても前2項と同様とする。 | (債権者の危険負担) 第534条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。 2 不特定物に関する契約については、第401条第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。 |
(第三者のためにする契約) C―29条 1 契約当事者の一方(以下、この条では「要約者」という。)と他方(以下、この条では「諾約者」という)の契約により、諾約者が第三者(以下、この条では「受益者」という。)に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は諾約者に対して、直接にその給付を請求する権利を有する。 2 前項の場合において、受益者の債権は、その受益者が諾約者に対して受益の意思表示をした時に発生する。 3 第三者のためにする契約がなされる時点において、受益者が存在し又は特定されることは要しない。この場合、受益者が存在し又は特定された時点で、受益者の諾約者に対する権利が発生する。 4 第三者のためにする契約においては、要約者は諾約者に対し、受益者への債務の履行をなすよう請求できる。 5 第三者のためにする契約において、諾約者が受益者に対する債務を履行しないときは、要約者は受益者の承諾を得て、第三者のためにする契約を解除することができる。 | (第三者のためにする契約) 第537条 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。 2 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。 |
(第三者の権利の確定) Cー30条 第538条を維持 | (第三者の権利の確定) 第538条 前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。 |
(債務者の抗弁) C-31条 第539条を維持 | (債務者の抗弁) 第539条 債務者は、第537条第1項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。 |
第4款 約款 (約款の組入要件) C―32条 契約の当事者がその契約に約款を用いることを合意し、かつ、その約款を準備した者(以下「約款使用者」という。)が、契約締結時までに、当該約款の内容を相手方が知ることを期待するのが相当である程度に、当該約款の内容を相手方が知ることができる状態を確保したときに限り、約款使用者と相手方との間の契約の内容となる。 | なし |
(不意打ち条項) C―33条 約款に規定された条項(以下、この款では「約款条項」という。)のうち、当該約款条項の内容、それについての約款使用者の説明、相手方の知識及び経験、その他当該約款に関する一切の事情に照らし、相手方において通常は約款に含まれているとは予期することができないと認められる約款条項は、約款使用者と相手方との間の契約の内容にはならない。 | なし |
(不当条項とみなされる場合) C―34条 次に掲げる約款条項はいずれも無効とする。 一 約款使用者の債務の全てについて、一括して、任意に債務を履行しないことを許容する条項 二 約款使用者の債務の全てについて、一括して、債務不履行又は不法行為による損害賠償責任を免除する条項 三 約款使用者の債務の全てについて、一括して、故意又は重大な過失に基づく債務不履行又は不法行為による損害賠償責任を一部免除する条項四 その他当該条項が存在しない場合と比較して、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重するものであって、その制限又は加重の程度、契約内容の全体、契約締結時の状況その他一切の事情に鑑み、相手方に過大な不利益を与えると認められる条項 | なし |
(不当条項と推定される場合) C―35条 約款条項において、次に掲げる条項はいずれも無効とする。ただし、その条項が正当な理由に基づいて設けられ、かつ、その内容が相当な範囲にとどまる場合は、この限りでない。 一 特定の条項について、約款使用者が任意に債務を履行しないことを予め許容する条項 二 特定の条項について、約款使用者の債務不履行又は不法行為による損害賠償責任を予め免除する条項 三 特定の条項について、約款使用者の故意又は重大な過失に基づく債務不履行又は不法行為による損害賠償責任を予め一部免除する条項 | なし |
(約款の変更) C―36条 約款使用者は、次の各号に掲げる要件の全てを満たす場合には、相手方の個別の同意なく約款条項を変更することができる。 一 当該約款条項を使用した契約が現に多数存在し、その全ての相手方から、当該約款条項の変更についての個別の同意を得ることが著しく困難であること。 二 当該約款条項の内容を変更すべき必要性があり、かつそれが正当であること。 三 当該約款条項の変更の内容、その範囲及び程度が、前号の変更の必要性に照らして相当であること。 四 当該約款条項の変更の内容が相手方に不利益なものである場合は、その不利益の程度に応じて、当該変更に対して異議を有する相手方の契約からの離脱を認めること、その他相当な代償措置が取られていること。 五 約款使用者が、全ての相手方に対し、当該約款条項を変更する旨、及び第二号に規定する必要性を通知すること。 六 当該約款条項の変更の内容を相手方が知ることを期待するのが相当である程度に、その内容を相手方が知ることができる状態を確保すること。 | なし |
(約款変更の周知期間) C-37条 前条第五号、及び第六号の要件を満たした後、○月を経過しなければ変更後の約款条項が約款使用者と相手方との間の契約内容とはならない。 | なし |
第5款 契約の解除 (解除権の行使) Cー38条 第540条を維持 | 第3款 契約の解除 (解除権の行使) 第540条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。 2 前項の意思表示は、撤回することができない。 |
(契約の解除) Cー39条 1 当事者の一方が、その債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、軽微な不履行、その他契約目的の達成を妨げない不履行の場合は、この限りでない。 2 前条によって解除できる場合において、次のいずれかに該当するときに限り、前条の催告を行わず、直ちに解除することができる。 一 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合にお いて、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過した場合 二 全部履行不能の場合 三 その他、催告をしても契約目的を達成する履行がされないことが明らかな場合 3 前項の規定は、当事者の一方が債務の履行を確定的に拒絶し、これによってその履行がされる見込みがないことが明らかである場合に、準用する。 | (履行遅滞等による解除権) 第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。 |
(複数契約の解除) Cー40条 同一の当事者間で締結された複数の契約につき、それらの契約の内容が相互に密接に関連付けられている場合において、そのうち一の契約に前条による解除の原因があり、これによって複数の契約をした目的が全体として達成できないときは、相手方は、当該複数の契約の全てを前条の規定に従い解除することができる。 | (定期行為の履行遅滞による解除権) 第542条 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行 をしないでその時期を経過したときは、相手方は、前条の催告をすることなく、直ちにその契約の解除をすることができる。 |
(履行不能による解除権) 第543条を削除(同条のうち全部履行不能については、Cー40条第2項で規定) | (履行不能による解除権) 第543条 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。 |
(解除権の不可分性) Cー41条 第544条を維持 | (解除権の不可分性) 第544条 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。 2 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。 |
(解除の効果) Cー42条 1 契約が解除されたときの効果は、次のとおりとする。 一 契約の当事者は、その契約に基づく債務の履行を請求することができない。 二 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。 三 前号本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。 四 第二号本文の場合において、給付を受けた金銭以外のものを返還するときは、その給付を受けたもの及びそれから得た利益を返還しなければならない。ただし、その給付を受けたもの又はそれから得た利益を返還することができないときは、その価額を償還しなければならない。 五 前号により償還の義務を負う者が相手方の債務不履行により契約の解除をした者であるときは、償還すべき額は、自己が当該契約に基づいて給付し若しくは給付すべきであった価額又は現に受けている利益の額のいずれか多い額を限度とする。 2 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 | (解除の効果) 第545条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。 2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。 3 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 |
(契約の解除と同時履行) Cー43条 第546条の規律を維持 | (契約の解除と同時履行) 第546条 第533条の規定は、前条の場合について準用する。 |
(催告による解除権の消滅) Cー44条 第547条を維持 | (催告による解除権の消滅) 第547条 解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。 |
第548条を削除 | (解除権者の行為等による解除権の消滅) 第548条 解除権を有する者が自己の行為若しくは過失に よって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。 2 契約の目的物が解除権を有する者の行為又は過失によらないで滅失し、又は損傷したときは、解除権は、消滅しない。 |
第2節 売買第1款 総則 (売買) C―45条 1 売買契約は、当事者の一方(以下、この節では「売主」という。)が、次に掲げる行為をすることを約し、相手方(以下、この節では「買主」という。)がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 一 売買の目的となった財産権の移転二 売買の目的物の引渡し 三 買主にとって、目的物の確定的取得のために対抗要件の具備が必要な場合は、その対抗要件の具備 2 売主は、買主に対し、当該契約の趣旨に適合した種類、品質その他の性状、又は数量を備えた目的物を引き渡すものとする。 3 売主は買主に対し、当該契約の趣旨に適合する場合を除き、抵当権、地上権、永小作権、地役権、留置権、又は質権その他これらに準じる他人の権利による負担(以下「他人の権利による負担」という。)がなく、又は法令の制限がない目的物を引き渡すものとする。 4 売主が買主に対し、目的物の全部又は一部が他人の権利に属する目的物を売ったときは、売主は、他人からその全部又は一部の権利を取得して、買主に移転するものとする。 5 買主は、目的物を受け取り、及び第1項第三号に規定する売主の対抗要件具備の行為に協力するものとする。ただし、売買契約が法令の規定に反する場合、又は目的物が契約の趣旨不適合の場合は、この限りでない。 | 第3節 売買第1款 総則 (売買) 第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 |
(売買の予約) C―46条 1 当事者間において、予約を完結させる権利を有する一方又は双方のいずれかが、予約を完結する旨の意思表示をした場合は、その当事者間で予め定められた内容の売買契約が成立する。 2 予約を完結させる意思表示について期間の定めがあるときは、その期間内にその意思表示がされなければ、売買の予約は効力を失う。 3 予約を完結させる意思表示について期間の定めがないときは、予約完結の権利を有しない一方当事者は、予約完結の権利を有する相手方に対 し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、第1項の予約は、その効力を失う。 | (売買の一方の予約) 第556条 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。 2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予 約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。 |
(手付) C―47条 1 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を提供して、売買契約の解除をすることができる。ただし、その放棄又は倍額の提供を受けた相手方がその時までにその契約の履行に着手していた場合は、この限りでない。 2 第557条第2項を維持 | (手付) 第557条 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄 し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。 2 第545条第3項の規定は、前項の場合には、適用しない。 |
(売買契約に関する費用) Cー48条 第558条を維持 | (売買契約に関する費用) 第558条 売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。 |
(有償契約への準用) Cー49条 第559条を維持 | (有償契約への準用) 第559条 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。 |
第2款 売買の効力 (目的物が契約の趣旨に適合しない場合の買主の権利) Cー50条 1 売主が買主に引き渡した目的物が当該契約の趣旨に適合しないものであるときは、買主は売主に対して次に掲げる権利を行使することができる。一 契約の趣旨に適合した目的物(数量が適合することも含む。)の引渡 し請求(以下「代物等請求」という。) 二 修補請求(以下、代物等請求と修補請求を合わせて「追完請求」という。) 三 代金減額請求 四 Cー39条の規定による解除 五 Bー17条又はBー18条第1項の規定による損害賠償請求 2 追完請求に対する債務の履行が不能の場合は、追完請求をすることができない。 3 代金減額請求については、買主が売主に対し、追完請求に対応すべき旨を相当期間を定めて催告をし、その期間内に売主がこれに応じないことを要する。ただし、追完請求の履行が全部不能の場合、又は売主が追完をすることを確定的に拒絶し、これにより追完される見込みがないことが明らかな場合は、催告は不要とする。 4 買主は、第1項各号の権利を、共に行使することができない。ただし、同項第一号から第四号までの権利の実現によっては填補されない損害についての賠償の請求は、この限りでない。 5 目的物が契約の趣旨に適合しないことについて売主に責めに帰すべき事由がない場合であっても、代金減額請求によって填補されない買主の契約費用その他の費用については、売主は買主に対し、その費用相当額の償還をしなければならない。ただし、買主が、その目的物が契約の趣旨に適合しないことを知り、又は過失によって知らなかった場合は、この限りでない。 6 前4項の規定は、売買契約の目的物が不動産の場合において、その引渡し以前に権利移転登記手続がなされた時に、その不動産が契約の趣旨に適合しない場合にも適用する。 | 第2款 売買の効力 (売主の瑕疵担保責任) 第570条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第5 66条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。 |
第565条を削除(Cー50条で規定) | (数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任) 第565条 前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。 |
(他人の権利の売買における買主の権利) C―51条 1 売買の目的物の全部が他人の権利に属する場合に、売主がその目的物を買主に売る旨を約したときは、買主は売主に対して次に掲げる権利を行使することができる。 一 その権利を取得して買主に移転する旨の請求二 Cー39条の規定による契約の解除 三 Bー17条の規定による損害賠償の請求 2 前条第2項及び第4項の規定は、前項の請求について準用する。 | (他人の権利の売買における売主の義務) 第560条 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。 |
第561条を削除(同条前段部分は、C-51条で規定) | (他人の権利の売買における売主の担保責任) 第561条 前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。 |
第562条を削除 | (他人の権利の売買における善意の売主の解除権) 第562条 売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。 2 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主 は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。 |
(権利の一部が他人に属する場合の買主の権利) C―52条 1 売買の目的物の一部が他人の権利に属する場合に、売主がその目的物を買主に売る旨を約したときは、買主は売主に対して次に掲げる権利を行使することができる。 一 その一部の権利を取得して買主に移転する旨の請求二 Cー39条の規定による解除 三 代金減額の請求 四 Bー17条又はBー18条第1項による損害賠償の請求 2 前項の請求については、Cー50条第2項から第4項までを準用する。 | (権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)第563条 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。 2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。 3 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。 |
(他人の権利による負担がある場合の買主の権利) C―53条 1 売買の目的物について他人の権利による負担又は法令の制限が存する場合に、売主がその目的物を買主に売る旨を約したときは、別段の合意がない限り、買主は売主に対して次に掲げる権利を行使することができる。 一 当該他人の権利による負担又は法令の制限の除去請求二 C-39条の規定による解除 三 代金減額請求 四 Bー17条又はBー18条第1項の規定による損害賠償請求 2 C-50条第2項から第4項までの規定は、前項の請求に準用する。 | (地上権等がある場合等における売主の担保責任) 第566条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知ら ず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。 2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。 3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならな い。 |
(抵当権等により所有権を失った場合における買主の権利) C-54条 第567条第1項を削除 1 同条第2項の規律を維持 2 同条第3項の規律を維持 | (抵当権等がある場合における売主の担保責任) 第567条 売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。 2 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。 3 前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。 |
(強制競売における担保責任) C―55条 1 民事執行法その他の法律の規定に基づく競売における買受人が、買受けの申出の時に、買い受けた目的物について通常有すべき品質その他の性状又は数量が欠けている(以下「損傷」という。)ことを知らなかった場合、その目的物の全部若しくは一部が他人の権利に属し、又は他人の権利による負担若しくは法令の制限がある場合(以下、これらの場合を総称して、この条では「損傷等」という)において、その損傷等により買い受けた目的を達することができないときは、その損傷等の程度に応じて代金の減額を請求 し、又は解除をすることができる。ただし、買受人が重大な過失によってその損傷等を知らなかったときは、この限りでない。 2 前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。 3 前2項の場合において、債務者が目的物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。 4 買受人は、目的物の損傷等を知った時から1年以内にその損傷等を債務者又は配当を受領した債権者に通知しなければ、前3項の権利を失う。ただし、買い受けた目的物の全部が他人の権利に属していたときは、この限りでない。 | (強制競売における担保責任) 第568条 強制競売における買受人は、第五百六十一条から前条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。 2 前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。 3 前二項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。 |
(目的物が契約の趣旨に適合しない場合等の買主の権利の存続期間) C―56条 1 C―50条第1項各号に規定する買主の権利は、買主において、目的物が契約の趣旨に適合しないことを知った時から2年以内に、そのことを売主に通知しなければ、消滅する。この買主の権利が、A―127条(債権等の消滅時効)第1項に該当するときも、この権利は消滅する。 2 前項の規定は、売主において、その目的物が契約の趣旨に適合しないことを知り、又は知らなかったことについて重大な過失がある場合は、適用しない。 3 C―51条からC―53条までの規定による買主の権利の存続期間については、Aー127条第1項を適用する。 | 第564条 前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ一年以内に行使しなければならない。 |
(債権の売主の担保責任) Cー57条 第569条を維持 | (債権の売主の担保責任) 第569条 債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する。 2 弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する。 |
(売主の担保責任と同時履行) Cー58条 第571条 の規律を維持 | (売主の担保責任と同時履行) 第571条 第533条の規定は、第563条から第566条まで及び前条の場合について準用する。 |
(売主としての責任を負わない旨の特約) Cー59条 売主は、Cー50条からCー57条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、自ら知っていた事実、又は自ら第三者のために設定し若しくは第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。 | (担保責任を負わない旨の特約) 第572条 売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。 |
(売買における危険移転) Cー60条 1 売買契約の目的物が売主から買主に引き渡された後に、その物が滅失等したときは、買主は、売主に対する代金支払を拒むことができず、かつ、C ―50条第1項に規定された権利を行使することができない。ただし、C―28条第2項ただし書きに該当する場合は、この限りでない。 2 前項の規定は、売買の目的物が不動産であるときに、その不動産の引渡し以前に、売買を原因とする権利移転登記がなされた場合に準用する。 | なし |
(売買における受領遅滞と危険移転) C―61条 前条の規定は、買主が受領遅滞となった後に、その物が滅失等した場合に準用する。ただし、その目的物が種類物であるときは、売主が弁済の提供後もその目的物を他の物と分離して保管、その他Bー3条(種類債権)第2 項による特定を維持している場合に限る。 | なし |
(代金の支払期限) Cー62条 1 第573条を維持 2 前項の規定にかかわらず、売買契約において目的物である不動産の登記移転時期の定めがある場合は、代金の支払いについて同一の期限を付したものと推定する。 | (代金の支払期限) 第573条 売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定する。 |
(代金の支払場所) C―63条 1 売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、代金の支払場所も、その引渡しの場所と同じであるものと推定する。 2 前項の規定にかかわらず、代金の支払いがなされる前に目的物の引渡しがなされたときは、代金の支払場所についてはBー112条(弁済の場所)の規定による。 | (代金の支払場所) 第574条 売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならない。 |
(果実の帰属及び代金の利息の支払) C-64条 第575条を維持 | (果実の帰属及び代金の利息の支払) 第575条 まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。 2 買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。 |
(権利を失うおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶) C―65条 売買の目的物について権利を主張する者があること、その他これに準じる事由により、買主がその買い受けた権利の全部又は一部を取得することができないおそれがあるとき、又はこれを失うおそれがあるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。 | (権利を失うおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶) 第576条 売買の目的について権利を主張する者があるために買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。 |
(抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶) C―66条 1 第577条第1項を維持 2 同条第2項を維持 3 売買契約の当事者がその抵当権、先取特権、又は質権の登記の存在を考慮して代金額を決定していた場合は、本条第1項及び第2項を適用しな い。 | (抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶) 第577条 買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。 2 前項の規定は、買い受けた不動産について先取特権又は質権の登記がある場合について準用する。 |
(売主による代金の供託の請求) Cー67条 第578条を維持 | (売主による代金の供託の請求) 第578条 前二条の場合においては、売主は、買主に対して代金の供託を請求することができる。 |
第3款 買戻し (買戻し特約) C―68条 不動産の売主は、買主との間で、後に売買契約の目的物を売主が買戻す旨の特約(以下「買戻し特約」という。)をすることにより、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。ただし、当事者が別段の合意をした場合又は買戻しが担保目的の場合は、この限りでない。 | 第3款 買戻し (買戻しの特約) 第579条 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。 |
(買戻しの期間) Cー69条 第580条を維持 | (買戻しの期間)第580条(省略) |
(買戻し特約の効力) Cー70条 1 買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対しても、その効力を有する。 2 第581条第2項を維持 | (買戻しの特約の対抗力) 第581条 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対しても、その効力を生ずる。 2 登記をした賃借人の権利は、その残存期間中一年を超えない期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。 |
Cー71条からCー74条までは、第582条から第585条の規律を維持 | 第582条から第585条(省略) |
第3節 贈与 (贈与) Cー75条 贈与契約は、当事者の一方(以下、この節では「贈与者」という。)が、財産権を無償で相手方(以下、この節では「受贈者」という。)に与える意思を表示し、受贈者が受諾をすることによって、その効力を生ずる。 | 第2節 贈与 (贈与) 第549条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。 |
(書面よらない贈与) Cー76条 第550条を維持 | (書面によらない贈与の撤回) 第550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。 |
(目的物が契約趣旨に適合しない場合の贈与者の責任) Cー77条 1 贈与者は、次のいずれかに該当する場合であっても、損害賠償責任その他の責任を負わない。ただし、贈与者がその各号に該当することを知って告げなかったときは、この限りでない。 一 贈与によって引き渡すべき目的物が存在しない場合二 目的物が当該契約の趣旨に適合しない場合 三 贈与によって移転すべき権利が存在しない場合 四 贈与契約の趣旨に反する他人の権利による負担又は法令による制限がある場合 2 他人の財産権を贈与の目的とした場合(権利の一部が他人に属する場合を含む。)は、贈与者はその権利を取得したときに限り、受贈者に移転する義務を負う。 3 第1項各号の事由により、受贈者が贈与契約をした目的を達することができないときは、受贈者は、贈与契約の解除をすることができる。ただし、契約の趣旨に照らし、受贈者の責めに帰すべき事由によってこれらの事由が生じたと認められる場合は、この限りでない。 4 受贈者にある給付をする債務を負担させる贈与(以下、「負担付贈与」という。)において、第1項各号の場合に該当するために、受贈者の負担の価額が、贈与の目的物の価額を超える場合は、受贈者は、その超える額に相当する負担の履行を拒み、又は既に履行した負担のうちのその超える額に相当する部分を返還するよう、贈与者に請求できる。 | (贈与者の担保責任) 第551条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。 2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。 |
(定期贈与) Cー78条 第552条を維持 | (定期贈与) 第552条 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う |
(負担付贈与) Cー79条 第553条を維持 | (負担付贈与) 第553条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。 |
(死因贈与) Cー80条 第554条を維持 | (死因贈与) 第554条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。 |
(背信行為等を理由とする贈与の解除) Cー81条 1 受贈者が次のいずれかに該当する行為(以下「背信行為等」という。)を行った場合は、贈与者はその贈与を解除することができる。 一 受贈者が贈与者に対し、虐待、重大な侮辱その他著しい非行を行ったとき。 二 受贈者が、贈与者に対し、詐欺又は強迫によって書面によらない贈与の撤回を妨げたとき。 2 前項の解除権は、贈与者の一身に専属する。ただし、受贈者が前項各号の行為により、贈与者を死に至らしめた場合その他これに準じる事情がある場合は、この限りでない。 3 第1項の解除権は、贈与の履行が終わった時から10年を経過したときは、その履行が終わった部分については行使できない。 | なし |
(贈与者の困窮による贈与契約の解除) C―82条 贈与契約の当時、贈与者が予見することのできなかった事情の変更が生じ、これにより贈与者の生活が著しく困窮したときは、贈与者は、贈与契約の解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。 | なし |
(贈与契約の解除の効果) Cー83条 贈与者による贈与契約の解除がなされた場合は、受贈者はその解除の時に現に存する利益の限度で返還する義務を負う。ただし、Cー81条(背信行為等を理由とする贈与の解除)の規定による解除の場合は、解除の原因が生じた時に存していた利益の限度で返還義務を負う。 | なし |
第4節 交換 Cー84条 第586条を維持 | 第4節 交換 第586条 交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。 2 当事者の一方が他の権利とともに金銭の所有権を移転することを約した場合におけるその金銭については、売買の代金に関する規定を準用する。 |
第5節 消費貸借 (消費貸借) Cー85条 消費貸借は、当事者の一方(以下、この節では「借主」という。)が、種類、品質及び数量の同じ物(以下「同種等の物」という。)をもって返還をすることを約して相手方(以下、この節では「貸主」という。)から金銭その他の物(以下、この節では「目的物」という。)を受け取ることによって、その効力を生ずる。 | 第5節 消費貸借 (消費貸借) 第587条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。 |
(諾成的消費貸借) C―86条 1 前条の規定にかかわらず、当事者間の書面による合意により、貸主が、借主に対し、目的物を引き渡すことを約し、借主が同種等の物を返還することを約することによっても、消費貸借は効力を生じる(以下、このような消費貸借を「諾成的消費貸借」という。)。 2 諾成的消費貸借が、その内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その契約は、書面によってされたものとみなす。 3 前2項の場合には、貸主は、借主に対し、目的物を引き渡す義務を負 い、借主は、貸主に対し、その目的物の引渡しを受けた場合に限り、同種等の物を返還する義務を負う。 | なし |
(諾成的消費貸借の目的物引渡し前の解除等) C―87条 諾成的消費貸借においては、借主は、目的物引渡しを受けるまでは、その契約を解除できる。 | なし |
(消費貸借等の返還時期) C―88条 1 消費貸借又は諾成的消費貸借(以下「消費貸借等」という。)において、同種等の物の返還時期が定められていた場合であっても、借主は、任意の時期にこれを返還することができる。ただし、これによって貸主に損害が生じた場合は、貸主の借主に対する損害賠償請求を妨げない。 2 消費貸借等において、当事者が返還の時期を定めなかった場合は、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができ、借主はその催告期間の満了時までに返還する義務を負う。 3 前項の場合、借主はいつでも返還をすることができる。 *4 第1項ただし書きの規定にかかわらず、事業者が貸主で、消費者が借主である場合の消費貸借等においては貸主は借主に対し、損害賠償を請求できない。 | (返還の時期) 第591条 当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。 2 借主は、いつでも返還をすることができる。 |
(利息付き消費貸借等) C―89条 消費貸借等において、借主が利息を支払う旨を約したとき(以下「利息付きの消費貸借等」という。)は、借主は、目的物の引渡しを受けた日から同種 等の物を返還する日の前日までの間の、引渡しを受けた目的物の元本についての利息を支払わなければならない。 | なし |
(消費貸借の予約) C―90条 1 消費貸借等の予約は、書面でしなければ、その効力を生じない。 2 C―86条(諾成的消費貸借)第2項の規定は、消費貸借等の予約に準用する。 | なし |
(準消費貸借) Cー91条 当事者の一方が、他方に対して、金銭その他の物を給付する義務を負っている場合に、その当事者が、新たにその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。 | (準消費貸借) 第588条 消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。 |
(消費貸借等と破産手続の開始) C―92条 1 諾成的消費貸借において、借主が貸主から目的物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。 2 消費貸借等の予約は、その後に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。 | (消費貸借の予約と破産手続の開始) 第589条 消費貸借の予約は、その後に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。 |
(目的物が契約の趣旨に適合しない場合の借主の権利) Cー93条 1 利息付きの消費貸借等において、引き渡された目的物が当該契約の趣旨に適合しない場合は、借主は次に掲げる権利を有する。 一 契約の趣旨に適合する目的物(数量が適合することも含む。)の引渡し請求 二 Cー39条の規定による解除 三 Bー17条又はBー18条の規定による損害賠償請求 2 C―50条第2項及び第4項の規定は、前項の請求に準用する。 3 無利息の消費貸借等においては、貸主において、目的物が当該契約の趣旨に適合しないことを知って告げなかった場合に限り、前2項を適用す る。 4 前3項の場合においては、借主は、当該契約の趣旨不適合の目的物の価額を返還することができる。 | (貸主の担保責任) 第590条 利息付きの消費貸借において、物に隠れた瑕疵があったときは、貸主は、瑕疵がない物をもってこれに代えなければならない。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。 2 無利息の消費貸借においては、借主は、瑕疵がある物の価額を返還することができる。この場合において、貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときは、前項の規定を準用する。 |
(価額の償還) C-94条 第592条の規律を維持 | (価額の償還) 第592条 借主が貸主から受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることができなくなったときは、その時における物の価額を償還しなければならない。ただし、第 402条第2項に規定する場合は、この限りでない。 |
(抗弁の接続) Cー95条 1 消費者である借主が、事業者(以下「供給者」という。)との間で有償の契約(以下「供給契約」という。)を締結するに伴い、その借主がその対価の全部または一部の支払いに充てるため、供給者とは異なる事業者(以下この条では「貸主」という。)との間で金銭についての消費貸借等をする場合で あって、両契約の内容が相互に密接に関連付けられているときは、借主は、供給契約において供給者に対して生じている抗弁事由をもって、貸主に対する債務の支払を拒絶することができる。 2 前項の規定に反する特約は無効とする。 3 第1項及び第2項の規定は、金銭についての消費貸借契約と同視しうる与信契約に準用する。 | なし |
第6節 賃貸借第1款 総則 (賃貸借) C―96条 賃貸借は、当事者の一方(以下、この節では「賃貸人」という。)が、ある物 (以下「目的物」という。)の使用及び収益を賃借人にさせることを約し、相手方(以下、この節では「賃借人」という。)がこれに対してその賃料を支払うこと、及び契約が終了したときに目的物を返還することを約することによって、その効力を生ずる。 | 第7節 賃貸借第1款 総則 (賃貸借) 第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 |
(短期賃貸借) Cー97条 1 処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。 一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年二 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年 三 建物の賃貸借 3年 四 動産の賃貸借 6箇月 2 前項の場合に、同項に定める期間を超えて締結した賃貸借は、その期間は、当該各号に定める期間とする。 | (短期賃貸借) 第602条 処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。 一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 十年二 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 五年 三 建物の賃貸借 三年 四 動産の賃貸借 六箇月 |
(短期賃貸借の更新) Cー98条 第603条を維持 | (短期賃貸借の更新) 第603条 前条に定める期間は、更新することができる。ただし、その期間満了前、土地については一年以内、建物については三箇月以内、動産については一箇月以内に、その更新をしなければならない。 |
(賃貸借の存続期間) Cー99条 1 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。 2賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。 | (賃貸借の存続期間) 第604条 賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。 2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。 |
(敷金) C―100条 1 敷金が交付されている場合において、賃貸借が終了し、かつ、賃貸人が目的物の返還を受けたとき、又は賃借人が適法に賃借権を譲渡したとき は、賃貸人は、賃借人に対し、敷金の返還をしなければならない。この場合において、賃料債務その他の賃貸借契約に基づいて生じた賃借人の賃貸 人に対する金銭債務があるときは、賃貸人は、敷金をもって、当該債務の弁済に充当することができる。 2 前項の規定により敷金の返還債務が生ずる前においても、賃貸人は、賃借人が賃料債務その他の賃貸借契約に基づいて生じた金銭債務の履行をしないときは、敷金を当該債務の弁済に充当することができる。この場 合、賃借人は、敷金を当該債務の弁済に充当することができない。 | なし |
第2款 賃貸借の効力 (不動産賃貸借の対抗力) C―101条 不動産の賃借人は、当該賃貸借の登記又は借地借家法その他の法律が定める賃貸借の対抗要件を具備したときは、当該不動産について物権を取得した者その他の第三者に対し、自己の賃借権を対抗することができる。 | 第2款 賃貸借の効力 (不動産賃貸借の対抗力) 第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。 |
(不動産の賃貸人の地位譲渡) Cー102条 1 賃借人が、前条の対抗要件を具備した場合には、B-103条(契約上の地位の移転)の規定にかかわらず、その賃貸借の目的となっている不動産の譲渡により、その不動産についての賃貸人たる地位は、譲渡人から譲受人に当然に移転する。 2 前項の規定による賃貸人たる地位の移転は、当該不動産について所有権移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。 3 第1項の場合には、賃借人が差し入れた敷金についての譲渡人の返還債務は、当然に譲受人に承継される。 4 賃借人がその不動産について必要費を支出した後に、その不動産が譲渡されて賃貸人たる地位が譲受人に承継された場合は、その賃借人はその譲受人に対し、必要費の償還を請求できる。 5 第1項の場合において、その不動産の賃借人がその不動産の譲渡の事実を知らないでその不動産の譲渡人に賃料を支払ったときは、その賃借人はその支払いをその不動産の譲受人に対抗することができる。 | なし |
(合意による賃貸借契約等の承継) Cー103条 前条第3項から第5項までの規定は、前条第2項に規定する登記が存しない場合であっても、不動産の譲渡人と譲受人との合意により、その不動産についての賃貸人たる地位を承継させたときは、これを準用する。 | なし |
(賃借権にもとづく妨害の停止の請求等) Cー104条 不動産の賃借人は、賃貸借の登記をした場合、又は借地借家法その他の法律が定める賃貸借の対抗要件を具備した場合には、次に掲げる請求をすることができる。 一 当該不動産の占有を妨害されたときは、その妨害の停止の請求二 当該不動産を第三者が占有するときは、その返還の請求 | なし |
(賃貸物の修繕等) Cー105条 1 第606条第1項を維持 2 同条第2項を維持 3 第1項に基づく賃借人の修繕請求権については、Cー56条第1項及び第2項の規定を準用しない。 | (賃貸物の修繕等) 第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。 2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。 |
(賃借人の意思に反する保存行為) Cー106条 第607条を維持 | (賃借人の意思に反する保存行為) 第607条 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を 達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。 |
(賃借人の修繕権) Cー107条 1 次のいずれかに該当する場合には、賃借人は目的物の修繕を行うことができる。 一 その目的物が修繕を要する場合において、賃借人がその旨を賃貸人に通知し、又は賃貸人がその旨を知っているにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に修繕をしないとき 二 急迫の事情がある場合 2 前項の規定に基づく賃借人の修繕権についてはCー56条第1項及び第 2項の規定を準用しない。 | なし |
(賃借人による費用の償還請求) Cー108条 第608条を維持 | (賃借人による費用の償還請求) 第608条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。 2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる |
(減収による賃料の減額請求) 第609条を削除 | (減収による賃料の減額請求) 第609条 収益を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。ただし、宅地の賃貸借については、この限りでない。 |
(減収による解除)第610条を削除 | (減収による解除) 第610条 前条の場合において、同条の賃借人は、不可抗力によって引き続き二年以上賃料より少ない収益を得たときは、契約の解除をすることができる。 |
(目的物の全部滅失による賃貸借の終了) Cー109条 目的物の全部が滅失、その他賃借人が目的物の全部を確定的に利用することができなくなった場合には、その原因のいかんを問わず、当然に賃貸借が終了する。 | なし |
(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等) C―110条 1 目的物の一部が滅失その他によりその一部を使用及び収益することができなくなった(以下、本条では「使用等不可能」という。)場合は、その不可能の割合に応じて、賃料は当然に減額される。ただし、契約の趣旨に照らし、賃借人の責めに帰すべき事由により一部が使用等不可能になったと認められるときは、この限りでない。 2 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。ただし、契約の趣旨に照らし、賃借人の責めに帰すべき事由により一部が使用等不可能になったと認められるときは、この限りでない。 | (賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等) 第611条 賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。 2 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。 |
(目的物が契約の趣旨に適合しない場合等における借主の権利) C―111条 1 C―50条は、賃貸借の目的物が当該契約の趣旨に適合しない場合に準用する。 2 C―51条の規定は、賃貸借の目的物の全部が他人の権利に属する場合に、C―52条の規定は、その目的物の一部が他人の権利に属する場合に、それぞれ準用する。 3 C―53条は、目的物について他人の権利による制限がある場合に準用する。 4 前3項の借主の権利の存続期間については、C―56条の規定を準用しない。 | なし |
(賃借権の譲渡及び転貸の制限) Cー112条 第612条を維持 | (賃借権の譲渡及び転貸の制限) 第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。 2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。 |
(転貸の効果) C―113条 1 賃借人が、前条第1項に規定する賃貸人の承諾を得、その他適法に目的物を転貸した場合は、転借人は賃借人の使用収益権の範囲内で、目的物を使用収益することができる。 2 前項の場合は、賃貸人は転借人に対して、賃貸借の賃料と転貸借の賃料のいずれか低い賃料額の限度で、及び賃貸借と転貸借の各賃料の支払時期がいずれも到来したときに限り、直接に賃料の支払いを請求できる。ただし、この場合、転借人は賃貸人又は賃借人のいずれかに対して賃料を支払うことができ、賃貸人に支払ったときはその限度で賃借人に対する支払義務を免れ、賃借人に支払ったときはその限度で賃貸人に対する支払義務を免れる。 3 前項本文の場合においては、転借人が、転貸借契約において定められた賃料の支払時期の前に賃料を転貸人に支払っても、これを賃貸人に対抗することができない。 | (転貸の効果) 第613条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。 2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。 |
(転貸と合意解除) C―114条 前条第1項の場合において、賃貸借が合意解除によって終了したときであっても、賃貸人は転借人に対して賃貸借の消滅を主張することができない。ただし、当該解除の時点において債務不履行を理由とする解除の要件を満たしていたときは、この限りでない。 | なし |
(賃料の支払時期) Cー115条 第614条を維持 | (賃料の支払時期) 第614条 賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。 |
(賃借人の通知義務) Cー116条 第615条を維持 | (賃借人の通知義務) 第615条 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。 |
(使用貸借の規定の準用) Cー117条 第616条を維持 | (使用貸借の規定の準用) 第616条 第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。 |
第3款 賃貸借の終了 (期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ) Cー118条 第617条を維持 | 第3款 賃貸借の終了 (期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ) 第617条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。 一 土地の賃貸借 一年 二 建物の賃貸借 三箇月 三 動産及び貸席の賃貸借 一日 2 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。 |
(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保) Cー119条 第618条を維持 | (期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保) 第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。 |
(賃貸借の更新の推定等) Cー120条 第619条を維持 | (賃貸借の更新の推定等) 第619条 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。 2 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。 |
(賃貸借の解除の効力) Cー121条 第620条を維持 | (賃貸借の解除の効力) 第620条 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。 |
(賃借物における収去義務) C―122条 賃借人は、賃貸借契約が終了した場合において、当該契約に基づいて目的物の引渡しを受けた後に目的物に附属された物(以下「附属物」という。)があるときは、その附属物を収去しなければならない。ただし、目的物から分離することが不可能な物、又は目的物からの分離に過分の費用を要し分離をさせることが相当でない物については、この限りでない。 | なし |
(賃借物の原状回復義務) C-123条 1 賃借人は、賃貸借契約が終了した場合においては、当該契約に基づいて目的物の引渡しを受けた後に生じた目的物の損傷があるときは、これを原状に復さなければならない。ただし、その損傷が、契約の趣旨に照らし、賃借人の責めに帰することのできない事由により生じたと認められるとき は、この限りでない。 2 前項の賃借人が原状に復さなければならない損傷には、社会生活上の通常の使用をしたことによって生ずる目的物の劣化又は価値の減少を含まない。 3 貸主が事業者、借主が消費者である場合の賃貸借については、前項に反する特約は無効とする。 | なし |
(賃借物の用法違反等を理由とする損害賠償請求権の期間制限) Cー124条 1 賃借人が、賃貸借契約の趣旨に照らし、これに適合しない方法、又は目的物の性質に反する用法により、当該目的物を損傷した場合は、これについての賃貸人の損害賠償請求については、賃貸人が目的物の返還を受けた時から1年以内にしなければならない。 2 前項の損害賠償請求権は、目的物が賃貸人に返還された時から1年を経過するまでは、消滅時効は完成しない。 | (損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)第621条 第600条の規定は、賃貸借について準用する。 |
第7節 ファイナンス・リース契約 (ファイナンス・リース契約) C―125条 1 ファイナンス・リース契約は、当事者の一方(以下、この条では「リース提供者」という。)が、相手方(以下、この条では「ユーザー」という。)の指定する財産(以下、この条では「目的物」という。)を取得してこれをユーザーに引き渡すとともに、当該目的物の使用収益をユーザーがすることを受忍することを約し、ユーザーが、これに対して、その取得費用その他の費用に相当する額の金銭(以下「リース料」という。)を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 2 前項の契約については、C―105条第1項、C―108条第1項、その他の当該契約の性質に反する規定を除き、賃貸借の規定を準用する。 3 前項の規定にかかわらず、リース料については、利息制限法及びC―9 5条(抗弁の接続)の規定を適用する。 4 第2項の規定にかかわらず、ファイナンス・リース契約の解除その他により期間の中途でリース提供者が適法に目的物の返還を受けた場合は、返還された当該目的物の売却その他によってリース提供者が取得した利益を ユーザーに返還しなければならない。ただし、リース提供者が、取得した利益相当額をリース料支払請求債権に弁済充当した場合は、この限りでな い。 6 第1項の契約については、C―111条(契約の趣旨不適合の場合等における借主の権利)の規定を準用しない。この場合、ユーザーは、リース提供者がその財産の取得先(以下「サプライヤー」という。)に対してC―111条に基づく権利を有するときは、リース提供者に対する意思表示によって、 リース提供者の有する当該権利(ただし、解除権及び代金減額請求権を除く。)を取得できる。 | なし |
第8節 ライセンス契約 (ライセンス契約) C―126条 1 ライセンス契約は、当事者の一方(以下、この条では「ライセンサー」という。)が、自己の有する特許権、商標権、営業秘密に関する権利、その他の知的財産権(知的財産基本法第2条第2項参照)に係る知的財産(同条第1項参照)を、相手方(以下、この条では「ライセンシー」という。)が使用することを受忍することを約し、ライセンシーが、これに対して金銭その他の物を給付することを約することによって、その効力を生ずる。 2 前項の契約については、C―101条からC―103条までの規定、その他の当該契約の性質に反する規定を除き、賃貸借の規定を準用する。 | なし |
第9節 使用貸借 (使用貸借) C―127条 1 使用貸借は、当事者の一方(以下、この節では「貸主」という。)が目的物を引き渡すことを約し、相手方(以下、この節では「借主」という。)が引渡しを受けた目的物を無償で使用又は収益をした後に返還することを約することによって、その効力を生ずる。 2 借主が目的物を受け取るまでは、各当事者は使用貸借を任意に解除することができる。ただし、書面による使用貸借の場合は、貸主は解除することができない。 | 第6節 使用貸借 (使用貸借) 第593条 使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。 |
(借主による使用及び収益) Cー128条 第594条を維持 | (借主による使用及び収益) 第594条 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。 2 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。 3 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。 |
(借用物の費用の負担) Cー129条 第595条を維持 | (借用物の費用の負担) 第595条 借主は、借用物の通常の必要費を負担する。 2 第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。 |
(貸主の責任) Cー130条 第596条の規律を維持 | (貸主の担保責任) 第596条 第551条の規定は、使用貸借について準用する。 |
(使用貸借の終了と解除) C―131条 1 使用貸借において、目的物の返還時期の定めがある場合には、その返還時期が到来した時に使用貸借が終了する。 2 目的物の返還時期の定めがない場合において、使用又は収益の目的の定めがあるときは、その目的に従い借主が目的物の使用及び収益を終わった時に使用貸借が終了する。 3 第1項に規定する返還時期の定めがない場合において、使用又は収益の目的の定めがあるときは、その目的に従い借主が目的物の使用及び収益をするのに足りる期間が経過すれば、貸主は、使用貸借を解除することができる。 4 第1項に規定する返還時期、及び使用又は収益の目的の定めがないときは、貸主は、いつでも使用貸借を解除することができる。 5 前4項の規定にかかわらず、借主はいつでも使用貸借を解除することができる。 | (借用物の返還の時期) 第597条 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。 2 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前で あっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。 3 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。 |
(使用貸借の目的物の収去義務、原状回復義務) C―132条 1 C―123条(賃借物における収去義務)の規定は、使用貸借に準用する。 2 借主は、使用貸借が終了したときは、目的物を原状に復して返還しなければならない。ただし、借用物に生じた損傷が、契約の趣旨に照らし、借主の責めに帰することのできない事由により生じたと認められるときは、この限りでない。 | (借主による収去) 第598条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。 |
(借主の死亡による使用貸借の終了) Cー133条 第599条を維持 | (借主の死亡による使用貸借の終了) 第599条 使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。 |
(使用貸借の目的物の用法違反等を理由とする損害賠償請求権の期間制限) C―134条 C―125条(賃借物の用法違反等を理由とする損害賠償請求権の期間制 限)の規定は、使用貸借に準用する。 | (損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)第600条 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。 |
第10節 請負 (請負) Cー135条 1 請負は、当事者の一方(以下、この節では「請負人」という。)が、ある仕事を完成して引き渡す(以下「完成引渡し」という。)こと、又はその引渡しが必要ない場合において仕事の完成(以下、両者を併せて「完成引渡し等」という。)を約し、相手方(以下、この節では「注文者」という。)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 | 第9節 請負 (請負) 第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 |
(報酬の支払時期) Cー136条 第633条を維持 | (報酬の支払時期) 第633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第6 24条第1項の規定を準用する。 |
(仕事の目的物が契約の趣旨に適合しない場合の注文者の権利) C―137条 1 仕事の目的物が、当該契約の趣旨に適合しない場合は、注文者は請負人に対して次に掲げる権利を行使することができる。 一 修補請求 二 Bー17条又はBー18条の規定による損害賠償請求三 Cー39条の規定による解除 2 C―50条第2項及び第4項の規定は、前項の請求に準用する。 3 前2項の規定は、請負契約の目的物が建物その他土地の工作物である場合にも適用する。 | (請負人の担保責任) 第634条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。 2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第 533条の規定を準用する。 |
(注文者の権利と同時履行の抗弁権) C―138条 前条第1項第二号の請求については、Cー26条(同時履行の抗弁権)の規定を準用する。 | 同上 |
第635条は削除 | 第635条 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。 |
(注文者の権利についての規定の不適用) Cー139条 前条の規定は、仕事の目的物が当該契約の趣旨に適合しないことが、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。 | (請負人の担保責任に関する規定の不適用) 第636条 前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。 |
(注文者の権利の存続期間) C―140条 1 Cー137条に規定する注文者の権利については、C―56条第1項及び第2項の規定を準用する。 2 第637条第2項を維持 | (請負人の担保責任の存続期間) 第637条 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。 2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。 |
(土地の工作物についての注文者の権利の存続期間) C―141条 1 建物その他土地の工作物の作成を目的とする請負においては、注文者は、その工作物が契約の趣旨に適合しない場合には、完成引渡し等の後5年間、C―137条に規定する権利を行使できる。ただし、この期間は、石 造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物の作成を目的とする請負においては、10年とする。ただし、法令に別段の規定がある場合は、この限りでない。 2 宅地の造成その他地盤の形成を目的とする請負においては、その地盤の構造耐力上重要な部分が当該契約の趣旨に適合しない場合は、注文者は、請負人に対し、その地盤の完成引渡し等の後10年間、C―137条に規定する権利を行使できる。 | 第638条 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、十年とする。 2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したとき は、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第63 4条の規定による権利を行使しなければならない。 |
(注文者の権利の存続期間の伸長) Cー142条 第639条の規律を維持 | (担保責任の存続期間の伸長) 第639条 第637条及び前条第一項の期間は、第167条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長することができる。 |
(請負人が責任を負わない旨の特約) Cー143条 請負人は、C―137条の規定による責任を負わない旨の特約をしたときであっても、請負人が、完成引渡し等の時に、目的物が当該契約に適合しな いことを知っていた場合は、その責任を免れることができない。 | (担保責任を負わない旨の特約) 第640条 請負人は、第六百三十四条又は第六百三十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときで あっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。 |
(注文者による契約の解除) Cー144条 第641条を維持 | (注文者による契約の解除) 第641条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。 |
(注文者についての破産手続の開始による解除) C―145条 1 請負人が仕事を完成しない間に注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。 2 第642条第2項を維持 | (注文者についての破産手続の開始による解除) 第642条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。 2 前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。 |
(仕事の完成引渡し等ができなくなった場合の報酬請求権) C―146条 1 請負人の仕事の完成引渡し等ができなくなった場合は、注文者はC―3 9条第2項の規定に基づき解除をすることができ、請負人は報酬の請求をすることができない。 2 前項の場合において、次のいずれかに該当するときは、前項の解除権の行使にかかわらず、請負人は既履行部分に対応する割合の報酬を請求することができる。 一 既に行われた請負人の仕事の成果が可分であり、かつ、注文者が既履行部分の給付を受けることに利益を有するとき。 二 注文者が材料を支給すべき場合、その他仕事の完成引渡し等について注文者の協力が必要な場合であって、かつ、契約の趣旨に照らし、注文者の責めに帰することのできない事由により、その協力がされなかったと認められるとき。 3 契約の趣旨に照らし、注文者の責めに帰すべき事由により、請負人の仕事の完成引渡し等ができなくなったと認められる場合は、請負人は、C―27条第3項の規定にもとづき、報酬の請求をすることができる。 | なし |
第11節 委任 (委任) Cー147条 委任は、当事者の一方(以下、この節では「委任者」という。)が法律行為をすることを相手方(以下、この節では「受任者」という。)に委託し、受任者がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。 | 第10節 委任 (委任) 第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。 |
(受任者の善管注意義務、忠実義務) Cー148条 1 受任者は、委任契約の趣旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。 2 受任者は、受任者と委任者又は第三者との利害が対立している場合に、受任者又は当該第三者の利益を優先してはならない義務を負う。 | (受任者の注意義務) 第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。 |
(受任者による復受任者の選任) C―149条 1 受任者は、委任事務の処理を第三者に委任することはできない。ただし、受任者が、委任者の許諾を得たとき、または委任者の利益のために正当と認められる事由があるときは、この限りでない。 2 前項の規定により復受任者を選任した場合でも、受任者は善管注意義務その他の受任者としての義務を負う。ただし、委任者の指名により復受任者を選任した場合は、その者の監督を怠った場合にのみ責任を負う。 3 復受任者は、委任者に対し、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。ただし、復受任者の委任者に対する報酬請求については、この限りでない。 | なし |
(受任者による報告) Cー150条 第645条を維持 | (受任者による報告) 第645条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。 |
(受任者による受取物の引渡し等) Cー151条 第646条を維持 | (受任者による受取物の引渡し等) 第646条 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。 2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。 |
(受任者の金銭の消費についての責任) Cー152条 第647条を維持 | (受任者の金銭の消費についての責任) 第647条 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したとき は、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を 負う。 |
(受任者の報酬) C-153条 1 第648条第1項を維持 2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、その期間を経過した後に請求することができ、又は委任事務を処理したことによる成果に対して報酬を支払うことを定めたときは、目的物の引渡しを要するときは引渡しと同時に、引渡しを要しないときは成果が完成した後に、これを請求することができる。 3 委任が履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。ただし、委任事務を処理したことによる成果に対して報酬を支払うことを定めた場合は、C―146条第2項を準用する。 4 当該委任契約の趣旨に照らし、委任者の責めに帰すべき事由により、委任が履行の中途で終了したと認められるときは、受任者はC―27条第2項及び第3項の規定により報酬請求をすることができる。 | (受任者の報酬) 第648条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。 2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項の規定を準用 する。 3 委任が受任者の責めに帰することができない事由によっ て履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 |
(受任者による費用の前払請求) Cー154条 第649条を維持 | (受任者による費用の前払請求) 第649条 委任事務を処理するについて費用を要するとき は、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。 |
(受任者による費用等の償還請求等) C―155条 1 第650条第1項を維持 2 同条第2項を維持 3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損失を被ったときは、委任者に対し、その補償を請求することができる。 | (受任者による費用等の償還請求等) 第650条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。 2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。 3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。 |
(委任の解除) C―156条 1 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。委任が受任者の利益をも目的としている場合でも同様とする。 2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたとき、その当事者の一方は、相手方がこれにより被った損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。 3 委任が受任者の利益をも目的としている場合(その利益が専ら報酬を得ることによるものである場合を除く。)、委任者が第1項による委任の解除をしたときは、委任者は、受任者がこれにより被った損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。 | (委任の解除) 第651条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。 2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。 |
(委任の解除の効力) Cー157条 第652条の規律を維持 | (委任の解除の効力) 第652条 第620条の規定は、委任について準用する。 |
(委任の終了事由) C―158条 1 委任は次に掲げる事由によって、終了する。一 委任者の死亡又は受任者の死亡 二 受任者が後見開始の審判を受けたこと。 2 有償委任において、委任者が破産手続開始の決定を受けた場合、受任者又破産管財人は委任契約の解除をすることができる。この場合におい て、受任者は、既にした履行の割合に応じた報酬について、破産財団の配当に加入することができる。 3 受任者が破産手続開始の決定を受けたときは、委任者又は有償の委任における破産管財人は、委任の解除をすることができる。 4 前2項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における受任者に限り、請求することができる。この場合において、受任者は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入するものとする。 | (委任の終了事由) 第653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。一 委任者又は受任者の死亡 二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。 |
(委任の終了後の処分) Cー159条 第654条を維持 | (委任の終了後の処分) 第654条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。 |
(委任の終了の対抗要件) C-160条 第655条を維持 | (委任の終了の対抗要件) 第655条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したと き、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。 |
(準委任) Cー161条 第656条を維持 | (準委任) 第656条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。 |
第12節 寄託 (寄託) C―162条 寄託は、当事者の一方(以下、この節では「寄託者」という。)が物の保管を依頼し、相手方(以下、この節では「受寄者」という。)がその物を寄託者のために保管することを約することによって、その効力を生ずる。 | 第11節 寄託 (寄託) 第657条 寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。 |
(寄託物の受取前の法律関係) C―163条 1 受寄者が寄託物を受け取るまでは、寄託者は、いつでも寄託契約を解除することができる。ただし、有償寄託において、これにより寄託者が損害を 被った場合は、損害賠償の請求を妨げない。 2 無償の寄託の当事者は、受寄者が寄託物を受け取るまでは、契約の解除をすることができる。ただし、書面による無償の寄託の受寄者は、契約の解除をすることができない。 3 有償の寄託又は書面による無償の寄託において、寄託物を受け取るべき時を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合には、受寄者は、寄託者に対し、相当の期間を定めて寄託物の引渡しを催告し、その期間内に引渡しがないときは、寄託契約の解除をすることができる。 | なし |
(寄託者の破産手続開始の決定) C―164条 1 有償の寄託において、寄託者が破産手続開始の決定を受けた場合に は、返還時期の定めがあるときであっても、受寄者は寄託物を返還することができ、破産管財人は寄託物の返還を請求することができる。この場合において、受寄者は、既にした履行の割合に応じた報酬について、破産財団の配当に加入することができる。 2 前項の規定により破産管財人が返還時期より前に返還請求をした場合には、受寄者は、契約の解除によって生じた損害の賠償を請求することができる。この場合において、受寄者は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入するものとする。 | なし |
(寄託者の自己執行義務) C―165条 1 第658条第1項を維持 2 前項の規定にかかわらず、受寄者は、寄託者の利益のために正当と認められる事由があるときは、寄託物を第三者(以下「再受寄者」という。)に保管させることができる。 3 前項の規定により再受寄者を選任した場合でも、受寄者は寄託者に対し、受寄者としての義務を負う。ただし、寄託者の指名により再受寄者を選任した場合は、その者の監督についてのみ寄託者に対して責任を負う。 4 再受寄者は、寄託者に対し、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。ただし、再受寄者の寄託者に対する報酬請求については、この限りでない。 | (寄託物の使用及び第三者による保管) 第658条 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用し、又は第三者にこれを保管させることができない。 2 第105条及び第107条第2項の規定は、受寄者が第三者に寄託物を保管させることができる場合について準用する。 |
(受寄者の注意義務) C―166条 1 有償で寄託を受けた者は、善良なる管理者の注意をもって寄託物を保管する義務を負う。 2 無償で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。 | (無償受寄者の注意義務) 第659条 無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。 |
(寄託物についての第三者の権利主張) C―167条 1 寄託物について権利を主張する第三者が、受寄者に対して訴えを提起 し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。 2 受寄者は、寄託物について権利を主張する第三者に対して、寄託者が主張することのできる権利を援用することができる。 | (受寄者の通知義務) 第660条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。 |
(寄託者の損害賠償責任) C―168条 1 寄託者は、寄託物の性質又は状態に起因して生じた損害を、受寄者に賠償しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当する場合には、寄託者は、損害を賠償する責任を負わない。 一 受寄者が有償で寄託を受けた場合において、寄託者が過失なく、その寄託物の性質又は状態を知らなかったとき。 二 受寄者が、その寄託物の性質又は状態を知っていたとき。 | (寄託者による損害賠償) 第661条 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。 |
(寄託者による返還請求) C―169条 当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。ただし、これによって受寄者に損害が生じた場合は、寄託者はその損害を賠償しなければならない。 | (寄託者による返還請求) 第662条 当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。 |
(寄託物の返還の時期) Cー170条 第663条を維持 | (寄託物の返還の時期) 第663条 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。 2 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。 |
(寄託物の返還の場所) Cー171条 第664条を維持 | (寄託物の返還の場所) 第664条 寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。 |
(寄託物の損傷等の場合における寄託者の損害賠償請求権の期間制限) C―172条 1 返還された寄託物に損傷又は一部滅失があった場合は、寄託者はこれによって被った損害の賠償を受寄者に請求できる。ただし、寄託物の返還を受けた時から1年以内に、請求しなければならない。 2 前項の損害賠償請求については、寄託者が寄託物の返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、消滅時効は、完成しない。 | なし |
(委任の規定の準用) Cー173条 第665条の規律を維持 | (委任の規定の準用) 第665条 第646条から第650条まで(同条第3項を除く。)の規定は、寄託について準用する。 |
(消費寄託) C―174条 1 消費寄託は、契約により、受寄者が寄託物を消費若しくは処分できることを認めて寄託者が物の保管を依頼し、受寄者が寄託物と同種、同等、同量の物を返還することを約することによって、その効力を生じる。 2 消費寄託については、Cー91条、Cー93条、Cー94条、Cー169条、及びCー170条を準用する。 | (消費寄託) 第666条 第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。 2 前項において準用する第591条第1項の規定にかかわらず、前項の契約に返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還を請求することができる。 |
(混合寄託) C―175条 1 混合寄託は、契約により、複数の寄託者がそれぞれ同種、同等の物(金銭を除く。)の保管を依頼し、受寄者がこれらの物を混合して保管することを約することによって、その効力を生じる。この場合、すべての寄託者が混合寄託となることを承諾しなければ、受寄者はそれらの寄託物を混合して保管をすることができない。 2 前項の規定にかかわらず、すべての寄託者が将来において混合寄託者が増加することを承諾しなければ、受寄者はその後、他の寄託者の寄託物をその寄託物へ混合させて保管をすることができない。 3 混合寄託においては、それぞれの寄託者は、その寄託した物の数量の割合に応じた物の返還を請求することができる。 | なし |
第13節 雇用 (雇用) Cー176条 雇用は、労働者が使用者に対して労働に従事することを約し、使用者がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。 | 第8節 雇用 (雇用) 第623条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。 |
(労務の報酬) C―177条 1 労働者が、労務を中途で履行することができなくなった場合は、労働者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 2 労働契約の趣旨に照らし、使用者の責めに帰すべき事由によって、労働者が労務を履行することができなくなったと認められる場合は、労働者は報酬の請求をすることができる。この場合において、債務者が、自己の債務を免れたことによって労働者が利益を得たときは、これを使用者に償還しなければならない。 | なし |
(報酬の支払時期) C-178条 第624条を維持 | (報酬の支払時期) 第624条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。 2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。 |
(使用者の権利の譲渡の制限等) Cー179条 第625条を維持 | (使用者の権利の譲渡の制限等) 第625条 使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。 2 労働者は、使用者の承諾を得なければ、自己に代わって第三者を労働に従事させることができない。 3 労働者が前項の規定に違反して第三者を労働に従事させたときは、使用者は、契約の解除をすることができる。 |
(期間の定めのある雇用の解除) C―180条 1 期間の定めのある雇用において、5年を超える期間を定めたときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約を解除することができる。 2 前項により契約の解除をしようとするときは、2週間前にその予告をしなければならない。 | (期間の定めのある雇用の解除) 第626条 雇用の期間が五年を超え、又は雇用が当事者の一方若しくは第三者の終身の間継続すべきときは、当事者の一方は、五年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。ただし、この期間は、商工業の見習を目的とする雇用については、十年とする。 2 前項の規定により契約の解除をしようとするときは、三箇月前にその予告をしなければならない。 |
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ) Cー181条 第627条第1項を維持。同条第2項及び第3項を削除 | (期間の定めのない雇用の解約の申入れ) 第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。 3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。 |
(やむを得ない事由による雇用の解除) Cー182条 第628条を維持 | (やむを得ない事由による雇用の解除) 第628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。 |
(雇用の更新の推定等) Cー183条 第629条を維持 | (雇用の更新の推定等) 第629条 雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。 2 従前の雇用について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、身元保証金については、この限りでない。 |
(雇用の解除の効力) Cー184条 第630条を維持 | (雇用の解除の効力) 第630条 第620条の規定は、雇用について準用する。 |
(使用者についての破産手続の開始による解約の申入れ) Cー185条 使用者第631条の規定を維持 | (使用者についての破産手続の開始による解約の申入れ)第631条 使用者が破産手続開始の決定を受けた場合に は、雇用に期間の定めがあるときであっても、労働者又は破産管財人は、第627条の規定により解約の申入れをすることができる。この場合において、各当事者は、相手方に対し、解約によって生じた損害の賠償を請求することができない。 |
第14節 組合 (組合契約) Cー186条 第667条を維持 | 第12節 組合 (組合契約) 第667条 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。 2 出資は、労務をその目的とすることができる。 |
(組合契約の無効又は取消し) C―187条 組合員の一人又は数人について、組合契約を締結する意思表示又は法律行為に無効又は取消しの原因があっても、組合契約の効力は妨げられない。 | なし |
(他の組合員が出資債務を履行しない場合) C―188条 1 組合員は、他の組合員が出資債務の履行をしないことを理由として、自己の出資債務の履行を拒むことができない。 2 組合員は、他の組合員が出資債務の履行をしない場合であっても、組合契約の解除をすることができない。 | なし |
(組合の財産関係) C―189条 1 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。 2 組合財産に属する財産に対しては、組合の債権者は、その権利を行使できる。組合員の債権者は、その権利行使をすることができない。 3 組合員は、組合財産に属する債権について、自己の持分に応じて分割して行使することはできない。 | (組合財産の共有) 第668条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。 |
(金銭出資の不履行の責任) C-190条 第669条を維持 | (金銭出資の不履行の責任) 第669条 金銭を出資の目的とした場合において、組合員がその出資をすることを怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない。 |
(組合の業務執行) C―191条 1 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。 2 前項の規定にかかわらず、組合の業務執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる(以下、このような委任を受けた者を「業務執行者」という。)。 3 業務執行者は、組合の業務を執行する。業務執行者が二人以上ある場合には、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。 4 業務執行者を置いている場合であっても、総組合員によって組合の業務を執行することは妨げられない。 5 前4項の規定にかかわらず、組合の常務に関する行為については、各組合員又は各業務執行者が単独で決定し、これを執行できる。ただし、その完了前に他の組合員が異議を述べたときは、この限りでない。 | (業務の執行の方法) 第670条 組合の業務の執行は、組合員の過半数で決する。 2 前項の業務の執行は、組合契約でこれを委任した者(次項において「業務執行者」という。)が数人あるときは、その過半数で決する。 3 組合の常務は、前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。 |
(委任の規定の準用) Cー192条 第671条の規律を維持 | (委任の規定の準用) 第671条 第644条から第650条までの規定は、組合の業務を執行する組合員について準用する。 |
(業務執行組合員の辞任及び解任) Cー193条 第672条を維持 | (業務執行組合員の辞任及び解任) 第672条 組合契約で一人又は数人の組合員に業務の執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。 2 前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができる。 |
(組合代理) C―194条 1 各組合員が、他の組合員を代理して組合の業務を執行するには、組合員の過半数をもって決定による代理権の授与を要する。ただし、組合の常務を行う場合は、各組合員は、当然に他の組合員を代理する権限を有する。 2 業務執行者を定めた場合には、組合員を代理する権限は業務執行者のみが有する。 3 業務執行者が二人以上ある場合に、各業務執行者が組合員を代理して組合の業務を執行するには、業務執行者の過半数による代理権の授与を要する。ただし、組合の常務を行う場合は、各業務執行者は、当然に組合員を代理する権限を有する。 4 前3項の組合代理の要件が満たされていないこと又は代理権に加えた制限は、過失なくしてこれを知らない第三者に対抗することができない。 | なし |
(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査) Cー195条 第673条を維持 | (組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査) 第673条 各組合員は、組合の業務を執行する権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。 |
(組合員の損益分配の割合) Cー196条 第674条を維持 | (組合員の損益分配の割合) 第674条 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。 2 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。 |
(組合員に対する組合の債権者の権利の行使) Cー197条 組合の債権者は、各組合員に対し、等しい割合でその権利行使をすることができる。ただし、その債権者がその債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知っていたときは、各組合員に対してその割合によってのみ、その権利を行使することができる。 | (組合員に対する組合の債権者の権利の行使) 第675条 組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。 |
(組合員の持分の処分及び組合財産の分割) Cー198条 第676条を維持 | (組合員の持分の処分及び組合財産の分割) 第676条 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。 2 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。 |
(組合の債務者による相殺の禁止) Cー199条 第677条を維持 | (組合の債務者による相殺の禁止) 第677条 組合の債務者は、その債務と組合員に対する債権とを相殺することができない。 |
(組合員の加入) Cー200条 1 組合の成立後であっても、 組合員は、その全員の同意をもって、又は組合契約の定めるところにより、新たに第三者を組合に加入させることができる。 2 前項の規定により加入した組合員は、その加入前に生じた組合債務については、これを弁済する責任を負わない。 | なし |
(組合員の脱退) Cー201条 1 第678条第1項を維持 2 同条第2項を維持 3 やむを得ない事由がある場合であっても組合員の脱退を禁止する旨の特約は、無効とする。 4 脱退した組合員は、脱退前に生じた組合債務については、脱退前と同様にこれを弁済する責任を負う。この場合に、脱退した組合員が脱退の際に組合との間で自己の責任部分について清算した場合は、他の組合員に対 し、この債務からの免責を得させること、又は相当な担保を供することを求めることができる。 | (組合員の脱退) 第678条 組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。 2 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。 |
Cー202条 第679条を維持 | 第679条 前条の場合のほか、組合員は、次に掲げる事由によって脱退する。 一 死亡 二 破産手続開始の決定を受けたこと。三 後見開始の審判を受けたこと。 四 除名 |
(組合員の除名) Cー203条 第680条を維持 | (組合員の除名) 第680条 組合員の除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができる。ただし、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもってその組合員に対抗することができない。 |
(脱退した組合員の持分の払戻し) Cー204条 第681条を維持 | (脱退した組合員の持分の払戻し) 第681条 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならな い。 2 脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。 3 脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。 |
(組合の解散事由) Cー205条 組合は、次に掲げる事由により解散する。 一 目的である事業の成功又はその成功の不能二 組合契約で定められた存続期間の満了 三 組合契約で定められた解散事由の発生四 総組合員による解散の合意 | (組合の解散事由) 第682条 組合は、その目的である事業の成功又はその成功の不能によって解散する。 |
(組合の解散の請求) Cー206条 第683条を維持 | (組合の解散の請求) 第683条 やむを得ない事由があるときは、各組合員は、組合の解散を請求することができる |
(組合契約の解除の効力) Cー207条 第84条の規律を維持 | (組合契約の解除の効力) 第684条 第620条の規定は、組合契約について準用する。 |
(組合の清算及び清算人の選任と権限) Cー208条 1 第685条第1項維持 2 同条第2項維持 3 清算人は、清算事務の範囲内で各組合員を代理する権限を有する。 | (組合の清算及び清算人の選任) 第685条 組合が解散したときは、清算は、総組合員が共同して、又はその選任した清算人がこれをする。 2 清算人の選任は、総組合員の過半数で決する。 |
Cー209条(清算人の業務の執行の方法) からCー211条(清算人の職務及び権限並びに残余財産の分割方法)は、第686条 から第688条の規定を維持 | 第686条(清算人の業務の執行の方法) から第688条(清算人の職務及び権限並びに残余財産の分割方法)は省略 |
第15節 終身定期金 (終身定期金契約) Cー212条 第689条を維持 | 第13節 終身定期金 (終身定期金契約) 第689条 終身定期金契約は、当事者の一方が、自己、相手方又は第三者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約することによって、その効力を生ずる。 |
(終身定期金の給付方法) Cー213条 第690条を維持 | (終身定期金の計算) 第690条 終身定期金は、日割りで計算する。 |
(終身定期金契約の解除) Cー214条 終身定期金債務者が終身定期金の元本を受領した場合において、その終身定期金の給付を怠り、又はその他の義務を履行しないときは、終身定期金債権者は、終身定期金契約を解除して、元本の返還を請求することができる。 | (終身定期金契約の解除) 第691条 終身定期金債務者が終身定期金の元本を受領した場合において、その終身定期金の給付を怠り、又はその他の義務を履行しないときは、相手方は、元本の返還を請求することができる。この場合において、相手方は、既に受け取った終身定期金の中からその元本の利息を控除した残額を終身 定期金債務者に返還しなければならない。 2 前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。 |
(終身定期金契約の解除と同時履行) Cー215条 第692条を維持 | (終身定期金契約の解除と同時履行) 第692条 第533条の規定は、前条の場合について準用する。 |
(終身定期金債権の存続の宣告) Cー216条 第693条を維持 | (終身定期金債権の存続の宣告) 第693条 終身定期金債務者の責めに帰すべき事由によって第689条に規定する死亡が生じたときは、裁判所は、終身定期金債権者又はその相続人の請求により、終身定期金債権が相当の期間存続することを宣告することができる。 2 前項の規定は、第691条の権利の行使を妨げない。 |
(終身定期金の遺贈) Cー217条 第694条を維持 | (終身定期金の遺贈) 第694条 この節の規定は、終身定期金の遺贈について準用する。 |
第16節 和解 (和解) Cー218条 第695条を維持 | 第14節 和解 (和解) 第695条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。 |
(和解の効力) Cー219条 第696条を維持 | (和解の効力) 第696条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。 |
第3章 事務管理 Cー220条(事務管理)からCー225条(管理者による費用の償還請求等)の規定は、第697条から第702条までを維持 | 第3章 事務管理 第697条(事務管理)から第702条(管理者による費用の償還請求等)の規定は省略 |
第4章 不当利得 Cー226条(不当利得の返還義務) からCー231条(不法原因給付)までの規定は、第703条から第708条までを維持 | 第4章 不当利得 第703条(不当利得の返還義務) から第708条(不法原因給付)までの規定は省略 |
第5章 不法行為 Cー232条(不法行為による損害賠償) からCー246条(名誉毀損における原状回復)の規定は、第709条から第723条までの規定を維持 | 第5章 不法行為 第709条(不法行為による損害賠償) から第723条(名誉毀損における原状回復)の規定は省略 |
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限) C―247条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、時効によって消滅する。 | (不法行為による損害賠償請求権の期間の制限) 第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。 |