Contract
「労働関係の基本に関する協約」、「賃金の一部控除に関する協定」、「労働協約書」の改訂 について(平成 24 年 3 月 22 日)
(交渉内容)
【組合】
本日の団体交渉は、大阪市立病院職員労働組合と大阪市従業員労働組合との共同交渉であることを表明しておく。
2 月 29 日に病院局より大阪市立病院職員労働組合に対して、これまで労使間で締結していた「労働関係の基本に関する協約」および「賃金の一部控除に関する協定」の改定について申し入れがあった。また、3 月 1 日には大阪市従業員労働組合にたいして、「労働協約書」の改定についての申し入れがあった。
その内容は、組合費のチェック・オフにかかる文言のみを削除するという、極めて受け入れがたい提案となっている。
私たちは、どちらも労働組合法に基づく労働組合であり、組合費のチェック・オフ制度は、これまで労使双方で確認し実施してきたものである。憲法第 28 条で保障されている労
働者の団結権の保障、労働基準法第 24 条や労働組合法第 7 条においても認められている合法的な制度である。
今回の申し入れは、労働組合の弱体化や団結権を侵害する不当労働行為に繋がる重大な問題であると考えている。
先ず、病院局から申し入れのあった「労働関係の基本に関する協約」、「賃金の一部控除に関する協定」及び「労働協約書」の改定について、改めて説明を求めるとともに、何故このような提案をしたのか、またその責任の所在はどこにあるのかを伺いたい。
【局】
ただいま、xx委員長から、2 月 29 日に大阪市立病院職員労働組合へ、3 月 1 日に大阪市従業員労働組合へ申し入れさせていただいた内容についての説明を求められたところである。
先般の申し入れは、現在、大阪市立病院職員労働組合と締結している「労働関係の基本に関する協約」、「賃金の一部控除に関する協定」及び大阪市従業員労働組合と締結している「労働協約書」における、組合費の控除、いわゆるチェック・オフの部分について廃止すること並びにそれ以外の控除については、新たな協約書、協定書をそれぞれ締結していただきたいという内容である。
ご承知のように、チェック・オフとは、労働組合の組合員の賃金・給与から組合費を控除し、これを一括して労働組合にお渡しする制度であり、私どもが労働組合に対して行ってきている便宜供与の一つである。
労働基準法第 24 条では、賃金は直接労働者にその全額を支払わなければならないとする一方で、労働者の過半数で組織された労働組合と書面による協定がある場合には、賃金の一部を控除して支払うことができるとされており、当局においては、大阪市立病院職員労働組合と締結した現行協定書をもとに、大阪市立病院職員労働組合並びに大阪市従業員労働組合とそれぞれ書面により現協約を締結してチェック・オフを行ってきているものである。
一方、大阪市において職員団体である大阪市職員労働組合に対しては、平成 20 年 3 月に、職員厚遇問題などを契機とし、労使の癒着や相互依存の象徴と批判された便宜供与を見直し、市民の信頼に応え、職員団体の自主的かつ健全な活動を促すことを目的として、議員提案により給与条例の一部改正が行われ、1 年後の平成 21 年 4 月よりxxxx・xxが廃止されたところである。
平成 21 年 4 月より公営企業として新たにスタートした病院局においては、大阪市職員労
働組合において平成 20 年 9 月に訴訟を提起されたことや、他任命権者部局の状況を鑑みチェック・オフを行う協約・協定を締結してきたところである。
しかしながら、昨年 8 月、大阪市職員労働組合のチェック・オフ廃止訴訟の1審判決が出され、大阪市の主張が認められたところである。
このような状況の中、他任命権者部局とはいえ、同じ市の職員の組合で廃止しているところと、そうでないところがあることを市民に説明することは難しいと考えており、責任の所在がある病院局においても、協約書の有効期限を迎えるこの3月末をもって、チェック・オフに係る現行の協約書に定める「組合費の控除」を削除することについて、大阪市立病院職員労働組合と大阪市従業員労働組合に対して申し入れをさせていただいたところである。
また、5 月末日で有効期限を迎える現行協定書については 3 月末日をもって失効させ、改定内容については、新たな協定として、現行協定書に定める「組合費の控除」の文言を削除するとともに、組合費以外の控除については、現行どおりの控除を行うこととする内容での協定としたいと考えているところである。
協約についても、それぞれの労働組合費のチェック・オフの条文を削除した内容で締結したいと考えている。
ただし、協約、協定ともにチェック・オフの廃止にあたっては、準備期間が必要であると、我々も十分認識しているところであるので、そのための別途文書にて平成 25 年 3 月 31
日までの 1 年間に限りチェック・オフを継続することを確認させていただきたいと考えている。
最後に、私どもの今回の申し入れによって、現行協定は 3 月末で失効となるが、本年 4月以降、組合費以外の控除項目についても新たな協定がなければ控除不能となり、そのような事態に陥れば、組合員の皆様をはじめ、重大な影響が出るものとなるため、組合費以外の控除についての新たな協定書の締結についても、何卒ご理解いただき、合意を賜るよ
う、よろしくお願いする。
【組合】
只今、病院局より改めて説明いただいたが、到底、理解できる内容ではない。何が問題になってチェック・オフ廃止の提案をしているのか。責任の所在は言われていなかったが、何処にあるのかということを再度お聞きしたい。
【局】
大阪市において、平成 21 年4月から、職員団体である大阪市職員労働組合のチェック・オフが条例改正により廃止されている。
当時、一連の職員厚遇問題が起こった際に、労使の癒着や相互依存体質の見直しを行い、適正な労使関係を構築すべく行われたものであり、本来であれば全市的な取り扱いとして対応すべきであったが、大阪市職員労働組合において訴訟提起されたことや、他任命権者部局の状況を鑑み組合費をチェック・オフすることとしてきたところである。
しかし、昨年 8 月に大阪市職員労働組合における訴訟の 1 審判決が出され、大阪地裁は大阪市職員労働組合の訴えを退け、大阪市の主張が認められたことと、便宜供与であるチェック・オフについては、すでに大阪市職員労働組合において廃止されており、組合に対する便宜供与という点では同じであるので、市民に対して同じ市職員の組合で、廃止された組合があるのに他の組合が継続されているということの説明が困難であることから、現在の協約書の有効期限である 3 月末をもって廃止させていただきたいと考えているところである。
病院局として、市民目線から見た適正な労使関係を構築していきたいと考えており、両労組に対してのチェック・オフ廃止にご理解いただくようお願いするところである。
【組合】
民間の労働組合と私たちは、同じ労働組合法が適用されている。民間労働組合では 90%以上がチェック・オフを行っており、xx行われてきた組合費のチェック・オフ廃止は、不当労働行為として、最高裁判所の判決や地方労働委員会の裁定が出されている。このことに対する局の認識を伺いたい。
【局】
民間において、多くの企業でチェック・オフが行われていることは、厚生労働省の調査等において、私どもも把握しており、承知しているところである。
また、労使協定により、チェック・オフを行うことは、労基法第 24 条により合法であると認識しており、同法では、賃金は通貨で直接労働者に全額を支払わなければならないとし、労働組合との労使協定がある場合には、その賃金の一部を控除して支払うことができ
るものとしており、一部控除は例外的なものとしてできるとされているものであると理解している。
昨年示された大阪市職員労働組合の裁判においては、チェック・オフ自体は労働者の団結xx何らかの権利から直接導かれるものとはいえず、その性質はあくまで使用者の労働者に対する便宜供与であるとの判断がされており、労働組合との関係を正常化するための方策として見直し検討すること、更に進んでチェック・オフ制度を廃止することは、地方公共団体の政策としてあながち不合理とまではいえないと指摘されていることもあり、病院局としてはあくまでも労働組合に対する便宜供与の一部と認識している。
さらに、当方の提案として、廃止にあたり 1 年間の準備期間を設け、平成 25 年 3 月末までは協定書の覚書、それぞれの協約書の別紙確認書により、引き続きチェック・オフを継続することとしており、何卒、ご理解いただけるようお願いしたい。
【組合】
病院労組は市職と総務局がチェック・オフ廃止の協議をしていた時期に、病院局とチェック・オフを含む協定・協約を締結している。その際、何日もかけて協議を行い、そのうえでの締結である。
それではその時と現在とではどう変わってチェック・オフ廃止の提案をしているのか局の回答を求める。
【局】
繰り返しになるが、職員団体がチェック・オフを廃止した平成 21 年 4 月に、本来であれば全市的な取り扱いとして対応すべきであったが、大阪市職員労働組合において訴訟提起されたことや、他任命権者部局の状況を鑑み組合費をチェック・オフすることとしてきたところである。
しかし、昨年、裁判所の一定の判断が出されたこともあり、この時期の見直しとなったところである。
【組合】
ご承知のとおり、病院職場は交替制勤務や夜勤等を行っている。組合費のチェック・オフができなければ、組合費の徴収は困難を極め、組織の弱体化に繋がることは容易に想像がつく。私たちとしては不当労働行為にあたるのではないかと考えるが、局の認識を伺いたい。
【局】
繰り返しになるが、チェック・オフは、便宜供与の一種であり、これまで労基法第 24 条の規定に基づき一部控除について、協約書と協定書を取り交わしているものである。
あくまで便宜供与の廃止であり、組合費の徴収自体は、チェック・オフ以外にも手法が可能であると認識している。
病院職場の特質はあるものの、局は組合側の準備期間が必要であると十分認識しており、基本的には職員団体である大阪市職員労働組合のチェック・オフの廃止の際も、条例施行までに1年間の猶予期間があり、当局提案としても覚書によりチェック・オフを1年間継続することとしており、決して組合の弱体化を意図して提案したものではないことはご理解いただきたい。
【組合】
本日は共同交渉でもあるので、大阪市従業員労働組合からの発言をしていきたい。
【組合】
先ほどより病院労組の委員長からも今回のxxxx・xxの見直しに関わり発言があったところである。
市従としても今回のxxxx・xxの見直しに伴う労働協約書の改定については、その提案そのものがあまりにも唐突すぎるものであり病院局の対応に不信感を抱かざるを得ない。
病院局については、2009 年 4 月に、市民病院事業の経営形態の変更により、地方公営企業法の全部適用として病院局に移行し、市長部局から独立した新たな組織形態としてスタートをきったということです。
その際、市従は病院局と新たに労働協約を締結し、現在に至っており、労働協約締結時には、労働協約を遵守し、誠意をもって交渉・協議に臨んでいただくよう要請してきたところである。
しかし、今日まで 3 年足らずの間に労働協約書の改定について申し入れが行われ、組合費のチェック・オフを廃止することについて提案されてきていることに強い憤りを感じるところである。
今後の病院事業を現場で支える組合員の「職の確立」議論も道半ばであり、今回のチェック・オフ廃止に伴う協約の見直しは、組織体制の確立にも大きく影響を及ぼすものであり、到底理解できるものでないことを指摘しておく。
そのうえで、只今、病院労組の委員長から求められた事項に対する病院局の回答については、市従としても不十分で正当な理由ではないと考える。あらためて病院局の明確な回答を求める。先ほどより病院労組委員長が言われているように、責任の所在はどこにあるのかを問うていきたい。
【局】
只今、xx委員長から、病院局が発足した平成21年4月に労働協約を締結し、わずか
3年足らずで労働協約書の改訂を申し入れ、組合費のチェック・オフを廃止することについての明確な回答を改めて求められたが、先ほど申し上げたように職員団体がチェック・オフを廃止した、平成 21 年 4 月に本来であれば全市的な取り扱いとして対応すべきであったが、大阪市職員労働組合において訴訟提起されたことや、他任命権者部局の状況を鑑みチェック・オフをしてきたところである。しかし、昨年、裁判所の一定の判断が出されたこともあり、この時期に改めて全市的な取り扱いとして見直ししたいと考えている。
なお、責任の所在については、病院局にあります。何卒、ご理解いただけるようお願いする。
【組合】
病院局独自の判断か。
【局】
全市的な取り扱いの中で病院局として同様の判断をしてきた。
【組合】
大阪市長の指示ではないということか。
【局】
当然、大阪市全市的な取り扱いということになっているので、任命権者といえども、大阪市長の指揮命令のもとに対応している。
【組合】
大阪市長の指示命令で対応しているということか。
【局】
大阪市の方針ということでの取り扱いである。
【組合】
病院局からの改定にあたっての説明について合理的かつ正当な理由とは思えず、不十分と言わざるを得ない。本日示された内容では、理解・納得できるものではない。また十分な分析も必要と考える。したがって本日時点で判断できる状況ではない。今後は誠意ある交渉姿勢が必要と考えるが局の認識を求める。
【局】
大阪市立病院職員労働組合・大阪市従業員労働組合よりいくつか質問いただいた点につ
いて、回答を申し上げたが、本日段階では、まだまだご理解、ご納得いただけていない点もあることは十分認識している。
改めて交渉の場を持ちたいと考えているので、よろしくお願いする。
【組合】
労働組合としても今後の対応を含め、十分な検討が必要であると考える。再考を強く求め、誠意をもった対応となるよう重ねて要請し、本日の交渉は終了する。